特許第6815448号(P6815448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815448
(24)【登録日】2020年12月24日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】固体撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20210107BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20210107BHJP
   H04N 9/07 20060101ALI20210107BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   H04N5/369
   H04N9/07 A
   H01L27/146 D
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-136767(P2019-136767)
(22)【出願日】2019年7月25日
(65)【公開番号】特開2020-173417(P2020-173417A)
(43)【公開日】2020年10月22日
【審査請求日】2019年7月25日
(31)【優先権主張番号】16/382,808
(32)【優先日】2019年4月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】林 正軒
(72)【発明者】
【氏名】塗 宗儒
(72)【発明者】
【氏名】張 育淇
(72)【発明者】
【氏名】李 京樺
【審査官】 酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−028241(JP,A)
【文献】 特開2019−029985(JP,A)
【文献】 特開2018−014476(JP,A)
【文献】 特開2012−227478(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0035887(US,A1)
【文献】 特開2011−040454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
H01L 27/146
H04N 5/369
H04N 9/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像装置であって、
画素アレイ中に配列された複数の光電変換素子と、
前記光電変換素子の上方に位置する複数のカラーフィルターセグメントを有し、前記カラーフィルターセグメントの各々が、前記画素アレイのそれぞれの画素中に設置されるカラーフィルター層と、
前記カラーフィルター層の上方にあり、導波路分割格子、および、前記導波路分割格子のスペース中の導波路材を有し、前記導波路材が、前記導波路分割格子より高い屈折率を有し、且つ、前記導波路材が、前記画素アレイの各画素中に、同一の屈折率を提供する光導波路層、
を有することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
さらに、前記導波路分割格子の下方に、カラーフィルター分割格子を有し、前記カラーフィルターセグメントが、前記カラーフィルター分割格子のスペース中に設置され、且つ、前記カラーフィルター分割格子は、前記カラーフィルターセグメントより低い屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記画素アレイは、前記画素アレイの中央領域、あるいは、前記固体撮像装置の中央領域で、複数の第一画素を有し、前記第一画素中の前記導波路分割格子は、前記光導波路層の上表面に垂直な方向で、前記カラーフィルター分割格子と照準を合わせ、且つ、前記第一画素は、位相差検出オートフォーカス (PDAF)画素を有し、前記PDAF画素は、前記カラーフィルターセグメントの下方に設置される複数の前記光電変換素子を有し、且つ、前記PDAF画素中の前記カラーフィルターセグメントは、同一色を有し、且つ、互いに接触することを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記画素アレイは、前記画素アレイの縁部、あるいは、前記固体撮像装置の中央領域の外側の周辺領域で、複数の第二画素を有し、前記第二画素中の前記導波路分割格子は、前記光導波路層の上表面に平行な平面の水平方向で、前記カラーフィルター分割格子に対して、シフト距離を有し、および、前記第二画素中の前記導波路分割格子の前記シフト距離は一致することを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記画素アレイは、前記画素アレイの縁部、あるいは、前記固体撮像装置の中央領域の外側の周辺領域で、複数の第二画素を有し、前記第二画素中の前記導波路分割格子は、前記光導波路層の上表面に平行な一平面上にある水平方向で、前記カラーフィルター分割格子に対して、シフト距離を有し、および、前記第二画素中の前記導波路分割格子の前記シフト距離は、それぞれ、異なることを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記画素アレイは、前記画素アレイの縁部、あるいは、前記固体撮像装置の中央領域の外側の周辺領域で、複数の第二画素を有し、前記第二画素中の前記導波路分割格子は、前記光導波路層の上表面に平行な一平面上にある水平方向で、前記カラーフィルター分割格子に対して、シフト距離を有し、および、前記第二画素は、位相差検出オートフォーカス (PDAF)画素を有し、前記PDAF画素は、前記カラーフィルターセグメントの下方に設置される複数の前記光電変換素子を有し、前記前記PDAF画素中の前記カラーフィルターセグメントは、同一色を有し、且つ、互いに接触することを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
さらに、
前記カラーフィルター層と前記光導波路層との間にあり、前記導波路材の前記屈折率より低い、あるいは、前記導波路分割格子の前記屈折率に等しい屈折率を有する平坦層、あるいは、
前記光導波路層上にあり、前記導波路分割格子の前記屈折率以下である屈折率を有する保護層、
を有することを特徴とする請求項1、あるいは、2に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
さらに、前記光導波路層の上方に設置される追加の光導波路層を有し、前記追加の光導波路層は、上方の導波路分割格子、および、前記上方の導波路分割格子のスペースの上方導波路材を有し、前記上方導波路材は、前記上方の導波路分割格子より高い屈折率を有し、前記上方導波路材は、前記画素アレイの各画素中に、同一の屈折率を提供し、前記導波路材の前記屈折率は、前記上方導波路材より高く、前記上方の導波路分割格子は、前記光導波路層の上表面に垂直な方向で、前記導波路分割格子と照準を合わせることを特徴とする請求項1、あるいは、2に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
