(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
復旧対象の装置における故障の推定個所に到達するための移動経路及び作業手順を含むアクセス情報と、当該アクセス情報における前記移動経路及び作業手順の安全性を表す安全性情報とを含む誘導情報を取得する誘導情報取得部と、
前記誘導情報に基づいて、前記復旧対象の装置における故障の推定個所までの前記移動経路及び作業手順の誘導のための報知及び当該移動経路及び作業手順における安全性を表す報知を行う誘導情報報知部と、
を備え、
前記安全性情報は、前記アクセス情報の各部分が、前記装置の稼働状況に関わらず安全であると判定される領域と、前記装置が動作中である場合に非安全であると判定され、前記装置が停止中である場合に安全であると判定される領域とのいずれに含まれるかに基づいて生成されることを特徴とする誘導情報提示装置。
復旧対象の装置における故障の推定個所に到達するための移動経路及び作業手順を含むアクセス情報と、当該アクセス情報における前記移動経路及び作業手順の安全性を表す安全性情報とを含む誘導情報を取得する誘導情報取得部と、
前記誘導情報に基づいて、前記復旧対象の装置における故障の推定個所までの前記移動経路及び作業手順の誘導のための報知及び当該移動経路及び作業手順における安全性を表す報知を行う誘導情報報知部と、
を備え、
前記誘導情報報知部は、前記アクセス情報において非安全であると判定された部分の前記誘導情報として、安全になるまでの待機または安全にするための操作の少なくともいずれかを報知することを特徴とする誘導情報提示装置。
前記誘導情報におけるアクセス情報は、前記位置取得部によって取得された前記誘導情報提示装置の現在位置から、前記復旧対象の装置における復旧作業に用いられる部品が格納された格納場所までの移動経路と、当該格納場所から前記復旧対象の装置までの移動経路とを含むことを特徴とする請求項7に記載の誘導情報提示装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
[構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る誘導情報提示システム1のシステム構成を示す模式図である。
【0021】
図1に示すように、誘導情報提示システム1は、サーバ10と、端末装置20と、制御装置30と、機械40と、を含んで構成され、サーバ10、端末装置20及び制御装置30は、インターネット、有線または無線LAN(Local Area Network)等のネットワーク50を介して通信可能に構成されている。また、制御装置30と、機械40とは、有線または無線LAN等のネットワークあるいはUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等の通信ケーブルによって通信可能に構成されている。なお、図示は省略するが、誘導情報提示システム1には、システムの仕様等に応じて、複数のサーバ10、端末装置20、制御装置30及び機械40が適宜備えられる。
【0022】
サーバ10は、PC(Personal Computer)あるいはサーバ装置等の情報処理装置によって構成され、誘導情報提示システム1に含まれる制御装置30及び機械40の装置構成、稼働状況、稼働履歴、障害の発生及び復旧に関する情報を統合的に管理する。なお、本実施形態において、障害とは、装置の故障などにより、装置の正常な稼働を妨げる各種事象を意味する。
例えば、サーバ10は、後述する誘導情報提示処理のためのプログラムを実行することにより、制御装置30または機械40に障害が発生した場合に、障害の要因を特定し、障害からの復旧作業を支援するための誘導情報を生成し、端末装置20に送信する。
【0023】
端末装置20は、スマートグラス、タブレット端末あるいはスマートフォン等の情報処理装置によって構成され、誘導情報提示システム1における復旧作業を行う作業員に使用される。
例えば、端末装置20は、制御装置30または機械40において障害が発生した場合に、サーバ10に対して誘導情報の提示を要求するための操作を受け付け、サーバ10に対して、誘導情報の提示を要求する。そして、サーバ10から誘導情報を受信すると、受信した誘導情報に基づいて、作業員の安全を確保しながら障害が発生している個所(障害の要因を視認可能な個所)に誘導すると共に、障害を解消するための具体的な作業内容を表示する。
【0024】
制御装置30は、機械40の動作を制御すると共に、機械40の稼働状況を管理する。また、制御装置30は、機械40の稼働状況を表す情報をサーバ10に逐次送信する。
【0025】
ここで、機械40は、例えば工作機械、産業用ロボット(以下「ロボット」という)、産業用機械を含む製造機械を指す。制御装置30は、例えば工作機械を制御するCNC(Computerized Numerical Controller)装置、ロボットを制御するロボット制御装置、産業用機械を制御する制御装置等、機械40を制御する制御装置を指す。
例えば、機械40は、切削加工を行う加工装置や、装着されたアタッチメント(ドリルあるいはグリッパ等)に応じた加工または搬送を行う多関節ロボット等によって構成され、制御装置30によって動作が制御される。
本実施形態においては、制御装置30としてCNC装置、機械40として工作機械を例示して説明する場合があるが、前述のとおり、これに限られない。制御装置30として例えば、ロボット制御装置を適用し、機械40としてロボット等を適用してもよい。また、図示しないが、機械40が制御装置30を含んでもよい。
【0026】
本実施形態において、機械40の周囲には、作業員が安全に立ち入ることができる安全領域と、作業員が安全に立ち入ることができない非安全領域とが設定されている。
図2及び
図3は、それぞれ工作機械及びロボットに設定された安全領域を示す模式図である。
図2に示すように、工作機械が切削加工を行う加工装置であり、加工が行われるステージが筐体に覆われている(可動部が外部に露出していない)場合、工作機械の周囲は、工作機械の動作中及び停止中のいずれにおいても安全領域に設定される。一方、工作機械の筐体内部(加工エリア)は、工作機械の動作中は非安全領域に設定され、工作機械の停止中は安全領域に設定される。
【0027】
また、
図3に示すように、機械40が例えば多関節ロボット等のロボットであり、安全柵に囲われている(可動部が外部に露出し、周囲に安全柵が設置されている)場合、安全柵の外側は、ロボットの動作中及び停止中のいずれにおいても安全領域に設定される。一方、安全柵の内側は、ロボットの動作中は非安全領域に設定され、ロボットの停止中は安全領域に設定される。なお、機械40の停止中(停止状態)は、単に機械40の可動部が停止した状態を指すのではなく、安全信号やインターロック等により機械40の可動部が動かないことが保証されている状態を指す。
なお、安全柵には、インターロック機能が備えられ、安全柵のゲートが開いた状態になると、安全柵内部に設置されているロボットが動作を停止する構成となっている。即ち、作業員が安全柵のゲートを開く動作を行うことにより、安全柵の内部は非安全領域から安全領域に変更される。
【0028】
