(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816265
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】電子タバコ及びそのアトマイザー
(51)【国際特許分類】
A24F 40/44 20200101AFI20210107BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20210107BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20210107BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20210107BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20210107BHJP
【FI】
A24F40/44
A24F40/42
A24F40/46
A24F40/10
A24F47/00
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-514271(P2019-514271)
(86)(22)【出願日】2017年12月11日
(65)【公表番号】特表2020-505904(P2020-505904A)
(43)【公表日】2020年2月27日
(86)【国際出願番号】CN2017115486
(87)【国際公開番号】WO2019113747
(87)【国際公開日】20190620
【審査請求日】2019年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】潘 衛東
【審査官】
大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第106820271(CN,A)
【文献】
特開平07−113469(JP,A)
【文献】
中国実用新案第205695694(CN,U)
【文献】
中国実用新案第204409592(CN,U)
【文献】
中国特許出願公開第104824853(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00−47/00
A61M15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化液を収容するための液体貯留チャンバーを備え、前記液体貯留チャンバーと連通する開口が形成された開口端を有する液体貯留器と、
前記開口端に設けられた導液部と霧化面に形成された発熱体とを備え、前記導液部は、前記液体貯留チャンバー内に対向する吸液面、及び前記液体貯留チャンバーの外に位置する霧化面を有し、前記液体貯留チャンバーにおける霧化液を前記霧化面に伝達可能であり、前記発熱体は、前記霧化面に伝達された霧化液を霧化するように構成されており、前記吸液面には前記液体貯留チャンバーと連通する凹溝が形成されており、前記凹溝は、前記液体貯留チャンバーから流入した前記霧化液で満たされるように構成されており、前記凹溝の底壁から前記霧化面までの霧化液の最小伝達距離は、前記吸液面から前記霧化面までの霧化液の最小伝達距離よりも小さい発熱アセンブリと、を含むことを特徴とするアトマイザー。
【請求項2】
前記吸液面及び前記霧化面は、それぞれ前記導液部の対向する両側に位置しており、前記導液部は、前記吸液面と前記霧化面とを接続する側面をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項3】
前記凹溝は、前記吸液面から前記霧化面に向かう方向に延びていることを特徴とする請求項2に記載のアトマイザー。
【請求項4】
前記凹溝の底壁と前記霧化面との間の最小伝達距離は、前記凹溝の深さよりも小さいことを特徴とする請求項3に記載のアトマイザー。
【請求項5】
前記凹溝の断面積は、前記吸液面から前記霧化面に向かう方向に沿って徐々に減少することを特徴とする請求項3に記載のアトマイザー。
【請求項6】
前記凹溝の底壁は、前記霧化面と平行であることを特徴とする請求項3に記載のアトマイザー。
【請求項7】
前記導液部は、多孔質体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアトマイザー。
【請求項8】
前記導液部は、多孔質セラミックであることを特徴とする請求項7に記載のアトマイザー。
【請求項9】
前記発熱体は、発熱コーティング、発熱回路、発熱チップ、又は発熱ネットであることを特徴とする請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項10】
前記発熱アセンブリは、シール部材をさらに備え、前記シール部材は、前記液体貯留器における霧化液が前記導液部を経由せずに直接流出することを防止するように、前記導液部と前記液体貯留器との間に少なく部分的に位置していることを特徴とする請求項2に記載のアトマイザー。
【請求項11】
