(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816163
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】少なくとも1つの物体を捕捉する方法、センサー装置のデバイス、センサー装置及び少なくとも1つのセンサー装置を備えるドライバー支援システム
(51)【国際特許分類】
G01S 17/89 20200101AFI20210107BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20210107BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20210107BHJP
G06T 7/521 20170101ALI20210107BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
G01S17/89
G01S17/931
G06T7/00 650
G06T7/521
G08G1/16 C
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-549781(P2018-549781)
(86)(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公表番号】特表2019-516078(P2019-516078A)
(43)【公表日】2019年6月13日
(86)【国際出願番号】EP2017056916
(87)【国際公開番号】WO2017162788
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2018年11月20日
(31)【優先権主張番号】102016105536.0
(32)【優先日】2016年3月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、ブローブ
【審査官】
藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−226194(JP,A)
【文献】
特開2004−021496(JP,A)
【文献】
特開2007−240384(JP,A)
【文献】
特開2007−257338(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0282581(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48− 7/51
G01S 17/00−17/95
G01C 3/06
G06T 7/00
G06T 7/521
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の少なくとも1つのセンサー装置を用いた少なくとも1つの物体の光学的な捕捉のための方法であって、前記少なくとも1つのセンサー装置を使って光学的な送信信号が監視領域内に送信され、前記少なくとも1つの物体のオブジェクトポイントから反射される送信信号が、前記少なくとも1つのセンサー装置の主監視方向を基準にした角度分解能を有する受信信号として捕捉され、前記少なくとも1つのセンサー装置に対する前記少なくとも1つの物体の前記オブジェクトポイントの空間分布が、前記送信信号と前記受信信号との間の関係から検出され、前記少なくとも1つの物体が固定又は非固定としてカテゴリー分類され、前記少なくとも1つの物体の少なくとも1つの領域において捕捉される前記オブジェクトポイントの空間密度が検出され、前記捕捉されるオブジェクトポイントの前記密度が予め決められることができる又は予め決められた閾値よりも小さい場合、前記少なくとも1つの物体は固定されているものとしてカテゴリー分類されることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1つのセンサー装置から離れるように向けられている前記少なくとも1つの物体のセグメントにおいて、前記捕捉されるオブジェクトポイントの前記密度が検出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの物体の少なくとも1つの延在方向が検出され、前記少なくとも1つの延在方向が前記主監視方向に対して平行に及び/又は斜めに延びる場合、前記少なくとも1つの物体は固定物体としてカテゴリー分類されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの物体の少なくとも1つの延在方向が検出され、前記少なくとも1つの物体の少なくとも2つの延在方向であってお互いに対して斜めに延びる前記少なくとも1つの物体の少なくとも2つの延在方向が捕捉される場合、前記少なくとも1つの物体は非固定としてカテゴリー分類されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が複数回実行され、そこから生じるカテゴリー分類が統計的に処理されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの物体の前記車両に対する相対速度は、前記送信信号と前記受信信号との間の関係から検出され、前記相対速度が約0m/sの一般的オーダーである場合、前記少なくとも1つの物体のカテゴリー分類は、前記オブジェクトポイントの前記密度に基づいて及び/又は前記少なくとも1つの物体の延在方向に基づいて、実行され、そうでなければ更なるカテゴリー分類が行われないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの物体の少なくとも1つのオブジェクトポイントの距離及び/又は相対速度は、サンプリング光飛行時間測定方法に基づいて、検出されることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの物体の光学的捕捉のための請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法を実行するための、車両の光学センサー装置のデバイスであって、前記少なくとも1つのセンサー装置の主監視方向を基準とした送信信号及び/又は受信信号の伝搬方向の少なくとも1つの角度分解能を検出するための少なくとも1つの分析コンポーネントであって、前記送信信号と前記受信信号との間の関係から少なくとも1つのセンサー装置に対する、前記送信信号が反射される少なくとも1つの物体のオブジェクトポイントであって当該送信信号が受信信号として前記センサー装置に戻されるオブジェクトポイントの空間分布を検出するための少なくとも1つの分析コンポーネントを有し、前記デバイスは、前記少なくとも1つの物体を固定又は非固定にカテゴリー分類するための少なくとも1つのカテゴリー分類コンポーネントを備え、前記少なくとも1つのカテゴリー分類コンポーネントは、前記少なくとも1つの物体の少なくとも1つの領域において捕捉される前記オブジェクトポイントの少なくとも1つの空間密度を検出するための少なくとも1つの密度検出装置と、前記密度を予め決められた又は予め決められることができる閾値と比較するための且つ比較の結果に応じて前記少なくとも1つの物体を固定又は非固定にカテゴリー分類するための少なくとも1つの比較装置と、を備えることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
