(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
造影剤を収容したシリンジのピストン部材を移動させるピストン駆動機構であって、アクチュエータおよび該アクチュエータによって進退移動させられるラム部材を有するピストン駆動機構と、
前記アクチュエータに電気的に接続された制御回路と、
操作者によって操作される360°以上回転可能な操作ノブおよびその回転に応じて電気的信号を出力する回転センサを有する操作ノブユニットであって、前記操作ノブは前記ピストン駆動機構には機械的に連結されていない、操作ノブユニットと、
前記制御回路に電気的に接続された発光デバイスと、
を備え、
前記制御回路は、前記回転センサからの信号に基づきそれに対応して前記ピストン駆動機構を動作させ、かつ、前記ラム部材を進出させているときおよび後退させているときに前記発光デバイスを発光させるが、前記ラム部材の移動が禁止されるタイミングでは、前記ラム部材が回転されたとしても前記アクチュエータを動作させず、かつ、前記発光デバイスを発光させないように構成されている、薬液注入装置。
造影剤を収容したシリンジのピストン部材を移動させるピストン駆動機構であって、アクチュエータおよび該アクチュエータによって進退移動させられるラム部材を有するピストン駆動機構と、
前記アクチュエータに電気的に接続された制御回路と、
操作者によって操作される360°以上回転可能な操作ノブおよびその回転に応じて電気的信号を出力する回転センサを有する操作ノブユニットであって、前記操作ノブは前記ピストン駆動機構には機械的に連結されていない、操作ノブユニットと、
前記制御回路に電気的に接続された発光デバイスと、
を備える装置の動作制御方法であって、
前記制御回路が、前記回転センサからの信号に基づきそれに対応して前記ピストン駆動機構を動作させるステップと、
前記制御回路が、前記ラム部材を進出させているときおよび後退させているときに前記発光デバイスを発光させるが、前記ラム部材の移動が禁止されるタイミングでは、前記ラム部材が回転されたとしても前記アクチュエータを動作させず、かつ、前記発光デバイスを発光させないステップと、
を有する、動作制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一形態を図面を参照して以下に説明する。なお、以下では薬液注入装置等の具体的な一例が開示されているが、本発明は必ずしもこれらの具体的構成に限定されるものではない。
【0018】
本実施形態の薬液注入装置100は、
図2Aに一例を示ように注入ヘッド110とそれに電気的に接続されたコンソール210とを備えている。また、注入ヘッド110とコンソール210とに有線で電力を供給する電源ユニット190が設けられていてもよい。
図2Aでは撮像装置300−1、300−2(単に撮像装置300ともいう)も描かれているがこれについては後述する。電源ユニット190は、制御回路を内蔵したものであってもよい。この制御回路は、注入ヘッドおよびコンソールの少なくとも一方に接続され、一方向または双方向に情報のやり取りを行う。
【0019】
限定されるものではないが、これらの機器の配置に関し、例えば、
図2Bに示すように、撮像装置300および注入ヘッド110が検査室内に配置され、コンソール210が操作室内に配置され、電源ユニット190が機械室内に配置されてもよい。各室は壁によって仕切られていてもよく、検査室と操作室との間には窓が設けられていてもよい。電源ユニット190の配置位置に関し、他の形態では、電源ユニット190は操作室内に配置されてもよい。または、電源ユニット190は検査室内に配置されてもよい。電源ユニット190は、AC/DCコンバータ等を有し交流を直流に変換して各機器に、ケーブル経由で、電力供給するものであってもよい。電源ユニット190は、蓄電池(バッテリー、不図示)を有するものであってもよい。または、電源ユニット190はそれらの組合せであってもよい。
【0020】
蓄電池を電源とする電源ユニットが注入ヘッド110と一体的に構成されてもよいし、注入ヘッド110の近傍に配置される構成としてもよい。または、蓄電池を電源とする電源ユニットはコンソール210と一体的に構成される、もしくは、近傍に配置されるものとしてもよい。あるいはこれらの組合せとして、システム中の複数の構成要素のそれぞれに蓄電池タイプの電源ユニットを設けるようにしてもよい。
【0021】
他の構成要素として、注入ヘッドの動作を切り替えるためのリモートコントローラが備えられていてもよい。リモートコントローラは信号を送信する発光部を有するものであってもよい。注入ヘッド、コンソール、電源ユニットの1つまたは複数に受光部が設けられていてもよい。リモートコントローラからの信号を受信し、注入ヘッドの注入開始、注入停止などの動作が制御される。当然ながら、注入開始や注入停止以外にも前進、後退を始めとする他の動作が制御されるようになっていてもよい。
【0022】
なお、注入ヘッド110を保持するものとしては、例えば、可動式スタンドであってもよいし、撮像装置等の一部に取り付けられるレールスタンドであってもよいし、天井懸垂式のアーム型保持具であってもよい。可動式スタンドの一例としては、
図2Cに模式的に示すように、複数のキャスターを有するベース部103と、そこから上方に延びる支柱102aと、支柱102aの上部に設けられたヘッド保持部材102bを有するものであってもよい。この例では、ヘッド保持部材102bが略鉛直軸周りに回動可能に構成されている。ヘッド保持部材102bは、注入ヘッド110を、略水平軸周りに回動可能に保持する。
【0023】
他にも、
図2Dに模式的に示すように、ベース部103と、そこから上方に延びる支柱102aと、支柱102aの上部に設けられたヘッド保持部材102b′を有するものであってもよい。このヘッド保持部材102b′は多関節である。すなわち、略鉛直軸周りに回動可能な第1部材と、その第1部材に回動自在に連結された第2部材とを有している。第2部材は、第1部材に対して、一例で略水平軸周りに回動可能となっている。上記のヘッド保持部材102bと同様、保持部材102b′の第2部材は、その先端部で注入ヘッド110を、略水平軸周りに回動可能に保持する。なお、このような多関節構造は、可動式スタンド以外にも、レールスタンド(支柱下部が撮像装置または他の医療機器の一部に取り付けられるようなもの)にも応用可能である。
【0024】
さらに他の例として、
図2Cのヘッド保持部材102bのように支柱102aの上部から斜め上方に延びる保持部材ではあるが、支柱102aとの接続部は回動可能にはなっていない保持部材を用いてもよい。具体的には、この保持部材は、支柱102aに取り付けられ斜め方向に延びる第1部材と、その第1部材の先端部に回動可能(略鉛直軸周り)に連結された第2部材とを有するものであってもよい。第2の部材の一部により、注入ヘッドが略水平軸周りに回動可能に保持される。さらなる変形例として、このような構成で、かつ、第1部材が支柱102aに対して回動可能に取り付けられたものとすることもできる。
【0025】
以下、薬液注入装置およびシリンジ等について順に説明する。
〔1.血管造影用シリンジ〕
血管造影用シリンジおよびその保護ケースに関しては、一例で、従来公知のものを利用可能である。注入ヘッドの構成を説明する上で必要であるので、最初にこれらについて説明する。
図3、
図4に示すように、血管造影用のシリンジ800は、筒状のシリンダ部材810と、その内部にスライド自在に挿入されたピストン部材820(
図4参照)とを有している。シリンジ800の容量は、限定されるものではないが、例えば50ml〜300ml程度、または100ml〜200ml程度であってもよい(「a〜b」はa以上b以下を意図する)。ピストン部材をプランジャ(プランジャ部材)と呼ぶこともある。
【0026】
シリンダ部材810の材質は、樹脂、ガラス、または金属等であってもよい。シリンダ部材810は、その基端部または基端部付近にフランジ部811fが形成されていてもよい。フランジ部811fの輪郭形状は、どのようなものであっても構わない。例えば、円形、楕円形、または多角形等であってもよい。また、外周部分の直線で部分的に切除したような形状であってもよく、より具体的には、外周部分の左右の2箇所をそれぞれ直線(互いに平行な直線である)で部分的に切除したような形状であってもよい。
【0027】
シリンダ部材810の先端部には細長く突出した導管部(ノズル部)811aが形成されていてもよい。導管部811aの先端には、薬液チューブを接続するためのルアーロック構造が形成されていてもよい。
【0028】
ピストン部材820(
図4参照)は、いわゆるロッドレスタイプのプランジャであってもよい。ピストン部材820の背面には、所定のロッド(不図示)またはピストン駆動機構のラム部材(詳細下記)が連結可能な係止突起814が形成されていてもよい。この係止突起814の形状は、どのようなものであっても構わない。一例で、係止突起814は、シリンジの軸方向に延在する軸部材とその軸部材の端部に形成された板状部とを有するものであってもよい。ピストン部材820の材質は、特に限定されないが、樹脂、金属、またはそれらとゴムの組合せなどであってもよい。
【0029】
血管造影用のシリンジ800には、通常、製品の保証耐圧が設定されている。保証耐圧は、一例で、600psi以上、800psi以上、または1000psi以上であってもよい。シリンジ800は、滅菌済みのディスポーザブル製品として流通するものであってもよい。シリンジ800は、単品で、または、所定の付属品と組合せで包装袋に収容されていてもよい。なお、シリンジは予め薬液(造影剤または生理食塩水等)が充填されたプレフィルドタイプであってもよいし、空のシリンジに薬液を吸引して使用する吸引式のものであってもよい。
【0030】
限定されるものではないが、本発明の一形態では、血管造影用のシリンジは、ピストン部材820の最前進位置まで移動させた際に、導管部811aに一定量の薬液(4ml以上、5ml以上、または6ml以上)が残るような構成となっていることが好ましい。こうすることで患者へのエア注入の可能性がより低減するためである。すなわち、もし、例えば薬液が全く残らないような構成で、仮に薬液内に数ccのエアが混在していると、ピストン部材820を最前進位置まで移動させるとこのエアがシリンジの外部へと押し出されることとなる(なお、通常はシリンジ先端側を下向きにして注入が実施される)。延長チューブまたはカテーテルの長さが十分に長い場合には、問題とならないが、短い場合、エアが患者に到達する可能性がある。とりわけ、カテーテルは経が細いことから、1メートル当たり1cc程度の容量であり、そうした問題が顕在化しやすいと想定される。
【0031】
これに対して上記構成のように、一定量の薬液がバッファとして残る構成の場合、ピストン部材820を押し切ったとしてもエアがシリンジ外に排出される可能性が低減し、そのような問題が生じることも防止される。
【0032】
〔2.保護ケース〕
血管造影用のシリンジ800は、
図3に例示するような保護ケース840内に挿入された状態で注入ヘッド110に装着されるものであってもよい。このような保護ケース840としては、一例で、略円筒形の中空の本体部材841を有するものであってもよい。本体部材841は、先端側が略閉じ、後端側が開口した構成となっている。シリンジ800は保護ケース840の後端側の開口から挿入される。本体部材841の先端面にはシリンジの導管部811aを通すための開口部841hが形成されている。保護ケース840の基端部には、フランジ部841fが形成されていてもよい。フランジ部841fは、注入ヘッド側の保持構造(例えばクランパ機構)によって保持されるのに適した形状および/または強度に設計されていることが好ましい。フランジ部841fは、強度を確保するための十分な厚み(例えば2mm以上)を有し、略円環状に形成されたものであってもよい。保護ケース840の材質は、特に限定されないが、樹脂、ガラス、金属等であってもよい。
【0033】
保護ケース840の材質は具体的にはポリカーボネートであってもよい。一例で、住化スタイロンポリカーボネート株式会社製の材料などを利用してもよい。成形後、アニール処理および/または磨き処理といった二次加工を行うことも好ましい。これにより保護カバーの保証耐圧の向上を図ることができる。
【0034】
〔3.注入ヘッド〕
注入ヘッド110は、
図1A〜
図1Cに示すように、筐体111を有し、その筐体111の前端側にシリンジが装着されるものであってもよい。注入ヘッド110は、単一のシリンジを保持するシングルタイプのものであってもよいし、2本のシリンジを保持するデュアル(二筒式)タイプのものであってもよいし、3本以上のシリンジを保持する多筒式であってもよい。ここでは、シングルタイプの注入ヘッドについて説明する。
【0035】
ヘッドの筐体111は、樹脂製であってもよい。限定されるものではないが、筐体の上面側の筐体部品と下面側の筐体部品とを組み合わせて構成されるものであってもよい。限定されるものではないが、上面側の筐体部品と下面側の筐体部品との接続部に、パッキンが介挿される構成であってもよい。後述する操作ノブユニット170は、一例で、上面側の部品に取り付けられるものであってもよい。そうではなく、操作ノブユニット170は、筐体111内の所定のフレーム部材(不図示)に直接または間接的に取り付けられてもよい。フレーム部材は一例で金属製である。
【0036】
注入ヘッド110は、
図1A、
図1Bに示すように、保護ケース840に入った状態のシリンジ800を保持するシリンジ保持部140と、ピストン駆動機構130(
図4参照)と、そのピストン駆動機構130に電気的に接続された制御回路150(
図4参照)とを有するものであってもよい。
【0037】
(シリンジ保持部)
シリンジ保持部140は、ヘッドの筐体111の前面側に設けられたクランパ145と、その近傍に設けられた保護ケース受け141とを有している。
【0038】
クランパ145は、保護ケース840の一部を保持する保持手段である。保持手段としては、保護ケース840を安定的に保持できるものであればどのような構成であってもよい。例えば、クランパ145は、特許第5492873号に開示されたクランパと同様の保持の方式を利用するものであってもよい。
【0039】
具体的には、本実施形態では次のような構成となっている。すなわち、クランパ145は、保護ケース840のフランジ部841fを保持する一対のクランパ部材145−1、145−2を有している。一対のクランパ部材145−1、145−2は、その一方145−2が固定的に設けられており、他方145−1がそれに対して開閉可能に構成されている。クランパ部材145−1、145−2はそれぞれ略円弧状(略半円)の凹部を有しており、この凹部に保護ケース840のフランジ部841fが挿入されることとなる。クランパ部材145−1、145−2は金属製部材であってもよい。クランパ部材145−1は、シリンジおよび保護ケースの着脱が可能となる開放位置と、それらを保持する閉止位置との間で回動自在となるような態様で、その一端部が軸支されている。クランパ部材145−1が閉止位置にあるとき、保護ケース840のフランジ部841fは全周にわたって包囲され、固定される。クランパ部材145−1が開放位置にあるとき、保護ケース840を鉛直下方(一例。クランパ凹部の溝に平行な方向でもある。)に移動させることでフランジ部841fを凹部内に挿入することができる。
