(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本実施形態を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である立体画像形成システムの構成図である。
立体画像形成システム1000は、表示装置100と、表示操作部200と、二次元画像形成装置320と、発泡装置310とを備え、二次元画像形成装置320と発泡装置310とで立体画像形成装置300を構成する。
【0012】
表示装置100は、OS(Operating System)を用い、表示操作部200と接続された汎用の情報処理装置であり、発泡装置310や二次元画像形成装置320を制御する制御装置として使用される。表示装置100は、制御部10と、揮発性記憶部70と、不揮発性記憶部80と、通信部90とを備える。揮発性記憶部70は、RAM(Random Access Memory)であり、ワークメモリとして使用される。不揮発性記憶部80は、HDD(Hard Disk Drive)やROM(Read Only Memory)であり、OS81、アプリケーションプログラム82、プリンタドライバ83や、画像データ84等を格納する。通信部90は、LAN(Local Area Network)やUSB(Universal Serial Bus)のシリアルインタフェースやパラレルインタフェースである。本実施形態では、二次元画像形成装置320とUSB接続され、発泡装置310とシリアル又はパラレル接続される。表示操作部200は、表示装置100に接続されるタッチパネルであり、二次元画像を表示する表示手段と、操作者が入力する入力手段とを備える。
【0013】
発泡装置310は、熱で発泡(膨張)する発泡層(膨張層)を一面側に積層した媒体の片面又は両面を加熱するために、発熱器具(加熱器具)としてのハロゲンランプ(不図示)を備えている。
【0014】
二次元画像形成装置320は、媒体としての熱膨張性シートの特定部位を発泡(膨張)させる黒色印刷(描画)したり、媒体の全面をCMY(シアン・マゼンタ・イエロー)でカラー印刷したりするインクジェットプリンタである。ここで、熱膨張性シートは、加熱によって膨張(発泡)する膨張層(発泡層)が台紙の表面に設けられたシート状の媒体である。二次元画像形成装置320は、媒体の表面の膨張層を部分的に膨張させる特定部位の画像データ(表面データ)と該媒体の裏面から膨張層を部分的に膨張させる画像データ(裏面データ)と、カラー画像データとが必要である。ここで、表面データ、及び裏面データの画像データは、媒体の発泡層を膨張させる発泡データでもある。すなわち、黒色印刷は、熱膨張性シート(発泡シート)を部分的に膨張させて前記熱膨張性シートの表面の起伏により立体形状を表現させるために前記熱膨張性シートに印刷される画像に対して行う。
【0015】
なお、ハロゲンランプは、近赤外光を強く発生するので、黒色(カーボン)を強く加熱し、CMYのカラー印刷箇所では加熱量が少ない。このため、発泡層を有した媒体は、黒色印刷された特定部位のみ発泡(膨張)し、いわゆる2.5D印刷が行われる。言い換えれば、二次元画像形成装置320は、電磁波としての近赤外光を熱に変換する熱変換層(黒色層)を印刷する。ここで、黒色印刷する現像剤としてのインクは、カーボンを含み、CMYのインクは、カーボンを含んでいない。このため、CMYを混色した黒色は、発熱量が少ない。なお、立体画像形成システム1000は、2.5Dの構造物を製造する構造物製造システムとして動作する。
【0016】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)であり、プログラムを実行することにより、プレビュー画像生成部20と、表示制御手段30と、立体画像形成制御手段40と、通信制御部50との機能を実現する。プレビュー画像生成部20は、カラーの元画像から発泡装置310が形成する立体画像を擬似的表現したプレビュー画像のデータを生成するものである。プレビュー画像生成部20は、脱色画像生成手段21と、脱色反転画像生成手段22と、輪郭抽出画像生成手段23と、輪郭反転画像生成手段24と、画像合成手段25と、エンボス処理手段26との機能手段を備える。脱色画像生成手段21と、脱色反転画像生成手段22と、輪郭抽出画像生成手段23と、輪郭反転画像生成手段24と、画像合成手段25と、エンボス処理手段26とは、熱膨張性シートに印刷される画像の印刷に先立って、熱膨張性シートに印刷される画像を編集する編集手段として機能する。
