特許第6816991号(P6816991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816991
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】書籍用栞
(51)【国際特許分類】
   B42D 9/00 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   B42D9/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-153776(P2016-153776)
(22)【出願日】2016年8月4日
(65)【公開番号】特開2018-20507(P2018-20507A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】516235912
【氏名又は名称】小林 伸吾
(74)【代理人】
【識別番号】100117145
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 純
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸吾
【審査官】 金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−086165(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3016104(JP,U)
【文献】 実開昭63−033973(JP,U)
【文献】 実開昭54−060539(JP,U)
【文献】 実開平02−003865(JP,U)
【文献】 特許第5563729(JP,B1)
【文献】 実開昭50−051720(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本の背表紙に架止される硬質材料によって形成された書籍用栞において、当該書籍用栞が本の背表紙に面接触又は複数の線接触によって接触する背部材と、本の頁間に刺し込まれる板状又は線状の栞部材と、前記背部材と栞部材とを本の上方にて梁渡して連接し得る上面部材とからなり、前記栞部材が背部材と平行するように垂直に下降する位置に配置され、前記背部材の下端部が内側上方へ屈曲して折り返されて形成されており、前記上面部材の梁渡方向における両端又は片端が上方に屈曲して形成されていることを特徴とする書籍用栞。
【請求項2】
前記背部材の上方に本の頁間に挟まれる紐部材を固着する掛止部を有し、前記掛止部には当該掛止部における下方側が上方側に比較して広く開口するスリットが形成されおり、少なくとも前記開口部におけるスリットの下方側が前記紐部材を結ぶことにより形成される結び玉を挿入し得る間隔を有し、前記開口部におけるスリットの上方側が前記結び玉が通過できず紐部材の厚みのみが通過し得る間隙を有するように形成されていることを特徴とする請求項に記載された書籍用栞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、書籍の頁間に刺し込まれる栞に関するものである。特に背表紙を有する書籍に好適に用いられる栞に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、書籍における読みかけの頁の目印として栞が使用されている。汎用されている栞としては、製本段階で本の背表紙の上方に接着固定されている紐が知られている。しかし近年、背表紙の上方に紐を接着固定するためにかかる費用を節約するために、紐の装着されていない本が増えてきている。
そのため、紐の代替品として、紙、布、樹脂又は金属を薄く加工した長方形の栞が汎用されている。このような長方形の栞は、お土産用や民芸品の栞を除くと、書店で本を購入した際に無料配布されるものがほとんである。このような栞には、新刊本の紹介や、会社の宣伝広告用として製造されているものであり、贈答品としての価値やプレミアム感は存在しない。
又、このような長方形の栞には、本から抜け落ちるという問題があった。又、樹脂や金属製の栞の場合は、本を構成する紙を傷つけるといった問題画もあった。更に、長方形の栞は、読書中は本から除いて使用されることが多く、紛失する危険性もある。
【0003】
そこで従来の紐や長方形の栞の問題点に鑑みて、種々の栞が発明されている。例えば、特許文献1や特許文献2には、クリップ状の栞が開示されている。又、特許文献3には、本に簡単に着脱して使用できる紐のついた栞が開示されている。
