(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算装置は、前記演算周期に比して長い周期で前記基本プログラムおよび前記追加プログラムを試験的に実行することで前記基本プログラムおよび前記追加プログラムの演算時間を計測し、計測により得られた想定演算時間と、前記基本プログラムの演算周期とに基づいて、前記基本プログラムに基づいて演算を実行するか、または前記基本プログラムおよび前記追加プログラムに基づいて演算を実行するかを決定する、
請求項1から4のうち、何れか1項に記載の情報処理装置。
前記演算装置は、前記基本プログラムおよび前記追加プログラムを実行し、実行中の演算時間が、前記基本プログラムの演算周期を超えた場合に、前記追加プログラムの実行を停止し、次の演算周期から前記基本プログラムに基づいて前記演算を実行する、
請求項1から5のうち、何れか1項に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の情報処理装置、および系統監視プログラムを、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の系統監視装置100の構成図である。系統監視装置100および後述するサーバ装置300は、「情報処理装置」の一例である。
図1に示す系統監視装置100は、例えば、入力部110と、A/D変換器120と、伝送処理装置130と、出力部140と、表示装置150と、演算装置200を備える。入力部110、A/D変換器120、伝送処理装置130、出力部140、表示装置150、および演算装置200は、それぞれバスを介してデータの送受信が可能な状態で接続されている。
【0009】
入力部110は、例えば、系統監視装置100が接続する電力系統において図示しない計測装置等によって計測れた電圧または電流の少なくとも一方の計測結果を示すアナログ信号を入力する。A/D変換器120は、例えば、入力部110に入力されたアナログ信号をデジタルデータに変換する。
【0010】
伝送処理装置130は、インターネットやLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して接続された管理者端末、サーバ装置等の外部装置とデータの送受信を行う。伝送処理装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)や無線通信モジュール等の通信インターフェースである。
【0011】
出力部140は、外部機器に出力結果やエラー情報等を出力する。また、出力部140は、例えば、電力系統に設けられる発電機や変圧器等に対して、電力系統への接続または切断の切り替えを行うためのオン・オフ信号等を出力する。
【0012】
表示装置150は、例えば、入力部110が入力した情報や系統監視装置100における処理状態または系統監視装置100の内部に保存された情報を表示する。また、表示装置150は、電力系統の異常検知に関する情報を表示する。表示装置150は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)表示装置等である。また、表示装置150は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子でもよい。
【0013】
演算装置200は、A/D変換器120により変換されたデジタルデータに対して、電力系統を監視するためのプログラムによる演算処理を行う。演算装置200の機能の詳細については、後述する。
【0014】
次に、演算装置200の機能の詳細について説明する。
図2は、第1の実施形態の演算装置200の構成図である。演算装置200は、例えば、中央演算処理装置210と、揮発性メモリ220と、不揮発性メモリ230とを備える。中央演算処理装置210、揮発性メモリ220、および不揮発性メモリ230は、それぞれバスを介してデータの送受信が可能な状態で接続されている。
【0015】
中央演算処理装置210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。中央演算処理装置210は、例えば、不揮発性メモリ230等に格納されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。中央演算処理装置210は、例えば、不揮発性メモリ230に記憶された基本プログラム240、または、基本プログラム240および追加プログラム250に基づいて、A/D変換器120により変換されたデジタルデータに対する演算を行う。
【0016】
中央演算処理装置210は、例えば、基本プログラム240を実行することで、電力系統の異常を検知するための基本的な機能を実現する。基本的な機能とは、例えば、デジタルデータの変化量や積算量を算出する機能や、算出した結果と閾値とを比較して電力系統に異常が発生しているか否かを判定する機能等である。
【0017】
