(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリンジと係合するための少なくとも1つのシリンジポートを備える医療用インジェクタであって、前記少なくとも1つのシリンジポートがロック機構を備え、前記ロック機構が、
ハウジングと、
前記ハウジングの先端部における第1の保持リングであって、前記第1の保持リングは、中心開口部および側壁を有し、前記側壁の内部部分は、前記側壁内へ半径方向外側に延在する1または複数の第1の凹部を有し、前記第1の凹部は、内部壁と、前記側壁に前記内部壁を接続する2つの側面とによって画定され、各前記第1の凹部の前記側面は、前記シリンジの1または複数の保持突起の動きを案内するための移動経路を画定する、第1の保持リングと、
を備え、
各前記第1の凹部は、少なくとも1つの前記側面の先端部に第1の案内面および前記内部壁の先端部に第2の案内面を備え、前記シリンジの前記1または複数の保持突起を対応する1または複数の第1の凹部にガイドすることによって自己配向して前記第1の凹部と整列されるように前記保持突起を案内し、
前記第1の案内面は、前記第1の案内面の先端部から前記第1の案内面の基端部へ前記第1の凹部に向かって、かつ前記第1の保持リングの前記中心開口部に向かって傾斜し、
前記第2の案内面は、前記第2の案内面の先端部から前記第2の案内面の基端部へ前記中心開口部に向かって傾斜している、医療用インジェクタ。
前記少なくとも1つの第1の案内面および前記第2の案内面は、前記1または複数の第1の凹部と回転方向に整列されるように、および前記少なくとも1つのシリンジポートと軸方向に整列されるように前記シリンジを案内する、請求項1に記載の医療用インジェクタ。
各前記1または複数の第1の凹部および前記第1の凹部の周方向に隣接する一側の前記第1の保持リングの前記側壁は、前記シリンジのシリンジ保持部材を受容するための間隔空間を画定し、前記シリンジ保持部材は、保持突起および前記保持突起の周方向に隣接する一側の前記シリンジのバレルの外面を備える、請求項1に記載の医療用インジェクタ。
前記第2の保持リングは、前記第2の保持リングを、前記1または複数の第1の凹部が前記1または複数の第2凹部と整列されていない第1ロック位置に付勢する少なくとも1つの弾性部材をさらに備える、請求項6に記載の医療用インジェクタ。
前記シリンジが前記少なくとも1つのシリンジポートに挿入される場合に、前記1または複数の保持突起の前記傾斜面が前記1または複数のロック要素の前記第1傾斜面に係合して、前記第1ロック位置から第2挿入または解放位置へ前記第2の保持リングを回転して、前記1または複数の第2凹部が前記1または複数の保持突起を受け入れることができ、前記1または複数の保持突起が前記1または複数の第2凹部によって収容された後で、前記少なくとも1つの弾性部材が前記第2の保持リングを前記第1ロック位置に戻す、請求項8に記載の医療用インジェクタ。
前記少なくとも1つの弾性部材の付勢力に抗する、前記少なくとも1つのシリンジポートに挿入された前記シリンジの回転が前記第2の保持リングを前記第1ロック位置から第2挿入または解放位置に回転し、前記1または複数の突起を前記1または複数のロック要素から解放する、請求項8に記載の医療用インジェクタ。
前記シリンジの回転により、前記1または複数の保持突起の前記傾斜面が前記1または複数のロック要素の前記第1傾斜面を乗り越えて、前記少なくとも1つのシリンジポートから前記シリンジを軸方向に排出する、請求項10に記載の医療用インジェクタ。
シリンジと係合するための少なくとも1つのシリンジポートを備える医療用インジェクタであって、前記少なくとも1つのシリンジポートがロック機構を備え、前記ロック機構が、
ハウジングと、
前記ハウジングの先端部における第1の保持リングであって、前記第1の保持リングが中心開口部および側壁を有し、前記側壁の内部部分は、前記側壁内へ半径方向外側に延在する1または複数の第1の凹部を有し、前記第1の凹部は、内部壁と、前記側壁に前記内部壁を接続する2つの側面とによって画定され、各第1の凹部の前記側面は、前記シリンジの1または複数の保持突起の動きを案内するための移動経路を画定する、第1の保持リングと、
前記第1の保持リングおよび前記ハウジングに対して回転可能な第2の保持リングと、
を備え、
各前記第1の凹部は、少なくとも1つの前記側面の先端部に第1の案内面および前記内部壁の先端部に第2の案内面を備え、前記シリンジの前記1または複数の保持突起を対応する1または複数の第1の凹部にガイドすることによって自己配向して前記第1の凹部と整列されるように前記保持突起を案内し、
前記第1の案内面は、前記第1の案内面の先端部から前記第1の案内面の基端部へ前記第1の凹部に向かって、かつ前記第1の保持リングの前記中心開口部に向かって傾斜し、
前記第2の案内面は、前記第2の案内面の先端部から前記第2の案内面の基端部へ前記中心開口部に向かって傾斜し、
前記第2の保持リングが前記第2の保持リングの内側側壁から半径方向内側に延在する1または複数のロック要素を備え、隣接するロック要素は、第2凹部によって分離され、前記シリンジの挿入部分が前記第1の保持リングの前記中心開口部を通り挿入される場合に、1または複数の第2凹部が前記1または複数の保持突起を受容し、前記第2の保持リングが前記第1の保持リングに対して回転することにより、前記1または複数の保持突起は前記第2凹部内にロックされ、前記1または複数のロック要素の先端部に向いた上面は、前記1または複数の保持突起の対応する傾斜面と係合しかつ案内するための、周方向にいくにつれて基端部に向かって傾く第1傾斜面を備え、前記少なくとも1つのシリンジポートから前記シリンジが外れる際に前記シリンジを軸方向に排出する、医療用インジェクタ。
前記少なくとも1つの第1の案内面および前記第2の案内面は、前記1または複数の第1の凹部と回転方向に整列されるように、および前記少なくとも1つのシリンジポートと軸方向に整列されるように前記シリンジを案内する、請求項12に記載の医療用インジェクタ。
前記第2の保持リングは、前記第2の保持リングを、前記1または複数の第1の凹部が前記1または複数の第2凹部と整列されていない第1ロック位置に付勢する少なくとも1つの弾性部材をさらに備える、請求項12に記載の医療用インジェクタ。
前記シリンジが前記少なくとも1つのシリンジポートに挿入される場合に、前記1または複数の保持突起の前記傾斜面が前記1または複数のロック要素の前記第1傾斜面に係合して、前記第1ロック位置から第2挿入または解放位置へ前記第2の保持リングを回転して、前記1または複数の第2凹部が前記1または複数の保持突起を受け入れることができ、前記1または複数の保持突起が前記1または複数の第2凹部によって収容された後で、前記少なくとも1つの弾性部材が前記第2の保持リングを前記第1ロック位置に戻す、請求項15に記載の医療用インジェクタ。
前記少なくとも1つの弾性部材の付勢力に抗する前記シリンジの回転が前記第2の保持リングを前記第1ロック位置から第2挿入または解放位置に回転し、前記1または複数の突起を前記1または複数のロック要素から解放し、
前記1または複数の保持突起の前記傾斜面が前記1または複数のロック要素の前記第1傾斜面を乗り越えて、前記少なくとも1つのシリンジポートから前記シリンジを軸方向に排出する、請求項16に記載の医療用インジェクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来におけるシリンジと流体インジェクタとの連結インターフェースの欠点に鑑み、本分野において、従来技術の欠点を克服できるシリンジと流体インジェクタとの改善された連結インターフェースが求められる。さらに、シリンジをその長手方向軸を中心に流体インジェクタに対し手動で回転させながら整列させる必要がないように、流体インジェクタに対するシリンジの簡単な着脱を可能にする改善された、シリンジ、シリンジ保持機構、及び流体インジェクタに対するシリンジの装着又は取り外し/排出方法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態において、シリンジは、基端部と、先端部と、基端部と先端部との間で長手方向軸に沿って延在する実質的に周方向の側壁と、を有するバレルを含んでもよい。少なくとも1つのシリンジ保持部材が側壁の外面に対して半径方向外側に突出してもよい。少なくとも1つのシリンジ保持部材は、側壁の外面に沿って先端部から基端部に向かう方向に軸方向にテーパが付けられてもよい。少なくとも1つのシリンジ保持部材は、流体インジェクタ上のロック機構に係合して、シリンジを流体インジェクタに解除可能にロックするように構成される。少なくとも1つのシリンジ保持部材のテーパ構造は、シリンジが自己配向してロック機構と整列するようにシリンジを回転的に案内し、且つシリンジの回転時にシリンジを軸方向に排出させるように構成してもよい。
【0010】
また、少なくとも1つのシリンジ保持部材は、先端部から基端部に向かう方向に軸方向にテーパが付けられた少なくとも1つの第1の表面を有してもよい。少なくとも1つのシリンジ保持部材は、更に、シリンジが自己配向してロック機構と整列するようにシリンジを案内する第2の表面を有してもよい。シリンジ保持部材の第1の表面及び第2の表面は、直線状、セグメント状、曲面状、連続状、不連続状、或は平面状であってもよい。第2の表面は、第1の表面とは逆の方向に軸方向にテーパが付けられてもよい。少なくとも1つのシリンジ保持部材は、シリンジの外面上に一体的に形成してもよい。また、少なくとも1つのシリンジ保持部材は、シリンジの外面から分離してもよい。少なくとも1つのシリンジ保持部材は、長手方向軸に対してほぼ垂直に配置された基部表面を有してもよい。少なくとも1つのシリンジ保持部材の少なくとも一部は、シリンジの外面に対してほぼ垂直に突出してもよい。複数のシリンジ保持部材における各シリンジ保持部材は、実質的に同じ形状であってもよく、2つ以上の異なる形状を有してもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、複数のシリンジ保持部材は、シリンジの外面の少なくとも一部の周りに間隔をあけて配置されてもよい。複数のシリンジ保持部材は、シリンジの周りにほぼ均等な角度間隔で分離されてもよい。また、複数のシリンジ保持部材は、外面の周りに不均等な角度間隔で分離されてもよい。複数のシリンジ保持部材は、長手方向軸に対して基端部に又は基端部近傍において、長手方向に整列させてもよい。また、複数のシリンジ保持部材の少なくとも1つは、バレルの基端部に向かってオフセットされていてもよい。また、複数のシリンジ保持部材の少なくとも1つはバレルの先端部に向かってオフセットされていてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つのシリンジ保持部材は、ロック機構内におけるシリンジの回転を防止する少なくとも1つの停止面を有する1つ又は複数のロックタブを有してもよい。前記少なくとも1つのシリンジ保持部材は、少なくとも1つの第1の突起と、少なくとも1つの第2の突起とを有してもよい。前記少なくとも1つの第1の突起は、前記少なくとも1つの第2の突起と同じであってもよく、異なってもよい。また、前記少なくとも1つの第1の突起は、前記少なくとも1つの第2の突起に対して、長手方向軸に沿って長手方向にオフセットされていてもよい。前記第1の突起及び第2の突起の少なくとも1つは、前記バレルの外面から前記少なくとも1つの第1の突起及び第2の突起の頂面までの角度で突出する傾斜した解除部材を有してもよい。少なくとも1つのシリンジ保持部材は、少なくとも1つの中空部を有してもよく、特定の実施形態においては、少なくとも1つの中空部に少なくとも1つの補強部材が設けられてもよい。フランジは、側壁の外面から長手方向軸に対して半径方向外側に、且つ、前記少なくとも1つのシリンジ保持部材よりも先端側で突出してもよい。前記フランジは、側壁の外面の少なくとも一部に延在してもよい。フランジは、シリンジのロック機構への長手方向の挿入の長さを制限するための長手方向の停止面を有してもよい。前記少なくとも1つのシリンジ保持部材は、三角形、矢尻形、矩形、又は丸形の輪郭を有する形状を有してもよい。前記少なくとも1つのシリンジ保持部材は、シリンジの外面に対応する形状の頂面を有してもよい。前記少なくとも1つのシリンジ保持部材は、ロック機構の間隙空間内に収納されるように構成してもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、シリンジは、基端部と、先端部と、基端部と先端部との間に、長手方向軸に沿って実質的に周方向に延在する側壁と、を備えたバレルを有してもよい。シリンジは、側壁の外面に対して半径方向外側に突出した少なくとも1つのシリンジ保持部材を有してもよい。少なくとも1つのシリンジ保持部材は、側壁の外面に沿って先端部から基端部に向かう方向に軸方向にテーパが付けられている少なくとも1つの表面を有してもよい。少なくとも1つのシリンジ保持部材は、流体インジェクタのロック機構と係合してシリンジを流体インジェクタに脱離可能にロックするように構成してもよい。少なくとも1つの表面は、シリンジが自己配向してロック機構と整列するようにシリンジを回転案内し、さらに、シリンジの回転時にシリンジを軸方向に排出するように構成してもよい。
【0014】
他の実施形態においては、シリンジは、基端部と、先端部と、基端部と先端部との間に、長手方向軸に沿って実質的に周方向に延在する側壁と、を有するバレルを有してもよい。シリンジは、側壁の外面に対して半径方向外側に突出する少なくとも1つのシリンジ保持部材を有してもよい。少なくとも1つのシリンジ保持部材は、第1の表面及び第2の表面を有し、前記第1の表面が前記第2の表面に対して軸方向及び半径方向にオフセットされている。少なくとも1つのシリンジ保持部材は、流体インジェクタのロック機構と係合して、シリンジを流体インジェクタに脱離可能にロックするように構成してもよい。第1の表面及び第2の表面の少なくとも1つは、シリンジが自己配向してロック機構と整列するようにシリンジを回転案内し、更に、シリンジの回転時にシリンジを軸方向に排出するように構成してもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、流体注入装置は、先端部と、基端部と、側壁と、それらの間に延在する長手方向軸と、を有する円筒状バレルを有する少なくとも1つのシリンジを含んでもよい。バレルは、側壁の外面から半径方向外側に突出した少なくとも1つのシリンジ保持部材を有してもよい。少なくとも1つのシリンジ保持部材は、基端部に向かう方向に、軸方向にテーパが付けられた表面を有してもよい。この装置は、更に、少なくとも1つのシリンジを収納する少なくとも1つのシリンジポートを画定するインジェクタハウジングと、少なくとも1つのシリンジポートに対応して、少なくとも1つのシリンジポート内に少なくとも1つのシリンジを固定するロック機構と、を有するインジェクタを含んでもよい。ロック機構は、シリンジの少なくとも1つのシリンジ保持部材に係合して、少なくとも1つのシリンジを少なくとも1つのシリンジポート内に解除可能にロックし、且つ、シリンジの回転時に少なくとも1つのシリンジポートから少なくとも1つのシリンジを軸方向に排出するように構成してもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の表面は、少なくとも1つのシリンジが自己配向してロック機構と整列するようにジリンジを回転案内するように構成してもよい。ロック機構は、基端部と、先端部と、基端部と先端部との間に延在する中心開口部と、を有するハウジングと、ハウジングの先端部に位置する第1の保持リングと、ハウジングの中心開口部内で基端部と第1の保持リングとの間に位置する第2の保持リングと、を含んでもよい。第2の保持リングは、第1の保持リングに対して回転でき、動作可能にシリンジの少なくとも1つのシリンジ保持部材に作動可能に係合できる。第1の保持リングは、少なくとも1つのシリンジの基端部が少なくとも1つのシリンジポートに挿入される際に少なくとも1つのシリンジ保持部材を収納するように構成された少なくとも1つの第1の凹部を有してもよい。少なくとも1つの第1の凹部は、第1の保持リングの内側側壁内に半径方向外側に突出してもよい。少なくとも1つの第1の凹部の側面は、少なくとも1つのシリンジ保持部材の、少なくとも1つの第1の凹部内における動きを案内する案内路を画定してもよい。少なくとも1つの第1の凹部は、少なくとも1つのシリンジの第1の表面を少なくとも1つの第1の凹部内に案内する少なくとも1つの案内面を有してもよい。少なくとも1つのシリンジが基端側に動く際、少なくとも1つのシリンジ保持部材の第1の表面は少なくとも1つの案内面の少なくとも一部に係合してもよい。少なくとも1つの案内面は、先端部から基端部に向かう方向に長手方向軸に対し角度をなしても湾曲してもよい。複数のシリンジ保持部材は、少なくとも1つのシリンジの側壁の外面の少なくとも一部、例えば基端部近傍などの周りに間隔をあけて配置してもよく、複数の第1の凹部は、第1の保持リングの内面の少なくとも一部の周りに間隔をあけて配置してもよい。
