特許第6816672号(P6816672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816672
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】入出力装置の生産方法及び入出力装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   G05B19/05 L
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-144563(P2017-144563)
(22)【出願日】2017年7月26日
(65)【公開番号】特開2019-28550(P2019-28550A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2019年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】馬庭 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】島村 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 元基
(72)【発明者】
【氏名】田渕 雅晶
【審査官】 藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−116500(JP,A)
【文献】 特開2009−054476(JP,A)
【文献】 特開平05−073114(JP,A)
【文献】 特開2001−333516(JP,A)
【文献】 特開2016−170531(JP,A)
【文献】 特開2005−258836(JP,A)
【文献】 特開2004−178440(JP,A)
【文献】 特開2012−226631(JP,A)
【文献】 特開2004−023815(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0372418(US,A1)
【文献】 特開2011−182629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筐体本体に端子台が収納された状態で、前記筐体本体の外部に配置されたフィールド機器に接続されるケーブルを前記端子台に接続するケーブル接続工程と、
前記開口部を通じて前記筐体本体内に前記端子台が着脱可能なコネクタ部を有する電子機器を収納して、前記筐体本体に前記電子機器を取り付ける電子機器取付工程と、
前記端子台を前記コネクタ部に装着する端子台装着工程と、
前記筐体本体の前記開口部を開閉部材により閉塞する閉塞工程と、を有していることを特徴とする入出力装置の生産方法。
【請求項2】
前記電子機器取付工程の前に、設定装置で前記電子機器の設定を行う設定工程を有していることを特徴とする請求項1に記載の入出力装置の生産方法。
【請求項3】
前記端子台は、前記筐体本体及び前記コネクタ部に付け替え可能に構成され、
前記ケーブル接続工程及び前記電子機器取付工程において、前記端子台は、前記筐体本体に移動可能に取り付けられ、
前記端子台装着工程では、前記端子台を前記筐体本体から取り外した後、前記コネクタ部に前記端子台を装着することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の入出力装置の生産方法。
【請求項4】
前記端子台は、前記筐体本体及び前記コネクタ部に付け替え可能に構成され、
少なくとも前記ケーブル接続工程において、前記端子台は、仮固定台を介して前記筐体本体に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の入出力装置の生産方法。
【請求項5】
前記ケーブル接続工程及び前記電子機器取付工程において、前記端子台は、前記仮固定台とともに前記筐体本体に移動可能に取り付けられ、
前記端子台装着工程では、前記端子台を前記仮固定台から取り外した後、前記コネクタ部に前記端子台を装着する請求項4に記載の入出力装置の生産方法。
【請求項6】
前記筐体本体には、前記端子台の少なくとも一部に接続され、前記電子機器のうちの前記端子台の少なくとも一部に接続される前記電子機器に対して所定の機能を付加する外部端子が収納され、
前記ケーブル接続工程は、前記ケーブルを、前記外部端子に接続することにより、前記外部端子を介して前記端子台に接続する工程を含む、ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の入出力装置の生産方法。
【請求項7】
開口部を有する筐体本体、及び前記開口部を開閉する開閉部材を有する筐体と、
前記筐体本体内で前記筐体本体に着脱可能に設けられるとともに、コネクタ部を有する電子機器と、
前記筐体本体及び前記コネクタ部に付け替え可能に構成されるとともに、前記コネクタ部に装着された状態で、前記筐体の外部に配置されたフィールド機器と前記電子機器とをケーブルを介して電気的に接続する端子台と
前記筐体本体に収納され、少なくとも一部の前記フィールド機器と少なくとも一部の前記端子台との間に接続され、前記電子機器のうちの前記端子台の少なくとも一部に接続される前記電子機器に対して所定の機能を付加する外部端子と、
備えていることを特徴とする入出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出力装置の生産方法及び入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラントや工場等(以下、単に「プラント等」という。)においては、工業プロセスにおける各種の状態量(例えば、圧力や温度、流量等)を制御するプロセス制御システムが構築されている。
【0003】
プロセス制御システムは、例えばフィールド機器と呼ばれる現場機器(測定器や操作器)と、フィールド機器の制御を行うコントローラと、フィールド機器とコントローラとの間の中継を行う入出力装置と、を有している。
プロセス制御システムでは、コントローラが測定器(例えば、センサ)の測定結果に応じて操作器(例えば、アクチュエータ)を制御することによって上述した各種の状態量が制御される。
