【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係るエンジン駆動作業機の主要部を示す図であり、
図2は、その外観図である。
図1,
図2において、符号1はエンジン駆動作業機の筐体、2はベース、3は作業扉、4は主扉、5は作業扉3用の扉受け、6は吸気ダクト、7はベースダクトである。
【0022】
筐体1の側壁パネル1aは、長方形の金属板の上下左右4辺の縁部を折り曲げて、その4隅を溶接してパネル状に形成し、下部に長方形の開口部を設け、その開口部に、扉受け5を嵌め込み、周囲を溶接により接合する。そして、側壁パネル1aの側縁に、主扉4用の主扉用ヒンジ1b,1bを溶接して取り付ける。さらに、扉受け5に取り付ける作業扉3を内側から施錠するための鍵用の鍵台1cを、側壁パネル1aの内側に溶接して取り付ける。
【0023】
筐体1は、ベース2の上に設置されている。ベース2には、扉受け5が設けられている側の面に、冷却風吸気口2aと燃焼用空気吸気口2bが設けられていて、それらの外面は、空気が十分に通るだけの間隔をあけて覆い板2cで覆われている。そして、覆い板2cの内側は、冷却風吸気口2aと燃焼用空気吸気口2bの間が板で仕切られ、外気は、
図1に矢印で示すように、それぞれ、左右から冷却風吸気口2a,燃焼用空気吸気口2bに吸い込まれていく。このように、冷却風吸気口2aと燃焼用空気吸気口2bの前面を覆い板2cで覆ったので、冷却風吸気口2a,燃焼用空気吸気口2bから漏れ出る機内の騒音を抑えることができるとともに、雨による水滴が冷却風吸気口2a,燃焼用空気吸気口2bから入り込むのを防ぐことができる。
【0024】
図3は、作業扉の扉受けを示す図である。四つの断面コの字状の部材を四角形に囲むように組み合わせ、接合部を溶接して扉用の開口部を形成する。その開口部の周囲には、開口縁部5b,5b,5b,5bが立設された状態になり、扉受け5の外周には外枠5cが形成される。そして、
図1に示したように、開口縁部5b,5b,5b,5bには、ゴム製のシール材5dが設けられる。
【0025】
また、上記四つの断面コの字状の部材の内、縦方向に延びる幅広の部材のコの字状部内側には、作業扉用ヒンジ5a,5aを溶接して取り付ける。さらに、作業扉用ヒンジ5a,5aを取り付けた面とは反対側の面に、スタッドボルト5e,5e,5e,5e,5eを溶接して取り付け、それに吸気ダクト6を取り付ける。そのような扉受け5を側壁パネル1aに取り付けた状態を
図4に示す。
図4は、側壁パネル1aを、表側から見た図と裏側から見た図を示している。
【0026】
作業扉を
図5に示す。
図5は、作業扉3を、表側から見た図と裏側から見た図を示している。作業扉3は、四角い金属板の四辺を折り曲げ、その四隅を溶接して、扉受け5の内側に収まる形状に扉外枠3aを形成し、さらに、ヒンジ3b,3bを内側に溶接して取り付ける。そして、後述する鍵のスライド棒を係止させるための鍵受け3cを、ヒンジ3b,3bとは反対側の内側に溶接して取り付ける。その鍵受け3cには、前記スライド棒を係合させる鍵係合穴3dを設ける。鍵受け3cは、強度を持たせるために両側を折り曲げ、先端部は、鍵のスライド棒の先端が当たっても、ガイドになって引っ掛からないようにするため、斜め内側に折り曲げる。そのような作業扉3のヒンジ3b,3bを、扉受け5の作業扉用ヒンジ5a,5aに枢着することにより、作業扉3を取り付ける。
【0027】
図6は、吸気ダクトを示す図である。吸気ダクト6は、冷却風流路6aと燃焼用空気流路6bを有しており、冷却風流路6aには、作業機の機内側に開口する排風口6cが設けられている。冷却風流路6aは、ベースダクト7から冷却風連通口6eを通して取り込んだ冷却風を排風口6cへ導く。燃焼用空気流路6bは、ベースダクト7から燃焼用空気連通口6fを通して取り込んだ空気を上方に導き、その上端近接部に、後述するエンジンのエアクリーナにつながるゴムパイプの下端開口部を配設して、エアクリーナに燃焼用空気を送り込む。
【0028】
冷却風流路6aと燃焼用空気流路6bの下部は、下部閉塞板6gで塞がれていて、冷却風流路6aは、仕切板6hにより、機内空間及び燃焼用空気流路6bと仕切られている。また、冷却風流路6aの排風口6cとの対向面は開放されているが、作業扉3が閉じられると、作業扉3の内面により開放部が塞がれて流路が形成される。燃焼用空気流路6bは、燃焼用空気流路封止板6iにより作業扉3側が塞がれている。