本実施形態において、サーバ10は、制御装置30及び機械40の障害に対して、復旧作業を支援するための誘導情報を生成する場合、作業員が安全領域を移動するように経路を案内する。また、障害が発生している個所が非安全領域内にある場合には、サーバ10は、非安全領域を安全領域に変更するための操作を誘導情報として生成し、その操作を作業員に実行するよう促す。例えば、サーバ10は、誘導情報において、機械40の安全柵のゲートを開く操作を指示したり、機械40の電源を停止させる操作を指示したりする。
【0029】
[サーバ10の構成]
次に、サーバ10の構成について説明する。
図4は、サーバ10の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM12と、RAM13と、入力部14と、表示部15と、記憶部16と、通信部17とを備えている。
【0030】
CPU11は、記憶部16に記憶された各種プログラムを実行することにより、サーバ10全体を制御する。例えば、CPU11は、障害からの復旧作業を支援するための誘導情報を生成し、端末装置20に送信する処理(以下、「誘導情報提示処理」とも称する。)のためのプログラムを実行する。
誘導情報提示処理のためのプログラムを実行することにより、CPU11には、機能的構成として、障害検出部11aと、装置情報取得部11bと、対象個所推定部11cと、アクセス情報取得部11dと、安全性判定部11eと、誘導情報生成部11fと、誘導情報送信部11gと、が形成される。
【0031】
障害検出部11aは、制御装置30または機械40における障害の発生を検出する。例えば、障害検出部11aは、機械40を管理する制御装置30から、制御装置30または機械40に障害が発生していることが通知された場合(例えば、装置ID及び障害の種別を示すエラーコードを受信した場合)に、制御装置30または機械40における障害の発生を検出する。また、障害検出部11aは、制御装置30からの情報の送信が途絶えた場合に、制御装置30における障害の発生を検出する。
【0032】
また、障害検出部11aは、制御装置30または機械40における障害の発生を検出した場合、復旧作業を担当する作業員を特定し、その作業員が使用する端末装置20に対し、復旧作業の必要が生じていることを通知する。
なお、障害検出部11aは、復旧作業を行う作業員が使用する端末装置20から送信された復旧作業の支援依頼を受信した場合に、制御装置30または機械40において障害が発生していることを検出することも可能である。これにより、作業員が障害の発生を発見した場合等にも、復旧作業の支援を行うことが可能となる。
【0033】
装置情報取得部11bは、障害検出部11aによって障害の発生が検出された制御装置30または機械40について、後述する機械データベース16a及び保守情報データベース16bを参照し、制御装置30または機械40の装置構成、稼働状況及び稼働履歴に関する情報(以下、「対象装置情報」とも称する。)を取得する。制御装置30及び機械40の装置構成に関する情報には、これらの装置が備えている部品、その部品の設置位置の画像、部品を識別する部品番号、部品の交換方法等の情報が含まれている。
【0034】
対象個所推定部11cは、復旧の要求が発生していることが検出された制御装置30または機械40において、障害の要因となっている対象個所を推定する。例えば、対象個所推定部11cは、制御装置30から送信された障害の種別を示すエラーコードに基づいて、障害の要因となっている部品を推定することができる。このとき、対象個所推定部11cは、後述する保守情報データベース16bを参照し、過去に発生した同一のエラーコードに対応する障害と、その復旧作業において補修または交換が行われた部品とを検索することにより、現在発生している障害の要因となっている部品を推定することができる。また、対象個所推定部11cは、制御装置30から特定のエラーコードが送信されない場合には、現在発生している障害の現象を表す情報を取得し、取得した現象を表す情報に基づいて、障害の要因となっている部品を推定することができる。現在発生している障害の現象を表す情報は、作業員が入力したり、後述する画像取得部21cによって撮像されたエラーメッセージや7セグメントLEDの表示などを読み取ったり、対象個所推定部11cが制御装置30及び機械40にテスト信号を送信することにより、動作状況を解析して取得したりすることができる。そして、対象個所推定部11cは、後述する保守情報データベース16bを参照し、同様の障害の現象が発生した過去の障害と、その復旧作業において補修または交換が行われた部品とを検索することにより、現在発生している障害の要因となっている部品を推定することができる。
【0035】
アクセス情報取得部11dは、後述するレイアウト情報データベース16cを参照し、対象個所推定部11cによって推定された障害の要因となっている部品に作業員が到達するための情報(以下、「アクセス情報」とも称する。)を取得する。本実施形態において、アクセス情報は、例えば、作業員が工作機械の正面(通路における工作機械の直前の位置)から、障害の要因となる部品の設置個所(工作機械の背面等)に移動して、障害の要因となる部品が視認可能な状態(扉を開けて部品を視認できる状態等)となるまでの移動経路及び作業手順の情報を表している。
【0036】
安全性判定部11eは、アクセス情報取得部11dによって取得されたアクセス情報における安全性を判定する。具体的には、安全性判定部11eは、アクセス情報における移動経路及び作業手順において、例えば工作機械に設定された非安全領域に該当する部分があるか否かを判定する。安全性判定部11eは、アクセス情報における移動経路及び作業手順の各部分について安全性を判定する。なお、安全性判定部11eの判定結果を、以下、「安全性情報」とも称する。
【0037】
誘導情報生成部11fは、アクセス情報取得部11dによって取得されたアクセス情報及び安全性判定部11eによって判定された安全性情報に基づいて、障害の要因となっている部品を作業員が補修または交換するための誘導情報を生成する。誘導情報には、作業員が例えば工作機械の正面から、障害の要因となる部品の設置個所に移動するまでの経路を誘導するための情報(以下、「経路の誘導情報」とも称する。)と、障害の要因となる部品を作業員が視認可能な状態となるまでの作業手順を誘導するための情報(以下、「作業手順の誘導情報」とも称する。)と、障害の要因となる部品を作業員が識別することが容易となるように誘導するための情報(以下、「部品識別の誘導情報」と称する。)とが含まれている。
【0038】
具体的には、経路の誘導情報には、移動経路及び移動経路の各部分についての安全性情報が含まれると共に、非安全領域に該当する経路については、安全領域となるまで待機する、または、非安全領域を安全領域に変更するための操作を行うといった作業員への対応指示が含まれている。
同様に、作業手順の誘導情報には、部品を視認するための作業手順及び作業手順の各部分についての安全性情報が含まれると共に、非安全領域に該当する作業手順については、安全領域となるまで待機する、または、非安全領域を安全領域に変更するための操作を行うといった作業員への対応指示が含まれている。
