特許第6815412号(P6815412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6815412時空間光変調結像システム、物体を共焦点結像させる方法、およびキャリア・ホイール装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815412
(24)【登録日】2020年12月24日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】時空間光変調結像システム、物体を共焦点結像させる方法、およびキャリア・ホイール装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/06 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   G02B21/06
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-550350(P2018-550350)
(86)(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公表番号】特表2019-509522(P2019-509522A)
(43)【公表日】2019年4月4日
(86)【国際出願番号】EP2016000521
(87)【国際公開番号】WO2017162257
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2019年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】512247223
【氏名又は名称】マツクス−プランク−ゲゼルシヤフト ツール フエルデルング デル ヴイツセンシヤフテン エー フアウ
【氏名又は名称原語表記】MAX−PLANCK−GESELLSCHAFT ZUR FOeRDERUNG DER WISSENSCHAFTEN E.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100105360
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 光治
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴィン,トーマス エム
(72)【発明者】
【氏名】デ フリーズ,アントニー
(72)【発明者】
【氏名】フロイント,トビアス
【審査官】 小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−522684(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0226306(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0176622(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0268795(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102012003984(DE,A1)
【文献】 特開2013−120271(JP,A)
【文献】 特開2010−175774(JP,A)
【文献】 特開2003−195177(JP,A)
【文献】 特開2008−128894(JP,A)
【文献】 特開2001−208981(JP,A)
【文献】 特開平11−194275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時空間光変調結像システム(100)、特に調査対象の物体(1)を共焦点結像させるよう構成された時空間光変調結像システム、であって、
− 変調器平面に配置された複数のミラー要素のアレイを含む光変調マイクロミラー・デバイス(110)を含み、
前記複数のミラー要素の各々は、前記変調器平面に垂直な変調器光軸に対して第1の傾斜角および第2の傾斜角をそれぞれ有する第1の状態と第2の状態の間で個々に切り替えることができるものであり、
− さらに、前記マイクロミラー・デバイス(110)からの照射光を前記物体(1)上に集束させ前記照射光に応答して前記物体(1)において形成された検出光を前記マイクロミラー・デバイス(110)に向けて方向付けるよう構成された結像光学系(120)と、
− 前記第1の状態の前記ミラー要素と、前記変調器光軸から外れた第1の光軸(143)上の第1の光中継装置(140)とを通って進む前記検出光を収集するよう、および前記第2の状態の前記ミラー要素と、前記変調器光軸から外れた第2の光軸(153)上の第2の光中継装置(150)とを通って進む前記検出光を収集するよう配置された少なくとも1つの検出器カメラ(131、132)、を含むカメラ装置(130)と、
を含み、
特徴として、
− さらに、複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ(211)および複数対の第1および第2のエミション・フィルタ(221)を支持するよう配置されたキャリア・ホイール装置(200)を含み、
前記キャリア・ホイール装置(200)は、前記第1および第2の光軸(143、153)に対する複数の動作位置に調整可能であって、
各動作位置において、
前記複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ(211)の中の1対は、第1および第2の光源装置(171、172)からの照射光を前記第1および第2の光中継装置(140、150)を介して前記マイクロミラー・デバイス(110)に向けて方向付けるようにそれぞれ前記第1および第2の光軸(143、153)に配置され、また、前記複数対の第1および第2のエミション・フィルタ(221)の中の1対は、前記カメラ装置(130)で収集される前に、検出光を濾波するために前記第1および第2の光軸(143、153)に配置され、
− さらに、前記光変調マイクロミラー・デバイス(110)および前記第1および第2の光中継装置(140、150)を収容し、前記キャリア・ホイール装置(200)を含む筐体(111)、を含む、
時空間光変調結像システム。
【請求項2】
前記キャリア・ホイール装置(200)は、前記複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ(211)を支持する第1の回転可能ホイール(210)と、前記複数対の第1および第2のエミション・フィルタ(221)を支持する第2の回転可能ホイール(210)とを含むものである、請求項1に記載の結像システム。
【請求項3】
前記キャリア・ホイール装置(200)は、前記複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ(211)の中の前記選択された1対と、前記複数対の第1および第2のエミション・フィルタ(221)の中の前記選択された1対とが、それぞれ前記第1および第2の光軸に沿った最小光ビーム直径の位置付近に配置されるように、配置されるものである、請求項1または2に記載の結像システム。
【請求項4】
前記キャリア・ホイール装置(200)は、前記第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ(211)およびエミション・フィルタ(221)の中の1つを収容するよう各々が配置された複数の取付けフレーム(214、224)を含むものである、請求項1乃至3のいずれかに記載の結像システム。
【請求項5】
前記エミション・フィルタ(221)は、等方性バネ荷重機構を用いて前記取付けフレーム(224)に取り付けられるものである、請求項4に記載の結像システム。
【請求項6】
前記複数の取付けフレーム(214、224)は、個々に、前記キャリア・ホイール装置(200)に挿入しまたは前記キャリア・ホイール装置(200)から取り外すことができるものである、請求項4または5に記載の結像システム。
【請求項7】
前記第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ(211)および/またはエミション・フィルタ(221)は交換可能なものである、請求項4乃至6のいずれかに記載の結像システム。
【請求項8】
前記第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ(211)および/または前記エミション・フィルタ(221)は、磁力によって前記複数の取付けフレーム(214、224)に保持されるものである、請求項4乃至7のいずれに記載の結像システム。
【請求項9】
前記第1および第2の回転可能ホイール(210、220)のうちの少なくとも一方は、前記キャリア・ホイール装置(200)から取り外し可能なものである、請求項2乃至8のいずれかに記載の結像システム。
【請求項10】