【0040】
限定されるものではないが、このようにセットした際に、シリンジのピストン部材820の係止突起814(
図4参照)がラム部材131の先端の係止凹部(上方に向かって開いている溝)に入り込む構成を採用してもよい。
【0041】
シリンジ保持部140は、さらに、クランパ部材145−1が所定の閉止位置まで閉じた際に、それをその位置で固定する機構(不図示)を備えている。その機構としては、例えば、ボールプランジャ(不図示)を利用するものであってもよい。クランパ部材145−1が閉止位置にあるときに、クランパ部材145−1の一部に形成された凹部(不図示)に対してボールプランジャのボール(不図示)が弾性的に入り込んで係合状態となる。この係合の際に、クリック感が得られるようなものであってもよい。なお、ボールブランジャとしては、ボールと、ボールの一部が突出するようにそのボールを保持する(往復移動可能に保持する)ケーシングと、ボールをケーシングから突出させる向きに付勢するバネであってケーシング内に配置されたバネとを有するもの等を利用してもよい。
【0042】
シリンジ保持部140には、また、クランパ部材145−1が所定位置まで閉じたことを検出するためのクランパセンサ(
図1A等では不図示、
図4の符号163参照)を有していてもよい。クランパセンサとしては、クランパ部材145−1が所定の閉止位置まで閉じられた際に、その一部に接触するように構成された接触式のセンサまたはスイッチであってもよい。または、クランパ部材145−1が所定の閉位置まで閉じられた際に、その一部の位置を、光学的または磁気的に検出する非接触式のセンサまたはスイッチであってもよい。光学式のセンサとしては、発光素子と受光素子を有し、受光信号の変化に基づき対象物の検出を行う方式のものであってもよい。このようなクランパセンサが設けられていることにより、薬液注入装置の制御回路はクランパ145が正しく閉じられたか否かを検出することができ、より安全な薬液注入が実施可能となる。
【0043】
(保護ケース受け)
保護ケース受け141は、クランパ145よりも先端側に位置しており、保護ケース840の外周面の一部を保持する凹部を有している。この凹部は、例えば、保護ケース840の外周面形状に合せて円弧状に形成されていることも好ましい。この保護ケース受け141は、透明または半透明の材質で形成されていてもよいし、または、不透明の材質で形成されていてもよい。
【0044】
本実施形態では、一例で、
図5Aに示すように、円弧状に形成された保持部材141bと、その上に湾曲状態で取り付けられる可撓性のシート状のヒータ141aとで構成されていてもよい。このヒータ141aは、シリンジ内の薬液を所定温度に保温するためのものである。
【0045】
ヒータ141aとしては、面発熱方式、具体的には導電膜フィルムに通電させることにより面発熱するものであってもよい。一例として、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)膜を導電膜フィルムとする透明ヒータであってもよい。ITO膜を保持する基材としては種々のものを用いることができるが、一例としてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム等を利用することができる。このような基材上に、ITO膜および一対の電極が形成され、電極間に電圧を印加することによりITO膜部分が発熱する。
【0046】
このような面発熱方式のヒータ141aによれば、面全体が均一的に発熱するのでシリンジ内の薬液を良好に加熱することができ、しかも、ITO等の透明ヒータを利用するものであるので、抵抗線を利用するものと比較して、面全体を透明にすることができより透明なヒータを構成することができるという利点もある。ヒータ141aの光透過率(白色光の透過率)としては、一例で70%以上、好ましくは80%以上であってもよい。同様に、保持部141b(
図5A参照)についても、その光透過率が一例で70%以上、好ましくは80%以上であってもよい。
【0047】
このように、保護ケース受け141を透光性を有するものとして構成することにより、装着されたシリンジ800(保護ケースも透光性を有する)の内部の状態を、その周方向の種々の方向からでも、目視で確認し易いものとなる。したがって、注入ヘッドがどのような姿勢であったとしても、シリンジ内に気泡が混入しているか否かを目視で確認することが行い易くなる。その結果、気泡の混入に気付かずに誤って薬液を注入してしまうことを防止できる。
【0048】
ヒータ141aの温度制御のために、保護ケース受け141にはサーミスタ141c(
図5A参照)が設けられていてもよい。サーミスタ141cは、制御回路150に電気的に接続されている。制御回路150はサーミスタ141cの検出値に基づいて、ヒータ141aの温度制御を行う。これにより、ヒータ141aの温度を所定の範囲に位置させることが可能となる。なお、サーミスタに限らず、他の種類の温度センサを利用することも可能である。
【0049】
シリンジ内の気泡をより良好に検出できるように、保護ケース受け141を照らす発光デバイス141d(
図5B参照)を1つまたは複数設けるようにしてもよい。発光デバイス141dは、保護ケース受け141の先端側(図の左側)とは反対側の所定位置に配置され、保護ケース受け141の先端側に向かって光を照射するように構成されたものであってもよい。発光デバイス141dはLED(Light Emitting Diode)等であってもよい。発光デバイス141cは1つでもよいが複数配置されてもよい。このように保護ケース受け141が発光手段によって照らされるようになっていることにより、シリンジ内の気泡の検出がより行い易いものとなる。
【0050】
なお、上記では、保護ケース受けの先端側に向かって光を照射するような向きで発光デバイスが配置されているが、保護ケースの中心軸側(径方向内側)に向かって光を照射するような向きで発光デバイスを配置するようにしてもよい。複数の発光デバイスは保護ケース受けの周方向に沿って配置されてもよい。例えば、保護ケース受けの片側の縁の近傍に一列に複数の発光デバイスを配置する構成としてもよい。
【0051】
(ピストン駆動機構)
ピストン駆動機構130は、
図4に示すように、アクチュエータとしてのモータ139と、モータ139の回転出力を伝達する伝達機構137と、伝達機構137により回転させられるボールねじ135と、ボールナットユニット132と、ボールナットユニット132の移動に伴って進退移動するラム部材131と、これらの要素の少なくとも一部を保持するフレーム(不図示)とを有している。
【0052】
モータ139としては、直流モータを用いることができ、その中でも特に、直流ブラシレスモータを好ましく用いることができる。ブラシレスモータは、ブラシが無いことにより、音が静かで耐久性に優れるという利点を有している。また、ブラシレスモータは、より高速回転が可能であるため、外部ギア比を高くしてモータにかかるトルクを小さくすれば、所望の注入圧力で薬液を注入するのに必要な電流値をブラシモータに比べて小さくすることができるという利点もある。なお、一般的にブラシレスモータは、内部のマグネットの位置を検出するためにセンサを有している。そこで、このセンサからの出力を利用して、モータの回転量および回転速度を検知するようにしてもよい。もっとも、モータの回転量および/または回転速度を検出するための回転センサ139sが別途設けられていてもよい。具体的には、ロータリエンコーダやレゾルバ等を利用することができる。アンギオグラフィ検査において造影剤注入を行うために、高出力のモータ、例えば出力が70w以上、または150W、または250W以上のものを用いることも好ましい。
【0053】
モータ139の出力は、伝達機構137を介して、ボールねじ135に伝達される。伝達機構137としてはどのようなものであっても構わないが、一例で、モータ139の出力軸に直接的または間接的に接続された第1のプーリ(不図示)と、ボールねじ135に直接的または間接的に接続された第2のプーリ(不図示)と、これら2つのプーリ間に掛け回されたベルト(不図示)とを有するものであってもよい。なお、このようなベルト伝達機構の代わりに、歯車装置やチェーン伝達機構等を用いてもよい。
【0054】
上述用のように構成されたピストン駆動機構130では、モータ139が回転すると、それによりボールねじ135も回し、その回転方向に応じてボールナットユニット132およびそれに連結されたラム部材131がボールねじ131に沿って前進または後退する。
【0055】
(ブロック図についての説明)
続いて
図4のブロック図の各要素について他の図面も参照しつつ説明する。注入ヘッド110は、
図4に示すように、一例で、制御回路150と、記憶部168と、入力デバイスとしての物理的ボタン161と、他の入力デバイスとしての操作ノブユニット170、各種センサ162〜165と、ディスプレイ146、ヒータ141a、インジケータ173b等を備えている。
【0056】
(制御回路)
制御回路150は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)とメモリとインターフェース等を有し、メモリ内に格納されたコンピュータプログラムを実行することで様々な機能を実現するものであってもよい。制御回路150はワンチップマイコン等のプロセッサを備えるものであってもよい。所定の基板上にプロセッサが実装されるとともに、種々の電気回路(例えばモータ駆動回路)がその基板上に設けられたものであってもよい。制御回路150は、注入ヘッドの各種要素に電気的に接続されている。
【0057】
制御回路150は一例で下記のような処理を行うように構成された(プログラムされた)ものであってもよい:
−各種センサ(詳細下記)からの信号に基づいて所定の演算処理を行う、
−ピストン駆動機構に対して所定のモータ制御信号を送り動作を制御する、
−ディスプレイ(詳細下記)に所定の情報を表示させる、
−物理ボタン等の入力装置(詳細下記)を通じたユーザからの入力を受け付ける、
−ヒータの動作を制御する、等。
【0058】
(各種センサ)
(a1)位置センサ
位置センサ162は、ラム部材131の可動範囲を規定するためのものである。例えば、ラム部材131が最前進位置まで移動したことを検出する第1のセンサと、ラム部材131が最後退位置まで移動したことを検出する第2のセンサとを有するものであってもよい。これらのセンサとしては、接触式のものであってもよいし、または、非接触式のものであってもよい。非接触式のものとしては、発光素子と受光素子を有する光学式のセンサを利用することができる。具体的には、被検出体によって光が遮られることにより、受光素子の受光量が減少し、この減少をとらえて検出を行うフォトインタラプタであってもよい。または、反射型のフォトインタラプタを利用してもよい。第1のセンサは、
図4に模式的に示すようにラム部材の移動方向に沿った方向の前方側(符号p1参照)に配置され、第2のセンサは後方側(符号p2参照)に配置されていてもよい。他にも、位置センサとしては、物理的な接触を利用した接触センサ、電気的に対象物を検出する電気センサ、磁気センサ、ホールセンサ、近接センサ、等を利用することもできる。
【0059】
(a2)クランパセンサ
クランパセンサ163としては、クランパ部材145−1が所定の閉止位置まで閉じられた際に、その一部に接触するように構成された接触式のセンサであってもよい。または、クランパ部材145−1が所定の閉位置まで閉じられた際に、その一部の位置を、光学的または磁気的に検出する非接触式のセンサであってもよい。詳細は前述したとおりである。
【0060】
(a3)シリンジ検出センサ
シリンジ検出センサ164は、シリンジおよび/または保護ケースが装着されたか否かを検出するのに利用される。さらには、どのような種類のシリンジおよび/または保護ケースが装着されたかをも判定できるものであってもよい。このようなセンサとしては、接触式または非接触式のいずれであってもよく、例えば次のようなものを利用できる:物理的な接触を利用した接触センサ、電気的に対象物を検出する電気センサ、磁気センサ、ホールセンサ、近接センサ、等。
【0061】
上記各種センサは、シリンジの検出ではなく、保護カバーの検出にも応用可能である。例えば、保護カバーに1つまたは複数の識別部材を設けておき、これをセンサで検出するようにしてもよい。識別部材としては、金属またはマグネット等を利用可能である。識別される情報としては、保護カバーのサイズ(直径寸法および/または長さ寸法など。別の言い方をすれば、どのような直径のシリンジに対応したものか、および/または、どのような長さのシリンジに対応したものか)およびシリンジの薬液情報等の少なくとも1つを含むものであってもよい。マグネットの極性の違いを検出して情報の識別を行うようにしてもよい。マグネットは1つまたは複数のいずれでも構わない。識別部材を設ける位置は特に限定されるものではないが、例えば、保護カバーのフランジ部またはその周辺であってもよい。具体的には、フランジ部から突出した部分に識別部材が1つまたは複数設けられていてもよい。この「フランジ部から突出した部分」としては、略板状の構造部であってもよく、一例で、フランジ部の径方向外側に所定長さ張り出した形状であってもよい。
【0062】
具体的な例として、複数のマグネットを利用し、いずれもN極の場合には第1のタイプ、いずれもS極の場合には第2のタイプ、一方がN極で他方がS極の場合には第3のタイプ、一方がS極で他方がN極の場合には第4のタイプなどと検出を行うことができる。薬液注入装置は、こうして読み取った情報に基づき、ラム部材の可動範囲を自動設定するように構成されていることが、一形態において、好ましい。また、薬液注入装置は、こうして読み取った情報に基づき、薬液の種類や製品名、あるいは、プレフィルドシリンジか否か等を認識するように構成されていてもよい。
【0063】
(a4)圧力センサ
圧力センサ165は、シリンジのピストン部材820を押す圧力を算出するためのものであり、これにより、薬液の圧力推定値を求めることができる。圧力センサ165は、一例でロードセルであってもよい。ロードセルは、ピストン駆動機構130のラム部材131がピストン部材を押す圧力を検出できるような位置に設けられていればよい。ロードセルの検出結果を利用して、例えば、薬液を注入しているときの薬液の圧力の推定値を求める場合、その算出は、針のサイズ、薬液の濃度、注入条件なども考慮して行われてもよい。
【0064】
(a5)ディスプレイ
所定の情報を表示するための1つまたは複数のディスプレイ146が注入ヘッドに設けられていてもよい。本実施形態では、1つのディスプレイ146が設けられている。ディスプレイ146は、有機EL(Organic Electro−Luminescence)ディスプレイを利用したものであってもよい。ディスプレイ146のサイズは、特に限定されるものではなく注入ヘッド110の大きさ等を考慮して適宜決定すればよいが、例えば縦寸法が、10mm以上、または15mm以上であることが好ましい。横寸法は、20mm以上、または30mm以上であることが好ましい。各寸法に関し、小さすぎる場合には必要な情報の表示が困難になり、視認性が低下し、一方で、大きすぎる場合にはヘッドのサイズの大型化に繋がるおそれがあるためである。
