特許第6816346号(P6816346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816346
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】無線装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/29 20150101AFI20210107BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20210107BHJP
【FI】
   H04B17/29 400
   H04B17/309 200
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-93217(P2015-93217)
(22)【出願日】2015年4月30日
(65)【公開番号】特開2016-213558(P2016-213558A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】洞谷 矩仁
【審査官】 鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−095134(JP,A)
【文献】 特開2013−197900(JP,A)
【文献】 特開2008−022490(JP,A)
【文献】 特表2004−519942(JP,A)
【文献】 特開2008−178135(JP,A)
【文献】 特開2001−358662(JP,A)
【文献】 特開2001−036490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/29
H04B 17/309
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のモードと第2のモードとを切り換えて実行する、スーパヘテロダイン方式に比べて低い中間周波数を用いるLow−IF方式の受信回路を備えた、無線装置であって、
前記第1のモードが設定されると、送信信号として、局部発振周波数信号により中間周波数信号の変調信号に対して変換を行い、変調波を生成し、他の無線装置に送信する無線回路と、
前記第2のモードが設定されると、自装置が送信する前記変調波の周波数と受信帯域の周波数とが重複するように設定して自装置内で送受信を行い、受信した前記変調波の受信信号強度を検出して閾値と比較し、受信信号強度が閾値未満になった場合は前記無線回路の異常と診断し、受信信号強度が閾値以上になった場合は通信環境による異常と診断する制御回路と、を備えたことを特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記送信信号を、設定される前記中間周波数の周波数偏移幅で変調して特定小電力無線における副次的発射強度で送信する送信処理と、前記送信信号に等しい周波数で局部発信を行い前記受信帯域の幅を前記第1のモードに比べて広く設定して受信する受信処理と、を実行することを特徴とする請求項1記載の無線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のモード(通常動作モード)と第2のモード(テストモード)とを切り換え実行する、スーパヘテロダイン方式に比べて低い中間周波数を用いるLow−IF(ロー中間周波数)方式の受信回路を備えた無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパヘテロダイン方式に比べて中間周波数をより低く設定することで、中間周波数変換の段数を減らし、部品点数の削減がはかれるLow−IF(中間周波数)方式の受信回路を備えた無線装置が知られている。この無線装置によれば、ダイレクトコンバージョン方式におけるDCオフセットの問題も解決され、このため、最近の無線装置の受信回路はLow−IF方式によるものが主流になっている。
【0003】
図4に、Low−IF方式の受信回路を備えた無線装置30の代表的な構成がブロック図で示されている。図4に示すように、無線装置30は、送信波を、例えば、429.25[MHz]の受信周波数、±2[kHz]の周波数偏移幅で変調する場合、VCO(Voltage Controlled Oscillator)発振回路39は、429.75[MHz]の局部発振周波数を生成してミキサ34に供給する。このことにより、ミキサ34で受信信号が周波数変換され、429.25[MHz]±2[kHz]の信号は中間周波数500[kHz]±2[kHz]の信号に変換される。
【0004】
この信号が受信側アンプ(アンプ35)で増幅され、後段の受信帯域フィルタ36で、例えば、受信帯域幅6kHzを通過させ不要な成分が除去される。次に、RSSI検出回路37で検波され、信号レベルの受信電界強度値(RSSI:Received Signal Strength Indicator)が出力される。
【0005】
