【実施例】
【0111】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0112】
<製造例1>
〔リン酸化微細繊維状セルロース分散液の製造〕
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量208g/m
2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。この原料パルプに対してリンオキソ酸化処理を次のようにして行った。まず、上記原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、リン酸二水素アンモニウムと尿素の混合水溶液を添加して、リン酸二水素アンモニウム45質量部、尿素120質量部、水150質量部となるように調整し、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で200秒加熱し、パルプ中のセルロースにリン酸基を導入し、リン酸化パルプを得た。
【0113】
次いで、得られたリン酸化パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、リン酸化パルプ100g(絶乾質量)に対して10Lのイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
【0114】
次いで、洗浄後のリン酸化パルプに対して中和処理を次のようにして行った。まず、洗浄後のリン酸化パルプを10Lのイオン交換水で希釈した後、撹拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加することにより、pHが12以上13以下のリン酸化パルプスラリーを得た。次いで、当該リン酸化パルプスラリーを脱水して、中和処理が施されたリン酸化パルプを得た。次いで、中和処理後のリン酸化パルプに対して、上記洗浄処理を行った。
【0115】
これにより得られたリン酸化パルプに対しFT−IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1230cm
-1付近にリン酸基に基づく吸収が観察され、パルプにリン酸基が付加されていることが確認された。
【0116】
また、得られたリン酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
【0117】
得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が3質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、シングルディスクリファイナー(熊谷理機工業社製)で1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量)は、1.45mmol/gだった。なお、総解離酸量は、2.45mmol/gであった。
【0118】
<製造例2>
製造例1で得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、シングルディスクリファイナー(熊谷理機工業社製)で1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量)は、1.45mmol/gだった。なお、総解離酸量は、2.45mmol/gであった。
【0119】
<製造例3>
製造例1で得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が13質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量)は、1.45mmol/gだった。なお、総解離酸量は、2.45mmol/gであった。
【0120】
<製造例4>
製造例1で得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量)は、1.45mmol/gだった。なお、総解離酸量は、2.45mmol/gであった。
【0121】
<製造例5>
[TEMPO酸化微細繊維状セルロース分散液の製造]
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(未乾燥)を使用した。この原料パルプに対してアルカリTEMPO酸化処理を次のようにして行った。まず、乾燥質量100質量部相当の上記原料パルプと、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)1.6質量部と、臭化ナトリウム10質量部を水10000質量部に分散させた。次いで、1.0gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウムが3.8mmolになるように、13質量%の次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10以上10.5以下に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なした。
【0122】
次いで、得られたTEMPO酸化パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、TEMPO酸化後のパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、5000質量部のイオン交換水を注ぎ、撹拌して均一に分散させた後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
【0123】
この脱水シートに対して、残存するアルデヒド基の追酸化処理を次のようにして行った。乾燥質量100質量部相当の上記脱水シートを、0.1mol/L酢酸緩衝液(pH4.8)10000質量部に分散させた。次いで80質量%の亜塩素酸ナトリウム113質量部を加え、直ちに密閉した後、マグネチックスターラーを用いて500rpmで撹拌しながら室温で48時間反応させ、パルプスラリーを得た。
【0124】
次いで、得られた追酸化済みTEMPO酸化パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、追酸化後のパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、5000質量部のイオン交換水を注ぎ、撹拌して均一に分散させた後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
【0125】
また、得られたTEMPO酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
【0126】
得られたTEMPO酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が3質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、シングルディスクリファイナー(熊谷理機工業社製)で1回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.30mmol/gだった。
【0127】
<製造例6>
製造例5で得られたTEMPO酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、シングルディスクリファイナー(熊谷理機工業社製)で1回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.30mmol/gだった。
【0128】
<製造例7>
製造例5で得られたTEMPO酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が13質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.30mmol/gだった。
【0129】
<製造例8>
製造例5で得られたTEMPO酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.30mmol/gだった。
