(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正手段は、前記判別手段で重なると判別された場合に、前記セキュリティタグの段差部分に重なる印字項目のうちの文字の印字位置を、又は前記重なる印字項目のうちの文字と当該文字近傍の文字の印字位置を、文字単位で、前記段差部分以外の位置にずらす補正を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
前記判別手段で重なると判別され、且つ、前記補正手段による前記印字項目の位置を補正する処理ができない場合に、その旨を報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る印刷装置は、セキュリティタグを備えたラベルを発行する。この印刷装置は、ラベルフォーマット上のセキュリティタグの貼り付け位置情報を記憶する記憶手段と、セキュリティタグの位置と印字項目の位置に基づいて、セキュリティタグと印字項目の重なりを判別する判別手段と、判別手段によりセキュリティタグと印字項目が重なると判別された場合に印字項目の位置を補正する補正手段と、などを有する。
また、本実施形態では、印刷装置は、判別手段によりセキュリティタグと印字項目が重なると判別された場合に、その旨を報知する報知手段を備える。
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る印刷装置を、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態は図示の内容を含むが、これのみに限定されるものではない。尚、以後の各図の説明で、既に説明した部位と共通する部分は同一符号を付して重複説明を一部省略する。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る印刷装置100は、ラベルロール2から感熱紙であるラベルLが貼付されている台紙Dを引き出して、印字部3としてのサーマルヘッドとステッピングモータ18などにより駆動されるプラテンローラ19との間で挟んで搬送するとともに、印字項目に応じてラベルLを加熱して、ラベルLに印字を行い、ラベルLを発行する。台紙Dは回収ロール部17により回収される。
【0015】
図2、
図3に示したように、ラベルLは、表面側に印字面として感熱発色面を備え、裏面側に粘着層Lnが設けられ、印字面部と粘着層Lnとの間にタグT(セキュリティタグ)が設けられ、それらが台紙Dの非粘着性表面Daに貼付されている。
【0016】
タグTは、例えば、無線タグであり、本実施形態ではセキュリティタグとして用いられる。タグTは、例えば、金属材料により形成されたアンテナ部、LC回路などを備え、必要に応じてICチップなどを備える。このタグTは厚みを有し、この厚みが印刷時の印字不良の一要因となる場合がある。
【0017】
タグTの一例を説明する。例えば、無線送受信機(不図示)から所定の周波数の電磁波がタグTに送信され、共振したタグTから放射された位相のずれた電磁波を無線送受信機(不図示)で受信して、タグTを検知する。
【0018】
また、タグTがICチップを備える場合、ICチップには所定のデータ、プログラム等が記憶される。タグTは、アンテナ部を介して無線通信装置(不図示)とデータ通信可能に構成されている。
【0019】
なお、タグTが貼付されているラベルLは、感熱発色面を備えているものに限られるものではなく、例えば、感熱発色面を備えず、インクリボンを介して熱転写されるラベルであってもよいし、インクが塗布されることで印字されるラベルであってもよい。また、ラベルLは、台紙レスラベルであってもよい。
【0020】
図4に示したように、本発明の実施形態に係る印刷装置100は、制御部10(CPU)、記憶部としてのフラッシュメモリ11とRAM12、操作部13(操作入力部)、表示部14、通信部15、インタフェース16、サーマルヘッドなどの印字部3、ステッピングモータ18、及び検出部21、などを有する。伝送路20(バス)などにより、制御部10(CPU)、フラッシュメモリ11、RAM12、操作部13、表示部14、通信部15、インタフェース16、および、検出部21がデータ伝送可能に接続されている。
【0021】
制御部10は、例えば、フラッシュメモリ11上の制御プログラムなどのプログラムを実行して、印刷装置100の動作を統括する中央演算処理装置である。
【0022】
フラッシュメモリ11は、印刷装置100の制御プログラム、制御用データ等を記憶する読み出し専用メモリである。
【0023】