【0065】
有機ELディスプレイの場合、自発光型であることから、LCDのようにバックライトが必要ではなく、さらなる薄型化、軽量化に有利である。また、コントラストに関し、LCDの場合、バックライトを利用するものであることから本来暗部であるべき領域の輝度も上がってしまうのに対して、有機ELディスプレイの場合、高コントラストのまま所定の情報を表示することができる。例えば、バックライト付きの液晶ディスプレイのコントラスト比は概ね100以下であるが、OLED(Organic Light Emitting Diode)のコントラスト比は2000:1に達しうる。本実施形態では、有機ELディスプレイのコントラスト比は、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましい。
【0066】
このような高コントラストの表示が可能なディスプレイを、検査室内で利用される医療機器に用いることは次のような観点から好ましい。すなわち、本実施形態の薬液注入装置が使用される検査室(特に血管造影検査が実施される検査室)は、一般的には手術室と同様の照度レベルが求められ、一例としては、20,000ルクス程度の無影灯が設置され、手術室全体は照度750〜1,500ルクス程度の明るい環境下とされる。本実施形態の注入ヘッドのディスプレイが上記のように高コントラストということは、このような明るい検査室の中においてもディスプレイの表示内容を確認しやすく、医療過誤の発生の低減にも寄与しうる点で有利である。
【0067】
以上、有機ELディスプレイを例として説明したが、上記のコントラスト比条件を満たす限り、他の方式のもの(例えば液晶ディスプレイ)であってもよい。ディスプレイ146と、注入ヘッドの筐体111との関係に関し、例えば
図6に示すように、ディスプレイ146上に有色、透明または半透明のウィンドウ111wが配置される構成としてもよい。ウィンドウ111wは樹脂製の部品であってもよい。
【0068】
上記の例では高コントラスト比のディスプレイがヘッドに一体的に設けられた例を説明しているが、当該ディスプレイに係る発明はそれ限定されるものではない。このようなディスプレイによる、照度の高い検査室内で好適に利用できるという作用効果は、たとえディプレイがヘッドに一体的に設けられていなくても同様に得ることができるものであるためである。したがって、例えば、注入ヘッドとは別体のサブディスプレイがこのようなコントラスト比条件を満たすものであってもよい。サブディスプレイは、注入ヘッドおよび/またはコンソールに電気的に有線または無線で接続され、種々の情報(例えば造影に関する諸情報)を表示するものであってもよい。また、検査室内に配置するその他の機器、例えばスタンドアロンな表示デバイス、無線通信機器、または患者の撮像画像を表示するデバイスなどにこのようなコントラスト比条件を満たすディスプレイを採用することも好ましい。
【0069】
続いて、ディスプレイ146に表示される内容としては、特に限定されないが、次のようなもの少なくとも1つであってもよい:
−注入開始前の所定の状態表示、
−ヘッドの姿勢に関する所定の表示、
−シリンジ装着に関する所定の表示、
−注入動作中の所定の状態表示、
−注入予定の薬液注入条件の表示、
−注入された薬液注入条件の表示、等。
【0070】
図7は、ディスプレイ146に表示される画像の一例を示している。
図7(a)は、「エア確認」の表示であり、シリンジの画像とそのシリンジ内の気泡の画像とを含んでいる。これは、注入開始前に、操作者にシリンジ内の気泡の確認および排除等を促すための表示である。このような画像が表示されることで、気泡の確認および排除等を促し、被検者に気泡が混入される可能性を低減することができる。
図7(a)の表示は、注入プロトコルの設定完了後であって、薬液注入前の所定のタイミングで、装置が自動的に表示するものであってもよい。
【0071】
図7(b)は、ヘッドの姿勢に関する表示であって、操作者にヘッドの姿勢を変更することを促すためのものである。この表示には、ヘッドの画像(具体的には、ヘッドの前端側が下向きとなる姿勢のヘッド画像および/またはヘッドの前端側が上向きとなる姿勢のヘッド画像)が含まれていてもよい。また、ヘッドを傾ける旨のテキスト表示を含んでいてもよい。例えば血管造影の場合、空のシリンジに薬液を吸引し、その後、薬液注入が行われる。そして、吸引時にはヘッド前端側が上向きとされ、薬液注入時にはヘッド前端側が下向きとされる。よって、
図7(b)の表示は、吸引動作の完了後であって、薬液注入前の所定のタイミングで、装置が自動的に表示するものであってもよい。なお、上記にいう「下向き」とは、シリンジ先端側にエアが溜まるのを防止できる程度に、シリンジ先端側が後端側よりも下側となっていればよく、必ずしも真下を向くような姿勢に限定されるものではない。
【0072】
図7(c)はシリンジ装着に関する表示であって、操作者にシリンジの装着を促すためのものである。この表示には、シリンジの画像が含まれていてもよい。また、シリンジを装着する旨のテキスト表示を含んでいてもよい。
図7(c)の表示は、シリンジセンサの検出結果からシリンジが装着されていないと判定されている状態の所定のタイミングで、装置が自動的に表示するものであってもよい。
【0073】
図7(d)は設定した薬液注入条件に関する表示であって、注入速度と注入量のテキスト表示を含んでいる。これらは両方表示されてもよいし、いずれか一方のみでもよい。また、注入開始可能であることを示す「スタートOK」(一例)のテキスト表示を含んでいてもよい。
図7(d)の表示は、注入プロトコルの設定完了後であって、薬液注入前の所定のタイミングで、装置が自動的に表示するものであってもよい。
【0074】
図7(e)は注入された薬液注入条件に関する表示であって、この例では注入した薬液量のテキスト表示を含んでいる。また、複数の薬液注入の積算量に関するテキスト表示を含んでいてもよい。
図7(e)の表示は、薬液注入の終了後であって、所定のタイミングで、装置が自動的に表示するものであってもよい。
【0075】
(a6)ヒータ
本実施形態の注入ヘッドにおいて、ITO膜を用いた透明ヒータが設けられていることは上記で述べたとおりである。
【0076】
(a7)インターフェース
インターフェース169は、コンソール210と信号のやりとりを行うための接続部である。コンソール210と注入ヘッド110との接続は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0077】
(a8)記憶部
記憶部168は、データを記憶可能な記憶媒体であればどのようなものであってもよく、メモリ、ハードディスク等で構成しうる。記憶部168には、注入ヘッドの基本的な動作に関する情報(動作アルゴリズム等)やデータテーブル等が記憶されていてもよい。このような情報は、また、制御回路内のメモリ(不図示)に格納されていてもよい。また、ヘッドに接続されたコンソール内の記憶領域(制御部内メモリまたは記憶部)等に格納されていてもよい。
【0078】
(a9)物理ボタン
物理ボタンとしては、特に限定されないが、次のようなものであってもよい:
−ラム部材を前進させるための前進ボタン、
−ラム部材を前進させるための後退ボタン、
−前進ボタンまたは後退ボタンと同時に押すことでラム部材の移動速度を早くするアクセラレータボタン(加速ボタン)、
−ラム部材を後退位置まで戻すリターンボタン、
−ヘッドの動作を停止させる停止ボタン、等。
【0079】
これらの物理ボタンは注入ヘッド筐体の上面、側面、下面、後端面等に適宜配置可能である。本実施形態では、
図1Aに示すように、筐体の上面に、停止ボタン161a、前進ボタン161b、加速ボタン161c、後退ボタン161d、およびリターンボタン161eが配置されている。
【0080】
なお、これらのうち少なくとも1つの物理ボタンに関してそれが押下されたことを確実に検出するために、冗長化設計が採用されていることも好ましい。具体的には、例えば
図8に示すようにキー161−1が押下されたことを検出するためのデバイスが2つ以上設けられていてもよい。一例として、異なる種類のスイッチまたはセンサが設けられていてもよく、この例では、接触式のスイッチ161−2と、発光素子および受光素子を有しキー161−1が押下されたことを検出するセンサ161−3とが設けられている。具体的にはフォトインタラプタ等を利用できる。別の態様としては、非接触式のものを2つまたはそれ以上設ける、または、接触式のものを2つまたはそれ以上設けるようにしてもよい。このような構成によれば、仮に1つのスイッチまたはセンサが故障した場合であっても他の1つまたは複数のスイッチまたはセンサで検出を行うことができるので、装置の信頼性および安全性をより向上させることができる。
【0081】
(a10)発光部
図4のインジケータ173bは、一例でLED(Light Emitting Diode)であり、注入ヘッドの動作状態をユーザに知らせるためのものである。具体的には、
図1Aに示すように、操作ノブユニット170に隣接して配置された発光部173の光源として設けられていてもよい。発光部173の外形はどのようなものであっても構わないが、
図1Aに示すように、円筒型もしくは半円筒形に形成された発光部カバー173aを有するものであってもよい。発光部カバー173aは、透明または半透明の樹脂製の部材であってもよい。内部に複数の光源を配置する場合、それらは、発光部カバー173aの周方向に沿うような向きで同カバー内に配置されていてもよい。
【0082】
発光部173の光源の発光色や発光パターンを変化させることにより、注入ヘッドの種々の状況をユーザに知らせることができる。操作ノブ171の回転動作に対応して光源の発光パターンを変えることについては、後述するものとする。上記ではインジケータ173bとしてLEDの例を上げたが、当然ながら光源の種類は特に限定されるものではなく、他の種類の光源を採用することもできる。
【0083】
(a11)操作ノブ
操作ノブユニット170は、それを操作(例えば回転操作)することでラム部材を手動で前進または後退移動させるためのものである。操作ノブユニット170は、操作者によって操作される操作ノブ171と、それに接続された回転センサ171sとを有している(
図4参照)。
【0084】
操作ノブユニット170は、その回転動力を物理的にピストン駆動機構130に伝達するものではないので、同機構に機械的に接続されている必要はなく、基本的には注入ヘッド110のどの位置に配置しても差し支えない。操作ノブユニット170の配置位置に関して、一態様においては、注入ヘッドの前後方向の長さ(シリンジ保持部を含む)の中間位置よりも後方側に配置するようにしてもよい。より好ましくは、注入ヘッドの後端部に配置するようにしてもよい。
【0085】
注入ヘッドの幅方向との関係に関しては、筐体111の側面等に配置することも可能ではあるが、ヘッド上面から見て、筐体111の幅よりも内側となるような位置に配置されていることが、装置の大型化を招かない点で好ましい場合もある。ピストン駆動機構130との位置関係で言えば、ピストン駆動機構のラム部材131の中心軸、または、同中心線と平行な線と、操作ノブの回転中心軸とが揃うように配置されていることも、一態様において、好ましい。
【0086】
操作ノブ171は、限定されるものではないが、全体として略円筒状に形成されていてもよく、具体的には、
図1Dのように第1の直径の円筒部171aと、それより大径の第2の直径の円筒部171bとを有するものであってもよい。当然ながら、このような段付きのものではなく、単純な略円筒状としてもよい。円筒部171a、171bの一方または両方には、ノブを回しやすいように所定のパターンで溝が形成されていてもよい。操作ノブ171の他の例としては、円筒状ではなく、例えば、矩形もしくは多角形の柱状の操作部であってもよいし、または、略星形のハンドルのような操作部であってもよい。
【0087】
回転センサ171sとしては、操作ノブ171の回転方向および回転速度を検出することができるロータリエンコーダ等であってもよい。ロータリエンコーダは、検出結果としてパルス信号を生成する。
【0088】
操作ノブ171を回転させるためのトルクに関して、一形態としては、回転トルクを低く設定し操作ノブ171を軽く回せるように構成されていることも好ましい。別の態様としては、従来のメカニカルなノブの場合にはノブを回転させるためのトルクが比較的大きかったことを考慮して、同程度のトルク、例えば下限が0.2(Kgf・cm)以上、0.3(Kgf・cm)、0.4(Kgf・cm)以上であってもよい。上限は、一例で、2.0(Kgf・cm)以下、または1.0(Kgf・cm)以下の範囲としてもよい。このような構成を採用する理由としては、操作ノブ171の回転トルクが必要以上に軽い場合、従来のメカニカルなノブの操作に慣れている操作者が誤操作をしてしまうおそれがあり、一方、重すぎる場合には、ノブを回し難く、一連の施術に支障をきたすおそれがあるためである。
【0089】
回転トルクは、オイルの粘性を利用してトルクの調整を行うロータリーダンパや、部材間の摩擦力を利用してトルクの調整を行うスリッピングクラッチといったダンパ部品を用いて適宜設定することが可能である。このようなダンパ部品は、操作ノブ171に直接または間接的に連結される。スリッピングクラッチとしては、例えばSAFCON社製の「ミニキーパ」等を利用してもよい。回転トルクを調整できる製品であることも好ましく、例えば、0.2(Kgf・cm)〜1.0(Kgf・cm)の範囲内でトルクを自由に調整できるものであってもよい。
【0090】
(操作ノブの操作によるモータ駆動制御など)
図4のブロック図に示すように、操作ノブユニット170は制御回路150に電気的に接続されている。制御回路150は、回転センサ171sからのパルス信号に基づき、操作ノブ171の回転方向、回転速度、回転量の少なくとも1つを算出する。また、制御回路150は、
−操作ノブの回転方向に応じて、モータに、回転方向に関する制御信号を与える処理と、
−操作ノブの回転速度に応じて、モータに、回転速度に関する制御信号を与える処理と、
−操作ノブの回転量に応じて、モータに、回転速度に関する制御信号を与える処理と、
のうち少なくとも1つを行う。
【0091】
このような構成により、操作者が操作ノブ171を操作した際に、それに応じて、リアルタイムにモータ139を動作させてラム部材131を前進または後退させることが可能となっている。上記処理は、コンピュータプログラムと電気回路の組合せによって実施されてもよいし、電気回路のみによって実施されてもよい。
【0092】
(制御例1)
