特許第6815903号(P6815903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815903
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】力覚センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/1627 20200101AFI20210107BHJP
   G01L 1/26 20060101ALI20210107BHJP
   B25J 19/02 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   G01L5/1627
   G01L1/26 B
   B25J19/02
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-44148(P2017-44148)
(22)【出願日】2017年3月8日
(65)【公開番号】特開2018-146499(P2018-146499A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】日本電産コパル電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嵩幸
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−189534(JP,A)
【文献】 特開2010−008343(JP,A)
【文献】 特表2005−515421(JP,A)
【文献】 特開昭61−223625(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0259412(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第105651446(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/26,5/16,5/161−5/1627
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の本体と、
前記本体に対して動作可能で、周囲に少なくとも3つの円形の開口部を有する円筒状の可動体と、
前記本体および前記可動体に固定され、前記可動体の動作に従って変形可能な起歪体と、
前記起歪体に設けられた歪センサと、
前記開口部のそれぞれ内部に配置され、前記開口部の直径より小さな第1外径を有し、前記可動体が当接可能な第1外周面を備える第1ストッパと、
前記可動体と前記起歪体との間で、前記本体の第1内周面から第1の距離を隔てて配置され、前記第1内周面の直径よりも小さな第2外径を有し、前記第1内周面と当接可能な第2外周面を備える円筒状の第2ストッパと、
を具備する力覚センサ。
【請求項2】
円筒状の本体と、
前記本体に対して動作可能で、周囲に少なくとも3つの円形の開口部を有する円筒状の可動体と、
前記本体および前記可動体に固定され、前記可動体の動作に従って変形可能な起歪体と、
前記起歪体に設けられた歪センサと、
前記開口部のそれぞれ内部に配置され、前記開口部の直径より小さな第1外径を有し前記可動体が当接可能な第1外周面を備え、前記本体に固定された第1ストッパと、
前記可動体と前記起歪体との間で、前記本体の第1内周面から第1の距離を隔てて配置され、前記第1内周面と当接可能な第2外周面を備え、前記可動体に固定された第2ストッパと、
を具備する力覚センサ。
【請求項3】
円筒状の本体と、
前記本体に対して動作可能で、周面に少なくとも3つの円形の開口部を有する円筒状の可動体と、
前記本体および前記可動体に固定され、前記可動体の動作に従って変形可能な起歪体と、
前記起歪体に設けられた歪センサと、
前記開口部のそれぞれ内部に配置され、前記開口部の直径より小さな第1外径を有し、前記可動体が当接可能な第1外周面を備える第1ストッパと、
前記可動体と前記起歪体との間で、前記本体の第1内周面から第1の距離を隔てて配置され、前記第1内周面の直径よりも小さな第2外径を有し、前記第1内周面と当接可能な第2外周面を備える円筒状の第2ストッパと、
を具備する力覚センサ。
【請求項4】
前記本体は、前記第1内周面直径よりも大きな直径を有し、前記第2ストッパの外周面との間に前記第1の距離を調整するための第1治具が挿入可能な第2内周面を更に有する
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の力覚センサ。
【請求項5】
前記第1ストッパは、前記第1外径より小さな第3外径を有し、前記開口部の内面との間に調整用の第2治具が挿入可能な第2側面を更に有する
請求項4に記載の力覚センサ。
【請求項6】
前記第1ストッパを前記本体に固定する第1固定部材と、
前記第2ストッパを前記可動体に固定する第2固定部材と、を更に具備する
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の力覚センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばロボットアーム等に用いられる6軸力覚センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばロボットアーム等に用いられ、XYZ軸方向の外力およびトルクを検出する力覚センサが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
