(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下では、印刷用紙9が搬送される方向を「搬送方向」、搬送方向に直交する水平方向を「幅方向」とそれぞれ称する。
【0025】
<1.印刷装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷装置1の構成を、概念的に示した図である。
図2は、第1ヘッドユニット31の下面図である。
図3は、第2ヘッドユニット32の下面図である。
【0026】
この印刷装置1は、長尺帯状の記録媒体である印刷用紙9を搬送しつつ、ヘッドユニット31,32の複数のラインヘッド40,50から印刷用紙9にインク滴を吐出することにより、印刷用紙9にカラー画像を記録するインクジェット方式の印刷装置である。
図1に示すように、印刷装置1は、搬送機構20、3つの第1ヘッドユニット31、1つの第2ヘッドユニット32、制御部10および操作部100を備えている。
【0027】
搬送機構20は、印刷用紙9を保持しつつその長手方向である搬送方向に沿って搬送するための機構である。本実施形態の搬送機構20は、巻き出し部21、複数の搬送ローラ22、および巻き取り部23を有する。
【0028】
巻き出し部21、複数の搬送ローラ22、および巻き取り部23には、動力源となるモータ(図示せず)が連結されている。制御部10がモータを駆動させると、巻き出し部21、複数の搬送ローラ22、および巻き取り部23がそれぞれ回転する。なお、搬送ローラ22の一部または全部は、モータに連結されず、印刷用紙9の動きに従って回転する従動ローラであってもよい。
【0029】
複数の搬送ローラ22は、印刷用紙9の搬送経路を構成する。各搬送ローラ22は、水平軸を中心として回転することによって、印刷用紙9を搬送経路の下流側へ案内する。また、複数の搬送ローラ22に印刷用紙9が接触することで、印刷用紙9に張力が与えられる。このように、印刷用紙9は、巻き出し部21から繰り出され、複数の搬送ローラ22により構成される搬送経路に沿って、巻き取り部23へ搬送される。搬送後の印刷用紙9は、巻き取り部23へ回収される。
【0030】
3つの第1ヘッドユニット31および1つの第2ヘッドユニット32は、印刷用紙9の搬送経路の上方に、搬送方向に間隔をあけて配列されている。3つの第1ヘッドユニット31は、それぞれ、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)のインク滴を、印刷用紙9の上面に吐出する。第2ヘッドユニット32は、ブラック(K)のインク滴を、印刷用紙9の上面に吐出する。
【0031】
印刷装置1は、印刷用紙9が各ヘッドユニット31,32の下方を1回だけ通過する間に、各ヘッドユニット31,32からインク滴を吐出することにより、印刷用紙9上に所望の画像パターンを記録する、いわゆるワンパス式の記録装置である。
【0032】
第1ヘッドユニット31は、第1インクのインク滴を吐出するヘッドユニットである。本実施形態では、第1インクとして、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の3種類のインクが用いられる。
図2に示すように、第1ヘッドユニット31は、筐体311と、筐体311に取り付けられた2つの第1ラインヘッド40とを有する。
【0033】
第2ヘッドユニット32は、第2インクのインク滴を吐出するヘッドユニットである。本実施形態では、第2インクとして、ブラック(K)のインクが用いられる。
図3に示すように、第2ヘッドユニット32は、筐体321と、筐体321に取り付けられた3つの第2ラインヘッド50とを有する。
【0034】
図2に示すように、第1ラインヘッド40は、ヘッドホルダ61と、ヘッドホルダ61に取り付けられた複数の吐出ヘッド62とを有する。各吐出ヘッド62はそれぞれ、その下面である吐出面に、複数のノズル63を有する。個々のノズル63は、幅方向に位置をずらして配列されており、印刷用紙9上の1ピクセル幅の領域に対して、1つのノズル63が割り当てられている。
【0035】
複数の吐出ヘッド62は、幅方向に沿って千鳥状に(斜交いに交互に)配列されている。すなわち、複数の吐出ヘッド62は、幅方向に配列された第1の吐出ヘッド列601と、第1の吐出ヘッド列より下流側の位置において幅方向に配列された第2の吐出ヘッド列602とを有する。そして、第1の吐出ヘッド列601の各吐出ヘッド62と、第2の吐出ヘッド列602の各吐出ヘッド62とが、幅方向に関して交互に配列されている。このように、複数の吐出ヘッド62を千鳥状に配列したことで、各ノズル63が、幅方向に高い密度で配列されている。すなわち、各第1ラインヘッド40において、複数のノズル63が、幅方向に並んで配列されている。
【0036】
図3に示すように、第2ラインヘッド50は、ヘッドホルダ61と、ヘッドホルダ61に取り付けられた複数の吐出ヘッド62とを有する。第2ラインヘッド50の構造は、第1ラインヘッド40の構造とほぼ同等であるため、説明を省略する。
【0037】
