特許第6815719号(P6815719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6815719海島構造を有する被膜及びこれを形成する組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815719
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】海島構造を有する被膜及びこれを形成する組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20210107BHJP
   C08L 101/14 20060101ALI20210107BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20210107BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20210107BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   C08L101/00
   C08L101/14
   C08K5/053
   C08L71/02
   A61K8/81
   A61K8/02
   A61K8/73
   A61K8/64
   A61Q19/00
【請求項の数】11
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2015-96958(P2015-96958)
(22)【出願日】2015年5月11日
(65)【公開番号】特開2016-210919(P2016-210919A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】加治 恵
(72)【発明者】
【氏名】竹山 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】仁王 厚志
(72)【発明者】
【氏名】露木 萌
【審査官】 松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−009189(JP,A)
【文献】 特開2007−002223(JP,A)
【文献】 特表2012−505305(JP,A)
【文献】 特開2004−285026(JP,A)
【文献】 Misty Jelly,Mintel GNPD,2014年12月,ID# 2881919
【文献】 Moisturising Mask,Mintel GNPD,2014年10月,ID# 2737763
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 − 101/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位(a)と、親水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位(b)を必須構成単位として有する両親媒性ポリマーと、水溶性高分子及び/又はその塩と、水を含み、界面活性剤を含まず、
前記水溶性高分子が、アクリル酸系水溶性ポリマー、水溶性ポリペプチド及び水溶性多糖類からなる群から選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子であり、
下記乾燥条件において前記水を蒸発させることによって、前記水溶性高分子及び/又はその塩が形成する水性ゲル中に、前記両親媒性コポリマーを含む島粒子が分散する海島構造を有する被膜を形成し、
前記両親媒性コポリマーと前記水性ゲルの相分離を促進するポリオール及び前記水性ゲルと前記両親媒性コポリマーの相分離を抑制するポリオールを含み、
前記組成物に対する前記両親媒性コポリマーの含有量が0.1〜5質量%であり、
前記相分離を促進するポリオール、前記相分離を抑制するポリオール、前記水溶性高分子及び前記両親媒性コポリマーの4成分の総量において、水溶性高分子及び両親媒性コポリマーの含有量が15質量%以下であり、前記相分離を促進するポリオールの含有量が20〜70質量%であり、前記相分離を抑制するポリオールの含有量が20〜70質量%であり、
前記両親媒性コポリマーとして、下記A群から選ばれる1種又は2種以上のコポリマーを含むことを特徴とする組成物。

A群:ポリクオタニウム―51、ポリクオタニウム―61、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー、及び下記一般式(I)、(II)、(III)から選ばれる疎水性モノマーから誘導される構成単位(a)と、下記B群から選ばれる1種又は2種以上の親水性モノマーから誘導される構成単位(b)と、を含むアクリル酸系両親媒性コポリマー

一般式(I)
【化1】
(I)
(一般式(I)中R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は炭素数13〜30の環構造を含まない分岐状炭化水素基、または、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜12の炭化水素基を表す。)
一般式(II)
【化2】
(II)
(一般式(II)中R3は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4,R5は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数6〜22のアシル基を表す。Xは三価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
一般式(III)
【化3】
(III)
(一般式(III)中R6は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R7,R8,R9は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数6〜22のアシル基を表す。Yは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)

B群:重合性カルボン酸、下記一般式(IV)で表されるモノマー、下記一般式(VI)で表されるモノマー、下記一般式(VII)で表されるモノマー及び下記一般式(VIII)で表されるモノマー

一般式(IV)
【化4】
(IV)
(一般式(IV)中R10は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R11は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R12は水素原子、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアシル基を表す。nは6〜40の整数を表す。)

一般式(VI)
【化5】
(VI)
(一般式(VI)中R15は水素原子またはメチル基をあらわす。)

一般式(VII)
【化6】
(VII)
(一般式(VII)中R16は水素原子またはメチル基を、G−O−は還元糖の1位の水酸基より水素を除いた基を表す。mは2又は3を、lは1〜5の整数を表す。)

一般式(VIII)
【化7】
(VIII)
(一般式(VIII)中R17は水素原子またはメチル基を、R18はアミノ酸残基、ポリアミン残基又はアミノアルコール残基を表す。Qは酸素原子又はNHで表される基を表す。)
[乾燥条件]
約0.5gの組成物をスライドガラス上の約1.5cm×1.5cmの範囲に塗布し、40℃で3日間放置し、組成物中の水分を蒸発させる。
【請求項2】
前記島粒子の平均長軸短軸比が0.8以上であり、平均粒子径が1〜5μmの前記島粒子の個数粒度分布が80%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記水溶性高分子が、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー、ポリグルタミン酸ナトリウム、キサンタンガム及びシロキクラゲ多糖体からなる群から選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記相分離を促進するポリオールが、親水性部分にポリエーテル鎖を持つ非イオン性界面活性剤の水溶液と混合することにより、該水溶液の曇点を上昇させるポリオールであり、
前記相分離を抑制するポリオールが、親水性部分にポリエーテル鎖を持つ非イオン性界面活性剤の水溶液と混合することにより、該水溶液の曇点を下降させるポリオールであることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記相分離を促進するポリオールが1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上のポリオールであることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記相分離を抑制するポリオールがグリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトールからなる群から選ばれる1種又は2種以上のポリオールであることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記相分離を促進するポリオール及び前記相分離を抑制するポリオールの総量と、前記両親媒性コポリマー及び前記水溶性高分子の総量の質量比が、5:1〜20:1であることを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記相分離を促進するポリオールと前記相分離を抑制するポリオールの質量比が3.5:1〜1:2.5であることを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載の組成物。
【請求項9】
油剤の含有量が1質量%以下であることを特徴とする、請求項1〜の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記アクリル酸系両親媒性コポリマーが、前記一般式(II)で表される疎水性モノマーから誘導される構成単位(a)と、前記一般式(IV)で表される親水性モノマーから誘導される構成単位(b)を含むことを特徴とする、請求項1〜9何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
水溶性高分子が形成する水性ゲル中に、両親媒性コポリマーを含む島粒子が分散する海島構造を有し、前記両親媒性コポリマーが、疎水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位(a)と、親水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位(b)を必須構成単位として有し、界面活性剤を含まない被膜を肌上に形成する方法であって、
前記方法が、前記疎水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位(a)と、親水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位(b)を必須構成単位として有する両親媒性コポリマーと、前記水溶性高分子及び/又はその塩と、水を含む組成物を肌に塗布する方法であり、
前記組成物が、さらに前記両親媒性コポリマーと前記水性ゲルの相分離を促進するポリオール及び/又は前記水性ゲルと前記両親媒性コポリマーの相分離を抑制するポリオールを含み、
前記水溶性高分子が、アクリル酸系水溶性ポリマー、水溶性ポリペプチド及び水溶性多糖類からなる群から選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子であり、
前記組成物に対する前記両親媒性コポリマーの含有量が0.1〜5質量%であり、
前記組成物に含まれる、前記相分離を促進するポリオール、前記相分離を抑制するポリオール、前記水溶性高分子及び前記両親媒性コポリマーの4成分の総量において、水溶性高分子及び両親媒性コポリマーの含有量が15質量%以下であり、前記相分離を促進するポリオールの含有量が20〜70質量%であり、前記相分離を抑制するポリオールの含有量が20〜70質量%であり、
前記組成物は、前記両親媒性コポリマーとして、下記A群から選ばれる1種又は2種以上のコポリマーを含むことを特徴とする、方法。

A群:ポリクオタニウム―51、ポリクオタニウム―61、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー、及び下記一般式(I)、(II)、(III)から選ばれる疎水性モノマーから誘導される構成単位(a)と、下記B群から選ばれる1種又は2種以上の親水性モノマーから誘導される構成単位(b)と、を含むアクリル酸系両親媒性コポリマー

一般式(I)
【化1】
(I)
(一般式(I)中R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は炭素数13〜30の環構造を含まない分岐状炭化水素基、または、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜12の炭化水素基を表す。)
一般式(II)
【化2】
(II)
(一般式(II)中R3は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4,R5は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数6〜22のアシル基を表す。Xは三価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
一般式(III)
【化3】
(III)
(一般式(III)中R6は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R7,R8,R9は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数6〜22のアシル基を表す。Yは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)