また、中央演算処理装置210は、追加プログラム250を実行することで、基本プログラム240で実行される機能以外の機能を実現する。基本プログラム240で実行される機能以外の機能とは、例えば、地域や時間帯ごとに分類して異常検知を行う機能、異常検知結果に対する統計処理を行う機能、異常を検知した場合の出力態様を追加する機能等である。したがって、系統監視装置100に機能を追加する場合には、基本プログラム240を書き替えずに、追加プログラム250を書き替えたり、変更したりする。追加プログラム250は、中央演算処理装置210によって基本プログラム240と組み合わせて実行される。
【0018】
また、中央演算処理装置210は、基本プログラム240のプログラム実行時の想定演算時間および演算周期と、追加プログラム250のプログラム実行時の想定演算時間とに基づいて、追加プログラム250が演算可能であるか否かを判定する。そして、中央演算処理装置210は、判定した結果に基づいて、基本プログラム240に基づいて演算を実行するか、または基本プログラム240および追加プログラム250に基づいて演算を実行するかを決定する。中央演算処理装置210が実行するプログラムの決定方法の詳細については後述する。
【0019】
揮発性メモリ220は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)である。揮発性メモリ220に電源が供給されている間は、中央演算処理装置210が実行するプログラムやプログラムの実行結果等は、揮発性メモリ220に記憶され、電源が供給されなくなると記憶したデータは消去される。
【0020】
不揮発性メモリ230は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)である。不揮発性メモリ230には、例えば、基本プログラム240と追加プログラム250とが格納される。基本プログラム240と追加プログラム250は、不揮発性メモリ230に電源が供給されなくても消去されない。
【0021】
基本プログラム240には、例えば、基本プログラム240に対応付けられた基本プログラムデータ242が格納される。
【0022】
追加プログラム250は、例えば、系統監視装置100が実装する機能ごとに生成されている。追加プログラム250は、伝送処理装置130等によって接続される外部装置からダウンロードされて、不揮発性メモリ230に格納される。また、追加プログラム250は、系統監視装置100に追加機能が実装しない場合には不揮発性メモリ230に記憶されない。追加プログラム250には、例えば、追加プログラム250に対応付けられた追加プログラムデータ252が格納される。
【0023】
次に、基本プログラムデータ242、追加プログラムデータ252、および中央演算処理装置210が実行するプログラムの決定方法について説明する。
図3は、第1実施形態の基本プログラムデータ242および追加プログラムデータ252について説明するための図である。
図3の例では、基本プログラム240の基本プログラムデータ242と、系統監視装置100に追加する二つの機能(機能1、機能2)に対応した追加プログラム250A、250Bの追加プログラムデータ252a、252bを示している。
【0024】
基本プログラムデータ242には、例えば、演算情報領域と、基本プログラム領域とが含まれる。演算情報領域には、例えば、基本プログラム240に対する想定演算時間と、演算周期とが格納される。想定演算時間とは、例えば、図示しない時間測定装置等の他の装置によって基本プログラム240を実行したときの演算時間である。また、基本プログラム領域には、基本プログラム240が格納される領域のアドレス情報等が格納される。
【0025】
追加プログラムデータ252aには、例えば、演算情報領域と、機能1プログラム領域とが含まれる。演算情報領域には、例えば、機能1の追加プログラム250Aに対する想定演算時間が格納される。想定演算時間は、時間測定装置等によって追加プログラム250Aを実行したときの演算時間である。機能1プログラム領域には、追加プログラム250Aが格納される領域のアドレス情報等が格納される。追加プログラムデータ252bにも、追加プログラムデータ252aと同様の構成で各情報が格納される。
【0026】
図4は、第1の実施形態の中央演算処理装置210が実行するプログラムの決定処理の一例を示すフローチャートである。まず、中央演算処理装置210は、基本プログラムデータ242aに含まれる基本プログラム240の想定演算時間および演算周期を取得する(ステップS100)。次に、中央演算処理装置210は、追加プログラムデータ250a、250bに含まれる想定演算時間を取得する(ステップS102)。
【0027】
次に、中央演算処理装置210は、基本プログラム240の想定演算時間と、追加プログラム250A、250Bのそれぞれの想定演算時間とを加算し(ステップS104)、加算した想定演算時間が、演算周期以下か否かを判定する(ステップS106)。加算した想定演算時間が、演算周期以下である場合、中央演算処理装置210は、基本プログラム240と追加プログラム250A、250Bとが、演算周期内で実行可能であると判定する(ステップS108)。
