特許第6817063号(P6817063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6817063
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】車両速度制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/14 20060101AFI20210107BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20210107BHJP
   B60W 10/04 20060101ALI20210107BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20210107BHJP
   B60W 10/119 20120101ALI20210107BHJP
   B60W 30/02 20120101ALI20210107BHJP
   B60W 30/182 20200101ALI20210107BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20210107BHJP
   B60W 40/068 20120101ALI20210107BHJP
   B60W 50/08 20200101ALI20210107BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20210107BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   B60W30/14
   B60T7/12 F
   B60W10/00 120
   B60W10/119
   B60W30/02
   B60W30/182
   B60W40/06
   B60W40/068
   B60W50/08
   B60W50/10
   F02D29/02 Z
   F02D29/02 311A
【請求項の数】13
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-525992(P2016-525992)
(86)(22)【出願日】2014年10月21日
(65)【公表番号】特表2016-536195(P2016-536195A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】EP2014072536
(87)【国際公開番号】WO2015059134
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2016年5月23日
【審判番号】不服2018-9916(P2018-9916/J1)
【審判請求日】2018年7月19日
(31)【優先権主張番号】1318707.5
(32)【優先日】2013年10月23日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512308720
【氏名又は名称】ジャガー ランド ローバー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jaguar Land Rover Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・フェアグリーブ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ケリー
【合議体】
【審判長】 谷治 和文
【審判官】 金澤 俊郎
【審判官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−506878(JP,A)
【文献】 特開2007−77871(JP,A)
【文献】 特開2011−255792(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/124321(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された目標設定速度に基づいて、複数の車輪を有する車両の速度を車両制御速度に自動的に制御するように構成された車両速度制御システムであって、
車両を走行させようとする目標設定速度に関するドライバ入力を受ける手段と、
瞬間的な車両速度を目標設定速度と比較し、瞬間的な車両速度と目標設定速度との差を示す出力信号を提供し、出力信号を評価し、車両の車輪のうちの少なくとも1つに加えられるトルクを判断し、トルク要求信号を出力する手段と、
少なくとも瞬間的な車両速度に応じて車両制御速度を制御する手段と、
車両制御速度がトルク依存目標車両制御速度より大きく、且つ車両速度がトルク依存目標車両制御速度より大きいと判断する場合、トルク要求信号に応じて車両制御速度を低減する手段と、
車両制御速度で車両を推進させるために、複数の車輪のうちの少なくとも1つの車輪にトルクを加える手段と、
を備えたことを特徴とする車両速度制御システム。
【請求項2】
トルク要求信号に応じて車両制御速度を低減する前記手段は、瞬間的な車両速度が所定値より小さいとき、トルク要求信号に応じて車両制御速度を低減することを特徴とする請求項1に記載の車両速度制御システム。
【請求項3】
車両制御速度を制御する手段は、車両走行中の地形に応じて車両制御速度を制御し、車両走行中の地形は、ドライバ選択の地形モードを示す信号に基づいて、及び/又は、車両パラメータ及び/又は環境パラメータに基づいて自動的に選択される地形モードを示す信号に基づいて判断されることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1に記載の車両速度制御システム。
【請求項4】
瞬間的な車両速度および車両走行中の地形のうちの少なくとも一方に基づいて、最大入力目標設定速度を制限する手段を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の車両速度制御システム。
【請求項5】
最大入力目標設定速度を制限することは、瞬間的な車両速度および車両走行中の地形のうちの少なくとも一方に基づいて、目標設定速度の変化の最大値(ΔV_set)を定義するシステムを含み、値(ΔV_set)は、既存の目標設定速度と新規のドライバ入力目標設定速度との間の差異であることを特徴とする請求項4に記載の車両速度制御システム。
【請求項6】
最大の値(ΔV_set)は、複数の車輪のうちの少なくとも1つの車輪に加わるトルクに基づいて低減されることを特徴とする請求項5に記載の車両速度制御システム。
【請求項7】
車両制御速度に基づいて目標設定速度を低減する手段をさらに有し、
目標設定速度は、車両制御速度に最大の値(ΔV_set_max)を加えたものに低減され、
最大の値(ΔV_set_max)は、目標設定速度が所与の車両速度において車両制御速度を超えることが許容される最大の値であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の車両速度制御システム。
【請求項8】
目標設定速度に関するドライバ入力を受ける前記手段は、ドライバが目標設定速度プラス(+)ボタンを押下して保持することにより漸次的に目標設定速度を増大させることを可能にする入力手段を有し、
コントローラは、目標設定速度プラス(+)ボタンが保持されている間、目標設定速度を漸次的に増大させ、目標設定速度プラス(+)ボタンが解放されると、コントローラが瞬間的な車両速度および車両走行中の地形のうちの少なくとも一方に基づいて決定した値で目標設定速度を継続して増大させるように構成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の車両速度制御システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1に記載の制御システムを備えた車両。
【請求項10】
入力された目標設定速度に基づいて、複数の車輪を有する車両の速度を車両制御速度に自動的に制御する方法であって、
車両を走行させようとする目標設定速度に関するドライバ入力を受けるステップと、
瞬間的な車両速度を目標設定速度と比較し、瞬間的な車両速度と目標設定速度との差を示す出力信号を提供し、出力信号を評価し、車両の車輪のうちの少なくとも1つに加えられるトルクを判断し、トルク要求信号を出力するステップと、
瞬間的な車両速度に応じて車両制御速度を制御するステップと、
車両制御速度がトルク依存目標車両制御速度より大きく、且つ車両速度がトルク依存目標車両制御速度より大きいと判断する場合、トルク要求信号に応じて車両制御速度を低減するステップと、
車両制御速度で車両を推進させるために、複数の車輪のうちの少なくとも1つの車輪にトルクを加えるステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項11】
車両走行中の地形に応じて車両制御速度を制御するステップを有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の方法を実行するようにコントローラに車両を制御させるためのコンピュータ可読コードを担持する担持媒体。
【請求項13】
請求項10または11に記載の方法を実行して車両を制御させるように構成されたコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の速度を制御するためのシステムに関する。とりわけ本発明は、これに限定するものではないが、多様な異質の極端な地形および状況で走行可能な陸上車両、特にオフロード車両の速度を制御するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
既知の車両速度制御システムにおいて、一般にはクルーズ制御システム(クルーズコントロールシステム)と呼ばれているが、ドライバの運転体感を改善するために、車両速度をドライバが一旦設定すると、さらに介入しなければ、一定に維持される。
【0003】
ドライバが維持すべき車両速度を選択すると、ドライバがブレーキまたはいくつかのケースではクラッチを操作しなければ、車両の速度が維持される。クルーズ制御システムは、ドライブシャフトまたは車輪速度センサから速度信号を受信する。ブレーキペダルまたはクラッチペダルが踏み込まれると、クルーズ制御システムは非動作状態となり、ドライバはシステムからの反発を受けることなく、車両速度を変更することができる。ドライバがアクセルペダルを踏み込むと、車両速度は増大するが、ドライバがアクセルペダルから足を離すと、車両は事前設定されたクルーズ速度に戻る。
【0004】
より洗練されたクルーズ制御システムは、エンジン制御システム内に一体化され、レーダ方式システムを用いて前方にある車両までの距離を踏まえた適応型機能を有する。たとえば車両は、ドライバ入力を要することなく、前方にある車両の速度および距離を自動的に維持するような前方監視レーダシステムを備える。先行車両が減速した場合、またはレーダ検知システムが別の物体を検知した場合、こうしたシステムは、エンジンシステムまたはブレーキシステムに信号を送信し、それに応じて車両を減速させる。