【0130】
<製造例9>
〔亜リン酸化微細繊維状セルロース分散液の製造〕
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/m
2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。この原料パルプに対してリンオキソ酸化処理を次のようにして行った。まず、上記原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、亜リン酸(ホスホン酸)と尿素の混合水溶液を添加して、亜リン酸(ホスホン酸)33質量部、尿素120質量部、水150質量部となるように調製し、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で250秒加熱し、パルプ中のセルロースに亜リン酸基を導入し、亜リン酸化パルプを得た。
【0131】
次いで、得られた亜リン酸化パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、亜リン酸化パルプ100g(絶乾質量)に対して10Lのイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
【0132】
次いで、洗浄後の亜リン酸化パルプに対して中和処理を次のようにして行った。まず、洗浄後の亜リン酸化パルプを10Lのイオン交換水で希釈した後、撹拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加することにより、pHが12以上13以下の亜リン酸化パルプスラリーを得た。次いで、当該亜リン酸化パルプスラリーを脱水して、中和処理が施された亜リン酸化パルプを得た。次いで、中和処理後の亜リン酸化パルプに対して、上記洗浄処理を行った。
【0133】
これにより得られた亜リン酸化パルプに対しFT−IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1210cm
-1付近に亜リン酸基の互変異性体であるホスホン酸基のP=Oに基づく吸収が観察され、パルプに(亜)リン酸基(ホスホン酸基)が付加されていることが確認された。また、得られた亜リン酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
【0134】
得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が3質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、シングルディスクリファイナー(熊谷理機工業社製)で1回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定される亜リン酸基量(第1解離酸量)は、1.51mmol/gだった。なお、総解離酸量は、1.54mmol/gであった。
【0135】
<製造例10>
製造例9で得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、シングルディスクリファイナー(熊谷理機工業社製)で1回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定される亜リン酸基量(第1解離酸量)は、1.51mmol/gだった。なお、総解離酸量は、1.54mmol/gであった。
【0136】
<製造例11>
製造例9で得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が13質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定される亜リン酸基量(第1解離酸量)は、1.51mmol/gだった。なお、総解離酸量は、1.54mmol/gであった。
【0137】
<製造例12>
製造例9で得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定される亜リン酸基量(第1解離酸量)は、1.51mmol/gだった。なお、総解離酸量は、1.54mmol/gであった。
【0138】
<製造例13>
製造例1のパルプを王子製紙社製広葉樹溶解パルプ(ドライシート)とした以外、同様の処理を行い、リン酸化パルプを得た。得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量)は、1.45mmol/gだった。なお、総解離酸量は、2.45mmol/gであった。
【0139】
<製造例14>
製造例13で得られたリン酸化パルプの固形分濃度が13質量%となるようにスラリーを調製した以外は、製造例13と同様の方法で微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。
【0140】
<製造例15>
製造例5のパルプを王子製紙社製広葉樹溶解パルプ(未乾燥)とした以外、同様の処理を行い、TEMPO酸化パルプを得た。得られたTEMPO酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が13質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.30mmol/gだった。
【0141】
<製造例16>
製造例9のパルプを王子製紙社製広葉樹溶解パルプ(ドライシート)とした以外、同様の処理を行い、亜リン酸化パルプを得た。得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定される亜リン酸基量(第1解離酸量)は、1.51mmol/gだった。なお、総解離酸量は、1.54mmol/gであった。
【0142】
<製造例17>
製造例16で得られた亜リン酸化パルプの固形分濃度が13質量%となるようにスラリーを調製した以外は、製造例16と同様の方法で微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。
【0143】
<製造例18>
[前加水分解]
針葉樹材チップを絶乾質量で300g採取し、水道水10リットルに一晩浸漬した。その後、チップを取り出して400メッシュの篩に空け、濾別した。この脱水後のチップを2.5リットル容量のオートクレーブに入れ、液質量比(絶乾後のチップの質量を1とした場合)が3になるように水道水を加えた後、165℃で30分間加熱し、前加水分解を行った。この時のPファクターは380であった。
[蒸解]
前加水分解後、オートクレーブの脱気コックから廃ガスを抜き出し、オートクレーブ内の圧力が0になったことを確認した後、処理後のチップを400メッシュの篩に空け、濾別した。濾別後のチップを再度2.5リットル容量のオートクレーブに入れ、液比が5となるように蒸解液を加え、蒸解温度165℃、蒸解時間120分の条件下でクラフト蒸解を行なった。蒸解液は、チップの絶乾質量に対して活性アルカリを21質量%含み、硫化度は28%であった。蒸解後、黒液とパルプを分離し、パルプを8カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選して、蒸解後パルプを得た。
[漂白]
蒸解後パルプを絶乾質量で70g採取し、絶乾パルプの全質量に対して苛性ソーダを2.0質量%添加し、次いでイオン交換水で希釈してパルプ濃度を10質量%に調整した。このスラリーを間接加熱式オートクレーブに入れ、99.9%の圧縮酸素ガスを注入してゲージ圧力を0.5MPaとし、100℃で60分間、酸素晒を行った。酸素晒終了後、ゲージ圧力が0.05MPa以下になるまで減圧し、パルプをオートクレーブから取り出し、イオン交換水7リットルを用いて洗浄した後、脱水した。このようにして、酸素晒後パルプを得た。
