特許第6816069号(P6816069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6816069マグネシウム合金、その製造方法およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816069
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】マグネシウム合金、その製造方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C22C 23/04 20060101AFI20210107BHJP
   A61L 27/04 20060101ALI20210107BHJP
   A61L 31/02 20060101ALI20210107BHJP
   C22F 1/06 20060101ALI20210107BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20210107BHJP
【FI】
   C22C23/04
   A61L27/04
   A61L31/02
   C22F1/06
   !C22F1/00 675
   !C22F1/00 681
   !C22F1/00 683
   !C22F1/00 691B
   !C22F1/00 691C
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-152186(P2018-152186)
(22)【出願日】2018年8月13日
(62)【分割の表示】特願2015-519017(P2015-519017)の分割
【原出願日】2013年6月24日
(65)【公開番号】特開2018-197396(P2018-197396A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2018年9月12日
(31)【優先権主張番号】61/664,274
(32)【優先日】2012年6月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512238276
【氏名又は名称】バイオトロニック アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】ウッゴヴィツァル、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】レフラー、ヨルグ
【審査官】 小川 進
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第1792383(CN,A)
【文献】 YU SUN,PREPARATION AND CHARACTERIZATION OF A NEW BIOMEDICAL MG-ZN-CA ALLOY,MATERIALS AND DESIGN,英国,2011年 7月23日,V34,P58-64
【文献】 KIRKLAND Nicholas T. 外5名,Performance-driven design of Biocompatible Mg alloys,JOM,米国,2011年 6月,Vol.63 No.6,Page.28-34
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 23/04
A61L 27/04
A61L 31/02
C22F 1/06
C22F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改善された機械的性質および電気化学的性質を有するマグネシウム合金を含む生分解性インプラントであって、前記マグネシウム合金は、3重量%から5重量%のZn、0.2重量%から0.4重量%のCaを含み、残部は、マグネシウムおよび合計0.0048重量%以下の全不純物からなり、前記全不純物は、
‐合計0.0038重量%以下の、Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cu、Al、ZrおよびPの群から選択される個々の不純物、および
‐0.001重量%以下の、原子番号21、39、57−71および89−103のレアアースの群から選択される合金元素を含み、
前記合金は金属間CaMgZn相および任意に析出可能なMgZn相をそれぞれ2%以下の体積含有率で含み、
析出物は、サイズが5μm未満であり、結晶粒界に分散状態で分配されており、
Zrの含有量は、0.0003重量%以下である、生分解性インプラント。
【請求項2】
請求項1に記載のインプラントにおいて、前記全不純物は、合計0.0045重量%以下を有することを特徴とする、インプラント。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインプラントにおいて、全不純物中の個々の不純物が、重量%で以下の量、Feが0.0005未満、Siが0.0005未満、Mnが0.0005未満、Coが0.0005未満、Niが0.0005未満、Cuが0.0005未満、Alが0.0003未満、Zrが0.0003未満、Pが0.0002未満であることを特徴とする、インプラント。
