(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ハウジング内に配置されたカソード及びアノードを含み、前記カソード及びアノードの各々が前記ハウジングの中心軸に近接する領域から半径方向外側に延在する、電気化学セルであって、前記アノードの活性表面積は前記ハウジングの内面の表面積よりも大きく、前記カソードの活性表面積は前記ハウジングの内面の表面積よりも大きく、
前記電気化学セルは、
前記ハウジングの第1の端部に結合される第1の端部キャップと、
ほぼ中央に設けられる開口部を含む前記ハウジングの第2の端部に結合された第2の端部キャップと、を更に含み、
前記第1の端部キャップは前記第1の端部キャップの外周に近接して配置される開口部を含み、
前記第1の端部キャップの前記開口部は、流体チャネルと流体連通し、前記第2の端部キャップの前記開口部は、前記電気化学セルの中央流体導管と流体連通している、電気化学セル。
複数のカソードと、前記ハウジングの前記中心軸に近接した前記領域から半径方向外側に延びる複数のアノードとを含み、各隣接するカソードとアノードとの間に流体通路が画定され、前記流体通路が前記中心軸に実質的に平行である、請求項1に記載の電気化学セル。
前記複数のアノードが、白金、混合金属酸化物、マグネタイト、フェライト、コバルトスピネル、タンタル、パラジウム、イリジウム、金及び銀からなる群から選択される耐酸化性コーティングで被覆された表面を含む、請求項3に記載の電気化学セル。
前記アノードと前記カソードとの間のギャップを維持するように構成されたセパレーターをさらに備え、前記セパレーターは、前記ギャップを通って前記中心軸に実質的に平行な方向に電解液が流れるように開く、請求項1に記載の電気化学セル。
前記アノードおよび前記カソードの一方と電気的に連通する電気コネクタをさらに備え、前記電気コネクタは、電解液による化学攻撃に対する耐性の高い第1の材料と、第1の材料よりも、電解液による化学攻撃に対する耐性が低い第2の材料と、を含み、前記第1の材料は前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、前記第2の材料は少なくとも部分的に前記ハウジングの外側に配置される、請求項1に記載の電気化学セル。
前記第1の材料で形成された前記流体透過性本体に、前記第1の材料で形成された前記流体透過性本体の端部に形成されたネジで結合された前記第2の材料の本体を含む、請求項10に記載の電気化学セル。
前記第2の材料の本体を含み、前記第2の材料の前記本体は、前記第1の材料から形成された前記流体透過性本体に、前記第2の材料で形成された前記本体の円筒形部分に形成されたネジで結合される、請求項10に記載の電気化学セル。
【発明を実施するための形態】
【0054】
添付の図面は縮尺通りに描かれることを意図するものではない。図面において、様々な図面に図示された同じ又はほぼ同じ構成要素のそれぞれを、類似する符号で表す。明瞭化のため、全ての図面の全ての構成要素に符号が付されているとは限らない。
【0055】
本明細書で開示される態様及び実施形態は、以下の説明で明らかにされ又は図面に示される構成要素の構造及び配置の詳細に限定されるものではない。本明細書で開示される態様及び実施形態を、様々な方法で実施又は実行することができる。また、本明細書で使用される表現及び用語は説明を目的とするものであり、限定的なものとみなすべきでない。本明細書において「含む」、「備える」、「有する」、「包含する」、「伴う」及びこれらの変形は、以下に列挙する項目及びその均等物を含むとともに、付加的な項目も含むことを意図する。
【0056】
本明細書で開示される態様及び実施形態は一般に、次亜塩素酸ナトリウム等の消毒剤を生成する電気化学装置に向けたものである。用語「電気化学装置」及び「電気化学セル」並びにこれらの文法上の変形は、「海水電解装置」及び「海水電解セル」並びにこれらの文法上の変形を含むものと理解される。本明細書で開示される態様及び実施形態は、1つ以上の電極を含むものとして説明される。本明細書で開示されるある態様及び実施形態は、硬性の電極を含むものとして説明される。本明細書で使用される用語「硬性の」対象物は、通常の動作温度及び/又は上昇した温度で力が加えられていないときに形状を維持するものである。本明細書で開示される電子化学セル及び装置の様々な実施形態において、本明細書で使用される用語「硬性の電極」は、その形状と隣接する電極又は電極巻線間のスペーサ不要の分離とを維持するような、十分な機械的剛性を有するものと考えられる。例えば、金属コーティングを含む軟性薄膜を、本明細書で使用される用語「硬性の電極」とは考えない。
【0057】
本明細書で使用される用語「金属電極」又はその文法上の変形は、1つ以上の金属(例えばチタン、アルミニウム又はニッケル)から形成され、当該金属を含み、又は当該金属から構成される電極を含むものと理解されるが、用語「金属電極」は、他の金属又は合金から構成されるものを含む電極を除外するものでない。いくつかの実施形態では、「金属電極」は、様々な金属からなる複数層を含むことができる。本明細書で開示される実施形態のいずれか1つ以上で利用される金属電極は、電解質溶液による薬品浸食に対して高い
抵抗性を持つ金属又は金属酸化物(例えばチタン、白金、混合金属酸化物(MMO)、磁鉄鉱、フェライト、コバルトスピネル、タンタル、パラジウム、イリジウム、銀、金又は他のコーティング材の層)で被覆された、高導電性金属(例えば銅又はアルミニウム)のコアを含むことができる。「金属電極」を、酸化防止コーティング(例えば白金、混合金属酸化物(MMO)、磁鉄鉱、フェライト、コバルトスピネル、タンタル、パラジウム、イリジウム、銀、金又は他のコーティング材であるが、これらに限定されるものではない)で被覆することができる。本明細書で開示される実施形態で利用される混合金属酸化物は、ルテニウム、ロジウム、タンタル(任意にアンチモン及び/又はマンガンと混ぜた合金である)、チタン、イリジウム、亜鉛、スズ、アンチモン、チタンニッケル合金、チタン銅合金、チタン鉄合金、チタンコバルト合金、又は他の適切な金属若しくは合金の1つ以上の酸化物を含むことができる。本明細書で開示される実施形態で利用される陽極を、白金、及び/又はイリジウム、ルテニウム、スズ、ロジウム若しくはタンタル(任意にアンチモン及び/又はマンガンと混ぜた合金である)の1つ以上の酸化物で被覆することができる。本明細書で開示される実施形態で利用される陰極を、白金、及び/又はイリジウム、ルテニウム及びチタンの1つ以上の酸化物で被覆することができる。本明細書で開示される実施形態で利用される電極は、チタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブ、タングステン及び/又はケイ素の1つ以上からなるベースを含むことができる。本明細書で開示される電気化学セルのいずれかの電極を、プレート、薄板、箔、押出品及び/若しくはシンターとして又はこれらから形成することができる。
【0058】
本明細書で使用される用語「チューブ」は、円筒形導管を含むが、他の断面形状(例えば正方形状、長方形状、楕円形状又は角丸長方形状(obround)又は任意の正多角形若しくは多角形として成形される断面形状を有する導管)を有する導管を除外するものではない。
【0059】
本明細書で使用される用語「同心の導管」又は「同心の渦巻線」は、チューブ又は共通中心軸線を有するインターリーブ(交互積層)型渦巻線を含むが、同心チューブ又はインターリーブ型渦巻線のセットにおいて、必ずしも各同心チューブ又は各インターリーブ型渦巻線の中心には存在しない共通軸線を囲んだチューブ又はインターリーブ型渦巻線を除外するものではない。
【0060】
本明細書で開示される態様及び実施形態は、従来既知の海水電解セルよりも小型である。本明細書で使用される用語「(海水電解セルの)有効密度」は、活性電極表面間又は機能電極面間(電気化学セル内の流体の電気化学処理に寄与する電流が流入し又は流出する電極表面間)の断面積(電気化学セルの「活性領域」)の、電気化学セルのハウジング内の総断面積に対する比率として定義される。電気化学セルで処理を受ける流体は、活性電極表面又は機能電極表面を通過することができる。定義したように、「有効密度」は、中心軸線に垂直である流体が流れ得る平面の面積を、中心軸線に対して垂直な総断面積で割ったものである。その大きさの単位は無次元、分数又は百分率である。本明細書で開示される態様及び実施形態は有効密度が約46%〜約52%の電気化学セルを含み、ある実施形態では有効密度が約50%よりも大きく、ある実施形態では有効密度が約75%よりも大きく、ある実施形態では有効密度が85%よりも大きく、ある実施形態では有効密度が90%よりも大きく、そしてある実施形態では有効密度が最高で約95%である。
【0061】
本明細書で使用される用語「(電気化学セルの)全体充填密度」は、電気化学セルのハウジング内の総断面積に対する、電気化学セルを通る流体の流れと垂直な各平面における総機能電極経路長として定義される。「充填密度」は、電気化学装置の電極の「有効表面積」を、装置の総内部容積で割ったものである。その大きさの単位は、1/長さ(例えばm
−1)である。電極の「有効表面積」は、電気化学装置内の電気化学反応に寄与する電極の電流が流入又は流出する面の表面積である。両面を有する電極は、単一表面又は両表
面に有効表面積を持つことができる。「陽極充填密度」は、電気化学装置の陽極の「有効表面積」を装置の総内部容積で割ったものである。「陰極充填密度」は、電気化学装置の陰極の「有効表面積」を装置の総内部容積で割ったものである。「全体電極充填密度」又は「総電極充填密度」は、電気化学装置の陽極充填密度及び陰極充填密度の合計である。本明細書で開示される電気化学セルの態様及び実施形態は、2mm
−1以上の陽極充填密度、陰極充填密度及び/又は全体充填密度を持つことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、海水電解セルの中心軸線から、海水電解セルの外周に向かって、中心軸線に直交するある面で延びる線は、複数の電極プレートを通過する。複数の電極プレートは、複数の陽極及び/又は複数の陰極を含むことができる。中心軸線を、電気化学セルを通る流体の平均流れ方向と平行にすることができる。本明細書で開示される付加的な実施形態は、電気化学セルの電極を製作し、電気化学セルの複数電極間の間隔を制御し、電極を電源に接続する構造及び方法を含む。
【0063】
図5は、電気化学セル又は海水電解セル用の渦巻型電極の組の一実施形態を示す。2つの渦巻型電極である、陽極205及び陰極210は、陽極−陰極の組を形成し、陽極205と陰極210との間に隙間215を形成するように位置付けられる。隙間215の幅を一定とすることができ、又は可変とすることができる。いくつかの実施形態では、隙間215の幅を、約1ミリメートル〜約5ミリメートルとすることができる。本明細書で開示される電気化学セルの任意の実施形態において、複数電極間の隙間の幅を、電気化学セルで処理される電解質の種類に基づいて選択することができる。例えば、塩水(汽水)が電解質として使用されている場合に、隙間を約2ミリメートルに定めることができる。例えば、海水が電解質として使用されている場合に、隙間を約3ミリメートル〜約5ミリメートルに定めることができる。
【0064】
図1で符号θが付された、螺旋の始端間及び/又は螺旋の終端間の角度差を0°から180°の範囲とすることができる。供給電解溶液は、隙間215を通って、渦巻線の軸線と実質的に平行な方向に流れる。一定若しくは可変の直流電圧を複数電極をまたがり電解質溶液を通して印加し、又はいくつかの実施形態では交流を複数電極をまたがり電解質溶液を通して流す。陽極のタブ220及び陰極のタブ225をそれぞれ、陽極205及び陰極210に接続し、又は陽極205及び陰極210と一体に形成して、陽極205及び陰極210に電気的接続をもたらすことができる。電流は、陽極205から陰極210まで単一経路を流れる。電気化学セル内の大部分の電解質溶液の電極の表面において、電気化学反応及び化学反応が起こり、生成物溶液が生成される。
【0065】
一実施形態では、
図5及び/又は
図6に図示されるように、渦巻型の電気化学セルは、約23.8ミリメートルのハウジング内径、444.1平方ミリメートルの内側ハウジング断面積、約301.1ミリメートルの電極経路長、約12ミリメートルのコア外径(約113平方ミリメートルの断面積)及び約0.68m
−1の全体充填密度を有することができる。
【0066】
本明細書で開示される渦巻型の陽極及び陰極を含む電気化学セルのいくつかの態様及び実施形態において、流体を、陽極と陰極との間の1つ以上の隙間を通って、電気化学セルの中心軸線と平方な方向に導くように、陽極及び陰極を構成及び配置する。本明細書で開示される渦巻型の陽極及び陰極を含む電気化学セルのいくつかの態様及び実施形態において、電気化学セルに導入される全ての流体を、陽極と陰極との間の1つ以上の隙間を通って、電気化学セルの中心軸線と平方な方向に導くように、陽極及び陰極を構成及び配置する。
【0067】
図5に図示される設計を拡張して、陽極、陰極及び1つ以上の双極電力を含むことがで
き、電解質溶液を通して電流を複数の経路に流すことができる。
【0068】
本開示における全ての図では、明瞭化のために、構成要素の寸法を実寸とは異なる場合がある。同様に、構成(例えば
図5の電極コネクタ220、225)の設計及び配備は、単に説明を目的とするものである。
【0069】
