(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816901
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】充電回路の位相シフト制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20210107BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20210107BHJP
【FI】
H02M3/28 V
H02J7/02 J
H02M3/28 H
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-131127(P2019-131127)
(22)【出願日】2019年7月16日
(65)【公開番号】特開2020-28216(P2020-28216A)
(43)【公開日】2020年2月20日
【審査請求日】2019年7月29日
(31)【優先権主張番号】201810910880.4
(32)【優先日】2018年8月10日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519259098
【氏名又は名称】シェンヂェン ヴイマックス ニュー エネルギー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen VMAX New Energy Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リゥ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】フォン インイン
(72)【発明者】
【氏名】イャオ シュン
(72)【発明者】
【氏名】シュ ジンヂュ
【審査官】
遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/017170(WO,A1)
【文献】
特開2009−044889(JP,A)
【文献】
特開2013−179803(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0016479(US,A1)
【文献】
KRISHNASWAMI H ET AL,Three-Port Series-Resonant DC-DC Converter to Interface Renewable Energy Sources With Bidirectional Load and Energy Storage Ports,IEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS, INSTITUTE OF ELECTRICAL AND ELECTRONICS ENGINEERS, USA, (20091001),米国,IEEE,2009年10月 1日,vol. 12, no. 10, ISSN 0885-8993,pages 2289 - 2297
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00−1/44
H02M 3/00−3/44
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
7/00−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電回路は1次側変換回路、第1の2次側変換回路、第2の2次側変換回路、及びこれらの3つの回路を接続する変圧器T1を備え、前記1次側変換回路はオンオフ動作が逆である第1組の電力スイッチQ1、Q4と第2組の電力スイッチQ2、Q3を有し、前記第1の2次側変換回路はオンオフ動作が逆である第3組の電力スイッチQ5、Q8と第4組の電力スイッチQ6、Q7を有し、第1組及び第2組の電力スイッチの間に第1の容量C1、第1のインダクタンスL1と前記変圧器T1の1次側巻線W1が直列接続される充電回路の位相シフト制御方法であって、
前記充電回路はさらに前記第1の2次側変換回路を収集するための第1の2次側電流取得点と第1の2次側電圧取得点、及び各取得点と各電力スイッチに接続されるコントローラを備え、
前記コントローラは1次側変換回路中の第1組及び第2組の電力スイッチの波形を制御し、同時に前記第1の2次側変換回路中の第3組及び第4組の電力スイッチの波形を制御し、且つ第1組の電力スイッチQ1、Q4のオンオフ波形と第3組の電力スイッチQ5、Q8のオンオフ波形の間に位相角差Φを持たせ、