【請求項4】
請求項1または2に記載のインプラントにおいて、個々の不純物元素であるFe、Si、Mn、Co、Ni、CuおよびAlを組み合わせると、かかる個々の不純物の合計が0.0033重量%以下、Alの含有量が0.0003重量%以下、Zrの含有量が0.0001重量%以下であることを特徴とする、インプラント。
【請求項5】
請求項1または2に記載のインプラントにおいて、レアアースの群からの個々の元素が、合計で0.001重量%であることを特徴とする、インプラント。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のインプラントにおいて、前記合金が7.5μm未満の粒度を有する微細なミクロ構造を有することを特徴とする、インプラント。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のインプラントにおいて、マトリックス相と比較すると、金属間CaMgZn相は少なくとも同等の貴であるか、またはそれよりも卑であり、析出可能なMgZn相はより貴であることを特徴とする、インプラント。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のインプラントにおいて、析出物は、サイズが1μm未満であることを特徴とする、インプラント。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のインプラントにおいて、前記合金は、275MPa超の引張強度、200MPa超の降伏点、0.8未満の降伏比を有し、引張強度と降伏点の差は50MPa超であることを特徴とする、インプラント。
【請求項10】
改善された機械的性質および電気化学的性質を有するマグネシウム合金を含む生分解性インプラントを製造する方法であって、以下の工程、
a)真空蒸留による高純度マグネシウムの生成工程;
b)工程a)に従った前記マグネシウムと高純度のZnおよびCa(組成は3重量%から5重量%のZn、0.2重量%から0.4重量%までのCa)との合成による合金ビレットの生成工程であって、残部は、マグネシウムおよび合計0.0048重量%以下の全不純物からなり、全不純物が、Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cu、Al、ZrおよびPの群から選択される個々の不純物を0.0038重量%以下含んでおり、合金元素は、原子番号21、39、57−71および89−103のレアアース群から選択され、合計0.001重量%以下であり、Zrの含有量は、0.0003重量%未満である、生成工程;
c)4時間から40時間の放置期間を伴う150℃と450℃の間の温度による焼きなましによる前記合金の均質化工程;
c)250℃と350℃の間の範囲の温度による前記均質化合金の、少なくとも一回の形成工程;および
d)任意に、1分から3時間までの放置時間を有する100℃と300℃の間の範囲の温度による前記形成合金の加熱処理工程を含んでなり、
前記形成工程の間に、Zrの代わりに金属間CaMgZn相によって微粒子化が行われることを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、合金マトリックスよりも貴であるMgZn相は加熱処理により合金マトリックスから析出され、合金マトリックスとMgZn析出物の間に存在する電位差は、合金マトリックスの分解速度を調整するのに使用されることを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、全不純物は合計0.0045重量%以下を有することを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項10または12に記載の方法において、全不純物中の個々の不純物が、重量%でFeは0.0005未満、Siは0.0005未満、Mnは0.0005未満、Coは0.0005未満、Niは0.0005未満、Cuは0.0005未満、Alは0.0003未満、Zrは0.0003未満、Pは0.0002未満であることを特徴とする、方法。
【請求項14】
請求項10、12または13に記載の方法において、個々の不純物元素であるFe、Si、Mn、Co、Ni、CuおよびAlを組み合わせると、かかる個々の不純物の合計が0.0033重量%以下、Alの含有量が0.0003重量%以下、Zrの含有量が0.0001重量%以下であることを特徴とする、方法。
【請求項15】
請求項10または12に記載の方法において、レアアースからの個々の元素が合計で0.001重量%以下であることを特徴とする、方法。
【請求項16】
請求項10に記載の方法において、前記形成プロセスは押し出し法、剪断押し出し法(ECAE)および/または複数鍛造プロセスであることを特徴とする、方法。
【請求項17】
請求項10または11に記載の方法において、加熱処理後のMgZn析出物は、粒度7.5μm未満を有する微細粒構造体中に、粒度1nmないし50nmで、結晶粒界および粒子内部に分散状態で分配されていることを特徴とする、方法。