【0028】
また、加算した想定演算時間が演算周期を超える場合、中央演算処理装置210は、演算周期内で追加プログラム250A、250Bが実行できず、基本プログラム240が実行可能であると判定する(ステップS110)。次に、中央演算処理装置210は、追加プログラム250A、250Bが追加できなかったことを示すエラー情報を表示装置150、または出力部140を介して外部機器等に出力する(S112)。
【0029】
例えば、
図3の例において、基本プログラム240および追加プログラム250Aおよび250Bの想定演算時間の合計は、「520+10+20=550[μs]」であり、演算周期が1.39[ms]よりも小さい。したがって、中央演算処理装置210は、合計した想定演算時間と演算周期との比較から、基本プログラム240および追加プログラム250A、250Bを実行することを決定し、決定したプログラムを演算周期内で実行する。
【0030】
以上説明したように、第1の実施形態の系統監視装置100によれば、追加プログラムの実行によって系統監視装置100の機能を追加する場合に、演算周期に応じて追加プログラムの実行可否が判定され、基本プログラム240の演算周期を変更することがないように制御されるため、電力系統の継続的な監視を実現することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
次に、系統監視装置の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態の系統監視装置100と比較すると、演算装置200に代えて、演算装置200Aを備える点で相違する。したがって、以下では、主に演算装置200Aの構成を中心として説明する。また、以下では、第1の実施形態の演算装置200と同様の機能を備える構成については、同一の名称および符号を用いることとし、具体的な説明は省略する。
【0032】
図5は、第2の実施形態の演算装置200Aの構成図である。演算装置200Aは、例えば、中央演算処理装置210Aと、揮発性メモリ220と、不揮発性メモリ230とを備える。不揮発性メモリ230には、例えば、基本プログラム240と、追加プログラム250と、想定演算時間調整テーブル260とが格納される。基本プログラム240には、基本プログラムデータ244が格納される。追加プログラム250には、追加プログラムデータ254が格納される。第2実施形態の基本プログラムデータ244、追加プログラムデータ254、および想定演算時間調整テーブル260の詳細については後述する。
【0033】
中央演算処理装置210Aは、系統監視装置100の装置性能種別に基づいて、基本プログラム240および追加プログラム250のプログラム実行時の想定演算時間を変更する。装置性能種別とは、例えば、装置に設けられるCPUのクロック周波数に対応付けられた種別である。例えば、中央演算処理装置210Aは、不揮発性メモリ230に記憶された想定演算時間調整テーブル260を参照し、系統監視装置100の装置性能種別と、基本プログラムデータ244および追加プログラムデータ254に含まれる装置性能種別とに対応付けられた換算データに基づいて、基本プログラムデータ244および追加プログラムデータ254に格納された想定演算時間を変更する。また、中央演算処理装置210Aは、変更された想定演算時間に基づいて合計値を算出し、算出した合計値と演算周期とを比較することで。追加プログラム250の実行可否を判定する。そして、中央演算処理装置210Aは、判定された結果に基づいて、基本プログラム240による演算を実行するか、または基本プログラム240および追加プログラム250による演算を実行するかを決定する。
【0034】
図6は、第2の実施形態の基本プログラムデータ244、追加プログラムデータ254、および想定演算時間調整テーブル260について説明するための図である。
図6の例では、基本プログラム240の基本プログラムデータ244と、系統監視装置100に追加する二つの機能(機能1、機能2)に対応した追加プログラム250A、250Bの追加プログラムデータ254a、254bを示している。
【0035】
基本プログラムデータ244には、例えば、演算情報領域と、基本プログラム領域とが含まれる。演算情報領域には、例えば、基本プログラム240に対する想定演算時間と、装置性能種別と、演算周期とが格納される。装置性能種別は、演算情報領域に格納された想定演算時間を実測した時間測定装置の装置性能種別である。また、基本プログラム領域には、基本プログラム240が格納される領域の情報が格納される。
【0036】
追加プログラムデータ254a、254bのそれぞれの演算情報領域には、例えば、追加プログラム250A、250Bに対する想定演算時間と装置性能種別とが格納される。また、機能1および機能2のそれぞれの追加プログラム領域には、例えば、機能1および機能2の追加プログラム250A、250Bが格納される領域のアドレス情報等が格納される。
