特許第6816562号(P6816562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816562
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】冷房送風装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/22 20060101AFI20210107BHJP
   F24F 1/0284 20190101ALI20210107BHJP
   F24F 1/029 20190101ALI20210107BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   F24F1/02 371J
   F24F1/0284 311
   F24F1/029
   F24F1/02 411E
   F24F13/22 224
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-33826(P2017-33826)
(22)【出願日】2017年2月24日
(65)【公開番号】特開2018-138855(P2018-138855A)
(43)【公開日】2018年9月6日
【審査請求日】2020年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】591150797
【氏名又は名称】株式会社デンソーエアクール
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】後藤 行秀
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良晃
(72)【発明者】
【氏名】岩田 康
(72)【発明者】
【氏名】久野 健司
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−025152(JP,U)
【文献】 実開昭54−101852(JP,U)
【文献】 実開昭54−101853(JP,U)
【文献】 実開昭55−061237(JP,U)
【文献】 実開昭57−179026(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0023445(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/02
F24F 1/0284
F24F 1/029
F24F 13/20
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器(21)と凝縮器(24)と圧縮機(23)と送風装置(30)とを筐体(10)内に有し、前記蒸発器を通過した空気を前記送風装置によって外部に送風する冷房送風装置であって、
前記蒸発器よりも下方に設けられて、前記蒸発器にて発生した水を貯留するタンク(60)と、
前記筐体の一部を構成し、前記タンクが載置されるベース部(15)と、
駆動軸部(50a)を有し、前記タンクの荷重を受けて前記駆動軸部回りに回動自在となるように前記ベース部に設けられているタンク受け部(50)と、
前記タンク受け部が所定の高さより下方に回動したことを検出する検出部(51)と、
を備え、
前記タンクは、
幅方向における前記タンクの中央にて前記タンク受け部と接触するタンク受け接触部(65)と、
前記タンク受け接触部の前記幅方向における両側にて前記ベース部と接触するベース接触部(64)と、
を有し、
前記タンク受け接触部は、前記幅方向と交差する方向において前記ベース接触部に対して離間し、
前記駆動軸部は、前記タンク受け接触部よりも前記ベース接触部に近い位置に配置されている冷房送風装置。
【請求項2】
前記ベース部は、前記ベース接触部と嵌合する嵌合部(15a)を有する請求項1に記載の冷房送風装置。
【請求項3】
複数の前記ベース接触部と、複数の前記ベース接触部の並び方向と交差する方向に離間する前記タンク受け接触部を有する請求項1または請求項2に記載の冷房送風装置。
【請求項4】
複数の前記ベース接触部は、2つの突出部であり、
前記ベース部は、前記ベース接触部と嵌合する嵌合部として2つの凹部を有する請求項3に記載の冷房送風装置。
【請求項5】
前記タンクを外部に取り出すタンク取出開口部(19)を有し、
前記ベース接触部は、前記タンク受け接触部よりも前記タンク取出開口部に近い位置に設けられる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷房送風装置。
【請求項6】
前記タンクは、前記タンク受け接触部側の底面が、前記ベース接触部側の底面よりも高い位置となるように設けられている請求項5に記載の冷房送風装置。
