特許第6815312号(P6815312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6815312注射器又はカープルのためのアタッチメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815312
(24)【登録日】2020年12月24日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】注射器又はカープルのためのアタッチメント
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/34 20060101AFI20210107BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   A61M5/34 530
   A61M39/10 120
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-234295(P2017-234295)
(22)【出願日】2017年12月6日
(62)【分割の表示】特願2015-542246(P2015-542246)の分割
【原出願日】2013年11月12日
(65)【公開番号】特開2018-57906(P2018-57906A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2017年12月8日
(31)【優先権主張番号】102012022359.5
(32)【優先日】2012年11月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513220920
【氏名又は名称】フェッター ファルマ−フェルティグング ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】フント,ぺトラ
(72)【発明者】
【氏名】ツェンカー,ヨッヒェン
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/116791(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/150041(WO,A1)
【文献】 特表2012−515582(JP,A)
【文献】 特開2005−34419(JP,A)
【文献】 特開2000−254226(JP,A)
【文献】 特開平7−236693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/34
A61M 5/28
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端(91)と、該遠位端の末端の突起部(79)と、を有し、前記突起部(79)は、外面(83)と、自由端(85)と、該自由端と間隔をあけて前記外面に設けられた少なくとも一つの窪み(87)と、を有する、注射器、カープル(81)、又はその類似物のためのアタッチメントであって、
前記アタッチメント(1)は、環状の基体(5)を備え、前記突起部(79)に装着可能であり、
前記基体(5)は、自由空間(7)を包囲し、該自由空間(7)に前記突起部(79)を挿入可能であり、
前記基体(5)は、二種の材料を含み、好ましくは前記二種の材料のみから成り、前記二種の材料のうち、第1の材料が形状安定性を有し、第2の材料が形状安定性を有する前記第1の材料より軟らかく変形可能であり、
前記基体(5)は、前記突起部(79)に嵌合した状態で前記少なくとも一つの窪み(87)に係合する少なくとも一つの係合領域を有し、
前記基体(5)は、仮想円周線に沿って、前記第1の材料を含む少なくとも一つの第1の領域と、前記第2の材料を含む少なくとも一つの第2の領域を備え、
前記第2の材料は、前記突起部(79)に装着された状態において、前記少なくとも一つの窪み(87)内で成型され、
前記第2の材料は、前記第1の材料に埋め込まれ、
前記基体(5)が前記突起部(79)に嵌合した状態で、前記仮想円周線が前記突起部(79)の前記少なくとも一つの窪み(87)の領域に位置している
ことを特徴とするアタッチメント。
【請求項2】
前記基体(5)は、前記第1の材料及び前記第2の材料を使用した二成分射出成形法で製造可能であることを特徴とする請求項1に記載のアタッチメント。
【請求項3】
前記基体(5)は、前記第1の材料を含み、周方向の領域に少なくとも一つの凹部(19)を含み、該凹部(19)内に前記第2の領域を構成する前記第2の材料が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアタッチメント。
【請求項4】
前記基体(5)は、一方の端部(39)に環状体(15)を備え、
前記環状体(15)は、前記突起部(79)に取り付けられた状態で前記突起部(79)の環状領域を包囲し、
前記突起部(79)の前記環状領域に、前記少なくとも一つの窪み(87)が配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のアタッチメント。
【請求項5】
前記少なくとも一つの窪み(87)は、環状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のアタッチメント。
【請求項6】
前記環状体(15)は、周方向に好ましくは互いに等間隔に配置され、前記第1の領域を構成するセグメント(17)と、前記セグメント間の間隙にあり、前記第2の材料を収容して第2の領域を構成する凹部(19)と、備えることを特徴とする請求項4又は同項を引用する請求項5に記載のアタッチメント。
【請求項7】
前記セグメント(17)及び前記凹部(19)は、前記自由空間(7)に向かって先細りしていることを特徴とする請求項6に記載のアタッチメント。
【請求項8】
前記少なくとも一つのセグメント(17)は、好ましくは環状に形成された、少なくとも一つの中空空間(57)を有し、
前記中空空間(57)は、好ましくは前記第2の材料を収容し、
前記少なくとも一つのセグメント(17)は、円弧状の壁区域(59)を有し、
前記壁区域(59)は、前記少なくとも一つの中空空間(57)を前記自由空間(7)に対して区画し、
前記壁区域(59)の端部から延びる壁領域(61)は、前記少なくとも一つの中空空間(57)の横を画定し、
前記壁区域(59)及び前記壁領域(61)は、弾性的に形成され、前記自由空間(7)から前記壁区域(59)へ向かう力が作用すると、前記壁領域(61)が横に外側に押しやられ、横に隣接する前記凹部(19)の周方向に測定された幅が減少することを特徴とする請求項6又は7に記載のアタッチメント。
【請求項9】
前記少なくとも一つのセグメント(17)は、前記自由空間(7)に面した内面(31)を有し、 前記内面(31)は、中央領域(33)に隣接する好ましくは二つの横領域(35、37)を備えることを特徴とする請求項6に記載のアタッチメント。
