特許第6815873号(P6815873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815873
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20210107BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   H01L21/306 R
   H01L21/304 648K
   H01L21/304 648G
   H01L21/304 643A
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-6405(P2017-6405)
(22)【出願日】2017年1月18日
(65)【公開番号】特開2018-117032(P2018-117032A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】安田 周一
(72)【発明者】
【氏名】小林 健司
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−022572(JP,A)
【文献】 特開2002−205022(JP,A)
【文献】 特開2003−332322(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/136872(WO,A1)
【文献】 特開2005−175058(JP,A)
【文献】 特開2002−363775(JP,A)
【文献】 特開平09−232273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液により基板を処理する基板処理装置であって、
第1循環流路を形成し、第1供給液が連続的に流れる第1供給液ラインと、
前記第1供給液ラインに設けられ、前記第1供給液中の所定のガスの溶存濃度を測定する第1濃度測定部と、
前記第1循環流路の前記第1供給液ラインに設けられる第1フィルタと、
第2循環流路を形成し、前記第1供給液よりも前記ガスの溶存濃度が低い第2供給液が連続的に流れる第2供給液ラインと、
前記第2供給液ラインに設けられ、前記第2供給液中の前記ガスの溶存濃度を測定する第2濃度測定部と、
前記第2循環流路の前記第2供給液ラインに設けられる第2フィルタと、
前記第1供給液と前記第2供給液とを混合して、前記ガスの溶存濃度が調整された処理液を生成する処理液調整部と、
前記処理液を基板に供給して前記基板を処理する基板処理部と、
制御部と、
を備え、
前記処理液調整部が、
前記第1供給液ラインに一端が接続され、前記第1循環流路から分岐して前記第1供給液が流れる第1分岐ラインと、
前記第2供給液ラインに一端が接続され、前記第2循環流路から分岐して前記第2供給液が流れる第2分岐ラインと、
前記第1分岐ラインまたは前記第2分岐ラインに設けられる流量調整部と、
前記第1分岐ラインの他端、および、前記第2分岐ラインの他端が接続され、前記第1供給液と前記第2供給液とを混合することにより、前記処理液を生成する混合部と、
を備え、
前記制御部が、前記処理液中の前記ガスの溶存濃度が設定値となるように、前記第1濃度測定部の測定値および前記第2濃度測定部の測定値に基づいて前記流量調整部を制御することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記第1循環流路において、前記第1供給液の流れ方向における前記第1濃度測定部から、前記第1分岐ラインの前記一端が接続される接続位置までの間に前記第1フィルタが設けられ、
前記第2循環流路において、前記第2供給液の流れ方向における前記第2濃度測定部から、前記第2分岐ラインの前記一端が接続される接続位置までの間に前記第2フィルタが設けられることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置であって、
前記第1供給液を貯溜し、前記第1供給液が前記ガスに晒される第1供給液タンクと、
前記第2供給液を貯溜し、前記第2供給液から前記ガスを取り除く第2供給液タンクと、
をさらに備え、
前記第1供給液ラインが、前記第1供給液タンクから前記第1供給液を取り込んで前記第1供給液タンクへと戻すことにより、前記第1供給液タンクと共に前記第1循環流路を形成し、
前記第2供給液ラインが、前記第2供給液タンクから前記第2供給液を取り込んで前記第2供給液タンクへと戻すことにより、前記第2供給液タンクと共に前記第2循環流路を形成することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記処理液調整部が、もう1つの流量調整部をさらに備え、
前記流量調整部が前記第1分岐ラインを流れる前記第1供給液の流量を調整し、
前記もう1つの流量調整部が前記第2分岐ラインを流れる前記第2供給液の流量を調整することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記基板処理部が、
基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、
前記基板に向けて前記処理液を吐出するノズルと、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項に記載の基板処理装置であって、
前記基板処理部が、他のノズルをさらに備え、
前記基板処理装置が、前記第1供給液と前記第2供給液とを混合して前記他のノズル用の処理液を生成する前記他のノズル用の処理液調整部をさらに備え、
前記他のノズル用の前記処理液調整部が、前記第1分岐ライン、前記第2分岐ライン、前記流量調整部および前記混合部と同様の構造の第1分岐ライン、第2分岐ライン、流量調整部および混合部を備え、
前記制御部が、前記他のノズル用の前記処理液中の前記ガスの溶存濃度が前記他のノズル用の設定値となるように、前記他のノズル用の前記処理液調整部の前記流量調整部を制御し、
前記ノズルが、前記処理液調整部により生成された前記処理液を前記基板の一の主面に向けて吐出し、
前記他のノズルが、前記他のノズル用の前記処理液を前記基板の他の主面に向けて吐出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれかに記載の基板処理装置であって、
他の基板を処理する他の基板処理部と、
前記第1供給液と前記第2供給液とを混合して前記他の基板処理部用の処理液を生成する前記他の基板処理部用の処理液調整部と、
をさらに備え、
前記他の基板処理部用の前記処理液調整部が、前記第1分岐ライン、前記第2分岐ライン、前記流量調整部および前記混合部と同様の構造の第1分岐ライン、第2分岐ライン、流量調整部および混合部を備え、
前記制御部が、前記他の基板処理部用の前記処理液中の前記ガスの溶存濃度が前記他の基板処理部用の設定値となるように、前記他の基板処理部用の前記処理液調整部の前記流量調整部を制御することを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれかに記載の基板処理装置であって、
第3供給液が連続的に流れる第3供給液ラインと、
前記第3供給液ラインに設けられ、前記第3供給液中の前記ガスの溶存濃度を測定する第3濃度測定部と、
をさらに備え、
前記処理液調整部が、
前記第3供給液ラインにおいて前記第3濃度測定部よりも上流側の接続位置に一端が接続され、前記混合部に他端が接続され、前記第3供給液が流れる第3分岐ラインと、
前記第1ないし第3分岐ラインのうち、前記流量調整部とは異なる分岐ラインに設けられる他の流量調整部と、
をさらに備え、
前記第1および第2供給液が純水であり、前記第3供給液が純水以外であり、
前記混合部において、前記第1ないし第3供給液が混合されることにより、純水で希釈された前記第3供給液が前記処理液として生成され、