【請求項18】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のインプラントにおいて、前記インプラントが、ステントなどの血管内インプラント、組織インプラントおよび組織移植片を固定および仮付けするためのインプラント、補綴および歯科インプラント並びに神経インプラントの群から選択されることを特徴とする、インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願の対象は、マグネシウム合金、その製造方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネシウム合金の性質は、合金元素の種類および量、不純物並びに製造条件によって決定的に規定されることが知られている。マグネシウム合金の性質に及ぼす合金元素および不純物の影響は当業者にはかなり以前から周知であり、インプラント素材として使用される二元または三元マグネシウム合金の性質を決定するのが複雑であることを、それは示している。
【0003】
マグネシウムに最も頻繁に使用される合金元素はアルミニウムであり、固溶体、析出硬度および微粒形成により引張強度が向上するだけでなく、微細孔性も生じる。更に、溶解状態で、アルミニウムは鉄量が極めて低い方向に鉄析出境界をシフトさせ、その場合、鉄粒子が他の元素と一緒に金属間粒子を析出または形成する。
カルシウムは顕著な微粒化効果を示し、可鋳性および耐腐食性を悪化させる。
マグネシウム合金にとって好ましくない付随元素としては、鉄、ニッケル、コバルトおよび銅が挙げられ、それらは電気的陽性の故にかなり腐食性を増大させる。
マンガンはあらゆるマグネシウム鋳造合金に見出され、AlMnFeの形で鉄と結合し、それにより局所元素の形成を減少させる。一方、マンガンは全ての鉄と結合することはできないので、残りの鉄と残りのマンガンはいつも溶解物中に残留する。
【0004】
珪素は可鋳性および粘性を低下させ、珪素量が上昇すると、腐食的挙動の悪化が予想される。鉄、マンガンおよび珪素は、金属間相を形成する傾向が極めて高い。
【0005】
当該相の電気化学ポテンシャルはとても高いので、合金マトリックスの腐食をコントロールするカソードとして機能する。
固溶体硬化の結果として、亜鉛は機械的性質を改善し微粒化をもたらすが、微細孔性ももたらし、高温割れの傾向が二元のMg−Zn合金および三元のMg−Al−Zn合金において1.5%ないし2%で開始する。
ジルコニウムからなる合金添加物は膨張を低下させることなく引張強度を増大させ微粒化をもたらすが、動的再結晶をひどく損ない、それは再結晶温度の上昇で現れるので、膨大なエネルギー消費が要求される。更に、微粒化効果が失われるので、ジルコニウムはアルミニウムおよび珪素を含む溶解物には添加できない。
Lu,Er,Ho,Th,Sc,Inなどのレアアースは全て類似の化学的挙動を示し、二元状態図のうちマグネシウムの豊富な側で部分溶解度を有する共晶系を形成するので、析出硬化が可能である。
不純物と共に合金元素を更に添加すれば、二元マグネシウム相において異なる金属間相が形成されることが知られている。例えば、結晶粒界に形成される金属間相であるMg17Al12は脆弱であり、延性を制限する。この金属間相はマグネシウムマトリックスと比較すると貴であり、局所元素を形成し得るので、腐食的挙動が悪化する。
【0006】
かかる影響要因に加えて、マグネシウム合金の性質は、冶金学的生産条件にも決定的に依存している。従来の鋳造方法では、合金元素を合金作製方法により添加すると、自動的に不純物が導入される。従って、従来の技術(特許文献1)は、マグネシウム鋳造合金の不純物の許容限界を定義しており、例えば、約8%から9.5%までのAlと0.45%から0.9%までのZnを含むMg‐Al‐Zn合金の場合、0.0015%から0.0024%までのFe、0.0010%のNi、0.0010%から0.0024%までのCuおよび0.15%以上から0.5%までのMnを許容限界と呼ぶ。
【0007】
従って、マグネシウムおよびその合金中の不純物の許容限界は、以下のように種々の文献に記載されている。
【表1】
【0008】
電気化学的にマグネシウムマトリックスよりも貴電位である腐食促進金属間相の形成を確実に除外するには、かかる許容定義は十分でないことが見出されている。
【0009】
生分解性インプラントには、生理学的に必要なサポート期間中、耐荷重性すなわち強度が、充分な拡張性と共に必要である。しかし、特にこの点に関して、既知のマグネシウム素材は、チタン、CoCr合金、チタン合金などの永久性インプラントが達成する性質からはほど遠い。インプラントの最高引張強度Rは約500MPaから1000MPa超であるが、マグネシウム素材の最高引張強度は今のところ275MPa未満、ほとんどが250MPa未満である。
【0010】
多くのマグネシウム技術素材の他の欠点は、最高引張強度Rと耐力Rの差が小さい事である。塑性変形を許容するインプラント例えば心血管ステントの場合、これは、素材の初期変形後、変形に対する抵抗がもはや存在しないこと、および既に変形している領域は荷重が増大しなくても更に変形することを意味しており、構成要素の部分が過度に引き伸ばされ破壊が生じる可能性がある。