また、部品識別の誘導情報には、障害の要因となる部品を作業者が容易に識別可能となるように強調表示させるための情報が含まれている。なお、部品識別の誘導情報として、故障の要因となっている部品の交換作業(ねじの取り外し、部品の取り外し、交換部品の取り付け、ねじ止め等)を表す模式図あるいは動画等を含めることとしてもよい。
【0039】
また、誘導情報生成部11fは、制御装置30及び機械40の稼働状況に基づいて、誘導情報に変更が生じたか否かを判定し、誘導情報に変更が生じた場合、誘導情報送信部11gを介して、誘導情報の変更を端末装置20に通知する。なお、誘導情報の変更を通知する場合、誘導情報生成部11fが端末装置20にプッシュ通知したり、端末装置20から誘導情報の変更について確認の要求が行われた場合に、誘導情報の変更についての応答を行ったりすることが可能である。
誘導情報送信部11gは、誘導情報生成部11fによって生成された誘導情報及び誘導情報の変更に関する情報を端末装置20に送信する。
【0040】
ROM12には、サーバ10を制御するための各種システムプログラムが予め書き込まれている。
RAM13は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリによって構成され、CPU11が各種処理を実行する際に生成されるデータを記憶する。
入力部14は、キーボードやマウス、または、タッチセンサ(タッチパネル)等の入力装置によって構成され、ユーザによるサーバ10への各種情報の入力を受け付ける。
【0041】
表示部15は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置によって構成され、サーバ10の各種処理結果を表示する。
記憶部16は、ハードディスクまたはフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置によって構成され、誘導情報提示処理のためのプログラム等を記憶する。また、記憶部16には、誘導情報提示システム1に含まれる制御装置30及び機械40の装置構成に関する情報が格納された機械データベース(機械DB)16aと、誘導情報提示システム1に含まれる制御装置30及び機械40の稼働履歴及び復旧履歴に関する情報が格納された保守情報データベース(保守情報DB)16bと、誘導情報提示システム1に含まれる制御装置30及び機械40が設置された工場のレイアウトに関する情報が格納されたレイアウト情報データベース(レイアウト情報DB)16cとが記憶されている。さらに、記憶部16は、誘導情報生成部11fによって生成された誘導情報等、サーバ10の各種処理結果を記憶する。
【0042】
通信部17は、有線または無線LANやUSB等、所定の通信規格に基づいて信号処理を行う通信インターフェースを備え、サーバ10が他の装置との間で行う通信を制御する。
【0043】
[端末装置20の構成]
次に、端末装置20の構成について説明する。
図5は、端末装置20の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、端末装置20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、入力部24と、表示部25と、撮像部26と、記憶部27と、通信部28とを備えている。
【0044】
CPU21は、記憶部27に記憶された各種プログラムを実行することにより、端末装置20全体を制御する。例えば、CPU21は、サーバ10から送信される誘導情報に基づいて、復旧作業を支援するために作業員を誘導する処理(以下、「誘導情報表示処理」とも称する。)のためのプログラムを実行する。
誘導情報表示処理のためのプログラムを実行することにより、CPU21には、機能的構成として、障害通知取得部21aと、誘導情報受信部21bと、画像取得部21cと、誘導情報表示部21dと、が形成される。
【0045】
障害通知取得部21aは、制御装置30または機械40の障害が発生している旨の通知をサーバ10から取得する。そして、障害通知取得部21aは、端末装置20を使用する作業員に、障害が発生している旨及び復旧作業を行う担当者となっている旨を画面表示あるいは音声出力等により通知する。復旧作業を行う担当者となっている旨が通知された作業員は、障害に対する復旧作業を開始する。なお、復旧作業を行う担当者となっている旨を通知された作業員が、担当者となることを承諾する旨の応答をサーバ10に送信することにより、復旧作業を開始することとしてもよい。
【0046】
誘導情報受信部21bは、通知された障害の発生に対する復旧作業のための誘導情報をサーバ10から受信する。このとき受信される誘導情報には、上述したように、例えば作業員が工作機械の正面から、障害の要因となる部品の設置個所に移動するまでの経路を誘導するための経路の誘導情報と、障害の要因となる部品を作業員が視認可能な状態となるまでの作業手順を誘導するための作業手順の誘導情報と、障害の要因となる部品を作業員が識別することが容易となるように誘導するための部品識別の誘導情報とが含まれている。
また、誘導情報受信部21bは、誘導情報の変更に関する情報をサーバ10から受信する。
【0047】
画像取得部21cは、端末装置20を使用する作業員が復旧作業を行う場合に、撮像部26によって撮像された作業員周辺の撮像画像を逐次取得する。
誘導情報表示部21dは、誘導情報受信部21bによって受信された誘導情報及び画像取得部21cによって取得された撮像画像に基づいて、障害の要因となっている部品を作業員が補修または交換する作業を支援するための画面表示を行う。本実施形態において、誘導情報表示部21dは、撮像画像における被写体を認識することにより、被写体がいずれの物体であるかを判別し、撮像画像における被写体と誘導情報とを対応付けた表示を行う。
【0048】
例えば、誘導情報表示部21dは、誘導情報に含まれる経路の誘導情報に基づいて、作業員が進むべき経路を示す情報(矢印、メッセージ、経路を示すライン等)を撮像画像に重畳して表示する。
また、誘導情報表示部21dは、誘導情報に含まれる作業手順の誘導情報に基づいて、障害の要因となる部品を作業員が視認可能となるための作業手順を示す情報(作業対象個所の強調表示(枠で囲う、色を付して表示する、発光させて表示する等)、作業手順の案内(背面扉を開くよう促す等))を撮像画像に重畳して表示する。
さらに、誘導情報表示部21dは、誘導情報に含まれる部品識別の誘導情報に基づいて、障害の要因となる部品を作業員が識別するための視覚的効果を表す情報(撮像画像における部品の領域を枠で囲う、色を付して表示する、発光させて表示する等)を撮像画像に重畳して表示する。
【0049】
図6〜
図8は、端末装置20において表示される誘導情報の一例を示す模式図であり、
図6は経路の誘導情報の一例を示す模式図、
図7は作業手順の誘導情報の一例を示す模式図、
図8は部品識別の誘導情報の一例を示す模式図である。
図6には、経路の誘導情報として、ロボット周辺の移動経路に関する誘導情報が表示されており、移動経路となっている安全柵内は非安全領域であること、ロボットの動作が停止するまで安全柵外で待機する、または、安全柵のインターロックを解除してロボットの動作を停止させる旨の指示が表示されている。
【0050】
