(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は、本発明のエアロゾル吸引器用の制御装置及びエアロゾル吸引器を、エアロゾル吸引器用の電源ユニット及び該電源ユニットを備えるエアロゾル吸引器に適用した場合の例である。まず、このエアロゾル吸引器について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0011】
(エアロゾル吸引器)
エアロゾル吸引器1は、燃焼を伴わずに香味が付加されたエアロゾルを吸引するための器具であり、所定方向(以下、長手方向Xと呼ぶ)に沿って延びる棒形状を有する。エアロゾル吸引器1は、長手方向Xに沿って電源ユニット10と、第1カートリッジ20と、第2カートリッジ30と、がこの順に設けられている。第1カートリッジ20は、電源ユニット10に対して着脱可能である。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20に対して着脱可能である。言い換えると、第1カートリッジ20及び第2カートリッジ30は、それぞれ交換可能である。
【0012】
(電源ユニット)
本実施形態の電源ユニット10は、本発明の制御装置の一例であり、
図3、
図4、
図5、及び
図6に示すように、円筒状の電源ユニットケース11の内部に、電源12、充電器13、制御回路50、吸気センサ15等の各種センサ等を収容する。電源12は、充電可能な二次電池、電気二重層キャパシタ等であり、好ましくはリチウムイオン電池である。電源12の電解質は、ゲル状の電解質、電解液、固体電解質、イオン液体の1つ又はこれらの組合せで構成されていてもよい。また、制御回路50は、例えばMCU(Micro Controller Unit)である。
【0013】
図4に示すように、電源ユニットケース11の長手方向Xの一端側(第1カートリッジ20側)に位置するトップ部11aには、放電端子41が設けられる。放電端子41は、トップ部11aの上面から第1カートリッジ20に向かって突出するように設けられ、第1カートリッジ20の負荷21と電気的に接続可能に構成される。
【0014】
また、トップ部11aの上面には、放電端子41の近傍に、第1カートリッジ20の負荷21に空気を供給する空気供給部42が設けられる。
【0015】
電源ユニットケース11の長手方向Xの他端側(第1カートリッジ20と反対側)に位置するボトム部11bには、電源12を充電可能な外部電源(図示省略)と電気的に接続可能な充電端子43が設けられる。充電端子43は、ボトム部11bの側面に設けられ、例えば、USB端子、microUSB端子、及びLightning(登録商標)端子の少なくとも1つが接続可能である。
【0016】
なお、充電端子43は、外部電源から送電される電力を非接触で受電可能な受電部であってもよい。このような場合、充電端子43(受電部)は、受電コイルから構成されていてもよい。非接触による電力伝送(Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよい。また、充電端子43は、外部電源から送電される電力を無接点で受電可能な受電部であってもよい。別の一例として、充電端子43は、USB端子、microUSB端子、Lightning端子の少なくとも1つが接続可能であり、且つ前述した受電部を有していてもよい。
【0017】
電源ユニットケース11には、ユーザが操作可能な操作部14が、トップ部11aの側面に充電端子43とは反対側を向くように設けられる。より詳述すると、操作部14と充電端子43は、操作部14と充電端子43を結ぶ直線と長手方向Xにおける電源ユニット10の中心線の交点について点対称の関係にある。操作部14は、ボタン式のスイッチ、タッチパネル等から構成される。
図3に示すように、操作部14の近傍には、パフ動作を検出する吸気センサ15が設けられている。
【0018】
充電器13は、充電端子43に近接して配置され、充電端子43から入力される電力の電源12への充電制御を行う。なお、充電器13は、制御回路50の近傍に配置されていてもよい。
【0019】
制御回路50は、
図5に示すように、パフ(吸気)動作を検出する吸気センサ15、電源12の電圧を測定する回路電圧センサ16、負荷21に印加される電圧を測定する負荷電圧センサ17等の各種センサ装置、操作部14、後述の報知部45、及びパフ動作の回数又は負荷21への通電時間等を記憶するメモリー18に接続され、エアロゾル吸引器1の各種の制御を行う。制御回路50は、具体的には後述のプロセッサ55(
図7参照)を主体に構成されており、プロセッサ55の動作に必要なRAM(Random Access Memory)と各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)等の記憶媒体をさらに含む。本明細書におけるプロセッサとは、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0020】
また、電源ユニットケース11には、内部に外気を取り込む不図示の空気の取込口が設けられている。なお、空気取込口は、操作部14の周囲に設けられていてもよく、充電端子43の周囲に設けられていてもよい。
【0021】
(第1カートリッジ)
図3に示すように、第1カートリッジ20は、円筒状のカートリッジケース27の内部に、エアロゾル源22を貯留するリザーバ23と、エアロゾル源22を霧化する電気的な負荷21と、リザーバ23から負荷21へエアロゾル源を引き込むウィック24と、エアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルが第2カートリッジ30に向かって流れるエアロゾル流路25と、第2カートリッジ30の一部を収容するエンドキャップ26と、を備える。
【0022】
リザーバ23は、エアロゾル流路25の周囲を囲むように区画形成され、エアロゾル源22を貯留する。リザーバ23には、樹脂ウェブ又は綿等の多孔体が収容され、且つ、エアロゾル源22が多孔体に含浸されていてもよい。リザーバ23には、樹脂ウェブ又は綿状の多孔質体が収容されず、エアロゾル源22のみが貯留されていてもよい。エアロゾル源22は、グリセリン、プロピレングリコール、又は水などの液体を含む。
【0023】
ウィック24は、リザーバ23から毛管現象を利用してエアロゾル源22を負荷21へ引き込む液保持部材である。ウィック24は、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成される。
【0024】
負荷21は、電源12から放電端子41を介して供給される電力によって、燃焼を伴わずにエアロゾル源22を加熱することで霧化する。負荷21は、所定ピッチで巻き回される電熱線(コイル)によって構成される。
【0025】
なお、負荷21は、エアロゾル源22を加熱することで霧化してエアロゾルを生成可能な素子であればよい。負荷21は、例えば、発熱素子である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。以下では、負荷21の持つ電気抵抗値を電気抵抗値R
Hと記載する。
【0026】
負荷21としては、温度と電気抵抗値が相関を持つものが用いられる。より具体的には、温度の増加に伴って電気抵抗値も増加するPTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有するものが負荷21として用いられる。PTC特性を有する負荷21の一例は、ニクロム(NiCr)である。また、PTC特性を有する負荷21は、ステンレス鋼やタングステン等によっても実現できる。PTC特性は、正の抵抗温度係数特性とも呼ばれる。
【0027】
負荷21の温度の変化量に対する、負荷21の電気抵抗値の変化量の大きさを示す係数を、抵抗温度係数α[ppm(parts per million)/℃]という。抵抗温度係数αは、負荷21の温度をTとし、基準温度をT
REFとし、基準電気抵抗値をR
REFとして、下記の式(F1)によって表すことができる。
【0029】
なお、例えば、負荷21の抵抗温度係数α[ppm/℃]を示す情報は、電源ユニット10(例えば後述のメモリー18)に予め記憶される。
【0030】
エアロゾル流路25は、負荷21の下流側であって、電源ユニット10の中心線L上に設けられる。エンドキャップ26は、第2カートリッジ30の一部を収容するカートリッジ収容部26aと、エアロゾル流路25とカートリッジ収容部26aとを連通させる連通路26bと、を備える。
【0031】
(第2カートリッジ)
第2カートリッジ30は、香味源31を貯留する。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20のエンドキャップ26に設けられたカートリッジ収容部26aに着脱可能に収容される。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20側とは反対側の端部が、ユーザの吸口32となっている。なお、吸口32は、第2カートリッジ30と一体不可分に構成される場合に限らず、第2カートリッジ30と着脱可能に構成されてもよい。このように吸口32を電源ユニット10と第1カートリッジ20とは別体に構成することで、吸口32を衛生的に保つことができる。
【0032】
第2カートリッジ30は、負荷21によってエアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルを香味源31に通すことによってエアロゾルに香味を付与する。香味源31を構成する原料片としては、刻みたばこ、又は、たばこ原料を粒状に成形した成形体を用いることができる。香味源31は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源31には、メントール等の香料が付与されていてもよい。