図6は、単一の電流経路である渦巻状の電気化学セルの他の実施形態を示す。渦巻状の陽極205と渦巻状の陰極210との間の隙間は一定である。隙間215の幅を例えば、約1ミリメートル〜約5ミリメートルとすることができる。(
図7Bにより明確に図示する)中実のコア230は、流体が中心から流れ落ちて隙間を迂回することを防止する、中心コア要素又は流体導流路である。コアを非導電性材料で形成することができる。この非導電性材料は例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)又は高密度ポリエチレン(HDPE)のいずれか1つ以上である。コア230を陽極205及び陰極210に対して機械的に非接続とすることができる。他の実施形態では、1つ以上の機械的留め具を設けて、コアを定位置に固定することができ、及び/又はコア230を最内電極巻線(
図5に示す実施形態の陽極の最内巻線部)に取り付けることができる。他の実施形態では、摩擦嵌合によって、コア230を最内電極巻線内の定位置に保持する。
図5に示す実施形態において、コア230は、陽極205及び陰極210の一方のみと接触する。陽極205及び陰極210の1つの電極は、コア230に対して非接続であり、コア230と接触しない。他の実施形態では、中心コア要素を陽極205及び陰極210の1つに電気的に結合する導電部材とすることができ、中心コア要素を利用して陽極205及び陰極210の1つの電極に電流を流すことができる。更なる実施形態では、中心コア要素は、軸線方向バスバー及び/又は互いに絶縁された他の中心導電要素を含むことができ、第1軸線方向バスバー及び/又は他の中心導電要素は、陽極205に電気的に結合し、第2軸線方向バスバー及び/又は他の中心導電要素は、第1軸線方向バスバーから絶縁されるとともに陰極210に電気的に結合する。
【0070】
電極は、電極を外部環境から電気的に分離するとともに電気化学セルを通過する電解質の流体圧力に耐えるように設計された、非金属ハウジング305内に位置付けられる。ハウジング305は、非導電性であり、電解質溶液に対して化学的に非反応性であり、システムの圧力に十分に耐える強度を持つ。ハウジング305は、PVC、PTFE、PVDF、ABS、HDPE、繊維強化プラスチック(FRP)又は他の適切な材料の1つ以上を含むことができ、いくつかの実施形態では、ハウジング305は強化要素を含むことができる。この強化要素は例えば、高分子マトリックスに埋設されたガラス又は炭素繊維である。電極コネクタ220、225は、ハウジング305の端部で、ハウジング305の壁の外側に延在する。いくつかの実施形態では、電極コネクタ220、225は、ハウジング305の両端部で、ハウジング305の壁の外側に延在することができる。電気コネクタ220、225に対する代替的な設計を後の節で説明し、当該代替的な設計を、
図6の実施形態及び本明細書で開示する他の実施形態に等しく適用することができる。
【0071】
図7A及び7Bは、2つ電流経路を有する渦巻状の電気化学セルの他の実施形態を示す。渦巻状の陽極205及び陰極220に加えて、双極である第3電極235が存在する。渦巻状の陽極205及び陰極220は互いに、電気化学セルの中心軸線と平行方向である側方にずれている。電気化学セルの陽極205側で、第3電極235の一端部(いくつかの実施形態ではほぼ半分)は被覆されておらず陰極として機能し、他方の端部(電気化学セルの陰極210側であり、いくつかの実施形態では電極235のほぼ半分)は酸化防止コーティング(例えば白金又はMMO)で被覆されており陽極として機能する。 第3電極235は、陽極205内で第1部分に沿って入れ子となり、陰極210内で第2部分に沿って入れ子となり、
図2BのCTEと同様に電解質溶液を通って電流を2つの経路に流すことができるように方向付けられている。
【0072】
中実のコア230は、流体が電気化学セルの中心から流れ落ちて、陽極205及び双極電極235の間の隙間と陰極210及び双極電極235の間の隙間とを迂回することを防止する、中心コア要素又は流体導流路である。コア230を陽極205、陰極210及び双極電極235に対して機械的に非接続とすることができる。他の実施形態では、1つ以上の機械的留め具を設けて、コアを定位置に固定することができ、及び/又はコア230を最内電極巻線(陽極205、又は双極電極235の電気化学セル陽極205側と、陰極210、又は双極電極235の電気化学セル陰極210側と)に取り付けることができる。他の実施形態では、摩擦嵌合によって、コア230を最内電極巻線内の定位置に保持する。いくつかの実施形態において、コア230は、陽極205、若しくは双極電極235の電気化学セル陽極205側の一方のみと接触し、並びに/又は接続する。そしてコア230は、陰極210、若しくは双極電極235の電気化学セル陰極210側の一方のみと接触し、並びに/又は接続する。
【0073】
図7A及び7Bに図示するセルを、非金属ハウジング305内(例えば
図6に図示した非金属ハウジング内)に位置付けることができる。他の実施形態では、複数の電流経路を使用することができる。付加的な双極電極を挿入するとともに陽極及び陰極部分のそれぞれを重ねることで、海水電極セルを組立てて、
図4に示す複数経路PPEに概ね類似した、3つ以上の電流経路を提供することができる。
【0074】
図5−7Bに図示する実施形態における電極205、210、及び本明細書で開示される渦巻状の電気化学セルの他の任意の実施形態を個々に巻回させて一緒に組立てることができる。例えば、各電極を、心棒の周りに、被覆された又は被覆されていないチタンプレートを巻き付けることで製作することができる。ローラ又は他の手段を使用して、マンドリルを回転させながら、使用される金属(例えばチタン)プレートをプレスし曲げて、電極を形成することができる。残留応力のために、チタンはスプリングバックして、渦巻線の各一巻き間に隙間をもたらすことができる。計算及び実験によって各電極の巻線の剛性の程度を決定して、中心軸線を合わせた他の渦巻状の電極を収容するのに隙間の大きさが十分である状態に電極を弛緩させることができる。あるいは、第2材料をチタンプレートに隣接させて配置し、チタンプレートと共に心棒の周りに巻き付けて、渦巻線の一巻きの間に要求された隙間を確保することができる。例えば、材料を高デュロメータのエラストマとすることができる。中心コア230を、電極の組立て若しくは電極のハウジングへの挿入の後又は前に、最内電極の最内巻線によって定められる空間に挿入し及び/又は当該空間の定位置に固定することができる。
【0075】
本明細書で開示される電気化学セルの任意の実施形態の電極205、210及び/又は235は、約0.25ミリメートル〜約3ミリメートルの間の厚さを有するチタンプレート(渦巻線実施形態では、各渦巻状電極に対して単一のチタンプレート)を含むことができ、または当該チタンプレートから構成することができる。本明細書で開示される電気化学セルの任意の実施形態の電極205、210及び/又は235を、硬性の電極とすることができる。
【0076】
巻線を真っ直ぐにした後に、チタン電極の白金コーティングを例えば電気メッキによって施すことができる。平面電極が巻回される前に、平面電極にMMOコーティングを行うことができる。化学蒸着、加熱溶着、蒸着、塗料散布及び熱処理の1つ以上によってMMOを適用することができ、堆積後に熱処理をすることができる。
【0077】
電極205、210の間にセパレータを挟んで、電極205、210をセパレータとともに巻回することができる。セパレータは、電極間の隙間を通して流体を流せる多孔質構造を有することができる。セパレータを定位置に残して、電極間の隙間を維持するとともに他の機能(流れ拡散及び混合)を提供することができる。
【0078】
電極を、流体透過材から製作することができる。この流体透過材を例えば有孔チタンプレート又は拡張メッシュとすることができる(
図8参照)。陽極205、又は双極電極235の陽極として働く一部に関して、露出する全表面を、耐酸化性コーティング(例えば白金又はMMO)で被覆することができる。
【0079】
電極205、210及び/又は235(存在する場合)の間の間隔を維持するのに可能な方法には、例えば電極間にセパレータを設けることが含まれる。セパレータには、例えば
図9A及び9Bそれぞれで300及び350で概ね示されるような、市販の非導電性の織られた又は押出されたスクリーンを含むことができる。セパレータ300、350は、セパレータと隣接する電極との間の接触領域を最小化するように構成され得る。当該領域を、電極反応から覆い隠して、電極表面からの水素ガスの放出と流体の流れ中の気体除去とに対する干渉を最小化することができ、海水電解装置の両端部にわたる圧力降下を最小化することができ、並びに/又は混合及び物質移動を最大化することで電極表面の反応速度を最大化することができる。いくつかの実施形態では、電極205、210及び/又は235(存在する場合)を金属電極とすることができる。この金属電極は、硬性であるとともに、電極205、210及び/又は235(存在する場合)間で所望の分離を維持するために必要なスペーサの数を、電極が軟性材料から形成される場合よりも減らすことができる(又はスペーサを無くすことさえもできる)。
【0080】
いくつかの実施形態では、複数のスポーク245を有する非金属(例えばPVC、PTFE、PDVF及び/若しくはHDPE又は高い電気抵抗と耐化学性との両方を備える他の材料)のハブ又は車輪240を利用して、電極205、210及び/又は235(存在する場合)の間の間隔を維持することができる。
図10に示すように、各スポーク245に、電極205、210及び/又は235(存在する場合)の縁を収容し配置するための細溝を特定の距離をおいて設ける。これに代えて又はこれとともに、スポーク245は、電極の縁の1つおきの側面に係合して当該縁を定位置に保持できる、ピン又は突起を含むことができる。
図10に図示するようなハブ又は車輪240を、海水電解装置の両端部に設けることができる。実施形態のハブ又は車輪240の組について、海水電解セルの2つの外側端部の各端部に、1つずつのハブ又は車輪240を装着することができる。非金属のハブ又は車輪240は、流体が海水電解セルのコアから流れ落ちることを防止する中実の中心部250を含むことができる。海水電解装置のコアは中心領域によって画定され、中心領域は、中実の中心部が存在しない場合に、陽極及び陰極に流される電流が海水電解装置の電解質を通過する領域である。いくつかの実施形態では、中実の中心部250は、海水電解装置の最内電極のみに接触する。
【0081】
他の実施形態では、ハブ又は車輪240を、導電材料で形成することができる。この導電材料を例えばチタンとして電流を電極205、210に流し及び/又は分配するに役立てる。このような実施形態では、第1のハブ又は車輪240は、陽極205又は陰極210の一方のみと電気的に接触することができる一方、第2のハブ又は車輪240は、陽極205又は陰極210の他方と電気的に接触することができる。
【0082】
図11に示すように、他の実施形態では、電極の選択された箇所に穴をあけることができ、非導電性バンパー255を装着して隣接する電極表面間の間隔を維持することができる。バンパー255を、非導電性ポリマー成形品(例えばPTFE又はPVDF)とすることができ、定位置で音を立てるように設計することができる。例えば、バンパーは、雄部255A及び雌部255Bを含むことができ、雄部255Aが電極205、210及び/又は235(存在する場合)の第1の表面に配置され、雌部255Bが電極205、210及び/又は235(存在する場合)の反対側の表面に配置された状態で、雌部255Bにスナップ式で定位置に固定されるように、雄部255Aは構成される。
【0083】
図12A−12Cに示すように、電極205、210に対する電気的接続は、電極の縁に溶接
されて電気的接続をもたらすスポーク265を有する、チタンの車輪状装置260を含むことができる。スポーク265は、電極205、210の一方の端縁と係合する複数の溝を、距離を置いて含んで、スポーク265が接続する電極の渦巻線の一巻きの間の間隔を維持することができる。装置260の外側リム270を直流電源に接続して、電流を装置260が電気的に接続される電極に流すことができる。外側リム270は、
図12Aに図示するように単一の電気的接続部275を含むことができ、
図12Bに図示するように複数の電気的接続部275を含むことができ、及び/又は
図12Cに図示するようにタブコネクタ280を含むことができる。装置260は、電極205、210の表面に沿って延在するアーム285を含むことができ、
図12Cに図示するようにアーム285は電極205、210に電気的に接続されて、
図12A及び12Bに示す装置260よりも、電気的接触の面積をより大きくすることができ、ひいては接触抵抗を低減させることができる。以下に開示するように、安全のため並びに腐食防止利用構造及び方法のために、コネクタ275、280を密封して環境から隔離することができる。
【0084】
様々な実施形態において、1つ以上のタブを各電極に取り付ける。例えば
図6は、電極205、210に溶接されるとともに、一端部で屈曲してタブ220、225を形成する、チタンのストリップを示す。ストリップを、電極よりも厚いチタンで構成して、電極の縁の機械的剛性を向上させ、縁を流下する電流の経路における電気抵抗を低減させることができる。
【0085】
タブと電源からの電線との間の接続を、安全のため及び腐食防止のために、密封して環境と電気化学セルを通る電解質とから隔離することができる。例えば