【0005】
こうしたシステムは、通常、特定の速度以上(典型的には約15マイル/時)であるときのみ動作可能であり、車両が安定した交通状況、特に、高速道路または自動車用道路で走行している環境において理想的なものである。しかし交通渋滞した状況では、車両速度は大きく変化し、クルーズ制御システムは、とりわけ最低速度条件のため動作できない場合、有効なものではない。たとえば駐車時等の低速時の衝突の可能性を低減するために、最低速度条件がクルーズ制御システムに適用されることが多い。しだかって、こうしたシステムは、特定の運転状況(低速走行時等)においては有効ではなく、クルーズ制御システムを適用することが好ましいとドライバが考えない状況においては、自動的に非動作状態に設定される。既知のシステムは、車両の車輪スリップ事象を検出した場合も同様に、速度制御を解除する。
【0006】
1つまたはそれ以上の車両サブシステムを制御するための動力車両用の制御システムを提供することが知られている。ここに参考に一体のものとして統合される米国特許第7,349,776号には、エンジン制御システム、トランスミッションコントローラ、ステアリング(操舵ハンドル)コントローラ、ブレーキコントローラ、およびサスペンションコントローラを含む複数のサブシステムコントローラを備えた車両制御システムが開示されている。こうしたサブシステムコントローラはそれぞれ、複数のサブシステム機能モードで動作可能である。サブシステムコントローラは車両モードコントローラに接続され、車両モードコントローラは、数多くの運転モードを提供するために、サブシステムコントローラが要求機能モードを実行するように制御する。各運転モードは、特定の1つの運転条件または一連の運転条件に対応し、それぞれの運転モードで、各サブシステムコントローラは、こうした条件に最も適した機能モードに設定される。こうした条件は、車両が走行する地形タイプ、たとえば草/砂利/雪モード、泥/轍モード、岩徐行モード、砂モード、および「特別プログラムオフ(SPO)」モードに関連付けられる。車両モードコントローラは、地形応答(TR、登録商標)システムもしくは地形応答コントローラと呼ばれることがある。
【0007】
ここに参考に一体のものとして統合される同時係属出願の英国特許出願第1314727.7号には、とりわけオフロード環境において、低速走行中の車両速度を制御するのに適した速度制御システムが開示されている。このシステムは、車両速度を制御するために正または負のトルクを加えるものであり、既知のシステムとは異なり、1つまたはそれ以上の車輪にスリップ事象が生じた場合、速度制御機能を解除せず、代わりに、その車輪に加わるトルクを調整して、スリップ事象を制御し、車両の推進を維持するものである。このタイプのシステム、または車両速度を制御するための同様のシステムは、本願においては、低速推進制御(LSP)と呼ぶこととする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,349,776号明細書
【特許文献2】英国特許出願第1314727.7号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明は、とりわけ車両が障害物を回避する必要がある場合に、オフロード条件下での速度制御を改善するものである。
【0010】
本発明に係る実施形態は、添付クレームを参照して理解することができる。
【0011】
本発明に係る態様は、システム、車両、および方法に関する。
【0012】
保護を求める本発明に係る第1の態様によれば、複数の車輪を備えた車両のための車両速度制御システムが提供され、この車両速度制御システムは、入力された目標設定速度に基づいて、車両の速度を車両制御速度に自動的に制御するように構成され、車両を走行させようとする目標設定速度に関するドライバ入力を受ける受信手段と、車両制御速度で車両を推進させるために、複数の車輪のうちの少なくとも1つの車輪にトルクを加える手段と、瞬間的な車両速度および車両走行中の地形のうちの少なくとも一方の関数として車両制御速度を制御する手段とを備える。
【0013】
本発明を構成するさまざまな手段は、電子コントローラ内に具現化してもよい。各手段は、独立したコントローラ、マルチ機能コントローラ内の機能ブロック、または車両の既存の電子コントローラ内の機能ブロックを構成するものであってもよい。
【0014】
このように車両が制御される速度の変化率は、瞬間的な車両速度に基づいて制限される。これにより、オフロード走行時、車両の安定性に実質的な利点を得ることができる。
【0015】
本発明が有利となる1つの特定の状況は、たとえば車両が巨礫や、縁石、丸太等の物体に対して静止している場合である。ドライバが低速推進制御(LSP)を作動させた場合、障害物を乗り越えるために必要なトルクを増大させることにより、車両の移動を直ちに開始することはできない。ドライバは、低速推進制御(LSP)が機能していないか、あるいはドライバが介入することなく、障害物を乗り越えることができないと推測し、「+設定」ボタンを押下することにより、LSP設定速度を増大させて、車両を移動させ始めようとする。本発明による利点がなければ、障害物を乗り越えるために大きなトルクが必要とされ、一旦乗り越えると、車両は、設定速度に達するように速やかに加速するが、このときドライバは、障害物を乗り越えるために十分なトルクが車輪に加わるのを待っている間、意図したトルクより大きいトルクを設定していた。これは、車両安定性を損なうことにつながり得る。
【0016】
別の状況では、ドライバが当初、低速推進制御(LSP)を動作状態にして運転し、静止状態まで車両を減速する前に低速推進制御をスタンバイ状態に切り換えた場合、およびドライバがLSPシステムの「再開」ボタンを押下して、過去に設定されたLSP設定速度に基づいて、低速推進制御による自動速度制御を再開した場合、上記説明したものと同一の問題が生じ得る。さまざま地形の上を走行する場合、たとえば当初に設定された設定速度が比較的に滑らかな地形には適したものであったが、凹凸の大きい地形には不快である場合、これはドライバを苛立たせることがある。
【0017】
車両制御速度で車両を推進させる手段は、車両が走行している現時点の速度を決定する手段と、現時点の速度を車両制御速度と比較して、現時点の速度と車両制御速度との間の差異を示す信号を出力する手段と、現時点の速度と車両制御速度との間の差異を示す出力信号に基づいて、少なくとも1つの車両車輪に加わるトルクを評価し、これに基づいてトルク要求信号を出力する手段とを有してもよい。
【0018】
車両速度制御システムは、トルク要求信号の関数として車両制御速度を低減する手段を有してもよい。トルク要求信号の関数として車両制御速度を低減する前記手段は、瞬間的な車両速度が所定値より小さいとき、トルク要求信号の関数として車両制御速度を低減してもよい。1つの実施形態では、前記所定値は、0km/h〜3km/hの範囲にある。
【0019】
このように(車両が路面上の障害物を乗り越えようとしている場合のように)低速走行時に大きなトルクを必要とする場合、障害物を乗り越えた後、車両制御速度がトルク要求信号に基づいてさらに制御されるとき、車両制御速度が入力された目標設定速度より小さい値に制限され、十分なトルクが車輪に加わって、目標設定速度に近づくように直ちに車両を加速させるのではなく、むしろより小さい車両制御速度に近づくように加速させる。より小さい車両制御速度を得るには、より小さい加速度が必要となり、加速度が車両トルク要求により制御されるとき、車両制御速度は現時点の車両速度に相当により近くなり、(より小さい加速度が要求されるため)トルク要求は速やかに低減し、安定性が損なわれることを防ぐことができる。
【0020】
車両制御速度を制御する手段は、ドライバ選択の地形モードを示す信号に基づいて、車両走行中の地形の関数として車両制御速度を制御するように構成してもよい。
【0021】
択一的には、車両制御速度を制御する手段は、検出された車両パラメータおよび/または環境パラメータに基づいて自動的に選択された地形モードを示す信号に基づいて、車両走行中の地形の関数として車両制御速度を制御するように構成してもよい。
【0022】
特に、車両が凹凸の大きい路面上を走行している場合であって、ドライバが慣れていない場合、ドライバが目標設定速度を車両走行中の地形には不適当な値に増大させようとすることがある。不適当とは、ドライバ入力の目標設定速度が、車両安定性に悪影響を与えるようなものであることを意味する。
【0023】
入力された目標設定速度に基づいて自動的に車両速度を車両制御速度に自動的に制御することは、瞬間的な車両速度および車両走行中の地形のうちの少なくとも一方に基づいて、最大入力目標設定速度を制限する手段を含んでもよい。
【0024】
ドライバが入力できる設定速度の最大値に対して調整可能な制限値を適用することにより、システムは、車両制御速度として設定速度を利用することができる。信号は、たとえばヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)を介してドライバに出力して、目標設定速度が一時的に制限されていることをドライバに示すことができる。これは、特定の運転状況における適当な車両速度について、追加的で教育的な利点をドライバに与えることができる。
【0025】
任意的には、最大入力目標設定速度を制限することは、瞬間的な車両速度および車両走行中の地形のうちの少なくとも一方に基づいて、最大の値(ΔV_set)を定義するシステムを含み、値(ΔV_set)は、既存の目標設定速度と新規のドライバ入力目標設定速度との間の差異であってもよい。最大の値(ΔV_set)は、複数の車輪のうちの少なくとも1つの車輪に加わる瞬間的なトルクに基づいて低減してもよい。
【0026】
理解されるように、特定の状況またはパラメータに基づいて決定された値(ΔV_set)のような値は、アルゴリズムを用いて計算してもよいし、相関関係が択一的には理論的または経験的に生成され、システムの記憶手段内に記憶された参照テーブルに記憶され、システムが利用するために相関関係を参照テーブルから読み出すことができる。
【0027】
車両速度制御システムは、特に、障害物を乗り越えようとした場合に、目標設定速度がシステム内に既に存在しており、ドライバが再開ボタンを押下する状況において、車両制御速度に基づいて目標設定速度を低減する手段をさらに有してもよい。
【0028】
このように制御システムは、車両制御速度を目標設定速度より小さくする必要があると判断したとき、目標設定速度を低減することができる。目標設定速度は、制御速度まで低減することができる。このように、制御すべき車両速度は、目標設定速度を変更し、その目標設定速度に制御することにより操作される。これにより、車両は目標設定速度に継続して制御することができ、ドライバによる直接的な介入がなければ、目標設定速度を操作することができる。
【0029】
任意的には、目標設定速度は、車両制御速度に最大の値(ΔV_set_max)を加えたものに低減され、最大の値(ΔV_set_max)は、目標設定速度が所与の車両速度において車両制御速度を超えることが許容される最大の値であってもよい。
