特許第6816571号(P6816571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816571
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】ピン及びチェーン
(51)【国際特許分類】
   F16G 13/06 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   F16G13/06 E
   F16G13/06 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-43052(P2017-43052)
(22)【出願日】2017年3月7日
(65)【公開番号】特開2018-146063(P2018-146063A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】神尾 竜矢
(72)【発明者】
【氏名】木原 正揮
【審査官】 鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−085238(JP,A)
【文献】 特開2009−125802(JP,A)
【文献】 特開2014−066257(JP,A)
【文献】 特開2002−098121(JP,A)
【文献】 特開2014−234881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンのリンクに形成された貫通孔に挿入された状態で軸方向の圧縮力が付与されることによってかしめられる第1端部と、
部品が取り付けられる取付部が形成された第2端部と、
を備え、
前記第2端部の先端部には、前記圧縮力を吸収可能な吸収部が設けられていることを特徴とするピン。
【請求項2】
前記吸収部における前記軸方向と直交する断面積は、前記取付部における前記軸方向と直交する断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のピン。
【請求項3】
前記吸収部は、前記圧縮力を受けて塑性変形することによって前記圧縮力を吸収し、塑性変形後の前記軸方向と直交する断面積が前記取付部の前記軸方向と直交する断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のピン。
【請求項4】
前記第1端部の先端面には、圧縮力付与部材を介して前記圧縮力が付与される際に、前記圧縮力付与部材の一部が挿入される凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のピン。
【請求項5】
前記凹部の周壁には、複数の切欠溝が周方向に等間隔となるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載のピン。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載のピンを備えたチェーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピン及びピンを備えたチェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒状のブシュの両端部を一対の内プレートのブシュ圧入穴に圧入して構成される内リンクと、ブシュに挿通された円柱形ピンの両端部を一対の外プレートのピン圧入穴に圧入して構成される外リンクとを備えたチェーンが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなチェーンでは、円柱形ピンにおける一対の外プレートの外側に突出した部分をプレス機によりかしめ治具を介してかしめている。こうすることで、円柱形ピンが一対の外プレートのピン圧入穴から抜けたり当該ピン圧入穴に対して回転したりしないようにしている。
【0003】
また、上述のようなチェーンの中には、ピンの基端部が外プレートにかしめられ、ピンの先端部にねじ部が形成されたものがある(例えば、特許文献2参照)。このようなチェーンでは、ピンの基端部を外プレートにかしめた後、ピンの先端部をフライト(部品)の孔に通し、その状態でねじ部にナット(部品)を締め込むことにより、ピンの先端部にフライトが取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−85238号公報