さらに、前記光導波路層の上方に設置された追加の光導波路層を有し、前記追加の光導波路層は、上方の導波路分割格子、および、前記上方の導波路分割格子のスペース中に上方導波路材を有し、前記上方導波路材は、前記上方の導波路分割格子より高い屈折率を有し、前記上方導波路材は、前記画素アレイの各画素中に、同一の屈折率を提供し、前記導波路材の前記屈折率は、前記上方導波路材より高く、前記上方の導波路分割格子、前記導波路分割格子、および、前記カラーフィルター分割格子は、同一材により形成されることを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
さらに、前記導波路材、および、前記導波路分割格子の上に反射防止膜を有し、前記反射防止膜、および、前記導波路分割格子は、同一材により形成されることを特徴とする請求項1、あるいは、2に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
各画素中の前記導波路材は幅を有し、各画素は画素幅を有し、且つ、前記幅と前記画素幅の比率は、約0.15〜約0.95であることを特徴とする請求項1、あるいは、2に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
異なる画素中の前記導波路材は異なる幅を有し、且つ、異なる画素中の前記導波路材の前記幅の変化は周期的であることを特徴とする請求項1、あるいは、2に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
異なる画素中の前記導波路材は異なる幅を有し、且つ、異なる画素中の前記導波路材の前記幅の変化は非周期的であることを特徴とする請求項1、あるいは、2に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記導波路材は約0.2μm〜約1.5μmの厚さを有し、前記導波路分割格子の前記屈折率は1.0〜1.99であり、および、前記導波路材の前記屈折率は1.1〜2.0であることを特徴とする請求項1、あるいは、2に記載の固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものであって、特に、カラーフィルター層の上方に、最上部光導波路層を有する固体撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電荷結合素子(CCD)イメージセンサー、および、相補型MOS(CMOS)イメージセンサー等のイメージセンサーは、各種画像捕捉装置、たとえば、デジタルスチルイメージカメラ(digital still-image cameras)、デジタルビデオカメラ(digital video cameras)等に幅広く用いられている。イメージセンサーは、画素アレイの方式で配列された複数の画素を有する。各画素は、たとえば、フォトダイオード等の光電変換器(photoelectric transducer)を有し、シリコンチップ等の半導体基板中に形成される。フォトダイオードは、イメージセンサー上に照射する入射光に対し、光電変換を実行することにより、電荷を生成する。フォトダイオード中で生成される光電子に対応する電荷は、CCD型、あるいは、CMOS型の読み取り回路により、送信、且つ、増幅されて、撮像信号(imaging signals)を得る。
【0003】
いくつかの画像取込装置(image capture devices)は、位相差検出センサーを用いて、オートフォーカスを実行する。センサー上の位相差検出は、撮像画素(imaging pixels)間に、位相差検出オートフォーカス(PDAF)画素を組み入れることにより作動する。PDAF画素は、通常、左側と右側画素のまばらなパターンが重複して、撮像画素間に配置されている。このイメージセンサーは、異なる位相差検出画素により生成される信号間の位相差、たとえば、左側画素とそれに近い右側画素間の位相差を検出することができる。通常、位相検出オートフォーカスの操作は、対比に基づくオートフォーカスよりも速い。
【0004】
近年、画素の数量を増加させて、高解像度イメージを提供するために、CMOSイメージセンサーに代表されるイメージセンサーは、画素サイズを減少させることが趨勢である。しかし、画素サイズが減少し続けると同時に、イメージセンサーの設計と製造において、依然として、各種挑戦が存在する。
【0005】
従来のCMOSイメージセンサー(CIS)において、入射光は、斜角で、イメージセンサーの画素アレイの縁部上を照射するので、イメージセンサーの角でクロストーク問題が起こりやすい。良好なアルゴリズムがない状況下で、クロストーク問題は、イメージ検出失敗、および、オートフォーカス機能エラーを発生する。画素サイズが減少し続けるにつれて、クロストーク(cross talk)問題をさらに悪化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、最上部ガイド(top guide)構造をカラーフィルター層上に設置して、固体撮像装置のクロストーク問題を克服する固体撮像装置を提供することを目的とする。本発明の実施形態によると、最上部ガイド構造は、光導波路(optical waveguide)層であり、低屈折率の分割格子、および、低屈折率の分割格子のスペース中の高屈折率の材料を有する。このほか、本発明の実施形態の最上部ガイド構造は、固体撮像装置の位相差検出オートフォーカス(PDAF)機能を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態において、固体撮像装置が提供される。この固体撮像装置は、画素アレイ中に配列された複数の光電変換素子を有する。固体撮像装置は、さらに、光電変換素子の上方に複数のカラーフィルターセグメントを有するカラーフィルター層を有する。各カラーフィルターセグメントは、画素アレイのそれぞれの画素中に設置される。固体撮像装置は、さらに、カラーフィルター層の上方に、光導波路層を有する。光導波路層は、導波路分割格子、および、導波路分割格子のスペース中の導波路材を有する。導波路材は、導波路分割格子より高い屈折率を有する。導波路材は、画素アレイの各画素に、同じ屈折率を提供する。
【0008】
添付図面を参照しながら、詳細な記述が以下の実施形態中に与えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、最上部ガイド(top guide)構造がカラーフィルター層上に設置されて、固体撮像装置のクロストーク問題を克服するほか、最上部ガイド構造が、固体撮像装置の位相差検出オートフォーカス(PDAF)機能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付図面と後続の詳細な記述と例を読み取ることにより、本発明がさらに理解できる。