少なくとも1つの物体の光学的捕捉のための請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の方法の実行のための請求項8に記載の、少なくとも1つのデバイスを有する車両のセンサー装置であって、光学的送信信号を監視領域内に送信するための少なくとも1つのトランスミッターと、前記少なくとも1つの物体のオブジェクトポイントで反射された送信信号の受信信号としての捕捉のための少なくとも1つのレシーバーとを有するセンサー装置であって、前記デバイスは、前記少なくとも1つのセンサー装置の主監視方向に関する前記送信信号及び/又は前記受信信号の伝搬方向の少なくとも1つの角度分解能を検出するための且つ前記送信信号と前記受信信号との間の関係から前記少なくとも1つのセンサー装置に対する前記少なくとも1つの物体の前記オブジェクトポイントの空間分布を検出するための少なくとも1つの分析コンポーネントを備え、前記デバイスは、前記少なくとも1つの物体を固定又は非固定にカテゴリー分類するための少なくとも1つのカテゴリー分類コンポーネントを備え、前記少なくとも1つのカテゴリー分類コンポーネントは、前記少なくとも1つの物体の少なくとも1つの領域において捕捉される前記オブジェクトポイントの少なくとも1つの空間密度を検出するための少なくとも1つの密度検出装置と、前記密度を予め決められた又は予め決められることができる閾値と比較するための且つ比較の結果に応じて前記少なくとも1つの物体を固定又は非固定にカテゴリー分類するための少なくとも1つの比較装置と、を備えることを特徴とするセンサー装置。
【請求項10】
少なくとも1つの物体の光学的捕捉のための、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の方法の実行のための、請求項8に記載の、少なくとも1つのデバイスを有する、請求項9に記載の、少なくとも1つのセンサー装置を有する車両のドライバー支援システムであって、光学的送信信号を監視領域内に送信するための少なくとも1つのトランスミッターと、前記少なくとも1つの物体のオブジェクトポイントで反射された送信信号の受信信号としての捕捉のための少なくとも1つのレシーバーとを有するドライバー支援システムであって、前記デバイスは、前記少なくとも1つのセンサー装置の主監視方向に関する前記送信信号及び/又は前記受信信号の伝搬方向の少なくとも1つの角度分解能を検出するための且つ前記送信信号と前記受信信号との間の関係から前記少なくとも1つのセンサー装置に対する前記少なくとも1つの物体の前記オブジェクトポイントの空間分布を検出するための少なくとも1つの分析コンポーネントを備え、前記デバイスは、前記少なくとも1つの物体を固定又は非固定にカテゴリー分類するための少なくとも1つのカテゴリー分類コンポーネントを備え、前記少なくとも1つのカテゴリー分類コンポーネントは、前記少なくとも1つの物体の少なくとも1つの領域において捕捉される前記オブジェクトポイントの少なくとも1つの空間密度を検出するための少なくとも1つの密度検出装置と、前記密度を予め決められた又は予め決められることができる閾値と比較するための且つ比較の結果に応じて前記少なくとも1つの物体を固定又は非固定にカテゴリー分類するための少なくとも1つの比較装置と、を備えることを特徴とするドライバー支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の少なくとも1つのセンサー装置を用いて少なくとも1つの物体を特に光学的に捕捉する方法に関し、特に、少なくとも1つのセンサー装置を使って、光学的に送信される信号が監視領域に送信され、少なくとも1つの物体のオブジェクトポイントから反射される送信信号が、少なくとも1つのセンサー装置の主監視方向を基準にして角度分解能を有する受信信号として捕捉され、少なくとも1つのセンサー装置に対する少なくとも1つの物体のオブジェクトポイントの空間分布が、送信信号と受信信号との間の関係から検出され、少なくとも1つの物体が固定又は非固定としてカテゴリー分類される。
【0002】
本発明は更に、少なくとも1つの物体の特に光学的捕捉のための、特に本発明による方法を実行するための、少なくとも1つのセンサー装置の主監視方向を基準にした送信信号及び/又は受信信号の伝搬方向の少なくとも1つの角度分解能を検出するための及び送信信号が反射される少なくとも1つの物体のオブジェクトポイントであって当該送信信号が受信信号としてセンサー装置に戻されるオブジェクトポイントの空間分布を送信信号と受信信号との間の関係から少なくとも1つのセンサー装置に対して検出するための少なくとも1つの分析コンポーネントを有する車両の特に光学センサー装置のデバイスに関し、そのデバイスは、少なくとも1つの物体を固定又は非固定としてカテゴリー分類するための少なくとも1つのカテゴリー分類コンポーネントを備える。
【0003】
本発明は更に、少なくとも1つの物体の特に光学的捕捉のための、特に本発明による方法を実行するための、特に光学的送信信号を監視領域内に送信するための少なくとも1つのトランスミッターと、少なくとも1つの物体のオブジェクトポイントで反射された送信信号を受信信号として受信するための少なくとも1つのレシーバーと、を有する少なくとも1つのデバイスを有する車両のセンサー装置に関し、そのデバイスは、少なくとも1つのセンサー装置の主監視方向を基準にした送信信号及び/又は受信信号の伝搬方向の少なくとも1つの角度分解能を検出するための、及び送信信号と受信信号との間の関係から少なくとも1つのセンサー装置に対する少なくとも1つの物体のオブジェクトポイントの空間分布を検出するための少なくとも1つの分析コンポーネントを備え、そのデバイスは、少なくとも1つの物体を固定又は非固定としてカテゴリー分類する少なくとも1つのカテゴリー分類コンポーネントを備える。
【0004】