【0004】
一般的に、コントローラと入出力装置とは、屋内のキャビネットに設置されているが、遠隔地のフィールド機器を屋内のキャビネットまで配線すると配線作業が大変になる。そこで、入出力装置を屋外に設置して複数のフィールド機器を接続し、入出力装置とコントローラとを光ファイバを用いて接続することで、フィールド機器とコントローラと間のケーブル配線を削減していた。
【0005】
このように入出力装置は、プラント等の近くで外部環境に晒される場所(例えば、屋外や屋外の屋根に覆われた場所等)に設置される場合がある(例えば、下記特許文献1参照)。そのため、入出力装置は、各種電子機器(I/Oモジュールや電源ユニット等)が筐体内に収納されて構成されている。筐体は、開口部を有する筐体本体と、開口部を開閉する開閉部材と、を備えている。入出力装置では、筐体本体の開口部を通じて、筐体内に収納された電子機器にアクセスできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−182720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した入出力装置は、筐体で密閉されるが、現場に設置後、筐体本体の開口部を開放した状態で、フィールド機器とI/Oモジュールとをケーブルで接続する接続作業を行う必要があり、筐体が密閉した状態で接続作業を行うことはできない。
【0008】
しかしながら、従来の入出力装置にあっては、予め電子機器が筐体内に収納された状態で工場から出荷される。そのため、上述した接続作業時には、開口部を通じて電子機器が外部環境に晒されることになる。この場合には、接続作業中に開口部を通じて筐体本体内に進入した砂や埃等によって電子機器の不具合に繋がるおそれがある。これに対して、接続作業中の防塵対策として、筐体内に防塵装置を取り付ける場合には、作業コストの増加や作業効率の低下に繋がるという課題がある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、作業コストの削減や作業効率の向上を図った上で、工期短縮を図ることができる入出力装置の生産方法及び入出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために本発明の一態様に係る入出力装置の生産方法は、開口部を有する筐体本体に端子台が収納された状態で、前記筐体本体の外部に配置されたフィールド機器に接続されるケーブルを前記端子台に接続するケーブル接続工程と、前記開口部を通じて前記筐体本体内に前記端子台が着脱可能なコネクタ部を有する電子機器を収納して、前記筐体本体に前記電子機器を取り付ける電子機器取付工程と、前記端子台を前記コネクタ部に装着する端子台装着工程と、前記筐体本体の前記開口部を開閉部材により閉塞する閉塞工程と、を有している。
本発明の一態様に係る入出力装置は、開口部を有する筐体本体、及び前記開口部を開閉する開閉部材を有する筐体と、前記筐体本体内で前記筐体本体に着脱可能に設けられるとともに、コネクタ部を有する電子機器と、前記筐体本体及び前記コネクタ部に付け替え可能に構成されるとともに、前記コネクタ部に装着された状態で、前記筐体の外部に配置されたフィールド機器と前記電子機器とをケーブルを介して電気的に接続する端子台と、を備えている。
【0011】
本態様によれば、ケーブル接続工程において、端子台が筐体本体に取り付けられた状態で、ケーブルと端子台との接続作業を行い、ケーブル接続工程の終了後に電子機器を筐体本体に取り付ける。これにより、ケーブル接続工程時に電子機器が外部環境に晒されるおそれがない。そのため、入出力装置を現場に設置するにあたって、電子機器に砂や埃等の影響が及ぶのを抑制でき、電子機器に不具合が発生するのを抑制できる。この場合、防塵装置等を取り付ける必要なく、電子機器に砂や埃等の影響が及ぶのを抑制できるので、作業コストの削減や作業効率の向上を図ることができる。
【0012】
上記態様の入出力装置の生産方法において、前記電子機器取付工程の前に、設定装置で前記電子機器の設定を行う設定工程を有していてもよい。
本態様によれば、ケーブルの接続作業後に、各種設定を経た電子機器を筐体に取り付けることができるので、例えばケーブル接続工程に先行若しくは並行して、電子機器の設定(システム構築や工場内立会検査(FAT:Factory Acceptance Test)等)を行うことができる。そのため、電子機器が筐体本体に取り付けられた状態で電子機器の設定を行う場合に比べて、プロセス制御システムの構築に要する時間、及び工期を短縮できる。しかも、電子機器の設定を現場とは別の場所で行うことができるので、電子機器が外部環境に長期間晒されるおそれがない。
また、複数の入出力装置を現場に設置する場合において、各入出力装置の電子機器の設定作業(例えば、工場内立会検査)を一カ所(現場以外の場所)でまとめて行うことができる。そのため、例えば入出力装置を現場に設置した後、各入出力装置の電子機器に対して設定作業を行う場合に比べてプロセス制御システムの構築を効率的に行うことができる。
【0013】
上記態様の入出力装置の生産方法において、前記端子台は、前記筐体本体及び前記コネクタ部に付け替え可能に構成され、前記ケーブル接続工程及び前記電子機器取付工程において、前記端子台は、前記筐体本体に移動可能に取り付けられ、前記端子台装着工程では、前記端子台を前記筐体本体から取り外した後、前記コネクタ部に前記端子台を装着してもよい。
本態様によれば、端子台を筐体本体に取り付けておくことで、筐体本体に対して端子台を所定の位置に位置決めできる。これにより、埃塵等に弱い電子機器を実装した後での配線時間(配線フォーミングや配線長調整等)を低減できる。よって、電子機器が塵埃に晒される期間を短縮できる。
また、端子台が移動可能に筐体本体に取り付けられているため、ケーブル接続工程では電子機器が実際に筐体本体に取り付けられたときの端子台の位置に、端子台を近づけた状態でケーブル接続工程を行うことができる。これにより、電子機器が実際に筐体本体に取り付けられたときの端子台とフィールド機器との相対距離に、ケーブルの長さを合わせやすくなる。
