特許第6816106号(P6816106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許68161066−ピリジル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオール及び6−ピリジル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミンを調製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816106
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】6−ピリジル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオール及び6−ピリジル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミンを調製する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20210107BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 31/53 20060101ALN20210107BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20210107BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20210107BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20210107BHJP
【FI】
   C07D401/04
   C07D401/14
   !A61K31/53
   !A61P35/00
   !A61P43/00 111
   !C07B61/00 300
【請求項の数】19
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2018-505739(P2018-505739)
(86)(22)【出願日】2016年8月4日
(65)【公表番号】特表2018-528182(P2018-528182A)
(43)【公表日】2018年9月27日
(86)【国際出願番号】US2016045553
(87)【国際公開番号】WO2017024134
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2019年8月1日
(31)【優先権主張番号】62/201,546
(32)【優先日】2015年8月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511223394
【氏名又は名称】アジオス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】シジエ ズハング
【審査官】 二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/003640(WO,A1)
【文献】 特表2015−503571(JP,A)
【文献】 特開昭51−070779(JP,A)
【文献】 WILLIAMS, D. M. et al.,The synthesis of a tricyclic pyrrolopyrimidine related to N6-hydroxyadenine,J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1,1997年,pp. 1171-1178
【文献】 HU, Y. L. et al.,SYNTHESIS AND BIOLOGICAL ACTIVITIES OF O6-ALKYLGUANINE DERIVATIVES,Bull. Chem. Soc. Ethiop.,2010年,Vol. 24,pp. 425-432
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/04
C07D 401/14
A61K 31/53
A61P 35/00
A61P 43/00
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia):
【化1】
の化合物を調製する方法であって、前記方法は、式(IIa):
【化2】
の化合物を、脱水の存在下において
【化3】
(ビウレット)と反応させて、前記式(Ia)の化合物を得ることを含前記脱水剤は、i)オルトギ酸トリメチル(HC(OMe))及びトリフルオロ酢酸(TFA)、または、ii)チタン(IV)エトキシドを含む、前記方法。
【請求項2】
前記脱水は、オルトギ酸トリメチル(HC(OMe))及トリフルオロ酢酸(TFA)を含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記脱水は、チタン(IV)エトキシドを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記反応は、塩基の存在下におけるものである、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記塩基は、ナトリウムエトキシドである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記式(IIa)化合物は、式(IIIa):
【化4】
の化合物を塩化水素及びメタノールと反応させることによって調製される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記式(Ia)の化合物をベンジルトリエチルアンモニウムクロリド及びPOClと反応させて、式(IVb)
【化5】
の化合物を得ることをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記式(IVb)の化合物を式(Va)
【化6】
の化合物と反応させて、式(VIb)
【化7】
の化合物を得ることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
(VIb)の化合物を式(VIIa)
【化8】
の化合物と反応させて式(VIIIa)
【化9】
の化合物を得ることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
式(VIIIa)
【化10】
の化合物を調製する方法であって、前記方法は、
a)化合物(Ia)
【化11】
をベンジルトリエチルアンモニウムクロリド及びPOClと反応させて化合物(IVb)
【化12】
を得ること、
b)化合物(IVb)を2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−アミンと反応させて、化合物(VIb)
【化13】
を得ること
ならびに
c)化合物(VIb)を1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オールと反応させて、前記式(VIIIa)の化合物を得ることを含化合物(Ia)は、
【化14】
を、脱水剤の存在下において
【化15】
と反応させることによって調製され、前記脱水剤は、i)オルトギ酸トリメチル(HC(OMe))及びトリフルオロ酢酸(TFA)、または、ii)チタン(IV)エトキシドを含む、前記方法。
【請求項11】
ステップa)は、約18時間約95〜98℃に加熱することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップb)は、約20℃で約3時間置いた後、約15.5時間約60〜65℃に加熱することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
ステップb)は、メチルテトラヒドロフラン中で行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
ステップc)は、約20〜30℃で行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
ステップc)は、ジイソプロピルエチルアミンの存在下において行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記脱水剤は、オルトギ酸トリメチル及びトリフルオロ酢酸を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記脱水剤は、チタン(IV)エトキシドを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記反応は、塩基の存在下において行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記塩基は、ナトリウムエトキシドである、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年8月5日に出願された米国特許出願第62/201,546号の優先権を主張するものであり、参照によってその全体を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
イソクエン酸脱水素酵素(IDH)は、イソクエン酸の2−オキソグルタル酸(すなわち、α−ケトグルタル酸)への酸化的脱炭酸を触媒する。これらの酵素は、2つの異なるサブクラスに属し、そのうちの一方は電子アクセプタとしてNAD(+)を利用し、他方はNADP(+)を利用する。ミトコンドリア基質に局在する3つのNAD(+)依存性イソクエン酸脱水素酵素、及び一方がミトコンドリア型であり、他方が主として細胞質型である2つのNADP(+)依存性イソクエン酸脱水素酵素の5つのイソクエン酸脱水素酵素が報告されている。それぞれのNADP(+)依存性アイソザイムは、ホモ二量体である。
