特許第6816286号(P6816286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6816286半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルム及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816286
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/14 20060101AFI20210107BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20210107BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20210107BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210107BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20210107BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20210107BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20210107BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   H01L23/14 M
   C08J5/18CFG
   B32B27/34
   B32B27/00 M
   C08G73/10
   H01L23/14 R
   H01L23/12 501F
   H01L21/60 311S
   H05K1/03 610N
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-532901(P2019-532901)
(86)(22)【出願日】2017年6月29日
(65)【公表番号】特表2019-534578(P2019-534578A)
(43)【公表日】2019年11月28日
(86)【国際出願番号】KR2017006871
(87)【国際公開番号】WO2018043897
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2019年2月26日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0110930
(32)【優先日】2016年8月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519068308
【氏名又は名称】アイピーアイ・テック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IPI TECH INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ケ−ウン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ホ−ヨン・パク
(72)【発明者】
【氏名】テ−ソク・イ
【審査官】 川原 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−001723(JP,A)
【文献】 特開2010−238852(JP,A)
【文献】 特開2016−143741(JP,A)
【文献】 特開2013−110402(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/133114(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0003137(KR,A)
【文献】 特開2012−036401(JP,A)
【文献】 PARK, Soo-Jin et al.,Influence of Surface Treatment of Polyimide Film on Adhension Enhancement between Poliyimide and Metal Films,Bulletin of the Korean Chemical Society,KR,2007年,Vol.28, No.2,pp.188-192
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
C08G 73/10
C08J 5/18
C09J 7/00−7/50
H01L 21/447/21/449
H01L 21/60−21/607
H01L 23/12−23/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非熱可塑性ポリイミド層;
前記非熱可塑性ポリイミド層上に積層され、リフロー工程の温度以下のガラス転移温度を有する熱可塑性ポリイミド層;及び、
前記熱可塑性ポリイミド層上に付着した粘着層;を含み、
前記熱可塑性ポリイミド層の表面は、カルボキシル基で改質処理され
前記熱可塑性ポリイミド層は、
エーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族ジアミンと、エーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族二無水物(aromatic dianhydride)を有機溶媒に合成して製造されたポリアミック酸を用いており、
前記芳香族ジアミンは、
3,3’−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンを含み、
前記芳香族二無水物は、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’−benzophenonetetracarboxylic dianhydride)を含む
ことを特徴とする半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルム。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリイミド層は、