図13A−13Cは、ガスケット290を使用して、タブ295を非金属ハウジング305の端部に存在するフランジ310内に密封する方法を示す。防水コネクタ315(例えばIP54のコネクタ)を使用して、タブ295を直流電源に接続することができる。
【0086】
本明細書で開示した、渦巻状の電極を含む電気化学装置又は海水電解装置の態様及び実施形態は、陽極及び陰極(又は陽極−陰極の組)を含むことができる。当該陽極及び陰極は、陽極と陰極との間の活性領域又は隙間を通過する実質的に全て又は全ての流体を、実質的に又は完全に軸線方向に流れて活性領域を通るように導くよう構成され配置される。実質的に又は完全に軸線方向に延びて活性領域を通る方向を、電気化学セル並びに/又は陽極及び陰極(若しくは陽極−陰極の組)の中心軸線と平行に又は実質的に平行にすることができる。たとえ流体の流れが活性領域を通る間に流れが乱流になり及び/又は渦が存在したとしても、活性領域を流れる流体は依然として活性領域を通り実質的に又は完全に軸線方向に流れると考えることができる。
【0087】
本明細書で開示した、渦巻状の電極を含む電気化学装置又は海水電解装置の態様及び実施形態は、現在市販されている同心チューブ海水電解セル及び平行プレート海水電解セルに対して多数の利点を有することができる。例えば、既存の同心チューブ海水電解(CTE)セルでは、外側電極の内面と内側電極の外面とだけが、次亜塩素酸ナトリウムを生成する電極反応において活性である。他の電極表面は、電解質溶液から隔離されている。外側チューブ及び電気的接続部は環境にさらされている。
【0088】
渦巻状電極の設計において、各電極の両側面の表面領域の大部分又は全ては活性である。
図7A及び7Bに示すような、4インチ(0.1016メートル)のスケジュール40のハウジング(又はSCH80 PVC等のPVCハウジング)内の2つの電流経路を有する装置は、
図1に示す電気化学セルと比較して、装置の体積あたりの活性領域が5倍超である。したがって、本明細書で開示される装置は、従来のCTE装置の活性電極領域の同等量に対して、より小型(体積が80%超減少)になり得る。
【0089】
本明細書で開示した態様及び実施形態では、通電要素が外部環境に対して露出しないように、防水のコネクタによって、渦巻状電極を、非金属ハウジングに挿入するとともに直
流電源又は交流電源に接続することができる(例えば
図13A−13C参照)。オペレータにとって、この設計はより安全であり、装置と外部接地要素又は液体との間で短絡が起きるおそれがない。既存のCTE装置が要求する密封された囲いを不要とすることができ、それによってシステムの複雑性及び資本コストを減少させることができる。
【0090】
平行プレート海水電解(PPE)セルでは、多数の平面電極を支持し位置合わせするとともに装置を通る流体を導く、複雑なフレーム構造が必要である(例えば
図3参照)。本明細書で開示した渦巻状電気化学装置の実施形態では、必要な電極の数を減少させる。
【0091】
本明細書で開示する装置の活性電極領域の体積あたりの密度は、渦巻状装置では平行プレート海水電解セルよりも高くなることが期待される。電極は、円筒状ハウジングの全円形断面を占めるのに対し、PPEでは正方形又は長方形部分のみを占める。
【0092】
本明細書で開示される渦巻状電極を含む電気化学又は海水電解装置の態様及び実施形態は、約46%〜約52%の有効密度を有することができ、ある実施形態では約50%超の有効密度を有することができ、ある実施形態では約75%超の有効密度を有することができ、ある実施形態では約85%超の有効密度を有することができ、ある実施形態では約90%超の有効密度を有することができ、そしてある実施形態では有効密度を最高で約95%とすることができる。
【0093】
渦巻状装置の一端での単一陽極との電気的接続及び他端での単一陰極との電気的接続は、PPEの多数の陽極及び陰極との接続よりも単純である(
図7A及び7Bと
図4とを比較する)。さらに、本明細書で開示する渦巻状装置は、PPEよりも、部品数が少なくなるとともに組み立てが容易であることが期待される。
【0094】
海水電解セルは、海洋で、沖合で、都市で、産業的に及び商業的に実施される。渦巻状電気化学装置の設計パラメータは例えば、内側電極間隔、電極の厚さ、コーティングの密度、電極面積、電気的接続方法等であり、これらを様々な実装に対して最適化することができる。したがって、本明細書で開示する態様及び実施形態は、CTE設計及びPPE設計の両方を置換することができ、ある設計プラットフォームの生産ラインに統合でき、それに伴い要素の共有性並びに調達及び製造の規模の点で利点がある。
【0095】
他の態様によれば、海水電解セルは、複数の同心チューブ電極を含む。同心チューブ電極の少なくとも一部を、単極とすることができ、又は双極とすることができる。3つの同心チューブを含む第1実施形態を
図14Aに400で全体的に図示する。中央チューブ電極405は、白金又はMMO等の酸化防止コーティングを有する陽極であり、当該コーティングは内側表面及び外側表面の両方に存在して中央チューブ電極405の表面積を完全に利用する。内側チューブ電極410及び外側チューブ電極415にはコーティングが存在せず、それぞれ内側陰極及び外側陰極として機能する。電極は単極であり、電流が電解質を電極毎に一度通って流れる。電極405、410、415のそれぞれは、チタンのチューブを含むことができる。陽極の電気的接続部430は、中央チューブ電極405と電気的に接続されている。陰極の電気的接続部435は、内側チューブ電極410及び外側チューブ電極415と電気的に接続されている。
【0096】
本明細書で開示する、複数陽極チューブ電極又は複数陰極チューブ電極を含む実施形態では、複数陽極チューブ電極をまとめて陽極又は陽極チューブと呼ぶことができ、複数陰極チューブ電極をまとめて陰極又は陰極チューブと呼ぶことができる。本明細書において、複数陽極チューブ電極又は複数陰極チューブ電極を含む実施形態では、複数陽極チューブ電極及び/又は複数陰極チューブ電極をまとめて陽極−陰極の組と呼ぶことができる。
【0097】
同心チューブ電極(例えば本明細書で開示する1つ以上の陽極及び/又は陰極)を含む電気化学セルのいくつかの態様及び実施形態において、流体を電極間の1つ以上の隙間を通して電気化学セルの中心軸線と平行な方向に導くように、電極を構成し配置する。同心チューブ電極(例えば本明細書で開示する1つ以上の陽極及び/又は陰極)を含む電気化学セルのいくつかの態様及び実施形態において、電気化学セルに導入される全ての流体を複数電極間の1つ以上の隙間を通して電気化学セルの中心軸線と平行な方向に導くように、電極を構成し配置する。
【0098】
複数電極間の隙間420、425の幅を、一定とすることができ、又は可変とすることができる。複数電極間の隙間の幅を、例えば差し渡し約1ミリメートル〜約5ミリメートルとすることができ、上述したように複数電極間の隙間の幅を、電気化学セルで処理される電解質の種類に基づいて選択することができる。供給電解質溶液は、3つのチューブ電極の間に形成される、2つの環状隙間420、425を通って流れる。一定又は可変の直流電圧を陽極の電気的接続部430及び陰極の電気的接続部435にわたって印加し、又はある実施形態では交流電流を陽極の電気的接続部430及び陰極の電気的接続部435にわたって流す。電流は、陽極(中央チューブ電極405)の内側表面及び外側表面から、内側陰極及び外側陰極(内側チューブ電極410及び外側チューブ電極415)に同時に流れる。1つ以上の導電性ブリッジ440によって、電気的接続部を内側チューブ電極410と外側チューブ電極415との間に設けることができる。当該導電性ブリッジ440を内側チューブ電極410及び外側チューブ電極415と同じ材料(例えばチタン)で形成することができる。バルク溶液内の電極の表面において、電気化学反応及び化学反応が起こり、生成物溶液(例えば消毒用次亜塩素酸ナトリウム)が生成される。海水電解セル400を、非導電性ハウジング(例えば
図6に図示するハウジング305)に含めることができる。
【0099】
図14Bに全体的に400’で図示する他の実施形態では、中央チューブ電極405を被覆せず又はメッキせず、それゆえに中央チューブ電極405の内側及び外側は2つの陰極表面として機能する。中央チューブ電極405に面する内側チューブ電極410及び外側チューブ電極415の表面を、酸化防止コーティング(例えばMMO又は白金)で被覆して、2つの陽極表面を形成する。電極は単極であり、電流は電解質を電極毎に一度通って流れる。電極405、410、415のそれぞれは、チタンのチューブを含むことができる。陽極の電気的接続部430は、内側チューブ電極410及び外側チューブ電極415と電気的に接続されている。陰極の電気的接続部435は、中央チューブ電極405と電気的に接続されている。
【0100】
図14Bに図示する実施形態は、電流が、内側チューブ電極410及び外側チューブ電極415の陽極表面から中央チューブ電極405の2つの陰極表面に流れる点を除いて、
図14Aに図示する実施形態に類似する。1つ以上の導電性ブリッジ440によって、電気的接続部を内側チューブ電極410と外側チューブ電極415との間に設けることができる。当該導電ブリッジ440を内側チューブ電極410及び外側チューブ電極415と同じ材料(例えばチタン)で形成し、当該材料を含み又は当該材料から構成することができる。同心チューブ電極を含む電気化学セルの任意の実施形態の電極を、例えば厚さが約0.25ミリメートル〜約3ミリメートル、約0.9ミリメートル〜約2ミリメートル又は約1.5ミリメートルの、硬性金属電極とすることができる。バルク溶液内の電極の表面において、電気化学反応及び化学反応が起こり、チューブ電極405、410、415の間に形成される環状の隙間420、425で生成物溶液(例えば消毒用次亜塩素酸ナトリウム)が生成される。電気化学セル又は海水電解セル400’を、非導電性ハウジング(例えば
図6に図示するハウジング305)に含むことができる。例えば電気化学セルにおいて
図7Bに示すとともに上述し、並びに/又は端部キャップにおいて
図10に示し及び/若しくは
図17に示し後述するように、いくつかの実施形態では、電気化学セル400、400’の中心を通るともに最内側電極410の内側を通る電解質の流れを、非導電性コアを含むことによって妨げることができる。
【0101】
他の実施形態によれば、同心チューブ電気化学又は海水電解セルは、4つの同心チューブ電極を含む。4つのチューブの海水電解セルの例を
図15に500で全体的に示す。4つのチューブの海水電解セル500は、陽極として機能するとともに陽極電気的接続部525と電気的に接続され得る、内側チューブ電極505及び中間チューブ電極510を含む。また1つ以上の導電ブリッジ550によって、内側チューブ電極505及び中間チューブ電極510を互いに電気的に接続し得る。外側チューブ電極520及び中間チューブ電極515は、陰極として機能するとともに陰極電気的接続部530と電気的に接続され得る。また1つ以上の導電ブリッジ555によって、外側チューブ電極520及び中間チューブ電極515を互いに電気的に接続し得る。外側チューブ電極520及び中間チューブ電極515は、中間チューブ電極510の両側に配置される。
【0102】
4つのチューブの海水電解セル500は、供給電解質が4つのチューブの海水電解セル500に形成される3つの環状隙間535、540、545を通って流れる点を除いて、3つのチューブの海水電解セル400と類似する方法で動作する。4つのチューブの海水電解セル500を形成するために3つのチューブの海水電解セル400に追加された追加チューブは、付加的な陰極電極表面と、付加的な陽極表面と、付加的な環状隙間とを提供する。バルク溶液内の電極の表面において、電気化学反応及び化学反応が起こり、4つのチューブ電極の海水電解セル500に形成される環状の隙間535、540、545で生成物溶液が生成される。海水電解セル500を、非導電性ハウジング(例えば
図6に図示するハウジング305)に含むことができる。他の実施形態では、外側チューブ電極520及び中間チューブ電極515を、陽極として使用し、酸化防止コーティングで被覆することができ、内側チューブ電極505及び中間チューブ電極510は、陰極として使用され、酸化防止コーティングは含まない。例えば電気化学セルにおいて
図7Bに示し、並びに/又は端部キャップにおいて
図10に示し及び/若しくは
図17に示し後述するように、いくつかの実施形態では、電気化学セル500の中心を通るとともに最内側電極505の内側を通る電解質の流れを、非導電性コアを含むことによって妨げることができる。
【0103】
他の実施形態によれば、同心チューブ海水電解セルは、5つの同心チューブ電極を含む。5つのチューブの海水電解セルの例を
図16に600で全体的に示す。5つのチューブの海水電解セル600は、陽極として機能するとともに陽極電気的接続部635と電気的に接続され得る、中間チューブ電極620及び625を含む。また1つ以上の導電ブリッジ665によって、中間チューブ電極620及び625を互いに電気的に接続し得る。内側チューブ電極605、中央チューブ電極610及び外側チューブ電極615は、陰極として機能するとともに陰極電気的接続部630と電気的に接続され得る。また1つ以上の導電ブリッジ660によって、内側チューブ電極605、中央チューブ電極610及び外側チューブ電極615を互いに電気的に接続し得る。中間チューブ電極620、625は、中央チューブ電極610の両側に配置される。
【0104】