【0033】
本実施形態のエアロゾル吸引器1では、エアロゾル源22と香味源31と負荷21とによって、香味が付加されたエアロゾルを発生させることができる。つまり、エアロゾル源22と香味源31は、エアロゾルを発生させるエアロゾル生成源を構成している。
【0034】
エアロゾル吸引器1におけるエアロゾル生成源は、ユーザが交換して使用する部分である。この部分は、例えば、1つの第1カートリッジ20と、1つ又は複数(例えば5つ)の第2カートリッジ30とが1セットとしてユーザに提供される。
【0035】
エアロゾル吸引器1に用いられるエアロゾル生成源の構成は、エアロゾル源22と香味源31とが別体になっている構成の他、エアロゾル源22と香味源31とが一体的に形成されている構成、香味源31が省略されて香味源31に含まれ得る物質がエアロゾル源22に付加された構成、香味源31の代わりに薬剤等がエアロゾル源22に付加された構成等であってもよい。
【0036】
エアロゾル源22と香味源31とが一体的に形成されたエアロゾル生成源を含むエアロゾル吸引器1であれば、例えば1つ又は複数(例えば20個)のエアロゾル生成源が1セットとしてユーザに提供される。
【0037】
エアロゾル源22のみをエアロゾル生成源として含むエアロゾル吸引器1であれば、例えば1又は複数(例えば20個)のエアロゾル生成源が1セットとしてユーザに提供される。
【0038】
このように構成されたエアロゾル吸引器1では、
図3中の矢印Bで示すように、電源ユニットケース11に設けられた不図示の取込口から流入した空気が、空気供給部42から第1カートリッジ20の負荷21付近を通過する。負荷21は、ウィック24によってリザーバ23から引き込まれたエアロゾル源22を霧化する。霧化されて発生したエアロゾルは、取込口から流入した空気と共にエアロゾル流路25を流れ、連通路26bを介して第2カートリッジ30に供給される。第2カートリッジ30に供給されたエアロゾルは、香味源31を通過することで香味が付与され、吸口32に供給される。
【0039】
また、エアロゾル吸引器1には、各種情報を報知する報知部45が設けられている(
図5参照)。報知部45は、発光素子によって構成されていてもよく、振動素子によって構成されていてもよく、音出力素子によって構成されていてもよい。報知部45は、発光素子、振動素子、及び音出力素子のうち、2以上の素子の組合せであってもよい。報知部45は、電源ユニット10、第1カートリッジ20、及び第2カートリッジ30のいずれに設けられてもよいが、電源ユニット10に設けられることが好ましい。例えば、操作部14の周囲が透光性を有し、LED等の発光素子によって発光するように構成される。
【0040】
(電源ユニットの電気回路)
つぎに、電源ユニット10の電気回路の要部について
図6を参照しながら説明する。
図6に示すように、電源ユニット10は、電源12と、制御回路50と、LDO(Low Drop Out)レギュレータ60と、回路電圧センサ16と、シャント抵抗器70と、第1開閉器SW1と、第2開閉器SW2と、負荷21と接続される放電端子41と、負荷電圧センサ17と、を備える。シャント抵抗器70、第1開閉器SW1、第2開閉器SW2、負荷21と接続される放電端子41、及び負荷電圧センサ17は、後述の加熱兼測定用回路C10を構成している。
【0041】
電源ユニット10において、制御回路50は、LDOレギュレータ60と直列接続される。そして、直列接続された制御回路50及びLDOレギュレータ60は、電源12の正極側端子に接続された主正母線LUと、電源12の負極側端子に接続された主負母線LDと、に接続される。具体的には、制御回路50及びLDOレギュレータ60は、LDOレギュレータ60が主正母線LU側となり制御回路50が主負母線LD側となる状態で、主正母線LUと主負母線LDとに接続される。
【0042】
LDOレギュレータ60は、電源12によって印加される電圧(例えば4.2[V])を、所定の一定電圧(例えば3.7[V])に変換する電圧変換器である。LDOレギュレータ60は、変換後の電圧を制御回路50へ出力する。
【0043】
回路電圧センサ16は、直列接続された制御回路50及びLDOレギュレータ60と、後述の加熱兼測定用回路C10とに並列接続されて、一端が主正母線LUに接続され、他端が主負母線LDに接続される。これにより、回路電圧センサ16は、主正母線LUと主負母線LDとの間の電圧を検出できる。また、回路電圧センサ16は、制御回路50とも接続されており、検出した電圧を示す情報を制御回路50へ送る。これにより、回路電圧センサ16は、検出した電圧を制御回路50に通知できる。なお、以下、回路電圧センサ16が検出する電圧を「回路電圧」ともいう。
【0044】
加熱兼測定用回路C10は、第1開閉器SW1及びシャント抵抗器70を備える第1回路C11と、第2開閉器SW2を備える第2回路C12と、負荷21と接続される放電端子41と、負荷電圧センサ17と、を備える。加熱兼測定用回路C10において、第1回路C11及び第2回路C12は並列接続され、並列接続された第1回路C11及び第2回路C12は、負荷21及びその両端に接続される放電端子41と直列接続される。
【0045】
第1開閉器SW1及び第2開閉器SW2は、制御回路50と接続され、制御回路50の制御にしたがって開閉動作するスイッチである。第1開閉器SW1及び第2開閉器SW2は、例えばMOSFETである。この場合、制御回路50は、第1開閉器SW1及び第2開閉器SW2のゲート電圧を制御することによって、これらの開閉動作や流れる電流の量を制御できる。
【0046】
シャント抵抗器70は、所定の電気抵抗値を有する抵抗器である。以下、シャント抵抗器70の電気抵抗値を電気抵抗値R
Sとする。電気抵抗値R
Sの詳細については後述する。シャント抵抗器70は、
図6に示すように、第1回路C11において、第1開閉器SW1と直列接続され、且つ第1開閉器SW1の下流(放電端子41側)に設けられる。なお、シャント抵抗器70は、第1回路C11において、第1開閉器SW1の上流に設けられてもよい。
【0047】
負荷21は、例えば、第1カートリッジ20が電源ユニット10に装着された場合に、
図6に示すように、その両端が放電端子41と接続される。そして、負荷電圧センサ17は、加熱兼測定用回路C10において、負荷21(即ち放電端子41)と並列接続され、負荷21に印加される電圧を検出する。負荷21に印加される電圧は、放電端子41における正極側放電端子41aと、放電端子41における負極側放電端子41bとの端子間電圧である。
【0048】
また、負荷電圧センサ17は、制御回路50とも接続されており、検出した電圧を示す情報を制御回路50へ送る。これにより、負荷電圧センサ17は、検出した電圧を制御回路50に通知できる。なお、以下、負荷電圧センサ17が検出する電圧、即ち負荷21に印加される電圧を「負荷電圧」ともいう。
【0049】
図6に示した電源ユニット10によれば、負荷21が放電端子41に接続されている場合に、制御回路50が第1開閉器SW1をオンとし第2開閉器SW2をオフとすると、第1回路C11を介して負荷21に電流が流れる。したがって、この場合に、制御回路50は、後述するように、検出された回路電圧及び負荷電圧と、シャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sとに基づいて、負荷21の電気抵抗値R
Hや温度Tを取得することができる。
【0050】
一方、負荷21が放電端子41に接続されている場合に、制御回路50が第2開閉器SW2をオンとし第1開閉器SW1をオフとすると、第2回路C12を介して負荷21に電流が流れる。したがって、この場合に、制御回路50は、負荷21に印加される電圧がシャント抵抗器70によって降圧されることを防止して、負荷21を効率よく加熱することができる。
【0051】
(制御装置の構成)
つぎに、制御回路50の構成について、より具体的に説明する。
制御回路50は、
図5に示すように、ROMに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される機能ブロックとして、エアロゾル生成要求検出部51と、負荷状態取得部52と、電力制御部53と、報知制御部54と、を備える。
【0052】
エアロゾル生成要求検出部51は、吸気センサ15の出力結果に基づいてエアロゾル生成の要求を検出する。吸気センサ15は、吸口32を通じたユーザの吸引により生じた電源ユニット10内の圧力(内圧)変化の値を出力するよう構成されている。吸気センサ15は、例えば、不図示の取込口から吸口32に向けて吸引される空気の流量(すなわち、ユーザのパフ動作)に応じて変化する内圧に応じた出力値(例えば、電圧値又は電流値)を出力する圧力センサである。吸気センサ15は、コンデンサマイクロフォン等から構成されていてもよい。
【0053】
負荷状態取得部52は、シャント抵抗器70の電気抵抗値R
S、回路電圧センサ16によって検出された回路電圧、及び負荷電圧センサ17によって検出された負荷電圧等に基づいて、負荷21の温度Tを取得する。以下、負荷状態取得部52による温度Tの具体的な取得例について説明する。
【0054】
ここで、回路電圧をV、負荷電圧をV
H、加熱兼測定用回路C10に入力される電流をIとする。また、前述したように、負荷21の電気抵抗値をR
H、シャント抵抗器70の電気抵抗値をR
Sとする。
【0055】
第1開閉器SW1がオン且つ第2開閉器SW2がオフとされた場合(即ち第1回路C11を介して負荷21に電流が流れた場合)の回路電圧Vは、下記の式(F2)によって表すことができる。また、この場合の負荷電圧V
Hは、下記の式(F3)によって表すことができる。
【0058】
上記の式(F3)を上記の式(F2)を代入して式変形を行うことで、下記の式(F4)を得ることができる。
