(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816215
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】過酷気象の可能性を予測すること
(51)【国際特許分類】
G01W 1/10 20060101AFI20210107BHJP
G08B 31/00 20060101ALI20210107BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20210107BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
G01W1/10 Z
G01W1/10 E
G08B31/00 B
G08B27/00 C
G08B21/10
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-96323(P2019-96323)
(22)【出願日】2019年5月22日
(62)【分割の表示】特願2017-79814(P2017-79814)の分割
【原出願日】2012年6月18日
(65)【公開番号】特開2019-164158(P2019-164158A)
(43)【公開日】2019年9月26日
【審査請求日】2019年6月20日
(31)【優先権主張番号】13/177,266
(32)【優先日】2011年7月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514005559
【氏名又は名称】アース・ネットワークス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EARTH NETWORKS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エス・マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・デイル・スループ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・イー・ベロウヒーム
(72)【発明者】
【氏名】コングリン・リュー
(72)【発明者】
【氏名】スタン・ヘックマン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エイ・ホエクゼマ
【審査官】
伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−264943(JP,A)
【文献】
特開2005−006417(JP,A)
【文献】
特開2005−274321(JP,A)
【文献】
特開平03−009290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00 − 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酷気象の可能性を予測するためのコンピュータ実装方法であって、該方法は:
コンピューティング装置によって、雷活動に関連するデータを受信し、ここで前記データは特定の時間間隔で集めた雷閃光データを含み;
前記コンピューティング装置によって、1つ又は複数の雷活動のセルを、前記雷閃光データに基づいて特定し;
前記コンピューティング装置によって、前記受信データに基づいて、1つ又は複数の雷活動セルの移動速度、移動方向、及び雷率を決定し;
前記コンピューティング装置が、評価対象とする前記1つ又は複数の雷活動セルが分布する地域及びその時期と、過去の同時期における当該地域の気象活動とを関連付けることによって、前記1つ又は複数の雷活動セルの各閾雷率を生成し;
前記コンピューティング装置によって、前記決定された雷率を前記閾雷率と比較し;
前記コンピューティング装置によって、前記1つ又は複数の雷活動セルに関する位置、前記移動速度、及び前記移動方向に基づいて、危険性がある1つ又は複数の地域を決定し;及び
前記コンピューティング装置によって、前記決定された雷率が前記閾雷率を超えると、前記危険性がある地域を監視する1台又は複数台の遠隔装置に警報を発行する、ことを含む方法。
【請求項2】
請求項1の方法であり、前記コンピューティング装置によって、前記閾雷率を、前記1つ又は複数の雷活動セルが追跡される間の現在の時期に基づいて調整することを更に含む、該方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数の雷活動セルに関連する、1分当たりの雷事象回数に基づいて、前記雷率が決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項1の方法であり、
1つ又は複数の雷活動のセルを、前記雷閃光データに基づいて特定することが、以下を含む、該方法:
各雷閃光の地図上での位置を、その地理的位置に従って決定することと;
第一のグリッドを前記地図上に重ね合わせ、高密度の雷閃光を有する第一のグリッドの区画を決定することと;
前記地図の特定された区画上に第二のグリッドを重ね合わせ、雷セルに関連する閉じた輪郭の位置を特定することと;及び
前記閉じた輪郭それぞれから凸多角形を生成すること。
【請求項5】
前記危険性がある地域に対応する1つ又は複数の多角形を作成することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1箇所の前記危険性がある地域が記載される地図上に、前記作成された多角形を配置することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記作成された多角形について、前記1台又は複数台の遠隔装置に、前記警報の一部として送信することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