5つのチューブの海水電解セルは、供給電解質が5つのチューブの海水電解セルに形成される4つの環状隙間640、645、650、655を通って流れる点を除いて、4つのチューブの海水電解セル500と類似する方法で動作する。5つのチューブの海水電解セル600を形成するために4つのチューブの海水電解セル500に追加された追加チューブは、付加的な陰極電極表面と、付加的な陽極表面と、付加的な環状隙間とを提供する。バルク溶液内の電極の表面において、電気化学反応及び化学反応が起こり、5つのチューブ電極の海水電解セル600に形成される4つの環状の隙間で生成物溶液が生成される。海水電解セル600を、非導電性ハウジング(例えば
図6に図示するハウジング305)に含むことができる。他の実施形態では、内側チューブ電極605、中央チューブ電極610及び外側チューブ電極615を、陽極として使用し、酸化防止コーティングで被覆することができ、中間チューブ電極620及び625は、陰極として使用され、酸化防止コーティングは含まない。例えば電気化学セルにおいて
図7Bに示し、並びに/又は端部キャップにおいて
図10に示し及び/若しくは
図17に示し後述するように、いくつかの実施形態では、電気化学セル600の中心を通
るとともに最内側電極605の内側を通る電解質の流れを、非導電性コアを含むことによって妨げることができる。
【0105】
図17は、700で全体的に示す電気化学セルの他の実施形態を示す。
図17に示すように、海水電解セルの陽極チューブ及び/又は陰極チューブ705、710は開口部715を有し、海水電解セルの電気化学反応で生成された水素を、電極705、710を通してより容易に流すことができ、電極表面における水素マスキング効果を減少させることができる。水素マスキング効果は、利用可能な陽極領域を減少させ、次いで次亜塩素酸ナトリウムの生産高を減少させる。これに加えて又はこれに代えて、陽極及び/又は陰極は、流体透過性及び/又は有孔若しくはメッシュ材料(例えば
図8に示すような有孔チタン又はチタンメッシュ)を含むことができる。端部キャップ720を海水電解セル700の入口端及び/又は出口端に設けて、蓋付き中心コアを提供することができる。端部キャップ720は、流体が最内側チューブ電極の内側に画定される電気化学セル700の中心導管から流れ落ちて、環状隙間725を迂回することを防止する、中心コア要素又は流体導流路である。いくつかの実施形態では、端部キャップ720を、1つ以上の機械的留め具及び/又は摩擦嵌合によって、同心チューブ電極電気化学セルの最内側同心チューブ電極に接続することができる。いくつかの実施形態では、端部キャップ720は、同心チューブ電極電気化学セルの最内側同心チューブ電極のみと接触し及び/又は接続することができる。同心チューブ電極電気化学セルの実施形態の少なくとも1つの電極を、端部キャップと接続させず接触させないことができる。
【0106】
電極は、電極を外部環境から電気的に分離するとともに流体の圧力に耐えるように設計された、非金属ハウジング(例えば
図6に示すようなハウジング305)内に位置付けられ得る。構成について、例えば
図17に示す電極715の穴及び端部キャップ720を、本明細書で開示される、マルチチューブ海水電解セル若しくは電気化学セルの実施形態、又は渦巻状電気化学セルの実施形態のいずれかに含めることができる。
【0107】
図18A及び18Bは、同心電極チューブ電気化学セルの他の実施形態を800で全体的に示す。マルチチューブ陽極805及び陰極810に加えて、双極である第3チューブ電極815が存在する。双極チューブ電極815の一端部815A(いくつかの実施形態では電極815のほぼ半分)は被覆されておらず陰極として機能し、他方の端部815B(いくつかの実施形態では電極815のほぼ半分)は酸化防止コーティング(例えば白金又はMMO)で被覆されており陽極として機能する。双極チューブ電極815を、陽極チューブ電極805及び陰極チューブ電極810内で入れ子にする。陽極チューブ電極805は端部815Aを囲み、陰極チューブ電極810は端部815Bを囲む。同じ直径を有する陽極チューブ電極805及び陰極チューブ電極810は、電気化学セル800の丈に沿って横方向にずれている。
図2Bに示す装置と類似する方法で、双極チューブ電極815は、双極チューブ電極815と陽極チューブ電極805及び陰極チューブ電極810との間を通過する電解質溶液を通して、電流を2つの経路で流せるように方向付けられている。
図18Bに示すように、内部スペーサキャップ820及び/又は端部キャップ825は、双極チューブ電極815に配置され、液体が電気化学セル800の最内側電極(例えば最内側双極チューブ電極815)の中心を通って流れることを防止することができる、中心コア要素又は流体導流路である。電気化学セル800を、非金属ハウジング(例えば
図6に示すハウジング305)の内部に装着することができる。
【0108】
付加的な双極チューブ電極815を挿入するとともに陽極チューブ電極805及び陰極チューブ電極810のそれぞれを重ねて、陽極及び陰極チューブ電極を、半径方向に沿うとともに海水電解セル又は電気化学セルを通る複数の双極チューブ電極の択一的な側面に設けることによって、海水電解セルを組立てて、
図4に示すマルチ経路PPEに概ね類似する3つ以上の電流の経路を提供することができる。
【0109】
同心チューブ電気化学セル又は海水電解セルの各電極を、被覆された又は被覆されていない、市販のASTM B338のチタンチューブ又はANSIの配管又はメートル換算のものを使用して製作することができる。
図17に示すように、チタン端部コネクタプレート730を、レーザ切断し、電極チューブに溶接して、電極チューブ間の隙間の幅を調整し、電流を電極チューブに流すことができる。電極チューブに沿って、例えば約1ミリメートル〜約5ミリメートルの幅又は約3ミリメートル〜約4ミリメートルの幅の隙間を、化学的に不活性の及び/又は非導電性の材料(例えばPTFE又はPVDF)から製造されるスペーサパイプ又はセパレータを用いて維持することができる。セパレータは、
図19に示すような電極チューブの縁の周りに適合するC字型又はU字型のスペーサタブ等の、スペーサタブ905を含むことができる。これに加えて又はこれに代えて、電極の選択された箇所に穴を開けることができ、
図19Bに示すように非導電性バンパー910を装着して隣接する電極表面間の間隔を維持することができる。バンパー910を、非導電性ポリマー成形品(例えばPTFE又はPVDF)とすることができ、定位置で音を立てるように設計することができる。例えば、バンパーは、雄部910A及び雌部910Bを含むことができ、雄部910Aが電極の第1の表面に配置され、雌部が電極の反対側の表面に配置された状態で、雌部910Bにスナップ式で定位置に固定されるように、雄部910Aは構成される。これとともに又はこれに代えて、
図19Cに示すように、セパレータは、電極チューブのオリフィスを貫通するとともに電極チューブを隣接する電極チューブから離間させる、ねじ固定具915を含むことができる。
図19A−19Cに示すセパレータのいずれかを、本明細書で開示される渦巻状又は平行プレートの電気化学又は海水電解セルの実施形態で利用することもできる。
【0110】
図20A及び20Bに示すように、例えばチタンで製造されるとともに、本明細書で開示されるマルチチューブ電気化学又は海水電解セルの電極の縁に溶接されてスポーク1005を含む、車輪状装置1000を利用して、電極に対して電気接続をもたらすことができる。第1車輪状装置1000を、本明細書で開示されるマルチチューブ電気化学又は海水電解セルの第1端部に設けて、陽極電極チューブに対して電気接触をもたらすことができる。そして第2車輪状装置1000を、本明細書で開示されるマルチチューブ電気化学又は海水電解セルの第2端部に設けて、陰極電極チューブに対して電気接触をもたらすことができる。車輪状装置1000に開口部1010を設けて、同心電極チューブ間の隙間を通して流体を流すことができる。スポーク1005は、電極チューブと係合して電極チューブ間の隙間を維持する位置決め要素を有することができる。当該位置決め要素は、例えば
図10に示す車輪240の溝に類似する、間をおいて設けた溝、タブ、ピン及び/又は突起等である。車輪状装置1000の外側のリム1015を、
図20Aに示す単一のコネクタ1020を利用して、又は
図20Bに示す複数のコネクタ1020を利用して、電源に接続することができる。
【0111】
電気コネクタ1020と電源からの電線1025との間の接続を、安全のため及び腐食防止のために、密封して環境から隔離することができる。
図21A及び21Bは、ガスケット1030を使用して、電気コネクタ1020を、電気化学セル又は海水電解セルが配置される非金属ハウジング1040の端部でフランジ1035内に密封する方法の例を示す。防水コネクタ1045(例えばIP54のコネクタ)を使用して、電気コネクタ1020を電源に接続する。
【0112】
また
図21A及び21Bは、オペレータを感電事故から保護するとともに高価な防水カバーが不要となる、高イングレスプロテクション(IP)等級を備える実施形態を示す。非金属ハウジング1040に対して、次亜塩素酸ナトリウムに対する耐化学性及び約5バールから約15バールの範囲の高到達圧力等級のために、例えばABS、U-PVC、C-PVC及び/又はPVDFの材料を使用し得る高密度プラスチック配管要素を用いることができる。市販の高IP評価のケーブルコネクタを使用して、電流を電極に流し、電極から電流を受け取ることができる。
【0113】
複数同心チューブ電極を含む電気化学セル若しくは海水電解セル又は電気化学装置若し
くは海水電解装置の実施形態は、現在使用されている電気化学又は海水電解の設計に対して多数の利点を有する。例えば、既存の同心チューブ海水電解(CTE)セルでは、外側電極の内面と内側電極の外面とだけが、次亜塩素酸ナトリウムを生成する電極反応において活性である。他の表面は、電解質溶液から隔離されている。外側チューブ及び電気的接続部は環境にさらされている。これに対して、マルチチューブ電極を有する実施形態(例えば3つのチューブの実施形態及び5つのチューブの実施形態)では、陽極は、酸化防止コーティング(例えばMMO又は白金)で被覆された陽極電極チューブの内側表面及び外側表面の両方を使用する。
【0114】
4つの同心電極チューブを含む電気化学又は海水電解セルの、ある陽極電極チューブの両面を被覆し又はメッキすることができる一方、他の陽極電極チューブの一面のみを被覆することができる。それでもこのセルは、現存するCTE設計と比較した場合に、材料をより有効に活用している。
【0115】
本明細書で開示するような3つのチューブ、4つのチューブ及び5つのチューブのマルチチューブ電極構造体は、
図1A及び1Bに示すCTE電極と比較した場合に、ユニット体積あたりの活性領域を次第に増加させる。複数同心チューブ電極を含む電気化学セル又は海水電解セル及び電気化学装置又は海水電解装置で使用されるマルチチューブの数を増加させると、最内側チューブの直径はますます小さくなり、チューブあたりの活性表面積がより少なくなるであろう。しかしながら、全体的な結果は、マルチチューブ電極の活性表面が、
図1A及び1Bに示すCTE電極装置と比較した場合に、著しく広くなる。
【0116】
したがって、現存するCTE電解装置と比較して、本明細書で開示されるマルチチューブ電気化学又は海水電解セルを、複数ユニットで使用して同等量の次亜塩素酸ナトリウムを生成する寸法の電解装置を形成する場合に、より小型にすることができる。3つの同心電極チューブを含む電気化学又は海水電解セルが要求するスペースは、従来のCTEが要求するスペースよりも約30%減となり得る。4つ又は5つの同心電極チューブを含む電気化学又は海水電解セルは、より多くのスペースを削減することができる。
【0117】
通電要素が外部環境に対して露出しないように、防水のコネクタによって、マルチチューブ電極を、非金属非導電性ハウジングに挿入するとともに電源に接続することができる(例えば
図21A及び21B参照)。この設計は、オペレータにとってより安全であり、装置と外部接地要素又は液体との間でショートするおそれがない。既存のCTE装置が要求する密封されたカバーを不要とすることができ、それによってシステムの複雑さ及び資本コストを減少させることができる。
【0118】
平行プレート海水電解(PPE)セルは、従来のCTEセルに対してユニット体積あたりでより高い充填密度を持ち、よく濃くより強い次亜塩素酸ナトリウムを生成することができる。複数の同心電極チューブを含む海水電解セルは、PPEのこれらの利点の両方に対抗することができる。しかしながら、複数の同心電極チューブを含む海水電解セルは、低速度でありそれに続きPPEセルの自浄の度合いが低いために周期的な酸洗浄を要求するというPPEの一般的な短所を持たず、メンテナンスを著しく軽減し、有害化学物質を扱わずに済むであろう。複数の同心電極チューブ装置を含む海水電解セルは、PPEよりも部品の数が少なくなり、組立てが容易となり得る。
【0119】
本明細書で開示した同心電極チューブを含む電気化学又は海水電解装置の態様及び実施形態は、陽極及び陰極(又は陽極−陰極の組)を含むことができる。当該陽極及び陰極は、陽極と陰極との間の活性領域又は隙間を通過する実質的に全て又は全ての流体を、実質的に又は完全に軸線方向に流れて活性領域を通るように導くよう構成され配置される。実質的に又は完全に軸線方向に延びて活性領域を通る方向を、電気化学セル並びに/又は陽
極及び陰極(若しくは陽極−陰極の組)の中心軸線と平行に又は実質的に平行にすることができる。たとえ流体の流れが活性領域を通る間に、流れが乱流になり及び/又は渦が存在したとしても、活性領域を流れる流体は依然として活性領域を通り実質的又は完全に軸線方向に流れると考えることができる。