【0017】
脱色画像生成手段21は、元画像を脱色(グレースケール化)し、脱色画像436(
図10(b)参照)を生成する。つまり、脱色画像生成手段21は、元画像の輝度又は明度を演算し、脱色画像とする。脱色反転画像生成手段22は、脱色画像生成手段21が生成した脱色画像の濃淡を反転させ、脱色反転画像438(
図10(b)参照)を生成する。また、脱色反転画像生成手段22は、元画像の濃淡を反転させてから脱色を行っても構わない。輪郭抽出画像生成手段23は、元画像の輪郭を抽出し、エッジ強調画像としての輪郭抽出画像431(
図9(b)参照)を生成する。輪郭反転画像生成手段24は、輪郭抽出画像生成手段23が生成した輪郭抽出画像の濃淡を反転させて、輪郭反転画像432(
図9(b)参照)を生成する。また、輪郭反転画像生成手段24は、元画像の濃淡を反転させてから輪郭を抽出しても構わない。
【0018】
画像合成手段25は、脱色画像436と輪郭抽出画像431と脱色反転画像438と輪郭反転画像432との何れか複数の画像を合成する。つまり、画像合成手段25は、脱色画像、及び輪郭抽出画像の一方を予め設定された第1寄与率で、他方を1から第1寄与率を減じた第2寄与率で合成した非反転合成画像(一の合成画像)と、脱色画像、及び輪郭反転画像の一方を第1寄与率で、他方を1から第1寄与率を減じた第2寄与率で合成した第1合成画像と、輪郭抽出画像、及び脱色反転画像の一方を第一寄与率で、他方を1から第1寄与率を減じた第2寄与率で合成した第2合成画像と、輪郭反転画像、及び脱色反転画像の一方を第1寄与率で他方を、1から第1寄与率を減じた第2寄与率で合成した第3合成画像とを生成する。
【0019】
ここで、第1寄与率xは、0%≦x≦100%であり、第2寄与率y=(1−x)は、0%≦y≦100%である。つまり、非反転合成画像は、脱色画像436(
図10(b))や輪郭抽出画像431(
図9(b))になることがある。なお、第1寄与率xや第2寄与率yは、0%<x,y<100%であっても構わない。
【0020】
エンボス処理手段26は、画像合成手段25が合成した複数の合成画像(非反転合成画像、第1合成画像、第2合成画像、第3合成画像)にエンボス処理を施し、それぞれのエンボス画像を生成する。
【0021】
表示操作部200に表示されたプレビュー画像(特に、エンボス画像)は、発泡(膨張)後の立体画像を擬似的に二次元で表現したものである。また、エンボス画像は、平面画像(黒色印刷画像)を三次元的に擬似表示したものでもある。特に、エンボス画像は、脱色画像と輪郭抽出画像(エッジ強調画像)と脱色反転画像と輪郭反転画像との何れか複数の画像を合成画像よりも、形成された立体画像の感触や見栄えを掴み易くする画像である。
【0022】
立体画像形成制御手段40は、立体画像形成装置300を制御する。つまり、立体画像形成制御手段40は、プリンタドライバ83を介して二次元画像形成装置320を制御すると共に、発泡装置310を制御する。ここで、立体画像形成制御手段40は、「媒体の表面側を上にして、二次元画像形成装置320の載置台に載置する」旨の画像を表示操作部200に表示させ、表面データを用いて媒体に画像形成(印刷)させ、次に、「媒体の裏面側を上にして、二次元画像形成装置320の載置台に載置する」旨の画像を表示操作部200に表示させ、裏面データを用いて媒体に画像形成させ、次に、「媒体の表面側を上にして、発泡装置310の載置台に載置する」旨の画像を表示操作部200に表示させ、発泡装置310に媒体を加熱させる。
【0023】
通信制御部50は、通信部90を制御する制御手段である。ここで、通信制御部50が二次元画像形成装置320を制御するときは、プリンタドライバ83が使用される。
【0024】
図2は、元画像を基にして、発泡データを簡単設定するときのフローチャートである。
