(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の押圧部と前記第2の押圧部は、前記支持体の表側に対向し、前記連結部は前記支持体の裏側に対向し、前記連結部に、前記支持体の裏側に弾圧する弾性片が設けられており、
前記弾性片は、前記クリップ部材の前記支持体への装着方向の前方に位置する根元部から、前記装着方向の後方に延びて、後方側の端部に、前記支持体の裏側に弾接される弾接部が設けられており、前記弾接部が、前記第1設置領域に対応する位置で前記裏側に弾接されている請求項5に記載の電子装置。
前記クリップ部材の装着方向の前方において、前記クリップ部材と前記支持体との間に、前記弾接部と前記支持体との弾接位置を支点として前記クリップ部材に作用する付勢力を規制するストッパー部が設けられている請求項6または請求項7に記載の電子装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された位置検出センサーでは、磁気センサーであるリードスイッチが、基板に半田付けされて実装されている。しかし、半田付けの実装では、半田付け作業を行う分だけ工数が多くなり、製造コストが高くなる。また、位置検出センサーが内燃機関の流体圧シリンダに使用される場合には、高温環境下で使用されるため、リードスイッチを基板に半田付けで固定することは好ましくない。
【0006】
また、特許文献1に明記されていないが、磁気センサーの本体部を基板などに強固に固定するために、磁気センサーを樹脂材料で基板に固着する構造も採用される。しかし、この場合には樹脂材料の塗布工程と加熱による樹脂硬化工程が必要になり、製造工数が多くなり製造コストも高くなる。また、磁気センサー内に回路が含まれている場合に、樹脂材料から磁気センサーの本体部に応力が作用することで、検出誤差が増加されることもある。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、簡単な作業でセンサーパッケージなどの電子パッケージを支持体に固定することができる電子装置およびその製造方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、本体部に過大な熱を与えることなくまた過大な応力を与えることなく、センサーパッケージなどの電子パッケージを支持体に固定することができる電子装置およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の電子装置は、電子パッケージと、前記電子パッケージを支持する支持体とを有する電子装置において、
前記電子パッケージには、本体部と前記本体部の対向する側面のそれぞれから突出する金属突起とが設けられており、
前記支持体には、前記本体部が設置される設置部と、それぞれの前記金属突起を受ける突起受け部とが形成され、
前記電子パッケージの前記本体部と、前記設置部との間に隙間が形成されている状態で、弾性を有する金属板で形成されたクリップ部材で、前記金属突起と前記支持体とが挟持されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の電子装置は、前記支持体の前記突起受け部に受け凹部が形成されて、前記金属突起が前記受け凹部内に配置され、前記クリップ部材で、前記金属突起が前記受け凹部内に押し付けられているものが好ましい。
【0011】
本発明の電子装置では、前記クリップ部材に、前記本体部の一方の側部に設けられた前記金属突起と他方の側部に設けられた前記金属突起のそれぞれを前記支持体に押し付ける一対の押圧部と、一対の前記押圧部を連結する連結部とが設けられ、
前記押圧部は、前記支持体の表側に対向し、前記連結部は前記支持体の裏側に対向し、前記連結部に、前記支持体の裏側に弾圧する弾性片が設けられているものとして構成できる。
【0012】
本発明の電子装置は、前記クリップ部材が、前記金属突起と同じ電位となって、シールド部材として機能するものが好ましい。
【0013】
本発明の電子装置は、例えば、前記電子パッケージは、第1の本体部および第2の本体部と、
前記第1の本体部と前記第2の本体部
とを接続する配線部材を有し、2つの前記本体部のそれぞれの対向する側面から前記金属突起が突出しており、
前記支持体の前記設置部が、前記第1の本体部が設置される第1設置領域と、前記第2の本体部が設置される第2設置領域とを有し、前記支持体に、第1の本体部に設けられたそれぞれの前記金属突起を受ける第1突起受け部と、前記第2の本体部に設けられたそれぞれの前記金属突起を受ける第2突起受け部とが形成され、
