特許第6815760号(P6815760)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6815760-ゴルフ用手袋の開閉機構 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815760
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】ゴルフ用手袋の開閉機構
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/14 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   A63B71/14 A
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-119109(P2016-119109)
(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公開番号】特開2017-221429(P2017-221429A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】516177531
【氏名又は名称】新木 かほる
(74)【代理人】
【識別番号】100081949
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 欣正
(72)【発明者】
【氏名】新木 かほる
【審査官】 赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0283498(US,A1)
【文献】 特開2006−045718(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0094730(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3073897(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦、横、斜め方向に伸縮可能な伸縮生地と、伸縮生地よりも伸縮性は劣るが防滑性の良好な合成皮革、人工皮革、または天然皮革製の皮革生地をつなぎ合わせて縫製したゴルフ用手袋の甲部の手首側端部から指方向にかけて装着に際し手袋を開くためのスリットを形成し、
このスリットの一側にリストバンドの一端を固定するとともに、リストバンドの他端の係着部材をスリットの他側の甲部に設けた被係着部材に係着可能に固定させるようにしたゴルフ用手袋において、
上記リストバンドの高さをスリットのほぼ全長近くに渡るものとするとともに、
甲部に設ける被係着部材をスリットの上下2箇所に配し、
上方の被係着部材は甲部の伸縮生地上に配した皮革生地に、
下方の被係着部材は手首部の伸縮生地上に配した皮革生地にそれぞれ配されることを特徴とするゴルフ用手袋の開閉機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はゴルフ用手袋に関し、より詳細にはゴルファーの手の大きさに応じて伸縮し、しかもグリップを阻害することのないフリーサイズ対応型のゴルフ用手袋を実現するための開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なゴルフ用手袋は、人によって異なるゴルファーの手の大きさに対応できるように1cm刻みでサイズを違えたものを用意している。
【0003】
通常、男性用のゴルフ用手袋は、21・22・23・24・25・26cmの6サイズを用意している(ただし21cmと26cmはまれにしかいない。)。あるいは、XS/S/M/L/XLなどのサイズ表記を用いることもあり、この場合は、一般的にはS/M/Lの3サイズから選んでいる。女性用のゴルフ用手袋も同じように18・19・21cmの3サイズを用意している。
【0004】
一方、人間の手の形状は、長い・短い、太い・細い、厚い・薄いなど、千差万別だが、現在販売されているほとんどのゴルフ用手袋は標準的な形状で作られているため、例え同サイズであってもすべてのゴルファーが満足できるわけではない。
【0005】
一般的にゴルフ用手袋は、1サイズごとに縦寸法が3mm、横寸法が4mmずつ違うように作られている。つまり、設計上、22cmのグローブと25cmのグローブの違いは、縦12mm、巾16mmの違いとなる。
【0006】
以上の問題点を解消するために、縦、横、斜め方向に伸縮可能な伸縮生地と、伸縮生地よりも伸縮性は劣るが防滑性の良好な合成皮革、人工皮革、または天然皮革製の皮革生地をつなぎ合わせて縫製したゴルフ用手袋が提案されている。特許文献1には縦、横、斜めいずれの方向にも自在に伸縮する伸縮生地で手袋本体をなす甲部側及び掌部側の大部分が形成されたゴルフ用手袋であって、手袋本体の掌部側に、伸縮生地よりも伸縮性は劣るが防滑性の良好な合成皮革、人工皮革、あるいは天然皮革製の防滑薄片を、掌部側の人指し指片、中指片、薬指片及び小指片の各先端部付近から手袋本体の手首側の下端部付近に至るまで伸縮生地が途絶えることなく連続して露出されるように縫着したことを特徴とするゴルフ用手袋が記載されている。
