特許第6815713号(P6815713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815713
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】液状毛髪処理剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/65 20060101AFI20210107BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20210107BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   A61K8/65
   A61K8/02
   A61K8/36
   A61K8/42
   A61K8/44
   A61K8/46
   A61K8/55
   A61K8/64
   A61Q5/12
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-223722(P2013-223722)
(22)【出願日】2013年10月28日
(65)【公開番号】特開2015-86138(P2015-86138A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年9月28日
【審判番号】不服2018-17430(P2018-17430/J1)
【審判請求日】2018年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(72)【発明者】
【氏名】馬場 淳史
(72)【発明者】
【氏名】計盛 創
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 貴成
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】本荘 純博
(72)【発明者】
【氏名】坂内 理英
【合議体】
【審判長】 原田 隆興
【審判官】 大久保 元浩
【審判官】 岡崎 美穂
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−120533(JP,A)
【文献】 特開平10−235238(JP,A)
【文献】 特開2010−163387(JP,A)
【文献】 特開2013−209323(JP,A)
【文献】 特開2010−105964(JP,A)
【文献】 特開2001−335437(JP,A)
【文献】 特開2006−232773(JP,A)
【文献】 特開2010−235572(JP,A)
【文献】 特開2001−247436(JP,A)
【文献】 特開2011−84532(JP,A)
【文献】 FRAGRANCE JOURNAL,(2008)36(3) P.67−74
【文献】 ファインケミカル,(2007)36(4) P.8−18
【文献】 FRAGRANCE JOURNAL,(2013)41(5) P.14−17
【文献】 MINTEL GNPD,ID No.1828443,Deep Repair Essence,Welcos,South Korea,2012年 7月,検索日:2018年9月28日,URL,https://www.gnpd.com/
【文献】 MINTEL GNPD,ID No.1334679,Straight Hair Essence,Margaret Josefin Japan,2010年 4月,検索日:2018年9月28日,URL,https://www.gnpd.com/
【文献】 MINTEL GNPD,ID No.2003952,Treatment,O.P.Natural Products,2013年 2月,検索日:2018年9月28日,URL,https://www.gnpd.com/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1剤及び第2剤を構成剤に有する多剤式トリートメントの第1剤であって、
加水分解ケラチン、加水分解シルク、加水分解アーモンドタンパク、加水分解カゼイン、加水分解カラスムギタンパク、加水分解酵母タンパク、加水分解コラーゲン、加水分解シロバナルーピンタンパク、加水分解ダイズタンパク、加水分解トウモロコシタンパク、加水分解乳タンパク、加水分解ハチミツタンパク、加水分解ヘーゼルナッツタンパク、加水分解ホホバタンパク、加水分解野菜タンパク及び加水分解ローヤルゼリータンパクのうちの少なくとも1種の加水分解タンパク、並びに、
カルボン酸系アニオン界面活性剤、硫酸系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤、リン酸系アニオン界面活性剤及びジラウロイルグルタミン酸リシン塩のうちの少なくとも1種が配合され、
前記カルボン酸系アニオン界面活性剤として、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸塩又はアシル乳酸塩が配合され、
粘度が100mPa・s以下であり、
毛髪に塗布した後に洗い流さずに前記第2剤が重ね塗りされる使用方法で用いられる
多剤式トリートメントの第1剤。
【請求項2】