1つ又は複数の地理的に分散されたセンサ装置から、雷活動に関連する前記データを受信することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
過酷気象が、前記危険性がある少なくとも1つの地域に到達する前に、前記警報を発行することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
過酷気象の可能性を予測するシステムであって、該システムは:
雷活動に関連するデータを受信し、ここで前記データは特定の時間間隔で集めた雷閃光データを含み;
1つ又は複数の雷活動のセルを、前記雷閃光データに基づいて特定し;
前記受信データに基づいて、1つ又は複数の雷活動セルの移動速度、移動方向、及び雷率を決定し;
評価対象とする前記1つ又は複数の雷活動セルが分布する地域及びその時期と、過去の同時期における当該地域の気象活動とを関連付けることによって、前記1つ又は複数の雷活動セルの各閾雷率を生成し;
前記決定された雷率を前記閾雷率と比較し;
前記1つ又は複数の雷活動セルに関する位置、前記移動速度、及び前記移動方向に基づいて、危険性がある1つ又は複数の地域を決定し;及び
前記決定された雷率が前記閾雷率を超えると、前記危険性がある地域を監視する1台又は複数台の遠隔装置に警報を発行するよう構成されるコンピューティング装置を含む、システム。
【請求項11】
請求項10のシステムであり、前記閾雷率を、前記1つ又は複数の雷活動セルが追跡される間の現在の時期に基づいて調整するように前記コンピューティング装置が更に構成される、該システム。
【請求項12】
前記1つ又は複数の雷活動セルに関連する、1分当たりの雷事象回数に基づいて、前記雷率を決定するように前記コンピューティング装置が更に構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
請求項10のシステムであり、
1つ又は複数の雷活動のセルを、前記雷閃光データに基づいて特定することが、以下を含む、該システム:
各雷閃光の地図上での位置を、その地理的位置に従って決定することと;
第一のグリッドを前記地図上に重ね合わせ、高密度の雷閃光を有する第一のグリッドの区画を決定することと;
前記地図の特定された区画上に第二のグリッドを重ね合わせ、雷セルに関連する閉じた輪郭の位置を特定することと;及び
前記閉じた輪郭それぞれから凸多角形を生成すること。
【請求項14】
前記危険性がある地域に対応する1つ又は複数の多角形を作成することを更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも1箇所の前記危険性がある地域が記載される地図上に、前記作成された多角形を配置することを更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記作成された多角形について、前記1台又は複数台の遠隔装置に、前記警報の一部として送信することを更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
1つ又は複数の地理的に分散されたセンサ装置から、雷活動に関連する前記データを受信することを更に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
過酷気象が、前記危険性がある少なくとも1つの地域に到達する前に、前記警報を発行する、請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
過酷気象の可能性を予測するための、コンピュータ可読な非一時的記憶装置に有形に具現化されるコンピュータプログラム製品であって、コンピューティング装置に以下の動作を行わせる指示を含む、該コンピュータプログラム製品:
雷活動に関連するデータを受信し、ここで前記データは特定の時間間隔で集めた雷閃光データを含み;
1つ又は複数の雷活動のセルを、前記雷閃光データに基づいて特定し;
前記受信データに基づいて、1つ又は複数の雷活動セルの移動速度、移動方向、及び雷率を決定し;
評価対象とする前記1つ又は複数の雷活動セルが分布する地域及びその時期と、過去の同時期における当該地域の気象活動とを関連付けることによって、前記1つ又は複数の雷活動セルの各閾雷率を生成し;
前記決定された雷率を前記閾雷率と比較し;
前記1つ又は複数の雷活動セルに関する位置、前記移動速度、及び前記移動方向に基づいて、危険性がある1つ又は複数の地域を決定し;及び
前記決定された雷率が前記閾雷率を超えると、前記危険性がある地域を監視する1台又は複数台の遠隔装置に警報を発行すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、概して、過酷気象の可能性を予測するための、方法及びコンピュータプログラム製品を含む、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雷は、雲中での放電である雲中(IC:intracloud)放電、及び雲対地(CG:cloud to ground)放電を含む。雷は、雲中の電場が、異極性の粒子が雲中の異なる領域に集まるにつれて、増強すると、発生する。雷は、初期の電気的破壊(即ち、パルス)で始まり、次にリーダチャネルから、一連のチャネル分岐が、雲中で成長して、包括的な分岐チャネル構造を形成する。IC雷に関しては、チャネル構造が雲中に残る。CG放電は、1つ又は複数の分岐が雲から地面に延伸すると、発生する。
【0003】
雷活動が大きくなると、激しい暴風雨、竜巻、霰、被害が大きいダウンバースト風、致命的になり得る落雷等の更に過酷な気象現象に繋がることが多い。また、そうした雷活動は、セルとも呼ばれる、局所的なクラスタで頻繁に発生する。雷セルは、過酷気象の可能性を示唆する一定の特徴(例えば、雷率、IC/CG比)を表す。また、検出方法及びシステムを使用して、地域を横断する特定セルの位置及び移動を決定するために、雷セルと関連するデータが取得、分析される。