【0017】
他の実施形態においては、第2の保持リングは、第2の保持リングの内側側壁の少なくとも一部に1つ又は複数のロック要素を有してもよい。1つ又は複数のロック要素は、第2の保持リングの内側側壁内に半径方向外側に延在してもよい。1つ又は複数のロック要素は、1つ又は複数の第2の凹部によって分離されてもよい。1つ又は複数の第2の凹部は、少なくとも1つのシリンジの基端部が第1の保持リングを挿通すると、少なくとも1つのシリンジ保持部材を収納するように構成してもよい。第1の保持リングは1つ又は複数の第1の凹部を含んでもよく、第2の保持リングは1つ以上の第2の凹部を含み、前記1つ以上の第2の凹部は、第2の保持リングを回転させ前記1つ以上の第1の凹部と選択的に整列する際、前記少なくとも1つのシリンジ保持部材を収納するように構成される。少なくとも1つの弾性部材が第2の保持リングと結合されていてもよい。シリンジについての情報を検知するため、少なくとも1つのセンサをインジェクタに作動可能に組み込んでもよい。少なくとも1つのセンサは、シリンジ上のコード化デバイスでコード化された情報を読み取るように構成してもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、流体インジェクタのシリンジポートのロック機構にシリンジを装着する方法は、先端部からシリンジの基端部に向かう方向にテーパが付けられた少なくとも1つのテーパ面を備え、シリンジ側壁の外面から半径方向外側に突出する少なくとも1つのシリンジ保持部材を有するシリンジを用意するステップと、シリンジの少なくとも1つのテーパ面をロック機構の少なくとも一部に係合し、シリンジが自己配向してロック機構と整列するようにシリンジを回転案内するステップと、を含んでもよい。この方法は、更に、シリンジがシリンジポート内で自己配向するステップを含んでもよい。
【0019】
別の態様によると、本開示は、基端部と、先端部と、基端部および先端部の間で長手方向軸に沿って実質的に周方向に延在する側壁とを有するバレルと、側壁の外面に対して半径方向外側に突出した少なくとも1つの第1の突起を有する少なくとも1つのシリンジ保持部材とを備えるシリンジを提供し、少なくとも1つの第1の突起は、ベース面および少なくとも1つの第3の表面を備え、少なくとも1つの第3の表面は、バレルの長手方向軸に対して基端側に軸方向にテーパーが付けられ、少なくとも1つの第1の突起は、流体インジェクタのシリンジポートのロック機構と係合するよう構成され、および少なくとも1つの第3表面の少なくとも一部は、シリンジの回転時にシリンジポートからシリンジを軸方向に排出する。
【0020】
さらなる態様によると、本開示は、前述の態様のシリンジを提供し、少なくとも1つの第1の突起が少なくとも1つの第3の表面の基端部に基点をさらに備え、少なくとも1つの第3の表面の少なくとも一部は、シリンジが自己配向してロック機構と整列するようにシリンジを回転的に案内する。
【0021】
さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第3の表面がテーパー状面を画定する平面、セグメント状面、円弧面、曲面、不連続面、およびこれらの組み合わせのうちの1つである、任意の前述の態様のシリンジを提供する。さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第3の表面が円弧面である任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0022】
さらなる 態様によると、本開示は、 ベース面がシリンジ ポート内のロック機構のロック面 と 解放可能に係合して、シリンジを 流体インジェクタに解放可能に ロックする、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0023】
さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の突起が少なくとも1つの第1の表面をさらに備え、少なくとも1つの第1の表面がベース面の第1端部から少なくとも1つの第3の表面の最基端部へ延在する、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0024】
さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の表面および少なくとも1つの第3の表面の最基端部が丸い点、または鋭い点で互いに結合される、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0025】
さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の表面および少なくとも1つの第3の表面の最基端部が丸い点で互いに結合される、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0026】
さらになる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の突起が少なくとも1つの第2の表面をさらに備え、少なくとも1つの第2の表面が、ベース面の第2端部から少なくとも1つの第3の表面の最先端部に延在する、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0027】
さらなる態様によると、本開示は、ベース面、少なくとも1つの第1の表面、少なくとも1つの第2の表面、および少なくとも1つの第3の表面が少なくとも1つの第1の突起の頂面の境界を画定する、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0028】
さらなる態様によると、本開示は、頂面がバレルの側壁の円周の湾曲に対応する曲面形状を有する、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0029】
さらなる態様によると、本開示は、頂面が頂面を形成する複数の個別の表面を備える任意の前述の態様のシリンジを提供する。さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の突起が頂面の複数の個別の表面によって画定され、頂面から半径方向内向きに突出した少なくとも1つの中空部分を有する、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0030】
さらになる態様によると、本開示は、バレルの側壁から半径方向外向きに延在し、かつシリンジを流体インジェクタに解放可能にロックするためにシリンジポート内のロック機構のロック面と解放可能に係合する第2のベース面を備える少なくとも1つの第2の突起をさらに備える、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0031】
さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の突起のベース面、および少なくとも1つの第2の突起の第2のベース面がシリンジのバレルの基端部から同じ長手方向距離である、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0032】
さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の突起および少なくとも1つの第2の突起がバレルの外周の周りに均等に離れている、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0033】
さらなる態様によると、本開示は、シリンジが2つの第1の突起を備える、任意の前述の態様のシリンジを提供する。さらなる態様によると、本開示は、2つの第1の突起がバレルの外周の反対側にある、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0034】
さらなる態様によると、本開示は、シリンジが4つの第2の突起を備える、任意の前述の態様のシリンジを提供する。さらなる態様によると、本開示は、4つの第2の突起の第1対が互いに隣接し、かつ4つの第2の突起の第2対がバレルの外周の周りで互いに隣接するが、第2の突起の第1対は、第2の突起の第2対と隣接しない、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0035】
別の態様によると、本開示は、基端部、先端部、および基端部および先端部の間で長手方向軸に沿って実質的に周方向に延在する側壁を有するバレルと、側壁の外面に対して半径方向外側に突出した少なくとも1つの第1の突起を有する少なくとも1つのシリンジ保持部材とを備え、少なくとも1つの第1の突起がベース面、少なくとも1つの第3の表面、および少なくとも1つの第3の表面の最基端部における基点を備え、少なくとも1つの第3の表面がバレルの長手方向軸に対して基点において基端側に軸方向にテーパーが付けられ、シリンジを流体インジェクタに解放可能にロックするために少なくとも1つの第1の突起が流体インジェクタのシリンジポートのロック機構と係合するよう構成され、かつ基点および少なくとも1つの第3の表面の少なくとも一部は、シリンジが自己配向してロック機構と整列するようにシリンジを回転的に案内する、シリンジを提供する。
【0036】
さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第3の表面の少なくとも一部がシリンジの回転時にシリンジポートからシリンジを軸方向に排出する、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0037】
さらなる態様によると、本開示は、テーパー状面を画定する平面、セグメント状面、円弧面、曲面、不連続面、およびこれらの組み合わせのうちの1つである、任意の前述の態様のシリンジを提供する。さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第3の表面が円弧面である、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0038】
さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の突起が少なくとも1つの第1の表面をさらに備え、少なくとも1つの第1の表面が基点を形成するようにベース面の第1端部から少なくとも1つの第3の表面の最基端部に延在する、任意の前述の態様のシリンジを提供する。さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の突起の基点が丸い点または鋭い点を備える、任意の前述の態様のシリンジを提供する。さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の突起の基点が丸い点を備える、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0039】
さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の突起が少なくとも1つの第2の表面をさらに備え、少なくとも1つの第2の表面がベース面の第2端部から少なくとも1つの第3の表面の先端部に延在する、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0040】
さらなる態様によると、本開示は、ベース面、少なくとも1つの第1の表面、少なくとも1つの第2の表面、および少なくとも1つの第3の表面が少なくとも1つの第1の突起の頂面の境界を画定する、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0041】
さらなる態様によると、本開示は、頂面がバレルの側壁の円周の湾曲に対応する曲面形状を有する、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0042】
さらなる態様によると、本開示は、頂面が頂面を形成する複数の個別の表面を備える任意の前述の態様のシリンジを提供する。さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の突起が頂面の複数の個別の表面によって画定され、頂面から半径方向内向きに突出した少なくとも1つの中空部分を有する、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0043】
さらなる態様によると、本開示は、バレルの側壁から半径方向に外向きに延在し、かつシリンジを流体インジェクタに解放可能にロックするためにシリンジポート内のロック機構のロック面と解放可能に係合する第2ベース面を備える少なくとも1つの第2の突起をさらに備える、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0044】
さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の突起のベース面、および少なくとも1つの第2の突起の第2のベース面がシリンジのバレルの基端部から同じ長手方向距離である、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0045】
さらなる態様によると、本開示は、少なくとも1つの第1の突起および少なくとも1つの第2の突起がバレルの外周の周りに均等に離れている、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0046】
さらなる態様によると、本開示は、シリンジが2つの第1の突起を備える、任意の前述の態様のシリンジを提供する。さらなる態様によると、本開示は、2つの第1の突起がバレルの外周の反対側にある、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0047】
さらなる態様によると、本開示は、シリンジが4つの第2の突起を備える、任意の前述の態様のシリンジを提供する。さらなる態様によると、本開示は、4つの第2の突起の第1対が互いに隣接し、かつ4つの第2の突起の第2対がバレルの外周の周りで互いに隣接するが、第2の突起の第1対は、第2の突起の第2対と隣接しない、任意の前述の態様のシリンジを提供する。
【0048】
別の態様によると、本開示は、基端部、先端部、および基端部および先端部の間で長手方向軸に沿って実質的に周方向に延在する側壁を有するバレルと、側壁の外面に対して半径方向外側に突出した少なくとも1つの第1の突起を有する少なくとも1つのシリンジ保持部材とを備え、少なくとも1つの第1の突起がベース面、少なくとも1つの第3の表面、および少なくとも1つの第3の表面の最基端部における基点を備え、ベース面は、バレルの長手方向軸に対してほぼ垂直でありかつ、少なくとも1つの第3の表面がバレルの長手方向軸に対して基点において基端側に軸方向にテーパーが付けられ、シリンジを流体インジェクタに解放可能にロックするために少なくとも1つの突起が流体インジェクタのシリンジポートのロック機構と係合するよう構成され、かつ基点および少なくとも1つの第3の表面の少なくとも一部は、シリンジが自己配向してロック機構と整列するようにシリンジを回転的に案内し、かつ少なくとも1つの第3の表面の少なくとも一部が、シリンジの回転時にシリンジポートからシリンジを軸方向に排出する、シリンジを提供する。
【0049】
シリンジ、シリンジ連結インターフェース、並びにシリンジ及び/又はシリンジ連結インターフェースを有するシステム、並びに関連構成要素及び部品の組み合わせの動作及び機能の方法、並びに製造の経済性のこれら及び他の特徴及び特性については、全てが本明細書の一部をなす、種々の図において対応する部品を同様の参照符号が示す添付の図面を参照し、以下の記載及び添付の特許請求の範囲を考察すると一層明らかになろう。しかしながら、図面は単に説明及び記載のためであることを明確に理解すべきである。本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は別段の明確な指示がない限り複数形の対象物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、説明のために、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「側方」、「長手方向」、及びそれらの派生語は、本願の図面における方向付けに関連する。シリンジに関して使用する場合、用語「基端側」は、インジェクタへ連結するためにシリンジを方向付けたときに、インジェクタに最も近いシリンジの部分を意味する。用語「先端側」は、インジェクタへの連結のためにシリンジが配向されたときに、インジェクタから最も遠いシリンジの部分を意味する。用語「半径方向」は、基端部と先端部との間に延在するシリンジの長手方向軸に垂直な断面平面における方向を意味する。用語「周方向」は、シリンジの側壁の内面又は外面を回る方向を意味する。用語「軸方向」は、基端部と先端部との間に延在するシリンジの長手方向軸に沿う方向を意味する。用語「自己配向」は、シリンジが挿入される時、技術者の労力なしにシリンジポート内で自己的に正しい方向を向くことを意味する。用語「軸方向のテーパ」、「軸方向テーパリング」及び「軸方向にテーパが付いた」は、円筒面投影図において、シリンジの先端部から基端部に向かう方向の、シリンジの少なくとも1つの仮想面又は実際面の傾斜角を意味する。しかしながら、本明細書で特に明示されていない限り、ほかの変形及び工程順序も想定してもよいことは理解すべきである。また、添付の図面に示し且つ以下の明細書に記載する特定のデバイス及びプロセスは単に本開示の例示的な実施形態であることは理解すべきである。したがって、本明細書中に開示される実施形態(すなわち、態様、変形形態、変形例)に関連する特定の寸法及び他の物理的特性は限定と解釈すべきではない。
