(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鋼製ドラム缶(10)の天板(11)に取り付けられる口金で、口金フランジ(110)と、該口金フランジに螺合するプラグ(120)とを備え、ユニクロメッキ(50)を施した鋼製ドラム缶用口金(100)であって、
上記ユニクロメッキを被覆して白錆発生を抑制する白錆抑制皮膜(210)をさらに備え、該白錆抑制皮膜は、樹脂(202)と、金属酸化物(204)とを含みユニクロメッキを劣化させない常温から100℃以下の温度で皮膜の形成が可能な水溶性のコーティング剤を乾燥及び皮膜化したものである、
ことを特徴とする鋼製ドラム缶用口金。
鋼製ドラム缶(10)の天板(11)に取り付けられる口金で、口金フランジ(110)と、該口金フランジに螺合するプラグ(120)とを備え、ユニクロメッキ(50)を施した鋼製ドラム缶用口金(100)であって、
上記ユニクロメッキを被覆して白錆発生を抑制する白錆抑制皮膜(210)をさらに備え、該白錆抑制皮膜は、樹脂(202)と、金属酸化物(204)と、表面調整剤(208)とを含みユニクロメッキを劣化させない常温から100℃以下の温度で皮膜の形成が可能な水溶性のコーティング剤を乾燥及び皮膜化したものであり、
上記表面調整剤は、上記口金に対するコーティング剤の濡れ性を調整する物質である、
ことを特徴とする鋼製ドラム缶用口金。
上記口金フランジと上記プラグとが螺合した状態において、当該鋼製ドラム缶用口金のうち外部環境下に暴露される露出表面(60)のみに上記白錆抑制皮膜を有する、請求項1から3のいずれかに記載の鋼製ドラム缶用口金。
上記コーティング剤によって上記ユニクロメッキに対して常温から100℃以下の温度で乾燥及び皮膜形成された上記白錆抑制皮膜は、0.3μm以上2μm以下の範囲の厚みを有する、請求項1から5のいずれかに記載の鋼製ドラム缶用口金。
天板(11)と、この天板に形成した開口に取り付けられる口金で、口金フランジ(110)及び口金フランジに螺合するプラグ(120)を備えユニクロメッキが施された鋼製ドラム缶用口金(100)と、を備えた鋼製ドラム缶であって、
上記鋼製ドラム缶用口金は、上記ユニクロメッキを被覆して白錆発生を抑制する白錆抑制皮膜(210)をさらに備え、
該白錆抑制皮膜は、樹脂と、金属酸化物と、潤滑剤(206)と、表面調整剤(208)とを含みユニクロメッキを劣化させない常温から100℃以下の温度で乾燥及び皮膜の形成が可能な水溶性のコーティング剤を乾燥及び皮膜化したものであり、上記表面調整剤は、上記口金に対する上記コーティング剤の濡れ性を調整する物質である、
ことを特徴とする鋼製ドラム缶。
上記口金フランジと上記プラグとが螺合した状態において、上記口金のうち外部環境下に暴露される露出表面(60)のみに上記白錆抑制皮膜を有する、請求項8に記載の鋼製ドラム缶。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のユニクロメッキを施した注入口及び換気口においては、鋼製ドラム缶という物品に起因して、以下のような鋼製ドラム缶に特有の課題が存在する。
即ち、鋼製ドラム缶の保管について、ドラム缶メーカーは屋内保管を推奨しているが、ユーザー側では、保管スペース等の問題から屋外に保管する場合も多く、雨水に曝されるのが現実である。これは輸送時においても同様である。このような水の存在により、亜鉛めっき中の亜鉛が水と反応して、口金フランジ及びプラグには、いわゆる白錆(水酸化亜鉛及び炭酸亜鉛の複合物)が発生することが多い。またこの反応は、40℃以上の温度領域で急激に進行することが分かっている。
このような白錆は、注入口及び換気口部分の美観を損ねると共に、開栓時に、白錆が缶内に侵入し異物となることもある。よって白錆は、鋼製ドラム缶において解決すべき重要課題の一つである。
【0006】