RAM12は、一時的にデータを呼び出して(読み出して)処理するためのワークエリアを有する。RAM12のワークエリアは、印字データをドットデータに展開するドット展開エリア、フォーマットファイルから1つのフォーマットデータを呼び出して記憶する呼出フォーマットエリア、商品データを呼び出して記憶する呼出商品データエリア、などを有する。
また、RAM12には、ラベル印字のためのフォーマットが定義されたラベルフォーマット(
図5(a)、
図6を参照)、ラベル印字用の各種商品データが定義された商品ファイル(
図5(b)を参照)、フォントファイル(キャラクタジェネレータ)などが記憶されている。また、RAM12は、ラベルフォーマット上のセキュリティタグの位置情報を記憶する。また、RAM12は、電源オフ時であっても、商品ファイル、書式ファイルなどを保持することができるように、バッテリでバックアップされている。
【0024】
また、RAM12は、ラベルへの印字内容を示す印字データ、印字位置を規定するラベルフォーマット、ラベル長、などを関連付けて記憶している。
【0025】
操作入力部(操作部13)は、印刷装置の操作を行うための入力装置である。また、印刷装置は、例えば、操作部13と表示部14を一体に構成されたタッチパネルを有してもよい。
【0026】
表示部14は、各種のメニュー画面やデータを表示する液晶ディスプレイなどの表示装置である。
通信部15は、上位管理装置としてのホストコンピュータなどと通信を行う。インタフェース16は、制御部10等と各駆動部やモータ等との間でデータの入出力を行う。
【0027】
サーマルヘッドなどの印字部3は、制御部10の指令に基づいてラベルに印字を行う。ステッピングモータ18は、制御部10の指令に基づいて、所定の印字位置、もしくは加熱位置へラベルが搬送されるようにプラテンローラ19などを回転駆動する。
【0028】
検出部21は、印刷装置の筐体の排出口の近傍に設けられている。この検出部21は、排出口に印字されたラベルが残っているか否かを検出する。ラベルが排出口に残っている場合、制御部は印字処理を抑止する。
【0029】
また、印刷装置の制御部10は、検出部21によりラベル6が排出口23に残っていないことを検出した場合、記憶部(フラッシュメモリ11やRAM12など)に記憶された印字データを印字フォーマットに従って印字部3としてのサーマルヘッドにより印字処理が可能となる。
【0030】
制御部10は、制御プログラムを実行することにより、本発明に係る機能をコンピュータである印刷装置100に実現する。制御部10は、判別部101、補正部102、報知部103などを有する。
【0031】
判別部101は、セキュリティタグTの位置情報と印字項目の位置に基づいて、セキュリティタグと印字項目の重なりを判別する。
また、判別部101は、セキュリティタグTの位置情報と印字項目の位置に基づいて、セキュリティタグの段差部分(エッジ部分)と印字項目の重なりを判別してもよい。
【0032】
補正部102は、判別部101によりセキュリティタグと印字項目が重なると判別された場合に、印字項目の位置を補正する処理を行う。また、補正部102は、判別部101によりセキュリティタグの段差部分(エッジ部分)と印字項目が重なると判別された場合に、印字項目の位置を補正する処理を行ってもよい。
【0033】
報知部103は、判別部101によりセキュリティタグと印字項目が重なると判別された場合に、その旨を報知する処理を行う。また、報知部103は、判別部101によりセキュリティタグの段差部分(エッジ部分)と印字項目が重なると判別された場合に、その旨を報知する処理を行ってもよい。
また、報知部103は、判別部101によりセキュリティタグと印字項目が重なると判別され、且つ、補正部102による印字項目の位置を補正する処理ができない場合に、その旨を報知する処理を行う。
また、報知部103は、判別部101によりセキュリティタグの段差部分(エッジ部分)と印字項目が重なると判別され、且つ、補正部102による印字項目の位置を補正する処理ができない場合に、その旨を報知する処理を行ってもよい。
【0034】
商品ファイルには、例えば、
図5(b)に示したように、品番、品名、値段、ラベルフォーマット番号(NO)等が関連付けられて記憶されている。
【0035】
ラベルフォーマットには、例えば、
図5(a)に示したように、ラベルフォーマットNO毎にタグ付きラベルのサイズ(縦、横寸法)、タグ付きラベルとタグつき付きラベルの間のギャップ、使用するセキュリティタグの種類、セキュリティタグが貼付される位置情報、印字可能領域、印字不可領域、などが関連付けられて記憶されている。
【0036】
印字装置の設定画面では、例えば、
図6に示したように、ラベルフォーマットを表示することができる。例えば、ラベルLに貼付されている種類AのタグTの位置情報は、