上記した無線装置30が複数接続される、例えば、ガス検針システム等の無線通信システムにおいて、通信エラーが発生した場合、その原因が通信環境悪化によるノイズによるものか、無線装置30が内蔵する無線回路の故障によるものかを切り分けて判断し、対策を練る必要がある。従来、無線装置30が内蔵する無線回路が故障しているか否かを判断するために、例えば、特許文献1に開示されているように、通信機器を持参し、この通信機器との通信によりテストを行う方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−237921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この方法によれば、通信エラーが発生した場合、無線装置30が内蔵する無線回路の故障によるものか、通信環境悪化により発生するノイズによるものかを判断することができなかった。また、無線装置30に試験機を接続することで無線回路の動作確認を行う場合は、無線装置30をシステムから一旦切り離して工場へ持参し、工場の検査工程で動作確認を行う手間が必要である。したがって、現場で通信エラーの発生要因を判断することができない。なお、無線装置は良好な通信環境を維持するため上流に設置されることが多く、このためシステムからの切り離しも容易でない。
【0008】
ところで、試験機を使用することなく、システムを構成する無線装置のみで動作確認を行うために、送信と受信を同時に実行する必要がある。例えば、図4に示すように、従来の無線装置30は、送信側の発振回路と受信側のVCO発振回路39(局部発振回路)を兼用するため、別々の周波数で同時動作させることができない。この場合、受信用の局部発振周波数は送信周波数とは異なるため、同時動作させることができず、したがって、自装置の送信波を受信することができない。
【0009】
仮に、受信用のVCO発振回路39の周波数を送信周波数と同じ周波数に設定しても、ミキサ34から出力される受信信号は、ベースバンド信号の、例えば0〜2kHzで低い周波数帯になるため、後段のIFアンプ(アンプ35)を通過して受信帯域フィルタ36で、中心周波数の、例えば500[kHz]の受信帯域6[kHz]によって信号が全て除去され、信号が出力されない。このため、RSSI検出回路37で検波されることもなく、その結果、RSSI値も正常に出力されない。
【0010】
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、複数の無線装置で構成される無線通信システムにおいて、通信エラーが発生した場合、その原因が通信環境によるものかまたは無線装置の故障によるものかを容易に判別可能な、無線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するために本発明は、第1のモードと第2のモードとを切り換えて実行する、スーパヘテロダイン方式に比べて低い中間周波数を用いるLow−IF方式の受信回路を備えた、無線装置であって、前記第1のモードが設定されると、送信信号として局部発振周波数信号により中間周波数信号の変調信号に対して変換を行い、変調波を生成し、他の無線装置に送信する無線回路と、前記第2のモードが設定されると、自装置が送信する前記変調波の周波数と受信帯域の周波数とが重複するように設定して自装置内で送受信を行い、受信した前記変調波の受信電界強度を検出して閾値と比較し、当該比較の結果にしたがい通信エラーが発生した際に前記無線回路の異常か通信環境による異常かを診断する制御回路と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明において、前記制御回路は、前記送信信号を、設定される前記中間周波数の周波数偏移幅で変調して電波法における副次的発射強度で送信する送信処理と、前記送信信号に等しい周波数で局部発信を行い前記受信帯域の幅を前記第1のモードに比べて広く設定して受信する受信処理と、を実行することを特徴とする。
【0013】
本発明において、前記制御回路は、前記第2のモードが設定されると、キャリアセンスを行って空きチャネルをサーチして前記空きチャネルの数のログを取得し、前記チャネル数のログの推移を判定して前記通信環境を把握することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の無線装置で構成される無線通信システムにおいて通信エラーが発生した場合、その原因が通信環境によるものかまたは無線装置の故障によるものかを容易に判別可能な、無線装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る無線装置のIF−周波数特性図である。
図3】本発明の実施の形態に係る無線装置の動作を示すフローチャートである。
図4】従来の無線装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態(以下、単に本実施形態という)に係る無線装置について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
(実施形態の構成)
図1は、本実施形態に係る無線装置の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る無線装置10は、第1のモード(通常動作モード)と第2のモード(テストモード)とを切り換えて実行する、スーパヘテロダイン方式に比べて低い中間周波数を用いるLow−IF方式の受信回路を備えた無線装置である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る無線装置10は、通常動作モードが設定されると、送信信号をVCO発振回路19により変調波を生成し、他の無線装置に送信する無線回路と、制御回路21と、により構成される。なお、無線回路は、アンテナ11と、アンテナスイッチ12と、受信側アンプ(アンプ13)と、ミキサ14と、IFアンプ(アンプ15)と、受信帯域フィルタ16と、RSSI検出回路17と、送信側アンプ(アンプ18)と、VCO発振回路19と、変調回路20と、を含み構成される。
【0019】
