特許第6817022号(P6817022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6817022高耐水熱性チャバザイト型ゼオライトおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6817022
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】高耐水熱性チャバザイト型ゼオライトおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/46 20060101AFI20210107BHJP
   B01J 29/72 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   C01B39/46
   B01J29/72 A
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-205715(P2016-205715)
(22)【出願日】2016年10月20日
(65)【公開番号】特開2017-218367(P2017-218367A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年10月4日
(31)【優先権主張番号】特願2016-113524(P2016-113524)
(32)【優先日】2016年6月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100160864
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 政治
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽子
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 俊二
(72)【発明者】
【氏名】中島 昭
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−515723(JP,A)
【文献】 特開2015−101506(JP,A)
【文献】 特開2012−211066(JP,A)
【文献】 特表2008−521744(JP,A)
【文献】 特開2010−215434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 39/46
B01J 29/72
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)、(b)の工程を備えるチャバザイト型ゼオライトの製造方法。
(a)下記(1)(2)(3)の構成を備え、結晶構造中にPを実質的に含まない前駆体を準備する工程
(1)チャバザイト構造を有する
(2)5≦ケイバン比≦15
(3)100%≦結晶度
(b)前述の前駆体を下記(4)(5)の構成を備える条件で、0.1hr以上、スチーム処理する工程
(4)50%≦水分の含有量
(5)450℃≦処理温度≦800℃
【請求項2】
下記(1)〜(4)の構成を備え、結晶構造中にPを実質的に含まず、一次粒子のサイズが0.05μm以上10μm以下のチャバザイト型ゼオライト。
(1)チャバザイト構造を有する
(2)Si及びAlを含み、Siの含有量が80.5質量%以上90質量%以下、Alの含有量が10質量%以上19.5質量%以下
(3)格子定数≦13.74Å
(4)140%≦結晶度
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャバザイト型ゼオライト(以下、CHA型ゼオライトともいう。)およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CHA型ゼオライトは、国際ゼオライト学会(IZA)が規定するCHA構造を有するゼオライトである。CHA型ゼオライトは、一般的に、特許文献1のような有機構造規定剤(以下、SDAともいう。)を用いる方法で合成される。また、特許文献2のようなSDAを用いない方法でも合成することが可能である。
【0003】
CHA型ゼオライトは、例えば、ガスの分離、自動車の排気ガス中に含まれる窒素酸化物の還元、低級アルコールおよびその他の酸素含有炭化水素の液体燃料への転換、およびジメチルアミンの製造のための触媒として使用することができる。これらの用途では、CHA型ゼオライトの結晶構造に由来する細孔を利用するため、結晶度の高いCHA型ゼオライトが必要とされている。
【0004】
また、CHA型ゼオライトには、水分の存在下で高温に晒されるとその結晶構造が壊れるという課題がある(耐水熱性)。例えば、自動車の排ガス中に含まれる窒素酸化物の還元や工場から排出される排気ガス中の有害成分の除去に用いる場合、耐水熱性が低いCHA型ゼオライトは、使用中に結晶構造が壊れるので、本来の性能を発揮できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−163349