一方、電子機器取付工程では、電子機器が取り付けられる領域から端子台を移動させることで、端子台を筐体から取り外すことなく、電子機器の取り付けにあたって電子機器と端子台との干渉を防止できる。これにより、作業時間の更なる短縮を図ることができる。
【0014】
上記態様の入出力装置の生産方法において、前記端子台は、前記筐体本体及び前記コネクタ部に付け替え可能に構成され、少なくとも前記ケーブル接続工程において、前記端子台は、仮固定台を介して前記筐体本体に取り付けられていてもよい。
本態様によれば、仮固定台を介して端子台が取り付けられる位置を、電子機器が筐体本体に取り付けられたときの端子台の位置に合わせて仮固定台の寸法を設定することで、端子台を筐体本体に直接取り付ける場合に比べて、電子機器が実際に筐体本体に取り付けられたときの端子台の位置に、端子台を近づけた状態でケーブル接続工程を行うことができる。これにより、電子機器が取り付けられていなくても、電子機器が実際に筐体本体に取り付けられたときの端子台とフィールド機器との相対距離に、ケーブルの長さを合わせやすくなる。
【0015】
上記態様の入出力装置の生産方法において、前記ケーブル接続工程及び前記電子機器取付工程において、前記端子台は、前記仮固定台とともに前記筐体本体に移動可能に取り付けられ、前記端子台装着工程では、前記端子台を前記仮固定台から取り外した後、前記コネクタ部に前記端子台を装着してもよい。
本態様によれば、端子台が移動可能に筐体本体に取り付けられているため、ケーブル接続工程では電子機器が実際に筐体本体に取り付けられたときの端子台の位置に、端子台を近づけた状態でケーブル接続工程を行うことができる。これにより、電子機器が実際に筐体本体に取り付けられたときの端子台とフィールド機器との相対距離に、ケーブルの長さを合わせやすくなる。
一方、電子機器取付工程では、電子機器が取り付けられる領域から端子台を移動させることで、端子台を筐体から取り外すことなく、電子機器の取り付けにあたって電子機器と端子台との干渉を防止できる。これにより、電子機器取付工程において、端子台がケーブルのみで吊り下げられた状態になるのを防げるため、1人でも電子機器を容易に実装できる。
【0016】
上記態様の入出力装置の生産方法において、前記筐体本体には、前記端子台の少なくとも一部に接続された外部端子が収納され、前記ケーブル接続工程は、前記ケーブルを、前記外部端子に接続することにより、前記外部端子を介して前記端子台に接続する工程を含んでいてもよい。
上記態様の入出力装置において、前記筐体本体に収納され、少なくとも一部の前記フィールド機器と少なくとも一部の前記端子台との間に接続される外部端子を備えていてもよい。
本態様によれば、端子台とフィールド機器との間に外部端子を介在させることで、電子機器に各種機能(例えば、電力遮断機能やマーシャリング機能等)を別途付加することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、作業コストの削減や作業効率の向上を図った上で、工期短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係るプロセス制御システムのブロック図である。
図2】開閉部材が開位置にある状態を示す実施形態に係る入出力装置の正面図である。
図3】実施形態に係るベースプレートの正面図である。
図4】実施形態に係るI/Oモジュールの斜視図である。
図5】実施形態に係るユニバーサルI/Oモジュールのブロック図である。
図6】実施形態に係る入出力装置の生産方法を説明するための工程図である。
図7】筐体に端子台が取り付けられた状態を示す入出力装置の正面図である。
図8】端子台が仮固定台に固定された状態を示す入出力装置の拡大斜視図である。
図9】ケーブル接続工程を説明するための図7に相当する正面図である。
図10】端子台が退避位置にある状態を示す入出力装置の正面図である。
図11】I/Oユニットが取り付けられた状態を示す入出力装置の正面図である。
図12図11に示す状態から端子台を仮固定台から取り外した状態を示す入出力装置の正面図である。
図13図12に示す状態から仮固定台を取り外した状態を示す入出力装置の正面図である。
図14】本変形例に係る入出力装置の正面図である。
図15】端子台が筐体に取り付けられた状態を示す入出力装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
[プロセス制御システム]
図1は、プロセス制御システム1のブロック図である。
図1に示すように、プロセス制御システム1は、複数のフィールド機器11と、複数の入出力装置12と、コントローラ13と、監視装置14と、設定装置15と、を主に備えている。プロセス制御システム1は、監視装置14の監視の下、フィールド機器11を制御することで、プラント等で実現される工業プロセスの制御を行う。
【0020】
フィールド機器11は、例えばプラント等の現場に設置されている。フィールド機器11は、工業プロセスの制御のために必要となる測定対象の測定、及び操作対象の操作の少なくとも一方を行う。フィールド機器11は、例えばセンサ機器(流量計や温度センサ等)、バルブ機器(流量制御弁や開閉弁等)、アクチュエータ機器(ファンやモータ等)、撮像機器(プラント等の内部状況や対象物を撮影するカメラやビデオ等)、音響機器(異音等を収集するマイクや、警報音等を発するスピーカ等)、各機器の位置情報を出力する位置検出機器、その他の機器等である。
【0021】
入出力装置12は、フィールド機器11とコントローラ13との間に設けられている。入出力装置12は、フィールド機器11とコントローラ13との間で入出力される信号の中継を行う機能や、フィールド機器11に電力を供給する機能等を有している。なお、入出力装置12の詳細については後述する。
【0022】
コントローラ13は、監視装置14の監視の下でフィールド機器11の制御を行う。具体的には、あるフィールド機器11(例えば、センサ機器)からの測定データを収集し、他のフィールド機器11(例えば、バルブ機器)を制御する制御データを演算して他のフィールド機器11(例えば、バルブ機器)に送信する処理を行う。
