(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に沿って設けられ上方に面した被施工面部の一部の領域に、作業者が操作する噴射装置から発泡性を有する樹脂材料を噴射して断熱補強層を形成し、
前記被施工面部における前記断熱補強層が形成された領域に、前記作業者が把持可能あるいは前記作業者を拘束可能な構造体を載置し、
前記被施工面部の前記構造体が設置された領域と隣接する領域に、前記噴射装置から発泡性を有する樹脂材料を噴射して前記断熱補強層を延伸し、
前記構造体を、前記断熱補強層が延伸された領域に少なくとも一部が載置されるよう付加部分を連結して延長すること
を特徴とする層状体の施工方法。
前記構造体を構成する複数の部材の少なくとも一部の連結部に、連結対象となる複数の部材を所定の相対位置となるよう配置した際に自動的に係合する係合手段を有すること
を特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の層状体の施工方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、本発明を適用した層状体の施工方法の第1実施形態について説明する。
第1実施形態の層状体の施工方法は、例えば工場、倉庫、店舗などの比較的大型の建築物に設けられる鋼板製スレート屋根、折板屋根等の表面部に、断熱補強層(フォーム層)、防水層(コート層)、保護層(トップ層)などの層状体を順次施工(形成)するものである。
【0015】
断熱補強層(フォーム層)は、被施工面部である屋根の表面に、発泡性を有する樹脂材料をスプレーとして噴射することにより形成される。
断熱補強層の材料として、例えば、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、又は、これらの混合物等の樹脂製発泡剤を用いることができる。
例えば、主剤として、ポリオール、ポリプレングリコール(PPG)を主成分とする樹脂を用いることができる。
また、フェノール系樹脂、又はノボラック系熱可塑性樹脂を主成分としたフェノール系樹脂の主剤、又は、それらの混合物を主剤として用いることもできる。
これらの主剤に対し、イソシアネート等の架橋剤を、混合比ほぼ1:1で混合して発泡させ、充填剤、添加剤等を加えて噴射用の材料とする。
イソシアネートは、ノンフロン系発泡剤の一種であり、水との反応により二酸化炭素ガスを発生し、材料を発泡させる機能を有する。
この材料が屋根の表面に噴射されると、直ちに発泡を開始して、例えば数十秒程度で例えば厚さ10mm以上の断熱補強層が形成される。断熱補強層は、材料が有する接着性により、屋根の表面に強固に接着される。
断熱補強層は、例えば、作業者やその転落防止に用いられる構造体の重量を保持するのに十分な強度を有する。
【0016】
防水層(コート層)は、屋根の表面における断熱補強層が形成された領域に、補強防水層を構成する樹脂材料をスプレーとして噴射することにより形成される。
この材料(コート剤)の主剤として、例えば、ポリオール、ポリプレングリコール(PPG)を主成分とするポリウレタン系樹脂を用いることができる。
この主剤に対し、イソシアネート等の架橋剤を、混合比約1:1で混合し、充填剤、添加剤等を加えて、コート剤とすることができる。
【0017】
保護層(トップ層)は、耐紫外線性を有する2液ウレタン系塗料により形成される。
これらの各層を形成する材料は、例えば、ヒータホースを介して作業者が把持して操作する吹付ガンにこれらを圧送するコンプレッサや、コンプレッサを駆動する電力を発生する発電機などの補機類とともに、トラック等の移動体に積載して施工現場に搬入される。
【0018】
以下、第1実施形態の層状体の施工方法について、より詳細に説明する。
図1は、第1実施形態の層状体の施工方法における施工開始時の状態を示す模式的斜視図である。
第1実施形態において、施工対象となる被施工面部は、例えば、工場、倉庫、大型店舗など比較的大型の建物1に設けられる屋根10である。
屋根10は、例えば、鋼板スレート屋根や、折板屋根とすることができる。
屋根10の表面は平面にほぼ沿って延在するとともに、棟側に対して軒側が低くなるよう傾斜して配置されている。
建物1は、側壁20を有する。
側壁20は、建物1の外壁の一部を構成する部分であって、屋根10の軒部から、鉛直方向に沿って下方に延在している。
【0019】
