【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2369401号
【特許文献2】欧州特許出願公開第911667号
【特許文献3】欧州特許出願公開第916981号
【0007】
本発明の目的は、通常の結像(画像化)システムの制限を解消することができる、改良された時空間光変調結像システムを実現することである。特に、その結像システムでは、サイズ(大きさ)の減少、実験室または産業における適用範囲の拡大、ユーザの技能に対する要求の低減、および/またはその結像システムを相異なる結像作業(課題)に適合化させるための機能(能力)の簡易化が得られることとなる。さらに、本発明の目的は、複数の照射スポットのパターン・シーケンスを用いた物体の照射による通常の共焦点結像の限界を回避できる、物体の共焦点結像(画像化)(光断層結像(画像化))の改善された方法を実現することである。さらに、本発明の目的は、通常の光学システムの限界を解消することができる、改良されたキャリア・ホイール装置を実現することである。特に、そのキャリア・ホイール装置は、小型のシステム構造、および相異なる作業(課題)に光学システムを適合化させる高い柔軟性を実現することが可能となるものである。
【0008】
発明の概要
これらの目的は、独立請求項の特徴を含む、結像システム、共焦点結像させる方法、およびキャリア・ホイール装置によって達成(解決)される。本発明の好ましい実施形態および適用例が従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明の第1の一般的な態様によれば、上述の目的は、時空間光変調結像システムによって、特に、調査対象の物体の焦点面における各共役位置に集束された複数の照射スポットのパターン・シーケンスでの物体の照射を用いて、調査対象の物体を共焦点結像させるよう構成し、一方、同時に(並行して)、カメラ装置(デバイス)で各共役位置(配置)からの検出光および各非共役(“焦点外れ”)位置からの幾つかの光信号を収集するよう構成された時空間光変調結像システムによって、達成(解決)される。この目的のために、その結像システムは、例えばDMDのような光変調マイクロミラー・デバイス、結像光学系(素子)、第1および第2の光中継装置(デバイス)、およびカメラ装置を含んでいる。照射に使用されない光変調マイクロミラー・デバイスの各ミラー要素は、排他的に各非共役(“焦点外れ”)位置のみからの光を収集する。結像システムの第1および第2の光軸に沿って捕捉される各信号の適切な組合せによって、光断層(“共焦点” )画像(結像)が得られる。任意に、その結像システムは、一体化された構成要素(部品)としての照射装置を含んでもよい。代替形態として、結像システムは、別個の照射装置と組み合わされてもよい。
【0010】
その結像光学系(素子)は、マイクロミラー・デバイスから変調器平面に垂直(直角)な変調器光軸に沿って進む照射光をその調査対象の物体に集束させ、およびその照射に応答して物体において生成された検出光を変調器光軸に沿ってマイクロミラー・デバイスに向けて方向付けるよう配置される。マイクロミラー・デバイスの複数のミラー要素の各々は、カメラ装置に向う第1および第2の光軸を規定(画定)する第1および第2の光中継装置のうちの一方と、変調器光軸との間に、反射器として配置される。それと同時に(並行して)、第1および第2の光中継装置は、各ダイクロイック・ビーム・スプリッタを介して結合された照射光を第1および第2の光軸上にマイクロミラー・デバイスに向けて方向付けるように使用される。
【0011】
カメラ装置は、第1および第2の光軸のうちの一方に沿って、マイクロミラー・デバイスの複数のミラー要素と、第1および第2の光中継装置のうちの一方とを介して進む検出光を収集するよう配置される。調査対象の物体において後方散乱された照射光を遮蔽するために、各ダイクロイック・ビーム・スプリッタとカメラ装置の間に第1および第2の光軸に各エミション・フィルタ(emission filters:放出フィルタ、吸収フィルタ)が配置される。
【0012】
さらに、結像システムは、マイクロミラー・デバイス、カメラ装置および照射装置を制御するよう配置された制御装置が設けられて、物体が照射スポットのパターン・シーケンスで照射され検出光が物体内の相異なる領域から収集されて、収集された検出光に基づいて複数の共焦点画像を再構成することができるようにされる。
【0013】