この種の力覚センサにおいて、可動部としての受力体に加えられた外力は、例えば起歪体に伝達され、起歪体の変形が歪センサ(歪ゲージ)によって電気信号に変換され、力およびトルクが検出される。
【0004】
ここで、起歪体に過剰な外力が加わると、起歪体の変形が限界を超え、外力が除去された後であっても起歪体の形状が元に復元しなかったり、起歪体に破損が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、このような過剰な外力から起歪体を保護するため、受力体の変位を規制するストッパ等の保護機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−8343号公報
【特許文献2】特公平6−43937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、起歪体のばね定数の剛性が軸方向で相違する場合、剛性の高い軸方向においては、保護機構の動作点が、剛性の低い軸方向に比べて高荷重側にずれてしまうため、安全性が低下し、起歪体が破壊されるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされており、起歪体の剛性が軸方向において相違している場合であっても、起歪体の破壊を防止でき、信頼性を向上できる力覚センサを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る力覚センサは、円筒状の本体と、前記本体に対して動作可能で、周囲に少なくとも3つの円形の開口部を有する円筒状の可動体と、前記本体および前記可動体に固定され、前記可動体の動作に従って変形可能な起歪体と、前記起歪体に設けられた歪センサと、前記開口部のそれぞれ内部に配置され、前記開口部の直径より小さな第1外径を有し、前記可動体が当接可能な第1外周面を備える第1ストッパと、前記可動体と前記起歪体との間で、前記本体の第1内周面から第1の距離を隔てて配置され、前記第1内周面の直径よりも小さな第2外径を有し、前記第1内周面と当接可能な第2外周面を備える円筒状の第2ストッパと、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る力覚センサを示す斜視図
図2】第1実施形態に係る力覚センサを示す平面図
図3図2のIII−IIIに沿った力覚センサを示す断面図
図4】Z軸方向における外力検出動作を説明するための断面図
図5】X軸方向における外力検出動作を説明するための断面図
図6】初期状態(a)および第2ストッパ機能時(b)におけるX軸方向の外力検出動作を概略的に示す平面図
図7】第1ストッパ用の治具が装着された力覚センサを示す平面図
図8図7のVIII−VIIIに沿った力覚センサを示す断面図
図9】第2ストッパ用の治具が装着された力覚センサを示す断面図
図10】第2実施形態に係る力覚センサを示す断面図
図11】力覚センサの起歪体を示す平面図
図12】第3実施形態に係る力覚センサを示す断面図
図13】第3実施形態に係る力覚センサの防水防塵構造の組み立て工程を説明するための斜視図
図14】第3実施形態に係る力覚センサの防水防塵構造の組み立て工程を説明するための斜視図
図15】変形例1に係る第2ストッパと本体との関係を説明するための図
図16】変形例2に係る第2ストッパと本体との関係を説明するための図
図17】変形例3に係る熱膨張部材を説明するための斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、実質的に同一の機能及び要素については、同一符号を付し、必要に応じて説明を行う。また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係や各層の厚みの比率などは現実のものと異なることがある。
【0012】
(第1実施形態)
[構成]
全体構成
図1は、第1実施形態に係る力覚センサを示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る力覚センサを示す平面図である。第1実施形態に係る力覚センサ10は、例えばロボットアーム等に用いられ、XYZ軸方向の力およびトルクを検出するための6軸力覚センサを一例に挙げて説明する。
【0013】
図1および図2に示すように、力覚センサ10は、円筒状の本体11と、本体11に対して動作可能な円筒状の可動体12とを備える。本体11は、例えば、図示せぬロボットアームの本体等に固定される。可動体12は、例えば、その上面に図示せぬロボットアームのハンド部分を取りけるためのハンド取付プレート等として機能する。
【0014】
本体(ベース)11は、力覚センサ10の本体となるベース部材であり、可動体12は、弾性変形が可能な起歪体を介在して本体11に対して、6軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、および各軸周り方向)に動作可能に取付られている。
【0015】
可動体12の周面には、例えば4つの円形の開口部13が等間隔に設けられている。すなわち、各開口部13は、X軸方向とY軸方向に配置されている。開口部13の数は、4つに限定されず、3つ以上であればよい。各開口部13の内部には第1ストッパ14が配置され、各第1ストッパ14は、ストッパ取付ボルト15により、本体11に固定されている。
【0016】
第1ストッパ14は、X軸方向のトルク、Y軸方向のトルク、Z軸方向の力およびトルクについての可動体12の動作範囲を規制するものであり、第1ストッパ14の最外周部には、開口部13の内面が当接可能な第1側面を備えている。すなわち、第1側面は、上記軸方向における力およびトルクについて、可動体12の動作に伴って起歪体が変形した際、可動体12の開口部13の内面が当接し、起歪体の過剰な変形を防止する保護機構として機能する。
