(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816477
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
H02P 27/02 20160101AFI20210107BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20210107BHJP
H02P 25/04 20060101ALI20210107BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20210107BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20210107BHJP
B23Q 11/00 20060101ALN20210107BHJP
【FI】
H02P27/02
B25F5/00 C
H02P25/04
B23Q17/00 D
A47L9/28 A
!B23Q11/00 M
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-232858(P2016-232858)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-93571(P2018-93571A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】掛川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山口 勇人
(72)【発明者】
【氏名】今井 輝雄
(72)【発明者】
【氏名】小吹 隆之
【審査官】
島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−083375(JP,A)
【文献】
特開平10−005483(JP,A)
【文献】
特開2003−031250(JP,A)
【文献】
特開2013−066991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 27/02
A47L 9/28
B23Q 17/00
B25F 5/00
H02P 25/04
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から供給される交流電圧で動作するモータと、
前記モータの電流経路に設けられた、位相制御用のスイッチング素子と、
前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、外部電源から供給される交流電圧の周波数を判別して前記スイッチング素子のオンオフによる位相制御を行う位相制御モードと、前記スイッチング素子をオンし続ける非位相制御モードと、を切替えるモード切替が可能であり、
前記制御部は、前記位相制御モードにおいて前記交流電圧の周波数が判別できない場合に前記スイッチング素子をオフして前記モータを停止し、
前記制御部は、前記位相制御モードにおいて前記交流電圧の周波数が判別できない場合であっても、前記モード切替を行い前記非位相制御モードに切り替わると、前記スイッチング素子をオンし続けることで前記モータを駆動可能であることを特徴とする、電動作業機。
【請求項2】
前記制御部は、前記非位相制御モードにおいては外部電源から供給される交流電圧の周波数を判別しないことを特徴とする、請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記モータの電流経路に対して並列な状態で前記外部電源に接続された第2の電流経路に設けられた負荷をさらに備え、
前記第2の電流経路は、前記制御部が前記位相制御モードにおいて前記交流電圧の周波数が特定できない場合であっても、前記負荷へ電流を供給することを特徴とする、請求項1または2に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記負荷は、異常報知用の報知手段を含み、
前記制御部は、前記位相制御モードにおいて前記交流電圧の周波数が特定できない場合に、前記スイッチング素子をオフすると共に、前記報知手段により外部に報知することを特徴とする、請求項3に記載の電動作業機。
【請求項5】
使用者が操作することで前記モード切替を可能な切替部を備えることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電動作業機。
【請求項6】
前記切替部は、使用者により第1の操作がなされると前記モード切替を行い、第2の操作がなされると前記モータの回転速度を変更可能であることを特徴とする、請求項5に記載の電動作業機。
【請求項7】