前記コントローラは、前記第1の2次側電流取得点と前記第1の2次側電圧取得点が収集した前記第1の2次側変換回路の出力電流Io1と出力電圧Vo1を受信し、出力電流Io1及び出力電圧Vo1と予め設定された出力電流及び出力電圧を比較・算出し、比較結果に基づいて位相角差Φの大きさ及び正負を調整することを特徴とする充電回路の位相シフト制御方法。
【請求項2】
前記第1組、第2組、第3組及び第4組の電力スイッチオンのデューティ比が共に50%であることを特徴とする請求項1に記載の充電回路の位相シフト制御方法。
【請求項3】
前記第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧が所定値よりも小さい場合に、コントローラは位相角差Φを増加させ、前記第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧が前記所定値とほぼ同じまたは同じにするように第3組及び第4組の電力スイッチに対する波形制御を調整し、前記第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧が前記所定値よりも大きい場合に、コントローラは位相角差Φを減少させ、前記第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧が前記所定値とほぼ同じまたは同じにするように第3組及び第4組の電力スイッチに対する波形制御を調整することを特徴とする請求項1に記載の充電回路の位相シフト制御方法。
【請求項4】
前記コントローラは充電モードと逆変換モードを有し、充電モードでは、電力が前記1次側変換回路から前記第1の2次側変換回路へ流れ、逆変換モードでは、電力が前記第1の2次側変換回路から前記1次側変換回路へ流れることを特徴とする請求項1に記載の充電回路の位相シフト制御方法。
【請求項5】
前記第1の2次側変換回路の出力電流Io1と出力電圧Vo1を収集し、前記第1の2次側変換回路の出力電力を算出して、出力電力の大きさに基づいて、第1組〜第4組の電力スイッチの波形周期を調整することを特徴とする請求項1に記載の充電回路の位相シフト制御方法。
【請求項6】
前記1次側変換回路の等価インピーダンスZinとスイッチイング周期Tsの比較表、全負荷出力電力Pout、1次側巻線W1
と第1の2次側巻線W2を予め用意し、前記第1の2次側変換回路の出力電圧Vo1を検出し、式(1)から前記第1の2次側変換回路のインピーダンスZo1を算出し、
【数1】
………………(1)
式(2)から前記1次側変換回路の等価インピーダンスZinを算出し、
【数2】
………………(2)
前記1次側変換回路の等価インピーダンスZinを使用し比較表からスイッチに対応する周期Tsを探し、コントローラはスイッチイング周期Tsに基づいて第1組〜第4組の電力スイッチの波形周期を制御することを特徴とする請求項1に記載の充電回路の位相シフト制御方法。
【請求項7】
前記コントローラは収集した前記第1の2次側変換回路の出力電流Io1と出力電圧Vo1を比較・補償し、得られた補償値から位相角差Φを取得し、第1組の電力スイッチQ1、Q4の波形タイミングに位相角差Φを加算して第3組の電力スイッチQ5、Q8の波形タイミングにすることを特徴とする請求項1に記載の充電回路の位相シフト制御方法。
【請求項8】
前記比較・補償には第1の2次側変換回路の出力電流Io1と第1の基準電流値Iref1を差分演算し、両者の差分をループ補償して、得られた補償値と予め設定された電圧ループ所定値Vset1に対して最小値演算をして、小さい方の値を電圧ループ基準値Vref1とし、第1の2次側変換回路の出力電圧Vo1と前記電圧ループ基準値Vref1を差分演算し、両者の差分をループ補償し、得られた補償値から位相角差Φを取得することを含むことを特徴とする請求項7に記載の充電回路の位相シフト制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気自動車の充電技術の分野に関し、特に3ポート充電回路の位相シフト制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーと排出削減、ならびに大気汚染の管理の必要性に伴い、新エネルギー車が徐々に市場で普及し、電気自動車が新エネルギー車の主力となっている。