【0030】
これにより、目標設定速度を制御速度の許容可能な範囲内に収まるように、目標設定速度を低減することができる。このように実際の目標設定速度を自動的に低減することができ、障害物を乗り越えた後、必要ならば、ドライバは目標設定速度を増大させることができる。このように、適当な場合に、車両制御速度が低減されるだけでなく、目標設定速度も低減される。車両制限速度を低減させる要因となる事象が終了した後に、ドライバが正のトルク入力を要求して、車両は、懸案の事象の際には適当であったと考えられた最大の目標設定速度を超えて加速することができる。これにより、ドライバは、現在の状況を評価するための追加的な時間を得ることができ、事象前の目標設定速度を直ちに再開して、車両安定性を損なうことを防止することができる。
【0031】
保護を求める本発明に係るさらなる態様によれば、複数の車輪を備えた車両のための制御システムが提供され、この制御システムは、入力された目標設定速度に基づいて車両速度を自動的に制御するように構成され、車両を走行させようとする目標設定速度に関するドライバ入力を受ける手段と、この手段は、漸次的な値だけ目標設定速度を漸次的に増大または低減させることを可能にする入力手段を含み、車両制御速度で車両を推進させるために、複数の車輪のうちの少なくとも1つの車輪にトルクを加える手段と、入力手段は、ドライバが入力手段を操作するごとに漸次的な値だけ目標設定速度を漸次的に増大または低減させることを可能にし、制御システムは、車両走行中の地形に基づいて前記漸次的な値を決定するように構成される。
【0032】
制御システムは、車両走行中の地形に関するドライバ入力信号を受信するための地形モード選択インターフェイスをさらに備え、前記漸次的な値は、ドライバが選択した地形モードを示す信号に依拠してもよい。択一的には、制御システムは、自動地形モード選択手段をさらに備え、自動地形モード選択手段は、複数の車両センサおよび/または環境センサを有し、車両および/または環境センサに基づいて選択するように構成され、前記漸次的な値は、自動的に選択された地形モードを示す信号に依拠する。
【0033】
制御システムは、車両が走行している速度および目標設定速度のうちの一方に基づいて前記漸次的な値を決定するように構成され、車両が走行している速度または目標設定速度が小さいほど、前記漸次的な値はより小さくてもよい。
【0034】
本発明は、上記説明したシステムを備えた車両を提供する。
【0035】
保護を求める本発明に係る別の態様によれば、上記システムの機能を実行する方法、および後述する方法を実行するように車両を制御するためのコンピュータ可読コードを担持する担持媒体を含む記憶装置が提供される。
【0036】
理解されるように、本発明に係る任意の1つの態様による好適なおよび/または任意的な特徴物は、単独で、または本発明に係る他の任意の態様の特徴物と適当に組み合わせて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
添付図面を参照しながら、単なる具体例を用いて、本発明について以下説明する。
図1】本発明に係る実施形態による車両の概略的な平面図である。
図2図1に示す車慮の側面図である。
図3】本発明に係る実施形態による、クルーズ制御システムおよび低速推進制御システムを含む車両速度制御システムの相当レベルの概略ブロック図である。
図4図3に示す車両速度制御システムのさらなる特徴を示す概略的なブロック図である。
図5】本発明に係る実施形態による車両の操舵ハンドル、ブレーキペダル、アクセルペダルを示す。
図6】本発明に係る1つの実施形態による車両の動作を示すフローチャートである。
図7】本発明に係る別の実施形態による車両の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
機能ブロック等のブロックには、1つまたはそれ以上の入力信号に呼応した出力信号で特定される機能または操作を実行するソフトウェアコードが含まれるものと理解されたい。ソフトウェアコードは、メインコンピュータプログラムで読み出されるソフトウェアルーチンもしくはソフトウェア機能の形態を有するもの、またはソフトウェアコードのフローの一部を構成する独立したソフトウェアルーチンもしくはソフトウェア機能の形態を有するものであってもよい。ブロックを参照すると、本発明に係る実施形態により処理方法を簡便に説明することができる。
【0039】
図1は、本発明に係る実施形態による車両100を示す。車両100は、オートマッチックトランスミッション(自動トランスミッション)124を含むドライブライン130に接続されたエンジンを有するパワートレイン129を備える。理解されるように、本発明に係る実施形態は、同様に、マニュアルトランスミッション、無段階トランスミッション、または他の任意の適当なトランスミッションでの利用に適している。
【0040】
図1の実施形態において、トランスミッション124は、トランスミッションモード・セレクタダイヤル124Sを用いて、パーキングモード、バックモード(後退モード)、ニュートラルモード、ドライブモード、もしくはスポーツモード等の複数のトランスミッション動作モードのうちの1つの操作モードに設定することができる。セレクタダイヤル124Sは、パワートレインコントローラ11に信号を出力し、その出力信号に呼応するようにパワートレインコントローラは、選択されたトランスミッションモードに従って、トランスミッション124を動作させる。
【0041】
ドライブライン130は、前輪ディファレンシャル137および一対のドライブシャフト118を介して、一対の車両車輪を駆動するように構成されている。同様に、ドライブライン130は、補助ドライブライン部131を備え、補助ドライブライン部は、補助ドライブシャフトまたはプロペラシャフト132、後輪ディファレンシャル135および一対のドライブシャフト139を介して、一対の後輪114,115を駆動する。
【0042】
本発明に係る実施形態は、一対の前輪もしくは一対の後輪のみを駆動するように構成されたトランスミッションを有する車両(すなわち前輪駆動車両もしくは後輪駆動車両)、または2輪駆動/4輪駆動を選択できる車両に用いられるのに適している。図1の実施形態では、トランスミッション124は、動力伝達ユニット(PTU)131Pを介して、補助ドライブライン部131に着脱可能に接続可能であり、補助ドライブライン部は2輪駆動モードまたは4輪駆動モードでの動作を可能にするものである。理解されるように、本発明に係る実施形態は、たとえば3輪車両もしくは4輪車両の2つの車輪のみを駆動する車両または4輪以上の車輪を駆動する車両等、4輪以上の車輪を有する車両または2輪のみを駆動する車両に適する。
【0043】
車両エンジン121の制御システムは、中央コントローラ10(車両制御ユニット(VCU)10という。)、パワートレインコントローラ11、ブレーキコントローラ13、およびステアリングコントローラ170Cを有する。ブレーキコントローラ13、ブレーキシステム22(図3)の一部を構成する。車両制御ユニット(VCU)10は、車両に搭載されたさまざまなサブシステム(図示せず)との間で、数多くの信号を通信(入出力)する。車両制御ユニット10は、図3に示す低速推進(LSP)制御システム12、およびスタビリティ制御システム(SCS)14を有する。スタビリティ制御システム14は、牽引力の損失を検出して調整することにより車両の安全性を向上させるものである。牽引力または操舵制御機能の低減が検出されると、スタビリティ制御システム(SCS)14は、1つまたはそれ以上の車輪にブレーキトルクを加えて、ドライバが走行させようしている方向に車両を操舵することを支援するために、ブレーキコントローラ13に自動的に指令するように動作可能である。図示された実施形態では、スタビリティ制御システム(SCS)14は、車両制御ユニット(VCU)10により実現される。いくつかの択一的な実施形態では、スタビリティ制御システム(SCS)14は、ブレーキコントローラ13により実現されてもよい。さらに択一的には、スタビリティ制御システム(SCS)14は、独立したコントローラで実現されてもよい。
【0044】
図3には詳細には図示されていないが、車両制御ユニット(VCU)10は、ダイナミックスタビリティ制御(DSC:動的安定化制御)機能ブロック、トラクション制御(TC:牽引力制御)機能ブロック、アンチロックブレーキシステム(ABS)機能ブロック、およびヒルディセント制御機能ブロックを有する。これらの機能ブロックは、車両制御ユニット(VCU)10のコンピュータデバイスにより実行されるソフトウェアコードとして実現され、たとえば車輪スリップ事象が生じた場合のDSCアクティビティ(動作)、TCアクティビティ、ABSアクティビティ、個々の車輪に対するブレーキ介入動作、およびエンジン121に対する車両制御ユニット(VCU)10からのエンジントルク要求を示す信号を出力する。上述の各動作事象は、車輪スリップ事象が生じたことを示す。ロールスタビリティ制御システム等の他の車両サブシステムも同様に有用である。
【0045】
上述のように、車両100は、車両が25km/hを超える速度で走行しているときに選択された速度で車両速度を自動的に維持するように動作可能なクルーズ制御システム16を有する。クルーズ制御システム16は、クルーズ制御HMI(クルーズ制御ヒューマン・マシン・インターフェイス)18を有し、これを用いてドライバは、既知の手法によりクルーズ制御システム16に目標車両速度を入力することができる。本発明に係る1つの実施形態では、クルーズ制御システム16の入力制御部は、操舵ハンドル171に実装されている(図5)。クルーズ制御システム16は、クルーズ制御システム選択ボタン176を押下することによりスイッチオンする(スイッチを入れて作動させる)ことができる。クルーズ制御システム16を作動させ、「設定速度」制御部173を押下すると、現時点での車両速度がクルーズ制御設定速度パラメータの現在値に設定される。「+」ボタン174を押下すると、クルーズ設定速度(cruise_set-speed)の値を増大させ、「−」ボタン175を押下すると、クルーズ設定速度を低減させることができる。再開ボタン173Rは、ドライバがクルーズ制御システム16を解除した後、クルーズ制御システム16がクルーズ設定速度の現在値で速度制御を再開させるようにクルーズ制御システム16を制御可能である。理解されるように、本発明に係るクルーズ制御システム16を備えた既知のハイウェイ用クルーズ制御システムは、ブレーキペダルまたは、マニュアルトランスミッションを備えた車両の場合にはクラッチペダルをドライバが踏み込んだとき、クルーズ制御機能は解除され、車両100は、マニュアル動作モードに戻り、車両速度を維持するためにはドライバによるアクセルペダルの入力を必要とする。さらに、牽引力の損失に起因して、車輪のスリップ事象が検出されると、クルーズ制御機能が解除される。その後にドライバが再開ボタン173Rを押下すると、クルーズ制御システム16による速度制御が再開される。
【0046】