【特許文献2】特開2009−190850号公報(図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に記載されたようなチェーンでは、通常、ピンにおける基端側を外プレートにかしめる際にピンにおける基端側に軸方向の力が付与されるため、この力を受けることができるようにピンにおける先端側が治具などで支えられる。このため、ピンに対して軸方向の圧縮力が作用するので、この圧縮力によってねじ部(ナットの取付部)やフライトの取付部が変形するおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、ピンに軸方向の圧縮力が作用した場合に取付部が変形することを抑制できるピン及びチェーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するピンは、チェーンのリンクに形成された貫通孔に挿入された状態で軸方向の圧縮力が付与されることによってかしめられる第1端部と、部品が取り付けられる取付部が形成された第2端部と、を備え、前記第2端部の先端部には、前記圧縮力を吸収可能な吸収部が設けられている。
【0008】
この構成によれば、第1端部がかしめられる際にピンに付与される軸方向の圧縮力を吸収部によって吸収することができるので、取付部に作用する圧縮力を低減できる。したがって、ピンに軸方向の圧縮力が作用した場合に取付部が変形することを抑制できる。
【0009】
上記ピンにおいて、前記吸収部における前記軸方向と直交する断面積は、前記取付部における前記軸方向と直交する断面積よりも小さいことが好ましい。
この構成によれば、吸収部の剛性が取付部の剛性よりも低くなるので、ピンに軸方向の圧縮力が作用した場合に取付部よりも先に吸収部を変形させることができる。
【0010】
上記ピンにおいて、前記吸収部は、前記圧縮力を受けて塑性変形することによって前記圧縮力を吸収し、塑性変形後の前記軸方向と直交する断面積が前記取付部の前記軸方向と直交する断面積よりも小さいことが好ましい。
【0011】
この構成によれば、部品を取付部に取り付ける際に、塑性変形後の吸収部が障害になることを抑制できる。
上記ピンにおいて、前記第1端部の先端面には、圧縮力付与部材を介して前記圧縮力が付与される際に、前記圧縮力付与部材の一部が挿入される凹部が形成されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、凹部によって圧縮力付与部材を位置決めすることができる。
上記ピンにおいて、前記凹部の周壁には、複数の切欠溝が周方向に等間隔となるように形成されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、圧縮力付与部材から凹部に軸方向の圧縮力が作用した際に、凹部の周壁が径方向の外側に均等に倒れるように変形するため、第1端部をリンクに形成された貫通孔に好適にかしめることができる。
【0014】
上記課題を解決するチェーンは、上記構成のピンを備えた。
この構成によれば、上記構成のピンと同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ピンに軸方向の圧縮力が作用した場合に取付部が変形することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態のチェーンの一部を示す平面図。
図2図1の要部拡大断面図。
図3図1の側面図。
図4】チェーンに組み込まれる前の連結ピンの側面図。
図5図4の連結ピンの正面図。
図6図4の連結ピンの第1端部を第1外リンクプレートの第1ピン挿入孔に挿入したときの状態を示す一部破断図。
図7図4の連結ピンの第1端部を第1外リンクプレートの第1ピン挿入孔にかしめるときの状態を示す一部破断図。
図8図6の側面図。
図9図4の連結ピンの第1端部を第1外リンクプレートの第1ピン挿入孔にかしめたときの状態を示す側面図。
図10】変更例のチェーンの一部を示す平面図。
図11】別の変更例のチェーンの一部を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、チェーンの実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、チェーン11は、鋼材によって構成され、互いに幅方向Yで対向して離れて配置される一対の内リンクプレート12を各々有した複数の内リンク13と、一対の内リンクプレート12を幅方向Yの外側から挟むように配置される一対の外リンクプレート14を各々有した複数の外リンク15とを備えている。
【0018】
図1及び図3に示すように、内リンク13の内リンクプレート12及び外リンク15の外リンクプレート14は、チェーン11が幅方向Yと直交する長手方向Xに沿って延びる略矩形板状をなしており、長手方向Xの両端部が丸みを帯びている。幅方向Yで対向する内リンクプレート12及び外リンクプレート14は、互いに平行となるように配置されている。
【0019】
図2に示すように、内リンクプレート12の長手方向Xにおける両端部には、それぞれ円形のブシュ挿入孔16が内リンクプレート12の厚さ方向ともなる幅方向Yに貫通するように形成されている。内リンク13において対向する一対の内リンクプレート12間には、これら一対の内リンクプレート12間の距離を保つように円筒状のブシュ17が2つ組み付けられる。