電気自動車の車載充電器は電気自動車の重要な部分であり、一般に、車載充電器はAC入力端子と2つのDC出力端子とを有し、AC入力端子は都市電力ネットワークに接続され、第1のDC出力端子は高電圧バッテリを充電し、主出力に相当し、第2の直流出力端子は車載電装品および低電圧小型電池に電力を供給し、補助出力に相当する。このような従来の変圧器に集積されたマルチポート電力出力では、自動電力分配、すなわち出力電力のクロスレギュレーションという問題が生じる。この問題により、主経路の出力電力の大きさが同時に補助回路の出力電力に影響を与えることを招く。たとえば、主回路の出力電力が小さいか、または無負荷(第1のDC出力端子の高電圧バッテリがほぼフル、またはすでにフルになっていることに相当)の場合に、マスタコントローラが小さなデューティ比を生成し、ひいては間欠動作モードに移行するが、この時変圧器の磁束が小さいかほぼゼロになり、補助回路の巻線に誘起される電圧もゼロになり、補助回路が大きな出力電力を必要とする場合(車内で車載電装品を使用することに相当)出力電力が使用ニーズを満たさないことがある。
【0003】
したがって、主回路から軽負荷および無負荷を出力するときに変圧器内の磁束を安定させることができ、それによって補助回路が変圧器から正常に電力を取り出すことを確保でき、同時に各ポートの電力の変換方向及び変換数を容易に制御できる制御方法を設計することが緊急に必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、従来技術における上記問題を解決し、充電回路の位相シフト制御方法を提供することにある。
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、1次側変換回路と、第1の2次側変換回路と、第2の2次側変換回路と、これら三つの回路を接続する変圧器とを備え、1次側変換回路は、オンオフ動作が逆である第1組の電力スイッチと第2組の電力スイッチとを有し、第1の2次側変換回路は、オンオフ動作が逆である第3組の電力スイッチと第4組の電力スイッチとを有し、第1組と第2組の電力スイッチの間に第1の容量及び第1のインダクタンス並びに前記変圧器中の1次側巻線が直列接続され、第1の2次側変換回路のパラメータを収集する第1の2次側電流
取得点及び第1の2次側電圧
取得点と、各
取得点と各電力スイッチを接続するコントローラを更に備え、前記コントローラは1次側変換回路中の第1組及び第2組の電力スイッチの波形を制御し、同時に第1の2次側変換回路中の第3組及び第4組の電力スイッチの波形を制御し、且つ第1組の電力スイッチのオンオフ波形と第3組の電力スイッチのオンオフ波形の間に位相角差Φを持たせ、前記コントローラは第1の2次側電流
取得点と第1の2次側電圧
取得点によって第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧を収集し、収集した出力電流及び出力電圧と予め設定された出力電流及び出力電圧を比較・算出し、比較結果に基づいて位相角差Φの大きさ及び正負を調整する充電回路の位相シフト制御方法を提供している。
【0006】
1つの実施形態では、前記第1組、第2組、第3組及び第4組の電力スイッチのオンデューティ比が共に50%である。
【0007】
前記コントローラは第1の2次側電流
取得点と第1の2次側電圧
取得点によって第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧を収集し、第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧と所定値を比較し、第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧が前記所定値よりも小さい場合に、コントローラは、位相角差Φを増加させ、第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧が前記所定値とほぼ同じまたは同じにするように第3組及び第4組の電力スイッチの波形に対する制御を調整し、第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧が前記所定値よりも大きい場合に、コントローラは、位相角差Φが小さくなり、第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧が前記所定値とほぼ同じまたは同じにするように第3組及び第4組の電力スイッチの波形に対する制御を調整する。
【0008】
前記コントローラは充電モードと逆変換モードを有し、充電モードでは、電力が1次側変換回路から第1の2次側変換回路へ流れ、逆変換モードでは、電力が第1の2次側変換回路から1次側変換回路へ流れる。
