(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、携帯通信端末の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
[技術思想]
携帯通信端末は、拡張現実を実現するための情報の一例としてエアタグを表示する。より具体的には、携帯通信端末は、たとえば拡張現実を実現するためのアプリケーションの実行中に、当該携帯通信端末100の向きを検出し、複数の観光スポットのうち当該向きに従った観光スポットを選択し、選択された観光スポットのそれぞれに対応するエアタグを表示する。
【0014】
図1は、ある実施の形態において、拡張現実を実現する情報の一例としてエアタグを表示する携帯通信端末を示す図である。
図1に示されるように、携帯通信端末100は、モニタ35に、カメラ(後述する
図2のカメラ26)によって撮影された画像に重畳させて、エアタグ901〜905を表示する。エアタグ901〜905のそれぞれは、携帯通信端末100の向きに従って選択された観光スポットのそれぞれを表わす。
図1において、手Hは、携帯通信端末100を把持するユーザの手を表わす。
【0015】
携帯通信端末100は、モニタ35に、携帯通信端末100の向きの検出の感度を設定するためのスライドバー910をさらに表示する。スライドバー910におけるつまみ911の水平方向の位置は検出の感度に対応する。ユーザは、つまみ911の水平方向における位置を調整する操作により、携帯通信端末100の検出の感度を設定することができる。当該操作の一例は、(タッチ操作式の)モニタ35に対する操作である。他の例は、入力スイッチ(後述する
図2の入力スイッチ25)に対する操作である。携帯通信端末100は、設定された感度で、当該携帯通信端末100の向きを検出する。
【0016】
[携帯通信端末のハードウェア構成]
図2は、ある局面に従う携帯通信端末100のハードウェア構成の一例を表わす図である。
図2を参照して、携帯通信端末100の構成について説明する。
【0017】
携帯通信端末100は、CPU(Central Processing Unit)20と、アンテナ23と、通信装置24と、入力スイッチ25と、カメラ26と、フラッシュメモリ27と、RAM(Random Access Memory)28と、ROM(Read-Only Memory)29と、メモリカード駆動装置30と、マイク32と、スピーカ33と、音声信号処理回路34と、モニタ35と、LED(Light Emitting Diode)36と、通信インターフェイス37と、バイブレータ38と、GPS(Global Positioning System)アンテナ39と、GPSモジュール40と、加速度センサ41と、地磁気センサ42とを備える。CPU20は、AR(Augmented Reality)モジュール50を含む。メモリカード駆動装置30には、メモリカード31が装着され得る。
【0018】
アンテナ23は、基地局によって発信される信号を受信し、または、基地局を介して他の通信装置と通信するための信号を送信する。アンテナ23によって受信された信号は、通信装置24によってフロントエンド処理が行なわれ、処理後の信号は、CPU20に送られる。
【0019】
CPU20は、携帯通信端末100に対して与えられる命令に基づいて携帯通信端末100の動作を制御するための処理を実行する。携帯通信端末100が信号を受信すると、CPU20は、通信装置24から送られた信号に基づいて予め規定された処理を実行し、処理後の信号を音声信号処理回路34に送出する。音声信号処理回路34は、その信号に対して予め規定された信号処理を実行し、処理後の信号をスピーカ33に送出する。スピーカ33は、その信号に基づいて音声を出力する。
【0020】
入力スイッチ25は、携帯通信端末100に対する命令の入力を受け付ける。入力スイッチ25は、タッチセンサ、携帯通信端末100の筐体に設けられたボタン等により実現される。入力された命令に応じた信号は、CPU20に入力される。
【0021】
マイク32は、携帯通信端末100に対する発話を受け付けて、発話された音声に対応する信号を音声信号処理回路34に対して送出する。音声信号処理回路34は、その信号に基づいて通話のために予め規定された処理を実行し、処理後の信号をCPU20に対して送出する。CPU20は、その信号を送信用のデータに変換し、変換後のデータを通信装置24に対して送出する。通信装置24は、そのデータを用いて送信用の信号を生成し、アンテナ23に向けてその信号を送出する。
【0022】
フラッシュメモリ27は、CPU20から送られるデータを格納する。また、CPU20は、フラッシュメモリ27に格納されているデータを読み出し、そのデータを用いて予め規定された処理を実行する。ある局面において、フラッシュメモリ27は、エアタグを表示するための情報を格納する。