前記導液部における前記吸液面に接近する側端は、前記液体貯留器の開口内に伸びており、前記シール部材は、前記導液部の側面を覆うように設けられたシール本体を備えることを特徴とする請求項10に記載のアトマイザー。
【請求項12】
前記シール部材は、前記シール本体における前記吸液面側の端部に形成された第1の係合部と、前記シール本体における前記霧化面側の端部に形成された第2の係合部とをさらに備え、前記第1の係合部と前記第2の係合部とは、それぞれ前記導液部の両端に係合していることを特徴とする請求項11に記載のアトマイザー。
【請求項13】
前記第1の係合部及び前記第2の係合部は、いずれも前記シール本体の内壁に形成されていることを特徴とする請求項12に記載のアトマイザー。
【請求項14】
前記シール部材は、前記シール本体の外壁における前記霧化面側の端部に形成された第3の係合部をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載のアトマイザー。
【請求項15】
前記シール部材は、前記シール本体の外壁における前記吸液面側の端部に形成されたシールリングをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載のアトマイザー。
【請求項16】
前記シール部材は、一体構造であることを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載のアトマイザー。
【請求項17】
前記液体貯留器の内壁には、補強リブが設けられ、前記補強リブは、前記液体貯留チャンバー内に位置する前記発熱アセンブリの側端に当接可能であることを特徴とする請求項11に記載のアトマイザー。
【請求項18】
吸気口及び排気口が形成されたハウジングをさらに含み、前記発熱アセンブリ及び前記液体貯留器は、いずれも前記ハウジングに収容されており、前記発熱アセンブリは、前記吸気口に接近して配置されており、前記ハウジングと前記液体貯留器との間には、前記吸気口と前記排気口とを連通する空気流路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項19】
前記発熱アセンブリは、シール部材をさらに備え、前記シール部材は、前記液体貯留器における霧化液が前記導液部を経由せずに直接流出することを防止するように、前記導液部と前記液体貯留器との間に少なく部分的に位置しており、
前記シール部材には第1の切欠きが設けられ、前記開口端には第2の切欠きが設けられ、前記第1の切欠き及び前記第2の切欠きは、前記吸気口及び前記空気流路と連通していることを特徴とする請求項18に記載のアトマイザー。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載のアトマイザーと、
筐体、前記筐体に収容された電池、及び前記筐体に取り付けられ且つ前記電池と前記発熱体にそれぞれ電気的に接続されたポゴピンを備える電池装置と、を含むことを特徴とする電子タバコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙具の技術分野に関し、特に電子タバコ及びそのアトマイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコは、VAPEとも呼ばれ、タバコの代用品として禁煙によく使用されている。電子タバコは、タバコと似たような外観及び味を有するが、タバコにおけるタール、浮遊微粒子などの有害成分を含まないので、使用者にとても人気がある。
【0003】
アトマイザーは、電子タバコにおける重要な部品であり、霧化液を貯留、霧化するために用いられる。従来の電子タバコでは、アトマイザーの構造が比較的複雑であり、組み立てに時間や手間がかかる。
【発明の概要】
【0004】
そこで、構造が簡単で組立てに便利な電子タバコ及びそのアトマイザーを提供する必要がある。
【0005】
アトマイザーは、
霧化液を収容するための液体貯留チャンバーを備え、前記液体貯留チャンバーと連通する開口が形成された開口端を有する液体貯留器と、
前記開口端に設けられた導液部と前記霧化面に形成された発熱体とを備え、前記導液部は、前記液体貯留チャンバー内に対向する吸液面、及び前記液体貯留チャンバーの外に位置する霧化面を有し、前記液体貯留チャンバーにおける霧化液を前記霧化面に伝達可能であり、前記発熱体は、前記霧化面に伝達された霧化液を霧化するように構成されており、前記吸液面には凹溝が形成されており、前記凹溝の底壁から前記霧化面までの霧化液の最小伝達距離は、前記吸液面から前記霧化面までの霧化液の最小伝達距離よりも小さい発熱アセンブリと、を含む。
【0006】
電子タバコは、
前記アトマイザーと、
筐体、前記筐体に収容された電池、及び前記筐体に取り付けられ且つ前記電池と前記発熱体にそれぞれ電気的に接続されたポゴピンを備える電池装置と、を含む。
【0007】
