特許第6816599号(P6816599)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816599
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】飲料抽出装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/32 20060101AFI20210107BHJP
   A47J 31/10 20060101ALI20210107BHJP
   G07F 13/06 20060101ALN20210107BHJP
   A47J 31/36 20060101ALN20210107BHJP
【FI】
   A47J31/32
   A47J31/10
   !G07F13/06 103
   !A47J31/36 119
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-57663(P2017-57663)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-102894(P2018-102894A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年12月16日
(31)【優先権主張番号】特願2016-249341(P2016-249341)
(32)【優先日】2016年12月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 洋平
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−515198(JP,A)
【文献】 特開2003−299576(JP,A)
【文献】 特開2010−069187(JP,A)
【文献】 実開平2−104487(JP,U)
【文献】 米国特許第5153016(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/10
A47J 31/32
A47J 31/36
G07F 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通孔が形成された円板状を成し、側面が円筒状のシリンダの内面に接した状態で該シリンダの中心軸方向に沿って移動可能なメッシュ部材を備え、
前記シリンダの内部に投入された飲料原料と湯とから前記メッシュ部材の移動により飲料を抽出して該シリンダの外部に吐出する飲料抽出装置であって、
前記シリンダの中心軸方向に直交する方向に沿って第1位置と第2位置との間で移動可能なカバー部材と、
下端部が上下方向に沿って揺動可能となる態様で上端部が前記カバー部材に軸支され、常態においては下端部が上端部よりも下方となる基準姿勢となるものであり、かつ前記カバー部材が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動する場合に、前記下端部が前記メッシュ部材に摺動して該メッシュ部材に載置された抽出滓を除去するスクレーパ部と、
前記カバー部材が該第2位置に近接する場合に、前記メッシュ部材に摺動した前記スクレーパ部に当接することにより該スクレーパ部を前記下端部が上方に向けて揺動した姿勢にさせる当接部材と
を備えたことを特徴とする飲料抽出装置。
【請求項2】
常態においては前記スクレーパ部を前記基準姿勢に維持する一方、前記スクレーパ部が前記当接部材に当接された場合には該スクレーパ部を前記下端部が前記上端部と略同一の高さレベルとなる水平姿勢に維持する姿勢調整手段を備え、
前記姿勢調整手段は、前記カバー部材が前記第2位置から前記第1位置に移動する場合に、前記水平姿勢のスクレーパ部がその途中で姿勢戻し突起に当接されたときには該スクレーパ部を前記基準姿勢にさせることを特徴とする請求項1に記載の飲料抽出装置。
【請求項3】
前記当接部材に設けられ、前記カバー部材が前記第2位置から前記第1位置に移動する場合に、前記水平姿勢に維持された前記スクレーパ部の表面に先端部が摺接することで該表面に付着した抽出滓を除去する除去部材を備えたことを特徴とする請求項2に記載の飲料抽出装置。
【請求項4】
前記シリンダは、下面開口が底部により閉塞された有底円筒状の形態を成し、
前記メッシュ部材は、前記抽出した飲料の吐出時に前記シリンダの上面開口を閉成するものであり、
前記カバー部材は、前記第1位置に配置される場合には、前記シリンダの上面開口を開放する一方、前記第2位置に配置される場合には、前記シリンダの上面開口を閉塞することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の飲料抽出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料抽出装置に関し、より詳細には、例えば飲料サーバーやカップ式飲料自動販売機等に適用される飲料抽出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば飲料サーバーやカップ式飲料自動販売機等に適用される飲料抽出装置として、シリンダ、フィルタブロック、シリンダヘッド及びスクレーパ部を備えたものが知られている。
【0003】
