(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815809
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】含油性物質の油分分離装置
(51)【国際特許分類】
B01D 43/00 20060101AFI20210107BHJP
C02F 11/00 20060101ALI20210107BHJP
B04C 9/00 20060101ALI20210107BHJP
C10G 1/00 20060101ALN20210107BHJP
【FI】
B01D43/00 AZAB
C02F11/00 Z
C02F11/00 K
B04C9/00
!C10G1/00
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-195354(P2016-195354)
(22)【出願日】2016年10月3日
(65)【公開番号】特開2018-57992(P2018-57992A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】517344011
【氏名又は名称】株式会社PROSPER
(73)【特許権者】
【識別番号】596125826
【氏名又は名称】山内 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100171963
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 惠一
(72)【発明者】
【氏名】山内 肇
【審査官】
田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−091091(JP,A)
【文献】
特開2012−101200(JP,A)
【文献】
特開2012−091116(JP,A)
【文献】
特開2006−198530(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102503055(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 35/06
B01D 43/00
B01D 57/00−57/02
B04C 1/00−11/00
C02F 3/00
C10G 1/00−99/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクロン分離機を備えた油分分離装置であって、
外部から供給される含油性物質に対して過熱蒸気噴射口から超音速の過熱蒸気が噴射される噴射空間を有する処理槽を備え、
前記処理槽はその本体が円筒状に構成され、
前記円筒状本体はその円筒軸方向が天地方向と垂直に交差するように配置され、前記過熱蒸気噴射口が前記円筒状本体の円筒曲面内側円周方向に倣う方向を噴出方向として前記円筒状本体の天地方向底部に開口されて設けられ、
前記処理槽の天地方向底部に天地方向下方から上方に向けて前記含油性物質を供給する供給口が設けられ、
前記円筒状本体の一方の底面中央に前記円筒状本体の軸線を中心とする円形の含油性物質排出口が設けられ、前記含油性物質排出口が前記サイクロン分離機に接続されている含油性物質の油分分離装置において、
前記円筒状本体の円筒曲面内壁に、前記円筒状本体の半径方向内側に向かって1又は2以上の円形板状の隔壁が円筒状本体の円形平面状底面と平行に設けられ、
前記円形板状の隔壁には、前記円筒状本体の軸線を中心とする円形孔部が設けられ、
前記円筒状本体の一対の底部平面内壁の間の前記隔壁により区切られてなる処理溝の各々に前記過熱蒸気噴射口と前記含油性物質を供給する供給口とが備えられていること
を特徴とする含油性物質の油分分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の含油性物質の油分分離装置であって、
前記円筒状本体の直径が1000mm以上1500mm以下であり、
前記処理溝の幅が100mm以上300mm以下であり、
前記円形板状の隔壁の前記円筒状本体の円筒曲面内壁との接合部から前記円形板状の隔壁に設けられた円形孔部の縁までの高さが50mm以上300mm以下であること、