本発明によれば、結像システムは、さらに、キャリア・ホイール(carrier wheel:支持体車輪)装置を含んでおり、そのキャリア・ホイール装置は、複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数対の第1および第2のエミション・フィルタを支持するよう配置されており、また、そのキャリア・ホイール装置は、複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタの中の1対のスプリッタと、複数対の第1および第2のエミション・フィルタの中の1対のフィルタとが、同時にそれぞれ第1の光軸および第2の光軸に配置されるように、調整可能である。各1対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタは、互いに等しいスペクトル特性を有し、即ち、それぞれ反射されまたは透過(伝達)される等しい波長領域を有し、および/または、各1対の第1および第2のエミション・フィルタは互いに等しいスペクトル特性を有し、即ちそれぞれ等しい遮断(カットオフ)波長を有することが、好ましい。代替的に、他の適用例について、例えば、エミション・スペクトルを捕捉するために、互いに対向(両側)位置にあるフィルタおよび/またはダイクロイック・ビーム・スプリッタは、収集された画像に基づいて光学切片(断面、断層)を得るための相異なるスペクトル特性を有することができる。
【0014】
キャリア・ホイール装置は複数の動作(使用)位置を有し、その際、各動作位置において、第1および第2の入力ポート(入口)からの照射光を、特に第1および第2の光源装置からの照射光を、第1および第2の光軸上へ、第1および第2の光中継装置に向けてさらにマイクロミラー・デバイスへと方向付けるように、複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタ中の異なる1対のスプリッタが、第1および第2の光軸にそれぞれ配置される。それと同時に、複数対の第1および第2のエミション・フィルタ中の異なる1対のフィルタが、各動作位置で第1および第2の光軸において、それぞれその1対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタとカメラ装置の間のその区域に配置される。
【0015】
利点として、その選択された1対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよびその選択された1対の第1および第2のエミション・フィルタは、第1のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび第1のエミション・フィルタが第1の光軸に配置され、第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび第2のエミション・フィルタが第2の光軸に配置される形態で、互いに隣接するようにキャリア・ホイール装置に配置することができる。キャリア・ホイール装置は、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数のエミッション・フィルタからなるコンパクトな配置構成を形成し、また、キャリア・ホイール装置は、キャリア・ホイール装置の動作位置を調整することによって異なる複数対のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または異なる複数対のエミッション・フィルタへと切り替えるよう適合化される。従って、結像システムの全体的光学的設定構成はより小型の構造を有する。特に、結像システムの大きさ(サイズ)は、約20cm×30cmにまで小さくされる実装面積(フットプリント)で、最小化することができる。
【0016】
時空間光変調結像システムのキャリア・ホイール装置は、以下で概略的に説明する本発明の第3の態様によるキャリア・ホイール装置の特徴を有することが、好ましい。
【0017】
さらに、本発明によれば、その結像
システム(装置
)に含まれる筐体(または主要筐体)は、光変調マイクロミラー・デバイス、第1および第2の光中継装置を包囲し、キャリア・ホイール装置、特にその回転可能ホイール、を含んでいる。本発明の別の相当な利点として、キャリア・ホイール装置を含む結像
