(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
上記用途の白板紙に関するものとして、特許文献1(WO2015/041276)に、3層以上から成る多層抄きされた白板紙であって、バルクが3.0〜3.8cm
3/gである広葉樹晒ケミサーモメカニカルパルプ(LBCTMP)を、中層のみに、中層の全パルプ原料に対して10〜50重量%配合して、表層と中層と裏層を抄合わせた白板紙が記載されている。この特許文献1に記載の白板紙は、中層の両側に外層を有する3層以上の構成の板紙であって、中層が機械パルプを主体として構成された嵩高の抄合わせ板紙 (単紙)である。
【0003】
また、特許文献2(特開2010−150696号公報)には、主として化粧箱、ギフトケース用箱等の紙器又は書籍表紙などに使用される塗工白板紙で、面質に優れ、白紙塗工面の75度ISO光沢度が高く、かつ、糊貼りなどの加工適性に優れる塗工白板紙が記載されている。この特許文献2に記載の塗工白板紙は、書籍表紙等に使用されるもので、板紙同士の糊貼りなどの加工適性に優れるものとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の白板紙単紙のみを以て、本発明において企図する幼児童用の絵本の表紙、本文などに用いるのに好適な、手触りがよくてめくりやすいという特性を有する複合白板紙とすることは難しい。
【0006】
また、特許文献2の塗工白板紙の場合も、本発明において企図する幼児童用の絵本の表紙、本文などに用いるのに好適な、手触りがよくてめくりやすいという特性を具備することは難しい。そして、特許文献2には、貼合品の詳細に関する特段の記載はない。
【0007】
このように、従来提案されている書籍表紙等の用途に使用される白板紙の場合は、いずれも白板紙単紙もしくは貼合前の白板紙に関するものであり、それで以て、本発明において企図する幼児童用の絵本の表紙、本文などに用いるのに好適な、手触りがよくてめくりやすいという複合白板紙の特性を具備させることは難しかった。
【0008】
そこで本発明は、手触りがよくてめくりやすいという、特に、幼児童用の絵本の表紙、本文などに用いるのに必要な性状を備えた、嵩高の複合白板紙を提供することを課題とする。また、本発明は、貼合に不可欠な糊保持性を十分に備えた、生産性の高い複合白板紙を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、白板紙を単紙ではなく、貼合することにより、幼児童用の絵本の表紙、本文用として好適な、手触りがよくてめくりやすい特性を有する複合白板紙となし得ることに想い到り、本発明を完成させるに至ったものである。
【0010】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、両面に
顔料を主体とする塗工層を有し、前記塗工層のうちの少なくとも片面の塗工層における顔料
の塗工量が1.0〜10.0g/m
2であ
り、前記顔料の塗工量が1.0〜10.0g/m2である塗工層を有する面のコッブ吸水度が18.0〜28.0g/m2である白板紙が2枚以上、水溶性糊を介して
前記顔料の塗工量が1.0〜10.0g/m2である塗工層同士が合接貼合されて形成されていることを特徴とする複合白板紙である。
【0012】
一実施形態においては、前記顔料
の塗工量が2.5〜9.8g/m
2とされる。
【0014】
一実施形態においては、前記水溶性糊は固形分が5.0〜15.0g/m
2とされる。
【0015】
一実施形態においては、前記白板紙は、その中層に、バルクが3.0〜3.8cm
3/gであるLBCTMPを前記中層の全原料に対して10〜50%含有し、前記LBCTMPはMaple属から得られるLBCTMPとされる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る複合白板紙は、両面に塗工層を有し、前記塗工層のうちの少なくとも片面の塗工層における顔料を主体とする塗工量が1.0〜10.0g/m