図7には、作業手順の誘導情報として、障害の要因となる部品を作業員が視認可能とするための作業手順に関する誘導情報が表示されており、障害の要因となる部品が設置されている工作機械の筐体内は非安全領域であること、工作機械の動作が停止するまで作業を待機する、または、停止ボタンを操作して動作を停止させる旨の指示が表示されている。
図8には、部品識別の誘導情報として、例えば工作機械における障害の要因となる部品を作業員が識別するための視覚的効果を表す誘導情報が表示されており、プリント基板における部品A及び部品Cの画像が強調表示されると共に、これらが故障している可能性が高い旨のメッセージが表示されている。
【0051】
即ち、本実施形態において、誘導情報表示部21dは、撮像画像に対するAR(Augmented Reality)を用いた誘導情報の表示を行うことができる。ただし、誘導情報表示部21dは、ARを用いることなく、制御装置30または機械40等の模式的な図に対して誘導情報を付加して表示することにより、作業員の復旧作業を支援するための画面表示を行うこととしてもよい。
【0052】
ROM22には、端末装置20を制御するための各種システムプログラムが予め書き込まれている。
RAM23は、DRAM等の半導体メモリによって構成され、CPU21が各種処理を実行する際に生成されるデータを記憶する。
入力部24は、タッチセンサ等の入力装置によって構成され、ユーザによる端末装置20への各種情報の入力を受け付ける。
【0053】
表示部25は、LCD等の表示装置によって構成され、端末装置20の各種処理結果を表示する。
なお、本実施形態においては、表示部25に重ねて入力部24が配置されることにより、タッチパネルが構成されている。
【0054】
撮像部26は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等からなるイメージセンサを備え、被写体像の撮像画像のデータを取得する。
記憶部27は、ハードディスクあるいはフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置によって構成され、誘導情報表示処理のためのプログラム等を記憶する。
通信部28は、有線または無線LANやUSB等、所定の通信規格に基づいて信号処理を行う通信インターフェースを備え、端末装置20が他の装置との間で行う通信を制御する。
【0055】
[動作]
次に、誘導情報提示システム1の動作を説明する。
[誘導情報提示処理]
初めに、サーバ10が実行する誘導情報提示処理について説明する。
図9は、サーバ10が実行する誘導情報提示処理の流れを説明するフローチャートである。
誘導情報提示処理は、入力部14を介して、誘導情報提示処理を起動させる指示が入力されることにより開始される。
【0056】
誘導情報提示処理が開始されると、ステップS1において、障害検出部11aは、制御装置30または機械40に障害が発生しているか否かの判定を行う。
制御装置30または機械40に障害が発生していない場合、ステップS1においてNOと判定されて、ステップS1の処理が繰り返される。
一方、制御装置30または機械40に障害が発生している場合、ステップS1においてYESと判定されて、処理はステップS2に移行する。
【0057】
ステップS2において、障害検出部11aは、復旧作業を担当する作業員を特定し、その作業員が使用する端末装置20に対し、復旧作業の必要が生じていることを通知する。
ステップS3において、装置情報取得部11bは、障害検出部11aによって障害の発生が検出された制御装置30または機械40について、機械DB16a及び保守情報DB16bを参照し、制御装置30または機械40の対象装置情報を取得する。
ステップS4において、対象個所推定部11cは、障害が発生していることが検出された制御装置30または機械40において、障害の要因となっている対象個所を推定する。
【0058】
ステップS5において、アクセス情報取得部11dは、レイアウト情報DB16cを参照し、対象個所推定部11cによって推定された障害の要因となっている部品に作業員が到達するためのアクセス情報を取得する。
ステップS6において、安全性判定部11eは、アクセス情報取得部11dによって取得されたアクセス情報における安全性を判定する。
ステップS7において、誘導情報生成部11fは、アクセス情報取得部11dによって取得されたアクセス情報及び安全性判定部11eによって判定された安全性情報に基づいて、障害の要因となっている部品を作業員が補修または交換するための誘導情報を生成する。
【0059】
ステップS8において、誘導情報送信部11gは、誘導情報生成部11fによって生成された誘導情報を端末装置20に送信する。
ステップS9において、誘導情報生成部11fは、制御装置30及び機械40の稼働状況に基づいて、誘導情報に変更が生じたか否かの判定を行う。
制御装置30及び機械40の稼働状況に基づいて、誘導情報に変更が生じた場合、ステップS9においてYESと判定されて、処理はステップS7に移行する。
一方、制御装置30及び機械40の稼働状況に基づいて、誘導情報に変更が生じていない場合、ステップS9においてNOと判定されて、処理はステップS10に移行する。
【0060】
ステップS10において、誘導情報生成部11fは、作業員による復旧作業が完了したか否かの判定を行う。作業員による復旧作業が完了したか否かは、作業員による復旧作業完了の旨を入力する操作、制御装置30からの復旧を通知する信号の受信等により判定することができる。
作業員による復旧作業が完了していない場合、ステップS10においてNOと判定されて、処理はステップS9に移行する。
一方、作業員による復旧作業が完了した場合、ステップS10においてYESと判定されて、誘導情報提示処理が繰り返される。
【0061】
[誘導情報表示処理]
次に、端末装置20が実行する誘導情報表示処理について説明する。
図10は、端末装置20が実行する誘導情報表示処理の流れを説明するフローチャートである。
誘導情報表示処理は、入力部24を介して、誘導情報表示処理を起動させる指示が入力されることにより開始される。
【0062】
誘導情報表示処理が開始されると、ステップS21において、障害通知取得部21aは、制御装置30または機械40の障害が発生している旨の通知をサーバ10から取得したか否かの判定を行う。
制御装置30または機械40の障害が発生している旨の通知をサーバ10から取得していない場合、ステップS21においてNOと判定されて、ステップS21の処理が繰り返される。
一方、制御装置30または機械40の障害が発生している旨の通知をサーバ10から取得した場合、ステップS21においてYESと判定されて、処理はステップS22に移行する。
【0063】
ステップS22において、誘導情報受信部21bは、通知された障害の発生に対する復旧作業のための誘導情報をサーバ10から受信する。
ステップS23において、画像取得部21cは、撮像部26によって撮像された作業員周辺の撮像画像を取得する。
ステップS24において、誘導情報表示部21dは、誘導情報受信部21bによって受信された誘導情報及び画像取得部21cによって取得された撮像画像に基づいて、障害の要因となっている部品を作業員が補修または交換する作業を支援するための画面表示(