【請求項10】
前記少なくとも一つのセグメント(17)は、上面(47)を有し、前記上面(47)の前記自由空間に面した領域に傾斜(49)が設けられ、前記傾斜(49)上にくさび(51)が装着されていることを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載のアタッチメント。
【請求項11】
前記第1の材料は、ポリカーボネート、ポリスルホン、若しくはポリプロピレンを含み、又はこれらの樹脂のみから成り、及び/又は、前記第2の材料は、軟質樹脂、とりわけ熱可塑性エラストマー、例えばTPE、PTFE、軟質PVC、若しくはシリコーンを含み、又はこれらの材料のみから成ることを特徴とする請求項1に記載のアタッチメント。
【請求項12】
注射器、カープル、ペン型注入器、チューブ用アダプタ、又は注入機構であって、
遠位端(91)と、該遠位端(91)の末端にある突起部(75)とを有し、
前記突起部(75)は、外面(79)と、自由端(85)と、前記自由端(85)に対して間隔をあけて前記外面に設けられた少なくとも一つの窪み(87)とを有し、
請求項1から11のいずれか一項に記載のアタッチメント(1)を有することを特徴とする注射器、カープル、ペン型注入器、チューブ用アダプタ、又は注入機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の注射器、カープル、又はその類似物のためのアタッチメント、及び請求項11の前文の特徴を備えた注射器、カープル、又はその類似物に関する。
【背景技術】
【0002】
注射器、カープル、又はその類似物のためのアタッチメントが知られている。これらのアタッチメントは、アダプタとしても使用され、カニューレ又はその他の装置、例えば注入機構又はその類似物のための固定手段を提供するために用いられる。例えば、注射器、カープル、又はその類似物の突起部に装着されるようなアタッチメントは、一般的に雌ネジ山を備えており、この雌ネジ山にカニューレの嵌込部をねじ込むことができる。ここで論じる種類のアタッチメントは、しばしばセキュリティシール又は開封明示封止としても形成され、第1の固定部品を備えている。この固定部品は、注射器、カープル、又はその類似物の末端にある突起部に固定的に装着され、そこでラッチ式に保持される。このような封止の場合、固定体とキャップが規定破断線を介して結合されており、このキャップが、注射器、カープル、又はその類似物の突起部の自由端、したがって内部空間を確実に封止する。キャップを外すときに規定破断線が裂き開かれ、これによりキャップが取り外されたことを不可逆的に認識することができる。したがって、封止の操作を防ぐことも保証されている。突起部は自由端を有しており、さらにこの自由端に対して間隔をあけて突起部の外面に設けられた少なくとも一つの窪みを有している。ここでは、環状溝が設けられるのが好ましく、この環状溝に、突起部に装着されたアタッチメントがラッチ式に係合する。しばしば、注射器、カープル、又はその類似物は、アタッチメントを取り付けた後、例えば、過熱蒸気を用いる殺菌法を施される。殺菌の際に使用する高い温度は、予応力下で突起部に係合しているアタッチメントの材料に影響を及ぼす。すなわち、アタッチメントの材料が、突起部でのアタッチメントの確実な保持が保証できなくなるように損なわれるか、又は、脆化する可能性さえある。ここで論じる種類のアタッチメントは、熱影響下での殺菌工程を受けない場合でさえ、常に確実に十分に突起部で保持されるわけではなく、これにより注射器、カープル、又はその類似物の輸送又は取扱いの際にアタッチメントが誤って外れることも欠点である。これは、アタッチメントが開封明示封止として形成されており、注射器、カープル、又はその類似物の内部空間を無菌で封止すべき場合にとりわけ望ましくない。突起部でのアタッチメントの回転も大抵は望ましくないことが分かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、注射器、カープル、又はその類似物のための、上述の欠点を回避するアタッチメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために、請求項1で挙げた特徴を備えたアタッチメントを提案する。このアタッチメントは、遠位端、つまり利用の際に患者に面する端部を有する注射器、カープル、又はその類似物のためのものである。遠位端には、末端に突起部が設けられ、この突起部は、外面と、自由端と、この端部に対して間隔をあけて外面に設けられた少なくとも一つの窪みとを有している。
【0005】
ここで論じるアタッチメントは、注射器又はカープルのためだけでなく、例えばペン型注入器、チューブ用アダプタ、注入機構、又はその類似物のためにも使用可能である。重要なのは、ここで論じるアタッチメントが上で論じた種類の突起部と協働し、アタッチメントと突起部の間の確実な結合が保証されるように設計されていることである。以下では例示的に注射器又はカープルの突起部を前提とするが、説明したように、突起部はその他のとりわけ医療用の機構に設けられていてもよい。
【0006】
アタッチメントは、環状の基体を備えており、これにより突起部に取り付けることができ、この基体は自由空間を包囲しており、この自由空間に突起部を挿入することができる。基体は二種の材料を含んでおり、これらの材料のうち、第1の材料は形状安定性であり、第2の材料は形状安定性の材料より軟らかく、変形可能である。第1の材料は、アタッチメントを取り扱い易くするために用いられる。形状安定性の材料とは、つまりアタッチメントが、ある程度の力を掛けても、永続的に変形することなく、又は、それどころか破壊されることなく、注射器、カープル、又はその類似物の突起部に装着できることを意味している。注射器又はカープルの利用の際、輸送の際、並びに注射器又はカープルの利用の前、及び最中のアタッチメントの取扱いの際も、アタッチメントは、その形状を保ち続けるように、これにより確実に突起部で保持されるように安定していなければならない。第2の材料は、より軟らかく、変形可能であり、したがって、第2の材料は、突起部にアタッチメントを取り付けると、内郭を突起部の外郭に対応させる。基体は、突起部で確実に保持されるべきであり、したがって、突起部に取り付けた状態では突起部の少なくとも一つの窪みに係合する係合領域を有している。アタッチメントは、その基体が、仮想円周線に沿って、第1の材料を含む少なくとも一つの第1の領域、及び、第2の材料を含む少なくとも一つの第2の領域を備えることを特色とし、第2の材料は、突起部に取り付けた状態では、少なくとも一つの窪み内に成型され、言い換えれば、窪みによって圧縮され、この第2の材料は、第1の材料内に埋め込まれている。仮想円周線は、取り付け状態では、突起部の少なくとも一つの窪みの領域内にあり、したがって、第1及び第2の材料を含む両方の領域の連携作用により、注射器又はカープルの突起部での特に確実な保持が保証される。少なくとも一つの窪み内での第2の変形可能な材料の成型は、最適に保証されている。なぜなら、第2のより軟らかい材料が形状安定性の材料内に格納されているからである。これにより、変形可能な材料は逃げることができず、突起部の外面での少なくとも一つの窪み内に確実に保持される。これでアタッチメントは、非常に確実に保持され、力が軸方向に作用する場合、つまり注射器若しくはカープルの長手方向又はアタッチメントの長手軸の方向に作用する場合に限らず、確実に保持される。それだけでなく、少なくとも一つの窪み内に成型された変形可能な材料は、アタッチメントを回転しないように突起部で保持し、アタッチメントの使用時に外部からトルクが作用する際に突起部に対して相対的に回転しないことを保証している。