2である白板紙が2枚以上、水溶性糊を介して合接貼合されて形成されていることを特徴とするものであり、塗工層の塗工量が上記範囲であるため、水溶性糊の保持性がよくて貼合性が良好で生産性が高く、製本時のカール度合いが少なく、また、製本した場合にめくりやすさが良好という効果がある。
【0017】
また、本発明に係る複合白板紙は、従来の白板紙より嵩高となるため、同じ厚さの高級白板紙より軽量となり、特に幼児童本の表紙・本文、もしくはカタログ、ポスター、パンフレット、カレンダー等の印刷用白板紙、もしくは食品用容器等の紙器用板紙として好適なクッション性の高いものとなり、特に手触感が柔らかく、幼児本を幼児が表紙だけでなく全頁をめくる際にケガをすることもなく、安全性に優れた複合白板紙が得られる効果がある。
【0018】
更に請求項2に係る発明においては、白板紙同士の貼合性が向上する効果があり、請求項3に係る発明においては、白板紙同士の貼合性が更に向上する効果があり、請求項4に係る発明においては、均一な糊塗布面が得られると共に、塗工層における糊保持性が良好となる効果があり、請求項5に係る発明においては、糊量が適量となるため、糊量が不足となって貼合不良を起こすことがなく、且つ、糊量が過剰となって糊の乾燥不良を起こし、生産性の低下を招くおそれがないという効果がある。
【0019】
また、請求項6、7に係る発明においては、LBCTMPが中層に配合されているので、白板紙の嵩が高くなり、また、中層の地合が向上するという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。本発明に係る複合白板紙は、両面に塗工層を有し、前記塗工層のうちの少なくとも片面の塗工層における顔料を主体とする塗工量が1.0〜10.0g/m
2である白板紙A、Bが2枚以上、水溶性糊を介して合接貼合されて形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
合接貼合される白板紙A、Bは、表層2、中層3及び裏層4を有するものであり、少なくともその片面(通例、裏層4)に顔料の塗工量が1.0〜10.0g/m
2 (望ましくは2.5〜9.8g/m
2)の薄塗工層である裏塗工層5を有する。ここで裏塗工層5の顔料塗工量が1.0未満であると、後述する水溶性糊が裏塗工層5のピンホールに吸収されて、糊の保持性が低下するので好ましくない。一方、顔料塗工量が10.0g/m
2を超えると、顔料自体の比重が高いため、塗工量過多となって、白板紙およびそれを合接貼合して得られる複合白板紙の嵩高性が低下する。このようにして裏層4に裏塗工層5を設けることにより、水糊の滲み込みを押さえることができ、以て、生産性が高くてきれいな積層化が可能となる。
【0023】
このように、通例裏層4に設けられる裏塗工層5は、塗工量が1.0〜10.0g/m
2の薄塗工層(仮に、塗工量が10.0g/m
2以下の場合を薄塗工層と称し、それ以上の場合を重塗工層と称する。)であるが、その逆の表面層2側の表塗工層1は、後に印刷が施される場合は、裏塗工層5と同程度か、その2倍程度の顔料の重塗工層とされる。裏塗工層5並びに表塗工層1に用いられる顔料としては、通常使用される重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、酸化チタン、プラスチックピグメントなどがあり、接着剤としてはSBRラテックスや澱粉、カゼイン、ポリビニルアルコールなど既知のものを使用することができる。
【0024】
裏塗工層5を有する面のコッブ吸水度(表面のサイズ撥水性を示す指標)は、18.0〜28.0g/m
2である必要がある。このコッブ吸水度が18.0g/m
2未満の場合は、均一な糊塗布面が得られず、28.0g/m
2を超える場合は、糊が裏塗工層5に浸み込むため、裏塗工層5における糊保持性が低下する。
【0025】
本発明に係る複合白板紙で2枚貼合の場合は、白板紙A、Bの、好ましくは裏塗工層5同士が、固形分が5.0〜15.0g/m
2の水溶性糊で合接貼合されることにより形成される。ここにおいて水溶性糊の固形分が5.0g/m
