(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の第1、第2および第3の組の各々の前記少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層が、ウルツ鉱結晶対称性と、金属極性または窒素極性のいずれかである前記成長方向における結晶極性と、を有する、請求項3に記載の光電子デバイス。
当該光電子デバイスが、光放射デバイスとして構成され、光が、前記p型活性領域及び前記n型活性領域によって供給された電気的に活性な正孔と電子との再結合によって生成され、前記再結合は、前記i型活性領域において起こる、請求項3に記載の光電子デバイス。
前記垂直に発光するキャビティデバイスが、実質的に前記成長方向に沿って配置され、前記半導体構造の一つ以上の部分に沿って空間的に配置された金属反射体を使用して形成された垂直キャビティを有し、
前記反射体が、高光反射率金属から作られ、
前記垂直キャビティが、前記デバイスによって放射された前記光の波長以下である、前記反射体間の光路長によって画定され、かつ
前記波長が、前記半導体構造を備えた前記一つ以上の超格子の光放射エネルギー、及び前記垂直キャビティによって決定される光学キャビティモードによって決定される、請求項10に記載の光電子デバイス。
前記半導体構造がそこで成長する結晶基板をさらに備えており、緩衝層が前記基板上で最初に成長し、その後、前記緩衝層をもつ前記半導体構造が、面内格子定数を提供する歪み制御機構として作用する、請求項1に記載の光電子デバイス。
前記少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の第1、第2および第3の組の一つ以上の組の一つ以上の層を、意図的に不純物種をドープしない、請求項1に記載の光電子デバイス。
前記少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の第1、第2および第3の組の一つ以上の組の一つ以上の層を、意図的に、一つ以上の不純物種でドープするまたは一つ以上の不純物種で形成する、請求項1に記載の光電子デバイス。
前記一つ以上の前記p型超格子、前記n型超格子および前記i型超格子の前記少なくとも一つの少なくとも一部分が、意図的にドープした領域の活性化エネルギーを強めて電子または正孔キャリア濃度を改善するための一軸性歪みまたは二軸性歪みを含む、請求項21に記載の光電子デバイス。
第二の側部コンタクトが、前記p型活性領域の表面上に形成された第二のコンタクト層から前記p型活性領域内に部分的に延在する、請求項26に記載の光電子デバイス。
前記第二のコンタクト層が、金属コンタクト層であり、p型コンタクト層が、前記p型活性領域と前記金属コンタクト層との間に形成された、請求項27に記載の光電子デバイス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施形態の好ましい目的は、先行技術の前述の問題の一つ以上を解決または少なくとも改良する光電子デバイス及び/または有用な商業的な代替物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一形態において、唯一のまたは実際に最大限広範な形態である必要はないが、本発明は、半導体構造を備えた光電子デバイスに属し、このデバイスは、
p型活性領域と、
n型活性領域と、を含み、
半導体構造は、専ら一つ以上の超格子からなり、
各超格子は、複数個の単位格子からなり、かつ
各単位格子は、少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層を備える。
【0011】
好ましくは、半導体構造は、実質的に単結晶構造である。
適切には、半導体構造は、n型活性領域とp型活性領域との間にi型活性領域を含む。
【0012】
好ましくは、半導体構造全体を通じて、互いに隣接する単位格子は、実質的に同一の平均合金含有量を有する。
【0013】
好ましくは、i型活性領域は、1nm以上かつ100nm以下の厚さを有する。
好ましくは、i型活性領域は、1nm〜約10μmの範囲から選択された横方向幅を有する。
【0014】
好ましくは、半導体構造は、既定の成長方向に沿ったエピタキシャル層成長によって構成される。
【0015】
適切には、複数個の単位格子の各々の平均合金含有量は、各超格子内において一定である。
【0016】
適切には、複数個の単位格子の各々の平均合金含有量は、半導体構造のかなりの部分において一定である。
【0017】
適切には、複数個の単位格子の各々の平均合金含有量は、一つ以上の超格子の少なくとも一つの内部において成長方向に沿って一定ではない。
【0018】
適切には、複数個の単位格子の各々の平均合金含有量は、一つ以上の超格子の少なくとも一つの一部内において成長方向に沿って周期的に変化する。
【0019】
適切には、複数個の単位格子の各々の平均合金含有量は、一つ以上の超格子の少なくとも一つの異なる領域においてエピタキシャル成長方向に沿って周期的に及び非周期的に変化する。
【0020】
適切には、複数個の単位格子の各々における少なくとも二つの層は、その各々が、それぞれの層が成長方向に沿って構成された、材料の6個の単分子層以下の厚さを有する。
【0021】
適切には、一つ以上の超格子の少なくとも一部分内の複数個の単位格子の各々の少なくとも二つの層のうちの一つは、成長方向に沿って原子の1〜10個の単分子層を備え、そしてそれぞれの単位格子の各々における他の一つ以上の層は、成長方向に沿って合計で原子の1〜10個の単分子層を備える。
【0022】
適切には、各超格子内の各単位格子の異なる実質的な単結晶層のすべてまたは大部分は、成長方向に沿って原子の1個の単分子層〜10個の単分子層の厚さを有する。
【0023】
適切には、複数個の単位格子の各々の成長方向における平均厚さは、一つ以上の超格子の少なくとも一つの内部において一定である。
【0024】
適切には、n型活性領域、p型活性領域及びi型活性領域の二つ以上における単位格子は、異なる平均厚さを有する。
【0025】
好ましくは、各単位格子の少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層は、ウルツ鉱結晶対称性、及び金属極性または窒素極性のいずれかである、成長方向における結晶極性を有する。
【0026】
適切には、結晶極性は、成長方向に沿って空間的に変化し、結晶極性は、窒素極性と金属極性との間で交互に反転される。
【0027】
適切には、一つ以上の超格子における各単位格子における各層は、量子化されたエネルギー状態、ならびに超格子の電子バンド構造における電子及び正孔についての空間波動関数を制御することによって、光電子デバイスの電子的及び光学的特性を制御するように選択された厚さを有する。
【0028】
適切には、光電子デバイスは、光放射デバイスとして構成され、光エネルギーが、p型活性領域及びn型活性領域によって供給された電気的に活性な正孔と電子との再結合であって、実質的にp型活性領域とn型活性領域との間の領域において起こる再結合によって生成される。
【0029】
適切には、光電子デバイスによって放射される光は、紫外線光である。
適切には、光電子デバイスによって放射される光は、150nm〜280nmの波長範囲の紫外線光である。
【0030】
適切には、光電子デバイスによって放射される光は、210nm〜240nmの波長範囲の紫外線光である。
【0031】
適切には、光電子デバイスは、成長方向に対して実質的に横断する磁気光学偏光を有する光を放射する。
【0032】
適切には、光電子デバイスは、半導体構造の一つ以上の超格子の単位格子の一つ以上の層の面とほぼ平行な方向に沿って光が空間的に生成され、閉じ込められる光導波路として動作する。
【0033】
適切には、光電子デバイスは、成長方向に対して実質的に横断する電気光学偏光を有する光を放射する。
【0034】
適切には、光電子デバイスは、半導体構造の一つ以上の超格子の単位格子の一つ以上の層の面と実質的に垂直な方向に沿って光を空間的に生成し、閉じ込める、垂直に発光するキャビティデバイスとして動作する。
【0035】
適切には、垂直に発光するキャビティデバイスは、実質的に成長方向に沿って配置され、半導体構造の一つ以上の部分に沿って空間的に配置された金属反射体を使用して形成された垂直キャビティを有する。
【0036】
適切には、反射体は、高光反射率金属から作られる。
適切には、キャビティは、デバイスによって放射された光の波長以下である、反射体間の光路長によって画定される。
【0037】
適切には、波長は、半導体構造を備えた一つ以上の超格子の光放射エネルギー、及び垂直キャビティによって決定される光学キャビティモードによって決定される。