上記カルボン酸系アニオン界面活性剤、硫酸系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤、リン酸系アニオン界面活性剤及びジラウロイルグルタミン酸リシン塩のうちの少なくとも1種の配合量が1質量%以下である請求項1に記載の多剤式トリートメントの第1剤。
【請求項3】
上記加水分解タンパクの配合量が10質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の多剤式トリートメントの第1剤。
【請求項4】
水がさらに配合されており、
上記水の配合量が85質量%以上である請求項1から3のいずれか1項に記載の多剤式トリートメントの第1剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状毛髪処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪処理剤としては、従来加水分解タンパクを配合した水性ヘアトリートメント組成物が知られている(特表2005−513029号公報)。この水性ヘアトリートメント組成物は、毛髪の損傷を防止することを目的とし、加水分解タンパクが配合されている。
【0003】
しかし、上記水性ヘアトリートメント組成物は、毛髪の損傷を防止することが可能であるかもしれないが、加水分解タンパクが配合されることで、塗布後の指通りや櫛通りが悪化し、引っ掛かりが生じやすい。特に、洗髪後等の濡れた毛髪は、毛髪表面が洗浄されることによって毛髪そのもの(ケラチン)が露出されやすくなるから、濡れた毛髪に加水分解タンパクを付着させると、引っ掛かりがより生じやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2005−513029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、指通りや櫛通りの悪化による引っ掛かりを抑制することができる液状毛髪処理剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた発明は、加水分解タンパク及びアニオン性化合物が配合された液状毛髪処理剤である。
【0007】
当該液状毛髪処理剤によれば、加水分解タンパクに加えて、アニオン性化合物が配合されるため、当該液状毛髪処理剤の塗布後の指通りや櫛通りの悪化を抑制し、引っ掛かりを抑制することができる。
【0008】
当該液状毛髪処理剤は、上記アニオン性化合物としてアニオン界面活性剤及びジラウロイルグルタミン酸リシン塩のうちの少なくとも1種が配合されたものが良い。このようなアニオン性化合物を液状毛髪処理剤に配合することで、当該液状毛髪処理剤の塗布後の指通りや櫛通りの改善に優れる。
【0009】
当該液状毛髪処理剤の粘度は、例えば100mPa・s以下である。加水分解タンパクを配合することによる指通りや櫛通りは、一般的に液状毛髪処理剤の粘度が低いほどに悪化しやすいが、当該液状毛髪処理剤にはアニオン性化合物が配合されるから、その悪化を抑制できる。
【0010】
当該液状毛髪処理剤におけるアニオン性化合物の配合量としては1質量%以下が好ましい。このようにアニオン性化合物の配合量が1質量%以下であることで、当該液状毛髪処理剤による泡立ちを抑制できる。
【0011】
上記加水分解タンパクの配合量としては、例えば10質量%以下である。
【0012】
当該液状毛髪処理剤には水がさらに配合されており、上記水の配合量が例えば85質量%以上である。このように水の含有量を上記範囲とすることで、粘度が低い液状毛髪処理剤となるが、この粘度が低いことによる上述の指通りや櫛通りの悪化も、アニオン性化合物の配合により抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、指通りや櫛通りの悪化による引っ掛かりを抑制することができる液状毛髪処理剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の液状毛髪処理剤は、加水分解タンパク及びアニオン性化合物が配合されたものである。当該液状毛髪処理剤は、多価アルコールが配合されていてもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含んでいてもよい。以下、これらの成分について詳説する。
【0015】
[加水分解タンパク]
加水分解タンパクは、毛髪の保湿、保護、修復効果といった優れたコンディショニング作用を発揮するものである。
【0016】
加水分解タンパクとしては、例えば加水分解ケラチン、加水分解シルク、加水分解アーモンドタンパク、加水分解カゼイン、加水分解カラスムギタンパク、加水分解酵母タンパク、加水分解コラーゲン、加水分解コンキオリン、加水分解シロバナルーピンタンパク、加水分解ダイズタンパク、加水分解トウモロコシタンパク、加水分解乳タンパク、加水分解ハチミツタンパク、加水分解ヘーゼルナッツタンパク、加水分解ホホバタンパク、加水分解野菜タンパク、加水分解ローヤルゼリータンパク等が挙げられる。加水分解ケラチンとしては、水鳥の羽毛由来のものが挙げられる。これらの加水分解タンパクは、単独で使用しても複数種を併用してもよい。
【0017】
当該液状毛髪処理剤における加水分解タンパクの配合量としては、0.05質量%以上10質量%以下が好ましい。このような範囲に加水分解タンパクの配合量を設定することで、当該液状毛髪処理剤は、効果的に毛髪の保湿、保護、修復効果といった優れたコンディショニング作用を発揮する。