図1】本発明のいくつかの実施形態による固体撮像装置の概略断面図である。
図2A】本発明のいくつかの実施形態による図1の光導波路層を有する固体撮像装置を形成する例示的方法の様々な段階の構造の概略断面図である。
図2B】本発明のいくつかの実施形態による図1の光導波路層を有する固体撮像装置を形成する例示的方法の様々な段階の構造の概略断面図である。
図2C】本発明のいくつかの実施形態による図1の光導波路層を有する固体撮像装置を形成する例示的方法の様々な段階の構造の概略断面図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態による固体撮像装置の概略断面図である。
図4A】本発明のいくつかの実施形態による図3の光導波路層を有する固体撮像装置を形成する例示的方法の様々な段階の構造の概略断面図である。
図4B】本発明のいくつかの実施形態による図3の光導波路層を有する固体撮像装置を形成する例示的方法の様々な段階の構造の概略断面図である。
図4C】本発明のいくつかの実施形態による図3の光導波路層を有する固体撮像装置を形成する例示的方法の様々な段階の構造の概略断面図である。
図5A】本発明のいくつかの実施形態による位相差検出オートフォーカス(PDAF)画素を有する固体撮像装置の画素アレイの一部の概略平面図である。
図5B】本発明のいくつかの実施形態による図5Aの線B−Bに沿った、PDAF画素を有する固体撮像装置の概略断面図である。
図6A】本発明のいくつかの実施形態による画素アレイの中央領域で、ノーマル(normal)画素を有する固体撮像装置の一部の概略断面図である。
図6B】本発明のいくつかの実施形態による画素アレイの端で、ノーマル画素を有する固体撮像装置の一部の概略断面図である。
図7A】本発明のいくつかの実施形態による画素アレイの中央領域で、PDAF画素を有する固体撮像装置の一部の概略断面図である。
図7B】本発明のいくつかの実施形態による画素アレイの端で、PDAF画素を有する固体撮像装置の一部の概略断面図である。
図8】本発明のいくつかの実施形態による最上部ガイド構造を有する固体撮像装置の概略断面図である。
図9】本発明のいくつかの実施形態による最上部ガイド構造を有する固体撮像装置の概略断面図である。
図10】本発明のいくつかの実施形態による最上部ガイド構造を有する固体撮像装置の概略断面図である。
図11】本発明のいくつかの実施形態による最上部ガイド構造を有する固体撮像装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は本開示を実施するために考えられた態様である。この説明は、本開示の一般的な原理を例示する目的のために作成され、限定的な意味で解釈されるべきではない。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することにより最良に決定される。
【0012】
固体撮像装置において、入射光は、斜角で、画素アレイの縁部上に照射され、この斜角は、画素アレイの中央領域に照射する入射光の法線角度(normal angle)より大きい。入射光の角度は、固体撮像装置の受光表面の法線により決定される。たとえば、画素アレイの縁部上に照射される入射光の斜角は、約+/-20度〜約 +/-40度、画素アレイの中央領域上に照射される入射光の法線角度は、約0度である。
【0013】
受光ユニットに入射する光線の方向の分類において、固体撮像装置は、大まかに、二個のグループに分類される。一つは、読み取り回路の配線層が形成される半導体基板の前側に入射する光線を受光する表面照射(FSI)撮像装置である。もう一つは、配線層が形成されない半導体基板の背面に入射する光線を受光する背面照射(BSI)撮像装置である。カラー画像の撮像のために、FSI、および、BSI撮像装置中にカラーフィルターが提供される。FSI、および、BSI撮像装置は、通常、遮光格子構造を有し、画素間の光線をブロックして、混色を防止する。
【0014】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による固体撮像装置100の断面図である。固体撮像装置100は、相補型MOS(CMOS)イメージセンサー、あるいは、電荷結合素子(CCD)イメージセンサーで形成される。固体撮像装置100は、半導体基板101、たとえば、ウェハ、あるいは、チップを有する。半導体基板101は、前面101F、および、前面101Fと反対側の背面101Bを有する。複数の光電変換素子103、たとえば、フォトダイオードが、半導体基板101中に形成される。光電変換素子103は、以降、フォトダイオード103と称することがある。固体撮像装置100は、画素アレイで配列される複数の画素Pを有する。各フォトダイオード103は、画素アレイの一つのそれぞれの画素中に設置される。半導体基板101中のフォトダイオード103は、分離構造(図示しない)、たとえば、シャロートレンチアイソレーション(STI)領域、あるいは、ディープトレンチアイソレーション領域により互いに分離される。エッチングプロセスを用いて、分離構造が、半導体基板101中に形成されて、トレンチを形成するとともに、トレンチに、絶縁、あるいは、誘電材を充填する。実施形態の固体撮像装置の図面は、数個の画素だけを示しているが、実際は、固体撮像装置は、画素アレイ中に、数百万、あるいは、それ以上の画素を有する。
【0015】
いくつかの実施形態において、フォトダイオード103が、半導体基板101の背面101B上に形成される。配線層105は、半導体基板101の前面101F上に形成される。配線層105は、複数の導電線、および、複数の誘電層に組み込まれるバイアスを有する相互接続構造であり、且つ、さらに、固体撮像装置100に必要な各種電子回路を有する。いくつかの実施形態において、図1に示される固体撮像装置100は、入射光150が、背面101Bの側面を照射するとともに、フォトダイオード103により受光され、よって、背面照射 (BSI)撮像装置と称される。その他のいくつかの実施形態において、固体撮像装置は、表面照射(FSI)撮像装置である。図1に示される半導体基板101、および、配線層105は、FSI撮像装置に対し上下が反転している。FSI撮像装置において、入射光150は、前面101Fの側面を照射し、配線層105を通過して、その後、半導体基板101の背面101B上に形成されるフォトダイオード103により受光される。入射光がFSI撮像装置を通過して、フォトダイオードに到達する経路は、BSI撮像装置より遠い。
【0016】