【0023】
図3は、エアタグを表示するための情報のデータ構造の一例(エアタグデータベース)を模式的に示す図である。
図3を参照して、エアタグデータベースは、各観光スポットについて、スポット名称、位置情報、スポット写真、および、関連情報ファイルを含む。
【0024】
スポット名称は、各観光スポットの名称を表わす。
図3は、スポット名称を構成するデータの一例として「スポット名称(A)」を示す。
【0025】
位置情報は、各観光スポットの位置を表わし、たとえば緯度情報と経度情報とを含む。
図3は、位置情報を構成するデータの一例として「位置情報(A)」を示す。
【0026】
スポット写真は、各観光スポットを表わす画像(写真)である。
図3は、スポット写真を構成するデータの一例として「画像データ(A)」を示す。
【0027】
関連情報ファイルは、各観光スポットに関する詳細な情報を表わす。関連情報ファイルは、たとえば、各観光スポットについての情報を提供するための、マークアップ言語で記載されたファイルである。
図3は、関連情報ファイルを構成するデータの一例として「関連情報ファイル(A)」を示す。
【0028】
図4は、携帯通信端末100によって表示されるエアタグの構成とエアタグデータベースの内容との関係の一例を説明するための図である。エアタグ901は、名称部9011と、画像部9012と、距離指示部9013とを含む。
【0029】
名称部9011は、エアタグデータベース内のスポット名称を表示する。
図4において名称部9011に表示されている「トッパン議事堂」は、スポット名称の一例はである。
【0030】
画像部9012は、エアタグデータベース内のスポット写真を表示する。
図4の例では、画像部9012には、「トッパン議事堂」の写真が配置されている。
【0031】
距離指示部9013は、携帯通信端末100の現在位置とエアタグデータベース内の観光スポットの位置情報とを用いて算出された距離を表示する。距離の算出は、携帯通信端末100と観光スポットとの直線距離であってもよいし、予め生成されている地図において設定された道に従って携帯通信端末100の現在位置から観光スポットへと移動するときに通過する経路の長さであってもよい。
【0032】
携帯通信端末100は、ユーザがエアタグを選択したときに、当該エアタグが対応する観光スポットの関連情報ファイルを再生する。関連情報ファイルンの再生については、
図11を参照して後述する。
【0033】
図2に戻って、RAM28は、入力スイッチ25に対して行なわれた操作に基づいてCPU20によって生成されるデータを一時的に保持する。ROM29は、携帯通信端末100に予め定められた動作を実行させるためのプログラムあるいはデータを格納している。CPU20は、ROM29から当該プログラムまたはデータを読み出し、携帯通信端末100の動作を制御する。
【0034】
メモリカード駆動装置30は、メモリカード31に格納されているデータを読み出し、CPU20に送出する。メモリカード駆動装置30は、CPU20によって出力されるデータを、メモリカード31の記憶領域に書き込む。
【0035】
音声信号処理回路34は、上述のような通話のための信号処理を実行する。なお、
図2に示される例では、CPU20と音声信号処理回路34とが別個の構成として示されているが、他の局面において、CPU20と音声信号処理回路34とが一体として構成されていてもよい。
【0036】
モニタ35は、タッチ操作式のモニタであるが、タッチ操作を受け付ける機構の種類は特に限られない。モニタ35は、CPU20から取得されるデータに基づいて、当該データによって規定される画像を表示する。たとえば、フラッシュメモリ27に格納されている静止画、動画、地図などを表示する。
【0037】
LED36は、CPU20から出力される信号に基づいて発光する。ある局面において、通信インターフェイス37は、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等により実現される。別の局面において、通信インターフェイス37は、データ通信用のケーブルの装着を受け付ける。通信インターフェイス37は、CPU20から出力される信号を発信する。あるいは、通信インターフェイス37は、携帯通信端末100の外部から受信した信号に含まれるデータを、CPU20に対して送信する。
【0038】
バイブレータ38は、CPU20から出力される信号に基づいて、予め定められた周波数で発振動作を実行する。
【0039】
