(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815328
(24)【登録日】2020年12月24日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】感圧粘着性高分子で無機粉体の表面が被覆された複合粉体、これを含む化粧料組成物及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/29 20060101AFI20210107BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20210107BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20210107BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20210107BHJP
C08F 292/00 20060101ALI20210107BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20210107BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20210107BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20210107BHJP
A61K 8/88 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
A61K8/29
A61Q1/00
A61Q1/12
C08F2/44 A
C08F292/00
A61K8/27
A61K8/19
A61K8/81
A61K8/88
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-548111(P2017-548111)
(86)(22)【出願日】2016年3月8日
(65)【公表番号】特表2018-513844(P2018-513844A)
(43)【公表日】2018年5月31日
(86)【国際出願番号】KR2016002302
(87)【国際公開番号】WO2016148426
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年1月15日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0035098
(32)【優先日】2015年3月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100138900
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】イ・ヒョンソク
(72)【発明者】
【氏名】キム・ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ジョンファン
(72)【発明者】
【氏名】イ・スジン
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ギョンホ
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】パク・スンハン
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ソンウク
(72)【発明者】
【氏名】チョン・デリョン
【審査官】
▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−534807(JP,A)
【文献】
特開2011−012031(JP,A)
【文献】
特開2001−048731(JP,A)
【文献】
特表2011−517718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
C08F 2/00−2/60
C08F 251/00−283/00
C08F 291/00−297/08
CAPLUS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感圧粘着性(PSA:Pressure sensitive adhesive)高分子で無機粉体の表面が被覆された複合粉体を含み、
上記感圧粘着性高分子が、N−ビニールピロリドンとブチルアクリレートの共重合体であり、
上記無機粉体は、二酸化チタンであり、そして、
上記N−ビニールピロリドンとブチルアクリレートの重量比が1:1である、化粧料組成物。
【請求項2】
感圧粘着性高分子で無機粉体の表面が被覆された複合粉体を分散重合によって製造する工程を含む、請求項1に記載の化粧料組成物の製造方法。
【請求項3】
上記複合粉体を製造する工程が、
1)無機粉体を溶媒に分散させて溶液を製造する段階;
2)上記1)の溶液に塩酸及びメタクリル酸(MAA)を加えて無機粉体の双極子モーメントを+に形成する段階;及び