また、口金フランジ及びプラグに水分がかかるのを防止するため、注入口及び換気口にそれぞれ金属製のキャップシールを被せることも行われる。このようなキャップシールは、口金フランジ及びプラグの保護及び封印(収容物の盗難防止)の目的でなされ、収容物を缶内に充填後、ユーザー側で装着されることが多く、装着に不備が生じることもある。装着に不備があると、鋼製ドラム缶の輸送及び屋外保管時に、雨水がキャップシール内へ侵入し易くなる。一旦、キャップシール内に水が侵入すると、キャップシールが逆に災いして水分が蒸発し難く、夏場等ではキャップシール内が高温多湿となり、著しく白錆を発生することが多々ある。
【0007】
上述の白錆発生を防ぐ策としては、口金フランジ及びプラグを、防錆処理が不要のステンレス鋼材に変更する方法があるが、コスト高となる。即ち、鋼製ドラム缶は、全体価格を安価に設定することを要求される物品であり、よって高額な部品は、コスト面から使用することができないという事情がある。また、ステンレス鋼部品を使用することによって、ステンレス鋼材に特有の、いわゆるカジリ等に起因して切粉が発生する可能性がある。
また、プラグを樹脂製にする方法もあるが、金属製の口金フランジの雌ねじとの螺合時に、樹脂製プラグが削れたり、破損したりする場合があり、上述の異物混入の危険性が生じる。
【0008】
また、例えば自動車分野等で行われているような、下地との密着性が良く高硬度の固体潤滑剤をコーティングする方法もあるが、固体潤滑剤が高価であり、上述のようにコスト面で鋼製ドラム缶での採用には難がある。
【0009】
さらにまた鋼製ドラム缶に特有の課題として、上述の口金フランジ及びプラグにおける缶内面部分は、ドラム缶収容物に接触するという課題がある。したがって、口金フランジ及びプラグに対する防錆処理には、収容物の汚染、例えば防錆皮膜の収容物への溶出あるいは防錆皮膜の剥離等の、収容物に対する非汚染性つまり収容物非汚染性も要求される。
【0010】
上記特許文献1は、ドラム缶のプラグ及びフランジにおける塗膜の脱落及び切り粉を減少させる塗料を開示するが、該塗料は、エポキシ樹脂あるいはフェノール樹脂を主成分としている点、及びその膜厚の点で本願とは相違する。即ち、上述のエポキシ樹脂等は、熱硬化性樹脂であり、塗膜形成には例えば200℃等の高温での焼き付けを要する。これに関し、口金フランジ及びプラグに施した上述のユニクロメッキ、特にクロメート皮膜は、耐熱性に劣るという問題がある。
【0011】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、鋼製ドラム缶の口金フランジ及びプラグにおける白錆発生の抑制を、安価にて達成可能でありさらに収容物に対する非汚染性を有する、鋼製ドラム缶用口金及び鋼製ドラム缶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様における鋼製ドラム缶用口金は、鋼製ドラム缶の天板に取り付けられる口金で、口金フランジと、該口金フランジに螺合するプラグとを備え、ユニクロメッキを施した鋼製ドラム缶用口金であって、
上記ユニクロメッキを被覆して白錆発生を抑制する白錆抑制皮膜をさらに備え、該白錆抑制皮膜は、樹脂と、金属酸化物とを含みユニクロメッキを劣化させない温度で皮膜の形成が可能な水溶性のコーティング剤を乾燥及び皮膜化したものであることを特徴とする。
また、本発明の別の態様における鋼製ドラム缶用口金は、鋼製ドラム缶の天板に取り付けられる口金で、口金フランジと、該口金フランジに螺合するプラグとを備え、ユニクロメッキを施した鋼製ドラム缶用口金であって、
上記ユニクロメッキを被覆して白錆発生を抑制する白錆抑制皮膜をさらに備え、該白錆抑制皮膜は、樹脂と、金属酸化物と、表面調整剤とを含みユニクロメッキを劣化させない温度で皮膜の形成が可能な水溶性のコーティング剤を乾燥及び皮膜化したものであり、