【0038】
適切には、高光反射率金属は、アルミニウム(Al)である。
適切には、半導体構造の少なくとも一つの領域は、光エネルギーに対して実質的に透過である。
【0039】
適切には、少なくとも一つの領域は、p型活性領域及びn型活性領域の少なくとも一つから選択される。
【0040】
適切には、反射層が、半導体構造内で生成された光エネルギーの外部での連結を改善するために提供される。
【0041】
適切には、反射層は、デバイスの内部からの放射された光を実質的に逆反射するように、光電子デバイスの上に位置付けられる。
【0042】
適切には、光電子デバイスは、半導体構造がそこで成長する結晶基板を備える。
適切には、半導体構造によって生成された光エネルギーは、基板を通り抜けて光電子デバイスから外へ導かれる。
【0043】
適切には、緩衝層が基板上で最初に成長し、その後、緩衝層をもつ半導体構造は、既定の面内格子定数を提供する歪み制御機構として作用する。
【0044】
適切には、緩衝層は、一つ以上の超格子を含む。
適切には、透過領域が、緩衝層及び基板に隣接して提供され、緩衝層は、デバイスから放射された光エネルギーを透過させる。
【0045】
適切には、光エネルギーは、透過領域、緩衝層及び基板を通って外部において連結される。
【0046】
適切には、p型活性領域またはn型活性領域のいずれかが、最初に成長する。
適切には、各超格子における各単位格子の少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の各々は、以下の組成の少なくとも一つを備える。
【0047】
二元組成物単結晶半導体材料(A
xN
y)、ここでは、0<x≦1及び0<y≦1、
三元組成物単結晶半導体材料(A
uB
1−uN
y)、ここでは、0≦u≦1及び0<y≦1、
四元組成物単結晶半導体材料(A
pB
qC
1−p−qN
y)、ここでは、0≦p≦1、0≦q≦1及び0<y≦1、
ここでは、A、B及びCは、II族及び/またはIII族元素から選択された異なる金属原子であり、Nは、窒素、酸素、ヒ素、リン、アンチモン及びフッ素の少なくとも一つから選択された陽イオンである。
【0048】
適切には、各超格子における各単位格子の少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の各々は、以下の組成の少なくとも一つを備える。
【0049】
III族金属窒化物材料(M
xN
y)、
III族金属ヒ化物材料(M
xAs
y)、
III族金属リン化物材料(M
xP
y)、
III族金属アンチモン化物材料(M
xSb
y)、
II族金属酸化物材料(M
xO
y)、
II族金属フッ化物材料(M
xF
y)、
ここでは、0<x≦3及び0<y≦4であり、Mは、金属である。
【0050】
適切には、各超格子における各単位格子の少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の各々は、以下の組成の少なくとも一つを備える。
【0051】
窒化アルミニウム(AlN)、
窒化アルミニウムガリウム(Al
xGa
1−xN)、ここでは、0≦x<1、
窒化アルミニウムインジウム(Al
xIn
1−xN)、ここでは、0≦x<1、
窒化アルミニウムガリウムインジウム(Al
xGa
yIn
1−x−yN)、ここでは、0≦x<1、0≦y≦1及び0<(x+y)<1。
【0052】
適切には、一つ以上の超格子の各単位格子の一つ以上の層は、意図的に不純物種をドープしない。
【0053】
適切には、n型活性領域及び/またはp型活性領域の一つ以上の超格子の各単位格子の一つ以上の層は、意図的に、一つ以上の不純物種をドープするまたは一つ以上の不純物種で形成する。
【0054】
適切には、n型活性領域における一つ以上の不純物種は、以下から選択される。
シリコン(Si)、
ゲルマニウム(Ge)、
シリコン−ゲルマニウム(Si
xGe
1−x)、ここでは、0<x<1、
結晶性シリコン−窒化物(Si
xN
y)、ここでは、0<x<3及び0<y<4、
結晶性ゲルマニウム−窒化物(Ge
xN
y)、ここでは、0<x<3及び0<y<4、
結晶性シリコン−アルミニウム−ガリウム−窒化物(Si
u[Al
xGa
1−y]
zN
v)、
ここでは、u>0、x>0、0<y<1、z>0及びv>0、または
結晶性ゲルマニウム−アルミニウム−ガリウム−窒化物(Ge
u[Al
xGa
1−y]
zN
v)、ここでは、u>0、x>0、0<y<1、z>0及びv>0。
【0055】
適切には、p型活性領域における一つ以上の不純物種は、以下から選択される。
マグネシウム(Mg)、
亜鉛(Zn)、
マグネシウム−亜鉛(Mg
xZn
1−x)、ここでは、0≦x≦1、
結晶性マグネシウム−窒化物(Mg
xN
y)、ここでは、0<x≦3及び0<y≦2、または
マグネシウム−アルミニウム−ガリウム−窒化物(Mg
u[Al
xGa
1−y]
zN
v)、ここでは、u>0、x>0、0<y<1、z>0及びv>0。
【0056】
適切には、n型活性領域またはp型活性領域における一つ以上の不純物種は、以下から選択される。
【0057】
水素(H)、
酸素(O)、
炭素(C)、または
フッ素(F)。
【0058】
適切には、一つ以上の不純物種は、イオン注入による成長後に導入される。
適切には、一つ以上の超格子の少なくとも一つの少なくとも一部分は、意図的にドープした領域の活性化エネルギーを強めて電子または正孔キャリア濃度を改善するための一軸性歪みまたは二軸性歪みを含む。
【0059】
適切には、一つ以上の超格子の露出または物理的にエッチングされた層は、パッシベーション層によって覆われる。
【0060】
適切には、第一の側部コンタクトが、n型活性領域の表面上に形成された第一のコンタクト層からn型活性領域内に部分的に延在する。
【0061】
適切には、第二の側部コンタクトが、p型活性領域の表面上に形成された第二のコンタクト層からp型活性領域内に部分的に延在する。
【0062】
適切には、第二の側部コンタクトは、第二の側部コンタクトとp型活性領域との間のp型GaNの層に囲まれる。
【0063】
適切には、第二のコンタクト層は、金属コンタクト層であり、p型コンタクト層が、p型活性領域と金属コンタクト層との間に形成される。
【0064】
適切には、各単位格子の少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層は、その各々が、弾性歪みを維持するのに必要な臨界層厚さ以下である厚さを有する。
【0065】
好ましくは、少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の一つ以上は、異なる実質的な単結晶半導体層である。
【0066】
適切には、少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の一つ以上は、金属層である。
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかとなる。
【0067】
添付の図面は、同様の参照数字が個々の図面を通して同一のまたは機能的に類似した要素を指し、以下の詳細な説明とともに、明細書に組み込まれてその一部を形成し、そしてさらに、請求の範囲に記載されている発明を含む概念の実施形態を例証し、それらの実施形態のさまざまな原理及び利点を説明する働きをする。
【発明を実施するための形態】
【0069】
当業者は、図面内の要素が、簡潔さ及び明確のために例証され、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを認識することとなる。例えば、図面内の要素のいくつかの寸法は、本発明の実施形態の理解を改善するのに役立つように、他の要素と相対的に誇張されている場合がある。
【0070】
光電子デバイスコンポーネントは、適切な場合には、図面において従来の記号によって表され、本明細書に記載の利益を有する当業者に容易に明らかとなる詳細を含む開示を曖昧にしないように、本発明の実施形態の理解に関するそれらの具体的な詳細のみを示す。
【0071】