【特許文献2】特開2015−101506
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、結晶度及び耐水熱性が高いCHA型ゼオライトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ケイバン比及び結晶度が下記の範囲にあるCHA型ゼオライトを後述する(4)(5)の構成を備える条件の水蒸気雰囲気下において加熱(スチーム処理)することで、結晶度及び耐水熱性が高いCHA型ゼオライトが得られる(以下、本発明の製造方法ともいう。)。
5≦ケイバン比
100%≦結晶度
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、結晶度及び耐水熱性が高いCHA型ゼオライトを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の製造方法]
本発明の製造方法は、ケイバン比及び結晶度が上記の範囲にあるCHA型ゼオライト(以下ではスチーム処理を施す前のCHA型ゼオライトを、前駆体ともいう。)をスチーム処理して、結晶度及び耐水熱性が高いCHA型ゼオライト(以下では本発明の製造方法によって得られたCHA型ゼオライトを、本発明のゼオライトともいう。)を得る方法である。CHA型ゼオライトをスチーム処理すると、CHA型ゼオライトの結晶構造から、Alの一部が除去される。CHA型ゼオライトの結晶構造からAlの一部が除去されたCHA型ゼオライトは、耐水熱性が高くなる。但し、CHA型ゼオライトの結晶構造からAlの一部が除去されるとき、その結晶構造がダメージを受けるため、得られるCHA型ゼオライトの結晶度が低下する。そこで、ケイバン比と結晶度が一定の範囲にあるCHA型ゼオライトを前駆体として特定の条件でスチーム処理することで、結晶度及び耐水熱性が高いCHA型ゼオライトを得ることができる。以下、本発明の製造方法について、詳述する。
【0010】
前述の前駆体は、CHA構造を有する。前述の前駆体がCHA構造を有していないと、それをスチーム処理しても、本発明のゼオライトを得ることができない。
なお、CHA構造の有無は、前述の前駆体のX線回折パターンから判断できる。具体的には、前述の前駆体のX線回折パターンにCHA構造に由来する回折ピークがある場合、CHA構造を有すると判断できる。詳細な測定条件等は、後述する。
【0011】
前述の前駆体のケイバン比は、下記の範囲にある。
5≦ケイバン比
また、前述の前駆体のケイバン比は、下記の範囲にあることが好ましい。ケイバン比が7より低い場合、スチーム処理して得られる本発明のゼオライトの結晶度が低下するので好ましくない。また、ケイバン比が15より大きい場合、スチーム処理しても耐水熱性がそれほど向上しない。
7≦ケイバン比≦15
更に、前述の前駆体のケイバン比は、下記の範囲にあることが特に好ましい。ケイバン比がこの範囲にある前述の前駆体をスチーム処理すると、耐水熱性がより向上する。
7≦ケイバン比<10
なお、前述の前駆体のケイバン比は、前述の前駆体のSiおよびAlの含有量から算出することができる。具体的には、前駆体のSiおよびAlの質量パーセント濃度をそれぞれSiO2とAl23のモル濃度に換算して、SiO2のモル濃度をAl23のモル濃度で除して算出される。詳細な測定条件等は、後述する。
【0012】
前述の前駆体の結晶度は、下記の範囲にある。
100%≦結晶度
また、前述の前駆体の結晶度は、下記の範囲にあることが好ましい。
200%≦結晶度
結晶度が100%より低い前駆体をスチーム処理すると、得られる本発明のゼオライトの結晶度が低下するので、好ましくない。結晶度の低い本発明のゼオライトは、CHA構造に由来する細孔が十分に発達していないため、その細孔を利用する触媒反応や吸着反応に用いる場合、それぞれの性能が低下するため好ましくない。具体的には、その細孔を利用する触媒反応に使用する場合は、触媒活性や選択性が低下する。そして、その細孔を利用する吸着反応に使用する場合は、特定の化学物質を選択的に吸着できなかったり、吸着量が低下したりする。一方、結晶度が高い前述の前駆体をスチーム処理すると、得られる本発明のゼオライトの結晶度も高くなるので好ましい。
なお、前述の前駆体の結晶度は、本発明の前駆体と標準試料のX線回折パターンから算出される。具体的には、国際ゼオライト学会のHP(http://www.iza-online.org/synthesis/)又はWERIFIED SYNTHESES OF ZEOLITIC MATERIALS」H.Robson編、K.P.Lillerud XRD図:2001年発行、第2版、第123頁〜第125頁に記載されたChabaziteの合成方法に基づいて合成したCHA型ゼオライトを標準試料として、標準試料と前述の前駆体のX線回折パターンの特定のピークの高さの比から算出される。詳細な測定条件は、後述する。