本実施形態では、最も上流側の第1ヘッドユニット31に含まれる2つの第1ラインヘッド40は、シアン(C)のインクを吐出する。3つの第1ヘッドユニット31のうち、搬送方向中央に配置される第1ヘッドユニット31に含まれる2つの第1ラインヘッド40は、マゼンタ(M)のインクを吐出する。また、最も下流側の第1ヘッドユニットに含まれる2つの第1ラインヘッド40は、イエロー(Y)のインクを吐出する。すなわち、1つの第1ヘッドユニット31に含まれる2つの第1ラインヘッド40は、同じ種類の第1インクを吐出する。
【0038】
このように、同じ種類の第1インクを吐出するN個(Nは1以上の自然数)の第1ラインヘッド40を、第1ラインヘッド群400と称する。本実施形態の印刷装置1は、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の3種類の第1インクを吐出する3つの第1ラインヘッド群400を有する。第1ラインヘッド群400は、それぞれ、2つの第1ラインヘッド40を有する。
【0039】
第2ヘッドユニット32に含まれる3つの第2ラインヘッド50は、同じ種類の第2インクを吐出する。このように、同じ種類の第2インクを吐出するM個(MはNよりも大きい自然数)の第2ラインヘッド50を、第2ラインヘッド群500と称する。本実施形態の印刷装置1は、ブラック(K)の第2インクを吐出する1つの第2ラインヘッド群500を有する。第2ラインヘッド群500は、3つの第2ラインヘッド50を有する。
【0040】
制御部10は、印刷装置1内の各部を動作制御するための部位である。
図1中に概念的に示したように、本実施形態の制御部10は、CPU等の演算処理部11、RAM等のメモリ12、およびハードディスクドライブ等の記憶部13を有するコンピュータにより構成されている。制御部10は、搬送機構20、第1ヘッドユニット31、第2ヘッドユニット32および操作部100と、それぞれ電気的に接続されている。
【0041】
制御部10は、記憶部13に記憶されたコンピュータプログラム131やデータ132を、メモリ12に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラム131およびデータ132に基づいて、演算処理部11が演算処理を行うことにより、印刷装置1内の各部を動作制御する。これにより、印刷装置1における印刷工程が進行する。なお、制御部10は、電子回路により構成されていてもよい。
【0042】
操作部100は、表示部101および入力部102を有する。表示部101には、制御部10から入力される印刷装置1の稼働状況等の情報が表示される。オペレータは、入力部102から制御部10への指令を入力できる。表示部101には、例えば、液晶ディスプレイが用いられる。入力部102には、例えば、キーボードやマウスが用いられる。本実施形態の操作部100は、表示部101と入力部102とがそれぞれ印刷装置1から独立した別々の装置となっているが、表示部101と入力部102とが一体となったタッチパネル式の操作部100が、印刷装置1の本体に取り付けられていてもよい。
【0043】
印刷装置1が印刷工程を行う際には、搬送機構20により印刷用紙9を搬送しつつ、当該印刷用紙9の上面に、各ヘッドユニット31,32からインク滴が吐出される。各ヘッドユニット31,32には、印刷用紙9の上面のほぼ全幅に対向する位置にインク滴を吐出する複数のノズル63が配置されている。このため、各ヘッドユニット31,32は、印刷用紙9の上面のほぼ全幅に亘って、インク滴を吐出することができる。
【0044】
以下では、1つのラインヘッド40,50の各ノズル63からの1回のインク滴の吐出によって、印刷用紙9の上面に画像が形成される領域を「ライン」と称する。ラインは、印刷用紙9上において、1つのラインヘッド40,50の各ノズル63によりインク滴が吐出される領域が幅方向に並んだ、幅方向に伸びる帯状の領域である。印刷用紙1の各ラインヘッド40,50は、印刷用紙9上の複数のラインに画像を形成する。そして、複数のラインに形成される複数の画像の組み合わせによって、印刷用紙9の上面に、目的となる画像が形成される。
【0045】
この印刷装置1は、印刷工程として、マルチ印刷工程と特定印刷工程とを切り替えて行うことができる。マルチ印刷工程では、第1ラインヘッド群400および第2ラインヘッド群500の双方に印刷処理を行わせる。特定印刷工程では、第1ラインヘッド群400による印刷処理を休止しつつ、第2ラインヘッド群500に印刷処理を行わせる。
【0046】
印刷装置1がマルチ印刷工程を行う場合には、制御部10は、各色を担当する3つの第1ヘッドユニット31の各第1ラインヘッド40と、第2ヘッドユニット32の各第2ラインヘッド50とにおいてインク滴の吐出処理を行わせる。これにより、印刷用紙9の上面にカラーパターンが形成される。
【0047】
一方、印刷装置1が特定印刷工程を行う場合には、制御部10は、ブラック(K)を担当する第2ヘッドユニット32の各第2ラインヘッド50においてインク滴の吐出処理を行わせる。これにより、印刷用紙9の上面に単色パターンが形成される。
【0048】