【0011】
更に、多くのマグネシウム素材(例えばあるゆる種類のその合金など)が明白な機械的非対称性を示しており、機械的性質、特に引張荷重と圧縮荷重の耐力Rの差としてそれは現れる。かかる非対称性は、例えば、適切な半完成品を製造するのに使用される押し出し、圧延、引き延ばしなどの成形過程中に生じる。引張中の耐力Rと圧縮中の耐力Rの差が大きすぎる場合、それは心血管ステントなどの構成要素の不均質変形となり、後に多軸変形ひいてはひび割れおよび破壊を引き起こす場合がある。
【0012】
マグネシウム合金は結晶学的すべり系の数が少ないので、適切な半完成品を製造するのに使用される押し出し、圧延、引き延ばしなどの成形過程中に結晶粒を配向させることにより、一般的にテクスチャを形成し得る。特に、これは、半完成品が空間的に異なる方向に異なる性質を有することを意味する。例えば、成形後、空間的な一方向に高変形能または高破断伸びを生じ、空間的な別の方向に低変形能または低破断伸びを生じる。ステントは高い塑性変形を受けやすく、低い破断伸びはインプラントの故障リスクを高めるので、かかるテクスチャの形成は同様に回避すべきである。成形中のかかるテクスチャを実質的に回避する一つの方法は、成形前に粒子のきめを可能な限り細かく調整することである。マグネシウム素材の六角形格子構造の故に、室温におけるかかる素材の変形能は低く、これは基底平面における滑りによって特徴付けられる。もし素材が追加的に粗いミクロ構造いわゆる粗大粒を有しているならば、更なる変形によって双晶化が強制的に生じ、それが剪断力をもたらし、結晶領域を出発点の鏡面対称の位置に変える。
その結果生じる双晶粒界は素材の脆弱点を構成し、特に塑性変形において、その点から初期のひび割れが生じ、最終的にはかかる構成要素の破壊に至る。
インプラント素材の粒子のきめが十分に細ければ、かかるインプラントの故障が生じるリスクは大幅に減少する。従って、好ましくない剪断力を避けるため、インプラント素材は可能な限りきめの細かい粒子を含むべきである。
【0013】
入手可能なインプラント用のマグネシウム技術素材は全て、生理学的媒体中で極めて腐食を受けやすい。従来の技術において、例えばポリマー素材からなる耐腐食コーティング(特許文献2、特許文献3)、水性またはアルコール性転換溶液(特許文献4)、または酸化物(特許文献5、特許文献6)をインプラントに提供することにより腐食傾向を抑制しようとする試みがなされてきた。
ほとんど全ての適切なポリマーが組織内で強烈な炎症を時々引き起こすので、パッシベーションポリマー層の使用には異議が申し立てられている。かかる保護手段のない薄肉構造体は必要なサポート期間にまで達しない。外傷治療用の薄肉インプラントの腐食は引張強度の過度に急速な喪失を頻繁に伴い、時間当たり過剰な量の水素を形成することにより追加の負担を課すことになる。その結果、好ましくないガス含有物が骨および組織に生じる。
大きい断面積を有する外傷治療用インプラントの場合、その構造により水素問題およびインプラントの腐食速度を慎重にコントロールできる必要がある。
【0014】
特に生分解性インプラントの場合、含有される全ての化学元素が分解後体により吸収されるので、かかる元素の生物的適合性は最大であるのが望ましい。いずれにせよ、Be、Cd、Pb、Crなど、極めて毒性の高い元素は避けるべきである。
【0015】
分解性のマグネシウム合金は、現代の医療技術において、様々な形態で利用されているインプラントを実施するのに特に適している。インプラントは、例えば、血管、中空臓器および血管系(ステントなどの血管内インプラント)をサポートし、組織インプラントおよび組織移植片を固定および仮付けするのに使用されるが、爪、プレートまたはスクリューなどの補綴目的にも使用される。特に頻繁に使用される形態のインプラントはステントである。
【0016】
ステント移植は、血管疾患の治療にとって最も効果的な手段の一つとして確立されている。ステントの目的は、患者の中空臓器でサポート機能を発揮することである。この目的のため、従来の設計を特徴とするステントは、金属支柱を含む金属線細工支持構造体を有しており、最初は圧縮形態で体内に導入され、適用部位で拡張される。かかるステントの適応分野の一つは、血管狭窄、特に冠動脈血管の狭窄(狭窄症)を永久的または一時的に広げ開いた状態に保つことである。更に、主に動脈瘤を塞ぐのに使用される動脈瘤ステントが知られている。サポート機能が追加的に提供される。
【0017】
インプラント特にステントはインプラント素材からなる基体を有している。インプラント素材は、医療分野で使用され生体系と相互作用を行う無生物素材である。素材を使用目的のために体環境に接触させるインプラント素材として使用する場合、その基本的必要条件は体に優しいこと(生物的適合性)である。本適用目的において、生物的適合性とは、特定の応用において、適切な組織反応を引き起こす素材能力を意味するものであることは理解されるべきである。この中には、臨床的に好ましい相互作用を目的として、インプラントの化学的性質、物理的性質、生物学的性質並びに生態学的な表面的性質が受容者の組織に適合することも含まれる。インプラント素材の生物的適合性は、移植される生物系の反応の時間的過程にも依存している。例えば、刺激および炎症は比較的短時間で生じ、それが組織を変化させる場合がある。従って、インプラント素材の性質に応じて生物系も様々に反応する。生物系の反応に従って、インプラント素材は生物活性、生物不活性および分解性または吸収性に分けられる。