【0023】
監視装置14は、例えばプラント等の運転員によって操作されてプロセスの監視のために用いられる。具体的に、監視装置14は、フィールド機器11の入出力データをコントローラ13から取得して表示を行う。そして、監視装置14は、運転員の必要に応じた操作によって入力された指示に応じて、コントローラ13及び入出力装置12を介してフィールド機器11の操作を行う。
【0024】
設定装置15は、プロセス制御システム1を構築する際に、フィールド機器11及び入出力装置12に対する各種設定(例えば、レンジ設定やループチェック等)を行うための装置である。設定装置15は、フィールド機器11及び入出力装置12に対する各種設定を行う際に入出力装置12に接続される。設定装置15は、各種設定が終了すると入出力装置12から取り外される。
【0025】
<入出力装置>
図2は、開閉部材26が開位置にある状態を示す入出力装置12の正面図である。
図2に示すように、入出力装置12は、プラント等において、外部環境に晒され、遠隔地のフィールド機器11の近くの場所に設置されている。入出力装置12は、I/Oユニット21や電源ユニット22等が筐体23内に収納されて構成されている。
【0026】
筐体23は、開口部24を有する筐体本体25と、開口部24を開閉する開閉部材26と、を有している。なお、以下の説明では、便宜上、図2における上下方向を単に上下方向とし、紙面垂直方向を単に前後方向とし、紙面左右方向を単に左右方向として説明する。この場合、矢印UPは上方を示し、矢印FRは前方を示し、矢印LHは左方を示している。
【0027】
筐体本体25は、上下方向に長い直方体形状に形成されるとともに、前方に向けて開口する開口部24を有している。筐体本体25の下壁部25aには、複数のケーブルガイド27が配設されている。ケーブルガイド27は、下壁部25aを上下方向に貫通する筒状の部材である。各ケーブルガイド27は、左右方向及び前後方向にそれぞれ間隔をあけて配列されている。各ケーブルガイド27には、各フィールド機器11から延びるケーブル31がそれぞれ挿通される。すなわち、各フィールド機器11から延びるケーブル31は、ケーブルガイド27内を通って筐体23内に引き込まれている。
【0028】
筐体本体25において、右壁部25bの内面には、ケーブルダクト32が設けられている。ケーブルダクト32は、上下方向に延びる筒部33と、筒部33に形成されたスリット34と、を有している。
筒部33内には、上述したケーブル31が筒部33の下端開口部を通じて挿通されている。すなわち、筒部33は、筐体23内に引き込まれたケーブル31を上方に案内している。
スリット34は、筒部33において上下方向に間隔をあけて形成されている。筒部33内に挿通された各ケーブル31は、何れかのスリット34を通じて筒部33の外部に引き出されている。
【0029】
開閉部材26は、筐体本体25における左壁部25cの前端縁にヒンジ(不図示)を介して筐体本体25に回動可能に連結されている。すなわち、開閉部材26は、開口部24を閉塞する閉位置と、開口部24を開放する開位置と、の間を回動し、密閉する。なお、開閉部材26は、開口部24を開閉する構成であれば、筐体本体25に対して回動する構成に限られない。すなわち、開閉部材26は、筐体本体25に対してスライドする構成や、筐体本体25に対して着脱する構成等であっても構わない。
【0030】
<I/Oユニット>
I/Oユニット21は、筐体本体25の後壁部25dに着脱可能に取り付けられている。I/Oユニット21は、I/O支持板43に複数のI/Oモジュール44が設けられて構成されている。
I/O支持板43は、上下方向を長手方向として後壁部25dの内面に沿って延在している。I/O支持板43の上端部には、I/O支持板43を前後方向に貫通する第1貫通孔45が形成されている。第1貫通孔45は、左右方向に間隔をあけて複数(図示の例では、2つ)形成されている。第1貫通孔45内には、I/O支持板43を後壁部25dに固定するための第1締結部材46(例えば、ネジ)が挿入されている。
I/O支持板43のうち各第1貫通孔45の下方に位置する部分には、第1貫通孔45内にそれぞれ連通する連通孔47が形成されている。連通孔47は、第1貫通孔45に比べて大径に形成されている。
【0031】
I/O支持板43のうち、連通孔47よりも下方に位置する部分には、I/O支持板43を前後方向に貫通する第2貫通孔48が形成されている。第2貫通孔48は、例えばI/O支持板43の左右方向の両端部において、上下方向に間隔をあけて複数形成されている。第2貫通孔48内には、I/O支持板43を後壁部25dに固定するための第2締結部材49(例えば、ネジ)が挿入されている。なお、本実施形態において、I/O支持板43のうち、最上部に位置する第2貫通孔48と、連通孔47と、の間に位置する部分には、左右一対の取っ手50が設けられている。
【0032】
I/Oモジュール44は、I/O支持板43の前面に上下方向に並んで複数(例えば、4つ)設けられている。各I/Oモジュール44は、何れも同様の構成であるため、以下の説明では一つのI/Oモジュール44(最上部に位置するI/Oモジュール44)を例にして説明する。なお、I/O支持板43に設けられるI/Oモジュール44の数は適宜変更が可能である。
【0033】
I/Oモジュール44は、フィールド機器11(図1参照)とコントローラ13(図1参照)との間で入出力される信号の処理を行う。I/Oモジュール44は、例えばフィールド機器11から得られる信号を、コントローラ13が受信可能な信号に変換する処理を行う。本実施形態のI/Oモジュール44は、ユニバーサルI/Oモジュール51、オプションモジュール52及び端子台53がベースプレート54に着脱可能に取り付けられて構成されている。I/Oモジュール44は、ベースプレート54を介してI/O支持板43に固定されている。
【0034】
図3は、ベースプレート54の正面図である。