シリンダは、円筒状の形態を成す抽出容器である。フィルタブロックは、フィルタを内蔵し、シリンダの下面開口を開閉するものである。シリンダヘッドは、シリンダの上面開口を開閉するものである。スクレーパ部は、水平方向に沿って移動可能に設けられており、移動することによりフィルタブロックのフィルタに載置された抽出滓を除去するためのものである。
【0004】
このような構成を有する飲料抽出装置では、次のようにして飲料を抽出している。フィルタブロックにより下面開口が閉塞されたシリンダに対し、開放された状態の上面開口を通じて飲料原料及び湯がそれぞれ原料供給装置及び湯供給装置から投入される。シリンダの内部に投入された飲料原料及び湯は、フィルタブロックに接続された第1エア供給経路からシリンダの内部に供給されるエアにより撹拌される。その後、第1エア供給経路からのエアの供給が停止される。
【0005】
そして、シリンダヘッドによりシリンダの上面開口が閉塞され、該シリンダヘッドに接続された第2エア供給経路からシリンダの内部にエアが供給されるとともに、フィルタブロックに接続された抽出経路が開放される。これにより、シリンダの内部の撹拌液は、フィルタブロックのフィルタを介して飲料として抽出され、抽出経路を通過し外部に吐出される。
【0006】
上記飲料抽出装置では、飲料が抽出されて吐出された後、フィルタブロック及びシリンダヘッドをシリンダから離脱させ、スクレーパ部を水平方向に沿って移動させることによりフィルタブロックのフィルタに載置された抽出滓を掻き取るようにして該フィルタブロックから除去している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4760549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した飲料抽出装置では、スクレーパ部を移動させてフィルタに載置された抽出滓を掻き取るようにしているが、スクレーパ部を水平方向に沿って移動させているに過ぎない。そのため、スクレーパ部の表面には、一部の抽出滓が付着した状態で残ってしまうことがあった。このようにスクレーパ部の表面に抽出滓が付着したまま残ってしまうと、例えばカビ等の発生を助長してしまい、不衛生なものとなり好ましいものではない。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、スクレーパ部に抽出滓が付着して残留してしまうことを抑制して抽出滓を良好に除去することができる飲料抽出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る飲料抽出装置は、複数の貫通孔が形成された円板状を成し、側面が円筒状のシリンダの内面に接した状態で該シリンダの中心軸方向に沿って移動可能なメッシュ部材を備え、前記シリンダの内部に投入された飲料原料と湯とから前記メッシュ部材の移動により飲料を抽出して該シリンダの外部に吐出する飲料抽出装置であって、前記シリンダの中心軸方向に直交する方向に沿って第1位置と第2位置との間で移動可能なカバー部材と、下端部が上下方向に沿って揺動可能となる態様で上端部が前記カバー部材に軸支され、常態においては下端部が上端部よりも下方となる基準姿勢となるものであり、かつ前記カバー部材が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動する場合に、前記下端部が前記メッシュ部材に摺動して該メッシュ部材に載置された抽出滓を除去するスクレーパ部と、前記カバー部材が該第2位置に近接する場合に、前記メッシュ部材に摺動した前記スクレーパ部に当接することにより該スクレーパ部を前記下端部が上方に向けて揺動した姿勢にさせる当接部材とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記飲料抽出装置において、常態においては前記スクレーパ部を前記基準姿勢に維持する一方、前記スクレーパ部が前記当接部材に当接された場合には該スクレーパ部を前記下端部が前記上端部と略同一の高さレベルとなる水平姿勢に維持する姿勢調整手段を備え、前記姿勢調整手段は、前記カバー部材が前記第2位置から前記第1位置に移動する場合に、前記水平姿勢のスクレーパ部がその途中で姿勢戻し突起に当接されたときには該スクレーパ部を前記基準姿勢にさせることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上記飲料抽出装置において、前記当接部材に設けられ、前記カバー部材が前記第2位置から前記第1位置に移動する場合に、前記水平姿勢に維持された前記スクレーパ部の表面に先端部が摺接することで該表面に付着した抽出滓を除去する除去部材を備えたことを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記飲料抽出装置において、前記シリンダは、下面開口が底部により閉塞された有底円筒状の形態を成し、前記メッシュ部材は、前記抽出した飲料の吐出時に前記シリンダの上面開口を閉成するものであり、前記カバー部材は、前記第1位置に配置される場合には、前記シリンダの上面開口を開放する一方、前記第2位置に配置される場合には、前記シリンダの上面開口を閉塞することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シリンダの中心軸方向に直交する方向に沿って第1位置と第2位置との間で移動可能なカバー部材に揺動可能となる態様で軸支されたスクレーパ部が、常態においては下端部が上端部よりも下方となる基準姿勢となって、カバー部材が第1位置から第2位置に向けて移動する場合に、下端部がメッシュ部材に摺動して該メッシュ部材に載置された抽出滓を除去し、当接部材が、カバー部材が第2位置に近接する場合に、メッシュ部材に摺動したスクレーパ部に当接することによりスクレーパ部を下端部が上方に向けて揺動した姿勢にさせるので、かかる揺動により作用する遠心力によってスクレーパ部の表面に付着する抽出滓を滓容器に放出することができ、これにより、スクレーパ部に抽出滓に付着して残留してしまうことを抑制して抽出滓を良好に除去することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態である飲料抽出装置を模式的に示す模式図である。