B群:重合性カルボン酸、下記一般式(IV)で表されるモノマー、下記一般式(VI)で表されるモノマー、下記一般式(VII)で表されるモノマー及び下記一般式(VIII)で表されるモノマー

一般式(IV)
【化4】
(IV)
(一般式(IV)中R10は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R11は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R12は水素原子、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアシル基を表す。nは6〜40の整数を表す。)

一般式(VI)
【化5】
(VI)
(一般式(VI)中R15は水素原子またはメチル基をあらわす。)

一般式(VII)
【化6】
(VII)
(一般式(VII)中R16は水素原子またはメチル基を、G−O−は還元糖の1位の水酸基より水素を除いた基を表す。mは2又は3を、lは1〜5の整数を表す。)

一般式(VIII)
【化7】
(VIII)
(一般式(VIII)中R17は水素原子またはメチル基を、R18はアミノ酸残基、ポリアミン残基又はアミノアルコール残基を表す。Qは酸素原子又はNHで表される基を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性ゲルの海に両親媒性コポリマーの島粒子が分散している海島構造を有する被膜及びこれを形成する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
海島構造とは、互いに非相溶な2種の高分子が相分離を起こし、一方の高分子を含む連続相(海相)に他方の高分子を含む分散相(島相)が点在している構造のことをいう。このように海島構造は相が分離した不均一な構造を持つことから、均一な構造を持った組成物とは異なった性質を有する。このような性質を利用しようと、海島構造についてはプラスチックやゴム、トナー、接着剤などに関する技術分野での研究開発が盛んに行われている。
例えば、特許文献1には熱可塑性樹脂を含む海相とポリウレタン系熱可塑性エラストマーを含む島相とを含む海島構造を有する被覆用混合物で被覆されているタイヤが開示されている。
しかし、化粧料分野において、海島構造を利用しようとする試みはこれまでになされていない。
【0003】
ところで、特許文献2には、特定の疎水性のアクリルエステル系モノマーから誘導される構成単位と、特定の親水性のアクリル系モノマーから誘導される構成単位を有する両親媒性コポリマーを含有する皮膚外用剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−180652号公報
【特許文献2】特開2014−9189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、水溶性成分を主体とした海島構造を有する被膜及び該被膜を形成する技術を提供することにある。また、水溶性成分を主体とした被膜に、油剤を含むミルクのような感触を付与する技術を提供することを課題とする。好ましくは保湿性と柔軟性を両立する被膜及び該被膜を形成する技術を提供することを本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明は、疎水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位(a)と、親水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位(b)を必須構成単位として有する両親媒性コポリマーと、水溶性高分子及び/又はその塩と、水を含み、
前記水の蒸発によって、前記水溶性高分子及び/又はその塩が形成する水性ゲル中に、前記両親媒性コポリマーを含む島粒子が分散する海島構造を有する被膜を形成することを特徴とする組成物である。
【0007】
前記被膜は水溶性成分を主体とした海島構造を有しており、油剤を含むミルクのような感触を有する。本発明の組成物によれば、このような海島構造を有する被膜を肌上に形成することができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記島粒子の平均長軸短軸比が0.8以上であり、平均粒子径が1〜5μmの前記島粒子の個数粒度分布が80%以上である。
このような構造的特徴を有する前記被膜は、保湿性と柔軟性に優れている。
そして、本発明の組成物は、肌に塗布することで、このような優れた性質を有する被膜を容易に形成することができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記水溶性高分子が、アクリル酸系水溶性ポリマー、水溶性ポリペプチド及び水溶性多糖からなる群から選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子及び/又はその塩である。
このような水溶性高分子を含む形態とすることによって、組成物の成分の水溶性を向上、また、沈殿の発生を抑制することで、組成物の安定性を向上させることができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記水溶性高分子が、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー、ポリグルタミン酸ナトリウム、キサンタンガム及びシロキクラゲ多糖体からなる群から選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子である。
このような水溶性高分子を含む形態とすることによって、組成物の安定性をより向上させることができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記組成物が、前記水性ゲルと前記両親媒性コポリマーの相分離を促進するポリオール及び/又は前記水性ゲルと前記両親媒性コポリマーの相分離を抑制するポリオールを含む。
このようなポリオールを含むことによって、前記被膜の均一性を向上させることができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記相分離を促進するポリオールが、親水性部分にポリエーテル鎖を持つ非イオン性界面活性剤の水溶液と混合することにより、該水溶液の曇点を上昇させるポリオールであり、
前記相分離を抑制するポリオールが、親水性部分にポリエーテル鎖を持つ非イオン性界面活性剤の水溶液と混合することにより、該水溶液の曇点を下降させるポリオールである。
このようなポリオールを含むことによって、前記被膜の均一性を向上させることができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記相分離を促進するポリオールが1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上のポリオールである。
このようなポリオールを用いることにより、効果的に水性ゲルと両親媒性コポリマーの相分離を促すことができ、前記被膜の均一性を向上させることができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記相分離を抑制するポリオールがグリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトールからなる群から選ばれる1種又は2種以上のポリオールである。
このようなポリオールを用いることにより、効果的に水性ゲルと両親媒性コポリマーの相分離を促すことができ、前記被膜の均一性を向上させることができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記相分離を促進するポリオール及び前記相分離を抑制するポリオールの総量と、前記両親媒性コポリマー及び前記水溶性高分子の総量の質量比が、5:1〜20:1である。
このような形態とすることによって、前記被膜の均一性を向上させることができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記相分離を促進するポリオールと前記相分離を抑制するポリオールの質量比が3.5:1〜1:2.5である。
このような形態とすることによって前記被膜の均一性を向上させることができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記両親媒性コポリマーの含有量が0.1〜5質量%である。
両親媒性コポリマーの含有量を前記範囲とすることによって、より柔軟性のある感触に優れた前記被膜を形成することができる組成物とすることができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、油剤の含有量が1質量%以下である。
このような形態とすることにより、べたつきの少ない前記被膜を形成することができる組成物とすることができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記両親媒性コポリマーとして、下記A群から選ばれる1種又は2種以上のコポリマーを含む。
【0020】
A群:ポリクオタニウム―51、ポリクオタニウム―61、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー、及び下記一般式(I)、(II)、(III)から選ばれる疎水性モノマーから誘導される構成単位(a)を含むアクリル酸系両親媒性コポリマー
【0021】
一般式(I)
【化1】
(I)
(一般式(I)中R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は炭素数13〜30の環構造を含まない分岐状炭化水素基、または、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜12の炭化水素基を表す。)
【0022】
一般式(II)
【化2】
(II)
(一般式(II)中R3は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4,R5は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数6〜22のアシル基を表す。Xは三価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
【0023】
一般式(III)
【化3】
(III)
(一般式(III)中R6は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R7,R8,R9は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数6〜22のアシル基を表す。Yは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