【0007】
突起部の特に好ましい一つの例示的な実施形態は、突起部が二成分射出成形法で製造可能であることを特色とし、この射出成形法では、上述の第1の材料及び請求項1で挙げた第2の材料も使用される。この製造法は、第2の材料を簡単で安価に第1の材料内に埋め込むことができる。さらに所望の輪郭、アンダカットも簡単で安価なやり方で実現することができる。アタッチメントを製造する際の形状様式が比較的自由であることが、高い機能信頼性の実現を可能にする。
【0008】
特に好ましいアタッチメントは、その基体の端部に環状体を備えており、この環状体は、周方向に見て、互いに好ましくは等間隔に配置されたセグメントを含んでおり、セグメントは、第1の領域を構成しており、したがって、第1の材料から成っている。これらのセグメント間の間隙には、ポケットとも呼ばれる凹部が設けられ、凹部は第2の材料を収容し、第2の領域を構成している。少なくとも一つのセグメントは、好ましくは環状に形成された少なくとも一つの中空空間を有しており、この中空空間は空洞であってよいが、好ましくは第2の材料を内包している。中空空間は、セグメントの円弧状の壁区域により中空空間に対して画定されている。この壁区域から延出している二つの壁領域が中空空間を横で画定しており、この壁区域及び壁領域は弾性的に形成されている。これにより、以下のことが生じる。すなわち、アタッチメントを突起部に嵌合させると、径方向外側を向く力が作用し、つまり自由空間から壁区域へと作用し、この力が壁区域を径方向外側に押す。これにより、壁領域が横に外側に押しやられるように変形する。これは、とりわけ、中空空間が第2の材料で満たされており、壁領域が内側に変位するのを阻止している場合である。横の壁領域が外側に移動することにより、セグメントの横に隣接する、つまり周方向に隣接する凹部がより狭くなる。これにより、この凹部内に存在する第2の材料が凹部から押し出され、したがって、突起部の少なくとも一つの窪み内で特に良好に成型される。つまりこの形態は、注射器、カープル、又はその類似物でのアタッチメントの特に確実な保持をもたらし、その際、アタッチメントは軸方向の力に対し、また、周方向に作用する力に対しても、確実に位置固定されて保持される。
【0009】
アタッチメントのさらなる例示的な実施形態は、従属請求項から明らかである。
【0010】
本発明の課題はさらに、上述の欠点を有さない注射器、カープル、又はその類似物を提供することである。
【0011】
この課題を解決するため、請求項11で挙げた特徴を含む、特に上で定義した種類のアタッチメントを含む注射器、カープル、又はその類似物を提案する。
【0012】
以下、本発明を図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】アタッチメントの第1の例示的な実施形態の端面の平面図である。
図2】アタッチメントの第2の例示的な実施形態を長手方向に切断した斜視断面図である。
図3】アタッチメントの第3の例示的な実施形態の端面の平面図である。
図4図3に基づく第2の例示的な実施形態の斜視断面図である。
図5】注射器又はカープルの突起部に嵌合させたアタッチメントの第3の例示的な実施形態の断面図である。
図6】アタッチメントの第4の例示的な実施形態を長手方向に切断した斜視断面図である。
図7】アタッチメントの第4の例示的な実施形態を別の面で長手方向に切断した斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、アタッチメント1の第1の例示的な実施形態を、詳細にはアタッチメントの端面3の平面図を示している。ここで示したアタッチメント1は、ここでは示されていない注射器、カープル、又はその類似物に、詳細には注射器、カープル、又はその類似物の遠位端で末端にある突起部に装着できるように形成されている。注射器又はカープルに突起部が設けられている場合、この突起部は、物質を収容するための内部空間を有する注射器シリンダ又はカープルシリンダとも呼ばれる本体を備えている。この内部空間は、患者に投与すべき一種以上の物質を収容することができ、又は医学的な検査若しくは処理に掛けるべき液体を、とりわけ患者から採取するために用いられる。本体は、突起部が設けられた遠位端を有している。このような突起部は、ペン型注入器、チューブ用アダプタ、又は医療機器に設けられていてもよく、ここでは単に例として注射器又はカープルの端部での突起部に焦点を当てているに過ぎないことをここで再度指摘しておく。
【0015】
アタッチメント1は、自由空間7を取り囲む基体5を備えている。基体5は、好ましくは円筒形に形成されている。自由空間7は、実質的に円形に形成されており、したがって、この自由空間は、注射器、カープル、又はその類似物の突起部を収容することができる。基体5は、突起部を包囲するケーシング区域9を有しており、好ましくはこのケーシング区域の内面11にネジ山13を備えている。ケーシング区域9には、端面3に対して間隔をあけて、詳細には、基体5の反対側の端部に、環状体15が隣接して設けられ、この環状体は、突起部に装着又は取り付けられた状態において、突起部の環状領域で突起部を包囲している。環状体15は、少なくとも一つのセグメント17、及び、ポケットとも呼ばれる少なくとも一つの凹部19を備えている。少なくとも一つのセグメントは、第1の材料を含み、少なくとも一つの凹部は、第2の材料を含んでいる。第1の材料は、形状安定性であり、第2の材料は、形状安定性の材料より軟らかく、さらに変形可能である。
【0016】
少なくとも一つのセグメント及び少なくとも一つの凹部を備えたアタッチメントの基本様式に対し、アタッチメント1のここで示した例示的な実施形態は、周方向に見て、セグメントが、好ましくは互いに等間隔に配置され、ここでは六つのセグメントが設けられて互いに等間隔に配置されていることを特徴とする。好ましくは、同じ構成のセグメント17の間に少なくとも一つの凹部19が存在し、この好ましい例示的な実施形態では、セグメント17の間に同じ構成の六つの凹部19が設けられて周方向に互いに等間隔に配置されている。
【0017】