前記複数の取付けフレーム(214、244)は、前記筐体(111)に含まれるリーダ装置(261)によって読み取り可能な固有識別装置(215、225)、例えばRFIDチップ、を含むものである、請求項1乃至9のいずれかに記載の結像システム。
【請求項11】
前記キャリア・ホイール装置(200)は、前記筐体(111)に含まれるエンコーダ装置(260)によって読み取り可能な少なくとも1つの位置マーカ(213、223)を含むものである、請求項1乃至10のいずれかに記載の結像システム。
【請求項12】
前記キャリア・ホイール装置(200)は、前記第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ(211)および前記第1および第2のエミション・フィルタ(221)をその前記動作位置に移動させるための駆動装置(150)が設けられたキャリア・ホイール筐体(230)を含むものである、請求項1乃至11のいずれかに記載の結像システム。
【請求項13】
− 前記キャリア・ホイール装置(200)は、前記第1および第2の回転可能ホイール(210、220)を含み、
− 前記キャリア・ホイール筐体(230)は、前記第1および第2の回転可能ホイール(210、220)をその周囲端縁部(212、222)に沿って収容する外側ベアリングを形成するものである、
請求項12に記載の結像システム。
【請求項14】
前記カメラ装置(130)は、
− 前記第1の光軸(143)上を進む前記検出光を収集するよう配置された第1の検出器カメラ(131)と、
− 前記第2の光軸(153)上を進む前記検出光を収集するよう配置された第2の検出器カメラ(132)と、
を含むものである、
請求項1乃至13のいずれかに記載の結像システム。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の時空間光変調結像システムを用いて前記調査対象の物体(1)を共焦点結像させる方法であって、
− 前記複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ(211)の中の1対と、前記複数対の第1および第2のエミション・フィルタ(221)の中の1対とを選択するように前記キャリア・ホイール装置(200)を調整する工程と、
− 前記光変調マイクロミラー・デバイス(110)を作動させる工程であって、前記ミラー要素の各々が、前記変調器平面に垂直な前記変調器光軸(121)に対してそれぞれ第1および第2の傾斜角を有する前記第1の状態と前記第2の状態の間で個々に切り替えられる工程と、
− 前記マイクロミラー・デバイス(110)からの照射光を前記物体(1)に集束させ、前記照射光に応答して前記物体において生成された検出光を前記マイクロミラー・デバイス(110)に向けて方向付ける工程と、
− 前記第1の状態の前記ミラー要素と、前記変調器光軸から外れた第1の光軸(143)上の前記第1の光中継装置(140)とを通って進む前記検出光と、前記第2の状態の前記ミラー要素と、前記変調器光軸から外れた第2の光軸(153)上の第2の光中継装置(150)とを通って進む前記検出光とを収集する工程と、
− 前記収集された検出光に基づいて前記物体(1)の共焦点画像を再構成する工程と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時空間光変調結像システム(結像系)(spatio-temporally light modulated imaging system)に関し、特に調査対象または調査中の物体(オブジェクト)を共焦点結合させるよう構成された時空間光変調結像システムに関する。さらに、本発明は、その時空間光変調結像システムを用いて物体を共焦点(コンフォーカル)結像させる方法に関する。さらに、本発明は、時空間光変調結像システムまたは別の光学システムに含まれる、複数の光学部材を支持するためのキャリア・ホイール装置、特にフィルタ・ホイール装置、に関する。
【0002】
本発明の適用例は、例えば共焦点顕微鏡法および/または分光法の分野において有用である。
【0003】
欧州特許出願公開第2369401号には時空間光変調結像システム(プログラム可能なアレイ顕微鏡、PAM)が開示されており、そのシステムは、例えば欧州特許出願公開第2369401号の図1および4に示されているような、光変調マイクロミラー・デバイス(装置)と、結像光学系と、少なくとも1つの光中継装置(光リレー・デバイス)と、少なくとも1つの検出器カメラを含むカメラ装置(デバイス)とを含んでいる。これらの構成要素または部品は、調査対象の物体内の焦点面において照射に応答して生成される光を収集するために、共役の(conjugate:対をなす)複数対の照射および検出開孔(アパーチャ)を有する点またはパターン走査システムを使用する共焦点(または光断層(optical sectioning))顕微鏡技術を実現するよう構成されおよび作動させられる。例えばマイクロミラー・デバイス(または“DMD”、デジタル・ミラー・デバイス)のような空間光変調器を使用する走査システムは、欧州特許出願公開第911667号および欧州特許出願公開第916981号に記載されているように、物体の焦点平面における各共役位置に集束された各照射スポットのパターン・シーケンスを用いてDMDを使用し、一方、それと同時に(並行して)各共役位置からの検出光を検出光カメラで収集し、それとは別に同時に(並行して)試料における各非共役(“焦点外れの”)位置から発する検出光を収集する。共役画像と非共役画像の各信号を組み合わせることによって、得られるべき複数の光断層画像が形成される。時空間光変調結像システムは、“拒否された”信号も保持されて利用されるという点で通常の共焦点構成を超える二重経路システムを使用し、その結果、その得られる共焦点画像化(結像)は光断層画像化(結像)(optical sectioning imaging)と称される。DMDを用いる通常の結像システムでは、データ捕捉速度、空間解像度(分解能)および光効率の点で実質的なまたは充分な利点が得られるが、その結像システムの実際の適用は、以下の複数の制限に起因して規制される。
【0004】
第1に、欧州特許出願公開第2369401号の通常の結像システム(結像系)は、構成要素間で伸びる光路長を含む複雑な光学設定構成を有し、その結果、約1mの設置面積(フットプリント)を有する大きい構造が得られる。構成要素間で伸びるその光路長は、結像システムを相異なる顕微鏡法結像作業(課題)に適合化させるための充分な空間を有するのに必要であると考えられた。特に、特定の各組成を有する相異なる各物体を結像させまたは画像化するには、照射光波長範囲および少なくとも1つの検出器カメラの検出波長範囲を適合化させることが必要となる。その照射光および検出光が共通の各光軸に沿って進むので、交換可能なダイクロイック(二色性)反射器(リフレクタ)およびエミション(放出)フィルタが必要であり、これには、通常の結像システムにおいてその交換および位置合せのための充分な空間が必要とされる。さらに、通常の結像システムを結像作業(課題)に適合化させる必要があるので、それ(システム)は暗い環境で使用される開放的構造として提供された。その結果、通常の結像システムは、専門家ユーザのみによって実験室で使用されるよう適合化された。
【0005】
上述の制限は、記載された時空間光変調結像システムだけで生じるのではなく、複雑な光学設定構成を有し例えばフィルタまたはダイクロイック・ビーム・スプリッタのような交換可能な複数の光学部材を必要とするその他の光学システム、例えば顕微鏡または分光装置でも生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2369401号
【特許文献2】欧州特許出願公開第911667号
【特許文献3】欧州特許出願公開第916981号
【0007】
本発明の目的は、通常の結像(画像化)システムの制限を解消することができる、改良された時空間光変調結像システムを実現することである。特に、その結像システムでは、サイズ(大きさ)の減少、実験室または産業における適用範囲の拡大、ユーザの技能に対する要求の低減、および/またはその結像システムを相異なる結像作業(課題)に適合化させるための機能(能力)の簡易化が得られることとなる。さらに、本発明の目的は、複数の照射スポットのパターン・シーケンスを用いた物体の照射による通常の共焦点結像の限界を回避できる、物体の共焦点結像(画像化)(光断層結像(画像化))の改善された方法を実現することである。さらに、本発明の目的は、通常の光学システムの限界を解消することができる、改良されたキャリア・ホイール装置を実現することである。特に、そのキャリア・ホイール装置は、小型のシステム構造、および相異なる作業(課題)に光学システムを適合化させる高い柔軟性を実現することが可能となるものである。
【0008】
発明の概要