【請求項7】
前記ベース部は、溝部(15b)を有し、
前記タンク受け部は少なくとも前記駆動軸部が前記溝部の中に位置している請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の冷房送風装置。
【請求項8】
前記タンクは、前記幅方向において前記タンク受け部よりも大きい幅を有するタンク凹部(63b)を有し、前記タンク受け接触部は前記タンク凹部の一部である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の冷房送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、冷房送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外装体内に蒸発器、凝縮器、圧縮機、送風装置等が収容される冷房機が開示されている。特許文献1の冷房機は、蒸発器で発生したドレン水を貯留するタンクを有する。タンクは、外装体の底板に装着された受け板によって底面を受け止められた状態で、外装体内に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−240459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の冷房機では、タンク内のドレン水を捨てる際には、タンクにドレン水が貯留された状態を使用者が目視して確認する必要がある。そこで、冷房送風装置には、タンクを安定して支持しつつタンク内のドレン水の貯留状態を検知することが求められている。
【0005】
開示される目的は、安定してタンクを支持可能であり、タンク内の水の貯留状態を検知可能な冷房送風装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
開示された冷房送風装置のひとつは、蒸発器(21)と凝縮器(24)と圧縮機(23)と送風装置(30)とを筐体(10)内に有し、蒸発器を通過した空気を送風装置によって外部に送風する冷房送風装置であって、蒸発器よりも下方に設けられて、蒸発器にて発生した水を貯留するタンク(60)と、筐体の一部を構成し、タンクが載置されるベース部(15)と、駆動軸部(50a)を有し、タンクの荷重を受けて駆動軸部回りに回動自在となるようにベース部に設けられているタンク受け部(50)と、タンク受け部が所定の高さより下方に回動したことを検出する検出部(51)と、を備え、タンクは、幅方向におけるタンクの中央にてタンク受け部と接触するタンク受け接触部(65)と、タンク受け部の幅方向における両側にてベース部と接触するベース接触部(64)と、を有し、タンク受け接触部は、幅方向と交差する方向においてベース接触部に対して離間し、駆動軸部は、タンク受け接触部よりもベース接触部に近い位置に配置されている。
【0008】
この開示によれば、タンク受け部とタンク受け接触部との接触により、タンクの幅方向における中央で、且つ幅方向と交差する方向においてタンク受け接触部から離間して1箇所支持することができる。そしてベース部とベース接触部との接触により、幅方向におけるタンク受け接触部の両側を支持することができる。したがって、タンクを安定して支持することができる。さらに、タンク受け部がタンクからの荷重を受けて所定の高さよりも下方に回動した場合、すなわち、タンクが水の貯留により所定量以上の質量になった場合にこれを検出部によって検出することができる。このとき、タンク受け部の駆動軸部がタンク受け部よりもベース接触部に近い位置にあるので、タンク受け部のタンクとの接触部と駆動軸部との距離を比較的長くすることができる。これにより、回動時のタンク受け部のストローク量を小さくできるため、スムースな回動動作が可能となる。以上により、安定してドレンタンクを支持可能であり、ドレンタンク内の水の貯留状態を検知可能な冷房送風装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る冷房送風装置の正面斜視図である。
図2】第1実施形態に係る冷房送風装置の背面斜視図である。
図3】第1実施形態に係る冷房送風装置の側面図である。
図4】第1実施形態に係る冷房送風装置の背面図である。
図5】第1実施形態の冷房送風装置の背面板を外した状態の背面図である。
図6】第1実施形態の冷房送風装置のベース部を示す斜視図である。
図7】ベース部とマイクロスイッチとを示す分解斜視図である。
図8】ベース部に仕切部を取り付けた状態の図である。
図9】タンクが収容された状態の冷房送風装置の断面図である。
図10】タンクの底面部を示す斜視図である。
図11】ベース部にタンクを載置した状態を示す図である。