【0018】
インプラント素材は、ポリマー、金属素材およびセラミック素材(例えばコーティングとして)を含む。永久的インプラント用の生物適合金属および金属合金は、例えば、ステンレス鋼(316Lなど)、コバルトベース合金(CoCrMo鋳造合金、CoCrMo鍛造合金、CoCrWNi鍛造合金、CoCrNiMo鍛造合金など)、工業用純チタンおよびチタン合金(cpチタン、TiAl6V4またはTiAl6Nb7など)並びに金合金を含む。生体腐食性ステントの分野では、マグネシウムまたは工業用純鉄並びにマグネシウム、鉄、亜鉛、モリブデンおよびタングステン元素の生体腐食性ベース合金が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】US 5,055,254 A
【特許文献2】EP 2 085 100 A2
【特許文献3】EP 2 384 725 A1
【特許文献4】DE 10 2006 060 501 A1
【特許文献5】DE 10 2010 027 532 A1
【特許文献6】EP 0 295 397 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
金属線細工構造体を有する一時的インプラント用の生体腐食性マグネシウム合金の使用は、特にインプラントの分解が生体内で急激に進行するという意味で困難である。腐食速度すなわち分解速度を減らすため、別のアプローチが議論されている。その一つが、適切な合金を開発することによりインプラント素材側の分解を遅らせる試みである。加えて、コーティングは分解の一時的阻害をもたらすはずである。既存のアプローチには将来性があるが、商業用製品は今まで一つも生まれていない。今まで多大な努力が払われているが、生体内でマグネシウム合金の腐食を少なくとも一時的に減少させ、同時にその機械的性質を最適化し得る解決策が今も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の目的は、前記従来の技術を考慮し生分解性マグネシウム合金を提供すること、その製造方法およびインプラントの使用であるが、ここでインプラントは、そのマグネシウムマトリックスが微細粒子および優れた耐腐食性を有し、保護層なしに必要なサポート期間、電気化学的に安定状態を維持でき、電気化学的にマグネシウムマトリックスよりも貴である金属間相の形成を活用でき、しかも引張強度や耐力などの機械的性質が改善され並びにインプラントの分解速度を調整するために機械的非対称性を減らすことができるものである。
【0022】
かかる目的は、請求項1の特徴を有するマグネシウム合金、請求項11の特徴を有する方法および請求項21および23の特徴に従う使用により達成される。
【0023】
従属項に列挙された特徴は、本発明によるマグネシウム合金、本発明によるその製造方法および本発明によるその使用の有利な改良を可能にする。
【0024】
本発明による解決方法は、インプラントが破壊またはひび割れなしに多軸永久荷重を吸収することができ、また生理学的液体により引き起こされる分解のための手段としてマグネシウムマトリックスが利用できるためには、インプラントのマグネシウムマトリックスの耐腐食性および変形能がサポート期間中ずっと保証されなければならないという理解に基づいている。
【0025】
これは、以下を含むマグネシウム合金により達成される。
3重量%から7重量%までのZn、0.001重量%から0.5重量%までのCa、残りは全不純物を含むマグネシウムであり、前記不純物は、電気化学的電位差および/または金属間相の形成を促進し、合計0.0048重量%以下であり、好ましくは0.0045重量%以下であり、更に好ましくは0.0036重量%以下であり、ここで全不純物は以下を含む。
‐Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cu、Al、ZrおよびPの群から選択される個々の不純物、および
‐序数21、39、57−71および89−103のレアアースの群から選択される、0.001重量%以下の合金元素。
【0026】
本発明のマグネシウム合金は並外れて高い耐腐食性を有しており、それは、マグネシウムマトリックス中の個々の不純物の量およびその組み合わせを大幅に減らすことにより、更には析出および完全な固溶体には存在しなければならない固溶体硬化元素を加えることにより、達成される。得られたミクロ構造体は、形成プロセスおよび加熱処理プロセス後、個々のマトリクス相の間に電気化学的電位差が存在しないので、かかる電位差が生理学的媒体中の腐食を加速させることはあり得ない。
【0027】
3重量%から5重量%までのZnおよび0.2重量%から0.4重量%までのCaを有する合金マトリックスは、金属間相であるCaMgZnよりも貴の電気化学的ポテンシャルを有しており、一方加熱処理により析出可能なMgZn相は、合金マトリックスと比較してかなり貴であるので、標的加熱処理により合金マトリックスの格子から析出し得るし、合金マトリックスのためのカソードとしても機能し得ることを、驚くべきことに、本出願人は見出した。これは、合金マトリックスの分解速度に意図的に影響を与える選択肢を提供するものである。