【0060】
上記の式(F4)により、負荷状態取得部52は、回路電圧V、負荷電圧V
H及びシャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sに基づいて、負荷21の電気抵抗値R
Hを求めることができる。また、上記の式(F1)で示したように、負荷21の電気抵抗値R
Hと温度Tとには相関関係がある。したがって、負荷状態取得部52は、取得した負荷21の電気抵抗値R
Hと上記の式(F1)とから負荷21の温度Tを求めることができる。
【0061】
報知制御部54は、各種情報を報知するように報知部45を制御する。例えば、報知制御部54は、第2カートリッジ30の交換タイミングの検出に応じて、第2カートリッジ30の交換タイミングを報知するように報知部45を制御する。報知制御部54は、メモリー18に記憶されたパフ動作の累積回数又は負荷21への累積通電時間に基づいて、第2カートリッジ30の交換タイミングを検出し、報知する。報知制御部54は、第2カートリッジ30の交換タイミングの報知に限らず、第1カートリッジ20の交換タイミング、電源12の交換タイミング、電源12の充電タイミング等を報知してもよい。
【0062】
報知制御部54は、未使用の1つの第2カートリッジ30がセットされた状態にて、パフ動作が所定回数行われた場合、又は、パフ動作による負荷21への累積通電時間が所定値(例えば120秒)に達した場合に、この第2カートリッジ30を使用済み(たとえば、残量がゼロ又は空である)と判定して、第2カートリッジ30の交換タイミングを報知するようにしている。
【0063】
また、報知制御部54は、上記の1セットに含まれる全ての第2カートリッジ30が使用済みとなったと判定した場合に、この1セットに含まれる1つの第1カートリッジ20を使用済み(たとえば、残量がゼロ又は空である)と判定して、第1カートリッジ20の交換タイミングを報知するようにしてもよい。
【0064】
電力制御部53は、エアロゾル生成要求検出部51がエアロゾル生成の要求を検出した際に、放電端子41を介した電源12の放電を、第1開閉器SW1のオン/オフ等によって制御する。
【0065】
電力制御部53は、負荷21によってエアロゾル源が霧化されることで生成されるエアロゾルの量が所望範囲に収まるように、言い換えると、電源12から負荷21に供給される電力量が一定範囲となるように制御する。具体的に説明すると、電力制御部53は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御によって第1開閉器SW1のオン/オフを制御する。これに代えて、電力制御部53は、PFM(Pulse Frequency Modulation:パルス周波数変調)制御によって第1開閉器SW1のオン/オフを制御してもよい。
【0066】
電力制御部53は、負荷21への電力供給を開始してから所定期間が経過した場合に、電源12から負荷21に対する電力供給を停止してもよい。言い換えると、電力制御部53は、ユーザが実際にパフ動作を行っているパフ期間内であっても、パフ期間が所定期間を超えた場合に、電源12から負荷21に対する電力供給を停止する。所定期間は、ユーザのパフ期間のばらつきを抑制するために定められる。電力制御部53は、電源12の蓄電量に応じて、1回のパフ動作におけるスイッチ19のオン/オフのデューティ比を制御する。例えば、電力制御部53は、電源12から負荷21に電力を供給するオン時間の間隔(パルス間隔)を制御したり、電源12から負荷21に電力を供給するオン時間の長さ(パルス幅)を制御したりする。
【0067】
また、電力制御部53は、充電端子43と外部電源60との電気的な接続を検出し、充電器13を介した電源12の充電を制御する。
【0068】
(制御装置が検出可能な負荷の温度分解能)
つぎに、制御回路50が検出(取得)可能な負荷21の温度Tの分解能について考察する。なお、以下、制御回路50が検出可能な負荷21の温度Tの分解能を「温度分解能」ともいう。
【0069】
(負荷の温度等を取得するための具体的な構成)
図7には、
図6に示す電源ユニット10の回路構成における要部拡大図を示した。
図7に示すように、制御回路50は、オペアンプ56と、アナログデジタル変換器(ADC)57と、プロセッサ55と、を備える。なお、オペアンプ56とアナログデジタル変換器57は、制御回路50の外部に設けられてもよい。
【0070】
オペアンプ56は、非反転入力端子(+)56aと、反転入力端子(−)56bと、出力端子56cと、一対の電源端子を有する。そして、オペアンプ56は、非反転入力端子56aに入力された電圧から反転入力端子56bに入力された電圧を減算した差分値を、所定の増幅率(以下「増幅率A」とする)によって増幅し、増幅した電圧を出力端子56cからアナログデジタル変換器57へ出力する。
【0071】
具体的に説明すると、オペアンプ56の非反転入力端子56aは、負荷電圧センサ17と接続される。これにより、非反転入力端子56aには、負荷電圧センサ17の出力、即ち負荷電圧V
Hを示す電圧信号(アナログ信号)が入力電圧V
INとして印加される。この入力電圧V
INは、負荷21の電気抵抗値R
Hの変化に応じて変化する。このため、負荷21の電気抵抗値R
Hの変化量に対する入力電圧V
INの変化量を、以下ではΔV
INと記載する。
【0072】
また、オペアンプ56の反転入力端子56bは例えばアースG1と接続されて、反転入力端子56bへの入力電圧は「0(零)」とされる。したがって、オペアンプ56の出力端子56cからは、入力電圧V
INを増幅率Aによって増幅した電圧信号A・V
IN(アナログ信号)が出力され、これがアナログデジタル変換器57に入力される。また、オペアンプ56の一対の電源端子は、高電位側の電源端子と、低電位側の電源端子と、を有する。高電位側の電源端子には、例えば基準電圧V
REFが入力される。低電位側の電源端子は、例えばアースG(不図示)と接続される。このアースGは、アースG1と共通化されていてもよい。また、
図7に示すように、基準電圧V
REFは、例えばプロセッサ55の電源電圧として、プロセッサ55にも入力される。
【0073】
また、アナログデジタル変換器57には、電源ユニット10が備える降圧回路C20によって基準電圧V
REFに降圧された電圧が電源電圧として入力される。具体的に説明すると、降圧回路C20は、
図7に示すように、それぞれが所定の電気抵抗値を有する第1抵抗器58a及び第2抵抗器58bと、入力端子59と、アースG2と、を備える。アースG1とアースG2は共通化されていてもよい。
【0074】
降圧回路C20において、第1抵抗器58aと第2抵抗器58bとは、直列接続される。そして、直列接続された第1抵抗器58a及び第2抵抗器58bの第1抵抗器58a側の一端は入力端子59と接続され、第2抵抗器58b側の他端はアースG2と接続される。
【0075】
入力端子59は、降圧回路C20に入力される電圧を受け付ける。例えば、入力端子59は、主正母線LUにおいて、LDOレギュレータ60と、第1回路C11との間に設けられたノードpと接続されている。ノードpは、LDOレギュレータ60と直列接続されており、降圧回路C20には、入力端子59を介して、主正母線LUに印加されている電圧が入力される。なお、降圧回路C20にLDOレギュレータ60から出力された電圧(例えば3.7[V])を入力してもよい。
【0076】
また、直列接続された第1抵抗器58aと第2抵抗器58bとの間には、分岐部58cが設けられる。そして、この分岐部58cから分岐するように、降圧回路C20とアナログデジタル変換器57とを接続する入力回路C21が設けられる。
【0077】
このように、降圧回路C20は、降圧回路C20に入力された電圧を基準電圧V
REFに降圧し、入力回路C21を介して、基準電圧V
REFをアナログデジタル変換器57に入力する。このような降圧回路C20によれば、第1抵抗器58a及び第2抵抗器58bの電気抵抗値を適切に選択することにより、簡易な構成で所望の基準電圧V
REFを得ることができる。
【0078】
また、制御回路50には、クランプ回路C30をさらに設けてもよい。クランプ回路C30は、アナログデジタル変換器57に電圧信号を入力するための回路C31と、アナログデジタル変換器57に基準電圧V
REFを入力するための入力回路C21と、に接続される。クランプ回路C30は、例えば、電流を回路C31側から入力回路C21側へのみ通過させることが可能なダイオードDを備える。
【0079】
このようなクランプ回路C30を設けることにより、例えば、アナログデジタル変換器57に入力される電圧信号が変動しても、この電圧信号を基準電圧V
REFの電圧値以下に維持することが可能となる。詳述すると、アナログデジタル変換器57に入力される電圧信号が基準電圧V
REFのよりも高くなり得る場合には、回路C31と入力回路C21がクランプ回路C30を介して導通することにより、電圧信号が基準電圧V
REFと等しい電位となる。特に、
図7に示すように、クランプ回路C30を、回路C31において、オペアンプ56より下流側に設けることで、アナログデジタル変換器57に入力される電圧信号がオペアンプ56によって増幅されても、この電圧信号を基準電圧の電圧値以下に維持することが可能となる。
【0080】
アナログデジタル変換器57は、降圧回路C20から入力された基準電圧V
REFを電源電圧として用いることで動作し、オペアンプ56から入力された電圧信号A・V
INをデジタル信号に変換して、変換したデジタル信号をプロセッサ55へ出力する。アナログデジタル変換器57には、基準電圧V
REFによって動作するNビットの分解能を有するものが用いられる。
【0081】
ここで、基準電圧V
REFが電源として入力されるNビットのアナログデジタル変換器57による分解能Res[V/bit]は、下記の式(F5)で表すことができる。