ここで、「簡単設定」とは、元画像としての元絵の種類を選択すると、その元絵の種類に応じた発泡データを自動的に作成することができる機能である。
表示制御手段30は、元画像としての元絵の種類を選択する旨の画面(
図3)を表示操作部200に表示させ、操作者が選択した選択入力を受け付け(S10)、写真等をファイルから取得したり、図示しないスキャナで取り込んだりする(S12)。
【0025】
図3は、発泡データを簡単設定するときの設定画面の一例を示す図である。
元絵種類設定画面410は、「絵を選んで自動作成」するか否かを選択するチェックボックス411と、元画像としての元絵が「クレヨン・色鉛筆等」の「線画」や「油絵、複雑な絵・写真」であるか、「版画・水彩画等、単調な絵・写真」であるか否かを選択するチェックボックス412と、それぞれの画像を「反転」するかしないかを選択するチェックボックス413,414とを備える。
ここでは、「絵を選んで自動作成」を「する」に設定され、「線画(クレヨン・色鉛筆等)、油絵、複雑な絵・写真」に設定され、「反転」「しない」に設定されている。
【0026】
図2のフローチャートの説明に戻り、立体画像形成制御手段40(
図1)は、チェックボックス412の設定状態を判定することで、元絵の種類を判定する(S14)。線画中心の元絵である場合には(S14で線画中心)、立体画像形成制御手段40は、チェックボックス413の設定状態を判定することで、濃淡の反転指示があるか否かを判定する(S16)。反転指示があったときは(S16で有)、輪郭抽出画像生成手段23(
図1)は、元絵の輪郭を抽出し、輪郭抽出画像を生成する(S18)。S18の後、輪郭反転画像生成手段24は、輪郭抽出画像の濃淡を反転させて、輪郭反転画像を生成する(S20)。一方、S16の判定で、反転指示が無かったときは(S16で無)、輪郭抽出画像生成手段23(
図1)は、元絵の輪郭を抽出し、輪郭抽出画像を生成する(S22)。
【0027】
図4Aは、線画の元画像の一例を示す図であり、
図4Bは、線画の輪郭抽出画像の一例を示す図であり、
図4Cは、線画の輪郭抽出画像を反転した反転画像の一例を示す図である。
これらの図は、操作者がチェックボックス412,413(
図3)を用いて、「線画(クレヨン・色鉛筆等)、油絵、複雑な絵・写真」に設定されており、反転「しない」に設定されているので、立体画像形成制御手段40(
図1)は、入力された元絵(
図4A)から自動的に輪郭抽出し(S22)、輪郭抽出画像(
図4B)を生成する。なお、チェックボックス413(
図3)を用いて、「する」に設定すると、立体画像形成制御手段40は、自動的に濃淡を反転させ(S22)、輪郭反転画像(
図4C)を生成する。なお、
図4Bの輪郭抽出画像は、黒が凸の発泡データとなり、
図4Cの輪郭反転画像は、白が凹の発泡データとなる。
【0028】
再び
図2のフローチャートに戻り、S14の判定で、「版画・水彩画等、単調な絵・写真」である非線画であると判定された場合には(S14で非線画)、立体画像形成制御手段40は、立体画像形成制御手段40は、チェックボックス414の設定状態を判定することで、濃淡の反転指示があるか否かを判定する(S24)。反転指示があったときは(S24で有)、脱色画像生成手段21(
図1)は、元絵を脱色処理し、脱色画像を生成する(S26)。S26の後、脱色反転画像生成手段22は、脱色画像の濃淡を反転させて、脱色反転画像を生成する(S28)。一方、S24の判定で、反転指示が無かったときは(S24で無)、脱色画像生成手段21は、元絵の脱色を行い、脱色画像を生成する(S30)。
【0029】
図5Aは、版画等の元画像の一例を示す図であり、
図5Bは、版画等の脱色画像の一例を示す図であり、
図5Cは、版画等の脱色反転画像の一例を示す図である。
これらの図は、操作者がチェックボックス412(
図3)を用いて、「版画・水彩画等、単調な絵・写真」に設定することにより、立体画像形成制御手段40は、入力された元絵(
図5A)を自動的に脱色し(S30)、脱色画像(
図5B)を生成する。なお、チェックボックス414(
図3)を用いて、「する」に設定すると、立体画像形成制御手段40は、自動的に濃淡を反転させ(S28)、脱色反転画像(
図5C)を生成する。なお、