上記表面調整剤は、上記口金に対するコーティング剤の濡れ性を調整する物質である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様及び別の態様における鋼製ドラム缶用口金によれば、当該鋼製ドラム缶用口金は、ユニクロメッキの少なくとも一部分を被覆して白錆発生を抑制する白錆抑制皮膜をさらに備えた。この白錆抑制皮膜によれば、ベースとなる樹脂による被覆によって、口金における白錆の発生を低減することができる。また、白錆抑制皮膜を形成するコーティング剤は、熱硬化型塗料に比して低温で、つまりユニクロメッキを劣化させない温度で乾燥及び皮膜化させることで皮膜形成が可能な組成物である。よって、本発明の一態様及び別の態様における鋼製ドラム缶用口金は、高額材料を使用しない点でコスト面での有利さ、及び、上述の低温乾燥皮膜化性を生かして、収容物非汚染性について従来から実績のあるユニクロメッキを収容物に対向させることができ、ユニクロメッキを収容物に対向させた場合には、従来通りの収容物非汚染性を有することができる。
さらに別の態様における鋼製ドラム缶用口金によれば、表面調整剤を含むことから、例えばスプレー塗装等による部分塗りにて、口金フランジ及びプラグの少なくとも一部領域のみに白錆抑制皮膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態である鋼製ドラム缶用口金及び鋼製ドラム缶について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。また、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け当業者の理解を容易にするため、既によく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、以下の説明及び添付図面の内容は、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0016】
また、以下に説明する実施形態では、鋼製ドラム缶として、JIS Z 1601に準拠するタイトヘッドタイプの鋼製ドラム缶を例に採るが、その他、オープンヘッドタイプの鋼製ドラム缶(JIS Z 1600)に適合するもの、及び、容量が200リットルを超え約400リットルまでの鋼製ドラム缶を含むことができる。
【0017】
また、
図4に示すように、本書において、防錆処理を有する、鋼製ドラム缶用口金(単に「口金」と記す場合もある)100は、鋼製ドラム缶10の天板11に設けられる注入口102及び換気口104の両方を含む。ここで注入口102は、鋼製ドラム缶10における収容物の出入に用いられる開口部であり、換気口104は、上記収容物の出入を容易にするための通気を図る開口部である。
【0018】
また、
図2及び
図3に示すように、本実施形態の鋼製ドラム缶用口金100は、口金フランジ110とプラグ120とを有し、鋼製ドラム缶10の天板11に取り付けられる。口金フランジ110は、雌ねじ111を有し、プラグ120は、その雌ねじ111と螺合する雄ねじ121を有する。
尚、天板11への口金100の取り付けは、天板11に形成した開口に口金フランジ110を差し込み、かしめて行われる。プラグ120は、
図3に示すように、口金フランジ110に螺合され取り付けられる。このような口金100自体の構成は、従来から存在するものに相当し、また、その取り付け方法も従前と同様である。
【0019】
一方、本実施形態における口金100は、特に白錆発生を抑制するための白錆抑制皮膜210を有する点で、従来の口金とは大きく相違する。以下に、白錆抑制皮膜210、及び該白錆抑制皮膜210を有する口金100について説明を行う。
【0020】
白錆抑制皮膜210は、
図2及び
図3に示すように、口金100に対して既に処理済であるユニクロメッキ50を被覆する皮膜である。換言すると、白錆は、ユニクロメッキ50部分に発生することから、該発生を抑制するために、ユニクロメッキ50を白錆抑制皮膜210によって被覆を行う。このような白錆抑制皮膜210は、後述のコーティング剤を乾燥及び皮膜化することで形成される。
ここで
図1を参照して再度ユニクロメッキ50について説明する。ユニクロメッキ50の処理は、口金100の基材に対して、まず亜鉛めっき52が施され、さらに亜鉛めっき52に光沢クロメート処理を施したものである。この光沢クロメート処理により形成される皮膜は、光沢クロメート皮膜54である。よって、ユニクロメッキ50は、亜鉛めっき52と光沢クロメート皮膜54とを有する。