図12】タンクおよびベース部の断面図である。
図13】タンク受け部付近の断面図である。
図14】第2実施形態の冷房送風装置におけるタンクの底面部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態の冷房送風装置について、図1図13を参照して説明する。各図には、冷房送風装置1の上下方向VD、幅方向WD、奥行方向DDが図示されている。上下方向VDは、冷房送風装置1を床面や地面に設置した場合に、鉛直方向と実質一致する方向である。幅方向WDおよび奥行方向DDは、上下方向VDに垂直な方向である。幅方向WDと奥行方向DDは、互いに垂直な方向である。
【0011】
冷房送風装置1は、冷房対象とする人、物等に対して冷房風を送風することで局所的な冷房を提供する所謂スポットクーラである。冷房送風装置1は、使用する場所の床面や地面に載置された状態で使用される。冷房送風装置1は、車輪部70によって使用者がその載置場所を容易に移動させることが可能となっている。冷房送風装置1は、使用者の所望の場所において冷房を提供することができるスポットクーラである。冷房送風装置1は、図2に示すように、冷凍サイクルを提供するための複数の冷凍サイクル機能部品と、冷凍サイクルによって冷却された空気を冷房風として送風する送風ユニット30と、複数の冷凍サイクル機能部品および送風ユニット30を収容するための筐体10とを有する。
【0012】
筐体10は、例えば上下方向VDに長い略直方体状の箱体である。筐体10は、図1図5に示すように、上下方向VDおよび奥行方向DDに平行な外装面を有する2つの側面板12、13と、上下方向VDおよび幅方向WDに平行な外装面を有する背面板14とを有する。筐体10は、背面板14と奥行方向DDにおいて反対側の面に、吸込部16を有する。吸込部16は、外部の空気が筐体10内部に吸い込まれる際に通過する部分である。吸込部16は、例えば塵、埃等の異物を補足するフィルタによって提供される。筐体10の上面は、上面板11によって覆われている。筐体10の下面は、ベース部15によって覆われている。
【0013】
上面板11は、例えば金属製の板部材によって形成されている。上面板11は、筐体10内に吸い込まれた空気が吹き出される開口部が2つ設けられている。2つの開口部のうち一方は、蒸発器21を通過した空気が吹き出される第1開口部である。第1開口部には、例えばダクト40が接続されている。したがって、第1開口部を通過した空気はダクト40の内部を通過して外部へと吹き出されるようになっている。ダクト40は、例えば蛇腹状に構成されており、その吹出向きを自在に変えることができる。ダクト40は、その吹出向きを周期的に自動で変更可能な首振り機構を有していてもよい。また、第1開口部およびダクトは複数設けられていてもよい。2つの開口部のうち他方は、凝縮器24を通過した空気が吹き出される第2開口部11bである。第2開口部11bは、冷凍サイクルユニットで発生した排熱を外部へと放出するための放出口である。
【0014】
冷凍サイクルユニットは、複数の冷凍サイクル機能部品を有する。複数の冷凍サイクル機能部品とは、例えば蒸発器21、凝縮器24、圧縮機23、アキュムレータ22、キャピラリチューブ等である。複数の冷凍サイクル機能部品は、配管によって環状に接続されており、冷媒が循環可能となっている。
【0015】
蒸発器21は、吸込部16に奥行方向DDにおいて隣接して設けられ、吸込部16を通過した直後の空気が通過可能となるように配置されている。蒸発器21には、吸込部16の上部を通過した空気が通過する。凝縮器24は、蒸発器21と上下方向VDに並んで配置されている。凝縮器24は、蒸発器21の下方に設けられている。凝縮器24および蒸発器21は、その厚み方向が奥行方向DDと一致する向きで、上下方向VDに並んで設けられている。凝縮器24および蒸発器21は、吸込部16に隣接して筐体10内に収容されている。凝縮器24には、吸込部16の下部から吸い込まれた空気が通過する。圧縮機23は、図8に示すようにベース部15に固定されて設けられている。アキュムレータ22は、圧縮機23に固定されて設けられている。
【0016】
送風ユニット30は、回転駆動により空気を送風する2つのファンと、2つのファンを回転駆動するモータと、2つのファンおよびモータを収容するケーシングとを有する。送風ユニット30は、上面板11に隣接して設けられている。送風ユニット30は、吸込部16から空気を吸い込み外部へと吹き出すための送風装置である。2つのファンのうちの一方は、蒸発器21を通過する空気を送風する第1ファンである。送風ユニット30は、蒸発器21を通過して冷却された空気を冷房風として送風する。2つのファンのうちの他方は、凝縮器24を通過する空気を送風する第2ファンである。第1ファンおよび第2ファンは、例えば遠心多翼ファンによって提供される。または、軸流ファン、斜流ファン等によって提供されてもよい。第1ファンと第2ファンは、例えばそれぞれの軸方向を奥行方向DDと実質一致させて、奥行方向DDに並ぶようにケーシング内に設けられている。第1ファンは奥行方向DDにおいて第2ファンよりも吸込部16側に設けられている。第2ファンは奥行方向DDにおいて第1ファンよりも背面板14側に設けられている。