【0004】
弱い初期のIC放電といった早期の雷活動を正確且つ効率的に検出することは、過酷気象現象を高度に予測するのに重要である。IC雷とCG雷の両方を統合して検出することで、猛烈な嵐の前兆を特徴付ける極めて高度な予測能力を提供し、リードタイムや包括的な気象管理計画を向上できる。多数の雷検出システム及び方法が、開発されており、其々、より高い精度で、雷活動の位置、移動、頻度及び強度を決定するよう努めている。そうしたシステムの例としては、米国精測雷ネットワーク(USPLN:U.S. Precision Lightning Network)、全米雷検出ネットワーク(NLDN:National Lightning Detection Network)、及びウェザーバグ総合雷ネットワーク(WTLN:WeatherBug Total Lightning Network)が挙げられる。
【0005】
以前の気象警報システムは、過酷気象活動の程度を決定し、警報を受信するよう構成された遠隔装置に通報を開始するのに、人間に頼っていた(例えば、ディスプレイを使用して、人が気象データを評価し、警報を受信する装置を選択する)。気象警報システムの速度及び精度を高めるためには、手動で過酷気象データを処理し、警報メッセージを発行する必要性を排除するのが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
過酷気象活動の正確で、高度な検出に関連する重要な目的は、自動的な警告又は警報を、過酷気象によって影響を被る可能性がある機関に対して、タイムリーに発行することである。過酷気象を齎す可能性がある、雷率等の大気状態についてより的確に検出することで、特定の地域における危険な気象活動に関する危険度を、より包括的に理解できる。その過酷気象が特定の地域に影響を与える前に、過酷気象の可能性を知ることで、危険地域付近にいる人々や機関への警報に関するリードタイムを長くでき、その結果、この人々や機関の安全性が増すことになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
総括的に、本明細書に記載される技術は、過酷気象の可能性を予測することに関する。この技術は、有利には、信頼できる過酷気象警報をタイムリーに発行するために、激しい暴風雨を自動予測する。この技術は、雷セルの境界を識別するために、CGやIC閃光といった雷事象の精確な検出を利用する。また、同技術は、過酷気象の追跡やタイミングをより正確に予測するために、地理的な位置及び大気状態に関する違いにも考慮する。同技術は、更に、特定の地域に対する警報を受信するよう構成される遠隔装置を自動的に識別すること、及び該遠隔装置に関連する警報を自動的に送信することを備える。
【0008】
本発明は、一態様では、過酷気象の可能性を予測するコンピュータ実装方法を特徴とする。雷活動に関連するデータは、コンピューティング装置によって、受信される。1つ又は複数の雷活動セルの位置、移動速度、移動方向、及び雷率(lightning rate)は、コンピューティング装置によって、受信データに基づいて、決定される。決定された雷率は、コンピューティング装置によって、閾雷率と比較される。危険性がある1つ又は複数の地域が、コンピューティング装置によって、1つ又は複数の雷活動セルに関する位置、移動速度、及び移動方向に基づいて、決定される。雷率が閾雷率の値を超えると、警報が、コンピューティング装置によって、危険性がある地域を監視する1台又は複数台の遠隔装置に発行される。
【0009】
本発明は、別の態様では、過酷気象の可能性を予測するコンピュータ実装システムを特徴とする。該システムは、雷活動に関連するデータを受信するよう構成されたコンピューティング装置を含む。コンピューティング装置は、受信データに基づいて、1つ又は複数の雷活動セルの位置、移動速度、移動方向、及び雷率を決定するように、更に構成される。コンピューティング装置は、決定された雷率を閾雷率と比較するように更に構成される。コンピューティング装置は、1つ又は複数の雷活動セルに関する位置、移動速度、及び移動方向に基づいて、危険性がある1つ又は複数の地域を決定するように更に構成される。コンピューティング装置は、雷率が閾雷率の値を超えると、危険性がある地域を監視する1台又は複数台の遠隔装置に警報を発行するように更に構成される。
【0010】
本発明は、別の態様では、過酷気象の可能性を予測するための、コンピュータ可読な記憶装置に有形に具現化されるコンピュータプログラム製品を特徴とする。コンピュータプログラム製品は、データ処理装置に、雷活動に関連するデータを受信させ、受信データに基づいて、1つ又は複数の雷活動セルの位置、移動速度、移動方向、及び雷率を決定させるよう動作可能な命令を含む。コンピュータプログラム製品は、データ処理装置に、決定された雷率を閾雷率と比較させ、1つ又は複数の雷活動セルに関する位置、移動速度、及び移動方向に基づいて、危険性がある1つ又は複数の地域を決定させるよう動作可能な命令を更に含む。コンピュータプログラム製品は、データ処理装置に、雷率が閾雷率の値を超えると、危険性がある地域を監視する1台又は複数台の遠隔装置に警報を発行させるよう動作可能にする命令を更に含む。
【0011】
本発明は、別の態様では、過酷気象の可能性を予測するコンピュータ実装システムを特徴とする。該システムは、雷活動と関連するデータを受信する手段を含む。システムは、受信データに基づいて、1つ又は複数の雷活動セルの位置、移動速度、移動方向、及び雷率を決定する手段を更に含む。システムは、決定された雷率を閾雷率と比較する手段を更に含む。システムは、1つ又は複数の雷活動セルに関する位置、移動速度、及び移動方向に基づいて、危険性がある1つ又は複数の地域を決定する手段を更に含む。システムは、雷率が閾雷率の値を超えると、危険性がある地域を監視する1台又は複数台の遠隔装置に警報を発行する手段を更に含む。