更に、本発明は、特に少なくとも1つの物体の光学的捕捉のための、特に本発明による方法を実行するための、特に光学的送信信号を監視領域内に送信するための少なくとも1つのトランスミッター及び少なくとも1つの物体のオブジェクトポイントで反射された送信信号を受信信号として受信するための少なくとも1つのレシーバーを有する少なくとも1つのデバイスを有する少なくとも1つのセンサー装置を有する車両のドライバー支援システムに関し、そのデバイスは、少なくとも1つのセンサー装置の主監視方向を基準とした送信信号及び/又は受信信号の伝搬方向の少なくとも1つの角度分解能を検出するための、及び送信信号と受信信号との間の関係から少なくとも1つのセンサー装置に対する少なくとも1つの物体のオブジェクトポイントの空間分布を検出するための、少なくとも1つの分析コンポーネントを備え、そのデバイスは、少なくとも1つの物体を固定又は非固定としてカテゴリー分類する少なくとも1つのカテゴリー分類コンポーネントを備える。
【背景技術】
【0005】
前方で進行する車両などの障害物の距離及び相対速度の検知のためのレーダーデバイスはEP 0 932 052 A2から知られている。レーダーデバイスは、クラッシュバリア(crash barriers)等のような固定物体を認識するための固定物体識別部と、そのような固定物体に属すると識別されたデータの除去の固定物体分離部とを有する。固定物体認識部は、レーダビームの送信周波数と受信周波数との間の差として検出されるビート周波数スペクトルにおけるピーク密度を検知する。固定物体認識部は、ピーク密度が所定の値を超える固定物体として、ピークグループを認識する。したがって、ピーク密度から道路のエッジにおける固定物体を認識することが可能である。
【0006】
本発明は、冒頭で言及されたタイプの方法、センサー装置のデバイス、センサー装置及びドライバー支援システムを設計する目的に対処し、それらによって、特に単純化された及び/又はより正確な、改善されたやり方で固定物体の認識が実現されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP 0 932 052 A2
【発明の概要】
【0008】
この目的は、本発明に基づく、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの領域において捕捉されたオブジェクトポイントの空間密度が検出され、捕捉されたオブジェクトポイントの密度が予め決定可能な又は予め決定された閾値よりも小さい場合、少なくとも1つの物体は固定しているとカテゴリー分類される方法によって達成される。
【0009】
本発明によれば、少なくとも1つの物体の複数のオブジェクトポイントが角度分解能で捕捉される。ここで角度依存性は、センサー装置の主監視方向に対する、対応する送信信号及び/又は受信信号の伝搬方向の角度から検出される。有利には、送信信号及び/又は受信信号の伝播方向の角度距離であって、それによって監視領域が捕捉される送信信号及び/又は受信信号の伝播方向の角度距離は、等しくすることができる。捕捉されたオブジェクトポイントでは送信信号が衝突して反射されて受信信号を形成し、捕捉されたオブジェクトポイント間の距離は、主監視方向に対する少なくとも1つの物体の向きに応じて変化する。送信信号が少なくとも1つの物体の表面に垂直に衝突する場合、捕捉されたオブジェクトポイントの最大密度が認識される。捕捉されたオブジェクトポイントの最小密度は、少なくとも1つの物体の表面が主監視方向とほぼ平行に走る場合に実現され、送信信号は、対応する小さな角度で少なくとも1つの物体に衝突する。この三角測量的関係は、非固定物体から固定物体を区別するために本発明に基づいて使用される。
【0010】
有利には、送信信号は送信ビームとして実現可能であり、及び/又は、受信信号は受信ビームとして実現可能である。有利には、送信信号及び/又は受信信号は、光学的に又は他の何らかの方法で空間において伝搬可能である。
【0011】
本発明に関して、固定又は静的とは、物体が特に道路に対して固定されていることを意味する。特に、クラッシュバリアや道路境界は、固定物体である。これとは対照的に、動いていない車両は、原則的に道路に対して移動することができるので、本発明に関しては固定していないとみなされる。その目的は、固定物体、特に長いクラッシュバリア、を、非固定物体、特に他の車両、と区別することである。
【0012】
本発明によれば、捕捉されたオブジェクトポイントの密度は、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの領域において検出される。その密度は、予め決定可能な閾値と比較される。その閾値は、特に経験的に予め決定されることが可能であり、センサー装置のメモリデバイスに記憶されることが可能である。代替的又は追加的に、閾値は、センサー装置が動作している間に、動的に決定されることが可能である。
【0013】
その密度が予め決定可能な閾値よりも低い場合、物体が固定物体であると推定することができる。そして検査された物体は、それに応じて固定しているとカテゴリー分類される。本発明に関し、カテゴリー分類とは、固定又は非固定であるという観点で物体を特徴付ける少なくとも1つの情報項目、特に値、大きさ及び/又は信号など、が生成されることを意味する。この情報は、更なる処理のために、又は更なる方法ステップのための決定基盤として利用可能にすることができる。
【0014】
少なくとも1つの物体が固定しているとカテゴリー分類される場合、少なくとも1つの評価の大きさ及び/又は少なくとも1つの見込みの大きさが有利には生成及び/又は変更されることが可能である。代替的に又は付加的に、少なくとも1つの物体が非固定であるとカテゴリー分類される場合、少なくとも1つの対応する反対の評価の大きさを生成及び/又は変更することができる。少なくとも1つの物体の固定物体としての判断のための見込みの大きさは、反対の評価の大きさによって否定的な影響が及ぼされうる。特に、固定物体としてのカテゴリー分類のための評価の大きさは、正の値を持つことが可能であり、非固定物体としてのカテゴリー分類のための対応の反対の評価は対応の負の値を持つことが可能であり、或いは逆も同様である。
【0015】
少なくとも1つの評価の大きさ及び/又は少なくとも1つの見込みの大きさは、有利にはデジタル値又はカウンターとすることができる。少なくとも1つの評価の大きさ及び/又は少なくとも1つの見込みの大きさは、物体の固定又は非固定としてのカテゴリー分類のために使用されることが可能である。少なくとも1つの評価の大きさ及び/又は少なくとも1つの見込みの大きさは、特に、ドライバー支援システムの電子装置に伝えられうる。
【0016】
有利には、本発明による方法は、トラッキングとして知られている物体を追従するための方法と組み合わせて使用可能である。ここで物体は、少なくとも1つのセンサー装置によって捕捉されることが可能であり、それらの時間的挙動、特に車両自体を基準としたそれらの距離及び/又はそれらの相対速度を監視可能である。ここで、方法の以前の実行と比較して物体の位置が変化しているかどうかが検出される。本発明による方法によって、少なくとも1つのセンサー装置によって全体を捕捉できないクラッシュバリアなどの固定物体が、非固定又は動的として誤って監視されることを回避することが可能である。この不正確な評価は、監視領域をチェックすることの継続実行中に、一見したところ車両と共に移動する関連する固定物体、特にクラッシュバリア、の異なる部分的なセグメントが毎回捕捉されることによって、引き起こされうる。本発明による方法では、そのような物体は固定しているものとして捕捉され、それに応じて分類される。