【0017】
モータは、例えばその回転軸の両端から回転運動を外部に伝達可能な両軸モータである。モータは、回転軸の一方の端部に第1ファンが取り付けられ、他方の端部に第2ファンが取り付けられている。モータは、回転軸の軸方向が奥行方向DDと実質一致するようにケーシング内に収容されている。ケーシングは、第1ファンにより送風される空気を吹き出す第1吹出口と、第2ファンにより送風される空気を吹き出す第2吹出口とを有する。第1吹出口は、上面板11の第1開口部と連通している。第2吹出口は、上面板11の第2開口部11bと連通している。
【0018】
タンク60は、蒸発器21において結露により発生した水を貯留する貯留部である。タンク60は、例えば樹脂によって形成されている。タンク60は、箱体状に形成されている。タンク60は、ベース部15に載置されて冷房送風装置1に収容される。タンク60は、図9に示すように仕切部17およびベース部15によって区画された収容空間に収容される。タンク60は、使用者が把持するための把持部62を有する。タンク60は、使用者が容易に収容空間から取り出したり収容空間に収容したりすることが可能である。タンク60は、タンク取出開口部19から収容空間の外部に取り出される。タンク60は、タンク取出開口部19から収容空間に収容される。タンク取出開口部19は、ベース部15および仕切部17の奥行方向DDにおける手前側の端部によって形成される。ここで手前側とは、冷房送風装置1において吸込部16を正面視した際の手前側である。タンク60は、底面部63にタンク凹部63bを有する。タンク凹部63bは、タンク60の幅方向WDにおける中央に形成されている。タンク凹部63bは、タンク60の奥行方向DDに延びるように形成されている。タンク凹部63bの幅方向WDの大きさは、タンク受け部50の幅方向WDの大きさよりも大きい。
【0019】
タンク60は、図9および図10に示すように、底面部63に突出部64を有する。突出部64は、例えばタンク60の幅方向WDにおいて底面部63の中央を挟んで両側に1つずつ形成されている。突出部64は、タンク60をベース部15に載置した際に、ベース部15と接触するベース接触部である。突出部64は、タンク60の奥行方向DDにおける中央よりも手前側に形成されている。タンク60は、ベース部15に載置された際にタンク受け部50と接触するタンク受け接触部65を有する。タンク受け接触部65は、例えばタンク60における底面部63の一部によって提供される。タンク受け接触部65は、タンク凹部63bの一部によって提供される。タンク受け接触部65は、タンク60の幅方向WDにおける中央でタンク受け部50と接触している。タンク受け接触部65は、2つの突出部64の並び方向と交差する方向において、2つの突出部64から離間している。第1実施形態におけるタンク60の場合、2つの突出部64の並び方向は、タンク60の幅方向WDと実質一致している。2つの突出部64は、タンク60が収容された状態において、タンク受け接触部65よりもタンク取出開口部19に近い側に形成されている。2つの突出部64は、奥行方向DDにおいてタンク受け接触部65よりも手前側に形成されている。
【0020】
ベース部15は、例えば金属製の板部材によって形成されている。図6に示すように、ベース部15には、タンク受け部50が設置される。ベース部15には、マイクロスイッチ51が取り付けられる。ベース部15の下面には、複数の車輪部70が取り付けられている。車輪部70は、使用者が冷房送風装置1を押したり引いたりするなどして移動させるための部材であり、所謂キャスターである。ベース部15には、圧縮機23が取り付けられる。ベース部15には、図11に示すように、タンク60が載置される。ベース部15は、上表面にタンク60の2つの突出部64とそれぞれ嵌合する2つの凹部15aを有する。凹部15aは、タンク60を所定の位置に載置した場合にタンク60の突出部64と嵌合する位置に設けられる。すなわち、凹部15aは、突出部64と嵌合することで、タンク60のベース部15に対する位置を規定する位置決め部としての機能を有する。凹部15aは、特許請求の範囲における嵌合部に相当する。ベース部15は、溝部15bを有する。溝部15bは、ベース部15の幅方向WDの中央において、奥行方向DDに延びるように形成されている。溝部15bには、タンク60を受けるタンク受け部50が設置される。
