(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815877
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】負荷制御装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/329 20210101AFI20210107BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20210107BHJP
A63B 22/02 20060101ALN20210107BHJP
【FI】
A61B5/04 310L
A61B5/0245 100D
!A63B22/02
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-8853(P2017-8853)
(22)【出願日】2017年1月20日
(65)【公開番号】特開2018-114236(P2018-114236A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 正行
【審査官】
▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】
特表平09−508293(JP,A)
【文献】
特開昭62−213729(JP,A)
【文献】
特開2015−073590(JP,A)
【文献】
特開平06−186060(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0145206(US,A1)
【文献】
福永俊二,池田隆徳,T波オルタナンス(T-wave alternans;TWA)の活用,心臓,2016年 4月15日,Vol.48, No.4,pp.377-383
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/02−5/0472
A61N 1/00−1/44
PubMed
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
TWA検査に用いられる負荷制御装置であって、
運動負荷装置による負荷を受けている被検者の心拍数と心拍数の目標値との比較結果に基づいて、前記運動負荷装置を制御する負荷装置制御部と、
前記被検者の心拍数が目標範囲内にあるか否かを監視する心拍数監視部と、
前記心拍数が前記目標範囲内に収まっていた時間を基に、負荷継続時間を計測する時間計測部と、
を有し、
前記時間計測部が計測する前記負荷継続時間は、前記心拍数が前記目標範囲内に収まっていた時間から、前記心拍数が前記目標範囲外にあった時間を減算した時間であり、
前記負荷装置制御部は、前記心拍数と前記目標値との比較結果と、前記負荷継続時間と、に基づいて、前記運動負荷装置を制御する、
負荷制御装置。
【請求項2】
前記時間計測部によって計測された前記負荷継続時間を表示する表示部を、さらに有する、
請求項1に記載の負荷制御装置。
【請求項3】
前記目標範囲は、100〜110、及び、110〜120であり、
前記負荷装置制御部は、前記負荷継続時間が2分30秒となるまで前記100〜110の目標範囲に応じた心拍数の目標値を設定して前記運動負荷装置を制御し、次に、リセットされた負荷継続時が1分30秒となるまで前記110〜120の目標範囲に応じた心拍数の目標値を設定して前記運動負荷装置を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の負荷制御装置。
【請求項4】
前記心拍数の目標値は、対応する目標範囲の中央値に設定されている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の負荷制御装置。
【請求項5】
前記心拍数の目標値は、対応する目標範囲の範囲内であり、かつ対応する目標範囲よりも狭い範囲の値に設定されている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の負荷制御装置。
【請求項6】
前記時間計測部は、前記負荷継続時間が所定時間以上となった場合は、前記心拍数が前記目標範囲外となっても前記負荷継続時間の減算を行わない、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の負荷制御装置。
【請求項7】
前記負荷継続時間を、ディスプレイに円グラフで表示させるとともに、
前記心拍数が前記目標範囲内に収まっていた時間は前記円グラフを進行させ、前記心拍数が前記目標範囲内に収まっていない時間は前記円グラフを後退させる、