セグメント17及び凹部19は、好ましくはくさび状に、詳細には自由空間7の中心21に向かう方向に見て先細りするように形成されている。この中心21を通って、ここでは図示されていないアタッチメント1の中心軸が、図1の画像平面に対して垂直に延びている。
【0018】
アタッチメント1は、少なくとも一つの保持要素25を含む保持部材23を備えている。一つのセグメント及び一つの凹部を備えたアタッチメントの例示的な実施形態では、一つの保持要素だけが設けられる。ここで示した六つのセグメント17及び六つの凹部19を備えた例示的な実施形態では、保持部材23が六つの保持要素25を含んでおり、これらの保持要素は、それぞれ凹部19内に格納されており、好ましくはそこに埋め込まれている。保持部材23は、突起部に装着されたアタッチメント1を確実に保持するように作用する。したがって、アタッチメント1は、その軸方向すなわち長手方向に作用する力又は周方向に作用する力すなわちトルクが作用しても係合を維持し、突起部から脱落することなく、突起部に確実に保持される。
【0019】
ここで示すアタッチメント1の例示的な実施形態では、保持要素25が、ベース要素27及びこのベース要素から突出する突起部29を含んでいる。ここで示す例示的な実施形態では、突起部29は、円弧状に形成されたベース要素27の中央部から突出している。保持要素25が、中心21に向かって先細りしていく凹部19内に格納されており、ベース要素27が、凹部19の周方向に測定される幅全体に亘って延びているので、保持要素25が内側に自由空間7内に達することはあり得ない。保持要素25は、好ましくは凹部19に押し込まれる。
【0020】
少なくとも一つのセグメント17は、中心21に面した、つまりここでは図の画像平面に垂直に延びる内面31を備えている。径方向に向かい合う二つの内面31の間隔は、自由空間7の内径を規定し、この内径は、ここでは示されていない注射器、カープル、又はその類似物の突起部の環状領域の外径以下であることが好ましい。突起部の環状領域は、アタッチメント1を装着した状態で、アタッチメントの環状体15と協働する。したがって、自由空間7の内径も、突起部の環状領域の外径より小さいことが好ましい。これにより、アタッチメント1は、突起部に取り付けると、拡張されることによる摩擦力により突起部の外面で既に保持されている。
【0021】
内面31は、その中心線が、中心21から径方向に延びる直線に対して垂直な平坦な面として形成することができる。
【0022】
好ましくは、中央領域33は、円弧状に形成され、中心点が中心21にある仮想円線上に配置される。この中央領域33には、外側の横領域35及び37が、好ましくは周方向に見て隣接している。これらの横領域は、中央領域33から始まって外側に下がり、つまり中心21に対する距離が次第に増加している。
【0023】
保持要素25の突起部29の端部は、中心21に面し、互いに仮想直径線に沿って測定される間隔をあけて存在し、その間隔は、向かい合うセグメント17の中央領域33の間の間隔より小さい。
【0024】
すなわち、アタッチメント1の第1の例示的な実施形態は、少なくとも一つのセグメント17と少なくとも一つの凹部19とを備え、凹部19の各々は、保持部材23の一つの保持要素25を有し、好ましくは、図1に示したように、周方向に分散された六つのセグメント17と、セグメント17の間に配置され、六つの保持要素25を備えた六つの凹部19とを有している。ここで説明した種類のアタッチメント1を、注射器、カープル、又はその類似物の突起部に嵌合させた場合、環状体15は、突起部の環状面の領域内に存在する。環状体15は、周方向に見て、セグメント17の内面31によって構成された少なくとも一つの第1の領域と、保持要素25により、ここではこの保持要素の突起部29により規定された少なくとも一つの第2の領域とを有している。特に好ましくは、複数のセグメント17及び複数の凹部19は、周方向に交互に設けられる。
【0025】
アタッチメント1は、その少なくとも一つの第1の領域内に第1の形状安定性の材料を含み、このアタッチメントの少なくとも一つの第2の領域内に、形状安定性の材料より軟らかく、変形可能な第2の材料を含む。したがって、この種のアタッチメント1を突起部に取り付けると、少なくとも一つの、好ましくは六つの第2の領域の第2の軟らかい材料が、突起部の外面の少なくとも一つの窪み内で成型され、つまり押し込まれる。その際、突起部の外面の窪みの数は、より軟らかく変形可能な材料を含む第2の領域の数に合わせることが好ましい。
【0026】
つまり、保持要素25及びその突起部29を備えた六つの第2の領域を有する図1に基づくアタッチメント1の場合、突起部の環状領域内に、好ましくは六つの互いに対して同じ周方向の間隔をあけて配置された窪みが設けられている。しかしこれは、このタイプの突起部に嵌合するアタッチメント1が、ある回転位置に配置されるのが望ましいことも意味しており、この回転位置では、より軟らかく変形可能な材料を含む第2の領域が、対応する窪みに直接的に向かい合う。しかしながら、突起部へのアタッチメント1の取付けは、とりわけ、突起部の環状領域内に少なくとも一つの窪みとして環状溝が設けられており、この環状溝の底の外径が、外面のうち突起部の自由端に向かう方向に見て直接的に隣接している領域より小さいことによって簡略化される。こうすることで、外面と環状溝の底の間に肩部が形成され、この肩部にアタッチメント1が、突起部に取り付けることにより当接する。これにより、アタッチメントは、突起部から軸方向に引き抜かれることが非常に高い信頼性で回避される。
【0027】
さらに、アタッチメント1の第2の領域の軟らかい材料が、環状溝として形成された窪み内に平坦に押し当てられ、これにより突起部に直接的に当接する。したがって、より軟らかい材料の押当て及び当接成型で発生した摩擦力によっても、トルクの導入時にアタッチメント1が意図せず注射器又はカープルに対して回転することが高い信頼性で回避される。
【0028】
図2は、アタッチメント1の第2の例示的な実施形態を斜視図において示しており、このアタッチメント1は、長手方向に切断されている。
【0029】
アタッチメントの図2で示した例示的な実施形態は、実質的には図1で示した例示的な実施形態に対応している。同一の部分及び同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。その点では、図1についての説明を参照されたい。
【0030】
最初に、図2で示した第2の例示的な実施形態のうち、図1に基づく第1の例示的な実施形態に関連して明らかになっている一致部分を論じる。
【0031】