一態様に従い、本発明は、半導体構造を備えた光電子デバイスに属する。好ましい実施形態において、半導体構造は、既定の成長方向に沿った成長、例えば、エピタキシャル層成長によって構成される。半導体構造は、専ら一つ以上の超格子からなる。例えば、半導体構造が二つ以上の超格子を備える場合には、超格子は、近接するスタックにおいて互いの上に形成される。好ましい実施形態において、一つ以上の超格子は、短周期超格子である。一つ以上の超格子の各々は、複数個の単位格子からなり、複数個の単位格子の各々は、少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層を備える。好ましい実施形態において、少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の一つ以上は、異なる単結晶半導体層であり、より好ましくは、少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層のすべてが、異なる単結晶半導体層である。しかしながら、いくつかの実施形態において、少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の一つ以上は、金属層である。例えば、金属層は、アルミニウム(Al)から形成することができる。
【0072】
半導体構造は、p型活性領域及びn型活性領域を含む。半導体構造のp型活性領域は、p型導電率を提供し、n型活性領域は、n型導電率を提供する。好ましい実施形態において、半導体構造は、n型活性領域とp型活性領域との間にi型活性領域を含んで、p−i−nデバイスを形成する。
【0073】
いくつかの実施形態において、半導体構造の各領域は、個々の超格子である。しかしながら、いくつかの代替的な実施形態では、n型活性領域、p型活性領域及び/またはi型活性領域は、単一超格子の領域である。他の代替的な実施形態では、活性領域、p型活性領域及び/またはi型活性領域は、その各々が、一つ以上の超格子を備える。
【0074】
好ましい実施形態において、光電子デバイスは、発光ダイオードまたはレーザであり、かつ/または150nm〜280nmの波長範囲、より好ましくは、210nm〜240nmの波長範囲の紫外線光を放射する。しかしながら、代替的な実施形態では、光電子デバイスは、好ましくは、240nm〜300nmの波長範囲、より好ましくは、260nm〜290nmの波長範囲の紫外線光を放射する。光電子デバイスが光放射デバイスとして構成されたときには、光エネルギーが、p型活性領域及びn型活性領域によって供給された電気的に活性な正孔と電子との再結合によって生成される。正孔と電子との再結合は、実質的にp型活性領域とn型活性領域との間の領域、例えば、i型活性領域またはi型活性領域が除外されているときには、p型活性領域とn型活性領域との接触面の周囲において起こる。
【0075】
一つ以上の超格子における各単位格子における各層は、量子化されたエネルギー状態、ならびに超格子の電子バンド構造における電子及び正孔についての空間波動関数を制御することによって光電子デバイスの電子的及び光学的特性を制御するように選択された厚さを有することができる。この選択によって、所望の電子及び光エネルギーを達成することができる。好ましい実施形態において、複数個の単位格子の各々の成長方向における平均厚さは、一つ以上の超格子の少なくとも一つの内部において一定である。いくつかの実施形態において、n型活性領域、p型活性領域及びi型活性領域の二つ以上における単位格子は、異なる平均厚さを有する。
【0076】
好ましい実施形態において、一つ以上の超格子の少なくとも一部分内の複数個の単位格子の各々の少なくとも二つの層のうちの一つは、成長方向に沿って原子の1〜10個の単分子層を備え、そしてそれぞれの単位格子の各々における他の一つ以上の層は、成長方向に沿って合計で原子の1〜10個の単分子層を備える。いくつかの実施形態において、各超格子内の各単位格子の異なる実質的な単結晶層のすべてまたは大部分は、成長方向に沿って原子の1個の単分子層〜10個の単分子層の厚さを有する。いくつかの実施形態において、複数個の単位格子の各々における少なくとも二つの層は、その各々が、それぞれの層が成長方向に沿って構成された、材料の6個の単分子層以下の厚さを有する。いくつかの実施形態において、各単位格子の厚さは、単位格子の組成に基づいて選ばれる。
【0077】
複数個の単位格子の各々の平均合金含有量は、一つ以上の超格子の少なくとも一つの内部において成長方向に沿って一定であっても良いし、一定でなくても良い。平均合金含有量を一定に維持することによって、異種超格子の単位格子の有効面内格子定数の格子整合が可能になる。好ましい実施形態において、半導体構造全体を通じて、互いに隣接する単位格子は、実質的に同一の平均合金含有量を有する。いくつかの実施形態において、複数個の単位格子の各々の平均合金含有量は、半導体構造のかなりの部分において一定である。
【0078】
いくつかの実施形態において、複数個の単位格子の各々の平均合金含有量は、一つ以上の超格子の少なくとも一つの一部内において、成長方向に沿って周期的に及び/または非周期的に変化する。いくつかの実施形態において、複数個の単位格子の各々の平均合金含有量は、一つ以上の超格子の少なくとも一つの異なる領域においてエピタキシャル成長方向に沿って周期的に及び非周期的に変化する。
【0079】
好ましい実施形態において、各単位格子の少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層は、ウルツ鉱結晶対称性、及び金属極性または窒素極性のいずれかである、成長方向における結晶極性を有する。いくつかの実施形態において、結晶極性は、成長方向に沿って空間的に変化し、結晶極性は、窒素極性と金属極性との間で交互に反転される。
【0080】
好ましくは、各超格子における各単位格子の少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の各々は、以下の組成の少なくとも一つを備える。二元組成物単結晶半導体材料(A
xN
y)、ここでは、0<x≦1及び0<y≦1、三元組成物単結晶半導体材料(A
uB
1−uN
y)、ここでは、0≦u≦1及び0<y≦1、四元組成物単結晶半導体材料(A
pB
qC
1−p−qN
y)、ここでは、0≦p≦1、0≦q≦1及び0<y≦1。ここで、A、B及びCは、II族及び/またはIII族元素から選択された異なる金属原子であり、Nは、窒素、酸素、ヒ素、リン、アンチモン及びフッ素の少なくとも一つから選択された陽イオンである。
【0081】
より好ましくは、各超格子における各単位格子の少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の各々は、以下の組成の少なくとも一つを備える。III族金属窒化物材料(M
xN
y)、III族金属ヒ化物材料(M
xAs
y)、III族金属リン化物材料(M
xP
y)、III族金属アンチモン化物材料(M
xSb
y)、II族金属酸化物材料(M
xO
y)、II族金属フッ化物材料(M
xF
y)。ここでは、0<x≦3及び0<y≦4であり、Mは、金属である。いくつかの実施形態において、金属Mは、一つ以上のII族、III族またはIV族元素から選択される。例えば、各超格子における各単位格子の少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の各々は、以下の組成の少なくとも一つを備える。窒化アルミニウム(AlN)、窒化アルミニウムガリウム(Al
xGa
1−xN)、ここでは、0≦x<1、窒化アルミニウムインジウム(Al
xIn
1−xN)、ここでは、0≦x<1、窒化アルミニウムガリウムインジウム(Al
xGa
yIn
1−x−yN)、ここでは、0≦x<1、0≦y≦1及び0<(x+y)<1。いくつかの実施形態において、少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層のうちの一つは、より狭いバンドギャップの材料を備え、少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の別の一つは、より広いバンドギャップの材料を備える。
【0082】
いくつかの実施形態において、各単位格子の少なくとも二つの異なる実質的な単結晶層の一つ以上は、金属から形成される。例えば、各単位格子は、アルミニウム(Al)層及び窒化アルミニウム(AlN)層を備えることができる。
【0083】
いくつかの実施形態において、一つ以上の超格子の各単位格子の一つ以上の層は、例えば、n型活性領域、p型活性領域及び/またはi型活性領域において意図的に不純物種をドープしない。代替的にまたは追加的に、n型活性領域及び/またはp型活性領域の一つ以上の超格子の各単位格子の一つ以上の層は、意図的に、一つ以上の不純物種をドープするまたは一つ以上の不純物種で形成する。例えば、適切には、n型活性領域における一つ以上の不純物種は、以下から選択される。シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコン−ゲルマニウム(Si
xGe
1−x)、ここでは、0<x<1、結晶性シリコン−窒化物(Si
xN