【0037】
想定演算時間調整テーブル260には、例えば、系統監視装置100の装置性能種別および時間測定装置の装置性能種別に対応付けられた倍率情報が格納されている。倍率情報とは、系統監視装置100の装置性能種別と、時間測定装置の装置性能種別との違いによる想定演算時間の誤差を抑制するために、想定演算時間に対して乗算される倍率情報である。
【0038】
図7は、第2の実施形態の中央演算処理装置210が実行するプログラムの決定処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図7に示すステップS200〜S214の処理のうち、ステップS206〜S214の処理は、
図4に示すステップS104〜S112の処理に相当する。そのため、以下では、主に、ステップS200〜S204の処理を中心として説明する。
【0039】
まず、中央演算処理装置210Aは、基本プログラムデータ244aに含まれる基本プログラム240の想定演算時間、装置性能種別、および演算周期を取得する(ステップS200)。次に、中央演算処理装置210Aは、追加プログラムデータ254a、254bに含まれる想定演算時間および装置性能種別を取得する(ステップS202)。
【0040】
次に、中央演算処理装置210Aは、不揮発性メモリ230Aに記憶された装置種別対応時間情報235を参照し、ステップS200の処理で取得した系統監視装置100の装置性能種別と、基本プログラムデータ244および追加プログラムデータ254a、254bに格納された装置性能種別とに基づいて、基本プログラムデータ244および追加プログラムデータ254a、254bに格納された想定演算時間を変更する(ステップS204)。そして、中央演算処理装置210Aは、ステップS206以降の処理を実行する。
【0041】
ここで、
図6の例を用いて、第2の実施形態の系統監視装置100が実行するプログラムの決定方法について説明する。以下では、系統監視装置100の装置性能種別は、「B」であるものとする。
【0042】
図6の例において、基本プログラムデータ244に格納された装置性能種別は「B」である。したがって、中央演算処理装置210Aは、不揮発性メモリ230に記憶された想定演算時間調整テーブル260を参照し、系統監視装置100の装置性能種別と、基本プログラムデータ244に格納された装置性能種別から倍率1.0を取得する。また同様に、中央演算処理装置210Aは、系統監視装置100の装置性能種別と、追加プログラムデータ254aにより取得した装置性能種別とから倍率2.0を取得する。また、中央演算処理装置210Aは、系統監視装置100の装置性能種別と、追加プログラムデータ254bにより取得した装置性能種別とから倍率1.0を取得する。中央演算処理装置210Aは、それぞれの倍率を、基本プログラムデータ244および追加プログラムデータ254a、254bに格納された想定演算時間に乗算して、想定演算時間を変更する。
【0043】
具体的には、基本プログラム240の想定演算時間は、想定演算時間520[μs]×倍率1.0=520[μs]となり、追加プログラム250Aの想定演算時間は、想定演算時間10[μs]×倍率2.0=20[μs]となり、追加プログラム250Bの想定演算時間20[μs]×倍率1.0=20[μs]となる。つまり、
図6の例では、追加プログラム250Aの想定演算時間が変更される。そして、中央演算処理装置210Aは、これらの想定演算時間の合計値520+20+20=560[μs]と、演算周期1.39[ms]とを比較し、想定演算時間の合計値が演算周期以下であるため、基本プログラム240の演算周期内で追加プログラム250A、250Bが実行可能であると判定する。これにより、中央演算処理装置210Aは、基本プログラム240の演算周期内で基本プログラム240とともに、追加プログラム250A、250Bを実行することを決定する。
【0044】
第2の実施形態における想定演算時間調整テーブル260は、倍率の代わりに、調整後の演算時間が格納されていてもよい。この場合、中央演算処理装置210Aは、不揮発性メモリ230に記憶された想定演算時間調整テーブル260を参照し、系統監視装置100の装置性能種別と、基本プログラムデータ244に格納された装置性能種別とに対応付けられた想定演算時間を取得する。また、中央演算処理装置210Aは、系統監視装置100の装置性能種別と、追加プログラムデータ254a、254bに格納された装置性能種別とに基づいて、想定演算時間調整テーブル260から想定演算時間を取得する。そして、中央演算処理装置210Aは、取得したそれぞれの想定演算時間を加算して、演算周期との比較を行い、比較結果に基づいて演算を実行するプログラムを決定する。
【0045】
また、第2の実施形態において、想定演算時間調整テーブル260は、基本プログラム240または追加プログラム250の実行により実現される機能ごとに複数設けられていてもよい。
【0046】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、時間計測装置と系統監視装置100との装置性能種別の相違に基づく演算時間の誤差を抑制することができる。