このアタッチメント1は、図1では平面図で示した端面3を有している。アタッチメント1の基体5は、一般的に円筒形に形成され、その内面11にネジ山13を備えたケーシング区域9を有している。端面3とは反対側の基体の端部39には、図1に基づいて説明したアタッチメント1の基本形でそうであるように、少なくとも一つのセグメント17及び少なくとも一つの凹部19を備えた環状体15が設けられている。しかし、図2に基づく例示的な実施形態でも、図1に基づくアタッチメント1で規定したように、環状体15は、周方向に見て互いに等間隔に配置された六つのセグメント17及びその間にある六つの凹部19を備えることが好ましい。ここでも保持部材23が設けられており、この保持部材は、アタッチメント1の基本形では、保持要素25を含んでいる。ここで、図2に基づく例示的な実施形態では、六つのそれぞれ凹部19内に配置されるような保持要素25を含んでいる。
【0032】
図2は、保持要素25が、ベース要素27の他に、突起部29も備えていることを示している。突起部29は、図1に基づく例示的な実施形態のように、ベース要素27の中央部を起点として径方向に、すなわち図2では示されていない自由空間7の中心21に向かって延びている。
【0033】
図2に基づく例示的な実施形態でも、セグメント17が第1の材料から成る第1の領域を構成しており、保持要素25が第2の材料から成る第2の領域を構成しており、これらの材料特性は、図1に基づいて説明したのと同一である。
【0034】
図2に基づくアタッチメント1の例示的な実施形態は、図1に基づく例示的な実施形態とは、以下の態様が異なっている。
【0035】
突起部29のうち、端面3に向いている上面41が、その自由空間7に面した端部領域で斜面43を有しており、この斜面は、上面41から延出して屈曲部45を介して下側へアタッチメント1の端部39に向かって下がっている。
【0036】
このような斜面は、勿論、図1に基づく例示的な実施形態でも設け得ることをここで指摘しておく。
【0037】
図2に基づくアタッチメント1の例示的な実施形態は、さらに、少なくとも一つのセグメント17の、ここではすべてのセグメント17の端面3に面した上面47が、自由空間7に面した領域で傾斜49を有することによっても異なっている。この傾斜49は、端面3から遠ざかる方向に上面47から下がっている。傾斜49上に、保持部材23の一部であるくさび51が装着されている。このくさびは、形状安定性の第1の材料より軟らかく、さらに変形可能な第2の材料から成っている。このようなくさび51は、セグメント17の少なくとも一つで、しかしながら好ましくはすべてのセグメントで設けられており、したがって、六つの円弧形状に形成されたくさび51が、すべてのセグメント17の端部に存在している。
【0038】
くさび51の端面3に面した上面は、セグメント17の上面47の延長線上にある。
【0039】
くさび51の自由空間7に面した前面53は、対応するセグメント17のそれぞれの内面31より中心21に向かって突出しているのが好ましい。
【0040】
この形態は、六つすべてのセグメント17で実現されるのが好ましく、ただしこれは必ずしも必要ではない。
【0041】
図1及び図2に基づく第1及び第2の例示的な実施形態に関しては、好ましくはすべてのセグメント17、凹部19、及び保持部材23のすべての要素、つまり保持要素25、ベース要素27、突起部29、及びくさび51が、同一の構成を有する。ただし、くさびは図2に基づく例示的な実施形態だけに設けられる。
【0042】
くさび51は、より軟らかい材料によって、図1に基づく例示的な実施形態と比較して、突起部でのより大きな当接面を生じさせる。アタッチメント1を突起部から引き抜こうとする際、くさび面として作用する斜面43が、くさび51のより軟らかい材料を突起部に対してより強く押しやり、少なくとも一つの窪み内に押し込む。つまり、軸方向に作用する引張力の際のアタッチメントの保持を改善させる。
【0043】
図3は、アタッチメント1のさらなる一つの例示的な実施形態を平面図において示しており、この図3でも図1のようにアタッチメント1の端面3が観察者に面している。同一の部分及び同一の機能を有する部分には、前出の図に対しても使用された符号を付している。その点では、図1及び図2の説明を参照されたい。
【0044】
図3に基づくアタッチメント1の例示的な実施形態も、一つのセグメント17のみ及び一つの凹部19のみを備えるように形成することができる。しかしながら、図3に基づくアタッチメント1の例示的な実施形態は、三つの互いに等しい周方向の間隔で配置されたセグメント17、及び、その三つの間にあり、ポケットとも呼ばれる凹部19を備えることが好ましい。このアタッチメントも保持部材23を備えており、この保持部材は、アタッチメント1の基本形ではアタッチメント1の一つの凹部19内に設けられた一つの保持要素25を含んでいる。ここでは相応に三つの凹部19内にそれぞれ格納された三つの保持要素25である。
【0045】
すべての保持要素25が同一の構成を有しているのが好ましい。各々の保持要素が、中心21とは反対側の凹部19の底に当接して好ましくは円弧状に形成されたベース要素27を含んでいる。図1及び図2に基づくアタッチメント1の例示的な実施形態とは異なり、ここではベース要素27から、保持要素25の中心軸55に対して対称的に配置された二つの突起部29aが設けられている。これらの突起部は、図1及び図2に基づく例示的な実施形態の突起部のように自由空間7内に突き出た端部を有している。この端部は、それが図1及び図2に基づく例示的な実施形態でもそうであるように、とりわけ丸くされている。
【0046】
さらに、図3に基づくベース要素27は、中央部の突出部29mを備えている。この中央部の突出部の端面は、中心21と交差する中心軸55に対して対称的に形成されており、好ましくは円弧状に湾曲しているが、上述のように平坦に形成することもできる。
【0047】
保持要素25だけでなく、図3に基づくアタッチメント1のセグメント17もすべて同一の構成を有している。ここでは、セグメント17が、好ましくは部分円環状に形成された少なくとも一つの中空空間57を有しており、この中空区間は、空気で、又は好ましくは図1及び図2に基づいて説明した第2の材料で満たされている。一つのセグメントが複数の好ましくは隣接する中空空間を有していてもよい。
【0048】
中空空間57は、円弧状の壁区域59により自由空間7に対して区画されている。また、壁領域61は、周方向に見た壁区域59の端部から延出し、中心21と交差するセグメント17の中心軸63に対して好ましくは鏡面対象に形成されている。
【0049】
各々のセグメント17の内面31は、中央領域33では円弧状に形成されるのが好ましく、中心軸63に対して鏡面対象に、この中央領域の左右に隣接している横領域35では外側に傾いており、詳細には横領域35及び37が中央領域33に対して外側に、つまりアタッチメント1の外周面65に向かって下がっている。
【0050】
図3に基づく例示的な実施形態でも、少なくとも一つのセグメント17又は三つのセグメント17は環状体15の一部である。これに関しては、仮想円周線に沿って、セグメント17と保持要素25を備えた凹部19とが、セグメント17によって構成された第1の材料を含む少なくとも一つの第1の領域と、保持要素25によって構成された第2の材料を含む少なくとも一つの第2の領域と、を実現している。