【0052】
いくつかの図において同様の参照符号が同様の部分を意味する図面を参照すると、本願では、概して、シリンジ及びシリンジを流体インジェクタに連結するための連結インターフェースに関する。
【0053】
図1Aを参照すると、自動式又は駆動式流体インジェクタなどの流体インジェクタ10(以下「インジェクタ10」と呼ぶ)が少なくとも1つのシリンジ12と接続し、且つ少なくとも1つのシリンジ12を作動するようになっており、少なくとも1つのシリンジ12のそれぞれには、造影剤、生理食塩水又は任意の所望の医療流体などの医療用流体Fを個々に充填してもよい。インジェクタ10は、医療処置中に、少なくとも1つのシリンジ12のプランジャ26を少なくとも1つのピストンによって駆動することにより、患者の体内に医療用流体を注入するために使用してもよい。インジェクタ10は、いくつかのシリンジ12を並列又はその他の形で配列し、において配向してもよく且つインジェクタ10に関連する各ピストンによって別個に作動されるプランジャ26を含んでもよいマルチシリンジインジェクタであってもよい。2つのシリンジが並列に配置され、且つ2つの異なる医療用流体が充填された実施形態では、インジェクタ10が流体をシリンジ12の一方又は両方から送達するように構成してもよい。
【0054】
インジェクタ10は、プラスチック又は金属などの適切な構造材から形成されたハウジング14内に囲まれてもよい。ハウジング14は、所望の用途に応じて種々の形状及びサイズであってもよい。例えば、インジェクタ10は、床面に配置されるように構成された自立構造であってもよく、適切なテーブル又は支持フレーム上に配置されるより小型のデザインであってもよい。インジェクタ10は、少なくとも1つのシリンジ12を応じるピストン部材に連結するための少なくとも1つのシリンジポート16を含む。以下に説明するように、一部の実施形態で、少なくとも1つのシリンジ12は、インジェクタ10のシリンジポート16内にシリンジ12を保持するように構成された少なくとも1つのシリンジ保持部材を含む。本明細書中に記載されるように、少なくとも1つのシリンジ保持部材は、操作によってインジェクタ10のシリンジポート16又はその内部に設けられたロック機構と係合可能で、インジェクタ10に対するシリンジ12の自己配向式着脱を容易にするように構成されている。シリンジ保持部材及びロック機構は、ともにインジェクタ10にシリンジ12を接続する連結インターフェースを画定する。
【0055】
少なくとも1つのシリンジ12から、血管アクセス部位で患者に挿入されるカテーテル、針、又は他の流体送達連結部(不図示)に医療用流体Fを送達するために、少なくとも1つの流体流路セット17が少なくとも1つのシリンジ12と流体的に連結されてもよい。少なくとも1つのシリンジ12からの流体の流れは、流体制御モジュール(不図示)により調整される。使用者によって選択された注入パラメータ、例えば、注入流速、所要時間、総注入量、及び/又は造影剤と食塩水の比率などに基づいて、生理食塩水や造影剤などの医療用流体の患者への送達を調整するために、前記流体制御モジュールは、種々のピストン、バルブ、及び/又はフロー調整機構を動作させてもよい。本明細書中に
図1Aを参照して記載した、少なくとも1つのシリンジと、流体インジェクタを備えた少なくとも1つのシリンジの自己配向装填及び解放可能な保持用の少なくとも1つのシリンジインターフェースと、を含む上記システムにおける使用のために変更が施されうる好適なフロントローディング流体インジェクタの一実施形態は、Reillyらによる特許文献3に開示されており、その全体は参照により本明細書中に援用される。本システムでの使用のために変更が施されうる関連多流体送達システムの別の実施形態は、Lazzaroらによる特許文献4、Cowanらによる特許文献5、特許文献6(特許文献7として公開);及びRileyらによる特許文献8に記載されており、これらは全て本願の譲受人に譲渡されたものであり、これら開示は参照により本明細書中に援用される。他の実施形態には、本明細書中に記載されるインターフェースの種々の実施形態を含むように設計された新たな流体インジェクタシステムを含みうる。
【0056】
インジェクタ10の全体的な構造及び機能を記載したところで、ここで少なくとも1つのシリンジ12についてより詳細に説明する。
図1Bを参照すると、シリンジ12は一般に、ガラス、金属、又は適切な医療用プラスチックから形成された円筒状のシリンジバレル18を有する。バレル18は、基端部20と、先端部24と、バレル18の中心を通って延在する長手方向軸15の長さに沿って基端部20と先端部24との間に延在する側壁19と、を備える。バレル18は、透明材料又は半透明材料から作製してもよく、且つ、シリンジバレル18内の流体Fの存在を確認する少なくとも1つの流体確認部材11を含んでもよい。ノズル22は、バレル18の先端部24から延在する。バレル18は、外面21と、流体を収容するように構成された内部容積25を画定する内面23と、を有する。バレル18の基端部20は、バレル18内で摺動可能なプランジャ26によって閉鎖されてもよい。プランジャ26は、バレル18内で進む際に、バレル18の側壁19の内面23と液体シールを形成する。プランジャ26は、インジェクタ10のピストンに係合するように構成された剛体内部要素28を有してもよい。プランジャ26は、更に、剛体内部要素28の少なくとも一部の上に配置されたエラストマー製カバー29を含んでもよい。エラストマー製カバー29は、バレル18の内部表面23に係合して、バレル18内で進む際に、バレル18の側壁19と液体シールを形成するように構成されている。
【0057】
ドリップフランジ36は、シリンジバレル18の外面21から長手方向軸15に対して半径方向外側に延在してもよい。ドリップフランジ36は、バレル18の外周の少なくとも一部の周りに延在してもよい。一実施形態においては、ドリップフランジ36は長手方向軸15に沿って、シリンジ保持部材32に対し先端側に配置されている。ドリップフランジ36は、ノズル22から滴下した流体がインジェクタ10のシリンジポート16に浸入することを防止するように構成され得る。このようにして、ドリップフランジ36は、シリンジポート16に侵入して、連結インターフェース100(
図2Aに示される)及び/又はインジェクタ10の内部機構及び電子回路を塞ぐ又は妨害しうる流体の量を低減させるのに役立つ。一部の実施形態で、ドリップフランジ36はシリンジ12の挿入部分30の範囲を制限する停止面を画定する。ドリップフランジ36は、バレル18と一体に形成されてもよく、例えば摩擦嵌合及び/又は接着剤、溶接、又は成形によってバレル18の外面21に接着又は固定されてもよい。他の実施形態において、ドリップフランジ36は、エッチング、レーザー切断、又は機械加工によって、バレル18の外面21に形成されてもよい。
【0058】
続いて
図1Bを参照すると、シリンジ12の基端部20は、インジェクタ10のシリンジポート16(
図1Aに示される)内に脱離可能に挿入されるように、そのサイズ調整及び改造が実施されている。一部の実施形態では、シリンジ12の基端部20は、インジェクタ10のシリンジポート16内に脱離可能に挿入されるように構成された挿入部分30を画定し、シリンジ12の残りの部分はシリンジポート16の外部に留まる。本明細書中に詳細に記載されるように、特定の実施形態においては、シリンジ12の基端部20は、シリンジ12をシリンジポート16内に解除可能に保持するためにインジェクタ10のシリンジポート16内の対応するロック機構とロッキング係合を形成するように改造されてなる1つ又は複数のシリンジ保持部材32を含む。1つ又は複数のシリンジ保持部材32を有するシリンジとインジェクタ10のロック機構35(
図2Aに示される)との組み合わせは、インジェクタ10に対してシリンジ12を着脱する連結インターフェースを構成する。一部の実施形態では、1つ以上のシリンジ保持部材32の少なくとも一部がロック機構の少なくとも一部と協働して、シリンジ12がシリンジポート16に対して自己配向することで、シリンジ12がシリンジポート16内に解除可能に挿入され、且つシリンジポート16にロックされる。
【0059】
図2A〜2Dを参照すると、一実施形態では、インジェクタ10(
図1Aに示される)の少なくとも1つのシリンジポート16に対して少なくとも1つのシリンジ12(
図1B)を着脱するための連結インターフェース100を示す。シリンジ12及びインジェクタ10は、シリンジ12上に設けられた少なくとも1つのシリンジ保持部材32とインジェクタ10のシリンジポート16上に設けられた対応するロック機構35とを有する連結インターフェース100を含む。一実施形態においては、少なくとも1つのシリンジ保持部材32は、シリンジバレル18の基端部20又はその近傍に、及び/又は挿入部分30の少なくとも一部に設けられる。例えば、少なくとも1つのシリンジ保持部材32は、シリンジバレル18の外面21上、且つ挿入部分30の少なくとも一部に設けられてもよい。少なくとも1つのシリンジ保持部材32は、バレル18と一体に形成しても、バレル18の外面21に、例えば、摩擦嵌合及び/又は接着剤、溶接、又は成形によって接着又は固定されてもよい。他の実施形態においては、少なくとも1つのシリンジ保持部材32は、エッチング、レーザー切断、又は機械加工によって、バレル18の外面21に形成されてもよい。
【0060】
図1Bを参照すると、少なくとも1つのシリンジ保持部材32は、シリンジバレル18の外面21から長手方向軸15に対して半径方向外側に突出する1つ又は複数の突起34を含むように形成されてもよい。一部の実施形態では、複数の突起34はバレル18の周縁において半径方向に分離されてもよい。このような実施形態では、突起34はバレル18の外面21の一部によって互いに分離される。各突起34と、その突起34と半径方向に隣接する一側(左又は右)のバレル18の外面21は、共にシリンジ保持部材32を画定する。突起34が2つよりも多く設けられる実施形態では、突起34はバレル18の外面21上に半径方向に均等に又は不均等に間隔をあけて配置されてもよい。
図1Bに示すような、お互いに等しい角度間隔をあけている6つのシリンジ保持部材32を備えた、限定的ではなく例示的に示された実施形態では、各シリンジ保持部材32は60度にわたって延在し、そのため、お互いに隣接するシリンジ保持部材32は60度で分離されている。このような実施形態においては、各突起34がバレル18の周縁の30度にわたって延在してもよく、一方、シリンジ保持部材32の残りの部分を画定するバレル18の外面21の部分が残りの30度にわたって延在する。他の実施形態においては、各突起34は、バレル18の周縁に沿って30度以上又は30度以下である角度α(
図2Bに示される)で延在してもよい。同様に、バレル18の外面21の隣接する突起34間の各部分は、バレル18の周縁に沿って30度超又は30度未満である角度β(
図2Bに示される)で延在してもよい。一部の実施形態では、シリンジ保持部材32は、バレル18の周縁に沿って不均等な角度で延在し、且つ/又はシリンジ保持部材32間で不均等な角度間隔を有してもよい。更に、1つ又は複数のシリンジ保持部材32は基端部20から長手方向軸15に沿って長手方向に整列させてもよい。他の実施形態においては、少なくとも1つの突起34は、残りの突起に対し、基端部20又は先端部24に向かう方向に長手方向にオフセットしてもよい。1つ又は複数の突起34が欠けている実施形態においては、対応するシリンジ保持部材32は、隣接する突起34間のバレル18の外面21である逃げ面によって画定されうる。60度にわたって延在する各シリンジ保持部材32を有する実施形態が添付図面に例示されているが、他の角度間隔(例えば、xが1〜36の値である360分のx度)を有する保持部材32を備えたシリンジもまた本開示の範囲内である。
【0061】
図2A〜2Bを参照すると、1つ又は複数の突起34のそれぞれは略三角形、矩形、多角形、又は矢尻形の形状を有してもよい。1つ又は複数の突起34は、バレル18の外面21から半径方向外側に、外面21に実質的に垂直な方向に突出する。一部の実施形態では、1つ又は複数の突起34、又は突起34の一部は、バレル18の外面21から半径方向外側に、バレル18の外面21と1つ又は複数の突起34の頂面46との間で鈍角又は鋭角を持つように突出する。一部の実施形態では、突起34は互いに同一の形状を有してもよい。他の実施形態においては、突起34の少なくとも1つは、残りの突起34の形状と異なる形状を有してもよい。
【0062】
一部の実施形態では、1つ又は複数の突起34のそれぞれは、半径方向の断面においてバレル18の長手方向軸15に実質的に垂直になるベース面38を有する。他の実施形態においては、ベース面38は、半径方向断面においてバレル18の外周縁の周りに延在する際、長手方向軸15の方向に対し角度をなしてもよい。ベース面38は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、ベース面38は複数の個別部分を有し、これら個別部分が一緒にベース面38を画定する。当該ベース面38の複数の個別部分は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせである表面を画定してもよい。
【0063】
特定の実施形態においては、少なくとも1つの第1の表面40は、ベース面38の少なくとも1つの端部から長手方向軸15に対し実質的に平行な又はテーパの方向に延在してもよい。
図2Bを参照すると、ベース面38の対向する両端に一対の第1の表面40が示されている。一部の実施形態では、少なくとも1つの第1の表面40は、長手方向軸15に対して、長手方向軸15の基端側又は先端側方向に軸方向にテーパが付けられてもよい。長手方向軸15に対する少なくとも1つの第1の表面40の軸方向テーパリングは、円筒面投影図において、先端部24から基端部20に向かう方向の第1の表面40の傾斜角である。第1の表面40は、長手方向軸15の方向に対して同じ方向又は反対方向にテーパが付けられてもよい。少なくとも1つの第1の表面40は、ベース面38と直接連結されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の表面40がベース面38から分離されてもよい。少なくとも1つの第1の表面40は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの第1の表面40が複数の個別部分を有し、これら複数の個別部分が一緒に第1の表面40を画定する。少なくとも1つの第1の表面40の複数の個別部分は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせである表面を画定してもよい。
【0064】
少なくとも1つの第1の表面40又はベース面38から、少なくとも1つの第2の表面42が延在する。
図2Bを参照すると、第1の表面40の基端部から延在する一対の第2の表面42が示されている。一部の実施形態では、少なくとも1つの第2の表面42は、長手方向軸15に対して、長手方向軸15の基端側又は先端側方向に、軸方向及び周方向に(また、オプションとして半径方向に)テーパが付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2の表面42は、基端側方向に、長手方向軸15に対して軸方向にテーパが付けられてもよい。長手方向軸15に対する少なくとも1つの第2の表面42の軸方向及び周方向のテーパリングは、円筒面投影図において、先端部24から基端部20に向かう方向の第2の表面42の傾斜角である。例えば、少なくとも1つの第2の表面42は、長手方向軸15に垂直な面に対して角度γ(