図1に示されるように、いくつかの実施形態において、固体撮像装置100は、さらに、半導体基板101の背面101B上に形成され、且つ、光電変換素子103を被覆する高誘電率(high-k)膜107を有する。高誘電率膜107は、蒸着プロセスを用いて、酸化ハフニウム(hafnium oxide、HfO2)、酸化ハフニウムタンタル(hafnium tantalum oxide、HfTaO)、酸化ハフニウムチタン(hafnium titanium oxide、HfTiO)、酸化ハフニウムジルコニウム(hafnium zirconium oxide、HfZrO)、五酸化タンタル(tantalum pentoxide、Ta2O5)、あるいは、その他の適当な高誘電率(high-k)の誘電材により形成される。蒸着プロセスは、たとえば、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ助長CVD(PECVD)、原子層蒸着(ALD)、あるいは、別の蒸着技術である。高誘電率膜107は、高屈折率、および、光吸収能力を有する。
【0017】
いくつかの実施形態において、固体撮像装置100は、さらに、高誘電率膜107上に形成されるバッファ層109を有する。バッファ層109は、蒸着プロセスを用いて、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、あるいは、その他の適当な絶縁材により形成される。蒸着プロセスは、たとえば、スピンオンコーティング、CVD、流動性CVD(FCVD)、PECVD、物理的気相蒸着(PVD)、あるいは、別の蒸着技術である。半導体基板101、光電変換素子(あるいは、フォトダイオード)103、配線層105、高誘電率膜107、および、バッファ層109は、まとめて、光電変換構造110と称することができる。
【0018】
このほか、いくつかの実施形態において、図1に示されるように、固体撮像装置100は、バッファ層109上に形成される遮光層111を有する。遮光層111は、固体撮像装置100の画素間に設置される複数の遮光パーティションを有する。上から見ると、遮光層111の遮光パーティションは、格子構造を構成する。いくつかの例において、遮光層111は金属で形成され、且つ、金属格子構造と称することができる。
【0019】
カラーフィルター分割格子113Bが、遮光層111の遮光パーティション上に形成され、且つ、遮光パーティションを被覆する。カラーフィルター分割格子113Bは、約1.0〜約1.99の低屈折率を有する透明誘電材から形成される。複数のカラーフィルターセグメント115は、それぞれ、カラーフィルター分割格子113Bのスペース中に設置される。カラーフィルター分割格子113Bの屈折率は、カラーフィルターセグメント115の屈折率より低い。各カラーフィルターセグメント115は、画素P中のそれぞれ一つの光電変換素子103に対応する。いくつかの実施形態において、カラーフィルターセグメント115は、適当な配置によって配置される赤(R)、緑(G)、青(B)カラーフィルターセグメントを有する。図1に示される4個のカラーフィルターセグメント115は、たとえば、順に、G、G、R、および、Rで配置される。その他のいくつかの実施形態において、カラーフィルターセグメント115は、さらに、白色(W)、あるいは、適当な配置で、R、G、および、Bカラーフィルターセグメントと一緒に配列されるその他の色のカラーフィルターセグメントを有する。カラーフィルターセグメント115は、カラーフィルター分割格子113Bの上表面と同じ高さの上表面を有する。遮光層111、カラーフィルター分割格子113B、および、カラーフィルターセグメント115は、まとめて、カラーフィルター層120と称することができる。
【0020】
本発明の実施形態によると、最上部ガイド構造、たとえば、光導波路層130が、カラーフィルター層120上に形成される。光導波路層130は、カラーフィルター分割格子113B上の導波路分割格子113A、および、導波路分割格子113Aのスペース中の導波路材121を有する。導波路材121の上表面は、導波路分割格子113Aの上表面と同じ高さである。いくつかの実施形態において、導波路分割格子113Aは、約1.0〜約1.99の低屈折率を有する透明誘電材から形成される。導波路材121は、導波路分割格子113Aより高い屈折率を有する別の透明誘電材から形成される。いくつかの実施形態において、導波路材121の屈折率は、約1.1〜約2.0である。
【0021】
通常、波長は、開放空間中で球面波であり、全方向に伝搬する。波のパワーは、ソースからの距離Rで距離の二乗低下する(逆二乗の法則)。たとえば、光波、つまり、光線が、イメージセンサーのマイクロレンズ構造中で伝搬するとき、光線のエネルギーは、光源からの距離Rで距離の二乗低下する。しかし、導波路構造は、波長を、一次元で伝搬するように制限するので、理想的な条件下で、波長は、導波路構造中で伝搬時に、パワーの損失がない。導波路構造の壁面で全反射が発生するので、波長は、導波路構造内部で制限される。
【0022】
光導波路構造は、光学スペクトル中の電磁波、たとえば、可視光を導く構造であり、一次元、あるいは、二次元空間への展開を制限することにより、エネルギーの損失を最小限に抑える。本発明のいくつかの実施形態中の最上部ガイド構造は、固体撮像装置のカラーフィルター層の上方に形成される光導波路層である。光導波路層の物理的制約条件がない状況下で、それらが、三次元空間に伝搬するとき、波の振幅は、逆二乗の法則にしたがって減少する。
【0023】
光周波数で用いられる導波路は、通常、誘電導波路構造であり、高誘電率、つまり、高屈折率を有する誘電材は、低誘電率、つまり、低屈折率を有する材料により包囲される。この構造は、全内部反射により光波を導く。光導波路の一例は、光ファイバーである。
【0024】
本発明の実施形態において、導波路分割格子113Aより高い屈折率を有する導波路材121は、図1に示されるように、全内部反射により、傾斜入射光150を、固体撮像装置100上に照射するように導くことができる。これにより、本発明の実施形態による光導波路層130は、傾斜入射光150を制限して、カラーフィルターセグメント115の方に、一次元で伝搬するようにすることができる。導波路分割格子113Aの壁面の全反射により、光線が、光導波路層130の導波路材121内部で制限されるので、カラーフィルターセグメント115に伝搬している間、入射光150はパワーの損失がない、あるいは、損失がわずかである。これにより、固体撮像装置の画素の感度が向上する。
【0025】
このほか、本発明の実施形態によると、カラーフィルターセグメント115の同一の色、あるいは、異なる色を有する異なる画素における導波路部材121の一部の部分は、同一材で形成される。これにより、光導波路層130は、同一の色、あるいは、異なる色を有する異なる画素で、同等の屈折率を提供することができる。図1に示されるように、導波路分割格子113A中に照射する傾斜入射光150は、反射と透過により、反射光150Rと透過光150Tに分けられる。反射光150R、および、透過光150Tは、異なる画素で、同一材の導波路材121を通過するので、反射光150R、および、透過光150Tは同じエネルギーを有して、異なる画素のカラーフィルターセグメント115に進入する。これにより、光導波路層130は、隣接画素の反射光150R、および、透過光150Tを、より一致させる。よって、本発明の実施形態により、固体撮像装置の角のクロストーク問題が解決される。