IDH2(イソクエン酸脱水素酵素2(NADP+)、ミトコンドリア型)は、IDH、IDP、IDHM、IDPM、ICD−M、またはmNADP−IDHとしても知られている。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、ミトコンドリアに見られるNADP(+)依存性イソクエン酸脱水素酵素である。これは、中間代謝及びエネルギー産生に関与する。このタンパク質は、ピルビン酸脱水素酵素複合体と密接に結合するか、または相互作用することもある。ヒトIDH2遺伝子は、452のアミノ酸のタンパク質をコードする。IDH2に関するヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、それぞれGenBank登録NM_002168.2及びNP_002159.2として見出すことができる。ヒトIDH2に関するヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、例えば、HuhらがEMBL/GenBank/DDBJデータベースに提出したもの(NOV−1992);及びThe MGC Project Team、Genome Res. 14:2121−2127(2004)にも記載されている。
【0003】
非突然変異、例えば、野生型IDH2は、イソクエン酸のα−ケトグルタル酸(α−KG)への酸化的脱炭酸を触媒し、それにより、例えば、正反応においてNAD(NADP)をNADH(NADPH)に還元する:
イソクエン酸+NAD(NADPα−KG+CO+NADH(NADPH)+H
【0004】
ある特定の癌細胞に存在するIDH2の突然変異は、α−ケトグルタル酸のR(−)−2−ヒドロキシグルタル酸(2HG)へのNAPH依存性還元を触媒する酵素の新しい能力をもたらすことが発見された。2HGは、野生型IDH2によっては形成されない。2HGの産生は癌の形成及び進行の一因となると考えられている(Dang,L et al,Nature 2009,462:739−44)。
【0005】
したがって、突然変異IDH2及びその新しい活性の阻害は、癌に対して可能性のある治療的処置であり、一般式(VIII)
【化1】
を有する突然変異IDH2酵素を阻害する化合物が特定されており、これは、国際公開第WO2013102431号(参照によってその全体を本明細書に援用する)に詳細に記載されている。
【発明の概要】
【0006】
環Aが任意に置換された5〜6員単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールである式(I):
【化2】
の化合物を調製する方法が本明細書に記載されており、本方法は、Rがアルキル、アルケニルまたはアルキニルである式(II):
【化3】
の化合物を脱水剤の存在下において
【化4】
(ビウレット)と反応させることを含む。
【0007】
ある実施形態において、式(VIb):
【化5】
の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物が本明細書において提供される。
【0008】
式(VIb)の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を調製する方法も本明細書において提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明に記載されるか、または図に示される構成要素の構築及び配置の詳細は、限定することを意図するものではない。本発明を実施するためのその他の実施形態及び異なる方法が、明示的に含まれる。また、本明細書中で使用される表現及び用語は説明のためのものであり、限定するものと見なされるべきではない。本明細書中における「含むこと(including)」、「含むこと(comprising)」または「有すること」、「含有すること」、「含むこと(involving)」、及びその変形の使用は、その後に列挙される項目及びその等価物ならびに追加の項目を包含することを意図する。
【0010】
一般に、本明細書中で使用される命名法及び本明細書に記載されている有機化学、医薬化学、及び薬理学における実験手順は、当該技術分野において周知のものであり、一般に利用されている。別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術及び科学用語は、一般に本開示が属する分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0011】
「アリール」という用語は、一価の単環式芳香族基を指し、このアリールは、本明細書に記載される1つ以上の置換基Qにより任意に置換される。
【0012】
「ヘテロアリール」という用語は、一価の単環式芳香族基を指し、この芳香族環は、環にO、S、N、及びPから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を含む。ヘテロアリール基は、芳香族環を介して残りの分子と結合する。ヘテロアリール基の環は、それぞれ環のヘテロ原子の総数が4つ以下であり、それぞれの環が少なくとも1つの炭素原子を含むという条件で、1つまたは2つのO原子、1つまたは2つのS原子、1つから4つのN原子、及び/または1つまたは2つのP原子を含むことができる。単環式ヘテロアリール基の例としては、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニル、及びトリアゾリルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ある特定の実施形態において、ヘテロアリールは、本明細書に記載される1つ以上の置換基Qにより任意に置換される。
【0013】
「ヘテロ環」または「ヘテロシクリル」という用語は、単環式非芳香族環系及び/または多環式非芳香族環系を指し、1つ以上の非芳香族環原子がヘテロ原子であり、そのそれぞれがO、S、N、及びPから独立して選択され、残りの環原子が炭素原子である。ある特定の実施形態において、ヘテロ環は、3から20、3から15、3から10、3から8、4から7、または5から6個の環原子を有する。ある特定の実施形態において、ヘテロ環は、スピロ、縮合、もしくは架橋であってもよい単環系、二環系、三環系、または四環系であり、そのなかの窒素または硫黄原子は任意に酸化されてもよく、窒素原子は任意に四級化されてもよく、一部の環は部分的または完全に飽和であってもよい。ある特定の実施形態において、ヘテロ環は、本明細書に記載される1つ以上の置換基Qにより任意に置換される。
【0014】
「カルボシクリル」という用語は、環式の一価炭化水素ラジカルを指し、カルボシクリルは、本明細書に記載される1つ以上の置換基Qにより任意に置換される。一実施形態において、カルボシクリル基は、飽和もしくは不飽和、及び/またはスピロ、及び/または非スピロ、及び/または架橋及び/または非架橋、及び/または縮合二環式基であってもよい。ある特定の実施形態において、カルボシクリルは、3から20(C3〜20)、3から15(C3〜15)、3から10(C3〜10)、または3から7(C3〜7)の炭素原子を有する。カルボシクリル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、デカリニル、及びアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
「任意に置換される」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリル基などの基または置換基が、1つ以上の置換基Qにより置換されてもよく、そのそれぞれは、例えば、(a)オキソ(=O)、ハロ、シアノ(−CN)、及びニトロ(−NO)、トリフルオロメチル(CF);(b)それぞれが1つ以上、一実施形態においては、1、2、3もしくは4つの置換基Qによりさらに任意に置換されるC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜10シクロアルキル、C6〜14アリール、C1〜15アラルキル、ハロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクリル、;ならびに(c)−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−C(NR)NR、−OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−OC(=NRa)NR、−OS(O)R、−OS(O)、−OS(O)NR、−OS(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−NRC(=NR)NR、−NRS(O)R、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−NRS(O)、−P(O)R、−P(O)(OR)R、−P(O)(OR)(OR)、−SR−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、及び−S(O)NRから独立して選択され、それぞれR、R、R、及びRは、独立して(i)水素;(ii)それぞれが1つ以上、一実施形態においては、1、2、3もしくは4つの置換基Qにより任意に置換されるC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜10シクロアルキル、C6〜14アリール、C7〜15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであるか;あるいは(iii)R及びRが結合するN原子とともに、それぞれが1つ以上、一実施形態においては、1、2、3もしくは4つの置換基Qにより任意に置換される、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリルを形成することを意味することが意図される。本明細書中で使用される場合、置換可能なすべての基は、他に指定がない限り「任意に置換される」。