図2図2は、図1に示したカバーユニットの要部を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示したカバーユニットの要部を示す斜視図である。
図4図4は、図1に示したカバーユニットの要部の分解斜視図である。
図5図5は、図4に示したカバー部材の分解斜視図である。
図6図6は、図4に示したカバー部材の分解斜視図である。
図7図7は、図2〜6に示したカバー部材と当接部材との位置関係を模式的に示す模式図である。
図8図8は、スクレーパ部と当接部材との当接した状態を示す斜視図である。
図9図9は、カバー部材が全閉位置に近接した状態を模式図である。
図10図10は、スクレーパ部と当接部材との当接した状態を示す斜視図である。
図11図11は、カバー部材が全閉位置に到達した状態を模式図である。
図12図12は、水平姿勢に維持されるスクレーパ部と除去部材との当接状態を示す説明図である。
図13図13は、カバー部材が全閉位置から全開位置に移動する途中の状態を示す斜視図である。
図14図14は、図1に示した飲料抽出装置の飲料抽出動作の手順を示す説明図である。
図15図15は、図1に示した飲料抽出装置の飲料抽出動作の手順を示す説明図である。
図16図16は、図1に示した飲料抽出装置の飲料抽出動作の手順を示す説明図である。
図17図17は、図1に示した飲料抽出装置の飲料抽出動作の手順を示す説明図である。
図18図18は、図1に示した飲料抽出装置の飲料抽出動作の手順を示す説明図である。
図19図19は、図1に示した飲料抽出装置の飲料抽出動作の手順を示す説明図である。
図20図20は、図1に示した飲料抽出装置の飲料抽出動作の手順を示す説明図である。
図21図21は、本発明の実施の形態である飲料抽出装置の変形例の飲料抽出動作の一部を示す説明図である。
図22図22は、本発明の実施の形態である飲料抽出装置の変形例の要部を示す模式図である。
図23図23は、図22に示したミル用シュート120の平面図である。
図24図24は、図22に示した飲料抽出装置の動作を示す模式図である。
図25図25は、本発明の実施の形態である飲料抽出装置の他の変形例におけるカバー部材の分解斜視図である。
図26図26は、基準姿勢となるスクレーパ部を示す模式図である。
図27図27は、図25に示したカバー部材と当接部材との位置関係を模式的に示す模式図である。
図28図28は、スクレーパ部と当接部材との当接した状態を示す斜視図である。
図29図29は、スクレーパ部が基準姿勢から揺動する場合を示す模式図である。
図30図30は、スクレーパ部と当接部材との当接した状態を示す斜視図である。
図31図31は、スクレーパ部が揺動により抽出滓を払い出す状態を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る飲料抽出装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態である飲料抽出装置を模式的に示す模式図であり、一部を断面で示している。
【0018】
ここで例示する飲料抽出装置10は、コーヒーや紅茶等の飲料を提供する飲料サーバーやカップ式飲料自動販売機等に適用されるものであり、ミル1の供給口1aから提供されるコーヒー原料(粉砕豆:飲料原料)と、給湯経路20より供給される湯とからコーヒー飲料を抽出するものである。
【0019】
給湯経路20は、ミル1の前方側に設置されており、図示せぬ湯タンクから供給される湯を通過させるものである。この給湯経路20には、その途中に給湯弁21が設けられている。給湯弁21は、制御部110から与えられる指令に応じて開閉する弁体であり、開となる場合には、給湯経路20を湯が通過することを許容する一方、閉となる場合には、給湯経路20を湯が通過することを規制するものである。
【0020】
上記飲料抽出装置10は、シリンダ30と、ピストンユニット40と、抽出経路50と、カバーユニット60とを備えて構成されている。
【0021】
シリンダ30は、全体が金属製のものであり、下面に形成された下面開口31が底部32により閉塞された有底円筒状を成すものである。このようなシリンダ30は、図示せぬシリンダホルダにより支持されており、中心軸方向が上下方向に一致している。
【0022】
ピストンユニット40は、メッシュ部材41と、送りナット42と、送りネジ43とを備えて構成されている。メッシュ部材41は、例えば金属材料から構成されたもので、円板状の形態を成している。このメッシュ部材41は、側面がシリンダ30の内面に接しており、複数の貫通孔41aが上下に貫通する態様で形成されている。
【0023】
送りナット42は、上下方向が長手方向となる長尺状部材であり、メッシュ部材41の下面の中央部分に取付ブロック44を介して取り付けられている。この送りナット42は、上面の開口が取付ブロック44により閉塞された円筒状の形態を成しており、底部32の中央部分に形成されたナット用孔部32aを貫通している。ここで送りナット42の外径は、ナット用孔部32aの内径よりも僅かに小さいものであり、送りナット42とナット用孔部32aとの隙間にはパッキン等が設けられることにより気密性が確保されている。