【0026】
固体撮像装置が、カラーフィルター層の上方に、本発明の実施形態の光導波路層を設置していないとき、傾斜入射光は、直接、カラーフィルター分割格子中に照射し、反射光、および、透過光に分けられる。隣接画素で、異なる色を有するカラーフィルターセグメントに進入する反射光、および、透過光は、反射光、および、透過光に、異なるエネルギーを有させる。さらに、この反射光、および、透過光中の異なるエネルギーは、同一色を有する隣接画素で、異なる信号強度を生成し、この現象は、チャネル分離(channel separation)と称される。チャネル分離は、画像検出効果を悪くする。
【0027】
同一色の異なる画素で、感度を測定した結果として、本発明の実施形態の光導波路層を有する固体撮像装置において、G画素の感度の差は約2.7%(標準化(normalize)感度)、R画素の感受性の差は約1.4%、および、B画素の感受性の差は約1.6%である。しかし、本発明の実施形態の光導波路層がない固体撮像装置において、G画素の感度の差は約4.9%(標準化感度)、R画素の感度の差は約1.5%、および、図B画素の感度の差は約4.4%である。上述の結果は、本発明の実施形態の光導波路層を有する固体撮像装置が、同一色の異なる画素の感度を、さらに一致させることができることを証明する。これにより、本発明の実施形態の光導波路層によると、チャネル分離の問題が克服され、且つ、固体撮像装置の画像検出効果が改善される。
【0028】
いくつかの実施形態において、導波路分割格子113A、および、カラーフィルター分割格子113Bは、同一材で形成される。このほか、導波路分割格子113A、および、カラーフィルター分割格子113Bは、たとえば、蒸着、および、エッチングプロセス等の同じ工程段階により一緒に製造される。その他のいくつかの実施形態において、導波路分割格子113A、および、カラーフィルター分割格子113Bは異なる材料で形成され、且つ、異なる工程段階により別々に製造される。
【0029】
図2A図2Cは、本発明のいくつかの実施形態による図1の光導波路層130を有する固体撮像装置100を形成する例示的方法の各種段階の構造断面図である。図2Aに示されるように、まず、光電変換構造110のバッファ層109上に、遮光層111を形成する。遮光層111は、バッファ層109上に、金属層を蒸着し、その後、フォトリソグラフィ、および、エッチングプロセスを用いて、金属層をパターン化して、複数の遮光パーティションから構成される格子構造を形成することによって形成することができる。次に、バッファ層109上に、分割格子113を形成して、遮光層111を被覆する。分割格子113は、透明誘電材層を蒸着し、その後、フォトリソグラフィ、および、エッチングプロセスを用いて、透明誘電材層をパターン化して、分割格子113の複数のパーティションを形成することによって形成することができる。いくつかの例において、透明誘電材層は、約1.0〜約1.99の屈折率を有する。分割格子113のパーティション間に、複数のスペース114がある。各スペース114は、それぞれ一つの画素に対応する。
【0030】
その後、図2Bに示されるように、分割格子113のスペース114に、カラーフィルターセグメント115を充填する。カラーフィルターセグメント115を囲む分割格子113の下部分は、カラーフィルター分割格子113Bと称される。カラーフィルターセグメント115を囲まない分割格子113の上部分は、導波路分割格子113Aとして用いられる。導波路分割格子113Aのパーティション間に、複数のスペース114’がある。
【0031】
次に、図2Cを参照すると、蒸着、あるいは、コーティングプロセスを用いて、透明誘電材121’を、導波路分割格子113Aのスペース114’に充填する。いくつかの例において、透明誘電材121’は、約1.1〜約2.0の屈折率を有する。透明誘電材121’の屈折率は、分割格子113より高い(図2A)。ある場合において、図2Cに示されるように、蒸着、あるいは、コーティングプロセスの後、透明誘電材121’が、導波路分割格子113Aの上表面を被覆する。その後、透明誘電材121’の超過部分は、平坦化プロセス、たとえば、化学機械研磨(CMP)プロセスにより除去して、図1に示されるような導波路材121を形成する。平坦化プロセス後、導波路材121の上表面は、導波路分割格子113Aの上表面と同じ高さである。
【0032】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による固体撮像装置200の断面図である。固体撮像装置200は、カラーフィルター層120の上方に、光導波路層130を有する。カラーフィルター層120は、さらに、遮光層111、遮光層111上にあり、遮光層111を被覆するカラーフィルター分割格子113B 、および、カラーフィルター分割格子113Bのスペース中のカラーフィルターセグメント115を有する。カラーフィルターセグメント115、および、カラーフィルター分割格子113Bは、共平面の上表面を有する。
【0033】
光導波路層130は、導波路材121、導波路分割格子123A、および、反射防止膜123Bを有する。上から見ると、導波路材121は、導波路分割格子123Aのスペース中にある。導波路材121、および、導波路分割格子123Aは、共平面の上表面を有し、反射防止膜123Bは、この共平面の上表面上にある。いくつかの実施形態において、導波路分割格子123A、および、反射防止膜123Bは、同一材で形成され、且つ、同じ工程段階で一緒に形成される。このほか、導波路分割格子123A、および、カラーフィルター分割格子113Bは、異なる工程段階により別々に製造される。導波路分割格子123Aは、カラーフィルター分割格子113Bと直接接触する。導波路材121は、導波路分割格子123A、および、反射防止膜123Bより高い屈折率を有する。いくつかの例において、導波路材121は、約0.2μm〜約1.5μmの厚さTを有する。さらに、厚さTは、約0.2μm〜約0.7μmとすることができる。一のそれぞれの画素の導波路材121は幅Wを有し、この画素は、幅が画素サイズPWを有する。いくつかの例において、導波路材121の幅Wと画素の画素サイズPWの比率は、約0.15〜約0.95である。
【0034】
本発明の実施形態によると、図3の光導波路層130は、図3に示されるように、導波路材121中の全内部反射により、傾斜入射光150を、固体撮像装置200に照射するように導くことができる。これにより、光導波路層130は、傾斜入射光150を制限して、一次元でカラーフィルターセグメント115に伝搬させることができる。導波路分割格子123Aの壁面で全反射するため、光線は、光導波路層130の導波路材121の内部で制限されるとともに、入射光150が、カラーフィルターセグメント115に伝搬している間、パワーの損失がない、あるいは、損失がわずかである。
【0035】