【0013】
前述の前駆体の一次粒子のサイズは、下記の範囲にあることが好ましい。
0.05μm≦一次粒子のサイズ≦10μm
前述の前駆体の一次粒子のサイズが0.05μmより小さい場合、前述の前駆体の結晶度が100%より低くなる可能性があるため、好ましくない。また、スチーム処理によって前述の前駆体の結晶が破壊されやすくなるので、得られる本発明のゼオライトの結晶度が低下することがあり好ましくない。前述の前駆体の一次粒子サイズが10μmより大きい場合、結晶度が高くなりやすいので好ましい。しかし、一次粒子のサイズが10μmより大きい前述の前駆体は、合成することが困難である。
また、前述の前駆体の一次粒子のサイズは、下記の範囲にあることがより好ましい。
0.1μm≦一次粒子のサイズ≦5μm
一次粒子のサイズが上記の範囲にある前述の前駆体は、スチーム処理を行っても結晶が破壊されにくいので、得られる本発明のゼオライトの結晶度が高くなり好ましい。
なお、前述の一次粒子のサイズは、一次粒子を電子顕微鏡で観察して算出する。具体的には、電子顕微鏡写真から10個の一次粒子をランダムに抽出し、その一次粒子の長径の平均値を一次粒子のサイズとする。詳細な測定条件等は、後述する。
【0014】
前述の前駆体に含まれるナトリウムやカリウム等のアルカリ金属の含有量は、下記の範囲にあることが好ましい。
0ppm≦アルカリ金属≦5000ppm
前述の前駆体に含まれるアルカリ金属は、前述の前駆体の原料に由来するものであって、その多くがCHA型ゼオライトの陽イオンサイトにイオン交換された状態で存在している。前述の前駆体に含まれるCHA型ゼオライトの骨格中にアルカリ金属が多く含まれる状態でスチーム処理を行うと、理由は定かではないが、スチーム処理の効果が小さい。
これらのアルカリ金属は、前述の前駆体をHやNH3でイオン交換することで除去することができる。具体的には、HClやNH4NO3等が溶解した水溶液に前述の前駆体を浸漬することにより、アルカリ金属を除去できる。本発明の製造方法では、前述の前駆体をNH4NO3が溶解した水溶液でイオン交換することが好ましい。NH4NO3が溶解した水溶液で前述の前駆体をイオン交換すると、前述の前駆体の結晶度を低下させることなく、アルカリ金属を除去できる。
【0015】
前述の前駆体は、その結晶構造中にPを実質的に含まないことが好ましい。したがって、Pを結晶構造に含むCHA型ゼオライトの1種であるSAPO−34などは、前述の前駆体には含まれないことが好ましい。また、合成原料等に含まれるPが、前述の前駆体に残留する場合もある。このような場合は、概ね1000ppm以下の含有量であれば、実質的に含んでいないと解してよい。
【0016】
前述のスチーム処理は、水分の含有量が飽和水蒸気量の50%以上の雰囲気下で前述の前駆体を加熱する工程である。
50%≦水分の含有量
前述の水分の含有量は、下記の範囲にあることが好ましい。
50%≦水分の含有量≦100%
水分の含有量が上記の範囲にある状態でスチーム処理を行うと、前述の前駆体に含まれるCHA型ゼオライトの結晶構造を過度に破壊せずに、結晶構造からAlの一部を除去できる。水分の含有量が、飽和水蒸気量の50%より低い場合、前述の前駆体に含まれるCHA型ゼオライトの結晶構造からAlが除去されにくくなり、得られる本発明のゼオライトの耐水熱性が向上しにくくなるので好ましくない。一方、水分の含有量が飽和水蒸気量より高い場合(すなわち、水分の含有量が100%を超える場合)、加熱温度にもよるが、前述の前駆体に含まれるCHA型ゼオライトの結晶構造からAlが急激に除去されて結晶構造がダメージを受け、得られる本発明のゼオライトの結晶度が低下する可能性があるので好ましくない。
【0017】
前述のスチーム処理の処理温度は、下記の範囲にある。
450℃≦処理温度≦800℃
前述の処理温度は、下記の範囲にあることが好ましい。
500℃≦処理温度≦675℃
前述の処理温度が上記の範囲にある状態でスチーム処理を行うと、前述の前駆体に含まれるCHA型ゼオライトの結晶構造を過度に破壊せずに、結晶構造からAlの一部を除去できる。前述の処理温度が、450℃より低い場合、前述の前駆体に含まれるCHA型ゼオライトの結晶構造からAlが除去されにくくなり、得られる本発明のゼオライトの耐水熱性が向上しにくくなるので好ましくない。一方、前述の処理温度が800℃より高い場合、前述の水分の含有量にもよるが、前述の前駆体に含まれるCHA型ゼオライトの結晶構造からAlが急激に除去されて結晶構造がダメージを受け、得られる本発明のゼオライトの結晶度が低下する可能性があるので好ましくない。前述の水分の含有量や、後述の処理時間を適切な範囲にコントロールして、ゆっくりとAlを除去することで、CHA型ゼオライトの結晶度を維持することができる。