図3に示すように、ベースプレート54には、ユニバーサルI/Oモジュール51、オプションモジュール52及び端子台53が装着されるコネクタ部(I/Oコネクタ部61、及びオプションコネクタ部62及び端子コネクタ部63)が形成されている。I/Oコネクタ部61は、ベースプレート54における左側部分に左右方向に並んで複数(例えば、2つ)形成されている。オプションコネクタ部62は、ベースプレート54における左右方向の中央部分に上下方向に並んで複数形成されている。端子コネクタ部63は、ベースプレート54における右側部分に形成されている。また、ベースプレート54には、ユニバーサルI/Oモジュール51、オプションモジュール52及び端子台53間を接続する配線(不図示)等が形成されている。
【0035】
図4は、I/Oモジュール44の斜視図である。
図4に示すように、端子台53は、端子ベース67と、端子ベース67に搭載された複数の端子68と、を有している。
端子ベース67は、端子コネクタ部63に着脱可能に装着されている。端子ベース67の上下両端部には、上下方向で互いに離間する方向に突出する一対の突出片69が形成されている。
端子68には、上述したケーブル31の端末部が各別に接続されている。各端子68は、上述したオプションコネクタ部62に対応付けられている。
【0036】
ユニバーサルI/Oモジュール51は、例えば、フィールド機器11の種類によって異なる信号をコントローラ13が理解できる形式に変換する機能を有している。ユニバーサルI/Oモジュール51は、上述した各I/Oコネクタ部61に各別に装着されている。
【0037】
図5は、ユニバーサルI/Oモジュール51のブロック図である。
図5に示すように、ユニバーサルI/Oモジュール51は、第1インターフェース71、設定部72及び第2インターフェース73を主に有している。
第1インターフェース71は、フィールド機器11との間で各種信号の授受を行う。
第2インターフェース73は、コントローラ13や設定装置15との間で各種信号の授受を行う。
設定部72は、第2インターフェース73を介して入力される設定装置15からの設定指示や、コントローラ13からの設定指示に基づいて、第1インターフェース71に対する各種設定、及びフィールド機器11に対する各種設定を行う。例えば、設定部72は、第1インターフェース71の複数のユニバーサル回路(フィールド機器11が接続されるユニバーサル回路)を、以下のモードの何れにするかを設定する。設定部72は、以下の設定を第1インターフェース71のユニバーサル回路毎に行う。ユニバーサル回路は、例えば、特開2016−95567号公報等に記載されている。
・フィールド機器11からのアナログ信号を入力するモード
・フィールド機器11へアナログ信号を出力するモード
・フィールド機器11からのディジタル信号を入力するモード
・フィールド機器11へディジタル信号を出力するモード
【0038】
図4に示すように、オプションモジュール52は、ユニバーサルI/Oモジュール51の上述した第1インターフェース71(図5参照)とフィールド機器11との間に接続されている。オプションモジュール52は、ユニバーサルI/Oモジュール51には実装されていないオプション機能(例えば信号変換機能や絶縁機能、断路機能、ヒューズ機能等)を、各信号系統に個別に付加するものである。オプションモジュール52は、オプション機能を付加するフィールド機器11に対応するオプションコネクタ部62に個別に装着される。
【0039】
<電源ユニット>
図2に示すように、電源ユニット22は、電源支持板90に各種電子機器が固定されて構成されている。本実施形態において、電源ユニット22に搭載される電子機器としては、外部電源91や分電盤92、システム電源93、上位通信ユニット94等が挙げられる。
【0040】
電源支持板90の上端部には、電源支持板90を前後方向に貫通する第1貫通孔96が形成されている。第1貫通孔96は、左右方向に間隔をあけて複数(図示の例では、2つ)形成されている。第1貫通孔96内には、電源支持板90を後壁部25dに固定するための第1締結部材97(例えば、ネジ)が挿入されている。
電源支持板90のうち各第1貫通孔96の下方に位置する部分には、第1貫通孔96内にそれぞれ連通する連通孔98が形成されている。連通孔98は、第1貫通孔96に比べて大径に形成されている。
【0041】
電源支持板90のうち、連通孔98よりも下方に位置する部分には、電源支持板90を前後方向に貫通する第2貫通孔99が形成されている。第2貫通孔99は、左右方向及び上下方向に間隔をあけて複数形成されている。第2貫通孔99内には、電源支持板90を後壁部25dに固定するための第2締結部材100(例えば、ネジ)が挿入されている。なお、本実施形態において、電源支持板90のうち、連通孔98よりも下方に位置する部分には、左右一対の取っ手101が設けられている。本実施形態では、I/Oユニット21及び電源ユニット22に別々の支持板43,90を用いる場合について説明したが、この構成のみに限られない。I/Oユニット21及び電源ユニット22に共通の支持板を用いても構わない。
【0042】
[プロセス制御システムの構築方法]
次に、プロセス制御システム1の構築方法について説明する。以下の説明では、プロセス制御システム1の構築方法のうち、上述した入出力装置12の生産方法について主に説明する。図6は、入出力装置12の生産方法を説明するための工程図である。本実施形態では、現場以外(外部環境に晒されない場所)での作業と、現場での作業と、を一部並行して行う。以下の説明では、始めに現場以外での作業を説明し、その後現場での作業を説明する。
【0043】
<現場以外での作業>
図6に示すように、ステップS1において、入出力装置12の設計を行う。
次に、ステップS2において、筐体23に端子台53を取り付ける(仮固定する)。
【0044】
図7は、筐体23に端子台53が取り付けられた状態を示す入出力装置12の正面図である。
図7に示すように、端子台53は、仮固定台110を介して筐体23の後壁部25dに取り付ける。本実施形態では、I/Oユニット21に搭載されるI/Oモジュール44毎に別々の仮固定台110を用いて端子台53を後壁部25dに取り付ける。但し、各I/Oモジュール44の端子台53を一つの仮固定台を用いて後壁部25dに取り付けても構わない。
【0045】