【0012】
実施形態によっては、いずれの上記態様も、1つ又は複数の以下の特徴を含むことができる。実施形態によっては、危険性がある地域に対応する1つ又は複数の多角形(ポリゴン)が作成される。実施形態によっては、作成される多角形は、少なくとも1箇所の危険性がある地域が記載される地図上に、配置される。実施形態によっては、作成される多角形について、1台又は複数台の遠隔装置に、警報の一部として送信される。
【0013】
実施形態によっては、閾雷率は、(i)1つ又は複数の雷活動セルの位置、又は(ii)時期の少なくとも一方と関連づけられる過去のデータに基づいて、決定される。実施形態によっては、雷率は、1つ又は複数の雷活動セルに関連する、1分当たりの雷事象回数に基づいて、決定される。実施形態によっては、雷事象は、落雷(対地雷)、雲中雷(雲間放電)、又は両方を含む。実施形態によっては、雲中雷は、気中放電、雲中閃光(雲間閃光)、雲−電離層間閃光、又はそれらの任意の組合せを含む。
【0014】
実施形態によっては、受信データは、落雷、雲中雷、上下動、凝結、湿度、又はそれらの任意の組合せを含む。実施形態によっては、雷活動に関連するデータは、1つ又は複数の地理的に分散されたセンサ装置から受信される。実施形態によっては、1つ又は複数の雷活動セルは、受信されたデータにおける雷活動の密度に従い決定される。
【0015】
実施形態によっては、警報は、過酷気象が、少なくとも1箇所の危険性がある地域の場所に到達する前に、発行される。実施形態によっては、気象種類は、雷率に基づいて決定される。実施形態によっては、過酷気象の確率は、雷率に基づいて決定される。実施形態によっては、遠隔装置は、パーソナルコンピューティング装置である。実施形態によっては、遠隔装置は、警笛、サイレン、ライト、又はそれらの任意の組合せである。実施形態によっては、1つ又は複数の雷活動セルの雷率における変化が、決定される。そして、雷率における変化が所定の値を超えると、警報が、1台又は複数台の遠隔装置に発行される。
【0016】
本発明の他の態様及び利点は、一例としてのみ本発明の原理を説明する添付図と併せて解釈されると、以下の詳細な記述から明白になるであろう。
【0017】
上述した本発明の利点と共に、更なる利点についても、上記添付図と併せて解釈される以下の詳細な記述を参照することで、一層良好に理解されることができる。図面は、必ずしも正確な縮尺ではなく、むしろ本発明の原理を説明する際には、概して強調されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】過酷気象の可能性を予測するシステムのブロック図である。
【
図2】本システムを使用して過酷気象の可能性を予測する方法に関するフローチャートである。
【
図3】雷活動データに基づいて、システム100によって雷セルを識別するところを表す図である。
【
図4】特定期間に亘り、個々の雷セルに関する総雷率を閾雷率と比較して表したグラフである。
【
図5】雷活動データに基づいて、過酷気象の危険性がある地域を、本システムによって識別しているところを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、過酷気象の可能性を予測するシステム100のブロック図である。システム100は、データ収集モジュール102、データ分析モジュール104、警報生成モジュール106、図形処理モジュール108、及びデータ記憶モジュール110を含む。実施形態によっては、システム100の構成要素(例えば、100、102、104、106、108及び110)は、物理的に同じ位置に存在する、又は物理的に異なる位置に分散配置されることもできる。実施形態によっては、システム100の構成要素は、同一の物理的装置(例えば、サーバのコンピューティング装置)に配置される、又は異なる物理的装置に分散される。システム100の構成要素は、例えば、通信網(例えば、WAN、LAN、VLAN)を介して通信する。
【0020】
図2は、システム100を使用して、過酷気象の可能性を予測する方法200に関するフローチャートである。データ収集モジュール102は、雷活動に関連するデータを受信する(202)。データ分析モジュール104は、データ収集モジュール102で受信されたデータに基づいて、雷活動の1つ又は複数のセルに関する位置、移動速度、移動方向、及び雷率を決定する(204)。データ分析モジュール104は、決定された雷率を閾雷率と比較する(206)。警報生成モジュール106は、雷活動の1つ又は複数のセルに関する位置、移動速度、及び移動方向に基づいて、危険性のある1つ又は複数の地域を決定する(208)。警報生成モジュール106は、決定された雷率が閾雷率の値を超えると、危険性のある地域を監視する1台又は複数台の遠隔装置に対して警報を発行する(210)。
【0021】
データ収集モジュール102は、外部のデータ源(図示せず)とシステム100のデータ分析モジュール104との間のインタフェースを提供する。データ収集モジュール102は、様々な外部のデータ収集及び/又は監視システムから雷活動に関連するデータを受信する。例えば、データ収集モジュール102は、複数の地理的に分散配置されている気象センサ(例えば、ウェザーバグ総合雷ネットワーク(WTLN))を含む雷検出システムからデータを受信する。この実施例では、気象センサによって収集されたデータは、雷放電によって放たれる、異なる周波数でのアナログ無線周波数(RF:radio frequency)エネルギ(例えば、パルス又は閃光)を含む。雷活動の検出及び雷活動データの収集に関する更なる詳細は、発明の名称を「雷活動を検出する方法及び装置(Method and Apparatus for Detecting Lightning Activity)」とする米国特許出願第12/542,404号に見られ、該出願全体は、本明細書に組込まれる。他の雷活動情報源として、政府機関や第三者民間企業が挙げられるが、これらに限定されない。データ収集モジュール102は、標準的な通信網及び方法によって、様々な外部のデータシステム及びデータ源と通信する。