【0120】
本明細書で開示される同心電極チューブを含む電気化学又は海水電解装置の態様及び実施形態は、約46%〜約52%の有効密度を有することができ、ある実施形態では約50%よりも大きい有効密度を有することができ、ある実施形態では約75%よりも大きい有効密度を有することができ、ある実施形態では約85%よりも大きい有効密度を有することができ、ある実施形態では約90%よりも大きい有効密度を有することができ、そしてある実施形態では最高で約95%の有効密度を有することができる。
【0121】
海水電解セルは、海洋で、沖合で、都市で、産業的に及び商業的に適用される。複数の同心電極チューブを含む海水電解セルの設計パラメータは例えば、内側電極間隔、電極の厚さ、コーティングの密度、電極面積、電気的接続方法等であり、これらを様々な実装のために選択することができる。本明細書で開示される態様及び実施形態は、電極の数、電極間のスペース、電極の材料若しくはスペーサの材料、海水電解セル内の経路の数又は電極のコーティング材料を限定するものではない。
【0122】
他の態様によれば、電気化学又は海水電解セルに、軸線方向に放射状に延びる電極を設けることができる。本明細書では当該電極を半径方向に実質的に方向付けられた電極とも呼ぶ。軸線方向に放射状に延びる電極は、電気化学又は海水電解セルの中心チャンネルに近接する領域から、セルの外側シェル又はハウジングに向かって延在する陰極及び陽極を含むことができる。陰極電極及び陽極電極は、セルを通る液体の流れに概ね垂直な平面に定められる円形経路に沿って互い違いになる。陰極電極及び陽極電極は隙間によって隔てられ、隙間を通って流れる液体は海水電解等の電気化学処理を受ける。渦巻状電極構成は一般に、表面積に対する可能な体積の比率が最大であると考えられるが、軸線方向に放射状に延びる設計は、同じ充填密度に近づくことができる。また軸線方向に放射状に延びる設計の構築は、当該設計のサブユニット要素の単純性のため及び頑健な技術(板金、焼結、押出加工)を使用して製造できるため、渦巻状設計の構築よりも単純であることが示されている。
【0123】
図22A及び22Bは、全体的に1100で示す半径方向延在電極を含む電気化学又は海水電解セルのある代表的な非限定的実施形態を表す。電気化学セル1100は、半径方向延在陰極1110から流体チャンネル1115によって隔てられた複数の半径方向延在陽極1105を含む。半径方向延在陽極1105及び半径方向延在陰極1110は、電気化学セル1100の中心軸線1135付近に近接して定められる領域1130から、電気化学セルの外周又はハウジングに向かって延びる。いくつかの実施形態では、陽極1105の一部又は全部が、酸化防止コーティング(例えばMMO又は白金)で被覆され得る硬性金属電極(例えばチタン電極)である。いくつかの実施形態では陰極1110の一部又は全部が硬性金属電極(例えばチタン電極)であり、又は他の実施形態では陰極1110の一部又は全部が水素を減少させる多孔質ガス拡散陰極である。いくつかの実施形態では、陽極1105の一部又は全部をガス拡散陽極とすることができる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される半径方向延在電極を含む電気化学又は海水電解セルは、1つ以上の双極電極を含むことができる。本明細書で開示される半径方向延在電極を含む電気化学セルの任意の実施形態の電極を、例えば厚さが約0.25ミリメートル〜約3ミリメートル又は約1ミリメートル〜約2ミリメートルの、硬性金属電極とすることができる。
【0124】
酸素を輸送する中心ガス導管1120を設けることができ、酸素は例えばセル1100の海水電解反応によって生成される水素と結合して水を生成することができる。いくつかの実施形
態では、例えば電極1100の上及び/又は電極1110の中に触媒を設けて、セル1100における酸素及び水素の反応を促進する。非導電性外側シェル1125は、半径方向延在陽極1105、半径方向延在陰極1110、流体チャンネル1115及び中心導管1120を収容することができる。体積に対する電極表面領域の比率を、電極の厚さ、電極間の間隔及びセルの全体寸法等の係数を選択することで操作することができる。
【0125】
セル1100で処理を受ける電解質等の流体は、流体チャンネルを通って中心導管1120及び中心軸線1135に実質的に平行な方向に流れることができる。本明細書で開示される半径方向延在陽極1105及び半径方向延在陰極1110を含む電気化学セルのいくつかの実施形態では、半径方向延在陽極1105及び半径方向延在陰極1110を、隣接する半径方向延在陽極1105と半径方向延在陰極1110との間に画定される流体チャンネルを通る流体の一部又は全部の流れを、電気化学セルの中心長手方向軸線に平行な又は実質的に平行な方向に導くように構成し配置する。
【0126】
図22Cは、
図22Aの電気化学セル1100の陽極1105の断面斜視図である。
図22Dは、
図22Aの電気化学セル1100の陰極1110の断面斜視図であり、支持部1110Bによって半径方向延在部1110Aを結合できる様子を示す。
【0127】
図22Eは、
図22A及び22Bの電気化学セル1100の代替的構成を示し、当該構成では半径方向延在陽極1105及び半径方向延在陰極1110が半径方向の広がりに沿って実質的に同じ厚さを持つ。
図22Eの電気化学セルは、流体が電気化学セルのコアを通って流れることを妨げる、中実コア1150も含む。コア1150は、非導電性材料(例えばPVDF、PTFE又は他のポリマー)を含むことができ、又は導電性材料で形成することができる。
図22F及び22Gは、半径方向延在電極を含む、電気化学又は海水電解セルの実施形態の半径方向延在陽極1105及び半径方向延在陰極1110を、絶縁要素1140によって互いに結合できる様子を示す。
図22Hは、半径方向延在電極1105、1110を含む、電気化学又は海水電解セルの実施形態を、単極とできることを示す。
図22Iは、半径方向延在電極を含む電気化学又は海水電解セルの実施形態を双極とでき、当該実施形態が、電気化学セルの丈に沿って互いにずれた半径方向延在陽極1105及び半径方向延在陰極1110並びに双極の半径方向延在電極1145を含むことができることを示す。付加的な半径方向延在陽極1105及び/又は半径方向延在陰極1110を設けて、電気化学セルを多極とすることができる。
【0128】
図23A−23Dは、
図22A及び22Bの電気化学セルの幾何形状からの代替的な配管構成を含む1200で全体的に示す電気化学セル1100を図示する。転換キャップを使用することで、電気化学セル1200を通る流体の軸線方向流れパターンを提供することができる。
図23Aに示すように、電気化学セル1200は、入口端部キャップ1205の外縁1215に近接しているが外縁1215からずれた、周方向に配置された開口部1210を有する入口端部キャップ1205を含むことができる。開口部1210は、電気化学セル1200の内部の陽極1225と陰極1330との間で流体チャンネル1220と流体連通することができる。したがって開口部1210を通って導入される流体(例えば電解質)は、当該流体が電気化学セル1200の丈に沿って移動する際に、矢印1235(
図23B)で示す方向である半径方向内側に中心流体導管1240に向かって流れることができる。半径方向延在陽極1225及び半径方向延在陰極1230は、電気化学セル1200の中心導管1240から、電気化学セル1200の外周又はハウジングに向かって延在する。電気化学セル1100において、陽極1225の一部又は全部は、酸化防止コーティング(例えばMMO又は白金)で被覆することができる金属電極(例えばチタン電極)であり、陰極1230の一部又は全部は、水素を減少させる多孔質ガス拡散陰極である。ガス導管1245を、流体チャンネル1220の外側であり非導電性外面シェル又はハウジング1250の中に、周方向に設けて、ガス拡散陰極1230への酸素の流れをもたらすことができる。
図23Cに示すように、出口端部キャップ1260の中心に全体的に配置されるとともに中央導管1240と流体連通する、出口開口部1255を設ける。代替的実施形態では、流体が電気化学セル1200を通
って流れるときに、流体は出口端部キャップ1260から入口端部キャップ1205まで流れることができ、流体は中心導管1240から開口部1210まで半径方向外側に流れることができる。
【0129】
図23Dに示すように、電気化学セル1200は内部バッフル1265を含むことができる。バッフル1265を利用して、電気化学セル1200を通過する流体の流れ方向及び/又は混合を制御又は変更することができ、電気化学セル1200にバッフル1265が無い場合と比較して、流体流れチャンネル1220に対して付加的な経路長を提供することができる。電気化学セル1200を通る流体の流れを、外面開口部1210から中心流体導管1240まで、中心導管1240から中心流体導管1240まで、又は外面開口部1210から外面開口部1210までとすることができる。
【0130】
図24は、
図22A及び22Bの電気化学セルの幾何形状の他の変形例を表す。電極の厚さを薄くし、電極間の隙間を小さくすることで、電気化学セルの体積に対する電極1105、1110の表面積を増加させている。
【0131】
図25Aは、
図24の電気化学セルの幾何形状の他の変形例を表し、波状構造を用いることで、電極1105、1105の表面積を更に増加させている。
図25Aの実施形態において、陽極1105及び陰極1110のそれぞれは波型である。他の実施形態では、陽極1105及び陰極1110は、図示した曲率の形態とは異なる形態を持って、電極表面積を増加させることができる。例えば、
図25Bに示すように、電気化学セルの、陽極1105及び陰極1110の一方を波型とする一方、陽極1105及び陰極1110の他方を波型ではないものとすることができる。
【0132】
図26は、マルチチャンネル波型電極幾何形状を含む、
図22A及び22Bの実施形態の幾何形状の変更を表す。
図26の実施形態では、陽極1105あたり複数のガス拡散陰極1100を使用することで、
図22A及び22Bの実施形態と比較して、陰極1100での又は陰極1100内での水素を減少させるための表面積を増加させることができる。複数のガス拡散陰極1100に、中心導管1120によるとともに、中心導管1120から半径方向にずれた軸線方向ガス導管1145によって、ガス(例えば酸素)を供給する。
【0133】
図27A−27Cは、
図26の軸線方向ガス導管1145の、空気的及び電気的経路設定の構成の実施形態を表す。解放チャンネル構成1160及びガスの入口/出口1165を有する端部キャップ1150、1155を、電気化学セル1100の両側の端部1170、1175に固定して、空気的に密封されたチャンバを形成することができる。電流を電極1105、110に流す電気接点をこれらのキャップ1150、1155に組込むことで、キャップ1150、1155は潜在的に、2つの目的に適合することができる。
【0134】
本明細書で開示した半径方向延在電極を含む電気化学又は海水電解装置の態様及び実施形態は、陽極及び陰極(又は陽極−陰極の組)を含むことができる。当該陽極及び陰極は、陽極と陰極との間の活性領域又は隙間を通過する実質的に全て又は全ての流体を、実質的に又は完全に軸線方向に流して活性領域を通すように導くように構成され配置される。実質的に又は完全に軸線方向に延びて活性領域を通る方向を、電気化学セル並びに/又は陽極及び陰極(若しくは陽極−陰極の組)の中心軸線と平行に又は実質的に平行にすることができる。たとえ流体の流れが活性領域を通る間に、流れが乱流になり及び/又は渦が存在したとしても、活性領域を流れる流体は依然として活性領域を通り実質的又は完全に軸線方向に流れると考えることができる。
【0135】
本明細書で開示される半径方向延在電極を含む電気化学又は海水電解装置の態様及び実施形態は、約46%〜約52%の有効密度を有することができ、ある実施形態では約50%超の有効密度を有することができ、ある実施形態では約75%超の有効密度を有することができ、ある実施形態では約85%超の有効密度を有することができ、ある実施形態では約90%超の有効密度を有することができ、そしてある実施形態では最高で約95%の
有効密度を有することができる。
【0136】
他の態様によれば、角丸長方形状の又は軸線周りには巻回されていない電気化学セルが提供される。角丸長方形状とは、2つの半円が、当該半円の両終点に接する平行な線で接続されている2次元形状であり(
図28A)、次に角丸長方形状を3次元に突出させることができる(
図28B)。
【0137】
角丸長方形状の構造は、配管及び電気的経路設定に関して無数の構成を可能とするため、軸線周りに巻回した又は円筒状の電気化学セルとは異なる利点を有する。角丸長方形状の電気化学セルの実施形態は、角丸長方形状の中心コアの周囲に巻回された2つ以上の電極と接する、1つ以上のチャンネルを含むことができる。任意の多数の手段を使用して(電極、薄膜、スペーサ又は導管であっても他の構成であっても)、チャンネルを画定することができる。また電極の種類を変えることができ、電極の種類には寸法安定性導線シ-ト又はガス拡散電極を含むが、これらに限定されるものではない。言及したチャンネルを画定した後、当該チャンネルを使用して流体又はガスの流れによって、1つ以上の反応物質を輸送することができる。電極間に電圧を印加して、電気化学セルに1つ以上の生成物を生成させることができる。
【0138】