【0051】
図3には、破線67が描かれている。破線67は、注射器、カープル、又はその類似物の突起部の外面の軌道、詳細には突起部の少なくとも一つの好ましくは環状溝として形成された凹部の領域での軌道を示している。ここで、線67は、この環状溝の底を表している。
【0052】
セグメント17の内面31から中心21に面した突起部29mの内面への径方向に測定される距離が、線67の内径より小さいことが分かる。図1に基づくアタッチメント1の例示的な実施形態での突起部の外面も、これに対応して延在している。
【0053】
突起部にアタッチメント1を嵌合させると、セグメント17の内面31と、突起部29又は突起部29a及び29mの中心21に面した端部とが、中心21に対して径方向に外側に押しやられることが分かる。その際、以下のことが生じる。
【0054】
壁区域59に中心21から径方向外側に力が作用すると、セグメント17の横の壁領域61が変形し、詳細には、中心軸63から外側に、横に隣接する凹部19に向かって変形する。壁領域61のこの外側への移動は、中空空間57が第2の変形可能な材料で埋められている場合に特に顕著であり、保持要素25も第2の材料から成っている。
【0055】
つまり、外側に押しやられた壁領域61により、凹部19の自由空間が横から狭められ、凹部19内に格納された保持要素25が圧迫される。これにより、保持要素25が含み、又は保持要素25が好ましくはそれから成っている第2の材料が、中心21の方向に内側に押しのけられ、突起部の外面の少なくとも一つの窪みの中に押し込められる。周方向に分散しており、それぞれ一つの保持要素25に一つの窪みを割り当てなければならず、これが突起部に対するアタッチメント1の正しい向きを結果的に生じることを回避するため、少なくとも一つの窪みは、突起部の外面で、既に上で確認したように一周している環状溝として形成されるのが好ましい。
【0056】
突起部にアタッチメント1を嵌合させると、径方向外側に、つまり中心21から遠ざかる方向の力も保持要素25に作用することで、この保持要素の少なくとも一つの突出部、つまりここでは突出部29a及び突出部29mが外側に押しやられる。これにより突起部29aの横に隣接する自由空間69及び保持要素25の中心21に面した内側に設けられた凹部69は、内側から外側に及び外側から内側に押しのけられた保持要素25の第2の材料で埋められ、この押しのけられた保持要素25の材料は、突起部の外面での少なくとも一つの窪み又は環状溝の中にも成型され、つまり押し込まれる。
【0057】
すなわち、アタッチメント1の保持要素25によって実現された第2の領域では、変形可能な第2の材料が、突起部の外面に対して、詳細には、好ましくは環状の窪みの領域内に押しやられる。このより軟らかい材料は、突起部との比較的高い摩擦力を発生させる。これにより、一方ではアタッチメント1の軸方向の引き抜きに対して非常に良好な固定が保証されるだけでなく、アタッチメント1の突起部に対する相対的な回転も防止される。これはとりわけ、突起部の外面での環状溝の形態において、外面の方向に突き出ている肩部が形成されており、この肩部が、突起部の自由端に向かってアタッチメントが引き抜かれるのを確実に阻止するためである。
【0058】
それだけでなく、セグメント17の横領域35及び37がそれぞれくさび面を構成している。このくさび面により、アタッチメント1へのトルクの導入時に第2の材料がより強く、突起部の外面に対してつまり少なくとも一つの窪み内に押し込まれ、且つこの窪み内で圧縮されることが分かる。つまり、アタッチメント1と注射器又はカープルの突起部との間の摩擦力が、傾いた横領域35及び37によってさらに強化される。
【0059】
同じ特に好ましい効果は、図1に基づく例示的な実施形態でも生じる。図1に基づく例示的な実施形態では、少なくとも一つ以上のセグメント17の内面31が同様に二つの横領域35及び37を有している。これらの横領域は、中央領域33に対してくさび状に延在し、突起部にアタッチメント1を嵌合させるとこれらの横領域内に保持要素25の突起部29の材料が押しやられる。つまりここでも、図1に基づくアタッチメント1へのトルクの導入時に、アタッチメントを突起部に対する相対的な回転に対して固定する比較的高い摩擦力が発生する。
【0060】
セグメント17及び凹部19が、自由空間7に向かって先細りすることを上で詳述したが、これは必須ではない。もちろん、セグメント17又は凹部19が自由空間に向かって幅が広くなる他の好ましい形態も選択することができる。図3は、凹部19がその外側の底面から最初は自由空間7に向かって先細りしていき、しかし、その後、より幅広になる一変形実施形態を示している。凹部19内にあるベース要素27の外面はこれに対応して形成されている。ベース要素27の外面に相補的に隣り合うセグメント17の外面が形成されている。
【0061】
図4は、図3に基づくアタッチメント1を斜視図で示しており、このアタッチメント1は、長手方向に切断されている。同一の部分及び同一の機能を有する部分には、前出の図でも使用された符号を付している。
【0062】
図4は、アタッチメント1が端面3及び基体5を備えており、この基体の内面11からネジ山13が突出していることを示している。このネジ山は、アタッチメント1内にカニューレの連結部をねじ込むために用いられ、カニューレはこれにより注射器、カープル、又はその類似物と固定的に結合される。カニューレを締結する際は、アタッチメント1が突起部に対して回転するのを阻止するべきであり、これによりカニューレの確実な固定が保証される。
【0063】
この断面図は、アタッチメント1がケーシング区域9及び環状区域15を有しており、この環状区域がアタッチメント1の基体5の下端39に配置されていることを示している。ここでは二つのセグメント17及びその間にある一つの凹部19をはっきり認識することができ、この凹部内には保持部材23の保持要素25が取り付けられている。
【0064】
この斜視図は、くさび状の自由空間69をはっきり示しており、この自由空間は、保持要素25の横の突起部29aの右隣及び左隣に存在しており、且つセグメント17の内面31の横領域35及び37によって画定されている。
【0065】
図4は、セグメント17内の中空空間57も認識させる。
【0066】
それだけでなく、この図の透視表現は、アタッチメント1に端部39の領域で下から当てがわれた層73により、保持部材23を好ましくはさらに増補できることを示している。この層は、変形可能な第2の材料を含んでおり、好ましくは第2の材料から成っている。その他の点では、さらにこの層の前面75がセグメント17の内面31より、ここでは示されていない中心21に向かって突出していることが好ましい。層73は、中心21又は自由空間7とは反対の面では環状体15の段差部77によって画定されるのが好ましい。この段差部は層73を支持しており、この層の第2の材料は、突起部にアタッチメント1を装着すると突起部の外面での少なくとも一つの窪みに対し、好ましくは突起部の環状溝内に押し込まれる。これにより、保持部材23は、アタッチメント1を突起部に対する回転に対して固定するさらに追加的な摩擦力を発生させる。