【0018】
前述のスチーム処理における処理時間は、下記の範囲にあることが好ましい。
0.1hr≦処理時間≦48hr
前述の処理時間が、0.1hrより短い場合、前述の前駆体に含まれるCHA型ゼオライトの結晶構造からAlが十分に除去されず、得られる本発明のゼオライトの耐水熱性が向上しにくくなるので好ましくない。一方、前述の加熱時間が48hrより長くても、前述の前駆体に含まれるCHA型ゼオライトの結晶構造からのAlの除去量は大きく変わらない。
なお、本発明におけるスチーム処理の処理時間とは、加熱温度に達してからの保持時間を指すものとする。
【0019】
前述のスチーム処理における雰囲気は、大気下で行ってもよく、窒素等の不活性雰囲気下で行ってもよい。また、これらの雰囲気を保つために、密閉容器内でスチーム処理を行ってもよく、大気や不活性ガスの流通下でスチーム処理を行ってもよい。更に、前述の雰囲気に水分を添加する方法は、水を気化してガスと混合する方法、反応容器に事前に水を仕込む方法、前駆体に水分を含ませた状態で仕込む方法等、水分を添加できる方法であればよい。
【0020】
前述のスチーム処理は、マッフル炉、環状炉、キルンといった従来公知の方法で実施することができ、いずれを用いても同様にスチーム処理をすることができる。
【0021】
前述の前駆体は、従来公知の製造方法で得られる。例えば、前述の特許文献1のように、Si原料、Al原料及び有機構造規定剤(SDA)を含む水溶液を水熱処理する方法で得ることができる。また、前述の特許文献2のように、FAU型ゼオライトとカリウム化合物を含む水溶液を水熱処理する方法で得ることもできる。後者の方法は、SDAを用いない点で、経済性に優れる。
【0022】
本発明のゼオライトは、スチーム処理によって結晶構造から除去されたAlが、結晶構造の外側に残留している。Alがどのような状態で存在しているかは不明であるが、Al23、Al(OH)3といった化合物の状態で存在しているものと考えられる。このような結晶構造の外側に残留しているAlは、例えば酸処理などの方法によって、必要によって除去することができる。具体的には、本発明のゼオライトを酸溶液に浸漬することで、結晶構造の外側に残留しているAlを除去することができる。
【0023】
[本発明のゼオライト]
本発明のゼオライトは、前述の本発明の製造方法により得られる。以下に、本発明のゼオライトについて、詳述する。
【0024】
本発明のゼオライトは、CHA型ゼオライトを含む。また、本発明のゼオライトは、スチーム処理によりCHA型ゼオライトの結晶構造からAlの一部が除去されているので、耐水熱性が高い。また、本発明のゼオライトは、ケイバン比と結晶度が前述の範囲にある前駆体をスチーム処理して得られるので、結晶度が高い。
【0025】
本発明のゼオライトに含まれるCHA型ゼオライトは、その結晶構造からSiと比較してイオン半径の大きいAlの一部が除去されているので、スチーム処理前と比較して、格子定数が小さくなる。具体的には、本発明のゼオライトの格子定数は、下記の範囲にある。
13.74Å≦格子定数
また、本発明のゼオライトの格子定数は、下記の範囲にあることが好ましい。
13.50Å≦格子定数≦13.72Å
格子定数が13.74Åより大きい本発明のゼオライトは、耐水熱性が低くなる可能性があるので好ましくない。耐水熱性が低いCHA型ゼオライトは、高温・高湿環境下で使用する触媒(例えば、NH3によるNOx除去反応用:NH3−SCR反応ともいう。)に用いた場合、CHA構造が破壊されるので、触媒活性が低下しやすくなる。
一方、格子定数が13.50Åより小さい本発明のゼオライトは、耐水熱性は高くなるものの、結晶度が低くなりやすいので好ましくない。また、格子定数が13.50Åより小さい本発明のゼオライトを吸着剤として使用する場合、結晶がかなり縮んだ状態のため、吸着する化合物が結晶構造内に拡散しにくくなるため好ましくない。更に、本発明のゼオライトは、必要によって、その陽イオンサイトをCuやFeなどの陽イオンで交換する場合があるが、格子定数が13.50Åより小さいと、これらの陽イオンが結晶構造内で拡散しにくくなるため、好ましくない。
なお、本発明のゼオライトの格子定数は、X線回折パターンから算出することができる。具体的には、本発明のゼオライトのX線回折パターンからCHA構造の(2−10)(3−1−1)面に帰属される回折ピークを探し、そのピークの2θの値から算出される。詳細な測定条件等は、後述する。
【0026】
本発明のゼオライトは、Si及びAlを含む。本発明のゼオライトのSi及びAlの含有量は、酸化物換算(SiはSiO2換算、AlはAl23換算)で、下記の範囲にあることが好ましい。
80.5質量%≦Siの含有量≦90質量%
10質量%≦Alの含有量≦19.5質量%
なお、本発明のゼオライトのSi及びAlの含有量は、ICP発光分光分析法で測定することができる。詳細な測定方法は、後述する。
【0027】