上記の栞は、いずれもプレミアム感があり、贈答品として利用可能な製品であり、従来の紐や長方形の栞の問題点を一部解消するものである。
しかしながら、クリップ状の栞は装着後に、書籍を構成する紙に凹凸状のクリップ跡が残ってしまうことが危惧される。又、これらの栞は、しっかり書籍の間に挟まる反面、栞を書籍から外す際に、外し難いという問題点も見受けられる。
更に、上記の栞には、書籍の頁間に紐を挟んで、読書を再開する際には、書籍の下側にはみ出している紐から、所望の頁を即座に開くという、従来の紐の効果が全く失われてしまうという問題点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3077642号公報
【特許文献2】特開平5−345491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、書籍を構成する紙を傷つけず、書籍からの抜け落ちを抑止する書籍用栞を提供することを目的とする。
又、本発明は、文庫本、新書版、ハードカバーの書籍等、背表紙のある製本されている本であれば種々の形態の書籍に対して使用することができる書籍用栞を提供することを目的とする。
又、本発明は、一本又は複数本の紐を容易に着脱することができ、所望に応じて背表紙側に装飾を施すことによって贈答品にもなるプレミアム感のある書籍用栞を提供することを目的とする。
更に本発明は、栞を書籍から外す際に、力を入れることなく容易に外すことができる書籍用栞を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本の背表紙に架止される硬質材料によって形成された書籍用栞において、当該書籍用栞が本の背表紙に面接触又は複数の線接触によって接触する背部材と、本の頁間に刺し込まれる板状又は線状の栞部材と、前記背部材と栞部材とを本の上方にて梁渡して連接し得る上面部材とからなり、前記栞部材が背部材と平行するように垂直に下降する位置に配置されることを特徴とする書籍用栞である。
(2)前記背部材の下端部が内側上方へ屈曲して折り返されて形成されており、前記上面部材の梁渡方向における両端又は片端が上方に屈曲して形成されていることを特徴とする請求項1に記載された書籍用栞である。
(3)前記背部材の上方に本の頁間に挟まれる紐部材を固着する掛止部を有し、前記掛止部には当該掛止部における下方側が上方側に比較して広く開口するスリットが形成されおり、少なくとも前記開口部におけるスリットの下方側が前記紐部材を結ぶことにより形成される結び玉を挿入し得る間隔を有し、前記開口部におけるスリットの上方側が前記結び玉が通過できず紐部材の厚みのみが通過し得る間隙を有するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された書籍用栞である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る書籍用栞を使用することによって、書籍を構成する紙を傷つけず、書籍からの抜け落ちを抑止する効果を奏することができる。
又、本発明に係る書籍用栞を使用することによって、文庫本、新書版、ハードカバーの書籍等、背表紙のある製本されている本であれば種々の形態の書籍に対して使用し得るという効果を奏する。
又、本発明に係る書籍用栞を使用することによって、一本又は複数本の紐を容易に着脱することができ、所望に応じて背表紙側に装飾を施し贈答品としての付加価値をつけることができるという効果を奏する。
更に本発明に係る書籍用栞を使用することによって、栞を書籍から外す際に、力を入れることなく容易に外すことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の書籍用栞に係る実施形態1の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の書籍用栞に係る実施形態1の構成を示す図である。(a)は展開図、(b)は正面側面、右側面図、平面図である。
図3】本発明の書籍用栞に係る実施形態1の使用方法を説明するための斜視図である。
図4】本発明の書籍用栞に係る実施形態2の構成を示す正面図と側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る書籍用栞について、詳細に説明する。本発明に係る書籍用栞は、背表紙のある書籍に使用される栞である。
本発明に係る書籍用栞は、本の背表紙に架止される硬質材料によって形成されている。