酸素晒後パルプを絶乾質量で60g採取し、プラスチック袋に入れ、イオン交換水を添加してパルプ濃度を10質量%に調整した。その後、絶乾パルプの全質量に対して1.8質量%の二酸化塩素を添加し、温度が70℃の恒温水槽に70分間浸漬した(D0段処理)。D0段処理後に得られたパルプをイオン交換水で3質量%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。D0段処理後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を加えてパルプ濃度を10質量%に調整した後、絶乾パルプの全質量に対して苛性ソーダを1.0質量%、過酸化水素を0.3質量%となるように添加してよく混合した。その後、温度が70℃の恒温水槽に100分間浸漬してE/P段処理を行った。得られたパルプをイオン交換水で3質量%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。E/P段処理後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10質量%に調整した後、絶乾パルプの全質量に対して二酸化塩素を0.3質量%添加し、温度が70℃の恒温水槽に80分間浸漬し、D1段漂白処理を行った。得られたパルプをイオン交換水で3質量%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄し、漂白パルプを得た。
[リン酸化]
この漂白パルプを使用し、製造例1と同様の処理を行い、リン酸化パルプを得た。
[解繊]
得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量)は、1.45mmol/gだった。なお、総解離酸量は、2.45mmol/gであった。
【0144】
<製造例19>
製造例18で得られたリン酸化パルプの固形分濃度が13質量%となるようにスラリーを調製した以外は、製造例18と同様の方法で微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。
【0145】
<製造例20>
製造例18の漂白パルプを用いた以外は、製造例5と同様の処理を行い、TEMPO酸化パルプを得た。得られたTEMPO酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.30mmol/gだった。
【0146】
<製造例21>
製造例20で得られたTEMPO酸化パルプの固形分濃度が13質量%となるようにスラリーを調製した以外は、製造例20と同様の方法で微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。
【0147】
<製造例22>
製造例18の漂白パルプを用いた以外は、製造例9と同様の処理を行い、亜リン酸化パルプを得た。得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が13質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定される亜リン酸基量(第1解離酸量)は、1.51mmol/gだった。なお、総解離酸量は、1.54mmol/gであった。
【0148】
<製造例23>
製造例1のパルプをセニブラ社製広葉樹クラフトパルプ(ドライシート)とした以外は、製造例1と同様の処理を行い、リン酸化パルプを得た。得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量)は、1.45mmol/gだった。なお、総解離酸量は、2.45mmol/gであった。
【0149】
<製造例24>
製造例23で得られたリン酸化パルプの固形分濃度が13質量%となるようにスラリーを調製した以外は、製造例23と同様の方法で微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。
【0150】
<製造例25>
製造例5の原料パルプをセニブラ社製広葉樹クラフトパルプ(ドライシート)とし、ここにイオン交換水を添加しパルプ濃度が2質量%のスラリーとした。ディスパーザー4000rpmでよく攪拌し、パルプスラリーとした後、メッシュ袋にてよく脱水しウェットパルプを得た。得られたウェットパルプに対して製造例5と同様の処理を行い、TEMPO酸化パルプを得た。得られたTEMPO酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.30mmol/gだった。
【0151】
<製造例26>
製造例25で得られたTEMPO酸化パルプの固形分濃度が13質量%となるようにスラリーを調製した以外は、製造例25と同様の方法で微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。
【0152】
<製造例27>
製造例9の原料パルプをセニブラ社製広葉樹クラフトパルプ(ドライシート)とした以外は、製造例9と同様の処理を行い、亜リン酸化パルプを得た。得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定される亜リン酸基量(第1解離酸量)は、1.51mmol/gだった。なお、総解離酸量は、1.54mmol/gであった。
【0153】
<製造例28>
製造例27で得られた亜リン酸化パルプの固形分濃度が13質量%となるようにスラリーを調製した以外は、製造例27と同様の方法で微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。
【0154】
<実施例1>
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度3質量%、固形分30g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。
【0155】
得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、3質量%であった。
【0156】
<実施例2>
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度3質量%、固形分30g)に対して、16500nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、3質量%であった。
【0157】
<実施例3>
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度3.5質量%、固形分35g)に対して、次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度12質量%)を145g添加し、室温でよく混ぜた。この時の次亜塩素酸ナトリウム添加率は微細繊維状セルロース1質量部に対して0.5質量部であった。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、3質量%であった。
【0158】
<実施例4>
製造例5で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度3質量%、固形分30g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、3質量%であった。
【0159】
<実施例5>
製造例5で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度3質量%、固形分30g)に対して、16500nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。微細繊維状セルロース分散液を得た。次いで、温度を100℃とし、酵素を熱失活させた。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、3質量%であった。
【0160】
<実施例6>
製造例5で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度3.5質量%、固形分35g)に対して、次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度12質量%)を145g添加し、室温でよく混ぜた。この時の次亜塩素酸ナトリウム添加率は微細繊維状セルロース1質量部に対して0.5質量部であった。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、3質量%であった。