請求項1から請求項6のいずれかに一項に記載の負荷制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動負荷試験に用いられるトレッドミルやエルゴメータ等の運動負荷装置の負荷を制御する負荷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心電図において大きさの異なるT波が1拍毎に現れるT波オルタナンス(TWA:T Wave Alternans)現象は、突然死の可能性や心筋梗塞後の予後を評価するための有効な指標として用いられている(特許文献1参照)。TWAは、測定電位が数μVであることと、心拍数の上昇時に出現し易いことから、一般に、被検者に測定用電極を装着させた状態で運動負荷試験を行うことによってフランク誘導法や12誘導法による心電図を測定し、この心電図を評価することによって行われる。
【0003】
より詳細には、TWAの検査では、心電図の各誘導において1拍毎に現れる形の異なるT波を測定し、その交互性(つまり隣り合うT波の差分)の大きさを算出し、この交互性が大きいほど突然死の可能性が高いと評価する。
【0004】
このT波の交互性を算出するための方式には、大きく分けて2つの方式がある。一つは周波数ドメイン法と呼ばれている方式であり、もう一つはタイムドメイン法と呼ばれている方式である。因みに、特許文献1には周波数ドメイン法が記載されている。
【0005】
周波数ドメイン法は、例えば128拍分のT波の高さをFFTで変換したときの、0.5(cycle/beat)の位置の強さを交互性の強さとする方式である。因みに、例えば0.44〜0.49(cycle/beat)の位置の平均レベルをノイズレベルとしている。具体的には、例えば128拍を単位としてFFT変換したときの0.5(cycle/beat)の位置のレベルを出力するといった処理を、1拍ずつずらしながら順次行うことにより、所定時間ぶんのT波オルタナンスを求める。
【0006】
タイムドメイン法は、偶数波と奇数波に分けて、T波の偶数波平均レベルと、T波の奇数波平均レベルの差を検出する方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3877761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1にも記載されているように、TWA検査においては、被検者にトレッドミルやエルゴメータ等の負荷装置によって決められた強度及び時間の負荷を与える必要があり、このためオペレータはTWA検査中に常に負荷装置の操作を行う必要があった。例えば、負荷装置としてトレッドミルを用いる場合には、オペレータは被検者の心拍数が定められた期間、定められた範囲に収まるように、慎重にトレッドミルの速度及び傾斜を手動で設定する必要があった。
【0009】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、TWA検査時のオペレータの手間を軽減させることができる負荷制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の負荷制御装置の一つの態様は、
TWA検査に用いられる負荷制御装置であって、
運動負荷装置による負荷を受けている被検者の心拍数と心拍数の目標値との比較結果に基づいて、前記運動負荷装置を制御する負荷装置制御部と、
前記被検者の心拍数が目標範囲内にあるか否かを監視する心拍数監視部と、
前記心拍数が前記目標範囲内に収まっていた時間を基に、負荷継続時間を計測する時間計測部と、
を有し、
前記時間計測部が計測する前記負荷継続時間は、前記心拍数が前記目標範囲内に収まっていた時間から、前記心拍数が前記目標範囲外にあった時間を減算した時間であり、
前記負荷装置制御部は、前記心拍数と前記目標値との比較結果と、前記負荷継続時間と、に基づいて、前記運動負荷装置を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オペレータが心拍数やタイマーを見ながら運動負荷装置を操作しなくても、TWA検査プロトコルに従って運動負荷装置を自動的に制御できるようになるので、TWA検査時のオペレータの手間を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に係る運動負荷心電図検査システムの外観図
【
図2】実施の形態の心電図検査装置の要部構成を示すブロック図
【
図3A】実施の形態による負荷制御の様子を示す図であり、心拍数の目標範囲を100〜110としたときの運動負荷装置の制御の様子を示す図
【
図3B】心拍数の目標範囲を100〜110としたときの運動負荷装置の制御の様子を示す図
【
図4A】心拍数の目標範囲を110〜120としたときの運動負荷装置の制御の様子を示す図