【0022】
また、データ収集モジュール102は、複数の外部データ源から受信された雷活動データを、データ分析モジュール104によって処理するのに役立つフォーマットに統合する。例えば、データ収集モジュール102が接続されている各データ源は、異なる構文及び/又はデータ構造を使用してデータを送信することがある。データ収集モジュール102は、受信データを、データ源の解釈に従い解析し、データ分析モジュール104に受け入れ可能な構文又は構造と一致するように、データを再フォーマットする。実施形態によっては、外部のデータ源は、データ収集モジュール102に必要な処理を軽減するために、標準フォーマット(例えば、XML)で雷活動データを送信する。データ収集モジュール102は、データ記憶モジュール110と通信して、データをデータ分析モジュール104に送信するのに備えて、外部源から受信されたデータを記憶する及び読み出す。データが受信されると、データ収集モジュール102は、データ分析モジュール104にデータを送信する。実施形態によっては、データ収集モジュール102は、データがデータ記憶モジュール110に記憶されて、データ分析モジュール104によって処理する準備ができているという通知を、データ分析モジュール104に送信する。通知は、データ記憶モジュール110内のデータ記憶場所の参照インジケータ(例えば、データベースアドレス)を含む。
【0023】
データ分析モジュール104は、データ収集モジュール102によって受信された及び/又はデータ記憶モジュール110に記憶された雷活動データを処理して、1つ又は複数の地域に対する過酷気象の危険性の有無を決定する。
【0024】
データ分析モジュール104は、システム100によって受信されたデータに基づいて、1つ又は複数の雷活動セルに関する、位置、移動速度、移動方向、雷率を追跡することによって、1つ又は複数の地域に対する過酷気象の危険性を決定する。雷セルは、所定期間の閃光密度値で決められる多角形のような境界を有する閃光のクラスタである。データ分析モジュール104は、収集された閃光データを雷セルにグループ化し、データ分析モジュール104は、セルに関する移動方向(即ち、進路)を決定するために、一定期間に亘りセル多角形を相関させる。また、データ分析モジュール104は、雷閃光率(例えば、1分当たりの閃光)を決定するために、特定の雷セル中の閃光数をカウントする。更に、データ分析モジュール104は、雷セルの移動速度及び位置について計算する。
【0025】
図3は、雷活動データに基づくシステム100による雷セル302の識別について表した図である。データ分析モジュール104は、データ収集モジュール102から雷閃光データを受信し、地理的位置に応じて、各雷閃光(例えば、雷閃光304)を位置付けする。その後、データ分析モジュール104は、雷閃光の相対位置を分析して、特定の雷セル(例えば、セル302)の見込まれる境界又は輪郭を決定する。
【0026】
実施形態によっては、データ分析モジュール104は、雷セル302の位置及び輪郭を決定するために一連のグリッド処理を実行する。データ分析モジュール104は、特定の期間(例えば、1分間)に収集された雷閃光データを使用し、雷閃光(例えば、閃光304)を地図上に記す。その後、データ分析モジュール104は、迅速に更なる分析対象となる領域の場所を決めるために、地図上に粗いグリッドを重ねる。データ分析モジュール104は、雷閃光の率又は密度が高いグリッドのセクタを識別し、識別されたセクタに細かいグリッドを重ねる。データ分析モジュール104は、雷セル302に関連する閉じた輪郭の場所を決定するために、細かいグリッドのセクタについて、密度関数を用いる。データ分析モジュール104は、閉じた輪郭其々から凸多角形(例えば、凸多角形306)を生成する。
【0027】
データ分析モジュール104は、雷セル302の移動方向及び雷閃光率における変化を追跡するために、特定の期間(例えば、1分)が経過すると、このグリッド処理を繰り返す。殆どの場合、各時間間隔で、特定の雷セルに関してデータ分析モジュール104で生成された多角形306は、当該セルに関して以前に生成した多角形と類似するので、データ分析モジュール104は、2つの多角形を効率的に迅速に相互に関連付けられる。しかしながら、雷閃光率、雷セル分裂又は雷セル合併が急増する場合、特定のセルに関するその後の多角形の相関関係は、明白でなくなる。データ分析モジュール104は、ダイナミックに変化するデータに基づいて個別の雷セル多角形をリンクさせて、移動する雷セルの経路308を作成する。例えば、雷セルが弱まった後に、セルの軌道と2多角形の時間距離に基づいて再編成すると、データ分析モジュール104は、連続したセル経路308を維持する。
【0028】
また、データ分析モジュール104は、受信された雷活動データから算出された雷閃光率と、閾雷率を比較する。また、データ分析モジュール104は、識別された雷セルの雷閃光率に関連する雷率変化を監視する。閃光率と雷率変化を監視することによって、激しい暴風雨セル(及び、激しくなる可能性があるセル)は、識別され、追跡される。データ分析モジュール104で使用される閾雷率は、追跡される雷セルが過酷気象と関係する確率と関連しており、警報を発行するタイミングを決定するのに、システム100によって使用されることができる。例えば、雷率が閾雷率を超えると、雷セルが過酷気象と関係する可能性があり、警報を発行するのに十分値する。
【0029】
図4は、特定の期間に亘り、個別の雷セル(例えば、