【0161】
<実施例7>
製造例9で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度3質量%、固形分30g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、3質量%であった。
【0162】
<実施例8>
製造例9で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度3質量%、固形分30g)に対して、16500nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、3質量%であった。
【0163】
<実施例9>
製造例9で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度3.5質量%、固形分35g)に対して、次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度12質量%)を145g添加し、室温でよく混ぜた。この時の次亜塩素酸ナトリウム添加率は微細繊維状セルロース1質量部に対して0.5質量部であった。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、3質量%であった。
【0164】
<実施例10>
製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0165】
<実施例11>
製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して、33000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0166】
<実施例12>
製造例6で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0167】
<実施例13>
製造例6で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して、33000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0168】
<実施例14>
製造例10で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0169】
<実施例15>
製造例10で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して、33000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0170】
<実施例16>
製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた微細繊維状セルロース分散液をさらに湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0171】
<実施例17>
製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)に対して、71500nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液をさらに湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0172】
<実施例18>
製造例7で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた微細繊維状セルロース分散液をさらに湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0173】
<実施例19>
製造例7で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)に対して、71500nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液をさらに湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0174】
<実施例20>
製造例11で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた微細繊維状セルロース分散液をさらに湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0175】
<実施例21>
製造例11で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)に対して、71500nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液をさらに湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0176】
<実施例22>
製造例1で得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリー1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させ、繊維状セルロース分散液を得た。得られた繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0177】
<実施例23>
製造例1で得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリー1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して33000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られたスラリーを湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理した後、酵素処理を進めた。その後200MPaの圧力にて3回処理し100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0178】
<実施例24>
製造例5で得られたTEMPO酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリー1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させ、繊維状セルロース分散液を得た。得られた繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0179】
<実施例25>
製造例5で得られたTEMPO酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリー1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して、33000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られたスラリーを湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理した後、酵素処理を進めた。その後200MPaの圧力にて3回処理し100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0180】
<実施例26>
製造例9で得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリー1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させ、繊維状セルロース分散液を得た。得られた繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0181】