【0024】
このような両親媒性コポリマーを含む本発明の組成物は、ミルクのような感触がより強く、また、柔軟性により優れた前記被膜を形成することができる。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記アクリル酸系両親媒性コポリマーが、下記B群から選ばれる1種又は2種以上の親水性モノマーから誘導される構成単位(b)を含む。
【0026】
B群:重合性カルボン酸、下記一般式(IV)で表されるコポリマー、下記一般式(VI)で表されるコポリマー、下記一般式(VII)で表されるコポリマー及び下記一般式(VIII)で表されるコポリマー
【0027】
一般式(IV)
【化4】
(IV)
(一般式(IV)中R10は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R11は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R12は水素原子、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアシル基を表す。nは6〜40の整数を表す。)
【0028】
一般式(VI)
【化5】
(VI)
(一般式(VI)中R15は水素原子またはメチル基をあらわす。)
【0029】
一般式(VII)
【化6】
(VII)
(一般式(VII)中R16は水素原子またはメチル基を、G−O−は還元糖の1位の水酸基より水素を除いた基を表す。mは2又は3を、lは1〜5の整数を表す。)
【0030】
一般式(VIII)
【化7】
(VIII)
(一般式(VIII)中R17は水素原子またはメチル基を、R18はアミノ酸残基、ポリアミン残基又はアミノアルコール残基を表す。Qは酸素原子又はNHで表される基を表す。)
【0031】
このような親水性モノマーから誘導される構成単位(b)を有する両親媒性コポリマーを含む本発明の組成物は、ミルクのような感触、また、柔軟性により優れた前記被膜を形成することができる。
【0032】
本発明の好ましい形態では、前記アクリル酸系両親媒性コポリマーが、前記一般式(II)で表される疎水性モノマーから誘導される構成単位(a)と、前記一般式(IV)で表される親水性モノマーから誘導される構成単位(b)を含む。
このようなアクリル酸系両親媒性コポリマーを含む本発明の組成物によれば、より保湿性と柔軟性に優れた前記被膜を形成することができる。
【0033】
また、本発明は水溶性高分子が形成する水性ゲル中に、両親媒性コポリマーを含む島粒子が分散する海島構造を有する被膜であって、
前記両親媒性コポリマーが、疎水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位(a)と、親水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位(b)を必須構成単位として有することを特徴とする、被膜にも関する。
【0034】
本発明の被膜は、水溶性成分を主体とした海島構造を有している。そして、水溶性成分を主体としているにも関わらず、油剤を含むミルクのような感触を有する。
【0035】
本発明の好ましい形態では、前記島粒子の平均長軸短軸比が0.8以上であり、平均粒子径が1〜5μmの前記島粒子の個数粒度分布が80%以上である。
このような構造的特徴を有する前記被膜は、油剤を含むミルクのような感触に優れている。
【0036】
また、本発明は、上述の本発明の被膜を形成する方法であって、
疎水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位(a)と、親水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位(b)を必須構成単位として有する両親媒性コポリマーと、水溶性高分子及び/又はその塩と、水を含む組成物を肌に塗布することを特徴とする、方法にも関する。
本発明の方法によれば、前記被膜を容易に形成することができる。
【0037】
また、本発明の好ましい形態では、前記組成物が、前記両親媒性コポリマーと前記水性ゲルの相分離を促進するポリオール及び/又は前記水性ゲルと前記両親媒性コポリマーの相分離を抑制するポリオールを含む。
このようなポリオールを含む水溶液を用いることによって、均一性に優れた前記被膜を形成することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、水溶性成分を主とする海島構造を有する被膜及び該被膜を形成する技術を提供することができる。前記被膜は、水溶性成分を主とするにも関わらず、油剤を含むミルクのような感触を有する。
また、本発明の好ましい形態では、べたつきの無い前記被膜及び該被膜を形成する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】実施例1〜21に含まれる、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、キサンタンガムと(メタクリル酸メトキシPEG−23/ジイソステアリン酸メタクリル酸グリセリル)コポリマーの総量の3成分系相図を示す。
図2】実施例3、4、6、9、11、12、13、17、18、20、21の組成物の顕微鏡写真を示す。
図3】試験例1における実施例1の組成物の感触評価の結果を表す円グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
<1>海島構造を有する被膜
海島構造とは、互いに非相溶な2種の高分子が相分離を起こし、一方の高分子を含む連続相に他方の高分子を含む分散相が点在している構造のことをいう。そして、海島構造における連続相は海相、分散相は島相と呼ばれ、分散相の粒子のことを島粒子という。
【0041】
本発明の被膜は、両親媒性コポリマーを含む島粒子が、水溶性高分子が形成する水性ゲルを含む海相に分散する海島構造を有する。
そして、島粒子に含まれる両親媒性コポリマーは、必須の構成単位として構成単位(a)と構成単位(b)を有する。
構成単位(a)は、疎水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位であり、構成単位(b)は親水性モノマーから誘導される1種又は2種以上の構成単位である。
このような構造的特徴を有する本発明の被膜は、水性成分を主とするにも関わらず、油剤を含むミルクのような感触を有する。
以下、本発明の被膜についてさらに詳述する。
【0042】
<1−1>島粒子
本発明において海島構造の島粒子に含まれる両親媒性コポリマーは、前記疎水性モノマーから誘導される構成単位(a)と、前記親水性モノマーから誘導される構成単位(b)を必須の構成単位として有する。
本発明における両親媒性コポリマーとしては、以下の(1)及び(2)で説明する疎水性モノマーと親水性モノマーから誘導される構成単位を含むコポリマーを用いることが好ましい。
【0043】
(1)疎水性モノマー
本発明においては、前記一般式(I)、(II)又は(III)で表される疎水性モノマーから誘導される構成単位(以下、単に、「構成単位I」などと呼ぶこともある)の一種または二種以上を必須構成単位として含有する両親媒性コポリマー(アクリル酸系両親媒性コポリマーとも言う)を用いることが好ましい。
なお、本発明において、「モノマーから誘導される構成単位」とは、対応するモノマーが有する炭素−炭素不飽和結合が重合反応によって開裂して形成される構成単位を言う。
以下、一般式(I)、(II)又は(III)で表される疎水性モノマーについて説明する。
【0044】
(1−1)一般式(I)で表される疎水性モノマー
前記一般式(I)において、R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は炭素数13〜30の環構造を含まない分岐状炭化水素基または、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜12の炭化水素基を表す。
ここで、R1で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基等が例示できる。本発明において、R1は水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0045】
また、R2で表される炭素数13〜30の環構造を含まない分岐状炭化水素基としては、1−メチルドデカニル基、11−メチルドデカニル基、3−エチルウンデカニル基、3−エチル−4,5,6−トリメチルオクチル基、1−メチルトリデカニル基、1−ヘキシルオクチル基、2−ブチルデカニル基、2−ヘキシルオクチル基、4−エチル−1−イソブチルオクチル基、1−メチルペンタデカニル基、2−ヘキシルデカニル基、2−オクチルデカニル基、2−ヘキシルドデカニル基、16−メチルヘプタデカニル基、9−メチルヘプタデカニル基、7−メチル−2−(3−メチルヘキシル)デカニル基、3,7,11,15−テトラ−メチルヘキサデカニル基、2−オクチルドデカニル基、2−デシルテトラデカニル基、2−ドデシルヘキサデカニル基等を例示することができる。
【0046】
また、R2で表される、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜12の炭化水素基としては2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジメチルペンタニル基、1−イソプロピルブチル基、1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−イソプロピルプロピル基、2−エチル−4−メチルペンチル基、1−プロピル−2,2−ジメチルプロピル基、1,1、2−トリメチル−ペンチル基、1−イソプロピル−3−メチルブチル基、1,2−ジメチル−1−エチルブチル基、1,3−ジメチル−1−エチルブチル基、1−エチル−1−イソプロピル−プロピル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1−メチル−1−エチルペンチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,4―ジメチルヘキシル基、1−エチル−3―メチルペンチル基、1,5―ジメチルヘキシル基、1−エチル−6−メチルヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,2−ジメチル−1−イソプロピルプロピル基、3−メチル−1−(2,2−ジメチルエチル)ブチル基、1−イソプロピルヘキシル基、3.5.5−トリメチルヘキシル基、2−イソプロピル−5−メチルヘキシル基、1,5−ジメチル−1−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2,4,5−トリメチルヘプチル基、2,4,6−トリメチルヘプチル基、3,5−ジメチル−1−(2,2−ジメチルエチル)ヘキシル基等を例示することができる。