図29A−29Dは、異なるいくつかの流れの構成の実施形態を示す。例えば
図29Aに示すように、単一のチャンネルを角丸長方形状のコアの周りに巻回することができる、当該チャンネルは内側から外へ(inward-out)又は外側から中へ(outward-in)向かう単一のフローストリームを有する。例えば
図28Bに示す他の実施形態は、流体及び/又はガスが複数の方向に移動できるより多くのチャンネルを有する幾何形状を含む。かかる幾何形状は、ガス拡散電極を使用する実施形態に対して特に有利となり得、当該実施形態では、処理される流体が1つのチャンネルを通って流れ、酸素が他のチャンネルを通ってガス拡散電極まで流れる。
図29Cに示すような他の実施形態では、反応物質は中心コアの押出軸線に沿って「貫流」して移動することができる。
図29Dに示すような更なる実施形態は、
図29A及び29Cに表す流れ構成の組み合わせを含み、流体はあるコアのコア押出部に沿って移動するとともに、他の巻回された周辺部に沿う。
【0139】
図30A−30Cは、角丸長方形状の電気化学セルの実施形態における電気的経路設定に関する潜在的な構成を描写する。いくつかの実施形態において、電気的経路設定の方向付けは、配管の方向付けに似ている。いくつかの実施形態において、電気バスバー1305を使用してセル間に電圧を供給することができ、電気バスバー1305は、コア押出部の丈に沿って横切ることができ(
図30A)又は周囲に巻回され得る(
図30B)。
【0140】
図30Cは、コア要素が絶縁体1320によって陰極1315から絶縁された陽極1310からなる、押出電気接続部の非限定的実施形態を表す。この構成では、複数の半円形端部1325にオフセットを作り、電極パック1330を厚くし、電極パック1330が互いの上に乗るときに円滑に移行し得る。電極1345をバスバー1350に互いに定位置で電気的に接続するとともに、電極1345をスペーサ1350に接続するために使用される、ネジ又はボルト1335及び導電性スペーサ1340を備える、単純かつ安全な電気的接続部も利用できる(
図31A及び31B)。
【0141】
他の態様によれば、電気化学セル若しくは装置又は海水電解セル若しくは装置で、電極に対して優れた電気的接続をもたらす、機構及び方法が提供される。この優れた電気的接続部の実施形態を、本明細書で開示される任意かつ全ての電気化学セル又は装置及び海水電解セル又は装置に適用できる。
【0142】
電気化学セルの動作時には、より大きな電流の流れが電気化学セルに渡るときでさえも、しばしば動作温度を低く保つことが望ましい。従来の電気化学セルは一般に、チタン外
側シェル(
図1A参照)に溶接されたチタンのみからなる電気コネクタ101A、101Bを含む。チタン電気コネクタ101A、101Bは高度の耐化学性を有するが、望ましならぬ量の熱(及び無駄なエネルギ)を生成することなく電気化学セルに電流を提供するのに最適ではないことがある。チタンコネクタの高い抵抗率のために、伝統的なチタンコネクタに供給される電流は制限され、外気中のコネクタの温度は過度に上昇しない。しかしながら、次亜塩素酸ナトリウムセルの生産量が電流入力に正比例するために、この構成は、海水電解セルが生み出す塩素又は次亜塩素酸ナトリウムの生成量を制限する。伝統的なチタンコネクタの生成熱のため、当該コネクタをIP54以上の高イングレスプロテクションレベルの電気的絶縁材料で完全に囲むことができない。これにより、熱をカプセル化電気コネクタほど閉じ込めない、高価な電気的囲いが必要になる。これらの課題を解決するため、伝統的なチタンコネクタはしばしば、断面積がより大きな材料で作られ、このことは実質的に電気コネクタ及び電気化学セルのコストを高くする。
【0143】
銅の抵抗率は1.707 x 10
-8Ω/m である一方、チタンの抵抗率は7.837 x 10
-7Ω/m である。銅はチタンのほぼ46分の1の電気抵抗率である。したがって、抵抗率が低い銅で少なくとも部分的に製造されている、電気化学セルの電極に対する電気コネクタが求められている。しかしながら、銅はチタンよりも化学的腐食されやすいため、電気化学セルを通過する電解質との接触を阻止すべきである。
【0144】
改善された電気コネクタの実施形態では、電気コネクタにおけるプロセス流体又は電解質(例えば、相当の塩素による腐食性を有する海水)と接触する部分が、チタンである。この材料を流れる電流によって生成される熱は、プロセス流体の流れによって効率的に取り除かれる。プロセス流体の流速は、自浄セルでは2 m/sを超える流速であり、平面プレートセルでは0.2から0.4 m/s の流速であるため、プロセス流体の流量はしばしば相当なものとなり、電気コネクタのチタン部分の温度上昇が無視できる値に保たれる。電気コネクタの外気と接触する部分は銅(又はチタンよりも抵抗率が小さい他の金属若しくは合金)である。
【0145】
異なる金属(例えばチタン、及び銅又はチタンよりも抵抗率が小さい他の金属若しくは合金)で形成される部分を含む気液冷却電気コネクタは、伝統的なチタンコネクタが示す課題を解決することができる。電気コネクタの外気に晒される部分を、電気抵抗がより小さい金属(例えば銅)で形成することができ、又は当該部分に電気抵抗がより小さい金属を含むことができる。優れた低電気抵抗性によって、温度上昇を小さく許容できる値に制限する。この外側の導体を、プロセス液体(例えば海水)と接触する、コネクタの内側の高耐化学性の(例えばチタンの)部分に接合する。プロセス液体の水冷効果によって、コネクタの内側の高耐化学性部分の温度上昇を小さく許容できる値に制限する。
【0146】
全体的に二重の金属製電気コネクタは、同等の定格電流に対して、伝統的なチタンのみからなるコネクタよりも費用対効果が高くなり得る。二重金属製電気コネクタの外側の導体は、温度上昇が小さく、電気的絶縁材料内にカプセル化することができ、ひいては高価な電気的囲いを不要とし得る。伝統的なチタンのみからなるセルの電気コネクタを用いる場合よりも、電気化学セルに対して高い電流を供給する、気液冷却二重金属製電気コネクタの実施形態が開発される。
【0147】
図32に、使用中にプロセス流体又は電解質と接触できるチタン部1405と、使用中に外気と接触できる銅部1410とを含む、電気コネクタを備える電気化学セル1400の実施形態を示す。チタン部1405及び銅部1410を、例えば
図13A−C及び/又は
図21A、Bを参照して説明したガスケット(明瞭化のため
図32から省略している)を使用してコネクタ部の周りを気密封止するとともに電気化学セルの内部を外部環境から密封する、電気化学セルのフランジ1415内に物理的及び電気的に接続することができる。銅は、高導電性材料の
例であり、本明細書で開示される電気コネクタにおいて、他の高導電性材料又は合金が銅の代わりに使用されることが理解される。便宜上用語「銅部」又は「銅」を使用するが、これらの用語は要素を銅で形成することを限定しないことが理解される。
【0148】
本明細書で開示される電気化学セルで使用するための気液冷却二重金属製電気コネクタの様々な製造方法を、
図33A−33Fに提示する。例えば、
図33Aは、チタン部1405を機械的留め具(例えばボルト1420)によって銅部1410に結合する方法を示す。ボルト1420を、チタン部1405又は銅部1410と同じ材料から形成することができる。
図33Aに示す実施形態及び本明細書で開示される他の実施形態のチタン部1405は、電気化学装置及び開口部1430の陽極又は陰極の一方と電気的に接触して、プロセス流体(例えば電解質)を電気化学装置の中へ又は電気化学装置から外に流す、アーム又はスポーク1425を含むことができる。アーム又はスポーク1425は、電気化学装置の電極との係合を促進する溝1430を含むことができる。
【0149】
図33Bは、チタン部1405を締まりばめによって銅部1410に結合する方法を示す。
図33A及び33Bを比較することで、銅部1410がチタン部1405から延在することができ、又は銅部1410がチタン部1405を完全に包囲できることを理解できる。
【0150】
図33Cは、チタン部1405がネジ付き外側リム1435を備える実施形態を示す。銅部1410の開口部1440の内側リムの相補的ネジに係合することで、外側リム1435を銅部1410の定位置にネジ留めすることができる。
【0151】
図33Dに示す他の実施形態では、銅部1410は、チタン部1405の開口部1450にネジで留まる、円柱状の下側ネジ付き部1445を含む。
図33A−33Cでは、チタン部1405は実質的に板状であるが、
図33Dにおいて、チタン部1405は円柱状の3次元要素である。
【0152】
図33Eに示す更なる実施形態では、銅部1410を多金属電気コネクタ1455(例えばチタンと銅又は1つ以上の他の高導電性金属との合金)に置き換えている。多金属電気コネクタ1455は、チタンよりも抵抗率が小さい。
図33Eに示すように、多金属電気コネクタ1455をチタン部1405に溶接することができる。他の実施形態では、
図33A−33Dのいずれかの銅部1410に類似する寸法を有する多金属部を、これらの実施形態における銅部1410の代わりに用いることができる。
【0153】
他の態様によれば、
図34A及び34Bに1500で全体的に示す海水電解セルは、弓状ベース1505Bに電気的及び機械的に結合する複数の平行プレート1505Aを有する陰極1505と、弓状ベース1510Bに電気的及び機械的に結合する複数の平行プレート1510Aを有する陽極1510と、を含む。陰極1505の平行プレート1505Aは、陽極1510の平行プレート1510Aと交互に積層される。本明細書で開示される他の実施形態のように、陽極1510及び/又は陰極1505をチタンとすることができ、陽極1510を酸化防止コーティング(例えば白金又はMMO)で被覆することができる。陽極1510及び/又は陰極1505を押出加工によって形成することができる。陰極1505及び陽極1510を、いくつかの実施形態では非導電性材料から形成される、円筒状又は実質的に円筒状の容器1515内に配置することができる。上述した電気的接続機構のいずれかに従う陽極1510及び陰極1505に対する電気的接続部を設けることができる。陽極1510のプレートと陰極1505のプレートとの間に、上述したスペーサ機構のいずれかに従うスペーサを設けることができる。陽極1505及び陰極1510の活性領域は、陰極1505の平行プレート1505A及び陽極1510の平行プレート1510Aを含むとともに、いくつかの実施形態では、陰極1505及び陽極1510の弓状のベース1505B、1510Bも含む。
図34Bに示す容器1515を通る流体の流れの方向は、陽極1510及び陰極1505のプレートの各ベース部からの延在方向と概ね垂直な方向である。陽極1505及び陰極1510の活性領域は、陽極1505及び陰極1510が互いに接触せず電気的に短絡しないような容器1515の縁からの十分な間隔のみを
残しつつ、容器1515の概ね断面全体にわたって延在する。弓状のベース1505B、1510Bの円弧は、180°よりもすこし少ない角度(例えば約165°及び約175°)にわたり、広い活性電極領域をもたらすことができる。このように、海水電解セル155は、従来の平行プレート海水電解装置よりも広い、ユニット体積あたりの活性電極領域を含み、海水電解セル155は、より小さな全体体積で同等の塩素処理量を生み出して動作することができる。
【0154】
異なる陽極−陰極のプレート間隔を有する電気化学セル1500の交互の構成を、
図34C及び34Dに示す。図示するように、陽極1510又は陰極1505の最も外側のプレート1510A、1505Aは、ベース1510B、1505Bよりも厚いとともに他のプレート1510A、1505A以上の厚さとすることができる、肉厚部1510C、1505Cを有することができる。いくつかの実施形態では、外側プレート1510A、1505Aが形成される金属板を自身の上に折返すことによって、肉厚部1510C、1505Cを形成することができる。陽極1510及び/又は陰極1505を、金属板を屈曲させることによって(
図34C)及び/又は押出加工によって(
図34D)形成することができる。交互に積層した陽極1510及び陰極1005を含む電気化学セル1500を、単一の陽極1510及び陰極1505を有する単極とすることができ(
図34E)、又は、電気化学セル1500の丈に沿って互いにずれるとともに双極電極1520のプレートと交互に積層したプレートをそれぞれ備える、単一の陽極1510及び陰極1505を有する双極とすることができる(
図34F)。付加的な陽極11510及び/又は陰極1505を設けて、電気化学セルを多極とすることができる。
【0155】
本明細書で開示される電気化学セル若しくは装置又は海水電解セル若しくは装置を、より大きなシステムの一部に含めることができる。1つ以上の電気化学セル若しくは装置又は海水電解セル若しくは装置を用いるシステムの一例を、
図35に1600で全体的に示す。システム1600は、いくつかの実施形態では水上システム(例えば船又は油田掘削施設)であり、他の実施形態では陸上建築物(例えば発電所、石油掘削設備若しくはシステム又は他の産業施設)である。他の実施形態では、システム1600は、システム1600の電気化学装置の1つ以上の生成物(例えば水を処理又は消毒する消毒薬)を使用する、水泳プール若しくは飲料水用、廃水用若しくは工業用水処理プロセス用処理システムであり、又はこれらを含むことができる。
【0156】