【0020】
ブシュ17は、その両端部が一対の内リンクプレート12のブシュ挿入孔16に対してそれぞれ回転不能に嵌合されている。ブシュ17は、円筒状のローラ18に挿入されることでローラ18を回転可能に支持している。すなわち、ブシュ17は、ローラ18に遊嵌されている。
【0021】
外リンクプレート14の長手方向Xにおける両端部には、それぞれブシュ17に挿入可能な略円柱状のピンの一例としての連結ピン20が挿入される貫通孔の一例としての円形のピン挿入孔21が外リンクプレート14の厚さ方向ともなる幅方向Yに貫通するように形成されている。幅方向Yで対向する一対の外リンクプレート14のうち、一方は第1外リンクプレート14aとされ、他方は第2外リンクプレート14bとされている。第1外リンクプレート14aのピン挿入孔21は第1ピン挿入孔21aとされ、第2外リンクプレート14bのピン挿入孔21は第2ピン挿入孔21bとされている。
【0022】
図2及び図3に示すように、連結ピン20は、その軸方向の両端部がそれぞれ第1端部22及び第2端部23とされている。第1外リンクプレート14aの第1ピン挿入孔21aにおける幅方向Yの外側の端部には、C面取りを施すことによって円環状の斜面24が形成されている。連結ピン20の第1端部22は、第1外リンクプレート14aの第1ピン挿入孔21aに挿入された状態で連結ピン20に軸方向の圧縮力を付与することによってかしめられている。
【0023】
連結ピン20の第1端部22の先端面22aは、第1外リンクプレート14aの幅方向Yの外側面とほぼ面一になっている。連結ピン20の第1端部22の先端面22aにおける中央部には、円形の凹部25が形成されている。凹部25の周壁26には、複数(本実施形態では4つ)の切欠溝27が周方向に等間隔となるように形成されている。凹部25の周壁26は、連結ピン20の第1端部22が第1外リンクプレート14aにかしめられる際に付与される軸方向の圧縮力を受けて径方向の外側に均等に倒れるように変形して第1ピン挿入孔21aの斜面24に接触している。
【0024】
図2に示すように、連結ピン20の第2端部23には、部品の一例としての第2外リンクプレート14bが取り付けられる取付部の一例としてのプレート取付部28が形成されている。連結ピン20の第2端部23におけるプレート取付部28と先端側で隣り合う位置には、プレート取付部28に取り付けられた第2外リンクプレート14bを幅方向Yの外側から固定するための部品の一例としてのナット29が螺合することによって取り付けられる取付部の一例としての雄ねじ部30が形成されている。
【0025】
連結ピン20の第2端部23の先端面23aには、連結ピン20に軸方向の圧縮力が付与された場合にこの圧縮力を吸収可能な円柱状の吸収部31が突出するように設けられている。吸収部31は、連結ピン20の第1端部22が第1外リンクプレート14aの第1ピン挿入孔21aに挿入された状態で連結ピン20に軸方向の圧縮力が付与されることによってかしめられる際に、この圧縮力を受けて先端部分31aが平たく潰れるように塑性変形することによってこの圧縮力を吸収する。
【0026】
吸収部31における塑性変形していない部分の軸方向と直交する断面積は、雄ねじ部30における軸方向と直交する断面積よりも小さくなっている。すなわち、吸収部31における塑性変形していない部分の外径は、雄ねじ部30の谷径よりも小さくなっている。吸収部31における塑性変形後の軸方向と直交する断面積は、雄ねじ部30における軸方向と直交する断面積よりも小さくなっている。すなわち、吸収部31における塑性変形した先端部分31aの軸方向と直交する最大幅は、雄ねじ部30の谷径よりも小さくなっている。
【0027】
連結ピン20の第2端部23のプレート取付部28は、第2外リンクプレート14bの第2ピン挿入孔21bに挿入されている。連結ピン20の第2端部23の雄ねじ部30には、ナット29が螺合されている。このナット29を締めることにより、第2外リンクプレート14bが第2ピン挿入孔21bにおいてプレート取付部28に固定される。
【0028】
一対の外リンクプレート14は、一対の内リンクプレート12を幅方向Yの外側から挟むように配置された状態で、連結ピン20及びブシュ17を介して一対の内リンクプレート12に対して回動自在に連結される。この場合、連結ピン20は、両端部(第1端部22及び第2端部23)以外の中間部32が内リンク13の一対の内リンクプレート12間に組み付けられたブシュ17に回転可能に挿入された状態で、両端部が外リンク15の一対の外リンクプレート14のピン挿入孔21に対して回転不能に接合されている。
【0029】
したがって、チェーン11は、長手方向Xで隣り合う内リンク13の内リンクプレート12と外リンク15の外リンクプレート14とが長手方向Xの端部同士で連結ピン20及びブシュ17を介して回動自在に連結されている。