前記クリップ部材に、前記第1の本体部の前記金属突起のそれぞれを前記第1突起受け部に押し付ける第1の押圧部と、前記第2の本体部の前記金属突起のそれぞれを前記第2突起受け部に押し付ける第2の押圧部と、
前記第1の押圧部を互いに連結するとともに前記第2の押圧部を互いに連結する連結部とが設けられているものである。
【0014】
本発明の電子装置は、前記第1の押圧部と前記第2の押圧部が、前記支持体の表側に対向し、前記連結部は前記支持体の裏側に対向し、前記連結部に、前記支持体の裏側に弾圧する弾性片が設けられており、
前記弾性片は、前記クリップ部材の前記支持体への装着方向の前方に位置する根元部から、前記装着方向の後方に延びて、後方側の端部に、前記支持体の裏側に弾接される弾接部が設けられており、前記弾接部が、前記第1設置領域に対応する位置で前記裏側に弾接されているものが好ましい。
【0015】
また、本発明の電子装置は、前記弾接部が、前記第1の本体部に設けられた前記金属突起に対応する位置で、前記裏側に弾接されているものが好ましい。
【0016】
本発明の電子装置は、前記クリップ部材の装着方向の前方において、前記クリップ部材と前記支持体との間に、前記弾接部と前記支持体との弾接位置を支点として前記クリップ部材に作用する付勢力を規制するストッパー部が設けられているものが好ましい。
【0017】
この場合に、前記ストッパー部は、前記クリップ部材に設けられた第1ストッパー部と、前記支持体に設けられた第2ストッパー部とで構成され、
前記クリップ部材が前記支持体に装着されるときに、前記第1ストッパー部が、前記第2ストッパー部に対し、前記付勢力を規制する側で当接するものとして構成できる。
【0018】
次に、本発明は、電子パッケージが支持体に固定された電子装置を製造する方法において、
前記電子パッケージには、本体部と前記本体部の対向する側面のそれぞれから突出する金属突起が設けられており、
前記支持体に、前記本体部が設置される設置部と、それぞれの前記金属突起を受ける突起受け部とを形成し、
弾性を有する金属板で形成されたクリップ部材に、互いに対向する側に位置する押圧部と弾性片とを形成し、
前記クリップ部材を、前記押圧部と前記弾性片との対向方向と直交する方向から前記支持体に装着し、前記弾性片を前記支持体の裏側に弾圧させ、前記押圧部で前記金属突起を前記突起受け部に押圧する、ことを特徴とするものである。
【0019】
本発明の電子装置の製造方法は、前記支持体に規制段差部を形成し、前記金属突起と前記支持体とを挟持する位置に装着した前記クリップ部材を前記規制段差部に掛止させて抜け止めすることが好ましい。
【0020】
また本発明の電子装置の製造方法は、前記支持体の裏側に、当接部と前記当接部よりも窪んだ溝部とを形成し、
前記支持体に前記クリップ部材を装着するときに、前記弾性片を前記溝部内に通過させ、前記クリップ部材を前記金属突起と前記支持体とを挟持する位置まで装着したときに、前記弾性片を前記当接部に乗り上げさせて弾圧させることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の電子装置は、センサーパッケージなどの電子パッケージの金属突起をクリップ部材で支持体に押し付けているため、半田付けや樹脂材料を使用することなく、電子パッケージを支持体に確実に固定することができる。また、電子パッケージの本体部に過大な応力が作用することがなく、センサーパッケージの場合に、応力の作用による検知誤差の増大を抑制することができる。
【0022】
本発明の電子装置の製造方法では、支持体に電子パッケージを設置し、クリップ部材を装着するという簡単な組立作業で、支持体上に電子パッケージを確実に固定することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
図1に示すように、本発明の第1実施形態の電子装置1は、合成樹脂製の本体部2を有しており、本体部2には、Y1方向に延び出る支持体10が一体に形成されている。支持体10に電子パッケージ30が設置され、支持体10と電子パッケージ30とがクリップ部材20で挟持されて固定されている。
【0025】
図示を省略しているが、電子装置1には、本体部2のY1側に筒状のケースが装着され、本体部2とケースとの接合部にパッキンが装着されて、ケース内に位置する支持体10と電子パッケージ30およびクリップ部材20が外気と遮断されている。
【0026】