第1実施形態においては、屋根10の表面に、断熱補強層、防水層、保護層を、作業者が手持ちし操作する吹付ガンによる吹付塗装で順次形成する。
先ず、屋根10の軒側の側壁20に沿って、外部足場30を構築する。
外部足場30は、例えば金属製の円管からなる柱部31、梁部32を図示しないクランプにより締結して構成され、上部には天面33が設けられている。
天面33は、水平方向にほぼ沿って延在する上面部を有するパネル状の部材であって、作業者がこれに乗って作業をすることが可能な程度の強度を有する。
天面33は、屋根10の軒部とほぼ同じ高さを有し、軒部と隣接して配置されている。
【0020】
先ず、断熱補強層及び防水層の施工を行う。
この作業は、例えば、2名の作業者M1,M2により行われる。
作業者M1は、断熱補強層の材料となる発泡剤を噴射する吹付ガンを把持している。
作業者M2は、防水層の材料となる樹脂材料を噴射する吹付ガンを把持している。
作業者M1,M2は、外部足場30の天面33を作業床とし、これに乗って作業を開始する。
作業者M1,M2の吹付ガンには、例えば地上の機材車に積載された機器類から各材料が加圧した状態で搬送される。
【0021】
先ず、屋根10の軒側から所定の幅を有する最下方側の領域R1から施工を開始する。
作業者M1は、領域R1の左右方向一方の端部側から、他方の端部側へ、天板33の上を軒に沿って歩き移動しながら発泡剤のスプレーSfを屋根10の表面に噴射して断熱補強層と形成する。
これと同時に、作業者M2は、作業者M1が発泡剤を噴射した箇所に、所定の時間差(例えば数十秒)をもって防水層の材料のスプレーScを噴射しながら移動する。
作業者M2が領域R1の他端部側まで到達すると、領域R1には、断熱補強層、防水層が形成される。
【0022】
次に、領域R1よりも上方の領域R2の施工(吹上)を行う。
図2は、第1実施形態の層状体の施工方法における吹上開始時の状態を示す模式的斜視図である。
作業者M1,M2は、既に断熱補強層、防水層が形成されている屋根10の領域R1に乗り、これを作業床として領域R1よりも棟側(上方、軒から遠い側)の領域R2に、発泡剤のスプレーSf、防水層の材料のスプレーScを順次噴射しながら移動する。
【0023】
次に、領域R1、R2よりもさらに上方の領域R3の施工(吹上)を行う。
図3は、第1実施形態の層状体の施工方法における構造体を仮設した状態での吹上工程を示す模式的斜視図である。
図3に示すように、領域R3及びそれよりさらに上方(棟側)の領域を施工する場合には、屋根10の上に作業者M1,M2が把持する手摺として機能し、あるいは、作業者M1,M2の転落防止用の図示しない安全帯などを係止可能な構造体100を仮設する。
【0024】
構造体100は、例えば、炭素鋼などの金属製の足場用単管パイプからなる柱状部110、横部材120、縦部材130を、例えば直交クランプ、自在クランプなどのクランプCによって屋根10から上方へ立設された枠状に組み上げたものである。
柱状部110は、屋根10の表面から上方又は斜め上方へ突出した状態で、長手方向を上下方向にほぼ沿わせて配置されている。
柱状部110として、例えば、長さ1m程度の単管パイプを用いることができる。
柱状部110の下端部は、屋根10等の保護用のベースプレート111を介して、屋根10の表面に当接している。
ベースプレート111は、上述した工程により、屋根10の表面に形成された防水層の上に載置される。
ベースプレート111は、例えば樹脂系材料によって形成され、柱状部110の下端部と係合する係合部が設けられている。
ベースプレート111は、柱状部110からの荷重を分散させることによる屋根10の保護機能、及び、柱状部110が屋根10の傾斜に沿って滑落することを防止する滑り止め機能を有する。
【0025】
横部材120は、長手方向を屋根10の軒とほぼ平行な方向に沿わせて配置された梁状の部材である。
横部材120として、例えば、長さ5m程度の単管パイプを用いることができる。
縦部材130は、長手方向を屋根10の垂木とほぼ平行な方向に沿わせて配置された梁状の部材である。
縦部材130として、例えば、長さ2m程度の単管パイプを用いることができる。
横部材120、縦部材130は、屋根10の表面の法線方向から見た平面形が実質的に矩形を組み合わせた格子状となるように組み上げられ、柱状部110により、屋根10の表面から例えば1m程度離間した状態で保持されている。
【0026】