クルーズ制御システム16は、車両速度をモニタ(監視)し、目標速度からの逸脱が自動的に調整されるため、車両速度を実質的に一定の値(典型的には25km/hを超える速度)に維持する。換言すると、クルーズ制御システム16は、25km/h未満の速度では機能しない。クルーズ制御HMI18は、その視覚的表示を介して、クルーズ制御システム16の状態についてドライバに警告を与えるように構成されている。本実施形態では、クルーズ制御システム16は、クルーズ設定速度(cruise_set-speed)の値を25〜150km/hの範囲で設定することができる。
【0047】
低速推進(LSP)制御システム12は、速度に依存した制御システムをドライバに提供し、ドライバが極めて遅い目標速度を選択することができ、その速度でドライバによるペダル入力を必要とすることなく、車両を推進させることができる。25km/h以上の速度でのみ動作するハイウェイ用クルーズ制御システムは、低速の速度制御機能(すなわち低速推進(LSP)制御機能)を有しない。
【0048】
低速推進(LSP)制御システム12は、操舵ハンドル171上に実装されたLSP制御システム選択ボタン172を用いて起動することができる。低速推進(LSP)制御システム12は、車両100を所望の速度に維持するために、車両100の1つまたはそれ以上の車輪に対して、パワートレイン制御、トラクション制御、およびブレーキ制御を選択的に実行するように動作可能である。
【0049】
低速推進(LSP)制御システム12は、LSP制御システム12に対するLSP設定速度(択一的に、ここでは目標設定速度という。)の所望の設定速度パラメータを、ドライバが低速推進制御HMI(LSP制御HMI)20(図1および図3)を介して入力できるように構成されており、低速推進制御HMIは、特定の入力ボタン173〜175を、クルーズ制御システム16およびヒルディセント制御(HDC)システム12HDと共用する。車両速度がLSP制御システム12の許容動作範囲(他の範囲も同様に有用であるが、2km/h〜30km/h)内に入れば、LSP制御システム12は、LSP設定速度(cruise_set-speed)の値に基づいて車両速度を制御する。クルーズ制御システム16とは異なり、LSP制御システム12は、牽引力事象の発生とは無関係に動作するように構成される。すなわちLSP制御システム12は、車輪スリップを検出しても速度制御を中断しない。むしろLSP制御システム12は、車輪スリップが検出されたとき、車両の挙動を積極的に調整するものである。
【0050】
LSP制御HMI20は、ドライバが容易にアクセスできるように、車室(車両キャビン)内に設けられている。車両100のドライバは、LSP制御HMI20を介して、クルーズ制御システム16と同様の「+」/「−」ボタンを用いて、ドライバ所望の車両の走行速度(以下、「目標速度」という。)の指示をLSP制御システム12に入力することができる。LSP制御HMI20は、視覚的ディスプレイを有し、その視覚的ディスプレイ上で、LSP制御システム12の状態に関する情報およびガイダンスをドライバに提供することができる。
【0051】
LSP制御HMI20は、ドライバがブレーキペダル163を用いてブレーキ力を加えた程度を示す入力信号を車両のブレーキシステム22から受信する。同様に、LSP制御システム12は、ドライバがアクセルペダル161を踏み込んだ程度を示す入力信号をアクセルペダル161から受信する。入力信号は、トランスミッションすなわちギアボックス124からLSP制御システム12に出力される。この入力信号は、たとえばギアボックス124の出力シャフトの速度、トルクコンバータのスリップ、要求されたギア速度比を示す信号であってもよい。LSP制御システム12に対する他の入力信号は、クルーズ制御システム16の状態(オン/オフ)を示すクルーズ制御HMI18からの入力信号、およびLSP制御HMI20からの入力信号を含んでもよい。
【0052】
車両制御ユニット(VCU)10のヒルディセント制御(HDC)機能ブロックは、ヒルディセント制御(HDC)システム12HDの一部を構成する。HDCシステム12HDは、動作状態にあるとき、ドライバにより設定可能なHDC設定速度パラメータ(HDC_set-speed)の設定速度に相当する値に車両速度を制限するために、(ABS機能ブロックの一部を構成する)ブレーキシステム22を制御する。HDC設定速度パラメータ(HDC_set-speed)は、HDC目標速度と呼んでもよい。HDCシステム12HDが動作状態にあるとき、ドライバがアクセルペダルを踏み込むことにより、HDCシステム12HDを解除(無効化)させない場合、HDCシステム12HDは、車両速度がHDC設定速度を超えないように、ブレーキシステム22(図3)を制御する。本実施形態では、HDCシステム12HDは、正の駆動トルクを加えるように動作しない。むしろHDCシステム12HDは、負のブレーキトルクを負荷するようにのみ動作可能である。
【0053】
ヒルディセント制御(HDC)システム12HDのヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)20HDは、これを用いて、HDC設定速度を設定することを含め、ドライバによるHDCシステム12の制御を可能にするものである。HDCシステム選択ボタン177は、操舵ハンドル171上に設けられ、これを用いて、ドライバはHDCシステム12を起動して、車両速度を制御することができる。
【0054】
上記説明したように、HDCシステム12HDは、クルーズ制御システム16および低速推進(LSP)制御システム12と同一の制御部を用いて、HDC設定速度パラメータ(HDC_set-speed)の値を設定し、調整することができるように動作可能である。すなわち、本実施形態では、HDCシステム12HDが車両速度を制御するとき、HDCシステムの設定速度を増減させ、クルーズ制御システム16およびLSP制御システム12の設定速度と同様に、同一の制御ボタン173,173R,174,175を用いて、現時点の車両速度をHDC目標速度に設定することができる。HDCシステム12HDは、HDC設定速度(HDC_set-speed)の値を2〜30km/hの範囲で設定するように動作可能である。
【0055】
車両100が50km/h未満の速度で走行しているとき、HDCシステム12HDが選択され、他の速度制御システムが動作していない場合、HDCシステム12HDは、HDC設定速度(HDC_set-speed)の値を参照テーブルから選択した値に設定する。参照テーブルで出力される値は、現在選択されているトランスミッションギアの同一性(アイデンティ)、現在選択されているPTUギア比(Hi/Lo)、および現在選択されている動作モードに依存して決定される。ドライバがアクセルペダル161を踏み込むことによりHDCシステム12HDを解除(無効化)させない場合、HDCシステム12HDは、パワートレイン12および/またはブレーキシステム22を用いて、HDCシステムの設定速度まで車両100を減速させる。HDCシステム12HDは、最大許容減速度を超えない減速度で、設定速度値まで車両100を減速させるように構成される。この減速度は、1.25m/s2に設定されるが、他の値も同様に有用である。その後、ドライバが「設定速度」ボタン173を押下すると、現時点の車両速度が30km/h未満である場合、HDCシステム12HDは、HDC設定速度(HDC_set-speed)の値を現時点の車両速度に設定する。車両100が50km/hで走行しているとき、HDCシステム12HDが選択された場合、HDCシステム12HDは、その要求を無視し、ドライバにその要求が無視されたことを通知する。
【0056】
理解されるように、車両制御ユニット(VCU)10は、上述したタイプの既知の地形応答システム(TR、登録商標)を実現するように構成され、車両制御ユニット10は、1つまたはそれ以上の車両システムまたはパワートレインコントローラ11等の車両サブシステムの設定値を、選択された駆動モードに依存して制御する。駆動モードは、駆動モードセレクタ141S(図1)を用いてドライバにより選択される。駆動モードとは、地形モード、地形応答モード、または制御モードを意味することがある。図1の実施形態では、走行面と自動車の車輪との間の表面摩擦係数が比較的高い、比較的硬く滑らかな路面上を走行するのに適した「ハイウェイ」駆動モード、砂地形上を走行擦るのに適した「砂」モード、草、砂利または雪の上を走行するのに適した「草/砂利/雪」駆動モード、岩肌の多い表面の上をゆっくり走行するのに適した「岩徐行」駆動モード、泥または轍のある地形を走行するのに適した「泥/轍」駆動モードを含む4つの駆動モードが提供される。追加的または択一的な他の駆動モードが提供されてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、LSP制御システム12は、アクティブ状態(動作状態)、スタンバイ状態、およびオフ状態(非動作状態)のうちのいずれか1つの状態にある。LSP制御システム12は、アクティブ状態にあるとき、パワートレインのトルクとブレーキシステムのトルクを制御することにより、車両速度を能動的に(積極的に)制御する。LSP制御システム12は、スタンバイ状態にあるとき、ドライバが再開ボタン173Rまたは「設定」ボタン173を押下するまで、車両速度を制御しない。LSP制御システム12は、オフ状態にあるとき、LSP制御システム選択ボタン172が押下されるまで、入力制御信号に対して応答しない。
【0058】
本発明に係る実施形態において、LSP制御システム12は、中間状態を実行するように動作可能であり、中間状態は、アクティブ状態に類似するが、パワートレイン129が車両100の1つまたはそれ以上の車輪に正のトルクを加えるように指令しない状態である。すなわちブレーキシステム22および/またはパワートレイン129を用いて、ブレーキトルク(制動トルク)のみが負荷される。他の構成も同様に有用である。
【0059】
LSP制御システム12がアクティブ状態にあるとき、ドライバは「+」および「−」ボタン174,175を用いて車両設定速度を増減させることができる。さらにドライバは、アクセルペダル161またはブレーキペダル163を軽く踏み込むことにより、車両設定速度を増減させることができる。いくつかの実施形態では、LSP制御システム12がアクティブ状態にあるとき、「+」および「−」ボタン174,175をオフ状態にし、アクセルペダル161およびブレーキペダル163のみを用いて、LSP設定速度の値を調整することができる。この後者の特徴によれば、たとえば「+」および「−」ボタン174,175を偶発的に押下することにより、設定速度を意図せず変更することを回避することができる。ボタンの偶発的な押下は、たとえば険しい(困難な)地形上を運転していて、比較的に大きな操舵角で頻繁に操舵する必要がある場合に起こり得る。他の構成も同様に有用である。
【0060】