本発明のゼオライトは、その結晶構造中にPを実質的に含まないことが好ましい。したがって、Pを結晶構造に含むCHA型ゼオライトの1種であるSAPO−34などは、本発明のゼオライトには含まれないことが好ましい。但し、必要によって、Pを結晶構造外に担持する場合はある。また、合成原料等に含まれるPが、本発明のゼオライトに残留する場合もある。このような場合は、概ね1000ppm以下の含有量であれば、実質的に含んでいないと解してよい。
【0028】
本発明のゼオライトのケイバン比は、下記の範囲にあることが好ましい。
7≦ケイバン比<15
ケイバン比が上記の範囲にある本発明のゼオライトは、NH3−SCR反応に用いた場合、触媒活性と耐久性に優れる。なお、本発明のゼオライトのケイバン比の測定方法は、後述する。
【0029】
本発明のゼオライトの結晶度は、下記の範囲にある。
140% ≦ 結晶度
本発明のゼオライトの結晶度が低すぎると、CHA構造が十分に発達していないので、触媒として用いた場合に触媒活性が低くなるため好ましくない。また、本発明のゼオライトの結晶度は、下記の範囲にあることがより好ましい。
200% ≦ 結晶度 ≦ 300%
本発明のゼオライトの結晶度が上記の範囲にある場合、触媒として用いた場合に触媒活性が特に優れる。
【0030】
本発明のゼオライトの細孔容積(PV)は、下記の範囲にあることが好ましい。
0.2ml/g≦細孔容積≦0.4ml/g
細孔容積が上記の範囲にある本発明のゼオライトは、吸着剤として使用する場合、吸着量が増加するので好ましい。触媒として使用する場合も、触媒活性や選択性に優れる。
なお、細孔容積は、窒素吸着測定により得られる吸着等温線から算出される。詳細な測定条件は、後述する。
【0031】
本発明のゼオライトの比表面積は、下記の範囲にあることが好ましい。
350m2/g≦比表面積≦600m2/g
比表面積が低すぎると、触媒活性が低くなるため好ましくない。比表面積が600m2/gを超える本発明のゼオライトは、合成が困難である。
なお、比表面積は、窒素吸着測定により得られる吸着等温線から算出される。詳細な測定条件は、後述する。
【0032】
本発明のゼオライトは、前述の通り、スチーム処理によって多孔質化しているので、外表面積が高くなる傾向がある。本発明のゼオライトの外表面積は、下記の範囲にあることが好ましい。
7m2/g≦外表面積≦20m2/g
外表面積が大きい本発明のゼオライトは、触媒として用いた場合、触媒活性に優れる。
なお、外表面積は、窒素吸着測定により得られる吸着等温線から算出される。詳細な測定条件は、後述する。
【0033】
本発明のゼオライトの一次粒子のサイズは、下記の範囲にあることが好ましい。
0.05μm≦一次粒子のサイズ≦10μm
本発明のゼオライトの一次粒子のサイズが0.05μmより小さい場合、本発明のゼオライトの結晶度が100%より低くなる可能性があるため、好ましくない。また、一次粒子のサイズが小さいCHA型ゼオライトは、耐水熱性が低くなる傾向があるので、可能な限り一次粒子径の大きいものが好ましい。しかし、一次粒子のサイズが10μmより本発明のゼオライトは、合成することが困難である。
また、本発明のゼオライトの一次粒子のサイズは、下記の範囲にあることがより好ましい。
0.1μm≦一次粒子のサイズ≦5μm
一次粒子のサイズが上記の範囲にある本発明のゼオライトは、結晶度および耐水熱性が高くなるので好ましい。
なお、前述の一次粒子のサイズは、一次粒子を電子顕微鏡で観察して算出する。具体的には、電子顕微鏡写真から10個の一次粒子をランダムに抽出し、その一次粒子の長径の平均値を一次粒子のサイズとする。詳細な測定条件等は、後述する。
【0034】
本発明のゼオライトを吸着剤や触媒等に使用する場合、Sr、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Re、Ir、Pt等の元素(添加元素)を、下記の範囲で含有していてもよい。
2質量%≦添加元素≦10質量%
また、上記の添加元素は、本発明のゼオライトの表面に担持されていてもよく、本発明のゼオライトのイオン交換サイトにイオン交換されていてもよい。上記の添加元素は、本発明のゼオライトの用途によって、前述の添加元素から適切に選択される。例えば、本発明のゼオライトを自動車の排気ガス中に含まれる窒素酸化物の還元のための触媒に用いる場合は、CuやFeを含むことが好ましく、CuやFeは、本発明のゼオライトのイオン交換サイトにイオン交換されていることがより好ましい。イオン交換サイトにCuやFeがイオン交換された本発明のゼオライトは、窒素酸化物の還元活性に優れる。本発明のゼオライトに上記の添加元素を担持する方法としては、従来公知のイオン交換法を用いることができる。また、本発明のゼオライトを上記の添加元素を含む溶液に浸漬したのち、蒸発乾固する方法を用いることもできる。更に、本発明のゼオライトを上記の添加元素を含む溶液に浸漬したのち、噴霧乾燥する方法を用いることもできる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