【0028】
別の驚くべき結果であるが、Zrの存在とは無関係に、あるいはZrの量が従来の技術に記載された量よりもかなり少ないにも拘わらず、微粒化効果が達成でき、しかもそれは金属間相であるCaMgZnの存在に帰することができるが、この金属間相は結晶粒界の移動を妨げ、再結晶中に粒度を制限することにより好ましくない粒子の成長を妨げ、更には耐力および引張強度の値も増大させる。
前述の機械的性質の意味内において、本発明のマグネシウム合金は、Zrの含有量が0.0003重量%未満、好ましくは0.0001重量%未満が有利である。
【0029】
全不純物内の個々の不純物に関して以前に知られていた許容限界は、製造されたマグネシウム合金がしばしば熱機械処理に付されること、より具体的には準平衡構造体を形成する長期の焼きなましプロセスに付されることを考慮に入れていない。金属元素は拡散により結合し、金属間相として知られるものを形成し、かかる金属間相はマグネシウムマトリックスとは異なる電気化学ポテンシャル、しかも明らかにかなり高いポテンシャルを有しており、従ってカソードとして行動し、電解腐食プロセスを引き起こし得る。
【0030】
かかる金属間相の形成は、全不純物内の個々の不純物の以下のような許容限界に従うならば確実に防げることを、本出願人は見出した。
Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cuは各0.0005重量%未満、Zr、Alは各0.0003重量%未満、およびPは0.0002重量%未満である。
【0031】
本実施形態において、全不純物は序数21、57−71および89−103のレアアースの群から選択される個々の不純物を追加的に含んでおり、その量は合計0.001重量未満、好ましくは0.0005重量%以下、更に好ましくは0.0003重量%以下であることに注意されたい。
【0032】
腐食安定合金マトリックスは、好ましくは、全不純物を合計で0.0036重量%以下含み、Fe、Si、Mn、Co、Ni、Al、ZrおよびPの群から選択される個々の不純物を合計0.0026重量%以下含み、それは個々の不純物の許容限界が重量%で以下の場合に達成できる。
Fe、Si、Mnが各0.0005未満、Co、Ni、Cuが各0.0002未満、Zrが0.0003未満、およびP、Alが各0.0001未満。
加えて、全不純物は、序数21、57−71および89−103のレアアースを好ましい量含有する。
【0033】
特に好ましい腐食安定合金マトリックスは、全不純物を合計で0.00215重量%以下含み、Fe、Si、Mn、Co、Ni、Al、ZrおよびPの群から選択される個々の不純物を合計0.00115重量%以下含み、該合計量は、個々の不純物の許容限界が重量%で以下の場合に達成できる。
Fe、Si、Mnが各0.0002未満、Co、Ni、Cu、Zr、Pが各0.0001未満、およびAlが0.00005未満。
加えて、全不純物は、序数21、57−71および89−103のレアアースを好ましい量含有する。
【0034】
個々の不純物を組み合わせると、合金マトリックスよりも貴である金属間相の形成が抑えられるが、それは、Fe、Si、Mn、Co、Ni、CuおよびAlからなる個々の不純物の合計が0.0033重量%以下、好ましくは0.0022重量%以下、更に好ましくは0.00095重量%以下、Alの含有量が0.0003重量%以下、好ましくは0.0001重量%以下、特に好ましくは0.00005重量%以下、Zrの含有量が0.0003重量%以下、好ましくは0.0001重量%以下の場合である。
前述の個々の不純物が素材の耐腐食性を損なう行動メカニズムは様々である。
Feの含有量が高くてFeの小粒子が合金中に形成された場合、かかる粒子は腐食のためのカソードとして行動する。同じことがNiおよびCuについても言える。
更に、特にFeおよびNiとZr、あるいはFe、NiおよびCuとZrは溶解物中で金属間粒子として析出し得る。かかる粒子はマトリックスの腐食にとって非常に効果的なカソードとして行動する。
マトリックスと比較して極めて高い電位差を有し、更に極めて高い形成傾向を有する金属間粒子はFeおよびSi並びにFe、MnおよびSiの相を含むが、これが、かかる元素を含む汚染物を最小限に抑えなければならない理由である。
Pの含有量はできる限り最小限に抑えるべきであるが、これは微小量のPが存在する場合でもリン化マグネシウムが形成され、構造体の機械的性質を劇的に損なうからである。
【0035】
従って、かかる低濃度は、マトリックスよりもポジティブな電気化学的ポテンシャルを有する金属間相をもはや含んでいないことを保証する。
【0036】
本発明のマグネシウム合金では、レアアースおよびスカンジウム(序数21、57−71および89−103)元素の含有量の合計は、0.001重量%未満、好ましくは0.0005重量%未満、更に好ましくは0.0003未満である。
【0037】