【0047】
(1−2)一般式(II)又は(III)で表される疎水性モノマー
前記一般式(II)及び(III)において、R3、R6は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4,R5、R7、R8、R9は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数6〜22のアシル基を表す。Xは三価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。
【0048】
ここで、R3、R6で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基等が例示できる。本発明において、R3は水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0049】
また、R4、R5、R7、R8、R9で表される環構造を含まない、分岐を有する炭素数6〜22のアシル基としては、2−メチルペンタノイル基、3−メチルペンタノイル基、4−メチルペンタノイル基、2−エチルブタノイル基、2−エチルブタノイル基、2,2−ジメチルブタノイル基、3,3−ジメチルブタノイル基、2−メチルヘキサノイル基、4−メチルヘキサノイル基、5−メチルヘキサノイル基、2,2−ジメチルペンタノイル基、4,4−ジメチルペンタノイル基、2−メチルヘプタノイル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンタノイル基、2,2−ジメチルヘキサノイル基、2,2,3−トリメチルペンタノイル基、2−メチルオクタノイル基、3,3,5−トリメチルヘキサノイル基、2−メチルノナノイル基、4−メチルノナノイル基、8−メチルノナノイル基、4−エチルオクタノイル基、2−エチルオクタノイル基、2−ブチルヘキサノイル基、2−tert−ブチルヘキサノイル基、2,2−ジエチルヘキサノイル基、2,2−ジメチルオクタノイル基、3,7−ジメチルオクタノイル基、ネオデカノイル基、7−メチルデカノイル基、2−メチル−2−エチルオクタノイル基、2−メチルウンデカノイル基、10−メチルウンデカノイル基、2,2ジメチルデカノイル基、2−エチルデカノイル基、2−ブチルオクタノイル基、ジエチルオクタノイル基、2−tert−ブチル−2,2,4−トリメチルペンタノイル基、10−メチルドデカノイル基、3−メチルドデカノイル基、4−メチルドデカノイル基、11−メチルドデカノイル基,10−エチルウンデカノイル基、12−メチルトリデカノイル基、2−ブチルデカノイル基、2−ヘキシルオクタノイル基、2−ブチル−2−エチルオクタノイル基、12−メチルテトラデカノイル基、14−メチルペンタデカノイル基、2−ブチルドデカノイル基、2−ヘキシルデカノイル基、16−メチルヘプタデカノイル基、2,2−ジメチルヘキサノイル基、2−ブチルヘキサデカノイル基、2−ヘキシルドデカノイル基、2,4,10,14−テトラメチルペンタノイル基、18−メチルノナデカノイル基、3,7,11,15−テトラ−メチルヘキサデカノイル基、19−メチルエイコサノイル基等を例示することができる。
【0050】
また、本発明の好ましい実施の形態では、一般式(II)及び(III)において、R4,R5、R7、R8、R9は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数10〜22のアシル基、または、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜9のアシル基である。
【0051】
このような、好ましい実施の形態におけるR4,R5、R7、R8、R9で表される、環構造を含まない、分岐を有する炭素数10〜22のアシル基としては、2−メチルノナノイル基、4−メチルノナノイル基、8−メチルノナノイル基、4−エチルオクタノイル基、2−エチルオクタノイル基、2−ブチルヘキサノイル基、2−tert−ブチルヘキサノイル基、2,2−ジエチルヘキサノイル基)、2,2−ジメチルオクタノイル基、3,7−ジメチルオクタノイル基、ネオデカノイル基)、7−メチルデカノイル基、2−メチル−2−エチルオクタノイル基、2−メチルウンデカノイル基、10−メチルウンデカノイル基、2,2ジメチルデカノイル基、2−エチルデカノイル基、2−ブチルオクタノイル基、ジエチルオクタノイル基、2−tert−ブチル−2,2,4−トリメチルペンタノイル基、10−メチルドデカノイル基、3−メチルドデカノイル基、4−メチルドデカノイル基、11−メチルドデカノイル基,10−エチルウンデカノイル基、12−メチルトリデカノイル基、2−ブチルデカノイル基、2−ヘキシルオクタノイル基、2−ブチル−2−エチルオクタノイル基、12−メチルテトラデカノイル基、14−メチルペンタデカノイル基、2−ブチルドデカノイル基、2−ヘキシルデカノイル基、16−メチルヘプタデカノイル基、2,2−ジメチルヘキサノイル基、2−ブチルヘキサデカノイル基、2−ヘキシルドデカノイル基、2,4,10,14−テトラメチルペンタノイル基、18−メチルノナデカノイル基、3,7,11,15−テトラ−メチルヘキサデカノイル基、19−メチルエイコサノイル基等を例示することができる。
【0052】
また、好ましい実施の形態におけるR4、R5、R7、R8、R9で表される、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜9のアシル基としては、2,2−ジメチルブタノイル基、3,3−ジメチルブタノイル基、2,2−ジメチルペンタノイル基、4,4−ジメチルペンタノイル基、2,2−ジメチルヘキサノイル基、2,2,3−トリメチルペンタノイル基、3,5,5−トリメチルヘキサノイル基等を例示することができる。
【0053】
一般式(II)においてXで表される、三価アルコールから誘導される基は、三価アルコールから、OH基が離脱した基であれば特に限定されないが、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンからなる群から選択される三価アルコールから、OH基が離脱した基が好適に例示できる。
【0054】
また、一般式(III)においてYで表される、四価アルコールから誘導される基は、四価アルコールから、OH基が離脱した基であれば特に限定されないが、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、D−トレイトール、L−トレイトールからなる群から選択される四価アルコールから、OH基が離脱した基が好適に例示できる。
【0055】
本発明においては、構成単位IIを含む両親媒性コポリマーを用いることが特に好ましい。
また、本発明のより好ましい実施の形態では、一般式(II)で表される疎水性モノマーは、下記一般式(V)で表される疎水性モノマーである。
【0056】
一般式(V)
【化8】
(V)
(一般式(V)中R13、R14は、同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数16〜22のアシル基を表す。Zは三価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
【0057】
一般式(V)のR13、R14のアシル基の炭素数は12〜22、より好ましくは14〜20、さらに好ましくは16〜20である。
また、一般式(V)のR13、R14のアシル基の主鎖の炭素数は、好ましくは9〜21、より好ましくは12〜20、さらに好ましくは16〜18である。
また、一般式(V)のR13、R14のアシル基における分岐の数は好ましくは1〜3、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。
さらに、一般式(V)のR13、R14のアシル基において、分岐鎖が結合する主鎖の炭素の位置番号は大きいほど好ましい。具体的には、分岐鎖は主鎖端部の炭素から、好ましくは1〜3個目の炭素、より好ましくは1又は2個目の炭素、さらに好ましくは1個目の炭素に結合していることが好ましい。
【0058】
R13、R14として具体的には、10−メチルウンデカノイル基、10−メチルドデカノイル基、11−メチルドデカノイル基,10−エチルウンデカノイル基、12−メチルトリデカノイル基、12−メチルテトラデカノイル基、14−メチルペンタデカノイル基、16−メチルヘプタデカノイル基、2,4,10,14−テトラメチルペンタノイル基、18−メチルノナデカノイル基、3,7,11,15−テトラ−メチルヘキサデカノイル基、19−メチルエイコサノイル基等を好適に例示することができる。
【0059】
一般式(V)においてZで表される、三価アルコールから誘導される基は、三価アルコールから、OH基が離脱した基であれば特に限定されないが、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンからなる群から選択される三価アルコールから、OH基が離脱した基が好適に例示できる。
【0060】
(2)親水性モノマー
本発明における親水性モノマーとしては、重合性カルボン酸、並びに前記一般式(IV)、下記一般式(VI)、下記一般式(VII)及び下記一般式(VIII)で表される化合物を用いることができる。
【0061】
(2−1)重合性カルボン酸
本発明において、重合性カルボン酸又はその塩としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩等が例示できる。これらの中では、重合性が高いことから、アクリル酸、メタクリル酸及びその塩が特に好ましい。本発明の両親媒性コポリマーに重合性のカルボン酸の塩から誘導される構成単位を導入する場合は重合性カルボン酸を予め塩となし、重合反応を行っても良いし、重合反応により、重合性カルボン酸から誘導される構成単位を両親媒性コポリマーに誘導した後、塩基により中和して塩となしてもよい。
【0062】
(2−2)一般式(IV)で表される親水性モノマー
前記一般式(IV)中、R10は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R11は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R12は水素原子、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアシル基を表す。nは6〜40の整数を表す。
【0063】
前記一般式(IV)においてR10で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基が例示できる。本発明において、R10は水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0064】