図5Aは、葛飾北斎作、富嶽三十六景の神奈川沖浪裏で例示している。なお、
図5Bの脱色画像は、白が凹の発泡データとなり、
図5Cの脱色反転画像は、黒が凸の発泡データとなる。
【0030】
再び
図2のフローチャートに戻り、S20,S22,S28,S30の後、立体画像形成制御手段40は、立体画像形成装置300に対して、三次元画像を形成させる(S32)。つまり、立体画像形成制御手段40は、二次元画像形成装置320に対して、輪郭反転画像、輪郭抽出画像、脱色反転画像、脱色画像の何れかの画像を媒体に形成させ、発泡装置310に対して、何れかの画像が形成された媒体を加熱させて、発泡層の特定部位を膨張させる。
【0031】
図6は、発泡データを詳細設定するときのフローチャートである。
ここで、詳細設定とは、画像処理の内容やパラメータを設定し、元画像を画像処理した処理画像を確認する作業を繰り返し、画像、及びパラメータを確定することである。
制御部10は、画像入力・生成を行う(S50)。まず、表示制御手段30は、画像入力を促す画面(図示せず)を表示操作部200(
図1)に表示させ、写真等をファイルから取得したり、図示しないスキャナで取り込んだりする。次に、表示制御手段30は、脱色と輪郭抽出との互いの寄与率を操作者に入力させる(S55)。つまり、表示制御手段30は、寄与率設定画面420a(
図9(a))を表示操作部200に表示させ、脱色と輪郭抽出との比率を操作者に設定させる。次に、プレビュー画像生成部20は、入力されたカラー画像(元画像)に対して、脱色・輪郭抽出・反転・画像合成等の画像処理を実行する(S60)。
【0032】
図7は、画像処理のフローチャートである。
まず、プレビュー画像生成部20の脱色画像生成手段21(
図1)は、脱色処理を行う(S62)。つまり、脱色画像生成手段21は、入力されたカラー画像(元画像)の輝度や明度を抽出し、脱色画像を生成する。次に、輪郭抽出画像生成手段23(
図1)は、入力されたカラー画像(元画像)の輪郭抽出を行い、輪郭抽出画像を生成する(S64)。
【0033】
次に、脱色反転画像生成手段22は、S62で生成した脱色画像の濃淡を反転し、脱色反転画像を生成する(S66)。さらに、輪郭反転画像生成手段24は、S64で生成した輪郭抽出画像の濃淡を反転し、輪郭反転画像を生成する(S66)。そして、画像合成手段25(
図1)は、S55で設定された寄与率で、脱色画像と輪郭抽出画像とを合成する(S68)。また、画像合成手段25は、脱色画像と輪郭反転画像とを合成し、脱色反転画像と輪郭抽出画像とを合成し、脱色反転画像と輪郭反転画像とを合成する。そして、処理は、
図6のS70に進む。なお、S62,S64の処理は、何れが先でも構わない。
【0034】
表示制御手段30は、プレビュー画面430(
図9(b))を生成し、S68で合成した複数の合成画像を表示操作部200に比較表示させる(S70)。つまり、表示制御手段30は、脱色画像と輪郭抽出画像とを合成した非反転合成画像(例えば、輪郭抽出画像431)と、脱色画像と輪郭反転画像とを合成した第1合成画像(例えば、輪郭反転画像432)と、脱色反転画像と輪郭抽出画像とを合成した第2合成画像433と、脱色反転画像と輪郭反転画像とを合成した第3合成画像434とを比較表示させる。
【0035】
このとき、表示制御手段30は、予め、「複数の画像の中から最適な画像を選択する」
旨の表示を行うものとする。なお、プレビュー画面430は、「エンボス実行」ボタン435(
図9(b))や、「エンボス解除」ボタン445(
図13)を備え、表示装置100は、これらのボタンが押下されたとき、フラグが変化するように構成されている。
【0036】
プレビュー画像生成部20は、プレビュー画面430における指示内容を判定する(S74)。つまり、プレビュー画像生成部20は、非反転合成画像(例えば、輪郭抽出画像431)、第1合成画像(例えば、輪郭反転画像432)、第2合成画像433、第3合成画像434との何れかの画像選択、「エンボス実行」ボタン435(
図9(b)の押下、「エンボス解除」ボタン445(
図13)の押下を判定する。
【0037】