y)、ここでは、0<x<3及び0<y<4、結晶性ゲルマニウム−窒化物(Ge
xN
y)、ここでは、0<x<3及び0<y<4、結晶性シリコン−アルミニウム−ガリウム−窒化物(Si
u[Al
xGa
1−y]
zN
v)、ここでは、u>0、x>0、0<y<1及びv>0、または結晶性ゲルマニウム−アルミニウム−ガリウム−窒化物(Ge
u[Al
xGa
1−y]
zN
v)、ここでは、u>0、x>0、0<y<1及びv>0。例えば、p型活性領域における一つ以上の不純物種は、以下から選択される。マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、マグネシウム−亜鉛(Mg
xZn
1−x)、ここでは、0≦x≦1、結晶性マグネシウム−窒化物(Mg
xN
y)、ここでは、0<x≦3及び0<y≦2、またはマグネシウム−アルミニウム−ガリウム−窒化物(Mg
u[Al
xGa
1−y]
zN
v)、ここでは、u>0、x>0、0<y<1及びv>0。n型活性領域またはp型活性領域における一つ以上の不純物種は、以下からも選択することができる。水素(H)、酸素(O)、炭素(C)、またはフッ素(F)。
【0084】
一つ以上の超格子の少なくとも一つの少なくとも一部分は、活性化された不純物ドーピングの準位を変更するための、一軸性歪み、二軸性歪みまたは三軸性歪みを含むことができる。つまり、少なくとも一つの結晶方向における結晶変形の作用によって誘発された歪みが、一つ以上の超格子の層における材料のエネルギーバンド構造を有利に変形することができる。次に、伝導帯または価電子帯端の結果生じたエネルギーシフトを使用して、超格子に対応する所与の不純物ドーパントの活性化エネルギーを減少させることができる。例えば、ウルツ鉱型格子構造をもつp型のMgドープされたGaNなどのIII族窒化物材料は、c面とほぼ平行及び成長方向と垂直な弾性引張歪みを受けることができる。結果生じた価電子帯端のエネルギーのシフトによって、前述の価電子帯端とMg不純物準位との間のエネルギー分離が減少する。このエネルギー分離は、正孔のための活性化エネルギーとして公知であり、温度に依存する。故に、歪みの活用を通じた、不純物ドーパントに起因する特定のキャリアの活性化エネルギーの減少が、ドープされた材料の活性化されたキャリア密度を劇的に改善する。この内蔵歪みは、超格子の形成中のエピタキシャル材料形成ステップ期間に選択することができる。例えば、GaNエピ層は、単結晶AlN層に直接に積層させた場合に引張面内歪みを含んで形成することができる。例えば、p型活性領域における場合には、AlN及びMgドープされたGaN層は、その各々が、1〜7個の単分子層の厚さに制限され、その結果、その両方は、界面転位などの有害な結晶欠陥を生成することなく、弾性的に変形する。ここで、AlN層は、面内圧縮応力を受け、その一方で、MgドープされたGaN層は、面内引張応力を受けることとなる。故に、歪みは、不純物種を含有する意図的にドープした領域の一つ以上の活性化エネルギーを強めることができる。これは、意図的にドープした領域の一つ以上における電子または正孔キャリア濃度を改善する。
【0085】
図1は、本発明のいくつかの実施形態態に従う、光電子デバイスについてのスタック100の断面図を示す略図である。一実施形態において、光電子デバイスは、発光ダイオード(LED)である。しかしながら、本発明が、光電子デバイスにおいて適切な反射層またはミラーが位置決めされたスーパールミネッセントLED及びレージングデバイスを製造するようにも適応し得ることを認識すべきである。
【0086】
スタック100は、結晶基板110を備える。緩衝領域112が、基板110上で最初に成長し、その後、半導体構造114が成長する。緩衝領域112及び半導体構造114は、矢印101によって指し示された成長方向において形成されるまたは成長する。緩衝領域112は、緩衝層120及び一つ以上の超格子130を含む。好ましい実施形態において、緩衝領域は、既定の面内格子定数を提供する歪み制御機構として作用する。
【0087】
半導体構造114は、成長順に、n型活性領域140、i型活性領域150及びp型活性領域160を備える。p型コンタクト層170が、p型活性領域160上に任意で形成される。第一のコンタクト層180が、p型コンタクト層170またはp型コンタクト層が存在しない場合にはp型活性領域160上に形成される。好ましい実施形態において、半導体構造の少なくとも一つの領域は、光電子デバイスによって放射された光エネルギーを実質的に透過させる。例えば、p型活性領域及び/またはn型活性領域は、放射された光エネルギーを透過させる。
【0088】
好ましい実施形態において、基板110は、300μm〜1000μmの厚さを有する。基板110の厚さは、基板110の直径に基づいて選ぶことができる。例えば、2インチ(25.4mm)の直径を有し、c面サファイアから作られた基板は、およそ400μmの厚さを有することができ、6インチの直径を有する基板は、およそ1mmの厚さを有することができる。基板110は、n型活性領域に生来の天然材料から作られた天然基板であっても良いし、n型活性領域に生来しない非天然材料から作られた非天然基板であって良い。例えば、n型活性領域が一つ以上のIII族金属窒化物材料を備える場合には、基板110は、AlNまたはGaNなどの同様のIII族金属窒化物材料から作られても良いし、Al
2O
3またはSi(111)などの非天然材料から作られても良い。しかしながら、当業者は、基板110を、基板110の上方に形成された層と両立できる多くの他の材料から作り得ることを認識することとなる。例えば、基板は、酸化マグネシウム(MgO)若しくは酸化亜鉛(ZnO)などの結晶金属酸化物材料、炭化ケイ素(SiC)、フッ化カルシウム(CaF
2)、アモルファスガラス上の結晶薄膜半導体、または金属上の結晶薄膜半導体から作ることができる。
【0089】
緩衝領域112は、基板110と半導体構造114との間の遷移領域として作用する。例えば、緩衝領域112は、基板110と半導体構造114との間の格子構造においてより良い整合を提供する。例えば、緩衝領域112は、バルク状の緩衝層、それに続いて、デバイスの半導体構造の一つ以上の超格子を積層させるのに適切な所望の面内格子定数を達成するように設計された少なくとも一つの超格子を備えることができる。
【0090】
好ましい実施形態において、緩衝領域112における緩衝層120は、50nm〜数マイクロメートル、好ましくは、100nm〜500nmの厚さを有する。緩衝層120は、基板110の格子構造を一つ以上の超格子の最下位層の格子構造と整合させるのに適切な任意の材料から作ることができる。例えば、一つ以上の超格子の最下位層がAlNなどのIII族金属窒化物材料から作られる場合には、緩衝層120は、AlNから作ることができる。代替的な実施形態では、緩衝層120は、除外することができる。
【0091】
緩衝領域112における一つ以上の超格子130、及び半導体構造114における一つ以上の超格子は、複数個の単位格子を備えるものとして検討することができる。例えば、緩衝領域112における単位格子132、n型活性領域140における単位格子142、i型活性領域150における単位格子152、及びp型活性領域160の単位格子162がある。複数個の単位格子の各々は、二つの異なる実質的な単結晶層を備える。各単位格子における第一の層は、「A」とラベルされ、各単位格子における第二の層は、「B」とラベルされる。
【0092】
半導体構造の異なる領域において、各単位格子における第一の層及び/または第二の層は、同じ組成を有しても良いし、異なる組成を有しても良く、かつ/または同じ厚さを有しても良いし、異なる厚さを有しても良い。例えば、
図1は、n型活性領域140及びp型活性領域160よりもi型活性領域150の厚さが大きい第一の層及び第二の層を示す。
【0093】
n型活性領域140は、n型導電率を提供する。好ましい実施形態において、n型活性領域140における各単位格子142における第一の層142A及び第二の層142Bの一つまたは両方は、前述の材料などのドーパント材料でドープまたは形成される。いくつかの実施形態において、ドーパント材料は、各単位格子の第一の層と第二の層とで異なる。
【0094】