これらの目的は、独立請求項の特徴を含む、結像システム、共焦点結像させる方法、およびキャリア・ホイール装置によって達成(解決)される。本発明の好ましい実施形態および適用例が従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明の第1の一般的な態様によれば、上述の目的は、時空間光変調結像システムによって、特に、調査対象の物体の焦点面における各共役位置に集束された複数の照射スポットのパターン・シーケンスでの物体の照射を用いて、調査対象の物体を共焦点結像させるよう構成し、一方、同時に(並行して)、カメラ装置(デバイス)で各共役位置(配置)からの検出光および各非共役(“焦点外れ”)位置からの幾つかの光信号を収集するよう構成された時空間光変調結像システムによって、達成(解決)される。この目的のために、その結像システムは、例えばDMDのような光変調マイクロミラー・デバイス、結像光学系(素子)、第1および第2の光中継装置(デバイス)、およびカメラ装置を含んでいる。照射に使用されない光変調マイクロミラー・デバイスの各ミラー要素は、排他的に各非共役(“焦点外れ”)位置のみからの光を収集する。結像システムの第1および第2の光軸に沿って捕捉される各信号の適切な組合せによって、光断層(“共焦点” )画像(結像)が得られる。任意に、その結像システムは、一体化された構成要素(部品)としての照射装置を含んでもよい。代替形態として、結像システムは、別個の照射装置と組み合わされてもよい。
【0010】
その結像光学系(素子)は、マイクロミラー・デバイスから変調器平面に垂直(直角)な変調器光軸に沿って進む照射光をその調査対象の物体に集束させ、およびその照射に応答して物体において生成された検出光を変調器光軸に沿ってマイクロミラー・デバイスに向けて方向付けるよう配置される。マイクロミラー・デバイスの複数のミラー要素の各々は、カメラ装置に向う第1および第2の光軸を規定(画定)する第1および第2の光中継装置のうちの一方と、変調器光軸との間に、反射器として配置される。それと同時に(並行して)、第1および第2の光中継装置は、各ダイクロイック・ビーム・スプリッタを介して結合された照射光を第1および第2の光軸上にマイクロミラー・デバイスに向けて方向付けるように使用される。
【0011】
カメラ装置は、第1および第2の光軸のうちの一方に沿って、マイクロミラー・デバイスの複数のミラー要素と、第1および第2の光中継装置のうちの一方とを介して進む検出光を収集するよう配置される。調査対象の物体において後方散乱された照射光を遮蔽するために、各ダイクロイック・ビーム・スプリッタとカメラ装置の間に第1および第2の光軸に各エミション・フィルタ(emission filters:放出フィルタ、吸収フィルタ)が配置される。
【0012】
さらに、結像システムは、マイクロミラー・デバイス、カメラ装置および照射装置を制御するよう配置された制御装置が設けられて、物体が照射スポットのパターン・シーケンスで照射され検出光が物体内の相異なる領域から収集されて、収集された検出光に基づいて複数の共焦点画像を再構成することができるようにされる。
【0013】
本発明によれば、結像システムは、さらに、キャリア・ホイール(carrier wheel:支持体車輪)装置を含んでおり、そのキャリア・ホイール装置は、複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数対の第1および第2のエミション・フィルタを支持するよう配置されており、また、そのキャリア・ホイール装置は、複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタの中の1対のスプリッタと、複数対の第1および第2のエミション・フィルタの中の1対のフィルタとが、同時にそれぞれ第1の光軸および第2の光軸に配置されるように、調整可能である。各1対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタは、互いに等しいスペクトル特性を有し、即ち、それぞれ反射されまたは透過(伝達)される等しい波長領域を有し、および/または、各1対の第1および第2のエミション・フィルタは互いに等しいスペクトル特性を有し、即ちそれぞれ等しい遮断(カットオフ)波長を有することが、好ましい。代替的に、他の適用例について、例えば、エミション・スペクトルを捕捉するために、互いに対向(両側)位置にあるフィルタおよび/またはダイクロイック・ビーム・スプリッタは、収集された画像に基づいて光学切片(断面、断層)を得るための相異なるスペクトル特性を有することができる。
【0014】
キャリア・ホイール装置は複数の動作(使用)位置を有し、その際、各動作位置において、第1および第2の入力ポート(入口)からの照射光を、特に第1および第2の光源装置からの照射光を、第1および第2の光軸上へ、第1および第2の光中継装置に向けてさらにマイクロミラー・デバイスへと方向付けるように、複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ中の異なる1対のスプリッタが、第1および第2の光軸にそれぞれ配置される。それと同時に、複数対の第1および第2のエミション・フィルタ中の異なる1対のフィルタが、各動作位置で第1および第2の光軸において、それぞれその1対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタとカメラ装置の間のその区域に配置される。
【0015】
利点として、その選択された1対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよびその選択された1対の第1および第2のエミション・フィルタは、第1のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび第1のエミション・フィルタが第1の光軸に配置され、第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび第2のエミション・フィルタが第2の光軸に配置される形態で、互いに隣接するようにキャリア・ホイール装置に配置することができる。キャリア・ホイール装置は、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数のエミッション・フィルタからなるコンパクトな配置構成を形成し、また、キャリア・ホイール装置は、キャリア・ホイール装置の動作位置を調整することによって異なる複数対のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または異なる複数対のエミッション・フィルタへと切り替えるよう適合化される。従って、結像システムの全体的光学的設定構成はより小型の構造を有する。特に、結像システムの大きさ(サイズ)は、約20cm×30cmにまで小さくされる実装面積(フットプリント)で、最小化することができる。
【0016】
時空間光変調結像システムのキャリア・ホイール装置は、以下で概略的に説明する本発明の第3の態様によるキャリア・ホイール装置の特徴を有することが、好ましい。
【0017】
さらに、本発明によれば、その結像システム(装置に含まれる筐体(または主要筐体)は、光変調マイクロミラー・デバイス、第1および第2の光中継装置を包囲し、キャリア・ホイール装置、特にその回転可能ホイール、を含んでいる。本発明の別の相当な利点として、キャリア・ホイール装置を含む結像システムの小型の構造によって、環境からの光を遮蔽する筐体内に、マイクロミラー・デバイス、光中継装置およびキャリア・ホイール装置を収容することができるようになる。その筐体は複数の不透明壁部を含み、それ(筐体、壁部)は、結像光学系用の結像光学ポートを含み、任意に、カメラ装置を結合させるための少なくとも1つのポート、および結像システムに照射光を導入するための2つの照射ポートを含んでいる。従って、本発明による結像システムは、任意の照射(照明)環境において動作させることができる。さらに、その筐体は、環境の作用に対して任意の感受性が低減されるように、結像システムの保護を形成する。キャリア・ホイール装置はキャリア・ホイール筐体を含んでもよく、それ(筐体)は、結像システムの主要筐体に結合され、特に主要筐体の複数の筐体壁部の中の1つの壁部を形成することが、好ましい。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、キャリア・ホイール装置は、互いに独立に回転可能である一方で互いに隣接して配置された2つの回転可能ホイール(またはフィルタ・ホイール)を含んでいる。第1の回転可能ホイールは、複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタを支持する。第1の回転可能ホイールの1つの方位角方向に沿って、偶数個の貫通孔が設けられて、複数対の貫通孔が半径方向に対向位置関係で(半径方向の両側に)配置されるようにされる。複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタは、第1の回転可能ホイールのそれらの貫通孔に配置されて、好ましくは互いに等しいスペクトル特性を有するような第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタが、互いに対向位置関係で配置されるようにされる。代替的に、幾つかの適用例について、第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタは、異なるスペクトル特性を有することができ、例えば、そのダイクロイック・ビーム・スプリッタのうちの1つはガラス・プレートを含むことができる。第2の回転可能ホイールは、複数対の第1および第2のエミション・フィルタを支持する。第2の回転可能ホイールの1つの方位角方向に沿って、偶数個の貫通孔が設けられて、複数対の貫通孔が半径方向に対向位置関係で(半径方向の両側に)配置されるようにされる。複数対の第1および第2のエミション・フィルタは、第2の回転可能ホイールのそれらの貫通孔に配置されて、好ましくは互いに等しいスペクトル特性または代替的に互いに異なるスペクトル特性を有するような第1および第2のエミション・フィルタが、互いに対向位置関係で配置されるようにされる。