前記制御部が、前記処理液中の前記ガスの溶存濃度が前記設定値となるように、前記第1ないし第3濃度測定部の測定値に基づいて前記流量調整部および前記他の流量調整部を制御することを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液により基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板(以下、単に「基板」という。)の製造工程では、基板処理装置を用いて基板に対して処理液により様々な処理が施される。例えば、表面上にレジストのパターンが形成された基板に薬液を供給することにより、基板の表面に対してエッチング等の処理が行われる。また、エッチング処理の終了後、剥離液により基板上のレジストを除去したり、洗浄液により基板を洗浄する処理も行われる。
【0003】
なお、特許文献1では、処理槽内の処理液に基板を浸漬して基板に処理を行う基板処理装置が開示されている。当該装置では、処理槽からオーバーフローした処理液を処理槽に循環供給する経路上で、処理液の窒素ガス濃度を所定の値に調整する調整部が設けられる。調整部では、処理槽からの処理液が流れる供給経路が、第1および第2供給経路の2系統に分岐され、その後、両者が合流して処理槽に接続される。第1供給経路には、処理液に窒素ガスを溶解させる溶解部と、第1窒素濃度計と、第1処理液バルブとが設けられる。第2供給経路には、処理液から窒素ガスを脱気させる脱気部と、第2窒素濃度計と、第2処理液バルブとが設けられる。第1および第2窒素濃度計等の測定値に基づいて、第1および第2処理液バルブの開閉を制御することにより、目標とする窒素ガス濃度を有する処理液が得られ、処理槽へと供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4368188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、処理液による基板の処理では、処理液中の溶存酸素(Dissolved Oxygen)の濃度により、基板上の膜のエッチングレートが変動する。タンクに貯溜される処理液に対して、窒素ガスのバブリング、または、周囲雰囲気の減圧等を行うことにより、処理液中の溶存酸素濃度を低下させることは可能であるが、処理液中の溶存酸素濃度を任意の設定値に精度よく調整することは困難である。
【0006】
一方、特許文献1の調整部では、目標とする窒素ガス濃度を有する処理液が得られるが、当該処理液には、濃度測定部を通過した液が含まれてしまう。濃度測定部を通過した液には、濃度測定部の接液部等に起因するパーティクルや金属イオン等が含まれる場合がある。濃度測定部に起因するパーティクル等を含む液が、基板に供給される処理液に含まれることは好ましくない。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、濃度測定部に起因するパーティクル等を含む液が、基板に供給される処理液に含まれることを防止しつつ、処理液中のガスの溶存濃度を設定値に精度よく調整することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、処理液により基板を処理する基板処理装置であって、第1循環流路を形成し、第1供給液が連続的に流れる第1供給液ラインと、前記第1供給液ラインに設けられ、前記第1供給液中の所定のガスの溶存濃度を測定する第1濃度測定部と、前記第1循環流路の前記第1供給液ラインに設けられる第1フィルタと、第2循環流路を形成し、前記第1供給液よりも前記ガスの溶存濃度が低い第2供給液が連続的に流れる第2供給液ラインと、前記第2供給液ラインに設けられ、前記第2供給液中の前記ガスの溶存濃度を測定する第2濃度測定部と、前記第2循環流路の前記第2供給液ラインに設けられる第2フィルタと、前記第1供給液と前記第2供給液とを混合して、前記ガスの溶存濃度が調整された処理液を生成する処理液調整部と、前記処理液を基板に供給して前記基板を処理する基板処理部と、制御部とを備え、前記処理液調整部が、前記第1供給液ラインに一端が接続され、前記第1循環流路から分岐して前記第1供給液が流れる第1分岐ラインと、前記第2供給液ラインに一端が接続され、前記第2循環流路から分岐して前記第2供給液が流れる第2分岐ラインと、前記第1分岐ラインまたは前記第2分岐ラインに設けられる流量調整部と、前記第1分岐ラインの他端、および、前記第2分岐ラインの他端が接続され、前記第1供給液と前記第2供給液とを混合することにより、前記処理液を生成する混合部とを備え、前記制御部が、前記処理液中の前記ガスの溶存濃度が設定値となるように、前記第1濃度測定部の測定値および前記第2濃度測定部の測定値に基づいて前記流量調整部を制御する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記第1循環流路において、前記第1供給液の流れ方向における前記第1濃度測定部から、前記第1分岐ラインの前記一端が接続される接続位置までの間に前記第1フィルタが設けられ、前記第2循環流路において、前記第2供給液の流れ方向における前記第2濃度測定部から、前記第2分岐ラインの前記一端が接続される接続位置までの間に前記第2フィルタが設けられる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板処理装置であって、前記第1供給液を貯溜し、前記第1供給液が前記ガスに晒される第1供給液タンクと、前記第2供給液を貯溜し、前記第2供給液から前記ガスを取り除く第2供給液タンクとをさらに備え、前記第1供給液ラインが、前記第1供給液タンクから前記第1供給液を取り込んで前記第1供給液タンクへと戻すことにより、前記第1供給液タンクと共に前記第1循環流路を形成し、前記第2供給液ラインが、前記第2供給液タンクから前記第2供給液を取り込んで前記第2供給液タンクへと戻すことにより、前記第2供給液タンクと共に前記第2循環流路を形成する。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記処理液調整部が、もう1つの流量調整部をさらに備え、前記流量調整部が前記第1分岐ラインを流れる前記第1供給液の流量を調整し、前記もう1つの流量調整部が前記第2分岐ラインを流れる前記第2供給液の流量を調整する。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記基板処理部が、基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、前記基板に向けて前記処理液を吐出するノズルとを備える。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の基板処理装置であって、前記基板処理部が、他のノズルをさらに備え、前記基板処理装置が、前記第1供給液と前記第2供給液とを混合して前記他のノズル用の処理液を生成する前記他のノズル用の処理液調整部をさらに備え、前記他のノズル用の前記処理液調整部が、前記第1分岐ライン、前記第2分岐ライン、前記流量調整部および前記混合部と同様の構造の第1分岐ライン、第2分岐ライン、流量調整部および混合部を備え、前記制御部が、前記他のノズル用の前記処理液中の前記ガスの溶存濃度が前記他のノズル用の設定値となるように、前記他のノズル用の前記処理液調整部の前記流量調整部を制御し、前記ノズルが、前記処理液調整部により生成された前記処理液を前記基板の一の主面に向けて吐出し、前記他のノズルが、前記他のノズル用の前記処理液を前記基板の他の主面に向けて吐出する。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれかに記載の基板処理装置であって、他の基板を処理する他の基板処理部と、前記第1供給液と前記第2供給液とを混合して前記他の基板処理部用の処理液を生成する前記他の基板処理部用の処理液調整部とをさらに備え、前記他の基板処理部用の前記処理液調整部が、前記第1分岐ライン、前記第2分岐ライン、前記流量調整部および前記混合部と同様の構造の第1分岐ライン、第2分岐ライン、流量調整部および混合部を備え、前記制御部が、前記他の基板処理部用の前記処理液中の前記ガスの溶存濃度が前記他の基板処理部用の設定値となるように、前記他の基板処理部用の前記処理液調整部の前記流量調整部を制御する。