【0017】
本体11の側面には、検出信号を外部に伝達するための配線125が引き出されている。配線125は、後述する基板と電気的に接続されている。
【0018】
断面構成
図3は、図2のIII−IIIに沿った力覚センサ10を示す断面図である。
【0019】
図3に示すように、力覚センサ10の内部の中央部分に、起歪体16が配置される。起歪体16の中央部は取付ボルト18により第2ストッパ24を介して可動体12に取り付けられ、起歪体16の中央部の外周を囲む外周部は図示しない取付ボルトにより本体11に取り付けられる。起歪体16の表面は、X軸、Y軸により形成される面と平行に配置され、起歪体16の中心を垂直に通る線は、Z軸と一致されている。可動体12に外力が加えられると、可動体12が動作し、起歪体16が変位する。起歪体16の中央部と外周部とを接続する複数の接続部には歪センサが設けられ、歪センサにより起歪体16の変位が電気的に検出される。
【0020】
本体11の内部には、起歪体16に対向して基板20が設けられる。基板20は、本体11に固定され、起歪体16に設けられた歪センサ(図示せず)と電気的に接続される。
【0021】
前述した歪センサは、起歪体16の複数の接続部の表面上の所定箇所に配置されている。起歪体16のそれぞれの場所における歪センサの変位を測定することで、6軸方向の力およびトルクを検出する。尚、歪センサの構成、および配置は、特に限定されるものではなく、適宜、変形可能である。
【0022】
起歪体16の表面に、歪センサと基板20とを電気的に接続するためのFPC(Flexible printed circuits)26が設けられている。FPC26は、絶縁性の柔軟なフィルムと当該フィルムに配線された所定の電気回路とを備えており、可動体12の動きに合わせて自在に曲がることが可能な構成となっている。
【0023】
第1ストッパ14は、前述した第1側面14aと、第2側面14bを有している。第1側面14aは、可動体12の開口部13の直径R13より小さな第1外径R14aを有している。第2側面14bは、第1外径R14aより小さな第2外径R14bを有し、第1側面14aより可動体12の内側に位置される。従って、第1側面14aと開口部13の内面との間の距離W14は、第2側面14bと開口部13の内面との間の距離W30よりも小さくなるように構成されている(W14<W30)。距離W30は、例えば数mm程度である。
【0024】
尚、可動体12と本体11の側面にも、距離W30に相当する間隙が設けられ、本体11に対して、可動体12が動作可能とされている。また、断面図では、ここでは模式的に本体11と可動体12とが接触している様に示されているが、実際には、全ての本体11と可動体12との間(側面以外の内部においても)には、動作に支障がない程度の隙間(例えば1mm程度)が設けられている。以下、当該隙間の図示を省略する。
【0025】
ここで、第1側面14aと開口部13の内面との間における距離(クリアランス)W14は、例えば100μm±20μm程度であるため、非常に狭い。しかも、可動体12が動作した際の起歪体16の破損を防止するため、この距離W14を極めて高精度に管理する必要がある。
【0026】
図3の破線で囲った部分を拡大して示すように、実際には、第1側面14aと対向するストッパ14の内側面と固定ボルト15の軸との間には距離W15aの所定の隙間が設けられる。また、第1、第2側面14a、14bと対向するストッパ14の内側面と固定ボルト15の頭部側面との間にも距離W15bの所定の隙間が設けられている。上記距離W15a、W15bは、例えば0.2mm程度である。尚、以降の説明において、これらの隙間の図示を省略する。
【0027】
本実施形態では、第2側面14bと開口部13の内面との間に、距離W30と実質的に同一の厚さを有する挿入部を有する調整用の治具としてのシムを挿入した状態で、固定ボルト15によりストッパ14を本体11へ固定する。このように調整することで、上記隙間の距離W15a、15b分だけストッパ14が移動可能であるため、可動体12の開口部13の内面とストッパ14の第1側面14aとの間の距離(クリアランス)W14を高精度に管理できる。この詳細については、後述する。
【0028】
さらに、起歪体16の上方には、本体11の内周面11aと所定の距離W24を介して配置され、内周面11aの直径R11よりも小さな外径R24を有する第2ストッパ24が設けられている。第2ストッパ24は、円筒状であり、その中心は本体11の中心と一致され、中心を垂直に通る軸はZ軸と一致されている。また、第2ストッパ24は、ストッパ取付ボルト25により可動体12に取付られている。
【0029】
第2ストッパ24は、X軸方向の力およびY軸方向の力についての可動体12の動作範囲を規制するものであり、第2ストッパ24の外周面24aが、本体11の内周面11aと当接可能であるように構成されている。換言すれば、第2ストッパ24は、第1ストッパ14が保護する軸方向以外の軸方向の力についての可動体12の動作範囲を規制するものである。
【0030】
上記構成において、X軸方向の力およびY軸方向における力が力覚センサ10に印加され、可動体12の動作に伴って起歪体が変形すると、第2ストッパ24の距離W24は第1ストッパ14の距離W14よりも小さいため(W24<W14)、まず第2ストッパ24の外周面24aが、第1ストッパ14よりも先に、本体11の内周面11aに当接する。このように、第2ストッパ24は、上記軸方向における力に起因する起歪体16の過剰な変形を防止する保護機構として機能する。この詳細については、後述する。