【0024】
送りネジ43は、上下方向が長手方向となる長尺状部材であり、一部が送りナット42の内部に進入している。この送りネジ43は、送りナット42の内部に進入する外側面が該送りナット42の内側面に螺合している。かかる送りネジ43は、下端部がピストンモータ45が連係されている。ピストンモータ45は、制御部110から与えられる指令に応じて正逆回転可能に駆動するものである。
【0025】
よって、上記送りネジ43は、ピストンモータ45が正回転駆動する場合には、自身の中心軸回りに例えば上方から見て時計回りに回転することにより螺合する送りナット42を下方に向けて移動させる一方、ピストンモータ45が逆回転駆動する場合には、中心軸回りに例えば上方から見て反時計回りに回転することにより送りナット42を上方に向けて移動させるものである。
【0026】
このように送りネジ43の回転により送りナット42が上下方向に沿って移動することで、取付ブロック44を介して該送りナット42が取り付けられるメッシュ部材41は、側面がシリンダ30の内面に接した状態で底部32に近接離反する態様で移動可能、すなわちシリンダ30の中心軸方向に沿って移動可能である。
【0027】
抽出経路50は、底部32に設けられた図示せぬ抽出孔を貫通する態様で該底部32に接続されている。この抽出経路50は、シリンダ30の内部で抽出されたコーヒー飲料を通過させて飲料容器C(図20参照)に吐出するものである。この抽出経路50には、抽出弁51及び圧力センサ52が設けられている。
【0028】
抽出弁51は、制御部110から与えられる指令に応じて開閉する弁体であり、開となる場合には、抽出経路50をコーヒー飲料が通過することを許容する一方、閉となる場合には、抽出経路50をコーヒー飲料が通過することを規制するものである。
【0029】
圧力センサ52は、抽出弁51よりも上流側に設けられている。この圧力センサ52は、シリンダ30の内部におけるメッシュ部材41の下部の圧力を検知するものである。この圧力センサ52は、検知した圧力を圧力信号として制御部110に与えるものである。
【0030】
図2図4は、それぞれ図1に示したカバーユニット60の要部を示すものであり、図2及び図3は斜視図であり、図4は分解斜視図である。ここで例示するカバーユニット60は、カバー本体部70、カバー部材80及び当接部材90を備えて構成されている。
【0031】
カバー本体部70は、例えば樹脂材により形成されている。このカバー本体部70は、シリンダ30の上方域に設置されており、前部及び下部が開口する箱状の形態を成している。またカバー本体部70の上部71にも、前部に連続する態様で前端部に切欠72が形成されている。
【0032】
このようなカバー本体部70は、上部71に上記ミル1が取り付けられており、該ミル1の供給口1aが上記切欠72を臨んでいる。また、カバー本体部70の上部71の下面には、下方に向けて突出する態様で姿勢戻し突起73が形成されている。
【0033】
カバー部材80は、例えば樹脂材により構成されており、下壁部及び前壁部が開口した箱状の形態を成している。このカバー部材80は、上壁部81がシリンダ30の上面開口33を覆うのに十分な大きさを有している。
【0034】
このようなカバー部材80は、カバー本体部70の下方側において、カバーモータ82に連係されている。カバーモータ82は、制御部110から与えられる指令に応じて正逆回転可能に駆動するものである。
【0035】
上記カバー部材80は、カバーモータ82が正回転駆動する場合には、後方に向けて移動して、図1中の実線で示すようにシリンダ30の上面開口33を全開させる全開位置(第1位置)に配置される一方、カバーモータ82が逆回転駆動する場合には、前方に向けて移動して、図1中の破線で示すようにシリンダ30の上面開口33を全閉させる全閉位置(第2位置)に配置されるものである。つまり、カバー部材80は、上面開口33を全閉させる全開位置と該上面開口33を全開させる全開位置との間で、シリンダ30の中心軸方向(上下方向)に直交する方向(前後方向)に沿って移動可能に設けられている。
【0036】
そして、カバー部材80は、詳細は後述するが、全開位置と全閉位置との間であって上面開口33の一部を閉塞する中途位置(第3位置)にも配置されるものである。
【0037】
上記カバー部材80は、スクレーパ部100を有している。スクレーパ部100は、図5に示すように、左右方向が長手方向となる長尺状のスクレーパ支持部材101に矩形状のスクレーパ102が支持されることにおり、全体として平板状に形成されている。
【0038】
このようなスクレーパ部100は、次のようにしてカバー部材80に設けられている。すなわち、スクレーパ支持部材101の左右両端面の上端部に突出する態様で設けられた係合突起103が、カバー部材80の左壁部83及び右壁部84に形成された前後方向が長手方向となる左右一対の係合長孔85に進入することにより、スクレーパ部100がカバー部材80に該係合突起103の中心軸回りに揺動可能に設けられている。つまり、スクレーパ部100は、下端部100aが上下方向に沿って揺動可能となる態様で上端部100bがカバー部材80に軸支されている。
【0039】