【
図4B】心拍数の目標範囲を110〜120としたときの運動負荷装置の制御の様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
<全体構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る運動負荷心電図検査システム10の外観図である。運動負荷心電図検査システム10は、運動負荷装置20と、心電図などの生体情報の取得及び運動負荷装置20の制御を行う心電図検査装置100と、を有する。本実施の形態の場合、運動負荷装置20としてトレッドミルが用いられているが、トレッドミルに代えてエルゴメータなどを用いてもよい。心電図検査装置100と運動負荷装置20とは専用ケーブル30によって接続されており、運動負荷装置20は心電図検査装置100によって制御される。トレッドミルの場合、ベルトの回転速度及び傾斜が心電図検査装置100によって制御される。
【0015】
心電図検査装置100は、装置本体100aと、LCD(Liquid Crystal Display)からなるディスプレイ101と、キーボードやマウスなどからなる操作部102と、プリンタ103と、血圧計104と、を有する。
【0016】
図2は、心電図検査装置100の要部構成を示すブロック図である。心電図検査装置100の制御部110は、心電図検査装置100の全体の動作を制御する。ディスプレイ101には、メニュー画面や各種の設定画面が表示される。また、ディスプレイ101には、心電波形、解析結果などが表示される。
【0017】
記憶部111は、ハードディスクドライブや半導体メモリなどにより構成される。記憶部111は、心電波形のデータとその解析データなどを記憶する。また、記憶部111は、操作部102からオペレータによって入力された、心電図検査装置100の設定データも記憶される。
【0018】
プリンタ103は、レーザ式やサーマルヘッド式などのプリンタであり、測定により得られた、心電波形とその解析結果などを、オペレータによる指示に従ってプリントする。スピーカ112は、負荷検査モード時の喚起音などを発する。
【0019】
また、心電図検査装置100は、電極用インターフェース(I/F)122、血圧計用インターフェース(I/F)123及び運動負荷用インターフェース(I/F)124を有する。
【0020】
電極用I/F122は、被検者(つまり、心電図計測の対象者)に装着される電極部(四肢用電極部及び胸部用電極部など)130に接続され、この電極部130から入力される測定電圧に増幅処理などを施して、演算部121に出力する。血圧計用I/F123は、血圧計104に接続され、血圧計104から入力される血圧値信号を演算部121に出力する。また、血圧計用I/F123は、血圧計104のカフに供給する圧力を制御するための制御信号を血圧計104に出力する。
【0021】
演算部121は、心電図データ処理プログラムを実行することにより、心電波形の解析などを行う。
【0022】
さらに、演算部121は、TWA検査モード時には、TWA検査プログラムを実行することにより、T波の交互性の強さを算出する。本実施の形態の場合、周波数ドメイン法によってT波の交互性を評価する。具体的には、演算部121は、例えば128拍を単位としてFFT変換したときの0.5(cycle/beat)の位置のレベルを出力するといった処理を、1拍ずつずらしながら順次行うことにより、所定時間ぶんのT波オルタナンスを求める。
【0023】
運動負荷用I/F124は、トレッドミルやエルゴメータなどの運動負荷装置20に接続される。制御部110から運動負荷用I/F124を介して運動負荷装置20に、運動負荷装置20を駆動するための制御信号が出力される。また、運動負荷用I/F124を介して、運動負荷装置20からのフィードバック信号が入力される。このフィードバック信号としては、例えば速度信号などがある。心電図検査装置100の制御部110は、運動負荷装置20からフィードバックされる速度信号に基づいて、運動負荷装置20を所望の速度に制御できる。
【0024】
かかる構成に加えて、制御部110は、演算部121から被検者の心拍数の情報を入力し、この心拍数に基づいて運動負荷装置20を制御する。より具体的には、制御部110は、被検者の心拍数と心拍数の目標値との比較結果に基づいて運動負荷装置20を制御する負荷装置制御部としての機能と、被検者の心拍数が目標範囲内にあるか否かを監視する心拍数監視部としての機能と、心拍数が目標範囲内に収まっていた時間を基に、負荷継続時間を計測する時間計測部としての機能と、を有する。ここで、制御部110が計測する負荷継続時間は、ある条件下で、心拍数が目標範囲内に収まっていた時間から、心拍数が目標範囲外にあった時間を減算した時間である。そして、制御部110は、心拍数と目標値との比較結果と、負荷継続時間と、に基づいて、運動負荷装置20を制御する。