【0047】
(第3の実施形態)
次に、系統監視装置の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態の系統監視装置100と比較すると、演算装置200に代えて、演算装置200Bを備える点で相違する。したがって、以下では、主に演算装置200Bの構成を中心として説明する。また、以下では、第1の実施形態の演算装置200と同様の機能を備える構成については、同一の名称および符号を用いることとし、具体的な説明は省略する。
【0048】
図8は、第3の実施形態の演算装置200Bの構成図である。演算装置200Bは、例えば、中央演算処理装置210Bと、揮発性メモリ220と、不揮発性メモリ230とを備える。不揮発性メモリ230には、例えば、基本プログラム240と、追加プログラム250とが格納される。基本プログラム240には、基本プログラムデータ246が格納される。また、追加プログラム250には、追加プログラムデータ256が格納される。
【0049】
図9は、第3の実施形態の基本プログラムデータ246および追加プログラムデータ256について説明するための図である。
図9の例では、基本プログラム240の基本プログラムデータ246と、機能1、機能2に対応した追加プログラム250A、250Bの追加プログラムデータ256a、256bを示している。
【0050】
基本プログラムデータ246は、第1の実施形態の基本プログラムデータ242に比して、演算情報領域に想定演算時間が格納されていない点で相違する。また、追加プログラムデータ256a、256bは、第1の実施形態の追加プログラムデータ252a、252bに比して、演算情報領域が削除されている点で相違する。
【0051】
中央演算処理装置210Bは、基本プログラムデータ246および追加プログラムデータ256a、256bから想定演算時間を取得するのではなく、試験的に基本プログラム240および追加プログラム250A、250Bを実行し、実行結果から想定演算時間の合計を取得する。試験的にプログラムを実行するとは、実際に系統監視装置100の運用上においてプログラムを実行するものではなく、演算装置200Bの環境下におけるプログラムの処理演算時間を計測するために仮想的にプログラムの処理を実行するものであり、処理結果等は破棄される。
【0052】
また、中央演算処理装置210Bは、取得した想定演算時間の合計と、演算周期とを比較することで、基本プログラムの演算周期内で、追加プログラムが実行可能であるか否かを判定する。
【0053】
図10は、第3の実施形態の中央演算処理装置210Bが実行するプログラムの決定処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図10に示すステップS300〜S312の処理のうち、ステップS308〜S312の処理は、
図4に示すステップS108〜S112の処理に相当する。そのため、以下では、主に、ステップS300〜S306の処理を中心として説明する。
【0054】
まず、中央演算処理装置210Bは、基本プログラムデータ244aに含まれる基本プログラム240の演算周期を取得する(ステップS300)。次に、中央演算処理装置210Bは、取得した演算周期に比して長い演算周期を設定する(ステップS302)。
【0055】
図11は、第3の実施形態の演算周期の設定方法について説明するための図である。中央演算処理装置210Bは、基本プログラムデータ246に格納された演算周期Tp1に比して長い演算周期Tp2を設定する。演算周期Tp2は、例えば、演算周期Tp1の整数倍である。中央演算処理装置210Bは、例えば、装置内のクロック信号に対して二分周することで、演算周期Tp1に対して二倍の演算周期Tp2を設定する。
【0056】
次に、中央演算処理装置210Bは、設定した演算周期Tp2に基づいて、基本プログラム240、および追加プログラム250A、250B(
図11に示す追加A、追加B)を試験的に実行し、実際に実行したときの演算時間T1を取得する(ステップS304)。また、中央演算処理装置210Bは、実際の演算時間T1が演算周期Tp1以下であるか否かを判定する(ステップS306)。
図11の例では、実際の演算時間T1が演算周期Tp1を超えているため、中央演算処理装置210Bは、基本プログラムが実行可能であると判定する。
【0057】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、実際に使用する系統監視装置100の環境において、試験的に実行されたプログラムの演算時間を用いて演算周期との比較を行うことができるため、より精度よく、追加プログラムを実行できるか否かの判定を行うことができる。また、第3の実施例形態によれば、十分に長い演算周期で演算するため、試験的に実行したときの演算時間が基本プログラムの演算周期を超えていた場合でも、系統監視装置100を停止させる等の影響を与えることなく、演算に必要な時間を測定することができる。