【0021】
タンク受け部50は、ベース部15に設置された状態において奥行方向DDに延びる板状の金属部材である。図12および図13に示すように、タンク受け部50は、駆動軸部50aを有する。駆動軸部50aは、例えばタンク受け部50の一方の端部によって提供される。駆動軸部50aは、タンク60の荷重を受けてタンク受け部50が下方に回動する際に、回動の軸となる部分である。すなわち、タンク受け部50は駆動軸部50a回りに回動する。駆動軸部50aは、ベース部15に設けられた状態で、タンク受け接触部65よりも突出部64に近い位置に配置されている。
【0022】
タンク受け部50は、駆動軸部50aでベース部15と接触し、ばね部材52によって駆動軸部50aと反対側の端部がベース部15から離間するように持ち上げられた状態でベース部15に設置されている。タンク受け部50は、タンク60の幅方向WDにおける中央でタンク受け接触部65と接触するように設けられている。タンク受け部50は、タンク60の奥行方向DDにおいて中央よりも背面板14に近い側でタンク受け接触部65と接触している。タンク受け部50は、ベース部15の幅方向WDにおける中央に設置されている。タンク受け部50は、ベース部15に形成された溝部15bに設置されている。
【0023】
ばね部材52は、タンク受け部50の下方で、タンク受け部50とベース部15とに挟まれて設けられている。ばね部材52は、タンク受け部50がタンク60から荷重を受けて下方へ回動する際に、復元力を反力としてタンク受け部50に付与する弾性部材である。ばね部材52は、タンク受け部50に対してベース部15から押し上げるように復元力を作用させる。ばね部材52は、この復元力とタンク60の荷重がタンク受け部50に与える作用力との釣り合いによって、タンク60の荷重に対応したタンク受け部50の回動量を調整する。これにより、タンク受け部50は、タンク60の荷重が大きいほど荷重がかかっていない状態からの回動量が大きくなる。換言すれば、タンク受け部50は、タンク60の荷重が大きいほど駆動軸部50aと反対側の端部がより下方に位置するように回動する。ばね部材52は、例えばつるまきばね、板ばね等によって提供される。ばね部材52は、タンク60内部に水が所定量貯留された際のタンク60の荷重によってタンク受け部50がマイクロスイッチ51のスイッチをオンにするように、その弾性率が調整されている。
【0024】
マイクロスイッチ51は、アクチュエータの動きを内部の可動接点に伝達して可動接点と固定接点との接触状態と離間状態とを切り替える機械式のスイッチ装置である。マイクロスイッチ51は、図7に示すようにベース部15に対して取り付けられる。マイクロスイッチ51は、タンク受け部50における駆動軸部50aと反対側の端部によってアクチュエータを押されることでスイッチオンの状態、すなわち可動接点と固定接点が接触した状態となる。マイクロスイッチ51は、タンク受け部50が所定量以上回動した場合、すなわちタンク受け部50が所定の高さより下方に回動した場合にスイッチオンの状態となるようにその取り付け位置を決定されている。マイクロスイッチ51は、タンク受け部50の所定量以上の回動を検出する検出部である。ここで、タンク受け部50が所定量以上回動した場合とは、タンク60に水が所定水量以上貯留された状態である。マイクロスイッチ51は、スイッチオン状態で、タンク60に水が所定量以上貯留されたことを報知部に報知させるための電気回路に通電を行う。報知部は、ランプの点灯等の視覚情報またはブザー等の聴覚情報によって報知を行う。
【0025】
ベース部15にタンク60を載置した状態において、タンク60は、タンク受け接触部65でタンク受け部50と接触し、2つの突出部64によってベース部15と接触している。すなわち、タンク60は、1箇所をタンク受け部50によって支持され、2箇所をベース部15によって支持された所謂3点支持の状態で、ベース部15に載置される。突出部64は、タンク60の荷重により上下方向に動くタンク受け接触部65の、幅方向WDにおける両側でベース部15と接触しているため、タンク60をより安定して支持することができる。また、タンク受け接触部65は2つの突出部64の並び方向と交差する方向に突出部64から離間しているため、3点支持による安定性がより向上されている。
【0026】
ベース部15にタンク60を載置した状態において、タンク60の底面部63は、突出部64側よりもタンク受け接触部65側の方が高い位置にある。タンク60は、底面部63が奥行方向DDにおいて手前側から奥側に向かって位置が高くなるように傾斜した状態で、タンク受け部50により支持されている。
【0027】