【0016】
一般構造式(VIII):
【化6】
の化合物を生成するための方法が本明細書中で開示され、
環Aは任意に置換された5〜6員単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり;
環Bは、任意に置換された5〜6員単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり;
及びRはそれぞれ、水素、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、−O−C〜Cアルキル、及びCNから独立して選択され、Rの任意のアルキル部分は、−OH、NH、NH(C〜Cアルキル)、またはN(C〜Cアルキル)により任意に置換され;
は、−(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルケニルもしくはアルキニル)、−(C〜Cアルキレン)−N(R)−(C〜Cアルキレン)−O−(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−N(R)−(C〜Cアルキレン)−Q、−(C〜Cアルキレン)−N(R)(R)、−(C〜Cアルキレン)−N(R)−S(O)1〜2−(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−N(R)−S(O)1〜2−(C0〜アルキル)−Q、−(C〜Cアルキレン)−S(O)1〜2−N(R)(R)、−(C〜Cアルキレン)−S(O)1〜2−N(R)−(C〜Cアルキレン)−Q、−C(O)N(R)−(C〜Cアルキレン)−C(O)−(C〜Cアルキレン)−O−(C〜Cアルキル)、−C(O)N(R)−(C〜Cアルキレン)−C(O)−(C〜Cアルキレン)−O−(C〜Cアルキレン)−Q、−(C〜Cアルキレン)−O−C(O)−(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−O−C(O)−(C〜Cアルキル)−Q、−(C〜Cアルキレン)−O−(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−O−(C〜Cアルキレン)−Q、−(C〜Cアルキレン)−C(O)−(C〜Cアルキレン)−O−(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−C(O)−(C〜Cアルキレン)−O−(C〜Cアルキレン)−Q、−(C〜Cアルキレン)−O−C(O)−(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−O−C(O)−(C〜Cアルキレン)−Q、−(C〜Cアルキレン)−C(O)N(R)−(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−C(O)N(R)−(C〜Cアルキレン)−Q、−(C〜Cアルキレン)−N(R)C(O)−(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−N(R)C(O)−(C〜Cアルキレン)−Q、−(C〜Cアルキレン)−S(O)0〜2−(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−S(O)0〜2−(C〜Cアルキレン)−Q、−(C〜Cアルキレン)−N(R)−C(O)−N(R)−(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−Q、−(C〜Cアルキレン)−C(O)−(C〜Cアルキル)、−(C〜Cアルキレン)−C(O)−(C〜Cアルキレン)−Qから選択され、
に存在する任意のアルキルまたはアルキレン部分は、1つ以上の−OH、−O(C〜Cアルキル)またはハロにより任意に置換され;
に存在する任意の末端メチル部分は、−CHOH、CF、−CHF、−CHCl、C(O)CH、C(O)CF、CN、またはCOHにより任意に置き換えられ;
各Rは、水素及びC〜Cアルキルから独立して選択され;
Qは、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル及びヘテロシクリルから選択され、そのいずれも任意に置換され;
及びRは、任意にそれらが結合する炭素原子と一緒になって、C(=O)を形成し、
及びRは、任意に一緒になって、置換カルボシクリル、任意に置換されたヘテロシクリルまたは任意に置換されたヘテロアリールを形成する。
【0017】
式(VIII)の化合物を調製するための方法は、環A及びBが本明細書中で定義されるとおりである式(VI)
【化7】
の化合物を式(VII)
【化8】
の化合物と反応させることを含み、
Xは、脱離基、例えば、ハロゲン化物またはトリフルオロメタンスルホナートであり、例えば、Xはハロゲン化物であり、例えば、Xはクロロである。
【0018】
別の実施形態において、本方法は、式(I)
【化9】
の化合物をハロゲン化して、Xが脱離基である式(IV)
【化10】
の化合物を得ることをさらに含む。
【0019】
一部の実施形態において、本方法は、Xが脱離基、例えば、ハロゲン化物(Clなど)またはトリフルオロメタンスルホナートである式(IV)の化合物を、環Bが前に定義されたとおりである式(V)
【化11】
の化合物と反応させて式(VI)
【化12】
の化合物を得ることをさらに含む。
【0020】
一部の実施形態において、本方法は、式(VI)
【化13】
の化合物を、R〜Rが前に定義されたとおりである式(VII)
【化14】
の化合物と反応させて式(VIII)の最終化合物を得ることを含む。
【0021】
本発明のある態様において、環Aが上で定義されたとおりである式(I):
【化15】
を有する化合物を調製する方法が提供され、本方法は、Rがアルキル、アルケニルまたはアルキニルである式(II)
【化16】
の化合物を脱水剤の存在下において
【化17】
(ビウレット)と反応させることを含む。本明細書の実施例において示されるとおり、最終生成物は、脱水試薬の存在に起因して、脱水試薬を用いない類似の反応と比較して高い収率で生成される。ある実施形態において、脱水試薬は、オルトギ酸トリメチル(HC(OMe))及びトリフルオロ酢酸(TFA)、例えば、触媒量のTFAを含む。ある実施形態において、脱水試薬は、チタン(IV)エトキシドを含む。ある実施形態において、脱水試薬は、酸化カルシウム(CaO)である。ある実施形態において、脱水試薬は、硫酸マグネシウム(MgSO)である。
【0022】
ある実施形態において、Rはアルキルである。ある実施形態において、Rはメチルである。ある実施形態において、環Aは、任意に置換されたアリール単環である。ある実施形態において、環Aは、任意に置換されたヘテロアリール単環である。ある実施形態において、環Aは、任意に置換されたフェニルである。ある実施形態において、環Aはフェニルである。ある実施形態において、環Aは、任意に置換されたピリジンである。ある実施形態において、環Aは、任意に置換されたピリジン−2−イルである。ある実施形態において、環Aは、6−トリフルオロメチルピリジン−2−イルである。
【0023】
ある実施形態において、反応は、有機または無機塩基を含む塩基の存在下におけるものである。ある実施形態において、塩基は、エタノール中のナトリウム、例えば、ナトリウムエトキシドを含む。
【0024】
特定の実施形態において、式(Ia):
【化18】
の化合物を調製する方法が提供され、本方法は、式(IIa):
【化19】
の化合物を、脱水試薬の存在下において
【化20】
(ビウレット)と反応させて、式(IIa)の化合物を得ることを含む。ある実施形態において、脱水試薬は、オルトギ酸トリメチル(HC(OMe))及びトリフルオロ酢酸(TFA)、例えば、触媒量のTFAを含む。ある実施形態において、脱水試薬は、チタン(IV)エトキシドを含む
【0025】
ある実施形態において、反応は、塩基の存在下におけるものである。ある実施形態において、塩基は、ナトリウムエトキシドである。ある実施形態において、式(IIa)の化合物は、式(IIIa):
【化21】
の化合物を酸ハロゲン化物及びアルコールと反応させることによって調製される。一実施形態において、式(IIa)の化合物は、式(IIIa)の化合物を塩化アセチル及びメタノールと反応させることによって調製される。ある実施形態において、式(IIa)の化合物は、式(IIIa)の化合物をメタノール中の塩化水素と反応させることによって調製される。
【0026】
本発明の別の態様において、式(VIIIa):
【化22】
の化合物を調製する方法が提供され、本方法は、Xが脱離基である式(VIa):
【化23】
の化合物を式(VIIa):
【化24】
の化合物と反応させることを含む。
【0027】
ある実施形態において、Xは、ハロゲン化物またはトリフルオロメタンスルホナートである。ある実施形態において、Xはハロゲン化物である。ある実施形態において、Xはクロロである。
【0028】
ある実施形態において、反応は、塩基、例えば、無機塩基の存在下において起こる。ある実施形態において、塩基は、炭酸水素ナトリウムまたはリン酸カリウムである。
【0029】
ある実施形態において、反応は、溶媒、例えば、極性溶媒、例えば、極性の非プロトン性溶媒の存在下において起こる。ある実施形態において、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)である。ある実施形態において、溶媒は、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)である。