[前駆体(1)を準備する工程]
Al23濃度22質量%、Na2O濃度17質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液0.168kgを、NaOH濃度21.65質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.35kgに撹拌しながら加えて溶解し、30℃まで冷却した。この溶液を撹拌しながら、SiO2濃度24質量%、Na2O濃度7.7質量%の珪酸ナトリウム水溶液1.361kgに添加した。このときの溶液の組成は、酸化物モル比で、
Na2O/Al23=16
SiO2/Al23=15
2O/Al23=330
であった。ついで、この溶液を30℃で15時間静置してアルミノシリケート溶液を調製した。
【0037】
SiO2濃度24質量%、Na2O濃度7.7質量%の珪酸ナトリウム水溶液22.78kgに水5.66kgとSiO2濃度30質量%シリカゾル(日揮触媒化成製:Cataloid SI−30:平均粒子径10nm)18.97kgと、前記アルミノシリケート溶液2.88kgを加え、攪拌混合した。これに、Al23濃度22質量%、Na2O濃度17質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液10.03kgを加え、室温で3時間攪拌熟成して、混合ヒドロゲルスラリーを調製した。このときの混合ヒドロゲルスラリーの組成は、酸化物モル比で、
Na2O/Al23=2.80
SiO2/Al23=8.70
2O/Al23=108
であった。
【0038】
混合ヒドロゲルスラリー60.3kgを結晶化槽にて、95℃で35時間、水熱処理を行った。その後、70℃まで冷却し、濾過してNa−Y型ゼオライトのケーキ29.5kgを得た。得られたNa−Y型ゼオライトのケーキを、更に洗浄し、濾過し、乾燥してNa−Y型ゼオライトを調製した。
【0039】
Na−Y型ゼオライト500g、硫酸アンモニウム280gを含む水溶液5000gを80℃に昇温し、撹拌しながら2時間イオン交換した後、濾過し、洗浄し、乾燥し、550℃で5時間焼成した。更に、上記の条件でイオン交換、濾過、洗浄、乾燥の操作を2回行い、NH4イオン交換率95%の0.95(NH42O・0.05Na2O・Al23・5SiO2ゼオライト(NH4(95)Y型ゼオライトともいう。)を調製した。
【0040】
NH4(95)Y型ゼオライトを反応容器に充填し、反応容器内の水分の含有量が飽和水蒸気量の100%となるように水分を添加した。その後、600℃に昇温したのち、2時間保持することで、超安定性FAU型ゼオライトを調製した。
【0041】
この超安定性FAU型ゼオライト500gに、濃度25質量%の硫酸495gを0.5時間で滴下して脱アルミ処理を行い、ケイバン比9.0のFAU型ゼオライトを調製した。
【0042】
このFAU型ゼオライトの濃度が20質量%であるFAU型ゼオライトスラリーを調製し、ビーズミル(アシザワファインテック(株)製:LMZ015)で微細化処理を行った。このときの微細化条件は、ジルコニアビーズ0.5mm、周速10m/s、ビーズ充填量は体積換算で85%であった。微細化されたFAU型ゼオライトスラリー95gと水60gを混合し、ついで濃度95.5質量%のKOH5.5gを混合して、合成スラリーを調製した。合成スラリーを150℃で48時間水熱処理した。その後、水熱処理した合成スラリーを取出し、ろ過、洗浄、乾燥してCHA型ゼオライトを調製した。
【0043】
得られたCHA型ゼオライト100gを、硫酸アンモニウム100gを含む水溶液1000gへ添加し、60℃に昇温し、撹拌しながら1時間イオン交換した後、濾過し、洗浄し、乾燥した。さらに、上記の条件でイオン交換、濾過、洗浄、乾燥の操作を2回行い、NH4イオン交換率99%のCHA型ゼオライトを調製し、これを前駆体(1)とした。
【0044】
得られた前駆体(1)について、CHA構造の有無を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
[CHA構造の有無]
得られた前駆体(1)について、下記の条件でX線回折測定を行い、下記の判断基準からCHA構造の有無を判断した。
<X線回折測定条件>
装置 MiniFlex(株式会社リガク製)
操作軸 2θ/θ
線源 CuKα
測定方法 連続式
電圧 40kV
電流 15mA
開始角度 2θ=5°
終了角度 2θ=50°
サンプリング幅 0.020°
スキャン速度 10.000°/min
<判断基準>
上記測定により得られるX線回折パターンが、(100)、(200)、(20−1)、(21−1)、(211)、(3−1−1)、(310)、(3−1−2)のミラー指数に帰属されるピークをすべて有している場合、CHA構造を有していると判断する。