【0025】
これにより、制御部110は、TWA検査において求められる負荷を被検者に与えることができる。
【0026】
<負荷制御>
次に、制御部110による運動負荷装置20の負荷制御について詳述する。
【0027】
制御部110は、例えば特許文献1にも記載されているようなTWA検査プロトコルに従って運動負荷装置20を制御する。具体的には、制御部110は、先ず、被検者の心拍数が100〜110の範囲内に2分30秒の合計時間収まるように運動負荷装置20を制御し、次に、被検者の心拍数が110〜120の範囲内に1分30秒の合計時間収まるように運動負荷装置20を制御する。
【0028】
図3A、
図3B、
図4A、
図4B及び
図5は、本実施の形態による負荷制御の様子を示す図である。
図3A及び
図3Bは、被検者の心拍数が100〜110の範囲内に2分30秒の合計時間収まるように運動負荷装置20を制御した様子を示す図であり、
図4A及び
図4Bは、被検者の心拍数が110〜120の範囲内に1分30秒の合計時間収まるように運動負荷装置20を制御した様子を示す図であり、
図5は、負荷を与えた後の様子を示す図である。
【0029】
図3A、
図3B、
図4A、
図4B及び
図5の各図において縦軸は時間方向を示す。また、各図において、(a)は被検者の心拍数を示し、(b)は心電図検査装置100(制御部110と言い換えてもよい)によってカウントされる負荷継続時間を示し、(c)は心電図検査装置100による運動負荷装置20の制御の様子を示す。
【0030】
先ず、
図3Aの時点t1においてTWA検査を開始すると、心電図検査装置100は心拍数が目標値となるように運動負荷装置20を制御する。ここで、心拍数の目標値は、心拍数の目標範囲100〜110の中央値である「105」とされている。時点t1から時点t3までの期間は被検者の心拍数が105以下なので、心電図検査装置100は運動負荷装置20のベルトの回転数を上げたりベルトの傾斜を大きくするなどして運動負荷装置20の負荷量をアップさせる。時点t3以降は、被検者の心拍数が105以上なので、心電図検査装置100は運動負荷装置20のベルトの回転数を下げたりベルトの傾斜を小さくするなどして運動負荷装置20の負荷量をダウンさせている。
【0031】
時点t2から時点t4の期間は被検者の心拍数が目標範囲100〜110に収まっているので、心電図検査装置100は心拍数が目標範囲100〜110内に収まっていた時間に基づいて負荷継続時間をカウントアップ(加算)していく。実施の形態では、負荷継続時間が円グラフとして表現されている。図の例では、目標範囲を100〜110としたときの負荷継続時間は下の円グラフで表され、目標範囲を110〜120としたときの負荷継続時間は下の円グラフで表されている。
【0032】
時点t2から時点t4の期間は被検者の心拍数が目標範囲100〜110に収まっているので、その時間をカウントアップ(加算)し、これに伴って下の円グラフを進行させる。一方で、時点t4から時点t6の期間は被検者の心拍数が目標範囲100〜110に収まっていないので、その時間を負荷継続時間から減算し、これに伴って下の円グラフを後退させる。また、
図3Bの時点t6から時点t8の期間は被検者の心拍数が目標範囲100〜110に収まっているので、その時間をカウントアップ(加算)し、これに伴って下の円グラフを進行させる。
【0033】
やがて、時点t8で目標範囲を100〜110としたときの負荷継続時間が決められた時間である2分30秒に達すると、心電図検査装置100は心拍数が次の目標値となるように運動負荷装置20を制御する。具体的には、心電図検査装置100は、心拍数の次の目標値を、次の心拍数の目標範囲110〜120の中央値である「115」に設定し、負荷継続時間を一旦リセットして、上述と同様の制御を行う。時点t8から時点t10までの期間は被検者の心拍数が115以下なので、心電図検査装置100は運動負荷装置20の負荷量をアップさせる。時点t10から時点t14までの期間は被検者の心拍数が115以上なので、心電図検査装置100は運動負荷装置20の負荷量をダウンさせる。時点t14から時点t18までの期間は被検者の心拍数が115以下なので、心電図検査装置100は運動負荷装置20の負荷量をアップさせる。
【0034】
時点t9から時点t11の期間は被検者の心拍数が目標範囲110〜120に収まっているので、心電図検査装置100は心拍数が目標範囲110〜120内に収まっていた時間に基づいて負荷継続時間をカウントアップ(加算)していく。
【0035】