第1実施形態では、電子装置1がセンサー装置であり、電子パッケージ30がセンサーパッケージである。センサーパッケージは、ホール素子などの磁気検知素子とこれに付随する検知回路が封入されたICパッケージである。
【0027】
電子装置1は、例えば内燃機関の吸気系におけるバルブの開度を検知するために使用される。この場合に、電子装置1の図示しない前記ケースの外側に磁石40が設けられ、バルブの開閉に連動して磁石40が回転し、センサーパッケージである電子パッケージ30によって磁石40の回転角度が検知される。
【0028】
なお、電子パッケージ30としては、同じくセンサーパッケージである圧力センサーを収納したもの、湿度センサーを収納したものであってもよい。あるいは、磁気スイッチなどを収納したスイッチパッケージなどであってもよい。
【0029】
図2に示すように、支持体10は幅方向であるX方向の寸法よりも縦方向であるY方向の寸法が長く形成されている。
【0030】
図2に示すように、支持体10の表側10Aでは、X方向の中央部に設置部11が形成されている。設置部11は、Y方向に延びる凹部である。設置部11のX方向の両側に、Z方向に立ち上がってY方向に連続する隆起部12が形成されている。
【0031】
支持体10の先部側(Y1側)において、それぞれの隆起部12に、第1の突起受け部13が形成されている。第1の突起受け部13は、設置部11の底面11aと平行に形成されており、第1の突起受け部13に受け凹部13aが形成されている。受け凹部13aは第1の突起受け部13から窪んで形成されており、且つ設置部11に向けて開放されている。
【0032】
第1の突起受け部13よりも、支持体10の先部側(Y1側)に、Z方向に立ち上がる第1の規制段差部14aが形成されている。隆起部12の上面には、第1の突起受け部13に連続して本体部2側(Y2側)に向けて傾斜して立ち上がる傾斜面15が形成されている。隆起部12には、本体部2側(Y2側)の上面に第2の突起受け部16が形成されている。第2の突起受け部16は、設置部11の底面11aと平行に形成されている。第2の突起受け部16に、受け凹部16aが形成されている。受け凹部16aは第2の突起受け部16から窪んで形成されており、且つ設置部11に向けて解放されている。
【0033】
第2の突起受け部16よりも、支持体10の先部側(Y1側)には、Z方向に立ち上がる第2の規制段差部14bが形成されている。隆起部12の上面では、第2の突起受け部16と連続して本体部2の方向(Y2方向)に立ち上がる傾斜面17が形成されている。
【0034】
図3に示すように、支持体10の裏側10Bには、縦方向(Y方向)のほぼ中央部に当接部18が形成されており、当接部18よりも、支持体10の先部側(Y1側)に、Y1方向に解放された溝部19が形成されている。溝部19は、当接部18よりも窪んで形成されている。
【0035】
クリップ部材20はリン青銅板などの導電性の板ばね材料で形成されている。
図2と
図3に示すように、クリップ部材20は、X方向の両側部に対向する側壁部21と、側壁部21どうしを連結する連結部22を有している。
【0036】
クリップ部材20の側壁部21の上端部には、Y1側に第1の押圧部23が形成され、Y2側に第2の押圧部24が形成されている。一対の第1の押圧部23は連結部22にZ方向で対向しており、第1の押圧部23のY2側に、ガイド片23aが上向きに折り曲げ形成されている。同様に、一対の第2の押圧部24も連結部22にZ方向で対向しており、そのY2側に、ガイド片24aが上向きに折り曲げ形成されている。
【0037】
クリップ部材20の底部には弾性片25が一体に形成されている。弾性片25は、先端部25aがY1方向に向けられている。弾性片25は、根元部25bから上向きに折り曲げられている。
【0038】
図2と
図3および
図4に示すように、支持体10の本体部2側(Y2側)に接続部材3が取り付けられている。接続部材3はL字状に曲げられており、
図2に示すように、支持体10の本体部2側の基部に埋設されている。
【0039】
図1と
図2に示すように、電子パッケージ30は、第1の本体部31と第2の本体部32を有している。第1の本体部31は樹脂で形成されたモールド体の内部に磁気センサーであるホール素子と回路部が収納されている。第1の本体部31の内部の回路部からY2方向へ延びる複数の導通端子34は第2の本体部32の内部を通過している。第2の本体部32の内部に、静電破壊防止用のコンデンサが収納されており、コンデンサは隣り合う導通端子34の間に接続されている。第2の本体部32からY2側へ接続端子35が延び出ている。導通端子34は導電性の金属板から切断されたものであり、複数の導通端子34のうちの一部のものが接続端子35となっている。
