(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816961
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】排気ガスターボチャージャー
(51)【国際特許分類】
F02B 39/00 20060101AFI20210107BHJP
F01D 25/16 20060101ALI20210107BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
F02B39/00 J
F01D25/16 A
F01D25/16 F
F01D25/16 D
F16C17/02 Z
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-41581(P2016-41581)
(22)【出願日】2016年3月3日
(65)【公開番号】特開2016-160941(P2016-160941A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年12月13日
(31)【優先権主張番号】10 2015 203 785.1
(32)【優先日】2015年3月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】イヴォ・ナウラス
【審査官】
小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−207584(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/135135(WO,A2)
【文献】
国際公開第2014/097417(WO,A1)
【文献】
特開2008−111502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 13/00−15/12、23/00−25/36
F02B 33/00−41/10
F02C 1/00− 9/58
F16C 17/00−17/26、33/00−33/28
F23R 3/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスターボチャージャー(1)であって、
コンプレッサロータ(2)が、シャフト(10)の第一の端(10A)に配置されたコンプレッサハウジング(9)と、
タービンロータ(6)が、前記シャフト(10)の第二の端(10B)に配置されたタービンハウジング(5)と、
前記コンプレッサハウジング(9)と前記タービンハウジング(5)の間に配置され、かつ前記両者と連結され、前記シャフト(10)用のベアリング装置(7)を有するベアリングハウジング(8)、とを含み、
前記ベアリング装置(7)が、異方的ラジアル滑りベアリング装置として設計され、
前記ベアリング装置が少なくとも一つの異方性に設計されたベアリングブッシュ(15,19,31)を有し、
前記ベアリングブッシュ(19)が不均一な環状の溝(20)を有し、又は、前記ベアリングブッシュ(15)がその中心点(M15)に対してV幅分だけ偏心した環状の溝(17)を有する、排気ガスターボチャージャー。
【請求項2】
前記ベアリングブッシュ(31)が少なくとも一つの鋭角の尖端部(35−38)を備える環状の溝(32)を有することを特徴とする、請求項1に記載の排気ガスターボチャージャー。
【請求項3】
互いに同じ角距離に位置する、4つの前記尖端部(35−38)が備わった、請求項2に記載の排気ガスターボチャージャー。
【請求項4】
請求項2または3に記載の排気ガスターボチャージャーで、ひとつまたは複数の溝(35−38)は、それぞれ前記環状の溝(32)の接線(40)から外周(39)と、前記外周(39)のもどりライン(42)とから構成されており、前記もどりライン(42)が前記接線(40)に対し鋭角(α)をなすことを特徴とする、排気ガスターボチャージャー。
【請求項5】
前記ベアリング装置(7)が異方性に設計されたベアリングハウジング(8)を持つことを特徴とする、請求項1に記載の排気ガスターボチャージャー。
【請求項6】
前記環状溝は円周を横切った挿入深さの変更を有する、請求項1記載の排気ガスターボチャージャー。
【請求項7】
請求項2〜請求項6のいずれか一つに記載の異方性に設計されたベアリングブッシュ(15,19,31)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載された排気ガスターボチャージャーに関する。
【背景技術】
【0002】
このカテゴリーに属する排気ガスターボチャージャーは、コンプレッサロータを備えたコンプレッサハウジングを有し、そのロータはシャフトの一端に固定されている。
【0003】
また、この排気ガスターボチャージャーは、タービンロータを備えたタービンハウジングを有し、そのロータは上記シャフトのもう一方の端に固定されている。
【0004】