また、R11で表されるアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、2−ヒドロキシプロピレン基、1−ヒドロキシ−2−メチルエチレン基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチレン基などが例示できるが、これらのうち、好ましくはエチレン基又はプロピレン基であり、より好ましくはエチレン基である。
【0065】
また、R12で表される基のうち、炭素数6〜10の芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基等が例示でき;炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、オクチル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基などが好適に例示でき;炭素数1〜12のアシル基としては、フォルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ラウロイル基などが好適に例示できる。これらのうち、R5で表される基として好ましくは炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基である。
【0066】
さらに、一般式(IV)におけるnは6〜40の数値範囲である。
【0067】
前記一般式(IV)で表されるモノマーのうち、R11がプロピレン基であるモノマーとして具体的には、ポリプロピレングリコール(9)モノアクリレート、ポリプロピレングリコール(13)モノアクリレート、ポリプロピレングリコール(9)モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール(13)モノメタクリレート等が挙げられる。なお、括弧内の数字はNを表す。これらのポリマーの多くは市販品として入手可能である。これら市販品としては、具体的には、商品名「ブレンマー」AP−400、AP−550、AP−800、PP−500、PP−800(いずれも日本油脂(株)製)等が例示できる。
【0068】
前記一般式(IV)で表されるモノマーのうち、R11がエチレン基であるモノマーとして具体的には、ポリエチレングリコール(10)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(8)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(23)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(23)モノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(9)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(9)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(23)メタクリレート、オレイロキシポリエチレングリコール(18)メタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(18)アクリレート、ラウロイロキシポリエチレングリコール(10)メタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(30)モノメタクリレート等が挙げられる。
【0069】
上述の親水性モノマーは、対応するポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリエチレングリコールモノエステルとアクリル酸又はメタクリル酸のクロライド又は無水物とのエステル化反応により高収率で得ることができる。また、既に市販品も多数存在するので、かかる市販品を利用することも可能である。このような市販品としては、具体的に、商品名ブレンマー、AE−400、PE−350、AME−400、PME−400、PME−1000、ALE−800、PSE−1300等(いずれも日本油脂(株)製)等が例示できる。
【0070】
(2−3)一般式(VI)で表される親水性モノマー
本発明における親水性モノマーとして、下記一般式(VI)で表される親水性モノマーを用いても良い。
【0071】
(一般式VI)
【化9】
(VI)
(一般式(VI)中R15は水素原子またはメチル基をあらわす。)
【0072】
前記一般式(VI)で表される親水性モノマーとして具体的には、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(APC)、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)が挙げられる。これらのモノマーは、例えば、Polymer Journal, Vol22, No.5 記載の以下の方法により、合成が可能である。
<合成法>
2−ブロモエチルホスホリルジクロリドと2−ヒドロキシエチルメタクリレート又は2−ヒドロキシエチルアクリレートとを反応させ、2−メタクリロイルオキシエチル−2‘−ブロモエチルリン酸又は2−アクリロイルオキシエチル−2‘−ブロモエチルリン酸を得た後、これら化合物とトリエチルアミンをメタノール中で反応させる。
【0073】
(2−4)一般式(VII)で表される親水性モノマー
本発明における親水性モノマーとして、下記一般式(VII)で表される親水性モノマーを用いても良い。
【0074】
一般式(VII)
【化10】
(VII)
(一般式(VII)中R16は水素原子またはメチル基を、G−O−は還元糖の1位の水酸基より水素を除いた基を表す。mは2又は3を、lは1〜5の整数を表す。)
【0075】
一般式(VII)で表される親水性モノマーにおいて、G−O−で表される還元糖の1位の水酸基より水素を除いた基の還元糖としては、具体的には、グルコース、マンノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、リボースなどの単糖、マルトース、ラクトース、セロビオース等の2糖、マルトトリオース等の3糖、マルトオリゴ糖等のオリゴ糖からなる群から選択される一種または二種以上が例示されるが、中でも、グルコース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、リボース、マルトース、ラクトースセロビオースからなる群から選択される一種または二種以上が好ましく、グルコースが特に好ましい。また、一般式(VII)で表されるモノマーとしては、グルコシルオキシエチルメタクリレート(以下GEMAと省略する。)またはグルコシルオキシエチルアクリレート(以下GEAと省略する。)が好ましい。
【0076】
(2−5)一般式(VIII)で表される親水性モノマー
本発明における親水性モノマーとして、下記一般式(VIII)で表される親水性モノマーを用いても良い。
【0077】
一般式(VIII)
【化11】
(VIII)
(一般式(VIII)中R17は水素原子またはメチル基を、R18はアミノ酸残基、ポリアミン残基又はアミノアルコール残基を表す。Qは酸素原子又はNHで表される基を表す。)
【0078】
一般式(VIII)のモノマーにおいて、R18で表されるアミノ酸残基のアミノ酸としては、通常知られているアミノ酸であれば、特に限定されず、具体的には、グリシン、アラニン、グルタミン、リジン、アルギニン等が例示される。これらのうちでは、得られる両親媒性コポリマーが、皮膚バリアーの回復効果に優れるので、リジン残基が特に好ましい。
【0079】
また、R18で表されるポリアミン残基におけるポリアミンとは、同一分子内にアルキル基で置換されていても良いアミノ基を2個以上有するアミンを意味し、具体的には、ジアミン、トリアミン、テトラアミン又はこれらのアミノ基の水素原子がアルキル基で置換されているアミンが例示される。これらのうちでは、得られる両親媒性コポリマーを含有する皮膚外用剤の使用感が特に優れることから、ジアミンが好ましく、特に好ましい具体例として、合成する際の原料の入手の容易さから、エチレンジアミン、1,4−ジアミノ−n−ブタン、1,6−ジアミノ−n−ヘキサン等が挙げられる。
【0080】
さらに、R18で表されるアミノアルコール残基におけるアミノアルコールとは、同一分子内にアルキル基で置換されていても良いアミノ基及びアルコール性の水酸基を有する化合物を意味する。アミノアルコールとしては、通常知られているものであれば、特に限定はされないが、具体例としては、エタノールアミン、トリエチルアミノエタノール等が例示される。
【0081】
一般式(VIII)で表されるモノマーの塩としては、特に限定はされないが、具体的には、酸部分を塩基で中和した、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩等、また、アミノ基部分を酸で中和した、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、蓚酸塩、炭酸塩等が例示できる。本発明の両親媒性コポリマーに一般式(VIII)で表されるモノマーの塩から誘導される構成単位を導入する場合は一般式(VIII)で表されるモノマーを予め塩となし、重合反応を行っても良いし、重合反応により、一般式(VIII)で表されるモノマーから誘導される構成単位を両親媒性コポリマーに誘導した後、中和して塩となしてもよい。
【0082】
一般式(VIII)で表されるモノマー、その塩の具体例としては、以下の構造を有する化合物、その塩が好適に例示できる。
【0083】
【化12】
【0084】
【化13】
【0085】
【化14】
【0086】
【化15】
【0087】
【化16】
【0088】
【化17】
【0089】
【化18】
【0090】
【化19】
【0091】
【化20】
【0092】
【化21】
【0093】
【化22】
【0094】
一般式(VIII)で表される親水性モノマーは、例えば、下記に示すように(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロライドを用いたエステル化反応、アミド化反応により合成可能である。
【化23】
【化24】
(反応式中R17は水素原子またはメチル基を、R18はアミノ酸残基、ポリアミン残基又はアミノアルコール残基を表す。Qは酸素原子又はNHで表される基を表す。)
【0095】
上述の通り、本発明において親水性ポリマーとしては、前記一般式(IV)、前記一般式(VI)、前記一般式(VII)、及び前記一般式(VIII)を用いることができる。
本発明の好ましい実施の形態では、両親媒性コポリマーは前記一般式(IV)から誘導される構成単位IVを含む。
【0096】
(3)両親媒性コポリマー
本発明においては、構成単位IIと構成単位IVを有するアクリル酸系両親媒性コポリマーを好ましく用いることができる。また、より好ましくは構成単位Vと構成単位IVを有するアクリル酸系両親媒性コポリマーを用いる。