以下、本発明の1つ又は複数の実施例の詳細について、添付図面を参照しながら説明する。本発明の他の特徴、目的及び長所は、明細書、添付図面及び特許請求の範囲により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下、本発明の実施例又は従来技術における技術的構成をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明に必要な図面について簡単に述べる。下記の説明に係る図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な努力なしにこれらの図面により他の図面を想到し得ることは明らかである。
【0009】
【
図1】
図1は、一実施例に係る電子タバコの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電子タバコにおけるアトマイザーの分解立体図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す電子タバコにおけるアトマイザーの断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す電子タバコにおけるアトマイザーの別の断面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すアトマイザーにおける発熱アセンブリの断面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す電子タバコにおける電池装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を容易に理解するために、添付図面を参照して本発明をより十分に説明する。添付図面では、本発明の好ましい実施例が示されている。しかしながら、本発明は、本明細書に記載の実施例に限定されず、多くの異なる形態で具現化することができる。むしろ、これらの実施例は、本発明の開示をより徹底的かつ包括的にするように提供されている。
【0011】
本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、別段の明記がない限り、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する列挙された項目のうちの任意及び全ての組合せを含む。
【0012】
図1に示すように、一実施形態に係る電子タバコ10は、アトマイザー100と電池装置300とを含む。電池装置300は、アトマイザー100に接続され、アトマイザー100に電力を供給するために用いられる。
【0013】
図2、
図3及び
図4を参照すると、アトマイザー100は、液体貯留器120と発熱アセンブリ130とを含む。液体貯留器120は、霧化液を収容するための液体貯留チャンバー122を備え、液体貯留チャンバー122と連通する開口が形成された開口端121を有する。液体貯留器120は、チューブ状、立方体状、球状などの霧化液を収容可能な中空構造であってもよい。発熱アセンブリ130は、液体貯留器120に接続され、液体貯留チャンバー122に貯留された霧化液を吸い取って霧化するように構成されている。
【0014】
発熱アセンブリ130は、導液部131と発熱体132とを備える。導液部131は開口端121に設けられ、導液部131は液体貯留チャンバー122内に対向する吸液面131aと、液体貯留チャンバー122の外に位置する霧化面131bとを有し、導液部131は液体貯留チャンバー122における霧化液を霧化面131bに伝達可能である。発熱体132は霧化面131bに形成され、発熱体132は霧化面131bに伝達された霧化液を霧化するように構成されており、このように、喫煙用の霧化気体が得られる。
【0015】
さらに、吸液面131aには、凹溝131cが形成されている。凹溝131cの底壁から霧化面131bまでの霧化液の最小伝達距離は、吸液面131aから霧化面131bまでの霧化液の最小伝達距離よりも小さい。本実施例において、導液部131は任意の形状になってもよく、吸液面131a及び霧化面131bは平面又は曲面であってもよい。また、吸液面131aと霧化面131bとは、平行に配置されてもよく、一定の角度をなすように配置されてもよい。吸液面131aに凹溝131cが形成されていない場合、吸液面131aから霧化面131bまで、霧化液が必ず最小伝達距離を有する一方、吸液面131aに凹溝131cが形成されると、凹溝131cの底壁と霧化面131bとの間に別の最小伝達距離が形成される。凹溝131cの底壁から霧化面131bまでの霧化液の最小伝達距離は、さらに、吸液面131aから霧化面131bまでの霧化液の最小伝達距離よりも小さいため、霧化液が凹溝131cに速やかに入り込み、かつ沿凹溝131cの底壁と霧化面131bとの間に形成された最小伝達経路に沿って輸送される。このように、霧化液の伝達距離が短くなり、霧化液の輸送中に受ける抵抗が小さくなり、導液部131の導液効率が向上する。一方、吸液面131aに凹溝131cが形成されていない場合に比べて、吸液面131aに凹溝131cが形成される場合に導液部131と霧化液との接触面積が大きくなるため、霧化液の排出を容易にし、かつ液体貯留チャンバー122の体積を増大させ、液体貯留チャンバー122の貯液量を増加させる。
【0016】