図2Bに示される)でテーパが付けられてもよい。第2の表面42のそれぞれは、長手方向軸15に垂直な面に対し同じ又は異なる角度γでテーパが付けられてもよい。これら第2の表面42は、丸い又は鋭い先端44で互いに結合してもよい。少なくとも1つの第2の表面42は、第1の表面40、ベース面38、及び先端44の少なくとも1つと直接連結されてもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの第2の表面42は第1の表面40、ベース面38、及び先端44の少なくとも1つから分離されてもよい。一部の実施形態では、第1の表面40のみが丸い又は鋭い先端44において結合しうるように、一対の第2の表面42は省略してもよい。他の実施形態においては、丸い又は鋭い先端44は、第1の表面40又は第2の表面42から分離されてもよい。少なくとも1つの第2の表面42は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの第2の表面42が複数の個別部分を有し、これら複数の個別部分が一緒に第2の表面42を画定する。少なくとも1つの第2の表面42の複数の個別部分は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせである表面を画定してもよい。
【0065】
ベース面38、第1及び第2の表面40、42、及び先端44は、1つ又は複数の突起34のそれぞれの頂面46の境界又は輪郭を画定する。一部の実施形態で、頂面46はシリンジバレル18の湾曲に合わせる形状であってもよい。他の実施形態においては、シリンジバレル18の表面に対して頂面46の第1端部が頂面46の第2端部よりも高くなるように、突起34の1つ以上の頂面46は、シリンジバレル18の外面21に対して角度をなしてもよい。頂面46は、連続且つとぎれがなくてもよく、或いは、頂面46を共に画定する複数の別個の表面を含んでもよい。頂面46は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、ベース面38、第1及び第2の表面40、42、及び先端44が、
図2A〜2Bに示された略矢尻形状を有する突起34の境界又は輪郭を画定する。
【0066】
図2A〜2Dを参照すると、一実施形態によれば、インジェクタ10のシリンジポート16(
図1Aに示される)は、シリンジ12の少なくとも1つのシリンジ保持部材32に動作可能に係合するように構成されたロック機構35を有する。まず
図2Aを参照すると、ロック機構35は、シリンジ12の基端部20を収納するように構成された中心開口部71を有するハウジング70を含む。ハウジング70は、インジェクタ10(
図1Aに示される)のハウジング14の一部として、又は、インジェクタ10のハウジング14への取付られる部品として形成してもよい。第1の保持リング48は、ハウジング70の中心開口部71が第1の保持リング48の中心開口部50と整列されるように、ハウジング70の先端部に固定されている。第1の保持リング48は、半径方向に延在するフランジ74を有する本体72を有する。本体72の少なくとも一部は、基端側方向に、フランジ74から離れるように延在する。ハウジング70に取り付けられる場合、フランジ74はハウジング70の上部に係合し、1つ又は複数の締結具用穴76内に延在する1つ又は複数の締結具(不図示)によって固定される。第1の保持リング48の本体72の少なくとも一部はハウジング70の中心開口部71内に挿入される。他の実施形態においては、第1の保持リング48は、クリップ、ねじ、接着剤、溶接、又はスナップフィットなどの機械的な固定機構によってハウジング70に固定されてもよい。ハウジング70に取り付けられている際、第1の保持リング48の中心軸線59はハウジング70の中心軸線と同軸である。
【0067】
続いて
図2Aを参照すると、第1の保持リング48の中心開口部50内の側壁58の内部部分は、シリンジ12の挿入部分30が第1の保持リング48の中心開口部50内に挿入される際にシリンジ12の1つ又は複数の突起34を収納するように構成された1つ又は複数の第1の凹部60を有する。1つ又は複数の第1の凹部60は、側壁58の内周に等間隔で配置されてもよい。このような実施形態では、第1の凹部60は、第1の保持リング48の側壁58の一部によって互いに分離されている。各第1の凹部60と、第1の凹部60の半径方向に隣接する一側(左又は右)の第1の保持リング48の側壁58とが、共にシリンジ12上のシリンジ保持部材32を収納するための間隙空間63を画定する。シリンジ保持部材32が間隙63内に挿入された際、各間隙空間63の第1の凹部60はシリンジ保持部材32の少なくとも1つの突起34を収納するように構成されてもよく、第1の保持リング48の側壁58はバレル18の外面21の一部を収納するように構成され得る。例えば、第1の保持リング48がその周縁に沿って等しく分離された6つの間隙空間63を有する実施形態において、各間隙空間63は隣接する間隙空間63から60度分離されている。このような実施形態では、各第1の凹部60は第1の保持リング48の周縁に沿って30度にわたって延在してもよく、間隙空間63の残りの部分を画定する第1の保持リング48の側壁58の部分は周縁に沿って残りの30度にわたって延在する。他の実施形態においては、第1の保持リング48は1〜5個又は7〜12個又はそれ以上の数の間隙空間63を含んでもよく、各第1の凹部60が第1の保持リング48の側壁58の周縁に沿って30度超又は30度未満にわたって延在してもよい。一部の実施形態では、シリンジ12上の突起34の数は保持リング48上の第1の凹部60の数に一致する。他の実施形態においては、シリンジ12上の突起34の数は保持リング48上の第1の凹部60の数よりも少ない。このような実施形態では、シリンジ12上の突起34は、各突起34が保持リング48上の対応する第1の凹部60と整列できるようにシリンジバレル18の外周縁に沿って間隔をあけて配置されている。他の実施形態においては、2つ以上の突起34が少なくとも1つの第1の凹部60内に収納されるように、シリンジ12上の突起34の数が保持リング48上の第1の凹部60の数よりも多い。
【0068】
1つ又は複数の第1の凹部60のそれぞれは、側壁58の内部部分へ中心軸線59に対して半径方向外側に延在する。各第1の凹部60の側面は、シリンジ12の挿入部分30が第1の保持リング48内に挿入される際及び第1の保持リング48から出される際に第1の凹部60に出入りする突起34の動きを案内するための移動経路を画定する。各第1の凹部60は、中心軸線59の方向に沿って実質的に平行に延在する。一部の実施形態では、技術者の案内又は労力なしで突起34を第1の凹部60内に挿入することができ、且つシリンジポート16内のシリンジ12を自己整列させることができるように、各第1の凹部60は、自己配向して第1の凹部60と整列されるように突起34を案内する1つ又は複数の案内面62及び65を有してもよい。案内面62及び65は、突起34の第2の表面42の動きを自己配向させて案内するために、第1の凹部60の開口部に向かって半径方向及び軸方向に傾斜してもよい。一部の実施形態で、案内面65は、案内面65の第1部分が1つの第1の凹部60に向かって傾斜し、案内面65の第2部分が隣接する第1の凹部60に向かって傾斜するように、軸方向に向けられてもよい。1つ又は複数の案内面62及び65は、シリンジ12の1つ又は複数の突起34をシリンジポート16上の対応する1つ又は複数の第1の凹部60内に案内することによって、シリンジ12がシリンジポート16内に挿入される際にシリンジ12の自己配向を補助する。このようにして、その長手方向軸15がシリンジポート16の軸線59と軸方向に整列していなくてもよいシリンジ12、及びシリンジ12の長手方向軸15を中心とした回転方向において対応する1つ又は複数の第1の凹部60と初めは整列していなくてもよい1つ又は複数の突起34は、少なくとも突起34の第2の表面42と1つ又は複数の案内面62及び65との相互作用によって、シリンジポート16と軸方向に及び1つ又は複数の第1の凹部60と回転自在に整列される。1つ又は複数の第1の凹部60は中心軸線59に実質的に垂直な底面67を有してもよい。一部の実施形態では、底面67は、半径方向に角度をなしてもテーパが付けられてもよい。
【0069】
図2Aの実施形態をさらに参照すると、ロック機構35は、更に、内側側壁80を備えた実質的に環状の第2の保持リング78を含んでもよい。第2の保持リング78は、第1の保持リング48の本体72の基端部とハウジング70の底部82との間の、ハウジング70の中心開口部71内に配置されている。本明細書中に更に詳述するように、第2の保持リング78は、互いに固定された第1の保持リング48及びハウジング70に対し回転可能である。第2の保持リング78は、1つ又は複数の第1のロック要素84、及び任意選択的に、内側側壁80の少なくとも一部に配置された1つ又は複数の第2のロック要素86を有してもよい。1つ又は複数の第1及び第2のロック要素84、86は、内側側壁80の周縁に沿って第1のロック要素84の両側に設けられた第2のロック要素86を各第1のロック要素84が有するように交互に配置してもよい。他の実施形態においては、複数の第1のロック要素84に対し、少なくとも1つの第2のロック要素86が提供される。一部の実施形態では、第1及び第2のロック要素84、86の総数は、第1の凹部60及び/又はシリンジ12の少なくとも1つのシリンジ保持部材32の総数に一致してもよい。他の実施形態においては、第1及び第2のロック要素84、86の総数は、シリンジ12の少なくとも1つのシリンジ保持部材32の数の倍数又は分数に一致してもよい。
【0070】
1つ又は複数の第1及び第2のロック要素84、86は、第2の保持リング78の内側側壁80から半径方向外側に延在し、且つ1つ又は複数の第2の凹部88によって分離されている。シリンジ12の挿入部分30が第1の保持リング48の中心開口部50内に挿入されると、1つ又は複数の第2の凹部88はシリンジ12の1つ又は複数の突起34を収納するように構成されている。1つ又は複数の第2の凹部88が第1の保持リング48上の1つ又は複数の第1の凹部60と選択的に整列されうるように1つ又は複数の第2の凹部88は第2の保持リング78の内側側壁80の周縁に配置されている。例えば、第1の保持リング48がハウジング70周囲に均等に分離された6つの第1の凹部60を有する実施形態では、第2の保持リング78は、また、両側に隣接する第2の凹部88から均等に分離された(すなわち60度分離された)6つの第2の凹部88を有してもよい。
【0071】
図2Bを参照すると、1つ又は複数の第1のロック要素84は、少なくとも1つの突起34の少なくとも第2の表面42に係合するように構成された第1の傾斜面90を有する。第1の傾斜面90は、直線状、セグメント状、曲面状、またはそれらの組み合わせであってもよい。1つ又は複数の第1のロック要素84は、更に、突起34の先端44、第1の表面40、及び/又は第2の表面42の少なくとも1つに係合するように構成された第2の傾斜面92を有してもよい。同様に、1つ又は複数の第2のロック要素86は、突起34の先端44、第1の表面40、及び/又は第2の表面42の少なくとも1つに係合するように構成された第2の傾斜面92を有してもよい。第2の傾斜面92は、直線状、セグメント状、曲面状、またはそれらの組み合わせであってもよい。1つ又は複数の第2のロック要素86の第1の傾斜面90は、第2の保持リング78の頂面に実質的に平行する線形頂面94へと移行してもよい。1つ又は複数の第1のロック要素84の第1の傾斜面90の角度及び外形は、ロック要素84及び86の第2の傾斜面92と同じでもよく、異なっていてもよい。一部の実施形態では、第1の傾斜面90のみが直線状、セグメント状、曲面状、又はこれらの組み合わせの形態に設けられてもよい。
【0072】
続いて
図2C〜2Bを参照すると、1つ又は複数の第1のロック要素84は、内側側壁80に沿って、1つ又は複数の第2のロック要素86よりも高く延在してもよい。第1の保持リング48から基端側に延在する1つ又は複数のロックタブ96の相対的な摺動に対応するために、1つ又は複数の第2のロック要素86の線形頂面94は1つ又は複数の第1のロック要素84の頂部よりも低く配置してもよい。シリンジ12がシリンジポート16内に挿入されると、1つ又は複数のロックタブ96は1つ又は複数の突起34の回転停止面を画定する。他の実施形態においては、1つ又は複数のロックタブ96は1つ又は複数の第2のロック要素86とは離れている。本明細書中に記載されるように、一部の実施形態では、1つ又は複数のロックタブ96はシリンジ及び/又は突起34の少なくとも1つに設けてもよい。
【0073】
図2Dを参照すると、第2の保持リング78はハウジング70内に回転自在に保持される。少なくとも1つのガイドピン98が第2の保持リング78の底面から基端側に延在する。少なくとも1つのガイドピン98はハウジング70の底部82に形成された少なくとも1つのガイドピンスロット101内に収容される。少なくとも1つのガイドピンスロット101は、底部82(
図2Aを参照)の周縁の一部にわたって延在してもよい。バネのような少なくとも1つの弾性部材102(
図2Aに示される)が、第2の保持リング78の少なくとも一部及びハウジング70の少なくとも一部に連結又は接触されている。一実施形態においては、弾性部材102は、一端が少なくとも1つのガイドピン98に連結又は接触され、反対端が少なくとも1つのガイドピンスロット101の端部に連結又は接触されてもよい。少なくとも1つの弾性部材102(
図2Aに示される)は、1つ又は複数の第1の凹部60が1つ又は複数の第2の凹部88と整列されていない第1の位置に、第2の保持リング78を付勢する(
図2Bを参照)。本明細書中に記載されるように、シリンジポート16内にシリンジ12を挿入することによって、1つ又は複数の突起34は1つ又は複数の第1及び第2のロック要素84、86に係合して、第2の保持リング78を第2の位置に回転し、1つ又は複数の第2の凹部88内への1つ又は複数の突起34の挿入を可能にする。
【0074】
シリンジポート16内にシリンジ12を挿入するため、シリンジ12の挿入部分30を第1の保持リング48に接触させる。突起34が最初に第1の凹部60に対して整列されていない場合、挿入部分30が保持リング48に対し基端側に動くにつれて、案内面、例えば、1つ又は複数の突起34における先端44、及び/又は少なくとも1つの第1の表面40、及び/又は少なくとも1つの第2の表面42、およびロック機構35上の案内面62、65が、突起34を第1の凹部60と自己的に整列されるように案内する。第1の保持リング48に対するシリンジ12の基端側への継続的な動きにより、1つ以上の突起34の1つ又は複数の少なくとも一部が第2の保持リング78の1つ又は複数の第1及び第2のロック要素84、86に接触するまで突起34が第1の凹部60内に案内される。第1及び第2の傾斜面90、92は、突起34の表面40、42又は先端44の少なくとも1つに係合するように構成されている。第1の保持リング48に対するシリンジ12の基端側への継続的な動きにより、突起34が第1及び/又は第2の傾斜面90、92、つまり第2の保持リング78に対して基端側への力を作用する。第2の保持リング78の基端側への動きがハウジング70によって阻止されているため、且つ、第1及び第2の傾斜面90、92、及び/又は突起34の先端44、及び/又は少なくとも1つの第1の表面40、及び/又は少なくとも1つの第2の表面42の勾配又はテーパのため、基端側への動きは回転方向成分を有する力を生成し、当該力の回転方向成分は少なくとも1つの弾性部材102の復元力に反して、第2の保持リング78を
図2Bに示された第1の位置から1つ又は複数の第1の凹部60が1つ又は複数の第2の凹部88と整列される第2の位置に回転させる。この実施形態で、突起34の先端44、及び/又は少なくとも1つの第1の表面40、及び/又は少なくとも1つの第2の表面42は、ロック又は取付機構35を強制的に開く開口面である。1つ又は複数の突起34は、第2の保持リング78を第1の方向、例えば時計回り又は反時計回り方向に回転させてもよい。シリンジポート16内でシリンジ12が基端側へ動く間に第2の保持リング78が回転するにつれて、1つ又は複数の突起34は、突起34の先端44が1つ又は複数の第2の凹部88の底部又は停止面に係合するまで、対応する1つ又は複数の第2の凹部88内に案内される。オペレータがシリンジ12を解放すると、弾性部材102の復元作用によって、第2の保持リング78は、第1の方向とは反対の第2の方向に沿って、第2の位置から第1の位置に回転する。一実施形態によれば、ハウジング70に対する第2の保持リング78の回転により、1つ又は複数の突起34が第1の保持リング48の1つ又は複数の保持面64の後方に固定され、1つ又は複数のロックタブ96に係合するまで、シリンジ12は第2の保持リング78と共に回転する。この例示的実施形態において、第1の表面40はロックタブ96と相互作用する回転停止面である。一部の実施形態では、第2の保持リング78の動きは、1つ又は複数のガイドピンスロット101内の1つ又は複数のガイドピン98の位置によって制限される。或いは、第2の保持リング78の1つ又は複数の第1及び第2のロック要素84、86が、第1の保持リング48上の1つ又は複数の要素例えば、1つ又は複数の延在するロックタブ96と相互作用することで、第2の保持リング78の回転を制限する。第2の保持リング78がシリンジ12と共に第1の位置に回転されると、1つ又は複数の突起34の1つ又は複数のベース面38と相互作用する第1の保持リング48の1つ又は複数の保持面64によってシリンジ12が先端側へ取り外しを妨げられるように、1つ又は複数の第2の凹部88は1つ又は複数の第1の凹部60に対しオフセットされる。