<2.印刷工程について>
次に、印刷装置1における各印刷工程について、
図4〜
図9を参照しつつ説明する。この印刷装置1では、マルチ印刷工程として、通常モードと部分高解像度モードの2種類のモードを選択できる。また、この印刷装置1では、特定印刷工程として、高速モードと高解像度モードの2種類のモードを選択できる。
【0049】
このように、この印刷装置1では、制御部10が、マルチ印刷工程の部分高解像度モード(第1印刷工程)と、マルチ印刷工程の通常モード(第2印刷工程)と、特定印刷工程の高速モード(第3印刷工程)と、特定印刷工程の高解像度モード(第4印刷工程)とを切り替えて行うことができる。
【0050】
図4および
図5は、マルチ印刷工程の通常モードにおける、印刷用紙9上のライン配置の一例を概念的に示した図である。特に、
図4は、第1ラインヘッド群400によるライン配置を示している。また、
図5は、第2ラインヘッド群500によるライン配置を示している。
【0051】
図6および
図7は、マルチ印刷工程の部分高解像度モードにおける、印刷用紙9上のライン配置の一例を概念的に示した図である。特に、
図6は、第1ラインヘッド群400によるライン配置を示している。また、
図7は、第2ラインヘッド群500によるライン配置を示している。
【0052】
図8は、特定印刷工程の高速モードにおける、第2ラインヘッド群500による印刷用紙9上のライン配置の一例を示した図である。
図9は、特定印刷工程の高解像度モードにおける、第2ラインヘッド群500による印刷用紙9上のライン配置の一例を示した図である。
【0053】
図4〜
図9中において、各ノズル63がインク滴の吐出を行う印刷用紙9上の領域が、四角で区切られて示されている。また、
図4〜
図9中において、印刷用紙9上のページ区切り位置が、黒塗り逆三角形で示されている。
【0054】
図4および
図6において、2つの第1ラインヘッド40の一方の各ノズル63によりインク滴が吐出される領域には「P」、他方の各ノズル63によりインク滴が吐出される領域には「Q」が付されている。また、
図5および
図7〜
図9において、3つの第2ラインヘッド50の1つの各ノズル63によりインク滴が吐出される領域には「A」、他の1つの各ノズル63によりインク滴が吐出される領域には「B」、残りの1つの各ノズル63によりインク滴が吐出される領域には「C」が付されている。
【0055】
第1ラインヘッド40および第2ラインヘッド50のそれぞれについて、各ノズル63は、幅方向の印刷解像度が600dpiとなる間隔に配置されている。このため、印刷工程の種類およびモードの種類に関わらず、幅方向の印刷解像度を600dpiとできる。
【0056】
一方、第1ラインヘッド40および第2ラインヘッド50により形成される画像の搬送方向の印刷解像度は、印刷用紙9の搬送速度と、ラインヘッド40,50の各ノズル63におけるインク滴吐出の時間間隔とにより決定される。ここで、ラインヘッド40,50はそれぞれ、周期T[μs]ごとにインク滴を吐出可能であるものとする。ラインヘッド40,50はそれぞれ、通常搬送速度V[μm/μs]で搬送される印刷用紙9に対して周期T[μs]ごとに1ラインに対応するインク滴を吐出することにより、搬送方向の印刷解像度を200dpiとして印刷可能なラインヘッドであるものとする。このとき印刷用紙9の紙面上に現れるラインの周期は、距離D[μm]=V[μm/μs]*T[μs]となる。
【0057】
このような印刷装置1では、2つの第1ラインヘッド40を有する第1ラインヘッド群400では、2つの第1ラインヘッド40からインク滴を吐出することにより、周期T[μs]ごとに2本のラインに対応するインク滴を吐出可能である。このため、通常搬送速度V[μm/μs]において、搬送方向の印刷解像度を400dpiとして印刷可能である。
【0058】
また、3つの第2ラインヘッド50を有する第2ラインヘッド群500では、同様に、3つの第2ラインヘッド50からインク滴を吐出することにより、周期T[μs]ごとに3本のラインに対応するインク滴を吐出可能である。このため、通常搬送速度V[μm/μs]において、搬送方向の印刷解像度を600dpiとして印刷可能である。
【0059】
以下では、マルチ印刷工程の通常モードおよび部分高解像度モードと、特定印刷工程の高速モードおよび高解像度モードのそれぞれについて、
図4〜
図9を参照しつつ説明する。
【0060】
まず、マルチ印刷工程とは、第1ラインヘッド群400および第2ラインヘッド群500の双方によるフルカラー印刷工程である。この時の搬送速度は、通常搬送速度V[μm/μs]である。マルチ印刷工程の通常モードでは、3つの第1ラインヘッド群400によるシアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の3色と、第2ラインヘッド群500によるブラック(K)との搬送方向の印刷解像度を、全て同一の400dpiとして印刷を行う。
【0061】
マルチ印刷工程の通常モードでは、