操作ノブ171の操作によりラム部材131を移動させることについて説明する。操作ノブ171を回転させると、回転センサ171sがパルス信号を生成し、制御回路150がこれに基いてモータ139の動作を制御する。例えば、操作ノブ171を時計回りに回転させた場合には、ラム部材131がリアルタイムに前進し、操作ノブ171を反時計回りに回転させた場合には、ラム部材131がリアルタイムに後退するようになっていてもよい。操作ノブ171の回転量とラム部材131の移動量との関係は、例えばノブを1回転させたときのラム部材の移動量がL1〔mm〕(モータの回転量で言えばR1〔回転〕)のように設定されていてもよい。この移動量L1は、特に限定されるものではないが、例えば従来のメカニカルノブを1回転させた時のラム部材の移動量と同程度に設定されていることが、一形態において好ましい。
【0093】
(制御例2)
本実施形態においては、操作ノブ171の特性を利用して、次のような制御を行うようにしてもよい。
図9のフローチャートに示すように、制御回路150は、まず、位置センサ162(
図4参照)の検出結果を監視する(ステップS11)。そして、制御回路150は、ラム部材131がその可動範囲の端部(最前進位置または最後退位置)まで移動したか否かを判定する(ステップS12)。この判定は第1の位置センサまたは第2の位置センサの検出結果に基いて行うことができる。
【0094】
そして、可動範囲の端部まで移動したと判定した場合には、それ以降、操作ノブ171を回転(ここでは、ラム部材を可動範囲外に向かって進める方向の回転を意味する)させても、モータ139は回転させないようにする(ステップS13)。
【0095】
このように、ラム部材が可動範囲内ではない場合にはその移動を禁止するような構成によれば、ラム部材131が不測の位置まで移動してしまうことに起因する不具合の発生を防止することができる。このような制御は、ラム部材の可動範囲の前進端および後退端の両方において実施されるようになっていてもよいし、一方のみで実施されるようになっていてもよい。
【0096】
(制御例3)
本実施形態においては、操作ノブ171の特性を利用して、次のような制御を行うようにしてもよい。操作ノブ171は、上述したとおり、例えば薬液チューブの接続を行う際にそのチューブ内を薬液で満たすような場合に操作される。具体的な一例としては、これは、ラム部材131を少しだけ前進させて少量の薬液を送り出し、それによりチューブを薬液で満たすような動作である。メカニカルノブの場合、1回転させた時のラム部材の移動量は物理的に決まっているので変更することはできない。しかしながら、操作ノブの特性を利用して、次のような制御を行うようにしてもよい。
【0097】
まず、制御回路150は、
図10のフローチャートに示すように、移動量の変更の入力を受け付ける(ステップS21)。一例として、この入力は、例えば、操作者が薬液注入装置に設けられた何らかの物理的ボタン、またはグラフィカルユーザーインターフェースとして表示された画像ボタンを操作する(押下、タッチ、移動等)ものであってもよい。
【0098】
上記入力があった場合、制御回路150はそれを受け付け、操作ノブ1回転当たりのラム部材の移動量を変更する。つまり、第1の設定(ノブを1回転させたときのラム部材の移動量がL1〔mm〕(モータの回転量で言えばR1〔回転〕)を、第2の設定(ノブを1回転させたときのラム部材の移動量がL2〔mm〕(モータの回転量で言えばR2〔回転〕、ここで、L2<L1、R1<R2)に切り替える。このような構成によれば、第2の設定に切り替えることで、操作ノブ一回転当たりのラム部材の移動量が小さくなるので、操作者がより精密な薬液の送り出しを行うことができるものとなる。このような機能は、特に細い経のチューブの際に、先端まで薬液を満たす場合に有効である。
【0099】
なお、上記では第1の設定と第2の設定とを例示したが、3段階以上に切換え可能に構成されていてもよい。デフォルト設定と比較して、操作ノブ一回転当たりのラム部材の移動量が小さくなる構成としてもよいし、大きくなる構成としてもよい。操作ノブ一回転当たりのラム部材の移動量が変更されたことが、ディスプレイ146またはその他の表示装置に表示されるようになっていてもよい。
【0100】
(制御例4)
従来のメカニカルノブ(不図示)はピストン駆動機構の一部に機械的に連結されているので、例えば注入ヘッドの物理ボタンを押してラム部材を移動させている間、それに連動してメカニカルノブ(不図示)も回転するものであった。操作ノブの場合、操作ノブはピストン駆動機構に機械的に連結されるものではないことから、そうした連動は生じない。この点、従来のメカニカルノブ(不図示)の装置に慣れている操作者に対して違和感を生じさせないような工夫がなされていることも好ましい。製造コストや配置スペース上の問題が特に無いような場合には、アクチュエータ(例えばモータ)を内蔵して、ピストン駆動機構の動作に連動して、該アクチュエータを動作させ操作ノブを回転させるようにしてもよい。
【0101】
また、本実施形態のように発光部173が設けられている場合には、操作ノブを動かす代わりにこの発光部173を所定のパターンで発光させることにより、ピストン駆動機構が動作していることを示唆させるような構成とすることも好ましい。「所定のパターン」としては、例えば、発光部173を、ノブの時計方向の回転に対応した第1のパターン、および、反時計方向の回転に対応した第2のパターンで点滅させること等が挙げられる。第1のパターンおよび第2のパターンとしては、発光色を異ならせる、発光パターンを異ならせる、またはそれらの組合せ等であってもよい。
【0102】
ノブの周方向に沿って複数の光源が内蔵されているような場合には、ノブの回転方向と同じ方向となるように、それら複数の光源を順次点灯させていくような方式なども好ましい。
【0103】
以上説明したように、本実施形態の注入ヘッドは、操作ノブの回転を電気的信号に変換し、その信号に基いてピストン駆動機構を動作を電気的に制御するものである。よって、従来のメカニカルノブの場合と比較して、操作ノブユニットの配置の自由度を高く、またピストン駆動機構の動作も多様に行うことが可能となる。
【0104】
また、このような操作ノブユニットは、メカニカルノブのように機械的な連結を必要とするものではないことから、動作時の静音化にも非常に有効であり、特にこの種の医療機器において被験者に与える心理的負担を低減できる点でも好ましい。
【0105】
上記説明では操作ノブの特性を利用した「制御例2」〜「制御例4」を例示したが、これらは必ずしもすべてが注入ヘッドの機能として実装されている必要はなく、必要に応じて1つまたは任意の2つ以上が実装されていればよい。
【0106】
以上、注入ヘッドの一形態について説明したが、注入ヘッドとしては上記に開示された構成の他にもさらに種々変更可能である。例えば、注入ヘッドは次のような構成要素の1つまたは複数を有していてもよい:傾斜センサ、モータ電流検出器、RFID通信デバイス、データレシーバ、データトランスミッタ等。
・傾斜センサは、注入ヘッドの傾きを検出する。一般に、この種の注入ヘッドは、その前端側(つまりシリンジ側)が上方となるような姿勢でシリンジ内への薬液吸引が実施される。一方、薬液注入は、注入ヘッドの前端側が相対的に下方となるような姿勢(先端側をやや下に向けた姿勢)で実施される。傾斜センサの検出結果を用いることで、例えば、望ましくない姿勢での薬液吸引または薬液注入することを防止することも可能である。
・モータ電流検出器は、モータの動作中、モータ電流を監視し、制御回路はそのモータ電流に基づいて薬液の圧力推定値を求める。
・RFID通信デバイスは、シリンジ、保護ケース、またはその他の部材に取り付けられたICタグの情報を非接触で読み取るデバイスである。必要に応じて、書込み機能が備えられていてもよい。
・データレシーバは、外部機器から送信された所定の情報を受信するためのものである。
・データトランスミッタは、所定の情報を注入ヘッドから外部機器に送信するためのものである。
【0107】
(発光部および発光パターン等の詳細)
注入ヘッドは、
図23に示すような構成の発光部173を有するものであってもよい。この発光部173は、マトリクス状に配置された複数の光源173b−1〜173b−4を有している。具体的には、複数の光源は、所定の軸を中心とした円周面上に配置されている。「所定の軸」とは、操作ノブ171の中心軸と同一の軸であってもよいし、または、中心軸と同軸ではないが、平行な軸であってもよい。なお、複数の光源は、必ずしも円周面に配置されている必要はない(詳細下記)。
【0108】
光源173b−1〜173b−4は、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の発光素子(例えばLED素子)として設けることができる。この例では、色の異なる第1の発光素子と第2の発光素子との対として設けられている。色は特に限定されるものではないが、青色と緑色とを利用してもよい。
【0109】
光源173b−1〜173b−4は、前後方向(軸方向)に互いに間隔をあけて複数の列をなすように配置されている。列の数は適宜変更可能であり、2列、3列、4列、またはそれ以上としてもよいし、あるいは、1列のみとしてもよい。
【0110】
1つの列内において、光源173b−1〜173b−4が、周方向に互いに所定の間隔(一例で等間隔)で配置されている。光源173b−1〜173b−4は、軸を取り囲むように全周にわたって配置されていてもよい。または、円周上の少なくとも一部のみ(一例で扇形の中心角が少なくとも45°以上となる範囲、少なくとも60°以上となる範囲、または少なくとも90°以上となる範囲)に配置されていてもよい。
【0111】
光源173b−1〜173b−4は、フレキシブル基板174上に実装されたものであってもよい。フレキシブル基板174を、注入ヘッド内に配置された保持部材(例えば曲面状の外周面を有する)上に湾曲させて取り付けるようにしてもよい。
【0112】
他の態様としては、
図24のように複数の基板174′に分けて配置するようにしてもよい。このような構成であっても、複数の基板174′(可撓性のない基板であってもよい)を軸Axの周りに配置することで、結果的に、複数の光源が軸Axの周方向に配置されることとなる。
【0113】
発光部173の制御の一例は下記のとおりである:
(1)発光色について
例えば、薬液の注入中(ラム部材の進出中)は第1の色の発光素子が発光し、薬液注入以外で操作ノブ171が回されたときには第2の色の発光素子が発光する構成としてもよい。一態様では、制御回路150により、このような動作制御が行われる。当然ながら、前進に限らず後退の際に、このような発光色の変更を行う構成としてもよい。
【0114】
別の例として、同じくラム部材の進出中ではあるが、例えば薬液の本注入と、そうではない注入とで発光色が異なる構成としてもよい。具体的な一例として、本注入と事前注入(試験注入または気泡排出のための注入等)とで発光色が異なる構成等が挙げられる。自動注入としてのラム部材移動と、手動操作でのラム部材移動で異なる発光色としてもよい。
【0115】
(2)発光パターン
(2−1)操作ノブ171の回転方向が分かるように、操作ノブ171の回転方向に合わせて、周方向に並んだ光源173b−1〜173b−4(一列または複数列のいずれでも構わない)が、周方向に順に点灯していくように発光する構成としてもよい。時計回りおよび反時計回りの少なくとも一方でこのような発光制御が行われる。ノブの回転速度と略同じ速度となるように光源が発光していく構成としてもよいし、そうではなく、ノブの回転速度よりも速いまたは遅い速度となるように発光していく構成としてもよい。回転方向を示すための上記のような発光制御は、複数列の中の1列のみにおいて実施されてもよいし、2列以上において同時に実施されてもよい。
【0116】
(2−2)ラム部材の前進および/または後退が分かるような発光パターンも採用し得る。すなわち、第1の例として、
図25(a)のように、例えば、後側から前側に向かって列ごとに光源を順次点灯させていき、円状または略半円状の光が前に進んでいくような発光パターン(順次発光パターン)としてもよい。必要に応じ、ラム部材の後退時も同様な発光パターン(ただし上記とは逆の方向となる)で発光させてもよい。
【0117】
第2の例として、
図25(b)のように、螺旋状の軌道となるように、光源を順次点灯させていくようにしてもよい。このような発光パターンに関しても、ラム部材の進行時または後退時のいずれにも適用し得る。
【0118】
(2−3)発光のオンオフ
操作者が操作ノブを回した際にその回転に応じて発光素子を発光させることは上記に説明したが、次のような制御を行うようにしてもよい。注入ヘッドの一連の動作においては、ラム部材の移動を一時的に禁止しておくことが好ましいタイミングも想定される。そこで、このようなタイミングにおいては、制御回路150は、操作ノブ171が回されたとしても、モータ回転させることなく、かつ、発光素子も発光させないようになっていてもよい。このような構成によれば、操作ノブ171を回しても発光素子が発光しないので、操作者は、操作ノブを回すことによる入力が無効となっていることを、視覚的に良好に認識することができる。
【0119】
上記のような各種発光パターンを、次のような動作に対して、適宜使用するようにしてもよい:
−設定された条件で注入を行うように、所定の速度でラム部材を移動させる自動注入動作
−ヘッド上のボタンを押している間、ラム部材を移動させる動作
−操作ノブを回してラム部材を移動させる動作
−ラム部材を所定の退避位置まで移動させる動作、等。
【0120】
〔4.コンソール〕
コンソール210としては、一例で、従来この種の薬液注入装置で利用される構成のものを利用することができる。
図4に示すように、制御部250と、記憶部261と、通信部262と、スロット257と、タッチパネル253と、ディスプレイ251とを有するものであってもよい。一例で、1つの筐体内に制御部250が配置されるとともに、その筐体前面にディスプレイ251が配置されたような一体型のコンソールとしてもよい。1つのコンソールではなく、複数のコンソールを利用するシステムとしてもよい。
【0121】
筐体の形態は何ら限定されるものではない。コンソール150が使用される場面に応じて適宜好ましい筐体形状としてもよい。例えば、次のようなものであってもよい:
−操作室のテーブルに配置されて使用されるのに適した据置型の筐体形状、
−所定の支持部材あるいは壁などに好適に取り付けることができる筐体形状(例えば背面側が略フラットに形成された薄型の筐体)、等。
【0122】
コンソールのディスプレイは、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Organic Electro−Luminescence)ディスプレイ等を利用した表示部であってもよい。また、タッチパネル式ディスプレイであってもよい。
【0123】
制御部250は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)とメモリとインターフェース等を有しており、メモリ内に格納されたコンピュータプログラムを実行することで、様々な機能を実現する。制御部250は、CPU、ROM、RAM、およびI/F等のハードウェアを有しプログラムが実装されたプロセッサを有するものであってもよい。
【0124】