【0031】
[検出動作]
(Fz、Mx、My、Mzについて)
図4は、Z軸方向における外力検出動作を説明するための断面図である。ここでは、Z軸方向の力Fz、すなわちZ軸方向において可動体12のほぼ中央部分に加えられた外力(荷重)を検出する場合を一例に挙げる。
【0032】
図4に示すように、Z軸方向において可動体12のほぼ中央部分に外力Fzが加えられると、外力Fzによって可動体12がZ軸方向に沿って下方に移動する。本体11は固定されており外力Fzによっても移動しないため、可動体12は、開口部13の上側の内面がストッパ14の上側の第1側面14aに当接するまで、下方に移動する。上記移動により、上側の距離W14Uは実質的に0となり、下側の距離W14Dは移動前の初期状態に比べて2倍程度まで増大する。
【0033】
当該可動体12の移動により、起歪体16は変形を起こす。第1ストッパ14により、起歪体16の変形は所定の範囲に限定されているため、過剰な外力による破壊から起歪体16が保護される。起歪体16の変形は、歪センサにより検出され、電気信号としての検出信号に変換される。検出信号は基板20を介して配線125により外部に伝達され、外力Fzを検出することができる。
【0034】
その後、可動体12への外力Fzの印加が解除されると、起歪体16は、弾性変形により、元の形状に復帰する。
【0035】
尚、ここでは、Z軸方向における外力検出動作を一例に挙げたが、X、Y、Z軸方向における各トルク検出動作についても、上記外力検出動作と実質的に同様である。
【0036】
(Fx、Fyについて)
図5は、X軸方向における外力検出動作を説明するための断面図である。図6は、初期状態(a)および第2ストッパ機能時(b)におけるX軸方向の外力検出動作を概略的に示す平面図である。ここでは、X軸方向の力Fx、すなわちX軸方向において可動体12の側面に加えられた外力(荷重)を検出する場合を一例に挙げる。
【0037】
図5および図6に示すように、X軸方向において可動体12の側面に外力Fxが加えられると、外力Fxによって可動体12がX軸方向に沿って紙面右側に移動する。本体11は固定されており外力Fxによっても移動しないため、可動体12は、第2ストッパ24の右側の外周面24aRが本体11の内周面11aに当接するまで、右側に移動する。これは、第2ストッパ24の距離W24は第1ストッパ14の距離W14よりも小さいため(W24<W14)、第2ストッパ24の外周面24aRが、第1ストッパ14よりも先に、本体11の内周面11aに当接するからである。上記移動により、右側の距離W24Rは実質的に0となり、左側の距離W24Lは移動前の初期状態に比べて2倍程度まで増大する。
【0038】
当該可動体12の移動により、起歪体16は変形を起こす。第2ストッパ24により、起歪体16の変形は所定の範囲に限定されているため、過剰な外力による破壊から起歪体16が保護される。起歪体16の変形は、同様に、歪センサにより検出され、電気信号としての検出信号に変換され、基板20を介して配線125により外部に伝達され、外力Fxを検出することができる。
【0039】
その後、可動体12への外力Fxの印加が解除されると、起歪体16は、弾性変形により、元の形状に復帰する。
【0040】
尚、ここでは、X軸方向における外力検出動作を一例に挙げたが、Y軸方向における外力検出動作についても、上記外力検出動作と実質的に同様である。
【0041】
[クリアランスの調整]
(第1ストッパのクリアランスW14の調整)
図7は、第1ストッパ用の治具が装着された力覚センサを示す平面図である。図8は、図7のVIII−VIIIに沿った力覚センサを示す断面図である。
【0042】
図7図8に示すように、第1ストッパ14のクリアランスW14の調整は、開口部13にシム30を装着して行われる。図7図8は、1つの開口部13にシム30を装着した場合を示しているが、4つの開口部13の全てにシム30を装着した状態で、調整することが好ましい。この場合、調整精度が一層向上し、調整作業の時間を短縮することが可能である。
【0043】
シム30は、筒状の挿入部30a、つまみ部30b、および開口部33を有している。
【0044】
挿入部30aは、可動体12の開口部13の直径とほぼ等しい外径R13を有し、挿入部30aの厚みは、ストッパ14の第2側面14bと開口部13の内面との間の距離W30と実質的に同一の厚さに設定されている。
【0045】
つまみ部30bは、開口部13の直径R13より大きな外径R30を有している。
【0046】
開口部33は、つまみ部30bを貫通し、取付ボルト15の頭部に設けられた六角穴に取着される図示せぬ六角レンチが挿入可能とされている。
【0047】
図8に示すように、取付ボルト15を緩めた状態において、シム30の挿入部30aがストッパ14の第2側面14bと開口部13の内面との間に挿入される。挿入部30aの外径は、開口部13の直径R13と実質的に同一であり、挿入部30aの内径は、ストッパ14の第2側面14bの第2外径R14bと実質的に同一である。このため、シム30の挿入部30aを開口部13に挿入した状態で、シム30の軸心C30とストッパ14の軸心C14とが互いに一致され、同心円となる。すなわち、この状態において、図3で拡大して示した上記隙間の距離W15a、15b分だけストッパ14が移動可能であるため、ストッパ14の第1側面14aと、開口部13の内面との距離W14が正確に設定される。
【0048】
この状態において、シム30の開口部33から図示せぬ六角レンチを挿入して取付ボルト15を締め付けることにより、ストッパ14が本体11に固定される。
【0049】