【0029】
そのような吸気ダクト6は、左右両側に設けた取付板6j,6jを、そのボルト穴に前記スタッドボルト5e,5e,5e,5e,5eを通すことにより、側壁パネル1aの内側に固定される。そのように、吸気ダクト6は、作業扉3に、ではなく側壁パネル1a側に固定されるため、吸気ダクト6の大きさや配置は作業扉3の大きさ等に関係なく決めることができ、設計上の自由度が広がり、
図1に示すように、吸気ダクト6の下端部を作業扉3の下端部よりも下まで伸ばして、ベースダクト7と接続させることもできる。しかも、作業扉3も重くならずに楽に開閉ができる。
【0030】
なお、
図1で示したように、仕切板6hの先端縁には、シール材6dを設けて、作業扉3を閉じたときに、作業扉3の内面と仕切板6hとの間を封止して冷却風が漏れ出ないようにする。また、作業扉3を閉じたとき、扉受け5の開口縁部5bに設けたシール材5d(
図1参照)が、作業扉3の内面に当接するので、そのシール材5dにより、吸気ダクト6の下部閉塞板6gに当接する開口縁部5bと作業扉3の内面の間、及び、冷却風流路6
aの側面と作業扉3の内面の間は封止される。そして、メンテナンスのために作業扉3を開けた際には、扉受け5の扉用の開口部に吸気ダクト6があっても、吸気ダクト6の前側の開放部から排風口6cを通して作業が行える。
【0031】
筐体内でのエンジン8の設置状態を
図7に示す。この実施例では、エンジン8のエンジン吸気口8aの開口方向、及び、エアクリーナ8bのフィルタ取出し方向(図中矢印方向)が同方向で、その方向に作業扉3を設けている。このようにすれば、エアクリーナ8bのフィルタの交換が、作業扉3を開けることにより簡単にできる。また、吸気ダクト6の排風口6cがエンジン吸気口8aの対向位置で近接させることができ、エンジン冷却風を効率的に送り込むことができる。なお、図中、符号1dは、鍵台1cに取り付けた鍵のスライド棒である。また、符号6mは、後述する吸音材である。
【0032】
図8は、作業扉を閉じるときの状態を示す図である。符号は、
図1〜
図7のものに対応している。鍵台1cに取り付ける鍵としては、例えば、市販されているスライド式のラッチ錠を用いることができ、そのスライド棒1dを実線で示すように外側に移動させている状態で、作業扉3を閉じると、作業扉3の内面がシール材5d,シール材6dに当接し、それらに密着して封止される。また、鍵受け3cは、内側に移動して鍵係合穴3d(
図5参照)の位置がスライド棒1dの軸線と一致する。その状態で鍵のスライド棒1dをスライドさせて、作業扉3の鍵係合穴3dに差し込むと、作業扉3は施錠されて外側からは開けられなくなる。なお、スライド棒1dの操作は、主扉4を開けて内側から行う。
【0033】
このように、作業扉3の内側に作業扉3の施錠装置を設けたので、運転中、不用意に作業扉3が開けられて、冷却風の流れが妨げられてしまうようなことがなくなる。また、作業扉3の外側には鍵,取手等が設けられないので外観がすっきりする。
【0034】
図9は、ベースダクトを示す図である。冷却風取入口7aは、ベース2の冷却風吸気口2aを、燃焼用空気取入口7bは、燃焼用空気吸気口2bを、それぞれ内側から覆うように押し当てられ、冷却風と燃焼用空気を取り込む。それらは、ベースダクト7内を通って、冷却風吐出口7c、燃焼用空気吐出口7dから吸気ダクト6内に送られる。
【0035】
ベースダクト7の冷却風吐出口7c,燃焼用空気吐出口7dと対向する、吸気ダクト6の冷却風連通口6e,燃焼用空気連通口6fの内側周囲には、
図10に示すように、シールゴム6kが配設されていて、空気漏れを防ぐようにしている。
【0036】
また、
図11に示すように、吸気ダクト6の冷却風流路6a,燃焼用空気流路6bの内側側面には、吸音材6mを貼り付けて、機内の騒音が外部に漏れ出るのを抑えられるようにしている。また、吸気ダクト6のエンジン吸気口8aに対向する面にも吸音材6mを貼り付けて、エンジン吸気口8aでの吸気音を抑えるとともに、エンジン8から吸気ダクト6へ伝わる振動を吸収するようにしている。
【0037】
なお、上記実施例では、エンジン8のエンジン吸気口8aの開口方向が、エアクリーナ8bのフィルタ取出し方向と同方向になっている場合で説明したが、本発明は、それに限定されず、エンジン8のエンジン吸気口8aの開口方向が、エアクリーナ8bのフィルタ取出し方向とは異なっている場合であっても適用可能である。