図4に示すように、印刷用紙9の紙面上には、第1ラインヘッド群400により、搬送方向に並ぶ複数のラインL1に画像が形成される。ラインL1は、2つの第1ラインヘッド40の一方によりインク滴が吐出される領域Pが幅方向に並ぶラインLpと、2つの第1ラインヘッド40の他方によりインク滴が吐出される領域Qが幅方向に並ぶラインLqとにより構成される。ラインLpとラインLqとは、搬送方向に交互に形成される。
【0062】
また、
図5に示すように、印刷用紙9の紙面上には、第2ラインヘッド群500により、搬送方向に並ぶ複数のラインL2が形成される。ラインL2は、3つの第2ラインヘッド50の1つによりインク滴が吐出される領域Aが幅方向に並ぶラインLaと、3つの第2ラインヘッド50の他の1つによりインク滴が吐出される領域Bが幅方向に並ぶラインLbと、3つの第2ラインヘッド50の残りの1つによりインク滴が吐出される領域Cが幅方向に並ぶラインLcとにより構成される。ラインLaとラインLbとラインLcとは、順に、搬送方向に繰り返し配置される。
【0063】
マルチ印刷工程の通常モードでは、2つの第1ラインヘッド40はそれぞれ、周期T[μs]ごとにラインLpまたはラインLqに画像を形成する。すなわち、2つの第1ラインヘッド40はそれぞれ、2本のラインL1毎に印刷処理を行う。これにより、
図4に示すように、ラインLp,Lqのそれぞれの搬送方向の周期は、距離D[μm]=V[μm/μs]*T[μs]となる。したがって、ラインL1の搬送方向の周期は、距離1/2・D[μm]=D[μm]/2となるため、第1ラインヘッド群400により形成される画像の搬送方向の印刷解像度は400dpiとなる。
【0064】
一方、3つの第2ラインヘッド50はそれぞれ、周期
3/2・T[μs]ごとにラインLa、ラインLbまたはラインLcに画像を形成する。すなわち、3つの第2ラインヘッド50はそれぞれ、3本のラインL2毎に印刷処理を行う。これにより、
図5に示すように、ラインLa,Lb,Lcのそれぞれの搬送方向の周期は、距離3/2・D[μm]=V[μm/μs]*
3/2・T[μs]となる。したがって、ラインL2の搬送方向の周期は、距離1/2・D[μm]=3/2・D[μm]÷3となるため、第2ラインヘッド群500により形成される画像の搬送方向の印刷解像度は400dpiとなる。
【0065】
このように、マルチ印刷工程の通常モードでは、第1ラインヘッド群400により形成される画像の搬送方向の印刷解像度と、第2ラインヘッド群500により形成される画像の搬送方向の印刷解像度とは、同一である。すなわち、印刷用紙9の1ページ当たりの第1ラインヘッド群400が画像を形成するラインの数と、印刷用紙9の1ページ当たりの第2ラインヘッド群500が画像を形成するラインの数とが、同一である。
【0066】
ここで、第2ラインヘッド群500において、第1ラインヘッド群400と同じ解像度で印刷処理を行うためには、少なくとも第1ラインヘッド群400に含まれる第1ラインヘッド40と同じ数の第2ラインヘッド50を用いればよい。このため、マルチ印刷工程の通常モードでは、3つの第2ラインヘッド50のうちの2つのみを用いて印刷処理を行ってもよい。
【0067】
ただし、長時間休止状態となる第2ラインヘッド50が存在すると、当該第2ラインヘッド50のノズル63においてインクが蒸発固化して詰まりが発生する等の問題が生じる虞がある。これに対し、本実施形態では、通常モードにおいて、3つの第2ラインヘッド50を代わる代わる用いている。したがって、本実施形態では、長時間休止状態となる第2ラインヘッド50が無いため、第2ラインヘッド50のノズル63に詰まりが発生するのが抑制される。
【0068】
次に、マルチ印刷工程の部分高解像度モードについて説明する。マルチ印刷工程の部分高解像度モードでは、3つの第1ラインヘッド群400によるシアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の3色については、搬送方向の印刷解像度を400dpiとして印刷を行う。また、第2ラインヘッド群500によるブラック(K)については、搬送方向の印刷解像度を600dpiとして印刷を行う。この時の搬送速度は、通常モードと同様、通常搬送速度V[μm/μs]である。
【0069】
マルチ印刷工程の部分高解像度モードでは、
図6に示すように、印刷用紙9の紙面上には、第1ラインヘッド群400により、搬送方向に並ぶ複数のラインL1に画像が形成される。ラインL1は、通常モードと同様、ラインLpとラインLqとが交互に配置されて構成される。また、
図7に示すように、印刷用紙9の紙面上には、第2ラインヘッド群500により、搬送方向に並ぶ複数のラインL2に画像が形成される。ラインL2は、通常モードと同様、ラインLa、ラインLbおよびラインLcが順に繰り返し配置されて構成される。
【0070】
マルチ印刷工程の部分高解像度モードでは、通常モードと同様、2つの第1ラインヘッド40はそれぞれ、周期T[μs]ごとにラインLpまたはラインLqに画像を形成する。すなわち、2つの第1ラインヘッド40はそれぞれ、2本のラインL1毎に印刷処理を行う。このため、第1ラインヘッド群400により形成される画像の搬送方向の印刷解像度は400dpiとなる。