かかるスクレーパ部100とカバー部材80との間には、スクレーパスプリング104が介在している。スクレーパスプリング104は、図6に示すように、一端がスクレーパ支持部材101に後方に向けて突出する態様で設けられた係止片105に係止され、他端がカバー部材80に設けられた係止ロッド86に係止されることで、スクレーパ部100を後方に向けて常時付勢するものである。
【0040】
この結果、スクレーパ部100は、スクレーパスプリング104に付勢され、かつスクレーパ支持部材101において係止片105の上方に設けられた第1突片106がカバー部材80の上壁部81の前端面の中央部87に当接することにより、図2図4に示したように、下端部100aが上端部100bの下方側となる基準姿勢に維持されている。
【0041】
またスクレーパ支持部材101には、スクレーパ部100が基準姿勢となる場合に、上方に向けて突出する2つの第2突片107と、前方に向けて突出する1つの第3突片108とが設けられている。この第3突片108は、左側の第2突片107よりも右側に設けられており、左右方向の位置が上記姿勢戻し突起73に対応している。
【0042】
このようなスクレーパ部100は、基準姿勢となることにより、カバー部材80の前壁部の開口を閉塞しており、しかもカバー部材80が全開位置と全閉位置との間で移動する際にスクレーパ102の下端部100aがシリンダ30の上面に摺接するようその上下寸法が決められている。
【0043】
当接部材90は、当接本体部91と除去部材92とを備えて構成されている。当接本体部91は、左右方向が長手方向となる長尺状部材である。この当接本体部91は、左端部に形成された舌片状の左側係止片91aがカバー本体部70に左部74の前端部に形成された左側係止孔74aに進入し、このカバー本体部70の右部75の前端部に形成された右側係止片85aが右端部に形成された右側係止孔91bに進入することにより、カバー本体部70の上部71から離隔しつつ左部74と右部75とを跨る態様で設けられている。
【0044】
このような当接本体部91は、ノズル93及び当接突起94(図8参照)が設けられている。ノズル93は、図7に示すように、給湯経路20に接続されており、給湯経路20を通じて供給された湯をシリンダ30に向けて吐出するものである。当接突起94は、当接本体部91の左右両端部において下方に向けて突出する左右一対のものである。
【0045】
除去部材92は、例えばシリコーン等から形成された軟質なものであり、矩形状を成している。この除去部材92は、後方に向かうに連れて漸次下方に傾斜する態様で当接本体部91に支持されている。
【0046】
次に、上記カバーユニット60の動作について説明する。待機状態においては、図7に示したように、カバー部材80が全開位置に配置される。そして、カバーモータ82が逆回転駆動することによりカバー部材80が前方に向けて移動する。これによりカバー部材80が全閉位置に近接すると、図8に示すように、スクレーパ部100(スクレーパ支持部材101)における第2突片107がそれぞれ当接突起94に当接し、これによりスクレーパ部100は、図9に示すように、スクレーパスプリング104の付勢力に抗して、係合突起103が係合長孔85を後方に向かって変位しつつ該係合突起103の中心軸を軸心として下端部100aが上方に向けて揺動する。
【0047】
そして、カバー部材80が全閉位置に達することにより、図10に示すように、スクレーパ部100は下端部100aが上端部100bと同一の高さレベルとなる水平姿勢になる。この場合、図11に示すように、係合突起103が係合長孔85の後縁部に接した状態で、スクレーパスプリング104の付勢力が後方に向けて作用するので、スクレーパ部100の水平姿勢が維持される。このとき、第3突片108が上方に向けて突出する。このようにスクレーパ部100が水平姿勢に維持される状態では、図12に示すように、除去部材92の先端部92aが湾曲した状態でスクレーパ102の表面に接している。
【0048】
その後、カバーモータ82が正回転駆動することによりカバー部材80が後方に向けて移動すると、スクレーパ部100は水平姿勢に維持された状態でカバー部材80とともに後方に移動する。この結果、スクレーパ102の表面は、除去部材92の先端部92aと摺接する。
【0049】
そして、図13に示すように、カバー部材80の後方への移動途中に第3突片108が姿勢戻し突起73に前方から当接することで、スクレーパ部100は下端部100aが下方に向けて揺動し、スクレーパスプリング104の付勢力により基準姿勢に維持される。
【0050】
このようにカバーユニット60においては、カバー部材80が全開位置から全閉位置に移動して全閉位置に到達することでスクレーパ部100が揺動して基準姿勢から水平姿勢となる。そして、カバー部材80が全閉位置から全開位置に移動する際に、除去部材92の先端部92aがスクレーパ102の表面と摺接し、その後にスクレーパ部100は水平姿勢から基準姿勢に揺動する。
【0051】
更に、上述したような構成を有する飲料抽出装置10の抽出動作について以下に説明する。待機状態においては、図14に示すように、メッシュ部材41がシリンダ30の上面と同等の高さレベルの上死点位置に配置されて上面開口33を閉成するとともに、カバー部材80が全開位置に配置される。また、給湯弁21及び抽出弁51はともに閉となっている。
【0052】
上記待機状態から開始指令が与えられた場合、制御部110は、ピストンモータ45に駆動指令を与えて該ピストンモータ45を正回転駆動させる。これにより、送りネジ43が上方から見て時計回りに回転することでメッシュ部材41が送りナット42とともに下方に移動する。