理解されるように、本実施形態において、LSP制御システム12は、2km/h〜30km/hの範囲の設定速度値に従って車両を走行させるように動作可能であり、クルーズ制御システムは、25km/h〜150km/hの範囲の設定速度値に従って車両を走行させるように動作可能である。ただし他の値も同様に有用である。車両速度が30km/hより大きく、実質的に50km/h以下であるときに、LSP制御システム12が選択されたとき、LSP制御システム12は中間モードを実行する。中間モードにおいて、30km/hを超える速度で走行中、ドライバがアクセルペダル161から足を離したとき、LSP制御システム12は、ブレーキシステム22を用いて、パラメータの値(LSP_set-speed)に相当する速度値まで車両100を減速させる。車両速度が30km/h以下となったとき、LSP制御システム12は、アクティブ状態となり、LSP設定速度値(LSP_set-speed)に応じて車両を制御するために、パワートレイン129を介して正の駆動トルクを加えるとともに、パワートレイン129(エンジンブレーキ)およびブレーキシステム22を介して制動トルクを加える。LSP設定速度値(LSP_set-speed)が設定されていない場合、LSP制御システム12は、スタンバイモードへ移行する。
【0061】
理解されるように、LSP制御システム12がアクティブモード(動作モード)にあるとき、クルーズ制御システム16の動作は禁止される。したがってLSP制御システム12およびクルーズ制御システム16は、互いに独立して動作し、常時、車両が走行している速度に依存して、一方のみを動作させることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、クルーズ制御HMI18およびLSP制御HMI20は、同一のハードウェアを用いて構成され、たとえば選択速度は、同一のハードウェアを用いて入力され、LSP制御入力とクルーズ制御入力の間で切り換えるために、1つまたはそれ以上の独立したスイッチが設けられる。
【0063】
図4は、LSP制御システム12が車両速度を制御する手法を示す。上述のように、ドライバにより選択された速度(設定速度)は、LSP制御HMI2を介して、LSP制御システム12に入力される。パワートレイン129(図1参照)に付随する車両速度センサ34は、車両速度を示す信号36をLSP制御システム12に出力する。LSP制御システム12は、ドライバが選択した設定速度38(「目標速度」38ともいう。)を測定した速度36と比較するコンパレータ28を有し、比較結果を示す信号30を出力する。出力信号30は、車両制御ユニット(VCU)10の評価ユニット40に供給され、評価ユニットは、LSP設定速度値(LSP_set-speed)を維持するために車両速度を増大させるべきか、または低減させるべきかに依存して、出力信号30が車両車輪111〜115に加える追加的なトルクを要求するものであるか、あるいは車両車輪111〜115に加わるトルクの低減を要求するものであるか判断する。トルクの増大は、一般に、エンジンの出力シャフト、車輪、または他の任意の適当な部分等、パワートレインの所与の位置(部分)に出力されるパワートレイントルクを増大させることにより実現される。所与の車輪に加わるトルクの低減、すなわち正のトルクをより小さくし、または負のトルクをより大きくすることは、車輪に出力されるパワートレイントルクを低減し、および/または車輪に加わるブレーキ力(制動力)を増大することにより実現される。理解されるように、いくつかの実施形態では、パワートレイン129は、発電機として動作可能な1つまたはそれ以上の電機マシンを有し、電機マシンを用いて1つまたはそれ以上の車輪に負のトルクを負荷してもよい。いくつかの状況では、車両100が走行している速度に少なくとも部分的に依存して、エンジンブレーキを介して、負のトルクを負荷してもよい。推進モータとして動作可能な1つまたはそれ以上の電機マシンを有する場合、1つまたはそれ以上の電機マシンを用いて正のトルクを加えてもよい。
【0064】
評価ユニット40からの出力信号42は、パワートレインコントローラ11およびブレーキコントローラ13に供給され、これらのコントローラは、車両車輪111〜115に加わる正味のトルクを制御する。評価ユニット40が正または負のトルクを要求することに依存して、正味のトルクを増減させる。必要とされる正または負のトルクを車輪に加えるために、評価ユニット40は、パワートレイン129が正または負のトルクを車両車輪に加えるように指令し、および/またはブレーキシステム22がブレーキ力(制動力)を車両車輪に負荷するように指令し、パワートレインおよびブレーキシステムからのトルクの一方または両方を用いて、要求された車両速度を達成および維持するために必要なトルク変化を実現することができる。図示された実施形態では、車両速度を要求された速度に維持するために、車両車輪に独立的にトルクを加えるが、別の実施形態では、要求された速度に維持するために、車両車輪に全体的にトルクを加えてもよい。いくつかの実施形態では、パワートレインコントローラ11は、後輪駆動ユニット、前輪駆動ユニット、ディファレンシャル、または他の任意の適当な構成部品等のドライブライン構成部品を制御することにより、1つまたはそれ以上の車輪に加わるトルクの大きさを制御するように動作可能である。たとえばドライブライン130の1つまたはそれ以上の構成部品は、1つまたはそれ以上車輪に加わるトルクの大きさを調整できるように動作可能な1つまたはそれ以上クラッチを含んでもよい。
【0065】
パワートレイン129は、1つまたはそれ以上のモータおよび/または発電機等の1つまたはそれ以上の電機マシンを含む場合、パワートレインコントローラ11は、1つまたはそれ以上の電機マシンを用いて、1つまたはそれ以上の車輪に加わるトルクを調整するように動作可能である。
【0066】
またLSP制御システム12は、車輪スリップ事象が起こったことを示す信号48を受信する。この信号は、車両のハイウェイ用クルーズ制御システム16に供給される信号48と同一のものであり、後者の場合、ハイウェイ用クルーズ制御システム16での動作を無効化モード(解除モード)または禁止モードを起動し、ハイウェイ用クルーズ制御システム16による車両速度の自動制御が中断または中止される。しかしながら、LSP制御システム12は、車輪スリップ事象を示す車輪スリップ事象信号48を受信したこととは関係なく、LSP制御を中断または中止することはない。むしろLSP制御システム12は、ドライバの作業負荷を軽減するために、車両スリップを監視し、継続的に制御するように構成されている。車輪スリップが生じている間、LSP制御システム12は、測定された車両速度をLSP設定速度値(LSP_set-speed)と比較し続け、車両速度を選択された速度に維持するために、車両車輪に加わるトルクを自動的に制御し続ける。したがって、理解されるように、LSP制御システム12は、クルーズ制御システム16とは異なるように構成され、クルーズ制御システムでは、車輪スリップが起きると、クルーズ制御機能が無効化(解除)され、車両のマニュアル操作を再開する必要があり、または再開ボタン173Rまたは設定速度ボタン173を押下することにより、クルーズ制御システム12により速度制御を再開する必要がある。
【0067】
本発明に係る別の実施形態(図示せず)では、車輪スリップ信号48は、複数の車輪の速度の比較により得られるだけでなく、路面に対する車両速度を示すセンサデータを用いてさらに精緻化される。路面に対する速度は、全地球測位(GPS)データを用いて、または車両100と走行中の路面との間の相対的な移動を特定するように構成された車両搭載レーダ/レーザ式システムを用いて決定することができる。いくつかの実施形態では、路面に対する速度を決定するためにカメラシステムを採用してもよい。
【0068】
LSP制御プロセスの任意の段階において、ドライバは、アクセルペダル161および/またはブレーキペダル163を踏み込むことにより、LSP制御機能を無効化(解除)して、車両速度を正または負の方向に調整することができる。しかしながら、信号48により車輪スリップ事象が確認された場合、LSP制御システム12は、アクティブ状態(動作状態)を維持し、LSP制御システム12による車両速度の制御は、中止されない。図4に示すように、これは、車輪スリップ事象信号48をLSP制御システム12に出力することにより実現され、その後、車輪スリップ事象は、LSP制御システム12により制御される。図1に示す実施形態では、スタビリティ制御システム(SCS)14が車輪スリップ事象信号48を生成し、LSP制御システム12およびクルーズ制御システム16に出力する。
【0069】
車両車輪のいずれか1つで牽引力損失が生じると、車輪スリップ事象が検出される。車両がたとえば雪、氷、泥、または砂の上を走行するとき、および/または急勾配またはキャンバの上を走行するとき、車輪およびタイヤは、牽引力を損失する傾向がより大きくなる。同様に、車両100は、通常のオンロード状況下にあるハイウェイ上を走行する場合に比して、地形がより不均一またはより滑りやすい環境において、牽引力を損失する傾向がより大きくなる。したがって本発明に係る実施形態は、車両100がオフロード環境で走行している場合、または車両スリップが頻繁に生じるような状況下で走行している場合に特に有利であることが確認された。こうした状況でのマニュアル操作は、ドライバにとって困難で、しばしばストレスのかかる運転であり、不快なドライビングを強いるものである。
【0070】
車両100は、車両の動きおよび状況に関連するさまざまな異なるパラメータを示す追加的なセンサ(図示せず)を有する。これらは、LSP制御システム12もしくはHDC制御システム12HDに固有の慣性システム、または車両本体の動きを示し、LSP制御システム12もしくはHDC制御システム12HDに有用な入力信号を出力するジャイロおよび/または加速度計等のセンサからのデータを供給する乗員拘束システムもしくは任意の他のサブシステムの一部である。センサからの出力信号を用いて、車両が走行している地形状況の性状を示す複数の運転状況指標(地形指標ともいう。)を計算することができる。
【0071】
車両100に搭載されたセンサは、これに限定するものではないが、上記説明し、図5に示すような、車両制御ユニット(VCU)10に連続的なセンサ出力信号を供給するセンサ、周辺温度センサ、大気圧センサ、タイヤ圧センサ、車両のヨー/ロール/ピッチを検出するジャイロセンサ、車両速度センサ、縦方向加速度センサ、エンジントルクセンサ(エンジントルク推定部)、操舵角センサ、操舵角速度センサ、勾配センサ(勾配推定部)、安定性制御システム(SCS)14の一部である横方向加速度センサ、ブレーキペダル位置センサ、ブレーキペダル圧力センサ、アクセルペダル位置センサ、縦方向/横方向/垂直方向モーションセンサ、および車両浸水走行支援システムの一部を構成する水検知センサ(図示せず)が含まれる。他の実施形態では、上述のセンサから選択されたセンサのみが用いられる。
【0072】
前輪111,112、前輪ドライブシャフト138および前輪ディファレンシャル137を組み合わせて、前輪軸機構136Fと呼ぶことがある。後輪114,115、後輪ドライブシャフト139および後輪ディファレンシャル135を組み合わせて、前輪軸機構136Rと呼ぶことがある。
【0073】