【0018】
[アニオン性化合物]
アニオン性化合物は、加水分解タンパクによる毛髪の指通りや櫛通りの悪化、特にシャンプー後等の濡れた毛髪の指通りや櫛通りの悪化を抑制するものである。
【0019】
アニオン性化合物としては、例えばアニオン界面活性剤、ジラウロイルグルタミン酸リシン塩が挙げられる。これらのアニオン性化合物は、単独で使用しても複数種を併用してもよい。
【0020】
アニオン界面活性剤としては、例えば、
N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸塩、アシル乳酸塩等のカルボン酸系アニオン界面活性剤;
アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルグリシジルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン塩等のスルホン酸系アニオン界面活性剤;
アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸塩等の硫酸系アニオン界面活性剤;
アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、脂肪酸アミドエーテルリン酸塩等のリン酸系アニオン界面活性剤などが挙げられる。
【0021】
N−アシルアミノ酸塩としては、例えば、
N−ヤシ油脂肪酸グルタミン酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩、N−ミリストイルグルタミン酸塩、N−パルミトイルグルタミン酸塩、N−ステアロイルグルタミン酸塩、N−オレオイルグルタミン酸塩等のN−アシルグルタミン酸塩;
N−ヤシ油脂肪酸アラニン塩、N−ラウロイルアラニン塩、N−ミリストイルアラニン塩、N−パルミトイルアラニン塩、N−ステアロイルアラニン塩、N−オレオイルアラニン塩等のN−アシルアラニン塩;
N−ヤシ油脂肪酸メチルアラニン塩、N−ラウロイルメチルアラニン塩、N−ミリストイルメチルアラニン塩等のN−アシルメチルアラニン塩;
N−ヤシ油脂肪酸サルコシン塩、N−ラウロイルサルコシン塩、N−ミリストイルサルコシン塩、N−オレオイルサルコシン塩等のN−アシルサルコシン酸塩;
N−ヤシ油脂肪酸グリシン塩、N−ラウロイルグリシン塩、N−ミリストイルグリシン塩、N−パルミトイルグリシン塩、N−ステアロイルグリシン塩、N−オレオイルグリシン塩等のN−アシルグリシン塩;
N−ヤシ油脂肪酸アスパラギン酸塩、N−ラウロイルアスパラギン酸塩、N−ミリストイルアスパラギン酸塩、N−パルミトイルアスパラギン酸塩、N−ステアロイルアスパラギン酸塩、N−オレオイルアスパラギン酸塩等のN−アシルアスパラギン酸塩;
N−ラウロイルシルクアミノ酸塩等のN−アシルシルクアミノ酸塩などが挙げられる。ここで、N−アシルアミノ酸塩の形態は、例えばナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩である。
【0022】
当該液状毛髪処理剤におけるアニオン性化合物の配合量としては、1質量%以下が良く、0.5質量%以下が好ましい。アニオン性化合物の配合量が1質量%以下であることで、アニオン性界面活性剤等のアニオン性化合物の配合量が大きくなることによる泡立ちを抑制できる。
【0023】
[任意成分]
当該液状毛髪処理剤に配合される任意成分は、多価アルコール(例えば、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン)、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、糖類、エステル油、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤等である。
【0024】
[pH]
当該液状毛髪処理剤のpHとしては、4以上8以下が好ましく、4以上7以下がより好ましい。当該液状毛髪処理剤のpHが8を超えると、当該液状毛髪処理剤を毛髪に塗布したときに毛髪が膨潤するために好ましくない。
【0025】
[剤型、粘度等]
当該液状毛髪処理剤の剤型としては特に限定されず、当該液状毛髪処理剤の用途等に応じて決定される。その剤型を液状又は霧状とする場合、当該液状毛髪処理剤における水の配合量は、例えば85質量%以上とされる。当該液状毛髪処理剤の粘度は、例えば100mPa・s以下であると良い。なお、当該液状毛髪処理剤の粘度は、B型粘度計を使用して25℃、12rpmで計測した60秒後の値である。
【0026】
[用途]
当該液状毛髪処理剤は、任意成分を適宜配合することにより、スタイリング剤、ヘアケア剤等の各種毛髪処理剤に用いられる。ここで、「スタイリング剤」とは、髪型を一時的に保持するために用いられる毛髪処理剤である。「ヘアケア剤」とは、毛髪の手入れ、手当て等を行うために用いられる毛髪処理剤であり、例えば、リンス、コンディショナー、トリートメント(例えば、洗い流さないトリートメント、洗い流すトリートメント、多剤式トリートメントの一構成剤、パーマの前処理のためのトリートメント、パーマの後処理のためのトリートメント、カラーリングの前処理のためのトリートメント、カラーリングの後処理のためのトリートメント、ブリーチの前処理のためのトリートメント、ブリーチの後処理のためのトリートメント)が挙げられる。