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれかに記載の基板処理装置であって、第3供給液が連続的に流れる第3供給液ラインと、前記第3供給液ラインに設けられ、前記第3供給液中の前記ガスの溶存濃度を測定する第3濃度測定部とをさらに備え、前記処理液調整部が、前記第3供給液ラインにおいて前記第3濃度測定部よりも上流側の接続位置に一端が接続され、前記混合部に他端が接続され、前記第3供給液が流れる第3分岐ラインと、前記第1ないし第3分岐ラインのうち、前記流量調整部とは異なる分岐ラインに設けられる他の流量調整部とをさらに備え、前記第1および第2供給液が純水であり、前記第3供給液が純水以外であり、前記混合部において、前記第1ないし第3供給液が混合されることにより、純水で希釈された前記第3供給液が前記処理液として生成され、前記制御部が、前記処理液中の前記ガスの溶存濃度が前記設定値となるように、前記第1ないし第3濃度測定部の測定値に基づいて前記流量調整部および前記他の流量調整部を制御する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、濃度測定部に起因するパーティクル等を含む供給液が、基板に供給される処理液に含まれることを防止しつつ、処理液中のガスの溶存濃度を設定値に精度よく調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】基板処理装置を示す平面図である。
図2】供給液キャビネット、処理液調整部および基板処理部の構成を示す図である。
図3】基板処理装置における基板の処理の流れを示す図である。
図4】2つの基板処理部に接続された2つの処理液調整部の構成を示す図である。
図5】基板処理装置の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置1を示す平面図である。基板処理装置1は、略円板状の半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)に処理液を供給して基板9を処理する装置である。
【0018】
基板処理装置1は、基板処理ユニット11と、インデクサ部12と、供給液キャビネット4と、制御部10とを備える。制御部10は、基板処理装置1の全体制御を担う。基板処理ユニット11は、複数の基板処理部3と、搬送室21とを備える。複数の基板処理部3は、搬送室21を囲むように配置される。図1では、4個の基板処理部3を図示しているが、上下方向(図1の紙面に垂直な方向)に複数の基板処理部3が積み重ねられて、さらに多くの基板処理部3が設けられてもよい。後述するように、各基板処理部3では、処理液を基板9に供給して基板9が処理される。搬送室21は、図1の横方向に広がる空間であり、搬送室21の中央には、基板搬送ロボット22が設けられる。基板搬送ロボット22は、各基板処理部3への基板9の搬入、および、基板処理部3からの基板9の搬出を行う。
【0019】
インデクサ部12は、横方向に広がる搬送室21の一方側の端部近傍に配置される。インデクサ部12には、インデクサロボット121が設けられる。インデクサ部12の基板処理ユニット11と反対側には、図示省略のカセット載置部が設けられる。カセット載置部では、複数のカセットが並べて配置される。各カセットには、複数の基板9が多段に積層して収容される。インデクサロボット121は、各カセットへの基板9の搬入、および、カセットからの基板9の搬出を行う。また、インデクサロボット121は、基板搬送ロボット22との間で基板9の受け渡しを行う。供給液キャビネット4は、第1および第2供給液タンク41,42を有する。第1および第2供給液タンク41,42は、後述の処理液調整部を介して各基板処理部3に接続される。
【0020】
図2は、供給液キャビネット4、処理液調整部5a,5bおよび基板処理部3の構成を示す図である。基板処理部3は、基板9を1枚ずつ処理する枚葉式の装置であり、基板保持部33と、上部ノズル31と、下部ノズル32と、カップ34と、チャンバ35とを備える。基板保持部33は、上下方向を向く中心軸を中心とする円板状のベース部331を有する。ベース部331の上面には、複数のチャックピン332が設けられる。複数のチャックピン332は、中心軸を中心とする円周上に配置される。基板保持部33が基板9を保持する際には、複数のチャックピン332が、基板9の外周部に押し付けられる。これにより、基板9がベース部331において水平姿勢で保持される。ベース部331の上面は、基板9の下面と平行であり、両者は隙間を空けて互いに対向する。
【0021】
ベース部331の下面の中央には、中心軸を中心とするシャフト部333が取り付けられる。図示省略の基板回転機構がシャフト部333を回転することにより、基板保持部33と共に基板9が中心軸を中心として回転する。ベース部331およびシャフト部333は、中空状である。ベース部331およびシャフト部333の中空部には、上下方向に延びる下部ノズル32が設けられる。後述するように、下部ノズル32用の処理液調整部5bが下部ノズル32に接続され、当該処理液調整部5bから下部ノズル32に処理液が供給される。当該処理液は、下部ノズル32の上端面の中央に設けられた吐出口から上方に吐出される。
【0022】
上部ノズル31は、基板9の上方に配置され、上下方向に延びる。後述するように、上部ノズル31用の処理液調整部5aが上部ノズル31に接続され、当該処理液調整部5aから上部ノズル31に処理液が供給される。当該処理液は、上部ノズル31の下端面の中央に設けられた吐出口から下方に吐出される。カップ34は、ベース部331の周囲を囲む略筒状である。後述する基板9の処理では、回転する基板9から飛散する処理液がカップ34の内周面により受けられ、回収される。チャンバ35は、基板保持部33、上部ノズル31、下部ノズル32およびカップ34を内部に収容する。
【0023】
既述のように、供給液キャビネット4は、第1および第2供給液タンク41,42を有する。第1供給液タンク41は第1供給液を貯溜し、第2供給液タンク42は第2供給液を貯溜する。第1供給液タンク41の内部は、大気開放ライン411を介して外部と接続される。すなわち、第1供給液タンク41の内部は、大気に開放されている。第1供給液タンク41内の第1供給液は、原則として常時、空気中の酸素に晒され、第1供給液では、酸素の溶存濃度、すなわち、溶存酸素濃度が比較的高い状態(ほぼ飽和溶存酸素濃度)が維持される。例えば、第1供給液の溶存酸素濃度は、9000ppb以上である。
【0024】
第2供給液タンク42には、窒素ガスライン421が接続される。窒素ガスライン421の一端は、窒素ガスの供給源に接続され、他端は、第2供給液タンク42の第2供給液中に配置される。窒素ガスライン421の当該他端には、バブル発生用のノズルが設けられる。窒素ガスの供給源が窒素ガスライン421に窒素ガスを供給することにより、第2供給液タンク42の第2供給液中に窒素ガスのバブルが発生し(バブリング)、第2供給液中の窒素ガスの濃度が増大される。これにより、第2供給液中の溶存酸素が取り除かれる、すなわち、第2供給液中の溶存酸素が脱気される。窒素ガスのバブリングは、原則として常時行われ、第2供給液では、溶存酸素濃度が比較的低い状態が維持される。例えば、第2供給液の溶存酸素濃度は、50ppb以下である。なお、第2供給液タンク42では、減圧等により第2供給液の溶存酸素濃度が低減されてもよい。
【0025】