<実施例27>
製造例9で得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリー1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して、33000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られたスラリーを湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理した後、酵素処理を進めた。その後200MPaの圧力にて3回処理し100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0182】
<実施例28>
製造例4で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0183】
<実施例29>
製造例4で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して33000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0184】
<実施例30>
製造例4で得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度7.5質量%スラリーを調整した。このスラリーを湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液とした後、この分散液1000g(固形分濃度7.5質量%、固形分75g)に対して、次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度12質量%)を250g 添加し、室温でよく混ぜた。この時の次亜塩素酸ナトリウム添加率は微細繊維状セルロース1質量部に対して0.4質量部であった。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0185】
<実施例31>
製造例8で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合でオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0186】
<実施例32>
製造例8で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して、33000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0187】
<実施例33>
製造例8で得られたTEMPO酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度7.5質量%スラリーを調整した。このスラリーを湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液とした後、この分散液1000g(固形分濃度7.5質量%、固形分75g)に対して、次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度12質量%)を250g添加し、室温で撹拌した。この時の次亜塩素酸ナトリウム添加率は微細繊維状セルロース1質量部に対して0.4質量部であった。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0188】
<実施例34>
製造例12で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0189】
<実施例35>
製造例12で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して、33000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0190】
<実施例36>
製造例12で得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度7.5質量%スラリーを調整した。このスラリーを湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて1回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液とした後、微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度7.5質量%、固形分75g)に対して、次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度12質量%)を250g添加し、室温で撹拌した。この時の次亜塩素酸ナトリウム添加率は微細繊維状セルロース1質量部に対して0.4質量部であった。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0191】
<実施例37>
製造例13で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0192】
<実施例38>
製造例18で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して、33000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0193】
<実施例39>
製造例14で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)に対して、71500nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0194】
<実施例40>
製造例19で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)に対して、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0195】
<実施例41>
製造例20で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0196】
<実施例42>
製造例15で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)に対して、71500nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0197】
<実施例43>
製造例16で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0198】
<実施例44>
製造例22で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)に対して、71500nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0199】
<実施例45>
製造例23で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)において、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0200】
<実施例46>
製造例24で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)に対して、104000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して800nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0201】
<実施例47>
製造例25で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して、48000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して800nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0202】