3)上記2)の溶液に感圧粘着性高分子単量体及び重合開始剤を加えて無機粉体の表面に高分子を重合及び被覆させる段階;
を含む、請求項2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年3月13日付韓国特許出願第10−2015−0035098号に基礎した優先権の利益を主張して、該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容を本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、感圧粘着性(PSA:Pressure sensitive adhesive)高分子が無機粉体の表面に被覆された複合粉体に係り、より詳しくは、感圧粘着性高分子が化粧料に含まれる無機粉体の表面に均一に被覆され、皮膚密着力が向上された複合粉体、これを含む化粧料組成物及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
メーキャップ化粧は、皮膚の欠点を補い、目と唇を強調して外観を美しくしてくれる重要な役割をする。メーキャップ化粧料に混合された成分の中で、色料物質はしみや跡を隠して元気な皮膚を見せ、魅惑的な色調を持つようにするが、これら化粧料に使われる色料物質は、有機合成着色剤と天然色素及び無機顔料に分けられる。
【0004】
有機合成着色剤は、染料、レーキ及び有機顔料に分類される。染料は、水とオイル及びアルコールに溶解される化合物であって、発色団基としてアゾ基(Azo group)などがあり、レーキは水溶性染料に不溶性金属塩が結合された類型である。天然色素は植物と動物及び微生物から抽出されるが、これらの物質は合成着色剤より色の発現が弱くて食料品に添加する物質として長年使われてきたが、最近、安全性が要求される医薬品に使われるようになって再び評価されている。
【0005】
無機顔料は、着色顔料、白色顔料、体質顔料及び真珠光沢顔料などに分類される。着色顔料は、化粧料に色相を与え、白色顔料は皮膚のカバー力を調節する。体質顔料は、着色顔料の希釈剤として色調を調整し、製品の展延性(Spreadability)、密着性などの使用感と製品の剤形化に大きい役割をする。また、真珠光沢顔料は、色相に真珠光沢を与え、紅彩色または金属光彩を与えるために使われる特殊な光学的効果を持つ顔料である。
【0006】
通常、化粧料に含まれる体質顔料は、タルク、カオリン、シリカ、滑石、セリサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪酸などがあり、色濃度の調節及び剤形の広がり性、感触などを調節する。白色顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛などがある。一般的に、カオリン、タルク、シリカ、二酸化チタンは、白色をおびながら皮膚の塗付性と密着性及び皮膚カバー力を維持させる粉体として化粧料の基本的構成成分である。
【0007】
メーキャップ化粧料に使われる粉体は、密着力、隠蔽力、塗付性、広がり性、吸湿性、吸油性及び皮膚親和性などが求められ、2種以上の粉体を混合または被覆することで得られる。例えば、二酸化チタンのような無機系顔料は、密着力、隠蔽力などが優秀である一方、塗付性と広がり性などの使用感が足りないので、これを補うために二酸化チタンにシリカを所定の割合で被覆して無機複合粉体を製造することにより、良好な隠蔽力及び光屈折率の差などを利用して化粧料を製造する技術が公知されている。
【0008】
しかし、上記のような従来の被覆無機複合粉体は、実際に皮膚へ塗布する時、皮膚及び外部条件に対する安定性、密着力、使用感及び持続性などが十分ではないという問題が生じた。
【0009】
このような短所を改善するために、従来の方案として、シリコーン化合物、フッ素化合物、金属せっけん、高級アルコール、脂肪酸、アミノ酸の金属塩、レシチンなどの表面処理剤を利用して撥水処理する方法が提案されており、この中でもシリコーン化合物またはアミノ酸金属塩を利用した表面処理法が一般的であり、最近は二つの方法を併用する表面処理法が提案されている。
【0010】
一方、脂肪酸、金属せっけん及び金属塩などによる表面処理被覆粉体は、皮膚に対する付着力としっとりした使用感は良好であるが、シリコーン系化合物で表面処理した粉体に比べて耐水性が落ちるし、皮膚へ塗布する際に少し荒い感じがするなど、展延性が足りない上、金属塩が微細粒子状態で粉体表面に吸着されているため、表面改質状態の安定性が劣るので、金属塩の分離現象が生じる。それだけでなく、他のシリコーン系原料と併用する時、色相表現力が低下する問題点が依然として残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国登録特許公報第0795233号「撥水及び撥油と塗布均一性が向上した複合化顔料を含むメーキャップ化粧料組成物及びその製造方法」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般的に、メーキャップ化粧料は、化粧する際に顔の一番外面に塗布するものであって、一定水準以上の皮膚密着力が求められる。