次に、タンク受け部50によってタンク60に水が貯留されたことを報知する一連の作動について説明する。タンク60は、冷房送風装置1に収容された状態で、タンク受け部50と接触している。タンク60に水が貯留されていない状態あるいは所定量未満の水が貯留されている状態では、タンク受け部50は、ばね部材52によって持ち上げられ、マイクロスイッチ51を押さない状態となっている。タンク60に水が貯留され、その水量が増加すると、タンク受け部50がタンク60から受ける荷重が増加する。これにより、タンク受け部50は、駆動軸部50aを軸にして回動する。タンク60に水が所定水量以上貯留され、タンク受け部50が所定の高さよりも下方に回動すると、タンク受け部50はマイクロスイッチ51のスイッチを押す。これにより、冷房送風装置1は、タンク60に水が所定量貯留されたことを報知し、使用者に対してタンク60内の水を排出するように促すことができる。
【0028】
次に第1実施形態の冷房送風装置1がもたらす作用効果について説明する。第1実施形態の冷房送風装置1は、蒸発器21と凝縮器24と圧縮機23と送風ユニット30とを筐体10内に有し、蒸発器21を通過した空気を送風ユニット30によって外部に送風する冷房送風装置1である。冷房送風装置1は、蒸発器21にて発生した水を貯留するタンク60と、タンク60が載置されるベース部15とを有する。冷房送風装置1は、駆動軸部50aを有し、タンク60の荷重を受けて駆動軸部50a回りに回動可能なタンク受け部50と、タンク受け部50が所定の高さより下方に回動したことを検出するマイクロスイッチ51とを備える。タンク60は、タンク60の幅方向WDにおける中央にてタンク受け部50と接触するタンク受け接触部65と、タンク受け部50の幅方向WDにおける両側にてベース部15と接触する複数の突出部64とを有する。タンク受け接触部65は、幅方向WDと交差する方向において複数の突出部64に対して離間し、駆動軸部50aは、タンク受け接触部65よりも突出部64に近い位置に配置されている。
【0029】
これによれば、タンク60を少なくとも3箇所で支持した状態でベース部15に載置することができる。すなわち、タンク受け部50とタンク受け接触部65との接触により、タンク60の幅方向における中央で、且つ突出部64の並び方向と交差する方向においてタンク受け接触部65から離間して1箇所支持することができる。そして、ベース部15と突出部64との接触により、幅方向WDにおけるタンク受け接触部65の両側を支持することができる。したがって、タンク60を安定して支持することができる。さらに、タンク受け部50がタンク60からの荷重を受けて所定の高さよりも下方に回動した場合、すなわち、タンク60が水の貯留により所定量以上の質量になった場合にこれをマイクロスイッチ51によって検出することができる。このとき、タンク受け部50の駆動軸部50aがタンク受け部50よりも突出部64に近い位置にあるので、タンク受け部50のタンク60との接触部と駆動軸部50aとの距離を比較的長くすることができる。これにより、回動時のタンク受け部50のストローク量を小さくできるため、スムースな回動動作が可能となる。以上により、安定してタンク60を支持可能であり、タンク60内の水の貯留状態を検知可能な冷房送風装置1を提供することができる。
【0030】
ベース部15は、タンク60の突出部64と嵌合する凹部15aを有する。これによれば、タンク60を載置する際に、突出部64を凹部15aに嵌合するように載置することで、タンク60のベース部15に対する位置を位置決めすることができる。したがって、タンク60がベース部15に対して適正な位置からずれることを抑制することができる。
【0031】
冷房送風装置1は、タンク60を外部に取り出すタンク取出開口部19を有し、2つの突出部64は、タンク受け接触部65よりもタンク取出開口部19に近い位置に設けられる。これによればタンク60のタンク取出開口部19に近い側を安定して支持することができる。したがって、タンク60をスムースに取り出すことができる。
【0032】
タンクは、タンク受け接触部65側の底面部63が、突出部64側の底面部63よりも高い位置となるように設けられている。これによれば、タンク取出開口部19から遠い側の底面部63が高くなっているため、タンク60をよりスムースに取り出すことが可能となる。
【0033】
ベース部15は、溝部15bを有し、タンク受け部50は少なくとも駆動軸部50aがベース部15の溝部15bの中に位置している。これによれば、タンク受け部50の少なくとも駆動軸部50aを溝部15bの中に収容できるため、ベース部15とタンク60の底面部63との間隔が大きくなることを抑制することができる。
【0034】