車輪111,112,114,115はそれぞれ、ブレーキ111B,112B,114B,115Bを有する。各速度センサ111S,112S,114S,115Sは、車両100のそれぞれの車輪111,112,114,115に付随するものである。速度センサ111S,112S,114S,115Sは、車両100のシャーシ100Cに実装され、対応する車輪速度を測定するように構成されている。
【0074】
車両制御ユニット(VCU)10は、ステアリングコントローラ170Cからの信号を受信する。ステアリングコントローラ170Cは、電動パワーアシストステアリングユニット(ePASユニット)の形態を有する。ステアリングコントローラ170Cは、車両100の操舵可能な道路車輪に加わる操舵力を示す信号を車両制御ユニット(VCU)10に供給する。この力は、ドライバが操舵ハンドルに加える力と、ePASユニット170により生成される操舵力とを組み合わせたものである。
【0075】
車両制御ユニット(VCU)10は、さまざまなセンサ入力信号を評価して、車両のサブシステムに対し、数多くの異なる制御モード(駆動モード)のそれぞれが適当である確度(確からしさ)を決定し、各制御モードは、車両が走行している特定の地形タイプ(たとえば泥/轍、砂、草/砂利/雪)に対応する。
【0076】
ドライバが自動駆動モード選択条件で車両の駆動モードを選択したとき、車両制御ユニット(VCU)10は、最も適した制御モードを選択し、選択した駆動モードに従って複数のサブシステムを自動的に制御する。本発明のこの態様は、同時係属する英国特許出願第1111288.5号、第1211910.3号、および第1202427.9号に記載され、その開示内容は、ここに参考に一体のものとして統合される。
【0077】
(選択した駆動モードを参照して特定される)車両走行中の地形の性状を用いて、LSP制御システム12が車両速度の適当な増減を決定してもよい。たとえばドライバが車両走行中の地形の性状に適当でないLSP設定速度値(LSP_set-speed)を選択した場合、車両車輪の速度を低減することにより、自動的に車両速度を低減するように動作可能である。いくつかのケースでは、とりわけ起伏または凹凸の大きい路面では、たとえばドライバ設定速度が特定の地形タイプに対して実現不可能であるか、適当でない場合がある。LSP制御システム12がドライバ設定速度とは異なる速度を選択した場合、択一的な速度が適用されたことを示唆するために、LSP制御HMI20を介して、速度制限をドライバに視覚的に示す。
【0078】
[B722:ATPC−障害物に直面したときの低速での設定速度調整制御]
上述のシステムにおいて、車両が特に極めて小さい速度で、巨礫や、縁石、丸太等の物体または障害物に直面した場合、車両が障害物を乗り越えるには、車輪にそれまでに出力されたトルクが不十分であり、トルクを増大させるためには若干の時間遅延が生じるので、システムが車両を一時的に停止することがある。択一的には、障害物に直面して、障害物の上を車両を運転する前に、ドライバが車両を手動で減速または停止させることがある。車両が停止した場合、または障害物に隣接する先行車両が立ち往生した場合、たとえば障害物を乗り越えるためには、車両は、より大きな設定速度が必要であると判断した場合、ドライバがLSP設定速度値(LSP_set-speed)を大きくし、過去に記憶したLSP設定速度値(LSP_set-speed)でLSP制御を再開するためにLSP再開ボタンを押下した場合、車両が障害物を乗り超えた瞬間、障害物を乗り越えようとする瞬間的な速度とドライバにより増大または再開されたLSP設定速度(LSP_set-speed)との間の人為的および意図しない差異に起因して、選択されたLSP設定速度(LSP_set-speed)まで一気に加速する。車両が障害物を乗り超えた時点でのトルクが大きく、現時点の車両速度とLSP設定速度(LSP_set-speed)との間の差異が極めて大きいので、車両は、ドライバが意図しないような速度で突発的に前進することがある。これは、車両安定性を損なうものとなり得る。
【0079】
本発明では、この課題を解決するために、車両の制御システムがLSP設定速度(LSP_set-speed)に依存する車両制御速度に車両速度を制御し、理解されるように、数多くの動作条件において、車両制御速度はLSP設定速度である。しかしながら、車両制御速度は、LSP設定速度(LSP_set-speed)とは異なることがあり、特に、車両が極めて低速で走行している場合、または静止状態から発進する場合、車両制御速度は低減される。さらに、車両制御速度の低減を計算するとき、トルク要求信号を入力値として用いてもよい。このように車両が実質的に静止した状態にあって、大きなトルクが要求されるとき、制御される車両速度は、低減される。こうして、大きなトルクを要求する障害物を乗り越えるとき、車両速度と車両制御速度との差異を小さくし、車輪に伝達される正のトルクを速やかに低減することにより、検出された障害物に応じて車両を加速させるとき、車両をより安定的に前進移動させることができる。したがって有利にも、少なくとも一時的に加速度の上限を設ける。
【0080】
1つの実施形態では、車両が障害物を乗り越え、トルクが低減されると、LSP設定速度(LSP_set-speed)は維持され、車両制御速度は、所定の加速度プロファイルに基づいて自動的にLSP設定速度(LSP_set-speed)に戻すように増大される。ただし車両制御速度は、トルクの関数であるので、車両が障害物を回避し、乗り越えようとしたとき、トルクが低減された後、突然に反発的に車両が移動することを防止する場合にのみ、上記プロセスは実行される。制御システムは、車両制御速度をLSP設定速度(LSP_set-speed)に戻すように増大させる前に遅延時間を設けてもよい。この遅延時間は、特に有用であり、前輪が障害物を乗り越えたとき、後輪も同一の障害物を乗り越える可能性が高いので、後輪が障害物を乗り切るまで、車両制限速度を小さく維持することが有用である。さらに、遅延時間を設けることにより、障害物の前方にある地形を評価する時間をドライバに与えることができる。
【0081】
別の実施形態では、このシステムは、実際にLSP設定速度(LSP_set-speed)を低減し、LSP設定速度(LSP_set-speed)を増大するようなドライバ入力に呼応して、より大きな速度で車両を推進させてもよい。LSP設定速度(LSP_set-speed)を車両制御速度まで低減させるか、択一的には、LSP設定速度(LSP_set-speed)を最近過去の値より小さく、かつ次式で表されるように、車両制御速度より値(ΔV_set_max)だけ大きな値に低減させてもよい。
・低減されたLSP設定速度(LSP_set-speed)=車両制御速度+値(ΔV_set_max)
ここで、値(ΔV_set_max)は、目標設定速度(LSP_set-speed)が所定の瞬間車両速度に対して車両制御速度を超えることが許容される最大値である。このように、障害物を乗り越えた後、ドライバが速度を増大させるために積極的な行動がとれるまで、車両は、LSP設定速度(LSP_set-speed)を一時的に調整した値に低減された車両制御速度で推進する。
【0082】
車両が静止状態にあるとき、または仮想的な静止状態にあるとき(すなわち極めて小さい速度で走行しているとき)、特に大きなトルクが車輪に加わっている場合、加わる予定である場合、実際の車両速度とLSP設定速度との間に大きな差異により生じる問題を少なくとも部分的に解消するために、ドライバがLSP設定速度を増大できる速度を制限することは有用である。したがって、本発明に係る制御システムにおいて、LSP設定速度に対する変動を、瞬間的な車両速度に基づいて、または瞬間的な車両速度の関数として制限してもよい。特に、このシステムのコントローラは、車両走行中の地形に基づいて、LSP設定速度(LSP_set-speed)の最大入力値を制限してもよい。瞬間的な車両速度に基づいて最大の値(ΔV_set)を定義するシステムにより、最大入力目標速度を制限することができ、ここで値(ΔV_set)は、既存の目標設定速度と新規のドライバ入力目標設定速度との差異である。したがって、このシステムによれば、値(ΔV_set)が最大値(ΔV_set)を超えるように、ドライバがLSP設定速度(LSP_set-speed)を入力することができる。
【0083】
図6のフローチャートを参照しながら、本発明に係る1つの実施形態による制御システム機能の動作について説明する。
【0084】
ステップS101において、制御システムは、LSP制御システムがアクティブ形態(動作状態)にあるか否かを判断する。LSP制御システムがアクティブ形態にあることを制御システムが判断したとき、この方法は、ステップS103へ移行する。
【0085】
ステップS103において、制御システムは、たとえば車輪速度センサ、GPSデータ等を参照して、実際の車両速度を特定し、車両速度がLSP設定速度(LSP_set-speed)未満であるか否かを判断する。車両速度がLSP設定速度未満でないとき、この方法は、後述するステップS115へ移行する。車両速度がLSP設定速度未満であるとき、この方法は、ステップS105へ移行する。
【0086】
ステップS105において、制御システムは、車両速度(および/または実際の車両速度とLSP設定速度との差異)に対してトルク要求信号が大きいか否かを判断する。トルク要求信号が車両速度に対して大きくない場合、これは、現在のところ、車両は障害物を乗り越えている途中ではなく、単にLSP設定速度まで加速しようとしていることを示し、この方法は、詳細後述するステップS113へ移行する。
【0087】
車両速度(および/または実際の車両速度とLSP設定速度との差異)に対してトルク要求信号が大きい場合、これは、車両が障害物を乗り越え、または克服しようとしていることを示し、実質的に平坦な地形を走行するときに必要な駆動トルクより実質的に大きなトルクを必要とするものである。この方法は、ステップS106へ移行する。
【0088】
ステップS106において、このシステムは、車両制御速度が速度および/またはトルクに依存にする目標車両制御速度より大きいか否かを判断する。車両制御速度が速度および/またはトルクに依存にする目標車両制御速度より大きくないと、このシステムが判断したとき、この方法は、ステップS109へ移行する。車両制御速度が速度および/またはトルクに依存にする目標車両制御速度より大きいと、このシステムが判断したとき、この方法は、ステップS107へ移行する。
【0089】
ステップS107において、車両制御速度が低減される。任意的には、この方法は、この時点でLSP設定速度(LSP_set-speed)を同様に低減するステップS111を含んでもよい。車両制限速度は、要求されたトルクの大きさに依拠した値まで低減される。この方法は、ステップS109へ移行する。
【0090】
ステップS109において、制御システムは、車両制御速度まで車両を制御し、ステップS101にループバックし(元に戻り)、制御ループを繰り返す。
【0091】