このようなアクリル酸系両親媒性コポリマーのうち、特に好ましくは(メタクリル酸メトキシPEG−23/ジイソステアリン酸メタクリル酸グリセリル)コポリマーを用いる。
このようなアクリル酸系両親媒性コポリマーを含有することにより、被膜の保湿性と柔軟性を向上させることができる。
【0097】
(メタクリル酸メトキシPEG−23/ジイソステアリン酸メタクリル酸グリセリル)コポリマーは、構成単位(a)として、前記一般式(V)で表される疎水性モノマーのうち、R13、R14が16−メチルヘプタデカノイル基である疎水性モノマーから誘導される構成単位(a)を主として含む。
また、構成単位(b)として、前記一般式(IV)で表される親水性モノマーのうち、R10がメチル基、R11がエチレン基、R12がメチル基、nが23である親水性モノマーから誘導される構成単位(b)を主として含む。
【0098】
本発明における両親媒性コポリマーとしては、上述のコポリマー以外にも、既存のコポリマーを用いることができる。具体的には、両親媒性コポリマーとしては以下に挙げる既存のコポリマーを用いることができる。
すなわち、ポリクオタニウム―51(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸ブチルをおよそ8:2のモル比で含む共重合体)、ポリクオタニウム―61(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸ステアリルをおよそ3:7のモル比で含む共重合体)、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー(グリセリル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)カルバメートとメタクリル酸ステアリルをおよそ6:4のモル比率で含む、重量平均分子量約40000の共重合体)、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン、(加水分解シルク/PGプロピルメチルシランジオール)クロスポリマー(N−〔2−ヒドロキシ−3−〔3−(ヒドロキシメチルシリル)プロポキシ〕プロピル〕加水分解シルクをシリル化した共重合体)、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10(エイコサン二酸,テトラデカン二酸の二塩基酸と平均重合度が10のポリグリセリンからなるオリゴマーエステル)、(グリセリン/オキシブチレン)コポリマーステアリル(ステアリルアルコールにグリシドール及びテトラヒドロフランを同時に反応させ、付加重合した、HLBが18.0の重合体)、ポリクオタニウム―7(塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリルアミドの共重合体)、ポリクオタニウム―39(アクリル酸、塩化ジメチルジアリルアンモニウム及びアクリルアミドターポリマー)、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン)コポリマー(アクリル酸ナトリウムとアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムとの共重合体)等の既存のコポリマーを用いることができる。
これらのうち、ポリクオタニウム―51、ポリクオタニウム―61、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマーを特に好適に例示することができる。
【0099】
本発明においては、両親媒性コポリマーにおける、構成単位(a)の全構成単位に占める割合は、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%、10〜30質量%である。
両親媒性コポリマーにおける、構成単位(a)が占める割合を前記範囲とすることによって、本発明の被膜の保湿性と柔軟性を向上させることができる。
【0100】
本発明においては、両親媒性コポリマーにおける、構成単位(b)の全構成単位に占める割合は、好ましくは50〜99質量%、より好ましくは60〜95質量%、70〜90質量%である。
両親媒性コポリマーにおける、構成単位(b)が占める割合を前記範囲とすることによって、本発明の被膜の保湿性と柔軟性を向上させることができる。
【0101】
本発明においては、両親媒性コポリマーを構成する、構成単位(a)と構成単位(b)の質量比は、好ましくは5:95〜50:50、より好ましくは10:90〜45:55、さらに好ましくは20:80〜40:60、さらに好ましくは25:75〜35:65である。
両親媒性コポリマーにおける構成単位(a)及び構成単位(b)の質量比を前記範囲とすることによって、本発明の被膜の保湿性と柔軟性を向上させることができる。
【0102】
本発明においては、両親媒性コポリマーを構成する、構成単位(a)と構成単位(b)のモル比は、好ましくは8:92〜62:38、より好ましくは15:85〜57:43、さらに好ましくは29:71〜52:48、さらに好ましくは35:65〜46:54である。
両親媒性コポリマーにおける構成単位(a)及び構成単位(b)のモル比を前記範囲とすることによって、本発明の被膜の保湿性と柔軟性を向上させることができる。
【0103】
本発明においては、両親媒性コポリマーの平均分子量は、好ましくは20000〜110000、より好ましくは20000〜80000、より好ましくは30000〜80000、より好ましくは40000〜70000、さらに好ましくは50000〜70000、さらに好ましくは57000〜66000である。
両親媒性コポリマーの分子量を前記範囲とすることによって、本発明の被膜の弾力性を向上させ、また、べたつき感を抑制することができる。
なお、ここで平均分子量とは、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量のことをいう。
【0104】
<1−2>海相
上述の島粒子は水性ゲルの海相に分散する。本発明において、水性ゲルは水溶性高分子及び/又はその塩と、該水溶性高分子に抱水された水により形成される。
水性ゲルを形成する水溶性高分子及び/又はその塩としては、両親媒性コポリマーを含む相を島粒子として分散させることができれば特に限定されないが、好ましくはアクリル酸系水溶性ポリマー、水溶性ポリペプチド及び水溶性多糖からなる群から選ばれる1種又は2種以上の水溶性高分子及び/又はその塩を用いることができる。
【0105】
前記アクリル酸系水溶性ポリマーとしては、非架橋型アクリル酸系重合体、または、架橋されていてもよいアクリル酸系共重合体を特に好ましく例示できる。また、前記非架橋型アクリル酸系重合体としてはポリアクリル酸ナトリウムが好ましく例示でき、前記架橋されていてもよいアクリル酸系共重合体としてはポリアクリル酸ナトリウム、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマーを好ましく例示することができる。
前記水溶性ポリペプチドとしては、ポリグルタミン酸ナトリウムを好ましく例示することができる。
前記水溶性多糖としては、キサンタンガムやシロキクラゲ多糖体を好ましく例示することができる。特に好ましくは水溶性多糖としてキサンタンガムを用いる。
このような水溶性高分子及び/又はその塩を用いることによって、本発明の被膜の保湿性と柔軟性を向上させることができる。
【0106】
<1−3>海島構造
本発明の被膜は、水性ゲルを含む海相に両親媒性コポリマーを含む島相が分散する海島構造を有する。
本発明の海島構造を有する被膜においては、海相と島相の面積比は、好ましくは2:8〜10:1、より好ましくは3:7〜9:1、さらに好ましくは6:4〜7:3である。
海相と島相の面積比が前記範囲である本発明の被膜は、弾力性に優れ、べたつきが少なく、保湿性と柔軟性に優れている。
【0107】
本発明の好ましい実施の形態では、島粒子の平均長軸短軸比が、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上である。
島粒子の平均長軸短軸比を前記範囲とすることによって、本発明の被膜の保湿性と柔軟性を向上させることができる。
なお、平均長軸短軸比は組成物を顕微鏡観察することによって測定することができる。具体的には、組成物を顕微鏡観察し、100個の島粒子の長軸短軸比を測定し、これを相加平均することによって求めることができる。
【0108】
また、本発明の好ましい実施の形態では、被膜中に含まれる全島粒子における、長軸短軸比が0.6未満、より好ましくは0.7未満、より好ましくは0.8未満の島粒子の存在比率が10%以下である。
また、本発明のより好ましい実施の形態では、組成物中に含まれる全島粒子における、長軸短軸比が0.8未満の島粒子の存在比率が5%以下、より好ましくは1%以下である。
このような実施の形態の本発明の被膜は、保湿性と柔軟性により優れる。
【0109】
本発明の好ましい実施の形態では、平均粒子径が0.5〜10μmの島粒子、より好ましくは平均粒子径が1〜5μmの島粒子の個数粒度分布が80%以上である。
また、本発明のさらに好ましい実施の形態では、平均粒子径が1〜5μmの島粒子の個数粒度分布が85%以上、より好ましくは90%以上である。
このような小さい粒子径の島粒子の個数粒度分布を前記範囲とすることによって、本発明の被膜の保湿性と柔軟性をより向上させることができる。
なお、島粒子の平均粒子径は組成物を顕微鏡観察することによって測定することができる。具体的には、組成物を顕微鏡観察によって島粒子の長軸と短軸を測定し、これを相加平均することによって求めることができる。
【0110】
本発明の被膜は、通常皮膚外用剤で使用される任意の成分を含有することができる。このような成分としては、オイル・ワックス類、炭化水素類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、合成エステル油類、シリコーン系油剤類、界面活性剤類、多価アルコール類、保湿成分類、増粘剤、粉体類、無機顔料類、有機色素類、有機粉体類、紫外線吸収剤類、低級アルコール類、ビタミン類、生体類似構造を有するポリマー等が挙げられる。
【0111】
オイル・ワックス類としては、例えばマカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等が挙げられ、
炭化水素類としては、例えば流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0112】
高級脂肪酸類としては、例えばオレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等が挙げられ、
高級アルコール類としては、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられ、