【0009】
第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧を収集し、第1の2次側変換回路の出力電力を算出し、出力電力の大きさに基づいて、第1組〜第4組の電力スイッチの波形周期を調整する。
【0010】
第1の2次側変換回路の等価インピーダンスとスイッチイング周期の比較表、全負荷出力電力Pout、及び1次側巻線W1と第1の2次側巻線W2を予め用意し、1次側変換回路の入力電圧を検出し、
【数1】
式により第1の2次側変換回路のインピーダンスZo1を算出し、
【数2】
式により1次側変換回路の等価インピーダンスZinを算出し、
第1の2次側変換回路の等価インピーダンスを使用し比較表からスイッチイング周期を探し、コントローラは、スイッチイング周期に従い第1組〜第4組の電力スイッチの波形周期を制御する。
【0011】
前記コントローラは収集した第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧を比較・補償し、補償値から位相角差Φを得て、第1組の電力スイッチの波形タイミングに位相角差Φを加算し第3組の電力スイッチ波形タイミングにする。
【0012】
前記比較・補償には第1の2次側変換回路の出力電流と第1の基準値を差分演算し、両者の差分をループ補償し、得られた補償値と予め設定された電圧ループ所定値に対して最小値演算をして、小さい方の値を電圧ループ基準値とし、第1の2次側変換回路の出力電圧と前記電圧ループ基準値を差分演算し、両者の差分をループ補償し、得られた補償値から位相角差Φを取得する。
【0013】
従来技術と比較して、本発明はDSP(デジタル信号プロセッサ)を使用し同時に両端の出力電圧を制御するために、主回路から軽負荷および無負荷を出力するときに変圧器内の磁束を安定させ、それによって補助回路が変圧器から正常に電力を取り出し、正常に電力を外部へ供給することを保証し、同時に各ポートの電力の変換方向と変換数を容易に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】位相角差Φ遅れのシミュレーション波形図である。
【
図4】位相角差Φ進みのシミュレーション波形図である。
【
図7】1次側変換回路の等価インピーダンスZinとスイッチイング周期Tsの比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の目的、技術手段及び利点をより明らかにするために、以下図面および実施形態を参照して詳細に説明する。本明細書に記載の特定の実施形態は単に本発明を例示するものであり、本発明を限定することを意図するものではないことが理解される。
【0016】
本発明では、主回路の出力電力を位相シフト制御し、主回路の出力電力がどのように変化しても変圧器には常に磁束があるため、この時補助回路の巻線上に常に巻線ペア換算の誘導電圧があるので、補助回路が大きい出力電力を必要とすることに問題なく、従来の変圧器に集積された電源の電力自動分配という問題を解決した。
【0017】
図1は本発明の充電回路の位相シフト制御方法のトポロジ構造図である。該充電回路は1次側変換回路、第1の2次側変換回路、第2の2次側変換回路、及びこれらの3つの回路を接続するための変圧器T1を備える。そして、1次側変換回路は、オフ動作が逆である第1組の電力スイッチQ1、Q4と第2組の電力スイッチQ2、Q3を有する。第1の2次側変換回路は、オフ動作が逆である第3組の電力スイッチQ5、Q8と第4組の電力スイッチQ6、Q7を有する。1次側変換回路では、第1組及び第2組の電力スイッチの間に第1の容量C1と第1のインダクタンスL1、及び変圧器
T1中の1次側巻線W1が直列接続されている。前記充電回路はさらに第1の2次側変換回路の出力電流Io1を収集するための第1の2次側電流
取得点(図中の小円)と第1の2次側変換回路の出力電圧Vo1を収集するための第1の電圧
取得点(図中
の点)、及び各
取得点と各電力スイッチを接続するためのコントローラを備える。該コントローラは1次側変換回路中の第1組及び第2組の電力スイッチに対して波形制御をするとともに、第1の2次側変換回路中の第3組及び第4組の電力スイッチに対して波形制御をして、且つ第1組の電力スイッチのオンオフ波形と第3組の電力スイッチのオンオフ波形の間に位相角差Φを持たせる。コントローラは第1の2次側電流
取得点と第1の2次側電圧