密着力を向上させる方法として、油状成分の中でも硬度が高いオゾケライト(Ozokerite)、カルナウバロウ(Carnauba wax)、蜜ろう(Beeswax)などのワックスの含量を増加させたり、増粘剤の役割をする有機ポリマーや無機増粘剤、または有無機ハイブリッド増粘剤の含量を増加させる方法が公知されている。しかし、油状成分の中でのワックスまたは増粘剤の含量を高めると、全体積に対して油状成分の中の結晶を形成した剤形の密度が高くなって流動性が落ちるし、これはメーキャップ化粧料を皮膚に塗布する際に塗付性及び広がり性が低下する原因として作用するので、使用の便宜性が落ち、使用感が重くなる短所がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明は感圧粘着性高分子で無機粉体の表面が被覆された複合粉体、この製造方法及びこれを含む化粧料組成物を提供する。このとき、感圧粘着性高分子は2種以上組み合わせることができるし、硝子転移温度(Tg)の差と含量比を調節して適用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の感圧粘着性高分子が無機粉体の表面に被覆された複合粉体を含むメーキャップ化粧料は、塗布及び吸収手段(例えば、手またはパフ)で加圧する時、感圧粘着性高分子に起因する粘着性が発揮されて皮膚密着力が優秀であり、これによってカバー力と持続力が向上する。
【0015】
また、本発明の感圧粘着性高分子が無機粉体の表面に被覆された複合粉体を含むメーキャップ化粧料は、油分散性が良好で、皮膚へ塗布する際に塗付性が優秀で、使用感が軽く、さわやかな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による複合粉体の製造方法に対する概略的な説明図である。
【
図2】本発明の感圧粘着性高分子で無機粉体の表面が被覆された複合粉体の表面を拡大したイメージである。
【
図3】本発明の感圧粘着性高分子で無機粉体の表面が被覆された複合粉体の硬度計を利用した粘着性テスト実施イメージである。
【
図4】本発明の感圧粘着性高分子で無機粉体の表面が被覆された複合粉体の粘着性テスト結果を示すものである。
【
図5】本発明の感圧粘着性高分子で無機粉体の表面が被覆された複合粉体のレオメータを利用した粘弾性テスト実施イメージである。
【
図6】本発明の感圧粘着性高分子で無機粉体の表面が被覆された複合粉体の粘弾性テスト結果を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、感圧粘着性高分子が無機粉体の表面に被覆された複合粉体に係り、より詳しくは、感圧粘着性高分子が化粧料に含まれる無機粉体の表面に均一に被覆されて皮膚密着力が向上された複合粉体、これを含む化粧料組成物及びこの製造方法に関する。
【0018】
以下、本発明を具体的な実施例をもって詳しく説明する。しかし、本発明は下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で様々な変形または修正ができることは当該分野に携わる業者にとっては明白なものである。また、本明細書で使われる用語は、他に断らない限り、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が通常的に理解する意味を持つ。よって、従来と同様の技術的構成及び作用に対する反復説明は省略する。
【0019】
本明細書において、感圧粘着性(PSA:Pressure sensitive adhesive)高分子とは、圧力敏感性高分子であって粘着面に接着させるための圧力が加えられる時、粘着性が発揮される高分子を意味する。本発明者らは、このような原理に着目して、メーキャップ化粧料の塗布及び吸収過程において、加圧するとき、感圧粘着性(PSA)高分子に起因する粘着性を利用して化粧料の皮膚密着力を発生させるべく、メーキャップ化粧料に適用される無機粉体の表面を感圧粘着性高分子で被覆させる本技術を発明した。
【0020】
本発明において、無機粉体の表面に被覆される感圧粘着性高分子としては、特にその種類が限られていることはないが、ポリビニールピロリドン(PVP:Poly vinyl pyrrolidone)、ポリメチルメタクリレート(PMMA:Poly methyl methacrylate)、ポリスチレン(PS:Polystyrene)、ポリアスパラギン酸(PAA:Polyaspartic Acid)、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート(P2HEMA:Poly−2−hydroxy ethyl methacrylate)、ポリステアリルメタクリレート(PSMA:poly stearyl methacrylate)、ポリ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(P2HPMA:Poly−2−hydroxy propyl methacrylate)、ポリブチルメタクリレート(PBMA:Poly n−butyl methacrylate)、ポリエチルアクリレート(PEA:Poly ethyl acrylate)、ポリブチルアクリレート(PBA:Poly butyl acrylate)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート(P2EHA:Poly−2−ethyl hexyl acrylate)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種が可能である。