ステップS105において、トルクが所与の速度に対して大きくないと判断された場合、この方法は、上述のステップS113へ移行する。ステップS113において、このシステムは、車両速度がLSP設定速度(LSP_set-speed)未満であるか否かを判断する。その場合、車両制御速度がこの方法の先(以前)のループ制御中に低減され、車両が障害物に対峙し、まさにその障害物を乗り越えようとしていることを示す。車両制御速度がLSP設定速度未満であるとシステムが判断した場合、この方法のステップS115へ移行する前に、遅延時間を導入する。1つの実施形態において、車両の後輪が同一の障害物を乗り越える場合、すべての車輪が障害物を乗り越えるまで車両が加速しないように十分な遅延時間を確保するために、遅延時間は、車両のホイールベースおよび車両速度を考慮してもよい。他の遅延時間タイミングも有用である。ステップS113において、車両制御速度がLSP設定速度未満でないとシステムが判断した場合、通常の条件の下でLSP設定速度(LSP_set-speed)まで車両を加速したことを示し、この方法は、遅延時間を設けることなく、ステップS115へ直接移行する。
【0092】
ステップS115において、制御システムは、LSP設定速度(LSP_set-speed)を求め、維持するように車両を制御する。
【0093】
[B722:安定性を改善するためにATPCのトルク制御の地形タイプおよび速度適応]
ドライバは、車両HMIインターフェイスを介して、クルーズ制御ボタン174,175を用いて設定されるLSP設定速度(LSP_set-speed)を確認することができない場合、「+設定」ボタンを押下および保持し、現在の車両速度よりはるかに大きい目標速度を設定する可能性がある。これは、実際の速度が表示されないため、またはドライバが車両の方向を制御することに集中し、車両ディスプレイを見ていないためである。
【0094】
このとき、目標速度を意図せず大きく設定された目標速度に車両を加速し、車両が加速を止めようとしている時点が知らされず、ドライバに混乱した感覚を与え得る。
【0095】
「+設定」ボタンが押下されると、車両速度は、毎秒1マイル/時の割合で、時間に依存して漸次的に増大する。LSP設定速度(LSP_set-speed)が増大する値(増大分)より小さい割合で車両が加速した場合、「+設定」ボタンを離したとき、現時点の車両速度とLSP設定速度との間に差が生じ、車両は、ドライバの予想に反して、あるいは予測した割合より大きい割合で加速し続ける。この問題は、部分的には、「+設定」ボタンを押下しているときに車両が加速するように車両速度を操作し、固定した値で「+設定」ボタンを離した後に、システムによる追加的な速度増大を制限して、LSP設定速度値(LSP_set-speed)に関係なく、「+設定」ボタンを押下していた時間だけに応じてLSP設定速度を上げることにより解消することができる。これは、「+設定」ボタンを離した後に、意図せず設定速度を大きくしたことにより、車両を予想以上の速度まで加速することを防止する。特に、さまざまな状況にあるオフロードを走行している場合に、車両車輪に生じるスリップ事象等の要因により車両加速度が制限されているときに、上記問題が起こる。こうした状況において、ドライバが車両の挙動を制御することに集中して、設定速度を表示する車両HMIを見ない可能性は高くなる。したがって追加的な加速を制限することにより、LSP設定速度値(LSP_set-speed)を車両速度に固定し、「+設定」ボタンを押下し、保持しているときの車両の挙動は、ボタンを押下しているとき時に加速させているという感覚をドライバに与えることができる。ボタンを離したとき、車両は、最終的な制限された目標速度まで加速している。
【0096】
しかしながら、低速走行中、「+設定」ボタンを離したとき、追加的な速度増大を制限する方法において、とりわけ凹凸の大きい路面でLSP設定速度値が地形タイプに対してあまりにも大きい場合、LSP設定速度値(LSP_set-speed)に最後に加速するときに、不注意により安定性が損なわれることがある。すなわちドライバが不注意で「+設定」ボタンを押下し、保持することにより、路面に対して不快を与えるほど大きい速度まで、車両を加速させてしまうことがある。
【0097】
この問題を解決するために、本発明に係る車両速度制御システムは、瞬間的な車両速度および車両走行中の地形のうち少なくとも一方の関数として制御されるLSP設定速度値(LSP_set-speed)を用いて、車両の速度を車両制御速度までに自動的に制御するように構成されている。
【0098】
1つの構成において、車両は、地形モードをドライバにより設定することができるTRコントローラを備える。車両速度制御システムは、LSP設定速度値(LSP_set-speed)に基づいて、車両走行中の地形の関数として、ドライバ選択地形モードを示す信号に基づいて、車両制御速度を制御することができる。択一的には車両は、上述の自動地形応答(TR)コントローラを有し、システムは、LSP設定速度値(LSP_set-speed)に基づいて、車両走行中の地形の関数として、検出された車両パラメータおよび/または環境パラメータに基づいて自動的に選択される地形モードを示す信号に基づいて、車両制御速度を制御することができる。
【0099】
車両は、上記説明したように制御され、ドライバが「+設定」ボタンを保持し、ドライバが「+設定」ボタンを離すまで、車両は加速する。LSP設定速度(LSP_set-speed)が現時点の車両速度より大きい場合、コントローラは、LSP設定速度を現時点の車両速度に追加可能な最大値として設定し、追加可能な最大値は、瞬間的な車両速度および車両走行中の地形との関数である。
【0100】
システムは、瞬間的な車両速度および車両走行中の地形のうちの少なくとも一方に基づいて、「+設定」ボタンがLSP設定速度を設定し、制御システムが車両を加速するときの最大LSP設定速度を制限する。このようにドライバは、不注意により、車両を加速させることを要求できず、乗り越えようとしている地形に適した速度より大きいLSP設定速度(LSP_set-speed)で制御することを要求できない。最大LSP設定速度(LSP_set-speed_max)は、瞬間的な車両速度および車両走行中の地形のうちの少なくとも一方に基づく絶対値として定義してもよい。択一的には、システムは、瞬間的な車両速度および車両走行中の地形のうちの少なくとも一方に基づいて最大の値(ΔV_set)を定義することより、最大入力目標設定速度を制限してもよく、ここで値(ΔV_set)は、既存の目標設定速度と新規のドライバ入力目標設定速度との差異である。すなわち、このシステムは、現時点のLSP設定速度(LSP_set-speed)に対して特定の追加速度を超える速度を要求することはできず、上記差異は、瞬間的な車両速度および車両走行中の地形のうちの少なくとも一方に依存する。
【0101】
図7のフローチャートを参照しながら、本発明に係る1つの実施形態による制御システム機能の動作について説明する。
【0102】
ステップS201において、制御システムは、LSP制御システムがアクティブ形態(動作状態)にあるか否かを判断する。LSP制御システムがアクティブ形態にあることを制御システムが判断したとき、この方法は、ステップS203へ移行する。
【0103】
ステップS203において、制御システムは、ドライバが「+設定」ボタンを押下したか否かを判断する。「+設定」ボタンが押下されなければ、この方法はステップS201にループバックする(元に戻る)。「+設定」ボタンが押下されれば、この方法はステップS205を継続する。
【0104】
ステップS205において、制御システムは、LSP設定速度(LSP_set-speed)がすでに許容可能な最大LSP設定速度(LSP_set-speed_max)であるか否かを判断する。この機能を実行するために、コントローラは、瞬間的な車両速度および車両走行中の地形タイプの一方または両方に関するデータを取得する。地形タイプは、TRコントローラによって取得され、ドライバ入力によるTRモードであってもよいし、自動的に決定されたTRモードであってもよい。その後、コントローラは、決定された瞬間的な車両速度および地形タイプに関連する最大LSP設定速度(LSP_set-speed_max)の値を、システムメモリ内の参照テーブルから参照する。LSP設定速度(LSP_set-speed)が現行条件に対する最大LSP設定速度(LSP_set-speed_max)と等しいとき、LSP設定速度(LSP_set-speed)をさらに増大させ、加速することはできない。この方法は、ステップS215へ進み、システムは、車両速度をLSP設定速度(LSP_set-speed)に制御する。LSP設定速度が最大LSP設定速度(LSP_set-speed_max)を下回ったとき、システムはステップS207へ進み、車両は漸次的に加速し、LSP設定速度が増大された車両速度と一致するまで大きくなる。その後、この方法はステップS207へ進む。
【0105】
ステップS209において、システムは、「+設定」ボタンが解放されたか、押下された状態で維持されているか否かを判断する。「+設定」ボタンが押下された状態で維持されている場合、この方法は、ステップS205へループバックする(戻る)。このように、「+設定」ボタンが押下されているとき、制御システムは、車輪に対するトルクを増大させて、車両を加速する。加速度は、所定値であってもよく、たとえば車両が動作しているTRモード等のファクタ(要因)、および車両高さおよび検出されたスリップ事象等の他のファクタ(要因)に依存するものであってもよい。適当な加速度を決定する他のファクタ(要因)も有用である。トルクを増大させる割合(すなわち車両加速度)は、瞬間的な速度および車両が動作しているTRモードの一方または両方に基づいて変化してもよい。このループ制御は、最大LSP設定速度(LSP_set-speed_max)に達するか、ステップS209において、システムが「+設定」ボタンが解放されたと判断するまで続く。ステップS209において、システムが「+設定」ボタンが解放されたと判断すると、この方法はステップS211へ進む。
【0106】
ステップS211において、最大LSP設定速度(LSP_set-speed_max)に達したか否かをさらにチェックする。その場合、この方法は、ステップS215へ進み、システムは車両速度をLSP設定速度に制御する。他方、最大LSP設定速度(LSP_set-speed_max)に達していない場合、この方法はステップS213へ進む。
【0107】
ステップS213において、「+設定」ボタンが解放されると、車両は、LSP設定速度(LSP_set-speed)に、より小さいLSP設定速度(LSP_set-speed)および最大LSP設定速度(LSP_set-speed_max)と等しい値を付与する。このとき最大LSP設定速度(LSP_set-speed_max)は、現時点の車両速度に値(ΔV_set_max)を加えたものと定義され、値(ΔV_set_max)は、LSP設定速度(LSP_set-speed)が現行の地形タイプに対する瞬間的な車両速度を超えることが許容される最大値であり、すなわち「+設定」ボタンが解放されたとき、LSP設定速度(LSP_set-speed)が現時点の車両速度より大きい場合、車両は、LSP設定速度(LSP_set-speed)に向かって加速し続け、その時の継続的な加速度の大きさは、車両速度および/または現行のTRモードに基づいて決定される。値(ΔV_set_max)は、制御システムがそのメモリ内に記憶された参照テーブルを参照することにより取得される。この方法は、ステップS215へ進み、車両速度は、LSP設定速度(LSP_set-speed)に制御される。