制御部250は、実装されたプログラムにしたがって多数の機能を有するが、コンソールの機能としては、一例で次のようなものが挙げられる:注入プロトコル設定GUI表示機能、注入プロトコル設定機能、注入中の画面表示機能、注入後の画面表示機能、入力検出機能、注入制御機能、等。
【0125】
コンピュータプログラムはコンソールが有する記憶部に予め記憶されたものであってもよいし、ネットワーク等を通じて外部からダウンロードされ記憶部に記憶されるものであってもよいし、あるいは、スロットに挿入された情報記憶媒体から読み取られるものであってもよい。注入ヘッドの動作を制御するコンピュータプログラムに関しても同様であり、ヘッドの記憶部またはコンソールの記憶部に記憶されたものであってもよいし、外部から読み込まれるものであってもよい。
【0126】
上記の各機能について簡単に説明する。注入プロトコル設定GUI表示機能は、注入プロトコルを設定するためのGUI画面をディスプレイに表示する。具体的な一例として、身体区分アイコン、撮像部位アイコン等の少なくとも1つを表示し、それが選択された場合には所定の薬液注入条件をディスプレイに提示する。
【0127】
注入プロトコル設定機能は、上記のように提示された薬液注入条件が医師または医療従事者によって確認/修正された後、その内容を注入プロトコルとして設定する。
【0128】
注入中の画面表示機能は、薬液の注入中に、静止画像もしくはアニメーション画像等をディスプレイに表示する。また、薬液の注入中に、薬液の圧力情報をディスプレイに表示する。
【0129】
注入後の画面表示機能は、実施した薬液注入に関する情報をディスプレイに表示する。
【0130】
入力検出機能は、タッチパネルや物理ボタン等(一例)を通じて行われる医師または医療従事者からの入力を受け付ける。
【0131】
注入制御機能は、設定された注入プロトコルにしたがってピストン駆動機構を動作させ、薬液の注入を実施する。ピストン駆動機構の動作条件に関する情報が、コンソールから注入ヘッドへと送信され、注入ヘッドの制御回路がその情報に基いてピストン駆動機構を制御する構成であってもよい。
【0132】
制御部250は、さらに、注入履歴生成機能を有していてもよい。注入履歴生成機能は、注入履歴データを生成する機能である。「注入履歴データ」としては、例えば、次のようなものの一つまたは複数であってもよい:
−ヒータの動作に関するデータ(加温開始時間、加温終了時間)、
−注入作業ごとに固有の識別情報である注入作業ID、
−注入開始および終了の日時、
−薬液注入装置の識別情報、
−注入条件である薬液や撮像部位の情報、
−注入結果としての薬液や注入圧力の情報、等。
【0133】
再び
図4を参照し、スロット257は、所定の情報記憶媒体が差し込まれる部分であり、コンソール210はこの情報記憶媒体から所定のデータを読み込むことができる。インターフェース269は、注入ヘッド110との接続を行うための接続部である。コンソール210は、また、通信部262を介して外部のネットワーク(例えば病院システムまたはインターネット)に接続可能となっていてもよい。
図4には示していないが、コンソール210は、入力手段として、例えば、ハンドスイッチやフットスイッチを有するものであってもよい。ハンドスイッチとしては、コンソールに有線または無線で接続されユーザの手元で操作されるものであり、押しボタン式のスイッチ等を有するものであってもよい。フットスイッチはコンソールに接続されるものであってもよいが、
図2Bに示すように、電源ユニット190に接続されたフットスイッチ258(
図2参照)であってもよい。このフットスイッチ258を操作することで注入ヘッド110および/またはコンソール210の動作が制御されるように構成されていてもよい。フットスイッチは、他の形態では、注入ヘッド110に接続されてもよい。コンソールは、音および/または音声を出力するためのスピーカ等(不図示)を有していてもよい。コンソールは、音声を入力するためのマイク等(不図示)を有していてもよい。
【0134】
〔5.撮像装置〕
撮像装置300としては、
図2Aに模式的に示すように、従来公知の撮像装置を利用することができる。撮像装置300としては、例えば、X線CT撮像装置300−1と、血管造影用の撮像装置300−2とが設けられていてもよい。血管造影用の撮像装置としては、Cアームを有するものであってもよい。
【0135】
撮像装置300は、薬液注入装置100と通信可能に接続され、所定の情報を相互間でやりとりする。例えば、一方の動作開始もしくは動作終了と、他方の動作開始もしくは動作終了のタイミングが同期するように構成されていてもよい。
【0136】
〔薬液注入装置等の他の構成例について〕
以上、本発明について図面を参照して説明したが当然ながら、本明細書で開示する技術事項はその内容が相反しない限り適宜組み合わせることができる。また、本発明は上記内容に限定されるものではなく、種々変更可能である。
【0137】
(i)空のシリンジに薬液を吸引する方式の場合では、薬液注入装置は次のように構成されてもよい:
−シリンジを注入ヘッドにセットして、吸引チューブを薬液ボトル等に接続した状態で、所定のボタンを押すとガスケット(ピストン部材、プランジャ)が前進してエア抜きを行う。ここで、所定のボタンとしては具体的な一例でオートフィルボタンであってもよい。
−次いで、薬液の吸引を行う。
−このステップとしては、まず、薬液を途中まで吸引する(すなわち、目的量の全量を引くのではなく、一部のみを引く)。
−次いで、再度エア抜きの動作を行う。
−その後、目的量となるまで薬液の吸引を継続する。この吸引は、上記最初の吸引速度と同じであってもよいし、それより速い速度(例えば、シリンジ内に気泡を吸引しない程度の速度)であってもよい。その後、シリンジのピストン部材を少量前進させることで準備が完了する。
(ii)注入ヘッドに傾斜センサが内蔵されている場合、制御回路150または制御部250が、次の処理の一部または全部を行う:
−注入ヘッドが略垂直となっている状態(言い換えれば、シリンジが搭載されるヘッド前方が鉛直上方を向いた状態)かどうかを判定する。
−注入ヘッドが略垂直となっている状態の場合、オートフィル動作の実施を許容する。そうでない場合にはオートフィル動作は禁止する。
−注入ヘッドが水平姿勢もしくは前方が相対的に低くなった姿勢かどうかを判定する。
−これらの姿勢であった場合、薬液の注入動作を許容する。そうでない場合には、注入動作は禁止する。
【0138】
なお、本明細書で云う各種の構成要素(デバイス、装置、手段、部、ユニットなど)は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていてもよい。一つの構成要素が複数の部材で形成されていてもよい。ある構成要素が他の構成要素の一部であってもよい。ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していてもよい。
【0139】
(6−1.保護ケース)
図11、
図12のような保護ケースを利用することも可能である。この保護ケース1840は、
図3に示したような保護ケース840に、シリンジの脱落を防止するための係合部材を設けた構造となっている。保護ケース1840は、シリンジが挿入される略円筒状の本体部材1841を有している。その材質については、
図3の保護ケースと同様のものを利用可能であるので、重複する説明は省略する。
【0140】
また、本体部材1841の先端面に開口部1841hが形成されている点、および、本端部材1841の基端部にフランジ部1841fが形成されている点も、
図3の保護ケースと同様である。
図13の断面図に示すように、本体部材1841の内径d
1841は、先端側と基端側の一部を除き、全体的に略一定であってもよい。本体部材1841の基端部には、シリンジのフランジ部811f(
図3参照)を受け入れる凹部1843が形成されている。凹部1843の輪郭形状(軸方向から見た形状)は、一例で円形であり、その内径はシリンジのフランジ部811fよりも若干大きく形成されている。凹部1843の輪郭形状の他の例については再度後述するものとする。
【0141】
フランジ部1841fの一部には、係合部材1851が設けられている(
図11〜
図13)。係合部材1851は、軸1855を中心に回動可能に保持されている。軸1855は、挿入されたシリンジの軸線に対して直交する方向または実質的に直行する方向に沿って配置されたものであってもよい。
【0142】
係合部材1851は、
図14に示すように、シリンジ800のフランジ部811fに係止する突出部1851aを有している(詳細下記)。突出部1851aは、例えば爪部と称することもできる。
【0143】
係合部材1851の上面側には操作部1851bが形成されており(
図14も参照)この操作部1851bを押すことで、係合部材1851全体が軸1855周りに回動する。なお、操作部1851bは必ずしも操作者によって押されるものに限定されるものでなく、所定の装置によって押されるものであってもよい。
【0144】
図14のように係合部材1851の突出部1851aがシリンジのフランジ部1851aをロックする状態を係合部材の「閉位置」といい、係合部材1851が軸1855周りに回動して突出部1851aが持ち上がった状態を「開位置」という。限定されるものではないが、係合部材1851に対して、該部材が閉位置となるような向きの付勢力を与える付勢部材(不図示)が設けられていてもよい。付勢部材としては、バネ(例えば板バネまたはコイルバネ)を利用することができる。
【0145】
突出部1851aの先端側の具体な形状は種々変更可能である。例えば、
図14のように、突出部1851aの頂部を基準として、軸方向後方のテーパ面1851s−1と、前方のテーパ面1851s−2とを有するものであってもよい。「テーパ面」は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
図14の例では、テーパ面1851s−2は曲面となっているが、この面は平面であっても構わない。
【0146】
図14の例のように、係合部材1851にテーパ面1851s−1が形成されている場合、シリンジを保護ケース内に挿入していく際に、シリンジのフランジ部811fが同テーパ面に当接し、挿入とともに、係合部材1851を押し上げて開方向に向かって回動される。そして、フランジ部811fが突出部1851aを超えると、係合部材1851が不勢力により閉位置へと戻り、フランジ部811fの縁が突出部1851a前方の凹部に嵌まり、フランジ部811fがロックされた状態となる。
【0147】
なお、「ロックされた状態」とは、シリンジが外れないようになっていればよく、係合部材1851の一部(テーパ面1851s−2)がフランジ部811fに当接する形態と、当接しない形態とのいずれであってもよい。当接する形態の場合、シリンジのフランジ部811fが保護ケースの凹部1843の内面と係合部材1851との間に挟まれ、シリンジの軸方向の位置決めが行なわれる。
【0148】
シリンジは、例えば次のような方法で保護ケースから取り外す:
(i)係合部材1851の操作部1851bを押し、係合部材を開いてシリンジを外す。
【0149】
また、次のような方法で外れるような構成となっていることも好ましい:
(ii)係合部材1851の操作部1851bを押すことなく、例えば
図15のような向きで、シリンジ800に下向きの力を付与することで、係合部材1851が開いてシリンジが外れる。
【0150】
この場合、より具体的には、保護カバー1840およびシリンジ800を単にこの向きで保持しただけではシリンジは外れない(つまり、シリンジおよびその内容物の自重のみではシリンジ外れない)が、保護カバー1840およびシリンジ800を下向きに振るなどしてシリンジに所定以上の外力が加わった際にシリンジが外れるような構成としてもよい。テーパ面1851s−2の傾斜角度や、フランジ部と突出部とのオーバラップ量を適宜設定することで上記構成を実現することができる。
【0151】
係合部材およびその周辺構造は、上記形態の他にも種々変更可能である。例えば
図16Aに示すように、軸1855よりも後方側に係合部材1856の操作部1856bが設けられたものであってもよい。この場合、この操作部1856bを図示下方に押すことで係合部材1856が軸1855を中心に時計回りに回動し、突出部1856aの頂部がシリンジのフランジ部811fの縁よりも外側まで移動する。これにより、フランジ部のロックが解除され、シリンジを外せる状態となる。なお、
図16Aの構成に関し、
図14と同一機能の構造部には同一または対応する符号を付し、重複する説明は省略する。
【0152】
以上、係合部材の2つの例について説明したが、係合部材そのものの具体的形状や、回動方式等は、係合部材のシリンジの脱落防止という機能が奏される限り、適宜変更してもよい:
(i)テーパ面1851s−2は、シリンジのフランジ部811fの後端面に平行な平面であってもよい。
(ii)係合部材を保護ケースのフランジ部に2つ以上設けてもよい。
【0153】
(iii)保護ケースの凹部1843の輪郭形状について、円形以外の形状とすることも、一形態において好ましい。具体的には、シリンジのフランジ形状に対応して所謂Iカット形状やDカット形状としてもよい。Iカット形状は、例えば、円形の両側を直線で切除したような形状のことをいい、Dカット形状とは、円形の一部を直線で切除したような形状のことをいう。シリンジのフランジ形状が多角形であれば凹部も多角形の輪郭形状とすればよい。
【0154】
このように凹部の輪郭形状がシリンジのフランジ形状に対応した形状(相補的な形状)に形成されている場合、シリンジを保護ケース内にセットした際に回転が防止されることとなる。このように回転が防止されているということは、例えば、シリンジ先端部のルアーロック部(一例)に薬液チューブを接続する際にその作業を行い易くなり、検査効率の向上や接続ミスの低減を期待できる。
【0155】
(iv)シリンジのフランジ形状がIカット形状またはDカット形状である場合(より広義には、外周の一部にストレートな部分があるようなものでもよい)の工夫として、次のような構成も採用しうる。Iカットの場合を例として説明する。例えば、シリンジのフランジ部811fのカット部(
図16B参照)と保護ケースの係合部材1851との位置が揃っていない場合には、フランジ部811fを保護ケースの凹部1843内に入れることができないような構成である。具体的構造としては幾つが考えられるが、例えば、(a)フランジ部811の半径d
811−1、(b)中心軸からカット部までの距離d
811−2、(c)中心軸から、係合部材1851の手前側の平坦面(
図12も参照)の最下端までの距離d
1851が、半径d
811−1>半径d
1581>距離d
811−2となる関係であることが一形態で好ましい。
【0156】
これによれば、カット部が係合部材の位置と揃っていない場合には、シリンジを挿入しようとしてもフランジ部の一部が係合部材1851の手前側の平坦面(
図12における係合部材の手前側の面)に当接して挿入することはできない。このように明らかに挿入不可であることを医療従事者が分かり易い構成となっていることは、シリンジの誤装着の発生を効果的に防止できる点で好ましい。