図5に示すように、一実施例において、吸液面131a及び霧化面131bは、それぞれ導液部131の対向する両側に位置しており、導液部131は、吸液面131aと霧化面131bとを接続する側面131dをさらに含む。本実施例において、導液部131は、柱状構造に形成され、導液部131における対向する両端面がそれぞれ吸液面131a及び霧化面131bになり、かつ、吸液面131aと霧化面131bとが平行に配置されている。この場合、吸液面131aと霧化面131bとの間の最小伝達距離d
1は、吸液面131aと霧化面131bとの間の垂直距離である。吸液面131aと霧化面131bとの間に側面を設けることにより、導液部131は一定の厚さを有する。
【0017】
一実施例において、凹溝131cは、吸液面131aから霧化面131bに向かう方向に延びている。凹溝131cの底壁は、曲面であってもよく、霧化面131bと平行である平面、又は霧化面131bと一定の角度をなす平面などの任意の形状であってもよい。凹溝131cの底壁の形状に関わらず、凹溝131cは、霧化面131bに対して垂直な直線方向に沿って延びるように霧化面131bに接近する。この場合、凹溝131cに沿った霧化液の流路が直線状であり、このような構成により、凹溝131cが湾曲状であるときに、凹溝131cに沿った霧化液の流路が長すぎることに起因する霧化液への抵抗が比較的大きいという問題を防止できるため、凹溝131cに沿った霧化液の流路を短縮し、霧化液に加える抵抗を低減し、霧化液の輸送効率を向上することができる。一方、凹溝131cの深さd
2は、凹溝131cの底壁における吸液面131aより最も遠い位置から吸液面131aまでの距離であり、凹溝131cの底壁から霧化面131bまでの最小伝達距離d
3は、凹溝131cの底壁における距離吸液面131aより最も遠い位置から霧化面131bまでの距離である。霧化液が凹溝131cに入った後、凹溝131cの底壁における吸液面131aより最も遠い位置から霧化面131bに導かれる。
【0018】
さらに、一実施例において、凹溝131cの底壁と霧化面131bとの間の最小伝達距離は、凹溝131cの深さよりも小さい。このような構成により、凹溝131cの底壁と霧化面131bとの間の最小伝達距離d
3は、凹溝131cの深さd
2よりもさらに小さくすることができる。導液部131の厚さが一定の場合、凹溝131cの深さd
2を増大させることにより凹溝131cの底壁と霧化面131bとの間の最小伝達距離d
3を減少することができる。このように、霧化液は、霧化面131bに最も近い凹溝131cの底壁における位置にできるだけ速やかに流れることができ、比較的小さい抵抗によって凹溝131cの底壁と霧化面131bとの間の最小伝達距離d
3を通って霧化面131bに伝達することができ、導液部131の導液効率を向上させる。
【0019】
一実施例において、凹溝131cの断面積は、吸液面131aから霧化面131bに向かう方向に沿って徐々に減少する。このように、凹溝131cの吸液面131aにおける開口が大きくなり、霧化液が凹溝131c内にスムーズに入り込むことを可能にし、凹溝131cの開口において形成された薄膜による凹溝131cに沿う霧化液の流れへの妨害を防止することができる。ここで、凹溝131cは、階段状をなしてもよく、錐状又は錐台状をなしてもよい。
【0020】
一実施例において、凹溝131cの底壁は、霧化面131bと平行である。この場合、凹溝131cの底壁と霧化面131bとの間の最小伝達距離は、凹溝131cの底壁と霧化面131bとの間の距離であり、霧化液が凹溝131cの底壁における各々の位置から最小伝達距離で霧化面131bに伝達することができ、導液部131の導液効率をさらに向上させる。
【0021】
一実施例において、導液部131は、多孔質体である。導液部131に複数の微細孔が設けられ、霧化液が微細孔に沿って流れて霧化面131bに伝達することができる。微細孔の孔径は、霧化液の種類によって調整することができる。例えば、霧化液の粘度が大きい場合、適切な導液部131の導液効果を得るように、孔径の大きい導液部131を選択することができる。さらに、一実施例において、導液部131は、多孔質セラミックである。
【0022】
一実施例において、発熱体132は、発熱コーティング、発熱回路、発熱チップ、又は発熱ネットであってもよい。ここで、発熱コーティングは、霧化面131bに塗布され得る。発熱回路は、霧化面131bにメッキされ得る。発熱チップ、発熱ネットは、他の補助的な取り付け手段により霧化面131bに取り付けされ得る。発熱体132は、薄層構造であり、霧化面131bを均一に加熱するように霧化面131bに対向することができる。したがって、霧化温度が均一になり、局所的な低い温度による霧化粒子の増大をもたらず、霧化粒子の均一性を効果的に保証し、電子タバコの風味を改善することができる。一方、発熱体132と霧化液との接触面積が大きくなるため、霧化効率を向上させる。
【0023】