前記制御部は、前記切替部が長押しされると、前記モード切替を行うことを特徴とする、請求項5又は6に記載の電動作業機。
【請求項8】
前記制御部は、前記切替部が短押しされると、前記モード切替以外の他の機能を実行することを特徴とする、請求項7に記載の電動作業機。
【請求項9】
前記制御部および前記モータへの電力の供給のオン/オフを切替える電源スイッチを更に備え、
前記制御部は、前記電源スイッチがオンされると、最後に前記電源スイッチがオフされる直前と同じモードとなることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電動作業機。
【請求項10】
前記負荷は、電動工具の電源コードを接続可能であり、前記外部電源から供給される電流を前記電動工具に接続する電源プラグ差込口を含むことを特徴とする、請求項3に記載の電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源から供給される交流電圧で動作する集じん機等の電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
交流駆動の電動作業機においては、モータの電流経路に設けられたトライアック等のスイッチング素子のオンオフによる位相制御、すなわち、交流1サイクルあたりのスイッチング素子のオン期間(導通角)の制御により、モータへの供給電力を制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−229463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
位相制御のためには、入力された交流電圧の周波数を特定する必要がある。ここで、例えば交流電源が発電機である場合、電圧波形が大きく歪んでいるために、ゼロクロス検出による周波数特定ができないことがある。この場合、電動作業機は、位相制御を行うことができず、モータに電力を供給できない。そのため、ユーザは波形の歪んだ電源を用いた作業ができず、別の電源を準備する必要があり、利便性が悪かった。
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、位相制御を行う構成において、入力電圧波形の歪みが大きくても作業が可能な電動作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、電動作業機である。この電動作業機は、
外部電源から供給される交流電圧で動作するモータと、
前記モータの電流経路に設けられた、位相制御用のスイッチング素子と、
前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
外部電源から供給される交流電圧の周波数を判別して前記スイッチング素子のオンオフによる位相制御を行う位相制御モードと、前記スイッチング素子をオンし続ける非位相制御モードと、を切替えるモード切替が可能であ
り、
前記制御部は、前記位相制御モードにおいて前記交流電圧の周波数が判別できない場合に前記スイッチング素子をオフして前記モータを停止し、
前記制御部は、前記位相制御モードにおいて前記交流電圧の周波数が判別できない場合であっても、前記モード切替を行い前記非位相制御モードに切り替わると、前記スイッチング素子をオンし続けることで前記モータを駆動可能であることを特徴とする。
【0007】
前記制御部は
、前記非位相制御モードにおいては外部電源から供給される交流電圧の周波数を判別しなくてもよい。
【0008】
前記モータの電流経路に対して並列な状態で前記外部電源に接続された第2の電流経路に設けられた負荷をさらに備え、
前記第2の電流経路は、前記制御部が前記位相制御モードにおいて前記交流電圧の周波数が特定できない場合であっても、前記負荷へ電流を供給してもよい。
前記負荷は、異常報知用の報知手段を
含み、
前記制御部は、前記位相制御モードにおいて前記交流電圧の周波数が特定できない場合に、前記スイッチング素子をオフすると共に、前記報知手段により外部に報知してもよい。
【0009】
使用者が操作することで前記モード切替を可能な切替部を備えてもよい。
【0010】
前記切替部は、使用者により第1の操作がなされると前記モード切替を行い、第2の操作がなされると前記モータの回転速度を変更可能であってもよい。
【0011】
前記制御部は、前記切替部が長押しされると、前記モード切替を行ってもよい。
【0012】
前記制御部は、前記切替部が短押しされると、前記モード切替以外の他の機能を実行してもよい。
【0013】
前記制御部および前記モータへの電力の供給のオン/オフを切替える電源スイッチを更に備え、
前記制御部は、前記電源スイッチがオンされると、最後に前記電源スイッチがオフされる直前と同じモードとなってもよい。
