(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816995
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】ロッドレンズおよびその製造法
(51)【国際特許分類】
G02B 3/00 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
G02B3/00 Z
G02B3/00 A
G02B3/00 B
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-165414(P2016-165414)
(22)【出願日】2016年8月26日
(62)【分割の表示】特願2013-145964(P2013-145964)の分割
【原出願日】2013年7月12日
(65)【公開番号】特開2016-194733(P2016-194733A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2016年9月20日
【審判番号】不服2019-8336(P2019-8336/J1)
【審判請求日】2019年6月24日
(31)【優先権主張番号】10 2012 106 289.7
(32)【優先日】2012年7月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ヘットラー
(72)【発明者】
【氏名】フランク ギンデル
(72)【発明者】
【氏名】エドガー パウロウスキ
【合議体】
【審判長】
樋口 信宏
【審判官】
里村 利光
【審判官】
井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−83337(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/016931(WO,A1)
【文献】
特開平8−146276(JP,A)
【文献】
特開2003−241048(JP,A)
【文献】
特開2005−92088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ素子(10)、
導光素子(20)、
環状部分を有するホルダーからなるロッドレンズであって、
該レンズ素子(10)は、環状のホルダーに囲まれたシーリングガラス(1)からなり、該シーリングガラス(1)の一部は前記ホルダーから上方に突出しており、部分的球表面、またはほぼ球表面を有し、
前記シーリングガラス(1)は、前記ホルダーの融点に対して比較的低い融点(Tg1)、および所定の熱膨張率(CTE1)を有し、
ホルダーガラス(2)の前記ホルダーが、シーリングガラスと比べて高い融点(Tg2)を有するが、シーリングガラス(1)に類似する熱膨張率(CTE2)を有する、または金属製ホルダー(3)の場合は、該シーリングガラスと比べて高い融点(T融解3)を有し、かつ異なる熱膨張率(CTE3)を有し、
前記ホルダーが、少なくとも部分的には金属からなり、前記ホルダーの肉厚が100μm未満である、
ことを特徴とするロッドレンズ。
【請求項2】
前記ロッドレンズの導光素子(20)の幾何形状が、円筒状、またはプリズム状、または円錐形状、または角錐形状である、請求項1に記載のロッドレンズ。
【請求項3】
前記シーリングガラス(1)の本体が、少なくとも2つの部分体を含有する、請求項1または2に記載のロッドレンズ。
【請求項4】
前記シーリングガラス(1)の本体が、屈折率、分散、部分分散、および/または群遅延分散を含む光学特性の異なる、少なくとも2つのシーリングガラス(1a、1b)からなる、請求項1から3のいずれか1項に記載のロッドレンズ。
【請求項5】
前記導光素子(20)が2つのシーリングガラス本体(21a、21b)から構成され、2つのシーリングガラス本体(21a、21b)の間に、光活性物質(25)からなる中間層が封入されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のロッドレンズ。
【請求項6】