【0058】
(第4の実施形態)
次に、系統監視装置の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、第3の実施形態の演算装置200Bと比較すると、中央演算処理装置210Bにおけるプログラムの演算時間と演算周期との比較処理の内容が相違する。したがって、以下では、主に中央演算処理装置210Bの構成を中心として説明する。また、以下では、第3の実施形態の演算装置200Bと同様の機能を備える構成については、同一の名称および符号を用いることとし、具体的な説明は省略する。
【0059】
第4の実施形態の中央演算処理装置210Bは、試験的に基本プログラム240および追加プログラム250A、250Bを実行するのではなく、実際に基本プログラム240および追加プログラム250A、250Bを実行し、実行中の演算時間が演算周期を超えるか否かを判定し、判定結果に応じて、次回以降に追加プログラム250A、250Bを実行するか否かを判定する。
【0060】
図12は、第4の実施形態の中央演算処理装置210Bが実行するプログラムの決定処理の一例を示すフローチャートである。まず、中央演算処理装置210Bは、基本プログラムデータ244aに含まれる基本プログラム240の演算周期を取得する(ステップS400)。次に、中央演算処理装置210Bは、基本プログラム240および追加プログラム250A、250Bを実行する(ステップS402)。
【0061】
次に、中央演算処理装置210Bは、実行中のプログラムが基本プログラムの演算周期を超えたか否かを判定する(ステップS404)。実行中のプログラムが演算周期を超えた場合、中央演算処理装置210Bは、実行中の追加プログラムを停止し(ステップS406)、エラー出力を行う(ステップS408)。次に、中央演算処理装置210Bは、次回以降は基本プログラムが実行可能であると判定する(ステップS410)。また、実行中の演算時間が演算周期を超えていない場合、中央演算処理装置210Bは、次回は基本プログラムおよび追加プログラムが実行可能であると判定する(ステップS412)。
【0062】
図13は、実行中のプログラムが演算周期を超えた場合について説明するための図である。中央演算処理装置210Bは、基本プログラム240および追加プログラム250A、250Bを実行し、実行中の演算時間が演算周期を超えている場合に、その時点で実行している追加プログラム(
図13の例では、追加プログラム250B)を停止し、次回周期以降は、基本プログラム240を実行する。
【0063】
以上説明したように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、基本プログラムおよび追加プログラムを実行して、演算時間が演算周期を超えるか否かを判定することで、追加プログラムの実行可否を判定することができる。また、演算時間が演算周期を超える場合に、次回以降は基本プログラムを実行することで、系統監視装置100の機能を損なうことなく継続して電力系統を監視することができる。
【0064】
(第5の実施形態)
次に、系統監視装置の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、第2の実施形態の演算装置200Aと比較すると、系統監視装置100に接続されたサーバ装置300によって、系統監視装置100が追加プログラムを実行できるか否かを判定する点で相違する。したがって、以下では、主にサーバ装置の構成を中心として説明する。また、以下では、第2の実施形態の系統監視装置100と同様の機能を備える構成については、同一の名称および符号を用いることとし、具体的な説明は省略する。
【0065】
図14は、系統監視装置100に接続されるサーバ装置300の構成図である。サーバ装置300は、例えば、サーバ側伝送処理装置310と、サーバ側中央演算処理装置320と、記憶装置330とを備える。サーバ側中央演算処理装置320は、「演算装置」の一例である。
【0066】
サーバ側伝送処理装置310は、通信ネットワークを介して系統監視装置100の伝送処理装置130と接続され、データの送受信等を行う。例えば、サーバ側伝送処理装置310は、例えば、NICや無線通信モジュール等の通信インターフェースである。
【0067】
サーバ側中央演算処理装置320は、例えば、CPU等のプロセッサである。サーバ側中央演算処理装置320は、接続された系統監視装置100において、追加プログラムが実行可能か否かを判定し、その結果を系統監視装置100に出力する。また、サーバ側中央演算処理装置320は、記憶装置330に記憶された基本プログラム331および追加プログラム332を、系統監視装置100に出力する。
【0068】