図8は、端子台53が仮固定台110に固定された状態を示す入出力装置12の斜視図である。なお、以下の説明における仮固定台110の向きは、仮固定台110が後壁部25dで取り付けられた状態での向きとして説明する。また、各仮固定台110は、各端子台53毎に同様の構成である。そのため、以下の説明では、一つの仮固定台110を例にして説明する。
図8に示すように、仮固定台110は、台座部111と、台座部111の後端部に連設されたスライドレール112と、を有している。
【0046】
台座部111は、端子台53を着脱可能に支持している。すなわち、端子台53は、台座部111を介して筐体23(後壁部25d)に着脱可能に構成されている。具体的に、台座部111は、左右方向で対向する第1側壁部113及び第2側壁部114と、各側壁部113,114の前端部同士を架け渡す取付壁部115と、を有している。
【0047】
取付壁部115は、上下方向を長手方向とし、左右方向を短手方向とする長方形状とされている。取付壁部115には、取付壁部115を前後方向に貫通する収容口116が形成されている。収容口116は、端子台53の端子ベース67を収容可能な大きさに形成されている。
【0048】
スライドレール112は、第1側壁部113の上下両端部から右側に向けて互いに平行に延設されている。各スライドレール112には、各スライドレール112を前後方向に貫通するガイド孔118が形成されている。ガイド孔118は、左右方向に延びる長孔とされている。
【0049】
上述した仮固定台110を介して端子台53を筐体23に取り付けるには、まず台座部111に端子台53を取り付ける。具体的には、突出片69が取付壁部115の前面に当接する位置まで、端子ベース67の後端部を収容口116内に挿入する。その後、突出片69と取付壁部115とをネジ等により締結する。
【0050】
続いて、スライドレール112を筐体23の後壁部25dに取り付ける。具体的には、各スライドレール112のガイド孔118内に締結部材を挿入し、締結部材を後壁部25dに締結する。この場合、仮固定台110は、ガイド孔118の延在方向(左右方向)に沿って端子台53とともにスライド可能に後壁部25dに支持される。図示の例において、仮固定台110は、仮固定台110のスライド範囲における最も左側に位置している。
【0051】
ここで、仮固定台110の寸法は、仮固定台110を介して取り付けられた端子台53が最も左側に位置する状態(以下、「仮固定位置」という。)が、I/Oユニット21が実際に後壁部25dに取り付けられたときの端子台53の位置(以下、「実固定位置」という。)と同等の位置になるように設定されている。具体的に、台座部111における前後方向の高さは、仮固定位置において実固定位置での端子台53の前後方向の位置と同等の位置に端子台53が配置されるように設定されている。また、スライドレール112における左右方向の長さは、仮固定位置において、実固定位置の端子台53の左右方向の位置と同等の位置に端子台53が配置されるように設定されている。なお、仮固定台110の寸法は、仮固定位置と実固定位置とが必ずしも一致するように設定する必要はない。例えば、仮固定位置が、端子台53が後壁部25dに直接取り付けられたときの端子台53の位置よりも実固定位置に近くなっていれば構わない。
【0052】
続いて、ステップS3において、端子台53が取り付けられた状態の筐体23を現場に出荷する。なお、筐体23及び端子台53は、現場で組み付けても構わない。
【0053】
続いて、ステップS4において、I/Oユニット21に搭載される電子機器(ユニバーサルI/Oモジュール51やオプションモジュール52)についてシステム構築を行う(設定工程)。つまり、アプリケーションの開発を行い、コントローラ13に設定する。また、設定装置15を用いて、ユニバーサルI/Oモジュール51の設定、例えば、ユニバーサル回路のモード設定や入出力端子の識別を示すタグ設定を行う。
次に、ステップS5において、I/Oユニット21に搭載される電子機器について工場内立会検査(FAT)を行う。工場内立会検査とは、例えばプロセス制御システム1を構成する各種電子機器(上述のフィールド機器11、I/Oモジュール44、コントローラ13等)が工場から出荷される前に行われる、ハードウェアやソフトウェアについての立会検査のことである。
【0054】
その後、ステップS6において、入出力装置12のうち、筐体23及び端子台53以外の部品を現場に出荷する。本実施形態では、端子台53が取り外された状態のI/Oユニット21、及び電源ユニット22を出荷する。但し、I/Oユニット21や電源ユニット22は、各支持板43,90に各種電子機器が取り付けられていない状態で出荷しても構わない。
【0055】
<現場での作業>
次に、ステップS11では、端子台53が取り付けられた筐体23を現場に設置する。
【0056】
図9は、ケーブル接続工程を説明するための図7に相当する正面図である。
続いて、ステップS12では、図9に示すように、開閉部材26を開位置にして、フィールド機器11と端子台53の各端子68とを、ケーブル31を介して接続する(ケーブル接続工程)。具体的には、ケーブル31をケーブルガイド27内に挿通し、ケーブル31を筐体23の外部から内部に引き込む。続いて、ケーブルダクト32の筒部33内に筒部33の下端開口部からケーブル31を挿入する。そして、対応する端子68の高さ位置までケーブル31を配索した後、スリット34を通じてケーブルダクト32からケーブル31を引き出す。その後、ケーブルダクト32から引き出されたケーブル31の端末部を対応する端子68に接続する。
【0057】
配線作業の終了後、ステップS13において、ステップS6で出荷されたI/Oユニット21及び電源ユニット22を筐体23に取り付ける(電子機器取付工程)。
【0058】
図10は、端子台53が退避位置にある状態を示す入出力装置12の正面図である。
図10に示すように、I/Oユニット21を筐体23に取り付けるには、まず仮固定位置にある端子台53をI/Oユニット21の取付領域Sから退避させる。具体的には、仮固定台110を右側にスライド移動させる。これにより、端子台53が仮固定台110とともに右側に移動し、端子台53が取付領域Sから右側に退避した退避位置に移動する。
【0059】
図11は、I/Oユニット21が取り付けられた状態を示す入出力装置12の正面図である。