前記レンズ素子がシーリングガラス(1)の本体から形成され、ホルダーが、シーリングガラス(1)の本体とホルダーガラス(2)の本体との間に固定されている半径方向突起(41)を有するキャップ(4)を含む、請求項2から5のいずれか1項に記載のロッドレンズ。
【請求項7】
前記ホルダーが、シーリングガラスに対する表面張力および/または界面張力を調整するために、コーティングまたは表面処理されている、請求項1に記載のロッドレンズ。
【請求項8】
前記ホルダーが、反射を調整するために、コーティングまたは表面処理されている、請求項7に記載のロッドレンズ。
【請求項9】
請求項1または2に記載のロッドレンズの行列配置。
【請求項10】
前記行列配置が、ウェーハ上で太陽電池、光検出器、CCDセンサ、CMOSセンサ、LEDまたはレーザと結合されている、請求項9に記載のロッドレンズの行列配置。
【請求項11】
前記行列配置が、ウェーハ(51)との気密な結合をもたらす共通のケーシング(30)を有する、請求項10に記載のロッドレンズの行列配置。
【請求項12】
太陽電池、光検出器、CCDセンサ、CMOSセンサ、LED、またはレーザに隣接するスペースが、ポリマー、ガラス、液体、および/またはコンポジットで満たされている、請求項10または11に記載のロッドレンズの行列配置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ1つの導光素子および1つのレンズ素子を有するロッドレンズの製造法、ロッドレンズそれ自体、ならびにそのようなロッドレンズの行列配置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロッドレンズそれ自体は公知であって、縦長の導光素子、ならびに導光素子の少なくとも一端においてレンズ素子を有する。そのようなロッドレンズは、研削および研磨により、ガラス塊もしくはプリフォームから製造されるか、またはある形状のこのプリフォームを融解し、プレスして再成形することにより製造される。注型法での製造も公知である(米国出願公開第2010/327470号)。
【0003】
公知の方法は、製造コストがかなり高いことが不利である。その上、公知の方法は、ロッドレンズの製造と同時に、ロッドレンズを多数使用するために要求されるようなケーシングを製造するためには直接には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国出願公開第2010/327470号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、ロッドレンズの改善された製造法を提案することである。その際、ロッドレンズの製造と同時に、ロッドレンズに、ロッドレンズの様々な適用において必要とされるようなケーシング、またはケーシングの一部を備え付けることが可能であるものである。このやり方で、太陽電池、光検出器、CCDセンサ、CMOSセンサ、LED、OLED、ファイバおよびレーザにおける集束、コリメーション、または結像の趣旨での、損失の少ない導光が達成され得るべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
出された課題の解決策は、独立請求項から明らかになる。
【0007】
詳細には、比較的低い融点および所定の熱膨張率を有するシーリングガラスからなるガラス体を、シーリングガラスと比べて高い融点を有するもののシーリングガラスと類似する熱膨張率を有するホルダーを利用して固定する。この固定の最中に、シーリングガラスを融解させ、その際、シーリングガラス体の、ホルダーから空気またはガス中に突出する部分が、自由表面での表面張力、および例えばケーシング部品の周縁またはホルダーの前額面での界面張力の効果ゆえに、球状、またはほぼ球状の表面を有する立体へと変形する。シーリングガラス体の、ホルダーを越えた突出部のサイズに応じて、アーチは、より顕著であるか、またはあまり顕著ではない、つまり、形成された球冠は、球または球類似体の、より大きな一部またはあまり大きくない一部を含む。
【0008】