260℃以下のガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項1に記載の半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルム。
【請求項3】
(a)非熱可塑性ポリイミド層を設けるステップ;
(b)前記非熱可塑性ポリイミド層上にリフロー工程の温度以下のガラス転移温度を有しており、表面がカルボキシル基で改質処理された熱可塑性ポリイミド層を付着するステップ;及び、
(c)前記熱可塑性ポリイミド層上に粘着層を付着するステップ;を含み、
前記(b)ステップにおいて、
前記熱可塑性ポリイミド層は、
エーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族ジアミンと、エーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族二無水物(aromatic dianhydride)を有機溶媒に合成してポリアミック酸を製造することによって、260℃以下のガラス転移温度を有し、
前記芳香族ジアミンは、
3,3’−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンを含み、
前記芳香族二無水物は、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’−benzophenonetetracarboxylic dianhydride)を含む
ことを特徴とする半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリイミド層は、
前記ポリアミック酸にKOHを添加して、300〜400℃で熱処理することによって、表面がカルボキシル基で改質処理されたことを特徴とする、請求項に記載の半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記KOHは、
前記ポリアミック酸100重量部に対し、0.5〜3重量部で添加することを特徴とする、請求項に記載の半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミドフィルム及びその製造方法に関し、より詳細には、リフロー工程の温度以下のガラス転移温度を有する熱可塑性ポリイミド層の適用により、リフロー工程を完了した後、半導体チップの脱着に対する容易性を確保できる半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルムは、機械的及び熱的寸法安全性に優れており、化学的安全性を有する特性により電気、電子材料、宇宙、航空及び電気通信分野において広く利用されている。このようなポリイミドフィルムは、部品の軽薄短小化によって微細なパターンを有するフレキシブル回路基板の材料、一例として、TAB(Tape Automated Bonding)やCOF(Chip On Film)等のベースフィルムとして多く用いられている。
【0003】
TAB又はCOF技術は、ICチップやLSIチップを密封する技術の一種であり、具体的には、フレキシブルテープ上に伝導性パターンを作り、その上にチップを実装して密封する技術であって、パッケージ化された密封素子の大きさが小さく、可撓性を有しており、製品の軽薄短小化に有利である。
【0004】
ポリイミドフィルムをTABやCOF用ベースフィルムとして用いるためには、高い寸法安全性が求められる。
【0005】
特に、半導体パッケージを製造する際、半導体チップを基板と電気的に連結するために必ず半田付けリフロー(Reflow)工程を経ることになるが、この場合、ポリイミドフィルムがリフロー工程の温度である約260℃近くに露出する。
【0006】
このとき、従来のポリイミドフィルムは、基材フィルム上に熱可塑性ポリイミド層及び粘着層が順に積層される構造を有する。通常、従来のポリイミドフィルムは、基材フィルムと粘着層との間に介する熱可塑性ポリイミド層であって、リフロー工程の温度以上、約300℃以上のガラス転移温度を有するものを用いているが、この場合、リフロー工程を完了した後、半導体チップに対する脱着が容易ではないという問題があった。
【0007】
関連する先行文献としては、韓国公開特許公報第10−2014−0084095号(2014年7月4日に公開)があり、同文献にはリフローフィルム、半田バンプ形成方法、半田接合形成方法及び半導体装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、リフロー工程の温度以下のガラス転移温度を有する熱可塑性ポリイミド層の適用により、リフロー工程を完了した後、半導体チップの脱着に対する容易性を確保できる半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルム及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムは、非熱可塑性ポリイミド層;前記非熱可塑性ポリイミド層上に積層され、リフロー工程の温度以下のガラス転移温度を有する熱可塑性ポリイミド層;及び前記熱可塑性ポリイミド層上に付着した粘着層;を含み、前記熱可塑性ポリイミド層の表面は、カルボキシル基で改質処理されたことを特徴とする。
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムの製造方法は、(a)非熱可塑性ポリイミド層を設けるステップ;(b)前記非熱可塑性ポリイミド層上にリフロー工程の温度以下のガラス転移温度を有しており、表面がカルボキシル基で改質処理された熱可塑性ポリイミド層を付着するステップ;及び(c)前記熱可塑性ポリイミド層上に粘着層を付着するステップ;を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルム及びその製造方法は、熱可塑性ポリイミド層としてエーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族ジアミンと、エーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族二無水物(aromatic dianhydride)を有機溶媒に合成して製造されたポリアミック酸を用いることで、熱可塑性ポリイミド層が260℃以下の低いガラス転移温度を有することになる。
【0012】