前記負荷は、電動工具の電源コードを接続可能であり、前記外部電源から供給される電流を前記電動工具に接続する電源プラグ差込口を含んでもよい。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、位相制御を行う構成において、入力電圧波形の歪みが大きくても作業が可能な電動作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る集じん機1の正面図。
【
図2】集じん機1に他の電動工具2を接続した状態の概略斜視図。
【
図4】
図3の外部電源40から供給される電圧波形の一例であって、歪みが大きい電圧波形を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0018】
以下、
図1〜
図5を参照し、本発明の実施の形態に係る集じん機1を説明する。なお、集じん機1における機械的構成は例えば特開2016−86940と同様でよく、ここでは簡単な説明に留める。
図1に示すように、本実施の形態の集じん機1は、相互に分離可能なタンク部10及びヘッド部20を備える。ヘッド部20は、取付機構としてのクランプ機構5によってタンク部10の上部に着脱可能に固定される。
【0019】
タンク部10は、上部が開放された底付の筒状で、水平断面が略四角形(丸みを帯びた正方形ないし長方形)となっている。タンク部10は、ホース4を接続するためのホース取付口11を側面(前側の側面)に有する。タンク部10内には、吸引した粉塵をろ過するほぼ円錐台形状のフィルタ(図示省略)が設けられる。フィルタは、タンク部10及びヘッド部20に上下から気密に挟持される。設置面上を転動可能な複数のキャスター13が、タンク部10の下部に取り付けられる。少なくとも一つのキャスター13は、好ましくはストッパ機構(図示省略)を有し転動を規制可能である。
【0020】
ヘッド部20は、ヘッドカバー21及びモータカバー22からなるヘッドハウジングの内側に、モータ23(
図3)を有する。モータ23は、その出力軸が鉛直方向上下に延びるようにヘッド部20内に配設される。出力軸の上部には、軸方向に気流を発生させる不図示のモータ冷却用ファンが直結される。出力軸の下部には、遠心方向に気流を発生させる不図示の集塵ファンが直結される。
【0021】
ヘッド部20の前側の側面は、タンク部10側(下側)に向かうに従い外側(前側)に向かう傾斜面となっていて、当該傾斜面に操作部30が設けられる。当該傾斜面において操作部30の上方には、照明部としてのLED36が設けられる。なお、照明部を構成する発光部は、LEDが低消費電力で発光効率が良いため好ましいが、LED以外の発光部、例えば蛍光灯や白熱電球であってもよい。
【0022】
操作部30は、メイン電源スイッチ31と、強弱切替スイッチ32と、単動/連動切替スイッチ33と、照明部用スイッチ34と、を有する。なお、単動とは、集じん機1が単体で動作するモードである。連動とは、
図2に示すように集じん機1に丸のこ等の他の電動工具2を電源ケーブル3で接続して電源供給を可能にしておき、他の電動工具2への電源供給を検出すると、すなわち他の電動工具2が駆動されると、集じん機1が駆動するモード(機能)である。
図2に示すように、集じん機1と他の電動工具2は集塵用ホース4で接続され、他の電動工具2で発生した切屑等を吸引することができる。他の電動工具2は、主に切断、切削、研削、はつり、穿孔作業を目的とした工具である。
図2の例では他の電動工具2は丸鋸であるが、他にもハンマドリルや卓上丸鋸等の場合がある。
【0023】
単動/連動切替スイッチ33が単動側にセットされていれば、メイン電源スイッチ31をオンにすることで集じん機1が直ちに稼働する。一方、単動/連動切替スイッチ33が連動側にセットされていれば、メイン電源スイッチ31をオンにしても連動機能の対象となる他の電動工具を駆動しない限り集じん機1は稼働しないので、その状態で照明部用スイッチ34をオンにすることで、集じん機1を稼働せずに(モータ23の駆動状態に関わらず)、LED36を点灯することができる。その後、単動/連動切替スイッチ33を連動側から単動側に切り替えれば集じん機1を稼働することができ、さらに単動側から連動側に切り替えれば集じん機1の稼働を停止することができる。すなわち、単動/連動切替スイッチ33をモータ駆動用スイッチとして使用することができる。なお、単動/連動切替スイッチ33とは別にモータ駆動用スイッチを設けてもよい。
【0024】
図3は、集じん機1の簡易ブロック図である。電源プラグ差込口53には、連動機能の対象となる他の電動工具の電源コードを接続可能であり、商用電源や発電機等の外部電源40から供給された電源は電源プラグ差込口53を経由して他の電動工具に供給される。他の電動工具に供給された電流(連動電流)は、連動電流検出回路52によって検出され、マイコン等を含む制御部50に送信される。