【0083】
分解能Resの次元が[V/bit]から[℃]になるように式(F5)を書き直すと、制御回路50による負荷21の温度Tについての温度分解能Res[℃]は、下記の式(F6)で表すことができる。
【0085】
上記の式(F6)におけるΔT
H(ΔR
H)は、負荷21の電気抵抗値R
Hの変化量に応じた、負荷21の温度Tの変化量を示す。したがって、上記の式(F6)は、負荷21の抵抗温度係数α[%]を用いて、下記の式(F7)のように変形できる。なお、下記の式(F7)において、I
Hは、負荷21に流れる電流の電流値である。
【0087】
検討の結果、負荷21の温度Tの分解能が10[℃]以下であれば、エアロゾル吸引器1において制御回路50によって行われる殆どの制御が、或る程度正確に行えることがわかった。そこで、電源ユニット10では、或る程度の正確性が担保された負荷21の温度Tを取得できるように、上記の式(F7)で表される温度分解能Res[℃]≦10[℃]を実現する。具体的には、以下で説明する、(1)負荷21の抵抗温度係数αの最適化、(2)基準電圧V
REFの最適化、及び(3)オペアンプ56の増幅率Aの最適化のうちの少なくともいずれか1つを行うことで、温度分解能Res[℃]≦10[℃]を実現する。
【0088】
(抵抗温度係数の最適化)
まず、負荷21の抵抗温度係数αの最適化について考察する。
上記の式(F7)から、負荷21の抵抗温度係数αを大きくすれば、温度分解能Res[℃]を小さくできることがわかる。
【0089】
負荷21の抵抗温度係数αは、負荷21の材質等に依存する。例えば、負荷21をニクロムによって構成した場合には、抵抗温度係数αを100[ppm/℃]程度とすることができる。また、ニッケルやクロムの含有率や負荷21が有する電熱線の径等を適宜調整することによって、負荷21をニクロムによって構成した場合であっても、負荷21の抵抗温度係数αを200[ppm/℃]程度とすることができる。また、負荷21をステンレス鋼によって構成した場合には、抵抗温度係数αを1000[ppm/℃]程度にすることができる。そして、負荷21をタングステンによって構成した場合には、抵抗温度係数αを4000[ppm/℃]程度にすることができる。
【0090】
したがって、温度分解能Res[℃]をできるだけ小さくするという観点からすれば、前述した3つの材質のうち、タングステンを用いて負荷21を構成することが最も望ましく、そのつぎにステンレス鋼を用いて負荷21を構成することが望ましい。一方、ニクロムは、タングステンやステンレス鋼に比べて、抵抗温度係数αが小さいものの、安価であり、また、抵抗温度係数αが小さいゆえに扱い易いというメリットもある。つまりニクロムを用いた場合には、常温時とエアロゾルを生成するためのエアロゾル源22加熱時の温度(例えば200[℃])とで電気抵抗値の変化が小さいため、高効率なエアロゾルの生成が可能となる。
【0091】
したがって、以下で説明する基準電圧V
REF及びオペアンプ56の増幅率Aの最適化と組み合わせた上で、求めるレベルの温度分解能Res[℃]を得られるように、負荷21の材質(即ち負荷21の抵抗温度係数α)を選定することが望ましい。
【0092】
(基準電圧の最適化)
つぎに、基準電圧V
REFの最適化について考察する。
上記の式(F7)から、基準電圧V
REFを小さくすれば、温度分解能Res[℃]を小さくできることがわかる。そこで、基準電圧V
REFの最適化では、基準電圧V
REFをできるだけ小さくすることを考える。以下、基準電圧V
REFの最適化の具体例について、
図7を参照しながら説明する。
【0093】
制御回路50のアナログデジタル変換器57を適切に動作させるためには、アナログデジタル変換器57の電源電圧である基準電圧V
REFを、オペアンプ56からアナログデジタル変換器57に入力される電圧信号A・V
INの電圧値以上にする必要がある。言い換えると、オペアンプ56からの電圧信号A・V
INの電圧値を低くできれば、その分、基準電圧V
REFを低くしても、アナログデジタル変換器57を適切に動作させることができる。
【0094】
(オペアンプからの電圧信号の電圧値抑制)
オペアンプ56からの電圧信号A・V
INの電圧値を低くする方法の1つとして、増幅率A=1倍とし、オペアンプ56による入力電圧V
INの増幅を行わないようにすることが考えられる。これにより、オペアンプ56からアナログデジタル変換器57に入力される電圧信号を1・V
IN=V
INとすることができる。なお、オペアンプ56の反転入力端子56bをアースG1よりも高い電位に接続した場合には、アースG1に接続した場合よりも、非反転入力端子56aに入力される負荷電圧センサ17の出力が小さくなって出力端子56cから出力される点に留意されたい。また、オペアンプ56の反転入力端子56bをアースG1よりも低い電位に接続した場合には、アースG1に接続した場合よりも、非反転入力端子56aに入力される負荷電圧センサ17の出力が大きくなって出力端子56cから出力されるものの、これはオペアンプ56の本来行う増幅ではない点に留意されたい。
【0095】
なお、オペアンプ56を設けないで、負荷電圧センサ17からの出力がアナログデジタル変換器57に直接入力されるように構成してもよく、このように構成した場合も、アナログデジタル変換器57に入力される電圧信号をV
INとすることができる。
【0096】
さらに、オペアンプ56からの電圧信号A・V
INの電圧値を低くする他の方法として、オペアンプ56への入力電圧V
INを低くすることが考えられる。入力電圧V
INは、前述したように、負荷電圧センサ17の出力、即ち負荷電圧V
Hを示す電圧信号である。したがって、負荷電圧V
Hを低くすることにより、入力電圧V
INも低くすることができる。
【0097】
制御回路50が負荷21の温度Tを取得する際には、第1開閉器SW1がオン且つ第2開閉器SW2がオフとされ、第1回路C11を介して負荷21に電流が流れる。つまり、この場合には、シャント抵抗器70を介して負荷21に電流が流れる。このため、加熱兼測定用回路C10に入力された電圧がシャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sに応じて降下して、負荷21に印加される。
【0098】
したがって、シャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sを大きくすれば、その分、電気抵抗値R
Sに応じた電圧の降下量を大きくできるので、負荷21に印加される負荷電圧V
H、即ち入力電圧V
INを低くすることができる。ただし、負荷電圧V
Hは、ゼーベック効果等の影響による温度Tの精度低下を抑制するために、50[mV]程度は確保することが望ましい。
【0099】
(シャント抵抗器の電気抵抗値)
シャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sは、負荷電圧V
Hを低くする観点に加え、シャント抵抗器70として用いる抵抗器を容易且つ安価に調達することも勘案すると、10[Ω]以上であることが好ましい。一般的に、電気抵抗値が10[Ω]未満のシャント抵抗器は、その種類や扱うサプライヤが限られるため、コストが高くなったり、大量調達が困難となりやすい。さらに、シャント抵抗器70により発生するジュール熱による温度Tの精度低下を抑制することも勘案すると、シャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sは25[Ω]以上であることが理想的である。
【0100】
また、シャント抵抗器70の定格電力も勘案して、シャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sを選定するようにしてもよい。具体的に説明すると、第1回路C11に電力が供給された場合のシャント抵抗器70の消費電力が、シャント抵抗器70の定格電力以下になるように、シャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sを選定することが好ましい。
【0101】
ここで、シャント抵抗器70に印加される電圧をV
Sとし、前述したように、回路電圧をV、負荷21の電気抵抗値をR
H、シャント抵抗器70の電気抵抗値をR
S、加熱兼測定用回路C10に入力される電流をIとすると、シャント抵抗器70の消費電力P
S[W]は、下記の式(F8)によって表すことができる。
【0103】
上記の式(F8)によって表されるシャント抵抗器70の消費電力P
S[W]が、シャント抵抗器70の定格電力以下になるように、シャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sを選定することで、負荷21の温度Tを取得するためにシャント抵抗器70に電流が供給された際の、シャント抵抗器70の発熱や破損を抑制できる。
【0104】
以上説明したように、オペアンプ56の増幅率Aを1倍としたり(或いはオペアンプ56を設けない)、シャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sを大きくすることで、オペアンプ56からアナログデジタル変換器57に入力される電圧信号A・V
INの電圧値を低くすることができる。そして、この電圧信号A・V
INの電圧値より大きな電圧値をぎりぎりで得られるように、降圧回路C20の第1抵抗器58a及び第2抵抗器58bの電気抵抗値を適切に選択することで、基準電圧V
REFを低くでき、温度分解能Res[℃]を小さくできる。
【0105】
(基準電圧と温度分解能とシャント抵抗器の電気抵抗値との具体的な関係)
つぎに、基準電圧V
REFと、温度分解能Res[℃]と、シャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sとの具体的な関係について説明する。