表面張力効果によって形成される球表面は、火造りされているため、高品質である。表面張力効果および界面張力は、ガラス材特性、使用される雰囲気、および/または金属製ホルダーである場合にはその金属表面に依存する。つまり、ロッドレンズを製造する最中に、ロッドレンズを成形するための液状シーリングガラスの界面張力は、その液状シーリングガラスが、液状シーリングガラスの表面張力に影響を及ぼすためのガス組成を有する雰囲気にさらされるというやり方で、影響を受けることができる。表面張力は、雰囲気の温度にも依存する。それによって、表面張力を上げるか、または下げることができる。その際、表面張力が大きければ大きいほど、生成される球冠は、ますます球に類似するようになる。一般的には、例えば、製造条件により、特に炉内に設定されている雰囲気に、表面張力に影響を及ぼすためのガスを添加する。
【0009】
レンズ素子を形成するシーリングガラス体は、ガラス製または金属製のホルダーによって固定される。シーリングガラスからなるレンズ素子は、シーリングガラスに比べて高い融点を有する「ホルダーガラス」からなるガラス体上に単純に装着されているか、または環状に包囲されていてもよい。ロッドレンズ内での機械的張力を回避するためには、シーリングガラスの熱膨張率とホルダーガラスの熱膨張率とが激しく異ならないことが望ましい。このことは、金属製の環状ホルダーが利用される場合にも当てはまる。ただし、非常に薄い金属厚ゆえにホルダーが可撓性である場合は別である。その場合、好ましくは、肉厚は100μm未満である。ガラスの熱膨張率が金属製ホルダーの熱膨張率よりも大きい場合には、冷却の際に、金属製ホルダーとガラスとの間に空隙が生じる。このことは、ガラスの界面における光学的全反射にとって有利である。そのためには、肉厚の小さい金属製ホルダーを使用するか、またはシーリングガラスとホルダーを高温ではじめて嵌合することが望ましい。
【0010】
ロッドレンズを製造する最中に利用された、ガラス製または金属製のホルダーは、製造後には、ロッドレンズのケーシングの一部になるか、またはこのケーシングを形成する。ロッドレンズの密封包装が達成され、このことは、ロッドレンズが、LED、レーザ、または光検出器のような能動光学素子と結合されている場合に特に重要である。この包装は、光集束、コリメーション、および結像プロセスの際に損失の少ない導光を可能にする。
【0011】
ロッドレンズの幾何形状は、ロッド横断面が一定のプリズム形状または円筒形状、ならびに導光素子の横断面が先細りの、角錐形状または円錐形状を含む。プリズム形状および角錐形状の場合は、レンズ素子の近似的な球表面しか達成され得ないことは自明である。そのように角張って形成されたロッドレンズの行列配置の場合、円筒状のロッドレンズの場合よりも大きなスペース活用を達成することができる。
【0012】
導光素子の側面において十分な全反射を当てにできない場合には、導光率を高めるために、鏡として機能するかまたはコーティングの施された、高反射の、研磨された内側面も使用することができる。
【0013】
導光率に影響を及ぼすためには、使用されるガラスの、異なる屈折率も使用することができる。導光特性を達成するためには、ホルダーガラスは、シーリングガラスと比べて低い屈折率を有することができるかもしれない。
【0014】
屈折率の異なるガラスの使用により、屈折率分布型レンズの効果を達成することができる。そのためには、中核ゾーンでは屈折率がn1および外被ゾーンでは屈折率がn2のシーリングガラスを、屈折率がn3のホルダーガラスに対して使用することができる。
【0015】
本発明のさらなる詳細は、以下の例示的実施形態の記載から、および添付された請求項から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】異なる型の2つのガラスからなるロッドレンズの製造を示す図である。
【
図2】異なる型のガラスからなるロッドレンズを製造するもう1つの可能性を示す図である。
【
図3】ガラスと金属製ホルダーとからなるロッドレンズの製造を示す図である。
【
図4】異なる種類のガラスからなる、導光素子とレンズ素子とを備え、部分的に金属製であるホルダーを備えたロッドレンズの製造を示す図である。
【
図5】先細りの導光素子を備えた、変化させたロッドレンズの製造を示す図である。
【
図6】金属製ホルダーと2つの部分体からなるシーリングガラス体とを備えたロッドレンズを示す図である。
【
図7】
図6に対して変化させた一実施形態を示す図である。