【0075】
別の実施形態では、弾性部材102は、突起34をロックタブ96に接近又は保持するトルクを常に付与する。一部の実施形態では、第2の傾斜面92は常時に突起34の第2の表面42に付勢される。このような実施形態で、シリンジ12がそれ以上回転できないため、2つの表面の間の力がシリンジ12を先端側に付勢して、1つ又は複数のベース面38を1つ又は複数の保持面64に押し付ける。このようにすると、取り付け及び取り外し時にシリンジ12の自由移動を可能にするために必要な機械的弛み、揺動、又は隙間を占めるという利点がある。シリンジ12の充填時に反対側又は基端側への動きが最小限になるまでシリンジ12をしっかりとロックするように、トルクの大きさ、表面のスロープ/テーパ、及び係る摩擦を調整することができる。シリンジ12がシリンジポート16内に着座、ロックされる際、聴覚的及び/又は触覚的フィードバックを提供してもよい。聴覚的及び/又は触覚的フィードバックは、シリンジ12がロック位置に達する際、シリンジ12の任意の表面とシリンジポート16の対応する表面との相互作用によって発生してもよい。例えば、聴覚的及び/又は触覚的フィードバックは、先端44、及び/又は少なくとも1つの第1の表面40、及び/又は少なくとも1つの第2の表面42などの突起34の少なくとも1つの表面と、ロック機構35の少なくとも一部との相互作用によって発生する。係合時の弾性部材102の力によるシリンジ12の回転は、触覚的フィードバックを生成してもよい。
【0076】
シリンジポート16からシリンジ12をロック解除して取り出すため、弾性部材102の復元力に反して、シリンジ12を第1の保持リング48に対して中心軸線59を中心に回転させる。例えば、シリンジ12を時計回り方向に回転させることでシリンジ12がシリンジポート16内にロックされている場合、シリンジ12を反時計回り方向に回転させることでロックを解除することができる。シリンジ12の回転により、第2の凹部88が第1の凹部60と整列される。その後、シリンジ12を先端側へ移動させ、シリンジポート16から取り出す/排出できる。シリンジ12を回す過程で、つまり、弾性部材102の力に反して第2の保持リング78を回転させる過程で、シリンジ12の少なくとも1つの第2の表面42又は先端44と、第2の保持リング78の第1及び/又は第2の傾斜面90、92とが相互作用して、シリンジ12へ先端側の力を付与し、シリンジポート16からシリンジ12を排出/付勢する。シリンジ12が解除、解放、又は脱離されると、シリンジ12は使用者によってシリンジポート16から自由に取り外し又は引き抜かれる。本明細書の一部の実施形態では、シリンジ12がシリンジポート16から解除されると、技術者の案内又は労力なしに、シリンジ12をシリンジポート16から先端側に排出、押す、付勢、又は動かす軸方向の力がある。一実施形態において、この力又は動きは、シリンジポート16からシリンジ12全体を完全に排出するのには十分でないが、回転が解除にとって十分になって、シリンジ12をシリンジポート16からより容易に取り外すことができるのを示す触覚表示又はフィードバックを使用者に与えるのには十分であってもよい。例えば、シリンジバレル18の回転により、突起34の先端44が、第2の保持リング78の第1及び/又は第2の傾斜面90、92の面に沿って先端側に表面を摺動してもよい。1つ又は複数の突起34のベース面38が第2の保持リング78上の対応する1つ又は複数の保持面64から離れると、シリンジ12が先端側への力によって先端側に付勢され、可能であれば、第1の位置でシリンジポート16から排出され、オペレータに、シリンジ12が完全に解除されシリンジポート16から取り外すできることを示す。シリンジ12がシリンジポート16から取り外されると、次に新たなシリンジ12を挿入するために、第2の保持リング78が弾性部材102の復元力によって第1の位置に戻る。
図2A〜2Dに示される実施形態では、シリンジ12を長手方向軸15を中心に30度以下回転し、シリンジ12を解除してシリンジポート16から取り外してもよい。
【0077】
ロック機構35の動作は、シリンジ12の1つ以上のベース面38が第1の保持リング48の1つ又は複数の保持面64に係合すると、協働してシリンジ12をシリンジポート16内に保持するシリンジ12及びシリンジポート16の保持面の相互作用を通して更に説明できる。シリンジ12を自己配向させ取り付けるために、協働してシリンジ12とシリンジポート16を自己整列又は自動的に回転整列するシリンジ12及びシリンジポート16の案内面は、シリンジ12の1つ又は複数の第2の表面42、及び/又は先端44、およびシリンジポート16の1つ又は複数の案内面65を含む。シリンジ12を取り付けるために、協働してシリンジポート16を開くシリンジ12及びシリンジポート16の開口面は、シリンジ12の1つ又は複数の第2の表面42、およびシリンジポート16の1つ以上の第1及び/又は第2の傾斜面90、92を含む。機械的な弛み又は公差を占めるために協働するシリンジ12及びシリンジポート16の締め付け面は、シリンジ12の1つ又は複数の表面38、40、42、及び/又はシリンジポート16の表面64、96、90、92を含む。協働してシリンジポート16からシリンジ12を解除又は取り外すシリンジ12及びシリンジポート16の分離面は、シリンジ12の表面42、及びシリンジポート16の表面90、92を含む。協働してシリンジポート16からのシリンジ12の排出を促す先端側への力を生成するシリンジ12及びシリンジポート16の排出面は、シリンジ12の第2の表面42、及びシリンジポート16の第2の傾斜面92を含む。シリンジ12上にルアーコネクタがねじ止めされると、協働して回転を防止するシリンジ12及びシリンジポート16の回転停止面は、シリンジ12の1つ又は複数の第1の表面40、及びシリンジポート16の1つ又は複数のロックタブ96を含み、シリンジ12の1つ又は複数のベース面38とシリンジポート16の1つ又は複数の保持面64との間の任意の摩擦力も考えられる。シリンジをシリンジポート16内に嵌合可能にするシリンジ逃げ面は、第1の保持リング48の側壁58を通過する、突起34と半径方向に隣接する一側(左又は右)に位置するバレル18の外面21である。
【0078】
図3A〜3Bを参照すると、別の実施形態に係る、少なくとも1つのシリンジ12をインジェクタ10の少なくとも1つのシリンジポート16に対して着脱する連結インターフェース100が示される。シリンジ12及びインジェクタ10は、シリンジ12に設けられた少なくとも1つのシリンジ保持部材32と、インジェクタ10のシリンジポート16に設けられた対応するロック機構35と、を有する連結インターフェース100を含む。
【0079】
図3A〜3Bを参照すると、シリンジ12は概してガラス又は適切な医療用プラスチックから形成された円筒状のシリンジバレル18を有する。バレル18は、基端部20と、先端部24と、バレル18の中心を通って延在する長手方向軸15の長さに沿って基端部20と先端部24との間で延在する実質的に円筒状の側壁19(
図3Bに示される)を備える。ノズル22は、バレル18の先端部24から延在する。バレル18は、外面21と、医療用流体を収容する内部容積25(
図3Bに示される)を画定する内面23(
図3Bに示される)と、を有する。
【0080】
オプションとして、ドリップフランジ36がシリンジバレル18の外面21から長手方向軸15に対して半径方向外側に延在してもよい。ドリップフランジ36は、バレル18の外周縁の少なくとも一部に延在してもよい。一実施形態においては、ドリップフランジ36は、長手方向軸15上において、シリンジ保持部材32に対して先端側に配置されている。ドリップフランジ36は、ノズル22から滴下した流体がインジェクタ10のシリンジポート16に浸入することを防止するように構成され得る。このようにして、ドリップフランジ36は、シリンジポート16に侵入して、連結インターフェース100及び/又はインジェクタ10の内部機構及び電子回路(
図1Aに示される)を塞ぐ又は妨害しうる流体の量を低減させるのに役立つ。一部の実施形態で、ドリップフランジ36はシリンジ12の挿入部分30の範囲を制限する停止面を画定する。ドリップフランジ36は、バレル18と一体に形成されてもよく、例えば摩擦嵌合及び/又は接着剤、溶接、又は成形によってバレル18の外面21に接着又は固定されてもよい。他の実施形態において、ドリップフランジ36は、エッチング、レーザー切断、機械加工、又は成形によって、バレル18の外面21に形成してもよい。
【0081】
続いて
図3A〜3Bを参照すると、シリンジ12の基端部20は、インジェクタ10のシリンジポート16(
図1Aに示される)内に挿入できるように、サイズ調整および改造が実施されている。一部の実施形態では、シリンジ12の基端部20は、インジェクタ10のシリンジポート16内に脱離可能に挿入される挿入部分30を画定し、シリンジ12の残りの部分はシリンジポート16の外部に留まる。
図3A〜3Bに示される実施形態によれば、シリンジポート16内の対応するロック機構35とロック係合を形成するために、後に説明するように、シリンジバレル18の基端部20又はその近傍に1つ又は複数のシリンジ保持部材32が設けられる。例えば、1つ又は複数のシリンジ保持部材32は、シリンジバレル18の外面21に設けられる。シリンジ保持部材32は、バレル18と一体に形成されてもよく、バレル18の外面21に、例えば、摩擦嵌合、溶接、及び/又は接着剤を使用して接着或いは固定されてもよい。他の実施形態においては、シリンジ保持部材32は、エッチング、レーザー切断、機械加工、又は成形によって、バレル18の外面21に形成されてもよい。1つ又は複数のシリンジ保持部材32を有するシリンジ12とインジェクタ10のロック機構35(
図1Aに示される)との組み合わせは、インジェクタ10に対してジリンジを着脱する連結インターフェースを画定する。一部の実施形態では、1つ又は複数のシリンジ保持部材32はロック機構35の少なくとも一部と協働して、シリンジ12をシリンジポート16に対して自己配向させて、シリンジ12をシリンジポート16に解除可能にロックさせる。
【0082】
図3A〜3Bに示される実施形態では、少なくとも1つのシリンジ保持部材32は、シリンジバレル18の外面21から長手方向軸15に対して半径方向外側に突出する、1つ又は複数の第1の突起34、及びオプションとして設けられる1つ又は複数の第2の突起37で構成される。1つ又は複数の第1の突起34及び/又は1つ又は複数の第2の突起37は、バレル18の外面21から半径方向外側に、外面21に実質的に垂直な方向に突出する。2つよりも多い第1及び/又は第2の突起34、37が設けられる実施形態では、第1及び第2の突起34、37は、バレル18の外周縁に半径方向に均等又は不均等な間隔をあけて配置されてもよい。このような実施形態では、第1及び第2の突起34、37は、バレル18の外面21の一部によって互いに分離される。各第1又は第2の突起34、37と、第1又は第2の突起34、37と半径方向に隣接する一側(左又は右)に位置するバレル18の外面21は、共にシリンジ保持部材32を画定する。一部の実施形態では、複数の第1及び/又は第2の突起34、37が突起組を形成し、第1又は第2の突起34、37からなる1つ又は複数の隣接する突起組からバレル18の周縁に沿って半径方向に分離される。例えば、お互いに等しい角度間隔をあける6つのシリンジ保持部材32を有する一実施形態で、各シリンジ保持部材32は60度にわたって延在するので、両側に隣接するシリンジ保持部材32から60度だけ分離されている。このような一実施形態において、各第1又は第2の突起34、37はバレル18の周縁に沿って30度にわたって延在してもよく、シリンジ保持部材32の残こりの部分を画定するバレル18の外面21の部分は周縁の残りの30度にわたって延在する。他の実施形態において、各第1又は第2の突起34、37は、バレル18の周縁に沿って30度超又は30度未満にわたって延在してもよい。一部の実施形態では、シリンジ保持部材32は、バレル18の周縁に沿って、不均等な角度で延在し、且つ/又はシリンジ保持部材32間で不均等な角間隔を有してもよい。1つ又は複数の第1の突起34は、1つ又は複数の第2の突起37に対して長手方向軸15に沿って長手方向にオフセットされる。一実施形態においては、1つ又は複数の第1の突起34は、1つ又は複数の第2の突起37よりも基端部20の近傍に配置される。他の実施形態においては、1つ又は複数の第1の突起34の少なくとも一部が1つ又は複数の第2の突起37の少なくとも一部に比べて基端部20から同じ長手方向における距離に位置するように、1つ又は複数の第1の突起34は長手方向軸15に沿って1つ又は複数の第2の突起37と長手方向に整列される。1つ又は複数の突起34又は37が無い一実施形態では、対応する保持部材32を逃げ面と定義してもよく、この逃げ面は隣接する突起34、37間のバレル18の外面21である。60度にわたって延在する各シリンジ保持部材32を有する実施形態が添付図面に例示されているが、他の分離角度間隔(例えば、xが1〜36うちの値である360分のx度)を有する保持部材32を備えたシリンジもまた本開示の範囲内である。
【0083】
続いて
図3Aを参照すると、1つ又は複数の第1の突起34のそれぞれは、略三角形、多角形、矢尻形を有してもよく、或いは、
図5A〜Z又は
図10A〜Hに示された形状であってもよい。1つ又は複数の第1の突起34のそれぞれは、バレル18の長手方向軸15に実質的に垂直であってもよいベース面38を有する。一部の実施形態では、ベース面38は半径方向断面において長手方向軸15の方向に対して角度をなしてもよい。他の実施形態においては、ベース面38は、半径方向断面においてバレル18の外周縁に延在する際、長手方向軸15の方向に対して角度をなしてもよい。ベース面38は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、ベース面38は、複数の個別部分を有し、これらの個別部分が一緒にベース面38を画定する。ベース面38の複数の個別部分が、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせである表面を画定してもよい。
【0084】
一実施形態において、少なくとも1つの第1の表面40は、ベース面38の一端において長手方向軸15に実質的に平行する方向に延在してもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの第1の表面40は長手方向軸15に対し、長手方向軸15の基端側又は先端側方向に軸方向にテーパが付けられてもよい。長手方向軸15に対する少なくとも1つの第1の表面40の軸方向でのテーパリングは、円筒面投影図において、先端部24から基端部20に向かう方向の第1の表面40の傾斜角と定義されうる。少なくとも1つの第1の表面40は、ベース面38と直接連結されてもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの第1の表面40はベース面38から分離されてもよい。少なくとも1つの第1の表面40は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの第1の表面40が複数の個別部分を有し、これら複数の個別部分が一緒に第1の表面40を画定する。少なくとも1つの第1の表面40の複数の個別部分は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせである表面を画定してもよい。
【0085】
少なくとも1つの第2の表面40’は、第1の表面40とは反対側のベース面38の一端で長手方向軸15に実質的に平行する方向に延在してもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの第2の表面40’は長手方向軸15に対し、長手方向軸15の基端側又は先端側方向に軸方向にテーパが付けられてもよい。長手方向軸15に対する少なくとも1つの第2の表面40’の軸方向テーパリングは、円筒面投影図において、先端部24から基端部20に向かう方向の第2の表面40’の傾斜角と定義されうる。少なくとも1つの第2の表面40’は、ベース面38と直接連結されてもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの第2の表面40’は、ベース面38から分離されてもよい。少なくとも1つの第2の表面40’は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態で、少なくとも1つの第2の表面40’が複数の個別部分を有し、これら複数の個別部分が一緒に第2の表面40’を画定する。少なくとも1つの第2の表面40’の複数の個別部分は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせである表面を画定してもよい。