【0071】
一方、3つの第2ラインヘッド50はそれぞれ、周期T[μs]ごとにラインLa、ラインLbまたはラインLcに画像を形成する。すなわち、3つの第2ラインヘッド50はそれぞれ、3本のラインL2毎に印刷処理を行う。これにより、
図7に示すように、ラインLa,Lb,Lcのそれぞれの搬送方向の周期は、距離D[μm]=V[μm/μs]*T[μs]となる。したがって、ラインL2の搬送方向の周期は、距離1/3・D[μm]=D[μm]÷3となるため、第2ラインヘッド群500により形成される画像の搬送方向の印刷解像度は600dpiとなる。
【0072】
このように、マルチ印刷工程の部分高解像度モードでは、第2ラインヘッド群500により形成される画像の搬送方向の印刷解像度は、第1ラインヘッド群400により形成される画像の搬送方向の印刷解像度よりも高い。その結果、印刷用紙9の搬送速度を低下させることなく、印刷品質を効率よく向上できる。
【0073】
具体的には、第2ラインヘッド群500により形成される画像の搬送方向の印刷解像度は、第1ラインヘッド群400により形成される画像の搬送方向の印刷解像度の3/2倍である。この印刷解像度の比は、第1ラインヘッド群400に含まれる第1ラインヘッド40の数Nと、第2ラインヘッド群500に含まれる第2ラインヘッド50の数Mとを用いて、M/N倍で表される。これにより、印刷用紙9の搬送速度を低下させることなく、第2ラインヘッド群500により形成あれる画像の搬送方向の印刷解像度を最大限高くできる。
【0074】
部分高解像度モードでは、印刷用紙9の搬送速度を低下させることなく、ブラック(K)インクにより形成される画像の解像度を上げることができる。これにより、例えば、印刷対象となる画像がカラー画像部と黒文字部とを有している場合に、黒文字部を高解像度で印刷できる。したがって、印刷工程の処理速度を低下させることなく、印刷品質を向上できる。
【0075】
続いて、特定印刷工程について説明する。特定印刷工程とは、第1ラインヘッド群400を休止した状態で、第2ラインヘッド群500を駆動させる単色印刷工程である。特定印刷工程の高速モードでは、第2ラインヘッド群500によるブラック(K)の搬送方向の印刷解像度を400dpiとして印刷を行う。この時の搬送速度は、高速搬送速度3/2・V[μm/μs]である。
【0076】
特定印刷工程の高速モードでは、
図8に示すように、印刷用紙9の紙面上には、第2ラインヘッド群500により、搬送方向に並ぶ複数のラインL2に画像が形成される。ラインL2は、3つの第2ラインヘッド50の1つによりインク滴が吐出される領域Aが幅方向に並ぶラインLaと、3つの第2ラインヘッド50の他の1つによりインク滴が吐出される領域Bが幅方向に並ぶラインLbと、3つの第2ラインヘッド50の残りの1つによりインク滴が吐出される領域Cが幅方向に並ぶラインLcとにより構成される。ラインLaとラインLbとラインLcとは、順に、搬送方向に繰り返し配置される。
【0077】
特定印刷工程の高速モードでは、3つの第2ラインヘッド50はそれぞれ、周期T[μs]ごとにラインLa、ラインLbまたはラインLcに画像を形成する。これにより、
図8に示すように、ラインLa,Lb,Lcのそれぞれの搬送方向の周期は3/2・D[μm]=3/2・V[μm/μs]*T[μs]となる。したがって、ラインL2の搬送方向の周期は、距離1/2・D[μm]=3/2・D[μm]÷3となるため、第2ラインヘッド群500により形成される画像の搬送方向の印刷解像度は400dpiとなる。
【0078】
特定印刷工程の高速モードにおける印刷用紙9の搬送速度3/2・V[μm/μs]は、マルチ印刷工程における印刷用紙9の搬送速度V[μm/μs]よりも大きい。したがって、第2ラインヘッド群500により形成される画像の搬送方向の解像度を低下させることなく、印刷用紙9の搬送速度を大きくできる。
【0079】
具体的には、特定印刷工程の高速モードにおける印刷用紙9の搬送速度3/2・V[μm/μs]は、マルチ印刷工程における印刷用紙9の搬送速度V[μm/μs]の3/2倍である。この搬送速度の比は、第1ラインヘッド群400に含まれる第1ラインヘッド40の数Nと、第2ラインヘッド群500に含まれる第2ラインヘッド50の数Mとを用いて、M/N倍で表される。これにより、第2ラインヘッド群500により形成される画像の搬送方向の解像度を低下させることなく、印刷用紙9の搬送速度を最大限大きくできる。
【0080】
また、特定印刷工程の高解像度モードでは、第2ラインヘッド群500によるブラック(K)の搬送方向の印刷解像度を600dpiとして印刷を行う。この時の搬送速度は、通常搬送速度V[μm/μs]である。
【0081】
特定印刷工程の高解像度モードでは、
図9に示すように、印刷用紙9の紙面上には、第2ラインヘッド群500により、搬送方向に並ぶ複数のラインL2に画像が形成される。ラインL2は、マルチ印刷工程と同様、ラインLa、ラインLbおよびラインLcが順に繰り返し配置されて構成される。
【0082】