本処理例では、第1供給液および第2供給液は同じ種類の液であり、両者では、溶存酸素濃度が相違する。すなわち、第2供給液の溶存酸素濃度は、第1供給液の溶存酸素濃度よりも低い。第1供給液および第2供給液は、例えばSC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)、SPM(硫酸過酸化水素水混合液)、フッ酸、バッファードフッ酸(フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液)等である。なお、第1および第2供給液タンク41,42には、図示省略の供給液補充部も接続されており、第1および第2供給液タンク41,42内の供給液が少なくなると、供給液が第1および第2供給液タンク41,42に補充される。
【0026】
第1供給液タンク41には、第1供給液タンク41と共に第1循環流路410を形成する第1供給液ライン412が接続される。すなわち、第1供給液ライン412の両端は第1供給液タンク41に接続される。第1供給液ライン412には、ポンプ413が設けられる。ポンプ413を駆動することにより、第1供給液タンク41から第1供給液ライン412に第1供給液が取り込まれる。第1供給液は、第1供給液ライン412の一端から他端へと連続的に流れ、第1供給液タンク41へと戻される。このように、第1供給液は、第1循環流路410を循環する。第1循環流路410における第1供給液の循環は、原則として常時行われる。
【0027】
第1供給液ライン412には、フィルタ414および第1濃度測定部415がさらに設けられる。第1供給液ライン412では、第1供給液の流れ方向、すなわち上記一端から他端に向かって順にフィルタ414および第1濃度測定部415が配置される。フィルタ414は、第1供給液に含まれるパーティクルを除去する。フィルタ414は、第1供給液に含まれる微量な金属(金属イオン等)の除去も可能である。第1濃度測定部415は、第1供給液ライン412にインラインで設けられ、第1供給液ライン412内を流れる第1供給液に接する接液部を有する。第1濃度測定部415は、第1供給液中の溶存酸素濃度を測定する。第1濃度測定部415による測定値は、所定時間毎に制御部10に出力される。なお、第1循環流路410においてヒータ等が設けられ、第1供給液の温度が調整されてもよい(後述の第2循環流路420において同様)。
【0028】
第1供給液タンク41の第1供給液ライン412と同様に、第2供給液タンク42にも第2供給液ライン422が接続される。第2供給液ライン422は、第2供給液タンク42と共に第2循環流路420を形成する。第2供給液ライン422に設けられるポンプ423を駆動することにより、第2供給液タンク42から第2供給液ライン422に第2供給液が取り込まれる。第2供給液は、第2供給液ライン422の一端から他端へと連続的に流れ、第2供給液タンク42へと戻される。このように、第2供給液は、第2循環流路420を循環する。第2循環流路420における第2供給液の循環は、原則として常時行われる。
【0029】
第2供給液ライン422では、第2供給液の流れ方向、すなわち上記一端から他端に向かって順にフィルタ424および第2濃度測定部425が配置される。フィルタ424は、フィルタ414と同様に、第2供給液に含まれるパーティクルや微量な金属(金属イオン等)を除去する。第2濃度測定部425は、第2供給液ライン422にインラインで設けられ、第2供給液ライン422内を流れる第2供給液に接する接液部を有する。第2濃度測定部425は、第2供給液中の溶存酸素濃度を測定する。第2濃度測定部425による測定値は、所定時間毎に制御部10に出力される。
【0030】
基板処理装置1は、上部ノズル31用の処理液調整部5aと、下部ノズル32用の処理液調整部5bとをさらに備える。上部ノズル31用の処理液調整部5aは、第1分岐ライン51と、第2分岐ライン52と、純水導入ライン53と、液回収ライン54と、排液ライン55と、ノズル送液ライン56と、混合部57とを備える。第1分岐ライン51の一端は、第1供給液ライン412におけるフィルタ414と第1濃度測定部415との間の接続位置P1aに接続される。既述のように、第1供給液ライン412では、フィルタ414側から第1濃度測定部415に向かって第1供給液が流れるため、接続位置P1aは、第1供給液ライン412において第1濃度測定部415よりも上流側の位置である。第1分岐ライン51の他端は、混合部57に接続される。第1供給液ライン412を流れる第1供給液の一部が、第1分岐ライン51に流入し、混合部57に供給される。第1分岐ライン51には、流量調整部58が設けられる。流量調整部58は、流量計581と、流量調整弁582とを備える。流量調整部58では、流量計581の出力値に基づいて流量調整弁582の開度が制御され、第1分岐ライン51を流れる第1供給液の流量が調整される。
【0031】
第2分岐ライン52の一端は、第2供給液ライン422におけるフィルタ424と第2濃度測定部425との間の接続位置P2aに接続される。接続位置P2aは、第2供給液ライン422において第2濃度測定部425よりも上流側の位置である。第2分岐ライン52の他端は、混合部57に接続される。第2供給液ライン422を流れる第2供給液の一部が、第2分岐ライン52に流入し、混合部57に供給される。第2分岐ライン52には、第1分岐ライン51と同様に流量調整部58が設けられる。流量調整部58により、第2分岐ライン52を流れる第2供給液の流量が調整される。純水導入ライン53は、純水供給部531と混合部57とを接続する。純水導入ライン53にも、第1分岐ライン51と同様に流量調整部58が設けられ、純水導入ライン53を流れる純水(DIW:Deionized Water)の流量が調整される。
【0032】
液回収ライン54は、混合部57と液回収部541とを接続する。排液ライン55は、混合部57と排液部551とを接続する。排液ライン55には、エジェクタ552が設けられる。エジェクタ552を駆動することにより、混合部57における後述の混合本体570内の液が、排液ライン55を介して排液部551へと排出される。ノズル送液ライン56は、混合部57と上部ノズル31とを接続する。
【0033】
混合部57は、例えば多連弁装置(ミキシングバルブ)であり、混合本体570と、複数の開閉弁571〜576とを備える。混合本体570は、液混合用の内部空間を有する。上記第1分岐ライン51、第2分岐ライン52、純水導入ライン53、液回収ライン54、排液ライン55およびノズル送液ライン56は、それぞれ複数の開閉弁571〜576を介して混合本体570の内部空間に接続される。複数の開閉弁571〜576の開閉は、制御部10により制御される。混合本体570の内部空間は、他の開閉弁を介して他の構成に接続されてもよい。
【0034】
下部ノズル32用の処理液調整部5bは、上部ノズル31用の処理液調整部5aと同様の構造を有する。すなわち、下部ノズル32用の処理液調整部5bは、第1分岐ライン51と、第2分岐ライン52と、純水導入ライン53と、液回収ライン54と、排液ライン55と、ノズル送液ライン56と、混合部57とを備える。第1分岐ライン51の一端は、第1供給液ライン412におけるフィルタ414と第1濃度測定部415との間の接続位置P1bに接続され、他端は、混合部57に接続される。第1分岐ライン51には、流量調整部58が設けられる。第2分岐ライン52の一端は、第2供給液ライン422におけるフィルタ424と第2濃度測定部425との間の接続位置P2bに接続され、他端は、混合部57に接続される。第2分岐ライン52には、流量調整部58が設けられる。純水導入ライン53は、純水供給部531と混合部57とを接続する。純水導入ライン53には、流量調整部58が設けられる。
【0035】
液回収ライン54は、混合部57と液回収部541とを接続する。排液ライン55は、混合部57と排液部551とを接続する。排液ライン55には、エジェクタ552が設けられる。ノズル送液ライン56は、混合部57と下部ノズル32とを接続する。混合部57は、混合本体570と、複数の開閉弁571〜576とを備える。上記第1分岐ライン51、第2分岐ライン52、純水導入ライン53、液回収ライン54、排液ライン55およびノズル送液ライン56は、それぞれ複数の開閉弁571〜576を介して混合本体570の内部空間に接続される。