システムの小型の構造によって、環境からの光を遮蔽する筐体内に、マイクロミラー・デバイス、光中継装置およびキャリア・ホイール装置を収容することができるようになる。その筐体は複数の不透明壁部を含み、それ(筐体、壁部)は、結像光学系用の結像光学ポートを含み、任意に、カメラ装置を結合させるための少なくとも1つのポート、および結像システムに照射光を導入するための2つの照射ポートを含んでいる。従って、本発明による結像システムは、任意の照射(照明)環境において動作させることができる。さらに、その筐体は、環境の作用に対して任意の感受性が低減されるように、結像システムの保護を形成する。キャリア・ホイール装置はキャリア・ホイール筐体を含んでもよく、それ(筐体)は、結像システムの主要筐体に結合され、特に主要筐体の複数の筐体壁部の中の1つの壁部を形成することが、好ましい。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、キャリア・ホイール装置は、互いに独立に回転可能である一方で互いに隣接して配置された2つの回転可能ホイール(またはフィルタ・ホイール)を含んでいる。第1の回転可能ホイールは、複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタを支持する。第1の回転可能ホイールの1つの方位角方向に沿って、偶数個の貫通孔が設けられて、複数対の貫通孔が半径方向に対向位置関係で(半径方向の両側に)配置されるようにされる。複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタは、第1の回転可能ホイールのそれらの貫通孔に配置されて、好ましくは互いに等しいスペクトル特性を有するような第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタが、互いに対向位置関係で配置されるようにされる。代替的に、幾つかの適用例について、第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタは、異なるスペクトル特性を有することができ、例えば、そのダイクロイック・ビーム・スプリッタのうちの1つはガラス・プレートを含むことができる。第2の回転可能ホイールは、複数対の第1および第2のエミション・フィルタを支持する。第2の回転可能ホイールの1つの方位角方向に沿って、偶数個の貫通孔が設けられて、複数対の貫通孔が半径方向に対向位置関係で(半径方向の両側に)配置されるようにされる。複数対の第1および第2のエミション・フィルタは、第2の回転可能ホイールのそれらの貫通孔に配置されて、好ましくは互いに等しいスペクトル特性または代替的に互いに異なるスペクトル特性を有するような第1および第2のエミション・フィルタが、互いに対向位置関係で配置されるようにされる。
【0019】
第1および第2の回転可能ホイールは、変調器軸および第1および第2の光軸に対して垂直な平面において広がっている。第1および第2の回転可能ホイールは、筐体内に配置されて、各動作位置において、1対の貫通孔がそれぞれ第1および第2の光軸に配置されて、各1対の貫通孔が、それぞれ第1と第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび第1と第2のエミション・フィルタを支持するようにされる。第1および第2の回転可能ホイールを回転させることによって、他の複数対の第1と第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび第1と第2のエミション・フィルタを、それぞれ第1と第2の光軸に配置することができる。
【0020】
利点として、第1および第2の回転可能ホイールを設けることによって、特に結像作業に応じて、即ち調査対象の物体のスペクトル特性に応じて、各ダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび各エミション・フィルタの交換が、大幅にまたは実質的に容易になる。
【0021】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、キャリア・ホイール装置は、選択された複数対のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよびエミション・フィルタが、それぞれ第1および第2の光軸に沿った最小光ビーム直径の位置付近に配置される形態で、配置される。第1および第2の光中継装置は、第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタからの照射光をマイクロミラー・デバイス上に結像させるよう、およびそのマイクロミラー・デバイスからの照射光を第1および第2の光軸上に結像させるように、配置されており、また、第1および第2の光中継装置は、様々な直径を有する第1および第2の光軸に沿って光ビームを形成する。それらのダイクロイック・ビーム・スプリッタおよびエミション・フィルタが最小光ビーム直径の位置にまたはこの位置の近隣に配置される場合、それらのダイクロイック・ビーム・スプリッタおよびエミション・フィルタの大きさ(サイズ)を最小化することができる。特に、25mm(自由開孔21mm)未満の断面寸法を有する標準的光学部品を使用することができ、その結果、フィルタのコスト(費用)が低減され、利用可能なフィルタの選択の幅がより広くなり、キャリア・ホイール装置の大きさが低減され、特に第1および第2の回転可能ホイールの大きさが低減され、および/または複数対のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよびエミション・フィルタの対の数が増大する。