【0067】
図2に基づく例示的な実施形態に適合することにより、以下のことがもたらされる。
【0068】
一つには、図2で示した保持部材23のくさび51を、図4に基づくアタッチメント1でも層73の代わりに又は層73に加えて設けることができる。
【0069】
これに対応して図2に基づく例示的な実施形態では、くさび51に層73を追加するか又はくさび51を層73と取り替えることができる。
【0070】
最後にさらに、図4で示した例示的な実施形態では、保持要素25に関し、図2で符号43を付した少なくとも一つの斜面を設けてもよい。
【0071】
図5は、注射器、カープル81、又はその類似物の突起部79に取り付けたアタッチメント1を縦断面図で示している。前出の図1から図4に基づくアタッチメントを取り付けると同一の関係が生じ、したがって図5に基づくアタッチメントについての突起部79に関連する説明は、すべての例示的な実施形態に当てはまる。これに関し、上述したように突起部は、ペン型注入器の一部、又は医療機器用若しくはチューブ用の連結部として形成されたアダプタの一部であってもよい。
【0072】
アタッチメント1の詳細に関しては、図3及び図4についての説明を参照されたい。
【0073】
突起部79は、突起部79の自由端85に対して間隔をあけて少なくとも一つの窪み87が設けられた外面83を有している。この窪みは環状溝として形成されるのが好ましく、環状溝の外径は、突起部79のうち環状溝の上方にある領域89での外面の外径より小さい。ここで「上方」は、図5に基づく表現に関連しており、図5では、注射器又はカープル81の遠位端91が図5での見え方によれば上側に配置されており、したがって突起部79はそこから上に延びている。
【0074】
窪み87の領域での外径が比較的小さいことにより、窪み87の底93より外側に突出している肩部95が形成されており、この肩部は、アタッチメント1が突起部79の中心軸97の方向に上側に引き抜かれるのを阻止する。
【0075】
図4との関連で、端部69の領域に、保持部材23の一部である層73が設けられていることを詳述した。アタッチメント1のここで選択した断面図からは、ここでは破線99により画定されている層73が、保持要素25及び/又は中空空間57の重要な構成要素でもあり得ることが明らかになる。
【0076】
図5からは、アタッチメント1の環状領域15が、突起部79に嵌合することにより突起部の環状面の領域に配置されることが明らかであり、この環状面は注射器又はカープルの遠位端91より上方にある。突起部79のこの環状面内には少なくとも一つの窪み87、好ましくは上で論じた環状溝が設けられている。突起部97にアタッチメント1を装着することにより、突起部の環状面の領域にはアタッチメントの第1及び第2の領域が存在し、これらの領域は、一方ではセグメント17によって、他方では保持要素25によって実現されている。ここで、突起部79の環状面の領域では、アタッチメント1の変形可能な第2の材料が突起部79へ押圧成型され、これにより第2の材料は突起部79に直接的に当接し、このアタッチメントを高い摩擦力により、軸方向の引き抜きに対し、及び突起部79に対する回転に対して固定している。
【0077】
図6は、アタッチメント1のさらなる一つの例示的な実施形態の縦断面を斜視図において示している。同一の部分及び同一の機能を有する部分には、同一の符号を付しており、したがって前出の説明を参照されたい。
【0078】
アタッチメント1は、端面3を有する基体5及び内面11を有するケーシング区域9を備えており、この内面にはネジ山13が設けられている。さらにアタッチメント1は、少なくとも一つのセグメント17及び少なくとも一つの凹部19を含む環状体15を備えている。ここでもアタッチメント1は、互いに等間隔に配置されたセグメント17及びその間にある凹部19を備えている。
【0079】
ここで示したアタッチメント1も、凹部19内に格納された保持要素25を備えた保持部材23を有しており、好ましくは各々の凹部19に一つの保持要素25が割り当てられている。
【0080】
セグメント17は、内部空間7に面し、ここでは示されていない中心21に向いている内面31を備えている。各々のセグメント17は、一つの橋梁部101を含んでおり、この橋梁部を介して環状部15の外壁103と連結されている。橋梁部101は、径方向に中心21に向かって延び、且つ橋梁部101に対して横に張り出した、好ましくはこの橋梁部の左右に対称的に張り出した壁部105を備えている。
【0081】
二つの隣接する橋梁部17の壁部105は仮想円周線に沿って延在し、ただし互いに間隔をあけて終端している。これにより、中空空間107が形成されており、この中空区間は上で言及した第2の材料で満たされているのが好ましい。その一方で、少なくともセグメント17、好ましくはアタッチメント1のその他すべては第1の材料を含んでおり、好ましくは第1の材料から成っている。
【0082】
セグメント17の橋梁部101の幅は、壁部105の周方向に測定される幅よりかなり小さい。例えば、壁部105の幅は、橋梁部101の幅より二倍から十倍、好ましくは五倍から七倍大きい。つまり橋梁部101及び壁部105は、非常に広い意味においてT字形に形成されている。
【0083】
中空空間107は、第2の材料を含み、好ましくは完全に第2の材料によって埋められており、この第2の材料は、壁部105の端部の間にある間隙109を通って自由空間7まで延びている。
【0084】
好ましくは、セグメント17の下方に層73を設けることができ、この層は、第2の材料を含んでおり、好ましくは第2の材料から成っている。破線99により、層73が中空空間107内の第2の材料の重要な構成要素であり得ることが示唆されている。
【0085】
層73の代わりに、好ましくは層73に加えて、ここでも第2の材料から成るくさび51が設けられており、このくさびは、セグメント17の傾斜49に設けられている。くさび51も第2の材料を含んでおり、好ましくは第2の材料から成っている。くさび51及び層73は、保持部材23の一部である。
【0086】
図6から、セグメント17の内面31が、内部空間7に面した第2の材料の内面111に対して好ましくは少し突き出ていることが認識できる。この形態は、次のような利点を有している。突起部79にアタッチメント1を取り付けたときに、アタッチメント1のうちセグメント17の内面31によって構成された第1の領域が突起部79の外面と係合する。よって、第1の領域内の第1の材料より軟らかい第2の材料は、アタッチメント1を最初に被せた時にはこの突起部の外面とは接触せず、摩擦力によって平らに均されない。