特定印刷工程の高解像度モードでは、3つの第2ラインヘッド50はそれぞれ、周期T[μs]ごとにラインLa、ラインLbまたはラインLcに画像を形成する。これにより、
図9に示すように、ラインLa,Lb,Lcのそれぞれの搬送方向の周期はD[μm]=V[μm/μs]*T[μs]となる。したがって、ラインL2の搬送方向の周期は、距離1/3・D[μm]=D[μm]÷3となるため、第2ラインヘッド群500により形成される画像の搬送方向の印刷解像度は600dpiとなる。
【0083】
このように、特定印刷工程の高解像度モードでは、第2ラインヘッド群500により形成される画像の搬送方向の印刷解像度は、マルチ印刷工程における第1ラインヘッド群400により形成される画像の搬送方向の印刷解像度よりも高い。したがって、特定印刷工程の高解像度モードでは、印刷用紙9の搬送速度を低下させることなく、第2ラインヘッド群500により形成される画像の解像度を上げることができる。これにより、第2ラインヘッド群500のみにより形成できる画像を印刷する際に、高解像度で印刷できる。
【0084】
具体的には、特定印刷工程の高解像度モードでは、第2ラインヘッド群500により形成される画像の搬送方向の印刷解像度は、マルチ印刷工程における第1ラインヘッド群400により形成される画像の搬送方向の印刷解像度の3/2倍である。この印刷解像度の比は、第1ラインヘッド群400に含まれる第1ラインヘッド40の数Nと、第2ラインヘッド群500に含まれる第2ラインヘッド50の数Mとを用いて、M/N倍で表される。これにより、印刷用紙9の搬送速度を低下させることなく、第2ラインヘッド群500により形成される画像の搬送方向の印刷解像度を最大限高くできる。
【0085】
上記のように、この印刷装置1では、マルチ印刷工程に用いる複数のラインヘッド群400,500のうち、一部のラインヘッド群である第2ラインヘッド群500の数が、他のラインヘッド群である第1ラインヘッド群400の数よりも多い。
【0086】
これにより、マルチ印刷工程の部分高解像度モードや特定印刷工程の高解像モードでは、第2ラインヘッド群500による高解像度印刷処理を行うことができる。このように、第2ラインヘッド群500の数が多いという性能を活かし、通常搬送速度で印刷処理を行う場合に第2ラインヘッド群500により形成される画像の印刷解像度を向上できる。また、一部のラインヘッド群に含まれるラインヘッドの数のみを増加させるため、全てのラインヘッド群に含まれるラインヘッドの数を増加させる場合と比べて、装置の大型化を抑制できる。
【0087】
また、特定印刷工程として、マルチ印刷工程に用いる第2ラインヘッド群500を用いて、マルチ印刷工程よりも印刷用紙9の搬送速度が大きい、高速モードを行うことができる。したがって、マルチ印刷工程と特定印刷工程との双方を行う印刷装置1において、印刷解像度を低下させることなく全印刷工程の処理速度を向上させることができる。
【0088】
<3.ページ区切りとラインの周期について>
続いて、マルチ印刷工程におけるページ区切りとラインの周期について、
図4〜
図7および
図10〜
図13を参照しつつ説明する。
図10および
図11は、マルチ印刷工程の通常モードにおける印刷用紙9上のライン配置の一例を概念的に示した図である。
図12および
図13は、マルチ印刷工程の部分高解像度モードにおける印刷用紙9上のライン配置の一例を概念的に示した図である。
図10〜
図13中において、各ノズル63がインク滴の吐出を行う印刷用紙9上の領域が、四角で区切られて示されている。また、
図10〜
図13中において、印刷用紙9上のページ区切り位置が、黒塗り逆三角形で示されている。
【0089】
まず、
図4、
図5、
図10および
図11を参照しつつ、マルチ印刷工程の通常モードについて説明する。
図10は、マルチ印刷工程の通常モードにおける、第1ラインヘッド群400によるライン配置を示している。
図11は、マルチ印刷工程の通常モードにおける、第2ラインヘッド群500によるライン配置を示している。
【0090】
図4および
図5の例では、
図4に示すように、1ページ中に含まれる第1ラインヘッド群400のラインの数が、ラインLpおよびラインLqにより構成されるラインL1の周期となるラインの数N=2の倍数となっている。また、
図5に示すように、1ページ中に含まれる第2ラインヘッド群500のラインの数が、ラインLa、ラインLbおよびラインLcにより構成されるラインL2の周期となるラインの数M=3の倍数となっている。したがって、印刷用紙9の各ページを構成するラインの配置が同一である。
【0091】
このように、マルチ印刷工程の通常モードでは、1ページ中に含まれるラインの数を、第1ラインヘッド群400に含まれる第1ラインヘッド40の数Nと、第2ラインヘッド群500に含まれる第2ラインヘッド50の数Mとの公倍数とすることが好ましい。これにより、印刷用紙9の各ページを構成するラインの配置を同一とできる。
【0092】
印刷用紙9の各ページにおいて、同一位置に配置されるラインを担当するラインヘッド40,50が異なる場合、各ページにおいて発生するモアレの状態も異なる。この場合、ページ毎に印刷品質が異なってしまう。