すなわち、書籍の背表紙の上部に掛止して使用される。本発明に係る書籍用栞は、硬質材料によって形成されている。ただし、一部に軟質材料を付加しても本発明の範囲である。
本発明にいう硬質材料は、金属・合金といった金属材料、炭素鋼・ステンレス鋼・含鉄合金、鋳鉄といった鋼鉄材料、アルミニウム・アルミニウム合金・ニッケル・ニッケル合金・マグネシウム・マグネシウム合金・銅・銅合金・黄銅、チタン・チタニウム合金といった非鉄金属材料、プラスチック、ゴム、木材といった非金属材料、繊維強化プラスチック・繊維強化金属・繊維強化セラミックス・炭素繊維強化炭素複合材料といった複合材料等が挙げられる。一定の強度、剛性、弾性、靭性、加工容易性、入手容易性といった特性を有し、定型性を有する固体であれば、広く使用することができる。
特に強度、剛性、弾性、加工容易性、入手容易性の観点からは、アルミニウム・アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、黄銅(特に真鍮)が好ましい。
【0010】
本発明に係る書籍用栞は、本の背表紙に面接触又は複数の線接触によって接触する背部材を有する。ここで面接触とは、前記背部材の平面形状が、長方形、正方形、三角形、台形、前記以外の多角形、円形、半円形、楕円形等であれば良い。本の背表紙に密着するものであれば、特に形状を限定するものではない。
又、本発明における複数の線接触とは、例えば、線状のステンレス鋼を三角形状に屈曲形成した場合は、各辺が線接触している状態を表している。すなわち、三角形状の場合は、複数(3箇所)の線接触であることを意味する。例えば、四角形状に屈曲形成した場合は、複数(4箇所)の線接触であることを意味する。本の背表紙に安定して密着させる観点からは、一本の線を長方形、正方形、三角形、台形、円形、半円形、楕円形等に屈曲して形成したものが好ましい。
【0011】
本発明に係る書籍用栞は、本の頁間に刺し込まれる板状又は線状の栞部材を有する。本発明に使用される栞部材は、平面形状が長方形、正方形、三角形、台形、前記以外の多角形、円形、半円形、楕円形等によって形成されるのが好ましい。かかる栞部材は、本の頁間に挟まれる部材であるため、相当の薄さで形成されるのが好ましい。例えば、書籍を閉じた時に、書籍を不自然に膨らませない観点からは、0.1mm〜1.0mmの材料が好ましい。又、書籍用栞の強度及び頁に凹凸等の傷を付けない観点からは、0.3mm〜0.7mmの材料が好ましい。
本発明に係る書籍用栞は、前記背部材と栞部材とを書籍の上方にて梁渡して連接する機能を有する上面部材を有している。すなわち、本発明における背部材と栞部材と上面部材とは、一体的に連続して形成されており、前記上面部材が背部材と栞部材の中間に位置し連接する機能を有している。又、書籍を書棚に立てて置いた場合、本発明に係る書籍用栞は、頁間に配置される背部材及び栞部材は垂直に下降する位置に配置されるが、上面部材は水平方向に配置される。すなわち水平部材は書籍の背表紙から頁にかけて、書籍の上面に配置される形で使用されることになる。
【0012】
又、本発明に係る書籍用栞は、背部材の下端部が内側上方へ屈曲して折り返されて形成されているのが好ましい。背部材の下端部を屈曲させることによって、書籍の背表紙より背部材の下端部を浮かせることができる。このような構造を採用することによって、書籍から本発明に係る書籍用栞を外す際に、指が背部材の下端部に引っ掛けることができる。指を背部材の下端部に引っ掛けることによって、書籍用栞を本から力を入れることなく容易に外すことができるという効果を奏する。
又、本発明に係る書籍用栞は、上面部材の梁渡方向における両端又は片端が上方に屈曲して形成されていることが好ましい。
書籍の頁間に挟まっている栞は、本によって強固に把持されている場合がある。このような場合は、栞を外し難いという問題が発生する。本発明に係る書籍用栞は、上方へ屈曲した上面部材の両端又は方端を指で挟むことによって、上面部材の中央部分に発生する弾撥力によるバネ効果によって、指で挟んだ栞を引き上げ易くなる。
更に、本発明に係る書籍用栞は、背部材の上方に本の頁間に挟まれる紐部材を固着する掛止部を有する。このような掛止部には下方側が上方側に比較して広く開口するスリットが形成されいる。そして、開口部におけるスリットの下方側が前記紐部材を結ぶことにより形成される結び玉を挿入し得る間隔を有している。そのため、本発明に係る書籍用栞に紐部材を付設する場合は、紐部材の片端に結び玉を形勢し、上記スリットの下方側に挿入することができる。又、開口部におけるスリットの上方側は、結び玉が通過できず紐部材の厚みのみが通過し得る間隙を有するように形成されている。そのため、挿入した紐部材をスリットの上方へ引き上げることによって、紐部材が書籍用栞に固定され、使用を継続しても紐部材が抜け落ちることがないという効果を奏する。