図3のセル302)に関する総雷率402を、閾雷率404と比較して表したグラフ400である。データ分析モジュール104は、特定の時間間隔(例えば、1分毎)で雷事象(例えば、閃光)の数を分析することによって、雷セルの総雷率402を決定する。実施形態によっては、雷事象は、CG雷とIC雷の両方を含む。実施形態によっては、データ分析モジュール104は、気中放電、雲中閃光、及び/又は雲−電離層間閃光を含む、様々な種類のIC雷を識別するために、収集した雷データを評価する。
【0030】
規則正しい時間間隔を置いて特定の雷セルの総雷率について連続的に計算することによって、データ分析モジュール104は、これらの時間間隔間の総雷率における変化を検出する。このやり方に基づいて、データ分析モジュール104は、一般的な過酷気象を示唆する雷率の変化が起きているのか、特定の種類の過酷気象(例えば、降水事象、風事象)を示唆する雷率の変化が起きているのかを決定する。例えば、
図4の総雷率402は、時間=t(0)で始まり急激に上昇し、時間=t(p)でピークに達し、雷セルに関連する過酷気象が、時間=t(s)で発生している。データ分析モジュール104は、総雷率402が時間=t(i)で閾雷率304と交わると決定し、警報生成モジュール106に情報を送信する。更に、データ分析モジュール104は、時間=t(0)、時間=t(p)及び時間=t(s)間の雷率における変化を、過去の雷率活動に関するデータベースと比較して、雷率変化に関する類似性やパターンを識別する。一例として、
図4に表された特定の雷率変化が、雷セルが存在し続ける間、複数回起こる可能性があり、時間=t(s)に結果として生じる過酷気象は、激しい雹の嵐の始まりとなる可能性がある。その結果、データ分析モジュール104は、警報生成モジュール106に、この更なる情報に基づいてより詳細な警報メッセージを提供するよう命令する。
【0031】
また、データ分析モジュール104は、過去のデータを使用して、特定の雷セルの閾雷率を設定する。例えば、データ分析モジュール104は、実際の気象データの再考察に基づいて、ベストフィット分析法を使用することによって、閾雷率を決定する。実施形態によっては、過去のデータは、特定の時期及び/又は特定の地域と関連付けられる。過去の時期と現在の雷セルが追跡される間の時期との相関関係に基づいて、データ分析モジュール104は、2データポイント間の類似点又は相違点を考慮するように閾雷率を調整する。例えば、雷セルが、従来過酷気象があまり発生しないことが示されている時期に追跡されている場合、データ分析モジュール104は、システム100によって警報が発行されるまでに必要となる総雷率が更に高くなるように閾雷率を上げる。逆に、雷セルが、過酷気象活動が活発になる傾向がある時期に追跡されている場合、データ分析モジュール104は、警報が発行されるまでに必要となる総雷率が更に低くなるように閾雷率を下げる。
【0032】
データ分析モジュール104が、現在追跡されている雷セル(例えば、
図3のセル302)の総雷率が閾雷率を超えた(即ち、過酷気象の十分な可能性と関連する)ことを決定すると、データ分析モジュール104は、警報生成モジュール106にデータを送信する。警報生成モジュール106は、分析された雷セルの特性を使用する。そして、雷セルが移動する場合、大きさ及び/又は強度が変化する場合に、雷セルによる影響を受けるかも知れない地域を自動的に決定する。
【0033】
図5は、雷活動データに基づいて、過酷気象の危険性がある地域502を、システム100によって識別しているところを表す
図500である。過酷気象によって直接影響を受ける可能性がある、若しくは影響を受ける地域に利害関係がある可能性がある人々及び/又は機関に届く警報を発行するために、警報生成モジュール106は、雷セル302の位置、移動速度及び移動方向に基づいて、危険性がある1つ又は複数の地域502を決定する。実施形態によっては、警報生成モジュール106は、セルの現在位置及び次の期間中予想されるセルの進路に応じた警戒域を決定する。例えば、警報生成モジュール106は、データ分析モジュール104が、セル302の総雷率が閾雷率を超えたことを決定したときに表示される、セルの移動速度及び移動方向を評価することによって、雷セルが特定の期間(例えば、45分間)に移動し得る距離及び方向の範囲をカバーする多角形502を、作成する。
【0034】
データ分析モジュール104から通知を受信し、危険性がある1つ又は複数の地域を決定した後、警報生成モジュール106は、危険性がある地域を監視する1台又は複数の遠隔装置のセットを自動的に識別して、該遠隔装置に自動的に警報を送信する。遠隔装置は、携帯電話や全地球測位システム(GPS)ハードウェア等のコンピュータベースの装置を含むことができる。また、遠隔装置は、通信網に接続するよう構成されたライト、サイレン及び警笛といった他の種類の警戒システムを含むことができる。実施形態によっては、データ記憶装置110は、遠隔装置の識別に関する情報(例えば、IPアドレス、電話番号、Eメールアドレス)を含み、警報生成モジュール108は、識別情報を使用して、各遠隔装置に対して警報を作成する。また、データ記憶装置110は、遠隔装置の識別を、特定の地域又は遠隔装置が監視する地域にマッピングする情報(例えば、郵便番号、郡名、住所)を含む。警報生成モジュール106は、パケットベースの配信(例えば、テキストメッセージング、XML、Eメール)、回路ベースの配信(例えば、ページング、音声メッセージング)等、任意の標準的な通信プロトコル又は技術を使用する。例えば、ユーザは、特定の郵便番号に対する警報を、自分の携帯電話で受信するように、申し込むことができる。システム100は、データ記憶装置110にユーザの電話番号を記憶する。警報生成モジュール106が、過酷気象の危険性がある地理的位置を識別し、識別された位置の全体又は一部が、ユーザによって申し込まれた郵便番号内に入ると、警報生成モジュール108は、ユーザの携帯電話番号宛てに警報(例えば、テキストメッセージ、音声メッセージ)を発行する。この実施形態では、ユーザの携帯電話は、「危険性がある」として、警報生成モジュール106によって識別されたのと同じ地域に位置する必要はない。