【0017】
有利には、少なくとも1つのセンサー装置は、送信信号で監視領域を捕捉することができる。少なくとも1つのセンサー装置の主監視方向は、ここで監視領域の中心を通過することができる。
【0018】
有利には、本発明による方法は、予備的分類として、後続の分類として、又は捕捉された物体の固定又は非固定としての最終分類として、使用されうる。予備的分類によって、物体の更なるトラッキングが必要及び/又は有用であるかどうかについて、監視の初期段階で決定することが可能である。その方法は、このようにしてより効率的に、特に時間を節約するように、設計されることが可能である。
【0019】
少なくとも1つのセンサー装置は、有利には車両の前面に配置されることができる。このようにして、少なくとも1つのセンサー装置は、車両の前方の進行の方向における監視領域を監視することができる。代替的又は追加的に、少なくとも1つのセンサー装置は、車両の側面及び/又は後面に配置されることができる。
【0020】
有利には、少なくとも1つのセンサー装置の主監視方向は、操舵角が中央であるときの車両の進行の通常の方向に対して平行に延びている。代替的又は追加的に、少なくとも1つのセンサー装置は異なるようにも配置可能である。
【0021】
水平監視領域は、有利には、少なくとも1つのセンサー装置によって監視されることが、特にサンプリングされることが、できる。このようにして、特に車両の前方において、可能な限り大きな領域が、適切に大きな幅で、捕捉されることができる。代替的又は追加的に、少なくとも1つの監視領域は、程度の差はあるが大きな鉛直範囲を含むことができる。このように、少なくとも1つのセンサー装置を用いて、様々な高さを監視することができる。
【0022】
少なくとも1つの物体の延在、特に広がりの方向及び/又は形状は、有利には、オブジェクトポイントの密度を検出する前に、検出されることができる。このようにして、関心が持たれている物体がより良く割り当てられることができる。非固定物体による、特に車両による、固定物体の、特にクラッシュバリアにおけるスペースの、潜在的な隠蔽は、このようにして特に認識されることが可能である。
【0023】
道路中心からの少なくとも1つの物体の距離が、有利には検出されることができる。このようにして、少なくとも1つの物体の識別のための更なる基準を決めることが可能である。
【0024】
有利には、物体のオブジェクトポイントがクラスターに割り当てられることができる。クラスターの少なくとも1つの領域内のオブジェクトポイントの密度が閾値よりも小さいかどうかを判定することが可能である。
【0025】
少なくとも1つのセンサーデバイスは、有利には、車両の少なくとも1つの電子制御装置、特にドライバー支援システム及び/又はシャシーコントローラー及び/又はドライバー情報装置に接続されることができ、又は車両の少なくとも1つの電子制御装置、特にドライバー支援システム及び/又はシャシーコントローラー及び/又はドライバー情報装置の一部とすることができる。
【0026】
有利には、少なくとも1つのセンサー装置は、走査システムとすることができる。ここで監視領域は、送信信号によって、サンプリングされることができ、つまりスキャンされることができる。該当の送信信号、特に送信ビーム、は、この目的のために、監視領域にわたってそれらの伝播方向に関して言ってみれば旋回されることができる。
【0027】
有利には、少なくとも1つのセンサー装置は、レーザーベースの距離測定システムとすることができる。レーザーベースの距離測定システムは、その光源として少なくとも1つのレーザー、特にレーザーダイオードを含む。パルス送信ビームは、特に、少なくとも1つのレーザーによって送信信号として送信されることが可能である。人間の目に見えるか又は見えない周波数範囲の送信信号は、レーザーで放射されることができる。レーザーベースの距離測定システムは、有利にはレーザースキャナーとすることができる。監視領域は、特にレーザースキャナーを用いてパルスレーザービームでサンプリングされることができる。
【0028】
本発明は、車両、特に動力車両、で使用される。本発明は、有利には、陸上車両、特に乗用車、トラック、バス、オートバイなどに使用されることができる。
【0029】
その方法の有利な実施形態において、少なくとも1つのセンサー装置から離れる方向に向いている少なくとも1つの物体のセグメントで、捕捉されたオブジェクトポイントの密度を決めることができる。対応する捕捉されたオブジェクトポイントの、少なくとも1つのセンサー装置からの距離が大きいほど、主監視方向と平行に延びる物体のオブジェクト表面に少なくとも1つの送信信号が当たる角度は、よりフラットになる。隣接するオブジェクトポイント間の距離は対応して大きくなり、オブジェクトポイントの密度はそこにおいて対応してより小さくなる。したがって、その方法の精度を総じて向上させることができる。
【0030】
その密度は、有利には、少なくとも1つのセンサー装置から離れるように向いているクラスターの一部から捕捉されたオブジェクトポイントから決定されることができる。
【0031】
固定物体、特にクラッシュバリアは、それに対応して、主監視方向の又は道路の方向に大きな延在部を有する。このように、対応の大きな密度差が、特に大きな距離で、認識可能である。一方、ニアフィールド、特に少なくとも1つのセンサー装置の近くでは、オブジェクトポイントが互いに接近しているので、ここでは固定物体と非固定物体、特に他の車両、との区別がより困難になりうる。
【0032】
非固定物体では均一に高密度の分布が得られることができる。固定物体の場合、特にセンサー装置から遠ざかるように向けられているセグメントにおいて、捕捉されたオブジェクトポイントに関して非固定物体とは異なる密度分布が検出される。遠方の非固定物体、特に車両、の場合、側面はその後面によって隠されることができ、したがって少なくとも1つのセンサー装置によって捕捉されることができない。クラッシュバリアなどの固定物体は、それら表面が普通は主監視方向とほぼ平行に延びており、少なくとも1つのセンサー装置からより大きな距離であっても捕捉されることが可能である。
【0033】
本方法の更なる有利な実施形態において、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの延在方向が決定されることができ、少なくとも1つの延在方向が主監視方向に対して平行及び/又は斜めに延びる場合、その少なくとも1つの物体は固定物体としてカテゴリー分類されることができる。
【0034】