【0087】
つまり図6に基づくアタッチメント1は、第1の材料を含む前述の第1の領域を有し、さらに第2の材料によって構成された第2の領域を有している。
【0088】
アタッチメント1を装着した状態では、中心21から径方向外側に向く力が作用して、壁部105がアタッチメント1の外壁103に向かって外側に押しやられる。これにより、中空空間107内に存在している第2の材料が圧迫され、間隙109から及び層73の領域内で、内側に内部空間7内に押しやられる。第2の材料のこの変位により、第2の材料は、装着した状態では少なくとも一つの窪みに対し、つまりここでは突起部79の外面93の環状の窪み87(図5を参照)に対して押しやられ、且つ窪みの中に成型され、つまり窪み内で圧縮される。
【0089】
これにより高い摩擦力が生じ、この摩擦力に基づきアタッチメント1は突出部79で軸方向に固定され、その際、肩部95が特に良好な軸方向の保持をもたらし、それだけでなく突起部79に対するアタッチメント1の意図しない回転も防がれる。
【0090】
最後に図7は、図6のアタッチメントを縦断面での斜視図において示しており、ただしこの断面は、図6の断面とは違う平面内にある。
【0091】
同一の部分及び同一の機能を有する部分には同じ符号を付しており、したがってその点では前出の説明を参照されたい。
【0092】
図7に基づく断面から、セグメント17の橋梁部101が好ましくは、環状体15の高さ全体に亘ってではなく、むしろ縁39に対して間隔をあけて延びていることが明らかである。ここで、好ましくは、橋梁部101と下縁の間隔を、壁部105の間隔より少し大きくすることができる。壁部105が、カニューレ又は注射器81の突起部79にアタッチメント1を取り付けた際に径方向に外側に変位されると、ここでも保持部材23の層73の領域内に中空空間107'が構成されており、この中空空間内では層73の材料が圧迫され、したがって前方に自由空間7に向かって押しやられる。これは、保持部材23が含み、又は保持部材23がそれから成っている第2の材料の当接を改善する。つまりこの形態は、突出部79の少なくとも一つの窪みへの、又は好ましくは設けられた環状溝87への、層23の第2の材料の押圧成型を改善する。
【0093】
図についての説明から以下のことが明らかになる。
【0094】
アタッチメント1は、その様々な実施形態において基体を備えており、基体は、二種の材料を含んでおり、好ましくは二種の材料らから成っている。第1の材料は、形状安定性であり、第2の材料は、第1の材料より軟らかく、さらに変形可能である。アタッチメント1の基体5は、第1の領域及び第2の領域を備えた環状領域15を有しており、第1の領域はセグメントによって、第2の領域は保持部材の保持要素25によって構成されており、セグメントは第1の材料から、保持要素25は第2の材料から成っている。これにより、環状領域15は、係合領域を構成しており、この係合領域は、注射器、カープル、又はその類似物の突起部79にアタッチメント1を装着した状態では、突起部79の外面83での少なくとも一つの窪み87に係合している。このアタッチメントは、第2の材料が少なくとも一つの窪みの中に成型され、つまり押し込まれ、又は、言い換えれば、窪みによって圧縮されることを特色とする。これにより、アタッチメントを突起部で確実に保持する高い摩擦力が生成される。
【0095】
アタッチメント1は、二成分射出成形法で製造されるのが特に好ましく、この場合、第1及び第2の材料が用いられる。図は、第1及び第2の領域が様々な輪郭を有すること、並びに保持部材23が様々な部分要素、詳細には、保持要素25、くさび51、及び/又は層73を含むことを示している。アタッチメント1の基体5は、第1の材料を含むことが好ましく、とりわけ、この基体は第1の材料から成っている。これに対応して、保持要素25は、第2の材料を含み、好ましくは第2の材料から成っている。つまり、図1から図7によって明らかであるようなアタッチメント1の様々な輪郭は、単純な二成分射出成形法で製造することができ、その際、両方の材料は、互いの中に成形される。したがって、アタッチメント1の実現は比較的安価である。
【0096】
第1の材料は、温度耐性の、特に高温耐性の樹脂、好ましくはポリカーボネート、ポリスルホン、又はポリプロピレンを含んでおり、又はこれらの樹脂からのみ成ることが好ましい。第2の材料は、軟質樹脂、特に熱可塑性エラストマー、例えばTPE(熱可塑性エラストマー)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、軟質PVC(ポリ塩化ビニル)、又はシリコーンから成ることが好ましい。特に、第2の材料は完全にこれらの物質から成っている。第1及び第2の材料には、硬質又は軟質の共重合体も使用することができる。
【0097】
ここで論じた種類のアタッチメント1によって封止されるべき注射器又はカープル81は、物質を収容するための内部空間を有しており、この物質は、患者に投与するか、又はとりわけ患者から、場合によっては患者に再び投与するために分析若しくは処理に掛けるために採取される。
【0098】
注射器シリンダ又はカープルシリンダと呼ばれる本体は、遠位端91を有しており、この遠位端の末端から突起部79が延出しており、この突起部は、外面83を有している。この外面に少なくとも一つの窪み87が設けられており、詳細には、アタッチメント1を装着したときにアタッチメント1の環状体15が位置する環状面の領域内に、この窪みが配置されるような間隔を突起部79の自由端85に対してあけて設けられている。突起部79は、窪み87として、この突起部の自由端85に向かって肩部95によって画定された一続きの環状溝を有することが好ましく、これにより、突起部79の中心軸97の方向での軸方向の引き抜きが非常に困難になる。
【0099】
アタッチメント1の第2の材料は、装着により少なくとも一つの窪み内に押しやられ、その中で成型されるように変形可能である。変形可能な第2の材料は、突起部79の外面との間に高い摩擦力が生じるように選択されるのが好ましい。これにより、突起部79に対するアタッチメント1の意図しない回転も阻止される。
【0100】
とりわけセグメント17の傾斜した横領域35及び37によって構成される自由空間69が設けられることが好ましい。この場合、第2の材料が突起部79の外面に対してとりわけ良好に押し当てられ、その際、くさび形状により、アタッチメント1の突起部79に対する誤った回転に対して特に高い力が作用することが保証される。
【0101】
アタッチメント1は、とりわけ円錐形で、突起部79の自由端85に向かって先細りする外面83を有するすべての種類の従来の突起部79に装着できるように形成され、寸法を決定されているのが好ましい。これにより、アタッチメント1から明らかになる利点を、従来の注射器及び/又はカープルでも利用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7