GPSアンテナ39は、たとえば4つ以上の衛星からそれぞれ送信されるGPS信号を受信する。受信された各GPS信号は、GPSモジュール40に入力される。GPSモジュール40は、各GPS信号と公知の技術とを用いて測位処理を実行し、携帯通信端末100の位置情報を取得する。
【0040】
加速度センサ41は、携帯通信端末100に作用する加速度を検出する。ある局面において、加速度センサ41は、3軸加速度センサとして実現される。検出された加速度は、CPU20に入力される。CPU20は、この加速度に基づいて、携帯通信端末100の動きや姿勢(傾き)を検出する。
【0041】
地磁気センサ42は、携帯通信端末100が向いている方角を検出する。この検出により取得された情報は、CPU20に入力される。
【0042】
ARモジュール50は、携帯通信端末100の周囲の実際の環境に対して、RAM28に読み込まれた情報を付加し、削除し、強調し、または減衰等させ、携帯通信端末100のユーザから見た現実の世界を拡張するための処理を実行する。ある局面では、ARモジュール50は、
図1を参照して説明されたように、携帯通信端末100の向きに従って選択された観光スポットに対応するエアタグを、カメラ26によって撮影された画像に重畳するように表示する。
図1に示された複数のエアタグ901〜905のそれぞれの表示位置は、各エアタグに対するドラッグ操作によって移動可能であってもよい。なお、ARモジュール50は、CPU20とは別個の専用の処理回路として構成されてもよい。
【0043】
[携帯通信端末の機能的構成]
図5は、携帯通信端末100における、エアタグを表示する機能を実現するための構成の一例を示す図である。
図5を参照して、携帯通信端末100の機能の一例を説明する。
【0044】
図5に示されるように、携帯通信端末100は、調整値取得部101、感度調整部102、ローパスフィルタ103,104、位置特定部105、方向特定部106、距離特定部107、および、ARタグ表示部108を含む。ある実施の形態では、調整値取得部101、感度調整部102、ローパスフィルタ103,104、位置特定部105、方向特定部106、距離特定部107、および、ARタグ表示部108のそれぞれは、CPU20が適切なプログラムを実行することによって実現される。他の実施の形態では、調整値取得部101〜ARタグ表示部108のうちの一部およびすべてが、専用のハードウェア要素等の、CPU20以外の要素によって実現されてもよい。
【0045】
携帯通信端末100において、位置特定部105は、GPSモジュール40から出力されるデータに従って、携帯通信端末100の現在位置を特定する。
【0046】
距離特定部107は、位置特定部105によって特定された現在位置とエアタグデータベース(
図3)内の各観光スポットの位置情報とを用いて、携帯通信端末100と各観光スポットとの距離を特定する。一例では、距離特定部107は、携帯通信端末100と観光スポットとの直線距離として、上記距離を特定する。他の例では、距離特定部107は、予め生成されている地図において設定された道に従って携帯通信端末100の現在位置から観光スポットへと移動するときに通過する経路の長さとして、上記距離を特定する。
【0047】
調整値取得部101は、スライドバー910(
図1)におけるつまみ911の位置に従って、携帯通信端末100の向きの検出の感度の調整値を取得する。一例では、つまみ911がスライドバー910において右方に位置するほど、取得される調整値によって特定される感度は高い。
【0048】
感度調整部102は、調整値取得部101によって取得された調整値に従って、ローパスフィルタ103およびローパスフィルタ104のそれぞれのカットオフ周波数を決定する。カットオフ周波数の決定において、感度調整部102は、たとえばフラッシュメモリ27(
図2)に格納されたデータであって、調整値とローパスフィルタ103のカットオフ周波数およびローパスフィルタ104のカットオフ周波数との関係を規定するデータを利用する。一例では、調整値によって特定される感度が高いほど、カットオフ周波数は高い。これにより、検出の感度が高く設定されるほど、ローパスフィルタ103は地磁気センサ42から出力されるより高い周波数までの検出出力を方向特定部106に出力する。
【0049】
方向特定部106は、ローパスフィルタ104を介して加速度センサ41から出力されるデータを取得し、ローパスフィルタ103を介して地磁気センサ42から出力されるデータを取得し、双方のデータに従って携帯通信端末100の向きを特定する。
【0050】
ARタグ表示部108は、位置特定部105によって特定された位置、方向特定部106によって特定された向き、および、距離特定部107によって特定された距離に従って、エアタグデータベース内に情報を格納されている観光スポットから予め定められた条件に従う観光スポットを選択し、選択された観光スポットのエアタグを生成し、生成されたエアタグをモニタ35に表示する。