このように、距離W30に相当する厚みを有する挿入部30aをストッパ14の第2側面14bと開口部13との間に挿入することにより、ストッパ14の第1側面14aと開口部13の内面との距離W14であるクリアランスを正確に管理することができる。
【0050】
(第2ストッパのクリアランスW24の調整)
図9は、第2ストッパ用の治具が装着された力覚センサを示す断面図である。図9に示すように、第2ストッパ24のクリアランスW24の調整は、可動部12に設けられた開口部35にシム36を装着して行われる。尚、図9では、1つの開口部35にシム36を装着した場合を示しているが、可動部12に設けられた4つの開口部35の全てにシム36を装着した状態で、調整することが好ましい。この場合、調整精度が一層向上し、調整作業の時間を短縮することが可能である。
【0051】
ここで、図9に挿入部分を拡大して示すように、本体11はZ軸方向に突出した凸部を有している。そのため、本体11の内部は、第2ストッパ24の側面24aが当接する内周面(第1内周面)11aにより形成される直径R11よりも大きな直径を形成する内周面(第2内周面)11bを備えている。
【0052】
シム36は、挿入部であるピン36aと、円筒状のつまみ部36bとを有している。ピン36aは、第2ストッパ24の外周面24aと本体11の内周面11bとの間の距離を直径としている。
【0053】
上記構成において、取付ボルト25を緩めた状態で、開口部35からシム36のピン36aが、第2ストッパ24の外周面24aと本体11の内周面11bとの間に挿入される。ピン36aの外径は、第2ストッパ24の外周面24aと本体11の内周面11bとの間の距離と実質的に同一であるため、シム36の軸心C36と外周面24aと内周面11bとを直径とする円の軸心とが互いに一致され、同心円となる。そのため、所定の隙間の距離W24aの分だけ第2ストッパ24が移動可能であるため、第2ストッパ24の外周面24aと本体11の第1内周面11aとの距離W24が正確に設定される。
【0054】
この状態において、図示せぬ六角レンチを用いて、取付ボルト25を可動体12に締め付けることにより、第2ストッパ24が可動体12に固定される。
【0055】
このように、第2ストッパ24の外周面24aと本体11の第2内周面11bとの間にピン36aを挿入することにより、第2ストッパ14の外周面24aと本体11の第1内周面11bとの距離W24であるクリアランスを正確に管理することができる。
【0056】
[作用効果]
ここで、起歪体のばね定数の剛性が軸方向で相違している場合、剛性の高い軸方向においては、保護機構の動作点が、剛性の低い軸方向に比べて高荷重側にずれてしまうため、安全性が低下し、起歪体が破壊されるおそれがある。例えば、本実施形態に係る起歪体16の場合、X軸方向およびY軸方向の力に基づく起歪体16の剛性とXYZ軸方向の各トルクに基づく起歪体16の剛性とは、約6倍程度の差があることが分かっている。
【0057】
そこで、第1実施形態に係る力覚センサ10は、本体11の内周面11aと所定の距離W24を介して配置され、内周面11aの直径R11よりも小さな外径R24の外周面24aを有し、当該特定のX軸方向およびY軸方向の力のみに機能する第2ストッパ24を備える。第2ストッパ24は、X軸方向の力およびY軸方向の力についての可動体12の動作範囲を規制するものであり、第2ストッパ24の外周面24aが、本体11の内周面11aと当接可能であるように構成される(図3)。
【0058】
上記構成において、X軸方向における力が力覚センサ10に印加されると、第2ストッパ24の距離W24は第1ストッパ14の距離W14よりも小さいため(W24<W14)、まず第2ストッパ24の外周面24aが、第1ストッパ14よりも先に、本体11の内周面11aに当接する。このように、第2ストッパ24により、X軸方向およびY軸方向の力に起因する起歪体16の過剰な変形を防止することができる(図5図6)。
【0059】
そのため、本実施形態の起歪体16のように、X軸方向およびY軸方向の力に基づく起歪体16の剛性とXYZ軸方向の各トルクに基づく起歪体16の剛性とが約6倍程度の差がある場合であっても、X軸方向およびY軸方向の起歪体16の過剰な変形を防止することができるため、安全性を向上し、信頼性を向上することができる。
【0060】
しかも、第2ストッパ24のクリアランスW24は、シム36を利用することにより、正確に管理される。すなわち、シム36のピン36aの外径は、第2ストッパ24の外周面24aと本体11の第2内周面11bとの間の距離と実質的に同一であるため、シム36の軸心C36と外周面24aと内周面11bとを直径とする円の軸心とが互いに一致される。そして、取付ボルト25を締め付けることにより、クリアランスW24が正確に管理された状態で、第2ストッパ24を可動体12に取り付けることが可能となる(図9)。
【0061】
また、結果として起歪体16の剛性の不均一性を許容できることで、起歪体16および力覚センサ10の小型化および薄型化が可能となる。例えば、第2ストッパ24を備えていない場合では起歪体の外形寸法が50×50mm程度で厚さが5mm程度必要であったが、本実施形態に係る第2ストッパ24を備える場合では起歪体16の外形寸法を35×35mm程度で厚さを4mm程度まで小型化および薄型化することが可能となる。
【0062】
さらに、上記第1実施形態によれば、第1ストッパ14は、可動体12の開口部13の内面が当接される第1側面14aと、第1側面より外径が小さい第2側面14bを有し、第1ストッパ14の調整時、第1ストッパ14の第2側面14bと開口部13の内面との間に、第2側面14bと開口部13の内面との間の距離W30に相当する厚みを有するシム30の挿入部30aを挿入している。このため、シム30の軸心C30と第1ストッパ14の軸心C14とが一致することにより、上記隙間の距離W15a、15b分だけ第1ストッパ14が移動し、第1ストッパ14の第1側面14aと、開口部13の内面との距離W14を正確に設定することができる(図7図8)。