【0086】
一部の実施形態では、少なくとも1つの第3の表面42は第2の表面40’の一端から第1の表面40の端部まで延在する。少なくとも1つの第3の表面42は、長手方向軸15に対し、長手方向軸15の基端側又は先端側方向に軸方向にテーパが付けられてもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの第3の表面42は、長手方向軸15に対して基端側方向に軸方向にテーパが付けられてもよい。長手方向軸15に対する少なくとも1つの第3の表面42の軸方向テーパリングは、円筒面投影図において、先端部24から基端部20に向かう方向の少なくとも1つの第3の表面42の傾斜角と定義されうる。少なくとも1つの第3の表面42と少なくとも1つの第1の表面40とは、丸い又は鋭い先端44で互いに結合してもよい。少なくとも1つの第3の表面42は、先端44で第1の表面40の少なくとも1つと直接連結されてもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの第3の表面42は先端44において第1の表面40の少なくとも1つから分離されてもよい。一部の実施形態では、先端44は、少なくとも1つの第3の表面42及び第1の表面40から分離されてもよい。少なくとも1つの第3の表面42は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態で、少なくとも1つの第3の表面42は複数の個別部分を有し、これら複数の個別部分が一緒に第3の表面42を画定する。少なくとも1つの第3の表面42の複数の個別部分は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせである表面を画定してもよい。
【0087】
ベース面38、及び第1、第2、第3の表面40、40’、42は、1つ又は複数の第1の突起34のそれぞれの頂面46を画定する。一部の実施形態では、頂面46はシリンジバレル18の湾曲に対応するような形状であってもよい。他の実施形態においては、シリンジバレル18の表面に対して頂面46の第1端部が頂面46の第2端部よりも高くなるように、突起34の1つ又は複数の頂面46は、シリンジバレル18の外面21に対して角度をなす。頂面46は、連続的且つとぎれがなくてもよく、或いは、頂面46は、頂面46を共に画定する複数の別個の表面を含んでもよい。頂面46は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0088】
1つ又は複数の第2の突起37のそれぞれは、バレル18の外面21から半径方向外側に延在する突起物として形成してもよい。1つ又は複数の第2の突起37は、オプションとして、バレル18の外面21から少なくとも1つの第2の突起37の頂面106まで、バレル18の周方向に沿って延在する傾斜した解除部材104を有する。傾斜した解除部材104がある場合、傾斜した解除部材104は単純な2部品型でのシリンジ12の成形を容易にしてもよい。一部の実施形態では、頂面106はシリンジバレル18の湾曲に対応するような形状であってもよい。他の実施形態においては、頂面106はシリンジバレル18の外面21に対し角度をなしてもよい。頂面106は連続的且つとぎれがなくてもよく、或いは、頂面106は、頂面106を共に画定する複数の別個の表面を含んでもよい。頂面106は、平面状、セグメント状、弓形状、曲面状、またはそれらの組み合わせであってもよい。本明細書中に記載されるように、解除部材104は第3の保持リング108に係合し、シリンジ12をシリンジポート16から解放するように構成してもよい。
【0089】
続いて
図3Aを参照すると、インジェクタ10(
図1Aに示される)の少なくとも1つのシリンジポート16は、シリンジ12の少なくとも1つのシリンジ保持部材32に作動可能に係合するように構成されたロック機構35を有する。ロック機構35は、シリンジ12の基端部20を収納するように構成された中心開口部71を備えたほぼ円形形状を有するハウジング70を含む。ハウジング70は、インジェクタ10(
図1Aに示される)のハウジング14の一部、又は、インジェクタ10のハウジング14に取付られた部品として形成してもよい。第1の保持リング48は、ハウジング70の中心開口部71が第1の保持リング48の中心開口部50と整列されるように、ハウジング70の先端部に固定されている。第1の保持リング48は、半径方向に延在するフランジ74を有する本体72を有する。本体72の少なくとも一部は、基端側に向かってフランジ74から離れるように延在する。ハウジング70に取り付けられると、フランジ74はハウジング70の上部に係合し、1つ又は複数の締結具用穴76内に延在する1つ又は複数の締結具(不図示)によって固定される。第1の保持リング48の本体72の少なくとも一部は、ハウジング70の中心開口部71内に挿入される。他の実施形態においては、第1の保持リング48は、クリップ又はスナップフィットなどの他の機械的な固定機構によってハウジング70に固定してもよい。ハウジング70に取り付けられている際、第1の保持リング48の中心軸線59はハウジング70の中心軸線と同軸である。
【0090】
続いて
図3Aを参照すると、第1の保持リング48の中心開口部50内の側壁58の内側部分は、シリンジ12の挿入部分30が第1の保持リング48の中心開口部50内に挿入された際に、シリンジ12の1つ又は複数の第1の突起34を収納するように構成された1つ又は複数の第1の凹部60を有する。1つ又は複数の第1の凹部60は、側壁58の内周に等間隔で配置してもよい。このような実施形態では、第1の凹部60は、第1の保持リング48の側壁58の一部によって互いに分離されている。各第1の凹部60及び第1の凹部60の半径方向に隣接する一側(左又は右)の第1の保持リング48の側壁58は、共にシリンジ12上のシリンジ保持部材32を収納する間隙空間63を画定する。シリンジ保持部材32が間隙空間63内に挿入された際、各間隙空間63の第1の凹部60がシリンジ保持部材32の少なくとも1つの第1の突起34又は第2の突起37を収納し、第1の保持リング48の側壁58がバレル18の側壁19の一部を収納するように構成される。例えば、第1の保持リング48が第1の保持リング48の周縁に沿って等しく分離した6つの間隙空間63を有する実施形態において、各間隙空間63は両側に隣接する間隙空間63から60度だけ分離されている。このような実施形態では、各第1の凹部60は第1の保持リング48の周縁に沿って30度にわたって延在してもよく、間隙空間63の残こりの部分を画定する第1の保持リング48の側壁58の部分は周縁に沿って残りの30度にわたって延在する。他の実施形態において、第1の保持リング48は1〜5個又は7〜12個又はそれを超える数の間隙空間63を含んでもよく、各第1の凹部60は第1の保持リング48の側壁58の周縁に沿って30度超又は30度未満にわたって延在してもよい。一部の実施形態では、シリンジ12上の第1及び第2の突起34、37の数は、保持リング48上の第1の凹部60の数に一致する。他の実施形態においては、シリンジ12上の第1及び第2の突起34、37の数は、保持リング48上の第1の凹部60の数よりも少ない。このような実施形態では、シリンジ12上の第1及び第2の突起34、37は、各第1又は第2の突起34、37が保持リング48上の対応する第1の凹部60と整列されうるように、シリンジバレル18の外周縁に沿って間隔をあけて配置されている。他の実施形態においては、2つ以上の第1及び第2の突起34、37が少なくとも1つの第1の凹部60内に収納されるように、シリンジ12上の第1及び第2の突起34、37の数は保持リング48上の第1の凹部60の数よりも多い。例えば、第1又は第2の突起34、37は突起組を形成して、1箇所又は2箇所以上の突起位置に配置され協働することで、後に説明される第1、第2の突起34、37、およびこれらの表面のいずれかに係る機能を発揮する。
【0091】
1つ又は複数の第1の凹部60のそれぞれは側壁58の内部部分へと、中心軸線59に対し半径方向外側に延在する。各第1の凹部60の側面は、シリンジ12の挿入部分30が第1の保持リング48内を出入りする際、第1の凹部60を出入りする第1及び第2の突起34、37の動きを案内する移動経路を画定する。各第1の凹部60は、中心軸線59の方向に沿って実質的に平行に延在する。一部の実施形態では、技術者の案内又は労力なしに、第1及び第2の突起34、37を第1の凹部60内に挿入でき、且つシリンジポート16内のシリンジ12を自己整列させることができるように、各第1の凹部60は第1及び第2の突起34、37を第1の凹部60との自己整列へと案内する1つ又は複数の案内面62を有してもよい。案内面62は、第1の凹部60の開口部に向かって傾斜して、第1及び第2の突起34、37の動きを案内する。このようにして、対応する1つ又は複数の凹部60に対し当初整列していなくてもよい1つ又は複数の第1及び第2の突起34、37は1つ又は複数の案内面62によって1つ又は複数の凹部60と自己整列する。
【0092】
図3Aの実施形態を引き続き参照すると、ロック機構35は、内側側壁80を備えた実質的に環状形状を有する第2の保持リング78を更に含む。第2の保持リング78は、第1の保持リング48の本体72の基端部とハウジング70の底部82との間の、ハウジング70の中心開口部71内に配置されている。本明細書中に更に詳述するように、第2の保持リング78は回転自在に動くことができ、且つ第1の保持リング48及びハウジング70に対し軸方向に固定されている。第2の保持リング78は、1つ又は複数の第2の凹部88を有する。シリンジ12の挿入部分30が第1の保持リング48の中心開口部50内に挿入された際、1つ又は複数の第2の凹部88はシリンジ12の1つ又は複数の第1及び第2の突起34、37を収納するように構成されている。1つ又は複数の第2の凹部88が第1の保持リング48上の1つ又は複数の第1の凹部60と整列されるように、1つ又は複数の第2の凹部88は第2の保持リング78の内側側壁80の周縁に配置されている。例えば、第1の保持リング48が6つの第1の凹部60を有する実施形態では、第2の保持リング78は、また、互いに60度離れた6つの第2の凹部88を有してもよい。第2の保持リング48の回転はハウジング70内の1つ又は複数のスロット内に収容された1つ又は複数の基端側ピン98’及び/又は1つ又は複数の弾性部材102’によって案内且つ拘束されてもよい。
【0093】
続いて
図3Aを参照すると、ロック機構35は、更に、内側側壁110を備えた実質的に環状形状を有する第3の保持リング108を含んでもよい。第3の保持リング108は、第1の保持リング48と第2の保持リング78との間の、ハウジング70の中心開口部71内に配置されている。本明細書中に更に詳述するように、第3の保持リング108は、第1の保持リング48、第2の保持リング78及びハウジング70に対し回転可能であり、これらは全て互いに固定されている。第3の保持リング108は、内側側壁110の少なくとも一部に配置された1つ又は複数のロック要素112を有する。1つ又は複数のロック要素112は、内側側壁110に対して半径方向外側に延在し、各ロック要素112が第3の凹部114によって分離されるように交互に配置されている。
【0094】
1つ又は複数のロック要素112は、1つ又は複数の第1の突起34の第3の表面42に選択的に係合するように構成された傾斜面116を有する。傾斜面116は、直線状、セグメント状、曲面状、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0095】
続いて
図3Aを参照すると、第3の保持リング108はハウジング70内に回転自在に保持されている。少なくとも1つのガイドピン98が第3の保持リング108から延在し、第1及び第2の保持リング48、78の一方又は両方に形成された少なくとも1つのガイドピンスロット101(不図示)内に収納される。バネなどの少なくとも1つの弾性部材102は、その一端が第3の保持リング108の少なくとも一部と連結され、他の一端が第1及び第2の保持リング48、78の一方又は両方の少なくとも一部と連結されている。一実施形態においては、弾性部材102は、一端が少なくとも1つのガイドピン98に連結され、反対端が少なくとも1つのガイドピンスロット101に連結される。少なくとも1つの弾性部材102は、第3の保持リング108を第1の位置に付勢する。シリンジ12をシリンジポート16内に基端側に向けて挿入することで、開口面、即ちこの実施形態において、1つ又は複数の突起34の第3の表面42は、1つ又は複数のロック要素112に係合して、少なくとも1つの第3の凹部114が少なくとも1つの第1の凹部60及び少なくとも1つの第2の凹部88と整列される第2の位置に、第3の保持リング108を回転させる。本明細書中に記載されるように、第1の突起34の第2の表面40’がロック要素112の傾斜面116を通過すると、第3の保持リング108は反対方向に回転して最初の第1の位置に戻り、ベース面38がロック要素112の基端側に保持され、シリンジポート16内にシリンジ12をロックする。シリンジ12がシリンジポート16内にロックされる際、例えば第1の位置までの第3の保持リング108の動きによって、聴覚及び/又は触覚的フィードバックが提供される。
【0096】
シリンジ12をシリンジポート16内に挿入するために、
図3Dに示すように、シリンジ12の挿入部分30を第1の保持リング48に接触させる。第1及び第2の突起34、37が最初に第1の凹部60に対してずれている場合、挿入部分30が第1の保持リング48に対して基端側に移動するにつれて、案内面65は第1及び第2の突起34、37を第1の凹部60と自己整列するように案内する。シリンジ12が第1の保持リング48に対して続いて基端側へ動くことで、1つ又は複数の第1の突起34の1つ又は複数の第2の表面40’の少なくとも一部が第3の保持リング108の1つ又は複数のロック要素112の傾斜面116に接触するまで、第1及び第2の突起34、37が第1の凹部60内に案内される。傾斜面116は、第1の突起34の第2の表面40’に係合するように構成されている。
図3Dに示すように、シリンジ12が第1の保持リング48に対して続いて基端側へ動くことにより、第1の突起34が少なくとも1つの弾性部材102の復元力に反して第3の保持リング108を
図3Dに示される第1の位置から
図3Eに示される第2の位置に回転させる。1つ又は複数の第1の突起34は、第3の保持リング108を第1の方向、例えば時計回り又は反時計回りに回転させる。シリンジ12がシリンジポート16内で基端側に動く間で第3の保持リング108が回転して、第1及び第2の突起34、37全てのベース面38が第3の保持リング108の底部を通過するまで、1つ又は複数の第1の突起34及び第2の突起37は対応する1つ又は複数の第2の凹部88内に案内される。弾性部材102の復元作用によって、第3の保持リング108は第1の方向とは反対の第2の方向に回転する。ハウジング70に対する第3の保持リング108の回転によって、ロック要素112は1つ又は複数の第1及び第2の突起34、37上に配置され、先端側へのシリンジ12の取り外しが阻止される。
【0097】
図3Fに示すように、シリンジ12をシリンジポート16からロック解除するため、シリンジ12を長手方向軸15を中心に第1の方向に回転させる。シリンジ12の回転により、第1の突起34の第3の表面42が第2の保持リング78の第1の傾斜面90に当接して、第2の保持リング78をその弾性部材102’(
図2Aに示される)の力に反して回転させる。例えば約30度回転すると、第2の保持リング78上のガイドピン98が第3の保持リング108に係合して、第3の保持リング108も第1の方向に回転される。更に回転すると、例えば更に約30度回転すると、
図3Gに示すように、第1及び第2の突起34、37が第1の保持リング48の第1の凹部60と整列し、第3の保持リング108のロック構造112が第1の凹部60の基端側のスペースを通過するように移動して、少なくとも1つの第1の凹部60が少なくとも1つの第3の凹部114と整列される。
図3Hに示すように、この際、第1の傾斜面90に対する第1の突起34の第3の表面42の回転によって生成される先端側への力成分により、シリンジ12が先端側に動いてシリンジポート16から排出される。シリンジ12がシリンジポート16から排出されると、弾性部材102及び102’の復元力により第3の保持リング108及び第2の保持リング78が第2の方向に回転されそれぞれの第1の位置に戻り、次のシリンジ12の挿入に準備する。