【
図8】金属製ホルダーと2つの部分体からなるそれぞれ凸表面形状のシーリングガラス体とを備えたロッドレンズを示す図である。
【
図9】
図8に対して変化させた一実施形態を示す図である。
【
図10】ロッドレンズの一行列配置を示す図である。
【
図11】金属製ホルダーと光学特性が異なる2つの凹凸ガラス体とを備えたロッドレンズの一行列配置を示す図である。
【
図12】ウェーハ上で、太陽電池、光検出器、CCDセンサ、CMOSセンサ、LED、またはレーザと結合されている、
図11に基づく、ロッドレンズの行列配置を示す図である。
【
図13】
図12と類似する、ロッドレンズの一行列配置を示す図であり、光学系と能動素子との間のスペースが、ポリマー、ガラス、液体、および/またはコンポジットで満たされている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、ロッドレンズを製造する方法の第1実施形態を図示する。比較的低い融点T
g1および所定の熱膨張率C
TE1を有するシーリングガラス1、ならびに、シーリングガラスと比べて高い融点T
g2およびシーリングガラスの熱膨張率に近い熱膨張率C
TE2を有するホルダーガラス2からなる中実ガラス体を準備する。
【0018】
熱膨張率C
TE2に対する、またはC
TE3に対する熱膨張率C
TE1との関連で、「近い」または「類似する」という表現は、シーリングガラス1およびホルダーガラス2ないしホルダー金属3の本体内での熱膨張率が、ロッドレンズの事実上の直径寸法1〜10mmにおいて、製造されたロッドレンズのガラス内での、許容不可能と見なされ得るようなひずみをもたらさないということを意味する。
【0019】
ホルダーガラス2のガラス体は、シーリングガラス1のガラス体用のホルダーを形成する。ガラス1および2のガラス体は、相互に積み重ねることにより相互に結合されているが、好ましいのは、方法開始時における、ガラス1および2の両ガラス体の間でのより強固な結合である。シーリングガラス1の融点T
g1よりも高いもののホルダーガラス2の融点T
g2よりも低い温度にもたらすことによって、シーリングガラス1が融解し、ホルダーガラス2からなるガラス体が円筒状であると前提される場合には、表面張力および界面張力の効果が、融解したガラス1が、空気またはガス中で自由表面におき球冠へと形成されることを配慮する。ガラス体2がプリズム形状の場合、形成された球冠は、近似的な球表面を有する。この球冠がロッドレンズのレンズ素子10であり、ガラス体2が導光素子20である。
【0020】
図2は、ロッドレンズを製造する、さらなる一実施形態を示す。シーリングガラス1は、ホルダーガラス2によって環状に取り囲まれており、ただし、シーリングガラス1からなる本体の一部分11が、ホルダーガラス2からなる環を突出している。シーリングガラス体を融解させると、環を突出する部分11のガラスが環の上端に流れ、液状ガラスの表面張力および界面張力の結果として球冠を形成する。こうして、シーリングガラスからなるレンズ素子10、ならびにシーリングガラス1からなる中核21およびホルダーガラス2からなる外被22を備えた導光素子20が形成される。
【0021】
図3は、
図2に基づく方法を示すが、その熱膨張率C
TE3がシーリングガラス1の熱膨張率に近い、金属製のホルダー3を備える。短いはめ管形状のホルダー3は、るつぼ5に挿入されており、シーリングガラス1の本体は、平坦なるつぼ底で支えられている一方で、シーリングガラス1の本体の一部分11は、ホルダー3から突出している。ホルダー3とシーリングガラス1との間には、間隙が存在してもよい。シーリングガラス1の融点T
g1超に温度を上げると、シーリングガラス1が液状になり、ホルダー3への間隙が閉じる一方で、同時に、シーリングガラスの本体の部分11が、ロッドレンズのレンズ素子10をなす球冠に変形する。導光素子20は、シーリングガラスの本体の残りの部分21によって形成される。この実施形態では、ホルダー3が、導光体10のケーシング30を形成する。
【0022】
図4は、ケーシングとしてのキャップ4を備えたロッドレンズの製造を示す。シーリングガラス1の本体およびホルダーガラス2のガラス体は、キャップ4の半径方向突起41を挟持しており、シーリングガラス1が融解すると、シーリングガラス1とホルダーガラス2との間の境界層で溶融し、その結果、強固に固定される。