【0051】
なお、ARタグ表示部108は、他の装置によって生成されたエアタグをモニタ35に表示してもよい。この場合、ARタグ表示部108は、他の装置に、位置特定部105によって特定された位置と方向特定部106によって特定された向きを送信してもよい。当該他の装置は、ARタグ表示部108から送信された位置と向きを用いて観光スポットを選択し、選択された観光スポットのエアタグを生成し、生成されたエアタグを携帯通信端末100へ送信する。
【0052】
図6は、観光スポットの選択に関する予め定められた条件の一例を説明するための図である。
図6の例において、予め定められた条件は、観光スポットが領域A1内に位置することである。領域A1は、XY平面で規定される水平面に配置された扇形である。当該扇形の中心は点Pであり、中心各は2αであり、半径は長さRaである。
図6の例において、点Pは携帯通信端末100の位置を表わす。線L1は携帯通信端末100の向きを表わす。領域A1は、携帯通信端末100の向きから水平面において互いに異なる方向に角度αずつ広がった範囲における、携帯通信端末100から長さRa以内の距離にある領域である。
【0053】
[処理の流れ]
図7は、エアタグを表示するためにCPU20が実行する処理のフローチャートである。
図7を参照して、当該処理の内容を説明する。
【0054】
ステップS10にて、CPU20は、位置特定部105(
図5)として、GPSモジュール40の検出出力を用いて携帯通信端末100の位置を特定する。
【0055】
ステップS20にて、CPU20は、スライドバー910に対する操作があったか否かを判断する。CPU20は、スライドバー910に対して操作があったと判断するとステップS30へ制御を進め(ステップS20にてYES)、無かったと判断するとステップS50へ制御を進める(ステップS20にてNO)。
【0056】
ステップS30にて、CPU20は、感度調整部102として、スライドバー910(
図1)のつまみ911の操作量に従って、加速度センサ41の検出出力に対して適用されるローパスフィルタ104および地磁気センサ42の検出出力に対して適用されるローパスフィルタ103のそれぞれのカットオフ周波数を決定する。
【0057】
ステップS40にて、CPU20は、感度調整部102として、ローパスフィルタ103およびローパスフィルタ104のそれぞれに対して、ステップS30にて決定したカットオフ周波数を設定する。
【0058】
ステップS50にて、CPU20は、方向特定部106として、加速度センサ41および地磁気センサ42の検出出力を用いて携帯通信端末100の向きを特定する。
【0059】
ステップS60にて、CPU20は、次の(条件1)および(条件2)のいずれかが満足されたか否かを判断する。
【0060】
<条件1>ステップS10において特定された位置が、前回のステップS10において特定された位置に対して予め定められた量以上変化した。
【0061】
<条件2>ステップS50において特定された向きが、前回のステップS50において特定された向きに対して予め定められた量以上変化した。
【0062】
CPU20は、<条件1>または<条件2>の少なくとも一方が満足されたと判断するとステップS70へ制御を進め(ステップS60にてYES)、<条件1>および<条件2>のいずれも満足されていないと判断するとステップS10へ制御を戻す(ステップS60にてNO)。
【0063】
ステップS70にて、CPU20は、ARタグ表示部108として、エアタグデータベース(
図3)に情報を格納されている観光スポットから、予め定められた条件に従って、エアタグ表示の対象となる観光スポットを選択する。さらに、CPU20は、選択された観光スポットに対応するエアタグを表示するための情報を生成する。一例では、エアタグ901を表示するために、CPU20は、名称部9011に「スポット名称」を配置し、画像部9012に「スポット写真」を配置し、距離指示部9013に携帯通信端末100の現在位置とスポットの「位置情報」とを用いて算出された距離を配置する。
【0064】
ステップS80にて、CPU20は、ARタグ表示部108として、ステップS70において選択された観光スポットに対応するエアタグを表示する。その後、CPU20は、ステップS10へ制御を戻す。
【0065】
以上、
図7を参照して説明された処理では、CPU20は、携帯通信端末100の位置および向きの少なくとも一方が予め定められた量以上変化した場合、ステップS70以降の制御を実行することにより、モニタ35におけるエアタグの表示を更新する。
【0066】
[エアタグの表示態様に対応する操作の具体例]
図8および
図9のそれぞれは、携帯通信端末100におけるエアタグの表示態様の具体例を示す図である。以下、