【0030】
ある実施形態において、本方法は、式(VIII)の化合物のメタンスルホン酸塩を調製することを含み、
酢酸イソプロピル(i−PrOAc)、酢酸エチル(EtOAc)及びメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)から成る群から選択される溶媒中のメタンスルホン酸の第1の溶液を準備すること;
メチルエチルケトン(MEK)から選択される溶媒中の式(VIII)の化合物の第2の溶液を準備すること;及び
第1の溶液と第2の溶液を混合して、式(VIII)の化合物のメタンスルホン酸塩を得ること。ある実施形態において、式(VIII)の化合物のメタンスルホン酸塩は、スラリーである。
【0031】
本発明の別の実施形態において、式(VIa):
【化25】
の化合物を調製する方法が提供され、本方法は、Xが脱離基である式(IVa):
【化26】
の化合物を式(Va)
【化27】
の化合物と反応させて、式(VIa)の化合物を得ることを含む。
【0032】
ある実施形態において、Xは、ハロゲン化物またはトリフルオロメタンスルホナートである。ある実施形態において、Xはハロゲン化物である。ある実施形態において、Xはクロロである。
【0033】
ある実施形態において、式(Va)の化合物は、式(IVa)の化合物の当量に対して過剰な当量、例えば、約1当量超、例えば、約1.5当量超、例えば、約1.75当量超、例えば、約2当量超で得られる。ある実施形態において、式(Va)の化合物は、約2当量超、例えば、約2.05当量で得られる。
【0034】
ある実施形態において、反応は、溶媒、例えば、極性溶媒、例えば、極性の非プロトン性溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)または2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)の存在下において起こる。ある実施形態において、溶媒は、極性の非プロトン性溶媒である。ある実施形態において、溶媒は、2−MeTHFである。
【0035】
ある実施形態において、未反応の過剰量の式(Va)の化合物は、アミン塩、例えば、アミン塩酸塩として単離される。
【0036】
ある実施形態において、式(Va)の化合物のアミン塩は、中和されて、式(Va)の化合物を得る。
【0037】
本発明の別の態様において、式(VIb):
【化28】
の化合物が提供される。
【0038】
本発明の別の態様において、以下の構造:
【化29】
を有する式(IVb)の化合物を調製する方法が提供され、本方法は、式(Ia):
【化30】
の化合物をベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(BTEAC)と反応させて、式(IVb)の化合物を得ることを含む。
【0039】
別の実施形態において、式(IVb):
【化31】
の化合物を調製する方法が提供され、本方法は、式(Ia):
【化32】
の化合物をPOCl及び塩基と接触させて、式(IVb)の化合物を得ることを含む。
【0040】
ある実施形態において、塩基は、アミン塩基、例えば、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリエチルアミン、例えば、DIPEAを含む。
【0041】
ある実施形態において、式(VIIIa):
【化33】
の化合物を調製する方法が提供され、本方法は、a)化合物(Ia)
【化34】
(Ia)
をベンジルトリエチルアンモニウムクロリド及びPOClと反応させて、化合物(IVb)
【化35】
を得ること、
b)化合物(IVb)を2(トリフルオロメチル)ピリジン−4−アミンと反応させて、化合物(VIb)
【化36】
を得ること、
ならびにc)化合物(VIb)を1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オールと反応させて、式(VIIIa)の化合物を得ることを含む。ある実施形態において、ステップa)は、約90℃に約100℃に、または約95℃から約98℃に加熱することを含む。一実施形態において、ステップa)の加熱することは、約18時間行われる。ある実施形態において、ステップa)は、約18時間約95〜98℃に加熱することを含む。ある実施形態において、ステップb)は、約20℃で約3時間置き、その後、約15.5時間約60〜65℃に加熱することを含む。ある実施形態において、ステップb)は、メチルテトラヒドロフラン中で行われる。ある実施形態において、ステップc)は、約20〜30℃で行われる。ある実施形態において、ステップc)は、ジイソプロピルエチルアミンの存在下において行われる。ある実施形態において、化合物(Ia)は、化合物(IIa)
【化37】
を、脱水試薬の存在下において
【化38】
(ビウレット)と反応させることによって調製される。ある実施形態において、脱水剤は、オルトギ酸トリメチル及びトリフルオロ酢酸を含む。ある実施形態において、脱水剤は、チタン(IV)エトキシドを含む。ある実施形態において、反応は、塩基の存在下において行われる。ある実施形態において、塩基は、ナトリウムエトキシドである。
【0042】
本発明の一態様の化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでもよく、したがってラセミ体、ラセミ混合物、スカレミック混合物、及びジアステレオマー混合物、ならびに別の可能性のあるエナンチオマーもしくは立体異性体を実質的に含まない単一のエナンチオマーまたは個々の立体異性体として生じる。「実質的に他の立体異性体を含まない」という用語は、本明細書中で使用される場合、1つ以上の選択された立体中心において選択された立体化学を有する化合物が少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%濃縮された調製物を意味する。「濃縮される」という用語は、少なくとも指定されたパーセンテージの調製物が、1つ以上の選択された立体中心において選択された立体化学を有する化合物であることを意味する。所与の化合物の個々のエナンチオマーまたは立体異性体を得るまたは合成する方法は、当該技術分野において知られており、最終化合物または出発材料もしくは中間体に実施可能なものとして利用されてもよい。
【0043】
特定の実施形態において、式(VIII)の化合物を調製するための本明細書中で開示される式(VIII)の化合物または任意の中間体は、1つ以上の炭素原子において選択された立体化学を有する構造(複数可)に関して濃縮される。例えば、本化合物は、特定の立体異性体が少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%濃縮される。
【0044】
式(VIII)の化合物を調製するための本明細書中で開示される式(VIII)の化合物または任意の中間体はまた、1つ以上の同位体置換を含んでもよい。例えば、Hは、H、H(Dまたは重水素)、及びH(Tまたはトリチウム)を含むいかなる同位体型であってもよく、Cは、12C、13C、及び14Cを含むいかなる同位体型であってもよく、Oは、16O及び18Oを含むいかなる同位体型であってもよく、Nは、15Nを含むいかなる同位体型であってもよいなど。例えば、本化合物は、H、C及び/またはOの特定の同位体型が少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%濃縮される。
【0045】
別に指示がある場合を除いて、開示される化合物が立体化学を指定することなく構造によって名づけられるか、または表され、1つ以上のキラル中心を有する場合、化合物のすべての可能な立体異性体を表すことが理解される。
【0046】
本明細書に記載される化合物はまた、複数の互変異性体型として表されてもよい、そのような場合には、本発明の一態様は、単一の互変異性体型だけが示され得るが、本明細書に記載される化合物のすべての互変異性体型を明示的に含む(例えば、環系のアルキル化が結果として複数の部位におけるアルキル化を生じる場合もあり、本発明の一態様は、すべてのそのような反応生成物;及びケト・エノール互変異性体を明示的に含む)。当該化合物のすべてのそのような異性体は、明示的に本明細書に含まれる。
【0047】
活性化合物の対応する塩、例えば、薬学的に許容される塩を調製する、精製する、及び/または取り扱うことが都合がよい、または望ましい場合もある。薬学的に許容される塩の例は、Berge et al., 1977, “Pharmaceutically Acceptable Salts.” J. Pharm. Sci. Vol. 66, pp. 1−19において考察されている。
【0048】
例えば、本化合物がアニオンであるか、またはアニオンの可能性のある官能基を有する(例えば、−COOHが−COOであり得る)場合、その結果、塩は、適したカチオンとともに形成されてもよい。適した無機カチオンの例としては、Na及びKなどのアルカリ金属イオン、Ca2+及びMg2+などのアルカリ土類カチオン、ならびにAl3+などのその他のカチオンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適した有機カチオンの例としては、アンモニウムイオン(すなわち、NH)及び置換アンモニウムイオン(例えば、NH、NH2+、NHR3+、NR4+)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの適した置換アンモニウムイオンの例は、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、ならびにリシン及びアルギニンなどのアミノ酸から誘導されるものである。一般的な四級アンモニウムイオンの例は、N(CHである。