この結果、本発明による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルム及びその製造方法は、260℃以下のガラス転移温度を有する熱可塑性ポリイミド層を適用することによって、リフロー工程を完了した後、離型性を確保して半導体チップとの脱着が容易になる。
【0013】
また、本発明による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルム及びその製造方法は、表面がカルボキシル基で改質処理された熱可塑性ポリイミド層を適用することによって、表面の改質による活性化でカルボキシル基によって熱可塑性ポリイミド層と粘着層との間の接着力が向上し、優れた接合信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムを示した断面図。
図2】本発明の実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムの製造方法を示した工程手順図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、異なる様々な形態に具現されるものであり、但し、本実施例は、本発明の開示を完全にして、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。全明細書における同じ参照符号は、同じ構成要素を称する。
【0016】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルム及びその製造方法について詳説すれば、次のとおりである。
【0017】
図1は、本発明の実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムを示した断面図である。
【0018】
図1を参照すれば、本発明の実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルム100は、非熱可塑性ポリイミド層120、熱可塑性ポリイミド層140及び粘着層160を含む。
【0019】
非熱可塑性ポリイミド層120は、ポリイミドフィルム100の最下部に配置される。このとき、非熱可塑性ポリイミド層120は、半導体パッケージのリフロー工程の温度である約260℃以上の温度に耐えるために用いられ、熱硬化性ポリイミドであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0020】
熱可塑性ポリイミド層140は、非熱可塑性ポリイミド層120上に積層され、リフロー工程の温度以下のガラス転移温度を有する。このとき、熱可塑性ポリイミド層140の表面は、カルボキシル基(carboxyl group)で改質処理される。
【0021】
このとき、熱可塑性ポリイミド層140は、リフロー工程の温度以下、より好ましくは、260℃以下のガラス転移温度を有するものが良い。
【0022】
このように、熱可塑性ポリイミド層140として260℃以下のガラス転移温度を有するものを用いることになれば、リフロー工程の際には、熱可塑性ポリイミド層140が溶けて、ゴムのように柔軟性を有することによって、粘着層160との接着力を向上させることができ、リフロー工程を完了した後には、堅い状態を維持するようになるため、離型性が向上し、半導体チップ(未図示)との脱着が容易になる。
【0023】
このため、熱可塑性ポリイミド層140は、エーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族ジアミンと、エーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族二無水物(aromatic dianhydride)を有機溶媒に合成して製造されたポリアミック酸を用いることが好ましい。
【0024】
このとき、芳香族ジアミンは、下記の化1で表される3,3’−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンを含む。
【0025】
【化1】
【0026】
また、芳香族二無水物は、下記の化2で表される3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’−benzophenonetetracarboxylic dianhydride)を含む。
【0027】
【化2】
【0028】
また、有機溶媒は、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、トルエン、ジメチルスルホキシド(Dimethyl Sulfoxide:DMSO)、乳酸エチル(Ethyl Lactate;EL)等から選択された1種以上を用いることができるが、これに制限されるものではない。
【0029】
前述したように、本発明では、熱可塑性ポリイミド層140としてエーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族ジアミンと、エーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族二無水物(aromatic dianhydride)を有機溶媒に合成して製造されたポリアミック酸を用いることで、熱可塑性ポリイミド層140が260℃以下の低いガラス転移温度を有することになる。
【0030】
また、本発明のように、熱可塑性ポリイミド層140として表面がカルボキシル基で改質処理されたものを用いることになれば、カルボキシル基によって熱可塑性ポリイミド層140と粘着層160との間の接着力を向上させることができるようになる。
【0031】
このような熱可塑性ポリイミド層140は、ポリアミック酸にKOHを少量添加した後、300〜400℃で熱処理を行うことになれば、下記の反応式1のように、表面がカルボキシル基で改質処理される。言い換えれば、ポリアミック酸は、300〜400℃の熱処理過程を経ることによってイミド化反応が起こり、ポリイミドとなる。
【0032】
[反応式1]
【0033】
このとき、KOHは、ポリアミック酸100重量部に対し、0.5〜3重量部の含量比で添加されることが好ましい。KOHの添加量がポリアミック酸100重量部に対し、0.5重量部未満である場合には、表面の改質処理の効果を十分に発揮することは困難であり得る。逆に、KOHの添加量がポリアミック酸100重量部に対し、3重量部を超える場合には、KOHの過量添加によってポリアミック酸又はポリイミドのイミド構造が崩れ、ポリイミドの物理的及び化学性物性が低下する問題があるため、好ましくない。