2未満であると、糊量が不足となって貼合不良となり、15.0g/m
2を超える場合は、糊量が過剰となって糊の乾燥不良を起こし、生産性の低下を招く結果となるだけでなく、不必要に過剰な糊を用いることは不経済でもある。
【0026】
この貼合に使用する水溶性糊としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、澱粉などの水溶性高分子化合物をアセトアセチル化したアセトアセチル化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ヒドロキシアルキルセルロース、アセトアセチル化澱粉などの水性溶液を挙げることができる。幼児用絵本に使用されるような場合には、幼児が口に含んでも衛生上問題のない澱粉系の糊を使用することが望ましい。
【0027】
なお、本発明に係る複合白板紙で2枚貼合の場合は、通例、裏塗工層5同士を水溶性糊層6を介して合接貼合することによって製造されるが、裏塗工層5と表塗工層1を合接貼合することもあり得る。本発明に係る複合白板紙の坪量は、その用途に応じて450〜950g/m
2とする。
【0028】
本発明に係る複合白板紙の製造に当たっては、先ず、表層2と中層3と裏層4を含む原紙である白板紙A、Bを製造するが、好ましくはその中層3に、広葉樹材から得られるLBCTMPを使用する。その場合、LBCTMPの中でも特に地合の向上に資する、Maple属から得られるLBCTMPを配合することが好ましい。
【0029】
本発明において企図する嵩高な白板紙を得るためには、LBCTMPのバルクが3.0〜3.8cm
3/gであることが望ましい。ここにいうバルクとは、パルプをJIS P8222:1998に準拠して手抄紙を作成し、手抄紙のバルクをISO534:1988に準拠して測定したもので、バルクが3.0〜3.8cm
3/gのLBCTMPを使用することで、最終的に、所望の複合白板紙の密度が得られる。
【0030】
好ましい実施形態においては、白板紙A、Bは、上記バルクのLBCTMPを中層3のみに配合して製造される。このようにLBCTMPの配合を中層3のみに限定するのは、LBCTMPを表層2と裏層4に配合した場合には、紙の表裏面からLBCTMP由来の紙粉が発生脱落し、それが、抄紙工程および塗工工程において汚れや紙力低下の原因となるからである。
【0031】
バルクが上記3.0〜3.8cm
3/gであるLBCTMPを使用すると、中層3の地合が他のBCTMPを配合する場合より良好となる。地合は、その層構成を形成するために重要であり、中層3の地合が悪くなると、中層3と接する表層2および裏層4の平滑度等に悪影響が及ぶことになる。
【0032】
また、嵩高な白板紙を得るために、バルクが3.0〜3.8cm
3/gであるLBCTMPの中層3への含有率は、10〜50%であることが望ましい。このようにLBCTMPの中層3への配合率を10〜50%とすることにより、白板紙全体の密度を0.78〜1.00g/m
2(好ましくは、0.80〜0.96g/m
2)に設定することが可能となる。本発明に係る複合白板紙を印刷用白板紙として使用する場合、密度が0.78g/m
2を下回ると、表面および裏面の平滑性が低下して印刷適性が悪化する。逆に、密度が1.00g/m
2を超えると、紙が固くなり過ぎて、印刷製本時に背割れ等の不具合が生じやすくなるので、好ましくない。
【0033】
本発明に係る複合白板紙は、特に絵本の表紙・本文、もしくはカタログ、ポスター、パンフレット、カレンダー等の印刷用板紙および食品容器として使用されるので、LBCTMPの他は、N−BKP、L-BKP、機械パルプ等のバージンパルプを配合する。特に、絵本や食品容器のような用途の場合には、無蛍光のパルプを配合することが望ましい。また、古紙パルプを配合すると、強度を含む品質および外観が悪化するので、古紙パルプは中層以外には配合しないことが望ましい。
【0034】