このように物体のカテゴリー分類の精度が向上されることができる。クラッシュバリアや道路境界は、特に通常は、道路と平行に延びる。この方法において、道路に垂直に、すなわち主監視方向に垂直に、延びる物体は、本発明の観点から最初は固定しているとは見なされない。発明によるセンサー装置を有する車両が、主監視方向とともに移動の方向に及び道路に沿った移動の方向に位置付けられていると推定される場合、主監視方向に対して横切るように又は垂直に延びる物体は、本発明によると通常は非固定体である。このように、捕捉された物体の及びオブジェクトポイントの区切りを行うことができる。
【0035】
少なくとも1つの物体の少なくとも1つの延在の方向が主監視方向に対して平行及び/又は斜めに走る場合、対応する評価の大きさを有利に生成又は変更することができ、及び/又は方法を更に検査しながら続けることができる。
【0036】
少なくとも1つの物体の少なくとも1つの延在の方向が、主監視方向に対して平行及び/又は斜めに、すなわち特に主監視方向に対して横方向又は垂直に、延びない場合、少なくとも1つの物体は、有利には非固定物体としてカテゴリー分類されることができる。そして適切であれば、対応する反対の評価の大きさが有利には生成され又は変更されることができ、及び/又は方法を終了することができる。
【0037】
少なくとも1つの物体の延在方向が主監視方向に対して平行及び/又は斜めに走っているかどうかの検査は、有利には、捕捉されたオブジェクトポイントの密度の検出前に実行されることができる。延在方向が主監視方向に対して平行でも斜めでもない場合、このケースでは、物体は非固定であると推測されることができる。そしてその少なくとも1つの物体は、非固定としてカテゴリー分類されることができる。したがって、更なるチェックが不要である。このようにその方法は、より効率的かつ迅速に実施されることができる。
【0038】
代替的又は付加的に、その少なくとも1つの延在方向の検出が、捕捉されたオブジェクトポイントの密度の検出の後に実行されうる。この場合、物体の以前のカテゴリー分類を再度検査することができる。このようにして、空間的に固定した物体の評価の精度が総じて改良されることができる。
【0039】
その方法の更なる有利な実施形態において、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの延在方向を検出することができ、お互いに対して斜めに、特に垂直に、延びる、少なくとも1つの物体の少なくとも2つの延在方向が、捕捉される場合、少なくとも1つの物体は、非固定としてカテゴリー分類されることができる。
【0040】
このようにして、少なくとも1つの物体がエッジ又はコーナーを有するかどうかを捕捉することが可能である。特に、車両の場合、車両の後面は、車両の側面に対して垂直に延びることができる。そして後面は、主監視方向に対して直角に延在することができる。車両の側面は、主監視方向に対して平行に延びることができる。車両の2つの延在方向は、特にお互いに対して垂直に角度がつけられたものとして捕捉されることができる。固定物体、特にクラッシュバリア、は、通常はそのように延在することはないので、物体が非固定物体、特に車両、であると推定することができる。
【0041】
お互いに対して斜めに、特に垂直に、延びる少なくとも1つの物体の少なくとも2つの延在方向が捕捉される場合、その方法は、有利には、終了させられることができ、及び/又は固定物体に対して対応の評価の大きさが生成又は変更されることができる。
【0042】
お互いに対して斜めに、特に垂直に、延びていない少なくとも1つの物体の少なくとも2つの延在方向が捕捉される場合、その少なくとも1つの物体は有利には非固定とカテゴリー分類されることができ、及び/又はその方法は更なるチェックとともに続けられる。
【0043】
少なくとも2つの延在方向についての少なくとも1つの物体のチェック及びお互いに対するそれらの方向の検出が、有利には、オブジェクトポイントの空間分布から密度が検出される前に実行されうる。少なくとも2つの延在方向が互いに対して斜めに、特に垂直に、延びる場合、その方法はこの場合には早期に終了されることができる。非固定物体に関する適切な評価の大きさ及び/又は見込みの大きさは、ここで生成又は変更されることができる。
【0044】
代替的に又は付加的に、少なくとも2つの延在方向に関する少なくとも1つの物体のチェック及びお互いに対するそれらの方向の検出は、密度がオブジェクトポイントの空間分布から検出された後に実行されることができる。この場合、物体の以前のカテゴリー分類は再度チェックされ、特に確認され或いは確認されず、又は適切であれば取り消されることが可能である。適切な評価の大きさ及び/又は見込みの大きさが、この目的のために有利には生成され及び/又は変更されることができる。このように方法の精度及び/又は速度を概して改善することができる。
【0045】
複数の隣接するオブジェクトポイントがクラスターに割り当てられるアルゴリズムは、有利には、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの延在方向を検出するために使用されることができる。特に、この目的のために、いわゆるDouglas−Peuckerアルゴリズムが使用されることができる。ここでは、クラスター化されたオブジェクトポイントを通って線が引かれ、オブジェクトポイントの点群の形状が保持される。L字形又は直線のいずれも、通常は、固定又は非固定の物体を捕捉する際に生じる。L字形の場合、これは対応する物体のコーナー又はエッジである。車両の場合、これは後面から側面への移行でありうる。そのため、少なくとも1つの延在方向の捕捉の間に線が検出される場合、主監視方向に対するその方向を検出することができる。線が主監視方向に対して垂直に又はほぼ垂直に延びる場合、非固定物体であると想定されることができる。これは、特に、車両の後面がセンサー装置によって捕捉される場合でありうる。この場合、車両の側面は後面によって隠されうるものであり、センサー装置で捕捉することができない。線が主監視方向に対して平行に又は斜めに、すなわちほぼ平行に、延びている場合、それは車両の後面ではないということが推定されることができる。そして、それは、固定物体、特にクラッシュバリア、であり得る。しかしながら、それはまた、細長い非固定物体、特にその後面が少なくとも1つのセンサー装置の監視領域の外側に位置付けられるようにセンサー装置を備える車両の隣で斜めに配置されたトラック又はバス、である可能性がある。少なくとも1つの物体の少なくとも1つの領域における捕捉されたオブジェクトポイントの密度が追加的に検出され、予め決定可能な閾値と比較される、本発明による方法によってより正確な区別がなされうる。
【0046】
有利には、少なくとも1つの物体の分類は、オブジェクトポイントの密度に基づいて、延在方向の向きに基づいてクラスターを既に分類することができない場合に制限されることが可能である。これは、少なくとも1つのセンサーユニットの主監視方向に対して平行及び/又は斜めに1つの延在方向のみが捕捉されることができる物体の場合であることがある。