【0021】
上記無機粉体は、二酸化チタン、酸化亜鉛、セリサイト酸化鉄及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることができるし、好ましくは二酸化チタンを適用することができる。
【0022】
本発明による複合粉体は、場合によって感圧粘着性高分子を2種以上組み合わせて適用することができる。感圧粘着性高分子の硝子転移温度(Tg)が低ければ、可塑性が増加して初期粘着力が向上するので密着力を高めることができるし、感圧粘着性高分子の硝子転移温度(Tg)が高ければ、流動性が高くて塗付性及び使用感を高めることができるので、硝子転移温度が異なる感圧粘着性高分子を組み合わせて使うことにより、粘着力による密着力と流動性による塗付性及び使用感を相互補う効果を得られる。
【0023】
下記表1は、本発明で無機粉体の表面を被覆するために適用される感圧粘着性高分子の硝子転移温度(Tg)を示す。
【0025】
上記表1の感圧粘着性高分子の中で硝子転移温度(Tg)が100℃以上の差が出る2種の組み合わせを適用することが望ましい。本発明の実施例では、ポリブチルメタクリレート(PBMA)とポリビニールピロリドン(PVP)の組み合わせ(PBMA+PVP)、ポリブチルアクリレート(PBA)とポリメチルメタクリレート(PMMA)の組み合わせ(PBA+PMMA)及びポリブチルアクリレート(PBA)とポリビニールピロリドン(PVP)の組み合わせ(PBA+PVP)を含んで製造した。
【0026】
感圧粘着性高分子を無機粉体の表面に均一に被覆するために、本発明の複合粉体は分散重合で製造することが最も好ましい。具体的に、本発明の複合粉体は、
【0027】
1)無機粉体を溶媒に分散して溶液を製造する段階;
【0028】
2)上記1)の溶液に塩酸及びメタクリル酸(MAA)を加えて無機粉体の双極子モーメントを+に形成する段階;
【0029】
3)上記2)の溶液に感圧粘着性高分子単量体及び重合開始剤を加えて無機粉体の表面に高分子を重合及び被覆する段階を含む方法によって製造されることができる。
【0030】
図1は、無機粉体として二酸化チタン、感圧粘着性高分子単量体としてメタクリル酸(MAA)、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を使った場合を例えて、上記方法を概略的に説明した説明図である。
【0031】
本発明の実施例において、上記感圧粘着性高分子で無機粉体の表面が被覆された複合粉体を含む化粧料の剤形は、液状のファンデーションで製造されたが、剤形は特に限定されないし、目的によって適切に選択することができる。本発明の化粧料組成物は、例えばパウダー、パウダーパクト、ツーウェイケーキ、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、コンシーラー、BBクリーム、CCクリーム、化粧下地、プライマー、アイシャドー、ブラッシャであってもよい。
【0032】
本発明の化粧料組成物には、上記感圧粘着性高分子で無機粉体の表面が被覆された複合粉体以外に機能性添加物及び一般的な化粧料組成物に含まれる成分がさらに含まれることができる。上記機能性添加物としては、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴ脂質及び海草エキスからなる群から選択された成分を含むことができる。また、上記機能性添加物と共に、必要に応じて一般的な化粧料組成物に含まれる成分を配合することができる。その他に含まれる配合成分としては、油脂成分、補湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などを挙げることができる。
【0033】
以下、本発明を理解させるために、好ましい実施例を提示する。しかし、本発明がこれに限定されないことは勿論であり、本発明の別の適用及び変形なども本技術分野における通常の知識を有する者には自明であると言える。
【実施例1】
【0034】
:複合粉体の製造
感圧粘着性高分子単量体の種類及び含量を異にして下記表2に示す構成により、10種の複合粉体を分散重合で製造した。
【0035】
【表2】
【0036】
上記表2の構成の中で複合粉体P8の製造工程は下記のとおりであり、5)段階で単量体を異にしたことを除いてはP8以外の複合粉体も同じ方法で得た。