【0053】
そして、メッシュ部材41が底部32及び上面開口33から離隔する中間位置まで移動した場合に、制御部110はピストンモータ45に駆動停止指令を与える。この結果、メッシュ部材41は、図15に示すように、中間位置に配置される。
【0054】
ミル1よりコーヒー原料がシリンダ30の内部に投入されると、これらコーヒー原料はメッシュ部材41の上面に堆積する。ミル1からのコーヒー原料の投入が終了すると、制御部110は、カバーモータ82に駆動指令を与えて該カバーモータ82を逆回転駆動させる。これにより、カバー部材80は、全開位置から前方に向けて移動する。
【0055】
そして、カバー部材80が上面開口33の一部を閉塞する中途位置まで移動した場合に、制御部110はカバーモータ82に駆動停止指令を与える。この結果、カバー部材80は、図16に示すように、中途位置に配置される。この場合、カバー部材80は、ミル1の供給口1aを自身の上壁部81で閉塞する。
【0056】
カバー部材80が中途位置に配置された後、制御部110は、給湯弁21に開指令を与えて該給湯弁21を開にさせる。これにより、湯タンクからの湯が給湯経路20及びノズル93を通過してシリンダ30に投入される。給湯弁21の開時間が予め決められた時間に達すると、制御部110は、給湯弁21に閉指令を与えて該給湯弁21に閉にさせる。これにより、シリンダ30には、所定量の湯が投入される。
【0057】
このようにコーヒー原料及び湯が投入されたシリンダ30の内部においては、抽出弁51が閉とされていることにより、中間位置のメッシュ部材41の下部に空気が滞留することになる。
【0058】
かかる投入の後、制御部110は、ピストンモータ45に駆動指令を与えて該ピストンモータ45を正回転駆動させる。これにより、送りネジ43が上方から見て時計回りに回転することでメッシュ部材41が送りナット42とともに下方に移動する。このようにメッシュ部材41が下方に移動する結果、シリンダ30の内部におけるメッシュ部材41の下方の圧力が上昇して正圧となる。
【0059】
そして、メッシュ部材41の下方の正圧の空気が該メッシュ部材41の貫通孔41aを通過してエアバブルABが生じ、かかるエアバブルABによりコーヒー原料と湯との撹拌が行われる。このようなコーヒー原料と湯との撹拌は、メッシュ部材41が底部32に最も近接する下死点位置に至るまで行われる。
【0060】
ところで、シリンダ30の内部におけるメッシュ部材41の下方の圧力は圧力センサ52により検知され、その検知結果が圧力信号として制御部110に与えられる。よって、制御部110は、圧力センサ52から与えられる圧力値(圧力結果)が予め設定された所定圧力値となるようにピストンモータ45をPWM制御してもよい。
【0061】
図17に示すように、メッシュ部材41が下死点位置に達した場合、制御部110はピストンモータ45に駆動停止指令を与える。この制御部110は、カバーモータ82に駆動指令を与えて該カバーモータ82を逆回転駆動させる。これにより、カバー部材80は、中途位置から前方に向けて移動して全閉位置に至る。このようにカバー部材80が全閉位置に達すると、上述したようにスクレーパ部100が揺動して水平姿勢に維持される。
【0062】
その後、制御部110は、ピストンモータ45に駆動停止指令を与えてから所定時間が経過するまでメッシュ部材41を下死点位置に待機させる。
【0063】
これにより、コーヒー原料と湯との撹拌後のコーヒー原料がメッシュ部材41の上面に沈殿して沈殿物Dとなり、図17に拡大して示すように、メッシュ部材41の上面に微粉状のコーヒー原料(以下、微粉状原料ともいう)D1が沈殿し、その微粉状原料D1の上部71に該微粉状原料D1よりも径が大きいコーヒー原料(以下、粉状原料ともいう)D2が沈殿する。
【0064】
制御部110は、ピストンモータ45に駆動指令を与えて該ピストンモータ45を逆回転駆動させる。これにより、送りネジ43が上方から見て反時計回りに回転することでメッシュ部材41が送りナット42とともに上方に移動する。
【0065】
このようにメッシュ部材41が上方に移動する結果、図18に示すように、コーヒー原料と湯との撹拌液が貫通孔41aを通過して、メッシュ部材41の下方にコーヒー飲料を抽出させることができる。
【0066】
この場合において、撹拌液は、メッシュ部材41の沈殿物を通過するので、抽出されたコーヒー飲料は濾過されたものとなる。また、制御部110は、圧力センサ52から与えられる圧力値(圧力結果)が予め設定された所定圧力値となるようにピストンモータ45をPWM制御することが好ましい。
【0067】
その後、制御部110は、カバーモータ82に駆動指令を与えて該カバーモータ82を正回転駆動させる。これにより、カバー部材80は、全閉位置から後方に向けて移動する。かかる全開位置への移動途中に第3突片108が姿勢戻し突起73に前方から当接することによりスクレーパ部100が下方に揺動して基準姿勢に維持される。
【0068】
そして、カバー部材80が全開位置まで移動した場合に、制御部110はカバーモータ82に駆動停止指令を与える。この結果、カバー部材80は、全開位置に配置される。
【0069】
そして、図19に示すようにメッシュ部材41が上死点位置に達した場合、制御部110はピストンモータ45に駆動停止指令を与える。このとき、メッシュ部材41の上面に抽出滓Kが載置されている。
【0070】