【0019】
第1および第2の回転可能ホイールは、変調器軸および第1および第2の光軸に対して垂直な平面において広がっている。第1および第2の回転可能ホイールは、筐体内に配置されて、各動作位置において、1対の貫通孔がそれぞれ第1および第2の光軸に配置されて、各1対の貫通孔が、それぞれ第1と第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび第1と第2のエミション・フィルタを支持するようにされる。第1および第2の回転可能ホイールを回転させることによって、他の複数対の第1と第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび第1と第2のエミション・フィルタを、それぞれ第1と第2の光軸に配置することができる。
【0020】
利点として、第1および第2の回転可能ホイールを設けることによって、特に結像作業に応じて、即ち調査対象の物体のスペクトル特性に応じて、各ダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび各エミション・フィルタの交換が、大幅にまたは実質的に容易になる。
【0021】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、キャリア・ホイール装置は、選択された複数対のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよびエミション・フィルタが、それぞれ第1および第2の光軸に沿った最小光ビーム直径の位置付近に配置される形態で、配置される。第1および第2の光中継装置は、第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタからの照射光をマイクロミラー・デバイス上に結像させるよう、およびそのマイクロミラー・デバイスからの照射光を第1および第2の光軸上に結像させるように、配置されており、また、第1および第2の光中継装置は、様々な直径を有する第1および第2の光軸に沿って光ビームを形成する。それらのダイクロイック・ビーム・スプリッタおよびエミション・フィルタが最小光ビーム直径の位置にまたはこの位置の近隣に配置される場合、それらのダイクロイック・ビーム・スプリッタおよびエミション・フィルタの大きさ(サイズ)を最小化することができる。特に、25mm(自由開孔21mm)未満の断面寸法を有する標準的光学部品を使用することができ、その結果、フィルタのコスト(費用)が低減され、利用可能なフィルタの選択の幅がより広くなり、キャリア・ホイール装置の大きさが低減され、特に第1および第2の回転可能ホイールの大きさが低減され、および/または複数対のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよびエミション・フィルタの対の数が増大する。
【0022】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、キャリア・ホイール装置は複数の取付けフレームを含み、そのフレームの各々は複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数のエミション・フィルタの中の1つを収容するよう配置される。各回転可能ホイールが好ましく設けられて、各取付けフレームが複数の貫通孔の中の1つに配置される。利点として、複数の取付けフレームによって、第1および第2の光軸において複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数のエミション・フィルタの正確な位置決めが容易になる。この実施形態の好ましい変形例によれば、各エミション・フィルタは、等方性バネ荷重機構を用いて各取付けフレームに取り付けられる。利点として、各エミション・フィルタの各取付けフレームへの挿入と、各エミション・フィルタの応力の無い状態での保持とが、等方性バネ荷重機構を使用することによって得られる。別の好ましい変形例によれば、それらの取付けフレームは、個々に、キャリア・ホイール装置、特に第1および第2の回転可能ホイールに挿入されまたはそこから取り外すことができる(着脱できる)。従って、本発明の特に好ましい実施形態では、第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または第1および第2のエミション・フィルタは、交換可能である。利点として、これによって、さらに、結像システムの適用範囲が、追加的なスペクトル範囲にまで拡大され、従って追加的な結像作業(課題)にまで拡大される。
【0023】
本発明の別の有利な実施形態によれば、第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび第1および第2のエミション・フィルタの中の少なくとも1つは、磁力の作用によって、対応する各取付けフレームに取り付けられる。従って、複数の取付けフレームまたは複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または複数のエミション・フィルタには、複数の磁気素子および/または複数の強磁性材料が設けられる。利点として、それらのダイクロイック・ビーム・スプリッタおよびエミション・フィルタを磁力で保持することによって、それらの交換が容易になる。
【0024】
それらのダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/またはエミション・フィルタは交換することができ、一方、キャリア・ホイール装置は結像システムの主要筐体に配置される。本発明のこの実施形態では、主要筐体、またはキャリア・ホイール装置のキャリア・ホイール筐体には、少なくとも1つのアクセス・ポートが設けられて、そのアクセス・ポートは、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または複数のエミション・フィルタをキャリア・ホイール装置に設け(入れ)またはキャリア・ホイール装置から取り外す(出す)ことができるように、配置される。
【0025】
本発明の代替的な特に好ましい実施形態によれば、第1および第2の回転可能ホイールの少なくとも一方はその筐体から取り外し可能である。この実施形態では、主要筐体、またはキャリア・ホイール装置のキャリア・ホイール筐体には、キャリア(支持体)ポート(特に、キャリア・ホイール筐体のカバー蓋)が設けられ、それ(ポート)を通して、第1および第2の回転可能ホイールの少なくとも一方をその筐体に挿入しまたはそこから取り外すことができる。利点として、この実施形態によって、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/またはエミション・フィルタを、同時に交換することが可能になる。さらに、キャリア・ホイール装置には、それを結像システムに導入する前に、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または複数のエミション・フィルタを設けることができ、それによって、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタまたは複数のエミション・フィルタを第1および/または第2の回転可能ホイール上の正しい各位置に配置するときの誤りを、回避することができるようにされる。
【0026】
2つの回転可能ホイールを設ける上述の好ましい実施形態では、両回転可能ホイールは筐体から共に取外し可能であるか、または両回転可能ホイールは筐体から別々に取外し可能であるか、または両回転可能ホイールのうちの一方だけが筐体から取外し可能となる。
【0027】