図11に示すように、端子台53が退避した取付領域にI/Oユニット21を取り付ける。具体的には、まずI/O支持板43の取っ手50を把持し、I/Oユニット21を筐体23の開口部24を通じて筐体本体25内に進入させる。そして、後壁部25dに取り付けられた第1締結部材46を、I/O支持板43の連通孔47内に進入させる。その後、第1締結部材46が第1貫通孔45内に位置するようにI/Oユニット21を下方に移動させ、第1貫通孔45に第1締結部材46を係止する。これにより、I/Oユニット21が取付領域S(図10)において、第1締結部材46によって吊り下げられた状態となる。
【0060】
図12は、図11に示す状態から端子台53を仮固定台110から取り外した状態を示す入出力装置12の正面図である。
図12に示すように、端子台53を仮固定台110から取り外し、I/Oユニット21の端子コネクタ部63に端子台53を装着する(端子台装着工程)。
【0061】
図13は、図12に示す状態から仮固定台110を取り外した状態を示す入出力装置12の正面図である。
図13に示すように、後壁部25dから仮固定台110を取り外す。そして、I/O支持板43の第2貫通孔48に第2締結部材49を挿入し、I/O支持板43を各締結部材46,49によって後壁部25dに固定する。これにより、後壁部25dにI/Oユニット21が取り付けられる。なお、I/O支持板43は、端子台53を装着した直後に固定しても構わない。仮固定台110は、後壁部25dから取り外さず、退避位置で固定したままであってもよい。
【0062】
続いて、図2に示すように、電源ユニット22を後壁部25dに取り付ける。具体的には、後壁部25dに取り付けられた第1締結部材97を、電源支持板90の連通孔98内に進入させる。その後、第1締結部材97が第1貫通孔96内に位置するように電源ユニット22を下方に移動させ、第1貫通孔96内に第1締結部材97を係止する。これにより、電源ユニット22が第1締結部材97によって吊り下げられた状態となる。その後、電源支持板90の第2貫通孔99に第2締結部材100を挿入し、電源支持板90を各締結部材97,100によって後壁部25dに固定する。これにより、後壁部25dに電源ユニット22が取り付けられる。なお、筐体本体25に各種電子機器を取り付けた後、配線作業を実施し、開閉部材26を閉位置とし、開口部24を閉塞する(閉塞工程)。
【0063】
続いて、ステップS14において、現地受入検査(SAT:Site Acceptance Test)を行う。現地受入検査では、現場に納入された各種機器(例えば、フィールド機器11や入出力装置12、コントローラ13、監視装置14等)が要求される機能や性能等を有しているか否かを確認する。
【0064】
次に、ステップS15において、総合確認試験(SIT:System Integration Test)を行う。総合確認試験では、プラント等に構築されたプロセス制御システム1が全体として設計通り連携して動作するか否かを確認する。具体的には、コントローラ13の上位に設けられた監視装置14とI/Oモジュール44との間の信号チェックや、監視装置14とフィールド機器11との間の信号チェック等を行う。
【0065】
総合確認試験が正常に完了すると、ステップS16において、プロセス制御システム1の試運転が行われる。そして、試運転が正常に終了すると、プロセス制御システム1の構築が完了して、本稼働に移行する。
【0066】
このように、本実施形態では、端子台53が筐体23に取り付けられた状態で、ケーブル31と端子台53との接続作業を行い、接続作業の終了後にI/Oモジュール44等の電子機器を筐体23に取り付ける構成とした。
この構成によれば、ケーブル31の接続作業時に電子機器が外部環境に長時間晒されるおそれがない。そのため、入出力装置12を現場に設置するにあたって、電子機器に砂や埃等の影響が及ぶのを抑制でき、電子機器に不具合が発生するのを抑制できる。この場合、防塵装置等を取り付ける必要なく、電子機器に砂や埃等の影響が及ぶのを抑制できるので、作業コストの削減や作業効率の向上を図ることができる。
【0067】
本実施形態では、電子機器取付工程の前に、設定装置15で電子機器の設定を行う設定工程を有している構成とした。
この構成によれば、ケーブル31の接続作業後に、各種設定を経た電子機器を筐体23に取り付けることができるので、ケーブル31の接続作業に先行若しくは並行して、電子機器の各種設定(システム構築や工場内立会検査等)を行うことができる。そのため、電子機器が筐体23に取り付けられた状態で電子機器の設定を行う場合に比べて、プロセス制御システム1の構築に要する時間、及び工期を短縮できる。しかも、電子機器の設定を現場とは別の場所で行うことができるので、電子機器が外部環境に長期間晒されるおそれがない。
また、複数の入出力装置12を現場に設置する場合において、各入出力装置12の電子機器の設定作業(例えば、工場内立会検査)を一カ所(現場以外の場所)でまとめて行うことができる。そのため、例えば入出力装置12を現場に設置した後、各入出力装置12の電子機器に対して設定作業を行う場合に比べてプロセス制御システム1の構築を効率的に行うことができる。なお、各入出力装置12に対して現場で固有の設定作業を行う場合には、複数の入出力装置12の電子機器に対して一律に設定する部分のみを現場以外の場所で設定し、固有の設定を各入出力装置12に対して現場で個別に行うことができる。これにより、現場での作業時間を短縮できる。
【0068】
本実施形態では、端子台53が筐体23及び端子コネクタ部63に付け替え可能である構成とした。
この構成によれば、ケーブル31と端子台53との接続作業を行うにあたって、筐体23に対して端子台53を所定の位置に位置決めできる。これにより、埃塵等に弱い電子機器を実装した後での配線時間(配線フォーミングや配線長調整等)を低減できる。よって、電子機器が塵埃に晒される期間を短縮できる。
【0069】
特に、本実施形態では、端子台53が仮固定台110を介して筐体23に取り付けられる構成とした。