図6〜
図8参照)を行う。
【0064】
ステップS25において、誘導情報表示部21dは、誘導情報受信部21bによって誘導情報の変更に関する情報が受信されたか否かの判定を行う。
誘導情報受信部21bによって誘導情報の変更に関する情報が受信された場合、ステップS25においてYESと判定されて、処理はステップS23に移行する。
一方、誘導情報受信部21bによって誘導情報の変更に関する情報が受信されていない場合、ステップS25においてNOと判定されて、処理はステップS26に移行する。
【0065】
ステップS26において、誘導情報表示部21dは、作業員による復旧作業が完了したか否かの判定を行う。作業員による復旧作業が完了したか否かは、作業員による復旧作業完了の旨を入力する操作が行われたか否かに基づいて判定することができる。
作業員による復旧作業が完了していない場合、ステップS26においてNOと判定されて、処理はステップS23に移行する。
一方、作業員による復旧作業が完了した場合、ステップS26においてYESと判定されて、誘導情報表示処理が繰り返される。
【0066】
以上のように、本実施形態に係る誘導情報提示システム1は、制御装置30または機械40に障害が発生した場合に、作業員による障害からの復旧作業を支援するための誘導情報が生成される。誘導情報には、障害の要因となっている部品に作業員が到達するためのアクセス情報及びアクセス情報における安全性の判定結果が含まれている。
そして、生成された誘導情報が端末装置20に送信され、作業員の復旧作業を支援する画面表示が行われる。
そのため、作業員は、復旧作業の対象個所までの安全な経路を容易に把握できると共に、障害の要因となっている部品を容易かつより安全に視認可能な状態とすることができる。
したがって、誘導情報提示システム1によれば、装置の復旧作業をより適切に支援することができる。
【0067】
また、誘導情報提示システム1においては、作業員が復旧作業の対象個所に到達した場合に、いずれが障害の要因となっている部品であるかが識別可能に表示される。
そのため、作業員は、復旧作業において補修または交換を行うべき部品を容易に特定することができ、復旧作業をより効率的に行うことが可能となる。
【0068】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係る誘導情報提示システム1は、第1実施形態における誘導情報提示システム1に対して、復旧作業の対象となる制御装置30または機械40から工場内の遠隔地に位置している作業員を復旧作業の対象となる制御装置30または機械40の位置まで誘導する誘導情報を生成する点が異なっている。
本実施形態に係る誘導情報提示システム1において、サーバ10及び端末装置20のハードウェア構成は、第1実施形態と同様である。
以下、第1実施形態と異なるサーバ10及び端末装置20の機能的構成について説明する。なお、以下の説明においては、第1実施形態と異なる部分を主として説明し、第1実施形態と同様の部分は第1実施形態の説明を適宜参照するものとする。
【0069】
[サーバ10の構成]
図11は、第2実施形態におけるサーバ10の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、本実施形態において、サーバ10のCPU11は、誘導情報提示処理のためのプログラムを実行することにより、サーバ10全体を制御する。このとき、サーバ10のCPU11には、機能的構成として、障害検出部11aと、装置情報取得部11bと、対象個所推定部11cと、作業員位置取得部211Aと、アクセス情報取得部11dと、安全性判定部11eと、誘導情報生成部11fと、誘導情報送信部11gと、が形成される。
【0070】
これらのうち、作業員位置取得部211Aは、作業員が使用する端末装置20によって検出された工場内の現在位置の情報を取得する。
アクセス情報取得部11dは、レイアウト情報データベース16cを参照し、対象個所推定部11cによって推定された障害の要因となっている部品に作業員が到達するためのアクセス情報を取得する。本実施形態において、アクセス情報は、作業員の現在位置から、復旧作業の対象となる制御装置30または機械40の位置に移動し、さらに、例えば工作機械の場合、工作機械において障害の要因となる部品の設置個所(例えば工作機械の背面等)に移動して、障害の要因となる部品が視認可能な状態(扉を開けて部品を視認できる状態等)となるまでの移動経路及び作業手順の情報を表している。
【0071】
ここで、作業員の現在位置から復旧作業の対象となる制御装置30または機械40の位置までの移動経路を設定する場合、工場のレイアウト内で複数の移動経路が設定可能となることが考えられる。この場合、本実施形態においては、移動距離が最短となる移動経路、あるいは、より安全性が高いと考えられる移動経路等、予め設定された選択基準によって、1つの移動経路を選択する。ただし、設定可能な複数の移動経路を選択し、それぞれの移動経路を基に、誘導情報を生成することも可能である。
【0072】
安全性判定部11eは、アクセス情報取得部11dによって取得されたアクセス情報における安全性を判定する。具体的には、安全性判定部11eは、アクセス情報における移動経路及び作業手順において、機械40に設定された非安全領域に該当する部分があるか否かを判定する。安全性判定部11eは、アクセス情報における移動経路及び作業手順の各部分について安全性を判定する。
【0073】
本実施形態において、アクセス情報における移動経路は、作業員の現在位置から復旧対象の制御装置30または機械40の位置までの移動経路を含むため、安全性判定部11eは、この移動経路の各部分を含めて、非安全領域に該当する部分があるか否かを判定する。
例えば、作業員の現在位置から復旧対象の制御装置30または機械40の位置までの移動経路において、工場内の通路以外の領域が移動経路に設定されている場合、通路以外の領域周辺における機械40の稼働状況に基づいて、安全性が判定される。
【0074】
図12は、作業員の現在位置から復旧対象のCNC装置または工作機械の位置までの移動経路を含むアクセス情報の一例を示す模式図である。
図12において、工場内の通路は、常に安全領域と判定される部分であり、通路以外の領域は、周辺の機械40の稼働状況に基づいて、安全領域であるか、非安全領域であるかが異なるものとなる。
例えば、
図12において実線で示す経路R1は、復旧対象のCNC装置または工作機械の正面まで工場内の通路が移動経路となり、さらに、動作が停止している工作機械の周囲を移動して背面に到達する移動経路となっている。そのため、経路R1は、全ての部分が安全領域に該当するものと判定される。
【0075】
これに対し、
図12において破線で示す経路R2は、工場内の通路から、動作中のロボットの間の領域を通過し、復旧対象のCNC装置または工作機械の背面に到達する移動経路となっている。そのため、経路R2は、動作中のロボットの間の移動経路の部分は、非安全領域に該当するものと判定される。
本実施形態において、経路R1及び経路R2の2つが移動経路の候補となった場合、より安全性が高いと考えられる経路R1が選択される。
【0076】