<実施例48>
製造例26で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)に対して、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0203】
<実施例49>
製造例27で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して、微細繊維状セルロース1質量部に対して0.2質量部の割合となるようにオゾンを添加し、密閉容器内において25℃で撹拌したのち、30分間静置した。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0204】
<実施例50>
製造例28で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)に対して、104000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して800nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液を湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理した後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0205】
<実施例51>
製造例4で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度6質量%、固形分60g)に対して、33000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。その後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0206】
<実施例52>
製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)に対して、71500nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して550nkatとなるようにした。その後、100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0207】
<実施例53>
製造例7で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外、実施例52と同様の方法で微細繊維状セルロース分散液を得た。
【0208】
<実施例54>
製造例11で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外、実施例52と同様の方法で微細繊維状セルロース分散液を得た。
【0209】
<実施例55>
製造例14で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外、実施例52と同様の方法で微細繊維状セルロース分散液を得た。
【0210】
<実施例56>
製造例15で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外、実施例52と同様の方法で微細繊維状セルロース分散液を得た。
【0211】
<実施例57>
製造例17で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外、実施例52と同様の方法で微細繊維状セルロース分散液を得た。
【0212】
<実施例58>
製造例19で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外、実施例52と同様の方法で微細繊維状セルロース分散液を得た。
【0213】
<実施例59>
製造例21で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外、実施例52と同様の方法で微細繊維状セルロース分散液を得た。
【0214】
<実施例60>
製造例22で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外、実施例52と同様の方法で微細繊維状セルロース分散液を得た。
【0215】
<実施例61>
製造例24で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度13質量%、固形分130g)に対して、104000nkatの活性を有する酵素含有液を添加し温度50℃で酵素処理した。この時の酵素添加量は微細繊維状セルロース1gに対して800nkatとなるようにした。得られた微細繊維状セルロース分散液100℃にして熱失活させ、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、13質量%であった。
【0216】
<実施例62>
製造例26で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外、実施例61と同様の方法で微細繊維状セルロース分散液を得た。
【0217】
<実施例63>
製造例28で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外、実施例61と同様の方法で微細繊維状セルロース分散液を得た。
【0218】
実施例1〜63の微細繊維状セルロースはX線回折により、セルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、これらの微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、いずれも3〜5nmの微細繊維状セルロースを含んでいた。
【0219】
<比較例1>
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)にイオン交換水を添加し、固形分濃度が6質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて6回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。この微細繊維状セルロース分散液中における微細繊維状セルロースの濃度は、6質量%であった。
【0220】
X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、この分散液に含まれる微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は1000nm以下であった。
【0221】
<比較例2>
製造例1で得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて5回処理し、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量)は、1.45mmol/gだった。なお、総解離酸量は、2.45mmol/gであった。
【0222】
<比較例3>
比較例2と同様の方法で得られた微細繊維状セルロース分散物を、50℃で加熱しながら、微細繊維状セルロースの濃度が6質量%になるまで濃縮して微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロース分散液を得た。また、後述する〔リンオキソ酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量)は、1.45mmol/gだった。なお、総解離酸量は、2.45mmol/gであった。
【0223】
<比較例4>
比較例2と同様の方法で得られた微細繊維状セルロースの分散を0.4質量%に希釈した。希釈液100mLに対して濃縮剤として塩化カルシウム1gを加えてゲル化させ、濾過後、ろ紙にて圧搾した。0.1N塩酸水溶液100mLに30分間浸漬後、濾過し、固形分濃度20質量%の濃縮物を得た。得られた濃縮物の濃度が6%となるよう、イオン交換水で希釈した後、撹拌したが、均一な分散液は得られなかった。