取得点が収集した第1の2次側変換回路の出力電流Io1と出力電圧Vo1を受信し、収集した出力電流及び出力電圧を予め設定された出力電流及び出力電圧を比較・算出し、比較結果に基づいて位相角差Φの大きさ及び正負を調整する。
【0018】
好ましい実施形態では、第1組、第2組、第3組及び第4組の電力スイッチオンのデューティ比が共に50%である。
【0019】
コントローラは第1の2次側電流
取得点と第1の2次側電圧
取得点によって第1の2次側変換回路の出力電流Io1と出力電圧Vo1を収集し、第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧を所定値と比較し、第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧が所定値よりも小さい場合に、コントローラは位相角差Φを増加させ、第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧が所定値とほぼ同じまたは同じにするように第3組及び第4組の電力スイッチに対する波形制御を調整し、第1の2次側変換回路の出力電流及び出力電圧が所定値よりも大きい場合に、コントローラは、位相角差Φを減少させ、第1の2次側
変換回路の出力電流及び出力電圧が所定値とほぼ同じまたは同じにするように第3組及び第4組の電力スイッチに対する波形制御を調整する。
【0020】
図2を参照して、Q1、Q4とQ5、Q8の位相角差Φが増加した場合に、第1組の電力スイッチオン波形(Q1とQ4の波形)に対して、第3組の電力スイッチオン波形(Q5とQ8の波形)が右へ変位し、位相角差Φが減少した場合に、第1組の電力スイッチオン波形に対して、第3組の電力スイッチオン波形が左へ変位する。前記のスイッチオンのデューティ比が50%であることは実質上デッドタイムを含む。デッドタイムとはPWM出力の場合に、上下ブリッジアームがスイッチ速度により同時導通しないように設けられる保護期間である。デッドタイムが小いさいほど出力波形がよくなるが、信頼性が低下し、通常はマイクロ秒の範囲である。本発明ではデッドタイムを調節しないので、説明の都合上、スイッチオンのデューティ比を50%とするが、実際のオン時間は50%より僅かに小さい。
図2におけるONは制御波形中のハイレベルであり、OFFが制御波形中のローレベルである。
【0021】
コントローラには充電モード及び逆変換モードを有する。充電モードでは、電力が1次側変換回路から第1の2次側変換回路へ流れ、逆変換モードでは、電力が第1の2次側変換回路から1次側変換回路へ流れる。
【0022】
図2に示す位相シフト制御ロジックタイミングを参照する。Q1−Q4、Q5−Q8は全て50%のデューティ比で波形を発生し、そのうちQ1とQ4のタイミングが一致しており、Q2とQ3のタイミングが一致しており、両者の間にデッドタイムが存在する。Q5とQ8のタイミングが一致しており、Q6とQ7のタイミングが一致しており、両者の間にデッドタイムが存在する。最も重要な制御は、Q1−Q4、Q5−Q8の間の波形に位相角差Φが存在することである。Q1−Q4、Q5−Q8の間の位相角差Φを制御することによって、電力の「1次側変換回路」と「第1の2次側変換回路」の間の伝達方向及び大きさを制御することができる。Q5−Q8が50%のデューティ比で波形を発生した場合に、C4の容量特性「DC遮断AC通過」を考慮すると、変圧器T1の巻線W2の両端電圧が「第1の2次側変換回路」の出力電圧の正負間に交互反転するように制御され、この時変圧器T1の巻線W3と巻線W4の電圧が変圧器
T1の巻線W2/W3または巻線W2/W4に応じて対応の電圧値をマッピングし、この時に「第2の2次側変換回路」がQ11とD1を制御して1つのBuck降圧回路として形成され、且つ出力電力を完全に制御することができる。
【0023】
図3に示す位相角差Φ遅れのシミュレーション波形図を参照する。Q5−Q8の位相角がQ1−Q4よりも遅れ、シミュレーションでは遅れ角度を30%に設定する。Ioutが第1の2次側変換回路の出力電流を示し、このとき出力電流が21.8Aになり、I_L1がインダクタンスL1中の電流を示し、V_ABが
図1におけるAB両点の電圧を示し、V_W2が
図1におけるW2両端の電圧を示す。Q5−Q8の位相角がQ1−Q4よりも遅れ、この時電力を「1次側変換回路」から「第1の2次側変換回路」に伝達する。
【0024】
図4に示す位相角差Φ進みのシミュレーション波形図を参照する。Q5−Q8の位相角がQ1−Q4よりも進み、シミュレーションでは進み角度を30%に設定する。Ioutが第1の2次側変換回路の出力電流を示し、この時出力電流が−23.3Aになり、I_L1がインダクタンスL1中の電流を示し、V_ABが