誘導情報生成部11fは、アクセス情報取得部11dによって取得されたアクセス情報及び安全性判定部11eによって判定された安全性情報に基づいて、障害の要因となっている部品を作業員が補修または交換するための誘導情報(経路の誘導情報、作業手順の誘導情報及び部品識別の誘導情報)を生成する。本実施形態において、経路の誘導情報には、作業員の現在位置から復旧対象となる制御装置30または機械40の位置までの移動経路を含むアクセス情報及びその安全性情報が含まれている。
【0077】
[端末装置20の構成]
図13は、第2実施形態における端末装置20の構成を示すブロック図である。
図13に示すように、本実施形態において、端末装置20のCPU21は、誘導情報表示処理のためのプログラムを実行することにより、端末装置20全体を制御する。このとき、端末装置20のCPU21には、機能的構成として、障害通知取得部21aと、現在位置取得部221Aと、誘導情報受信部21bと、画像取得部21cと、誘導情報表示部21dと、が形成される。
【0078】
これらのうち、現在位置取得部221Aは、工場内における端末装置20の現在位置の情報を取得する。現在位置取得部221Aは、サーバ10から送信要求が行われた場合に、取得した工場内の現在位置の情報をサーバ10に送信する。
なお、端末装置20の現在位置を取得する技術としては、公知の各種技術を用いることができる。
例えば、端末装置20から送出される電波を複数(例えば4台)の無線受信機(無線基地局等)で受信し、それぞれの無線基地局に到達した電波到達時間の差から3点測量に基づいて、端末装置20の位置を特定するように構成することができる(電波到達時間差方式)。
【0079】
また、端末装置20から送出される電波を無線基地局で受信し、無線端末から受信した電波の強度、及び事前に取得した電波強度マップまたは3点測量に基づいて、端末装置20の位置を特定するように構成してもよい(電波強度方式)。
また、ビーコン方式を適用してもよい。その場合、工場内に設置されたビーコンユニットにより、作業員が使用する端末装置20から発射される電波または赤外線等(ビーコン)を受信することにより、端末装置20の識別情報を取得すると共に、端末装置20(作業員)の位置を計測するようにしてもよい。
なお、GPS(Global Positioning System)等の汎用の測位技術を使用できる場合には、これらの測位技術により現在位置を取得することとしてもよい。
【0080】
誘導情報表示部21dは、誘導情報受信部21bによって受信された誘導情報及び画像取得部21cによって取得された撮像画像に基づいて、障害の要因となっている部品を作業員が補修または交換する作業を支援するための画面表示を行う。本実施形態において、誘導情報表示部21dは、第1実施形態と同様に、撮像画像における被写体を認識することにより、被写体がいずれの物体であるかを判別し、撮像画像における被写体と誘導情報とを対応付けた表示を行う(
図6〜
図8参照)。
【0081】
また、本実施形態において、誘導情報表示部21dは、現在位置取得部221Aによって取得される現在位置の情報に基づいて、端末装置20の現在位置に対応する誘導情報を表示することが可能となっている。即ち、本実施形態における端末装置20は、撮像画像における被写体の認識に基づく誘導情報の表示に加え、端末装置20の現在位置に基づく誘導情報の表示を行うことが可能である。これにより、例えば、作業員の現在位置から復旧対象の制御装置30または機械40の位置までの移動経路においては、端末装置20の現在位置に基づく誘導情報の表示を行い、復旧対象の制御装置30または機械40の近傍から障害の要因となっている対象個所までは、撮像画像における被写体の認識に基づく誘導情報の表示を行うこと等が可能となる。
【0082】
このような構成の下、サーバ10は、第1実施形態と同様に誘導情報生成処理を実行する。ただし、本実施形態における誘導情報生成処理では、ステップS5においてアクセス情報取得部11dがアクセス情報を取得する際に、作業員位置取得部211Aによって取得された作業員の現在位置を取得し、作業員の現在位置から、復旧作業の対象となる制御装置30または機械40の位置に移動する移動経路を含むアクセス情報が取得される。
そのため、誘導情報生成処理が実行されることにより、復旧作業の対象となる制御装置30または機械40から工場内の遠隔地に位置している作業員を復旧作業の対象となる制御装置30または機械40の位置まで誘導する誘導情報が生成される。
また、上述のような構成の端末装置20は、端末装置20の現在位置を逐次取得しながら、現在位置に応じた誘導情報を表示する誘導情報表示処理を実行する。
【0083】
図14は、第2実施形態の端末装置20が実行する誘導情報表示処理の流れを説明するフローチャートである。
誘導情報表示処理は、入力部24を介して、誘導情報表示処理を起動させる指示が入力されることにより開始される。
誘導情報表示処理が開始されると、ステップS221において、障害通知取得部21aは、制御装置30または機械40の障害が発生している旨の通知をサーバ10から取得したか否かの判定を行う。
制御装置30または機械40の障害が発生している旨の通知をサーバ10から取得していない場合、ステップS221においてNOと判定されて、ステップS221の処理が繰り返される。
一方、制御装置30または機械40の障害が発生している旨の通知をサーバ10から取得した場合、ステップS221においてYESと判定されて、処理はステップS22に移行する。
【0084】
ステップS222において、現在位置取得部221Aは、工場内における端末装置20の現在位置の情報を取得し、取得した工場内の現在位置の情報をサーバ10に送信する。
ステップS223において、誘導情報受信部21bは、通知された障害の発生に対する復旧作業のための誘導情報をサーバ10から受信する。このとき受信される誘導情報は、作業員を復旧作業の対象となる制御装置30または機械40の位置まで誘導する経路の誘導情報を含むものとなっている。
ステップS224において、画像取得部21cは、撮像部26によって撮像された作業員周辺の撮像画像を取得する。
【0085】
ステップS225において、現在位置取得部221Aは、工場内における端末装置20の現在位置の情報を取得する。
ステップS226において、誘導情報表示部21dは、誘導情報受信部21bによって受信された誘導情報、画像取得部21cによって取得された撮像画像及び現在位置取得部221Aによって取得された現在位置の情報に基づいて、作業員を復旧作業の対象となる制御装置30または機械40の位置まで誘導し、障害の要因となっている部品を作業員が補修または交換する作業を支援するための画面表示(
図6〜
図8及び
図12参照)を行う。
【0086】
ステップS227において、誘導情報表示部21dは、誘導情報受信部21bによって誘導情報の変更に関する情報が受信されたか否かの判定を行う。
誘導情報受信部21bによって誘導情報の変更に関する情報が受信された場合、ステップS227においてYESと判定されて、処理はステップS224に移行する。
一方、誘導情報受信部21bによって誘導情報の変更に関する情報が受信されていない場合、ステップS227においてNOと判定されて、処理はステップS228に移行する。