【0022】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、キャリア・ホイール装置は複数の取付けフレームを含み、そのフレームの各々は複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数のエミション・フィルタの中の1つを収容するよう配置される。各回転可能ホイールが好ましく設けられて、各取付けフレームが複数の貫通孔の中の1つに配置される。利点として、複数の取付けフレームによって、第1および第2の光軸において複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数のエミション・フィルタの正確な位置決めが容易になる。この実施形態の好ましい変形例によれば、各エミション・フィルタは、等方性バネ荷重機構を用いて各取付けフレームに取り付けられる。利点として、各エミション・フィルタの各取付けフレームへの挿入と、各エミション・フィルタの応力の無い状態での保持とが、等方性バネ荷重機構を使用することによって得られる。別の好ましい変形例によれば、それらの取付けフレームは、個々に、キャリア・ホイール装置、特に第1および第2の回転可能ホイールに挿入されまたはそこから取り外すことができる(着脱できる)。従って、本発明の特に好ましい実施形態では、第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または第1および第2のエミション・フィルタは、交換可能である。利点として、これによって、さらに、結像システムの適用範囲が、追加的なスペクトル範囲にまで拡大され、従って追加的な結像作業(課題)にまで拡大される。
【0023】
本発明の別の有利な実施形態によれば、第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび第1および第2のエミション・フィルタの中の少なくとも1つは、磁力の作用によって、対応する各取付けフレームに取り付けられる。従って、複数の取付けフレームまたは複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または複数のエミション・フィルタには、複数の磁気素子および/または複数の強磁性材料が設けられる。利点として、それらのダイクロイック・ビーム・スプリッタおよびエミション・フィルタを磁力で保持することによって、それらの交換が容易になる。
【0024】
それらのダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/またはエミション・フィルタは交換することができ、一方、キャリア・ホイール装置は結像システムの主要筐体に配置される。本発明のこの実施形態では、主要筐体、またはキャリア・ホイール装置のキャリア・ホイール筐体には、少なくとも1つのアクセス・ポートが設けられて、そのアクセス・ポートは、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または複数のエミション・フィルタをキャリア・ホイール装置に設け(入れ)またはキャリア・ホイール装置から取り外す(出す)ことができるように、配置される。
【0025】
本発明の代替的な特に好ましい実施形態によれば、第1および第2の回転可能ホイールの少なくとも一方はその筐体から取り外し可能である。この実施形態では、主要筐体、またはキャリア・ホイール装置のキャリア・ホイール筐体には、キャリア(支持体)ポート(特に、キャリア・ホイール筐体のカバー蓋)が設けられ、それ(ポート)を通して、第1および第2の回転可能ホイールの少なくとも一方をその筐体に挿入しまたはそこから取り外すことができる。利点として、この実施形態によって、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/またはエミション・フィルタを、同時に交換することが可能になる。さらに、キャリア・ホイール装置には、それを結像システムに導入する前に、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または複数のエミション・フィルタを設けることができ、それによって、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタまたは複数のエミション・フィルタを第1および/または第2の回転可能ホイール上の正しい各位置に配置するときの誤りを、回避することができるようにされる。