合成エステル油類としては、例えばイソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等が挙げられ、
シリコーン系油剤類としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等が挙げられる。
【0113】
界面活性剤類は、アニオン界面活性剤類、非イオン界面活性剤類のいずれでもよい。
アニオン界面活性剤類としては、例えば脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等が挙げられ、
非イオン界面活性剤類としては、例えばソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等が挙げられる。
【0114】
多価アルコール類としては、例えばポリエチレングリコール、エリスリトール、キシリトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられ、
保湿成分類としては、例えばピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等が挙げられ、
増粘剤としては、例えばグアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,
キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ベントナイト等が挙げられる。
【0115】
粉体類としては、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられ、
無機顔料類としては、例えば、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられ、
有機色素類としては、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等が挙げられ、
有機粉体類としては、例えばポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等が挙げられる。
【0116】
紫外線吸収剤類としては、例えばパラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等が挙げられ、
低級アルコール類としては、例えばエタノール、イソプロパノール、フェノキシエタノール等が挙げられ、
ビタミン類としては、例えばビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等が好ましく例示できる。
生体類似構造を有するポリマーとしては、例えばポリメタクリロイルリジン、ポリグリコシルエチルメタクリレート等が例示できる。
【0117】
本発明においては、オイル・ワックス類、炭化水素類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、合成エステル油類、シリコーン系油剤類などの油剤の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下とする。
また、本発明の好ましい実施の形態では、油剤を含有しない。
本発明の海島構造を有する被膜は、水性成分を主体とするにも関わらず、油剤を含むミルクのような使用感を発揮することができる。
そのため、本発明の海島構造を有する被膜は、オイルフリーの形態とすることができる。
【0118】
また、本発明においては、界面活性剤の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下とする。
また、本発明の好ましい実施の形態では、界面活性剤を含有しない。
本発明の被膜は、界面活性剤を含まずとも安定な海島構造を形成することができる。
そのため、本発明の海島構造を有する被膜は、界面活性剤フリーの形態とすることができる。
【0119】
<2>被膜を形成する組成物
本発明は、肌に塗布することによって上述の本発明の海島構造を有する被膜を肌上に形成することができる組成物にも関する。
本発明の組成物は、上述の両親媒性コポリマー及び水溶性高分子及び/又はその塩と、水を含有する。
肌へ塗布することで、組成物中の水が蒸発し、両親媒性コポリマーと水溶性高分子が相分離を起こす。この相分離の結果、本発明の被膜が肌上に形成される。なお、相分離後においては、組成物中の水及びポリオールは水溶性高分子が形成する水性ゲルに取り込まれる。
以下、本発明の組成物についてさらに詳述する。なお、本発明の組成物については、上記<1>の項目に記載した本発明の被膜に関する事項を適用することができる。
【0120】
本発明の組成物において、両親媒性コポリマーの含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜7質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。
両親媒性コポリマーの含有量が前記範囲である本発明の組成物によれば、弾力性に優れべたつきの少ない被膜を肌上に形成することができる。
【0121】
本発明においては、組成物全体に占める前記水溶性高分子の割合は、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.005〜5質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
水溶性高分子の含有量が前記範囲である本発明の組成物によれば、保湿性と柔軟性に優れた被膜を肌上に形成することができる。
【0122】
本発明の好ましい実施の形態では、水溶性高分子と両親媒性コポリマーの含有量の質量比は、好ましくは1:100〜1:2、より好ましくは1:50〜1:5、さらに好ましくは1:30〜1:10、さらに好ましくは1:25〜1:15である。
水溶性高分子と両親媒性コポリマーの含有量の質量比が前記範囲である本発明の組成物によれば、均一性の高い被膜を形成することができる。
【0123】
本発明においては、海相と島相の分離を促進・抑制するポリオールを含むことが好ましい。
すなわち、本発明の好ましい実施の形態では、水性ゲルと両親媒性コポリマーの相分離を促進するポリオール(以下、促進性ポリオールともいう)及び/又は水性ゲルと両親媒性コポリマーの相分離を抑制するポリオール(以下、抑制性ポリオール)を含む。また、促進性ポリオールと抑制性ポリオールを両方含むことが特に好ましい。
このようなポリオールを含有する本発明の組成物によれば、均一性の高い海島構造を有する被膜を肌上に形成することができる。
【0124】
促進性ポリオールとしては、親水性部分にポリエーテル鎖を持つ非イオン性界面活性剤の水溶液と混合することにより、該水溶液の曇点を上昇させるポリオールを好ましく例示することができる。このような促進性ポリオールとしては、1,3−ブチレングリコール及びポリエチレングリコールを好ましく例示することができる。
このようなポリオールを用いることで、より均一性の高い被膜を形成することが可能になる。
【0125】
本発明においては、本発明の組成物全体における促進性ポリオールの含有量は、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは3〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である。
本発明の組成物全体における促進性ポリオールの含有量を前記範囲とすることによって、形成する被膜の均一性をより向上させることができる。
【0126】
抑制性ポリオールとしては、親水性部分にポリエーテル鎖を持つ非イオン性界面活性剤の水溶液と混合することにより、該水溶液の曇点を下降させるポリオールを好ましく例示することができる。このような抑制性ポリオールとしては、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールを好ましく例示することができる。
このようなポリオールを用いることで、より均一性の高い被膜を形成することが可能になる。
【0127】
本発明の組成物全体における抑制性ポリオールの含有量は、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは8〜15質量%である。
促進性ポリオールの含有量を前記範囲とすることによって、形成する被膜の均一性をより向上させることができる。
【0128】
なお、本発明において曇点とは、透明または半透明な液体において、温度変化によって相分離が起き、その結果不透明になる温度のことを言い、特に非イオン系界面活性剤の水溶液を加温した際に溶質が水と分離し始める温度のことを言う。
親水性部分にポリエーテル鎖を持つ非イオン性界面活性剤の水溶液の曇点を上昇させるか、それとも下降させるかは、具体的に以下の方法により確認することができる。
親水性部分にポリエーテル鎖を持つ非イオン性界面活性剤の水溶液を加温し、該水溶液が白く濁り始める温度、すなわち曇点を記録する。次に該水溶液にポリオールを加えて混合したものを加温し、同様に曇点を記録する。
ポリオールを加える前の水溶液よりも、加えた後の水溶液の方が、曇点が高い場合には、加えたポリオールは「該水溶液の曇点を上昇させた」と評価する。
反対に、ポリオールを加える前の水溶液よりも、加えた後の水溶液の方が、曇点が低い場合には、加えたポリオールは「該水溶液の曇点を下降させた」と評価する。
【0129】
上述の曇点の計測に用いる、親水性部分にポリエーテル鎖を持つ非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレングリコールを親水性部分に持つ非イオン系界面活性剤を好ましく例示することができる。
このような非イオン系界面活性剤として具体的には、ポリオキシエチレンナレイルエーテル(POE(n)OE,n=3,10,15,20,23)(日本エマルジョン(株)製)、POE(20)ソルビタンモノステアラート(東邦化学(株)製)、POE(20)グリセリンモノステアラート(理研ビタミン(株)製)、POE(10)モノステアラート(日光ケミカルズ(株)製)、ポリグリセリン(6)モノラウラート(阪本薬品(株)製)を例示することができる。
【0130】
本発明においては、促進性ポリオールと抑制性ポリオールの質量比は、好ましくは10:1〜1:10、より好ましくは6:1〜1:5、さらに好ましくは4:1〜1:3、さらに好ましくは3.5:1〜1:2.5、さらに好ましくは1.6:1〜1:1である。
促進性ポリオールと抑制性ポリオールの質量比を前記範囲とすることによって、高い安定性の海島構造を有する被膜を形成することができる組成物を提供することができる。
【0131】
本発明においては、促進性ポリオールと抑制性ポリオールの総質量と、両親媒性コポリマーの含有質量の比は、5:1〜20:1、より好ましくは7:1〜15:1、さらに好ましくは8:1〜12:1である。