非反転合成画像、第1合成画像、第2合成画像、及び第3合成画像の何れか一の画像選択が行われたら(S74で画像選択)、プレビュー画像生成部20は、過発泡しないように、選択画像(最適画像)のレベル補正を行い(S76)、レベル補正された画像データ84を不揮発性記憶部80(
図1)に保存する(S85)。つまり、プレビュー画像生成部20は、表発泡データ、及び裏発泡データが重なって過発泡にならないようにする。そして、立体画像形成制御手段40(
図1)は、媒体に立体画像を形成する(S90)。
【0038】
図8は、立体画像形成のフローチャートである。
立体画像形成制御手段40は、二次元画像形成装置320を用いて、媒体に黒色の表面画像を形成させる(S92)。この表面画像は、例えば、輪郭抽出画像が使用される。次に、立体画像形成制御手段40は、二次元画像形成装置320を用いて、媒体に黒色の裏面画像を形成させる(S94)。この裏面画像は、例えば、輪郭抽出反転画像、脱色画像や、脱色反転画像が使用される。次に、立体画像形成制御手段40は、二次元画像形成装置320を用いて、媒体にカラー画像を形成させる(S96)。次に、立体画像形成制御手段40は、発泡装置310を用いて、媒体を加熱して、黒色の表面画像、及び裏面画像を発泡させて(S98)、処理が終了する。
【0039】
S74の判定において、エンボス指示がされていたら、エンボス処理手段26(
図1)は、エンボス処理を実行し(S78)、S70の処理に戻り、表示制御手段30は、エンボス処理された複数の合成画像を表示操作部200に比較表示させる(S70)。そして、プレビュー画像生成部20は、過発泡しないように、選択画像のレベル補正を行う(S76)。このとき、レベル補正する画像は、エンボス処理された合成画像でなく、エンボス処理する前の画像(輪郭抽出画像、輪郭抽出反転画像、脱色画像、脱色反転画像)である。そして、レベル補正された画像データ84を不揮発性記憶部80(
図1)に保存する(S85)。そして、立体画像形成制御手段40(
図1)は、画像データ84を用いて、媒体に立体画像を形成させる(S90)。
【0040】
S74の判定において、エンボス解除が指示されていたら、エンボス処理手段26(
図1)は、エンボス解除を実行し(S80)、S70の処理に戻り、表示制御手段30は、エンボス解除した複数の合成画像を比較表示する(S70)。そして、プレビュー画像生成部20は、過発泡しないように、操作者により選択された最適画像のレベル補正を行い(S76)、レベル補正された画像データ84を不揮発性記憶部80(
図1)に保存する(S85)。そして、立体画像形成制御手段40(
図1)は、画像データ84を用いて、媒体に立体画像を形成する(S90)。
【0041】
図9は、輪郭抽出の寄与率100%における設定画像、及び比較画像の一例を示す図である。
図9(a)の寄与率設定画面420(420a)は、絵を選んで自動作成「しない」のチェックボックスが選択されており、スライドバー425が右端の「輪郭抽出」に設定され、輪郭抽出の寄与率100%、脱色の寄与率0%を示している。
【0042】
図9(b)は、プレビュー画面430(430a)であり、4つの合成画像を比較表示している。左上が脱色画像と輪郭抽出画像との合成画像であり、右上が脱色画像と輪郭反転画像との合成画像であり、左下が脱色反転画像と輪郭抽出画像との合成画像であり、右下が脱色反転画像と輪郭反転画像との合成画像である。特に、輪郭抽出の寄与率100%、脱色の寄与率0%であるので、左上に輪郭抽出画像431が表示され、右上に輪郭反転画像432が表示される。また、左下の脱色反転画像と輪郭抽出画像との合成画像(第2合成画像433)は、脱色反転画像の寄与が無く、輪郭抽出画像431と同一であり、右下の脱色反転画像と輪郭反転画像との合成画像(第3合成画像434)は、脱色反転画像の寄与が無く、輪郭反転画像432と同一である。
【0043】
図10は、脱色の寄与率100%における設定画像、及び比較画像の一例を示す図である。
図10(a)は、寄与率設定画面420bであり、絵を選んで自動作成「しない」のチェックボックスが選択されており、スライドバー425が左端の「脱色」に設定され、脱色の寄与率100%、輪郭抽出の寄与率0%を示している。
【0044】