【0157】
(v)保護ケースの他の一例
図26A〜
図26Fに示すような保護ケースを利用してもよい。この保護ケースは、係合部材の上部の外観が異なる点を除き、基本的に
図11、
図12等の保護ケース1840と同様の構成である。係合部材は、操作者の指で押しやすいように、押される部分が凹部となっている。また、凹部内に、滑り止めのための複数の小突起が形成されている。
図26Aは保護ケースを前面側から見た斜視図である。係合部材の機能は、上述した
図11、
図12等の保護ケース1840のものと同一である。
【0158】
図26B(a)、(b)は、保護ケースの右側面図および平面図である。
図26C(a)は保護ケースの底面図であり、(b)、(c)は係合部材のみを示す図である。
図26D(a)、(b)は、背面図および正面図である。
図26Eは係合部材を中心線に沿って切断した断面図である。
図26Fは保護ケースの一部を後面側から見た斜視図である。本出願は、保護ケースの全体の意匠を開示するとともに、係合部材の部分を「意匠登録を受けようとする部分」とする部分意匠をも開示する。「意匠登録を受けようとする部分」を、係合部材とフランジ部との両方を含む領域と捉えてもよい。
【0159】
(6−2.ユーザインターフェース)
薬液注入装置は、次のような画面の1つまたは複数のデータを有し、それを表示するものであってもよい:起動・セルフチェック画面、アンギオモード画面、ホーム画面、注入結果画面、プロトコル設定画面、およびエラー画面、等。
【0160】
アンギオモードとしては、例えば、部位選択画面、手技選択画面、条件設定画面、スタンバイ画面、注入中画面、注入終了画面、および注入終了画面、等を含むものであってもよい。ホーム画面からは、注入結果画面、プロトコル設定画面、環境設定画面、ユーザ編集画面、部位選択画面、および条件設定画面のうち少なくとも1つへ移行できるようになっていてもよい。
【0161】
薬液注入装置は、また、次のようなユーザインターフェース画像を表示するものであってもよい。
図17の画像は、プロトコル設定のための画像の1つであり、ディスプレイに表示されるグラフィカルユーザーインターフェースである。
図17は、一例として、患者の体の部位として頭部が選択され、かつ、それに応じて複数の詳細項目のアイコンが表示された状態を示している。「CCA」は総頸動脈であり、「ICA」は内頸動脈であり、「ECA」は外頸動脈であり、「VA」は椎骨動脈である。
【0162】
詳細項目のアイコンが1つの画面内に表示しきれないような場合には、カーソルアイコン705が表示されるようになっていてもよい。薬液注入装置は、このカーソルアイコン705が選択されたことを受け付け、その後、
図18に示すように残りの詳細項目のアイコンを表示する画面に移行するように構成されていてもよい。カーソルアイコン705の選択は、例えば、タッチパネルを介した操作者の入力であってもよいし、画面上のカーソルでアイコンを選択するものであってもよい。
【0163】
プロトコル設定のための画面としては、
図19のような画面を表示してもよい。薬液注入装置は、このような画面データを所定の記憶領域に記憶し、条件設定のためのグラフィカルユーザーインターフェースとしてディスプレイに表示する。この画面では、シリンジが縦向きとなっている。また、速度、量、時間の条件を入力するおよび/または変更することができるように、それぞれが別々のアイコン内(ボックス内)に表示されている。アンギオ検査ではCT検査と比較して注入速度はそれほど速くはないので、速度に関しては、1sec当たりではなく、1min当たりの注入量(ml/min)を単位としてもよい。
【0164】
上記の画面を通じて注入プロトコルを設定したら、続いて、薬液の注入が行なわれることとなる。注入開始のためには、薬液注入装置(注入ヘッドまたはコンソール)に設けられた物理的ボタンを押下するものであってもよいが、画像ボタンを押すことで注入が開始されるような構成としてもよい。
【0165】
具体的な一例としては、
図20のような画面であってもよい。
図20はスタンバイ画面の一例である。この画面では、注入モードの名称(インフュージョン)、シリンジ画像、薬液残量、速度表示、量表示、時間表示が含まれている。また、スタートキー707−1、戻るキーが表示されている。
【0166】
薬液注入装置は、スタートキー707−1が選択されたことを受け付け、それに応じて注入を開始する。また、設定画面から注入中画面に移行する。選択は、上記同様、例えば、タッチパネルを介した操作者の入力であってもよいし、画面上のカーソルでアイコンを選択するものであってもよい。なお、戻るキーアイコンは、スタンバイ状態を解除して条件設定画面に戻るためのものである。
【0167】
注入中画面は一例で
図21のような画面であってもよい。この画面では、注入モードの名称(インフュージョン)、シリンジ画像、薬液残量、速度表示、量表示、時間表示が含まれている。また、ストップキー707−2が表示されている。
【0168】
時間表示は、注入開始からの経過時間を表示してもよいが、カウントダウン表示(分または秒)としてもよい。
【0169】
注入中であることが分かりやすいように、シリンジの先端から薬剤の液滴が送り出されているようなアニメーション表示を採用してもよい。あるいは、シリンジ内の薬液部分を濃淡のある縞模様(一例)に表示して、それが動いているようなアニメーション表示を採用してもよい。
【0170】
薬液注入装置は、ストップキー707−2が選択されたことを受け付け、それに応じて注入を停止する。また、注入中画面から注入停止画面に移行する。選択は、上記同様、例えば、タッチパネルを介した操作者の入力であってもよいし、画面上のカーソルでアイコンを選択するものであってもよい。
【0171】
上述のとおり、薬液注入の開始および停止の少なくとも一方は、グラフィカルユーザーインターフェースを通じた操作者の入力をトリガとして行なわれるものであってもよい。スタートキー707−1は、例えば、コンソールに設けられた物理的ボタンを連想させる表示となっていることが、一形態において、好ましい。例えば、ボタンの形状、色、模様の少なくとも1つが共通であることが好ましい。ストップキー707−2についても同様のことがいえる。
【0172】
続いて、不適切な条件設定を防止するため
図22のような画面が表示されるようになっていてもよい。
図22は、速度および量の条件を、入力および/または変更できる画面である。限定されるものではないが「立上り」時間を入力および/または変更するための画像や、「圧力リミット」の値を入力および/または変更するための画像を含んでいてもよい。
【0173】
薬液注入装置は、入力された速度および量の値(デフォルト設定の値でもよい)に基いて、注入時間を計算する。この例では、量が8mlで速度が8.1ml/secであり、注入時間が1secを下回る。この数値自体はあくまで参考値であるが、計算された注入時間が所定の基準値(この例ではたとえば「1sec」)より小さい場合、操作者に注意を促すために警告表示709が表示されるようになっていてもよい。
【0174】
装置の動作として説明すると、薬液注入装置がまず、計算された注入時間が所定の基準値を下回っているか否かの判定を行い、下回っている場合には、薬液注入装置は警告表示709をディスプレイ上に表示する。
【0175】
このような構成によれば、所定の基準値を下回った場合には警告表示が出るので、そのような基準値未満の値が設定されるのを防止することができる点で有利である。
【0176】
(6−3.ブレーキ動作)
薬液注入装置は、注入終了後、以下のようなブレーキ動作を行うように構成されていてもよい。このブレーキ動作は、次のような問題点に対応するためのものである。
【0177】
すなわち、薬液注入装置において、注入終了後、単にモータへの電力供給を停止するのみで特段の制動動作を行わない構成(例えば給電端子の開放)では、シリンジ内の残圧によりシリンジピストンが押し戻されてしまう場合も想定される。一方、完全にブレーキをかけ、注入終了位置で停止させる構成では、シリンジ内の残圧によって薬液が押し出され、それが許容できない量となるおそれもある。
【0178】
そこで、発明の一形態では、注入終了後、緩やかな制動作用が得られるように、モータの制御を行うようにしてもよい。具体的には、モータの回転を許容する方式である、発電制動などの電気的制動が意図的に行なわれるように構成されていてもよい。
【0179】
このような制御によれば、注入終了後に、シリンジピストンが緩やかに押し戻されることとなるので、薬液の残圧が開放されてシリンジ先端から薬液が滴下するのを防止ないし低減できる。また、シリンジピストンが勢いよく後退することも防止することができる。
〔7.さらに他の形態〕
(7−1.サポートシャフト)
図27は、注入ヘッドを保持する保持構造の一例を示す斜視図である。この保持構造は、この例では、アーム部材P102と、それに接続された連結部材P105と、連結部材105に支持されたサポートシャフトP115とを備えている。
【0180】
図27の注入ヘッドの保持構造は、注入ヘッドを回動自在に保持するものであって、特には、回動を繰り返すことによって注入ヘッドの固定が徐々に緩むことを防止する構造を備えたものである。
【0181】
アーム部材P102は、限定されるものではないが、
図2Cに示す可動スタンドの支柱102aに対して取り付けられる。なお、取付対象は、
図2Cの支柱102a以外にも、例えば、撮像装置のベッド等に設けられるタイプの支柱であってもよい。アーム部材P102は、支柱に対して回転可能(一例で鉛直軸周りに回転可能)に取り付けらえるものであってもよい。
【0182】
アーム部材P102は、対象物に取り付けられる第1の連結部P102aと、そこから延び出したアーム部P102bと、アーム部102bの先端側に設けられた第2の連結部P102cを有する部材である。アーム部P102bは、一例で、第1の連結部P102aから斜め上方に向かって延び出している。
【0183】
連結部材P105は、アーム部材P102の第2の連結部P102cに連結される第1の連結部P105aと、サポートシャフトを支持する部分である第2の連結部P105bとを有する部材である。
【0184】
サポートシャフトP115は、一部が連結部材P105に支持されるとともに、他方の端部が注入ヘッドのフレーム(不図示、一例で金属製フレーム)に取り付けられるものである。なお、ここで「端部」とは、必ずしも部材の末端のみを意味するものではなく、端に近い一定領域をも含む概念である。
【0185】
サポートシャフトP115は
図28〜
図31に示すような形状をしている。すなわち、サポートシャフトP115は、丸軸P115aを有し、その丸軸P115aに、フランジ部115bおよび取付部P115cが形成されている。なお、
図28では、丸軸P115aに、カラーP121、板バネP123、ナットP125を取り付けた状態を示している。
【0186】
サポートシャフトP115のうち取付部P115cの反対側(
図28でフランジ部P115bよりも図示右側)には、凹部P115qが形成されている。凹部P115qは、丸棒の外周面に沿って形成されており、丸棒の全周ではなく、所定の範囲(例えば、
図29(c)に示すように周方向に200°の範囲)にわたって形成されている。凹部P115qは、断面が四角形の溝であってもよいが、本実施形態では、略半円状の溝となっている。凹部P115qの役割については後述するものとする。
【0187】
図29(a)、(d)に示すように、A−A切断線の部分では、丸軸P115aは、上下面が平面P115a−1、P115a−2でカットされた断面形状となっている。丸軸P115aの端部はネジ部として形成され、ここには後述するようにボルトが締結される。
【0188】
フランジ部P115bは、一例で、輪郭が円形の平板状部である。取付部P115cは、重量物である注入ヘッドを安定して保持できるように比較的厚みのある部分となっている。フランジ部P115bには、ボルト等の固定具が通される貫通孔h1が複数形成されている。
【0189】
サポートシャフトP115の組付け状態について、
図30の断面図を参照しながらより詳細に説明する。
【0190】
取付部P115とは反対側の端部が、連結部材の連結部P105b内に挿入される。連結部P105bは、有底の筒体を横向きにしたような構造部であり、筒状部105b−1と、その端部に形成された側壁P105b−2とを有している。筒状部105b−1の内部は、一例で、円柱状の空間となっている。側壁P105b−2には、貫通孔が形成されており、ここにシャフトの丸軸P115aが通される。
【0191】
側壁P105b−2の両面には、摺動性を高めるために、摺動部材P129−1、P129−2が配置される。摺動部材P129−1、P129−2は、例えば、樹脂製の円盤型のカラーであってもよい。材質は特には限定されないが、一例で樹脂(例えば、POM等)を利用できる。
【0192】
サポートシャフトP115は、そのフランジ部115bが摺動部材P129−2に当接(または実質的に当接)する位置まで連結部P105bに挿入される。この状態では、丸軸P115aが側壁P105b−2の貫通孔に通され、筒状部内部に突出した状態となっている。限定されるものではないが、丸軸P115aは、スリーブを介在させつつ貫通孔に挿入されてもよい。
【0193】
サポートシャフトP115の挿入状態では、サポートシャフトの凹部P115qが側壁P105b−2の貫通孔内に位置している。凹部P115qの役割は次のとおりである。すなわち、
図30に示すように、側壁P105b−2のところに形成された穴部に固定ネジPs1を取り付ける。固定ネジPs1は、丸軸P115aの径方向に沿うように延在し、固定ネジPs1を完全に締め付けると、その先端が凹部P115q内に入った状態となる(図では凹部が図示上方に描かれているが上記説明を優先する)。このような構成により、丸軸P115aの回動角度(換言すればサポートシャフトの軸周りの回動角度)が規制され、注入ヘッドの回動角度も所定の角度範囲内に規制することが可能となる。
【0194】
(シャフト先端側の締付け構造)
シャフト先端では、丸軸P115aに、カラーP121、皿バネP123、ナットP125が順に設けられる。
【0195】
カラーP121はワッシャであるが、
図30(b)に示すような中央の孔が円形ではなく、Dカット形状に形成されている。「Dカット形状」とは、典型的には、円形の一箇所または二箇所を切除したような形状のことをいう。切除する線は、直線であることが通常好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。本実施形態では、平行な2本の直線で円形の両端部を切除したようなカット形状となっている。
【0196】
カラーP121が装着される部分は、
図29(d)、
図30(b)に示すように、カラーの孔形状に対応した形状となっている。カラーP121は、シャフトに装着された状態では、シャフトと常に一緒に回転し、相対的な回転ができないようになっている。
【0197】