【0025】
照明部用定電流駆動回路51は、コンデンサとダイオードで構成され、LED36を定電流駆動する。照明部用定電流駆動回路51と直列にスイッチング素子としてのトライアック54が接続され(LED36の電流経路にトライアック54が設けられ)、トライアック54のゲートはトランジスタQ1のコレクタに接続される。トランジスタQ1のベース(制御端子)は制御部50に接続され、エミッタはグランドに接続される。制御部50は、トランジスタQ1のオンオフを制御することで、位相制御を行う。すなわち、電源40から供給される交流1サイクルあたりのトライアック54のオン期間を制御し、LED36の明るさを制御する。制御部50は、使用者による照度切替スイッチ(タクタイルスイッチ)45の操作に応じて、LED36の明るさを調節する(切り替える)。
【0026】
モータ23と直列にスイッチング素子としてのトライアック55が接続され(モータ23の電流経路にトライアック55が設けられ)、トライアック55のゲートはトランジスタQ2のコレクタに接続される。トランジスタQ2のベースは制御部50に接続され、エミッタはグランドに接続される。制御部50は、トランジスタQ2のオンオフを制御することで、位相制御を行う。すなわち、電源40から供給される交流1サイクルあたりのトライアック55のオン期間を制御し、強弱切替スイッチ(タクタイルスイッチ)32の操作に従ってモータ23の回転速度を制御する(変更する)。
【0027】
制御部50は、マイクロコントローラ(マイコン)、ゼロクロス検出回路、及び制御用電源回路等を包含した機能ブロックである。制御部50は、前述のように、位相制御によりモータ23の回転速度、及びLED36の明るさを制御する機能を有する。位相制御を行うには、外部電源40から供給される交流電圧の周波数を特定する必要がある。しかし、例えば外部電源40が発電機の場合、例えば
図4に示すように、電圧波形が大きく歪んでいることがある。そうすると、制御部50は、ゼロクロス検出による周波数特定ができず、位相制御を行えない。ここで、制御部50が位相制御を行うことができないために集じん機1を稼働させられないと、ユーザは波形の歪んだ電源を用いた作業ができず、別の電源を準備する必要があり、利便性が悪い。そこで本実施の形態では、制御部50は、トライアック54,55のオンオフによる位相制御を行う位相制御モードと、トライアック54,55をオンし続ける非位相制御モードと、の切替えを可能としている。以下、具体的に説明する。
【0028】
図5は、集じん機1の制御フローチャートである。このフローチャートは、ユーザによってメイン電源スイッチ31がオンされることによってスタートする。制御部50は、現在のモード、すなわち最後にメイン電源スイッチ31がオフされる直前のモードが、位相制御モードか否かを確認する(S1)。制御部50は、位相制御モードであれば(S1のYes)、外部電源40から供給される交流電圧のゼロクロスを検出し(S2)、検出したゼロクロスに基づいて前記交流電圧の周波数(例えば50Hz/60Hz)を判別する(S3)。制御部50は、ステップS3において交流電圧の周波数を特定できれば(S4のYes)、位相制御を実行する(S5)。すなわち、制御部50は、強弱切替スイッチ32が押される毎にモータ23の速度を切り替える制御、及び照度切替スイッチ45が押される毎にLED36の明るさを切り替える制御を行う。
【0029】
制御部50は、ステップS1において現在のモードが位相制御モードでない場合(S1のNo)、すなわち現在のモードが非位相制御モードである場合、トライアック54,55をオンし続ける非位相制御を実行する(S6)。なお、制御部50は、位相制御(S5)及び非位相制御(S6)のいずれにおいても、単動/連動切替スイッチ33が押される毎に単動/連動を切り替える制御、及び照明部用スイッチ34が押される毎にLED36の点灯/消灯を切り替える制御を行う。制御部50は、非位相制御(S6)の実行中に、切替部を兼ねる例えば強弱切替スイッチ32の長押し(第1の操作)を検出すると(S7のYes)、位相制御モードに移行し、ステップS1において位相制御モードであった場合(S1のYes)と同様の制御を行う(S2〜)。
【0030】
制御部50は、ステップS4において交流電圧の周波数を特定できない場合(S4のNo)、トライアック55をオフしてモータ23を停止し(S8)、報知手段を兼ねるLED36を点滅させる等によりユーザに異常を報知する(S9)。制御部50は、位相制御モードにおいて交流電圧の周波数を特定できないことによりモータ23を停止している場合(S8)に、切替部を兼ねる例えば強弱切替スイッチ32の長押しを検出すると(S10のYes)、非位相制御モードに移行し、非位相制御(S6)を実行する。
【0031】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0032】