【0063】
しかも、取付ボルト15を緩めた状態において、シム30を取り付け、シム30の開口部33から取付ボルト15を締め付けるだけで良いため、クリアランスである距離W14の誤差を可能な限り低減しつつ、調整作業を容易化することができる。
【0064】
さらに、第1ストッパ14の第1側面14aおよび第2側面14bは、例えば同一の工程を用いて連続的に切削することにより形成できる。そのため、第1側面14aおよび第2側面14bの寸法管理および検査が容易である。
【0065】
また、可動体12は、その製造加工においても、開口部13の直径R13の寸法のみを管理すればよいため、寸法管理および検査が容易である。
【0066】
さらに、シム30は、挿入部30aの外面および内面を、例えば同一の工程を用いて連続的に切削することにより形成できる。そのため、シム30の寸法管理、検査および同心度を容易化することできる。
【0067】
尚、全てのシム30、36を用いて、取付ボルト15、25を締め付けることによって、ストッパ14、24のクリアランスW14、W24を同時に管理することも可能である。
【0068】
(第2実施形態(熱膨張抑制部材を備える一例))
第2実施形態は、起歪体16の熱膨張対策のために、熱膨張抑制部材を備える一例に関する。図10は、第2実施形態に係る力覚センサ10Aを示す断面図である。
【0069】
図10に示すように、第2実施形態に係る力覚センサ10Aは、起歪体16の熱膨張抑制部材として、第2ストッパ24Aが起歪体16と同一の材料で構成される点で、第1実施形態と相違する。また、第2ストッパ24Aは、少なくとも取付ボルト18により起歪体16と取り付けられる部分において、起歪体16と接するように構成されている。
【0070】
図11は、本実施形態に係る力覚センサの起歪体16を示す平面図である。図11に示すように、起歪体16は、中央部161と、中央部161の周囲を囲む外周部162と、中央部161と外周部162とを接続する4つの接続部(梁)163とを備えている。図示しない歪センサは、中央部161と接続部163の表面上に設けられている。中央部161は、4つの穴18aをそれぞれ貫通する取付ボルト18により第2ストッパ24を介して可動体(第1支持部材)12に固定される。外周部162は、4つのネジ穴17aをそれぞれ貫通する図示しない取付ボルトにより、本体11(第2支持部材)に固定される。起歪体16は、疲労特性や高強度等の観点から、例えば鉄系または合金鋼であるステンレス鋼(例えばSUS630)等の材料で構成される。
【0071】
また、図11にばねとして模式的に示すように、梁としての接続部163のばね定数(剛性)C163は、外周部162のばね定数C162と比較して十分に高い(硬い)ように構成されている(C163>C162)。
【0072】
尚、第2ストッパ24Aを構成する材料は、起歪体16と同一の材料に限られず、起歪体16と同種類または熱膨張係数が近い材料であってもよい。起歪体16と熱膨張係数が近い材料の範囲としては、例えば、起歪体16の熱膨張係数との違いが±20%程度である材料が望ましく、起歪体16の熱膨張係数との違いが±10%程度である材料がより望ましい。
【0073】
また、第2ストッパ24Aの剛性が低いと、温度変動による可動体12の寸法変動を第2ストッパ24Aで十分に抑え込めず、第2ストッパ24Aが歪む結果、起歪体16が歪んでしまうおそれがある。そのため、第2ストッパ24Aは、可動体12および起歪体16よりも十分に高い剛性を備えていることが望ましい。
【0074】
その他の構成および動作は、上記第1実施形態と実質的に同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0075】
[作用効果]
上述したように、起歪体16の周囲には、起歪体16を締結し固定するためのケース体(ハウジング体)である本体11および可動体12が設けられる。ケース体である本体11および可動体12は、軽量化の観点から、例えばアルミ合金等の材料により構成されている。一方、起歪体16は、疲労特性や高強度等の観点から、例えば鉄系または合金鋼であるステンレス鋼(例えばSUS630)等の材料で構成される。このように、起歪体16とケース体(本体11、可動体12)とが熱膨張係数の異なる材料で構成される場合、ケース体の周囲の温度変動によって、起歪体16はケース体の膨張/収縮に伴う歪を受ける。そのため、起歪体16の表面に設けられた歪センサにより構成されるブリッジ回路の基準値となるゼロ点が変動し、検出精度が低減するおそれがある。例えば、歪センサとしてCr−N等の金属薄膜抵抗体を用いる場合、歪センサのゲージファクターが高いため、周囲の温度変化によって生じた起歪体16の微少な歪でも出力に大きく影響する。
【0076】
そこで、第2実施形態に係る第2ストッパ24Aは起歪体16と同一の材料で構成される。そのため、第2ストッパ24Aと起歪体16の熱膨張係数は同一となるように構成される。また、第2ストッパ24Aは、少なくとも取付ボルト18により起歪体16と取り付けられる部分において、起歪体16と接するように構成されている(図10)。
【0077】
そのため、周囲の温度変動がケース体に伝わった場合であっても、第2ストッパ24Aが起歪体16と同一の材料で構成されるため、第2ストッパ24Aと起歪体16とは、実質的に同一の熱膨張を生じる。その結果、歪センサ内部の温度変化に伴うブリッジ回路のゼロ点の変動を抑制でき、測定精度を維持することができる。