【0049】
本化合物がカチオンであるか、またはカチオンの可能性のある官能基を有する(例えば、−NHが−NHであり得る)場合、その結果、塩は、適したアニオンとともに形成されてもよい。適した無機アニオンの例としては、以下の無機酸:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、及び亜リン酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
適した有機アニオンの例としては、以下の有機酸から誘導されたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:2−アセトキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、及び吉草酸。表1の各化合物のメシル酸塩が明示的に本明細書に含まれる。適した高分子有機アニオンの例としては、以下のポリマー酸から誘導されたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:タンニン酸、カルボキシメチルセルロース。
【0051】
したがって、本明細書において提供される化合物は、その化合物自体、ならびに適用できる場合、その塩、水和物及びそのプロドラッグを含む。本明細書において提供される化合物は、選択された生物学的特性、例えば、特定の組織に対する標的化を向上させるために適切な官能基を付加することによって修飾されても、プロドラッグに変換されてもよい。そのような修飾(すなわち、プロドラッグ)は、当該技術分野において知られており、所与の生物学的区画(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を高める、経口有効性を高める、注射による投与を可能にするよう溶解度を高める、代謝を変える及び排出の速度を変えるものを含む。プロドラッグの例としては、対象への投与時に活性化合物をもたらすことができるエステル(例えば、リン酸エステル、アミノ酸(例えば、バリンエステル)、カルバミン酸エステル及びその他の薬学的に許容される誘導体が挙げられる。本明細書に記載される化合物のカルシウム及びナトリウムホスファートが、該当する場合、明示的に本明細書に含まれる。本明細書に記載される化合物のアミノ酸(例えば、バリン)エステルが、適用できる場合、明示的に本明細書に含まれる。
【0052】
組成物及び投与の経路
本明細書に記載される方法によって調製される化合物は、対象へ投与される前に薬学的に許容される担体またはアジュバントとともに薬学的に許容される組成物に製剤化されてもよい。別の実施形態において、そのような薬学的に許容される組成物は、付加的な治療薬を、本明細書に記載されているものを含む疾患または疾患症状の調節を達成するのに有効な量でさらに含む。
【0053】
「薬学的に許容される担体またはアジュバント」という用語は、本発明の一態様の化合物とともに対象に投与されてよく、治療量の化合物を送達するのに十分な用量で投与されるときにその薬理学的活性を消失させず、毒性がない担体またはアジュバントを指す。
【0054】
本発明の一態様の医薬組成物に使用されてもよい薬学的に許容される担体、アジュバント及びビヒクルとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化型薬物送達系(SEDDS)、例えば、d−α−トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシナート、医薬剤形に使用される界面活性剤、例えば、Tweenもしくはその他の類似の高分子送達マトリックス、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリラート、ワックス、ポリエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂が挙げられるが、それらに限定されない。α、β及びγ−サイクロデキストリンなどのサイクロデキストリン、または2及び3−ヒドロキシプロピル−β−サイクロデキストリン、もしくはその他の可溶化された誘導体を含むヒドロキシアルキルシクロデキストリンなどの化学修飾された誘導体も、本明細書に記載されている式の化合物の送達を向上させるために有利に使用されてよい。
【0055】
本発明の一態様の医薬組成物は、経口的に、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸に、経鼻的に、頬側に、膣にもしくは埋め込み型リザーバーにより投与されてもよく、好ましくは、経口投与または注射による投与によって投与されてもよい。本発明の一態様の医薬組成物は、任意の従来の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含んでもよい。ある場合には、本製剤のpHは、製剤化された化合物の安定性もしくはその送達形態を向上させるために薬学的に許容される酸、塩基または緩衝剤により調節されてもよい。非経口のという用語は、本明細書中で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節腔内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内及び頭蓋内注射または注入技術を含む。
【0056】
本医薬組成物は、例えば、無菌の注射可能な水性または油性懸濁剤として無菌の注射可能な調製物の形態であってもよい。この懸濁剤は、適した分散剤または湿潤剤(例えば、Tween80など)及び懸濁化剤を使用して当該技術分野において既知の技術により製剤化することができる。無菌の注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な液剤または懸濁剤であってもよく、例えば、1,3−ブタンジオール中の液剤としてでもよい。利用されてもよい許容されるビヒクル及び溶媒には、マンニトール、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液が挙げられる。さらに、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒として従来利用される。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の刺激の少ない不揮発性油が利用されてもよい。オレイン酸などの脂肪酸及びそのグリセリド誘導体は注射液の調製に有用であり、オリーブ油またはひまし油、とりわけ、それらのポリオキシエチル化されたものなどの天然の薬学的に許容される油も有用である。これらの油剤または懸濁剤はまた、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、またはカルボキシメチルセルロースもしくはエマルジョン及びまたは懸濁液などの薬学的に許容される剤形の製剤に一般的に使用される類似の分散剤を含んでもよい。TweenもしくはSpanなどのその他の一般的に使用される界面活性剤及び/または薬学的に許容される固体、液体、もしくはその他の剤形の製造に一般的に使用されるその他の類似の乳化剤またはバイオアベイラビリティ促進剤も製剤化のために使用されてもよい。
【0057】
本発明の一態様の医薬組成物は、カプセル、錠剤、エマルジョンならびに水性懸濁液、分散液及び溶液を含むが、それらに限定されない任意の経口的に許容される剤形で経口投与されてもよい。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体としては、乳糖及びトウモロコシデンプンが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も一般に添加される。カプセル形態の経口投与のために、有用な希釈剤としては、乳糖及び乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁液及び/またはエマルジョンが経口投与される場合、活性成分は、油性相に懸濁させられてもよく、または溶解されてもよく、乳化剤及び/または懸濁化剤と混合される。必要に応じて、ある特定の甘味料及び/または香味料及び/または着色剤が添加されてもよい。
【0058】
本発明の一態様の医薬組成物はまた、直腸投与のために座剤の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、本発明の一態様の化合物を、室温では固体だが直腸温度では液体であるため、直腸で溶けて活性構成成分を放出する適した非刺激性賦形剤と混合することによって調製されてもよい。そのような材料としては、カカオバター、蜜蝋及びポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
所望の治療が局所適用によって容易に到達可能な領域または臓器を含む場合、本発明の一態様の医薬組成物の局所投与が有用である。皮膚への局所適用のために、医薬組成物は、担体に懸濁または溶解された活性構成成分を含む適した軟膏とともに製剤化されるべきである。本発明の一態様の化合物の局所投与のための担体としては、鉱油、液体石油、白色石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋及び水が挙げられるが、これらに限定されるものではない。あるいは、本医薬組成物は、適した乳化剤を含む担体に懸濁もしくは溶解された活性化合物を含む適したローションまたはクリームとともに製剤化されてもよい。適した担体としては、鉱油、ソルビタンモノステアラート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の一態様の医薬組成物はまた、直腸座剤製剤により下部腸管または適した浣腸製剤として局所利用されてもよい。局所経皮パッチも本発明の一態様に含まれる。