【0098】
ロック機構35の動作を更に説明すると、係合すれば協働してシリンジ12をシリンジポート16内に保持するシリンジ12及びシリンジポート16の保持面は、シリンジ12の1つ又は複数のベース面38及び頂面106と、シリンジポート16のロック要素112の1つ又は複数の表面である。取付けのために協働してシリンジ12とシリンジポート16を自己整列又は自動的に回転整列するシリンジ12及びシリンジポート16の案内面は、シリンジ12の1つ又は複数の先端44及び/又は第3の表面42と、シリンジポート16の1つ又は複数の案内面65である。シリンジ12を取り付けるために協働してシリンジポート16を開くシリンジ12及びシリンジポート16の開口面は、シリンジ12の1つ又は複数の第3の表面42と、シリンジポート16の傾斜面116である。協働してシリンジポート16からシリンジ12を解除又は取り外すシリンジ12及びシリンジポート16の分離面は、シリンジ12の第3の表面42と、シリンジポート16の傾斜面90である。協働してシリンジポート16からシリンジ12を排出する先端側への力を生じるシリンジ12及びシリンジポート16の排出面は、シリンジ12の第3の表面42と、シリンジポート16の傾斜面90である。ルアーコネクタがシリンジ12にねじ止めされる際に協働して回転を防止するシリンジ12及びシリンジポート16の回転停止面は、シリンジ12の1つ又は複数の第1の表面40及び/又は第2の表面40’と、シリンジポート16の1つ又は複数の第2の凹部88であり、シリンジ12の1つ又は複数のベース面38とシリンジポート16の1つ又は複数のロック要素112との間の任意の摩擦力も考えられる。シリンジをシリンジポート16内に嵌合させるシリンジ逃げ面は、第1の保持リング48の側壁58を通過する、突起34と半径方向に隣接する一側(左又は右)に位置するバレル18の外面21である。
【0099】
図3A〜3Hのシリンジポート16の実施形態では、第1の保持リング48の側壁58に窪んだ第1の凹部60が設けられる場合を記載している。たが別の実施形態として、側壁58が第1の保持リング48の第1の凹部60によって画定される円筒状の表面から突出してもよい。これら2つの構成は、いずれも1つの実施形態に記載または適用できる。
【0100】
図2A〜3Gは少なくとも1つのシリンジ保持部材32のいくつかの非限定的な実施形態を示すが、種々の他の形状も考えられる。例えば、少なくとも1つのシリンジ保持部材32の1つ又は複数の第1の突起34及び/又は第2の突起37は、略円形、正方形、矩形、五角形又は任意の他の多角形形状を有してもよい。シリンジポート16に対するシリンジ12の自己配向を補助するために、又は、シリンジ12をシリンジポート16に解除可能にロックするために、少なくとも1つのシリンジ保持部材32に種々の構成を設けてもよい。各実施形態において、少なくとも1つのシリンジ保持部材32は、インジェクタ10のシリンジポート16内の対応するロック機構と可逆的なロック係合を形成するように構成され、シリンジ12をシリンジポート16内に保持する。少なくとも1つのシリンジ保持部材32の1つ又は複数の突起34の種々の他の形状について、以下、
図4A〜5Z及び
図10A〜10Hを参照しながら説明する。
【0101】
図4A〜4Lは、少なくとも1つのシリンジ12の基端部20、及びシリンジ12の基端部20を収納するための対応する少なくとも1つのシリンジポート16の種々の実施形態を示す円筒面投影図である。
図4Aを参照すると、シリンジ12をシリンジポート16の先端部に挿入するために、
図2Aに示されているシリンジ12の基端部20の一実施形態は、破線で示すように、回転して整列される。この観点から、自己整列される際、突起34と突起34の間に位置するバレル18の外面21とを含むシリンジ保持部材32は、シリンジポート16の間隙空間63内に収納され、シリンジ12がシリンジポート16に挿入できるようにする。同様に、シリンジバレル18の外面21は、第1の保持リング48の側壁58を通過する。これら要素間の関係を測定又は表示する1つの方法として、シリンジ12の外側とシリンジポート16の内側に対する角度を測定又は表示する。例えば、6つ折り対称のシリンジ保持部材32の実施形態で、各突起34は公称角度30度に対し、各第1の凹部60も同じく30度に対し、無論、突起34が第1の凹部60内で摺動できるような隙間及び公差を許容する。1つ又は複数のロックタブ96が有限な角度範囲に亘って延在するため、突起34のベース面38全体が保持面64の下に完全に配置できない。例えば、突起34及び第1の凹部60の両方が30度であり、ロックタブ96が4度の角度を占める場合、突起34のベース面38はロックタブ96と26度分だけの表面に亘って重なる。重なりを最大化するために、突起34を28度まで減らし、且つロックタブ96が占める4度を含む凹部60の幅を32度まで増加させる。これで、挿入する時、突起34の幅全体がロックタブ96に隣接する保持面64の下に配置される。各突起34は、第1の保持リング48の第1の凹部60内に収納されるように構成されている。各突起34の第2の表面42は、案内面65に沿って自己案内され第1の凹部60と整列され、突起34が第1の凹部60内に挿入できるようにする。
図4Kを参照すると、第2の保持リング78は第1のロック要素84及び第2のロック要素86を有し、前記第1のロック要素84及び第2のロック要素86は、実質的に矩形であり、且つ1つの上部角部に凹部91を備えている。凹部91は、突起34がシリンジポート16内に挿入される際、突起34の第2の表面42を第2の凹部88内に案内するように構成されている。
【0102】
図4Bは、突起34の数がシリンジポート16の凹部60の数よりも少ない別の実施形態を示す。1つ又は複数の突起34が欠けている場合、この欠けた領域はもっと広いシリンジ12の外面21の領域によって占められる。一部の実施形態で、少なくとも2つの突起34が、お互いに隣接したり、バレル18の周りに沿って間隔をあけたり、又はバレル18の対向側に位置するように設けられ、突起34うちの1つが対応するロックタブ96に対して回転して、シリンジ12がシリンジポート16内に適切に係合するようにする。各突起34は、第1の保持リング48の第1の凹部60内に収納されるように構成される。各突起34の第2の表面42は、案内面65に沿って案内されて第1の凹部60と整列され、突起34が第1の凹部60内に挿入できるようにする。
【0103】
図4Cは、1つ又は複数のロックタブ96が少なくとも1つの突起34のベース面38に形成されている別の実施形態を示す。他の実施形態において、1つ又は複数のロックタブ96は突起34と別に形成されてもよい。他の実施形態において、ロックタブ96は、シリンジ12の少なくとも1つの突起34及びシリンジポート16の少なくとも1つの側壁58両方に設けられてもよい。
【0104】
図4Dは、
図3A〜3Eに示されているシリンジ12及びシリンジポート16の一実施形態の円筒面投影図を示す。
図4Eは、さらに、第1及び第2の突起34、37のうち全部ではなく、一部が除去された実施形態を示す。
図4Jで、第3の保持リング108のロック要素112は、
図4D〜4Eに示されている傾斜面116を有しない。その代わりに、ロック要素112と側壁58との間に、第1の突起34の先端44を挿入するスペースSSが設けられている。上記いずれかの実施形態において、少なくとも1つの第1の突起34が設けられている。
【0105】
図4Fは、8回対称を有する別の実施形態を示す。対称程度が高いほど、着脱に必要なシリンジ12の回転角度が小さくなる利点がある。例えば、8回対称では、着脱に要するシリンジ12の回転は、22.5度以下になる。また、付加された突起は、保持力又は拘束力をシリンジバレル18の周囲により均一に分散させる。他の実施形態において、シリンジ12とシリンジポート16との間の連結部は、8回対称、10回対称、12回対称、16回対称又は任意の他の対称を有してもよい。
【0106】
図4Gを参照すると、突起34は、先端44に向かって軸方向にテーパが付いた一対の第2の表面42を有する略三角形形状を有する。第2の表面42は第1の保持リング48の案内面65と係合して、突起34を第1の凹部60内に自己案内するように構成されている。第2の保持リング78は、対応する形状の第2の凹部88を有して、突起34を収納する。少なくとも一部の第1のロック要素84は、シリンジ12が基端側へシリンジポート16内に挿入される際に突起34を第2の凹部88に向かって案内する斜面89を有する。
図4Hで、突起34は、長手方向軸15(
図3Aに示される)に大体平行する少なくとも1つの表面を備えた三角形形状になる。同様に、第2の保持リング78は、対応する形状の第2の凹部88を有して、突起34を収納する。
図4Iで、突起34は一体的なロックタブ96を有する。
【0107】
図5A〜5Zは、突起34の種々の実施形態を示す。
図5Aは、
図2A〜2Dを参照しながら説明した構成を有する例示的な突起34を示し、
図5Bは、突起34の輪郭を示し、且つ破線で突起34の各表面を示している。
【0108】
図5Cは、中心部612が中空であり、外周の表面によって画定される突起34cを例示する。一部の実施形態で、中心部612はシリンジバレル18(
図2Aに示される)の厚みに一致する厚みを有する。他の実施形態において、中心部612はシリンジバレル18(
図2Aに示される)よりも厚い又は薄い厚みを有する。一部の実施形態で、中空の中心部612はシリンジバレル18の側壁厚みの一部だけ延在する。外周の表面は、連結されてもよく、お互いに1つ又は複数の間隙を有してもよい。中空の中心部612を有すると、成形中に材料を冷却する際、プラスチック材料のひけを低減又は排除できる利点がある。
図5Dを参照すると、1つ又は複数の補強部材614が中心部612内に設けられている。1つ又は複数の補強部材614は、突起34Dの外周の表面に連結されてもよく、突起34Dの外周の表面から分離されてもよい。保持力を大きくする必要があり、突起34Dの表面に大きな応カがかかる場合、付加材料又は補強部材、例えば、1つ又は複数の補強部材614の存在によって、突起34Dがそのように大きい力でも動作できる。
図5Eは、複数の空孔612’’が設けられた突起34Eを示す。一部の実施形態で、空孔612’’は大体円形形状を有するが、種々の他の形状にしてもよい。
【0109】
図5Fは、第2の表面42が実際の表面ではなく、点620と点622との間で延在する一点鎖線によって画定される仮想表面である突起34Fを示す。これらの仮想表面は、
図2A及び
図3Aに示されている突起34の第1及び第2の表面40、42のように、軸方向にテーパが付けられている。
【0110】
一実施形態によれば、突起34は、複数の突起の組み合わせであり、前記複数の突起が共に突起34の表面を形成し、前記表面は実際の表面及び/又は仮想表面の組み合わせである。
図5Gは、突起34Gが複数の突起34G−1〜34G−5の組み合わせである一実施形態を示す。
図5Gで、破線で示すように、突起34Gの機能面は2つ以上の突起34G−1〜34G−5が協同して画定する。第2の表面42は、実際の表面ではなく、34G−1と34G−2との間及び34G−2と34G−5との間で延在する一点鎖線によって画定された仮想表面である。これら仮想表面は、
図2Aに示された突起34の第1及び第2の表面40、42と同じように、軸方向にテーパが付けられている。
【0111】
図5Hは、一対の突起34H−1及び34H−4を有する突起34Hを示す。
図5Hの実施形態では、ベース面38及び第1の表面40が突起34H−1に形成され、先端44が突起34H−2の表面である。第2の表面42は、2つの突起34H−1と34H−2との間に形成された仮想表面である。これら仮想表面は、
図2Aに示された突起34の第1及び第2の表面40、42と同じように軸方向でテーパが付けられている。
【0112】
図5Iは、4つの突起34I−1〜34I−4を有する突起34Iを示す。
図5Iの実施形態で、ベース面38は突起34I−1上に形成され、先端44は突起34I−3の表面である。第1の表面40は、34I−1と34I−2との間及び34I−1と34I−4との間に形成された仮想表面である。第2の表面42は34I−2と34I−3との間及び34I−3と34I−4との間に形成された仮想表面である。これら仮想表面は、
図2Aに示された突起34の第1及び第2の表面40、42と同じように軸方向にテーパが付けられている。
【0113】
図5Jは、T字状の中心突起34J−1と、一対の側方突起34J−2及び34J−3を有する突起34Jを示す。
図5Jの実施形態で、ベース面38は突起34J−1の頂面に形成され、先端44は突起34J−1の底面にある。第1の表面40は34J−1の頂部と34J−2との間及び34J−1の頂部と34J−3との間に形成された仮想表面である。第2の表面42は34J−1の底部と34J−2との間及び34J−1の底部と34J−3との間に形成された仮想表面である。
図5Wは、
図5Jに示された一対の側方突起がないT字状の突起34Wを示す。
図5Wで、第2の表面42は突起34Wの頂部と底部の先端44との間に形成された仮想表面である。これら仮想表面は、
図2Aに示された突起34の第1及び第2の表面40、42と同じように軸方向にテーパが付けられている。
【0114】
図5Kは、上部突起34K−1及び下部突起34K−2を有する突起34Kを示す。
図5Kの実施形態においては、ベース面38は突起34K−1の頂面に形成され、先端44は突起34K−2からなる。一対の第1の表面40が34K−1の側方部分に沿って延在する。第2の表面42は第1の表面40の末端部と34K−2との間に形成された仮想表面である。これら仮想表面は、
図2Aに示される突起34の第1及び第2の表面40、42と同じように軸方向にテーパが付けられている。
【0115】
図5Lは、
図5Cにおける突起34Cの形状と類似する形状を有する突起34Lを示す。突起34Lは、更に、ベース面38の一部から延在する一体的なロックタブ96aを有する。
【0116】
図5Mは、実質的に直線であるベース面38と、湾曲した第1及び第2の表面40、42とを有する突起34Mを示す。第1及び第2の表面40、42は、湾曲し実質的に楕円形態を有してもよい。第1及び第2の表面40、42は、軸方向で先端44に向いて曲線形態のテーパが付けられている。
図5Nは、
図5Mに示された突起34Mの形状と類似する形状を有する突起34Nを示す。突起34Nは、上部突起34N−1及び下部突起34N−2から形成されている。上部突起34N−1は実質的に直線であるベース面38を画定し、下部突起34N−2は間隙を介して上部突起34N−1から分離され、且つ、第2の表面42に沿って内側に向けて軸方向にテーパが付けられた略湾曲形状を有する。
【0117】
図5O〜5Pは、
図5Cにおける突起34Cの形状と類似する形状を有する突起34O、34Pを示す。突起34O、34Pで、第1又は第2の表面40、42のうちの少なくとも1つが除去され、突起34O、34Pが不連続な輪郭を有し、少なくとも1つの仮想の第2の表面42Oが先端44と第1の表面40との間で延在する。この仮想の第2の表面42Oは、
図2Aに示された突起34の第1及び第2の表面40、42と同じように軸方向にテーパが付けられている。
【0118】
図5Qは、3つの円形突起34Q−1〜34Q−3から形成された突起34Qを示す。円形突起34Q−1〜34Q−3は、それらの間で仮想表面が画定されるように配置されている。特に、一対の第2の仮想表面は、一対の上部円形突起34Q−2及び34Q−3と、下部円形突起34Q−1とによって画定される。突起34Q−1〜34Q−3は、楕円形、正方形、三角形、偏菱形、又は他の多角形などの他の任意の形状を有してもよい。各仮想の第2の表面42は、
図2Aに示された突起34の第1及び第2の表面40、42と同じように軸方向でテーパが付けられている。
図5Rは、2つの円形突起34R−1〜34R−2から形成され、それらの間で1つの仮想の第2の表面42が画定される形状を有する突起34Rを示す。突起34R−1〜34R−2は、楕円形、正方形、三角形、偏菱形、又は他の多角形などの他の任意の形状を有してもよい。
図5Yは、3つの円形突起34Y−1〜34Y−3から形成された突起34Yを示す。上部の1対の突起34Y−1及び34Y−2は、
図5Qにおける突起34Qよりも、軸方向で下部突起34Y−3に接近している。
図5Zでは、突起34Zの下部突起34Z−3が円形でなく、矩形になって示される。
【0119】
図5S(1)〜5S(3)を参照すると、バレル18の外面21によって分離された別個の突起34に一対の突起34SA及び34SBが設けられている。第1の突起34SAには、1つの突起34S−1が上部角部、例えば、仮想のベース面38が仮想の第1の表面40に接する突起34の輪郭の右上角に設けられる。第1の突起34SAは、シリンジ12がシリンジポート16内に挿入されると(円筒面投影