【0034】
粘着層160は、熱可塑性ポリイミド層140上に付着する。このような粘着層160は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリビニルエーテル等の各種粘着剤を用いることができる。この中でも、半導体チップに対する接着性及び剥離後の洗浄性等を考慮するとき、(メタ)アクリル系重合体をベース重合体とする(メタ)アクリル系粘着剤がより好ましい。
【0035】
前述した本発明の実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムは、熱可塑性ポリイミド層としてエーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族ジアミンと、エーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族二無水物(aromatic dianhydride)を有機溶媒に合成して製造されたポリアミック酸を用いることで、熱可塑性ポリイミド層が260℃以下の低いガラス転移温度を有することになる。
【0036】
この結果、本発明の実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムは、260℃以下のガラス転移温度を有する熱可塑性ポリイミド層を適用することによって、リフロー工程を完了した後、離型性を確保して半導体チップとの脱着が容易になる。
【0037】
また、本発明の実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムは、表面がカルボキシル基で改質処理された熱可塑性ポリイミド層を適用することによって、表面の改質による活性化でカルボキシル基によって熱可塑性ポリイミド層と粘着層との間の接着力が向上し、優れた接合信頼性を確保することができる。
【0038】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムの製造方法について説明する。
【0039】
図2は、本発明の実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムの製造方法を示した工程手順図である。
【0040】
図2を参照すれば、本発明の実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムの製造方法は、非熱可塑性ポリイミド層を設けるステップ(S110)、非熱可塑性ポリイミド層上に熱可塑性ポリイミド層を付着するステップ(S120)及び熱可塑性ポリイミド層上に粘着層を付着するステップ(S130)を含む。
【0041】
非熱可塑性ポリイミド層設け
非熱可塑性ポリイミド層を設けるステップ(S110)では、非熱可塑性ポリイミド層を設ける。このような非熱可塑性ポリイミド層は、ポリイミドフィルムの最下部に配置される。このとき、非熱可塑性ポリイミド層は、半導体パッケージのリフロー工程の温度である約260℃以上の温度に耐えるために用いられ、熱硬化性ポリイミドであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0042】
非熱可塑性ポリイミド層上に熱可塑性ポリイミド層付着
非熱可塑性ポリイミド層上に熱可塑性ポリイミド層を付着するステップ(S120)では、非熱可塑性ポリイミド層上にリフロー工程の温度以下のガラス転移温度を有しており、表面がカルボキシル基で改質処理された熱可塑性ポリイミド層を付着する。
【0043】
このとき、熱可塑性ポリイミド層は、リフロー工程の温度以下、より好ましくは、260℃以下のガラス転移温度を有するものが良い。
【0044】
このように、熱可塑性ポリイミド層として260℃以下のガラス転移温度を有するものを用いることになれば、リフロー工程の際には、熱可塑性ポリイミド層が溶けて、ゴムのように柔軟性を有することによって、粘着層との接着力を向上させることができ、リフロー工程を完了した後には、堅い状態を維持するようになるため、離型性が向上し、半導体チップとの脱着が容易になる。
【0045】
このため、熱可塑性ポリイミド層は、エーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族ジアミンと、エーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族二無水物(aromatic dianhydride)を有機溶媒に合成して製造されたポリアミック酸を用いることが好ましい。
【0046】
このとき、芳香族ジアミンは、3,3’−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンを含む。
【0047】
また、芳香族二無水物は、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’−benzophenonetetracarboxylic dianhydride)を含む。
【0048】
また、有機溶媒は、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、トルエン、ジメチルスルホキシド(Dimethyl Sulfoxide:DMSO)、乳酸エチル(Ethyl Lactate;EL)等から選択された1種以上を用いることができるが、これに制限されるものではない。
【0049】
また、本発明のように、熱可塑性ポリイミド層として表面がカルボキシル基で改質処理されたものを用いることになれば、カルボキシル基によって熱可塑性ポリイミド層と粘着層との間の接着力を向上させることができるようになる。
【0050】
このような熱可塑性ポリイミド層は、ポリアミック酸にKOHを少量添加した後、300〜400℃で熱処理を行うことになれば、下記の反応式1のように、表面がカルボキシル基で改質処理される。言い換えれば、ポリアミック酸は、300〜400℃の熱処理過程を経ることによってイミド化反応が起こり、ポリイミドになる。
【0051】
[反応式1]
【0052】
このとき、KOHは、ポリアミック酸100重量部に対し、0.5〜3重量部の含量比で添加されることが好ましい。KOHの添加量がポリアミック酸100重量部に対し、0.5重量部未満である場合には、表面の改質処理の効果を十分に発揮することは困難であり得る。逆に、KOHの添加量がポリアミック酸100重量部に対し、3重量部を超える場合には、KOHの過量添加によってポリアミック酸又はポリイミドのイミド構造が崩れ、ポリイミドの物理的及び化学性物性が低下する問題があるため、好ましくない。