アンテナ11は、高周波エネルギーを電磁波として空間に放射し、あるいは空間のエネルギーを高周波エネルギーに相互変換する送受信兼用アンテナである。送受信の切り換えはアンテナスイッチ12により行われる。アンプ13は、受信波を増幅して受信信号を生成してミキサ14へ出力する。ミキサ14には、他に、VCO発振回路19により生成される局部発振周波数信号が供給されている。ミキサ14は、受信信号を中間周波数(IF)信号に変換してアンプ15へ出力する。
【0020】
アンプ15は、中間周波数信号を増幅して後段の受信帯域フィルタ16へ出力する。受信帯域フィルタ16は、中間周波数信号の受信帯域幅の信号を通過させ、不要な成分を除去してRSSI検出回路17へ出力する。RSSI検出回路17は、RSSI値を検出して制御回路21へ出力する。変調回路20は、送信信号に変調をかけ、アンプ18で増幅して得られる送信波を、アンテナスイッチ12、アンテナ11経由で図示省略した他の無線装置へ送信する。
【0021】
制御回路21は、通常動作モードで無線回路を制御して信号の送受信を行うとともに、定期的に自動設定されるか、外部入力により不定期にテストモードに切り換え設定されると、無線装置10に内蔵された無線回路の自己診断を行う。自己診断を行うにあたり、制御回路21は、自装置10が送信する変調波の周波数と受信帯域の周波数とが重複するように設定して自装置10内で動作確認用の信号の送受信を行なう。
【0022】
そして制御回路21は、RSSI検出回路17により検出される受信した変調波の受信信号強度と閾値とを比較し、その比較結果にしたがい、通信エラー発生時に、自装置10が内蔵する無線回路の故障か、通信環境に依存して発生するノイズによる異常かを自己診断する。このとき、制御回路21は、テストモードが設定されると、送信波を、設定される中間周波数の周波数偏移幅で変調し、特定小電力無線に係る電波法で規定された副次的発射強度で送信し、送信波に等しい周波数で局部発信を行い、受信帯域の幅を通常動作モードに比べて広く設定してもよい。
【0023】
制御回路21は、例えば、429[MHz]帯の特定小電力無線の無線帯域を使用する場合、中間周波数を500[kHz]程度に設定する。そして、動作確認のため、変調回路20を制御して、送信波に±500[kHz]程度の周波数偏移でFM(Frequency Modulation)またはFSK(Frequency Shift Keying)変調をかけ、特定小電力無線で規定された電波法の副次的発射強度の規格を満足させるため−30[dBm]程度の微弱な出力で送信する。このとき、アンテナスイッチ12は受信側に切り替え、同時に、送信側アンプ18もOFFに設定しておく。
【0024】
一方、受信側では、送信周波数と同じ周波数でVCO発振回路19から局部発振信号を出力し、中間周波数信号の受信帯域フィルタ16の受信帯域幅を、通常動作モードの送信時よりも広い400[kHz]程度に設定する。このように設定することで、例えば、図2に周波数特性を示すように、変調波の最端の周波数を受信帯域の最端でわずかに受信できるようになり、その結果、RSSI検出回路17でRSSI値の検出が可能になる。なお、図2のIF−周波数特性図において、中間周波数をA、受信帯域幅をB、受信可能な周波数偏移をCとした場合、C>>A−B/2の関係が成立する。
【0025】
制御回路21は、RSSI検出回路17で検出されたRSSI値と、閾値とを比較し、RSSI値が閾値以下になった場合は、内蔵の無線回路が故障していると判定することができ、また、閾値以上の場合は、通信環境の影響によるノイズであると判定することができ、以上のようにして無線装置10の自己診断が可能になる。なお、制御回路21は、テストモードが設定されると、キャリアセンスを行って空きチャネルをサーチして空きチャネルの数のログを取得し、チャネル数のログの推移を参照することにより通信環境を把握してもよい。詳細は後述する。
【0026】
なお、制御回路21は、例えば、マイクロプロセッサを実装し、マイクロプロセッサが、外付けされるメモリまたは内蔵メモリに記録されたプログラムを順次読み出し実行することにより、テストモードが設定されると、送信信号を、設定される中間周波数の周波数偏移幅で変調して特定小電力無線における副次的発射強度で送信する送信処理と、送信信号に等しい周波数で局部発信を行い受信帯域の幅を通常動作モードに比べて広く設定して受信する受信処理と、を実行する。
【0027】
具体的に、制御回路21は、自装置10が通常動作モードからテストモードに切り換わると、送信する変調波の周波数と受信帯域の周波数とが重複するように設定して自装置10内で送受信を行ない、そして、受信した変調波のRSSIを検出して閾値と比較し、比較結果にしたがい、通信エラー発生時に、自装置10が内蔵する無線回路の異常か、通信環境による異常かを自己診断する機能を実行するものとする。
【0028】
(実施形態の動作)
図3は、本実施形態に係る無線装置10の動作を示すフローチャートである。以下、図3のフローチャートを参照しながら、図1に示す本実施形態に係る無線装置10(制御回路(21)の動作について詳細に説明する。
【0029】
制御回路21により実行される自己診断処理は、ステップS101〜S106に至る送信処理と、ステップS107〜S113に至る受信処理とに大別される。例えば、制御回路21に外付けされるDIP(Dual Inline Package)スイッチが通常動作モードに設定されていると、ガス検針等の無線システムにおいて、通信が確立された相手無線装置との間で通常のデータ交換を行う。一方、DIPスイッチを通常動作モードからテストモード(自己診断モード)に切り換わると(ステップS101)、制御回路21は、まず、キャリアセンスを行い、空いているチャネルを探すチャネルサーチを実行する(ステップS102)。