図5S(3)に示すように)、ロック機構35の第1の保持リング48に設けられたロックタブ96に係合するように構成されている。第2の突起34SBは、先端44に位置する1つの突起34S−2として形成されている。第2の突起34SBは、第1の保持リング48上の案内面65に係合することによって、シリンジ12をシリンジポート16内で自己配向させて案内するように構成されている。突起34S−1及び34S−2は、円形、楕円形、三角形、正方形、矩形、又は他の多角形の形状を有してもよい。
【0120】
図5Tを参照すると、突起34Tはベース面38から先端44まで軸方向にテーパが付けられた矩形の第2の表面42として形成される。この第2の表面42は、
図2Aに示された突起34の第1及び第2の表面40、42と同じように軸方向にテーパが付けられている。
【0121】
図5Uを参照すると、突起34Uは、テーパ付きの第2の表面42の方向に沿って整列した2つの面を有する正方形突起として成形されている。
図5Vは、テーパ付きの第2の表面42の方向に沿って整列した2つの面を有する三角形の突起34Vを示す。他の実施形態において、突起34Vは、ベース面38を画定する少なくとも1つの第2の突起を含んでもよい。
図5T〜5Vの第2の表面42には、
図2Aに示される突起34の第1及び第2の表面40、42と同じように軸方向にテーパが付けられている。
【0122】
図5Xは、垂直軸線に対して水平に間隔をあけて配置された複数の平行部材を有する突起34Xを示す。少なくとも2つの隣接する平行部材の間に仮想の第2の表面42が画定される。
図5Xの第2の表面42には、
図2Aに示される突起34の第1及び第2の表面40、42と同じように軸方向にテーパが付けられている。シリンジ12の一部の実施形態は、少なくとも1つのシリンジ保持部材32に、突起34A〜34X及び/又は10A〜10Hのいずれかの組み合わせを様々に含んでもよい。
【0123】
図6Aを参照すると、取付部材を含む継手130が、シリンジバレル18に対して着脱
可能に設けられている。継手130は、例えば、前述した少なくとも1つのシリンジ保持部材32を有するシリンジ12を収納して、シリンジ12を、前記少なくとも1つのシリンジ保持部材32を収納できないロック機構を備えたシリンジポートを有する流体インジェクタに接続するように構成される。例えば、継手130は、特許文献3又は特許文献2に記載されている流体インジェクタ、又は他の任意の流体インジェクタにシリンジ12を接続できる。継手130はインジェクタに解除可能に連結できる。また、継手130は、流体インジェクタのロック機構内に挿入され保持されてもよい。継手130は、また、インジェクタへの取り付けとは係らずに、シリンジ12に解除可能に連結または取り付けられてもよい。
【0124】
図6Aを参照すると、継手130は、第1部分132と第2部分134を備える。第1部分132は、前記実施形態に係る少なくとも1つのシリンジ保持部材32を有するシリンジ12を収納する。第2部分134は、前記実施形態に係る少なくとも1つのシリンジ保持部材32を有するシリンジ12を収納できないシリンジポートを有するインジェクタ内に装着される。第1部分132は、第2部分134と直接に連結され、一体的に形成される。また、第1部分132が第2部分134に解除可能に連結され、種々の第2部分(
図7A〜7Bに示される)が第1部分132に適用できるようにてもよい。続いて
図6Aを参照すると、第1部分132は、
図2A〜2Dに基づいて説明されたロック機構35を有する。また、第1部分132は
図3A〜3Hに基づいて説明されたロック機構35を有してもよい。種々の実施形態において、継手130の第1部分132は、対応する少なくとも1つのシリンジ保持部材32を有する前述したシリンジ12を解除可能に収納するように構成されている。
図7A〜7Bを参照すると、継手130の第2部分134は、連結インターフェースを有する。当該連結インターフェースは、シリンジ保持部材32を有する前記シリンジ12を収納できないインジェクタと接続するように構成されている。
図7Aは、特許文献3に記載されているインジェクタの係合機構に適用される第2部分134を示し、
図7Bは、特許文献2に記載されているインジェクタの係合機構に適用される第2部分134を示す。無論、第2部分134は、本明細書で記載されていない種々の他のインジェクタとも接続できる。また、継手130は、インジェクタのロック機構に対して継手130を係脱する分離機構を有してもよい。
【0125】
図6Bを参照すると、アダプタ230は、1つ以上のシリンジ保持部材32を有しないシリンジSを収納するように構成され、前記実施形態のいずれかに記載されたロック機構35を有するインジェクタに脱離可能に連結される1つ又は複数の。種々の実施形態において、アダプタ230は、シリンジSに連結され、次にインジェクタへ取り付けられるように構成される。例えば、アダプタ230は、互換性のないシリンジSに解除可能に又は永久的に連結される。このようなアダプタ230は、前述した少なくとも1つの係合部材32を有する連結インターフェースを有する。アダプタ230は、前記ロック機構35を有するインジェクタと解除可能に連結されるように構成される。アダプタ230とシリンジSとをインジェクタへ連結する前に連結してもよく、シリンジSがアダプタ230に連結される前にアダプタ230がインジェクタに連結されてもよい。使用後、アダプタ230及びシリンジSは、インジェクタから取り外される。この際、アダプタ230は、シリンジSと共に廃棄されてもよく、使用済みのシリンジSから取り外され、次のシリンジSに使用されるように保留されてもよい。
【0126】
一実施形態において、アダプタ230の第1部分232は、前述したいずれかのロック機構35に適用できないシリンジSを永久的に又は解除可能に収納するように構成される。シリンジSは、特許文献3又は特許文献2に記載されたシリンジ、或は他の任意タイプのシリンジであってもよい。アダプタ230によって、互換性のないシリンジSは前述したロック機構35に係合且つ保持できる。また、アダプタ230は、アダプタ230がインジェクタ10のロック機構35に連結されている際、シリンジSを係脱する分離機構を有してもよい。第1部分232は、他のシリンジSを把持又は保持するクレードル又はスリーブであってもよい。当該他のシリンジSは、例えば、手持型シリンジ、又は、他の保持機構や構造を有し且つロック機構35によって保持できるシリンジであってもよい。アダプタ230の第2部分234は、前述した実施形態のいずれかに記載された少なくとも1つのシリンジ保持部材32を有する。前記少なくとも1つのシリンジ保持部材32は、
図2A〜5Z及び
図10A〜10Hに基づいて説明された1つ又は複数の突起34を有する。アダプタ230の第2部分234は、前述したロック機構35を有するインジェクタと解除可能に連結できるように構成される。これで、種々の互換性のないシリンジSが前述したロック機構35を有するインジェクタに適用できる。また、アダプタ230は、高圧の注入処置で用いられる圧力ジャケット(不図示)をインジェクタに連結するように構成されてもよい。例えば、圧力ジャケット付きのアダプタ230は、インジェクタと解除可能に連結できるように構成される。このようなアダプタ230は、前述した実施形態のいずれかによる少なくとも1つのシリンジ保持部材32を有する連結インターフェース備えてもよく、または替わりに、互換性のないシリンジをインジェクタに適用できる連結インターフェースを備えてもよい。アダプタ230は、前述したロック機構35を有するインジェクタと解除可能に、永久的に、又は半永久的に連結でき、異なる保持機構を有するシリンジSをインジェクタに適用できるように構成されてもよい。アダプタ230がインジェクタに連結されると、シリンジSはアダプタ230又は圧力ジャケットに装着され、その基端部又は先端部をアダプタ230又は圧力ジャケットに保持させる。
【0127】
また、アダプタ230は、前述したインジェクタ10への次の装着に必要な構造を部分的に有するシリンジ12に連結するように構成してもよい。例えば、
図4Lを参照すると、アダプタ320は、表面42及び44を備えてシリンジと結合されるリング300であり、当該シリンジは、ロック機構35内に保持されるように、少なくともベース面38を備えた1つ又は複数の突起を有する。この場合、リング300は、シリンジポート16内に挿入され、次のシリンジに用いられるようにシリンジポート16内に留まる。アダプタ320は、その自体だけでシリンジポート16と完全に結合又は機能を発揮できないシリンジがロック機構35と結合して少なくとも保持機能を発揮できるようにする。
図4Mに示された別の実施形態で、アダプタ320は、シリンジポート16から先端側に延在する突出物340を備えたリングを有する。これら突出物340を組み合わせたり連結したりして、例えば、シリンジポート16から半径方向で外側に延在するリングを形成できる。アダプタ320を回転することで、シリンジ12及びアダプタ320は、シリンジポート16から解放される。同様に、挿入する時、アダプタ320は基端側に押され、シリンジ12と係合する。
【0128】
図8Aは、シリンジ12をシリンジポート16から排出する時に存在する力の一般化された自由体図を示す。突起34の法線力N1及び摩擦力F1が第1のロック要素84に抗して作用し、突起34の法線力N2及び摩擦力F2が側壁58の保持面に作用する。さらに、シリンジ12を回転させるために使用者によって付与される力T、およびドリップフランジ又は他の手段により付与されるシリンジ12を先端側に付勢する任意の力Dも、側壁58の保持面に作用する。シリンジ12はポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、第1のロック要素84がDELRIN
TM(商標)などのポリオキシメチレン(POM)からなってもよい。DELRIN
TM表面に対するDELRIN
TMの摩擦係数μは約0.4である。この値によると、排出が可能な角度Aの実際限界は、シリンジ12の長手方向軸15の方向に対して約20度である。したがって、20度を超える角度で、滑りが生じ、突起物を通過する突起34の十分な動きにより、シリンジ12は排出され、シリンジポートで先端側に出す(
図8B)。
図8Cは、角度Aが増加するにつれて、シリンジ12を回転させる力Tと弾性部材102の復元力Sとの比が増加することを示す。この比は、低い角度に対しては、角度が増加するにつれて実質的に一定であるが、その後、より高い角度に対しては、大幅に増加する。一例において、少なくとも30度及び約60度未満の角度が用いられる。
【0129】
図9Aは、シリンジポート16内へシリンジ12を挿入する時にインターフェースに作用する力の一般化された自由体図を示す。使用者が付与する横力Pにより、1つ又は複数の突起34が1つ又は複数の第1のロック要素84と相互作用する。回転時、1つ又は複数の突起34が側壁58と摺接する。加えて、第2の保持リング(不図示)がハウジングの底面82上を摺動する。この一般化された相互作用に対して静的力分析を行うと、
図9Bに示すように、表面間の様々な摩擦係数μに対する2つの相互作用する表面の角度Aの関数として、挿入力の推定値が得られる。
【0130】
図10A〜10Hは、前述したロック機構35の種々の実施形態に適用する突起34の種々の実施形態を示す。
図10Aは、
図3A〜3Hに基づいて説明した構成を有する例示の突起34AAを示し、
図10Bは、破線で突起34の各表面を示す突起34BBの輪郭を示す。
図10Cは、中心部612が中空であり、突起34CCが外周の表面によって画定される突起34CCを例示する。中心部612は、シリンジバレル18(
図3Aに示される)の厚みと一致する厚みを有する。また、中心部612は、シリンジバレル18(
図3Aに示される)の厚みよりも厚い又は薄い厚みを有してもよい。外周の表面は、連結されてもよく、お互いに1つ又は複数の間隙を有してもよい。中空の中心部612を有すると、成形中に材料を冷却する際、プラスチック材料のひけを低減又は排除できる利点がある。
図10Dを参照すると、中心部612内に1つ以上の補強部材614が設けられ、上記のように、2つの周辺間隙を有する1つ又は複数の。1つ又は複数の補強部材614は、突起34DDの外周部表面に連結されてもよく、突起34DDの外周部表面から分離されてもよい。保持力を大きくする必要があり、突起34DDの表面に大きな応カがかかる場合、付加材料又は補強部材、例えば、1つ又は複数の補強部材614の存在によって、突起34EEがそのような大きい力でも動作できる。
図10Eは、例えば、表面40、先端44及びベース面38を画定する1つの垂直又は長手方向部材を有する突起34EEを示す。
図10Fは、例えば、表面40、先端44及びベース面38を画定する2つの略丸形突起を有する突起34FFを示す。
図10Gは、1つの丸形突起を有する突起34GGを示す。突起34GGの底部は先端44を画定し、頂部はベース面38を画定する。
図10Hは、ベース面38を形成する平坦な頂面及びテーパ状の底面を有する3つの略垂直且つ平行な突起から組み立てられた突起34HHを示す。なお、
図5及び
図10に示される突起34の1つ又は複数の変形形態又は他の変形形態は本願の範囲内にあり、本願の範囲内のシリンジポート16の1つ又は複数の変形形態と共に動作できる。
【0131】
図1Bを参照すると、シリンジ12からインジェクタ10(
図1Aに示される)に情報を送信するシステムが設けられている。一実施形態において、シリンジ12には、例えば、1つ以上のシリンジ保持部材32に1つ又は複数のコード化デバイス49を設けられている。また、1つ又は複数のコード化デバイス49は、外面21(
図1Bに示される)、内面23(
図1Bに示される)、シリンジ12の基端部20の側壁19(
図1Bに示される)の少なくとも一部、又はプランジャ26に設けられてもよい。コード化デバイス49は、バーコードなどの光学的に読み取られる部材であってもよく、また、RFIDタグや近接場通信デバイスや他の任意の適切なコード化デバイスであってもよい。シリンジ12及び/又はプランジャ26の内周縁又は外周縁に複数のコード化デバイス49を配置してもよい。シリンジポート16に、コード化デバイス49を読み取る少なくとも1つのセンサ51(
図2Aに示される)を設けてもよい。また、少なくとも1つの第2の凹部88に少なくとも1つのセンサ51を設けてもよい。コード化デバイス49でコード化される情報の例として、シリンジ12の寸法、容積、内容物(予備装填されたシリンジの場合)、ロット番号や日付やツールキャビティ番号のような製造情報、推奨造影剤流量及び圧力、及び/又は装填/注入順序などが挙げられるが、これらに限らない。一実施形態において、1つ又は複数のシリンジ保持部材32の有無又は形状がコード化デバイスとしての機能を果す。例えば、1つのシリンジ保持部材32が欠けた状態が第1のコードを示す。2つ以上の隣接するシリンジ保持部材32が欠けた状態が第2のコードを示す。2つ以上の隣接しないシリンジ保持部材32が欠けた状態が第3のコードを示す。シリンジ保持部材32の有無や異なる形状のシリンジ保持部材32の種々の他の組み合わせは、種々の他のコードを示してもよい。個々のシリンジ保持部材32の有無は、機械的スイッチ、電気材料センサ、光学的方法、視認、又は感知技術分野における他の公知手段によってインジェクタで検知される。このシリンジコード化情報はインジェクタ制御部に伝達され、オペレータに伝達されると共に、後でインジェクタを適切にプログラミング及び制御するために使用される。
【0132】
また、
図2A及び
図3Aに示されているロック機構35のハウジング70のようなインジェクタ10(
図1Aに示される)の少なくとも一部に、シリンジ12の基端部20の内部容積25の少なくとも一部に突出する内部支持リング(不図示)を有してもよい。このような支持リングは、内部容積25の少なくとも一部に脱離可能に延長できる。シリンジ12がロック機構35内に挿入される際、支持リングは、シリンジ12の1つ以上のシリンジ保持部材32及び/又は内側側壁23(
図1Bに示される)の少なくとも一部に半径方向及び軸方向で支持を与える。
図2Aに示すようなシリンジポート16に少なくとも1つのセンサ51が設けられる実施形態において、支持リングは、シリンジ12上の少なくとも1つのコード化デバイス49の有無を検知するための対比表面を提供する。例えば、支持リングは、シリンジ12の半透明又は透明側壁19に対して対比になる不透明表面を提供して、少なくとも1つのコード化デバイス49の検知を容易にする。
【0133】
本明細書では、例示のために現在最も実用的且つ好ましい実施形態に基づいて具体的な説明をしたが、このような具体的な説明は、上記のように、単なる例示のものであり、本願は開示される実施形態に限定されず、逆に、変更形態及び均等な形態も包含できると理解すべきである。例えば、本開示は、可能な範囲で、任意の実施形態における1つ又は複数の特徴と他の任意の実施形態における1つ又は複数の特徴とを組み合わせてもよいと理解すべきである。