図2〜5を参照すると、一実施例において、発熱アセンブリ130は、シール部材133をさらに備える。シール部材133は、液体貯留器120における霧化液が導液部131を経由せずに直接流出することを防止するように、導液部131と液体貯留器120との間に少なくとも部分的に位置している。シール部材133のシール作用により、液体貯留器120における霧化液は、吸液面131aと霧化面131bとの間の伝達経路に沿ってのみ導出することになる。また、導液部131は、シール部材133の設置要件を満たすために一定の厚さを有する必要がある。吸液面131aに凹溝131cを設けることにより、導液部131が厚さ要件を満たすだけでなく、導液効率の要求も満たすことができる。
【0024】
さらに、一実施例において、導液部131における吸液面131aに接近する側端は、液体貯留器120の開口内に伸びている。シール部材133は、シール本体133aを備える。シール本体133aは、導液部131の側面131dを覆うように設けられ、かつ、導液部131と液体貯留器120内壁との間の間隙を封止するように液体貯留器120の内壁に当接している。
【0025】
一実施例において、シール部材133は、第1の係合部133b及び第2の係合部133cをさらに備える。第1の係合部133bは、シール本体133aにおける吸液面131a側の端部に設けられており、第2の係合部133cは、シール本体133aにおける霧化面131b側の端部に設けられている。第1の係合部133bと第2の係合部133cとは、導液部131の両端にそれぞれ係合している。このように、導液部131とシール部材133との相対的な取り付けを規制することにより、導液部131及びシール部材133の取り付けを容易にするだけでなく、導液部131とシール部材133との分離を防止し、シール本体133aの効果的な密封を保証することができる。さらに、一実施例において、第1の係合部133b及び第2の係合部133cは、いずれもシール本体133aの内壁に形成されている。導液部131の側壁131dには、ボス部131eが形成されている。導液部131の位置を規制するように、第1の係合部133bはボス部131eに当接しており、第2の係合部133cは霧化面131bに当接している。
【0026】
一実施例において、シール部材133は、第3の係合部133dをさらに備える。第3の係合部133dはシール本体133aの外壁における霧化面131b側の端部に形成され、第3の係合部133dは液体貯留器120の開口端121の端面に当接している。第3の係合部133dを設けることにより、液体貯留器120の開口における発熱アセンブリ130の取り付けを規制し、シール部材133及び導液部131が液体貯留器120の開口内に深く入り過ぎることを防止し、発熱アセンブリ130及び液体貯留器120の組み立てを容易にすることができる。
【0027】
一実施例において、シール部材133は、シールリング133eをさらに備える。シールリング133eは、シール本体133aの外壁における吸液面131a側の端部に形成されている。シールリング133eは、液体貯留器120の内壁にしっかりと当接して、導液部131と液体貯留器120との間の密封性を向上することができる。
【0028】
一実施例において、シール部材133は一体構造である。シール本体133aと、第1の係合部133bと、第2の係合部133cと、第3の係合部133dと、シールリング133eとは、一体成形されている。シール部材133は、シリコーン材料からなってもよく、封止・断熱機能を有する他の材料からなってもよい。シール部材133は導液部131を包み込むことにより、霧化液の不必要な揮発を低減できると同時に断熱効果を有する。シリコーン材料は、さらに、導液部131と他の部材との間の硬い接触(hard contact)を防止することができ、導液部131の損傷を防止することができる。
【0029】
図2〜4を参照すると、一実施例において、導液部131における吸液面131aに接近する側端は、液体貯留器120の開口内に伸びている。液体貯留器120の内壁には、補強リブ124が設けられ、補強リブ124は、液体貯留チャンバー122内に位置する発熱アセンブリ130の側端に当接可能である。さらに、補強リブ124は、導液部131の吸液面131aに当接して、液体貯留器120に伸びる導液部131の深さを制限することができる。或いは、シール本体133aが導液部131の側面131dを覆うように設けられ、かつ液体貯留器120の内壁に当接している場合、補強リブ124は、液体貯留器120に伸びるシール部材133の深さを制限するように、シール部材133における吸液面131a側の端部に当接することができる。或いは、補強リブ124は、液体貯留器120に伸びる発熱アセンブリ130の深さを制限するように、導液部131の吸液面131aとシール部材133の端面に同時に当接することができる。一実施例において、補強リブ124は複数設けられ、複数の補強リブ124は、液体貯留チャンバー122内に位置する発熱アセンブリ130の端部に均一な力を加えるように、液体貯留器120の周壁面に沿って均一に配置されている。
【0030】
一実施例において、アトマイザー100は、ハウジング110をさらに含む。ハウジング110には、吸気口111及び排気口112が形成されており、発熱アセンブリ130及び液体貯留器120は、いずれもハウジング110に収容されている。発熱アセンブリ130は、吸気口111に接近して配置されており、ハウジング110と液体貯留器120との間には、吸気口111と排気口112とを連通する空気流路が有する。気流は、吸気口111から流入可能であり、発熱体132によって霧化された霧化気体は、喫煙のために気流とともに空気流路を経由して排気口112から排出される。