図8および
図9を参照して、携帯通信端末100におけるエアタグの表示態様に対応する操作の具体例について説明する。
【0067】
<エアタグの表示がぶれる場合>
図8に示された例において、携帯通信端末100は、1つのエアタグ901を表示している。
図8において、軌跡901A〜901Dは、直前の短い期間におけるエアタグ901の表示位置を表わす。
図8に示された状態では、エアタグ901の表示は、携帯通信端末100の筐体のわずかな揺れに追随してぶれている。
【0068】
このような場合、ユーザは、スライドバー910を、つまみ911を左方に移動するように操作する。これにより、CPU20は、向きの検出の感度についての調整値を当該検出の感度が低下するように変更することにより、ローパスフィルタ103およびローパスフィルタ104のカットオフ周波数を高くするように変更する。これにより、携帯通信端末100の向きの検出の感度が低下される。
【0069】
携帯通信端末100の向きの検出の感度が低下すると、加速度センサ41および地磁気センサ42の検出出力によって特定される向きを変化させるのに要する携帯通信端末100の向きの変化の量が大きくなる。このことから、CPU20がエアタグの表示を更新するのに要する携帯通信端末100の向きの変化の量が大きくなる。これにより、エアタグの表示が携帯通信端末100の向きの変化に追随する度合いが低下し、
図8に示されたような表示のぶれが生じにくくなる。
【0070】
<エアタグの表示がなめらかではない場合>
図9に示された例において、携帯通信端末100は、1つのエアタグ901を表示している。
図9において、軌跡901X,901Yは、直前の短い期間におけるエアタグ901の表示位置を表わす。
図9に示された状態では、エアタグ901の表示の更新頻度が比較的低く、ユーザは、エアタグの表示がなめらかではないと感じる。
【0071】
このような場合、ユーザは、スライドバー910を、つまみ911を右方に移動するように操作する。これにより、CPU20は、向きの検出の感度についての調整値を当該検出の感度が上昇するように変更することにより、ローパスフィルタ103およびローパスフィルタ104のカットオフ周波数を低くするように変更する。これにより、携帯通信端末100の向きの検出の感度が上昇する。
【0072】
携帯通信端末100の向きの検出の感度が上昇すると、CPU20がエアタグの表示を更新するのに要する携帯通信端末100の向きの変化の量が小さくなる。これにより、エアタグの表示が携帯通信端末100の向きの変化に追随する度合いが上昇し、ユーザはエアタグの表示がなめらかに変化することを感じることができる。
【0073】
[エアタグの表示の分類]
CPU20は、モニタ35に表示するエアタグを、携帯通信端末100からの距離に従って分類してもよい。CPU20は、たとえば、携帯通信端末100からの距離が1.00km未満の場所に位置する観光スポットのエアタグに第1の色の枠を付し、携帯通信端末100からの距離が1.00km以上2.00km未満の場所に位置する観光スポットのエアタグに第2の色の枠を付し、携帯通信端末100からの距離が2.00km以上の場所に位置する観光スポットのエアタグに第3の色の枠を付してもよい。
【0074】
[スライドバーの表示]
図10は、エアタグの表示画面とは別にスライドバーを表示する画面の一例を示す図である。
図10に示されたモニタ35の表示画面は、アプリケーションの設定用の画面である。
図10に示されるように、CPU20は、エアタグの表示画面とは異なる画面において、スライドバー910を表示することにより、感度の設定を受付けてもよい。
【0075】
[エアタグの関連情報の表示]
図11は、モニタ35におけるエアタグの関連情報の表示の一例を示す図である。ある実施の形態において、CPU20は、モニタ35にエアタグ901等のエアタグを表示した後、エアタグに対してタッチ操作等の操作がなされると、当該エアタグに対応する関連情報を表示してもよい。
図11に示された表示は、
図1のエアタグ901に対応する関連情報の表示の一例である。
【0076】
より具体的には、
図1のエアタグ901は、名称「トッパン議事堂」を付された観光スポットについての情報を表わす。
図11に示された表示は、「トッパン議事堂」に関する詳細な情報を表わす。
図11に示された表示は、エアタグ901に対応する観光スポットの関連情報ファイル(
図3)に従った表示である。
【0077】
図11の表示は、戻るボタン990を含む。CPU20は、戻るボタン930を操作されると、モニタ35における表示を、
図1に示されたような撮像画像とエアタグとを含む画面を戻してもよい。
【0078】
[他の装置の関与]
<エアタグデータベースの格納場所>