時点t9から時点t11の期間は被検者の心拍数が目標範囲110〜120に収まっているので、その時間をカウントアップ(加算)し、これに伴って上の円グラフを進行させる。一方で、時点t11から時点t13の期間は被検者の心拍数が目標範囲110〜120に収まっていないので、その時間を負荷継続時間から減算し、これに伴って上の円グラフを後退させる。また、時点t13から時点t15の期間は被検者の心拍数が目標範囲110〜120に収まっているので、その時間をカウントアップ(加算)し、これに伴って上の円グラフを進行させる。
【0036】
因みに、本実施の形態の場合には、心拍数が目標範囲外であっても、既に合計時間が決められた時間の60%を超過している場合には、円グラフを後退させない(負荷継続時間を減算しない)ようになっている。つまり、時点t15から時点t17の期間は被検者の心拍数が目標範囲110〜120に収まってはいないが、既に負荷継続時間が決められた時間である1分30秒の60%を超過しているので、時点t15から時点t17までの時間を負荷継続時間から減算せずに、負荷継続時間を維持する。
【0037】
やがて、時点t18で目標範囲を110〜120としたときの負荷継続時間が決められた時間である1分30秒に達すると、心電図検査装置100は
図5に示したように運動負荷装置20の負荷を停止させる。
【0038】
このようにすることで、心電図検査装置100は、オペレータが心拍数やタイマーを見ながら運動負荷装置20を操作しなくても、TWA検査プロトコルに従って運動負荷装置20を自動的に制御できる。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態によれば、制御部110によって、被検者の心拍数と心拍数の目標値との比較結果に基づいて運動負荷装置20を制御するとともに、心拍数が目標範囲内にあるか否かを監視し、さらに、心拍数が目標範囲内に収まっていた時間から、心拍数が所定条件下(実施の形態の場合には負荷継続時間が決められた時間の60%を超過する前)において目標範囲外にあった時間を減算した時間である負荷継続時間を計測し、心拍数と目標値との比較結果と、負荷継続時間と、に基づいて、運動負荷装置20を制御したことにより、TWA検査時のオペレータの手間を軽減させることができる。特に、減算を含む負荷継続時間の計測操作は、オペレータにとって非常に煩雑な処理となるが、本実施の形態では、このような負荷継続時間も容易かつ正確に計測して、TWA検査を進めることができる。
【0040】
また、
図3A、
図3B、
図4A、
図4B及び
図5に示したように、負荷継続時間を円グラフで表現してディスプレイ101に表示すれば、オペレータは、視覚的に検査の残り時間を把握できるようになる。
【0041】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0042】
上述の実施の形態では、先ず、100〜110の目標範囲で負荷継続時間が2分30秒となるように運動負荷装置20を制御し、次に、110〜120の目標範囲で負荷継続時間が1分30秒となるように運動負荷装置20を制御した場合について述べたが、勿論、TWA検査プロトコルに応じて、運動負荷装置20を制御するための、心拍数の目標範囲、目標値、及び負荷継続時間を変更してもよい。また、上述の実施の形態では、既に負荷継続時間が決められた時間の60%を超過している場合に減算を行わないようにしたが、減算を行う条件及び減算を行わない条件は適宜変更してもよい。
【0043】
また、上述の実施の形態では、心拍数の目標範囲が100〜110のときの心拍数の目標値を中央値である105とし、心拍数の目標範囲が110〜120のときの心拍数の目標値を中央値である115とした場合について述べたが、目標値は必ずしも中央値に設定する必要はない。例えば、目標範囲が100〜110のときの心拍数の目標値を102〜107とし、心拍数の目標範囲が110〜120のときの心拍数の目標値を112〜117のようにしてもよい。このように、目標値を、対応する目標範囲の範囲内であり、かつ対応する目標範囲よりも狭い範囲の値に設定すれば、中央値のように1つの値とするよりも、実際上の負荷の変動周期が長くなることを期待でき、その結果、被検者の筋電などに起因するノイズの発生が抑制されることを期待できる。また、目標値にヒステリシスをもたせて設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の負荷制御装置は、例えばTWA検査機能を有する心電図検査装置に適用し得る。
【符号の説明】
【0045】
10 運動負荷心電図検査システム
20 運動負荷装置
100 心電図検査装置
100a 装置本体
101 ディスプレイ
102 操作部
103 プリンタ
104 血圧計
110 制御部
121 演算部