上記のコンプレッサハウジングとタービンハウジングの間にベアリングハウジングがあり、コンプレッサハウジングとタービンハウジングの両方に連結している。ベアリングハウジングには、この排気ガスターボチャージャーのシャフトのためのベアリング装置が取り付けてある。
【0005】
図5は、既知の形態の同型のベアリング装置のベアリングブッシュを示し、ベアリングブッシュは環状の溝RNが備わっており、オイル供給路としても設計されている。この既存のターボチャージャーのラジアルベアリングブッシュ(原文、環状の溝)は、ベアリングブッシュLBの外側円周面上または外側輪郭に配置されている(例示されている)。オイル供給孔(複数)は環状の溝に配置されており、ひとつのオイル孔をOZBとして参照し、全部のオイル孔を表すものとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既知の従来型ベアリング装置では、排気ガスターボチャージャー運転中に異音および回転運動上の問題が起こることがある。
【0007】
そこで本発明の課題は、異音や回転運動を改善するため、請求項1の前文に記載された種類の排気ガスターボチャージャーを提供することである。
【発明の効果】
【0008】
この課題は、請求項1の機能によって解決される。このような形の本発明の排気ガスターボチャージャーの運転において、前述のシステムはすべりベアリングのロータ動力学的に対して(減衰および油作動に関して)異方性を現し、回転運動の問題とさらに異音に対し(特にサブシンクロナス運動メカニズムおよび油膜とのシンクロナイズ現象に関して)有意義な効果が得られる。
【0009】
さらに、本発明の排気ガスターボチャージャーシステムの前述のベアリング部分を別の形態にすることによってさらなる非対称性を得ると、前述のシンクロナイズ現象を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の明細、特徴、効果について、以下の実施態様の詳細と図面で説明する。
【
図1】
図1は、本発明の排気ガスターボチャージャーの1つの実施形態の断面図である。
【
図2】
図2は、本発明のすべりベアリングブッシュを簡明に図式化したものである。
【
図3】
図3は、本発明の第二の実施形態の
図2に対応する説明図である。
【
図4】
図4は、本発明の別の実施形態の
図2に対応する説明図である。
【
図5】
図5は、従来技術のベアリングブッシュを簡潔に図式化したものである。
【0011】
上述の書面による発明の開示と並んで、ここでは補足のため
図1から4の図に明確に関連させて説明する。
【0012】
図1は、排気ガスターボチャージャーをやや簡潔に図式化したものである。排気ガスターボチャージャー1がタービンハウジング5とコンプレッサハウジング9を含む。タービンハウジング5とコンプレッサハウジング9は、ベアリングハウジング8で連結されている。コンプレッサ背壁4がコンプレッサハウジング9のタービン側の連結部を形成する。コンプレッサハウジング9の中には、コンプレッサロータ2がある。タービンハウジング5にはタービンロータ6がある。コンプレッサロータ2はシャフト10の一端10Aに固定され、タービンロータ6はシャフト10の一端10Bで固定される。シャフト10は、この実施例ではベアリングブッシュ7Aと7Bとを互いに距離を置いて配置したベアリング装置7を経由してベアリングハウジング8の中にラジアルに取り付けられている。スラスト軸受又はアキシアル軸受11は、シャフト10を軸方向に設置するベアリングハウジング8に取り付けられている。タービンロータ6は、内燃機関の排気ガスの流れによって回転する。このようにしてコンプレッサロータ2がシャフト10を通じて同様に回転する。コンプレッサロータにより、内燃機関のチャチャージエアーが充填される。
【0013】
本発明の排気ガスターボチャージャー1のベアリング装置7は、異方的ラジアル滑り軸受として作られている。始めに説明した通り、このラジアル滑り軸受の異方性は、ベアリング側、シャフト側および/またはベアリングハウジング8側で得ることができる。例として次に、ラジアル滑り軸受7のベアリングブッシュの異なった形状タイプをもとに異方性を得る方法を説明する。説明を簡潔にするために
図2から4では、ベアリングブッシュの給油のための油孔は示されていない。その代り
図1に一つの給油のための油孔を番号14として示し、同様のものが
図2から4のベアリングブッシュにも可能であるとした。その場合の油孔は一でも複数でもよい。これについては
図5の番号OZBも参照されたい。
【0014】
図2は、M15を中心とする中央空洞部16と環状溝17を持つベアリングブッシュ15の実施例を示す。環状溝17はベアリングブッシュ15に対しV幅分だけ中心から離れて設けられているので、環状溝17の中心M17が生じている。こうして生じた斜線部18により、環状溝17の輪郭が明示されている。
【0015】