かかる追加により、マグネシウムマトリックスの引張強度が増大し、該マトリックスの電気化学的ポテンシャルが上がり、その結果、特に生理学的媒体に関して、耐腐食性作用が上昇する。析出物のサイズは好ましくは5μm以下であり、好ましくは1μm以下であり、析出物は結晶粒界および粒子内部に位置しているので、加熱処理中の結晶粒界の移動並びに変形中の転位が減損し、マグネシウム合金の強度が増大する。
【0038】
本発明の対象であるマグネシウム合金は、275MPa超、好ましくは300MPa超の引張強度、200MPa超、好ましくは225MPa超の降伏点、0.8未満、好ましくは0.75未満の降伏比を達成し、その場合、引張強度と降伏点の差は50MPa超、好ましくは100MPa超、機械的非対称性は1.25未満である。
かかる新規のマグネシウム合金の大幅に改善された機械的性質は、インプラント例えば心血管ステントが、腐食によりマグネシウムマトリックスの分解が始まっているにも拘らず、全サポート期間に亘って移植状態の多軸永久荷重に耐えられることを、保証するものである。
機械的非対称性を最小限にするため、5μm以下の粒度を有する特に微細なミクロ構造を有することが、マグネシウム合金にとって特に重要である。
【0039】
更に、本発明の目的は、改善された機械的性質および電気化学的性質を有するマグネシウム合金の製造方法により達成される。かかる方法は以下の工程:
a)真空蒸留による高純度マグネシウムの生成工程;
b)工程a)に従った前記マグネシウムと高純度のZnおよびCa(組成は3重量%から7重量%のZn、0.001重量%から0.5重量%までのCa)との合成による合金ビレットの生成工程であって、残りは不純物を含むマグネシウムであり、前記不純物は、電気化学的電位差および/または金属間相の形成を促進し、量は0.0048重量(%)、好ましくは0.0045重量%、更に好ましくは0.0036重量%であり、全不純物が、Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cu、Al、ZrおよびPの群から選択される個々の不純物を0.0038重量%以下含んでおり、合金元素は、序数21、39、57−71および89−103のレアアース群から選択され、合計0.001重量%以下である、生成工程;
c)4時間から40時間の放置期間を伴う150℃と450℃の間の温度による焼きなましによる前記合金の均質化工程;
c)250℃と350℃の間の範囲の温度による前記均質化合金の、少なくとも一回の形成工程;および
d)任意に、1分から3時間までの放置時間を有する100℃と300℃の間の範囲の温度による前記形成合金の加熱処理工程、を含む。
【0040】
好ましくは3重量%から5重量%までのZnの含有量および0.2重量%から0.4重量%までのCaの含有量により、体積含有率2%までの金属間相および析出可能なMgZn相がそれぞれマトリックス格子に確実に生成される。前記二つの相の電気化学的ポテンシャルは有意に異なっており、MgZn相はマトリックスよりも貴であり、CaMgZn相はマトリックスよりも卑である。加熱処理により、MgZn相の析出は、予め選択された温度および放置時間により、好ましい程度にまで促進でき、それにより、合金マトリックスの分解速度が調整可能である。
【0041】
金属間CaMgZn相は、耐腐食性作用に加え、形成プロセスによって微粒子化を達成するという驚くべき効果も発揮し、その結果、引張強度および耐力が大幅に増大する。従って、合金元素としてのZrは必要でなくなり、再結晶温度も下げることができる。
【0042】
必要な閾値を有する高純度のマグネシウム/亜鉛/カルシウム合金の出発原料を製造するのに、真空蒸留が好ましく使用される。
不純物の合計並びに析出および固溶体硬化を引き起こしマトリックスポテンシャルを上昇させる追加元素の含有量は選択的に調整でき、重量%で以下の通りである。
a)個々の不純物に関して、
Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cuは各0.0005重量%未満、
Al、Zrは各0.0003重量%未満、および
Pは0.0002重量%未満である。
本実施形態において、全不純物は、序数21、57−71および89−103のレアアースの群から選択される個々の不純物を合計0.001重量%未満、追加的に含んでいることに注意されたい。
aa)不純物の好ましい量である0.0026重量%における個々の不純物に関して、
Fe、Si、Mnは各0.0005未満、
Co、Ni、Cuは各0.0002未満、
Zrは0.0003未満、
Al、Pは各0.0001未満である。
好ましい本実施形態において、個々の不純物と、序数21、57−71および89−103のレアアースの群から選択される不純物との合計は0.0036重量%未満である。
ab)不純物の特に好ましい量である0.00115重量%における個々の不純物に関して、
Fe、Si、Mnは各0.0002未満、
Co、Ni、Cu、Zr、Pは各0.0001未満、および
Alは0.0001未満である。
好ましい本実施形態において、個々の不純物と、序数21、57−71および89−103のレアアースの群から選択される不純物との合計は0.00215重量%未満である。