【0106】
図8には、基準電圧V
REFと温度分解能Res[℃]とシャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sとの関係の第1例を示した。この第1例は、負荷21の抵抗温度係数α=100[ppm/℃]とし、オペアンプ56の増幅率A=1倍とし、負荷21の電気抵抗値R
Hの変化量ΔR
H=1[%]とし、N=10[bit]とした場合の例である。なお、前述したように、抵抗温度係数α=100[ppm/℃]は、負荷21をニクロムによって構成することで実現できる。また、
図8において、横軸はシャント抵抗器70の電気抵抗値R
S[Ω]を示し、左側の縦軸は温度分解能Res[℃]を示し、右側の縦軸は負荷電圧V
H[mV]を示している。
【0107】
図8において、温度分解能Res11は、基準電圧V
REFを3.7[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。温度分解能Res12は、基準電圧V
REFを3.0[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。
【0108】
また、
図8において、温度分解能Res13は、基準電圧V
REFを2.0[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。温度分解能Res14は、基準電圧V
REFを1.0[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。
【0109】
そして、
図8において、温度分解能Res15は、基準電圧V
REFを0.5[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値RSとの関係を示している。また、電圧V1
0は、温度分解能Res11〜温度分解能Res15に示したように、基準電圧V
REFを3.7[V]から0.5[V]まで下げていき、且つ、電気抵抗値R
Sを0[Ω]から50[Ω]まで大きくしていった場合の、負荷電圧V
H[mV]を示している。
【0110】
図8に示した第1例の場合、即ち、負荷21の抵抗温度係数α=100[ppm/℃]とし且つオペアンプ56の増幅率A=1倍とした場合には、基準電圧V
REFやシャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sを調整しても、温度分解能Res[℃]≦10[℃]を実現することは難しいことがわかる。
【0111】
図9には、基準電圧V
REFと温度分解能Res[℃]とシャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sとの関係の第2例を示した。この第2例は、負荷21の抵抗温度係数α=200[ppm/℃]とした点のみが
図8に示した第1例と異なる。したがって、以下の
図9の説明において、
図8に示した第1例と同様の点については説明を適宜省略する。なお、前述したように、抵抗温度係数α=200[ppm/℃]は、負荷21をニクロムによって構成することで実現できる。
【0112】
図9において、温度分解能Res21は、基準電圧V
REFを3.7[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。温度分解能Res22は、基準電圧V
REFを3.0[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。
【0113】
また、
図9において、温度分解能Res23は、基準電圧V
REFを2.0[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。温度分解能Res24は、基準電圧V
REFを1.0[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。
【0114】
そして、
図9において、温度分解能Res25は、基準電圧V
REFを0.5[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。
【0115】
図9に示した第2例の場合、即ち、負荷21の抵抗温度係数α=200[ppm/℃]とし且つオペアンプ56の増幅率A=1倍とした場合には、基準電圧V
REFを0.5[V]とし且つ電気抵抗値R
Sを10[Ω]程度とすることで、温度分解能Res[℃]≦10[℃]を実現できることがわかる。なお、
図9に示した第2例の場合、温度分解能Res[℃]は、5[℃]以下にならない点に留意されたい。
【0116】
図10には、基準電圧V
REFと温度分解能Res[℃]とシャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sとの関係の第3例を示した。この第3例は、負荷21の抵抗温度係数α=1000[ppm/℃]とした点のみが
図8に示した第1例と異なる。したがって、以下の
図10の説明において、
図8に示した第1例と同様の点については説明を適宜省略する。なお、前述したように、抵抗温度係数α=1000[ppm/℃]は、負荷21をステンレス鋼によって構成することで実現できる。
【0117】
図10において、温度分解能Res31は、基準電圧V
REFを3.7[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。温度分解能Res32は、基準電圧V
REFを3.0[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。
【0118】
また、
図10において、温度分解能Res33は、基準電圧V
REFを2.0[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。温度分解能Res34は、基準電圧V
REFを1.0[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。
【0119】
そして、
図10において、温度分解能Res35は、基準電圧V
REFを0.5[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。
【0120】
図10に示した第3例の場合、即ち、負荷21の抵抗温度係数α=1000[ppm/℃]とし且つオペアンプ56の増幅率A=1倍とした場合には、基準電圧V
REFを3.7[V]とし且つ電気抵抗値R
Sを0[Ω]付近とした場合(ただし電気抵抗値R
S≦50[Ω])を除いて、温度分解能Res[℃]≦10[℃]を実現できることがわかる。なお、
図10に示した第3例の場合、温度分解能Res[℃]は、1[℃]以下にならない点に留意されたい。
【0121】
図11には、基準電圧V
REFと温度分解能Res[℃]とシャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sとの関係の第4例を示した。この第4例は、負荷21の抵抗温度係数α=4000[ppm/℃]とした点のみが
図8に示した第1例と異なる。したがって、以下の
図11の説明において、
図8に示した第1例と同様の点については説明を適宜省略する。なお、前述したように、抵抗温度係数α=4000[ppm/℃]は、負荷21をタングステンによって構成することで実現できる。
【0122】
図11において、温度分解能Res41は、基準電圧V
REFを3.7[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。温度分解能Res42は、基準電圧V
REFを3.0[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。
【0123】
また、
図11において、温度分解能Res43は、基準電圧V
REFを2.0[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。温度分解能Res44は、基準電圧V
REFを1.0[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。
【0124】
そして、
図11において、温度分解能Res45は、基準電圧V
REFを0.5[V]とした場合の温度分解能Res[℃]と電気抵抗値R
Sとの関係を示している。
【0125】
図11に示した第4例の場合、即ち、負荷21の抵抗温度係数α=4000[ppm/℃]とし且つオペアンプ56の増幅率A=1倍とした場合には、電気抵抗値R
Sの大きさを問わず(ただし電気抵抗値R
S≦50[Ω])、温度分解能Res[℃]≦10[℃]を実現できる。さらに、温度分解能Res42〜Res45の一部の範囲においては、温度分解能Res[℃]≦1[℃]も実現できることがわかる。なお、
図11に示した第4例の場合、温度分解能Res[℃]は、0.1[℃]以下にならない点に留意されたい。
【0126】
(オペアンプの増幅率の最適化)
つぎに、オペアンプ56の増幅率Aの最適化も組み合わせた場合の温度分解能Res[℃]について考察する。
【0127】
上記の式(F7)から、オペアンプ56の増幅率Aを1倍より大きくすれば、温度分解能Res[℃]を小さくできることがわかる。ただし、前述したように、アナログデジタル変換器57を適切に動作させるためには、オペアンプ56からアナログデジタル変換器57に入力される電圧信号A・V
INの電圧値が、基準電圧V
REFの電圧値以下になるように、オペアンプ56の増幅率Aを設定する必要がある。したがって、ここでは、電圧信号A・V
INの電圧値<基準電圧V
REFの電圧値の関係を前提にして、オペアンプ56の増幅率Aを1倍より大きくすることを考える。
【0128】