【0040】
第1の本体部31のX方向に向く両側部から第1の金属突起36が突出しており、第2の本体部32のX方向に向く両側部から第2の金属突起37が突出している。第1の金属突起36と第2の金属突起37は、第1の本体部31と第2の本体部32の内部に位置しているいずれかの前記導通端子34と一体に形成されており、例えばアース電位に設定されている。
【0041】
次に、前記電子装置1の組立方法(製造方法)について説明する。
電子パッケージ30は、第1の本体部31と第2の本体部32を、支持体10の凹状の設置部11内に設置する。このとき、第1の本体部31から突出する第1の金属突起36を、支持体10の第1の突起受け部13に形成された受け凹部13aの内部に入り込ませ、第2の本体部32から突出する第2の金属突起37を、第2の突起受け部16に形成された受け凹部16aの内部に入り込ませる。
【0042】
X方向の両側に突出する第1の金属突起36が受け凹部13aに入り込み、同じくX方向の両側に突出する第2の金属突起37が受け凹部13bに入り込むことで、支持体10上で、電子パッケージ30がX方向とY方向へ大きく動くことがないように位置決めされる。また、
図5に示すように、受け凹部13aの内部に設置された第1の金属突起36の上面36aは、第1の突起受け部13からZ方向の上方へやや突出している。同様に、第2の金属突起37の上面も第2の突起受け部16からZ方向の上方へやや突出している。
【0043】
次に、クリップ部材20を装着する。Y2方向がクリップ部材20の装着方向であり、Y1方向がクリップ部材20の抜き出し方向である。
電子パッケージ30を、支持体10の上に設置した後に、クリップ部材20をY2方向へ装着する。クリップ部材20は、連結部22が支持体10の裏側10Bに対向し、第1の押圧部23と第2の押圧部24が支持体10の表側10Aに対向するようにしてY2方向へ装着される。このとき、第2の押圧部24が第1の規制段差部14aと第1の突起受け部13および傾斜面15上をY2方向へ移動していき、その後に、第1の押圧部23が第1の規制段差部14aの上をY2方向へ移動していく。
【0044】
図3に示すように、支持体10の裏側10Bでは、Y1側に解放された溝部19が形成されているため、クリップ部材20の装着作業の開始からしばらくは、クリップ部材20の連結部22に設けられた弾性片25が、溝部19を通過する。よって、弾性片25が支持体10の裏側10Bに強く弾圧されることがなく、クリップ部材20をY2方向へ装着するときの抵抗力が小さくなる。
【0045】
さらに、クリップ部材20をY2方向へ移動させると、クリップ部材20の第2の押圧部24が第2の規制段差部14bの上を通過し、第1の押圧部23が第1の規制段差部14aの上を通過して、
図1と
図4に示すように、第1の押圧部23が第1の金属突起36を上から押圧できる位置に移動し、第2の押圧部24が第2の金属突起37を上から押圧できる位置に移動する。このとき、それまで支持体10の裏側10Bにおいて溝部19内を通過していた弾性片25が、当接部18に乗り上がって、弾性片25が支持体10の裏側10Bに弾圧され、第1の押圧部23で、第1の金属突起36が受け凹部13a内に押し付けられ、第2の押圧部24で、第2の金属突起37が受け凹部13b内に押し付けられる。
【0046】
第1の金属突起36と第2の金属突起37が、支持体10の隆起部12の上面において位置決めされて挟持されると、
図5に示すように、第1の本体部31の下面および第2の本体部32の下面と、支持体10の設置部11の底面11aとの間に隙間δが形成され、電子パッケージ30は、第1の金属突起36と第2の金属突起37のみで、支持体10上に固定されることになる。これにより、第1の本体部31と第2の本体部32を、設置部11上で外力を受けることなく安定して保持することができる。
【0047】
第1の本体部31に圧縮力などが直接に作用しないため、第1の本体部31の内部の回路に大きな応力が作用するのを避けることができ、回路に作用する応力で検出値が変動することなどを防止できる。また、半田付けを使用していないため、電子パッケージ30の取り付け作業が容易であり、高温環境下での使用にも耐えやすくなる。
【0048】
図1と
図4に示すように、クリップ部材20が装着されると、第1の押圧部23が支持体10の第1の規制段差部14aに掛止され、第2の押圧部24が第2の規制段差部14bに掛止されて、クリップ部材20がY1方向へ離脱するのが防止される。
【0049】