【0007】
一方、ゴルフ用手袋はゴルファーが装着するに際し、手首箇所から甲箇所にかけて大きく開放させるために、甲部の手首側端部から指方向にかけてスリットを形成し、このスリットにより、甲部を左右に開閉できるようにしている。そして、この場合、装着後に手袋を閉じた状態で固定するために、前記のスリットの一側にスリットの長さの一部ほどの高さのリストバンドの一端を固定するとともに、リストバンドの他端の係着部材をスリットの他側の甲部に設けた被係着部材に係着可能に固定させるようにしている。
【0008】
前記のリストバンドによる開閉機構はゴルフ用手袋に必須のものであり、前記の特許文献1に記載のゴルフ用手袋も備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開WO99/55433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記の特許文献1に記載のゴルフ用手袋は、僅かなサイズの違いや長い・短い、太い・細い、厚い・薄いなどの手の形状の違いに対応できる優れた効果を有する。
【0011】
しかしながら、サイズの大きな違いに対応し、一つのゴルフ用手袋で全サイズに対応するフリーサイズ化には対応できなかった。
【0012】
一方、仮に例えばこの発明の実施例に記載のような構成により、伸縮巾を大きくした完全なフリーサイズのゴルフ用手袋を想定した場合、伸縮に伴い前記のリストバンドによる開閉機構箇所において手袋に皺がよったり、開閉機構箇所にずれが生じることが予想された。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は前記の問題を解消したゴルフ用手袋の開閉機構を提供することを目的として創作されたものであり、縦、横、斜め方向に伸縮可能な伸縮生地と、伸縮生地よりも伸縮性は劣るが防滑性の良好な合成皮革、人工皮革、または天然皮革製の皮革生地をつなぎ合わせて縫製したゴルフ用手袋の甲部の手首側端部から指方向にかけて装着に際し手袋を開くためのスリットを形成し、このスリットの一側にリストバンドの一端を固定するとともに、リストバンドの他端の係着部材をスリットの他側の甲部に設けた被係着部材に係着可能に固定させるようにしたゴルフ用手袋において、上記リストバンドの高さをスリットのほぼ全長近くに渡るものとするとともに、甲部に設ける被係着部材をスリットの上下2箇所に配し、少なくともその一方の被係着部材は伸縮生地上に配されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上の構成よりなるこの発明のゴルフ用手袋の開閉機構においては、いままでスリットの長さの一部ほどの高さしかなかったリストバンドの高さをスリットのほぼ全長近くに渡るものとすることにより、手袋をしっかりと固定することが可能となる。一方、甲部に設ける被係着部材をスリットの上下2箇所に配し、少なくともその一方の被係着部材を伸縮生地上に配するので伸縮に伴って甲部の大きさが変わっても被係着部材の間隔もそれに追従して変化するので開閉機構箇所において手袋に皺がよったり、開閉機構箇所にずれが生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明のゴルフ用手袋の正面図。
図2】同上背面図。
図3】同上平面図。
図4】同上底面図。
図5】同上左側面図。
図6】同上右側面図。
図7】同上リストバンドを外した状態の正面図。
図8】同上斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次にこの発明のゴルフ用手袋の開閉機構の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。ここでは伸縮巾を大きくした完全なフリーサイズのゴルフ用手袋を例にとり説明することとする。
【0017】
この発明のゴルフ用手袋の開閉機構が実施されるゴルフ用手袋G1は縦、横、斜め方向に伸縮可能な伸縮生地と、伸縮生地よりも伸縮性は劣るが防滑性の良好な合成皮革、人工皮革、または天然皮革製の皮革生地をつなぎ合わせて縫製して構成される。伸縮生地としてはナイロンやポリエステルと一緒にポリウレタンを編み込んだツーウェイトリコットと呼ばれる布地や、ツーウェイトリコットにウレタン樹脂を含浸させ又はウレタンシートを貼り合わせた合成皮革等が公知であるが、これらに限られないことは勿論である。防滑性の良好な皮革生地としては例えば東レコーテックス社製の合成皮革が公知であるが、これに限られないことは勿論である。