作業者M1、M2は、構造体100に対して棟側(上方)において、既に施工済みの断熱補強層及び防水層を作業床としてその上に立ち、断熱補強層及び防水層を上方に延伸するよう順次吹き付けながら軒の方向に沿って移動する。
また、構造体100は、断熱補強層、防水層の棟側への延伸に伴い、逐次追加の柱状部110、横部材120、縦部材130を連結した付加部分を連結し、棟側へ延長される。
【0027】
また、構造体100の上部には、飛散防止部材140が設けられる。
飛散防止部材140は、防水層の表面に保護層を施工する際に、塗料の飛沫が周囲に飛散することを防止するものである。
飛散防止部材140として、例えば、可撓性を有する網状(ネット状)の部材を用いることができる。
飛散防止部材140は、構造体100に対して上方から被せられ、横部材120、縦部材130に例えば紐状部材による締結などによって固定される。
【0028】
図4は、第1実施形態の層状体の施工方法における飛散防止部材を仮設した状態での保護層の吹付工程を示す模式図である。
図4においては、作業者M3が吹付ガンGを把持した状態で、構造体100の内部でありかつ飛散保護部材140の下側に入って保護層の材料のスプレーStを屋根10の断熱補強層、防水層が形成された表面に吹付ける。
飛散保護部材140は、作業者M3の周囲の領域において、必要に応じて構造体100から上方へ持ち上げられる。
【0029】
以上説明した第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)被施工面部である屋根10の表面に、発泡性を有する樹脂材料を噴射して厚さ10mm程度の強固な断熱補強層を形成することにより、屋根10の強度を増し、構造体100を載置した際にその自重等により屋根10の損傷が発生することを防止できる。
このような構造体100で作業者M1,M2の転落を防止しつつ、発泡性を有する材料をさらに塗り進めることにより、簡単な工程により安全に断熱補強層を延伸していくことができる。
(2)断熱補強層の延伸に応じて構造体100に付加的な柱状部110、横部材120、縦部材130を連結して構造体100を延長することにより、屋根10の棟側に至る広範な範囲を安全に施工することができる。
(3)瞬間硬化型の材料を用いて断熱補強層を施工した後、直ちに防水層を施工し、その後防水層の表面に構造体100を仮設することにより、工程を過度に煩雑化させることなく断熱補強層及び防水層を施工することができる。
(4)構造体100の上部に飛散防止部材140を設けた状態で保護層の施工(塗装)を行うことにより、簡単な養生工程により塗料飛沫の飛散を防止しつつ保護層(トップ層)の施工を行うことができる。
(5)構造体100を、屋根から突出した柱状部110、及び、柱状部110の上部で連結され軒方向、垂木方向にそれぞれ沿って延在する横部材120、縦部材130により構成したことにより、簡単な構成により上述した効果を確実に得ることができる。
【0030】
<第2実施形態>
次に、本発明を適用した層状体の施工方法の第2実施形態について説明する。
以下説明する各実施形態において、従前の実施形態と共通する箇所には同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
第2実施形態の層状体の施工方法においては、第1実施形態のようなクランプ部材を用いた構造体の組立に代えて、以下説明するジョイント機構を有する柱状部110、横部材120、縦部材130を用いて、いわゆるワンタッチでの組立を可能としたものである。
【0031】
図5は、第2実施形態の層状体の施工方法における横部材の構成を示す模式的斜視図である。
なお、
図5では横部材120を例として説明するが、柱状部110、縦部材130も、この横部材120と実質的に同様の構成を備えている。
図5に示すように、横部材120は、内筒121、係合突起122、係合穴123を有する。
【0032】
内筒121は、横部材120の長手方向における一方の端部から突出して設けられた円筒状の部分である。
内筒121の外径は、横部材120の他部(主要部)における内径よりも小さく形成されている。
内筒121は、後述するジョイント200の横部材連結部230の開口端部に挿入可能となっている。
【0033】
係合突起122は、内筒121の外周面に形成された開口から、外径側に突出して設けられている。
係合突起122の突端部は、例えば球面状の凸面として形成されている。