【0030】
次に、チェーン11を組み立てる際の作用について説明する。
図4及び図5に示すように、チェーン11に組み込まれる前の未使用の連結ピン20は、第1端部22における凹部25の周壁26及び第2端部23における吸収部31が全く変形していない。未使用の連結ピン20は、第1端部22の外径及び第2端部23の外径がブシュ17に挿入される中間部32の外径よりも若干小さくなっている。連結ピン20の中間部32の外径は、外リンクプレート14のピン挿入孔21の径よりも若干大きくなっている。
【0031】
図6に示すように、チェーン11を組み立てる場合には、まず、未使用の連結ピン20の第1端部22を第1外リンクプレート14aの第1ピン挿入孔21aに挿入した状態にする。この状態で、図7に示すように、連結ピン20の第2端部23を有底円筒状の治具33に挿入し、吸収部31の先端面を治具33の内底面に接触させる。続いて、治具33を固定した状態で、円錐台状に形成された先端部を有する圧縮力付与部材34の先端部の一部を第1端部22の凹部25内に挿入する。これにより、圧縮力付与部材34が位置決めされる。
【0032】
続いて、圧縮力付与部材34をプレス機(図示略)により連結ピン20に向けて徐々に押すと、連結ピン20全体に対して軸方向の圧縮力が付与される。この圧縮力により、凹部25の周壁26が図8に示す変形前の状態から径方向の外側に均等に倒れて広がるように変形した図9に示す状態に変化する。このとき、連結ピン20の第1端部22の先端面22aは、第1外リンクプレート14aの幅方向Yの外側面と面一になることが好ましいが、第1ピン挿入孔21a内に完全に収容されていてもよい。
【0033】
連結ピン20に付与される軸方向の圧縮力は、第2端部23のプレート取付部28、雄ねじ部30、吸収部31にも作用する。しかし、プレート取付部28及び雄ねじ部30に付与される圧縮力の大半は、吸収部31の先端部分31aが図7の破線で示す変形前の状態から図7の実線で示す平たく潰れるように塑性変形した状態に変化することによって吸収される。このため、連結ピン20に付与される軸方向の圧縮力によるプレート取付部28及び雄ねじ部30の変形が効果的に抑制される。
【0034】
続いて、図2に示すように、第1端部22が第1外リンクプレート14aにかしめられた状態の連結ピン20を、ローラ18に挿通された状態で一対の内リンクプレート12に組み付けられたブシュ17に挿通する。続いて、連結ピン20の第2端部23のプレート取付部28を第2外リンクプレート14bの第2ピン挿入孔21bに挿入する。このとき、プレート取付部28は、上述した連結ピン20に付与される軸方向の圧縮力によってほとんど変形していないので、第2ピン挿入孔21bに円滑に挿入される。
【0035】
続いて、連結ピン20の第2端部23の雄ねじ部30にナット29を螺合した状態でナット29を締めると、第2外リンクプレート14bが第2ピン挿入孔21bにおいてプレート取付部28に固定される。このとき、雄ねじ部30は、上述した連結ピン20に付与される軸方向の圧縮力によってほとんど変形していないので、ナット29と円滑に螺合する。さらにこのとき、吸収部31における塑性変形した先端部分31aの軸方向と直交する最大幅は、雄ねじ部30の谷径よりも小さくなっている。このため、吸収部31における塑性変形した先端部分31aは、ナット29と雄ねじ部30との螺合を妨げない。
【0036】
上述のようにして、内リンク13と外リンク15とを順次交互に直列に連結することによりチェーン11が組み立てられる。
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
【0037】
(1)連結ピン20において、第2端部23の先端面23aには、連結ピン20に作用する軸方向の圧縮力を吸収可能な吸収部31が設けられている。このため、第1端部22が第1外リンクプレート14aにかしめられる際に連結ピン20に付与される軸方向の圧縮力を吸収部31によって吸収することができるので、プレート取付部28及び雄ねじ部30に作用する圧縮力を低減できる。したがって、連結ピン20に軸方向の圧縮力が作用した場合にプレート取付部28及び雄ねじ部30が変形することを抑制できる。よって、連結ピン20に作用する軸方向の圧縮力によってプレート取付部28及び雄ねじ部30のそれぞれの寸法精度が低下することを抑制できる。
【0038】
(2)連結ピン20において、吸収部31における軸方向と直交する断面積は、プレート取付部28及び雄ねじ部30における軸方向と直交するそれぞれの断面積よりも小さい。このため、吸収部31の剛性がプレート取付部28及び雄ねじ部30のそれぞれの剛性よりも低くなる。したがって、連結ピン20に軸方向の圧縮力が作用した場合にプレート取付部28及び雄ねじ部30よりも先に吸収部31を変形させることができる。よって、吸収部31によりプレート取付部28及び雄ねじ部30に作用する圧縮力を効果的に低減できる。