1)二重ジャケット反応器を設け、オーバーヘッドスターラーを使って循環水槽を連結した後、温度を70℃に設定してコンデンサーに冷却水を循環させ、隔壁を設置して外部の空気を遮断した。
2)メタノール157g+蒸留水67gを反応器に加えて分散液を製造した。
3)メタノール100g+HCl100μlに二酸化チタン(TiO
2、CR−50、Sunjin Beauty Science)24gを超音波(5秒 on/5秒 off)を利用して5分間分散させた後、氷の水槽を利用して温度が上がらないようにした。
4)3)で製造された二酸化チタン分散液を反応器に加えた。
5)N−ビニールピロリドン1.2g+ブチルアクリレート(BA)1.2gの単量体に、重合開始剤のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.024gを加えた後、溶解されるまで撹拌した。
6)反応器の温度が70℃に上昇した時、上記5)の単量体混合物を反応器の壁面に触れないように、注射器を使って一滴ずつ追加した。
7)6時間反応させた後、生成物を回収した。
【0037】
図2は、上記PVP及びPBAが1:1の重量比で表面に重合して被覆された二酸化チタン(TiO
2)複合粉体P8の表面を拡大したイメージである。感圧粘着性高分子のPVP 及びPBAの厚さは、最小1.6nmから最大5.5nmまで形成されたものと表れた。
【実施例2】
【0038】
:複合粉体を含む化粧料製造
上記表2の複合粉体P1〜P10を含むファンデーションを同じ成分で製造した。
【0039】
比較例1:単純二酸化チタン無機粉体を含む化粧料の製造
下記表1のP11〜P13は、従来のファンデーションに含まれた二酸化チタン無機粉体である。実施例2と同じ成分でP11〜P13を含むファンデーションを製造した。この時、OTSはn−オクチルトリエトキシシラン(n−Octyl Triethoxy Silane)を意味する。
【0040】
【表3】
【0041】
試験例1:密着力テスト
下記表4は、上記製造した13種のファンデーションに対する密着力テストを行った結果比較表である。密着力評価は10名の専門パネルによって実施され、評価方式は前膊に0.4×1.5cmのセルを描いて内容物40μlが完全に密着されるまでのローリング回数を数えて評価した。
【0042】
【表4】
【0043】
上記表4の結果、本発明の製造実施例の感圧粘着性高分子で表面が被覆された二酸化チタンを含むファンデーションP1〜P10が既存のファンデーションP11〜P13に比べて全般的に密着力が優れるものと評価された。
【0044】
また、密着力の評価後、パネルを対象にして、残っている感じの項目に対してアンケートを実施した結果、PSMAを含む剤形P3が残っている感じが最も大きいものと評価され、続いてPBMAとPMMAを含む剤形P1及びP2が残っている感じが大きいものと評価された。したがって、これらの単独使用は、製品を処方するには不適切である。一方、PVPを含む剤形P4は、軽くてさわやかな感じを与えるものと評価され、その結果、軽くて密着力が最も優秀な剤形は、PBAとPVPを1:1質量比で含む剤形P8のものであると評価された。
【0045】
試験例2:油分酸性テスト
温度を調節できるシェーカーインキュベーターで一週間安定度を測定した。一回の温度サイクルは、−10℃、30℃、45℃であって8時間ずつ回って進められたし、1日1サイクルで7日間測定し、オイル分離、乳化分離などの問題が発生するのかを測定した。P1ないしP13を含む剤形に対して総5回のデータを算出し、その結果、全ての剤形において油分散性が良好であると示された。
【0046】
試験例3:粘着性テスト
より客観的なテストのために、粘着性テストを行った。
図3及び
図4は、硬度計を利用した粘着力テストの実施イメージ及びテスト結果を示すものである。従来のP11粉体を含む剤形と、本発明のP8複合粉体を含む剤形を対象にして、Distance:4.720mm、Force:1176.000g、Time:2.360secの条件でテストを行い、そのテスト結果、本発明のP8複合粉体を含む剤形が従来のP11粉体を含む剤形に比べて粘着力が5N程度増加することを確認した。
【0047】
試験例4:粘弾性テスト
図5及び
図6は、レオメータ(Rheometer)を利用した粘弾性テストの実施イメージ及びテスト結果を示すものである。従来のP11粉体を含む剤形と、本発明のP8複合粉体を含む剤形を対象にして実施した結果、本発明のP8複合粉体を含む剤形が従来のP11粉体を含む剤形に比べてG゜(貯蔵弾性率)がより小さく測定されて、流れ性がもっと大きいものと示されており、したがって、皮膚に剤形塗布する時、塗付性がもっと優秀であると評価された。
【0048】
上記試験例1ないし4の結果によって、本発明のPBAとPVPを1:1の質量比で表面が被覆された二酸化チタン複合粉体を含む化粧料剤形は、従来の単純二酸化チタン無機粉体を含む化粧料剤形に比べて密着力及び塗付性がより優れていることを確認することができる。