【0035】
実施形態によっては、警報は、過酷気象の脅威に曝される地域のグラフィカル表示を含むことで更に強化される。グラフィカル表示は、警報受信者に対して、更なる容易に認識可能な情報を提供する。例えば、警報生成モジュール106は、特定の雷セル302に関連し、且つ危険性がある地域の輪郭を表す多角形502を、地図上に重ねて示す。警報生成モジュール106は、図形処理モジュール108を利用して、地図上に記したような、危険性がある地域を表す多角形502の視覚表示を、生成する。実施形態によっては、図形処理モジュール108は、分離したグラフィック処理装置(GPU:graphics processing unit)(例えば、グラフィックカード)、又は雷活動データに基づいて図形描画及びデザインを作製するよう構成されたソフトウェアモジュールである。
【0036】
上記技術は、デジタル及び/又はアナログの電子回路で、或いはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの組合せで、実装できる。この実装は、データ処理装置(例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、及び/又は複数のコンピュータ)によって実行されるための、又は該データ処理装置の操作を制御するための、コンピュータプログラム製品、即ち、機械可読な記憶装置に有形に具現化されるコンピュータプログラムとすることができる。コンピュータプログラムは、ソースコード、コンパイルコード、インタプリタコード及び/又は機械コードを含む、任意の形のコンピュータ又はプログラミング言語で書かれることができ、該コンピュータプログラムは、スタンドアロンプログラムとして、又は、コンピューティング環境において使用するのに適したサブルーチン、エレメント、若しくは他のユニットとしてを含む、任意の形でデプロイできる。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータ又は1カ所又は複数箇所で多数のコンピュータで実行されるように、デプロイされることもできる。
【0037】
方法ステップは、コンピュータプログラムを実行して、入力データに関して操作すること及び/又は出力データを生成することによって、本発明の機能を実行する1つ又は複数のプロセッサによって、実行されることができる。また、方法ステップは、専用論理回路、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)、FPAA(Field−Programmable Analog Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、PSoC(Programmable System−on−Chip)、ASIP(Application−Specific Instruction−set Processor)、ASIC(Application−Specific Integrated Circuit)等によって、実行されることができ、装置は、該専用論理回路として実装されることができる。サブルーチンは、記憶されたコンピュータプログラム及び/又はプロセッサの一部、及び/又は1つ又は複数の機能を実装する専用回路を参照できる。
【0038】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、一例として、汎用と専用の両マイクロプロセッサ、及び任意の種類のデジタル又はアナログコンピュータの1台又は複数のプロセッサを含む。一般的に、プロセッサは、ROM(Read−Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)又は両方から、命令及びデータを受信する。コンピュータの重要な要素は、命令を実行するプロセッサ、並びに命令及び/又はデータを記憶する1個又は複数のメモリ素子である。キャッシュ等のメモリ素子は、一時的にデータを記憶するのに使用されることができる。また、メモリ素子は、長期間データを記憶するのに使用されることもできる。一般的に、コンピュータは、1台又は複数のデータ記憶用大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクを含む、或いは該大容量記憶装置からデータを受信するように若しくは該大容量記憶装置にデータを転送するように、又は受信転送両方を行うように操作可能に結合される。また、コンピュータは、通信ネットワークから命令及び/若しくはデータを受信するために、並びに/又は命令及び/若しくはデータをネットワークに転送するために、通信ネットワークに操作可能に結合されることができる。コンピュータプログラム命令及びデータを具現化するのに適するコンピュータ可読記憶媒体は、あらゆる形の揮発性及び非揮発性メモリを含むが、一例として、半導体記憶装置、例えばDRAM、SRAM、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリ装置;磁気ディスク、例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスク;光磁気ディスク;及び光ディスク、例えば、CD、DVD、HD−DVD及びブルーレイディスク(登録商標)を含む。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって追加される及び/又は該専用論理回路に組込まれることができる。
【0039】