タンク60は、幅方向WDにおいてタンク受け部50よりも大きい幅を有するタンク凹部63bを有し、タンク受け接触部65はタンク凹部63bの一部である。これによれば、タンク受け部50は、タンク60がベース部15に載置された状態において、タンク60のタンク凹部63bの内部に収容された状態となる。したがって、タンク60のベース部15に対する位置決めをより確実に行うことができる。
【0035】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態における冷房送風装置1の変形例について説明する。図14において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0036】
タンク60は、突出部264を有する。突出部264は、第1実施形態の突出部64と同様に、タンク60がベース部15に載置された状態でベース部15と接触する部分である。したがって、突出部264は、タンク受け接触部65とともに載置されたタンク60を支持する部分である。突出部264は、底面部63において幅方向WDに延びるように設けられている。突出部264は、幅方向WDにおいてタンク受け接触部65の両側に延びるように設けられている。すなわち、突出部264は、少なくともタンク受け接触部65の幅方向WDにおける両側でベース部15と接触するように設けられている。
【0037】
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0038】
上述の実施形態において、駆動軸部50aは、タンク受け部50の一方の端部によって提供されるとしたが、駆動軸部の構成はこれに限定されない。例えば、タンク受け部が幅方向WDに延びる棒状の軸部材を駆動軸部として有し、この軸部材がベース部15に回動自在に取り付けられる構成であってもよい。
【0039】
上述の実施形態において、タンク60は突出部を有し、ベース部15の凹部15aと嵌合する構成である。これに代えて、タンク60が凹部を有し、ベース部15に形成された突出部と嵌合する構成であってもよい。この場合、タンク60の凹部が、ベース部15と接触するベース接触部に相当する。また、タンク60の突出部が、ベース部15の凹部15aと嵌合することなくベース部15の上表面に接触した状態でタンク60が載置される構成であってもよい。
【0040】
上述の実施形態において、タンク60は底面部63から突出する突出部をベース接触部として有する。これに代えて、タンク60が突出部を有さない構成としてもよい。例えば、タンク60の底面部63の所定の領域がベース部15と接触する構成であってもよい。この場合、底面部63におけるベース部15と接触する領域がベース接触部に相当する。
【0041】
上述の実施形態において、タンク受け接触部65はタンク60の幅方向WDにおける中央でタンク受け部50と接触するとしたが、厳密に中央で接触する構成である必要はなく、多少中央から幅方向WDにずれた位置で接触する構成であってもよい。タンク受け接触部65は、結果的にタンク60が3点支持により安定してベース部15に載置されていれば、幅方向WDにおいて多少中央から幅方向WDにずれた位置で接触していてもよい。
【0042】
上述の実施形態において、タンク受け部50がタンク60から荷重を受けて回動する際に、その回動向きとは反対の向きに反力を付与する弾性部材として、ばね部材52を用いるとした。これに代えて、ゴム部材等の弾性を有する素材を弾性部材として適用してもよい。また、ガス等の圧縮による反力をタンク受け部50に付与するダンパ部材をばね部材52の代わりに用いてもよい。
【0043】
上述の実施形態において、ばね部材52は、タンク受け部50の下方に設けられ、タンク受け部50を押し上げるようにして復元力をタンク受け部50へと付与しているとした。これに代えて、ばね部材は、タンク受け部50を吊り下げるように設けられ、タンク受け部50を吊り上げるようにして復元力をタンク受け部50に付与する構成であってもよい。
【0044】
上述の実施形態において、冷房送風装置1は、車輪部70によって使用者が所望の場所に容易に移動できる構成であるとした。これに代えて、冷房送風装置は、車輪部70を有さない所謂据え置き型の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 筐体、 15 ベース部、 15a 凹部(嵌合部)、 15b 溝部、 19 タンク取出開口部、 21 蒸発器、 23 圧縮機、 24 凝縮器、 30 送風ユニット(送風装置)、 50 タンク受け部、 50a 駆動軸部、 51 マイクロスイッチ(検出部)、 60 タンク、 63b タンク凹部、 64 突出部(ベース接触部)、 65 タンク受け接触部。
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