【0060】
本発明の一態様の医薬組成物は、経鼻エアロゾルまたは吸入によって投与されてもよい。そのような組成物は、医薬製剤の技術分野において周知の技術により調製され、ベンジルアルコールもしくはその他の適した保存料、バイオアベイラビリティを向上させるための吸収促進剤、フッ化炭素、及び/または当該技術分野において既知のその他の可溶化剤もしくは分散剤を使用して生理的食塩水中の溶液として調製されてもよい。
【0061】
本発明の一態様の組成物が、本明細書に記載されている式の化合物と、1つ以上の追加の治療薬または予防薬との組み合わせを含む場合、化合物及び追加の薬剤はともに、単剤療法の治療計画で通常投与される投与量の約1から100%の間、より好ましくは、約5から95%の間の投与量レベルで存在するべきである。追加の薬剤は、本発明の一態様の化合物とは別に、複数回投与計画の一部として投与されてもよい。あるいは、それらの薬剤は、単一の組成物として本発明の一態様の化合物と一緒に混合された単一剤形の一部であってもよい。
【0062】
本明細書に記載される方法によって調製される化合物は、例えば、約0.5から約100mg/体重kgの範囲の投与量、あるいは1mgから1000mg/用量の間の投与量で、4から120時間毎、または特定の薬物の要件に従って静脈、動脈、真皮下、腹腔内、筋肉または皮下注射によって投与されてもよく、あるいは経口的に、頬側に、経鼻的に、経粘膜的に、局所的に、眼科用調製物としてまたは吸入によって投与されてもよい。本明細書の方法は、所望の効果または指定された効果を達成するための有効量の化合物または化合物組成物の投与を企図する。一般に、本発明の一態様の医薬組成物は、1日当たり約1から約6回、あるいは継続的な注入として投与されるであろう。そのような投与は、長期の治療または短期の治療として使用されてもよい。単一剤形を製造するために担体物質と混合されてもよい活性成分の量は、治療される宿主及び投与の特定の様式に応じて変化するであろう。典型的な調製物は、約5%から約95%の活性化合物(w/w)を含むであろう。あるいは、そのような調製物は、約20%から約80%の活性化合物を含む。
【0063】
上記のものより低用量または高用量が必要とされる場合もある。任意の特定の対象に対する具体的な投与量及び処置計画は、利用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与の時間、排出の速度、薬物の組み合わせ、疾患の重症度及び過程、状態または症状、疾患に対する対象の性質、状態または症状、ならびに治療医師の判断を含むさまざまな要素に依存するであろう。
【0064】
対象の状態の改善時に、必要に応じて、維持量の本発明の一態様の化合物、組成物または組み合わせが投与されてもよい。その後、症状が所望のレベルに緩和された場合、投与量もしくは投与の頻度、またはその両方は、改善された状態が保持されるレベルに症状に応じて低減されてもよい。ただし、疾患症状のあらゆる再発時には、対象は長期ベースで断続的な治療が必要となる場合もある。
【0065】
本明細書に記載される方法によって調製される化合物を含む上記の医薬組成物は、癌を治療するのに有用な別の治療薬をさらに含んでもよい。
【0066】
使用の方法
本明細書に記載される方法によって調製される化合物の阻害活性は、米国特許出願第13/735,467号、公開第US/2013/0190287号、及び国際出願第PCT/US2014/049469号に記載されている方法によってIDH2変異体(例えば、IDH2 R140Q及びIDH2 R172K)に対して試験することができ、これらの文献のそれぞれは参照によってその全体を本明細書に援用する。
【0067】
本明細書に記載される方法によって調製される化合物は、突然変異IDH2活性を阻害する際に使用することができる。一実施形態において、突然変異IDH2は、R140X突然変異を有する。別の実施形態において、R140X突然変異は、R140Q突然変異である。別の実施形態において、R140X突然変異は、R140W突然変異である。別の実施形態において、R140X突然変異は、R140L突然変異である。別の実施形態において、突然変異IDH2は、R172X突然変異を有する。別の実施形態において、R172X突然変異は、R172K突然変異である。別の実施形態において、R172X突然変異は、R172G突然変異である。
【0068】
本明細書に記載される方法によって調製される化合物は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴づけられる癌を治療する際に使用することができる。一実施形態において、治療対象の癌は、IDH2の変異対立遺伝子によって特徴づけられ、IDH2突然変異は、患者においてα−ケトグルタル酸のR(−)−2−ヒドロキシグルタル酸へのNAPH依存性還元を触媒する酵素の新しい能力をもたらす。一実施形態において、突然変異IDH2は、R140X突然変異を有する。別の実施形態において、R140X突然変異は、R140Q突然変異である。別の実施形態において、R140X突然変異は、R140W突然変異である。別の実施形態において、R140X突然変異は、R140L突然変異である。別の実施形態において、突然変異IDH2は、R172X突然変異を有する。別の実施形態において、R172X突然変異は、R172K突然変異である。別の実施形態において、R172X突然変異は、R172G突然変異である。癌は、IDH2のアミノ酸140及び/または172における突然変異(例えば、突然変異において存在する変化したアミノ酸)の存在及び固有の性質を確認するために細胞試料の配列決定によって分析されてもよい。ある実施形態において、癌は、膠芽腫(神経膠腫)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPN)、急性骨髄性白血病(AML)、肉腫、メラノーマ、非小細胞肺癌、軟骨肉腫、胆管細胞癌または血管免疫芽球性リンパ種である。
【0069】
理論に縛られるものではないが、出願人は、IDH2突然変異がα−ケトグルタル酸のR(−)−2−ヒドロキシグルタル酸へのNAPH依存性還元を触媒する酵素の新しい能力をもたらすIDH2の変異対立遺伝子、特にIDH2のR140Q及び/またはR172K突然変異が、癌のすべてのタイプのサブセットを、それらの細胞の性質または体内の位置に関わりなく、特徴づけると考える。したがって、本明細書に記載される方法によって調製される化合物は、そのような活性を与えるIDH2の変異対立遺伝子、特にIDH2 R140Q及び/またはR172K突然変異の存在によって特徴づけられる任意のタイプの癌を治療するのに有用である。
【0070】
併用療法
一部の実施形態において、本明細書に記載される方法によって調製される化合物は、それを必要とする対象に第2の療法、例えば、追加の癌治療薬または追加の癌処置と同時に投与されてもよい。
【実施例】
【0071】
略語
【表1】
以下の実施例では、試薬を商業的供給業者(Alfa、Acros、Sigma Aldrich、TCI及びShanghai Chemical Reagent Companyを含む)から購入し、さらなる精製をせずに使用した。核磁気共鳴(NMR)スペクトルをBrucker AMX−400 NMR(Brucker、スイス)により得た。化学シフトはテトラメチルシランからの低磁場側の百万分率(ppm、δ)低磁場として報告した。質量スペクトルをWaters LCT TOF Mass Spectrometer(Waters、米国)のエレクトロスプレーイオン化(ESI)により行った。
【0072】
このセクションに開示されている例となる化合物に関して、立体異性体(例えば、(R)または(S)立体異性体)の指定は、指定の立体中心の化合物が少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、または99%まで濃縮されるようなその化合物の調製物を示す。以下に示される例となる化合物のそれぞれの化学名は、ChemDrawソフトウェアによって生成される。
【0073】
このようにいくつかの実施形態のいくつかの態様を記載したが、当業者が容易にさまざまな変更、改変、及び改善を思いつくであろうことが認識されるはずである。そのような変更、改変、及び改善は本開示の一部であることが意図され、本発明の趣旨および範囲内であることが意図される。したがって、前述の説明及び図は例に過ぎない。
【0074】
実施例1
式VIIIaの化合物の調製
【化39】
6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(10)。6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸のメタノール(770ml)溶液に濃HCl(6ml)を添加した。その混合物を80℃で48時間撹拌した後、濃縮して揮発性物質を除去した。粗生成物を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO溶液で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥し、濃縮して6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(10)を白色の固体として得た。LC−MS: m/z 206 (M+H)
【0075】