ナットP125を所定の固定位置まで締め付けると、皿バネP123(1つでも複数でもよい)が厚み方向に変形させられ、それによる付勢力で、カラーP121が摺動部材P129−1に対して押し付けられた状態となる。また、サポートシャフトのフランジ部P115bも、外側の摺動部材P129−2に密着した状態となる。換言すれば、カラーP121とフランジ部P115bで側壁および摺動部材を弾性的に挟みこむような構成となっている。
【0198】
なお、
図30(a)に模式的に示すように、サポートシャフトP115の取付け部P115cは、注入ヘッドのフレーム(符号(110)参照)に連結される。限定されるものではないが、ボルト等の固定具を用いて固定されるものであってもよい。
【0199】
上述したような本実施形態の構成によれば、注入ヘッド110のような比較的重量のある機器であっても、サポートシャフトP115等を介して安定的に、回動自在に保持することができる。また、上述したような、孔が非円形のカラーP121を用いた構造による利点な以下のような点にある。
図31の構成と比較しながら説明する。
【0200】
図31は、一般的なワッシャであるカラーP121′を用いた構造の断面図である。カラーP121′の中央の孔は円形に形成されている。この構造では、カラーP121′が装着される部分は、
図31(b)に示すように丸棒P115a′の断面も円形に形成されている。
【0201】
図31の構造の場合、カラーP121′が丸軸P115a′に対して相対的に回転可能となっているため、製品の組立当初ではナットP125がしっかりと締結されていても、注入ヘッドの回動を繰り返すうちに、ナットP125が徐々に緩む可能性がある。この理由は、カラーP121′から、皿バネP123を介してナットP125に軸方向(図示右方向)の力が加わり、ナットP125が押さえられたような状態となっている一方で、サポートシャフトP115は注入ヘッドの回動に連動して回転するため、結果として、ナットP125に対してそれを緩める方向の力がかかるためである。
【0202】
これに対して本実施形態によれば、
図31の構造とは異なり、カラーP121の丸軸P115aに対する回転が物理的に規制され、相対的な回転はできないようになっている(換言すれば、カラーP121と丸軸P115aが必ず連動するようになっている)ので、ナットに対してそれを緩める方向の力がかかることがなく、したがって、ナットの緩みが生じることもない。その結果、長期にわたって、注入ヘッドを安定的に回動自在に保持することが可能となり、より高信頼な医療機器が提供されることとなる。
【0203】
なお、本実施形態の保持構造の課題解決手段は、カラーの丸軸に対する相対回転を禁止し、ナットに対してそれを緩める方向の力がかからないようにする点にある。したがって、Dカット状の孔が形成されたカラーを利用する態様のほかにも、そのような作用を奏するものであれば、カラーの孔形状および軸の断面形状の適宜変更可能である。四角形、多角形等であってもよいし、あるいは、軸(円形)にキー溝を設け、キーを介在させてカラー(円形の孔)の回転を禁止するようにしてもよい。
【0204】
図30に示した具体的な部品は、その全てが必ずしも本発明の一形態の保持構造に必須というものではない。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することができる。
【0205】
上記において、下記発明が開示される:
1.対象物(医療機器、例えば注入ヘッド)に連結され、その対象物と一緒に回動するシャフトP115(または、その対象物側に取り付けられた延出したシャフトでもよい)と、
そのシャフトの一端側を保持する保持部材P105bと、
前記シャフトの一端にネジ式で嵌められる固定部材(ナット)と、
を備え、前記シャフトが前記保持部材に対して回動するように構成された保持構造であって、
前記ナットと前記保持部材(具体的にはそのうちのシャフトが通される部位、上記例では側壁P105b−2)との間に、カラー(ワッシャ)、および、付勢部材(シャフト軸方向の付勢力を発生するもの、上記例では板バネP123)が配置され、
前記カラーは、前記シャフトに対して相対的に回転しないように構成されている、
保持構造。板バネの数は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0206】
2.さらに、側壁とカラーの間に、摺動を促すための部材(例えば樹脂製の円盤状部材)が配置されている。
【0207】
3.さらに、シャフトの回転角度を規制する手段(P115q、Ps1)が設けられている。
【0208】
(7−2.具体的な発光態様)
(ヘッド後端側の発光部の表示)
発光部173(
図23)の発光の具体的に態様について、幾つか例を挙げて説明する。
図32は、複数の光源が配置されたフレキシブル基板174を展開した状態の図である。フレキシブル基板174には、一例として、a列〜g列までの複数列の発光部173が設けられ、特に、c〜e列に関してはマトリクス状の配置となっている。マトリクスは、2行2列以上で、この例では4行3列となっている。当然ながら、3行3列の配置としてもよい。
【0209】
ピストン駆動機構のラム部材を前進させる場合は、
図32に示すように、縦一列の光源が、右から左へと(または逆方向に)順に光っていくような発光パターンとしてもよい。「ラム部材を前進させる場合」としては、設定した注入条件にしたがった自動の薬液注入を行うとき、注入ヘッドのジョグボタン(前進ボタン)を押して前進させるとき、操作ノブの手動操作で前進させるとき等が挙げられる。
【0210】
なお、
図32ではe列の発光部が点灯した状態のところまでしか図示していないが、その後、f列、g列が順に点灯して、
図32(a)の状態に戻る。
【0211】
自動の薬液注入を行うときと、ジョグボタンを押して前進させるときとで、異なる発光パターンを採用するようにしてもよい。例えば、自動注入の時には、全ての(または幾つかの)発光部173を同時に点滅させるようにしてもよい。
【0212】
ラム部材を後退させる場合には、上記とは反対方向となるように、順に発光部173を光らせていく発光パターンとすればよい。この発光パターンは、例えば、注入ヘッドのジョグボタンを押して後退させるとき等に用いられてもよい。
【0213】
図示は省略するが、別の発光パターンとしては、横一列の発光部173を同時に点灯させ(すなわち「行」方向の発光)、それが、前方または後方に順に光っていくような発光パターンを用いてもよい。
【0214】
操作ノブ171を手で回してラム部材を前進させる場合(例えば反時計回り)、一例で、発光部173は、横一列の発光部が、後側から前側に向かって順に光っていくような発光パターン)としてもよい。操作ノブ171を逆に回してラム部材を後退させる場合、これとは反対に、横一列の光源が、前側から後側に向かって順に光っていくような発光パターンとしてもよい。
【0215】
横一列ではなく、例えば、
図33のように、単独の発光部173をのみを前方または後方に順に光っていくような発光パターンを用いてもよい(
図33は、後方に向かって進んでいくパターンの例。
図33(d)の状態から
図33(a)の状態に戻る)。
【0216】
限定されるものではないが、注入ヘッドがオートリターン機能(所定のボタンを押すとラム部材が自動的に所定の退避位置まで戻る機能)を備えている場合、このような発光パターンをオートリターン動作に利用してもよい。
【0217】
なお、各発光部173が、複数色の色で発光できる素子の場合、ラム部材を移動させるための入力操作の違いによって、発光させる色を異ならせてもよい。例えば、ジョグボタンの押下の場合を第1の色で発光させ、操作ノブを回した場合を第2の色で発光させてもよい。または、操作者による入力で移動させる場合と、自動注入の場合とで、色を異ならせてもよい。
【0218】
(ヘッド前端側のディスプレイの表示)
薬液注入を行っている最中の、注入ヘッドのディスプレイ146(
図1A参照)の表示は、シリンジ内の薬液の残量の表示となっていてもよい。具体的な一例として、
図34のように、「150mL」のような残量表示としてもよい。ラム部材の前進に合わせて、残量も徐々に減っていくような表示であることが、一形態において、好ましい。限定されるものではないが、
図34では、残量表示の近傍に丸ドット状の複数のインジケータ731が表示されるようになっている。例えばこのインジケータ731を後方から前方に順に表示させていくことで、ラム部材が前進していることを良好に視認できる構成としてもよい。
【0219】
操作ノブ171でラム部材を動かす場合、一例で、
図35に示すように、ラム部材の進行方向を示す矢印表示と、注入速度の表示との少なくとも一方が表れるようになっていてもよい。
【0220】
操作ノブ171を手動操作する場合、回転方向で前進または後退が決まり、回転速度で注入速度が決まることとなる。したがって、現在、ラム部材が前進しているのか後退しているのか、および/または、どれくらいの注入速度で注入が行われているかを視認できる点で、このような表示がされることは好ましい。
【0221】
オートリターン機能でラム部材を戻す場合には、例えば
図36に示すように、シリンジのピストン部材が引かれていることが分かるような表示をするようにしてもよい。
【0222】
(7−3.注入動作の詳細)
図37は、注入ヘッドの動作の状態遷移図の一例である。電源投入後、初期化動作の1つとしてセルフチェックを実施する。セルフチェックは、メインユニットおよび/またはシステム全体で行うようにしてもよい。制御回路を有する機器で、必要に応じて、セルフチェックは実施される。
【0223】
注入ヘッドからコンソール(および/またはその他のユニット)に対して、次のような情報の少なくとも1つを、所定のタイミングで、送信するように構成されていてもよい:
−ソフトウェアに関する情報
−ヘッドに装着されているシリンジサイズの情報
−シリンジ内の薬液残量の情報
−セルフチェックの結果、等。
【0224】
シリンジサイズ等の検出は、注入ヘッドのセンサを用いて行われる。例えば、保護ケースの有無、および/または、保護ケースの種別を検出するものであってもよい。シリンジサイズが第1のサイズ(一例で100ml)か、第2のサイズか(一例で150ml)かを判別する構成となっていてもよい。当然ながら、2種類のみではなく、3種類以上を判別する構成としてもよい。シリンジサイズが分かることにより、そのサイズに応じたラム部材の移動速度や、残量計算を、正確に行えることとなる。
【0225】
(クランパ)
本実施形態の薬液注入装置は、シリンジクランパの状態を監視するように構成されていてもよい。シリンジクランパが閉じた際、開いた際、またはその両方のタイミングで、それをコンソール側に通知するように注入ヘッドが構成されていてもよい。
【0226】
(速度、残量)
注入ヘッドは、ジョグ移動や自動注入中に、注入速度を計測するように構成されていてもよい。
1)薬液の残量を常時計測し、変化がある都度、注入ヘッドからコンソールへ通知されるように構成されていてもよい。または、所定の間隔で通知がなされてもよい。
2)シリンジ保護ケースが装着または未装着になったときに、新しい残量がコンソールに通知されるように構成されていてもよい。
3)ラム部材が最前進位置にあるときには、残量をゼロにリセットするように構成されていてもよい。
4)ラム部材が最後退位置に到達して停止するときには、残量をリセットするように構成されていてもよい。
5)モータ電流のセンサ信号を用いて(一例)、薬液の注入圧力を算出するように構成されていてもよい。
【0227】
図38は、自動前進に関する状態遷移図である。丸で囲む数字は下記では半括弧で示す数字に対応する。
1)ジョグ停止の状態で下に挙げる条件を、全てまたは所定の幾つか満たす場合に、自動前進するように構成されていてもよい:
・プレッサーが最後退位置である(後退リミットセンサーがONである)
・シリンジ保護ケースを装着した状態でシリンジクランパが閉じられている
・ヘッドボタンが押されていない
・アンギオハンドスイッチが押されていない
・コンソールのストップボタンが押されていない
・シリンジクランパを閉じた後、所定時間が経過している
・自動前進機能が有効な状態である(一例でコンソール側で設定)
【0228】
2)、3)圧力がリミット値に達した場合や、ヘッド上の加速ボタンが押された場合には、それに対応して、速度制限や加速を行う。
【0229】
4)自動前進中に以下に挙げるいずれかの条件を満たすと停止するように構成されていてもよい:
・加速以外のヘッドボタンを押す
・加速ボタンを2回以上押す
・アンギオハンドスイッチを押す
・コンソールのストップボタンを押す
・プレッサーが最前進位置に達する(前進リミットセンサーON)
・シリンジ保護ケースを装着または外す
・シリンジクランパを開くまたは閉じる
【0230】
図39は、操作ノブによる前進/後退に関する状態遷移図である。丸で囲む数字は下記では半括弧で示す数字に対応する。
1)ジョグ停止の状態で操作ノブの回転させたとき、下に挙げる条件を全てまたは所定の幾つか満たしていればラム部材が移動するように構成されていてもよい:
・ラム部材が最前進位置でない(前進方向へ移動時)
・ラム部材が最後退位置でない(後退方向へ移動時)
・シリンジ保護ケースを装着しかつシリンジクランパを閉じている(前進時)
・ヘッドボタンや各スィッチを押していない
・回転操作が遅すぎない
【0231】
2)、3)
・操作ノブの回転の速度に応じてプレッサーの速度が0.1〜2.0(mL/sec)の間で可変する(一例)。
・圧力がリミット値に到達または超えると速度を制御して圧力の上昇を抑える。
【0232】
4)操作ノブの回転操作中に以下に挙げるいずれかの条件を満たすとラム部材が停止するように構成されていてもよい:
・マニュアルノブの操作を止める
・ヘッドボタンを押す
・アンギオハンドスィッチを押す
・コンソールのストップボタンを押す
・ラム部材が最前進位置に達する(前進方向へ移動時)
・ラム部材が最後退位置に達する(後退方向へ移動時)
・シリンジ保護ケースを装着または外す
・シリンジクランパを開くまたは閉じる
・開始位置からの連続した移動量が所定量以上(例えば10(mL))となる。
【0233】
(スタンバイ)
「スタンバイ」は、この例では、基本的には、注入スタートの条件のひとつである。以下に挙げる条件を全てまたは所定の幾つか満たしているとき、かつ、操作者によるスタンバイの操作が行われると、スタンバイ状態となるように構成されていてもよい:
・シリンジ保護ケースを装着
・シリンジクランパを閉じている
・ジョグ停止の状態
・ヘッドのボタンを押していない
・コンソール側で注入プロトコルを設定している、また残量が足りている
・アンギオハンドスイッチを押していない。
【0234】
(薬液注入)
薬液注入のためには、注入ヘッドのシリンジ装着部が下を向く状態となっていることが必要である。スタンバイ状態で、例えば、所定のボタン(一例でハンドスイッチ)が押されると注入を実行する。
【0235】
注入フェーズにおいては、予め設定した所定の速度で薬液を注入する。下記のうち全てまたは所定の幾つかの制御が行われる:
−立上り時間が設定されている場合、設定した時間をかけて注入速度を最低速度から設定した速度まで増加させる(ブレーキは解除)。
−コンソール側へヘッドの注入速度および/または圧力を定期的に通知する。