を特徴とする油分分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルサンド、オイルシェール或いはオイルスラッジなどの含油性物質から効率よく油分を分離する含油性物質の油分分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常原油の埋蔵量は1兆7千億バレルから2兆バレル程度と推定されており、限界がある。また、確認埋蔵量の約半分が中東に集中しており、政治情勢の影響を受けやすく、安定供給が必ずしも保証されているわけではない。それに対し、オイルサンドやオイルシェールから得られる重質原油は埋蔵量4兆バレルともいわれ、これら天然の含油性物質から安全かつ効率的に油分を抽出する技術の実現が待たれている。
【0003】
さらに、石油産業から発生するオイルスラッジは、単一の廃棄物としては地球上でもっとも多量に存在しているといわれ、かつ、その量は増大する一方でほとんど処理されず、各地で野積みにされているのが実情である。しかし、焼却処理は大気汚染を招くことから、不法な埋め立てや海洋投棄が行われているという実態があり、それによる環境汚染が社会問題化している。そこで、廃棄されていた含油性物質に含まれている油分を再利用することも社会的要請となっている。
【0004】
含油性物質に含まれている油分を再利用するためは、油分を変質させることなく含油性物質に含まれている固形分等から分離することが必要である。含油性物質に含まれている固形分等から油分を気化させて分離する際には、気化された油分が引火しやすいという危険があり、含油性物質から油分を気化させる際に油分への引火を妨げる技術の開発が要望されていた。
【0005】
また、液体状態で埋蔵されている石油の掘削と比較して、コスト的に引けを取らないようにするためには、一時に十分な量を含油性物質から分離することが必要である。そこで、処理量を増大させる技術の開発も要望されていた。
【0006】
従来、含油性物質から油分を気化させる際に油分への引火のおそれを消失させる技術としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
【0007】
特許文献1には、含油性物質を過熱水蒸気で瞬時に分解して油分を気化させることで、引火のおそれを消失させる油分分離技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−091091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に係る油分分離装置では、オイルスラッジに超音速で
過熱水蒸気が噴射されるために、スラッジ部分が飛散して処理槽の壁面に衝突したり、噴射ノズルに衝突したりするなどして損傷を与える可能性があるという問題点がある。
【0010】
また、特許文献1に係る油分分離装置では、採算ベースに乗せるために十分な処理量が得られない可能性があることが判明した。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、
過熱水蒸気を噴射して含油性物質からの油分の分離を安全かつ効率的に行うことができ、かつ、採算ベースに乗せるために十分な処理量を得ることができる油分分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係る含油性物質の油分分離装置は、
サイクロン分離機を備えた油分分離装置であって、外部から供給される含油性物質に対して過熱蒸気噴射口から超音速の過熱蒸気が噴射される噴射空間を有する処理槽を備え、前記処理槽はその本体が円筒状に構成され、前記円筒状本体はその円筒軸方向が天地方向と垂直に交差するように配置され、前記過熱蒸気噴射口が前記円筒状本体の円筒曲面内側円周方向に倣う方向を噴出方向として前記円筒状本体の天地方向底部に開口されて設けられ、前記処理槽の天地方向底部に天地方向下方から上方に向けて前記含油性物質を供給する供給口が設けられ、前記円筒状本体の一方の底面中央に前記円筒状本体の軸線を中心とする円形の含油性物質排出口が設けられ
、前記含油性物質排出口が前記サイクロン分離機に接続されている含油性物質の油分分離装置