図12において、符号V21で示す点線は、シャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sを
図12の横軸に示す値とし、且つ負荷電圧V
Hを
図12の縦軸に示す値とした場合の入力電圧V
INを示している。また、
図12において、符号V22で示す実線は、符号V21で示した入力電圧V
INを1倍より大きい増幅率Aで増幅した電圧信号A・V
INを示している。
【0129】
なお、符号V22で示す電圧信号A・V
INは、シャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sが50[Ω]以上である場合に、基準電圧V
REFを100[mV](即ち0.1[V])として、この範囲内(即ち0.1[V]未満)でなるべく大きくなるように
図12に示す各増幅率Aで増幅して得られる電圧信号A・V
INである。
【0130】
具体的に説明すると、
図12に示す例において、電気抵抗値R
S=100[Ω]とした場合には、増幅率Aを2倍とすることで、電圧信号A・V
INを基準電圧V
REF未満の範囲に収めつつ増幅している。また、電気抵抗値R
S=150[Ω]とした場合には、増幅率Aを3倍とすることで、電圧信号A・V
INを基準電圧V
REF未満の範囲に収めつつ増幅している。また、電気抵抗値R
S=200[Ω]とした場合には、増幅率Aを5倍とすることで、電圧信号A・V
INを基準電圧V
REF未満の範囲に収めつつ増幅している。
【0131】
以下同様に、電気抵抗値R
S=300[Ω]とした場合は増幅率Aを5倍、電気抵抗値R
S=400[Ω]又は500[Ω]とした場合は増幅率Aを10倍、電気抵抗値R
S=600[Ω]又は700[Ω]とした場合は増幅率Aを15倍、電気抵抗値R
S=800[Ω]又は900[Ω]とした場合は増幅率Aを20倍、電気抵抗値R
S=1000[Ω]とした場合は増幅率Aを25倍とすることで、電圧信号A・V
INを基準電圧V
REF未満の範囲に収めつつ増幅している。
【0132】
(増幅率の最適化も組み合わせた場合の基準電圧と温度分解能とシャント抵抗器の電気抵抗値との具体的な関係)
つぎに、オペアンプ56の増幅率Aの最適化も組み合わせた場合の、基準電圧V
REFと、温度分解能Res[℃]と、シャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sとの具体的な関係について説明する。
【0133】
図13には、基準電圧V
REFと温度分解能Res[℃]とシャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sとの関係の第5例を示した。この第5例は、
図8に示した第1例において、電気抵抗値R
Sが50[Ω]以上の値もとりうるようにして、電気抵抗値R
S≧50[Ω]の場合には
図12に示した電圧信号A・V
INを用いるようにした例である。即ち、この第5例は、電気抵抗値R
S≧50[Ω]の場合に
図12に示した電圧信号A・V
INを用いる点のみが
図8に示した第1例と異なる。したがって、
図13の説明において、
図8に示した第1例と同様の点については説明を適宜省略する。なお、
図13に示す第5例では、横軸が対数目盛になっている点に留意されたい。また、
図13では、負荷電圧V
Hの図示を省略する。
【0134】
図13に示す第5例において、電気抵抗値R
S≧50[Ω]の場合には、基準電圧V
REFを100[mV](即ち0.1[V])としている。
図13において、実線で示す温度分解能Res16は、
図12に示した電圧信号A・V
INを用いることにより得られる温度分解能Res[℃]である。即ち、オペアンプ56が入力電圧V
INを
図12で説明した増幅率Aで増幅するようにしたことで得られる温度分解能Res[℃]である。一方、
図13において、点線で示す温度分解能Res17は、入力電圧V
INの増幅を行わないようにした場合に得られる温度分解能Res[℃]である。
【0135】
温度分解能Res16及び温度分解能Res17に示すように、オペアンプ56が入力電圧V
INを
図12で説明した増幅率Aで増幅するように構成することで、入力電圧V
INの増幅を行わない場合に比べて、温度分解能Res[℃]を小さくすることができる。そして、50[Ω]以上の電気抵抗値を有する抵抗器をシャント抵抗器70として用いた場合も、温度分解能Res[℃]≦10[℃]を実現できる場合がある。なお、
図13に示す第5例の場合、温度分解能Res[℃]は、5[℃]以下にならない点に留意されたい。
【0136】
図14には、基準電圧V
REFと温度分解能Res[℃]とシャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sとの関係の第6例を示した。この第6例は、
図9に示した第2例において、電気抵抗値R
Sが50[Ω]以上の値もとりうるようにして、電気抵抗値R
S≧50[Ω]の場合には
図12に示した電圧信号A・V
INを用いるようにした例である。即ち、この第6例は、電気抵抗値R
S≧50[Ω]の場合に
図12に示した電圧信号A・V
INを用いる点のみが
図9に示した第2例と異なる。したがって、
図14の説明において、
図9に示した第2例と同様の点については説明を適宜省略する。なお、
図14に示す第6例では、横軸が対数目盛になっている点に留意されたい。また、
図14では、負荷電圧V
Hの図示を省略する。
【0137】
図14に示す第6例において、電気抵抗値R
S≧50[Ω]の場合には、基準電圧V
REFを100[mV](即ち0.1[V])としている。
図14において、実線で示す温度分解能Res26は、
図12に示した電圧信号A・V
INを用いることにより得られる温度分解能Res[℃]である。即ち、オペアンプ56が入力電圧V
INを
図12で説明した増幅率Aで増幅するようにしたことで得られる温度分解能Res[℃]である。一方、
図14において、点線で示す温度分解能Res27は、入力電圧V
INの増幅を行わないようにした場合に得られる温度分解能Res[℃]である。
【0138】
温度分解能Res26及び温度分解能Res27に示すように、オペアンプ56が入力電圧V
INを
図12で説明した増幅率Aで増幅するように構成することで、入力電圧V
INの増幅を行わない場合に比べて、温度分解能Res[℃]を小さくすることができる。そして、50[Ω]以上の電気抵抗値を有する抵抗器をシャント抵抗器70として用いた場合も、温度分解能Res[℃]≦10[℃]を実現できる。なお、
図14に示す第6例の場合、温度分解能Res[℃]は、1[℃]以下にならない点に留意されたい。
【0139】
図15には、基準電圧V
REFと温度分解能Res[℃]とシャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sとの関係の第7例を示した。この第7例は、
図10に示した第3例において、電気抵抗値R
Sが50[Ω]以上の値もとりうるようにして、電気抵抗値R
S≧50[Ω]の場合には
図12に示した電圧信号A・V
INを用いるようにした例である。即ち、この第7例は、電気抵抗値R
S≧50[Ω]の場合に
図12に示した電圧信号A・V
INを用いる点のみが
図10に示した第3例と異なる。したがって、
図15の説明において、
図10に示した第3例と同様の点については説明を適宜省略する。なお、
図15に示す第7例では、横軸が対数目盛になっている点に留意されたい。また、
図15では、負荷電圧V
Hの図示を省略する。
【0140】
図15に示す第7例において、電気抵抗値R
S≧50[Ω]の場合には、基準電圧V
REFを100[mV](即ち0.1[V])としている。
図15において、実線で示す温度分解能Res36は、
図12に示した電圧信号A・V
INを用いることにより得られる温度分解能Res[℃]である。即ち、オペアンプ56が入力電圧V
INを
図12で説明した増幅率Aで増幅するようにしたことで得られる温度分解能Res[℃]である。一方、
図15において、点線で示す温度分解能Res37は、入力電圧V
INの増幅を行わないようにした場合に得られる温度分解能Res[℃]である。
【0141】
温度分解能Res36及び温度分解能Res37に示すように、オペアンプ56が入力電圧V
INを
図12で説明した増幅率Aで増幅するように構成することで、入力電圧V
INの増幅を行わない場合に比べて、温度分解能Res[℃]を小さくすることができる。そして、50[Ω]以上の電気抵抗値を有する抵抗器をシャント抵抗器70として用いた場合も、温度分解能Res[℃]≦10[℃]を実現でき、さらに温度分解能Res[℃]≦1[℃]を実現できる場合がある。なお、
図15に示す第7例の場合、温度分解能Res[℃]は、0.5[℃]以下にならない点に留意されたい。
【0142】
図16には、基準電圧V
REFと温度分解能Res[℃]とシャント抵抗器70の電気抵抗値R
Sとの関係の第8例を示した。この第8例は、
図11に示した第4例において、電気抵抗値R
Sが50[Ω]以上の値もとりうるようにして、電気抵抗値R
S≧50[Ω]の場合には
図12に示した電圧信号A・V
INを用いるようにした例である。即ち、この第8例は、電気抵抗値R
S≧50[Ω]の場合に
図12に示した電圧信号A・V
INを用いる点のみが
図11に示した第4例と異なる。したがって、
図16の説明において、
図11に示した第4例と同様の点については説明を適宜省略する。なお、
図16に示す第8例では、横軸が対数目盛になっている点に留意されたい。また、
図16では、負荷電圧V
Hの図示を省略する。
【0143】
図16に示す第8例において、電気抵抗値R
S≧50[Ω]の場合には、基準電圧V
REFを100[mV](即ち0.1[V])としている。
図16において、実線で示す温度分解能Res46は、
図12に示した電圧信号A・V