図10(b)において、左上の脱色画像と輪郭抽出画像との合成画像は、輪郭抽出画像の寄与が無く、脱色画像436であり、右上の脱色画像と輪郭反転画像との合成画像437は、輪郭反転画像の寄与が無く、脱色画像436と同一である。左下の脱色反転画像と輪郭抽出画像との合成画像は、輪郭抽出画像の寄与が無く、脱色反転画像438である。右下の脱色反転画像と輪郭反転画像との合成画像439は、輪郭反転画像の寄与が無く、脱色反転画像438と同一である。
【0045】
図11は、輪郭抽出の寄与率50%、脱色の寄与率50%であるときの設定画像、及び比較画像の一例を示す図である。
図11(a)は、寄与率設定画面420cであり、絵を選んで自動作成「しない」のチェックボックスが選択されており、スライドバー425が「脱色」と「輪郭抽出」との中点に設定されている。
【0046】
図11(b)において、左上の画像451は、脱色画像436(
図10)と輪郭抽出画像431(
図9)とを等しく合成した非反転合成画像であり、右上の画像452は、脱色画像436と輪郭反転画像432(
図9)とを等しく合成した合成画像であり、左下の画像453は、脱色反転画像438(
図10)と輪郭抽出画像431とを等しく合成した合成画像であり、右下の画像454は、脱色反転画像438と輪郭反転画像432とを等しく合成した合成画像である。
【0047】
図12は、輪郭抽出の寄与率75%、脱色の寄与率25%であるときの設定画像、及び比較画像の一例を示す図である。
図12(a)は、寄与率設定画面420dであり、絵を選んで自動作成「しない」のチェックボックスが選択されており、スライドバー425が「脱色」と「輪郭抽出」との間を3対1に分割した分割点に設定されている。
【0048】
図12(b)において、左上の画像455は、脱色画像436(
図10)と輪郭抽出画像431(
図9)とを1対3で合成した合成画像であり、右上の画像456は、脱色画像436と輪郭反転画像432(
図9)とを1対3で合成した合成画像であり、左下の画像454は、脱色反転画像438(
図10)と輪郭抽出画像431とを1対3で合成した合成画像であり、右下の画像457は、脱色反転画像438と輪郭反転画像432とを1対3で合成した合成画像である。
【0049】
図13は、輪郭抽出の寄与率100%における比較画像に対してエンボス処理を行った画像の一例を示す図である。
図13(a)は、
図9(a)の寄与率設定画面420aと同一である。
図13(b)のエンボスプレビュー画面440aは、4つのエンボス画像を比較表示している。左上の画像431aは、輪郭抽出画像431(
図9(b))のエンボス画像であり、右上の画像432aは、輪郭反転画像432(
図9(b))のエンボス画像であり、左下の画像433aは、第2合成画像433(
図9(b))のエンボス画像であり、右下の画像434aは、第3合成画像434(
図9(b))のエンボス画像である。また、エンボスプレビュー画面440aは、「エンボス解除」ボタン445を設け、押下により、エンボスが解除され、プレビュー画面430a(
図9(b))に戻る。
【0050】
図14は、脱色の寄与率100%における比較画像に対してエンボス処理を行った画像の一例を示す図である。
図14(a)は、
図10(a)の寄与率設定画面420bと同一である。
図14(b)のエンボスプレビュー画面440bの画像436a,437a,438a,439aは、プレビュー画面430b(
図10(b))の各画像をエンボス処理したエンボス画像である。
【0051】
図15は、輪郭抽出の寄与率50%、脱色の寄与率50%であるときの比較画像に対してエンボス処理を行った画像の一例を示す図である。
図15(a)は、
図11(a)の寄与率設定画面420cと同一である。
図15(b)のエンボスプレビュー画面440cの画像451a,452a,453a,454aは、プレビュー画面430c(
図11(b))の各画像をエンボス処理したエンボス画像である。
【0052】
図16は、輪郭抽出の寄与率75%、脱色の寄与率25%であるときの比較画像に対してエンボス処理を行った画像の一例を示す図である。
図16(a)は、
図12(a)の寄与率設定画面420dと同一である。
図16(b)のエンボスプレビュー画面440dの画像455a,456a,457a,458aは、プレビュー画面430d(