さらに、図3の実施形態において、同一色、あるいは、異なる色を有する異なる画素の導波路材121の一部の部分は、同一材で形成される。これにより、光導波路層130は、同一色、あるいは、異なる色を有する異なる画素で、同等の屈折率を提供することができる。図3に示されるように、導波路分割格子123A中に照射される傾斜入射光150は、反射光150R、および、透過光150Tに分けられる。反射光150R、および、透過光150Tは、異なる画素で、同一素材の導波路材121を通過し、これにより、反射光150R、および、透過光150Tは同じエネルギーを有して、異なる画素のカラーフィルターセグメント115に進入する。したがって、光導波路層130は、異なる画素において反射光150R、および、透過光150Tをさらに一致させることができる。これにより、固体撮像装置の角でのクロストーク問題が克服される。さらに、光導波路層130は、上述のチャネル分離を回避することができる。よって、本発明の実施形態の固体撮像装置の画像検出効果が改善される。
【0036】
図4A図4Cは、本発明のいくつかの実施形態による図3の光導波路層130を有する固体撮像装置200を形成する例示的方法の様々な段階の構造の断面図である。図4Aに示されるように、まず、光電変換構造110のバッファ層109上に、遮光層111を形成する。次に、バッファ層109上に、カラーフィルター分割格子113Bを形成し、遮光層111を被覆する。遮光層111、および、カラーフィルター分割格子113Bを形成する材料とプロセスは、図2Aと同じ、あるいは、類似することができる。その後、蒸着、あるいは、コーティングプロセスを用いて、カラーフィルター分割格子113Bのスペースに、カラーフィルターセグメント115を充填する。カラーフィルターセグメント115の蒸着、あるいは、コーティング材料上に、平坦化プロセス、たとえば、CMPプロセスを実施する。その後、カラーフィルターセグメント115、および、カラーフィルター分割格子113Bは、共平面の上表面を有して、図4Aに示されるようなカラーフィルター層120を形成する。
【0037】
次に、図4Bに示されるように、透明誘電材121’を、カラーフィルター層120上に蒸着する。いくつかの例において、透明誘電材121’は、約1.1〜約2.0の屈折率を有する。その後、図4Cに示されるように、透明誘電材121’がパターン化されて、複数の開口122を形成する。開口122の位置は、カラーフィルター分割格子113Bと位置合わせすることができる。フォトリソグラフィ、および、エッチングプロセスを用いて、透明誘電材121’がパターン化される。開口122間の透明誘電材121’の残り部分は、図3に示される光導波路層130の導波路材121として用いられる。その後、導波路材121上に、透明誘電材を、蒸着、あるいは、コーティングして、開口122を充填する。開口122中の透明誘電材の部分は、図3に示される光導波路層130の導波路分割格子123Aを形成する。導波路材121、および、導波路分割格子123A上の透明誘電材の部分は、図3に示される光導波路層130の反射防止膜123Bを形成する。反射防止膜123B、および、導波路分割格子123Aの透明誘電材は、導波路材121より低い屈折率を有する。
【0038】
図5Aは、本発明のいくつかの実施形態による位相差検出オートフォーカス (PDAF)画素を有する固体撮像装置300における画素アレイの一部の平面図である。固体撮像装置300において、画素アレイの各画素は、それぞれ一つのカラーフィルターセグメント115を有する。ある場合において、カラーフィルターユニットUは、同一色の4個のカラーフィルターセグメント115から構成される。異なる色、たとえば、R、G、および、Bの複数のカラーフィルターユニットUは、適当な配置によって配列される。撮像機能に用いる固体撮像装置300のノーマル画素Pにおいて、カラーフィルターセグメント115は、カラーフィルター分割格子113Bにより互いに分離される。PDAF機能に用いる固体撮像装置300のPDAF画素において、たとえば、同一色Gを有する4個のカラーフィルターセグメント115は互いに接触し、且つ、カラーフィルター分割格子113Bにより囲まれて、隣接するノーマル画素中のカラーフィルターセグメント115から分離される。このほか、ノーマル画素のカラーフィルターセグメント115の上に設置される導波路材121は、導波路分割格子123Aにより分離される。導波路分割格子123Aが、カラーフィルター分割格子113Bの上方に設置され、カラーフィルター分割格子113Bと照準を合わせる(位置決めする:align)ことができる。このほか、PDAF画素のカラーフィルターセグメント115上に設置される導波路材121は一緒に接続され、且つ、導波路分割格子123Aにより囲まれて、隣接するノーマル画素中の導波路材121から分離される。PDAF画素は、ランダム、あるいは、規則的である任意の適当な位置で、ノーマル画素と配列される。
【0039】
図5Bは、本発明のいくつかの実施形態による図5Aの線B−Bに沿った、PDAF画素を有する固体撮像装置300の断面図である。固体撮像装置300の構造は、PDAF画素を除いて、図3の固体撮像装置200に類似する。PDAF画素は複数の画素から構成され、たとえば、PDAF画素は、図5Aに示されるように、四個の画素から構成される。PDAF画素において、PDAF機能に用いられる複数の光電変換素子103を有する。本発明の実施形態によると、PDAF画素に進入する傾斜入射光150は、光導波路層130の導波路材121により、角度 θで、屈折され、入射光は、導波路材121中で、光線の距離X、進行する。導波路材121は厚さTを有し、距離XはT*tan θに等しい。
【0040】
本発明の実施形態の光導波路層130は、固体撮像装置のPDAF機能を向上させることができる。実施形態の光導波路層を有する固体撮像装置において、PDAF画素の異なる画素の感度の測定の結果は、PDAF画素の異なる位置の二個の緑色画素の感度の比率が約2.8である。しかし、実施形態の光導波路層がない固体撮像装置において、PDAF画素の異なる位置の二個の緑色画素の感度の比率は約1.9である。したがって、本発明の実施形態の光導波路層の使用は、PDAF画素の位相差を増加させ、これにより、固体撮像装置のPDAF機能が向上する。
【0041】
固体撮像装置において、入射光は、斜角で、画素アレイの縁部に照射し、この斜角は、画素アレイの中央領域に照射される入射光の法線角度より大きい。画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置の中央領域(central area)外側の周辺領域で照射する傾斜入射光は、それらの画素の感度を低下させる。本発明の実施形態によると、ノーマル画素、PDAF画素、あるいは、それらの組み合わせに用いる導波路分割格子の位置のシフト(移動)が提供されて、画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置の周辺領域の感度を向上させる。