複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または複数のエミション・フィルタをキャリア・ホイール装置に配置する際の誤りを低減するために、以下の特徴のうちの少なくとも1つの特徴を実現することが、好ましい。第1の変形例によれば、キャリア・ホイール装置および/または複数の取付けフレームには、筐体に含まれるリーダ(読取器)装置によって読取り可能な例えばRFIDチップのような固有識別装置を設けることができる。利点として、その識別装置を用いることによって、適切な複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数のエミション・フィルタを選択する際の誤りの回避および結像システムの制御が、改善される。別の変形例によれば、キャリア・ホイール装置は、筐体に含まれるエンコーダ(符号化)装置によって読取り可能な少なくとも1つの位置マーカ(標識)、例えば光学コードおよび/または反射器、を含んでいる。利点として、これによって、筐体におけるキャリア・ホイール装置の正しい動作位置の正確な制御および試験が容易になる。
【0028】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、キャリア・ホイール装置はキャリア・ホイール筐体を含み、各回転可能ホイールはキャリア・ホイール筐体において回転可能に支持される。キャリア・ホイール筐体には、選択された各動作位置に回転可能ホイールを移動させるための少なくとも1つの駆動モータを含む駆動装置が設けられる。キャリア・ホイール筐体は、各回転可能ホイールの回転を案内するよう構成される。好ましくは、第1および第2の回転可能ホイールを設けることによって、キャリア・ホイール筐体は、その円周端縁部に沿って第1および第2の回転可能ホイールを収容するベアリング(支持面、軸受)を形成する。従って、駆動装置には、第1および第2の回転可能ホイールの各回転軸から(に対して)半径方向の或る距離を置くことができる。利点として、これは、結像システムの構造の小型化に寄与する。
【0029】
利点として、本発明の結像システムは、特に欧州特許出願公開第2369401号に開示されているように、カメラ装置に向けて別々の第1および第2の光軸を形成するよう、または第1と第2の光軸を組み合わせる(合成する)よう適合化させることができる。第1の事例では、本発明の好ましい実施形態では、カメラ装置は、第1および第2の光軸上をそれぞれ進む検出光を収集するよう適合化された第1の検出器カメラおよび第2の検出器カメラを含んでいる。第2の事例では、カメラ装置は、カメラ装置の前に結合された第1と第2の光軸の双方上を進む検出光を収集するよう配置された1つの単一検出器カメラを含んでいる。
【0030】
本発明の第2の一般的な態様によれば、上述の目的は、調査対象の物体を共焦点結像させる方法によって達成(解決)され、その際、本発明の上述の第1の態様による時空間光変調結像システムが使用される。特に、共焦点結像方法は、以下の複数のステップを含む。
【0031】
第1に、複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタの中の1対のスプリッタと、複数対の第1および第2のエミション・フィルタの中の1対のフィルタとを、そのスペクトル特性と、調査対象の物体のスペクトル吸収および放出(発光)パラメータとに応じて選択するように、筐体内で回転可能ホイールが調整される。任意に、キャリア・ホイール装置には、それを筐体内に導入する前に、適切な複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数のエミション・フィルタが設けられる。
【0032】
第2に、結像システムは、欧州特許出願公開第2369401号に記載されている複数の動作モード中の1つの動作モードに従って作動され、変調器光軸に対して第1の傾斜角と第2の傾斜角の間で複数のミラー要素を個々に切り替えることで光変調マイクロミラー・デバイスを作動させ、調査対象の物体上に照射光を集束させ、調査対象の物体からの検出光をマイクロミラー・デバイスおよび第1および第2の光中継装置を介してカメラ装置に向けて方向付け、カメラ装置で検出光を収集すること、を含んでいる。収集された検出光に基づいて、取得すべき物体の共焦点画像が再構成される。
【0033】
本発明の第3の一般的な態様によれば、上述の目的は、複数の光学部材を支持するよう構成されたキャリア・ホイール装置、特にフィルタ・ホイール装置、によって達成(解決)される。また、そのキャリア・ホイール装置、特にフィルタ・ホイール装置は、複数の第1の光学部材を収容するよう構成された第1の回転可能ホイールと、第1の回転可能ホイールを収容するキャリア・ホイール筐体とを含んでいる。キャリア・ホイール筐体は、第1の回転可能ホイールを回転可能な形態で支持する外側ベアリングと、第1の回転可能ホイールの各周辺端縁部に作用させることによって第1の回転可能ホイールを駆動するように軸外の(off-axis:離心)位置に配置された駆動装置と、を形成するまたは備える。キャリア・ホイール装置は、特に以下の複数の特徴の中の少なくとも1つを含んでおり、本発明の第1の一般的な態様の時空間光変調結像システムに設けられることが、好ましい。
【0034】
利点として、キャリア・ホイール装置は、外側ベアリングと、駆動装置の軸外配置とによって、光学システムに容易に一体化(統合)できる小型の構造を形成する。特に、キャリア・ホイール装置の軸方向部分には構成要素(部品)が無いので、光学システムの他の構成要素に隣接する小型の構造化または組立てが容易に得られる。さらに、キャリア・ホイール筐体は、回転可能ホイールを保持しおよび回転可能ホイールを駆動する点で二重の機能を果たす。
【0035】
キャリア・ホイール装置は、互いに独立に調整可能な2つの回転可能ホイールを含むことが、好ましい。第1の回転可能ホイールに加えて、複数の第2の光学部材を収容するよう構成された第2の回転可能ホイールが設けられる。第2の回転可能ホイールは、キャリア筐体内に第1の回転可能ホイールに隣接して配置され、回転可能な態様で外側ベアリングによって支持される。第1および第2の回転可能ホイールは、互いに平行に、共通の回転軸を有するように配置される。それら(ホイール)は同じ直径を有することが、好ましい。複数の第1の光学部材は、キャリア・ホイール装置の第1の側部(面側)に配置され、複数の第2の光学部材は、その(装置の)第1の側部とは反対側にあるキャリア・ホイール装置の第2の側部(面側)に配置される。駆動装置は、第1と第2の回転可能ホイールの双方をその(ホイールの)各周辺端縁部において駆動するよう配置される。
【0036】
複数の光学部材は、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または複数の光フィルタを含むことが、好ましい。特に好ましい例では、キャリア・ホイール装置の第1の側部(面側)の複数の第1の光学部材は、異なるスペクトル特性を有する複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタを含み、キャリア・ホイール装置の第2の側部(面側)の複数の第2の光学部材は、異なるスペクトル特性を有する複数の光フィルタを含んでいる。代替的な特徴では、他の光学部材、例えば偏光器および/または各グレースケール・フィルタ、を設けることができる。
【0037】
キャリア・ホイール装置の軸方向部分には構成要素(部品)が無いので、キャリア・ホイール装置は、その中央または中心に貫通孔を有するように構成することができる。その貫通孔は、第1および第2の回転可能ホイールを貫通して伸び、キャリア・ホイール装置中を貫通する少なくとも1つの追加的なビーム経路に有利に使用できる通路を形成し、および/または、電気線、機械部品および/または熱ライン(管)、例えばヒートパイプ、を収容する。
【0038】
利点として、共通のキャリア・ホイール筐体内に第1および第2の回転可能ホイールを共に収容することによって、第1および第2の光学部材の複数の動作位置を有するキャリア・ホイール装置の小型の構造が形成される。
【0039】
本発明によるキャリア・ホイール装置の好ましい実施形態によれば、外側ベアリングは、キャリア・ホイール筐体に配置された複数のベアリング・ローラを含んでいる。第1の回転可能ホイールまたは第1と第2の回転可能ホイールの双方を支持する3つのベアリング・ローラを設けることが、好ましい。それらのベアリング・ローラが、第1の方位角(azimuthal)支持(ベアリング)位置において第1の回転可能ホイールを支持する第1の変位可能なベアリング・ローラ、および任意に第2の方位角支持(ベアリング)位置において第2の回転可能ホイールを支持する第2の変位可能なベアリング・ローラを含み、一方、2つの固定ベアリング・ローラが、他の方位角位置において回転可能な形態で配置された第1の回転可能ホイールまたは第1と第2の回転可能ホイールの双方を支持する場合には、その(それらの)回転可能ホイールを調整することに関する利点が得られる。第1および任意の第2の変位可能なベアリング・ローラは、回転可能なおよび半径方向に移動可能な形態で配置される。利点として、それら(ローラ)は、各回転可能ホイールのクリアランス(隙間)および支持力(支承力)を調整するために使用することができる。