図12(b))の各画面をエンボス処理したエンボス画像である。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の表示装置100は、発泡データを自動作成「する」/「しない」のチェックボックス411と、「線画(クレヨン・色鉛筆等)、油絵、複雑な絵・写真」か「版画・水彩画等、単調な絵・写真」であるか否かを選択するチェックボックス412とを表示操作部200に表示させ、線画等か版画等かに応じて、表面データ、及び裏面データを生成し、生成された表面データ、及び裏面データを用いて、立体画像形成装置300に載置された媒体に立体画像を形成させることができる。
【0054】
また、本実施形態の表示装置100は、発泡データを自動作成しない場合、脱色画像436と、輪郭抽出画像431との合成画像(非反転合成画像)と、脱色画像436と輪郭反転画像432との合成画像(第1合成画像)と、脱色反転画像438と輪郭抽出画像431との合成画像(第2合成画像)と、脱色反転画像438と輪郭反転画像432との合成画像(第3合成画像)とを備えるプレビュー画面430を表示操作部200に比較表示させることができる。この比較表示された画像は、三次元的な擬似画像であり、操作者が2.5Dの立体画像を媒体に形成する前に、感触や見栄えを掴むことができるプレビュー画像である。
【0055】
また、プレビュー画面430は、「エンボス実行」ボタン435を設けており、表示装置100は、各画像のエンボス画像を備えるエンボスプレビュー画面440を表示操作部200に比較表示させることができる。ここで、
図13(b)乃至
図16(b)のエンボス画像は、形成された2.5Dの立体画像の感触や見栄えを掴むのに十分な品質である。
【0056】
そして、表示装置100は、表示された複数の合成画像やエンボス画像の中から選択された画像の立体画像を立体画像形成装置300に形成させることができる。このとき、媒体に二次元画像を形成する画像は、輪郭抽出画像、輪郭抽出反転画像、脱色画像、脱色反転画像の何れか一つ又はこれらの組み合わせである。また、表面データは、輪郭抽出画像が好ましく、裏面データは、輪郭抽出反転画像、脱色画像、脱色反転画像の何れか一つ又はこれらの組み合わせが好ましい。
【0057】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記実施形態の立体画像形成システム1000は、輪郭抽出画像を表発泡データとし、輪郭抽出反転画像、脱色画像、脱色反転画像の何れか一つを裏発泡データとすることを原則としたが、輪郭抽出画像に脱色画像を設定された寄与率で取り込んだ合成画像(非反転合成画像)を表発泡データとすることもできる。
【0058】
(2)前記実施形態の表示装置100は、脱色画像436、及び輪郭抽出画像431を合成した非反転合成画像と、脱色画像436、及び輪郭反転画像432を合成した第1合成画像と、輪郭抽出画像431,及び脱色反転画像438を合成した第2合成画像と、輪郭反転画像432、及び脱色反転画像438を合成した第3合成画像との4つの合成画像を比較表示している。表示装置100は、4つの合成画像でなくても、何れか2つ又は3つの合成画像を比較表示させても構わない。このとき、表示装置100は、脱色画像436、及び輪郭抽出画像431を合成した非反転合成画像を必ず表示させることが好ましいが、この非反転合成画像を表示することなく、他の合成画像(第1合成画像、第2合成画像、第3合成画像)を比較表示させても構わない。
【0059】
図9〜12は、印刷イメージ画像(黒印刷用の画像)であり、
図13〜16は、発泡後のイメージ画像(エンボス加工の画像)である。プレビュー画像生成部20は、表示画面に印刷イメージ画像と発泡後イメージ画像の両方を表示操作部200に表示させてもよい。プレビュー画像生成部20は、さらに、元画像(カラーの画像)も印刷イメージ画像又は発泡後イメージ画像と共に表示してもよい。
【0060】
これにより、操作者は、元画像からどのような立体画像ができるかイメージできる。また、操作者は、形成された立体画像の感触や見栄えを掴むことができる。また、平面画像を三次元的に擬似表示することができる。
【0061】