【0026】
2つの回転可能ホイールを設ける上述の好ましい実施形態では、両回転可能ホイールは筐体から共に取外し可能であるか、または両回転可能ホイールは筐体から別々に取外し可能であるか、または両回転可能ホイールのうちの一方だけが筐体から取外し可能となる。
【0027】
複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または複数のエミション・フィルタをキャリア・ホイール装置に配置する際の誤りを低減するために、以下の特徴のうちの少なくとも1つの特徴を実現することが、好ましい。第1の変形例によれば、キャリア・ホイール装置および/または複数の取付けフレームには、筐体に含まれるリーダ(読取器)装置によって読取り可能な例えばRFIDチップのような固有識別装置を設けることができる。利点として、その識別装置を用いることによって、適切な複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数のエミション・フィルタを選択する際の誤りの回避および結像システムの制御が、改善される。別の変形例によれば、キャリア・ホイール装置は、筐体に含まれるエンコーダ(符号化)装置によって読取り可能な少なくとも1つの位置マーカ(標識)、例えば光学コードおよび/または反射器、を含んでいる。利点として、これによって、筐体におけるキャリア・ホイール装置の正しい動作位置の正確な制御および試験が容易になる。
【0028】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、キャリア・ホイール装置はキャリア・ホイール筐体を含み、各回転可能ホイールはキャリア・ホイール筐体において回転可能に支持される。キャリア・ホイール筐体には、選択された各動作位置に回転可能ホイールを移動させるための少なくとも1つの駆動モータを含む駆動装置が設けられる。キャリア・ホイール筐体は、各回転可能ホイールの回転を案内するよう構成される。好ましくは、第1および第2の回転可能ホイールを設けることによって、キャリア・ホイール筐体は、その円周端縁部に沿って第1および第2の回転可能ホイールを収容するベアリング(支持面、軸受)を形成する。従って、駆動装置には、第1および第2の回転可能ホイールの各回転軸から(に対して)半径方向の或る距離を置くことができる。利点として、これは、結像システムの構造の小型化に寄与する。
【0029】
利点として、本発明の結像システムは、特に欧州特許出願公開第2369401号に開示されているように、カメラ装置に向けて別々の第1および第2の光軸を形成するよう、または第1と第2の光軸を組み合わせる(合成する)よう適合化させることができる。第1の事例では、本発明の好ましい実施形態では、カメラ装置は、第1および第2の光軸上をそれぞれ進む検出光を収集するよう適合化された第1の検出器カメラおよび第2の検出器カメラを含んでいる。第2の事例では、カメラ装置は、カメラ装置の前に結合された第1と第2の光軸の双方上を進む検出光を収集するよう配置された1つの単一検出器カメラを含んでいる。
【0030】
本発明の第2の一般的な態様によれば、上述の目的は、調査対象の物体を共焦点結像させる方法によって達成(解決)され、その際、本発明の上述の第1の態様による時空間光変調結像システムが使用される。特に、共焦点結像方法は、以下の複数のステップを含む。
【0031】
第1に、複数対の第1および第2のダイクロイック・ビーム・スプリッタの中の1対のスプリッタと、複数対の第1および第2のエミション・フィルタの中の1対のフィルタとを、そのスペクトル特性と、調査対象の物体のスペクトル吸収および放出(発光)パラメータとに応じて選択するように、筐体内で回転可能ホイールが調整される。任意に、キャリア・ホイール装置には、それを筐体内に導入する前に、適切な複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび複数のエミション・フィルタが設けられる。
【0032】
第2に、結像システムは、欧州特許出願公開第2369401号に記載されている複数の動作モード中の1つの動作モードに従って作動され、変調器光軸に対して第1の傾斜角と第2の傾斜角の間で複数のミラー要素を個々に切り替えることで光変調マイクロミラー・デバイスを作動させ、調査対象の物体上に照射光を集束させ、調査対象の物体からの検出光をマイクロミラー・デバイスおよび第1および第2の光中継装置を介してカメラ装置に向けて方向付け、カメラ装置で検出光を収集すること、を含んでいる。収集された検出光に基づいて、取得すべき物体の共焦点画像が再構成される。