【0042】
図6Aは、本発明のいくつかの実施形態による画素アレイの中央領域、あるいは、固体撮像装置200Cの中央領域で、ノーマル画素を有する固体撮像装置200Cの一部の断面図である。図6Aを参照すると、導波路分割格子123Aの位置は、カラーフィルター分割格子113Bの位置と照準を合わせ、シフトしない。図6Aに示されるように、導波路分割格子123Aのそれぞれのパーティションの中心線123CLは、カラーフィルター分割格子113Bのそれぞれのパーティションの中心線113CLと照準を合わせ、直線をなす。このほか、画素アレイの中央領域、あるいは、固体撮像装置200Cの中央領域で、導波路分割格子123Aのパーティションの左側壁123LS−Cは、カラーフィルター分割格子113Bに対してシフトがない。
【0043】
図6Bは、本発明のいくつかの実施形態による画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置200Eの中央領域の外側の周辺領域で、ノーマル画素を有する固体撮像装置200Eの一部の断面図である。図6Bを参照すると、画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置200Eの周辺領域で、導波路分割格子123Aの位置は、カラーフィルター分割格子113Bの位置に対して、方向Dで、シフト距離(移動距離)ΔX、シフトする。方向Dは、光導波路層130の上表面に平行な平面上にある水平方向である。たとえば、方向Dは、X軸方向、および、Y軸方向、あるいは、X軸方向とY軸方向に対して斜め方向にすることができる。図6Bに示されるように、導波路分割格子123Aのそれぞれのパーティションの中心線123CLは、カラーフィルター分割格子113Bのそれぞれのパーティションの中心線113CLと位置決めされない。中心線123CLと中心線113CL間に、シフト距離ΔXがある。シフト距離ΔXは、画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置の周辺領域の感度、チャネル分離、あるいは、その他の性能に基づいて調整される。さらに、画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置200Eの周辺領域で、導波路分割格子123Aのパーティションの左側壁123LS−Eは、画素アレイの中央領域、あるいは、固体撮像装置200Cの中央領域の導波路分割格子123Aのパーティションの左側壁123LS−Cの設定位置に対しても、シフト距離ΔXを有する。各画素の導波路分割格子123Aのシフト距離ΔXは一致している。
【0044】
本発明の実施形態によると、図6Bに示されるように、画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置の周辺領域で、ノーマル画素中に照射される傾斜入射光150Eは、位置がシフトした導波路分割格子123Aと導波路材121により、カラーフィルターセグメント115中に導かれ、且つ、光電変換素子103の中央領域に近い位置に到達する。これにより、画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置の周辺領域で、感度が向上する。
【0045】
図7Aは、本発明のいくつかの実施形態による画素アレイの中央領域、あるいは、固体撮像装置300Cの中央領域で、PDAF画素を有する固体撮像装置300Cの一部の断面図である。図7Aを参照すると、導波路分割格子123Aの位置は、カラーフィルター分割格子113Bの位置と照準を合わせ、シフトしない。図7Aに示されるように、導波路分割格子123Aのそれぞれのパーティションの中心線123CLは、カラーフィルター分割格子113Bのそれぞれのパーティションの中心線113CLと照準を合わせ、直線をなす。このほか、画素アレイの中央領域、あるいは、固体撮像装置300Cの中央領域で、PDAF画素中の導波路分割格子123Aのパーティションの左側壁123LS−Cは、カラーフィルター分割格子113Bに対してシフトがない。
【0046】
図7Bは、本発明のいくつかの実施形態による画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置300Eの中央領域の外側の周辺領域で、PDAF画素を有する固体撮像装置300Eの一部の断面図である。図7Bを参照すると、画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置300Eの周辺領域で、PDAF画素中の導波路分割格子123Aの位置は、カラーフィルター分割格子113Bの位置に対して、方向Dで、距離ΔX、シフトする。方向Dは、光導波路層130の上表面に平行な平面の水平方向である。たとえば、方向Dは、X軸方向、Y軸方向、あるいは、X軸方向とY軸方向に対し斜め方向にすることができる。導波路分割格子123Aのそれぞれのパーティションの中心線123CLは、図7Bに示されるように、カラーフィルター分割格子113Bのそれぞれのパーティションの中心線113CLと照準を合わせない。中心線123CLと中心線113CL間に、シフト距離ΔXがある。シフト距離ΔXは、画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置の周辺領域の感度、チャネル分離、あるいは、その他の性能に基づいて調整される。さらに、画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置300Eの周辺領域で、PDAF画素中の導波路分割格子123Aのパーティションの左側壁123LS−Eは、さらに、画素アレイの中央領域、あるいは、固体撮像装置300Cの中央領域の導波路分割格子123Aのパーティションの左側壁123LS−Cの設定位置に対しても、シフト距離ΔXを有する。
【0047】
本発明の実施形態によると、図7Bに示されるように、画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置の周辺領域で、PDAF画素に照射する傾斜入射光150Eは、位置がシフトした導波路分割格子123Aと導波路材121により、カラーフィルターセグメント115に導かれるとともに、PDAF画素中の光電変換素子103に到達して、PDAF画素中の二個の異なる位置の位相差を増加させる。これにより、画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置の周辺領域のPDAF機能が向上する。
【0048】
図6A図6B図7A、および、図7Bの構造が別々に示されているが、ノーマル画素とPDAF画素の説明用、および、中央領域と画素アレイの縁部、あるいは、固体撮像装置の中央領域と周辺領域での説明用の図6A図6B図7A、および、図7Bに示されるこれらの構造は、ひとつの固体撮像装置中に組み合わせることができる。
【0049】