本実施形態は、合成する前段階(輪郭抽出、脱色処理)で寄与率を調整しているが、合成してから寄与率を調整してもよい。
【0062】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
熱膨張性シートを部分的に膨張させて前記熱膨張性シートの表面の起伏により立体形状を表現させるために前記熱膨張性シートに印刷される画像を、該画像の印刷に先立って編集する編集手段と、
前記画像に基づいて熱膨張性シートが膨張することにより表現されることとなる立体形状を擬似的に表現したプレビュー画像を、前記編集手段による編集方法または編集度合いの違いによる比較が可能なように表示させる表示制御手段と、を備えたことを特徴とする表示装置。
<請求項2>
熱膨張性シートを部分的に膨張させて前記熱膨張性シートの表面の起伏により立体形状を表現させるために前記熱膨張性シートに印刷される画像を、該画像の印刷に先立って編集する編集手段と、
前記画像に基づいて熱膨張性シートが膨張することにより表現されることとなる立体形状を擬似的に表現したプレビュー画像であって、前記編集手段による編集方法または編集度合いが互いに異なる複数のプレビュー画像を並べて表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
<請求項3>
前記プレビュー画像は、エンボス処理された画像であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
<請求項4>
前記編集手段は、
前記画像の濃淡を反転させた第1の反転画像を生成する第1の反転画像生成手段と、
前記画像をエッジ強調したエッジ強調画像を生成するエッジ強調画像生成手段と、
前記エッジ強調画像の濃淡を反転させた第2の反転画像を生成する第2の反転画像生成手段と、
前記画像、前記第1の反転画像、前記エッジ強調画像、前記第2の反転画像の何れか複数の画像を合成した一の合成画像を生成する合成画像生成手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至3に記載の表示装置。
<請求項5>
前記複数の合成画像夫々は、前記画像、前記第1の反転画像、前記エッジ強調画像、前記第2の反転画像の何れか複数の画像を異なった合成比率で調整した合成画像であることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
<請求項6>
ユーザに前記プレビュー画像又は編集前の前記画像を選択させる選択手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記選択手段により選択された前記プレビュー画像又は編集前の前記画像を表示部に表示させることを特徴とする表示装置。
<請求項7>
請求項1乃至6に記載の表示装置と、
前記熱膨張性シート上に前記画像を印刷する印刷手段と、
前記熱膨張性シート上に印刷された前記画像に向けて光を照射することにより前記熱膨張性シートを熱膨張により膨張させる光照射手段と、
を備えることを特徴とする立体形状形成システム。
<請求項8>
熱膨張性シートを部分的に膨張させて前記熱膨張性シートの表面の起伏により立体形状を表現させるために前記熱膨張性シートに印刷される画像を、該画像の印刷に先立って編集する編集手段、
前記画像に基づいて熱膨張性シートが膨張することにより表現されることとなる立体形状を擬似的に表現したプレビュー画像を、前記編集手段による編集方法または編集度合いの違いによる比較が可能なように表示させる表示制御手段、
の機能をコンピュータに実現させることを特徴とする表示プログラム。
<請求項9>
熱膨張性シートを部分的に膨張させて前記熱膨張性シートの表面の起伏により立体形状を表現させるために前記熱膨張性シートに印刷される画像を、該画像の印刷に先立って編集する編集手段、
前記画像に基づいて熱膨張性シートが膨張することにより表現されることとなる立体形状を擬似的に表現したプレビュー画像であって、前記編集手段による編集方法または編集度合いが互いに異なる複数のプレビュー画像を並べて表示させる表示制御手段、の機能をコンピュータに実現させることを特徴とする表示プログラム。