i型活性領域150は、光電子デバイスの主活性領域である。好ましい実施形態において、i型活性領域は、選択された発光エネルギーまたは波長における空間的な電子と正孔との再結合を最適化するように設計される。好ましい実施形態において、i型活性領域150の各単位格子152における第一の層152A及び第二の層152Bは、単位格子またはi型活性領域150内部において量子力学的に許容されたエネルギーを制御するように調節された厚さを有する。好ましい実施形態では、単位格子の各層の厚さが1〜10個の単分子層であるので、電子及び光学的構成を決定するために、超格子構造の量子論的記述及び取り扱いが必須となる。ウルツ鉱結晶対称性、さらには極性性質を有するIII族金属窒化物材料を使用して層を形成する場合には、単位格子及び一つ以上の超格子の各ヘテロ接合の全域で多くの内部電界が存在する。これらの内蔵電界は、各ヘテロ接合に生じる自然発生的な圧電電荷の故に形成される。成長方向に沿う複合空間的なバンド構造は、単位格子の層間の組成における空間的変動によって変化する、伝導帯及び価電子帯における些細でないポテンシャル変化を生み出す。この空間的変動は、伝導帯及び価電子帯内部のそれぞれのキャリアのド・ブロイ波長とほぼ程度であり、それ故に、一つ以上の超格子内部において結果生じる制限されたエネルギー準位及び(本明細書においてキャリア波動関数と定義される)空間的確率分布の量子論的取り扱いが必要となる。
【0095】
さらに、半導体構造の結晶極性は、好ましくは、例えば、III族金属窒化物材料から形成された一つ以上の超格子についての成長方向101に沿う金属極性または窒素極性成長のいずれかから選択される。半導体構造の結晶極性に応じて、さらに、i型活性領域150の少なくとも一部分を、光放射を最適化するように選択することができる。例えば、成長方向101に沿う金属極性配向された成長を使用して、GaNとAlNとの交互層を備えるn−i−pスタックのi型活性領域において超格子を形成することができる。n−i−pスタックではn型活性領域が基板に最も近接して形成されるので、i型活性領域は、n型活性領域とp型活性領域との間の距離に及んで直線的に増大する空乏電界を有する(例えば、
図9、
図15及び
図21参照)。その結果、i型活性領域超格子は、n−i−pスタックの内蔵空乏電界に起因するなおもさらなる電界を受ける。あるいは、i型活性領域にわたる内蔵空乏電界は、他の構成において生成することもできる。例えば、スタックは、p型活性領域160が、基板に最も近接し、かつ/または101に沿う窒素極性結晶成長方位を使用して成長するp−i−nスタックであっても良い。
【0096】
p−nスタックの空乏領域またはp−i−nスタックのi型活性領域150にわたる前述の空乏電界は、光電子デバイスの光放射エネルギー及び発光波長もある程度設定することができる。好ましい実施形態において、i型活性領域における各単位格子における第一の層152A及び第二の層152Bの一つまたは両方は、非ドープである、または意図的にドープしない。好ましい実施形態において、i型活性領域150は、100nm以下かつ1nm以上の厚さを有する。i型活性領域は、1nm〜約10μmの範囲から選択された横方向幅を有する。
【0097】
i型活性領域150の全幅は、p型活性領域160とn型活性領域140との間のi型活性領域150にわたる空乏電界強度をさらに調整するように選択できる。n型活性領域140及びp型活性領域160の結晶成長極性、幅ならびに有効電子及び正孔キャリア濃度に応じて、空乏電界強度は、i型活性領域から放射された光の発光エネルギーまたは波長に青方偏移または赤色偏移のいずれかを提供する。
【0098】
p型活性領域160は、p型導電率を提供する。好ましい実施形態において、p型活性領域における各単位格子162における第一の層162A及び第二の層162Bの一つまたは両方は、前述の材料などのドーパント材料でドープまたは形成される。
【0099】
好ましい実施形態において、半導体構造における一つ以上の超格子の各々における複数個の単位格子の各々の第一の層及び第二の層は、III族金属窒化物材料から構成される。例えば、第一の層を窒化アルミニウム(AlN)から構成し、第二の層を窒化ガリウム(GaN)から構成することができる。しかしながら、一つ以上の超格子の各々における第一の層及び第二の層を、前に特定した材料のいずれかから構成できることを認識すべきである。
【0100】
好ましい実施形態において、平均合金含有量、例えば、一つ以上の超格子の第一の層が本質的にAlNからなり、第二の層が本質的にGaNからなるところのAl及び/またはGaは、一定である。代替的な実施形態では、一つ以上の超格子の一つ以上の平均合金含有量は、一定ではない。
【0101】
いくつかの実施形態において、単位格子の平均合金含有量は、半導体構造114及び/またはスタック100のすべての超格子において同じであるが、周期は、超格子間及び/または超格子内部において変化する。平均合金含有量を一定に維持することによって、格子と異種超格子とを整合させることができる。各単位格子のそのような格子が整合した成長によって、大きな数の周期を、歪みを蓄積することなく形成することができる。例えば、n型活性領域140についての超格子の特定の周期の使用によって、n型活性領域140において、放射された光の波長をより透過させることができる。別の実施例において、i型活性領域150についての異なる周期の使用によって、光を垂直に、すなわち、成長方向101と同じ面に放射させることができる。
【0102】
別の実施形態において、一つ以上の超格子は、一定の平均合金含有量及び超格子層の面と実質的に垂直な光放射を有する。例えば、垂直発光デバイスは、AlN及びAlGaN層のAl割合が60%未満であるAlGaNの層をもつ超格子を使用して形成される。なおも別の好ましい実施形態において、一つ以上の超格子の複数個またはすべてがAlN及びGaNを備えた単位格子から構成されることによって、二つの材料のみについての単一の成長温度において最適化された改善された成長プロセスが可能になる。
【0103】
ドーピングは、いくつかの様式において一つ以上の超格子のn型活性領域及び/またはp型活性領域に組み込むことができる。いくつかの実施形態において、ドーピングは、各単位格子における第一の層及び第二の層のいずれかだけに取り込まれる。例えば、Siを第二の単位格子の層におけるGaNに取り込んでn型材料を作り出し、Mgを第二の単位格子の層におけるGaNに取り込んでp型材料を作り出すことができる。代替的な実施形態では、ドーピングを、各単位格子における二つ以上の層/材料に取り込み、ドーパント材料は、単位格子の各層において異なっても良い。いくつかの実施形態において、一つ以上の超格子は、活性化されたドーピングの準位を変更するための一軸性歪みまたは二軸性歪みを含む。
【0104】
好ましい実施形態において、半導体構造の一つ以上の超格子は、好ましくは、c軸(0001)に沿って成長したウルツ鉱型格子構造を備える。一つ以上の超格子がウルツ鉱型格子構造を有する場合には、単分子層は、格子の六角形単位格子の「c」寸法の厚さの半分として画定される。いくつかの実施形態において、半導体構造の一つ以上の超格子は、好ましくは、(001)軸に沿って成長した亜鉛−ブレンド格子構造を備える。一つ以上の超格子が亜鉛−ブレンド格子構造を有する場合には、一個の単分子層は、格子の立方体単位格子の「a」寸法の厚さの半分として画定される。
【0105】
半導体構造の各領域についての単一超格子を
図1に示したが、各領域が、互いの上にスタックされた二つ以上の超格子を含むことができることを認識すべきである。例えば、n型活性層140は、各単位格子におけるそれぞれの層が第一の材料組成を有する第一の超格子、及び各単位格子におけるそれぞれの層が第二の材料組成を有する、第一の超格子上に成長した第二の超格子を含むことができる。いくつかの実施形態において、スタック100は、緩衝領域130、n型活性領域140、i型活性領域150及びp型活性領域160の一つ以上を備える単一超格子を備えることができる。
【0106】
いくつかの実施形態において、一つ以上の超格子の少なくとも一つは、それぞれの超格子の各単位格子が同じ構造を有するという意味で周期的である。例えば、それぞれの超格子の各単位格子は、それぞれの層において、同じ数の層、同じ層厚及び同じ材料組成を有する。
【0107】
いくつかの実施形態において、一つ以上の超格子の少なくとも一つは、単位格子の一つ以上が異なる構造を有するという意味で非周期的である。差異は、層の各々について選ばれた材料、層の厚さ、各単位格子における層の数、またはそれらの組み合わせであっても良い。
【0108】
超格子の各々は、異なる電子的及び光学的特性を達成するための異なる構造を有することができる。それ故に、一つの超格子が周期的であり、他のものが非周期的であっても良い。加えて、スタック100における超格子のすべてが周期的であっても良いし、超格子のすべてが非周期的であっても良い。なおも別の実施形態では、一つ以上の超格子が周期的であっても良く、一つ以上の超格子が非周期的であっても良い。例えば、緩衝領域130における超格子は、格子整合を援助するように非周期的にすることができる。
【0109】