係合突起122は、内筒121の内径側に設けられた図示しないばね要素により、突出方向側(内筒121の外径側)へ付勢されている。
係合突起122は、内筒121をジョイント200の横部材連結部230に挿入する際に、横部材連結部230の内周面に押圧されて内筒121の内径側へ押し込まれ、その後係合穴231と位置が一致した際に外径側へ繰り出され、係合穴233の内部に挿入されるようになっている。
【0034】
係合穴123は、横部材120における内筒121が設けられた側とは反対側の端部近傍に設けられている。
係合穴123は、横部材120の周面を内径側から外径側へ貫通して形成されている。
係合穴123は、ジョイント200の横部材連結部220の内筒221に設けられた係合突起222が挿入可能となっている。
【0035】
図6は、第2実施形態の層状体の施工方法におけるジョイントの構成を示す模式的斜視図である。
ジョイント200は、柱状部110、横部材120、縦部材130の連結箇所に設けられるものである。
【0036】
ジョイント200は、柱状部連結部210、横部材連結部220、横部材連結部230、縦部材連結部240、縦部材連結部250等を備えている。
柱状部連結部210は、柱状部110の上端部が連結される部分である。
柱状部110の上端部(ベースプレート111側とは反対側の端部)には、横部材の内筒121、係合突起122と同様の内筒、係合突起が設けられる。
柱状部連結部210は、中心軸を上下方向に一致又はほぼ沿わせて配置された円筒状の部材である。
柱状部110の内筒は、柱状部連結部210の内径側に下方から挿入される。
柱状部連結部210には、柱状部110の係合突起と係合する係合穴211が設けられている。
【0037】
横部材連結部220,230は、柱状部連結部210の上端部から、横部材120の長手方向に沿って両側にそれぞれ突出して設けられた円筒状の部材である。
横部材連結部220は、横部材120における係合穴123が設けられた側に連結される部分である。
横部材連結部220は、上述した横部材120の内筒121、係合突起122と同様の内筒221、係合突起222を備えている。
横部材連結部230は、横部材120における内筒121が設けられた側に連結される部分である。
横部材連結部230は、横部材120の内筒121が挿入される円筒状に形成されている。
横部材連結部230は、横部材120の係合穴123と同様の構成を有する係合穴231を備えている。
【0038】
縦部材連結部240,250は、柱状部連結部210の上端部から、縦部材130の長手方向に沿って両側にそれぞれ突出して設けられた円筒状の部材である。
縦部材連結部240は、縦部材130における係合穴(横部材120の係合穴123に相当)が設けられた側に連結される部分である。
縦部材連結部240は、上述した横部材120の内筒、係合突起122と同様の内筒241、係合突起222を備えている。
縦部材連結部250は、縦部材130における内筒が設けられた側に連結される部分である。
縦部材連結部250は、縦部材130の内筒が挿入される円筒状に形成されている。
縦部材連結部250は、横部材120の係合穴123と同様の構成を有する係合穴251を備えている。
【0039】
上述した構成により、例えば柱状部110、横部材120、縦部材130は、内筒をジョイント200における係合穴が設けられた箇所の開口端に所定の深さまで挿入することにより、自動的にロックされ、抜けが防止されるようになっている。
また、横部材120、縦部材130は、内筒が設けられていない側の端部に、ジョイント200に設けられた内筒221,241を所定の深さまで挿入することにより、自動的にロックされ、抜けが防止されるようになっている。
また、構造体100の解体時には、作業者が例えばスクリュードライバなどの工具によって係合突起を押し込むことにより、係合突起と係合穴との係合を解除することができる。
以上説明した第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果と同様の効果に加えて、構造体100の各部材の連結を容易とし、構造体100を組み立てる際の作業性、安全性を向上することができる。
【0040】
<第3実施形態>
次に、本発明を適用した層状体の施工方法の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の層状体の施工方法においては、飛散防止部材140の構造体100への固定を、以下説明するフック300により行うことを特徴とする。