【0021】
亜鉛めっき52は、一例として約5−10μm厚を有し、光沢クロメート皮膜54は、一例として約0.1μm厚を有する。尚、亜鉛めっき52は、亜鉛系合金めっきであってもよい。また、光沢クロメート皮膜54は、三価及び六価のクロムを含有する化成皮膜であり、亜鉛めっき52の耐食性向上を図るものである。
【0022】
白錆抑制皮膜210は、ユニクロメッキ50にさらなる耐食性を付与する皮膜であり、例えば日本表面化学株式会社製の薬剤を主成分として、口金100用に改良を加えた水溶性コーティング組成物(以下、「コーティング剤」と記す。)を乾燥して皮膜を形成したものである。具体的には、上記水溶性コーティング組成物に相当するコーティング剤200(
図1)は、基本となる構成物質として、水に均一に分散可能な水溶性の樹脂202と、金属酸化物204とを含み、さらにコーティング剤200から得られる白錆抑制皮膜210に付加する機能、あるいはコーティング剤200の塗布方法、に応じて、例えば表面調整剤208、潤滑剤206、その他の物質などを添加可能な混合物である。尚、このようなコーティング剤200は、原液であり、実際の塗布時にはさらに水を加えて、例えば2−3倍に薄めて、使用する。
【0023】
本書において「水溶性」とは、コーティング剤200において多くを占める樹脂202、さらに他の金属酸化物204、表面調整剤208、潤滑剤206についても水に均一で容易に分散可能であることを意味し、さらに、その他に含まれる物質なども水に対して可溶もしくは均一に分散可能であることを意味する。よってコーティング剤200が全体として水溶性の組成物であると言える。
【0024】
尚、
図1は、コーティング剤200が含む構成物質を視覚的に示す観点から説明するためのイメージ図であり、コーティング剤200には潤滑剤206及び表面調整剤208の両方を含む形態を図示している。白錆抑制皮膜210は、ユニクロメッキ50に塗布したコーティング剤200を、後述するように乾燥及び皮膜化して得られる皮膜である。
【0025】
白錆抑制皮膜210の厚みは、一例として約0.3μm以上約2μm以下の範囲である。この膜厚は、コーティング剤200の濃度、塗布回数、及び焼付回数により変更可能である。
【0026】
また、上述のように、コーティング剤200は、水溶性の樹脂202を含む点で、非水溶性(油性あるいは有機溶剤系)のエポキシ樹脂あるいはフェノール樹脂を主成分とする上記特許文献1に記載のものとは大きく相違する。即ち、コーティング剤200は、エポキシ樹脂等に比してユニクロメッキ50を劣化させない低温で乾燥することで皮膜形成が可能であり、かつ水溶性である点で、大きく相違する。さらにまた、白錆抑制皮膜210の膜厚の点でも、2−8μmを最適とする上記特許文献1に記載のものとは相違する。
【0027】
コーティング剤200を構成する各組成物について以下に説明する。
樹脂202は、コーティング剤200の主材料で、口金100の耐食性の向上を図るための材料であり、一例としてはアクリル系樹脂等が使用可能である。より詳しくは、樹脂202は、下記式(1)で表される重合体、及び、式(1)とスチレン、ビニル、エチレン、α−オレフィン、マレイン酸、ウレタンからなる群から選択される少なくとも一つとの共重合体、の少なくとも一種からなる群から選択される少なくとも一つが相当する。
【0028】
ここで、R1はCmH
(2m+1)、R2はCkH
(2k+1)又はLi、K、Na、NH4
であり、m、kは0〜3の整数であり、nは任意の整数である。
【0029】
金属酸化物204は、当該コーティング剤200の光沢クロメート皮膜54への密着性の向上、及び白錆抑制皮膜210の強度向上を図るための材料であり、例えば、酸化ケイ素、アルミナ、酸化ニオブ、酸化鉄、酸化ネオジウム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、酸化チタン等が使用可能である。
【0030】