図4および
図5の例のように、印刷用紙9の各ページを構成するラインの配置が同一である場合、各ページにおいて発生するモアレの状態は同一となる。このようにすれば、ページ毎の印刷品質を安定できる。
【0093】
図10および
図11の例では、1ページ中に含まれる第1ラインヘッド群400および第2ラインヘッド群500のラインの数を、第1ラインヘッド群400に含まれる第1ラインヘッド40の数Nと、第2ラインヘッド群500に含まれる第2ラインヘッド50の数Mとの公倍数としている。ただし、
図10および
図11の例では、印刷用紙9の1ページの搬送方向の全ての領域にラインを配置すると、1ページ毎のラインの数をNとMとの公倍数にできない。そこで、
図10および
図11の例では、1ページ中、ラインの数がNとMとの公倍数となる最大ライン数までラインを配置し、残りの領域を余白としている。これにより、印刷用紙9の各ページを構成するラインの配置を同一とできる。したがって、ページ毎の印刷品質を安定できる。
【0094】
次に、
図6、
図7、
図12および
図13を参照しつつ、マルチ印刷工程の部分高解像度モードについて説明する。
図12は、マルチ印刷工程の部分高解像度モードにおける、第1ラインヘッド群400によるライン配置を示している。
図13は、マルチ印刷工程の部分高解像度モードにおける、第2ラインヘッド群500によるライン配置を示している。
【0095】
図6および
図7の例では、
図6に示すように、1ページ中に含まれる第1ラインヘッド群400のラインの数が、ラインLpおよびラインLqにより構成されるラインL1の周期となるラインの数N=2の倍数となっている。また、
図7に示すように、1ページ中に含まれる第2ラインヘッド群500のラインの数が、ラインLa、ラインLbおよびラインLcにより構成されるラインL2の周期となるラインの数M=3の倍数となっている。したがって、印刷用紙9の各ページを構成するラインの配置が同一である。
【0096】
このように、マルチ印刷工程の部分高解像度モードでは、1ページ中に含まれる第1ラインヘッド群400のラインの数を、第1ラインヘッド群400に含まれる第1ラインヘッド40の数Nの倍数とし、1ページ中に含まれる第2ラインヘッド群500のラインの数を、第2ラインヘッド群500に含まれる第2ラインヘッド50の数Mの倍数とすることが好ましい。すなわち、印刷用紙9の1ページにおける第1ラインヘッド群400のラインの数と、印刷用紙9の1ページにおける第2ラインヘッド群500のラインの数との比を、N:Mとすることが好ましい。これにより、印刷用紙9の各ページを構成するラインの配置を同一とできる。したがって、ページ毎の印刷品質を安定できる。
【0097】
図12および
図13の例では、1ページ中に含まれる第1ラインヘッド群400のラインの数を第1ラインヘッド群400に含まれる第1ラインヘッド40の数Nの倍数とし、1ページ中に含まれる第2ラインヘッド群500のラインの数を第2ラインヘッド群500に含まれる第2ラインヘッド50の数Mの倍数としている。
図12および
図13の例では、印刷用紙9の1ページの搬送方向の全ての領域にラインを配置すると、1ページ毎のラインの数を上記のような数にできない。
【0098】
そこで、
図12および
図13の例では、1ページ中、第1ラインヘッド群400のラインの数がNの倍数、第2ラインヘッド群500のラインの数がMの倍数となる最大ライン数までラインを配置し、残りの領域を余白としている。これにより、印刷用紙9の各ページを構成するラインの配置を同一とできる。したがって、ページ毎の印刷品質を安定できる。
【0099】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0100】
図14および
図15は、一変形例に係るマルチ印刷工程の通常モードにおける印刷用紙9上のライン配置の一例を概念的に示した図である。
図14は、マルチ印刷工程の通常モードにおける、第1ラインヘッド群400によるライン配置を示している。
図15は、マルチ印刷工程の通常モードにおける、第2ラインヘッド群500によるライン配置を示している。
【0101】
図14および
図15の例では、マルチ印刷工程の通常モードは、第2ラインヘッド群500のうち、2つの第2ラインヘッド50のみを用いて印刷処理を行う第5印刷工程である。
図14および
図15の例では、制御部が、少なくとも、マルチ印刷工程の部分高解像度モード(第1印刷工程)と、マルチ印刷工程の通常モード(第5印刷工程)とを切り替えて行うことができる。
【0102】
図14および
図15の例のマルチ印刷工程の通常モードでは、2つの第1ラインヘッド40はそれぞれ、2本のラインL1毎に印刷処理を行う。そして、3つの第2ラインヘッド50のうち、2つの第2ラインヘッド50はそれぞれ、2本のラインL1毎に印刷処理を行う。そして、3つの第2ラインヘッド50のうち、残り1つの第2ラインヘッド50は、印刷処理を休止する。
【0103】
このようにすれば、3つの第2ラインヘッド50のうちのいずれかに吐出不良等の問題が生じた場合であっても、印刷工程を継続できる。