以下、実施例に基づいて本発明について更に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。以下に示す実施例1〜3および比較例1〜4は、いずれも3層抄きの白板紙を2枚、水溶性糊で貼り合せたものである。なお、表1中の坪量、固形分を示す数値は、JIS P8111:1998に規定の調湿状態におけるJIS P8124:2011に基づいた数値である。
【0035】
[白板紙の製造]
表層2と裏層4のパルプ配合をN−BKP10%、L-BKP90%とし、中層3の配合をN−BKP10%、L-BKP40%、LBCTMP(Tembec社製、TEMCEL400/80、バルク3.4cm
3/g)50%とし、各層均等比で、各層を多層抄き板紙抄紙機で抄合わせて製造した原紙に対し、重質炭酸カルシウムを主体とする顔料を、ブレードコーターを用いて表層2のみに8.0g/m
2塗工した後、微粒カオリン70%、重質炭酸カルシウム30%を主体とする顔料を、エアーナイフで表層2および裏層4(糊貼合面)に両面塗工し(裏層4への塗工量は、表1に記載のとおり)、坪量450g/m
2程度の白板紙を製造した。
【0036】
[複合白板紙の製造]
上記のようにして製造した白板紙を2枚用意し、その一方の白板紙Aの裏塗工層5を糊貼合面とし、その面に、合紙用水溶性澱粉糊(サクラノールSP-310B:石塚産業)を合紙機により、幅1mm間隔で糊付けし、他方の白板紙Bの貼合面である裏塗工層5を重ねて貼合し、1日間調湿乾燥して複合白板紙を得た。以下、実施例1−3、並びに、比較例2は、それぞれ同じ構成の白板紙を貼合したものである。
【0037】
[合紙絵本の製造]
上記のようにして製造した複合白板紙を用い、下記一般的な製本工程によって、10枚組の合紙絵本を作成した。
刷本→断裁→二つ折→合紙丁合→角丸→上製クルミ→仕上げ
【0038】
[実施例1]
白板紙の糊貼合面(裏塗工層5)の顔料塗工量を7.0g/m
2、水溶性糊の固形分を7.0g/m
2として、製本を行った。
【0039】
[実施例2]
糊貼合面の顔料塗工量を2.5g/m
2、水溶性糊の固形分を6.0g/m
2とした以外は実施例1と同様にして、製本を行った。
【0040】
[実施例3]
糊貼合面の顔料塗工量を9.5g/m
2、水溶性糊の固形分を14.5g/m
2とした以外は実施例1と同様にして、製本を行った。
【0041】
[比較例1]
糊貼合面の顔料塗工量を11.0g/m
2とした以外は実施例1と同様にして、製本を行った。
【0042】
[比較例2]
糊貼合面に顔料塗工を行わず、表面のみに2層塗工を行った以外は実施例1と同様に白板紙の製造を行ったが、貼合不良のため製本は行わなかった。
【0043】
≪試験方法および評価≫
・コッブ吸水度(30秒浸漬):JIS P8140 :1998
・2枚の白板紙の貼合性
〔評価〕
○:良(調湿後の貼合した2枚の白板紙を手で剥離しようとしたが、剥離しなかった。)
△:やや不良(同様の剥離方法で、やや剥離しやすかった。)
×:不良(同様の剥離方法で、簡単に剥離できた。)
・製本のカール度合:作業員5人の総合評価
〔評価〕
○:カールなし、△:ややカール気味、×:カール大きく不良
・貼合品を製本した時のめくりやすさ(手触): 本をめくったときのめくりやすさ(柔軟性)についての作業員5人の総合評価
〔評価〕
◎:最良、○:良、△:やや不良、×:不良
【0045】
表1に示される、本願請求項において特定される事項の範囲内である実施例1〜3においては、2枚の白板紙の貼合性の点、並びに、貼合品を製本した時のカール度合 および めくりやすさの点のいずれの場合においても、良好な評価が得られた。
【0046】
一方、比較例1、2は、糊貼合面の顔料塗工量が本発明において規定する範囲内ではないため、貼合性および製本適性のいずれの点においても実施例より劣る評価であった。
【0047】
本発明に係る複合白板紙は、幼児童用の絵本の表紙や本文に用いるのに好適であるが、その他にも、カタログ、ポスター、パンフレット、カレンダー等の印刷用板紙、並びに、絞り成形用シート、食品用紙器、カップ麺容器、紙カップ、菓子箱、たばこのカートン等の食品容器用板紙に使用するのにも適しており、産業上の利用性は大である。