【0040】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、第1および第2の変位可能なベアリング・ローラの少なくとも1つは、対応する回転可能ホイールが外側ベアリングによって支持される支持状態と、対応する回転可能ホイールが外側ベアリングから取り外され得る解除状態との間で、手動で半径方向に移動するよう適合化される。手動で半径方向に移動するよう適合化されたその変位可能なベアリング・ローラは、スライダ基部によって支持されることが好ましく、それ(基部)によって、例えばローレット(刻み付き)頭ネジ(knurled head screws)のような複数の手動操作可能なネジの作用によって、変位可能なベアリング・ローラの固定または解除(解放)が可能になる。
【0041】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、駆動装置は、第1および第2の回転可能ホイールの少なくとも一方に結合された摩擦ホイール(車)を支持する少なくとも1つのステップ・モータを含み、その少なくとも1つのステップ・モータはキャリア・ホイール筐体にバネ荷重式の旋回(枢動)可能な形態で配置される。利点として、その摩擦ホイールは、バネ荷重式の旋回可能なステップ・モータによって、回転可能ホイールに対して押圧される。
【0042】
本発明の別の好ましい特徴によれば、その少なくとも1つのステップ・モータが、キャリア・ホイール筐体の第1の側部(面側)でバネ荷重式のレバー部(梃部)によって支持され、摩擦ホイールがキャリア・ホイール筐体の反対側の第2の側部(面側)に配置される場合に、キャリア・ホイール装置の小型の構造に関する利点が得られる。
【0043】
キャリア・ホイール筐体は、互いに或る距離で隔てられた互いに平行な第1および第2の光軸に対して、1つ(または複数)の回転可能ホイールを配置するよう構成されることが、好ましい。この目的のために、キャリア・ホイール筐体は、第1の光軸通路および第2の光軸通路を有し、その際、第1の回転可能ホイールは、複数の第1の光学部材の中の1つを第1の光軸通路に、および複数の第1の光学部材の中の別の1つを第2の光軸通路に同時に配置するよう構成され、任意の第2の回転可能ホイールは、複数の第2の光学部材の中の1つを第1の光軸通路に、および複数の第2の光学部材の中の別の1つを第2の光軸通路に同時に配置するよう構成される。各回転可能ホイールは、第1および第2の光学部材の中の1つが配置される偶数個の貫通孔を有することが、好ましい。この場合、第1の光軸通路および第2の光軸通路は、その1つ(または複数)の回転可能ホイールの軸に対して互いに対向位置に(両側に)配置することができる。
【0044】
利点として、キャリア・ホイール筐体には、第1および第2の光軸通路と位置合せされた(整列した)各光学レンズを支持するカバー壁部を設けることができる。それらの光学レンズは、第1および第2の光軸に沿って進む光照射野(light field)を結像させおよび/または補正するのに使用することができる。その筐体は、それらの回転可能ホイールの少なくとも1つの取外しまたは挿入を可能にする旋回(枢動)可能なカバー蓋を含むことができる。
【0045】
本発明の他の好ましい特徴によれば、キャリア・ホイール装置には、本発明の第1の一般的な態様を参照して上述した複数の特徴の中の少なくとも1つを備えることができる。第1および任意の第2の回転可能ホイールは、エンコーダ装置によって読み取り可能な少なくとも1つの位置マーカを支持することができる。代替的にまたは追加的に、第1および任意の第2の回転可能ホイールは、各々が第1または第2の光学部材の1つを収容するよう配置された複数の取付けフレームを有することができる。複数の取付けフレームは、第1の回転可能ホイールに個々に挿入しまたは第1の回転可能ホイールから個々に取り外すことができることが、好ましい。利点として、これによって、複数の単一光学部材の交換が容易になる。さらに、複数の取付けフレームは、キャリア・ホイール筐体内のリーダ装置によって読取可能な、例えばRFIDチップのような固有識別装置を含むことができる。
【0046】
本発明の他の詳細および利点を、図面を参照して以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態による結像システムの概略的な上面図である。
図2図2は、本発明の好ましい実施形態による結像システムの分解斜視図である。
図3図3は、図2による結像システムの部分的な分解斜視図である。
図4図4は、本発明によるキャリア・ホイール装置の、その第1の側面の斜視図である。
図5図5Aおよび5Bは、本発明によるキャリア・ホイール装置の、その第2の側面の斜視図である。
図6図6は、本発明によるキャリア・ホイール装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の好ましい実施形態の各特徴を、特に、時空間光変調結像システムにおける、主要筐体と、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数のエミション・フィルタを保持するキャリア・ホイール装置とを備えた構成を参照して、以下に説明する。その結像システムおよびその動作の他の詳細は、欧州特許出願公開第2369401号に記載されているように実現または実装されるので、説明しない。欧州特許出願公開第2369401号を参照により本明細書に組み込む。特に、本発明の結像システムは、欧州特許出願公開第2369401号の図1または4に示されるような光学的設定配置を有する。欧州特許出願公開第2369401号、欧州特許出願公開第911667号および欧州特許出願公開第916981号に記載された方法の1つに従って、照射スポットのパターン・シーケンスでの照射を用いた共焦点結像が行われ、複数の光断層画像(optical sectioning images)が再構成される。欧州特許出願公開第2369401号、欧州特許出願公開第911667号および欧州特許出願公開第916981号を参照により本明細に組み込む。
【0049】
キャリア・ホイール装置は、時空間光変調結像システムにおいてだけでなく、例えば交換可能な光学部材を含む顕微鏡または分光装置のような他の光学システムにおいても使用できる本発明の独立した主題または構成を表すことを、強調しておく。時空間光変調結像システムに関して、その複数の光学部材は、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数のエミション・フィルタを含んでいる。キャリア・ホイール装置の他の適用例では、例えば偏光器のような他の光学部材を使用することができる。
【0050】
以下では、2つの回転可能ホイールを含むキャリア・ホイール装置を例示的に参照し、本発明は、それに対応して、1つの単一回転可能ホイールを含むキャリア・ホイール装置を有し、特に1つの単一駆動モータおよび3つのベアリング・ローラを有する、変形実施形態で実装することができる。
【0051】
図1によれば、結像システム100は、欧州特許出願第2369401号の図4に示された結像システムのような光学的な設定配置を有する。より詳しくは、結像システム100は、光変調マイクロミラー・デバイス110と、好ましくはテレセントリック光学系を含む結像光学系(素子)120と、第1の検出器カメラ131および第2の検出器カメラ132を含むカメラ装置130と、結像用反射光学系(素子)141および結像用屈折光学系(素子)またはレンズ部分142を含む第1の光中継装置140と、結像用反射光学系(素子)151および結像用屈折光学系(素子)またはレンズ部分152を含む第2の光中継装置150と、複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211および複数対の第1および第2のエミション・フィルタ221を支持するキャリア・ホイール装置200と、第1の照射源(照明源)171および第2の照射源(照明源)172を含む照射装置と、キャリア・ホイール装置200のキャリア・ホイール筐体230と、制御装置190とを含んでいる。図1に示されているように、結像用屈折光学系(素子)またはレンズ部分142、152は、第1および第2のエミション・フィルタ221と第1および第2の検出器カメラ131、132の間に配置することができる(図5Aおよび6の各光学レンズ234を参照)。代替的に、結像用屈折光学系(素子)またはレンズ部分142、152は、ダイクロイック・ビーム・スプリッタ211と反射用光学系(素子)141、151の間の別の区域(セクション)の第1および第2の光軸に配置することができる。
【0052】
マイクロミラー・デバイス110および第1および第2の光中継装置140、150は、図2および3を参照して以下でさらに詳しく説明する主要筐体111と、図4乃至6を参照して以下でさらに詳しく説明するキャリア・ホイール装置200とによって、取り囲まれている。キャリア・ホイール装置200は、主要筐体111内に完全に(全体的に)含ませることができ(図1に示されている)、または、主要筐体111の一部を形成してもよい(図2および3に示されている)。