【0033】
本発明の第3の一般的な態様によれば、上述の目的は、複数の光学部材を支持するよう構成されたキャリア・ホイール装置、特にフィルタ・ホイール装置、によって達成(解決)される。また、そのキャリア・ホイール装置、特にフィルタ・ホイール装置は、複数の第1の光学部材を収容するよう構成された第1の回転可能ホイールと、第1の回転可能ホイールを収容するキャリア・ホイール筐体とを含んでいる。キャリア・ホイール筐体は、第1の回転可能ホイールを回転可能な形態で支持する外側ベアリングと、第1の回転可能ホイールの各周辺端縁部に作用させることによって第1の回転可能ホイールを駆動するように軸外の(off-axis:離心)位置に配置された駆動装置と、を形成するまたは備える。キャリア・ホイール装置は、特に以下の複数の特徴の中の少なくとも1つを含んでおり、本発明の第1の一般的な態様の時空間光変調結像システムに設けられることが、好ましい。
【0034】
利点として、キャリア・ホイール装置は、外側ベアリングと、駆動装置の軸外配置とによって、光学システムに容易に一体化(統合)できる小型の構造を形成する。特に、キャリア・ホイール装置の軸方向部分には構成要素(部品)が無いので、光学システムの他の構成要素に隣接する小型の構造化または組立てが容易に得られる。さらに、キャリア・ホイール筐体は、回転可能ホイールを保持しおよび回転可能ホイールを駆動する点で二重の機能を果たす。
【0035】
キャリア・ホイール装置は、互いに独立に調整可能な2つの回転可能ホイールを含むことが、好ましい。第1の回転可能ホイールに加えて、複数の第2の光学部材を収容するよう構成された第2の回転可能ホイールが設けられる。第2の回転可能ホイールは、キャリア筐体内に第1の回転可能ホイールに隣接して配置され、回転可能な態様で外側ベアリングによって支持される。第1および第2の回転可能ホイールは、互いに平行に、共通の回転軸を有するように配置される。それら(ホイール)は同じ直径を有することが、好ましい。複数の第1の光学部材は、キャリア・ホイール装置の第1の側部(面側)に配置され、複数の第2の光学部材は、その(装置の)第1の側部とは反対側にあるキャリア・ホイール装置の第2の側部(面側)に配置される。駆動装置は、第1と第2の回転可能ホイールの双方をその(ホイールの)各周辺端縁部において駆動するよう配置される。
【0036】
複数の光学部材は、複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタおよび/または複数の光フィルタを含むことが、好ましい。特に好ましい例では、キャリア・ホイール装置の第1の側部(面側)の複数の第1の光学部材は、異なるスペクトル特性を有する複数のダイクロイック・ビーム・スプリッタを含み、キャリア・ホイール装置の第2の側部(面側)の複数の第2の光学部材は、異なるスペクトル特性を有する複数の光フィルタを含んでいる。代替的な特徴では、他の光学部材、例えば偏光器および/または各グレースケール・フィルタ、を設けることができる。
【0037】
キャリア・ホイール装置の軸方向部分には構成要素(部品)が無いので、キャリア・ホイール装置は、その中央または中心に貫通孔を有するように構成することができる。その貫通孔は、第1および第2の回転可能ホイールを貫通して伸び、キャリア・ホイール装置中を貫通する少なくとも1つの追加的なビーム経路に有利に使用できる通路を形成し、および/または、電気線、機械部品および/または熱ライン(管)、例えばヒートパイプ、を収容する。
【0038】
利点として、共通のキャリア・ホイール筐体内に第1および第2の回転可能ホイールを共に収容することによって、第1および第2の光学部材の複数の動作位置を有するキャリア・ホイール装置の小型の構造が形成される。
【0039】
本発明によるキャリア・ホイール装置の好ましい実施形態によれば、外側ベアリングは、キャリア・ホイール筐体に配置された複数のベアリング・ローラを含んでいる。第1の回転可能ホイールまたは第1と第2の回転可能ホイールの双方を支持する3つのベアリング・ローラを設けることが、好ましい。それらのベアリング・ローラが、第1の方位角(azimuthal)支持(ベアリング)位置において第1の回転可能ホイールを支持する第1の変位可能なベアリング・ローラ、および任意に第2の方位角支持(ベアリング)位置において第2の回転可能ホイールを支持する第2の変位可能なベアリング・ローラを含み、一方、2つの固定ベアリング・ローラが、他の方位角位置において回転可能な形態で配置された第1の回転可能ホイールまたは第1と第2の回転可能ホイールの双方を支持する場合には、その(それらの)回転可能ホイールを調整することに関する利点が得られる。第1および任意の第2の変位可能なベアリング・ローラは、回転可能なおよび半径方向に移動可能な形態で配置される。利点として、それら(ローラ)は、各回転可能ホイールのクリアランス(隙間)および支持力(支承力)を調整するために使用することができる。