b)個々の不純物の組み合わせの合計に関して、
Fe、Si、Mn、Co、Ni、CuおよびAlは0.0033重量%以下、好ましくは0.0022重量%以下、更に好ましくは0.00095重量%以下であり、Alの含有量は0.0003以下、好ましくは0.0001重量%以下、特に好ましくは0.00005重量%以下であり、Zrの含有量は0.0003重量%以下、好ましくは0.0001重量%以下である。
c)全不純物に含まれる追加元素に関して、
レアアースは合計で0.001重量%以下、好ましくは0.0005重量%以下である。
【0043】
本発明による方法が少数の形成工程しか要求しないのは、特に有利なことである。従って、押し出し法、剪断押し出し法および/または複数鍛造が好ましく活用でき、それにより実質的に均質な10μm未満の微細粒の達成が保証される。
加熱処理の故に、粒度7.5μm未満を好ましくは有する微細粒構造体中の、粒度1nmないし50nmのMgZn析出物は、結晶粒界および粒子内部に分散状態で分配され、それにより当該合金の引張強度が275MPa超、好ましくは300MPa超に達するが、これは従来の技術よりもかなり高い値である。
【0044】
本発明の第三の概念は、医療技術において本発明に従って製造される、前述の有利な組成と構造を有するマグネシウム合金の使用であって、特に組織インプラントおよび組織移植片を固定および仮付けするためのインプラント、例えばステントなどの血管内インプラント、補綴および歯科インプラント並びに神経インプラントを製造するための使用に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本特許出願に関するインプラントは全て、心血管分野、骨接合分野または他の領域である。
【0046】
本特許出願に関する心血管分野とは、以下の内容を意味する。
‐心血管系すなわち心臓と血管系のあらゆる疾病の診断、予防および治療分野、
‐血管および血管系をサポートするために使用されるアクティブインプラントおよび非アクティブインプラントによるもの、
‐ステント、バルブ、閉鎖装置、オクルダー、クリップ、コイル、ステープル、植え込み型局所薬物送達装置などの冠状血管インプラント、脳血管インプラント、末梢血管インプラントを含む、
‐植え込み型電気刺激装置(ペースメーカー、除細動器など)、植え込み型監視システム、植え込み型電極、
‐組織インプラントおよび組織移植片を固定および仮付けするためのシステム、
‐当該分野には、骨、椎間板などの中空臓器(または中空体?)をサポートするための機械的固定または一時的骨組など、あらゆる種類のステントが含まれる。
【0047】
本特許出願に関する骨接合分野とは、以下の内容を意味する。
‐金属板、ピン、ロッド、ワイヤ、スクリュー、クリップ、ネイル、ステープルなどの機械的装置による内部固定および安定化のための骨折治療分野であり、ステント技術を除く。
【0048】
骨接合分野または心血管分野以外の領域の例は、以下の通りである。
‐腱、関節、筋肉、軟骨の病気の治療装置、
‐口腔(歯科を含む)および顎顔面インプラント(骨接合手段を除く)、
‐審美的インプラント、
‐体外の支持具(例?)
‐再生医学、
‐軟組織インプラント、
‐創傷ケア用の装置、
‐縫合素材およびクランプ、
‐神経外科、
‐局所薬物送達(心血管すなわち肝臓を除く)
‐腎臓への適用。
【実施例】
【0049】
生成されるマグネシウム合金は、5重量%のZnおよび0.15重量%のCaからなり、残りはMgであり、以下のような個々の不純物を重量%で含有する。
鉄は0.0005未満、Siは0.0005未満、Mnは0.0005未満、Coは0.0002未満、Niは0.0001未満、Cuは0.0002未満であり、Fe、Si、Mn、Co、Ni、CuおよびAlからなる個々の不純物の合計は0.0015重量%以下であるべきであり、Alの含有量は0.001重量%未満で、Zrの含有量は0.0003重量%未満であり、序数21、39、57−71および89−103のレアアースの含有量は合計で0.001重量%未満であるべきであり、その結果、合金の全不純物の合計は0.0035重量%以下となる。
【0050】
マグネシウム真空蒸留を用いて製造されるこの合金は、350℃の温度で12時間、均質化焼きなましに付され、その後、心血管ステント用の精密チューブを製造するため、300℃の温度で、複数押し出しプロセスに付される。
その後、熱処理を250℃の温度、放置期間0.1時間で行った。粒度は7.5μm未満であった。
マグネシウム合金は、引張強度が310MPaから320MPa、耐力が250MPa(ママ)未満に達した。降伏比は0.7で、機械的対称性は1.2であった。
人工体液中で、CaMgZn相はマトリックスよりも迅速に分解したので、マトリックスよりも卑である。つまり、かかる金属間粒子は合金マトリックスのカソードとして行動できない。MgZn相は人工体液中の分解を加速したので、電気化学的に合金マトリックスよりも貴であり、従って腐食を誘起可能である。
その後加熱処理を行うので、合金マトリックスからMgZn相を析出させ、該合金マトリックスの貴を下げることができる。
従って、生理学的使用条件下でのその後の分解速度は、加熱処理により調整可能である。