(1) 制御部50は、位相制御モードにおいて、外部電源40から供給される交流電圧が大きく歪んでいて当該交流電圧の周波数が特定できず位相制御が行えない場合、ユーザによる強弱切替スイッチ32の長押しにより非位相制御モードに切り替わり、トライアック54,55をオンし続ける非位相制御を行うことができるため、位相制御が行えない場合でも集じん機1を稼働させることができる。したがって、ユーザは波形の歪んだ電源でも集じん機1による作業が可能となり、別の電源を準備する必要が無く、利便性が高い。
【0033】
(2) 仮に位相制御を行わずにモータ23の速度を制御する構成とすれば、交流電圧波形が歪んでいてもモータ23を駆動できるが、速度制御のためにモータ23を複数段で巻線する必要があり、モータ23の構成が複雑化すると共に、細かい速度制御(吸引力調整)ができず、利便性が悪い。これに対し本実施の形態では、制御部50は、外部電源40から供給される交流電圧の周波数特定が正常の場合は位相制御を行い利便性を向上できると共に、波形が歪んでいて位相制御ができない場合でも非位相制御によりモータ23を駆動することができる。
【0034】
(3) 位相制御を行うか否かを制御部50の制御によるトライアック54,55の制御によって行うため、例えば位相制御用の電流経路と非位相制御用の電流経路を分けた回路構成とする必要が無く、回路構成が簡易である。
【0035】
(4) 制御部50は、位相制御を行えずにモータ23を停止した場合にLED36の点滅によりユーザに報知するため、ユーザはなぜモータ23が停止したかを認識することができ、作業性が向上する。
【0036】
(5) 強弱切替スイッチ32は、長押し(第1の操作)により制御部50のモードを位相制御モードと非位相制御モードとの間で切替可能であり、短押し(第2の操作)によりモータ23の回転速度を制御可能であるため、ユーザはモード切替の操作と強弱の切替を連続してスムーズに行うことができ、作業を行う上での自由度が高められる。
【0037】
(6) 長押しによるモード切替としているため、誤操作等のリスクを抑制できる。
【0038】
(7) メイン電源スイッチ31がオンされると、最後にメイン電源スイッチ31がオフされる直前と同じモードとなるため、ユーザがメイン電源スイッチ31をオフ/オンするたびにモードを切り替える必要が無く、特に波形の歪んだ電源のみを用いた作業を行う場合に、作業が煩雑となることを抑制できる。
【0039】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0040】
制御部50のモードの切替操作は、強弱切替スイッチ32の長押しに替えて、単動/連動切替スイッチ33又は照明部用スイッチ34の長押しとしてもよいし、強弱切替スイッチ32、単動/連動切替スイッチ33、及び照明部用スイッチ34のうち2つ以上の同時操作(短押し又は長押し)としてもよいし、いずれかのスイッチの連続2回押しとしてもよいし、その他、操作部30に対する所定の操作としてもよい。また、制御部50のモード切替用に専用スイッチを設けてもよい。
【0041】
制御部50は、最後にメイン電源スイッチ31がオフされる直前のモードを記憶して当該モードからスタートする場合に限定されず、メイン電源スイッチ31がオンされると、最後にメイン電源スイッチ31がオフされる直前のモードに関わらず位相制御モードからスタートしてもよいし、非位相制御モードからスタートしてもよい。
【0042】
位相制御を行えずにモータ23を停止した場合の異常報知は、LED36の点滅に限定されず、音声等による他の手段であってもよい。
【0043】
制御部50のモード切替は、ユーザがモードの切り替え操作を行わなくとも、位相制御を行うことができない場合には自動で行われるようにしてもよいし、所定時間異常報知を行った後に自動で行われるようにしてもよい。
【0044】
電動作業機は、実施の形態で例示した集じん機1に限定されず、交流電圧で動作するモータを有する他の種類のものであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 集じん機(電動集じん機)、2 他の電動工具、3 電源ケーブル、4 集塵用ホース、5 クランプ機構、10 タンク部、11 ホース取付口、13 キャスター、20 ヘッド部、21 ヘッドカバー、22 モータカバー、23 モータ、30 操作部、31 メイン電源スイッチ、32 強弱切替スイッチ(タクタイルスイッチ)、33 単動/連動切替スイッチ、34 照明部用スイッチ、36 LED(照明部かつ報知手段)、40 外部電源、45 照度切替スイッチ、50 制御部、51 照明部用定電流駆動回路、52 連動電流検出回路、53 電源プラグ差込口、54,55 トライアック(スイッチング素子)、Q1,Q2 トランジスタ(スイッチング素子)