【0045】
得られた前駆体(1)について、ケイバン比を下記の方法で測定した。また、併せてアルカリ金属及びPの含有量も測定した。結果を表1に示す。
[ケイバン比の測定方法]
下記の条件でSi、Al、アルカリ金属及びPの含有量を測定した。各成分の含有量は、それぞれ酸化物に換算して質量%で算出した(SiはSiO2換算、AlはAl23換算、アルカリ金属はM2O換算:M=アルカリ金属、PはP25換算)。また、算出したSiO2とAl23の含有量をモル比に換算して、ケイバン比(SiO2/Al23)を算出した。
<SiO2、Al23、アルカリ金属及びPの含有量測定>
測定方法:ICP発光分析
装置 :ICP730−ES(株式会社VARIAN製)
試料溶解:酸溶解
【0046】
得られた前駆体(1)について、結晶度を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
[結晶度の測定方法]
国際ゼオライト学会のHP(http://www.iza-online.org/synthesis/)に記載されたChabaziteの合成方法に基づいて合成を行った。具体的には、198.2mlのイオン交換水と45質量%のKOH溶液を26.8ml混合した溶液に25.0gのケイバン比5.2のHY型ゼオライトを添加し、30秒間撹拌した。このスラリーを95℃で96時間結晶化した。得られたスラリーは500mlの水で2回洗浄した後、乾燥し、標準物質を得た。
上記の方法で得られた前駆体(1)と標準物質について、下記の条件でX線回折測定を行った。
<X線回折測定条件>
装置 MiniFlex(株式会社リガク製)
操作軸 2θ/θ
線源 CuKα
測定方法 連続式
電圧 40kV
電流 15mA
開始角度 2θ=5°
終了角度 2θ=50°
サンプリング幅 0.020°
スキャン速度 10.000°/min
上記のX線回折測定により得られたX線回折パターンから、ミラー指数(100)、(20−1)、(3−1−1)に帰属される各ピークの高さの合計値を求め、下記の式により結晶度を求めた。
結晶度[%]=H/HR ×100
H :前駆体(1)の上記の各ピークの高さの合計
R:標準物質の上記の各ピーク高さの合計
【0047】
得られた前駆体(1)について、下記の条件で一次粒子サイズの測定を行った。結果を表1に示す。
[一次粒子サイズの測定条件]
得られた前駆体(1)について、下記の条件で電子顕微鏡観察を行った。なお、倍率は、一次粒子のサイズが確認できる倍率であれば、必ずしも下記の条件でなくともよい。得られた画像から、一次粒子のサイズを測定した。
<電子顕微鏡観察条件>
測定装置 日本電子 JEOL JSM−7600
加速電圧 1.0kV
倍率 20,000倍
<一次粒子のサイズの算出方法>
電子顕微鏡の画像から10個の一次粒子をランダムに抽出し、その一次粒子の長径の平均値を一次粒子のサイズとした。
【0048】
[実施例1]
前駆体(1)100gを反応容器に充填し、反応容器内の水分の含有量が飽和水蒸気量の100%となるように水分を添加した。その後、800℃に昇温したのち、20分保持して、CHA型ゼオライトを得た
【0049】
実施例1で得られたCHA型ゼオライトについて、前述の条件で、チャバザイト構造の有無、ケイバン比、一次粒子のサイズ及び結晶度を測定した。結果を表2に示す。
【0050】
実施例1で得られたCHA型ゼオライトについて、下記の条件で格子定数の測定を測定した。結果を表2に示す。
[格子定数の測定方法]
<X線回折測定>
標準試料 酸化チタン(アナターゼ)
標準試料の混合比 CHA型ゼオライト:酸化チタン=5:1
装置 MiniFlex(株式会社リガク製)
操作軸 2θ/θ
線源 CuKα
測定方法 連続式
電圧 40kV
電流 15mA
開始角度 2θ=5°
終了角度 2θ=50°
サンプリング幅 0.020°
スキャン速度 10.000°/min
<格子定数の算出>
リガク製の統合粉末X線解析ソフトウェアPDXLに上記測定データを読み込ませて、デフォルトの条件でデータ処理を行った。次に、チャバザイト構造に帰属される空間群を指定し、ミラー指数(2−10)(3−1−1)を用いて格子定数(a軸の大きさ)を算出した。なお、前述の格子定数は、酸化チタンを標準試料として、角度を補正して算出した。
【0051】
実施例1で得られたCHA型ゼオライトについて、下記の条件で細孔容積および外表面積測定を行った。結果を表2に示す。
[細孔容積および外表面積測定方法]
測定方法 窒素吸着法
測定装置 BEL SORP−miniII(マイクロトラック・ベル株式会社製)
サンプル量 約0.05g
前処理 300℃、2時間(真空下)
相対圧範囲 0〜1.0
算出方法 全細孔容積:0.990
比表面積、外表面積:t−plot法
【0052】