図1に示すように、支持体10上に電子パッケージ30が設置されると、電子パッケージ30の接続端子35が、支持体10の本体部2側の基部に設けられた接続部材3の上に設置され、スポット溶接や半田付けなどで互いに接続される。
【0050】
前記電子装置1は、クリップ部材20をY2方向へ装着することで、電子パッケージ30を支持体10に安定して取り付けることができ、組立作業を短時間で確実に行うことができる。また、電子パッケージ30の第1の本体部31に過大な力が作用することもない。
【0051】
また、
図1に示すように、クリップ部材20は、側壁部21が電子パッケージ30のX方向の両側部に対向し、連結部22が電子パッケージ30の底部に対向している。よって、電子パッケージ30の第1の金属突起36と第2の金属突起37を、アース電位などの一定の電位に設定しておくことで、クリップ部材20を、電子パッケージ30を保護するシールド部材として機能させることができる。
【0052】
<第2実施形態>
図6に示すように、本発明の第2実施形態の電子装置101は、第1実施形態の電子装置1と同様に、合成樹脂製の本体部102を有しており、本体部102には、Y1方向に延び出る支持体110が一体に形成されている。支持体110上に電子パッケージ130が設置され、支持体110と電子パッケージ130とがクリップ部材120で挟持されて固定されている。第1実施形態の電子装置1と同様に、電子装置101には、本体部102のY1側に筒状のケース(不図示)が装着され、これにより、このケース内に位置する支持体110と電子パッケージ130およびクリップ部材120が外気から遮断される。
【0053】
第1実施形態の電子装置1と同様に、電子装置101がセンサー装置であり、電子パッケージ130がセンサーパッケージである。電子装置101は、例えば内燃機関の吸気系におけるバルブの開度を検知するために使用され、第1実施形態の磁石40と同様に、電子装置101の図示しない前記ケースの外側に磁石(不図示)が設けられ、バルブの開閉に連動して磁石が回転し、電子パッケージ130によって磁石の回転角度が検知される。
【0054】
図7に示すように、支持体110は幅方向であるX方向の寸法よりも縦方向であるY方向の寸法が長く形成されている。
支持体110の表側110aでは、X方向の中央部に設置部111が形成されている。設置部111は、Y方向(Y1−Y2方向)に延びる凹部である。設置部111は、Y1側の第1設置領域111bと、Y2側の第2設置領域111cとを有する。また、設置部111のX方向の両側には、Z方向に立ち上がってY方向に連続する第1の隆起部112aが形成され、設置部111のY1方向側には、Z方向に立ち上がってX方向に延びる第2の隆起部112bが形成されている。
【0055】
支持体110の先部側(Y1側)において、対向しあう第1の隆起部112aのそれぞれには、第1の突起受け部113が形成されている。これらの第1の突起受け部113は、設置部111の底面111aと平行に形成されており、受け凹部113aがそれぞれ形成されている。これらの受け凹部113aは第1の突起受け部113から窪んで形成されており、且つ設置部111に向けて開放されている。
【0056】
第1の突起受け部113よりも、支持体110の先部側(Y1側)には、Z方向に立ち上がる第1の規制段差部114aがそれぞれ形成されている。また、第1の隆起部112aの上面には、第1の突起受け部113に連続して本体部102側(Y2側)に向けて傾斜して立ち上がる傾斜面115がそれぞれ形成されている。
対向し合う第1の隆起部112aには、本体部102側(Y2側)の上面に第2の突起受け部116がそれぞれ形成されている。これらの第2の突起受け部116は、設置部111の底面111aと平行に形成されており、それぞれの第2の突起受け部116に受け凹部116aが形成されている。受け凹部116aは第2の突起受け部116から窪んで形成されており、且つ設置部111に向けて解放されている。
【0057】
第2の突起受け部116は、本体部102側へ延びており、支持体110のX方向の両側の側面に設けられた第2ストッパー部110sの上面に連続している。第2ストッパー部110sは、第2の突起受け部116を挟んでY1側に位置する第1の突起受け部113と反対のY2側に位置している。
図9に示すように、第2ストッパー部110sは、Y1−Y2方向に沿って延び、上面が第2の突起受け部116に連続している押さえ部110saと、押さえ部110saのY2側端部からZ方向下側へ延びる基部110sbとからなり、押さえ部110saの下方に逆L字状の空間110scが形成される。押さえ部110saのY1側の先端面の下端の角部110sdは湾曲面となっている。