促進性ポリオールと抑制性ポリオールの総質量と、両親媒性コポリマーの質量の比を前記範囲とすることによって、高い安定性の海島構造を有する組成物を提供することができる。
【0132】
また、本発明においては、促進性ポリオールと抑制性ポリオールの総質量と、両親媒性コポリマーと水溶性高分子の総質量の比は、5:1〜20:1、より好ましくは7:1〜15:1、さらに好ましくは8:1〜12:1である。
促進性ポリオールと抑制性ポリオールの総質量と、両親媒性コポリマーの質量の比を前記範囲とすることによって、高い安定性の海島構造を有する組成物を提供することができる。
【0133】
本発明の好ましい実施の形態では、促進性ポリオール、抑制性ポリオール及び両親媒性コポリマーの3成分の総量における促進性ポリオールの含有量が、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは40〜60質量%、さらに好ましくは40〜55質量%である。
促進性ポリオールの含有量を前記範囲とすることによって、組成物中に沈殿が生じることを防ぎ、組成物の安定性を向上させることができる。また、このような形態の組成物は、保湿性と柔軟性に優れた被膜を形成することができる。
【0134】
また、本発明の好ましい実施の形態では、促進性ポリオール、抑制性ポリオール及び両親媒性コポリマーの3成分の総量における抑制性ポリオールの含有量が、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜60質量%、さらに好ましくは35〜50質量%である。
抑制性ポリオールの含有量を前記範囲とすることによって、組成物中に沈殿が生じることを防ぎ、組成物の安定性を向上させることができる。また、このような形態の組成物は、保湿性と柔軟性に優れた被膜を形成することができる。
【0135】
また、本発明の好ましい実施の形態では、促進性ポリオール、抑制性ポリオール及び両親媒性コポリマーの3成分の総量における両親媒性コポリマーの含有量が、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは3〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%、さらに好ましくは8〜12質量%である。
両親媒性コポリマーの含有量を前記範囲とすることによって、肌に塗布しやすい粘性を有する組成物を提供することができる。また、このような形態の組成物は、保湿性と柔軟性に優れた被膜を形成することができる。
【0136】
本発明の好ましい形態では、促進性ポリオール、抑制性ポリオール及び両親媒性コポリマーの3成分の総量において、促進性ポリオールの含有量が20〜70質量%であり、抑制性ポリオールの含有量が20〜70質量%であり、両親媒性コポリマーの含有量が5〜20質量%である。
このような実施の形態とすることのよって、組成物の安定性を向上させることができる。
【0137】
また、促進性ポリオール、抑制性ポリオール及び両親媒性コポリマーの3成分の総量における促進性ポリオールの含有量、抑制性ポリオールの含有量及び両親媒性コポリマーの含有量を前記範囲に調整することによって、本発明の組成物によって形成される被膜における島粒子の長軸短軸比及び平均粒子径を前記<1−3>の項目に記載した好ましい範囲に調整することが可能になる。
【0138】
本発明の組成物は、原料を常温において撹拌混合することによって製造することができる。
【0139】
本発明の組成物における水の含有量は、好ましくは60〜99質量%、より好ましくは70〜95質量%、さらに好ましくは80〜90質量%である。
水の含有量が前記範囲である本発明の組成物を肌に塗布することによって、容易に本発明の被膜を肌上に形成することが可能になる。
【0140】
<3>肌上に被膜を形成する方法
本発明は、上述の本発明の被膜を肌上に形成する方法にも関する。
本発明の方法は、本発明の組成物を肌に塗布することを特徴とする。塗布により組成物中の水が蒸発することによって、水溶性高分子が形成する水性ゲルと両親媒性コポリマーが相分離を起こす。この相分離の結果、本発明の海島構造を有する被膜を肌上に形成することができる。
【0141】
本発明においては、両親媒性コポリマーと水性ゲルの相分離を促進するポリオール及び/又は前記水性ゲルと前記両親媒性コポリマーの相分離を抑制するポリオールを含む水溶液を用いることが好ましい。
このような水溶液を用いることによって、均一性に優れた被膜を肌上に形成することができる。
【0142】
また、本発明の組成物においては、オイル・ワックス類、炭化水素類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、合成エステル油類、シリコーン系油剤類などの油剤の含有量は、好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下とする。
また、本発明の好ましい実施の形態では、油剤を含有しない。
【0143】
また、本発明の組成物においては、界面活性剤の含有量は、好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下とする。
また、本発明の好ましい実施の形態では、界面活性剤を含有しない。
【0144】
本発明の方法における組成物と被膜の好ましい形態は上記<1>及び<2>の項目に記載した通りである。
【実施例】
【0145】
<製造例>
表1に示すように、キサンタンガムと両親媒性コポリマーの含有量を固定して、1,3−ブチレングリコール(促進性ポリオール)及びグリセリン(抑制性ポリオール)の含有量を種々変更して、実施例1〜21の本発明の組成物を調製した。それぞれの実施例における1,3−ブチレングリコールとグリセリンの含有量は、キサンタンガムと両親媒性コポリマーの総量との関係で、図1に示す3成分系相図で表されるように調整した。
なお、両親媒性コポリマーとしては、疎水性モノマーであるグリセリルジイソステアレートメタクリレートと、親水性モノマーであるメタクリル酸メトキシPEG−23を、およそ3:7のモル比で共重合させた、平均分子量61000の(グリセリルジイソステアレートメタクリレート/メタクリル酸メトキシPEG−23)コポリマーを用いた。
また、以下の試験例においては、顕微鏡による海島構造の観察を容易にするために、蛍光プローブ「NBD−COCl」を化学的に導入した(グリセリルジイソステアレートメタクリレート/メタクリル酸メトキシPEG−23)コポリマーを用いて組成物を調製した。
【0146】
【表1】
【0147】
<試験例1>被膜の海島構造の観察
約0.5gの実施例1〜21の組成物をスライドガラス上の約1.5cm×1.5cmの範囲に塗布し、40℃で3日間放置し組成物中の水分を蒸発させることで、スライドガラス上に被膜を形成した。このようにして形成した実施例1〜21の被膜の構造を共焦点レーザー走査顕微鏡によって観察した。
その結果、何れの組成物も海島構造を形成していた。図2に実施例3、4、6、9、11、12、13、17、18、20、21の組成物の顕微鏡写真を示す。
【0148】
図2に示すように、実施例13、17及び18の組成物中では島粒子の凝集が見られ、平均粒子径が10μmを越える島粒子や、長軸短軸比が0.5未満の島粒子が多く観察された。
一方、実施例1〜12の組成物は何れも島粒子の凝集が見られず、平均粒子径が1〜5μmの微細な島粒子の個数粒度分布が80%以上であった。
この結果は、図1の3成分系相図に示した成分の総量における水溶性高分子と両親媒性コポリマーの総量が15質量%以下である組成物は、島粒子の凝集を起こしにくいことを示している。
【0149】
また、島粒子の凝集が見られず、平均粒子径が1〜5μmの微細な島粒子の個数粒度分布が80%以上であった実施例1〜12の被膜における海相と島相の面積比は、6:4〜7:3であった。
【0150】
<試験例2>官能評価
実施例1の組成物を48人の評価者に使用させ、肌に塗布した後に肌上に形成される被膜について、しっとり感、弾力感、やわらかさ、もちもち感、ふっくら感、べたつきについて図3に示すように7点満点で評価させた。また、比較対象として市販の化粧水及び乳液を使用させた。結果は図3に示す。
なお、化粧水としては、水を主として含み、ポリオール、既知の水溶性高分子、防腐剤及びエキス類を含む一般的なものを使用した。また、乳液としては油相成分としてミネラルオイル、マカデミアナッツ油等を含む水中油型乳化化粧料を使用した。
【0151】
図2に示すように、実施例1の組成物を肌に塗布した後に形成される被膜については、しっとり感、弾力感、やわらかさ、もちもち感、ふっくら感の項目について油剤を含む乳液と同等かそれ以上の高評価を得た。
また、図2に示すように、実施例1の組成物が形成する被膜は、べたつき感が乳液と比して著しく低く、化粧水と同程度であった。
【0152】
この結果は、本発明の組成物は水性成分を主体とするにも関わらず、油剤を含むミルクのような感触を有する被膜を肌上に形成することができることを示している。特に、本発明の組成物は、水溶性の成分を主とした化粧料では達成が困難である、保湿性と柔軟性の両立を実現することができることを示している。
また、この結果は、本発明の組成物は水性成分を主として構成されているため、油剤を含む化粧料に見られるべたつき等のデメリットが少ないことを示している。
【0153】
<製造例3>
表2の処方に従って実施例22及び23の本発明の組成物を調整した。
【0154】
【表2】
【0155】
実施例22及び23の組成物が形成する被膜を試験例2と同様の手法によって顕微鏡によって観察した。その結果、実施例1〜12の被膜と同様に、何れも島粒子の凝集が見られず、平均粒子径が1〜5μmの微細な島粒子の個数粒度分布が80%以上であった。
この結果は、両親媒性コポリマーとしてポリクオタニウム−61及び(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマーを用いた場合であっても、良好な海島構造を有する被膜を形成することができることを示している。すなわち、疎水性モノマーから誘導される構成単位と、親水性モノマーから誘導される構成単位を有する両親媒性コポリマーの種類を種々変更した場合であっても、水溶性高分子と水と組み合わせることによって、海島構造を有する被膜を形成することが可能な組成物を調製することができることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明はオイルフリーの化粧料に応用することができる。
【符号の説明】
【0157】
1 実施例1
2 実施例2
3 実施例3
4 実施例4
5 実施例5
6 実施例6
7 実施例7
8 実施例8
9 実施例9
10 実施例10
11 実施例11
12 実施例12
13 実施例13
14 実施例14
15 実施例15
16 実施例16
17 実施例17
18 実施例18
19 実施例19
20 実施例20
21 実施例21

図1
図2
図3