図1におけるAB両点の電圧を示し、V_W2が
図1におけるW2両端の電圧を示す。Q5−Q8の位相角がQ1−Q4よりも進み、この時電力を「第1の2次側変換回路」から「1次側変換回路」に伝達する。
【0025】
図5が位相シフト制御の実測波形図であり、シミュレーションの波形とほぼ一致する。進みと遅れの2つの位相角の制御方式では、第1の2次側変換回路が常に50%対称波形を発生し、変圧器T1中に励磁が常に存在するので、巻線W2と巻線W3/W4の電圧が常に巻数比でマッピングされる。第2の2次側変換回路に必要な電力が、いつでも保証される。
【0026】
位相角差Φを制御する同時に、1次側変換回路、第1の2次側変換回路のスイッチイング周期Tsも制御する。それは、1次側変換回路ではインダクタンスL1と容量C1が存在し、両者によってスイッチイング周期の変化に従い等価リアクタンスが変化するネットワークを構成し、その数式が以下の通りである。
【数3】
【0027】
式中、Z(Ts)がTs、L1とC1の変化に従い等価リアクタンスが変化する。実際に応用される場合に、効率を向上させ、無駄な電力が過多にならないように、Tsを制御しZ(Ts)を変化させ、最適なマッチング特性を得、
図1を簡略化して
図6に示す2次側インピーダンスモデル図を得る。
【0028】
ある具体的な実施形態では、L1を30uHとし、C1を300nFとすると、Z(Ts)のリアクタンス曲線が
図7に示されるようになる。横座標が周期を示し、縦座標がインピーダンスを示す。出力負荷の大きさに応じて、インピーダンスを探し、そして適切なTsを選択し、好適なZ(Ts)を得て、例えばこの時出力電力が全負荷であると6.6kWになり、出力電圧が400Vになり、1次側巻線W1を14巻きとし、第1の2次側巻線W2を15巻きとすると、第1の2次側巻線W2の等価インピーダンスが
【数4】
になり、1次側巻線W1にマッピングしたインピーダンスが
【数5】
になる。
【0029】
リアクタンスマッチングの設計思想に従い、Z(Ts)をインピーダンスマッピング値とほぼ一致するように制御し、
図7に示すように、Tsが13.53usになり、この時対応のスイッチ周波数が74kHzである。
【0030】
好ましい実施形態では、第1の2次側変換回路の出力電流Io1と出力電圧Vo1を収集し、第1の2次側変換回路の出力電力を算出して、出力電力の大きさに基づいて、第1組〜第4組の電力スイッチの波形周期を調整する。
【0031】
好ましい実施形態では、1次側変換回路の等価インピーダンスZin与スイッチイング周期Tsの比較表、全負荷出力電力Poutを予め用意し、比較表が
図7に示す比較図の表形式化である。
【0032】
1次側巻線W1と第1の2次側巻線W2を使用し第1の2次側変換回路の出力電圧Vo1を検出し、式(1)から第1の2次側変換回路のインピーダンスZo1を算出し、
【数1】
………………(1)
式(2)から1次側変換回路の等価インピーダンスZinを算出し、
【数2】
………………(2)
1次側変換回路の等価インピーダンスZinを使用し比較表からスイッチに対応する周期Tsを探し、コントローラはスイッチイング周期Tsに基づいて第1組〜第4組の電力スイッチの波形周期を制御する。
【0033】
図8には好ましい実施形態の制御原理ブロック図を示す。前記コントローラは収集した第1の2次側変換回路の出力電流Io1と出力電圧Vo1を比較・補償し、得られた補償値から位相角差Φを取得する。第1組の電力スイッチQ1、Q4の波形タイミングに位相角差Φを加算し第3組の電力スイッチQ5、Q8の波形タイミングにする。
図2に示す位相シフト制御ロジックタイミングを参照して、第1と第2組の電力スイッチのオンオフ動作が逆であり、第3と第4組の電力スイッチのオンオフ動作も逆である。
【0034】
前記比較・補償には第1の2次側変換回路の出力電流Io1と第1の基準電流値Iref1を差分演算し、両者の差分をループ補償して、得られた補償値と予め設定された電圧ループ所定値Vset1に対して最小値演算し、小さい方の値を電圧ループ基準値Vref1とし、第1の2次側変換回路の出力電圧Vo1と前記電圧ループ基準値
Vref1を差分演算し、両者の差分をループ補償し、得られた補償値から位相角差Φを取得する。
【0035】
以上の実施形態はただ例を挙げて発明を説明するためのものであり、何らかの限定作用がない。本発明の精神や範囲を逸脱せずに加えた等価修正や変更もすべて本発明の特許請求の範囲に含まれる。