システム1600は、本明細書で開示される電気化学セル若しくは装置又は海水電解セル若しくは装置の1つ以上を含むことができる、1つ以上の海水電解システム1605を含む。システムは、いくつかの実施形態では海水又は汽水であるプロセス液体又は電解質を、外部水源1610A及び/又は内部水源1610Bからシステムまで引き寄せることができる。例えば、システムが水上のシステムである場合、外部水源1610Aを海洋とすることができ、内部水源1610Bを例えば船のバラストタンクとすることができる。陸上のシステムでは、外部水源1610Aを海洋とすることができ、内部水源1610Bをシステム1600で実施された工業プロセスからのブラキッシュ廃水とすることができる。1つ以上の海水電解システム1605は、水源1610A及び/又は水源1610Bからの水によって、塩素処理水及び/又は次亜塩素酸ナトリウムを含む溶液を生成して溶液を使用地点1615に分配する。使用地点を、システム用の冷却水の水源、船のバラストタンク用の消毒薬の供給源、石油掘削システムのダウンホール又は塩素処理水が有益となり得る他の任意のシステムとすることができる。様々なポンプ1620は、システム1600を通る流体の流れを制御することができる。1つ以上のセンサ1625は、システムを通る流体の流れの1つ以上のパラメータ(例えばイオン濃度、塩素濃度、温度又は着目した他の任意のパラメータ)を監視することができる。ポンプ1620及びセンサ1625は、制御システム又はコントローラ1630と通信する。制御システム又はコントローラ1630は、センサ1625及びポンプ1620と情報交換してポンプ1620及びシステム1600の他の要素の動作を制御して、所望の動作パラメータを得る。
【0157】
システム1600の様々な要素の動作を監視し制御するために使用されるコントローラ1630は、コンピュータ化された制御システムを含むことができる。コントローラ1630の様々な態様を、
図36に示すような多目的のコンピュータシステム1700で実行する専用ソフトとして実装することができる。コンピュータシステム1700は、1つ以上のメモリ装置1704(例えばディスクドライブ、ソリッドステートメモリ又は他のデータを記憶する装置)に接続されたプロセッサ1702を含むことができる。メモリ1704は一般に、コンピュータシステム1700の動作中にプログラム及びデータを記憶するために使用される。コンピュータシステム1700の複数の構成要素を、相互接続機構1706によって結合することができる。相互接続機構1706は、(例えば同じ機械に統合された構成要素間の)1つ以上のバス、及び/又は(例えば独立した別個の機械に存在する構成要素間の)ネットワークを含むことができる。相互接続機構1706は、システム1700のシステム構成要素間での(例えばデータ、命令の)交換通信を可能にする。コンピュータシステム1700は、1つ以上の入力装置1708(例えばキーボード、マウス、トラックボール、マイクロフォン、タッチスクリーン)及び1つ以上の出力装置1710(例えば印刷装置、表示画面及び/又はスピーカ)も含む。
【0158】
出力装置1710は、水源1610A及び/若しくは1610Bの生産水(例えば汽水又は海水)を海水電解システム1605若しくは使用地点1615に導入するために、及び/又はポンプ1620の速度を制御するために使用されるバルブ、ポンプ又はスイッチを備えることもできる。1つ以上のセンサ1714は、コンピュータシステム1700に入力を与えることができる。これらのセンサは、例えばセンサ1625を含むことができる。センサ1625は、例えば圧力センサ、化学濃度センサ、温度センサ又はシステム1600に対する他の任意の着目したパラメータのセンサとすることができる。これらのセンサを、システム1600の有益となり得る任意の部分に配置することができる。例えばセンサを、使用地点1615及び/若しくは海水電解システム1605の上流に配置することができ、又は水源1601A及び/若しくは1601Bと流体連通するように配置することができる。また、コンピュータシステム1700は、相互通信機構1706とともに又は相互通信機構1706に代えて、コンピュータシステム1700を通信ネットワークに接続する1つ以上のインタフェース(図示せず)を含むことができる。
【0159】
図37により詳細に示すストレージシステム1712は一般に、コンピュータが読み書き可能な不揮発性記憶媒体1802を含み、不揮発性記憶媒体1802にはプロセッサ1702が実行するプログラムを定める信号又はプログラムが処理する情報が記憶される。媒体は、例えばディスク又はフラッシュメモリを含むことができる。一般に、動作時にプロセッサは、データを、不揮発性記憶媒体1802から、プロセッサが媒体1802よりも高速に情報にアクセスできる他のメモリ1804に読み出す。このメモリ1804は一般に、揮発性のランダムアクセスメモリであり、例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)又はスタティックメモリ(SRAM)である。メモリ1804を、図示するストレージシステム1712又はメモリシステム1704に配置することができる。プロセッサ1702は一般に、集積回路のメモリ1804のデータを扱って、処理が完了した後データを媒体1802にコピーする。媒体1802と集積回路のメモリ要素1804との間でデータの移動を扱う種々の機構が既知であり、本明細書で開示される態様及び実施形態は限定的なものではない。本明細書で開示される態様及び実施形態は、特定のメモリシステム1704又はストレージシステム1712に限定されるものではない。
【0160】
コンピュータシステムは、特別にプログラムされた特定目的のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路、ASIC)を含むことができる。本明細書で開示される態様及び実施形態を、ソフトウェア、ハードウェア若しくはファームウェア又はこれらの組み合わせで実装することができる。さらに、このような方法、行為、システム、システム要素及びこれらの構成要素を、上述したコンピュータシステムの一部として又は独立した構成要素として実装することができる。
【0161】
コンピュータシステム1700を、本明細書で開示される様々な態様及び実施形態を実施で
きる、ある種類のコンピュータシステムの例として示すが、本明細書で開示される態様及び実施形態が、
図36に示すコンピュータシステムで実装されるものに限定されるものではないことを理解するはずである。本明細書で開示される様々な態様及び実施形態を、
図36に示す様々なアーキテクチャ又は構成要素を有する、1つ以上のコンピュータで実施することができる。
【0162】
コンピュータシステム1700を、高水準プログラミング言語を用いてプログラムできる多目的コンピュータシステムとすることができる。コンピュータシステム1700を、特別にプログラムされた特定目的ハードウェアを用いて実装することもできる。コンピュータシステム1700では、プロセッサ1702は一般に市販のプロセッサ(インテル(登録商標)社から入手できる周知のPentium(登録商標)又はCore(登録商標)クラスのプロセッサ等)である。プログラマブルロジックコントローラを含む多数の他のプロセッサを利用できる。かかるプロセッサは通常、例えばマイクロソフト(登録商標)社から入手できるWindows(登録商標)7、Windows 8又はWindows 10オペレーティングシステム、アップル(登録商標)コンピュータ社から入手できるMac OS(登録商標)System X、Sun Microsystems(登録商標)から入手できるSolaris(登録商標)Operating System又は様々な出所から入手できるUNIX(登録商標)とし得る、オペレーティングシステムを実行する。他の多数のオペレーティングシステムを使用することができる。
【0163】
プロセッサ及びオペレーティングシステムは連携して、アプリケーションプログラムが高水準プログラミング言語で記述されるコンピュータプラットフォームを定める。本発明は特定のコンピュータシステムプラットフォーム、プロセッサ、オペレーティングシステム又はネットワークに限定されるものではないことが理解されるはずである。また当業者にとって、本明細書で開示される態様及び実施形態は、具体的なプログラミング言語又はコンピュータシステムに限定するものではないことが明確なはずである。さらに、他の適切なプログラミング言語及び他の適切なコンピュータシステムも使用できることが理解されるはずである。
【0164】
コンピュータシステムの1つ以上の部分を、通信ネットワークに結合する1つ以上のコンピュータシステム(図示せず)にわたって分散させることができる。またこれらのコンピュータシステムを、多目的コンピュータとすることができる。例えば、本発明の様々な態様を、1つ以上のクライアントコンピュータにサービスを提供するように構成され(例えば複数のサーバ)、又は分散システムの一部として全体のタスクを実施するように構成される、1つ以上のコンピュータシステムの間に分散させることができる。例えば、本明細書で開示される様々な態様及び実施形態を、本明細書で開示される様々な態様及び実施形態に従う様々な機能を実施する、1つ以上のサーバシステムの間に分散された構成要素を含むクライアント−サーバシステムで実施することができる。これらの構成要素を、通信プロトコル(例えばTCP/IP)を用いて、通信ネットワーク(例えばインターネット)を通じて通信する、実行可能コード、中間コード(例えばIL)又はインタープリタ方式の(例えばJave(登録商標)の)コードとすることができる。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム200の1つ以上の構成要素は、1つ以上の他の構成要素と無線ネットワーク(例えば携帯電話ネットワークを含む)を通じて通信することができる。
【0165】
本明細書で開示される態様及び実施形態は、特定のシステム又はシステムの群のいずれかで実行することを限定するものではないことが理解されるべきである。また、本明細書で開示される態様及び実施形態は、特定の分散アーキテクチャ、ネットワーク又は通信プロトコルのいずれかに限定するものではないことが理解されるべきである。本明細書で開示される様々な態様及び実施形態を、オブジェクト指向プログラミング言語(例えばSmallTalk(登録商標)、Java、C++、Ada又はC#(シーシャープ、登録商標))を用いてプログラム化することができる。他のオブジェクト指向プログラミング言語を使用することも
できる。あるいは、関数型プログラム言語、スクリプトプログラム言語及び/又は論理プログラム言語(例えばラダーロジック)を使用することができる。本明細書で開示される様々な態様及び実施形態を、プログラムによらない環境(例えばHTML(登録商標)、XML(登録商標)、又はブラウザプログラムのウィンドウで見たときに、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の景観を与え又は他の機能を実行する、他のフォーマットで生成される文書)で実装することができる。本明細書で開示される様々な態様及び実施形態を、プログラム化された要素又はプログラムによらない要素又はこれらの組み合わせとして実装することができる。
【実施例】
【0166】
図14Aを参照して上述した3つのチューブセル及び
図16を参照して上述した5つのチューブセルを含む、同心チューブ海水電解セルの動作を、
図1A及び1Bを参照して説明した従来のCTEと比較するために試験を行った。
【0167】
3つのチューブ及び5つのチューブの海水電解セルが、非導電性12barG定格硬質ポリ塩化ビニル(u-PVC)シェルに囲まれている。カプセル化されたセルに対して水圧試験が行われ、12barGの水圧に30分間、漏れ又は落下無しに耐えた。3つのチューブ又は5つのチューブの陽極電極を主にRuO
2を含み他にIrO
2及びいくらかのTiO
2を含むMMOで被覆した。次亜塩素酸の生産量について試験を行った。次亜塩素酸の生産量は、陽極の表面積の増加に比例して増加した。
【0168】
表1を参照して、陽極電極面積をセル体積とともに比較して、同じユニット体積に対して、3つのチューブの海水電解セルの陽極電極面積は、従来のCTE海水電解セルの陽極電極面積の1.73倍(又は173%)である。
【0169】
計算:0.97 m
3/ 0.56 m
3 = 1.73 又は 173%
【0170】
あるいは、同等の活性陽極表面積を有するために、3つのチューブのマルチチューブの体積は、従来のCTE海水電解セルの体積の0.58倍(58%)だけ必要であると考えられる。
【0171】
計算:0.56 m
3/ 0.97 m
3 = 0.58又は 58%
【0172】
表2を参照して、陽極電極面積をセル体積とともに比較して、同じユニット体積に対して、5つのチューブの電極の陽極電極面積は、従来のCTE電極の陽極電極面積の2.77倍(又は277%)である。
【0173】
計算:0.97 m
3/ 0.33 m
3 = 2.93又は 293%
【0174】
あるいは、同等の活性陽極表面積を有するために、5つのチューブのマルチチューブの海水電解セルの体積は、従来のCTE海水電解セルの体積の0.35倍(36%)だけ必要であると考えられる。
【0175】
計算:0.33 m
3/ 0.97 m
3 = 0.34又は 34%
【0176】
表1を参照して、同様のユニット体積基準で、3つのチューブのマルチチューブ海水電解セルは、従来のCTE海水電解セルの165%〜174%の次亜塩素酸ナトリウムを生成した。
【0177】
表2を参照して、同様のユニット体積基準で、5つのチューブのマルチチューブ海水電