【0036】
図3は、基板処理装置1における基板9の処理の流れを示す図である。以下の説明では、一の基板処理部3に注目して基板9の処理を説明する。図3の処理は、複数の基板9に対して順次繰り返される。
【0037】
基板処理部3では、基板搬送ロボット22(図1参照)によりチャンバ35内に基板9が搬送され、基板保持部33により保持される(ステップS11)。基板9は、基板回転機構により所定の液処理速度で回転される。このとき、上部ノズル31用の処理液調整部5a、および、下部ノズル32用の処理液調整部5bでは、混合部57の全ての開閉弁571〜576が閉じられている。
【0038】
続いて、各処理液調整部5a,5bにおいて、混合部57の開閉弁571,572が開かれる。これにより、混合本体570の内部空間に第1供給液および第2供給液が供給され、当該内部空間において第1供給液と第2供給液との混合液である処理液が生成される。処理液の生成に並行して、上部ノズル31用の処理液調整部5a、および、下部ノズル32用の処理液調整部5bでは、溶存濃度調整動作が開始される(ステップS12)。
【0039】
基板処理装置1では、上部ノズル31から吐出される処理液について、溶存酸素(Dissolved Oxygen)の所望の濃度値が、DO設定値として予め設定されている。DO設定値は、第1供給液ライン412を流れる第1供給液の溶存酸素濃度と、第2供給液ライン422を流れる第2供給液の溶存酸素濃度との間の値である。また、上部ノズル31から吐出されるべき処理液の流量も、流量設定値として予め設定されている。溶存濃度調整動作では、上部ノズル31用の処理液調整部5aにおいて、混合本体570(の内部空間)内の処理液における溶存酸素濃度がDO設定値となり、後述の処理液の吐出時に混合本体570から排出される処理液の流量が流量設定値となるように、第1および第2分岐ライン51,52の流量調整部58が制御部10により制御される。
【0040】
第1および第2分岐ライン51,52の流量調整部58の制御は、第1濃度測定部415の測定値および第2濃度測定部425の測定値に基づいて行われる。例えば、第1濃度測定部415の測定値をC1、第2濃度測定部425の測定値をC2、上部ノズル31用のDO設定値をC、流量設定値をVとすると、第1分岐ライン51を流れる第1供給液の流量X1、および、第2分岐ライン52を流れる第2供給液の流量X2が(C1・X1+C2・X2=C・V)を満たすように、第1および第2分岐ライン51,52の流量調整部58が制御される。
【0041】
同様に、下部ノズル32から吐出される処理液について、溶存酸素の所望の濃度値が、他のDO設定値として予め設定されている。また、下部ノズル32から吐出されるべき処理液の流量も、他の流量設定値として予め設定されている。制御部10では、下部ノズル32用の処理液調整部5bにおいて、混合本体570内の処理液における溶存酸素濃度が当該他のDO設定値となり、混合本体570から排出される処理液の流量が当該他の流量設定値となるように、第1および第2分岐ライン51,52の流量調整部58が制御される。第1および第2分岐ライン51,52の流量調整部58の制御は、第1および第2濃度測定部415,425の測定値に基づいて行われる。
【0042】
各処理液調整部5a,5bでは、混合部57の開閉弁574も開かれる。これにより、混合本体570内の処理液が、液回収ライン54を介して液回収部541に排出される(いわゆる、プリディスペンス)。すなわち、液回収部541により混合本体570内の処理液を回収する処理液回収処理が行われる(ステップS13)。処理液回収処理が行われている間に、上部ノズル31用の処理液調整部5aでは、混合本体570内の処理液の溶存酸素濃度が上部ノズル31用のDO設定値近傍で安定する。また、下部ノズル32用の処理液調整部5bでは、混合本体570内の処理液の溶存酸素濃度が下部ノズル32用のDO設定値近傍で安定する。液回収部541にて回収された処理液は、例えばフィルタ処理等を施した後、再利用される。
【0043】
処理液回収処理の開始から所定時間が経過すると、混合部57の開閉弁574が閉じられるとともに、開閉弁576が開かれる。上部ノズル31用の処理液調整部5aでは、混合本体570内の処理液がノズル送液ライン56を介して上部ノズル31に導かれ、基板9の上面の中央部に向けて吐出される(ステップS14)。これにより、溶存酸素濃度が上部ノズル31用のDO設定値に調整された処理液が、基板9の上面に、上部ノズル31用の流量設定値の流量で連続的に供給される。同様に、下部ノズル32用の処理液調整部5bでは、混合本体570内の処理液がノズル送液ライン56を介して下部ノズル32に導かれ、基板9の下面の中央部に向けて吐出される。これにより、溶存酸素濃度が下部ノズル32用のDO設定値に調整された処理液が、基板9の下面に、下部ノズル32用の流量設定値の流量で連続的に供給される。
【0044】
処理液は、基板9の回転により上面および下面の外周部へと広がる。これにより、基板9の上面に対して、上部ノズル31用の処理液による処理が行われ、基板9の下面に対して、下部ノズル32用の処理液による処理が行われる。基板9の外周縁から飛散する処理液は、カップ34にて受けられて回収される。カップ34にて回収された処理液が再利用されてもよい。
【0045】
処理液の供給開始から所定時間が経過すると、各処理液調整部5a,5bにおいて混合部57の開閉弁571,572が閉じられ、上部ノズル31および下部ノズル32からの処理液の吐出が停止される。また、第1および第2分岐ライン51,52の流量調整部58の制御、すなわち、溶存濃度調整動作が停止される(ステップS15)。
【0046】
続いて、混合部57の開閉弁573が開かれることにより、純水供給部531から純水導入ライン53を介して混合本体570内に純水が導入される。混合本体570内の純水は、ノズル送液ライン56を介して上部ノズル31および下部ノズル32に導かれ、基板9の上面および下面の中央部に向けて吐出される。このように、基板9の上面および下面に純水を連続的に供給することにより、基板9に対してリンス処理が行われる(ステップS16)。回転する基板9の外周縁から飛散する純水は、カップ34にて受けられて回収される。
【0047】
純水の供給開始から所定時間が経過すると、各処理液調整部5a,5bでは、混合部57の開閉弁573が閉じられ、上部ノズル31および下部ノズル32からの純水の吐出が停止される。また、開閉弁575が開かれるとともに、エジェクタ552の駆動が開始される。これにより、混合本体570内の純水が排液ライン55内に吸い込まれ(サックバックされ)、排液部551へと排出される。すなわち、混合本体570内の純水を排出する純水排出処理が行われる(ステップS17)。混合本体570内の純水を排除することにより、次の基板9に対する処理において混合本体570内で純水と処理液とが混ざることが抑制される。純水排出処理では、ノズル送液ライン56内に残留する純水もある程度排除される。エジェクタ552の駆動開始から所定時間が経過すると、開閉弁575,576が閉じられるとともに、エジェクタ552の駆動も停止される。
【0048】
基板処理部3では、純水排出処理に並行して、基板9の回転数が液処理速度より大きい乾燥速度まで上げられる。これにより、基板9上の純水を除去する乾燥処理が行われる(ステップS18)。乾燥処理の開始から所定時間経過すると、基板9の回転が停止する。基板処理部3では、IPA供給部が別途設けられ、乾燥処理の前に、基板9上の純水がIPAに置換されてもよい。乾燥処理の後、基板9は基板搬送ロボット22によりチャンバ35から搬出される(ステップS19)。基板処理部3では、複数の基板9に対して上記ステップS11〜S19の処理が順次繰り返される。