【0224】
<測定>
〔リンオキソ酸基量の測定〕
微細繊維状セルロースのリンオキソ酸基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作製した繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(
図2)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値をリンオキソ酸基量(mmol/g)とした。
【0225】
〔カルボキシ基量の測定〕
微細繊維状セルロースのカルボキシ基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作製した繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を30秒に1回、50μLずつ加えながら、スラリーが示す電気伝導度の値の変化を計測することにより行った。カルボキシ基量(mmol/g)は、計測結果のうち
図3に示す第1領域に相当する領域において必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して算出した。
【0226】
〔微細繊維状セルロース分散液のレオメーターによる粘度の測定〕
実施例1〜63及び比較例1〜3で得た微細繊維状セルロース分散液の粘度を、レオメーター(HAAKE社製、RheoStress6000)を用いて測定した。なお、せん断速度については、下記の条件で変化させた。
測定温度:23℃
測定治具:コーンプレート(直径40mm、角度1°)
せん断速度:0.001〜1000sec
-1
データ点数:100点
データ分布:Log間隔
測定時間:5分
【0227】
<TI値の算出>
上述した方法で微細繊維状セルロース分散液の粘度を測定し、せん断速度1sec
-1の条件で測定した粘度の値(η1)を、せん断速度1000sec
-1の条件で測定した粘度の値(η2)で除して得られる値を、増粘剤のチキソトロピックインデックス値(TI値)とした。
すなわち、TI値は下記式で算出した。
TI値=η1/η2
η1:せん断速度1sec
-1の条件で測定した粘度
η2:せん断速度1000sec
-1の条件で測定した粘度
【0228】
〔微細繊維状セルロースの比粘度および重合度の測定〕
微細繊維状セルロースの比粘度および重合度は、Tappi T230に従い測定した。すなわち、測定対象の微細繊維状セルロースを分散媒に分散させて測定した粘度(ηXとする)、および分散媒体のみで測定したブランク粘度(η0とする)を測定したのち、比粘度(ηsp)、固有粘度([η])を下記式に従って測定した。
ηsp=(ηX/η0)−1
[η]=ηsp/(c(1+0.28×ηsp))
ここで、式中のcは、粘度測定時のセルロース繊維の濃度を示す。
さらに、下記式から微細繊維状セルロースの重合度(DP)を算出した。
DP=1.75×[η]
この重合度は粘度法によって測定された平均重合度であることから、「粘度平均重合度」と称されることもある。
【0229】
〔微細繊維状セルロース分散液のヘーズの測定〕
実施例1〜63及び比較例1〜3で得た微細繊維状セルロース分散液のヘーズの測定は微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で0.2質量%となるように希釈した後、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HM−150)で、光路長1cmの液体用ガラスセル(藤原製作所製、MG−40、逆光路)を用いて、JIS K 7136に準拠して測定した。 なお、ゼロ点測定は、同ガラスセルに入れたイオン交換水で行った。また、測定対象の分散液は測定前に23℃、相対湿度50%の環境下に24時間静置した。測定時の分散液の液温は23℃であった。
【0230】
<評価>
[微細繊維状セルロース分散液の目視評価]
実施例1〜63及び比較例1〜3得られた微細繊維状セルロース分散液をそれぞれ固形分濃度が3質量%になるようにイオン交換水で希釈した。次いで、自転公転型スーパーミキサー(シンキー社製、ARE−250)にて脱泡処理を行った。その後、目視にて分散液の透明性を評価した。評価基準としては、分散液をガラスセルに入れて、片面に11ポイントの文字を記載した紙を置いて、以下の基準で評価した。
A:反対面から見た際に、明確に文字が判読できる
B:ややぼやけるが、文字は判読できる
C:ぼやけて、文字が判読できないが、文字があることはわかる
D:全く解読できない
【0231】
<評価用シートの作製>
イオン交換水に、ポリエチレンオキサイド(住友精化社製、PEO−3P)を5質量%になるように加え、撹拌して溶解させポリエチレンオキサイド水溶液を得た。次いで、実施例1〜63及び比較例1〜3で得られた微細繊維状セルロース分散液と上記ポリエチレンオキサイド水溶液を微細繊維状セルロース(固形分):ポリエチレンオキサイド(固形分)=100質量部:20質量部の比率となるように混合した。また、実施例1〜9では固形分濃度が2.5質量%、実施例10〜15、22〜38、41、43、45、47、49、51、比較例1、3、4では固形分濃度が5質量%、実施例16〜21、39、40、42、44、46、48、50、52〜63では固形分濃度が10質量%、比較例2では固形分濃度が1.5質量%となるよう適宜イオン交換水で希釈し塗工液とした。次いで、得られるシート(上記塗工液の固形分から構成される層)の仕上がり厚みが40μmになるように塗工液を計量して、市販のポリカーボネート板に塗工し、100℃の乾燥機にて30分乾燥した。なお、所定の坪量となるようポリカーボネート板上には堰止用の金枠(内寸が180mm×180mm、高さ5cmの金枠)を配置した。次いで、上記ポリカーボネート板から乾燥後のシートを剥離し、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
【0232】
[シートの透明性評価]
得られた微細繊維状セルロース含有シートのヘーズ測定は、JIS K 7136に準拠し、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて測定した。
シートのヘーズは、下記の基準で判断した。なお、シートのヘーズが95%未満である場合に、透明性が良好であると判定した。
A:0以上5%未満
B:5%以上30%未満
C:30%以上95%未満
D:95%以上
【0233】
[シートのカール性評価]
上述した方法で得られた微細繊維状セルロース含有シートを幅15mm×長さ130mmの試験片となるように切り出した。
図1に示すように、試験片50の一方の短辺を含む端部を幅30mm×長さ30mm×高さ25mmのカール試験用治具55で支持し(治具から長さ100mmの試験片が露出する)、温度23℃、相対湿度50%の環境下にて、水平な台の上に試験片の幅方向が台に対して垂直になるよう(試験片の長手方向が台に対して平行になるよう)に静置した。そして、試験片50の末端のカール幅を測定し、カール幅C0(
図1におけるC0の距離)とした。24時間静置後再度カール幅を測定しC1(
図1におけるC1の距離)とし、C1−C0をカール量とした。
カール量は、次の基準で判断した。なお、カール量が25mm以下である場合に耐カール性が良好であると判定した。
A:5mm以下
B:5mm超25mm以下
C:25mm超
【0234】
【表1】
【0235】
【表2】
【0236】
【表3】
【0237】
【表4】
【0238】
【表5】
【0239】
【表6】
【0240】
【表7】
【0241】
【表8】
【0242】
実施例では、高濃度の微細繊維状セルロース分散液が得られており、このような分散液からカールが抑制されたシートが形成されていた。これは、高濃度の微細繊維状セルロース分散液からシートを形成することで、持込水分量を少なくすることができ、乾燥時の熱収縮を抑制できるものと考えられる。なお、比較例4では、均一なサンプルが作製できず、粘度等の測定が行うことができなかった。