解セルは、従来のCTE海水電解セルの327%〜387%の次亜塩素酸ナトリウムを生成した。
【0178】
【表1】
【0179】
【表2】
【0180】
上述した結果は以下の事項を示す。
1.マルチチューブ海水電解セルで、従来のCTE設計と比較した場合に、ユニット体積あたりの活性陽極表面積をより大きくすることができる。言い換えれば、充填密度をより高くすることができる。
2.マルチチューブ設計で達成されるより広い陽極表面積に従って、電流を電極に流したときに、比例してより高い次亜塩素酸ナトリウムの生産高が測定された。
3.より高い充填密度/マルチチューブ海水電解セルからのより高い次亜塩素酸ナトリウムの生産高によって、この設計のPPE海水電解セルに対する競争力を酸洗浄の欠点を持つことなく高めることができる。
【0181】
従来のPPE海水電解セルと比較して、マルチチューブ海水電解セルに必要な部品の数が相当少なく、より軽量になりかつ組立て時間がより短くなるという更なる利点が確認された。5つのチューブのマルチチューブ電極の重量は約15キログラムであるが、一般的なPPE海水電解セルの重量はこの10倍以上である。マルチチューブ電極は、組立てがより容易であり、また組立てに要する時間がより少なく、従来のPPE海水電解セルでは組立てに15時間を費やすのに対し、構想されたマルチチューブ電極の組立てにはより短い約1.5時間を費やすことが判明した。
【0182】
図38の表は、本明細書で開示される電気化学セルの様々な実施形態のいろいろな機能的パラメータを示す。「MK2M」の設計項目は、
図1A及び
図1Bに示す実施形態に対応する。表から理解できるように、いくつかの設計は、先に検討した85%超の「有効密度」のパラメータに対応する、有効な流れの割合を有する。さらに表から理解できるように、いくつかの設計は、先に検討した約1.7 mm
-1 に至る「全体電極充填密度」のパラメータに対応する、電極の比率を有する。
【0183】
本明細書で使用される表現及び用語は説明を目的とするものであり、限定的なものとみなすべきではない。本明細書で使用される用語「複数」は、2つ以上の項目又は構成要素を指す。用語「備える」、「含む」、「保持する」、「有する」、「包含する」及び「伴う」は、発明の詳細な説明であっても特許請求の範囲等であっても、オープンエンドの用語であり、すなわち「含むがこれに限定されるものではない」ことを意味する。したがって、かかる用語を使用することは、その後に列挙する項目及び当該項目の均等物並びに付加的な項目を含むことを意味する。特許請求の範囲において、移行句「から構成される」及び「から本質的に構成される」のみがそれぞれ、クローズド又はセミクローズドの移行句である。特許請求の範囲において、順序を示す用語(例えば「第1」、「第2」、「第3」等)を用いて特許請求の範囲の要素を修飾することは、単独である特許請求の範囲の要素の他の要素に対する優先順位、前後又は順序を示すものではなく、実施される方法の行為の時間的な順序を示すものでもなく、ある名称を有する特許請求の範囲のある要素を(順序を示す用語がなければ)同じ名前を有する他の要素と区別して当該特許請求の範囲の要素を識別するための表示として単に使用するものである。
【0184】
このように、少なくとも1つの実施形態の様々な態様を説明してきたが、当業者は種々の変更、修正及び改良を容易に起こし得ることが理解される。任意の実施形態で説明した任意の構成を、任意の他の実施形態の任意の構成に含めることができ、又は任意の他の実施形態の任意の構成の代わりに用いることができる。かかる変更、修正及び改良は、本開示の一部であることを意図し、本発明の範囲内に含まれることを意図する。したがって、前述の説明及び図面は単なる例示を目的とするものである。
【0185】
(1)
入口、出口及び中心軸線を有するハウジングと、
前記ハウジング内に前記中心軸線の周りに実質的に同心に配置される陽極−陰極の組であり、前記陽極−陰極の組の陽極及び陰極の間に活性領域を定める、陽極−陰極の組と、を備える、電気化学セルであり、
前記陽極及び前記陰極の少なくとも一方の活性表面積が、前記ハウジングの内面の表面積よりも広い表面積を持ち、
前記陽極−陰極の組が、前記電気化学セルを通過する全ての流体を、前記活性領域を通って軸線方向に導くように構成され配置される、電気化学セル。
【0186】
(2)
少なくとも約2mm−1の全体電極充填密度を有する、(1)に記載の電気化学セル。
【0187】
(3)
前記電気化学セル内に配置され、前記中心軸線に沿って前記電気化学セルの一部を通る流体の流れを妨げるように構成される中心コア要素を更に備え、前記中心コア要素は前記陽極−陰極の組の少なくとも1つの電極に非接続である、(1)に記載の電気化学セル。
【0188】
(4)
前記陽極−陰極の組が前記中心軸線の周りに渦巻状に存在する、(3)に記載の電気化学セル。
【0189】
(5)
1つ以上の渦巻状の双極電極を更に備える、(4)に記載の電気化学セル。
【0190】
(6)
前記陽極は前記陰極から前記電気化学セルの丈に沿って横方向にずれる、(5)に記載の電気化学セル。
【0191】
(7)
前記陽極及び前記陰極の少なくとも一方は硬性電極である、(4)に記載の電気化学セル。
【0192】
(8)
前記陽極及び前記陰極はそれぞれ、チタン、ニッケル及びアルミニウムの1つ以上を含む、(7)に記載の電気化学セル。
【0193】
(9)
前記陽極の表面が、白金、混合金属酸化物、磁鉄鉱、フェライト、コバルトスピネル、タンタル、パラジウム、イリジウム、金及び銀から構成される群から選択される酸化防止コーティングで被覆される、(7)に記載の電気化学セル。
【0194】
(10)
前記陽極及び前記陰極の少なくとも一方は流体透過性である、(8)に記載の電気化学セル。
【0195】
(11)
前記陽極と前記陰極との間の隙間を維持するように構成されるセパレータを更に備え、前記セパレータは前記活性領域を通る電解質溶液の流れに開かれている、(4)に記載の電気化学セル。
【0196】
(12)
前記セパレータは、前記陽極及び前記陰極の少なくとも一方の縁と係合する溝を含むスポークを有するハブを含む、(10)に記載の電気化学セル。
【0197】
(13)
前記ハブは、前記陽極及び前記陰極の前記一方を電流源に電気的に接続するように構成される電気コネクタを更に含む、(11)に記載の電気化学セル。
【0198】
(14)
前記陽極及び前記陰極の一方と電気的に接触するスポークを含むハブを更に備える、(4)に記載の電気化学セル。
【0199】
(15)
前記スポークは、前記陽極及び前記陰極の前記一方の縁に係合するとともに渦巻状の前記陽極−陰極の組の一巻きの間の隙間を維持する溝を含む、(13)に記載の電気化学セル。
【0200】
(16)
前記中心コア要素は、前記陽極−陰極の組の最内巻線内に配置される非導電性コアを含む、(4)に記載の電気化学セル。
【0201】
(17)
前記陽極−陰極の組は、複数の同心の電極チューブと、隣接する電極チューブの間に画定される隙間と、を含む、(1)に記載の電気化学セル。
【0202】
(18)
前記複数の同心の電極チューブは、複数の陽極電極チューブ及び複数の陰極電極チューブの一方を含む、(16)に記載の電気化学セル。
【0203】
(19)
前記複数の陽極電極チューブ及び前記複数の陰極電極チューブの一方は硬性電極である、(17)に記載の電気化学セル。
【0204】
(20)
前記複数の同心の電極チューブは、複数の陽極電極チューブ及び複数の陰極電極チューブを含む、(17)に記載の電気化学セル。
【0205】
(21)
電流を、陽極電極チューブから電解質溶液を通って陰極電極チューブまで単一の経路で流せるように構成される、(17)に記載の電気化学セル。
【0206】
(22)
陽極電極チューブと陰極電極チューブとの間に配置された双極電極チューブを更に備える、(17)に記載の電気化学セル。
【0207】
(23)
陽極半部と陰極半部とを含む電極チューブを更に備える、(21)に記載の電気化学セル。
【0208】
(24)
複数の双極電極チューブを更に備え、前記複数の双極電極チューブは、それぞれと同心に配置された、陽極半部と陰極半部とを有する電極チューブの隣接する組の間に配置される、(21)に記載の電気化学セル。
【0209】
(25)
複数の陽極電極チューブ及び複数の陰極電極チューブの少なくとも一方は流体透過性である、(21)に記載の電気化学セル。
【0210】
(26)
隣接する電極チューブの間に位置付けられた少なくとも1つのセパレータを更に備え、前記少なくとも1つのセパレータは前記隣接する電極チューブの間に隙間を画定し維持するように構成される、(16)に記載の電気化学セル。
【0211】
(27)
前記セパレータは、前記隣接する電極チューブの間に画定された隙間を通る電解質溶液の流れに開かれている、(25)に記載の電気化学セル。
【0212】
(28)
複数の前記同心の電極チューブの縁に電気的に結合されたスポークを含む金属ハブを更に備える、(16)に記載の電気化学セル。
【0213】
(29)
それぞれのスポークは、前記複数の同心の電極チューブの前記縁に係合するとともに前記複数の同心の電極チューブの隣接する電極チューブの間の隙間を維持する溝を含む、(27)に記載の電気化学セル。
【0214】
(30)
中心コア要素は、前記電気化学セルの同心の最内チューブ電極の端部に配置された端部キャップを含む、(16)に記載の電気化学セル。
【0215】
(31)
角丸長方形状の断面を有する、(1)に記載の電気化学セル。
【0216】
(32)
前記陽極及び前記陰極の一方と電気的に接続する電気コネクタを更に備え、前記電気コネクタは、電解質溶液による化学腐食に対する異なる抵抗度を有する少なくとも2つの材料を含む、(1)に記載の電気化学セル。
【0217】
(33)
前記少なくとも2つの材料は第1材料と第2材料とを含み、前記電気コネクタは前記第1材料で作られた流体透過性本体を含む、(31)に記載の電気化学セル。
【0218】
(34)
前記第1材料で作られた前記流体透過性本体に、1つ以上の機械的留め具によって結合された前記第2材料のプレートを備える、(32)に記載の電気化学セル。
【0219】
(35)
前記第1材料で作られた前記流体透過性本体に、圧縮ばめによって結合された前記第2材料のプレートを備える、(32)に記載の電気化学セル。
【0220】
(36)
前記第1材料で作られた前記流体透過性本体に、前記第1材料で作られた前記流体透過性本体の縁に形成されたネジによって結合された前記第2材料のプレートを備える、(32)に記載の電気化学セル。
【0221】
(37)
前記第1材料で作られた前記流体透過性本体に、前記第2材料で作られた前記本体の円柱部分に形成されたネジによって結合された前記第2材料で作られた本体を含む、(32)に記載の電気化学セル。
【0222】
(38)
前記第1材料で作られた前記流体透過性本体に溶接された、前記第2材料で作られた本体を含む、(32)に記載の電気化学セル。
【0223】
(39)
(1)に記載の電気化学セルと、
前記電気化学セルと流体連通する、電解質の供給源であり、前記電気化学セルは、前記電解質の供給源からの電解質から1つ以上の反応生成物を生成するとともに前記1つ以上の反応生成物を産出するように構成される、電解質の供給源と、
前記電気化学セルによって産出された前記1つ以上の反応生成物の使用地点と、
を含むシステム。
【0224】
(40)
前記1つ以上の反応生成物は消毒剤を含む、(38)に記載のシステム。
【0225】
(41)
前記消毒剤は次亜塩素酸ナトリウムを含む、(39)に記載のシステム。
【0226】
(42)
電解質の前記供給源は海水を含む、(38)に記載のシステム。
【0227】
(43)
船及び石油プラットフォームの一方に含まれる、(39)に記載のシステム。
【0228】
(44)
前記使用地点は、冷却水システム及びバラストタンクの一方を含む、(40)に記載のシステム。
【0229】
(45)
前記システムは陸上石油掘削システムに含まれ、前記使用地点は前記石油掘削システム
のダウンホールである、(38)に記載のシステム。
【0230】
(46)
ハウジング内に配置された陰極及び陽極を備える電気化学セルであり、
前記陰極及び前記陽極は、前記陰極及び前記陽極の間に隙間を画定し、
前記陰極及び前記陽極のそれぞれは弓状部を含み、
前記陽極の活性表面積は、前記ハウジングの内面の表面積より広く、
前記陰極の活性表面積は、前記ハウジングの内面の表面積より広く、
前記陽極及び前記陰極は、前記電気化学セルを通過する全ての流体を、前記隙間を通って軸線方向に導くように構成され配置される、電気化学セル。
【0231】
(47)
前記陽極は、弓状ベースから延在する複数のプレートを含み、
前記陰極は、弓状ベースから延在する複数のプレートを含み、
前記陽極の前記複数のプレートは、前記陰極の前記複数のプレートと交互に積層される、(43)に記載の電気化学セル。
【0232】
(48)
ハウジング内に配置される陰極及び陽極を備える電気化学セルであり、
前記陰極及び前記陽極は、前記陰極及び前記陽極の間に隙間を画定し、
前記陰極及び前記陽極のそれぞれは、前記ハウジングの内面の別の部分に適合する部分を含み、
前記陽極の活性表面積は、前記ハウジングの内面の表面積より広く、
前記陰極の活性表面積は、前記ハウジングの内面の表面積より広く、
前記陽極及び前記陰極は、前記電気化学セルを通過する全ての流体を、前記隙間を通って軸線方向に導くように構成され配置される、電気化学セル。
【0233】
(49)
前記陽極及び前記陰極の少なくとも一方は波型部を含む、(45)に記載の電気化学セル。