実施例1で得られたCHA型ゼオライトについて、下記の条件で耐水熱性の評価を実施した。具体的には、実施例1で得られたCHA型ゼオライトを水蒸気処理し、水蒸気処理前と後のX線回折パターンのミラー指数(100)、(20−1)、(3−1−1)に帰属される各ピークの高さの合計値を比較して、結晶度維持率を算出し評価した。結果を表2に示す
[耐水熱性の評価方法]
実施例1で得られたCHA型ゼオライトを、下記の条件で水蒸気処理した。
<水蒸気処理条件>
装置 環状炉
温度 700℃
時間 3時間
ガス H2Oを1ml/minの速度で、環状炉に流通
水蒸気処理後のCHA型ゼオライトについて、前述の結晶度の測定方法と同じ方法で、実施例1で得られたCHA型ゼオライトのミラー指数(100)、(20−1)、(3−1−1)に帰属される各ピークの高さの合計値Hsteamを算出した。
<結晶度維持率の算出方法>
前述の実施例1の結晶度の測定で得られたHと前述の水蒸気処理後のHsteamを用いて、下記の式から算出した。
結晶度維持率[%]=Hsteam/H×100
【0053】
[実施例2]
前駆体(1)100gを反応容器に充填し、反応容器内の水分の含有量が飽和水蒸気量の100%となるように水分を添加した。その後、750℃に昇温したのち、20分保持して、CHA型ゼオライトを得た。また、得られたCHA型ゼオライトについて、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0054】
[実施例3]
前駆体(1)100gを反応容器に充填し、反応容器内の水分の含有量が飽和水蒸気量の100%となるように水分を添加した。その後、700℃に昇温したのち、20分保持して、CHA型ゼオライトを得た。また、得られたCHA型ゼオライトについて、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0055】
[実施例4]
前駆体(1)100gを反応容器に充填し、反応容器内の水分の含有量が飽和水蒸気量の100%となるように水分を添加した。その後、650℃に昇温したのち、20分保持して、CHA型ゼオライトを得た。また、得られたCHA型ゼオライトについて、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0056】
[実施例5]
前駆体(1)100gを反応容器に充填し、反応容器内の水分の含有量が飽和水蒸気量の100%となるように水分を添加した。その後、600℃に昇温したのち、20分保持して、CHA型ゼオライトを得た。また、得られたCHA型ゼオライトについて、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0057】
[実施例6]
前駆体(1)100gを反応容器に充填し、反応容器内の水分の含有量が飽和水蒸気量の100%となるように水分を添加した。その後、550℃に昇温したのち、20分保持して、CHA型ゼオライトを得た。また、得られたCHA型ゼオライトについて、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0058】
[実施例7]
前駆体(1)100gを反応容器に充填し、反応容器内の水分の含有量が飽和水蒸気量の100%となるように水分を添加した。その後、500℃に昇温したのち、20分保持して、CHA型ゼオライトを得た。
【0059】
[比較例1]
前駆体(1)を比較例として、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0060】
[NH3−SCR反応評価]
本発明のゼオライトを触媒反応に用いた一例として、NH3−SCR反応評価を行った。具体的には、実施例6で得られたCHA型ゼオライトに、下記の条件でCuを担持した。
【0061】
実施例6で得られたCHA型ゼオライト10gを1mol/Lの硝酸銅3水和物溶液100gに懸濁し80℃に昇温し、撹拌しながら1時間イオン交換した後、ろ過、洗浄した。この操作をCu担持量が2質量%になるまで繰り返し、Cu−CHA型ゼオライトを得た。Cu−CHA型ゼオライトを従来公知の押出成形機を用いて、円柱状に押出成型した成型体(ペレット)もしくは顆粒状の触媒成型体を得た。
【0062】
次に、得られた前述の触媒成形体について、下記の条件でNH3−SCR反応評価を行った。結果を表3に示す。
<NH3−SCR反応評価条件>
反応装置 常圧固定床流通式反応管
触媒成形体 10cc
反応ガス NO:500ppm、NH3:500ppm、O2:10%、N2:バランス
反応ガス流量 6000cc/min
反応温度 150℃、200℃、300℃
<NOx除去率算出方法>
各反応温度において、定常状態になった時点における反応管入口のNOx濃度をCin、反応管出口のNOx濃度をCoutとして、下記の式から算出した。
NOx除去率[%]={(Cin‐Cout)/Cin}×100
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】