また、コーティング剤200の基本構成物質となる上述の樹脂202及び金属酸化物204は、耐薬品性を有する物質を選択しており耐薬品性にも優れる。よって、コーティング剤200を塗布し白錆抑制皮膜210を形成した口金100は、鋼製ドラム缶10における多くの収容物に対応可能である。
【0031】
潤滑剤206は、口金100における口金フランジ110とプラグ120との螺合時における摩擦低減のため、摩擦係数を調整するための材料であり、例えば、合成ワックス、天然ワックス、PTFE微粒子、二硫化モリブテン、有機モリブテン、およびグラファイトから選択される少なくとも一つ、などを用いることができる。
【0032】
また、以下に説明するコーティング剤200の塗布方法のうち、口金100の全体をコーティング剤200に浸漬する方法が採られる場合には、白錆抑制皮膜210が口金フランジ110とプラグ120との各ねじ部分にも形成されることから、潤滑剤206の添加は、螺合部分の滑りを良好にし、メッキ等の金属の切粉等の発生防止に対して、特に有効となる。しかしながらこの場合においても、上述したようにコーティング剤200は、樹脂202を含むことから、ある程度の潤滑性を有しており、潤滑剤206の添加は必須ではない。一方、下記露出表面60のみにコーティング剤200を塗布する場合には、潤滑剤206の添加は不要とすることもできる。尚、本実施形態では、コーティング剤200は、潤滑剤206を含んでいない。
【0033】
表面調整剤208は、コーティング剤200の塗布時における、口金100に対するコーティング剤200の流動性、広がり性等の、いわゆる濡れ性を調整する化合物であり、例えば、アクリル系重合物、ポリシロキサン、及びフッ素系界面活性剤、等の少なくとも一つが使用可能である。表面調整剤208は、口金100にコーティング剤200をスプレー塗装する場合、特に下記露出表面60のみに塗布する場合には、良好な塗布性を得るため、添加が必要となる。また部分塗りを行う場合、その簡便さから、スプレー塗装が良く用いられるが、この場合、表面調整剤208を添加することで、既定範囲の粘度及び接触角を有するコーティング剤200に調整することができる。尚、粘度の既定範囲の一例としては、2−2.5mPa・s(測定条件:60rpm及び6rpm、25℃、B型粘度計。)、あるいは、6−7.5秒(測定条件:イワタカップ[粘度カップNK−2]、25℃)であり、接触角の既定範囲の一例として、(5回)平均値で28−38°(測定条件:ユニクロメッキ基板、静滴法、気温24℃、湿度30%)である。
尚、コーティング剤200における上述の粘度等の物性値は、原液における値であり、実際に塗布するときの値ではない。
【0034】
本実施形態では、コーティング剤200は、樹脂202として上述の式(1)のアクリル系重合体、及び、式(1)とビニル、エチレン、α−オレフィン、マレイン酸、ウレタンとの共重合体を、金属酸化物204としてシリカを、表面調整剤208としてアクリル系重合物又はフッ素系界面活性剤を、使用して構成され、また潤滑剤206を含む場合には合成ワックスが含まれる。
【0035】
ユニクロメッキ50が施された口金100に対するこのようなコーティング剤200の塗布方法は、一案として、コーティング剤200に口金100の全体を浸漬し、静置した後、遠心乾燥機にて口金100を回転しながら、常温から最高100℃の範囲における温度にて、例えば60℃から80℃の範囲における温度にて、乾燥及び皮膜化を行う方法を採ることができる。
このようにコーティング剤200が処理された後の白錆抑制皮膜210の膜厚として、約0.3μmから2μmまでの範囲のものが得られた。
【0036】
図2では、上述の塗布方法によって、ユニクロメッキ50が施されている口金フランジ110及びプラグ120のそれぞれに対して、全面にコーティング剤200を塗布し、全面に白錆抑制皮膜210を形成した状態を図示している。
【0037】
一方、