図6に示したように、ラベルLの左上を基準点(0,0)とした場合、(XA,YA)に規定されている。
【0037】
例えば、印字不可領域NPA1は、略O形状のタグTの配置領域である。また、タグTのエッジ部分から所定距離(例えば、数mm)だけ離れた領域までは、印字ヘッド圧が不均一となるので、印字不可領域NPA1としてもよい。
【0038】
印字可能領域PA1は、ラベルの印字面のうち、タグTの印字不可領域NPA1以外の領域である。また、略O形状のタグTの内側の領域を、印字可能領域PA1としてもよい。
【0039】
また、ラベルフォーマットとしては、例えば、
図6に示したように、商品名情報が印字される領域F1、重量情報が印字される領域F2、価格情報が印字される領域F3、コード情報が印字される領域F4、消費期限情報が印字される領域F5、加工日情報が印字される領域F6、店名情報が印字される領域F7、などが規定されている。
【0040】
印刷装置は、例えば、
図7に示したように、ラベルフォーマット情報、及び印字データに基づいて、単純に印字位置を補正せずに印刷した場合を想定して、シミュレーションにより、タグTのエッジ部分などで印字不良NGが生じることを表示部に表示することができる。
【0041】
補正部は、判別部によりセキュリティタグTの位置情報と印字項目の位置に基づいて、セキュリティタグTの段差部分(エッジ部分)と印字項目が重なると判別した場合に、印字項目の位置を補正する処理を行う。制御部は、例えば、
図8に示したように、印字位置を補正した後の印字イメージを表示部に表示することができる。具体的には、
図8に示した例では、商品名情報の印字位置がタグTのエッジ部分と重なっているので、補正部が印字位置を
図8の下側に所定距離だけずらす補正処理を行った。上記補正部の補正処理は、自動的に行われる。
また、補正部による印字項目の位置を補正する処理としては、タグのエッジ部分を避けるために、例えば、印字位置を印字不可領域から印字可能領域へ移動する、印字間隔を広く設定する、領域F1〜F7の配置を変更する、などを挙げることができる。
【0042】
また、印字位置の微調整は、例えば、印刷装置の操作者が表示部に表示された印字イメージを見ながら、操作入力部を操作することで、所望の印字設定を行うことができる。
【0043】
次に、印刷装置の動作の一例を説明する。
図9に示したステップST11において、制御部10は、商品情報等を記憶部から読み出す処理を行う。
【0044】
ステップST12において、制御部10は、印字フォーマット(ラベルフォーマット)を記憶部から読み出す処理を行う。
【0045】
ステップST13において、制御部10は、タグTの設定を行う。詳細には、例えば、操作者が操作部13を操作して、設定画面にて、タグの種類や位置、ラベルの種類などの設定入力に応じて、制御部10が設定を行う。
【0046】
ステップST14において、制御部10は、印字イメージを設定する処理を行う(例えば
図6参照)。
【0047】
ステップST15において、制御部10の判別部101は、セキュリティタグと印字項目の重なりを判別し、重なっていると判別した場合にステップST17の処理に進み、重なっていない場合にステップST16の通常の印字処理を行う。尚、制御部10の判別部101は、セキュリティタグの段差部分(エッジ部分)と印字項目の重なりを判別し、重なっていると判別した場合にステップST17の処理に進み、重なっていない場合にステップST16の通常の印字処理を行ってもよい。
【0048】
ステップST17において、制御部10の報知部103は、上記重なっている旨を報知する処理を行う。報知処理としては、その旨を表示部に表示する、その旨を発音部により報知する、などを挙げることができる。
【0049】
ステップST18において、制御部10は、印字項目の位置補正が可能か否かを判別し、可能でない場合にその旨を報知する処理を行い(ステップST21)、ステップST14の処理に進む。また、制御部10は、印字項目の位置補正が可能でないと判別した場合、ステップST19の処理に進む。
【0050】
ステップST19において、制御部10の補正部102は、印字項目の位置を補正する処理を行う。詳細には、補正部102は、タグを避けるために、又はタグのエッジ部分を避けるために、例えば、印字位置を印字不可領域から印字可能領域へ移動するなどの補正処理を行う(例えば、
図8参照)。
【0051】
ステップST20において、制御部10は、補正部による補正処理に基づいて、印字処理を行う。