【0023】
シーリングガラス1の本体の融解プロセスの際に、球冠としてのレンズ素子10が生じ、ホルダーガラス2からなるガラス体の形状に依存して、円筒またはプリズムの部分としての導光素子20が生じる。キャップ4が、ロッドレンズのケーシングを形成する。
【0024】
図5は、
図4に基づく方法の一変形を示す。ホルダーガラス2は、小さい方の基底面を下側にもつ円錐台または角錐台の形状を有する。その結果、導光素子20に集束作用が与えられる。キャップ4は、またもロッドレンズのケーシングを形成する。
【0025】
図4の場合と同様に、
図5においても、レンズ素子10の方を向いた透光面およびレンズ素子10に面していない透光面が形成され、レンズ素子に面していない透光面は、
図5の場合は、レンズ素子の方を向いた透光面よりも小さい。
【0026】
図6は、レンズ素子10としての球冠を備え、シーリングガラス体21aおよび21bから構成されている導光素子20を備えたロッドレンズを示す。継ぎ目23には光活性または光不活性物質25が封入されていてもよく、その物質は例えばフィルタであってもよい。フィルタは、分光透過率を変化させることができる。導光素子20の幾何形状は、円筒の形状であってもよいが、横断面が例えば、正方形、または六角形、または八角形であるプリズム形状も可能である。そのような場合、球冠の表面は、近似的にしか球状ではないが、集光特性は維持されたままである。導光素子20は、ケーシング30によって囲まれている。
【0027】
図7は、ロッドレンズの両末端ともにそれぞれ1つのレンズ素子10a、10bを備えたロッドレンズの一実施形態を示す。そのようなロッドレンズは、シーリングガラス体が、その、融点超への加熱の際に、ホルダー中に挟持されたまま保持されるため、シーリングガラスの、突出した下方部分から、ロッドレンズの自由表面において球冠が形成されることによって製造することができる。継ぎ目23には光活性または光不活性物質25が封入されていてもよく、それは例えばフィルタである。フィルタは、分光透過率を変化させることができる。
【0028】
図8は、レンズ素子10としての球冠を備え、2つのシーリングガラス体21aおよび21bから構成されている導光素子20を備えたロッドレンズを示す。シーリングガラス体21bは、第1製造段階において、シーリングガラス体21aは、第2製造段階において製造される。本体21a、21bのガラスは、異なる熱特性(軟化温度)および光学特性(屈折率、アッベ数)を有する。ガラスの、異なる分散に起因して、収色特性を有する光学系が生じる。導光素子20の幾何形状は、円筒の形状であってもよいが、横断面が例えば、正方形、または六角形、または八角形であるプリズム形状も可能である。そのような場合、球冠の表面は、近似的にしか球状ではないが、集光特性は維持されたままである。導光素子20は、ケーシング30によって囲まれている。
【0029】
図9は、ロッドレンズの両末端ともにそれぞれ1つのレンズ素子10a、10bを備えたロッドレンズの一実施形態を示す。
図8に関して記載したように、レンズ素子10a、10bは、異なる熱特性および光学特性を有するガラスからなる。そのようなロッドレンズは、それぞれのシーリングガラス体が、その、融点超への加熱の際に、ホルダー中に挟持されたまま保持されるため、シーリングガラスの、突出した下方部分からも、ロッドレンズの自由表面において球冠が形成されることによって製造することができる。
【0030】
図10は、ロッドレンズの一行列配置を示す。シーリングガラス1は、各個々のロッドレンズの、レンズ素子10と同時に導光素子20を形成する。ホルダーは、ロッドレンズを包み、そのようにして、行列中のすべてのロッドレンズに共通のケーシング30を形成する。
【0031】
図11は、
図8に類似する、ロッドレンズの一行列配置を示す。シーリングガラス1aは、各個々のロッドレンズの、レンズ素子10aと同時に導光素子20の一部21aを形成し、その他方の部分21bは、シーリングガラス1bによって形成される。ガラス1a、1bは、異なる熱特性(軟化温度)および光学特性(屈折率、分散、部分分散、群遅延分散)を有する。ガラスの、異なる分散に起因して、収色特性を有する光学系が生じる。金属製ホルダー3は、ロッドレンズを包み、そのようにして、行列中のすべてのロッドレンズに共通のケーシング30を形成する。