INを用いることにより得られる温度分解能Res[℃]である。即ち、オペアンプ56が入力電圧V
INを
図12で説明した増幅率Aで増幅するようにしたことで得られる温度分解能Res[℃]である。一方、
図16において、点線で示す温度分解能Res47は、入力電圧V
INの増幅を行わないようにした場合に得られる温度分解能Res[℃]である。
【0144】
温度分解能Res46及び温度分解能Res47に示すように、オペアンプ56が入力電圧V
INを
図12で説明した増幅率Aで増幅するように構成することで、入力電圧V
INの増幅を行わない場合に比べて、温度分解能Res[℃]を小さくできる。そして、50[Ω]以上の電気抵抗値を有する抵抗器をシャント抵抗器70として用いた場合も、温度分解能Res[℃]≦1[℃]を実現できる。なお、
図16に示す第8例の場合、温度分解能Res[℃]は、0.1[℃]以下にならない点に留意されたい。
【0145】
以上説明したように、本実施形態の電源ユニット10及び該電源ユニット10を備えるエアロゾル吸引器1によれば、負荷21の抵抗温度係数αの最適化、基準電圧V
REFの最適化、及びオペアンプ56の増幅率Aの最適化のうちの少なくともいずれか1つを行うことで温度分解能Res[℃]≦10[℃]を実現できる。したがって、負荷電圧センサ17の出力を増幅するオペアンプ56を設けない場合、或いは、オペアンプ56の増幅率Aをできるだけ小さくした場合であっても、負荷の温度Tを精度よく取得できる。
【0146】
(電源ユニット10の変形例)
つぎに、電源ユニット10の変形例について説明する。電源ユニット10の電気回路は、例えば、
図17に示すように構成してもよい。具体的に説明すると、これまでの実施形態で並列接続した負荷21及び負荷電圧センサ17と、シャント抵抗器70と、第1開閉器SW1とをこの順で直列接続することで、加熱兼測定用回路C10を構成してもよい。この場合、加熱兼測定用回路C10の負荷21及び負荷電圧センサ17側の一端が主正母線LUに接続され、加熱兼測定用回路C10の第1開閉器SW1側の他端が主負母線LD或いはアースに接続される(即ち電圧値が電圧は「0(零)」とされる)。
【0147】
電源ユニット10が
図17に示す電気回路を備えるように構成した場合も、前述した負荷21の抵抗温度係数αの最適化、基準電圧V
REFの最適化、及びオペアンプ56の増幅率Aの最適化のうちの少なくともいずれか1つを行うことで温度分解能Res[℃]≦10[℃]を実現でき、簡易な構成で負荷21の温度Tを精度良く取得することができる。
【0148】
(各条件において温度分解能Res[℃]がとりうる値)
最後に、前述した実施形態についてまとめる。
図18には、各条件において温度分解能Res[℃]がとりうる値を示した。
図18において、「基準電圧V
REF最適化なし」は、前述の基準電圧V
REFの最適化を行わないで、基準電圧V
REFを3.7[V]としたことを意味する。これに対して、「基準電圧V
REF最適化あり」は、前述の基準電圧V
REFの最適化を行って、基準電圧V
REFを3.7[V]より小さくしたことを意味する。
【0149】
また、
図18において、「増幅率A最適化なし」は、前述の増幅率Aの最適化を行わないで、増幅率Aが1倍(即ち増幅なし)であることを意味する。これに対して、「増幅率A最適化あり」は、前述の増幅率Aの最適化を行って、増幅率Aが1倍より大きい(即ち増幅あり)であることを意味する。
【0150】
また、
図18において、パターン1で示す温度分解能Res[℃]は、温度分解能が粗いために取得可能な温度Tについての正確性を担保できず、温度Tに基づく制御の品質が低下する可能性があることを示している。パターン2で示す温度分解能Res[℃]は、温度分解能が或る程度細かいために取得可能な温度Tについての正確性を或る程度担保でき、温度Tに基づいて、負荷21の温度制御以外の制御の品質を確保できる可能性があることを示している。パターン3で示す温度分解能Res[℃]は、温度分解能が十分に細かいために取得可能な温度Tについての正確性を担保でき、温度Tに基づいて負荷21の温度制御の品質も確保できる可能性があることを示している。
【0151】
図18に示すように、基準電圧V
REFの最適化を行うようにすることで、基準電圧V
REFの最適化を行わない場合に比べて、良好な温度分解能Res[℃]を得られる条件が多くなることがわかる。さらに、増幅率Aの最適化も組み合わせて行うようにすることで、増幅率Aの最適化を行わない場合に比べて、良好な温度分解能Res[℃]を得られる条件がより多くなることがわかる。
【0152】
なお、前述した実施形態及び変形例においては、電源ユニット10に降圧回路C20を設けて、降圧回路C20によって降圧された電圧がアナログデジタル変換器57に印加される例を説明したが、これに限らない。
【0153】
例えば、負荷21をタングステンによって構成した場合は、
図18に示したように、基準電圧V
REFの最適化を行わなくても或る程度の温度分解能Res[℃]を確保できる場合がある。このように基準電圧V
REFの最適化を行わなくても或る程度の温度分解能Res[℃]を確保できる場合は、降圧回路C20を設けずに、LDOレギュレータ60から出力された電圧(例えば3.7[V])がアナログデジタル変換器57に印加されるようにしてもよい。
【0154】
また、前述した実施形態及び変形例においては、負荷21を含む第1カートリッジ20が電源ユニット10に着脱自在な構成とされているが、負荷21を含む第1カートリッジ20は電源ユニット10と一体化された構成であってもよい。
【0155】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0156】
(1) エアロゾル生成源(エアロゾル源22、香味源31)を加熱し且つ温度と電気抵抗値が相関を持つ負荷(負荷21)を備えるエアロゾル吸引器(エアロゾル吸引器1)用の制御装置(電源ユニット10)であって、
前記負荷に印加される電圧値を出力する電圧センサ(負荷電圧センサ17)と、
前記負荷に対して直列接続される既知抵抗(シャント抵抗器70)と、
前記電圧センサの出力に基づいて、前記負荷の温度を取得する制御回路(制御回路50)と、
を備え、
前記制御回路が前記電圧センサの出力に基づき取得する前記負荷の温度の分解能が10[℃]以下となるように構成される、エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0157】
(1)によれば、既知抵抗と直列接続される負荷に印加される電圧値を出力する電圧センサの出力に基づき制御回路が取得する負荷の温度の分解能が10[℃]以下となるように構成されるので、負荷の温度を適切な精度で取得できる。
【0158】
(2) (1)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置であって、
前記制御回路は、前記電圧センサの出力が入力されるアナログデジタル変換器(アナログデジタル変換器57)を備え、
前記アナログデジタル変換器には、前記電圧センサの出力が増幅されずに入力されるように構成される、エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0159】
(2)によれば、電圧センサの出力が増幅されずにアナログデジタル変換器に入力されるので、電圧センサの出力に含まれるノイズが増幅されることを防止でき、該出力に基づき取得される負荷の温度の精度を高めることができる。
【0160】
(3) (1)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置であって、
前記制御回路は、前記電圧センサの出力が入力されるアナログデジタル変換器(アナログデジタル変換器57)を備え、
前記既知抵抗と前記負荷とにより形成される直列回路(第1回路C11)に印加される電圧は、前記アナログデジタル変換器が動作するために該アナログデジタル変換器に印加される基準電圧に等しい、エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0161】
(3)によれば、既知抵抗と負荷とにより形成される直列回路に印加される電圧がアナログデジタル変換器に印加される基準電圧に等しいので、アナログデジタル変換器に対し、基準電圧よりも高い電圧が入力されることを防止できる。換言すれば、アナログデジタル変換器を保護できる。
【0162】
(4) (3)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置を備えるエアロゾル吸引器であって、
1000[ppm/℃]以上の抵抗温度係数を有する前記負荷を備える、エアロゾル吸引器。
【0163】
(4)によれば、負荷が1000[ppm/℃]以上の抵抗温度係数を有するので、負荷の温度の分解能を小さくでき、負荷の温度を適切な精度で取得できる。
【0164】
(5) (1)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置であって、
前記既知抵抗は、10[Ω]以上の電気抵抗値を有する、エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0165】
(5)によれば、既知抵抗が10[Ω]以上の電気抵抗値を有するので、調達が容易な抵抗器により既知抵抗を実現できる。
【0166】
(6) (5)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置であって、
前記制御回路は、前記電圧センサの出力が入力されるアナログデジタル変換器(アナログデジタル変換器57)を備え、