ユーザとの対話を提供するために、上記技術は、ユーザに対して情報を表示するための、例えば、CRT(ブラウン管)、プラズマ、又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタといった表示装置、及びユーザがコンピュータに入力(例えば、ユーザインタフェース要素と対話)できるようにする、キーボードや、例えば、マウス、トラックボール、タッチパッド、又はモーションセンサといったポインティング装置と通信するコンピュータに実装されることができる。他の種類の装置も、ユーザとの対話を提供するために使用されることができ;例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックとすることができ;ユーザからの入力は、音、発話、及び/又は、触覚による入力を含む任意の形で受付けられる。
【0040】
上記技術は、バックエンドコンポーネントを含む分散コンピューティングシステムに実装されることができる。バックエンドコンポーネントは、例えば、データサーバ、ミドルウェアコンポーネント、及び/又はアプリケーションサーバとすることができる。上記技術は、フロントエンドコンポーネントを含む分散コンピューティングシステムに実装されることができる。フロントエンドコンポーネントは、例えば、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)、ユーザが実装例と対話できるウェブブラウザ、及び/又は他の送信装置用グラフィカルユーザインタフェースを有するクライアントコンピュータとすることができる。上記技術は、かかるバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、又はフロントエンドコンポーネントの任意の組合せを含む分散コンピューティングシステムに実装されることもできる。
【0041】
コンピューティングシステムのコンポーネントは、デジタル又はアナログデータ通信の任意の形又は媒体(例えば、通信ネットワーク)を含むことができる伝送媒体によって相互接続されることができる。伝送媒体は、1つ若しくは複数のパケットベースのネットワーク、及び/又は1つ若しくは複数の回路ベースのネットワークを、任意の構成で含むことができる。パケットベースのネットワークとしては、例えば、インターネット、事業者インターネットプロトコル(IP)ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ホームエリアネットワーク(HAN))、プライベートIPネットワーク、IP構内交換機(IPBX)、無線ネットワーク(例えば、無線アクセスネットワーク(RAN)、ブルートゥース(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)、WiMAX(登録商標)、汎用パケット無線サービス(GPRS)ネットワーク、HiperLAN)、及び/又は他のパケットベースのネットワークを挙げることができる。回路ベースのネットワークとしては、例えば、公衆交換電話網(PSTN)、レガシー構内交換機(PBX)、無線ネットワーク(例えば、RAN、符号分割多重アクセス(CDMA)ネットワーク、時分割多元アクセス(TDMA)ネットワーク、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーション(GSM(登録商標))ネットワーク)、及び/又は他の回路ベースのネットワークを挙げることができる。
【0042】
伝送媒体を通した情報転送は、1つ又は複数の通信プロトコルに基づくことができる。通信プロトコルとしては、例えば、イーサネット(登録商標)プロトコル、インターネットプロトコル(IP)、ボイスオーバーIP(VOIP)、ピアツーピア(P2P)プロトコル、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、セッション初期化プロトコル(SIP)、H.323、メディアゲートウェイ制御プロトコル(MGCP)、No.7信号方式(SS7)、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM(登録商標))プロトコル、プッシュツートーク(PTT)プロトコル、PoC(PTT−over−Cellular)プロトコル、及び/又は、他の通信プロトコルが挙げられる。
【0043】
コンピューティングシステムの装置としては、例えば、コンピュータ、ブラウザ装置を有するコンピュータ、電話、IP電話、モバイル機器(例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)装置、ラップトップコンピュータ、電子メール装置)、及び/又は他の通信装置を挙げることができる。ブラウザ装置としては、例えば、ワールドワイドウェブのブラウザ(例えば、Microsoft社から入手可能なMicrosoft(登録商標)インターネットエクスプローラ(登録商標)、Mozilla社から入手可能なMozilla(登録商標)Firefox)がインストールされたコンピュータ(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ)が挙げられる。モバイルコンピューティング装置としては、例えば、ブラックベリー(登録商標)が挙げられる。IP電話としては、例えば、Cisco Systems社から利用可能なCisco(登録商標)Unified IP Phone 7985G、及び/又はCisco Systems社から利用可能なCisco(登録商標)Unified Wireless Phone 7920が挙げられる。
【0044】
「備える(comprise)」、「含む(include)」及び/又は其々の複数形は、非限定を表し、記載された要素を含み、記載されていない更なる要素を含むこともできる。「及び/又は」は、非限定を表し、記載された要素の1つ又は複数を含むと共に、記載された要素の組合せを含む。
【0045】
当業者は、本発明が、本発明の精神又は基本的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で、具現化されてもよいことを理解するであろう。以上の実施形態は、従って、本明細書に記載された発明を限定するよりむしろ、あらゆる点で、例示と見なされるべきものである。