記憶装置330は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SDカード等の不揮発性の記憶媒体と、RAM、レジスタ等の揮発性の記憶媒体とによって実現される。記憶装置330には、例えば、系統監視装置100に提供する複数の基本プログラム331および追加プログラム332と、想定演算時間調整テーブル333と、基本プログラム演算情報334と、追加プログラム演算情報335と、演算周期情報336とが格納されている。基本プログラム331、追加プログラム332、および想定演算時間調整テーブル333は、基本プログラム240、追加プログラム250、および想定演算時間調整テーブル260に相当する。
【0069】
図15は、第5の実施形態の基本プログラム演算情報334について説明するための図である。基本プログラム演算情報334は、基本プログラムを識別する基本プログラム名に対応づけて、想定演算時間および測定した時間測定装置の装置性能種別が格納されている。
【0070】
図16は、第5の実施形態の追加プログラム演算情報335について説明するための図である。追加プログラム演算情報335は、追加プログラムを識別する追加プログラム名に対応づけて、想定演算時間および測定した時間測定装置の装置性能種別が格納されている。
【0071】
図17は、第5の実施形態の演算周期情報336について説明するための図である。演算周期情報336は、系統監視装置100の性能種別に対応づけて、演算周期が格納されている。
【0072】
サーバ側中央演算処理装置320は、系統監視装置100で実行させる基本プログラム331および追加プログラム332に対して、基本プログラム演算情報334および追加プログラム演算情報335からそれぞれのプログラムに対応する想定演算時間と装置性能種別とを取得する。また、サーバ側中央演算処理装置320は、想定演算時間調整テーブル333から、系統監視装置100と時間測定装置との時間を調整するための倍率を取得する。また、サーバ側中央演算処理装置320は、系統監視装置100の性能種別から演算周期を取得する。そして、サーバ側中央演算処理装置320は、取得した想定演算時間および倍率から基本プログラム331と追加プログラム332を実行された場合の想定演算時間の合計を取得し、取得した合計が演算周期以下であるか否かによって、追加プログラム332の実行可否を判定する。
【0073】
例えば、性能種別が「B」の系統監視装置100に、基本プログラムB−0001および追加プログラム1および3を実行させる場合、基本プログラムの想定演算時間は、330×倍率1.0=330[μs]、追加プログラム1の想定演算時間は、10×倍率2.0=20[μs]、追加プログラム3の想定演算時間は、30×倍率1.0=30[μs]となる。サーバ側中央演算処理装置320は、これらの想定演算時間の合計値330+20+30=380[μs]を求め、その結果を、演算周期1.67[ms]と比較する。想定演算時間の合計値は、演算周期以下であるため、サーバ側中央演算処理装置320は、基本プログラムB−0001とともに追加プログラム1および3が実行可能であると判定する。また、サーバ側中央演算処理装置320は、例えば、判定した結果および/または実行可能なプログラムを系統監視装置100に出力する。
【0074】
以上説明したように、第5の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を奏する他、サーバ装置300で追加プログラムを基本プログラムの演算周期内で実行可能か否かを判定することで、系統監視装置100の処理負担を軽減することができる。
【0075】
(第6の実施形態)
次に、系統監視装置の第6の実施形態について説明する。第6の実施形態では、第5の実施形態のサーバ装置300と比較すると、記憶装置330に追加プログラム演算情報335を記憶する代わりに、第2の実施形態における追加プログラムデータ254aおよび254bの演算情報領域に格納された想定演算時間および装置性能種別を用いる点で相違する。追加プログラムデータ254aおよび254bは、例えば、追加プログラム332に格納されている。また、追加プログラムデータ254aおよび254bは、系統監視装置100からサーバ装置300に出力されてもよい。
【0076】
第6の実施形態において、サーバ側中央演算処理装置320は、追加プログラムデータ254a、254bの演算情報領域に格納された想定演算時間および装置性能種別を用いて、想定演算時間の合計を算出する。なお、第6の実施形態では、基本プログラム240についても、基本プログラムデータ244から想定演算時間、装置性能種別、および演算周期を取得してもよい。
【0077】
以上説明したように、第6の実施形態によれば、第5の実施形態と同様の効果を奏する他、記憶装置330に記憶するデータ量を削減することができる。
【0078】
(第7の実施形態)
次に、系統監視装置の第7の実施形態について説明する。
図18は、系統監視装置100に接続されるサーバ装置300Aの構成図を示す図である。第7の実施形態のサーバ装置300Aは、第5の実施形態のサーバ装置300と比較すると、サーバ側中央演算処理装置320に代えて、サーバ側中央演算処理装置320Aを備え、サーバ側中央演算処理装置320Aが系統監視装置における中央演算処理装置210のエミュレータとして機能する点で相違する。したがって、以下では、サーバ側中央演算処理装置320Aの機能を中心として説明する。また、以下では、サーバ装置300と同様の機能を備える構成については、同一の名称および符号を用いることとし、具体的な説明は省略する。