において、前記円筒状本体の円筒曲面内壁に、前記円筒状本体の半径方向内側に向かって1又は2以上の円形板状の隔壁が円筒状本体の円形平面状底面と平行に設けられ、前記円形板状の隔壁には、前記円筒状本体の軸線を中心とする円形孔部が設けられ、前記円筒状本体の一対の底部平面内壁の間の前記隔壁により区切られてなる処理溝の各々に前記過熱蒸気噴射口と前記含油性物質を供給する供給口とが備えられていることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、高温高圧の過熱蒸気を超音速で、処理槽円筒状本体内の噴射空間の円筒曲面内側円周方向に沿って前記噴射空間の天地方向底部に噴射し、一方含油性物質を前記円筒状噴射空間の天地方向底部に天地方向下方から上方に向けて供給することにより、この円筒状噴射空間内において、円筒状噴射空間の円周方向に沿った方向に過熱蒸気が噴射される。この過熱蒸気が超高速で含油性物質に衝突することで、前記噴射空間で含油性物質が瞬間的に解砕されて固形物質及び気化した油分に分離される。
【0014】
そうして分離された固形物質及び気化した油分は円筒状噴射空間内側において円筒曲面によって形成される円周方向に倣う方向に上方に吹き上げられ、円周方向に回動し、その過程で固形物質は自重と処理槽内の空気との摩擦により回動速度が減少することで、処理槽円筒状本体の軸線中央部を中心に処理槽円筒状本体の軸線中央部寄りを回動することになり、過熱蒸気が継続して噴射されていることで処理槽内の気圧が外部より高くなっていることから、処理槽円筒状本体の一方の底面に設けられた含油性物質排出口から排出される。一方、気化した油分は上記と混合され、処理槽内の気圧が外部より高くなっていることから、含油性物質排出口から固形物質と共に排出される。
【0015】
ここで本発明では、処理槽円筒状本体の一方の閉じた底面ともう一方の含油性物質排出口との間に、中央に円形の孔部を備える隔壁を底面と平行に設けることにより底面と隔壁、或いは隔壁同士に挟まれた複数の処理溝各々に熱蒸気噴射口が備えられていることで、処理量を増大させることができる。
【0016】
含油性物質排出口から排出された固形物質と油分混合蒸気は、含油性物質排出口に接続された遠心分離機に流し込まれ、固形物質はその重量により下方に落下し、油分混合蒸気は遠心分離機上方に設けられた気化物質排出口から排出され、冷却液化機構において、油分と水分に分離され、分離された油分が利用可能となる。
【0017】
特許文献1に係る油分分離装置では、
図1に示すように、処理槽円筒状本体において、高温の過熱蒸気が内壁に超音速で吹き付けられるため、処理槽円筒状本体は所定の強度、耐腐食性を備える必要があり、その直径があまり大きなものを製造するには、困難が伴う。さらにあまり直径が大きなものを使用すると、処理槽円筒状本体の天地方向底部で噴出された過熱蒸気と衝突した固形物質が処理槽円筒状本体の天地方向上部方向に回動している途中で角速度を失い、処理槽円筒状本体の一方の底面に設けられた含油性物質排出口から十分に排出されずに処理槽内に残留することになる。その状態の処理槽内に新たな含油性物質を供給すると、処理槽内に残留する固形物質がさらに増加することになり、固形物質に回動するために十分な角速度を与えることがさらに困難になる。また、角速度を補うために、
過熱水蒸気の速度を上げれば、スラッジ部分が飛散して処理槽の壁面に衝突したり、噴射ノズルに衝突したりするなどして損傷を与える可能性がさらに大きくなる。以上の理由から、処理槽の直径を大きくすることにより処理量を増加させることは困難である。
【0018】
特許文献1に係る油分分離装置では、処理槽円筒状本体の両底面の間隔をその直径に比して10%から20%程度としていたが、処理槽の直径を大きくすることにより処理量を増加させることが困難であるため、処理槽円筒状本体の両底面の間隔を広げることにより処理量を増加させることを試みた。処理槽の直径を大きくせずに処理量を増加させることができれば、
過熱水蒸気の噴射速度を抑えることができ、スラッジ部分が飛散して処理槽の壁面に衝突したり、噴射ノズルに衝突したりするなどして損傷を与える可能性を減少させることができるからである。
【0019】
しかし処理槽円筒状本体の両底面の間隔を広げることでは、処理量を有意に増加させることはできなかった。
【0020】
特許文献1に係る油分分離装置では、
図2に示すように、処理槽円筒状本体の円周方向に固形物質が回動する際に、固形物質は処理槽円筒状本体の底面と側部曲面内壁とからなる隅部寄りを回動する。
【0021】
図3に示すように、処理槽円筒状本体の両底面の間隔を広げても、固形物質が処理槽円筒状本体の底面と側部曲面内壁とからなる隅部寄りを回動するために、処理槽円筒状本体の容積を増やしたことに比例するほど有意な増加量を得ることができなかった。
【0022】