【0013】
以下、図面に則して本発明に係る書籍用栞の実施形態の一例を説明する。以下に示す実施形態は、あくまでも本発明の一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1
図1は、本発明の書籍用栞に係る実施形態1の構成を示す斜視図である。また図2は、本発明の書籍用栞に係る実施形態1の構成を示す正面図と側面図である。更に図3は、本発明の書籍用栞に係る実施形態1の使用方法を説明するための斜視図である。
図1に示す如く、本発明の実施形態1に係る書籍用栞10は、図示しない本の背表紙に面によって接触する背部材1と、本の頁間に刺し込まれる板状の栞部材2と、前記背部材1と栞部材2とを本の上方にて梁渡して連接し得る上面部材4から形成されている。そして、図1に示す如く、前記栞部材2は、背部材1と平行するように垂直に下降する位置に配置される。
【0014】
図1に示す如く、前記背部材1の下端部は、内側上方へ屈曲して折り返されている(符号7を参照)。又、前記上面部材4の梁渡方向における両端は、上方に屈曲して形成されている(符号8及び9参照)。又、本実施形態1に係る書籍用栞10は、上面部材4の両端が上方へ屈曲しているため(符号8,9)、指でかかる屈曲を挟むことによって、上面部材4の中央部分に発生する弾撥力によるバネ効果によって、指で挟んだ書籍用栞10を引き上げ易くなる。
図1に示す如く、本実施形態1に係る書籍用栞10は、背部材1の上方に本の頁間に挟まれる図示しない紐部材を固着する掛止部12を有している。図1に示す如く、掛止部12は、下方側(符号14参照)が上方側(符号15参照)に比較して広く開口するスリットが形成されいる。すなわち、スリットの下方側(14)は楕円形状にくり抜かれている。一方、スリットの上方側(15)は筋状の切込みが形成されている。スリットにおける下方側(14)は、図示しない紐部材を結ぶことにより形成される結び玉を挿入し得る大きさにくり抜かれている。一方、スリットの上方側(15)は紐部材の厚みのみが通過し得る間隙に切込みが形成されている。このような構造を有することにより、挿入した紐部材をスリットの上方へ引き上げることによって、紐部材が書籍用栞に固定され、紐部材の抜け落ちを防止することができる。
【0015】
図1に示す書籍用栞は、一枚の例えばステンレス鋼から型をくり抜く事によって製造することができる。例えば、0.5mm厚のステンレス鋼から図2(a)に示す形状をくり抜き加工する。図2(a)に示す寸法は、L1=30.0mm、L2=8.5mm、L3=1.55mm、L4=2.7mm、L5=2.7mm、L6=1.5mm、L7=5.5mm、φ8=φ3.0mm、L9=5.0mm、L10=2.0mm、L11=7.0mm、L12=1.8mm、L13=0.8mm、L14=36.0、L15=4.0mm、L16=0.8mm、L17=4.5mm、L18=0.8mmである。因みに、符号1は背部材1、符号2は栞部材、符号4は上面部材を形成することになる。
図2(b)は、加工後の書籍用栞10を示す図である。左側より、正面図、右側面図、平面図である。図2(b)に示す寸法は、L20=8.0mm、L21=30.0mm、L22=20.0mm、L23=5.0mm、L24=10.0mm、L25=7.0mm、L26=0.5mm厚、L27=5.8mm、L28=4.0mm、L29=8.0mm、L31=7.0mm、L32=4.0mmである。
【0016】
図3は、本発明の書籍用栞10に係る実施形態1の使用方法を説明するための斜視図である。
図3に示す如く、本発明の実施形態1に係る書籍用栞10は、本20の背表紙21に面によって接触する背部材1と、本の頁間に刺し込まれている板状の栞部材(図3では頁間に挟まれて視認できない)と、前記背部材1と栞部材とを本の上方にて梁渡して連接し得る上面部材4から形成されている。
【0017】