6−(6−トリフルオロメチル−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオン(11)。Na(32g、0.16mol)のエタノール(500mL)溶液に6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル及びビウレット(5.3g、0.052mol)を添加した。その混合物を加熱して1時間還流した。その後、濃縮して残留物を得、それを水に注ぎ、飽和NaHCO溶液を添加してpHを7に調節し、沈殿した固体をろ過によって回収し、乾燥して6−(6−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオン(11)を淡い白色の固体として得た。LC−MS: m/z 259(M+H)
【0076】
2,4−ジクロロ−6−(6−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン(12)。6−(6−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオン(11)のPOCl(48mL)溶液にPCl(23g、0.1mol)を添加した。その混合物を100℃で2時間撹拌した後、濃縮して揮発性物質を除去した。残留物を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO溶液で洗浄した。有機層を無水NaSO上で乾燥し、濃縮して2,4−ジクロロ−6−(6−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン(12)を黄色の固体として得た。LC−MS: m/z 294.9(M+H)
【0077】
1−[4−クロロ−6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−2−メチル−プロパン−2−オール(13)。無水THF(20mL)中の溶液(12)に1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オールを添加した。その混合物を室温で1時間撹拌した。その混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水NaSO上で乾燥し、濃縮して1−[4−クロロ−6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−2−メチル−プロパン−2−オール(13)を得て、それを次のステップに直接使用した。
【0078】
2−メチル−1−(4−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−6−(2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)プロパン−2−オール(式VIIIa)。1−[4−クロロ−6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−2−メチル−プロパン−2−オール(13)の無水ジオキサン(3mL)溶液に2−トリフルオロメチル−ピリジン−4−イルアミン(0.13g、0.78mmol)、t−BuONa(0.15g、1.56mmol)及びPd(dppf)Cl(0.057g、0.078mmol)を添加した。その混合物を80℃、N下において1時間撹拌した。その混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水NaSOで乾燥し、濃縮し、標準的な方法によって精製して、2−メチル−1−(4−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−6−(2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)プロパン−2−オール(式VIIIa)を得た。H NMR(メタノール−d) δ 8.62−8.68(m, 2 H), 847−8.50(m, 1 H), 8.18−8.21(m, 1 H), 7.96−7.98(m, 1 H), 7.82−7.84(m, 1 H), 3.56−3.63(d,J = 28 Hz, 2 H), 1.30(s, 6 H). LC−MS: m/z 474.3(M+H)
【0079】
実施例2
6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4(1H,3H)−ジオンの調製
【化40】
脱水ビウレット(12.5g、122mmol、0.5当量)をEtOH中のNaOEt溶液(488mmol、2.0当量、11.2gのNa及び1LのEtOHを用いて予め生成した)に50〜55℃で添加し、15分間撹拌した。メチル6−(トリフルオロメチル)ピコリナート(50g、244mmol、1.0当量)を添加し、その反応混合物を75〜80℃で2時間撹拌した。反応混合物の濃縮に続く濃HCl溶液を用いた中和によりスラリーを生成した。オフホワイトの固体をろ過によって回収し、水で洗浄し、真空下において乾燥して、16gの生成物を得た(25%収率)。
【0080】
実施例3
脱水剤としてTi(OEt)4を用いた6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4(1H,3H)−ジオンの調製
【化41】
750mLのEtOH中のメチル6−(トリフルオロメチル)ピコリナート(50g、244mmol、1.0当量)及びビウレット(30.2g、293mmol、1.20当量)の混合物を30〜35℃で10〜20分間撹拌した。チタンテトラエトキシド(Ti(OEt)、27.8g、122mmol、0.5当量)を添加し、30〜35℃で30〜60分間撹拌した。EtOH中のEtONa溶液(350g、19%wt、978mmol、4.0当量)を添加し、その反応混合物を3時間55〜65℃に加熱した。その反応混合物を濃縮し、室温に冷まし、700mLの水で希釈した。濃HCl溶液を添加して、pH値をpH1以下に調節した。塩化メチレン(DCM、700mL)を入れ、スラリーを20〜30℃で5〜7時間撹拌した。固体をろ過によって回収し、ケークを6NのHClで2回、水で2回、DCMで1回連続的に洗浄した。湿ったケークを50〜60℃の真空下において乾燥して、6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4(1H,3H)−ジオンをオフホワイトの固体として得た(45.0g、174mmol、71%収率)。
【0081】
実施例4
脱水剤としてHC(OMe)及びTFAを用いた6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4(1H,3H)−ジオンの調製
【化42】
実施例2による手順を、脱水剤として0.6当量のギ酸トリメチル(HC(OMe))及び0.05当量のトリフルオロ酢酸(TFA)を使用して行った。200g規模の反応に対して57%単離収率が得られた(200gのメチル6−(トリフルオロメチル)ピコリナート)。
【0082】
実施例5
2−メチル−1−((4−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−6−((2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)プロパン−2−オール(VIIIa)の調製
【化43】
ステップ1
窒素下でガラス反応器(2L)に化合物10(0.030kg、0.146mol、1当量)、エタノール(0.360kg、12当量)及びビウレット(0.018kg、0.175mol、1.2当量)を入れた。その反応混合物を30〜35℃に加熱し、10〜20分間撹拌した。Ti(OEt)を(0.0168kg、0.56当量)を入れた。その反応混合物を30〜35℃に加熱し、30〜60分間撹拌した。EtOH中の19%のNaOEt溶液(0.2625kg、8.75当量)を2時間かけて入れた。その反応混合物を2時間かけて55〜65℃に加熱し、2〜4時間撹拌した。その反応混合物を真空下で(IT<60℃)0.2Lにまで濃縮した。その反応混合物を20〜30℃に冷ました。水(0.450kg、15当量)、HClの35%水溶液(0.135kg、4.5当量)、及びDCM(0.200kg、6.67当量)。粗生成物を20〜30℃で5〜6時間置き、その後、ろ過した。粗生成物を水(0.5〜1当量)で洗浄した。粗生成物を水(0.450kg、15当量)、NaOH(0.0215kg、0.712当量)に入れ、20〜30℃で2〜4時間撹拌した。粗生成物をセライト(0.009kg、0.3当量)を通してろ過し、水(0.040kg、1.333当量)で洗浄した。ろ過した生成物を、20〜30℃でHClの35%溶液(0.060kg、2当量)及び水(0.225kg、7.5当量)に少なくとも3時間かけて滴加した。その生成物を20〜30℃に加熱し、1〜2時間撹拌した。その生成物をろ過し、水(6当量)で洗浄し、真空下50〜70℃において20〜40時間乾燥した。単離収率:25.3gの化合物11(67%);HPLC純度100.0%a/a
【0083】
ステップ2
窒素下でガラス反応器(15L)に化合物11(0.892kg、3.46mol、1当量)、BTEAC(1.970kg、8.65mol、2.5当量)、及びPOCl(2.150kg、14.0mol、4.1当量)を入れた。その反応混合物を95〜98℃に18時間、反応が完了するまで加熱した。その反応混合物を真空下(IT 82〜90℃)で3.5Lにまで濃縮した後、EtOAc(8.5kg)で希釈した。そのバッチを減圧下において4Lにまで濃縮した後、EtOAc(2.0kg)で再び希釈した。2回のさらなるサイクル(希釈に続く濃縮)を実施した。最後に、2つの液相混合物が生じたとき、残留物をEtOAc(11.2kg)で希釈した。BTEAC、いくらかのPOCl及び化合物12(120g、バッチの9%)を含む下層を分離し、廃棄した。
【0084】