【0030】
なお、DIPスイッチ操作によらず、通常動作モードでの送受信処理の中に一定周期でテストモードでの送受信処理を挿入し、自動で自己診断を行ってもよい。また、ステップS102のチャネルサーチは複数回トライするものとし、空いているチャネルが見つからなければ(ステップS103“NO”)、通信環境が悪化してノイズ有りと判断する(ステップS113)。
【0031】
一方、空いているチャネルが発見されると(ステップS103“YES”)、制御回路21は、送信周波数を429.25[MHz]とし、VCO発振回路19を制御して中間周波数を500[kHz]に設定する(ステップS104)。そして、変調回路20を制御し、±500[kHz]の周波数偏移幅で送信波に変調をかけ、アンテナスイッチ12を受信側に切り換え、送信アンプをOFF設定して(ステップS106)、特定小電力無線において電波法で規定されている副次的電界強度に収まるように−30[dBm]の出力で送信する(ステップS107)。以上で送信処理が終了する。
【0032】
次に、制御回路21は、アンプ18をOFFに設定することで受信処理を開始する。これは、テストモード実行にあたり無線装置10内で閉じて確認用の信号の送受信を行うためである。ここで、制御回路21は、アンテナスイッチ12を受信側に切り換え、VCO発振回路19を制御することで、送信時と同様、中間周波数を500[kHz]に設定する(ステップS108)。同時に、中間周波数の受信帯域フィルタ16の周波数範囲を、通常動作モードより広い400[kHz]に設定する(ステップS109)。以上の設定により、例えば、図2のIF−周波数特性図中に吹き出しで示すように、変調波の最端の周波数を受信帯域の最端でわずかに受信できるようになり、RSSI検出回路17で受信信号のRSSI値の検出が可能になる。
【0033】
最後に、制御回路21は、RSSI検出回路17で検出された受信信号のRSSI値と閾値とを比較して通信エラー時の自己診断を行う(ステップS110)。すなわち、比較の結果、RSSI値が閾値未満になった場合は(ステップS111“YES”)、内蔵の無線回路が故障していると判断でき、例えば、図示省略したLED(Light Emitted Diode)等の表示によりオペレータに報知する(ステップS112)。一方、閾値以上の場合は(ステップS111“NO”)、通信環境悪化によるノイズによる影響であると判断することができる(ステップS113)。
【0034】
なお、図3のフローチャートでは図示省略されているが、ステップS103でキャリアセンスを行ってチャネルサーチを繰り返す際に、制御回路21が、空きチャネルの数のログを取得し、当該ログを参照して空きチャネル数の推移から通信環境を把握してもよい。
【0035】
(実施形態の効果)
以上説明のように、本実施形態に係る無線装置10によれば、通常動作モードからテストモードへ切り換わると、自装置10が送信する変調波の周波数と受信帯域の周波数とが重複するように、中間周波数と、周波数偏移幅と、受信帯域幅を設定し、自装置10内で送受信を行なうことで、内蔵の無線回路の故障か、自装置10の設置場所の通信環境の悪化によるものかを自己診断することができ、その結果、通信エラーの原因を現場で判断することができる。
【0036】
このために、制御回路21は、例えば、中間周波数を500[kHz]程度とし、動作確認用の送信波に±500[kHz]程度の周波数偏移幅でFMまたはFSK変調をかけ、特定小電力無線用に電波法で規定された副次的発射強度を満足させるため、−30[dBm]程度の出力で送信する。このとき、アンテナスイッチ12は受信側に切り替え、同時に送信側アンプ18もOFFに設定しておく。これは、テストモード時、無線装置10内で閉じて動作確認用の信号の送受信を行うためである。そして、受信側で、送信周波数と同じ周波数で局部発振出力を生成し、中間周波数の受信帯域フィルタ16の受信帯域幅を400[kHz]程度に設定して通常動作モード時よりも広くしておく。
【0037】
上記の設定により、図2のIF−周波数特性図の吹き出しで示すように、微弱信号を変調波の最も端の周波数を受信帯域の最端でわずかに受信できるようになり、RSSI検出回路I17でのRSSI値の検出が可能になる。このため、制御回路21は、検出されたRSSI値と閾値との比較により、閾値未満の場合は自装置10が内蔵する無線回路が故障であると判断することができる。なお、制御回路21が、空きチャネルの数のログを取得し、当該ログを参照して空きチャネル数の推移から通信環境を把握することで、通信エラーの要因が通信環境によるノイズであると判断してもよい。
【0038】
なお、本実施形態に係る無線装置10により実現される自己診断機能は、ガス検針を行う無線システムに適用されるものとして説明したが、電気、水道の検針はもとより、汎用の無線通信等、電波を用いる無線を使用した無線システム全般において、同じ設定で適用が可能である。
【0039】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またそのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0040】
10…無線装置、11…アンテナ、12…アンテナスイッチ、13、15、18…アンプ、14…ミキサ、16…受信帯域フィルタ、17…RSSI検出回路、19…VCO発振回路、20…変調回路、21…制御回路
図1
図2
図3
図4