【0053】
第1および第2の照射源171、172は、(複数の)単一レーザ・ダイオード、(複数の)単一発光ダイオード、レーザ・ダイオードのアレイおよび発光ダイオードのアレイ、の中の少なくとも1つを、任意に照射波長選択装置との組合せで、含んでいる。第1および第2の検出器カメラ131、132は、例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラを含んでいる。マイクロミラー・デバイス110は、例えば、製造業者テキサス・インスツルメンツ社(Texas Instruments)のDMDである。
【0054】
結像システム100の構成要素または部品110、120、130、140および150は、変調器光軸121(結像光学系(素子)またはレンズ部分120の光軸)、第1の光軸143および第2の光軸153が、マイクロミラー・デバイス110の変調器平面に垂直な共通基準面(水平面、図1の図面平面)内に配置されるように、配置される。第1の照射源171から、第1のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211、第1の光中継装置140、マイクロミラー・デバイス110および結像光学系(素子)120を介して、調査対象または調査中の物体1まで、第1の照射経路が渡される。第2の照射源172から、第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211、第2の光中継装置150、マイクロミラー・デバイス110および結像光学系120を介して、物体1まで、第2の照射経路が渡される。各反対方向には、物体1から、結像光学系(素子)120、マイクロミラー・デバイス110、第1および第2の光中継装置140、150、第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211および第1および第2のエミション・フィルタ221を介して、第1および第2の検出器カメラ131、132まで、それぞれ、各検出経路が形成される。
【0055】
筐体111の外側の照射経路および検出経路の各一部分は、結像光学系(素子)120と、移動可能な遮蔽シース(鞘)を備えたカメラ光学系(素子)133、134(図2参照)とによって遮蔽(シールド、保護)される。照射源171、172は筐体111に直接連結され、その際、照射光が、照射ポート114(図2、3参照)を通して第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211に導入される。
【0056】
共焦点(コンフォーカル)結像方法の好ましい実施形態では、変調器光軸121に対して第1の傾斜角度を有する第1の状態に複数のミラー要素が切り替えられたマイクロミラー・デバイス110と、第1の光中継装置140とは、物体1内の各非共役位置(non-conjugate locations)からの検出光を収集するよう適合化され、一方、変調器光軸121に対して第2の傾斜角度を有する第2の状態に複数のミラー要素が切り替えられたマイクロミラー・デバイス110と、第2の光中継装置150とは、物体1内の各共役位置(conjugate locations)からの検出光を収集するよう適合化される。その非共役(位置)の寄与分は第1の検出カメラ131で収集され、その共役(位置)の寄与分は第2の検出カメラ132で収集される。第1および第2の検出器カメラ131、132の画像信号に基づいて、物体1の共焦点画像が再構成され、例えば制御装置190に含まれるコンピュータ回路で再構成される。
【0057】
キャリア・ホイール装置200は、キャリア・ホイール筐体230に収容される第1の回転可能ホイール210および第2の回転可能ホイール220を含んでいる(図4乃至6参照)。回転可能ホイール210、220は互いに隣接して配置され、その共通の回転軸201が、変調器光学軸121および第1および第2の光軸143、153を含む基準面内で伸びている。回転可能ホイール210、220の各々は、半径方向に互いに反対の位置関係で(両側に)対で配置された8つまたは10個の貫通孔を有する(図4乃至6参照)。それらの貫通孔は、1つのダイクロイック・ビーム・スプリッタ211または1つのエミション・フィルタ221をそれぞれ支持する複数の取付けフレーム(枠)または嵌合フレーム214、224(図6参照)を収容するよう適合化される。
【0058】
従って、例示された例では、第1の回転可能ホイール210は、第1の光軸143に配置される複数の第1のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211と、第2の光軸153に配置される複数の第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211とからなる4対のスプリッタを収容するよう適合化される。第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211は、照射源171、172からの照射光がそれぞれ第1および第2の光軸143、153上に反射されるように、配置される。各1対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211は、特定のスペクトル特性、特に照射光を反射し検出光を透過(伝達)するための特定の波長範囲、を有する。複数対の互いに対向位置にある(両側の)ダイクロイック・ビーム・スプリッタ211の中の1対を形成する第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211は、同じスペクトル特性を有することが、好ましい。適切なスペクトル特性を有する複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211は、第1および第2の光軸143、153上に反射される照射波長と、カメラ装置130へと透過される検出波長とを決定する物体1のスペクトル吸収および放射(emission)特性に応じて、選択される。
【0059】
第2の回転可能ホイール220は、各エミション・フィルタ221を含む複数の取付け(嵌合)フレーム224を収容するための複数の貫通孔を含んでいる。第1および第2の回転可能ホイール210、220の貫通孔の数および各方位角位置は互いに等しくて、キャリア・ホイール装置160の各動作位置において第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211および第1および第2のエミション・フィルタ221中を通ることができるようになっている。適切なスペクトル特性を有する複数のエミション・フィルタ221が、物体1のスペクトル吸収および放射特性(特徴)に応じて選択されて、ダイクロイック・ビーム・スプリッタ211と組み合わされる。
【0060】
図1は、筐体111内の概略的に例示されたリーダ(読取り器)装置211を示している。リーダ装置261は、第1および第2の回転可能ホイール210、220の一方または双方に、特に両ホイール上におよび/または取付けフレーム214、224の各々上に一体化された少なくとも1つの固有識別装置215、225、例えばRFIDチップ、を読み取るよう適合化される。さらに、第1および第2の回転可能ホイール210、220の一方または双方上に少なくとも1つの位置マーカ213、223(図4および5B参照)を読み取るよう配置されたエンコーダ装置260が、概略的に示されている。エンコーダ装置260は、例えば、単一のフォトダイオード、フォトダイオードのマトリクス、および/またはCCDベース(型)のエンコーダ(符号化器)を含んでいる。
【0061】
回転可能ホイール210、220は、キャリア・ホイール筐体230内で手動調整することができる。代替的に、本発明の好ましい実施形態によれば、駆動装置250は、第1および第2の回転可能ホイール210、220の電動回転用に設けられた2つの駆動モータ251、252(図4乃至6参照)を含んでいる。駆動モータ251、252は、結像システム100の現在の作業に必要なスペクトル波長範囲と、リーダ装置261およびエンコーダ装置260の出力とに応じて、制御される。
【0062】