図3に示す如く、前記背部材1の下端部は、内側上方へ屈曲して折り返されている(符号7を参照)。又、前記上面部材4の梁渡方向における両端は、上方に屈曲して形成されている(符号8及び9参照)。従来の書籍用栞には、一度頁間に挟んだ栞を外し難いという問題があった。しかしながら、書20から本実施形態1に係る書籍用栞10を外す際に、指を背部材1の下端部の折り返し部(符号7)に引っ掛けることができる。そして、指を背部材1の下端部7に引っ掛けることによって、書籍用栞10を本20から容易に外すことができる。又、本実施形態1に係る書籍用栞10は、上面部材4の両端が上方へ屈曲しているため(符号8,9)、指でかかる屈曲を挟むことによって、上面部材4の中央部分に発生する弾撥力によるバネ効果によって、指で挟んだ書籍用栞10を引き上げ易くなる。例えば、親指を背部材1の下端部の折り返し部(7)に引っ掛け、同時に人差指と中指で上面部材4の両端の屈曲部(8,9)を挟むことによって、書籍用栞10を本20から力を入れることなく容易に外すことができる。
【0018】
図3に示す如く、本実施形態1に係る書籍用栞10は、背部材1の上方に本の頁間に挟まれる紐部材22を固着する掛止部12を有している。図3に示す如く、掛止部12は、下方側(符号14参照)が上方側(符号15参照)に比較して広く開口するスリットが形成されている。すなわち、スリットの下方側(14)は楕円形状にくり抜かれている。一方、スリットの上方側(15)は筋状の切込みが形成されている。スリットにおける下方側(14)は、図示しない紐部材22を結ぶことにより形成される結び玉を挿入し得る大きさにくり抜かれている。一方、スリットの上方側(15)は紐部材22の厚みのみが通過し得る間隙に切込みが形成されている。このような構造を有することにより、挿入した紐部材22をスリットの上方へ引き上げることによって、紐部材22が書籍用栞に固定され、紐部材の抜け落ちを防止することができる。
【0019】
実施形態2
図4は、本発明の書籍用栞に係る実施形態2の構成を示す斜視図である。
図4に示す如く、本発明の実施形態2に係る書籍用栞30は、図示しない本の背表紙に面によって接触する背部材31と、本の頁間に刺し込まれる棒状の栞部材32と、前記背部材31と栞部材32とを本の上方にて梁渡して連接し得る上面部材34から形成されている。線状の栞部材32は、左側が下降する位置に配置され、線は下方は水平方向に、また線は左斜上方に行き、上方略中央部で折り返し、下方中央少し下まで加工内側へ円状に屈曲する。このような構成によって、背部材31は、複数の線接触によって接触している。そして、図4に示す如く、前記栞部材32は、背部材31と平行するように垂直に下降する位置に配置される。
【0020】
図4に示す如く、前記背部材31の下端部は、内側上方へ屈曲して折り返されている(符号37を参照)。又、前記上面部材34の梁渡方向における両端は、上方に屈曲して形成されている(符号38及び39参照)。又、本実施形態2に係る書籍用栞30は、上面部材34の両端が上方へ屈曲しているため(符号38,39)、指でかかる屈曲を挟むことによって、上面部材34の中央部分に発生する弾撥力によるバネ効果によって、指で挟んだ書籍用栞30を引き上げ易くなる。
図4に示す如く、本実施形態2に係る書籍用栞30は、背部材31の上方に本の頁間に挟まれる図示しない紐部材を固着する掛止部12を有している。図4に示す如く、掛止部42は、下方側(符号44参照)が上方側(符号45参照)に比較して広く開口するスリットが形成されている。すなわち、スリットの下方側(44)は楕円形状にくり抜かれている。一方、スリットの上方側(45)は筋状の切込みが形成されている。スリットにおける下方側(44)は、図示しない紐部材を結ぶことにより形成される結び玉を挿入し得る大きさにくり抜かれている。一方、スリットの上方側(45)は紐部材の厚みのみが通過し得る間隙に切込みが形成されている。このような構造を有することにより、挿入した紐部材をスリットの上方へ引き上げることによって、紐部材が書籍用栞30に固定され、紐部材の抜け落ちを防止することができる。
【0021】
図4に示す書籍用栞30は、加工後の書籍用栞30を示す図である。左側より、正面図、右側面図、平面図である。図4に示す寸法は、L50=27.5mm、L51=1.5mm、L52=17.0mm、L53=9.0mm、L54=5.0mm、L55=7.5mm、L56=8.0mm、φ57=φ17.0mm、L58=3.0mm、L59=2.0mm、L60=10.0mm、R62=2.5、L63=22.0、L64=3.0mm、L65=5.5mm、L66=4.0mm、L67=6.0mm,φ68=8.0mm、L69=1.8mm、L70=11.8mmである。因みに、符号31は背部材、符号32は栞部材、符号34は上面部材を形成することになる。
【符号の説明】
【0022】
1,31 背部材
2,32 栞部材
4,34 上面部材
10,30 書籍用栞
図1
図2
図3
図4