【0104】
また、印刷処理を休止している第2ラインヘッド50について、マルチ印刷工程中に、定期的にフラッシングを行うようにしてもよい。フラッシングの方法としては、例えば、印刷用紙9上のページ区切りやページ外の余白に各ノズル63からライン状にインク滴を吐出するラインフラッシングを用いてもよい。また、フラッシングの方法として、印刷用紙9の印刷領域内に、視覚的に目立たないように各吐出位置を離間させて各ノズル63からインク滴を吐出するスターフラッシングを用いてもよい。このようにすれば、印刷処理を休止している第2ラインヘッド50のノズル63においてインクが蒸発固化して詰まりが発生する等の問題が生じるのが抑制される。
【0105】
図16は、他の変形例に係る印刷装置1Aの構成を、概念的に示した図である。印刷装置1Aは、6個の第1ラインヘッド40Aと、3個の第2ラインヘッド50Aとを有する。この印刷装置1Aでは、第1ラインヘッド40Aと第2ラインヘッド50Aとが、他のラインヘッドと同一筐体内に収容されず、単独のヘッドユニットを構成する。
【0106】
6個の第1ラインヘッド40Aのうちの2つは、シアン(C)のインクを吐出する第1ラインヘッド群400Aを構成する。6個の第1ラインヘッド40Aのうちの他の2つは、マゼンタ(M)のインクを吐出する第1ラインヘッド群400Aを構成する。また、6個の第1ラインヘッド40Aのうち残りの2つは、イエロー(Y)のインクを吐出する第1ラインヘッド群400Aを構成する。3つの第2ラインヘッド50Aは、ブラック(K)のインクを吐出する第2ラインヘッド群500Aを構成する。
【0107】
上記の実施形態では、第1ラインヘッド群400を構成する2つの第1ラインヘッド40は、1つの第1ヘッドユニット31に含まれていた。また、第2ラインヘッド群500を構成する2つの第2ラインヘッド50は、1つの第2ヘッドユニット32に含まれていた。しかしながら、
図16の例のように、各ラインヘッドは、それぞれ別個のヘッドユニットに含まれていてもよい。
【0108】
図17は、他の変形例に係る印刷装置1Bの構成を、概念的に示した図である。この印刷装置1Bは、1つの第1ラインヘッド群400Bの有する第1ラインヘッド40Bが3個であり、1つの第2ラインヘッド群500Bの有する第2ラインヘッド50Bが4個である。
【0109】
この印刷装置1Bでは、特定印刷工程の高速モードにおける印刷用紙9Bの搬送速度を、マルチ印刷工程における印刷用紙9Bの搬送速度の4/3倍とできる。また、マルチ印刷工程の部分高解像度モードおよび特定印刷工程の高解像度モードにおいて、第2ラインヘッド群500Bによる印刷解像度を、マルチ印刷工程における第1ラインヘッド群400Bによる印刷解像度の4/3倍とできる。
【0110】
図17の例のように、第2ラインヘッド群500Bに含まれる第2ラインヘッド50Bの数Mが第1ラインヘッド群400Bに含まれる第1ラインヘッド40Bの数Nよりも大きければ、N,Mの数は上記の実施形態と異なってもよい。
【0111】
また、上記の実施形態および変形例の印刷装置は、3つの第1ラインヘッド群と1つの第2ラインヘッド群とを有していたが、本発明はこの限りではない。第1ラインヘッド群および第2ラインヘッド群の数は、それぞれ、他の数であってもよい。
【0112】
例えば、第1ラインヘッド群をシアン(C)およびイエロー(Y)の2つとし、第2ラインヘッド群をマゼンタ(M)およびブラック(K)の2つとしてもよい。この場合、マルチ印刷工程ではフルカラー印刷を行い、特定印刷工程では2色印刷と単色印刷とを行うことができる。
【0113】
また、例えば、第1ラインヘッド群は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ライトシアン(LC)およびライトマゼンタ(LM)の5種類のインクに対応する5個であってもよい。また、第2ラインヘッド群は、ブラック(K)およびグレー(G)の2種類のインクに対応する2つであってもよい。
【0114】
また、上記の実施形態の印刷装置1は、マルチ印刷工程の通常モード、マルチ印刷工程の部分高解像度モード、特定印刷工程の高速モードおよび特定印刷工程の高解像度モードの4種類の印刷工程を行うことが可能であったが、本発明はこの限りではない。本発明の印刷装置は、当該4種類の印刷工程のうちの一部の印刷工程のみを行う装置であってもよい。
【0115】
また、上記の実施形態および変形例の印刷装置は、長尺帯状の記録媒体に画像を印刷するものであった。しかしながら、本発明の印刷装置は、ページ毎に裁断された記録媒体が搬送機構によって搬送され、当該記録媒体に対して画像を印刷する枚様式の印刷装置であってもよい。
【0116】
また、上記の実施形態の印刷装置は、記録媒体としての印刷用紙に画像を印刷するものであった。しかしながら、本発明の印刷装置は、一般的な紙以外のシート状の記録媒体(例えば、樹脂製のフィルム等)に、画像等のパターンを印刷するものであってもよい。
【0117】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。