そこで、本発明に係る油分分離装置では、処理槽円筒状本体内に中央に円形孔部を備える隔壁を設け、底面と隔壁或いは隔壁同士に挟まれた処理溝に過熱蒸気噴射装置と含油性物質を供給する供給口とが備えられることにより、底面と側部曲面内壁とからなる処理溝の隅部だけでなく、隔壁面と側部曲面内壁とからなる処理溝の隅部を固形物質が回動するので、供給量を増やした分の含油性物質が固形物質と気化した油分に分離される。
【0023】
本発明(請求項
2に記載の発明)に係る含油性物質の油分分離装置は、請求項1に記載の含油性物質の油分分離装置であって、前記円筒状本体の直径が1000mm以上1500mm以下であり、前記処理
溝の幅が100mm以上300mm以下であり、前記円形板状の隔壁の前記円筒状本体の円筒曲面内壁との接合部から前記円形板状の隔壁に設けられた円形孔部の縁までの高さが50mm以上300mm以下であることを特徴とする。
【0024】
このように構成することで、処理槽円筒状本体の直径の製造にさほど困難がなく、処理槽円筒状本体の天地方向底部で噴出された過熱蒸気と衝突した固形物質が処理槽円筒状本体の天地方向上部方向に回動している途中で角速度を失い、処理槽円筒状本体の一方の底面に設けられた含油性物質排出口から十分に排出されずに処理槽内に残留すること、及び、処理溝の幅が広すぎるときに処理溝の隅部を固形物質が回動することにより噴射空間の容積を増やしても処理量が有意に増加しないという問題とを防止することができ、処理槽円筒状本体の軸線中央部を中心に処理槽円筒状本体の軸線中央部寄りを回動する固形物質が隔壁に妨げられずに排出口から排出される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明に係る油分分離装置によれば、
過熱水蒸気を噴射して含油性物質からの油分の分離を安全かつ効率的に行うことができ、かつ、採算ベースに乗せるために十分な処理量を得ることができる油分分離装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る含油性物質の油分分離装置の、先行技術に係る含油性物質の油分分離装置の、処理槽円筒状本体を平面状底面の方向から見た模式図である。
【
図2】本発明に係る含油性物質の油分分離装置の、先行技術に係る含油性物質の油分分離装置の、処理槽円筒状本体を曲面状側面の方向から見た模式図である。
【
図3】
図1に表した含油性物質の油分分離装置の、処理量を増やすための試作品の模式図であって、処理槽円筒状本体を曲面状側面の方向から見た模式図である。
【
図4】本発明に係る含油性物質の油分分離装置の、処理槽円筒状本体を平面状底面の方向から見た模式図である。
【
図5】本発明に係る含油性物質の油分分離装置の、処理槽円筒状本体を曲面状側面の方向から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は以上のような構成であるので、これを図面に基づきながら本発明の実施の形態を説明する。
【実施例】
【0028】
図4乃至
図5は本発明に係る含油性物質の油分分離装置の実施例を示す。
これらの図において、全体を符号1で示すものは本発明を特徴づける含油性物質の油分分離装置である。
【0029】
図4は本発明の含油性物質の油分分離装置1の処理槽円筒状本体を平面状底面の方向から見た模式図である。
図4において、符号10は、本発明に係る含油性物質の油分分離装置の処理槽円筒状本体であり、その円筒軸方向が天地方向と垂直に交差するように配置され、過熱蒸気噴射装置30が円筒状本体10の天地方向底部10aにおいて円筒状本体10の円筒軸方向と直角の方向で天地方向と垂直に交差するように接続され、過熱蒸気噴射口31が処理槽円筒状本体10の円筒曲面内側円周方向に倣う方向を噴出方向として前記円筒状本体10の天地方向底部10aに開口されて設けられている。
【0030】
前記処理槽円筒状本体10の天地方向底部10aに天地方向下方から上方に向けて前記含油性物質を供給する含油性物質供給口21が設けられ、前記含油性物質はスクリューコンベア20により天地方向下方から上方に向けて供給される。
【0031】
この含油性物質供給口21を介して外部より供給される含油性物質に対して過熱蒸気噴射口31から超音速の過熱蒸気を噴射する。過熱蒸気を超音速流として、供給されている含油性物質に対して強制衝突させることによって処理槽円筒状本体10に供給された含油性物質を解砕、撹拌しつつ油分を気化させ、固形物質と分離する。
【0032】