【0039】
(3)連結ピン20において、吸収部31は、圧縮力を受けて塑性変形することによって圧縮力を吸収し、塑性変形後の軸方向と直交する断面積がプレート取付部28及び雄ねじ部30の軸方向と直交するそれぞれの断面積よりも小さい。このため、プレート取付部28及び雄ねじ部30に第2外リンクプレート14b及びナット29をそれぞれ取り付ける際に、塑性変形後の吸収部31の先端部分31aが障害になることを抑制できる。
【0040】
(4)連結ピン20において、第1端部22の先端面22aには、圧縮力付与部材34を介して圧縮力が付与される際に、圧縮力付与部材34の先端部の一部が挿入される凹部25が形成されている。このため、凹部25によって圧縮力付与部材34を位置決めすることができる。
【0041】
(5)連結ピン20において、凹部25の周壁26には、複数の切欠溝27が周方向に等間隔となるように形成されている。このため、圧縮力付与部材34から凹部25に軸方向の圧縮力が作用した際に、凹部25の周壁26が径方向の外側に均等に倒れるように変形する。したがって、第1端部22を第1外リンクプレート14aの第1ピン挿入孔21aに好適にかしめることができる。
【0042】
(変更例)
なお、上記実施形態は次のように変更してもよい。
図10に示すように、連結ピン20における第1端部22の凹部25を省略し、第1端部22の先端面22aをハンマーなどによる打撃によって変形させることで第1端部22を第1外リンクプレート14aにかしめるようにしてもよい。この場合、連結ピン20における第2端部23には、プレート取付部28及び雄ねじ部30の代わりに、第2外リンクプレート14b及びナット29以外の部品を取り付けることが可能な部品取付部40を取付部として形成してもよい。
【0043】
図11に示すように、チェーン41における幅方向Yで対向する一対の外リンクプレート42における長手方向Xに並ぶ2つの連結ピン43同士の間に形成した貫通孔の一例としての孔44に、取付ピン46をピンとしてかしめるようにしてもよい。取付ピン46は、部品を取り付けることが可能な部品取付部45を有している。部品取付部45の外径は、取付ピン46における部品取付部45以外の部位の外径よりも大きくしてもよい。なお、チェーン41では、取付ピン46及び連結ピン43は、いずれも端面をハンマーなどによる打撃によって変形させることで外リンクプレート42にかしめられている。
【0044】
・連結ピン20において、凹部25の周壁26には、必ずしも切欠溝27を形成する必要はない。
・連結ピン20において、凹部25の形状は、円形に限らず、四角形や六角形などの多角形であってもよいし、楕円形であってもよい。
【0045】
・連結ピン20において、凹部25の周壁26に形成する切欠溝27の数は任意に変更してもよい。
・連結ピン20において、凹部25の周壁26に形成する複数の切欠溝27は、必ずしも周方向に等間隔となるように形成する必要はない。
【0046】
・連結ピン20において、凹部25は省略してもよい。
・連結ピン20において、吸収部31は、塑性変形後の軸方向と直交する断面積が必ずしもプレート取付部28及び雄ねじ部30の軸方向と直交するそれぞれの断面積よりも小さい必要はない。吸収部31は、塑性変形後の軸方向と直交する断面積がプレート取付部28及び雄ねじ部30の軸方向と直交するそれぞれの断面積と同じ以上である場合、プレート取付部28及び雄ねじ部30に第2外リンクプレート14b及びナット29をそれぞれ取り付ける前に、塑性変形した先端部分31aが切除される。
【0047】
・連結ピン20において、吸収部31における塑性変形前の軸方向と直交する断面積は、必ずしもプレート取付部28及び雄ねじ部30における軸方向と直交するそれぞれの断面積よりも小さい必要はない。この場合、吸収部31は、塑性変形後に切除される。
【0048】
・連結ピン20において、吸収部31は、先端に向かうほど外径が小さくなる円錐台状に形成してもよい。このようにすれば、連結ピン20に軸方向の圧縮力が作用した際に吸収部31が座屈することを抑制できる。
【符号の説明】
【0049】
11,41…チェーン、14b…部品の一例としての第2外リンクプレート、20…ピンの一例としての連結ピン、21…貫通孔の一例としてのピン挿入孔、22…第1端部、23…第2端部、25…凹部、26…周壁、27…切欠溝、28…取付部の一例としてのプレート取付部、29…部品の一例としてのナット、30…取付部の一例としての雄ねじ部、31…吸収部、34…圧縮力付与部材、40,45…取付部の一例としての部品取付部、44…貫通孔の一例としての孔、46…ピンの一例としての取付ピン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11