【0018】
このゴルフ用手袋のは手袋の掌部を3箇所以上の領域に分割するとともに、各領域を皮革生地で構成し、上記の各皮革生地同士を伸縮生地を介して連結するか、または掌部に配した伸縮生地上に上記の各皮革生地を縫着することにより掌部を伸縮可能としている。図1は前記の特徴が現れている手袋の掌箇所の正面図であるが、ここでは掌部を指部分から手首部分にかけて、上下三段の3箇所の領域に分割し、それぞれを皮革生地1A、1B、1Cで構成している。なお、図中符号4A、4Bは手首部分を構成する皮革生地である。
【0019】
この実施例では以上の各皮革生地をその外縁に縫着される伸縮生地2を介して連結している。すなわち、各皮革生地間には伸縮生地2が位置し、この伸縮生地の伸縮により手袋のサイズが変化することになる。
【0020】
この実施例のゴルフ用手袋は単に掌部ではなく、手袋の全域において伸縮するよう構成される。その場合の基本的な考えとしては、グリップに差し障りがない箇所は伸縮生地を使用し、それ以外の箇所には防滑性の良好な皮革生地を使用することが挙げられる。
【0021】
前記伸縮生地2は手袋の全域に渡ってほぼ連続して配され、前記の皮革生地は伸縮生地上に重ねて縫着されるか、伸縮生地が位置しない箇所に縫着により伸縮生地に連結して配されることにより島状に配されることになる。図1の正面図および図2の背面図においては、手袋の甲部から各指部の付け根にかけて伸縮生地2が配された状態が表れているが、この伸縮生地2はそれぞれ人指し指部、中指部、薬指部および小指部の指背側の付け根から先端の各指の全長方向にかけて延設されて延設部2A、2B、2C、2Dを構成する(図2参照)。一方、前記各指部の主に指腹部に位置する延設部2A、2B、2C、2Dが存しない残余の部分には皮革生地3A、3B、3C、3Dが配され(図1参照)、伸縮生地に縫着される。そして、前記皮革生地3A、3B、3C、3Dの中途に切り欠きA、B、C、Dを設け、これらの切り欠き内に伸縮生地が縫着される。
【0022】
伸縮生地2は手袋の親指部の人指し指側の側縁側の付け根から先端の親指の全長方向にかけても延設されて延設部2Eを構成する(図2参照)。一方、前記親指部の主に指腹側、指背側および外側の縁側に位置する延設部2Eが存しない残余の部分には皮革生地3Eが配され(図1参照)、伸縮生地に縫着される。この場合、前記親指の伸縮生地の延設部2Eの一部は半島状に指背側まで延設して延設部Eを構成する(図8参照)。
【0023】
図中符号Sはこの発明の要旨となるゴルファーが手袋を装着するに際して手首箇所から甲箇所にかけて大きく開放させるために甲部の手首側端部から指方向にかけて切りかかれるスリットである(図2図7図8参照)。前記スリットSの一側にはスリットのほぼ全長近くに渡る高さを有するリストバンド10の一端が固定され、スリットの他側の甲部にはリストバンドの他端に設けられた係着部材11が係着される被係着部材が設けられる。この被係着部材はスリットの上下2箇所に配されるもので、上方の被係着部材11Aは皮革生地5Aを介して甲部の伸縮生地2上に、下方の被係着部材11Bは皮革生地4Bを介して手首部の伸縮生地2上に縫着される。なお、前記の係着手段としてここでは面ファスナーを想定しているが、それに限定されないことは勿論である。
【0024】
前記したようにこのゴルフ用手袋は3箇所以上の領域に分割して配した皮革生地間に位置する各伸縮生地の伸び代の合計の寸法分だけ手袋が伸縮するが、以上の実施例においては下記の通りとなる。
(1) 掌部に配した皮革生地1Aと人指し指部、中指部、薬指部および小指部の付け根の皮革生地間に位置する伸縮生地2と、
掌部に配した皮革生地1Aとその下の皮革生地1B間に位置する伸縮生地2と、
掌部に配した皮革生地1Bと手首部に配した皮革生地4A間に位置する伸縮生地2の伸び代の合計で12mmから14mm近くまで手袋の長さが伸びる。
(2) 掌部に配した皮革生地1A、1B、1Cと、親指部の皮革生地3E間に位置する伸縮生地2と、
親指部の皮革生地3Eと、甲部の皮革生地5A、手首部の皮革生地4B間に位置する伸縮生地2と、
甲部の皮革生地5A、手首部の皮革生地4Bと、掌部に配した皮革生地1A、1B、1C間に位置する伸縮生地2の伸び代の合計で16mmから18mm近くまで手袋の巾が伸びる。
【0025】
なお、以上の実施例においては各皮革生地をその外縁に縫着される伸縮生地を介して連結しているが、伸縮生地上に皮革生地を重ねて縫着してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0026】
S スリット
G1 ゴルフ用手袋
1A 皮革生地
1B 皮革生地
1C 皮革生地
2 伸縮生地
10 リストバンド
11 係着部材
11A 被係着部材
11B 被係着部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8