50Lの丸底フラスコにNaHPO(785g)、NaHPO(1779g)、及び水(10.7L)を入れた。リン酸緩衝液を5℃に冷却し、ITを7〜10℃に維持しながら、EtOAc中の反応混合物をゆっくりと35分かけて添加した。反応混合物のpHは5であった。層が分離した。水層をEtOAc(3.44kg)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(3.6kg)及びブライン(4.1kg)で洗浄した。そのバッチを減圧下において2Lの残留物まで濃縮した。そのバッチをヘプタン(5.8kg)で希釈し、その混合物を(4.4L)にまで濃縮した。得られたスラリーをヘプタン(5.8kg)で処理し、4.5Lにまで濃縮した。そのバッチを−3〜5℃に1時間冷却し、ろ過した。その生成物をヘプタン(2×1.3L)で洗浄し、40〜45℃で一晩乾燥した。単離収量:794gの化合物12(78%);HPLC純度99.2%a/a。
【0085】
ステップ3
窒素下でガラス反応器(15L)に化合物12(774g、2.62mol、1当量)及びMeTHF(3.300kg)を入れた。得られた混合物を10分間撹拌した後、2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−アミン(875g、5.40mol、2.1当量)を一度にその反応器に入れた。その反応混合物を20℃で3時間置いた後、60〜65℃に15.5時間、反応が完了するまで加熱した。2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−アミンの塩酸塩をろ過除去し、Me−THF(2×1.060kg)で洗浄した。合わせたMe−THF溶液(ろ液+洗浄液)を0.5NのHCl(2×2L)で洗浄した。そのバッチをヘプタン(1.35kg)で希釈し、得られた黄色の溶液を水(2×2.1L)で洗浄した。最後に、有機層をブライン(0.6kg)で洗浄し、蒸留により脱水した。Me−THF/ヘプタン混合物をヘプタン(2.2kg)で31〜35℃において処理した。追加のヘプタン(3.69kg)を入れ、その混合物を真空下で7.4Lにまで濃縮した。その混合物をヘプタン(2.13kg)で希釈し、真空下で7.4Lにまで濃縮した後、ヘプタン(2.13kg)で希釈した。そのバッチを20〜22℃で2時間置いた。最後に、その生成物をろ過により単離し、ヘプタン(2×1.1L)で洗浄し、35℃で22時間乾燥した。単離収量:1.068kgの14(97%)、淡黄色の粉末として。HPLC純度98.5%a/a。
【0086】
ステップ4
窒素パージした15Lのガラス反応器に化合物14(1.038kg、2.47mol、1当量)を入れた後、Me−THF(6.176kg)及びDIEA(0.384kg、2.97mol、1.2当量)を入れた。得られた混合物を室温で撹拌した後、20〜30℃に維持しながら、Me−THF(2.647kg)中の1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール(0.265kg、2.97mol、1.2当量)をゆっくりと入れた。反応の完了後、水(2.6L)及びn−ヘプタン(2.076kg)を添加した。その混合物を20分間撹拌し、水層を除去し、水(2.6L)を添加し、0.1NのHClを使用して水相のpHを7に調節した。水層を除去し、有機層を水(2×2.6L)、4%NaHCO(1.1L)、及び水(1.15L)で洗浄した。有機層を真空下で3.4Lにまで濃縮した。Me−THF(4.950kg)を添加し、その混合物を3.4Lまで濃縮した。残留物をMe−THF(4.931kg)で希釈した。その溶液を1.2μインラインフィルターを通して浄化した。浄化した溶液を2.6Lにまで濃縮した。残留物を45℃に加熱した後、45℃に維持しながら、n−ヘプタン(2.599kg)をゆっくりと添加した。そのバッチに2−メチル−1−((4−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−6−((2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)プロパン−2−オール(10g)を入れた。45℃に維持しながらn−ヘプタン(2.599kg)をゆっくりと添加した。1時間後、そのバッチを20℃まで冷ました。その混合物を20Cで1時間撹拌した。そのバッチをろ過した。その固体をn−ヘプタン(2×1L)で洗浄した後、オーブン中において35℃で20時間真空乾燥した。単離収量:1.124kgの2−メチル−1−((4−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−6−((2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)プロパン−2−オール(96%)、淡黄色の粉末として。
【0087】
このようにいくつかの実施形態のいくつかの態様がされたが記載される、当業者が容易にさまざまな変更、改変、及び改善を思いつくであろうことが認識されるはずである。そのような変更、改変、及び改善は本開示の一部であることが意図され、及び本発明の趣旨および範囲内であることが意図される。したがって、前述の説明及び図は例に過ぎない。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
環Aが任意に置換された5〜6員単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールである式(I):
(化1)
を有する化合物を調製する方法であって、前記方法は、Rがアルキル、アルケニルまたはアルキニルである式(II):
(化2)
の化合物を、脱水剤の存在下において
(化3)
(ビウレット)と反応させることを含む、前記方法。
(構成2)
式(Ia):
(化4)
の化合物を調製する方法であって、前記方法は、式(IIa):
(化5)
の化合物を、脱水試薬の存在下において
(化6)
(ビウレット)と反応させて、前記式(Ia)の化合物を得ることを含む、前記方法。
(構成3)
前記脱水試薬は、オルトギ酸トリメチル(HC(OMe))及び触媒量のトリフルオロ酢酸(TFA)を含む、構成2に記載の方法。
(構成4)
前記脱水試薬は、チタン(IV)エトキシドを含む、構成2に記載の方法。
(構成5)
前記反応は、塩基の存在下におけるものである、構成2に記載の方法。
(構成6)
前記塩基は、ナトリウムエトキシドである、構成5に記載の方法。
(構成7)
前記式(II)の化合物は、式(III)
(化7)
の化合物を酸ハロゲン化物及びアルコールと反応させることによって調製される、構成1に記載の方法。
(構成8)
前記式(IIa)化合物は、式(IIIa):
(化8)
の化合物を塩化水素及びメタノールと反応させることによって調製される、構成2に記載の方法。
(構成9)
前記式(I)の化合物をハロゲン化して、Xがハロゲンである式(IV)
(化9)
の化合物を得ることをさらに含む、構成1または7のいずれか1項に記載の方法。
(構成10)
前記式(Ia)の化合物をベンジルトリエチルアンモニウムクロリド及びPOClと反応させて、式(IVb)
(化10)
の化合物を得ることをさらに含む、構成2〜6または8のいずれか1項に記載の方法。
(構成11)
式(IV)の化合物を、環Bが任意に置換された5〜6員単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールである式(V)
(化11)
の化合物と反応させて、式(VI)
(化12)
の化合物を得ることをさらに含む、構成9に記載の方法。
(構成12)
前記式(IVb)の化合物を式(Va)
(化13)
の化合物と反応させて、式(VIa)
(化14)
の化合物を得ることをさらに含む、構成10に記載の方法。
(構成13)
式(VI)の化合物を式(VII)
(化15)
の化合物と反応させて、式(VIII)
(化16)
の化合物を得ることをさらに含む、構成11に記載の方法。
(構成14)
式(VIa)の化合物を式(VIIa)
(化17)
の化合物と反応させて式(VIIIa)
(化18)
の化合物を得ることをさらに含む、構成12に記載の方法。
(構成15)
式(VIIIa)
(化19)
の化合物を調製する方法であって、前記方法は、
a)化合物(Ia)
(化20)
をベンジルトリエチルアンモニウムクロリド及びPOClと反応させて化合物(IVb)
(化21)
を得ること、
b)化合物(IVb)を2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−アミンと反応させて、化合物(VIb)
(化22)
を得ること
ならびに
c)化合物(VIb)を1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オールと反応させて、前記式(VIIIa)の化合物を得ることを含む、前記方法。
(構成16)
ステップa)は、約18時間約95〜98℃に加熱することを含む、構成15に記載の方法。
(構成17)
ステップb)は、約20℃で約3時間置いた後、約15.5時間約60〜65℃に加熱することを含む、構成15に記載の方法。
(構成18)
ステップb)は、メチルテトラヒドロフラン中で行われる、構成15に記載の方法。
(構成19)
ステップc)は、約20〜30℃で行われる、構成15に記載の方法。
(構成20)
ステップc)は、ジイソプロピルエチルアミンの存在下において行われる、構成15に記載の方法。
(構成21)
化合物(Ia)は、
(化23)
を、脱水試薬の存在下において
(化24)
と反応させることによって調製される、構成15に記載の方法。
(構成22)
前記脱水剤は、オルトギ酸トリメチル及びトリフルオロ酢酸を含む、構成21に記載の方法。
(構成23)
前記脱水剤は、チタン(IV)エトキシドを含む、構成21に記載の方法。
(構成24)
前記反応は、塩基の存在下において行われる、構成21に記載の方法。
(構成25)
前記塩基は、ナトリウムエトキシドである、構成21に記載の方法。