図8図11は、本発明のいくつかの実施形態による様々な最上部ガイド構造を有するいくつかの固体撮像装置の断面図である。図8を参照すると、いくつかの実施形態において、固体撮像装置400は、光導波路層130とカラーフィルター層120間に、平坦層125を有する。平坦層125は、光導波路層130の導波路材121より低い、あるいは、導波路分割格子123Aの屈折率に等しい屈折率を有する透明誘電材、あるいは、絶縁材から形成される。光導波路層130を形成する前、コーティング、あるいは、蒸着プロセスを用いて、カラーフィルター層120上に、平坦層125が形成される。導波路材121がエッチングされ、導波路分割格子123Aを充填するための開口を形成するとき、エッチングプロセス中で、平坦層125は、エッチ停止層として用いられ、下部のカラーフィルター層120を保護する。平坦層125は、光導波路層130の反射防止膜123Bと同一材で形成される。いくつかの例において、平坦層125の厚さは、約10nm〜約100nmである。このほか、固体撮像装置400中の光導波路層130、カラーフィルター層120、および、光電変換構造110の各種素子は、図3の固体撮像装置200と同じ、あるいは、類似する。
【0050】
図9を参照すると、いくつかの実施形態において、固体撮像装置500は、光導波路層130上に、保護層127を有する。保護層127は、湿気が、固体撮像装置に浸入するのを防止することができる。保護層127は、光導波路層130の導波路材121より低い屈折率を有する無機透明絶縁材で形成される。さらに、保護層127の屈折率は、導波路分割格子123Aの屈折率以下である。保護層127は、蒸着プロセス、たとえば、CVD、PVD、あるいは、ALDプロセス、あるいは、コーティングプロセスを用いて、光導波路層130の反射防止膜123B上に形成される。保護層127は、反射防止膜123Bの材料と異なる材料で形成される。いくつかの例において、保護層127の厚さは、約10nm〜約100nmである。このほか、固体撮像装置500中の光導波路層130、カラーフィルター層120、および、光電変換構造110の各種素子は、図3の固体撮像装置200と同じ、あるいは、類似する。
【0051】
図10を参照すると、いくつかの実施形態において、固体撮像装置600は、光導波路層130上に、追加の光導波路層140を有する。光導波路層140は、導波路材131、導波路分割格子133A、および、反射防止膜133Bを有する。光導波路層140を形成する材料とプロセスは、光導波路層130に関して描かれる材料や工程と同じ、あるいは、類似する。さらに、導波路材131の材料層がエッチングされ、導波路分割格子133Aを充填するための開口を形成するとき、光導波路層130の反射防止膜123Bは、エッチングプロセス中でエッチ停止層として用いられて、下方の構造を保護する。
【0052】
いくつかの実施形態において、下方の光導波路層130の導波路材121の屈折率は、上方の光導波路層140の導波路材131より高い。このほか、図10の固体撮像装置600は、一個の追加光導波路層140が示されているが、下方の光導波路層130上に、一つ以上の追加光導波路層を有してもよい。このほか、光導波路層の導波路材の屈折率は一致する、あるいは、徐々に、カラーフィルター層120方向に向かって徐々に増加することができる。光導波路層140の導波路分割格子133Aは、光導波路層130の上表面に垂直な方向で、光導波路層130の導波路分割格子123Aと照準を合わせる。いくつかの実施形態において、上方の導波路分割格子133A、下方の導波路分割格子123A、および、カラーフィルター分割格子113Bは、同一材で形成される。このほか、固体撮像装置600中の光導波路層130、光導波路層140、カラーフィルター層120、および、光電変換構造110の各素子は、図3の固体撮像装置200の素子と同じ、あるいは、類似する。
【0053】
図11を参照すると、いくつかの実施形態において、固体撮像装置700は、隣接画素で、異なるサイズを有する導波路材121を有する光導波路層130を有する。いくつかの実施形態において、図11に示されるように、第一画素P1、第二画素P2、および、第三画素P3の導波路材121の一部の部分は、それぞれ、異なる幅W1、W2、および、W3を有する。いくつかの例において、導波路材121は、隣接画素で、異なるサイズを有する。このほか、異なる画素の導波路材121のサイズの変化は、周期的、あるいは、非周期的である。異なる画素の導波路材121の異なるサイズは、異なる画素の導波路分割格子133Aのパーティションの幅を調整することにより得られる。このほか、異なる画素の導波路材121の異なるサイズは、導波路分割格子123Aのシフトと組み合わされ、同一の固体撮像装置中で一緒に使用される。固体撮像装置700中のカラーフィルター層120、および、光電変換構造110の各種素子は、図3の固体撮像装置200の素子と同じ、あるいは、類似する。
【0054】
本発明の実施形態によると、光導波路層は、固体撮像装置のカラーフィルター層の上方に提供される。光導波路層は、導波路分割格子、および、導波路分割格子のスペース中の導波路材を有する。導波路材の屈折率は、導波路分割格子の低屈折率より高い。その結果、導波路分割格子の壁で、全内部反射が発生し、導波路材は、入射光を制限し、カラーフィルターセグメント方向に伝搬させることができる。これにより、本発明の実施形態の光導波路層は、固体撮像装置の角のクロストークを回避するとともに、位相差検出オートフォーカス (PDAF)機能を向上させることができる。
【0055】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の思想を脱しない範囲内で各種の変形を加えることができる。
【符号の説明】
【0056】
100、200、200C、200E、300、300C、300E、400、500、600、700…固体撮像装置
101…半導体基板
101B…背面
101F…前面
103…光電変換素子(フォトダイオード)
105…配線層
107…高誘電率(high-k)膜
109…バッファ層
110…光電変換構造
111…遮光層
113…分隔網格
113A、123A、133A…導波路分割格子
113B…カラーフィルター分割格子
113CL、123CL…パーティションの中心線
114、114’…スペース
115…カラーフィルターセグメント
120…カラーフィルター層
121、131…導波路材
121’ …透明誘電材
122…開口
123B、133B…反射防止膜
123LS-C、123LS-E…パーティションの左側壁
125…平坦層
127…保護層
130、140…光導波路層
150…入射光
150R…反射光
150T…透過光
150E…傾斜入射光
P、P1、P2、P3…画素
W、W1、W2、W3…幅
T…厚さ
PW…画素サイズ
U…カラーフィルターユニット
PDAF…位相差検出オートフォーカス
θ…角度
X…距離
ΔX…シフト距離
D…方向
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11