正孔注入層としても公知のp型コンタクト層170が、一つ以上の超格子のp型活性領域の上部に形成される。p型コンタクト層170が第一のコンタクト層180とp型活性領域160との間に形成されるように、第一のコンタクト層180が、p型コンタクト層170上に形成される。好ましい実施形態において、第一のコンタクト層180は、金属コンタクト層である。p型コンタクト層170は、p型活性領域160と第一のコンタクト層180との間の電気的オーム接触を補助する。好ましい実施形態において、p型コンタクト層170は、p型GaNから作られ、5nm〜200nm、好ましくは、10nm〜25nmの厚さを有する。p型コンタクト層170の厚さは、特定の光学波長における光吸収を減少するように、かつ/またはp型コンタクト層170がスタック100の発光波長に対して光学的に反射するように最適化することができる。
【0110】
第一のコンタクト層180によって、スタック100は、電源の正極に接続することができる。好ましい実施形態において、第一のコンタクト層180は、10nm〜数1000nm、好ましくは、50nm〜500nmの厚さを有する。
【0111】
第二のコンタクト層(図示せず)が、n型活性領域140上に形成され、電源の負極と接続する。好ましい実施形態において、第二のコンタクト層は、10nm〜数1000nm、好ましくは、50nm〜500nmの厚さを有する。
【0112】
第一のコンタクト層180及び第二のコンタクト層は、任意の適切な金属から作ることができる。好ましい実施形態において、第一のコンタクト層180は、p型活性領域160と第一のコンタクト層180との間の低オーム接触の形成を補助する高仕事関数金属から作られる。第一のコンタクト層180の仕事関数が十分に高い場合には、その結果、選択的なp型コンタクト層170は、必要なくても良い。例えば、基板が透過性及び絶縁である場合には、半導体構造によって放射された光が実質的に基板を通り抜けて外に導かれ、p型活性領域160が、n型活性領域140よりも基板から遠くに配置される。その結果、第一のコンタクト層180は、理想的には、放射された光の一部を逆反射して基板を戻って通り抜けさせるように、動作波長において高光反射率の特性を有するべきである。例えば、第一のコンタクト層180は、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、オスミウム(Os)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)及びタングステン(W)から選択された金属から作ることができる。とりわけ、スタック100がDUV光を放射する深紫外線(DUV)動作では、第一のコンタクト層180は、通例、低いp型オーム接触及び高光反射率のデュアル仕様を実現しなくても良い。III族金属窒化物についての高仕事関数p型コンタクト金属は、通常、DUV波長反射に乏しい。白金(Pt)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)及びオスミウム(Os)は、高Al%III族金属窒化物組成及び超格子についての理想的な高仕事関数p型コンタクト金属である。優先して、オスミウムは、III族金属窒化物を備えるp型領域についての優れた低オーム接触金属である。
【0113】
しかしながら、スタック100の紫外線及びDUV動作のためには、アルミニウムが、150〜500nmに及ぶ大きな波長範囲にわたって最高光反射率を有するので、すべての金属のうちで最も好ましい。一般に、金属は、金属内への光の低侵入度及び低損失の故に、DUV光反射体として好ましい。これにより、光学マイクロキャビティ構造を形成することができる。逆に、アルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)及び窒化チタン(TiN)などの相対的に低い仕事関数金属を利用して、n型III族金属窒化物組成及び超格子についての低オーム金属コンタクトを形成することができる。
【0114】
図1に示すスタック100が、光電子デバイスについての例示のスタックであり、スタック100を多くの他の様式で作ることができることを認識すべきである。例えば、n型活性層140及びp型活性層160は、p型層160が最初に成長するように反転しても良い。しかしながら、n型活性層140を最初に成長させる理由は、通常、基板または緩衝層上にIII族金属窒化物組成を使用して低欠陥密度n型超格子を成長させることが、p型超格子よりも困難でないからである。緩衝層120及び/または緩衝領域130が選択的な層であり、一つ以上の超格子が基板110上で直接成長できることにも留意すべきである。しかしながら、通常、そのような層/領域の表面が、通常、結晶のc面において配向されるので、緩衝層120及び/または緩衝領域130上に一つ以上の超格子を成長させることがより容易である。
【0115】
いくつかの実施形態において、緩衝領域と、隣接するp型またはn型活性領域とは、緩衝領域とp型またはn型活性領域との間の差異がp型またはn型活性領域における不純物ドーパントの取り込みのみである、同じ超格子の一部である。いくつかの実施形態において、第一の超格子は、超格子を、低欠陥密度及び事前選択された面内格子定数をもつ、実質的に緩和または自立状態にするのに十分な厚さをもって基板上において成長する。
【0116】
別の実施形態において、スタック100は、スタックが
図1のp−i−n接合ではなくp−n接合を形成するように、i型活性層150がなくても製造することができる。さらに、p型コンタクト層170が選択的であり、第一のコンタクト層180が一つ以上の超格子のp型活性領域160上に直接成長できることを認識すべきである。しかしながら、従来の実験施設内製造技術を使用しては、p型活性領域160上に直接第一のコンタクト層180を製造することはより難しい。例えば、薄いが重くドープされたp型コンタクト層170によって、オーム接触を達成するための金属化のための後のエピタキシャルプロセスを、より容易かつより一貫性のあるものにすることができる。しかしながら、汚染のないp型活性領域160の最終エピタキシャル表面上への直接のその場での金属化プロセスが、第一のコンタクト層180の形成のための代替手段を提供する。
【0117】
好ましい実施形態において、一つ以上の超格子は、少なくとも一つの積層サイクル中に連続的に成長する。つまり、ドーパントが、共析出のプロセスを通じたエピタキシー中に取り込まれる。代替方法でも、ドーパントを用いずに一つ以上の超格子の少なくとも一部分を物理的に成長させ、その後、所望のドーパントを取り込んで後成長させることができる。例えば、実験によって、n型III族金属窒化物材料が、通常は、結晶構造品質においてp型III族金属窒化物材料よりも優れていることが見出された。故に、いくつかの実施形態において、p型材料は、スタックの製造の最終シークエンスとして積層される。その後、表面から取り込まれたドーパントを取り込むための後成長法を使用することができる。例えば、イオン注入及び(例えば、スピンオンドーパントを通じた)拡散、それに続く活性化熱アニールがある。
【0118】
半導体構造114は、成長方向101に沿って配向された極性、非極性または半極性の結晶極性をもって成長することができる。例えば、ウルツ鉱型格子構造は、成長方向と実質的に垂直であるc面の六方対称において配向され、成長することができる。その結果、そのように形成された単位格子層の面は、c面上に配向されたものと考えられる。III族金属窒化物などのイオン性のウルツ鉱結晶が、さらに、極性結晶(つまり、反転対称の中心が欠如している結晶)を形成する。これらの極性結晶は、c面と垂直な結晶方向に沿った金属極性または窒素極性であっても良い。
【0119】
他の成長面配向も、成長方向101に沿う半極性及び非極性結晶成長さえも結果生じて達成できる。非極性配向におけるIII族金属窒化物から形成された半導体構造は、立方及び/または亜鉛−ブレンド格子構造の成長を通じても良い。しかしながら、半導体構造がそのような格子構造をもって形成されたときには、通常、半導体構造がウルツ鉱型格子構造をもって形成されたときよりも安定的でない。例えば、III族金属窒化物は、r−面サファイア基板において半極性の結晶極性をもって成長し、一つ以上のa−面配向された超格子を結果生じることができる。
【0120】
成長方向に沿って極性から半極性結晶に結晶極性を減少させることは、各々の及びあらゆるヘテロ接合において生成される自然発生的な圧電電荷の減少のために有利である。そのような半極性及び非極性の結晶極性はいくつかの利点を有するが、最高結晶品質の超格子が、成長方向に沿って配向された単結晶極性を有するウルツ鉱結晶構造を使用して形成されることが見出された。内部分極電荷は、一つ以上の超格子の各単位格子における有効合金含有量を一定に維持することによって有利に管理することができる。任意の一つの単位格子または超格子における平均合金含有量が別の値から変化すると、正味分極電荷が蓄積される。これは有利にも、フェルミエネルギーと相対的な、一つ以上の超格子におけるバンド端エネルギー位置を制御するのに使用できる。