図2は、結像システム100の好ましい実施形態の斜視図を示しており、特に、結像光学系(素子)またはレンズ部分120と、第1の検出器カメラ131および第2の検出器カメラ132を有するカメラ装置130と、第1の光中継装置140と、第2の光中継装置150と、キャリア・ホイール装置200とを示している。マイクロミラー・デバイス(図示せず)および第1および第2の光中継装置140、150は、分解図で示された筐体111内に含まれる。筐体111は、筐体フレーム112と、キャリア・ホイール装置200を備えた複数の筐体壁部113とを含んでいる。複数の筐体壁部113は、各照射ポート114(図3をも参照)、結像光学系ポート115およびアクセス・ポート116(図3をも参照)を含んでいる。照射ポート114は、照射源171、172を筐体111に結合するようおよび照射光を第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211に導入するよう構成される(図1および2をも参照)。結像光学系ポート115は、結像光学系(素子)またはレンズ部分120を収容する貫通孔である。アクセス・ポート116は、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211の中の少なくとも1つを交換するためのアクセス・ポート・カバー117で開閉することができる。第2の回転可能ホイール(図2には図示せず)をキャリア・ホイール筐体230から取り外しまたはキャリア・ホイール筐体230に挿入するためのキャリア・ホイール筐体230の旋回可能なカバー蓋235によって、別のポートが形成される(図3および5をも参照)。
【0063】
図3は、カメラ装置とそのカメラ光学系を含まず、開いたカバー蓋235と共に示された筐体111の分解図を含む結像システム100の別の斜視図である。キャリア・ホイール装置200の回転可能ホイール210、220は、図4乃至6を参照して以下でさらに詳しく説明するように、キャリア・ホイール筐体230によって形成される外側ベアリング240において保持される。カバー蓋235が開いている場合、複数の円形の取付けフレーム224において複数のエミション・フィルタ221を支持する第2の回転可能ホイール220は、キャリア・ホイール筐体230から取り出すことができる。
【0064】
キャリア・ホイール装置200の他の詳細が、図4乃至6に示されている。キャリア・ホイール装置200は、例えば複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタのような偶数個の第1の光学部材211を支持する第1の回転可能ホイール210(図4、6参照)と、例えば複数のエミション・フィルタのような偶数個の第2の光学部材221を支持する第2の回転可能ホイール220(図5、6参照)と、第1および第2の回転可能ホイール210、220を収容するキャリア・ホイール筐体230とを含んでいる。キャリア・ホイール筐体230はプレート(板)形状を有する。それ(筐体)は、第1および第2の回転可能ホイール210、220を保持する外側ベアリング240を含んでいる。さらに、それ(筐体)は、第1および第2の回転可能ホイール210、220を、その周辺端縁部212、222において、摩擦ホイール(摩擦車)253、254の作用によって駆動するよう配置された駆動装置250を含んでいる(図5B、6参照)。
【0065】
第1および第2の回転可能ホイール210、220は、複数の光学部品が配置されることとなる複数の方位角位置に複数の貫通孔を有し、従って、それ(貫通孔)はキャリア・ホイール装置200の第1の光軸通路(passage)231および第2の光軸通路232を形成する(図5A、6)。各貫通孔には、1つの取付けフレーム214、224(図6参照)が、例えばバネ力による保持で、配置される。各取付けフレーム214、224は、複数の光学部品の中の1つを、例えば磁力を用いて、収容する。さらに、各取付けフレーム214、224には、対応する光学部品を識別する固有データを有する記憶装置を含むRFIDチップ215、225が設けられる。RFIDチップ215、225は、例えば結像システム100または別の光学的システムにおいて、第1および第2の回転可能ホイール210、220に隣接する、キャリア・ホイール装置200の周囲に配置された4つのリーダ・ユニットを有するリーダ装置261(図1参照)で、読み取り可能である。
【0066】
第1および第2の回転可能ホイール210、220の各々は、キャリア・ホイール装置200の中央通路を形成する中央(中心)貫通孔202を有する。通常のフィルタ・ホイールとは対照的に、本発明によるキャリア・ホイール装置の駆動装置とベアリング装置の双方は、各キャリア・ホイールの外側端縁部に配置されて、中央通路には駆動装置およびベアリング装置が存在しないようになっている。カバー・プレート233において対応する開孔または開口を設けて、その中央通路を、そこを通る電気的、光学的または熱的なライン(管)を案内するまたは導くのに使用することができる。
【0067】
ダイクロイック・ビーム・スプリッタ211を支持する取付けフレーム214は、第1の回転可能ホイール210の貫通孔の相補的な幾何学形状(特徴)に整合(マッチ)する例えば突出部のような幾何学形状(特徴)に適合化させることができ、従って、第1の回転可能ホイール210上での各ダイクロイック・ビーム・スプリッタ211の正確な配置が容易になって、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211の各反射面が、半径方向から来る光を第1および第2の光軸143、153の一方上へ反射するよう配置されるようになっている。
【0068】
図5Bに示されているように、外側ベアリング240は、第1の方位角支持位置において第1の回転可能ホイール210を保持する第1の変位可能ベアリング・ローラ241と、異なる第2の方位角支持位置において第2の回転可能ホイール220を保持する第2の変位可能ベアリング・ローラ242と、他の各方位角支持位置において第1と第2の回転可能ホイール210、220の双方を保持する2つの固定ベアリング・ローラ243とを含んでいる。第1および第2の変位可能ベアリング・ローラ241、242は、キャリア・ホイール筐体230において、回転可能かつ半径方向に移動可能な形態で、支持される。複数のスライダ基部(ベース)244上での支持および調整可能な固定によって、第1および第2の変位可能ベアリング・ローラ241、242は、対応する回転可能ホイール210または220が外側ベアリング230によって支持される支持状態と、対応する回転可能ホイールを外側ベアリング230から取り外すことができる解除状態との間で、手動で半径方向に変位させることができる。特に開いた状態のカバー蓋235を通しての、その取外しを容易にするために、変位可能なベアリング・ローラ242は、手動操作可能な各ローレット頭ネジ245によって、スライダ基部244に固定される。
【0069】
駆動装置250は、モータ軸上で摩擦ホイール253、254を各々が支持する2つの駆動モータ251、252、特にステップ・モータ、を含んでいる(図5B参照)。摩擦ホイール253、254は、駆動モータ251、252に対するバネ荷重の作用によって、第1および第2の回転可能ホイール210、220の外側端縁部212、222に、押圧され付勢される(urged)。駆動モータ251、252に対するバネ荷重および駆動モータ251、252の旋回は、キャリア・ホイール筐体230によって支持されたバネ荷重のレバー部(梃部)255、256(図4参照)によって得られる。バネ荷重のレバー部255、256はキャリア・ホイール筐体230の第1の側部(面側)における各隅部(コーナ)に配置され、一方、摩擦ホイール253、254はそのキャリア・ホイール筐体の反対側の第2の側部(面側)に配置される。駆動モータ251、252は、制御装置190(図1参照)によって制御されて、複数の取付けフレーム214に収容された第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ(図6参照)および複数の取付けフレーム224に収容された第1および第2のエミション・フィルタ221の複数対の中の選択された1対が、キャリア・ホイール装置200の第1および第2の光軸143、153にそれぞれ配置されるようにされる。
【0070】
第1および第2の回転可能ホイール210、220は、第1および第2の回転可能ホイール210、220の表面上に複数のドット状反射器を含む位置マーカ213、223(図4、5B参照)を支持する。位置マーカ213、223の各々は、回転可能ホイール210、220上のダイクロイック・ビーム・スプリッタ211またはエミション・フィルタ221の1つの位置に割り当てられる。ドット状反射器213、223は、対応するダイクロイック・ビーム・スプリッタ211またはエミション・フィルタ221の特定の位置を表すコードまたは符号として使用することができる。
【0071】
図4、5Aおよび6は、キャリア・ホイール筐体230の第2の側部にあるカバー・プレート233を示している。カバー・プレート233の上部分は、第2の回転可能ホイール220へのアクセスを可能にする旋回可能な蓋235(図4および6参照)を形成する。カバー・プレート233の下部分は、例えば光照射野補正のために設けられた、各光学レンズ234(結像用の屈折光学系(素子)142を形成するもの)を支持する。
【0072】
上述の説明、図面および特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、その種々の実施形態で本発明を実現するために、個々におよび組合せまたは部分的組合せに意義があり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6