【0040】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、第1および第2の変位可能なベアリング・ローラの少なくとも1つは、対応する回転可能ホイールが外側ベアリングによって支持される支持状態と、対応する回転可能ホイールが外側ベアリングから取り外され得る解除状態との間で、手動で半径方向に移動するよう適合化される。手動で半径方向に移動するよう適合化されたその変位可能なベアリング・ローラは、スライダ基部によって支持されることが好ましく、それ(基部)によって、例えばローレット(刻み付き)頭ネジ(knurled head screws)のような複数の手動操作可能なネジの作用によって、変位可能なベアリング・ローラの固定または解除(解放)が可能になる。
【0041】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、駆動装置は、第1および第2の回転可能ホイールの少なくとも一方に結合された摩擦ホイール(車)を支持する少なくとも1つのステップ・モータを含み、その少なくとも1つのステップ・モータはキャリア・ホイール筐体にバネ荷重式の旋回(枢動)可能な形態で配置される。利点として、その摩擦ホイールは、バネ荷重式の旋回可能なステップ・モータによって、回転可能ホイールに対して押圧される。
【0042】
本発明の別の好ましい特徴によれば、その少なくとも1つのステップ・モータが、キャリア・ホイール筐体の第1の側部(面側)でバネ荷重式のレバー部(梃部)によって支持され、摩擦ホイールがキャリア・ホイール筐体の反対側の第2の側部(面側)に配置される場合に、キャリア・ホイール装置の小型の構造に関する利点が得られる。
【0043】
キャリア・ホイール筐体は、互いに或る距離で隔てられた互いに平行な第1および第2の光軸に対して、1つ(または複数)の回転可能ホイールを配置するよう構成されることが、好ましい。この目的のために、キャリア・ホイール筐体は、第1の光軸通路および第2の光軸通路を有し、その際、第1の回転可能ホイールは、複数の第1の光学部材の中の1つを第1の光軸通路に、および複数の第1の光学部材の中の別の1つを第2の光軸通路に同時に配置するよう構成され、任意の第2の回転可能ホイールは、複数の第2の光学部材の中の1つを第1の光軸通路に、および複数の第2の光学部材の中の別の1つを第2の光軸通路に同時に配置するよう構成される。各回転可能
ホイールは、第1および第2の光学部材の中の1つが配置される偶数個の貫通孔を有することが、好ましい。この場合、第1の光軸通路および第2の光軸通路は、その1つ(または複数)の回転可能ホイールの軸に対して互いに対向位置に(両側に)配置することができる。
【0044】
利点として、キャリア・ホイール筐体には、第1および第2の光軸通路と位置合せされた(整列した)各光学レンズを支持するカバー壁部を設けることができる。それらの光学レンズは、第1および第2の光軸に沿って進む光照射野(light field)を結像させおよび/または補正するのに使用することができる。そ
の筐体は、それらの回転可能ホイールの少なくとも1つの取外しまたは挿入を可能にする旋回(枢動)可能なカバー蓋を含むことができる。
【0045】
本発明の他の好ましい特徴によれば、キャリア・ホイール装置には、本発明の第1の一般的な態様を参照して上述した複数の特徴の中の少なくとも1つを備えることができる。第1および任意の第2の回転可能ホイールは、エンコーダ装置によって読み取り可能な少なくとも1つの位置マーカを支持することができる。代替的にまたは追加的に、第1および任意の第2の回転可能ホイールは、各々が第1または第2の光学部材の1つを収容するよう配置された複数の取付けフレームを有することができる。複数の取付けフレームは、第1の回転可能ホイールに個々に挿入しまたは第1の回転可能ホイールから個々に取り外すことができることが、好ましい。利点として、これによって、複数の単一光学部材の交換が容易になる。さらに、複数の取付けフレームは、キャリア・ホイール筐体内のリーダ装置によって読取可能な、例えばRFIDチップのような固有識別装置を含むことができる。
【0046】
本発明の他の詳細および利点を、図面を参照して以下で説明する。