【0121】
例えば、ウルツ鉱型格子は、第一の層及び第二の層が、それぞれ、GaN及びAlNから構成されているときに、単位格子の層間の接触面に電荷分極を有することができる。n型活性領域、i型活性領域及びp型活性領域に一つ以上の超格子を使用し、光電子デバイスを調整するための周期を変化し、そして各単位格子定数における平均Al含有量を維持することによって、光電子スタック100における接触面の電荷分極を減少することができる。
【0122】
さらなる実施形態において、n型活性領域140、i型活性領域150及びp型活性領域160に単一超格子構造を使用し、その超格子は、二軸及び/または単軸応力を通じて歪み、所望の光及び/または電子同調にさらに影響を及ぼす。
【0123】
図2は、本発明の第二の実施形態に従う、光電子デバイスについてのスタック200の断面図を示す略図である。スタック200は、緩衝領域112が一つ以上の超格子130を備えていないことを除いて
図1のスタック100と同様である。
【0124】
図3は、本発明の第三の実施形態に従う、光電子デバイス300の断面図を示す略図である。
図1及び
図2のスタック100及び200と同様に、光電子デバイス300は、緩衝層120及び半導体構造114がその上に形成された基板110を備える。半導体構造114は、成長順に、n型活性領域140、i型活性領域150及びp型活性領域160を備える。p型コンタクト層170が、p型活性領域160上に形成され、第一のコンタクト層180が、p型コンタクト層170上に形成される。
【0125】
図3に示す実施形態では、i型活性領域150、p型活性領域160、p型コンタクト層170及び第一のコンタクト層180が、n型活性領域140上にメサを形成する。
図3に示すメサは、一直線の側壁を有する。しかしながら、代替的な実施形態では、メサは、角度のある側壁を有することができる。デバイス300は、さらに、n型活性領域140上に形成された第二のコンタクト層382を備える。好ましい実施形態において、第二のコンタクト層382は、メサの周囲にリングまたはループを形成する。第二のコンタクト層382によって、電源の負極が、n型活性領域130に接続することができる。デバイス300は、さらに、一つ以上の超格子の露出または物理的にエッチングされた層を覆うパッシベーション層390を備える。パッシベーション層390は、好ましくは、それが覆う露出または物理的にエッチングされた層よりも広いバンドギャップを有する材料から作られる。パッシベーション層390は、一つ以上の超格子の層間の漏電電流を減少する。
【0126】
デバイス300は、垂直発光デバイスまたは導波路デバイスとして動作することができる。例えば、いくつかの実施形態において、光電子デバイス300は、i型活性領域150の電子−正孔再結合領域の内部からn型活性領域140及び基板110を通る光が外部で連結される垂直発光デバイスとして動くことができる。好ましい実施形態において、光電子デバイス300において(成長方向における)上方に伝搬する光は、例えば、第一のコンタクト層180において逆反射もする。
【0127】
図4は、本発明の第四の実施形態に従う、光電子デバイス400の断面図を示す略図である。光電子デバイス400は、
図3の光電子デバイス300に類似している。しかしながら、この光電子デバイスは、第一の側部コンタクト486及び第二の側部コンタクト484を備える。
【0128】
第一の側部コンタクト486は、第一のコンタクト層180からp型活性領域160内に部分的に延在する。好ましい実施形態において、第一の側部コンタクト486は、第一のコンタクト層180からp型活性領域160及び(適切な場合には)p型コンタクト層170内に延在する環状の突出部である。いくつかの実施形態において、第一の側部コンタクト486は、第一のコンタクト層180と同じ材料から作られる。
【0129】
第二の側部コンタクト484は、n型活性領域140の表面上に形成された第二のコンタクト層482からn型活性領域140内に部分的に延在する。好ましい実施形態において、第二の側部コンタクト484は、第二のコンタクト層382からn型活性領域140内に延在する環状の突出部である。いくつかの実施形態において、第二の側部コンタクト484は、n型活性領域140と第二のコンタクト層382との間の電気伝導を改善するために、第二のコンタクト層382と同じ材料から作られる。
【0130】
好ましい実施形態において、第一の側部コンタクト486及び第二の側部コンタクト484は、半導体構造114における一つ以上の超格子の複数個のより狭いバンドギャップ層に接触し、故に、層の面と垂直な電荷キャリアの垂直輸送と層の面と平行の電荷キャリアの平行輸送との両方を効率的に合せる。一般に、層の面におけるキャリア輸送は、層の面と垂直なキャリア輸送よりも高い移動度を達成する。しかしながら、量子力学トンネリングを促進する薄い幅のバンドギャップ層を使用することによって、層の面と垂直な効率的な輸送が達成される。例えば、AlNとGaNとの交互層を備える超格子において、中間AlN層が4個の単分子層以下の厚さを有するときに、各GaN層において隣接する許容エネルギー状態間の電子トンネリングを高めることができることが見出された。他方で、正孔、特に、重い正孔は、それぞれのGaN層に留まる傾向を有し、AlN層が2個の単分子層以上の厚さを有するときに、障壁の機能を果たすAlN層を通じたトンネリングによって効果的に離れる。
【0131】
好ましい実施形態において、第一の側部コンタクト486及び第二の側部コンタクト484は、超格子の層帯の不連続にわたる垂直輸送と比較して優れた面内キャリア輸送を使用することによって、第一のコンタクト層180とp型活性領域160との間、及び第二のコンタクト層482とn型活性領域140との間、それぞれの電気伝導性を改善する。第一の側部コンタクト484及び第二の側部コンタクト486は、後成長パターニング及び個々の深さについての3D電気的不純物領域の生成を使用して形成することができる。
【0132】
図5は、本発明の第五の実施形態に従う、光電子デバイス500の断面図を示す略図である。光電子デバイス500は、光電子デバイス500がp型コンタクト層170を含まず、第一の側部コンタクト486が、第一の側部コンタクト486とp型活性領域160との間の、p型GaNの層などの強化層588によって囲まれていることを除いて
図4の光電子デバイス400と同様である。強化層588は、p型活性領域160と第一のコンタクト層180との間のオーム接続を改善することができる。強化層588は、p型活性領域160のパターン化表面上に再成長した選択エリア付近に生成することができる。
【0133】
図6は、本発明の第六の実施形態に従う、光電子デバイス600の断面図を示す略図である。光電子デバイス600は、
図5の光電子デバイス500に類似している。しかしながら、第一のコンタクト層680が環状であり、半導体構造内で生成された光エネルギーの外部での連結を改善するために、反射層692が提供される。反射層692は、光電子デバイス600の内部から放射された光を実質的に逆反射するように、光電子デバイス600の上に位置付けられる。
【0134】
好ましい実施形態において、パッシベーション層390も、第一のコンタクト層680によって形成された環内部に提供され、反射体692がパッシベーション層390の上に形成される。代替的な実施形態では、反射体692は、p型活性領域160、もし存在する場合にはp型コンタクト層170の上部に形成することができる。
【0135】
図7は、本発明の第七の実施形態に従う、光電子デバイス700の斜視図を示す略図である。光電子デバイス700は、
図6の光電子デバイス600に類似している。しかしながら、光電子デバイス700は、緩衝領域130を備えており、パッシベーション層390は示さない。第一のコンタクト層680及び反射層692が、メサにおいてp型活性領域160の上方に示される。第二のコンタクト層382が、メサの周囲のリングとして緩衝領域130上に形成される。
【0136】
図8は、本発明の第八の実施形態に従う、光電子デバイス800の断面図を示す略図である。光電子デバイス800は、
図6の光電子デバイス600に類似している。しかしながら、この光電子デバイスは、強化層588を備えていない。
【0137】