【0049】
以上に説明したように、基板処理装置1では、第1供給液が連続的に流れる第1供給液ライン412に第1濃度測定部415が設けられ、第2供給液が連続的に流れる第2供給液ライン422に第2濃度測定部425が設けられる。第1供給液ライン412には、第1分岐ライン51の一端が接続され、第2供給液ライン422には、第2分岐ライン52の一端が接続される。第1および第2分岐ライン51,52の他端は、混合部57に接続され、第1供給液と第2供給液とを混合することにより処理液が生成される。制御部10では、処理液中の溶存酸素濃度がDO設定値となるように、第1および第2濃度測定部415,425の測定値に基づいて第1および第2分岐ライン51,52の流量調整部58が制御される。これにより、基板9に供給される処理液中の溶存酸素濃度をDO設定値に精度よく調整することができる。
【0050】
また、第1および第2供給液ライン412,422を流れる第1および第2供給液の溶存酸素濃度が変動する場合でも、処理液を応答性よく(速やかに)DO設定値へと調整することができる。基板処理装置1では、基板9毎にDO設定値を変更する、または、一の基板9に対する処理液の供給中にDO設定値を変更することも容易に可能となる。
【0051】
ところで、濃度測定部を通過した液には、濃度測定部の接液部等に起因するパーティクルや金属イオン等が含まれる場合があり、濃度測定部に起因するパーティクル等を含む供給液が、基板に供給される処理液に含まれることは好ましくない。これに対し、基板処理装置1では、第1供給液ライン412において、第1濃度測定部415よりも上流側の接続位置P1a,P1bに第1分岐ライン51が接続され、第2供給液ライン422において、第2濃度測定部425よりも上流側の接続位置P2a,P2bに第2分岐ライン52が接続される。これにより、第1および第2濃度測定部415,425に起因するパーティクル等を含む第1および第2供給液が、基板9に供給される処理液に含まれることを防止することができ、その結果、処理液による基板9の汚染を防止することができる。
【0052】
また、第1循環流路410において第1供給液の流れ方向における第1濃度測定部415から接続位置P1a,P1bまでの間にフィルタ414が設けられる。また、第2循環流路420において第2供給液の流れ方向における第2濃度測定部425から接続位置P2a,P2bまでの間にフィルタ424が設けられる。これにより、第1および第2濃度測定部415,425を通過した第1および第2供給液中のパーティクル等が、フィルタ414,424により適切に除去され、基板9に供給される処理液に含まれることが防止される。
【0053】
ここで、各分岐ライン51,52においてパーティクル等を除去するフィルタを設けることも考えられる。しかしながら、この場合、第1供給液ライン412および第2供給液ライン422に接続される全ての分岐ライン51,52に対してフィルタが必要となり、基板処理装置の製造コストが増大してしまう。また、フィルタは交換や洗浄等が必要であるため、基板処理装置1におけるメンテナンスの容易性の観点においても、フィルタの個数は少ないことが好ましい。換言すると、第1および第2供給液ライン412,422にフィルタ414,424を設ける基板処理装置1では、基板処理装置の製造コストを削減するとともに、メンテナンスの容易性を向上することができる。
【0054】
既述のように、図3の処理は、複数の基板9に対して繰り返されるため、第1および第2分岐ライン51,52では、直前の基板9に対する処理において第1および第2供給液ライン412,422から流れ込んだ第1および第2供給液が滞留している。滞留している第1および第2供給液では、溶存酸素濃度が変化していることがあり、この場合、混合部57の開閉弁571,572を開いた直後に、処理液の溶存酸素濃度を精度よく調整することができない。基板処理装置1では、基板9に処理液を供給する前に、混合本体570内の処理液を回収する処理液回収処理を行うことにより、このような処理液が、基板9の処理に利用されることを防止することができる。
【0055】
また、基板処理装置1が、互いに同様の構造である上部ノズル31用の処理液調整部5aと、下部ノズル32用の処理液調整部5bとを備える。制御部10では、上部ノズル31用の処理液中の溶存酸素濃度が上部ノズル31用のDO設定値となるように、処理液調整部5aにおける第1および第2分岐ライン51,52の流量調整部58が制御される。また、下部ノズル32用の処理液中の溶存酸素濃度が下部ノズル32用のDO設定値となるように、処理液調整部5bにおける第1および第2分岐ライン51,52の流量調整部58が制御される。そして、処理液調整部5aにより生成された上部ノズル31用の処理液が、上部ノズル31により基板9の上面に向けて吐出され、処理液調整部5bにより生成された下部ノズル32用の処理液が、下部ノズル32により基板9の下面に向けて吐出される。これにより、溶存酸素濃度が個別に精度よく調整された上部ノズル31用の処理液および下部ノズル32用の処理液を、基板9の両面にそれぞれ付与することができ、基板9の両面を適切に処理することができる。また、両処理液調整部5a,5bが同様の構造を有することにより、基板処理装置1の設計を容易に行うことができる。
【0056】
上記では、一の基板処理部3に注目した基板9の処理について説明したが、基板処理装置1では、他の基板処理部用の処理液調整部も設けられる。図4は、供給液キャビネット4、処理液調整部5a,5cおよび2つの基板処理部3,3Aの構成を示す図である。供給液キャビネット4、処理液調整部5a、および、処理液調整部5aが接続された基板処理部3は、図2の供給液キャビネット4、処理液調整部5aおよび基板処理部3と同一である。
【0057】
他方の基板処理部3Aは、基板処理部3と同様の構造を有する。すなわち、基板処理部3Aは、基板処理部3の上部ノズル31、下部ノズル32、基板保持部33、カップ34およびチャンバ35と同様の構造の上部ノズル31、下部ノズル32、基板保持部33、カップ34およびチャンバ35を備える。基板処理部3Aは、例えば、基板処理部3にて処理される基板9とは異なる他の基板9の処理に用いられる。基板処理部3Aの上部ノズル31には処理液調整部5cが接続され、下部ノズル32には図示省略の処理液調整部が接続される。以下の説明では、基板処理部3,3Aの上部ノズル31用の処理液調整部5a,5cに注目するが、下部ノズル32用の処理液調整部も同様である。
【0058】
基板処理部3A用の処理液調整部5cは、基板処理部3用の処理液調整部5aと同様の構造を有する。すなわち、処理液調整部5cは、第1分岐ライン51と、第2分岐ライン52と、純水導入ライン53と、液回収ライン54と、排液ライン55と、ノズル送液ライン56と、混合部57とを備える。第1分岐ライン51の一端は、第1供給液ライン412におけるフィルタ414と第1濃度測定部415との間の接続位置P1cに接続され、他端は、混合部57に接続される。第1分岐ライン51には、流量調整部58が設けられる。第2分岐ライン52の一端は、第2供給液ライン422におけるフィルタ424と第2濃度測定部425との間の接続位置P2cに接続され、他端は、混合部57に接続される。第2分岐ライン52には、流量調整部58が設けられる。純水導入ライン53は、純水供給部531と混合部57とを接続する。純水導入ライン53には、流量調整部58が設けられる。
【0059】
液回収ライン54は、混合部57と液回収部541とを接続する。排液ライン55は、混合部57と排液部551とを接続する。排液ライン55には、エジェクタ552が設けられる。ノズル送液ライン56は、混合部57と基板処理部3Aの上部ノズル31とを接続する。混合部57は、混合本体570と、複数の開閉弁571〜576とを備える。上記第1分岐ライン51、第2分岐ライン52、純水導入ライン53、液回収ライン54、排液ライン55およびノズル送液ライン56は、それぞれ複数の開閉弁571〜576を介して混合本体570の内部空間に接続される。基板処理部3用の処理液調整部5aと同様に、基板処理部3A用の処理液調整部5cでは、混合部57において第1供給液と第2供給液とを混合することにより、基板処理部3A用の処理液が生成される。