【0078】
しかも、第2ストッパ24Aは、熱膨張対策に効果的な歪センサが設けられる起歪体16の中央部161上に設けられ、起歪体16と同程度のサイズとなるように構成されている(図11)。そのため、熱膨張抑制部材としての小型化および軽量化を両立することができる。
【0079】
より具体的には、接続部163のばね定数(剛性)C163は、外周部162のばね定数C162と比較して十分に高い(硬い)ように構成されている(C163>C162)(図11)。ここで、温度変動が生じた場合、可動体12との熱膨張係数との差に基づき、起歪体16の中央部161に歪が生じる。中央部161は、剛性は高いが、中央部161に設けられた歪センサに歪が直接加わるように構成される。
【0080】
一方、外周部162では、同様に本体11との熱膨張係数との差に基づき、歪が生じるが、中央部161よりも柔らかいばね(C162)を介して、接続部163に設けられた歪センサが歪む。そのため、熱膨張による本体11の変位は、外周部162の柔らかいばね(C162)により吸収され、結果として接続部163に設けられた歪センサには柔らかいばね(C162)の反力分に相当する小さな歪しか生じない。
【0081】
このように、第2ストッパ24Aを起歪体16の中央部161上方に設けることが、熱膨膨張によるゼロ点変動の防止に対して効果的である。
【0082】
(第3実施形態(防水防塵構造を備える一例))
第3実施形態は、防水防塵構造を備える一例に関する。図12は、第3実施形態に係る力覚センサ10Bを示す断面図である。
【0083】
図12に示すように、第3実施形態に係る力覚センサ10Bは、防水防塵部材40として、力覚センサ10Bの側面の開口部13を覆うゴム部材41と、本体11と可動体12との間である可動部分をゴム部材41上から覆う発泡部材42と、発泡部材42上からゴム部材41の側面上および可動体12の上面上を覆うカバー部材43と、を更に備える点で第1および第2実施形態と相違する。
【0084】
ゴム部材41は、第1ストッパ14をシールするために開口部13を覆うように設けられており、所定のゴム材料により構成されている。ゴム部材41を構成する材料は、その他、発泡材料でもよく、独立気泡材料がさらに望ましい。
【0085】
発泡部材42は、起歪体16の剛性と比較して十分に小さい剛性(小さいばね性)を有する所定の発泡材料により構成されている。発泡部材42は、本実施形態では、独立気泡材料でゴム系材料により構成されている。また、発泡部材42は、本体11と可動体12との境界である可動部分を覆うため、可動体12の動作を阻害しない程度の剛性を備えた材料にて構成されることが望ましい。本実施形態では、起歪体16と発泡部材42との剛性の比は、およそ500:1となるように構成される。起歪体16と発泡部材42との剛性の比は100:1以上が望ましく、1000:1以上であることが更に望ましい。ここでの剛性とは、例えば材料のヤング率や形状等に基づいた変形のしにくさをいう。
【0086】
カバー部材43は、可動部12の外周に設けられ、可動部12の上面等に設けられる固定用のボルト穴等からの液体および粉塵の浸入を防止している。カバー部材43の材料は、金属に限らず樹脂材料でもよい。
【0087】
その他の構成および動作は、上記第1実施形態と実質的に同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0088】
[組み立て工程]
図13および図14は、第3実施形態に係る力覚センサ10Bの防水防塵部材40の組み立て工程を説明するための斜視図である。
【0089】
図13に示すように、まず、第2ストッパ24が固定された可動体12を、本体11に嵌め込む。この状態では、力覚センサ10Bの側面の開口部13における第1ストッパ14と可動体12との間には上記所定の距離W14等が設けられているため、力覚センサ10Bは完全には封止されていない。本実施形態では、本体11の側面には、ゴム部材41および発泡部材42を嵌合させるために外周側に突出した嵌合部11cおよび11dが設けられている。
【0090】
図14に示すように、続いて、本体11の側面の開口部13を覆うように、外周部に突出した本体11の嵌合部11cにゴム部材41を嵌め込む。続いて、本体11と可動体12との間の可動部分を覆うように、嵌合部11dに発泡部材42を嵌め込む。
【0091】
さらに、発泡部材42上からゴム部材41の側面上および可動体12の上面上を覆うように、取付ねじ44によってねじ穴12bからカバー部材43を可動体12に取り付ける。この際、発泡部材42の厚さが、取付ねじ44によって取り付けられる前の初期状態と比べて、20%〜30%程度まで低減するように、カバー部材43が発泡部材42を押す圧力を制御する。
【0092】
以上の工程により、力覚センサ10Bの防水防塵部材40であるゴム部材41、発泡部材42、およびカバー部材43を組み立てる。
【0093】
[作用効果]
第3実施形態に係る力覚センサ10Bの構成および動作によれば、少なくとも上記第1および第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0094】
さらに、第3実施形態に係る力覚センサ10Bは、防水防塵部材40として、力覚センサ10Bの側面の開口部13を覆うゴム部材41と、本体11と可動体12との間である可動部分をゴム部材41上から覆う発泡部材42と、発泡部材42上からゴム部材41の側面上および可動体12の上面上を覆うカバー部材43とを備える(図12)。
【0095】