【0027】
当該液状毛髪処理剤は、シャンプーとは異なる態様で使用することが好ましく、トリートメント、特にシャンプー後の濡れた毛髪のトリートメントとして使用することが好ましい。このようにシャンプー後の濡れた毛髪は、指通りや櫛通りが悪化しやすい状態であることから、引っ掛かりが抑制された当該液状毛髪処理剤は濡れた髪に塗布するトリートメントとして好適に使用することができる。
【0028】
当該液状毛髪処理剤は、上記の通り、多剤式トリートメントの一構成剤として使用できる。例えば複数の剤を洗い流さずに重ね塗りする多剤式トリートメントの第1剤として当該液状毛髪処理剤を使用する場合には、第1剤塗布後の指通りや櫛通りが悪いと第2剤以降の毛髪処理剤を塗布するときの塗布性が悪化し十分なトリートメント効果を得られないおそれがあることから、引っ掛かりが抑制された当該液状毛髪処理剤は多剤式トリートメントの第1剤として好適に使用することができる。
【実施例】
【0029】
以下、当該液状毛髪処理剤を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0030】
<実施例1>
加水分解タンパクとしての加水分解ケラチン(東洋羽毛工業社の「ケラタイド」)1質量%、及びアニオン性化合物としてアニオン界面活性剤であるラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム0.9質量%を配合し、残部を水として実施例1の液状毛髪処理剤を調製した。
【0031】
<実施例2>
アニオン性化合物として、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム1質量%を配合した以外は実施例1と同様にして実施例2の液状毛髪処理剤を調製した。なお、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムは、旭化成ケミカルズ社の「ペリセアLB−10」を使用することで配合した。この「ペリセアLB−10」は、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムが10質量%配合されたものである。
【0032】
<実施例3>
アニオン性化合物としてアニオン界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.8質量%を配合した以外は実施例1と同様にして実施例3の液状毛髪処理剤を調製した。なお、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムは、花王社の「エマール 227HP」を使用することで配合した。この「エマール 227HP」は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが27質量%配合されたものである。
【0033】
<比較例1>
アニオン性化合物に代えて、ノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン(20E.O.)1質量%を配合した以外は実施例1と同様にして比較例1の液状毛髪処理剤を調製した。
【0034】
<比較例2>
アニオン性化合物を配合しなかった以外は実施例1と同様にして比較例2の液状毛髪処理剤を調製した。
【0035】
<参考例>
アニオン性化合物に代えて、カチオン界面活性剤として塩化セチルトリメチルアンモニウム0.3質量%を配合した以外は実施例1と同様にして参考例の液状毛髪処理剤を調製した。
【0036】
【表1】
【0037】
なお、表1において、「−」は該当成分を配合しなかったことを意味する。
【0038】
<評価>
実施例1〜3、比較例1〜2及び参考例の液状毛髪処理剤について、引っ掛かりの抑制及び皮膜感を以下に説明する方法で評価した。評価結果は表1に示す。
【0039】
[引っ掛かりの抑制の評価]
引っ掛かりは、カラーリング履歴のある毛束をシャンプー処理してから、毛束に液状毛髪処理剤を塗布後、毛束の指通り及び櫛通りの評価を行った。その評価をしてから、毛束を水洗した。この評価においては、比較例2の液状毛髪処理剤を使用した場合の引っ掛かりを基準とし、この基準との比較として下記通りで評価した。
【0040】
〇:基準よりも引っ掛かりがない
−:基準と同等の引っ掛かり
×:基準よりも引っ掛かる
【0041】
[皮膜感の評価]
皮膜感は、引っ掛かりの抑制における指通りの評価時に、毛髪表面に塗布した組成物の膜が形成されている感触として評価した。この評価においては、参考例の液状毛髪処理剤を基準とし、この基準との比較として下記通りで評価した。
【0042】
〇:基準よりも皮膜感がある
−:基準と同等の皮膜感
×:基準よりも皮膜感がない
【0043】
表1から明らかなように、実施例1〜3の液状毛髪処理剤は、比較例1〜2の液状毛髪処理剤に比べて引っ掛かりを抑制できるとの結果が得られた。また、実施例1〜3の液状毛髪処理剤は、比較例2及び参考例に比べて皮膜感があるのと結果が得られた。従って、加水分解タンパクと共にアニオン性化合物と配合することで、ノニオン界面活性剤を配合する場合と比べて、またアニオン性化合物を配合しない場合と比べて、引っ掛かりを抑制できる。さらに、加水分解タンパクと共にアニオン性化合物を配合することで、カチオン界面活性剤を配合する場合に比べて、またアニオン性化合物を配合しない場合と比べて、皮膜感が得られる。