【0053】
熱可塑性ポリイミド層上に粘着層付着
熱可塑性ポリイミド層上に粘着層を付着するステップ(S130)では、熱可塑性ポリイミド層上に粘着層を付着する。
【0054】
このとき、粘着層は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリビニルエーテル等の各種粘着剤を用いることができる。この中でも、半導体チップに対する接着性及び剥離後の洗浄性等を考慮するとき、(メタ)アクリル系重合体をベース重合体とする (メタ)アクリル系粘着剤がより好ましい。
【0055】
前記過程(S110〜S130)によって製造される本発明の実施例による半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムは、熱可塑性ポリイミド層としてエーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族ジアミンと、エーテル基、ケトン基及びメチル基のうちいずれかを有する芳香族二無水物(aromatic dianhydride)を有機溶媒に合成して製造されたポリアミック酸を用いることで、熱可塑性ポリイミド層が260℃以下の低いガラス転移温度を有することになる。
【0056】
この結果、本発明の実施例による方法で製造される半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムは、260℃以下のガラス転移温度を有する熱可塑性ポリイミド層を適用することによって、リフロー工程を完了した後、離型性を確保して半導体チップとの脱着が容易になる。
【0057】
また、本発明の実施例による方法で製造される半導体パッケージのリフロー工程用ポリイミドフィルムは、表面がカルボキシル基で改質処理された熱可塑性ポリイミド層を適用することによって、表面の改質による活性化でカルボキシル基によって熱可塑性ポリイミド層と粘着層との間の接着力が向上し、優れた接合信頼性を確保することができる。
【0058】
実施例
以下では、本発明を理解するため好ましい実施例を説明する。ところが、下記の実施例は、本発明を例示するだけであり、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは、当業者にとって明白であり、このような変形及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当たり前である。
【0059】
1.ポリイミドフィルム製造
実施例1
3,3’−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン36.6g及び3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物53.4gをNMP410gで重合してポリアミック酸を合成した。
【0060】
次に、ポリアミック酸100重量部に対し、KOHを2重量部添加したポリアミック酸組成物を熱硬化性ポリイミドフィルム上に6μmの厚さに塗布した後、350℃で熱処理して、表面がカルボキシル基で改質された熱可塑性ポリイミドフィルムを形成した。
【0061】
次に、熱可塑性ポリイミドフィルム上にアクリル系粘着フィルムを付着して、ポリイミドフィルムを製造した。
【0062】
実施例2
ポリアミック酸100重量部に対し、KOHを1.5重量部添加した後、340℃で熱処理したことを除いては、実施例1と同じ方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0063】
実施例3
ポリアミック酸100重量部に対し、KOHを3.0重量部添加した後、360℃で熱処理したことを除いては、実施例1と同じ方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0064】
比較例1
3,3’−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン36.6g及び3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物53.4gをNMP410gで重合してポリアミック酸を合成した後、ポリアミック酸を熱硬化性ポリイミドフィルム上に6μmの厚さに塗布した後、350℃で熱処理して、熱可塑性ポリイミドフィルムを形成した。
【0065】
次に、熱可塑性ポリイミドフィルム上にアクリル系粘着フィルムを付着して、ポリイミドフィルムを製造した。
【0066】
2.物性評価
表1は、実施例1〜3及び比較例1によって製造されたポリイミドフィルムの物性評価の結果を示したものである。
【0067】
1)ガラス転移温度
TA社のQ400を用いて熱可塑性ポリイミド層のガラス転移温度を測定した。
【0068】
2)接着力
ポリイミドフィルムを100mm(横)×100mm(縦)に切断した後、260℃に500kgfの圧力で圧着加熱した後、IPC650方法に基づいて熱可塑性ポリイミドフィルムと粘着フィルムとの間の接着力を測定した。
【0069】
【表1】
【0070】
表1を参照すれば、実施例1〜3によって製造されたポリイミドフィルムの場合、熱可塑性ポリイミド層のガラス転移温度が196〜203℃に測定されており、いずれも目標値である260℃以下を満すことが確認できる。この結果、実施例1〜3によって製造されたポリイミドフィルムの場合、熱可塑性ポリイミドフィルムと粘着フィルムとの間の接着力が1.3〜1.5kgf/cm に測定されており、優れた接着力を有することを確認した。
【0071】
一方、比較例1によって製造されたポリイミドフィルムの場合、熱可塑性ポリイミド層のガラス転移温度が目標値を超える274℃を有することに起因して、熱可塑性ポリイミドフィルムと接着フィルムとの間の接着力が0.8kgf/cmに過ぎないことを確認した。
【0072】
以上では、本発明の実施例を中心に説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する技術者の水準で多様な変更や変形を加えることができる。このような変更と変形は、本発明が提供する技術思想の範囲を脱しない限り、本発明に属すると言える。従って、本発明の権利範囲は、以下に記載する請求範囲によって判断すべきである。
図1
図2