【0087】
ステップS228において、誘導情報表示部21dは、作業員による復旧作業が完了したか否かの判定を行う。作業員による復旧作業が完了したか否かは、作業員による復旧作業完了の旨を入力する操作が行われたか否かに基づいて判定することができる。
作業員による復旧作業が完了していない場合、ステップS228においてNOと判定されて、処理はステップS224に移行する。
一方、作業員による復旧作業が完了した場合、ステップS228においてYESと判定されて、誘導情報表示処理が繰り返される。
【0088】
以上のように、本実施形態に係る誘導情報提示システム1は、制御装置30または機械40に障害が発生した場合に、作業員による障害からの復旧作業を支援するための誘導情報が生成される。誘導情報には、障害の要因となっている部品に作業員が到達するためのアクセス情報及びアクセス情報における安全性の判定結果が含まれている。また、本実施形態の誘導情報には、作業員を復旧作業の対象となる制御装置30または機械40の位置まで誘導する経路の誘導情報が含まれている。
そして、生成された誘導情報が端末装置20に送信され、端末装置20の現在位置に応じた移動経路の誘導及び作業員の復旧作業を支援する画面表示が行われる。
そのため、作業員は、現在位置から復旧対象の制御装置30または機械40の位置までの安全な経路及び復旧作業の対象個所までの安全な経路を容易に把握できると共に、障害の要因となっている部品を容易かつより安全に視認可能な状態とすることができる。
したがって、誘導情報提示システム1によれば、装置の復旧作業をより適切に支援することができる。
【0089】
また、誘導情報提示システム1においては、作業員が復旧作業の対象個所に到達した場合に、いずれが障害の要因となっている部品であるかが識別可能に表示される。
そのため、作業員は、復旧作業において補修または交換を行うべき部品を容易に特定することができ、復旧作業をより効率的に行うことが可能となる。
【0090】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係る誘導情報提示システム1は、第2実施形態における誘導情報提示システム1に対して、復旧作業の対象となる制御装置30または機械40から工場内の遠隔地に位置している作業員を、復旧作業に必要な交換部品を倉庫等からピックアップしてから、復旧作業の対象となる制御装置30または機械40の位置まで誘導する誘導情報を生成する点が異なっている。
本実施形態に係る誘導情報提示システム1において、サーバ10及び端末装置20のハードウェア構成は、第1実施形態及び第2実施形態と同様である。
以下、第2実施形態と異なるサーバ10及び端末装置20の機能的構成について説明する。なお、以下の説明においては、第2実施形態と異なる部分を主として説明し、第2実施形態と同様の部分は第2実施形態の説明を適宜参照するものとする。
【0091】
[サーバ10の構成]
本実施形態におけるサーバ10の構成は、第2実施形態とほぼ同様である。ただし、機能的構成において、アクセス情報取得部11dの構成が第2実施形態と異なっている。
即ち、本実施形態におけるアクセス情報取得部11dは、レイアウト情報データベース16cを参照し、対象個所推定部11cによって推定された障害の要因となっている部品に作業員が到達するためのアクセス情報を取得する。本実施形態において、アクセス情報は、作業員の現在位置から、復旧作業に必要な交換部品を倉庫等からピックアップして、復旧作業の対象となる制御装置30または機械40の位置に移動し、例えば、機械40が工作機械の場合、さらに、工作機械において障害の要因となる部品の設置個所(工作機械の背面等)に移動して、障害の要因となる部品が視認可能な状態(扉を開けて部品を視認できる状態等)となるまでの移動経路及び作業手順の情報を表している。
【0092】
ここで、作業員の現在位置から、復旧作業に必要な交換部品を倉庫等からピックアップして、復旧作業の対象となる制御装置30または機械40の位置までの移動経路を設定する場合、工場のレイアウト内で複数の移動経路が設定可能となることが考えられる。この場合、本実施形態においては、移動距離が最短となる移動経路、あるいは、より安全性が高いと考えられる移動経路等、予め設定された選択基準によって、1つの移動経路を選択する。ただし、設定可能な複数の移動経路を選択し、それぞれの移動経路を基に、誘導情報を生成することも可能である。
【0093】
図15は、作業員の現在位置から、復旧作業に必要な交換部品を倉庫等からピックアップして、復旧対象のCNC装置または工作機械の位置までの移動経路を含むアクセス情報の一例を示す模式図である。
図15に示すように、本実施形態におけるアクセス情報は、作業員の現在位置から、復旧作業に必要な交換部品が格納された倉庫等(格納場所)を経由して、復旧対象のCNC装置または工作機械の位置に至る移動経路を含むものとなっている。
即ち、本実施形態の誘導情報提示システム1においては、対象個所推定部11cによって、障害の要因となっている部品が予め推定されることから、作業員が復旧作業を行うにあたり、事前に交換部品をピックアップした上で、復旧対象のCNC装置または工作機械に誘導するものとなっている。
【0094】
なお、
図15において、第2実施形態と同様に、工場内の通路は、常に安全領域と判定される部分であり、通路以外の領域は、周辺の機械40の稼働状況に基づいて、安全領域であるか、非安全領域であるかが異なるものとなる。
例えば、
図15において実線で示す経路R3は、復旧対象のCNC装置または工作機械の正面まで工場内の通路が移動経路となり、さらに、動作が停止している工作機械の周囲を移動して背面に到達する移動経路となっている。そのため、経路R3は、全ての部分が安全領域に該当するものと判定される。
【0095】
これに対し、
図15において破線で示す経路R4は、工場内の通路から、動作中のロボットの間の領域を通過し、復旧対象のCNC装置または工作機械の背面に到達する移動経路となっている。そのため、経路R4は、動作中の工作機械の間の移動経路の部分は、非安全領域に該当するものと判定される。
本実施形態において、経路R3及び経路R4の2つが移動経路の候補となった場合、より安全性が高いと考えられる経路R3が選択される。
【0096】
[端末装置20の構成]
本実施形態における端末装置20の構成は、第2実施形態とほぼ同様である。ただし、機能的構成において、障害通知取得部21aの構成が第2実施形態と異なっている。
即ち、本実施形態における障害通知取得部21aは、制御装置30または機械40の障害が発生している旨の通知をサーバ10から取得する。そして、障害通知取得部21aは、端末装置20を使用する作業員に、障害が発生している旨及び復旧作業を行う担当者となっている旨を画面表示あるいは音声出力等により通知する。復旧作業を行う担当者となっている旨が通知された作業員は、障害に対する復旧作業を開始する。なお、復旧作業を行う担当者となっている旨を通知された作業員が、担当者となることを承諾する旨の応答をサーバ10に送信することにより、復旧作業を開始することとしてもよい。
【0097】