【0079】
サーバ装置300Aは、例えば、サーバ側伝送処理装置310と、サーバ側中央演算処理装置320Aと、記憶装置330Aとを備える。また、記憶装置330Aには、基本プログラム331と、追加プログラム332と、系統監視装置情報337と、サーバ装置用時間調整データ338とが格納されている。
【0080】
図19は、第7の実施形態の系統監視装置情報337について説明するための図である。系統監視装置情報337は、系統監視装置100の装置性能種別および演算周期が格納されている。系統監視装置情報337は、例えば、系統監視装置100に問い合わせを行うことで取得してもよく、サーバ装置300側で設定してもよい。
【0081】
図20は、第7の実施形態のサーバ装置用時間調整データ338について説明するための図である。サーバ装置用時間調整データ338は、例えば、系統監視装置100の装置性能種別に、基本プログラムおよび追加プログラム演算時間に対する調整倍率が対応づけられている。調整倍率とは、例えば、サーバ側中央演算処理装置320Aが系統監視装置100の中央演算処理装置210の代わりに実行した実行プログラムおよび追加プログラムの演算時間に対する調整情報である。
【0082】
サーバ側中央演算処理装置320Aは、系統監視装置100の中央演算処理装置210の代わりに、実行プログラムおよび追加プログラムを実行して演算時間を取得する。また、サーバ側中央演算処理装置320Aは、系統監視装置情報337に格納された系統監視装置100の装置性能種別に基づいて、サーバ装置用時間調整データ338を参照し、系統監視装置100の装置性能種別に対応する調整倍率を取得する。そして、サーバ側中央演算処理装置320Aは、演算時間に調整倍率を乗算し、乗算した演算時間と、系統監視装置情報337に格納された演算周期とを比較することで、系統監視装置100において、追加プログラムの実行可否を判定する。
【0083】
例えば、装置性能種別が「A」である系統監視装置100において、基本プログラムと追加プログラム1とが実行可能であるか否か判定する場合、サーバ側中央演算処理装置320Aは、基本プログラムおよび追加プログラム1を実行する。例えば、基本プログラムの演算時間が800[μs]、追加プログラム1の演算時間が10[μs]であったとすると、サーバ側中央演算処理装置320Aは、演算時間の合計値として800+10=810[μs]を算出する。また、サーバ側中央演算処理装置320Aは、サーバ装置用時間調整データ338から装置性能種別に対する調整倍率0.5を取得し、演算時間の合計値に乗算して810×0.5=405[μs]を算出する。そして、サーバ側中央演算処理装置320Aは、算出した演算時間405[μs]と、系統監視装置情報337に格納された系統監視装置100における演算周期1.39[ms]とを比較し、演算時間が演算周期以下であるため、系統監視装置100が基本プログラムおよび追加プログラム1の実行が可能であると判定する。
【0084】
以上説明したように、第7の実施形態によれば、第6の実施形態と同様の効果を奏する他、基本プログラムおよび追加プログラムをサーバ装置300Aで実際に実行することで、より精度よく演算時間を算出することができる。なお、上述した第1〜第7の実施形態は、それぞれ他の実施形態の一部または全部と組み合わせてもよい。
【0085】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、電力系統において計測された計測結果を示すアナログ信号を入力する入力部110と、入力部110に入力されたアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換器120と、電力系統の異常を検知するための演算を実行する基本プログラム240と、基本プログラム240に追加して実行可能な少なくとも一つの追加プログラムとを記憶する不揮発性メモリ230と、基本プログラム240、または、基本プログラム240および追加プログラム250に基づいて、A/D変換器120により変換されたデジタルデータに対して演算を行う演算装置200であって、基本プログラム240のプログラム実行時の想定演算時間および演算周期と、追加プログラム250のプログラム実行時の想定演算時間とに基づいて、追加プログラム250が演算可能であるか否かを判定し、判定した結果に基づいて、基本プログラム240に基づいて演算を実行するか、または基本プログラム240および追加プログラム250に基づいて演算を実行するかを決定する演算装置200とを持つことにより、演算周期に応じて追加プログラムの実行可否を判定することで電力系統の継続的な監視を実現することができる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。