上記構成によれば、起歪体16に設けられた歪センサに基づくセンサ精度を確保しながら、力覚センサ10Bの外部からの液体および粉塵の浸入を防止することができ、信頼性を向上できる点で更に有利である。
【0096】
そのため、力覚センサ10Bを例えばロボットアーム等の実際の現場に適用する場合において、油や水等の液体が使用され、粉塵も飛散する環境下であっても、可動部分となる本体11と可動体12との間から液体および粉塵が侵入することを十分に防止することができる。
【0097】
しかも、力覚センサ10Bは側面に第1ストッパ14等を備えているために、周囲の形状の凹凸が複雑かつ多いにもかかわらず、取付ねじ44のみによって、3つのゴム部材41、発泡部材42、およびカバー部材43を取り付けることが可能である(図13図14)。このように、非常に簡単な構造で、十分な防水防塵機能を付与することができるため、製造コストの低減にも有利である。
【0098】
(変形例1(第2ストッパの平面形状が十字型の一例))
変形例1は、第2ストッパの平面形状が十字型である一例に関する。図15は、変形例1に係る第2ストッパと本体との関係を説明するための図である。図15の上段は変形例1に係る第2ストッパ24Bと本体11とを模式的に示す平面図であり、図15の下段は、その断面図である。
【0099】
図15に示すように、第2ストッパ24Bの平面形状は十字型である。第2ストッパ24Bの受力側である本体11の内周面11aも、第2ストッパ24Bの外周面24aと対向するように十字形状に構成されている。
【0100】
上記構成によれば、Z軸方向のトルクが加わった際に、第2ストッパ24Bの外周面24aと本体11の内周面11aとが当接する。そのため、新たな部品や部材を追加することなく、第2ストッパ24Bに、XY軸方向の力Fx、Fyに加えて、Z軸方向のトルクMzの保護機能を選択的に付与することができる。
【0101】
(変形例2(第2ストッパの断面形状に凸部を有する一例))
変形例2は、第2ストッパの断面形状に凸部を有する一例に関する。図16は、変形例2に係る第2ストッパ24Cと本体11との関係を説明するための図である。図16の上段は変形例2に係る第2ストッパ24Cと本体11とを模式的に示す平面図であり、図16の下段は、その断面図である。
【0102】
図16に示すように、第2ストッパ24Cは、X軸方向に突出した突出部124を有する。本体11の内周面も、X軸方向に突出した突出部111を有する。Z軸方向において、第2ストッパ24Cの突出部124の側面24bと、本体11の突出部111の側面11cとの間に、上記所定の距離W24が設けられている。
【0103】
上記のように、第2ストッパ24Cの側面24bと本体11の側面11cとの間の距離W24を、Z軸方向である高さ方向に設けることで、Z軸方向の力Fz、およびXY軸方向のトルクMx、Myの保護機能を第2ストッパ24Cに付与することができる。この場合、第1ストッパ14は、他の3軸の力およびトルク(Fx、Fy、Mz)を保護することが可能となる。このように、変形例2は、このような剛性特性を持つ起歪体に対して有効である。
【0104】
(変形例3(本体が起歪体と同じ熱膨張係数を有する部材を備える一例))
図17は、変形例3に係る熱膨張部材を説明するための斜視図である。尚、図17に示す力覚センサは、説明のために一部の構成を省略している。
【0105】
図17に拡大して示すように、変形例3では、本体11の内部に、起歪体16の外周部162と接し、起歪体16と同一の熱膨張係数を有する熱膨張抑制部材112が更に設けられている。熱膨張抑制部材112は、取付ボルト113により、本体11に締結されている。
【0106】
上記構成によれば、起歪体16の中央部161に加えて、起歪体16の外周部162についても、熱膨張による基づく歪センサの温度変化に伴うブリッジ回路のゼロ点の変動を抑制できる。
【0107】
(その他の変形例)
本発明は、上記第1乃至第3実施形態およびその変形例1乃至3の開示に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変形が可能であることは勿論である。
【0108】
例えば、第1および第2実施形態では第2ストッパ24および24Aは可動体12と別部材である例を説明したが、第2ストッパ24および24A〜24Cは可動体12と同一の部材として構成されてもよい。この場合、熱膨張抑制の観点から、第2ストッパ24および24A〜24Cと一体化される可動体12は、起歪体16と同一の材料か起歪体16と熱膨張係数が近い材料にて構成されることが望ましい。
【0109】
また、シム30の使用は、力覚センサ10、10A〜10Cの検査の際に限らず、力覚センサ10、10A〜10Cをある程度可動させた後である例えばメンテナンスの際等でもよい。
【0110】
さらに、ゴム部材41と発泡部材42とは同一材料により一体として構成されていてもよい。この場合、その材料はゴム材料か独立気泡材料が望ましい。これらの材料は、起歪体16の剛性と比較して十分に低い剛性を有する材料であることが望ましい。
【0111】
その他、本発明は上記各実施形態および上記各変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10、10A、10B、10C…力覚センサ、11…本体、12…可動体、13…開口部、14…第1ストッパ(保護機構)、15、18、25…固定部材、16…起歪体、24、24A、24B、24C…第2ストッパ(保護機構)、24A、112…熱膨張抑制部材、30、36…治具(シム)、40…防水防塵部材、41…ゴム部材、42…発泡部材、43…カバー部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17