【0047】
捕捉されたオブジェクトポイントの密度の捕捉と捕捉されたオブジェクトポイントからの物体の延在方向の捕捉との組み合わせにより、固定物体と非固定物体へのカテゴリー分類の精度を改善することができる。それにより、特に、非固定物体、特に車両、による固定物体の隠蔽を、より良好に補償することができる。
【0048】
その方法の更なる有利な実施形態では、その方法は複数回実行され、そこから生じるカテゴリー分類は統計的に処理されうる。このようにして、対応するカテゴリー分類の見込みを決定することができる。それにより全体的に物体の固定及び非固定へのカテゴリー分類の精度を向上させることができる。
【0049】
少なくとも1つの物体の固定又は非固定としての評価のための少なくとも1つの見込みの大きさは、有利にはそれぞれの方法の実行から生成される評価の大きさから決められることができる。
【0050】
評価の大きさは有利にはカウンターとして実現されることができる。見込みの大きさに関する初期値は、特に固定としての物体の第1のカテゴリー分類において認識されることができる。見込みの大きさは、対応する評価の大きさ又は反対の評価の大きさを有する方法の結果に応じて、同じ物体に対する方法の更なる実行の各々において変更、特に増大又は低減、されることができる。見込みの大きさは、固定又は非固定としての物体のより良い評価のために使用されることができる。
【0051】
方法の更なる有利な実施形態において、少なくとも1つの物体の車両に対する相対速度は、送信信号と受信信号との間の関係から決定されることができ、相対速度が約0m/sの一般的オーダーである場合、少なくとも1つの物体のカテゴリー分類は、オブジェクトポイントの密度及び/又は少なくとも1つの物体の延在方向に基づいて実行されることができ、そうでなければ、更なるカテゴリー分類を行うことはできない。このようにして、固定又は非固定としての物体の評価のための更なる基準を実現することができる。相対速度が概して約0m/sのオーダーである場合、物体は、少なくとも1つのセンサー装置を備えた車両と同じ速度で移動するか、又はそれは車両の道に平行に延びる固定物体、特にクラッシュバリア、である。それにより、同じ速度で平行移動する車両は、オブジェクトポイントの密度及び/又は少なくとも1つの物体の延在方向に基づく少なくとも1つの更なるカテゴリー分類の使用を通じて、固定物体、特にクラッシュバリア、から区別されることができる。少なくとも1つのセンサー装置で車両の絶対速度に対して反対の物体が相対速度で捕捉される場合、それは移動しない非固定物体又は固定物体であると推定されることができる。物体が少なくとも1つのセンサー装置を備えた車両の更なる経路とは関連しない場合、更なるカテゴリー分類を省略することができる。総じて、監視を、より早く且つ効率的に行うことができる。
【0052】
その方法の更なる有利な実施形態において、少なくとも1つの物体の少なくとも1つのオブジェクトポイントの距離及び/又は相対速度は、特にサンプリング光飛行時間測定方法、特にLiDAR法又はLaDAR法、に基づいて検出されることができる。角度分解能は、サンプリング方法を用いて容易に達成されることができる。光飛行時間測定(light time−of−flight measurements)によって、距離及び/又は相対速度を非常に正確に検出することができる。
【0053】
少なくとも1つの物体の少なくとも1つの領域における捕捉されたオブジェクトポイントの少なくとも1つの空間密度を検出するための少なくとも1つの密度検出装置と、密度を予め決められた又は予め決められることが可能な閾値と比較するための及び比較の結果に応じて少なくとも1つの物体を固定又は非固定としてカテゴリー分類するための少なくとも1つの比較装置と、を少なくとも1つのカテゴリー分類コンポーネントが備えているデバイスを有する発明に基づいて目的は更に達成される。
【0054】
少なくとも1つの分析コンポーネントは、有利には、少なくとも1つの電子回路であること、又は少なくとも1つの電子回路を含むことができる。少なくとも1つの分析コンポーネントは、有利には、その方法を実施することができる少なくとも1つのプロセッサーを含むことができる。
【0055】
少なくとも1つの物体の少なくとも1つの領域における捕捉されたオブジェクトポイントの少なくとも1つの空間密度を検出するための少なくとも1つの密度検出装置と、密度を予め決められた又は予め決められることができる閾値と比較するための及び比較の結果に応じて少なくとも1つの物体を固定又は非固定としてカテゴリー分類するための少なくとも1つの比較装置と、を少なくとも1つのカテゴリー分類コンポーネントが備えているセンサー装置を有する発明に基づいて、目的は更に達成される。
【0056】
更に、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの領域における捕捉されたオブジェクトポイントの少なくとも1つの空間密度を検出するための少なくとも1つの密度検出装置と、密度を予め定められた又は予め定められることができる閾値と比較するための及び比較の結果に応じて少なくとも1つの物体を固定又は非固定としてカテゴリー分類するための少なくとも1つの比較装置と、を少なくとも1つのカテゴリー分類コンポーネントが備えているドライバー支援システムを有する発明に基づいて、目的は達成される。
【0057】
それとは別に、発明による方法、発明による装置、発明によるセンサー装置、及び発明によるドライバー支援システム及びそれらのそれぞれの有利な実施形態に関連して概説される特徴及び利点は、お互いに対して適宜適用され、逆もまた同様である。個々の特徴及び利点は、もちろん、お互いに組み合わせられることができ、個々の効果の総和を超える更に有利な効果が出現しうる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
発明の更なる利点、特徴及び詳細は、発明の例示的な実施形態が図面を参照してより詳細に説明される以下の説明から、明らかになる。また熟達車は、図面、明細書、及び請求項において個々に組み合わされて開示されている特徴を便宜的に検討し、それらを有益な更なる組み合わせにグループ化するであろう。ここでは概略的に、
【
図1】
図1は、車両のドライバー支援システムの構成要素である物体を捕捉するためのセンサー装置を有する動力車両の正面図である。
【
図2】
図2は、クラッシュバリア及び前方で進行する他の車両と一緒の道路上の
図1の動力車両の運転状況、ここでは概略的にのみ示されている、のシナリオを示す。
【
図3】
図3は、
図2のシナリオと同様のシナリオを示し、センサー装置で捕捉されたクラッシュバリア及び前方で進行する車両のオブジェクトポイントがそれぞれ十字で表されている。