【0041】
図7は、第3実施形態の層状体の施工方法におけるフックの構成を示す模式図である。
フック300は、本体部310、パイプゲート部320、飛散防止部材ゲート部330等を有するカラビナ状のS字フックである。
【0042】
本体部310は、パイプ係止部311、飛散防止部材係止部312、中間部313を、例えば金属材料や硬質の樹脂系材料により一体に形成したものである。
パイプ係止部311は、例えば円弧状に湾曲して形成され、構造体100を構成する横部材120、縦部材130等が係止されるフック状の部分である。
飛散防止部材係止部312は、例えば円弧状に形成され、飛散防止部材140の周囲に設けられるロープ状の被係止部141が係止されるフック状の部分である。
中間部313は、パイプ係止部311の一端部と、飛散防止部材係止部312の一端部との間を連結する部分である。
本体部310は、パイプ係止部311、中間部313、飛散防止部材係止部312を順次連結することにより、全体としてS字状となるように形成されている。
【0043】
パイプゲート部320は、パイプ係止部311からのパイプ類の脱落を防止する部材である。
パイプゲート部320は、一方の端部が飛散防止部材係止部312と中間部313との境界部付近に、揺動可能に取り付けられている。
パイプゲート部320の他方の端部は、揺動に伴い、パイプ係止部311の中間部313側とは反対側の端部に当接した閉状態と、ここから離間した開状態との間で移動可能となっている。
パイプゲート部320は、図示しないばね要素により、閉状態側へ付勢されている。
【0044】
飛散防止部材ゲート部330は、飛散防止部材係止部312からの飛散防止部材140の脱落を防止する部材である。
飛散防止部材ゲート部330は、一方の端部がパイプ係止部311と中間部313との境界部付近に、揺動可能に取り付けられている。
飛散防止部材ゲート部330の他方の端部は、揺動に伴い、飛散防止部材係止部313の中間部313側とは反対側の端部に当接した閉状態と、ここから離間した開状態との間で移動可能となっている。
飛散防止部材ゲート部330は、図示しないばね要素により、閉状態側へ付勢されている。
【0045】
以上説明した第3実施形態によれば、上述した各実施形態の効果と同様の効果に加えて、飛散防止部材140の構造体100への固定をいわゆるワンタッチかつ片手で容易に行うことが可能となり、作業性及び安全性をさらに向上することができる。
【0046】
(変形例)
本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)本発明により施工される層状体の構成は、各実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
例えば、各層を構成する材料や、各層の施工順序などは適宜変更することができる。
例えば、各実施形態では屋根の表面に最初に断熱補強層を形成しているが、例えば、これに先立って防錆性を有するサーフェーサなどで下地処理を行ってもよい。
また、実施形態における断熱補強層、防水層、保護層以外の層を付加的に設けてもよい。また、各層を形成する材料も特に限定されない。
(2)構造体の構成や各部材の形状、構造、材質、製法、配置などは、各実施形態の構成に限らず、適宜変更することができる。
例えば、各実施形態のような柱状部、縦部材、横部材に加えて、トラス状、筋交い状などの他の部材を付加してもよい。
(3)各実施形態においては、被施工面部である屋根は水平面に対して傾斜しているが、本発明は水平面に沿って延在する被施工面部にも適用することができる。
(4)構造体を構成する各部材のジョイント部をワンタッチで係合させる機構の構成は、第2実施形態のものに限らず、適宜変更することができる。
【解決手段】層状体の施工方法を、水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に沿って設けられ上方に面した被施工面部10の一部の領域に、作業者M1が操作する噴射装置から発泡性を有する樹脂材料を噴射して断熱補強層を形成し、被施工面部における断熱補強層が形成された領域に、作業者M1,M2が把持可能あるいは作業者を拘束可能な構造体100を載置し、被施工面部の構造体が設置された領域と隣接する領域に、噴射装置から発泡性を有する樹脂材料を噴射して断熱補強層を延伸する構成とする。