【0058】
図8に示すように、支持体110の裏側110Bには、縦方向(Y方向)の中央部よりも先部側(Y1側)に当接部118が形成されており、当接部118よりも、支持体110の本体部102側(Y2側)に、溝部117が形成され、また、支持体110の先部側(Y1側)に、Y1方向に解放された溝部119が形成されている。これらの溝部117、119は、当接部118よりも窪んで形成されている。
図10に示すように、当接部118は、第1設置領域111bの縦方向(Y方向)での中心に対応する領域よりもY1側に設けられている。また、第1設置領域111bの縦方向(Y方向)での中心に対応する領域は、溝部117内の上方に位置している。
【0059】
クリップ部材120はリン青銅板などの導電性の板ばね材料で形成されている。
図7と
図8に示すように、クリップ部材120は、X方向の両側部に対向する側壁部121と、側壁部121どうしを連結する連結部122を有している。
【0060】
クリップ部材120の対向しあう側壁部121の上端部には、Y1側に第1の押圧部123がそれぞれ形成され、Y2側に第2の押圧部124がそれぞれ形成されている。一対の第1の押圧部123は連結部122にZ方向で対向しており、第1の押圧部123のY2側には、ガイド片123aが上向きに折り曲げ形成されている。一対の第1の押圧部123と同様に、保持部としての一対の第2の押圧部124も連結部122にZ方向で対向しており、そのY2側には、ガイド片124aが上向きに折り曲げ形成されている。
【0061】
クリップ部材120の底部である連結部122には、Y2側からY1側へ延びる弾性片125が一体に形成されている。弾性片125は、Y2側の根元部125bがクリップ部材120の連結部122と一体化されており、先端部125aがY1方向に向けられている。弾性片125は、根元部125bから上向きに折り曲げられている。さらに、X方向に沿って延びる弾接部125cからY1側で下向きに折り曲げられており、これによって、弾性片125のうちで弾接部125cが最も上側に位置し、この弾接部125cから先が先端部125aとなる。
【0062】
図8と
図9に示すように、クリップ部材120のそれぞれの側壁部121のY2側の端部に、Y2方向へ突出する第1ストッパー部120sが設けられている。
図9に示すように、第1ストッパー部120sのY2側の外面120saはY2側に向けて突状の湾曲部である。第1ストッパー部120sは、支持体110に形成された第2ストッパー部110sに掛止できるようになっている。
【0063】
図7に示すように、支持体110の本体部102側(Y2側)に接続部材103が取り付けられている。接続部材103は上部先端が二股状に分かれており、下部は支持体110の本体部102側の基部に埋設されている。
【0064】
図6と
図7に示すように、電子パッケージ130は、第1実施形態の第1の本体部31と第2の本体部32と同様の構成の、第1の本体部131と第2の本体部132を有している。第1の本体部131の内部の回路部からY2方向へ延びる複数の導通端子134は第2の本体部132の内部を通過している。第2の本体部132からY2側へ接続端子135が延び出ている。導通端子134は導電性の金属板から切断されたものであり、複数の導通端子134のうちの一部のものが接続端子135となっている。
【0065】
図7に示すように、第1の本体部131のX方向に向く両側部から第1の金属突起136がそれぞれ突出しており、また、第2の本体部132のX方向に向く両側部から第2の金属突起137がそれぞれ突出している。第1の金属突起136と第2の金属突起137は、第1の本体部131と第2の本体部132の内部に位置している、いずれかの前記導通端子134と一体に形成されており、例えばアース電位に設定されている。
【0066】
次に、前記電子装置101の組立方法(製造方法)について説明する。
電子パッケージ130は、第1の本体部131と第2の本体部132を、支持体110の凹状の設置部111内に設置する。第1の本体部131は、設置部111の第1設置領域111bに設置され、第2の本体部132は、第2設置領域111cに設置される。すなわち、設置部111は、第1の本体部131が設置される領域が第1設置領域111bであり、第2本体部132が設置される領域が第2設置領域111cである。第1の本体部131から突出する2つの第1の金属突起136を、支持体110の第1の突起受け部113に形成された2つの受け凹部113aの内部にそれぞれ入り込ませ、また、第2の本体部132から突出する2つの第2の金属突起137を、第2の突起受け部116に形成された2つの受け凹部116aの内部にそれぞれ入り込ませる。