この構成によれば、端子台53を筐体23に直接取り付ける場合に比べて、仮固定位置と実固定位置との距離を近づけることができる。これにより、電子機器が取り付けられていなくても、実固定位置での端子台53とフィールド機器11との相対距離に、ケーブル31の長さを合わせやすくなる。
【0070】
本実施形態では、端子台53が筐体23に移動可能に取り付けられる構成とした。
この構成によれば、ケーブル31の接続作業時には端子台53を仮固定位置に配置することで、実固定位置に端子台53を近づけた状態でケーブル31の接続作業を行うことができる。これにより、上述したように実固定位置での端子台53とフィールド機器11との相対距離に、ケーブル31の長さを合わせやすくなる。
一方、電子機器を取り付ける際には、端子台53を退避位置に移動させることで、端子台53を筐体23から取り外すことなく、電子機器の取り付けにあたって電子機器と端子台53との干渉を防止できる。これにより、電子機器取付工程において、端子台53がケーブル31のみで吊り下げられた状態になるのを防げるため、1人でも電子機器を容易に実装できる。
【0071】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例について説明する。図14は、本変形例に係る入出力装置200の正面図である。本変形例では、フィールド機器11と端子台53との間に外部端子201を介在させる点で、上述した実施形態と相違している。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図14に示す入出力装置200において、フィールド機器11と端子台53との間には、外部端子201が介在している。外部端子201は、例えば電力遮断機能(ナイフスイッチやヒューズ等の機能)、マーシャリング機能等を有している。
【0072】
外部端子201は、例えば筐体本体25の右壁部25bにおいて、ケーブルダクト32よりも前側に位置する部分に固定されている。外部端子201は、ケーブル31を介してフィールド機器11に接続されている。また、外部端子201は、端子ケーブル202を介して端子台53の各端子68に接続されている。すなわち、本変形例では、端子台53及び外部端子201が端子ケーブル202を介して接続された端子モジュールを構成している。
【0073】
図15は、端子台53が筐体23に取り付けられた状態を示す入出力装置200の正面図である。
図15に示すように、本変形例では、ケーブル接続工程において、端子モジュールが筐体23に取り付けられた状態で、ケーブル31と外部端子201との接続作業を行う。すなわち、端子台53が仮固定台110を介して後壁部25dに取り付けられるとともに、外部端子201が右壁部25bに取り付けられた状態で、ケーブル31と外部端子201との接続作業を行う。接続作業以降の工程は、上述した実施形態と同様である。
【0074】
本変形例のように、端子台53が外部端子201を介してフィールド機器11に接続される場合であっても、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する。
しかも、本変形例では、端子台53とフィールド機器11との間に外部端子201を介在させることで、I/Oモジュール44に各種機能(例えば、電力遮断機能やマーシャリング機能等)を別途付加することができる。
なお、全てのフィールド機器11が外部端子201を介して端子台53に接続されていてもよく、一部のフィールド機器11が外部端子201を介して端子台53に接続され、残りのフィールド機器11が外部端子201を介することなく端子台53に接続されていても良い。
【0075】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上述した実施形態では、筐体本体25の後壁部25dにI/Oユニット21や電源ユニット22が取り付けられた構成について説明したが、この構成のみに限らず、筐体本体25の任意の位置にI/Oユニット21や電源ユニット22を取り付けることが可能である。
上述した実施形態では、仮固定台110がスライド移動する構成について説明したが、この構成のみに限らず、仮固定位置と退避位置との間を移動する構成であれば、仮固定台110が回動する構成等であっても構わない。
上述した実施形態では、端子台53が仮固定台110を介して後壁部25dに取り付けられる構成について説明したが、この構成のみに限らず、端子台53を筐体23に直接着脱する構成であっても構わない。また、電子機器が取り付けられる前にケーブル31の接続作業を行う構成であれば、端子台53が筐体23に取り付けられていなくても構わない。すなわち、電子機器が取り付けられる前に、筐体本体25内に端子台53を収納した状態で、ケーブル31の接続作業を行えれば構わない。
【0076】
上述した実施形態では、I/Oユニット21を取り付けるにあたって、端子台53とケーブル31との接続作業を予め行う構成について説明したが、その他の電子機器であっても構わない。
上述した実施形態では、I/Oモジュール44がオプションモジュール52を有する構成について説明したが、この構成のみに限らず、オプションモジュール52を有さない構成であっても構わない。
上述した実施形態では、設定装置15がユニバーサルI/Oモジュール51に直接接続される構成について説明したが、この構成のみに限らず、例えば上位通信ユニット94を介して設定装置15とユニバーサルI/Oモジュール51とが接続される構成であっても構わない。
【0077】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0078】
11…フィールド機器
12…入出力装置
15…設定装置
22…電源ユニット(電子機器)
23…筐体
24…開口部
25…筐体本体
26…開閉部材
31…ケーブル
51…ユニバーサルI/Oモジュール(電子機器)
52…オプションモジュール(電子機器)
53…端子台
63…端子コネクタ部(コネクタ部)
110…仮固定台
200…入出力装置
201…外部端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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