その後、制御部110は、カバーモータ82に駆動指令を与えて該カバーモータ82を逆回転駆動させる。これにより、カバー部材80は、全開位置から前方に向けて移動する。この場合、カバー部材80のスクレーパ部100が基準姿勢に維持された状態で上死点位置のメッシュ部材41の上面に摺動することで、メッシュ部材41の上面に載置された抽出滓Kを掻き取り、図20に示すように、シリンダ30の前方側に配置された滓容器Bに抽出滓Kを収容させることができる。特に、上述したように、全閉位置に近接することでスクレーパ部100が基準姿勢から水平姿勢に揺動するので、かかる揺動により作用する遠心力によってスクレーパ102の表面に付着する抽出滓Kを滓容器Bに放出することができる。このようにしてカバー部材80が全閉位置まで移動した場合に、制御部110はカバーモータ82に駆動停止指令を与える。
【0071】
また制御部110は、上記カバーモータ82に対する駆動指令と並行して、抽出弁51に開指令を与える。これにより抽出弁51が開となり、シリンダ30に貯留されたコーヒー飲料が抽出経路50を通過して、飲料容器Cに吐出される。
【0072】
このようにして飲料容器Cに所定量のコーヒー飲料が吐出されることで、利用者にコーヒー飲料が提供されることとなる。
【0073】
このようにしてコーヒー飲料を吐出した後、制御部110は、抽出弁51に閉指令を与えるとともにカバーモータ82に駆動指令を与えて該カバーモータ82を正回転駆動させる。これにより、カバー部材80は、全閉位置から後方に向けて移動する。このようにカバー部材80が後方に向けて移動する際に、除去部材92の先端部92aが水平姿勢に維持されるスクレーパ部100のスクレーパ102の表面と摺接する(図12参照)。これにより、スクレーパ102の表面に付着する抽出滓Kが除去部材92の先端部92aにより前方に向けて掻き落とされ、掻き落とされた抽出滓Kが滓容器Bに収容される。その後に、カバー部材80が待機状態に戻る。
【0074】
以上説明したように、本発明の実施の形態である飲料抽出装置10においては、係合長孔85及びスクレーパスプリング104が、常態においてはスクレーパ部100を基準姿勢に維持する一方、スクレーパ部100が当接部材90に当接された場合には該スクレーパ部100を水平姿勢に維持する姿勢調整手段を構成している。
【0075】
そして、本実施の形態である飲料抽出装置10によれば、カバー部材80に揺動可能に軸支されたスクレーパ部100が、基準姿勢となって該カバー部材80が全開位置から全閉位置に向けて移動する場合に、下端部100aがメッシュ部材41に摺動して該メッシュ部材41に載置された抽出滓Kを除去し、当接部材90が、カバー部材80が全閉位置に近接する場合に、メッシュ部材41に摺動したスクレーパ部100に当接することによりスクレーパ部100を下端部100aが上方に向けて揺動した姿勢にさせるので、かかる揺動により作用する遠心力によってスクレーパ102の表面に付着する抽出滓Kを滓容器Bに放出することができ、これにより、スクレーパ部100に抽出滓Kに付着して残留してしまうことを抑制して抽出滓Kを良好に除去することができる。
【0076】
特に、除去部材92が、カバー部材80が全閉位置から全開位置に移動する場合に、水平姿勢に維持されたスクレーパ部100のスクレーパ102の表面に先端部92aが摺接することで該表面に付着した抽出滓Kを前方に向けて掻き落とすことで除去するので、スクレーパ部100に対する抽出滓Kの残留を更に抑制することができる。
【0077】
しかも、スクレーパ部100が、該カバー部材80が全開位置から全閉位置まで移動する場合に、上面開口33を閉成するメッシュ部材41に載置された抽出滓Kを除去するので、抽出滓Kを収容する滓容器Bをシリンダ30の前方に設置することができる。そのため、飲料抽出装置10と滓容器Bとの設置領域の高さ寸法が大きくなることを回避しながら滓容器Bの容量を十分に大きくすることができる。従って、抽出滓Kの収容量の増大化を図ることができる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0079】
上述した実施の形態では特に言及していないが、カバー部材80を全閉位置から全開位置に移動させる際の移動開始時には、カバー部材80の移動速度を、カバー部材80が全開位置から全閉位置に移動する速度よりも小さくなるようPWM制御により行ってもよい。これによれば、除去部材92の先端部92aとスクレーパ102の表面との摺接が低速で行われることにより、スクレーパ102の表面に付着する抽出滓Kをより確実に除去することができる。
【0080】
上述した実施の形態では、メッシュ部材41が上死点位置に達した場合(図19参照)、制御部110がピストンモータ45に駆動停止指令を与えてからカバーモータ82に駆動指令を与えて該カバーモータ82を逆回転駆動させるようにしていたが、本発明においては、次のようにしてもよい。
【0081】
すなわち、メッシュ部材41が上死点位置に達した場合、制御部110がピストンモータ45に駆動停止指令を与えてから、図21に示すように、給湯弁21に所定時間開指令を与えて抽出滓Kに湯を供給し、その後にカバーモータ82に駆動指令を与えて該カバーモータ82を逆回転駆動させるようにしてもよい。これによれば、メッシュ部材41に付着する滓も湯により浮き上がらせることができ、その後にスクレーパ部100により容易に掻き取ることができる。
【0082】