【0067】
X方向の両側に突出する第1の金属突起136が2つの受け凹部113aにそれぞれ入り込み、同じくX方向の両側に突出する第2の金属突起137が2つの受け凹部116aにそれぞれ入り込むことで、支持体110上で、電子パッケージ130がX方向とY方向へ大きく動くことがないように位置決めされる。ここで、受け凹部113aの内部に設置された第1の金属突起136の上面が、第1の突起受け部113からZ方向の上方へやや突出する点、および、第2の金属突起137の上面が第2の突起受け部116からZ方向の上方へやや突出する点は、第1実施形態における金属突起36、37と同様である。
【0068】
次に、クリップ部材120を装着する。Y2方向がクリップ部材120の装着方向であり、Y1方向がクリップ部材120の抜き出し方向である。
電子パッケージ130を、支持体110の上に設置した後に、クリップ部材120をY2方向へ装着する。クリップ部材120は、連結部122が支持体110の裏側110Bに対向し、第1の押圧部123と第2の押圧部124が支持体110の表側110Aに対向するようにしてY2方向へ装着される。このとき、第2の押圧部124が、第1の規制段差部114a、第1の突起受け部113、および、傾斜面115の上をY2方向へ移動していき、その後に、第1の押圧部123が第1の規制段差部114aの上をY2方向へ移動していく。
【0069】
図8に示すように、支持体110の裏側110Bでは、Y1側に解放された溝部119が形成されているため、クリップ部材120の装着作業の開始からしばらくは、クリップ部材120の連結部122に設けられた弾性片125が、溝部119を通過する。よって、弾性片125が支持体110の裏側110Bに強く弾圧されることがなく、クリップ部材120をY2方向へ装着するときの抵抗力が小さくなる。
【0070】
さらに、クリップ部材120をY2方向へ移動させると、第1の押圧部123が第1の金属突起136を上から押圧できる位置に移動し、第2の押圧部124が第2の金属突起137を上から押圧、または、第2の金属突起137に対向できる位置に移動する。このとき、それまで支持体110の裏側110Bにおいて溝部119内を通過していた弾性片125の弾接部125cが、当接部118を乗り越えて、支持体110の裏側110Bの溝部117に弾接される。このとき、第1の押圧部123で、第1の金属突起136が受け凹部113a内に押し付けられ、第2の押圧部124で、第2の金属突起137が受け凹部116a内に押し付けられ、または、保持される。このとき、
図10に示すように、弾性片125の弾接部125cは、設置部111の第1設置領域111bの下側で、溝部117内に弾接する。このときの弾接部125cの弾接位置Pは、支持体110の裏側110Bの溝部117において、第1設置領域111bに対応する領域のY方向の中心に設定されることが好ましい。また、弾接部125cは、第1の本体部131の両側面からそれぞれX方向に突出している一対の第1の金属突起136に対応する位置で、好ましくは第1の金属突起136のY方向での中点位置に対応する位置で、支持体110の裏面110B上の位置Pに弾接する。
【0071】
また、クリップ部材120をY2方向へ移動させ、第1の押圧部123が第1の金属突起136を上から押圧できる位置に移動し、第2の押圧部124が第2の金属突起137を上から押圧または保持できる位置に移動したとき、
図9に示すように、クリップ部材120に設けられた第1ストッパー部120sが、支持体110の両側面に形成された第2ストッパー部110sの押さえ部110saの下方の空間110sc内に入り込む。弾性片125の弾接部125cは、弾接位置Pで、支持体110の裏側110Bに弾圧されているため、クリップ部材120には、弾接位置Pを支点として
図9において反時計方向へ回動しようとする付勢力が作用する。この付勢力で、第1ストッパー部120sの上面が第2ストッパー部110sの押さえ部110saの下面に当たることで、クリップ部材120の反時計方向への回動を規制できる。
【0072】
クリップ部材120が反時計方向へ回動するのを規制できるため、弾性片125の弾性力によって弾接部125cが支持体110に与える付勢力が弱まることを防ぐことができる。その結果、第1の押圧部123が第1の金属突起136を押圧する力と、第2の押圧部124が第2の金属突起137を押圧する力が弱まることがなく、さらに、支持体110に対するクリップ部材120のガタツキを無くすことができる。