【0060】
基板処理装置1の制御部10では、基板処理部3用の処理液中の溶存酸素濃度が基板処理部3用のDO設定値となるように、処理液調整部5aにおける第1および第2分岐ライン51,52の流量調整部58が制御される。実際には、混合本体570から排出される処理液の流量も流量設定値に合わせられる(処理液調整部5cにおいて同様)。また、基板処理部3A用の処理液中の溶存酸素濃度が基板処理部3A用のDO設定値となるように、処理液調整部5cにおける第1および第2分岐ライン51,52の流量調整部58が制御される。そして、処理液調整部5aにより生成された処理液が、基板処理部3において基板9に供給され、処理液調整部5cにより生成された処理液が、基板処理部3Aにおいて基板9に供給される。これにより、溶存酸素濃度が個別に精度よく調整された基板処理部3用の処理液および基板処理部3A用の処理液を、異なる基板9にそれぞれ付与することができ、これらの基板9を適切に処理することができる。また、両処理液調整部5a,5cが同様の構造を有することにより、基板処理装置1の設計を容易に行うことができる。
【0061】
図5は、基板処理装置1の他の例を示す図であり、供給液キャビネット6、処理液調整部7a,7bおよび基板処理部3の構成を示している。図5の基板処理装置1では、供給液キャビネット6および処理液調整部7a,7bの構成が、図2の供給液キャビネット4および処理液調整部5a,5bと相違する。他の構成は、図2と同様であり、同じ構成に同じ符号を付す。
【0062】
供給液キャビネット6は、第3供給液タンク63を有する。第3供給液タンク63は第3供給液を貯溜する。第3供給液は、純水以外の液であり、例えば薬液である。第3供給液タンク63には、図2の第2供給液タンク42と同様の構成が設けられる。具体的には、第3供給液タンク63には、窒素ガスライン631が接続される。窒素ガスのバブリングにより、第3供給液中の溶存酸素が取り除かれる、すなわち、第3供給液中の溶存酸素が脱気される。窒素ガスのバブリングは、原則として常時行われ、第3供給液では、溶存酸素濃度が比較的低い状態が維持される。例えば、第3供給液の溶存酸素濃度は、50ppb以下である。
【0063】
第3供給液タンク63には、第3供給液ライン632が接続される。第3供給液ライン632は、第3供給液タンク63と共に第3循環流路630を形成する。第3供給液ライン632に設けられるポンプ633を駆動することにより、第3供給液タンク63から第3供給液ライン632に第3供給液が取り込まれる。第3供給液は、第3供給液ライン632の一端から他端へと連続的に流れ、第3供給液タンク63へと戻される。このように、第3供給液は、第3循環流路630を循環する。第3循環流路630における第3供給液の循環は、原則として常時行われる。また、第3供給液ライン632では、第3供給液の流れ方向に順にフィルタ634および第3濃度測定部635が配置される。フィルタ634は、第3供給液に含まれるパーティクルや微量な金属(金属イオン等)を除去する。第3濃度測定部635は、第3供給液ライン632にインラインで設けられ、第3供給液中の溶存酸素濃度を測定する。
【0064】
供給液キャビネット6は、第1供給液ライン612と、第2供給液ライン622とをさらに備える。第1供給液ライン612は、外部の未脱気純水供給部81に接続され、第2供給液ライン622は、外部の脱気済み純水供給部82に接続される。未脱気純水供給部81および脱気済み純水供給部82は、例えば、基板処理装置1が設置される工場に設けられる設備である。未脱気純水供給部81は、生成された純水を、工場内の各装置にそのままの状態で供給可能なように、工場内に設けられた循環ラインに純水(以下、「未脱気純水」という。)を連続的に流す。第1供給液ライン612は、未脱気純水の循環ラインから未脱気純水を取り込み、図示省略のフィルタ等を介して未脱気純水の循環ラインへと戻す。基板処理装置1が基板9を処理する際には、第1供給液ライン612では、未脱気純水が連続的に流れる。なお、第1供給液ライン612では、未脱気純水の循環ラインから取り込まれた未脱気純水が当該循環ラインに戻されることなく、廃棄されてもよい(第2供給液ライン622において同様)。
【0065】
脱気済み純水供給部82は、窒素のバブリングや減圧モジュール等を利用して純水の脱気を行い、脱気済み純水を工場内の各装置に供給可能なように、工場内に設けられた循環ラインに脱気済み純水を連続的に流す。第2供給液ライン622は、脱気済み純水の循環ラインから脱気済み純水を取り込み、図示省略のフィルタ等を介して脱気済み純水の循環ラインへと戻す。基板処理装置1が基板9を処理する際には、第2供給液ライン622では、脱気済み純水が連続的に流れる。以下の説明では、第1供給液ライン612を流れる未脱気純水を「第1供給液」と呼び、第2供給液ライン622を流れる脱気済み純水を「第2供給液」と呼ぶ。
【0066】
第1供給液ライン612には、第1濃度測定部615がインラインで設けられる。第1濃度測定部615は、第1供給液中の溶存酸素濃度を測定する。第2供給液ライン622には、第2濃度測定部625がインラインで設けられる。第2濃度測定部625は、第2供給液中の溶存酸素濃度を測定する。既述のように、第2供給液は脱気済み純水であり、第1供給液は未脱気純水であり、第2供給液の溶存酸素濃度は、第1供給液の溶存酸素濃度よりも低い。
【0067】
上部ノズル31用の処理液調整部7aは、第1分岐ライン71と、第2分岐ライン72と、第3分岐ライン73と、液回収ライン74と、排液ライン75と、ノズル送液ライン76と、混合部77とを備える。第1分岐ライン71の一端は、第1供給液ライン612において第1濃度測定部615よりも上流側の接続位置に接続される。接続位置は、第1濃度測定部615に到達する前に第1供給液が通過する位置である。第1分岐ライン71の他端は、混合部77に接続される。第1供給液ライン612を流れる第1供給液の一部が、第1分岐ライン71に流入し、混合部77に供給される。第1分岐ライン71には、流量調整部78が設けられる。流量調整部78は、図2の流量調整部58と同様の構成である。流量調整部78により第1分岐ライン71を流れる第1供給液の流量が調整される。
【0068】
第2分岐ライン72の一端は、第2供給液ライン622において第2濃度測定部625よりも上流側の接続位置に接続される。第2分岐ライン72の他端は、混合部77に接続される。第2供給液ライン622を流れる第2供給液の一部が、第2分岐ライン72に流入し、混合部77に供給される。第2分岐ライン72には、流量調整部78が設けられ、第2分岐ライン72を流れる第2供給液の流量が調整される。
【0069】
第3分岐ライン73の一端は、第3供給液ライン632におけるフィルタ634と第3濃度測定部635との間の接続位置に接続される。接続位置は、第3供給液ライン632において第3濃度測定部635よりも上流側の位置である。第3分岐ライン73の他端は、混合部77に接続される。第3供給液ライン632を流れる第3供給液の一部が、第3分岐ライン73に流入し、混合部77に供給される。第3分岐ライン73には、流量調整部78が設けられる。流量調整部78により、第3分岐ライン73を流れる第3供給液の流量が調整される。液回収ライン74、排液ライン75およびノズル送液ライン76は、図2の液回収ライン54、排液ライン55およびノズル送液ライン56と同じである。
【0070】