前記アナログデジタル変換器が動作するために該アナログデジタル変換器に印加される基準電圧は、前記既知抵抗と前記負荷とにより形成される直列回路(第1回路C11)に印加される電圧より低い、エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0167】
(6)によれば、アナログデジタル変換器に印加される基準電圧が、既知抵抗と負荷とにより形成される直列回路に印加される電圧より低いので、負荷の温度の分解能を小さくでき、負荷の温度を適切な精度で取得できる。
【0168】
(7) (6)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置であって、
前記アナログデジタル変換器には、前記電圧センサの出力が増幅されずに入力されるように構成される、エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0169】
(7)によれば、電圧センサの出力が増幅されずにアナログデジタル変換器に入力されるので、電圧センサの出力に含まれるノイズが増幅されることを防止でき、該出力に基づき取得される負荷の温度の精度を高めることができる。
【0170】
(8) (7)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置であって、
前記制御回路が前記電圧センサの出力に基づき取得する前記負荷の温度の分解能が5[℃]以下となるように構成される、エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0171】
(8)によれば、制御回路が電圧センサの出力に基づき取得する負荷の温度の分解能が5[℃]以下となるように構成されるので、負荷の温度の分解能を小さくでき、負荷の温度を適切な精度で取得できる。
【0172】
(9) (8)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置であって、
前記既知抵抗は、25[Ω]以上の電気抵抗値を有する、エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0173】
(9)によれば、既知抵抗が25[Ω]以上の電気抵抗値を有するので、負荷の温度を取得する際に、既知抵抗により発生するジュール熱による負荷の温度の精度低下を抑制でき、負荷の温度を適切な精度で取得できる。
【0174】
(10) (8)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置であって、
前記既知抵抗は、前記直列回路に電力が供給された場合の前記既知抵抗の消費電力が、前記既知抵抗の定格電力以下になる電気抵抗値を有する、
エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0175】
(10)によれば、既知抵抗が、直列回路に電力が供給された場合の既知抵抗の消費電力が、既知抵抗の定格電力以下になる電気抵抗値を有するので、負荷の温度を取得する際の既知抵抗の発熱や破損を抑制できる。
【0176】
(11) (10)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置を備えるエアロゾル吸引器であって、
ステンレス鋼によって構成される前記負荷を備える、エアロゾル吸引器。
【0177】
(11)によれば、或る程度大きな抵抗温度係数を有するステンレス鋼によって負荷が構成されるので、負荷の温度の分解能を小さくでき、負荷の温度を適切な精度で取得できる。
【0178】
(12) (6)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置であって、
前記アナログデジタル変換器に入力される前記電圧センサの出力を増幅する増幅器(オペアンプ56)をさらに備える、エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0179】
(12)によれば、アナログデジタル変換器に入力される電圧センサの出力を増幅する増幅器を備えるので、該出力の増幅により負荷の温度の分解能をより小さくでき、負荷の温度を適切な精度で取得できる。
【0180】
(13) (6)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置であって、
前記直列回路に印加される電圧と等しい電圧が入力され、該電圧を前記基準電圧に降圧して、前記アナログデジタル変換器へ印加する回路(降圧回路C20、入力回路C21)をさらに備える、エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0181】
(13)によれば、直列回路に印加される電圧と等しい電圧が入力され、該電圧を基準電圧に降圧してアナログデジタル変換器へ印加する回路を備えるので、簡易な構成により基準電圧を低くして、該基準電圧の低下により負荷の温度の分解能を小さくできる。
【0182】
(14) (13)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置であって、
一定電圧を出力可能な電圧変換器(LDOレギュレータ60)をさらに備え、
前記電圧変換器と、前記直列回路及び前記回路を接続するノード(ノードp)とは、直列接続される、エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0183】
(14)によれば、一定電圧を出力可能な電圧変換器によって、既知抵抗と負荷とにより形成される直列回路と、アナログデジタル変換器へ基準電圧を印加する回路とに安定した電圧を供給できる。
【0184】
(15) (8)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置であって、
前記電圧センサの出力を前記アナログデジタル変換器へ入力する回路(回路31)と、前記アナログデジタル変換器へ前記基準電圧を印加する回路(入力回路C21)と、に接続されるクランプ回路(クランプ回路C30)をさらに備える、エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0185】
(15)によれば、電圧センサの出力をアナログデジタル変換器へ入力する回路と、アナログデジタル変換器へ基準電圧を印加する回路と、に接続されるクランプ回路を備えるので、アナログデジタル変換器へ入力される電圧信号の電圧が基準電圧より高くなることを防止できる。換言すれば、アナログデジタル変換器を保護できる。
【0186】
(16) (15)に記載のエアロゾル吸引器用の制御装置であって、
前記アナログデジタル変換器に入力される前記電圧センサの出力を増幅する増幅器をさらに備え、
前記増幅器は、前記電圧センサの出力を前記アナログデジタル変換器へ入力する回路において、前記クランプ回路より上流側に設けられる、エアロゾル吸引器用の制御装置。
【0187】
(16)によれば、増幅器がクランプ回路の上流側にあるので、アナログデジタル変換器へ入力される電圧信号が、増幅器によって増幅された場合であっても基準電圧より高くなることを防止できる。換言すれば、アナログデジタル変換器を保護できる。
【0188】
(17) エアロゾル生成源(エアロゾル源22、香味源31)を加熱し且つステンレス鋼又は200[ppm/℃]以上の抵抗温度係数を有するニクロムにより構成される負荷(負荷21)を備えるエアロゾル吸引器(エアロゾル吸引器1)であって、
前記負荷に印加される電圧値を出力する電圧センサ(負荷電圧センサ17)と、
前記負荷に対して直列接続される既知抵抗(シャント抵抗器70)と、
前記電圧センサの出力に基づいて、前記負荷の温度を取得する制御回路(制御回路50)と、
をさらに備える、エアロゾル吸引器。
【0189】
(17)によれば、既知抵抗と直列接続される負荷がステンレス鋼又は200[ppm/℃]以上の抵抗温度係数を有するニクロムにより構成され、該負荷に印加される電圧値を出力する電圧センサの出力に基づいて制御装置が負荷の温度を取得するので、負荷の温度の分解能を小さくでき、負荷の温度を適切な精度で取得できる。
【0190】
(18) (17)に記載のエアロゾル吸引器であって、
前記既知抵抗は、10[Ω]以上の電気抵抗値を有する、エアロゾル吸引器。
【0191】
(18)によれば、既知抵抗が10[Ω]以上の電気抵抗値を有するので、調達が容易な抵抗器により既知抵抗を実現できる。
【0192】
(19) (17)に記載のエアロゾル吸引器であって、
前記既知抵抗は、25[Ω]以上の電気抵抗値を有する、エアロゾル吸引器。
【0193】
(19)によれば、既知抵抗が25[Ω]以上の電気抵抗値を有するので、負荷の温度を取得する際に、既知抵抗により発生するジュール熱による負荷の温度の精度低下を抑制でき、負荷の温度を適切な精度で取得できる。
【0194】
(20) (17)に記載のエアロゾル吸引器であって、
前記既知抵抗は、前記既知抵抗と前記負荷とにより形成される直列回路に電力が供給された場合の前記既知抵抗の消費電力が、前記既知抵抗の定格電力以下になる電気抵抗値を有する、エアロゾル吸引器。
【0195】
(20)によれば、既知抵抗が、直列回路に電力が供給された場合の既知抵抗の消費電力が、既知抵抗の定格電力以下になる電気抵抗値を有するので、負荷の温度を取得する際の既知抵抗の発熱や破損を抑制できる。
【解決手段】エアロゾル生成源を加熱し且つ温度と電気抵抗値が相関を持つ負荷21を備えるエアロゾル吸引器1の制御装置の一例である電源ユニット10は、負荷21に印加される電圧値を出力する負荷電圧センサ17と、負荷21に対して直列接続されるシャント抵抗器70と、負荷電圧センサ17の出力に基づいて、負荷21の温度を取得する制御回路50とを備える。そして、制御回路50が負荷電圧センサ17の出力に基づき取得する負荷の温度Tの分解能が10[℃]以下となるように構成される。