また、支持体110に設けられた押さえ部110saのY1側の角部110sdが湾曲し、クリップ部材120に設けられた第1ストッパー部120sのY2側の外面120saも湾曲しているため、クリップ部材120をY2方向へ装着するときに、両湾曲部を摺動させることで、押さえ部110saを、第1ストッパー部120sの下側へスムースに入り込ませることができる。
【0073】
第1の金属突起136と第2の金属突起137が、支持体110の第1の隆起部112aの上面において位置決めされて挟持されると、第1の本体部131の下面および第2の本体部132の下面と、支持体110の設置部111の底面111aとの間に隙間δ(
図5参照)が形成される点、および、支持体110上に電子パッケージ130が設置された後に、電子パッケージ130の接続端子135が、支持体110の本体部102側の基部に設けられた接続部材103の上に設置され、スポット溶接や半田付けなどで互いに接続される点は第1実施形態と同様である。
【0074】
装着されたクリップ部材120は、弾性片125の先端部125aが支持体110の裏面110Bに弾接するとともに、第1ストッパー部120sと第2ストッパー部110sとが互いに接触することによって、Y1方向へ離脱するのが防止される。また、電子装置101に衝撃が加わるなどして、クリップ120が脱落する方向(Y1方向)へ移動した場合には、先端部125aが当接部118に係合するため、クリップ120の脱落を防ぐことができる。
【0075】
第2実施形態の電子装置101においては、クリップ部材120に第1ストッパー部120sを設けるとともに、支持体110に第2ストッパー部110sを設け、組み立て時に第2ストッパー部110sの空間110sc内に第1ストッパー部120sを入り込ませることによって、クリップ部材120の回動を抑えていたが、回動を抑えることができれば、ストッパー部を、支持体110とクリップ部材120の一方のみに設ける構成であってもよい。また、支持体110とクリップ部材120の両方にストッパー部を設ける場合の構成は第2実施形態のような構成に限定されない。
【0076】
第1実施形態の電子装置1では、弾性片25による力を2組の金属突起36、37、すなわち4つの金属突起に均等にかけるために、これら4つの金属突起のXY面における略中心位置の作用点で、弾性片25を支持体10に接触させていた。しかしながら、この構成において、弾性片25の根元部に生ずる応力の値をばね限界値以下に抑えつつ、支持体10に対する弾接力を大きくするには、弾性片25の根元部から作用点までの距離を長くとる必要があるため、弾性片25ひいてはクリップ部材20をY1−Y2方向に長くする必要があった。
【0077】
これに対して、第2実施形態の電子装置101では、弾性片125を支持体110に弾接させる弾接部125cの位置を、第1の本体部131の1組の第1の金属突起36の中点位置としている。これにより、根元部125bから弾接部125cまでの距離を長く取ることが可能となるため、支持体110に対する弾接力を大きくしたときの根元部125bに生ずる応力の値の増加を抑えることができ、よって、クリップ部材120のY1−Y2方向のサイズを大きくすることなく、支持体110に対する弾接力を大きくでき、かつ、応力による弾性片125の破損を防ぐことができる。
【0078】
また、電子パッケージ130が、第1の本体部131に何らかの検知素子が封入され、第2の本体部132に前記検知素子に付随する回路や部品が封入された配置である場合、第2の本体部132の配置に求められる位置精度に比べて、第1の本体部131の配置には高い位置精度が求められる。これは、第1の本体部131の配置位置がずれると検知素子の検出誤差に繋がるためである。電子パッケージ130が上述のような構成の場合に、第2実施形態の構成を適応すると、弾接部125cの弾接位置Pが、より高い位置精度が求められる第1の本体部131に対応する位置になるため、第1の実施形態の構造に比べて第1の本体部131により直接的に保持力が働く。これにより、第1の本体部131の位置ずれは発生しにくくなり、電子パッケージ130(電子装置101)の検出精度を悪化させることなく、弾性片125の破損を防ぐことができる。
なお、その他の作用、効果、変形例は第1実施形態と同様である。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。