図3は、ブッシュの中心M19、中心空洞部21および環状溝20を持ち、不均一な形に構築されているベアリングブッシュ19を示している。そして26から29の丸みを帯びた角部分でつながる22から25の外郭線を持った実質的に四角形も表している。外郭線25はここでベアリングブッシュ19の円周30からaだけ離れている。異なった挿入深さの数は、要求度に応じて異なる。例として、ここでは円周上を横切って挿入深さの変更を三回繰り返したものとする。
【0016】
ベアリングブッシュ19では、角部分29の接線T1は、これに平行して移動した外側円周面30の接線T2からbだけ離れていて、bはaより小さい。特殊例としては、この距離bを0まで減少することによって、このシステムに外側円周面にaという寸法の深さを持つポケットだけを形成させることもできる。
【0017】
図4は本発明の第三の実施の形態のベアリングブッシュ31を表すもので、円形外周33、円形空洞部34および中心点M31を示している。
【0018】
ベアリングブッシュ31には環状溝32が設けられているが、そこに少なくとも一つの溝(しかしこの例では35,36,37,38の4つの溝)が備わっていて、流動に特有の影響を与える。
【0019】
35から38の各溝は同一にできているので、溝35を例にその構造を説明する。溝は先の尖った形で、接線40によって環状溝32の外郭線39から始まる外郭39を形成し、尖った先端41で終わる。先端41からは外郭線39へ帰還線42が戻る、これは接線40に対して鋭角αをなす。それによって生じる環状溝32の輪郭を斜線で表し、番号43とした。一方
図3の環状溝の輪郭は番号44で示される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。
【0021】
つまり、本発明の排気ガスターボチャージャーには、異方的ラジアル滑り軸受として構築されたベアリング装置が備わっている。「異方的ラジアル滑り軸受」とは、「異方的」という定義通りその特性や働きが方向性に依存するような、この発明に適ったすべり軸受のことである。
【0022】
これに従って、本発明の排気ガスターボチャージャーの滑り軸受構造では、その異方性を軸受側に持たせてもよいし、特にベアリングブッシュの運転に関してはシャフト側でもハウジング側でも構わない。
【0023】
各狭義の請求項は、本発明をさらに有意義に展開させるものである。
【0024】
つまり、本発明の原則に従えば、通常二つ設けられるベアリングブッシュのうち少なくとも一つが異方性を持つようにすることができる。
【0025】
その場合、給油のための油孔で油の流動に繋がる不均一な形状の環状溝を持つベアリングブッシュを設けることができる。
【0026】
代替として、ベアリングブッシュの中心から偏心的位置にあり、給油のための油孔と連結作用する環状溝を構築することもできる。その場合外側円周面に、ベアリングブッシュの中心から外れた位置に丸い輪郭の環状溝をつけることもできるし、円周面に異なった深さの作業が想定されている場合は別の自由な形状の輪郭でも構わない。
【0027】
さらには、幅の異なる環状溝を円周面に設けることも可能である。
【0028】
さらに別の代替として、流動に影響を与えるような特別な輪郭を環状溝につけることによって、回転体の運動原理に基づいてブッシュの回転数や油の還流または流動を最適化することも可能である。
【0029】
この場合、重心のアンバランスが起こることがあるので、調整するかまたは建設的な処置で回避することが好ましい。
【0030】
本発明の原理は、内部および外部の軸受面(シャフト/ブッシュおよび/またはブッシュ/ハウジング)のいわゆる「セミフロートまたはフルフロートベアリング」に適用できる。さらにこの原理は、シャフト、ブッシュおよび/またはベアリングハウジングにおいて、滑り軸受のさらに別の構造と組み合わせることもできる。ここでは、ベアリングブッシュまたはその環状溝の油孔の数や影響は殆どない。前述のように、ベアリングハウジングの領域の本発明に従い、一般的に可能な実施の形態を利用して、排気ガスターボチャージャーの滑り軸受の異方性を達成できるのなら、重心のアンバランスは問題にならない。
【符号の説明】
【0031】
1 排気ガスターボチャージャー
2 コンプレッサロータ
3 スラスト軸受
4 コンプレッサ背壁
5 タービンハウジング
6 タービンロータ
7 ベアリング装置
7A、7B ベアリングブッシュ
8 ベアリングハウジング
9 コンプレッサハウジング
10 シャフト
10A 端1
10B 端2
11 スラスト軸受装置
12 シーリングブッシュ
13 ベアリングボディ
14 給油するための油孔
15 異方性を持つラジアル滑り軸受ブッシュ
16 中央空洞部
17 環状溝
18 環状溝の輪郭
19 ベアリングブッシュ
20 環状溝
21 中心空洞部
22−25 外郭断面図
26−29 角部分
30 外側円周面
31 ベアリングブッシュ
32 環状溝
33 外側円周面
34 中央空洞部
35−38 溝
39 外郭線
40 接線
41 先端
42 帰還線
43、44 溝の輪郭
T1、T2 接線線
V 移動幅
a、b 距離
α 角度
M15、M17、M19、M31 中心点