【0031】
さらに、一実施例において、液体貯留器120は、長い管状構造をなしており、液体貯留器120がハウジング110内に容易に収容可能なように、液体貯留器120の外壁は、ハウジング110の内壁よりわずかに小さい。液体貯留器120の外壁とハウジング110の内壁との間の間隙は比較的小さく、空気流及び霧化気体の排出に不利である。液体貯留器120の外壁には、縦溝125が設けられており、このように、液体貯留器120とハウジング110との間に空気流路を形成することにより、気流が縦溝125に沿って排気口112に導かれることを容易にする。或いは、縦溝125は、ハウジング110の内壁に設けられても良く、液体貯留器120の外壁とハウジング110の内壁の両方に設けられても良い。さらに、液体貯留器120の外壁には、互いに対向した2つの縦溝125が設けられており、このように、液体貯留器120とハウジング110との間に2つの空気流路を対称的に形成することにより、気体及び霧化気体の流量を増加させ、喫煙の風味を改善する。
【0032】
一実施例において、シール部材133の一部は、液体貯留器120と導液部131との間を封止するように、導液部131と液体貯留器120との間に位置している。また、シール部材133の一部は、ハウジング110の内壁に当接しており、このように、吸気口111から流入したより多くの気流が熱体132に到達して霧化気体と十分に混合可能であり、より多くの霧化気体を排気口112まで運ぶことができる。この場合、シール部材133には第1の切欠き133fが設けられており、液体貯留器120の開口端121には第2の切欠き126が設けられており、第1の切欠き133f及び第2の切欠き126は、吸気口111及び縦溝125と連通している。霧化気体が運ばれた気流は、第1の切欠き133f、第2の切欠き126を経由して縦溝125内に流入し、排気口112を経由して排出する。さらに、第1の切欠き133f及び第2の切欠き126は、それぞれ2つ設けられており、このように、2つの縦溝125が両方とも吸気口111と連通可能である。
【0033】
図1及び
図6を参照すると、一実施例において、電池装置300は、筐体310、電池320、及びポゴピン330を含む。電池320は、筐体310に収容されており、ポゴピン330は、筐体310に取り付けられ、電池320及び発熱体132にそれぞれ電気的に接続されている。
図2及び
図4に示すように、一実施例において、アトマイザー100は、電極140をさらに含み、電極140は、ハウジング110に取り付けられ、発熱体132に電気的に接続されている。ポゴピン330は、電極140によって発熱体132に電力を供給するように、電極140に電気的に接続されている。一実施例において、電池装置300とアトマイザー100との迅速な着脱を実現するために、筐体310はハウジング110と係合している。さらに、
図4及び
図6に示すように、筐体310の一端は、ハウジング110に収容されている。筐体310の外壁には、規制溝311が設けられており、ハウジング110の内壁には、規制溝311内に係止可能な突起部113が設けられており、このように、ハウジング110と筐体310との迅速な接続を実現することができる。また、ハウジング110の一端は、筐体310に収容されてもよい。さらに、ハウジングには吸気切欠き114が設けられており、筐体310とハウジング110との間にはある程度の間隙を有し、このように、吸気通路を形成することができる。吸気通路は、ハウジング110における吸気口111に接続されており、気流は、筐体310とハウジング100との間の吸気通路を通過した後、吸気口111を経由してハウジング110内部に流入する。
【0034】
上述した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができる。説明を簡潔にするために、上記の実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせが説明されていない。しかしながら、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、それは本明細書の範囲にあるものとみなされるべきである。
【0035】
上述した実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示すものであり、その説明が詳細で具体的であるが、本発明の特許請求の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。本発明の思想を逸脱しない範囲において、当業者が、複数の変形及び改良をしても、本発明の保護範囲に属するものであると理解されるべきである。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に基づくものである。