【0108】
「+設定」ボタンに関して上記説明したが、理解されるように、LSP制御モードが動作可能であるとき、アクセルペダルが「+設定」ボタンとして機能するように構成することができ、上記説明した方法およびシステムは、「+設定」ボタンの押下を、車両がLSP制御モードが動作しているときのアクセルペダルの踏込に置き換えることができる。
【0109】
[B724:現行地形タイプに基づいた、ATPCの可変設定速度の増大調整]
さまざまな地形を乗り越えるために車両が利用される場合、車両に供給される同一の応答入力信号に対する車両応答は、現行地形タイプに依存して異なる挙動をもたらすことが確認されてきた。特に、たとえば異なる路面および異なる表面摩擦係数により車両に負荷される牽引力が異なり、駆動輪に加わる正のトルクを増大させることにより車両が加速するとき、駆動輪に加わる正のトルクを低減させ、または負のトルクを増大させることにより、車両が減速するとき、車両応答は、地形タイプに依存して異なる場合がある。さらに、異なる地形タイプに対して、地形の性状に起因して異なるレベルのドライバ制御が必要となる。たとえば舗装道路またはコンクリートのような固く平坦な路面上を走行するとき、ドライバの作業負荷は比較的に小さいが、一方、異なる大きさの岩が散在する岩肌の多い路面を乗り越えようとするとき、ドライバの作業負荷は比較的に大きくなる。少なくともこれらの理由により、オフロードを走行しているとき、車両制御を支援し、安定性を向上させ、ドライバの作業負荷を軽減するために、車両走行中の地形タイプに依存して、車両は同一のドライバ入力値に対して異なる手法で応答することが好ましい場合がある。
【0110】
上記説明したように、低速推進制御システムは、ハイウェイ以外の路面上を走行するのに適しており、標準的なクルーズ制御システムにより制御される車両速度より小さい車両速度に制御することを提案するものである。
【0111】
このシステムは、車両速度を目標設定速度(LSP_set-speed)に制御し、たとえばドライバが「+設定」ボタンまたは「−設定」ボタンを押下することにより、設定速度を漸次的に増減させることができる。
【0112】
保護を求める本発明に係る態様によれば、複数の車輪を有する車両のための車両速度制御システムが提案され、この車両速度制御システムは、入力された目標設定速度に基づいて車両速度を自動的に制御するように構成されている。この車両速度制御システムは、目標設定速度に関するドライバ入力を受ける手段と、車両制御速度で車両を推進させるために、複数の車輪のうちの少なくとも1つの車輪にトルクを加える手段と、瞬間的な車両速度および車両走行中の地形のうちの少なくとも一方に基づいて目標設定速度を制御する手段とを備える。
【0113】
目標設定速度を制御する手段は、ドライバが入力手段を操作するごとに目標設定速度を漸進的な値だけ漸次的に増減させることを可能にする入力手段を有する。車両速度制御システムは、瞬間的な車両速度および車両走行中の地形のうちの少なくとも一方に基づいて漸進的な値を決定するように構成される。
【0114】
車両走行中の地形に基づいて車両制御速度を制御する手段は、車両の操舵ハンドル171上に実装された「+設定」ボタン174と「−設定」ボタン175とを有する。
【0115】
車両速度制御システムは、「+設定」ボタン174または「−設定」ボタン175が押下されるごとに、所定の値だけLSP設定速度(LSP_set-speed)を増減させる。択一的な実施形態では、車両速度制御システムが要求するトルクを所定の値だけ増減させて、車両速度を増減させてもよい。その後、LSP設定速度(LSP_set-speed)は、新しい車両速度にリセットしてもよい。
【0116】
「+設定」ボタンおよび/または「−設定」ボタンがLSP設定速度(LSP_set-speed)を増減させる所定の値、またはトルク要求は、車両走行中の地形に基づいて決定される。
【0117】
上述のように、車両は、車両走行中の地形に基づいて車両構成を制御するTRコントローラを有する。TRモードは、ドライバにより入力されてもよいし、または車両に搭載された複数の車両センサおよび/または環境センサから収集されるデータに基づいてTRコントローラにより自動的に決定および設定されてもよい。
【0118】
1つの実施形態では、車両速度制御システムは、ドライバ選択による地形モードを示す信号に基づいて、「+設定」ボタンおよび「−設定」ボタンの増減分(増減される漸次的な値)を設定してもよい。択一的には、車両速度制御システムは、検出された車両パラメータおよび/または環境パラメータに基づいて自動的に選択された地形モードを示す信号に基づいて「+設定」ボタンおよび「−設定」ボタンの増減分を設定してもよい。
【0119】
制御システムは、TRモードに付随した、またはこれに適した「+設定」増加分(漸次的に増大されるインクリメント値)および/または「−設定」低減分(漸次的に低減されるインクリメント値)に相関する参照テーブルを含む記憶手段を有する。本発明のこの態様による実施形態において、車両速度制御システムは、「+設定」ボタンまたは「−設定」ボタンが選択されたとき、車両がTRモードで動作していることを確認するとともに、そのモードに対して適当な増減分を参照する。択一的には、TRモードの設定または選択は、車両速度制御システムにより適当な増減分の大きさを自動的に参照させ、「+設定」ボタンまたは「−設定」ボタンを操作したことを自動的に記憶させてもよい。
【0120】
特に「+設定」増加分は、いくつかのTRモードにおいてより小さく、特にサスペンションの長い移動距離または大きいトルク変化に関連し得るTRモードにおいてより小さい。たとえばTRモードは、「泥/轍モード」および「岩徐行モード」を含み、これらのモードの「+設定」増加分は、「砂モード」、「草/砂利/雪モード」、および「特別プログラムオフ(SPO)」モード等の他のモードの「+設定」増加分より小さくてもよい。このように、「+設定」制御を作動させると、いくつかのモードの加速度は小さく、車両は、「+設定」入力値に呼応してさほど加速せず、困難な地形上の制御をより精緻することができ、車両安定性を改善することができる。LSP設定速度(LSP_set-speed)の変化率、すなわち現在の速度から新規のLSP設定速度(LSP_set-speed)までの加速度を低減することにより、牽引力を改善することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、「−設定」制御を同様に構成してもよいが、択一的には、「−設定」制御が「+設定」制御とは独立して変化するか、または一定の値に設定できるように、「−設定」制御が別の参照テーブルを有してもよい。たとえば車両を減速させるとき、ドライバはすべてのモードで同一のまたは同様の車両減速度が得られるように、減速度の低減分は一定であることが好ましい。
【0122】
さらに増減分の大きさは、瞬間的な車両速度に基づいて補正してもよく、特に、より低速で増減分はより大きく、より高速で増減分はより小さくしてもよい。これは、TRモードおよび速度と増減分との関連付ける参照テーブルを用いることにより実現してもよく、あるいは増減分に対する車両速度の関数を用いることにより実現してもよい。
・(増減分(漸進的に増減されるインクリメント値)IV)=IVLOOKUP × C(VINST)
ここで、IVLOOKUPは、参照テーブルから得られたIV値であり、VINSTは、瞬間的な車両速度であり、Cは定数である。
【0123】
理解されるように、いくつかの実施形態では、オフロード速度制御システムは、前方または後方の運転時に動作可能であってもよい。
【0124】
理解されるように、本発明に係る実施形態による速度制御システムは、ATPC(オールテレイン・プログレス・コントロール、全地形推進制御)システムの一部を構成するものであってもよく、ATPCシステムは、車両が走行している所与の地形に対して1つまたはそれ以上のサブシステム形態等の1つまたはそれ以上の車両形態を最適化するように構成された1つまたはそれ以上の車両制御システムと協働して、または車両制御システムとは独立して動作するように構成されたものである。こうしたシステムの具体例は、テレイン・レスポンス(登録商標)システムである。
【0125】
理解されるように、上記実施形態は単なる具体例として説明したものであり、本発明を限定することを意図したものではなく、本発明の範囲は添付クレームにより特定される。
【0126】
本願の明細書およびクレーム全体を通じて、「備える(comprise)」および「含む(contain)」の用語、ならびに「備える(comprising, comprises)」等の変形した用語は、「限定せずに有する(including but not limited to)」を意味し、他の分子、添加剤、部品、整数、またはステップを除外することを意図するものではない。
【0127】
本願の明細書およびクレーム全体を通じて、文脈上必須でなければ、単数名詞は複数名詞を含むものとする。特に、不定冠詞を用いた場合、本願明細書は、文脈上必須でなければ、単数名詞だけでなく複数名詞をも含むものと理解されたい。
【0128】
本発明に係る特別の態様、実施形態、または実施例に関する特徴物、整数、特性、化合物、化学的な部分またはグループは、矛盾するものでなければ、本願に記載された任意の他の態様、実施形態、または実施例に適用可能である理解されたい。
【符号の説明】
【0129】
10…車両制御ユニット(VCU)、11…パワートレインコントローラ、12…低速推進(LSP)制御システム、12HD…ヒルディセント制御(HDC)システム、13…ブレーキコントローラ、14…スタビリティ制御システム(SCS)、16…クルーズ制御システム、18…クルーズ制御HMI(クルーズ制御ヒューマン・マシン・インターフェイス)、20…低速推進制御HMI(LSP制御HMI)、22…ブレーキシステム、28…コンパレータ、40…評価ユニット、100…車両、100C…シャーシ、111,112…前輪、114,115…後輪、118…ドライブシャフト、121…エンジン、124…オートマッチックトランスミッション(自動トランスミッション)、124S…トランスミッションモード・セレクタダイヤル、129…パワートレイン、130…ドライブライン、131…補助ドライブライン部、131P…動力伝達ユニット(PTU)、132…補助ドライブシャフトまたはプロペラシャフト、135…後輪ディファレンシャル、137…前輪ディファレンシャル、138…前輪ドライブシャフト、139…後輪ドライブシャフト、161…アクセルペダル、163…ブレーキペダル、170C…ステアリングコントローラ(ePASユニット)、171…操舵ハンドル、172…LSP制御システム選択ボタン、173…設定速度制御部、173R…再開ボタン、174…「+」ボタン、175…「−」ボタン、176…クルーズ制御システム選択ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7