【0052】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る印刷装置100は、セキュリティタグなどのタグ(無線タグ)を備えたラベルを発行する。この印刷装置100は、ラベルフォーマット上のセキュリティタグの位置情報を記憶する記憶手段(記憶部としてのフラッシュメモリ11やRAM12等)と、セキュリティタグの位置情報と印字項目の位置に基づいて、セキュリティタグと印字項目の重なりを判別する判別手段(判別部101)と、判別手段(判別部101)で重なると判別された場合に、印字項目の位置を補正する補正手段(補正部102)と、を有する。
すなわち、補正部102が印字項目の位置を補正し、その補正された印字項目に基づいて印字部3のサーマルヘッドが印字を行うので、セキュリティタグでの印字不良を防止することができ、きれいな印字を行うことができる。
【0053】
また、本発明の実施形態に係る印刷装置100は、セキュリティタグと印字項目が重なると判別された場合、表示部や発音部(不図示)などにより報知部103がその旨を報知するので、操作者は、セキュリティタグの段差部分(エッジ部分)と印字項目が重なることを認識することができ、印刷の中止や、印刷前に印字イメージを再設定することができる。
【0054】
また、本発明の実施形態に係る印刷装置100は、報知手段(報知部103)が、判別部101で重なると判別され、且つ、補正部102による印字項目の位置を補正する処理ができない場合に、報知部がその旨を報知するので、印刷の中止や、印刷前に印字イメージを再設定することができる。
【0055】
また、上述したように、本発明の実施形態に係る印刷装置100の判別手段(判別部101)は、セキュリティタグの段差部分(エッジ部分)と印字項目の重なりを判別してもよい。すなわち、セキュリティタグのエッジ部分と印字項目とが重なった場合に、補正部による補正処理や、報知部による報知処理を行い、タグのエッジ部分以外の部分と印字項目とが重なった場合には、印字不良が生じないとして、補正処理や報知処理を行わないようにすることで、印字可能な領域が広くなる。また、印刷装置100は、セキュリティタグの段差部分(エッジ部分)での印字不良を防止することができ、きれいな印字を行うことができる。
【0056】
また、上述した本発明の実施形態に係る印刷装置から印刷されるラベルを、被貼付物(商品や物品など)に貼付する貼付装置を提供することができる。すなわち、貼付装置は、きれいに印字されたセキュリティタグ付きのラベルを被貼付物に貼付することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【0058】
上述した実施形態では、セキュリティタグが貼付されている台紙付きラベルロールから、引き出されたサーマルラベル(感熱紙)に、サーマルヘッド(印字部)で印字を行ったが、この形態に限られるものではない。例えば、印刷装置は、台紙レスラベルに印字してもよい。
【0059】
また、例えば、
図10(a)に示したように、タグT付きのラベルLにおいて、印字位置補正前の印字イメージがタグTの段差部分(エッジ部分)と文字の位置が重なっている場合(
図10(b)参照)、本発明の実施形態に係る印刷装置は、文字単位で印字位置を補正してもよい(
図10(c)参照)。詳細には、印刷装置は、タグTの段差部分(エッジ部分)を避けるように、段差部分(エッジ部分)と重なる文字の印字位置、及び必要に応じてその重なる文字近傍の文字の印字位置を、文字列の並び方向にずらす補正処理を行ってもよい。すなわち、この補正処理により、位置補正された文字と、それ以外の文字との間隔が僅かに大きくなる、又は小さくなるが、ラベルにきれいに印字し、印字不良が低減した印刷装置を提供することができる。
【0060】
また、本発明の実施形態に係る印刷装置の報知処理や補正処理は、以下のように行ってもよい。
1.印刷装置の制御部は、ラベルフォーマット設定時に、印字項目の枠や、各文字単位で、報知処理や補正処理を行う。
2.事前にラベルフォーマットが設定されており、記憶部などから具体的な商品データを呼び出した場合に、印刷装置の制御部が、実際に印字する文字について補正処理や報知処理を行う。
また、印刷装置の制御部は、印字項目の大枠、文字単位、具体的に印字される文字のいずれか、又は2つ以上の組み合わせに基づいて、印字位置の補正処理や報知処理を行ってもよい。この場合、印字不良をさらに低減して、きれいな印字を行うことが可能な印刷装置を提供することができる。
【0061】
また、印刷装置の制御部は、印字イメージを作成する際に、セキュリティタグ(又はセキュリティタグの段差部分(エッジ部分))と印字項目とが重なっている場合、その重なり部分を強調して表示部に表示する処理を行ってもよい。強調表示処理としては、例えば、目立つ色(他の部分と異なる色等)で重なり部分を表示する、点滅表示する、などを挙げることができる。