【0032】
図12は、
図11の、ロッドレンズの行列配置の一変形形態を示す。金属製ホルダー3と光学特性の異なる2つの凹凸ガラス体とを備えたロッドレンズの行列配置を、ウェーハ51上へと、太陽電池、光検出器、CCDセンサ、CMOSセンサ、LEDまたはレーザであってもよい能動光学素子50と結合する。
【0033】
図13は、
図12の模範に基づく、ロッドレンズのさらなる一行列配置を示す。光学系と能動素子50との間のスペースは、ポリマー、ガラス、液体、またはコンポジットで満たされている。
【0034】
ロッドレンズを製造するための記載の方法により、(球半径に関して)高さの異なる球冠を製造することが可能である。シーリングガラス体の、ホルダーから突出した部分11は、多かれ少なかれ突出して形成されているため、溶融の際に形成される球冠は、そのうちの一部を球冠が形成する球の半径に相対して、多かれ少なかれ高さを獲得する。
【0035】
ロッドレンズの用途に応じて、導光率を上げるために鏡として機能するか、または光損失を回避するためにコーティングが施されている、高反射の内側面も使用することができる。表面のコーティングまたは前処理により、環状ホルダーの内側がガラスでぬれないことが達成され得る。例えば、界面張力に影響を及ぼすための材料は、PVD、スパッタリング、ゾルゲルコーティングおよび/またはCVDを利用して蒸着することができる。しかしながら、界面張力に影響を及ぼすための材料は、ホルダーおよびガラスのガスパージを介して、プラズマ酸化を利用して、および/または基板を液体中に浸漬することによっても準備することが可能であって、ただし、このガスないし液体は、界面張力に影響を及ぼすための成分を含有している。
【0036】
シーリングガラスおよびホルダーの熱膨張率がほとんど差異を示さないことにより、ロッドレンズ動作時のガラス体内でのひずみが大部分回避される。ホルダーの厚さが非常に薄い場合は、シーリングガラスの熱膨張率とホルダーの熱膨張率との、より大きな差異が許容され得る。この場合、肉厚は、好ましくは100μm未満である。
【0037】
好ましくは光学的であるこのガラスは、例えば、弗燐酸ガラス、弗珪クラウンガラス、燐酸クラウンガラス、重燐酸クラウンガラス、硼珪クラウンガラス、軽バリウムクラウンガラス、クラウンガラス、亜鉛クラウンガラス、バリウムクラウンガラス、重クラウンガラス、クラウンフリントガラス、軽バリウムフリントガラス、ダブル重クラウンガラス、ランタンクラウンガラス、ダブル軽フリントガラス、バリウムフリントガラス、軽フリントガラス、フリントガラス、重バリウムフリントガラス、ランタンフリントガラス、重ランタンフリントガラス、重フリントガラス、低クラウンガラス、低フリントガラス、長クラウン特殊ガラス、低重フリントガラス、短フリントガラス、短フリント特殊ガラスからなる1群から選択されている少なくとも1つのガラスであり得る。前記のガラスは、模範的に理解されるものであって、決して、挙げた選択に制限されるものではない。
【実施例1】
【0038】
図1または2に基づくロッドレンズ用のガラスの可能な組成:
ショット アクチエンゲゼルシャフト社のシーリングガラス8250(重量%):
SiO
2 69.2
B
2O
3 18.5
Al
2O
3 2.6
Li
2O 0.6
K
2O 7.7
ZnO 0.6
As
2O
3 0.05
ショット アクチエンゲゼルシャフト社のホルダーガラス8330(重量%):
SiO
2 80.6
B
2O
3 12.8
Al
2O
3 2.3
Li
2O 0.6
K
2O 0.7
【実施例2】
【0039】
図3に基づくロッドレンズの材料の可能な組成:
外被金属材料:Fe−Ni−Co
組成(重量%):
Ni 29
Co 17
C 0.01
Fe 53.99
ショット アクチエンゲゼルシャフト社のシーリングガラス8250(重量%):
SiO
2 69.2
B
2O
3 18.5
Al
2O
3 2.6
Li
2O 0.6
K
2O 7.7
ZnO 0.6
As
2O
3 0.05