【
図4】
図4は、
図3のシナリオと同様のオブジェクトポイントの図示によるシナリオの拡大図を示す。
【
図5】
図5は、
図3及び
図4のシナリオと同様のシナリオの詳細図を示し、前方で進行する車両のオブジェクトポイントの表示を有する。
【
図6】
図6は、
図3〜
図5のシナリオと同様のシナリオの詳細図であり、クラッシュバリアのオブジェクトポイントを有する。
【
図7】
図7は、クラッシュバリア等の固定物体と前方を進行する車両等の非固定物体とを区別するためのカテゴリー分類方法のフロー図を示し、その方法は、
図3〜6の車両と同様のシナリオで
図1及び
図2の車両のセンサー装置によって実行される。
【0059】
図面において、同一の部分には同じ参照符号が付与されている。
【発明を実施するための形態】
【0060】
乗用車の形態の車両10が、
図1において正面から図示されている。動力車両10は、センサー装置14を備えた
図2に示されたドライバー支援システム12を有する。一例として、センサー装置14は、動力車両10のフロントバンパーに配置されている。ドライバー支援システム12は、動力車両10の運転機能、例えば速度、制動機能又はステアリング、の制御において、ドライバーを支援する働きをする。
【0061】
動力車両10の走行方向における動力車両10の前方の監視領域16は、センサー装置14を用いて、物体、例えば前方で進行している車両18又はクラッシュバリア20、に関し、監視されることができる。センサー装置14は、トラッキングと呼ばれる追従物体用に設計されている。物体は、ここでは少なくとも1つのセンサー装置によって捕捉され、それらの時間的挙動、例えば動力車両10を基準にしたそれらの距離及び/又はそれらの相対速度、が追跡される。
【0062】
固定物体と非固定物体との間において物体間には区別がある。例えばクラッシュバリア20などの固定物体は、動力車両10のための道路に、例えば
図2に示されている道路22に、固定され且つ動かない方法で配置されている。固定物体は、静止物体とも呼ばれうる。非固定物体、例えば他の車両18、は、道路22に対して移動可能である。非固定物体は、移動不能であることができ、或いは道路22に対して及び/又は動力車両10に対する速度で、移動しうる。非固定物体は、動的物体とも呼ばれうる。
【0063】
図2には、例として、道路22上の動力車両10の運転状況のシナリオの概略平面図が示されている。動力車両10は、ここでは概略的に示唆されただけであり、縮尺を有するわけではない。道路22のサイドライン24は実線で示されており、センターライン26は点線で示されている。
【0064】
ドライバー支援システム12は、
図2に示唆されているように、一例として、動力車両10の2つの機能装置28に対して機能的に接続されている。機能装置28は、例えば、エンジンコントローラ、ステアリングコントローラ、又はブレーキシステムでありうる。更に、機能装置28のうちの1つは、視覚的及び/又は音響的な警告信号又はドライバーのための情報信号の出力のための出力装置を備えることができる。
【0065】
ドライバー支援システム12は、電子装置30を備える。センサー装置14の情報は、電子装置30によって処理され、機能装置28のための適切な制御情報又は信号情報に変換される。
【0066】
ドライバー支援システム12は、一例として、センサー装置14を備える。動力車両10のバンパーにおけるセンサー装置14に加えて又はセンサー装置14に代えて、更なるセンサー装置14を、動力車両10の他の場所に、例えば側面又は後面に、配置することもできる。
【0067】
センサー装置14は、例えば、走査LaDARシステムとして設計される。センサー装置14は、光学コンポーネント32及び電子分析コンポーネント34を備える。光学コンポーネント34は、より明瞭にするために図示されていないレーザーダイオードの形態のトランスミッターと、図示されていない受信ダイオードの形態のレシーバーと、を含む。
【0068】
光学コンポーネント32は、図示されてない偏向ミラー装置を更に備える。偏向ミラー装置によって、トランスミッターで生成されるパルス状の送信ビーム36は、偏向ミラー装置の角度位置に応じて、異なる角度で、監視領域16内に送信される。更に、物体、例えば車両18又はクラッシュバリア20、から反射される受信ビーム38は、偏向ミラー装置によって受信ダイオード上に偏向される。
【0069】
センサー装置14は、光飛行時間測定方法に従って動作する。ここでは、送信ビーム36の送信と対応する受信ビーム38の受信との間の時間が検出され、それから、センサー装置14からの対応の物体の距離が検出される。対応する物体、例えば前方で進行する車両18、の動力車両10に対する相対速度が、センサー装置14によって更に検出されることができる。
【0070】
センサー装置14が動作しているとき、偏向ミラー構成は、トランスミッターと協調して、水平方向に、例えば回転されて、動かされる。このようにして、送信ビーム36は、
図2の平面図において、例えば左から右へ又は右から左へ、水平方向という意味において回転される。それによりパルス状の送信ビーム36によって、対応する物体が、角度依存性で、隣接するオブジェクトポイント40としてサンプリングされ、当該隣接するオブジェクトポイント40において、送信ビーム36が反射されて受信ビーム38として送り返される。一例として、
図2のシナリオと同様のシナリオにおいて、捕捉されたオブジェクトポイント40は、それぞれ、
図3〜
図6において十字として示されている。
【0071】
センサー装置14の主監視方向42は、
図2において矢印により示されている。主監視方向42は、例えば、動力車両10の走行方向に延びる。湾曲部に沿って走行する際に、動力車両10の走行方向は、主監視方向42とは異なりうる。監視領域16の側方境界44は、線として
図2〜
図6に示されている。監視領域16は、例えば、主監視方向42に関して対称である。監視領域16は、非対称でありうるが、しかしながらそれは本発明にとって重要ではない。監視領域16は、例えば、平面であり、水平に広がる。また監視領域16は、センサー装置14の設計に応じて、程度の差はあるが大きな垂直範囲を有することもできる。また監視領域16の平面は、水平に対して斜めに延びることもできる。
【0072】
光学コンポーネント32によって捕捉される受信ビームは分析コンポーネント34によって分析され、そこから対応する物体の動力車両10に対する距離及び相対速度が検出される。
【0073】