本実施形態において、障害通知取得部21aは、制御装置30または機械40の障害が発生している旨の通知をサーバ10から取得した場合、作業員による操作に応じて、障害の要因となっている部品の交換部品を倉庫等からピックアップするか否かの応答をサーバ10に送信する。障害の要因となっている部品の交換部品を倉庫等からピックアップする旨の応答が送信された場合、復旧作業に必要な交換部品を倉庫等からピックアップして、例えば復旧作業の対象となるCNC装置または工作機械の位置まで作業員を誘導する誘導情報がサーバ10から送信される(
図15参照)。一方、障害の要因となっている部品の交換部品を倉庫等からピックアップしない旨の応答が送信された場合、第2実施形態と同様に、作業員を復旧作業の対象となるCNC装置または工作機械の位置まで誘導する誘導情報がサーバ10から送信される(
図12参照)。
【0098】
このような構成の下、サーバ10は、第2実施形態と同様に誘導情報生成処理を実行する。ただし、本実施形態における誘導情報生成処理では、ステップS5においてアクセス情報取得部11dがアクセス情報を取得する際に、作業員位置取得部211Aによって取得された作業員の現在位置を取得し、作業員の現在位置から、復旧作業に必要な交換部品が格納された倉庫等を経由して、復旧対象の制御装置30または機械40の位置に至る移動経路を含むアクセス情報が取得される。
そのため、誘導情報生成処理が実行されることにより、復旧作業の対象となる制御装置30または機械40から工場内の遠隔地に位置している作業員を、復旧作業に必要な交換部品が格納された倉庫等を経由して、復旧作業の対象となる制御装置30または機械40の位置まで誘導する誘導情報が生成される。
【0099】
また、上述のような構成の端末装置20は、第2実施形態と同様に誘導情報表示処理を実行する。ただし、本実施形態における誘導情報生成処理では、ステップS222において、現在位置取得部221Aが、工場内における端末装置20の現在位置の情報を取得し、取得した工場内の現在位置の情報をサーバ10に送信すると共に、障害通知取得部21aは、作業員による操作に応じて、障害の要因となっている部品の交換部品を倉庫等からピックアップするか否かの応答をサーバ10に送信する。
【0100】
以上のように、本実施形態に係る誘導情報提示システム1は、制御装置30または機械40に障害が発生した場合に、作業員による障害からの復旧作業を支援するための誘導情報が生成される。誘導情報には、障害の要因となっている部品に作業員が到達するためのアクセス情報及びアクセス情報における安全性の判定結果が含まれている。また、本実施形態の誘導情報には、復旧作業に必要な交換部品が格納された倉庫等を経由して、作業員を復旧作業の対象となる制御装置30または機械40の位置まで誘導する経路の誘導情報が含まれている。
そして、生成された誘導情報が端末装置20に送信され、端末装置20の現在位置に応じた移動経路の誘導及び作業員の復旧作業を支援する画面表示が行われる。
そのため、作業員は、現在位置から復旧作業に必要な交換部品が格納された倉庫等を経由して、復旧対象の制御装置30または機械40の位置までの安全な経路及び復旧作業の対象個所までの安全な経路を容易に把握できると共に、障害の要因となっている部品を容易かつより安全に視認可能な状態とすることができる。
したがって、誘導情報提示システム1によれば、装置の復旧作業をより適切に支援することができる。
【0101】
また、作業員は、復旧作業に必要な交換部品が格納された倉庫等において、交換部品をピックアップした上で、復旧対象の制御装置30または機械40の位置に移動できるため、復旧作業をより効率的かつ迅速に行うことが可能となる。
また、誘導情報提示システム1においては、作業員が復旧作業の対象個所に到達した場合に、いずれが障害の要因となっている部品であるかが識別可能に表示される。
そのため、作業員は、復旧作業において補修または交換を行うべき部品を容易に特定することができ、復旧作業をより効率的に行うことが可能となる。
【0102】
なお、本発明は、上述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、種々の変更及び変形等が可能である。
例えば、上述の実施形態において、端末装置20が誘導情報を画面表示によって作業員に報知する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。即ち、誘導情報を作業員に報知する形態としては、画面表示の他、音声出力やランプの点灯等、種々の報知方法を用いることができ、これらを組み合わせた報知方法とすることも可能である。また、画面標示により誘導情報を報知する場合、文字、記号、アニメーション、写真、動画、模式図等の各種形態を単独で、または組み合わせて用いることが可能である。
【0103】
以上説明した実施形態の誘導情報提示システム1(サーバ10及び端末装置20等)の機能の全部または一部は、ハードウェア、ソフトウェアまたはこれらの組合せにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、プロセッサがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。ハードウェアで構成する場合、誘導情報提示システム1の機能の一部または全部を、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等の集積回路(IC)で構成することができる。
【0104】
誘導情報提示システム1の機能の全部または一部をソフトウェアで構成する場合、誘導情報提示システム1の動作の全部または一部を記述したプログラムを記憶した、ハードディスク、ROM等の記憶部、演算に必要なデータを記憶するDRAM、CPU、及び各部を接続するバスで構成されたコンピュータにおいて、演算に必要な情報をDRAMに記憶し、CPUで当該プログラムを動作させることで実現することができる。
【0105】
これらのプログラムは、様々なタイプのコンピュータ可読媒体(computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。コンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。コンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、DVD−ROM(Digital Versatile Disk)、DVD−R、DVD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory))を含む。
また、これらのプログラムは、ネットワークを介してユーザのコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい。
【0106】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、前述した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、前記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。