図3では、コーティング剤200の塗布方法の他の例として、口金フランジ110にプラグ120を螺合した状態において、口金100のうち外部環境下に暴露される露出表面60のみにコーティング剤200を塗布し白錆抑制皮膜210を形成した場合を示している。この場合、露出表面60は、口金フランジ110では天板11に対する、かしめ部分が該当し、プラグ120では凹部125の内面125a、及び上端部126が相当する。一方、露出表面60において、口金フランジ110のかしめ部分よりもプラグ120が占める面積が大きいことから、露出表面60のうちプラグ120にのみコーティング剤200を塗布し、白錆抑制皮膜210を生成させてもよい。また、プラグ120にのみに白錆抑制皮膜210を形成する形態では、プラグ120への塗布工程と鋼製ドラム缶の製造とを切り離すことができることから、鋼製ドラム缶製造におけるタクトタイムにおいて有利になるという効果も得られる。
またこのように白錆抑制皮膜210を形成したプラグ120が単品で提供される場合には、口金フランジ110における上述のかしめ部分に対して、別途、コーティング剤200を部分塗りすることもできる。よって露出表面60にコーティング剤200を塗布する形態としては、露出表面60において、口金フランジ110及びプラグ120の少なくとも一方に塗布することができる。
【0038】
尚、
図2及び
図3では、口金フランジ110及びプラグ120は、図示簡素化のため、ユニクロメッキ50の図示を省略し、また白錆抑制皮膜210については、誇張して図示している。
【0039】
また、
図3に示す形態のように、露出表面60のみにコーティング剤200を塗布する場合には、コーティング剤200に口金100の全体を浸漬する方法は採れないので、口金100の露出表面60に対して、ハケ塗りあるいはスプレー塗装の方法が採られる。このときハケ塗りあるいはスプレー塗装では、上述した、回転させながら乾燥及び皮膜化を行うことは難しく、塗膜の均一性確保が困難となる。そこで、上述したように表面調整剤208を添加することによって、コーティング剤200の表面張力を調整することで、塗膜の均一性を確保することができる。
【0040】
露出表面60のみに、あるいは露出表面60に含まれるプラグ120のみにコーティング剤200を塗布した場合には、それ以外の領域ではユニクロメッキ50が露出しており、上述のように、その光沢クロメート皮膜54の耐熱性が悪いことから、コーティング剤200の乾燥及び皮膜化の温度がユニクロメッキ50、詳しくは光沢クロメート皮膜54、を劣化させない温度に相当する100℃を超えないよう注意する必要がある。100℃を超えると、光沢クロメート皮膜54の耐食性の低下が見られるからである。また、この際の乾燥及び皮膜化の時間は、水分が無くなるまでであり、例えば10分以下である。10分を超えると、やはり光沢クロメート皮膜54の耐食性の低下が見られる。
一方、口金100の全面にコーティング剤200を塗布した場合には、ユニクロメッキ50が白錆抑制皮膜210で覆われているので、部分塗りの場合に比べると乾燥及び皮膜化条件に注意を要しない。
【0041】
口金100に対するコーティング剤200の塗布領域は、
図2及び
図3のどちらの形態も採ることができる。尚、
図2のように口金100の全面にコーティング剤200を塗布した場合、鋼製ドラム缶10の収容物が口金100の缶内面側に位置する、コーティング剤200によって形成された白錆抑制皮膜210に接触可能である。よって、白錆抑制皮膜210の収容物への溶出が厳格に管理される場合等では、
図3の形態を採ることで、上記溶出を完全に防止することができるという効果が得られる。一方、上述したように、白錆抑制皮膜210の膜厚は、一般的な塗装膜厚が10μm程度が標準であるのに比べて、高々2μmと非常に薄く、かつ収容物との接触可能面積も缶内の全面積に比して非常に小さく、かつ白錆抑制皮膜210の場所が収容物との常時接触が希な天板11裏面であることから、たとえ溶出したとしても、その溶出量は極々微量であると考えられる。よって、ほとんどの場合、
図3の形態が使用可能であると考えられる。
【0042】
以上説明した白錆抑制皮膜210を有する口金100によれば、以下のような効果を得ることができる。