図12は、携帯通信端末100とサーバ150とを含む通信システム500の構成の一例を示す図である。ある実施の形態では、エアタグデータベース(
図3)を規定する情報は、サーバ150の記憶装置に格納されている。CPU20は、ステップS70にて、サーバ150の記憶装置に格納されたエアタグデータベースを読み出して、観光スポットを選択し、エアタグを表示するための情報を生成する。
【0079】
<エアタグを表示するための情報の生成>
ある実施の形態の通信システム500において、
図7に示された処理の一部(たとえば、ステップS70)は、サーバ150(携帯通信端末100以外の装置)のプロセッサによって実行されてもよい。この例では、携帯通信端末100のCPU20は、ステップS10〜ステップS60を実行する。ステップS60にて条件1および条件2の少なくとも一方が満たされたと判断すると、CPU20は、携帯通信端末100の位置および向きを特定する情報をサーバ150に送信する。サーバ150のプロセッサは、ステップS70に相当する制御を実行する。
【0080】
より具体的には、プロセッサは、携帯通信端末100の位置および向きを用いて観光スポットを選択し、選択された観光スポットに対応するエアタグを表示するための情報を生成し、生成された情報を携帯通信端末100へ送信する。
【0081】
CPU20は、サーバ150から受信した情報を用いて、モニタ35にエアタグを表示する。
【0082】
[開示の要約]
本明細書における開示を以下に要約する。
【0083】
(1) 携帯通信端末100のCPU20は、ステップS30にて、ローパスフィルタ103,104のカットオフ周波数を決定することにより携帯通信端末100の向きの検出の感度の設定を取得し、ステップS40にて、ローパスフィルタ103,104のカットオフ周波数を設定することにより上記検出の感度を調整する。ステップS50にて、CPU20は、調整された感度で、携帯通信端末100の向きを検出する。ステップS70にて、CPU20は、携帯通信端末100の向きに従って生成された拡張現実を実現するための情報を、モニタ35に表示する。
【0084】
携帯通信端末100では、携帯通信端末100の向きの検出の感度が調整され得る。これにより、加速度センサ41および/または地磁気センサ42の感度に個体差が存在する場合でも、感度の調整によって当該個体差がカバーされる。これにより、エアタグの表示がユーザにとって見やすいように変化し得る。
【0085】
さらに、携帯通信端末100の機種が変わることによって、搭載される加速度センサ41および/または地磁気センサ42の感度が変化する場合であっても、当該感度の変化は感度の調整によってカバーされ得る。
【0086】
携帯通信端末100において、携帯通信端末100の向きを検出(特定)する方法は、加速度センサおよび地磁気センサ42を用いたものに限定されない。携帯通信端末100は、たとえば、複数の方向から送信されるビーコン信号の受信強度の比に従って携帯通信端末100の向きを検出(特定)してもよい。このような場合であっても、CPU20は、向きの検出の感度を調整することにより、エアタグの表示におけるぶれを解消し、また、エアタグの表示がなめらかではない事態を解消したりし得る。
【0087】
なお、本開示において拡張現実を実現するための情報として表示されるアイテムは、観光スポットを表わすエアタグに限定されない。表示されるアイテムは、携帯通信端末の向きに従って選択されるものであれば、エアタグ以外の種類であってもよく、また、観光スポットを表わすもの以外であってもよい。
【0088】
(2) 感度の設定を取得するために、CPU20は、ディスプレイ(モニタ35)に、感度を設定するためのオブジェクト(スライドバー910)を表示してもよい。
【0089】
(3) CPU20は、上記オブジェクトを、拡張現実を実現するための情報(エアタグ901)とともにディスプレイに表示しもよい。
【0090】
(4) オブジェクトに対する操作は、スライドバーにおけるつまみ(つまみ911)の位置の設定であってもよい。
【0091】
(5) CPU20は、第1のフィルタ(ローパスフィルタ103)によって高周波数成分を除去された地磁気センサ42の検出出力と、第2のフィルタ(ローパスフィルタ104)によって高周波数成分を除去された加速度センサ41の検出出力とを用いて、携帯通信端末100の向きを特定してもよい。CPU20は、ステップS40にてローパスフィルタ103およびローパスフィルタ104のカットオフ周波数を設定することにより、第1のフィルタが除去する周波数領域および第2のフィルタが除去する周波数領域を変更してもよい。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。