【0236】
設定した量を注入すると注入終了となる。終了後、下記のうち全てまたは所定の幾つかの制御が行われる:
1)注入プロトコルの実行を完了すると注入は終了となる。コンソール側へ注入結果とともに通知する。
−注入終了後ブレーキを解除するが、コンソール側の設定で有効となっているときは所定時間ブレーキをかける。
2)下に挙げる全てまたはいずれかの条件を満たすと注入終了の状態からジョグ停止の状態へ遷移する。
・アンギオハンドスィッチを離す(ハンドスイッチでのスタート時)、
・コンソールからの所定の操作
−タイマーによる時間経過。
【0237】
(7−4.注入終了後の動作制御)
ところで、本実施形態のようなアンギオ検査ようの注入装置の場合、カテーテルを通じて薬液を注入することから薬液の注入圧力が高圧となる。そして、薬液を注入した後、仮にピストン駆動機構のラム部材をその位置のままとしていた場合、カテーテルを患者から抜いた後(あるいは、薬液回路の所定のコネクタを外すと)、残圧により、薬液がカテーテル等から滴下してしまう可能性がある。
【0238】
残圧の開放を目的として、従来、薬液注入が終了した後、ラム部材を僅かに後退させるような制御を行うこと等が公知である。
【0239】
他方、注入終了後に、機械的なブレーキをかけず、かつ、
図40に示すようにモータの端子を開放状態とする構成では、モータが比較的軽い力で回転可能となっていることから、場合によっては、ラム部材が残圧によって後退してしまうおそれもある。
【0240】
そこで、本発明の一形態では、制動手段として、発電ブレーキ(電気ブレーキ)を利用する構成としている。すなわち、本発明の一形態のモータ駆動回路は、例えば、
図41(a)に模式的に示すように、スイッチC1を切替えてモータを短絡状態とすることができるように構成されていてもよい。スイッチC1は、特に限定されないが、リレーで構成してもよい。
【0241】
また、
図41(b)、(c)に示すように、スイッチC1を切替えて、モータがダイオードC11に接続される状態となるように構成されていてもよい。
図41(b)は順方向の接続を示し、
図41(c)は逆方向の接続を示す。また、所定の制動力を得るために
図41(d)のように抵抗R1が設けられた回路を用いてもよい。
【0242】
モータ駆動回路は、
図41(a)〜(d)のような回路の1つのみを有するものであってもよいし、あるいは、それらのうちの複数または全てが設けられていてもよい。例えば、モータ駆動回路は、「短絡」、「順接続」、「逆接続」等のうちいずれか(またはそれらのうちの2つのいずれか)の接続状態に自動的に切り替えるように構成されたものとしてもよい。さらには、
図40に示した開放状態をも選択できるように構成されていてもよい。
【0243】
電気ブレーキによる制動効果は、「短絡」>「順接続」>「逆接続」の順となる。使用する薬液(たとえば造影剤)の種類や、カテーテルの太さ、薬液チューブの太さ、シリンジのサイズ等に応じて、適宜選択できるようになっていることが、一形態において、好ましい。また、使用する医療従事者の要望にしたがって、いずれとするかを適宜選択できるようになっていることも好ましい。具体的には、薬液注入装置が、所定のグラフィカルユーザーインターフェースを備えており、その設定画面を通じて、どのタイプの発電ブレーキとするか選択できるようになっていてもよい。
【0244】
上述のように設定された薬液注入装置では、
図42に示すように、注入動作後、ステップS1で注入が終了したか否かを判定し、注入終了となったら、ステップS2に進んで、発電ブレーキの回路状態に変更する。なお、
図42のフローはごく簡単に示しているが、ステップS1の後に、所定時間が経過したか否かを判定するステップを入れるようにしてもよい。
【0245】
なお、いずれの回路状態を利用するかに関して、予め所定の1つが設定されており、所定のタイミングで薬液注入装置が自動的にその回路状態に切り替える構成のほか、次のような構成としてもよい。すなわち、薬液注入における直前の注入圧力(設定値、実測値、またはその両方のいずれでもよい)の情報に基づき、利用する回路状態を適宜選択するというものである。具体的には、注入圧力が高い場合には、制動効果の高いものを選択し、注入圧力が低い場合には、制動効果の低いものを選択する構成となっていてもよい。当然ながら、注入圧力の高低の程度が3つ以上に分けられており、それぞれの程度に応じて、予めそれに対応付けられた回路状態が自動選択されるようになっていてもよい。
【0246】
上記のような電気ブレーキを用いる構成によれば、薬液注入後、シリンジの薬液の残圧が高くなっている状態でも、モータにはブレーキ作用が生じているので、残圧によりラム部材が勢いよく後退する(その結果、一例で、シリンジのピストン部材もそれに合わせて引かれてしまう)ことを防止することができる。積極的にラム部材を引くような制御を実施してもよいが、このような構成によれば、回路状態を変更するだけの比較的簡単な制御でブレーキ作用を得ることができるので、制御が複雑化しないという利点もある。
【0247】
なお、上記した
図41では回路状態をごく簡略的に描いたが、当然ながら、上記のような技術的思想を実現しうるものであれば具体的な構成は適宜変更可能である。ダイオードは並列に配置した複数個を用いるようにしてもよいし、リレーに関しても、当然ながら複数個を利用するものであってもよい。
【0248】
上記において、下記発明が開示される:
1.シリンジのピストン(プランジャ)を進退移動させるラム部材と、駆動源であるモータとを有するピストン駆動機構と、
モータ駆動回路と、
を備えるシステムであって、
前記モータ駆動回路は、少なくとも2種類以上の電気ブレーキ回路状態を構成できるように設けられている、
システム。
【0249】
2.電気ブレーキ回路状態が切替え可能に構成されている。
【0250】
3.使用する電気ブレーキ回路状態を選択するためのグラフィカルユーザーインターフェースを有する。
【0251】
4.2種の電気ブレーキ回路状態、3種の電気ブレーキ回路状態、または4種以上の電気ブレーキ回路状態を選択でできるように構成されている。
【0252】
5.薬液注入後、自動的に、所定の電気ブレーキ回路にスイッチングされる。
【0253】
6.回路状態を切り替えるためのリレーを備える。
【0254】
(7−5.保護カバーの外れ防止構造)
上述した実施形態では、シリンジに保護カバーを付けた状態のものが、注入ヘッドのクランパ保持される構造となっていた(
図1A、
図1B、
図3等)。
【0255】
シリンジ内に薬液を吸引してから使用するタイプの場合、先ず、シリンジ内への薬液の吸引が必要となる。そして、この吸引動作は、一般的には、シリンジの先端部が上方を向くような姿勢で行われる。
【0256】
もし、このようにシリンジを上向きにした際に、クランパ部材145−1がしっかりと閉じられていない状態では、保護カバー付きのシリンジがクランパから外れて、場合によっては、落下するおそれもある。
【0257】
そこで、本発明の一形態では、以下のような外れ防止構造が設けられていてもよい。すなわち、
図43に示すように、保護カバー840の一部に第1のマグネット847が設けられていてもよい。マグネット847は、磁性体(一例で鉄)であるクランパ部材145−2に直接吸着するものであってもよい。
【0258】
または、クランパ側に第2のマグネット848が設けられており、第1のマグネット847と第2のマグネット848とが吸着し合うような構成としてもよい。他の態様としては、第1のマグネット847が吸着する磁性体(クランパ部材とは別部材。一例でネジやピン等)を代わりに設けるようにしてもよい。
【0259】
なお、当業者であれば、上記説明から、クランパ側にのみマグネットを設け、保護カバー側には磁性体を設ける構成としてもよいことは容易に理解されよう。
【0260】
第1のマグネット847に関し、1つのみでもよいが、複数配置されていてもよい。例えば、2つまたは3つ以上のマグネット847が、互いに間隔をあけて、保護カバー840のフランジ部840fの周方向に配置されていてもよい。
【0261】
より具体的な一例として、
図43に示すように、保護カバー840のフランジ部841fの一部に突出部841pが形成されている場合、その両側に、マグネット847を配置するようにしてもよい。
【0262】
突出部841pは、クランパ部材側に設けられた凹部または貫通孔に対して入り込むものであってもよい。突出部841pには、保護カバーを識別するための1つまたは複数の識別手段(一例でホールセンサで検出される磁性体など)が設けられる。
【0263】
この場合、第1のマグネット847のそれぞれに対向する位置(クランパ部材側)に、第2のマグネット848を配置するようにしてもよい。
【0264】
限定されるものではないが、マグネットを設けるフランジ部841fの範囲は、一例で、中心角が60°以下となるような円弧範囲内であってもよい。
【0265】
以下の記載は、基本的に、
図43および
図44の構成に共通するものである。第1のマグネットに関して、配置されるマグネットが、保護カバーのフランジ部841fの輪郭が突出しない構造となっていることが、一形態において、好ましい。例えば、フランジ部841fに、略径方向に伸びる穴を形成し、そこにマグネットを配置するようにしてもよい。同様の構造は第2のマグネットについても採用しうる。
【0266】
マグネットは、四角柱、円柱状のものに限らず、例えばネジを磁石化したようなものであってもよい。また、保護カバー側の1つまたは複数のマグネットが、クランパ側に設けられた1つまたは複数のネジに吸着する構成としてもよい。それぞれのマグネットと、ネジとが対向配置されるような位置関係であることも、一形態において、好ましい。
【0267】
以上に説明したような構成によれば、保護カバーを付けた状態のシリンジをクランパ部材145−2(
図1A)にセットすると、保護カバー側の第1の磁力吸着部材(場合によっては、例えば、鉄製の部材でもよい)と、クランパ側の第2の磁力吸着部材(場合によっては、例えば、鉄製の部材でもよい)とによって、保護カバーが吸着保持される。したがって、仮に上側のクランパ部材145−1を閉めずに注入ヘッドを吸引姿勢とした場合であっても、保護ケースおよびシリンジのクランパからの外れおよび脱落を防止することができる。
【0268】
なお、マグネット等を配置する位置は、フランジ部以外の、保護カバーの一部としてもよい。また、注入ヘッドに関しても、マグネット等を配置する位置は、クランパ以外の、注入ヘッドの一部(一例で、ヘッド筐体であって保護カバーに近接する部位など)としてもよい。
【0269】
(付記)
本出願は少なくとも以下の発明を開示する。なお、括弧内の数字は本発明を何ら限定するものではない。
1.造影剤を収容したシリンジのピストン部材を移動させるピストン駆動機構であって、アクチュエータおよび該アクチュエータによって進退移動させられるラム部材を有するピストン駆動機構(130)と、
上記アクチュエータに電気的に接続された制御回路(150)と、
操作者によって操作される操作ノブおよびその回転に応じて電気的信号を出力する回転センサ
を有する操作ノブユニット(170)と、
を備え、
上記制御回路は、上記回転センサからの信号に基づきそれに対応して上記ピストン駆動機構を動作させるように構成されている、薬液注入装置。
【0270】
2.上記制御回路は、
上記操作ノブが第1の方向に回された場合に上記ラム部材を進出させ、
上記操作ノブが第2の方向に回された場合に上記ラム部材を後退させる、
ように構成されている、上記記載の薬液注入装置。
【0271】
3.さらに、上記ラム部材の位置を検出する位置センサを備える、上記記載の薬液注入装置。
【0272】
4.上記制御回路は、上記位置センサの結果に基づき上記ラム部材の位置を判定し、上記ラム部材が所定の可動範囲内にあるときのみ、操作ノブの操作に対応して上記ピストン駆動機構を動作させるように構成されている、上記記載の薬液注入装置。
【0273】
5.上記制御回路は、
上記操作ノブの回転量に対応する所定の移動距離だけ上記ラム部材を移動させるものであって、
操作者による切替えの入力を受け付けた場合に、操作ノブの回転量に対応するラム部材の移動距離を変更するように構成されている、上記記載の薬液注入装置。
【0274】
6.さらに、
上記制御回路に電気的に接続された発光デバイスを備え、
上記制御回路は、上記ピストン駆動機構のラム部材を進行させているときおよび後退させているときの少なくとも一方において、上記発光デバイスを発光させるように構成されている、上記記載の薬液注入装置。
【0275】
7.上記操作ノブを回転させるためのトルクが0.2Kgf・cm以上である、上記記載の薬液注入装置。
【0276】
8.上記アクチュエータの出力トルクが70W以上である、アンギオグラフィ検査用の上記記載の薬液注入装置。
【0277】
9.シリンジを保持するシリンジ保持部および上記ピストン駆動機構を有する注入ヘッドと、ディスプレイを有し上記注入ヘッドと有線または無線で接続されたコンソールとを備える、上記記載の薬液注入装置。
【0278】
10.上記注入ヘッドが有機ELディスプレイ(OLED:organic light−emitting diode)を有する上記記載の薬液注入装置。
【0279】
11.上記シリンジ保持部にヒータが設けられ、上記ヒータは、透明のシート状ヒータである、上記記載の薬液注入装置。
【0280】
12.造影剤を収容したシリンジのピストン部材を移動させるピストン駆動機構であって、アクチュエータおよび該アクチュエータによって進退移動させられるラム部材を有するピストン駆動機構(130)と、
上記アクチュエータに電気的に接続された制御回路(150)と、
操作者によって操作される操作ノブおよびその回転に応じて電気的信号を出力する回転センサ
を有する操作ノブユニット(170)と、
を備える装置の動作制御方法であって、
上記制御回路が、上記回転センサからの信号に基づきそれに対応して上記ピストン駆動機構を動作させるステップ
を有する、動作制御方法。
【0281】
13.さらに、上記制御回路が、上記操作ノブが第1の方向に回された場合に上記ラム部材を進出させ、上記操作ノブが第2の方向に回された場合に上記ラム部材を後退させるステップ
を有する、上記記載の方法。
【0282】
14.さらに、上記制御回路が、ラム部材の位置を検出する位置センサの結果に基づき上記ラム部材の位置を判定するステップと、
上記ラム部材が所定の可動範囲内にあるときのみ、操作ノブの操作に対応して上記ピストン駆動機構を動作させるステップと
を有する、上記記載の方法。
【0283】
15.上記制御回路が、上記操作ノブの回転量に対応する所定の移動距離だけ前記ラム部材を移動させるものであって、
さらに、
前記制御回路が、切替えの入力を受け付けた場合に操作ノブの回転量に対応するラム部材の移動距離を変更するステップ
を有する、上記記載の方法。
【0284】
16.上記制御回路に電気的に接続された発光デバイスを備え、
さらに、上記制御回路が、上記ピストン駆動機構のラム部材を進行させているときおよび後退させているときの少なくとも一方において、上記発光デバイスを発光させるステップを有する、上記記載の方法。