混合部77は、図2の混合部57と同様に、混合本体770と、複数の開閉弁771〜776とを備える。上記第1分岐ライン71、第2分岐ライン72、第3分岐ライン73、液回収ライン74、排液ライン75およびノズル送液ライン76は、それぞれ複数の開閉弁771〜776を介して混合本体770の内部空間に接続される。混合部77において、第1ないし第3供給液が混合されることにより、純水で希釈された第3供給液が処理液として生成される。下部ノズル32用の処理液調整部7bは、上部ノズル31用の処理液調整部7aと同様の構造を有する。
【0071】
基板処理装置1では、各処理液調整部7a,7bにより生成される処理液に対して、所望の溶存酸素濃度の値、および、第3供給液(薬液)の希釈率の値が、DO設定値および希釈率設定値として予め設定されている。制御部10では、当該処理液中の溶存酸素濃度がDO設定値となり、処理液における第3供給液の希釈率が希釈率設定値となるように、当該処理液調整部7a,7bにおける第1ないし第3分岐ライン71〜73の流量調整部78が制御される。第1ないし第3分岐ライン71〜73の流量調整部78の制御は、第1ないし第3濃度測定部615,625,635の測定値に基づいて行われる。そして、処理液調整部7a,7bにより生成された処理液が、基板処理部3において基板9の上面および下面にそれぞれ供給される。実際には、処理液の流量も、所望の流量設定値に合わせられる。
【0072】
以上のように、図5の基板処理装置1では、第1ないし第3濃度測定部615,625,635の測定値に基づいて第1ないし第3分岐ライン71〜73の流量調整部78が制御される。これにより、第3供給液を純水で希釈率設定値に精度よく希釈しつつ、処理液中の溶存酸素濃度をDO設定値に精度よく調整することができる。また、工場内の循環ラインを流れる脱気済み純水および未脱気純水の溶存酸素濃度は不安定であり、大幅に変動することがあるが、このような場合でも、基板9に供給される処理液の溶存酸素濃度および希釈率を精度よく調整することができる。
【0073】
基板処理装置1では、第1供給液ライン612において、第1濃度測定部615よりも上流側の接続位置に第1分岐ライン71が接続され、第2供給液ライン622において、第2濃度測定部625よりも上流側の接続位置に第2分岐ライン72が接続される。さらに、第3供給液ライン632において、第3濃度測定部635よりも上流側の接続位置に第3分岐ライン73が接続される。これにより、第1ないし第3濃度測定部615,625,635に起因するパーティクル等を含む第1ないし第3供給液が、基板9に供給される処理液に含まれることを防止することができ、基板9の汚染を防止することができる。
【0074】
上記基板処理装置1では様々な変形が可能である。
【0075】
図2および図4に示す処理液調整部5a〜5cにおいて、第1および第2分岐ライン51,52のうち一方の分岐ラインにおける流量調整部58が省略されてもよい。この場合も、当該一方の分岐ラインにおける供給液の流量に合わせて、他方の分岐ラインにおける流量調整部58を制御することにより、処理液中の溶存酸素濃度を設定値に精度よく調整することができる。このように、処理液調整部5a〜5cでは、流量調整部58は、第1分岐ライン51または第2分岐ライン52に設けられていればよい。
【0076】
同様に、図5に示す処理液調整部7a,7bにおいて、第1ないし第3分岐ライン71〜73のうち一の分岐ラインにおける流量調整部78が省略されてもよい。この場合も、当該分岐ラインにおける供給液の流量に合わせて、残りの分岐ラインにおける流量調整部78を制御することにより、処理液中の溶存酸素濃度を設定値に精度よく調整することができる。このように、処理液調整部7a,7bでは、流量調整部78が、第1分岐ライン71または第2分岐ライン72に設けられ、さらに、第1ないし第3分岐ライン71〜73のうち、当該流量調整部78とは異なる分岐ラインに他の流量調整部78が設けられていればよい。
【0077】
一方、図2および図4の処理液調整部5a〜5cにおいて、基板9に供給される処理液の流量を精度よく調整するという観点では、第1および第2分岐ライン51,52の双方に流量調整部58が設けられることが好ましい。同様に、図5の処理液調整部7a,7bにおいて、基板9に供給される処理液の流量を精度よく調整するという観点では、第1ないし第3分岐ライン71〜73の全てにおいて流量調整部78が設けられることが好ましい。
【0078】
図2および図4に示す処理液調整部5a〜5cが、図5に示す供給液キャビネット6と組み合わされてもよい。例えば、未脱気純水供給部81に接続された第1供給液ライン612に対して第1分岐ライン51が接続され、脱気済み純水供給部82に接続された第2供給液ライン622に対して第2分岐ライン52が接続される。これにより、溶存酸素濃度が精度よく調整された純水が処理液として生成される。また、図5の供給液キャビネット6における第1および第2供給液ライン612,622が、図2の供給液キャビネット4における第1および第2供給液ライン412,422と同様に、第1および第2供給液タンクに接続されてもよい。この場合、第1および第2供給液タンクには純水が貯溜される。各供給液の供給液タンクを有する基板処理装置1では、多量の処理液を基板9に安定して供給することができる。
【0079】
上記実施の形態では、処理液調整部5a〜5c,7a,7bにより処理液中の溶存酸素濃度が調整されるが、処理液中における他の種類のガスの溶存濃度が調整されてもよい。この場合も、上記処理例と同様に、2つの供給液ラインのうち一方の供給液ラインを流れる供給液の当該ガスの溶存濃度が、他方の供給液ラインを流れる供給液の当該ガスの溶存濃度よりも低くされる。また、当該2つの供給液ラインのそれぞれには、供給液中の当該ガスの溶存濃度を測定する濃度測定部が設けられる。そして、当該2つの供給液ラインにそれぞれ接続された2つの分岐ラインを介して供給液を混合する際に、当該2つの分岐ラインに設けられる流量調整部が、2つの濃度測定部の測定値に基づいて制御される。これにより、供給液の混合液である処理液中の当該ガスの溶存濃度を設定値に精度よく調整することが可能となる。
【0080】
基板処理装置の基板処理部では、処理槽内の処理液に基板を浸漬することにより基板が処理されてもよい。この場合も、処理液調整部5a〜5c,7a,7bの混合部57,77にて生成された処理液(溶存酸素濃度が調整された処理液)を、処理槽内に供給することにより、基板9を適切に処理することができる。一方、処理槽を有する基板処理装置では、通常、処理槽内の処理液が空気に晒されるため、処理槽内の処理液の溶存酸素濃度を一定に維持することは容易ではない。また、処理槽内の処理液の溶存酸素濃度を速やかに変更することも困難である。したがって、溶存酸素濃度が設定値に精度よく調整された処理液により基板9を適切に処理する、または、異なる溶存酸素濃度の処理液により複数の基板9を順次処理するという場合には、処理液調整部5a〜5c,7a,7bに接続されたノズルから基板9に向けて処理液を吐出することが好ましい。
【0081】
第1供給液と第2供給液との混合率が問題とはならない場合には、第1供給液と第2供給液とが異なる種類の液であってもよい。
【0082】
基板処理装置1において処理される基板は半導体基板には限定されず、ガラス基板や他の基板であってもよい。
【0083】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0084】
1 基板処理装置
3,3A 基板処理部
5a〜5c,7a,7b 処理液調整部
9 基板
10 制御部
31 上部ノズル
32 下部ノズル
33 基板保持部
41 第1供給液タンク
42 第2供給液タンク
51,71 第1分岐ライン
52,72 第2分岐ライン
57,77 混合部
58,78 流量調整部
73 第3分岐ライン
410 第1循環流路
412,612 第1供給液ライン
414,424,634 フィルタ
415,615 第1濃度測定部
420 第2循環流路
422,622 第2供給液ライン
425,625 第2濃度測定部
632 第3供給液ライン
635 第3濃度測定部
P1a〜P1c,P2a〜P2c 接続位置
図1
図2
図3
図4
図5