更に、分析コンポーネント34は電子カテゴリー分類装置46を有し、捕捉される物体は当該電子カテゴリー分類装置46によって固定物体及び非固定物体にカテゴリー分類されることができる。例えばクラッシュバリア20等の道路22に平行に延びる固定物体は、場合によっては、センサー装置14により全体としては捕捉されることができない。トラッキングのコースにおいて、動力車両10と共に移動するように見えるそのような固定物体の異なる部分セクションが捕捉されることが起こりうる。これは、関心のある固定物体が、非固定物体として誤ってカテゴリー分類されることにつながりうる。したがってカテゴリー分類のそのような分類の誤りを回避することができるカテゴリー分類方法48が電子カテゴリー分類装置46によって実行され、非固定物体から固定物体を区別する。物体のカテゴリー分類がより正確になればなるほど、ドライバー支援システムの機能をより良好に実行することができる。カテゴリー分類装置46は、例えば、カテゴリー分類方法48が実行されるアルゴリズムを有するプロセッサーとして設計されることができる。
【0074】
カテゴリー分類方法48は、フロー図としての
図7に示されている。
【0075】
物体、例えば車両18又はクラッシュバリア20、の幾何学的形状は、ステップ50で捕捉される。この目的のために、物体18又は20の隣接オブジェクトポイント40がクラスター52に割り当てられる。そしてクラスター52は、例えばダグラス・ピッカー・アルゴリズム(Douglas−Peucker algorithm)の助けを借りて分析される。線54,56又は58は、ここではクラスター52を通って描かれている。対応する物体18又は20の延在方向は、それぞれオブジェクトポイント40によって引き出され、対応する線54,56又は58によって表される。
【0076】
クラスター52がクラッシュバリア20に属する場合、ほぼ真っ直ぐな線54が生じる。線54の延在方向は、主監視方向42に対して概ね平行に延びている。そのような線54の一部は、
図6において例として示されている。
【0077】
クラスター52が車両18の後面に属している場合、
図3に示された対応する線56は主監視方向42に対して直角に延びる。
【0078】
したがって、動力車両10の前方に斜めに走行する車両18であって、センサー装置14の監視領域16に後面及び側面の両方が位置する車両18の場合、
図3に示されるL字形の線58が生じる。線58の対応する複数の延在方向、すなわちL字形状の複数の脚部は、お互いに垂直に延びている。
【0079】
カテゴリー分類方法48のステップ60において、物体18又は20の線がL字形状であるかどうかについてチェックが行われる。線58のようにこれが真である場合、物体が非固定物体、例えば別の車両18、であることが推定される。その方法はステップ62で終了する。後で新しいデータセットを使用してその方法が再度実行されることが適切であるかもしれない。
【0080】
線54及び56の場合のように物体18又は20の線がL字形状を持たない場合、ステップ64において、物体18又は20の線が主監視方向42に対して概ね平行に延びるかどうかについてのチェックが行われる。線56のようにその線が主監視方向42と平行に延びていない場合、物体が非固定物体、例えば車両20、であることが推定される。その方法はステップ66で終了する。後で新しいデータセットを使用してその方法が再度実行されることが適切であるかもしれない。
【0081】
他方、線54のように物体18又は20の線が主監視方向42に対して平行に延びている場合、センサー装置14から距離がある物体20の領域70において対応のオブジェクトポイント40の密度が、カテゴリー分類装置46の密度検出装置によりステップ68において検出される。領域70は、対応する点線の楕円によって
図3に示されている。クラッシュバリア20の詳細図が
図6に示されている。対応するオブジェクトポイント40の密度は、センサー装置14からの距離の増大とともに著しく低下する。対照的に、車両18におけるオブジェクトポイント40の密度は、
図5に詳細に示されるように、ほぼ一定である。
【0082】
ステップ72において、検出される密度は、カテゴリー分類装置46の比較装置を用いて所定の閾値と比較される。その閾値は、例えば、工場で経験的に決定され、対応するメモリデバイスに記憶されることができる。代替的に又は付加的に、その閾値は、ここではそれ以上関心がもたれない動的方法に基づいてセンサー装置14の動作中に決定されることができる。
【0083】
ステップ72における比較が、検出された密度が閾値以上であることを見いだす場合、物体は非固定、例えば車両18、であることが推定される。その方法はステップ74で終了する。後で新しいデータセットを使用してその方法を再度実行されることが適切な場合がある。
【0084】
ステップ72における比較が、密度が閾値よりも小さいことを見いだす場合、物体が固定、例えばクラッシュバリア20、であることが推定される。
【0085】
対応の物体20がまず固定としてカテゴリー分類された場合、ステップ76において、第1の見込みの大きさに対して値、例えば5、が与えられる。カテゴリー分類方法48の前回の実行に続いて、物体20が既に固定としてカテゴリー分類されており、見込みの大きさが既に存在する場合、この見込みの大きさは、評価の大きさの値、例えば1、だけ増加される。その評価の大きさは、カテゴリー分類方法48の最後の実行の間に物体18が固定としてカテゴリー分類されたことを示す。カテゴリー分類方法48の複数回の実行の評価の大きさは、見込みの大きさによって統計的に捕捉され、それにより精度が高められる。
【0086】
そしてカテゴリー分類方法48は、同じ物体20に関してステップ50から再び実行される。
【0087】
カテゴリー分類方法48を終了する前に、ステップ62,66及び74における適切なケースでは、カテゴリー分類方法48の前回の実行のステップ76で生成された見込みの大きさが、適切な評価の大きさ、例えば1、だけ低減され、又は適切な反対の評価の大きさ、例えば−1、だけ増大されることが、随意的に可能である。それにより見込みの大きさの精度が更に向上される。
【0088】
ステップ70で連続的に生じる見込みの大きさは、ドライバー支援システム12の電子装置30に供給され、対応する機能装置28の制御の基礎としてそこに取り込まれる。
【0089】
動力車両10に対する対応する物体18の相対速度は、随意的に、固定物体と非固定物体との間で区別するためのカテゴリー分類方法48において使用されることができる。相対速度が約0m/sの一般的なオーダーである場合、これは物体が固定、例えばクラッシュバリア20の形態、であることを更に示す。これは、物体が本当に固定物体である見込みを評価するために使用されることができる。この場合、例えば、更なる評価の大きさ、例えば1、が見込みの大きさに加えられることができる。このようにして非固定物体、例えばトラック又はバス、による固定物体の隠蔽を補償することが可能である。
【0090】
見込みの大きさの詳細及び評価の大きさの対応の加算又は減算に対して付加的に又は代替的なものとして、カテゴリー分類方法48の結果の特徴付け及び統計処理のための他の方法、及び追跡される物体が固定であるか非固定であるかの評価も、使用されることができる。