まず第1に、ユニクロメッキ50を白錆抑制皮膜210で被覆することから、口金100に対する耐食性能を格段に向上させることができる。よって、水分が存在する場合であっても、口金100における白錆の発生を従来に比べて格段に抑制することが可能になる。その結果、副次的に、従来のような、白錆が異物として缶内へ混入することも、従来に比べて格段に低減させることができる。
上の課題欄で説明したように白錆発生は、特に鋼製ドラム缶10にとって重要な課題であり、白錆発生の抑制効果が従来に比べて高いことは、鋼製ドラム缶10にとって大きな朗報であり、有意なことである。
【0043】
また、このような白錆発生の抑制効果を、ステンレス鋼材あるいは固体潤滑剤等のコスト高を招く手段に比べて安価な白錆抑制皮膜210にて達成することができる。このことは、上述のように、全体価格が安価に設定要求される鋼製ドラム缶10にとって非常に意義のあることである。この点も、鋼製ドラム缶10に対する特有の効果と言える。
【0044】
このような白錆抑制皮膜210を形成するコーティング剤200に含まれる樹脂202は、上述のように水溶性つまり水に均一に容易に分散可能な樹脂であり、かつ、エポキシ樹脂等の通常の熱硬化型塗料に適用される樹脂に比べて低温での、つまりユニクロメッキ50を劣化させない温度での乾燥及び皮膜化が可能な樹脂である。よって、ユニクロメッキ50を露出させた状態にて、例えば
図3に示すように露出表面60のみに、あるいは露出表面60に含まれるプラグ120のみに、コーティング剤200を塗布し白錆抑制皮膜210を形成することが可能となる。これにより、収容物に対しては従来同様の非汚染性を有し、かつ、口金100における白錆発生を効果的に抑制することが可能になる。
また、
図2及び
図3のいずれの形態においても、白錆抑制皮膜210は、ユニクロメッキ50の少なくとも一部分を覆うことから、ユニクロメッキ50における光沢クロメート皮膜54への耐食性が損なわれることも抑制することができる。
【0045】
さらにまた、コーティング剤200は、水溶性であることから、コーティング剤200を塗布するにあたり、有機溶剤を含む通常のエポキシ樹脂塗料を塗布する場合に必要となる、工場内での局所排気及び防爆設備は不要である。局所排気及び防爆設備は、工場内スペース、及び設置コストにおいて大きな負荷、負担となることから、局所排気及び防爆設備が不要であることは、設備上の負荷低減に非常に大きく貢献する。
【0046】
一方、
図2に示す形態を採った場合には、上述したように口金100全体について耐食性能の向上を図ることができる。よって、白錆抑制皮膜210の缶内収容物への溶出が考えられない、考慮不要である、あるいは無視可能である場合には、
図2に示す形態を採るのが簡便である。
【0047】
また、既に説明したが、白錆抑制皮膜210の膜厚が高々2μmと薄膜のため、コーティング剤200の使用量が少なくて済み、コスト面での効果も得ることができる。
【0048】
また、コーティング剤200は、ユニクロメッキ50における光沢クロメート皮膜54への密着性の向上を図る金属酸化物204を含み、また潤滑剤206を含むことができる。よって、白錆抑制皮膜210とユニクロメッキ50との密着性の向上が図られ、潤滑剤206を含む場合には、口金100における口金フランジ110とプラグ120との螺合時における摩擦が低減される。その結果、例えば白錆抑制皮膜210が剥離する、あるいは切粉が発生する等の事象の発生を抑制することができる。
【0049】
切粉に関する出願人の実験によれば、白錆抑制皮膜210を有する口金100と、白錆抑制皮膜210を有しない従来の口金とにおいて、一例として40Nmの既定トルクにてプラグの開閉を行った際に生じる切粉の重量を比較したとき、白錆抑制皮膜210を有する口金100では、従来の口金の場合の1/4以下になるという結果が得られた。
【0050】
また、潤滑剤206の含有量を調整することで、白錆抑制皮膜210の摩擦係数を制御することができる。したがって、口金フランジ110に対するプラグ120の締め込み過剰あるいは不足等の問題も解消することができる。