本発明においては、飲料抽出装置10が上記構成の他、図22に示すように、ミル用シュート120が設けられていてもよい。ミル用シュート120は、図23に示すように、左右一対の側壁板121が後壁板122に連結されて構成されており、側壁板121に設けられた軸支突起121aがミル1に設けられたシュート支持部材130に軸支されることで、軸支突起121aの中心軸回りに揺動可能なものである。
【0083】
このようなミル用シュート120をノズル93より吐出される湯の角度に応じて設置角度を変更させることで、図24に示すように、ミル1からの飲料原料と給湯経路20からの湯とを空中で混ぜ合わせることができ、メッシュ部材41の全域に亘って略均一に投入させることができる。
【0084】
上述した実施の形態では、係合長孔85及びスクレーパスプリング104が、常態においてはスクレーパ部100を基準姿勢に維持する一方、スクレーパ部100が当接部材90に当接された場合には該スクレーパ部100を水平姿勢に維持する姿勢調整手段を構成していたが、本発明においては、かかる姿勢調整手段が構成されなくてもよい。
【0085】
すなわち、上記飲料抽出装置10の変形例である飲料抽出装置10′においては、カバー部材80′の左壁部83及び右壁部84には、図25に示すように、係合長孔85の変わりに係合円孔85′が形成され、該係合円孔85′にスクレーパ支持部材101の係合突起103が進入することにより、スクレーパ部100を揺動可能に軸支してもよい。
【0086】
この場合においても、スクレーパ部100とカバー部材80′との間には、スクレーパスプリング104(図6参照)が介在しているので、スクレーパ部100は、スクレーパスプリング104に付勢され、かつスクレーパ支持部材101において係止片105の上方に設けられた第1突片106がカバー部材80′の上壁部81の前端面の中央部87に当接することにより、図26に示すように、下端部100aが上端部100bの下方側となる基準姿勢に維持されている。
【0087】
このようなスクレーパ部100は、基準姿勢となることにより、カバー部材80′の前壁部の開口を閉塞しており、しかもカバー部材80′が全開位置と全閉位置との間で移動する際にスクレーパ102の下端部100aがシリンダ30の上面に摺接するようその上下寸法が決められている。
【0088】
かかるカバー部材80′を備えるカバーユニット60′の動作について説明する。待機状態においては、図27に示したように、カバー部材80′が全開位置に配置される。そして、カバーモータ82が逆回転駆動することによりカバー部材80′が前方に向けて移動する。これによりカバー部材80′が全閉位置に近接すると、図28に示すように、スクレーパ部100(スクレーパ支持部材101)における第2突片107がそれぞれ当接突起94に当接し、これによりスクレーパ部100は、図29に示すように、スクレーパスプリング104の付勢力に抗して、係合突起103が係合長孔85を後方に向かって変位しつつ該係合突起103の中心軸を軸心として下端部100aが上方に向けて揺動する。
【0089】
そして、カバー部材80′が全閉位置に達することにより、図30に示すように、スクレーパ部100は下端部100aが上端部100bと同一の高さレベルとなる水平姿勢になる。
【0090】
その後、カバーモータ82が正回転駆動することによりカバー部材80′が後方に向けて移動すると、スクレーパ部100は下端部100aが下方に向けて揺動し、図26に示したように、スクレーパスプリング104の付勢力により基準姿勢に維持される。
【0091】
このようにカバーユニット60′においては、カバー部材80′が全開位置から全閉位置に移動して全閉位置に到達することでスクレーパ部100が揺動して基準姿勢から水平姿勢となる。そして、カバー部材80′が全閉位置から全開位置に移動する際に、スクレーパ部100は水平姿勢から基準姿勢に揺動する。
【0092】
このような構成を有する飲料抽出装置10′によれば、カバー部材80′に揺動可能に軸支されたスクレーパ部100が、基準姿勢となって該カバー部材80′が全開位置から全閉位置に向けて移動する場合に、下端部100aがメッシュ部材41に摺動して該メッシュ部材41に載置された抽出滓Kを除去し、当接部材90が、カバー部材80′が全閉位置に近接する場合に、メッシュ部材41に摺動したスクレーパ部100に当接することにより、図31に示すように、スクレーパ部100を下端部100aが上方に向けて揺動した姿勢にさせるので、かかる揺動により作用する遠心力によってスクレーパ102の表面に付着する抽出滓Kを滓容器Bに放出することができ、これにより、スクレーパ部100に抽出滓Kに付着して残留してしまうことを抑制して抽出滓Kを良好に除去することができる。
【符号の説明】
【0093】
10 飲料抽出装置
30 シリンダ
31 下面開口
32 底部
33 上面開口
40 ピストンユニット
41 メッシュ部材
41a 貫通孔
42 送りナット
43 送りネジ
45 ピストンモータ
50 抽出経路
60 カバーユニット
70 カバー本体部
73 姿勢戻し突起
80 カバー部材
81 上壁部
82 カバーモータ
85 係合長孔
90 当接部材
91 当接本体部
92 除去部材
92a 先端部
93 ノズル
94 当接突起
100 スクレーパ部
100a 下端部
100b 上端部
101 スクレーパ支持部材
102 スクレーパ
103 係合突起
104 スクレーパスプリング
106 第1突片
107 第2突片
108 第3突片
K 抽出滓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31