そうして分離された固形物質及び気化した油分は円筒状噴射空間11において円筒曲面によって形成される円周方向に倣う方向に天地方向上部10aに向けて吹き上げられ、円周方向に回動する。噴射空間11内を回動する固形物質は自重と処理槽内の空気との摩擦により回動速度が減少することで、噴射空間11内の矢印に示されるように処理槽円筒状本体10の軸線中央部を中心に処理槽円筒状本体10の軸線中央部寄りを回動することになり、過熱蒸気が継続して噴射されていることで噴射空間11内の気圧が外部より高くなっていることから、処理槽円筒状本体10の一方の底面に設けられた含油性物質排出口17から排出される。一方、気化した油分は前記過熱蒸気と混合され、噴射空間11内の気圧が外部より高くなっていることから、含油性物質排出口17から固形物質と共に排出される。
【0033】
図5は、本発明の含油性物質の油分分離装置1の処理槽円筒状本体を曲面状側面の方向から見た模式図である。
図5において、隔壁14は2枚備えられており、処理溝15は3本となっている。処理溝各々に備えられた含油性物質供給口21から供給された含油性物質は、処理溝各々に備えられた過熱蒸気噴射装置30の過熱蒸気噴射項31から噴射された過熱蒸気により前記含油性物質から分離された固形物質51と、過熱蒸気と混合された気化した油分は、処理槽円筒状本体10の一方の底面に設けられた含油性物質排出口17から排出され、排出管を通ってサイクロン分離機40に流れ込む。
【0034】
サイクロン分離機40において遠心分離、衝突分離等により過熱蒸気と混合された気化した油分と固形物質51との分離が行われる。分離された過熱蒸気と混合された気化した油分はサイクロン離機40上方の気化物質排出口41から排出され、冷却液化機構において、油分と水分に分離され、分離された油分が利用可能となる。この際、気化物質排出口41にはバグフィルタ等を備え、サイクロンで捕集しきれなかった超微粉を捕集することが望ましい。一方、固形物質51はサイクロン離機40下方の固形物質排出口から残渣タンク43へ排出される。
【0035】
本発明に係る含油性物質の油分分離装置において、含油性物質からの油分の分離を安全かつ効率的に行うには、処理槽円筒状本体10の円形底面の直径は1000mm以上1500mm以下、処理
溝15の幅は100mm以上300mm以下、隔壁14の円筒状本体曲面内壁12から隔壁孔部縁16までの高さは50mm以上300mm以下であることが望ましい。排出口17の直径は処理溝の数の平方根に比例する。処理溝の数が1の場合、排出口17の直径は120mm以上170mm以下程度が望ましく、処理溝の数が2の場合はその直径の√2倍、処理溝の数が3の場合はその直径の√3倍とする。
【0036】
本発明に係る含油性物質の油分分離装置において、含油性物質からの油分の分離をさらに効率的に行うには、処理槽円筒状本体10の円形底面の直径は1200mm以上1300mm以下、処理溝15の幅は200mm以上250mm以下、隔壁14の円筒状本体曲面内壁12から隔壁孔部縁16までの高さは100mm以上200mm以下であることが望ましい。
【0037】
処理槽内部の損傷に対する耐久性を考慮して、処理槽円筒状本体10の円形底面の直径を1200m、処理溝15の幅は200mmとした場合、処理できる量は160L/h程度であり、比重が2kgの原料ならば320kgとなる。処理槽円筒状本体10の円形底面同士の距離を400mmにした場合、最大で220〜230L/h程度の処理量しか得られないが、隔壁14を設けて幅200mmの処理溝2本とすると、320L/ h程度の処理量となる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、含油性物質の油分分離装置は、揮発性の不純物を含んだ不燃又は難燃性素材から揮発性不純物を除去するような用途にも適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 油分分離装置
10 処理槽円筒状本体
10a 天地方向底部
10b 天地方向上部
11 噴射空間
12 円筒状本体側部曲面内壁
13 円筒状本体底部平面内壁
14 隔壁
15 処理溝
16 隔壁孔部縁
17 排出口
18 排出管
20 スクリューコンベア
21 含油性物質供給口
30 過熱蒸気噴射装置
31 過熱蒸気噴射口
40 サイクロン分離機
41 気化物質排出口
42 固形物質排出口
43 残渣タンク
50 含油性物質
51 固形物質