図8に示すように、第一のコンタクト層680と第二のコンタクト層382との間の外部電圧及び電流源の適用において、正孔802が、p型活性領域内に注入され、例えば、地点808において、n型活性領域140において生成された電子804と結合する。注入された電子804と正孔802とは、有利にも、i型活性領域150内部において実質的に空間的に制限された電子−正孔再結合(EHR)領域809において再結合する。EHR領域809は、一つ以上の超格子のエネルギー運動量バンド構造によって決定づけられる、エネルギー及び光学偏光をもつ光子を電子−正孔再結合によって生成する。
図8に例証するように、EHRは、実質的に層の面における方向または成長方向と平行の垂直な方向として分類できる方向に、光子806A、806B、806C、806Dを放射する。光は、他の方向にも伝播し、自明でない様式において構造内部にも伝播することができる。一般に、(全内部反射の角度、それ故に、材料の屈折率によって決定される)実質的に垂直のかつエスケープコーン内部における伝搬ベクトルをもって生成された光は、透明基板110を通じる垂直な、外部で連結され得る光子の主要供給源となる。光子806Aは、通常、垂直方向及び
図1に示す成長方向101と同じ方向に放射される。光子806Bは、通常、垂直方向及び成長方向101と反対の方向に放射される。光子806C、806Dは、通常、デバイスの層と平行、例えば、i型活性領域150の層の面と平行な水平方向に放射される。
【0138】
図8に示す実施形態では、光子806Aのいくつかは、光反射体692に反射し、基板110を通り抜けて光放射デバイス800から出る。適切なミラー(図示せず)または好都合な光学キャビティの追加、及び基板とi型活性領域との間の屈折率不連続によって、故に、デバイスを、マイクロキャビティLEDまたはレーザ若しくはスーパールミネッセントLEDを生成するように変更できることを認識すべきである。連結するための生成された光に利用可能な光学モードの数を制限することによって、光の抽出効率を改善するためのスーパールミネッセンスが見出された。この有効な光位相空間の圧縮が、有利な垂直放射のためのデバイスの選択性を改善する。光学キャビティは、緩衝層120、n型活性領域140、i型活性領域150及びp型活性領域160によって形成された全光学的厚さを使用して形成することができる。光学キャビティが反射体692と基板110との間に形成され、成長方向に沿う光学キャビティの厚さが発光波長の一波長以下である場合には、その結果、キャビティはマイクロキャビティである。そのようなマイクロキャビティは、光学キャビティモード波長によって課せられるスーパールミネッセンス及び安定的な波長動作を作り出すのに必須の特性を所有する。本発明のいくつかの実施形態において、EHR領域809からの発光波長は、マイクロキャビティの最低次波長キャビティモードと等しく、スーパールミネッセンスが達成される。緩衝領域112内部に第二の光反射体も含ませることができる。例えば、元素Al及びAlN層を備えた単位格子を有する超格子を備える反射体は、本明細書において金属−誘電体超格子と呼ばれる。
【0139】
いくつかの実施形態において、緩衝層120及び基板110に隣接して透過領域が提供され、緩衝層120は、デバイスから放射された光エネルギーを透過させる。光エネルギーは、透過領域、緩衝層120及び基板110を通って外部において連結される。光子806C、806Dは、通常、デバイスの層と平行、例えば、p型活性領域160の層の面と平行な水平方向に放射される。
【0140】
いくつかの実施形態において、光電子デバイスは、成長方向に対して実質的に横断する磁気光学偏光を有する光を放射する。光電子デバイスは、半導体構造の一つ以上の超格子の単位格子の一つ以上の層の面とほぼ平行な方向に沿って光が空間的に生成され、閉じ込められる光導波路として動作する。
【0141】
いくつかの実施形態において、光電子デバイスは、成長方向に対して実質的に横断する電気光学偏光を有する光を放射する。光電子デバイスは、半導体構造の一つ以上の超格子の単位格子の一つ以上の層の面と実質的に垂直な方向に沿って光を空間的に生成し、閉じ込める、垂直に発光するキャビティデバイスとして動作する。垂直に発光するキャビティデバイスは、実質的に成長方向に沿って配置され、半導体構造の一つ以上の部分に沿って空間的に配置された金属反射体を使用して形成された垂直キャビティを有する。反射体は、高光反射率金属から作ることができる。キャビティは、デバイスによって放射された光の波長以下である、反射体間の光路長によって画定される。光電子デバイスの発光波長は、半導体構造を備えた一つ以上の超格子の光放射エネルギー、及び垂直キャビティによって決定される光学キャビティモードによって決定される。
【0142】
図9は、本発明の実施形態に従う、光電子デバイスについての、成長方向zに沿う距離に関する、伝導帯及び価電子帯における空間的エネルギー準位のグラフ900である。この実施形態では、単一超格子は、光電子デバイスのn型活性領域140、i型活性領域150及びp型活性領域160を備える。超格子の各単位格子は、AlNの二個の単分子層から形成された第一の層、及びGaNの一個の単分子層から形成された第二の層を備える。超格子は、n型活性領域140、i型活性領域150及びp型活性領域160の各々に25個の単位格子を備える。超格子は、成長方向と平行に配向された金属極性結晶成長においてc面上に積層される。p−GaNから作られたp型コンタクト層が、p型活性領域160上に積層される。理想的なオーム金属Mから作られた第一のコンタクト層が、p−GaNコンタクト層上に位置し、理想的なオーム金属Mから作られた第二のコンタクト層が、n型活性領域140上に位置する。
【0143】
図9のy軸は、フェルミエネルギーと相対的なeVにおけるエネルギー準位であり、x軸は、基板のベースから成長方向101に沿うナノメートル(nm)における距離である。n型活性領域140、i型活性領域150及びp型活性領域160ならびにデバイスの他の領域/層の位置が、x軸の上方に示される。トレース910は、伝導帯におけるゾーン中心(すなわち、k=0)エネルギーであり、その谷は、GaNに起因し、そのピークは、AlNに起因する。グラフ900は、トレース910において、その伝導帯エネルギーE
ck=0(z)が、n型活性領域140におけるフェルミエネルギーに近く、その伝導帯エネルギーE
ck=0(z)の谷が、フェルミエネルギーを下回る、ことを示す。これは、高度に活性化されたn型活性領域を提供する。トレース920は、価電子帯におけるエネルギーであり、その谷は、AlNに起因し、そのピークは、GaNに起因する。グラフ900は、トレース920において、その価電子帯エネルギーE
HHk=0(z)が、p型活性領域160におけるフェルミエネルギーに近く、その価電子帯エネルギーE
HHk=0(z)のピークが、フェルミエネルギーを上回る、ことを示す。これは、高度に活性化されたp型活性領域を提供する。金属極性配向された成長によって、各々のAlN/GaN及びGaN/AlNヘテロ接合において焦電及び圧電電荷が生じる。
【0144】
空間波動関数は、粒子の量子状態及びその挙動を表す、量子力学における確率振幅である。
図10は、
図9に関して記載した光電子デバイスについての、成長方向zに沿う距離に関する、量子化された最低エネルギー電子空間波動関数Ψ
cn=1(i,z)を示すグラフ1000である。指数iは、異なる波動関数を表す。各量子化された波動関数が、エネルギーバンド構造内部の対応する許容される量子化固有エネルギーにおいてプロットされている。それぞれの量子化されたエネルギー準位上方の非ゼロ波動関数確率は、関連する空間領域内に電子を局在する有限確率を示す。伝導帯端エネルギーE
ck=0(z)が参照のために示される。
【0145】
電子波動関数が数多くの単位格子にわたって非局在化することがグラフ1000から明白である。このことは、高連結されたGaNポテンシャル井戸を示す。薄いAlN障壁(2個の単分子層)によって、効率的な量子力学トンネリングが可能になり、それ故に、n型及びp型活性領域内に空間的に閉じ込められるエネルギーマニホールドを形成する。n型活性領域内に注入された電子は、成長方向に沿ってi型活性領域の方に効率的に輸送される。i型活性領域内において許容される最低エネルギー波動関数は、i型活性領域内に局在する波動関数がより多いことによって明白なように、n型またはp型活性領域内よりも多く閉じ込められる。小さい厚さの単位格子は、量子化されたエネルギー準位を、AlN伝導帯端に比較的近い値にし、それ故に、i型活性領域にわたって生成された大きな空乏電界の影響下では、隣接する近接したGaNポテンシャル最小値間の連結が切断される。その結果として、i型活性領域における電子波動関数は、それぞれのGaNポテンシャル最小値において強くは閉じ込められない。
【0146】
図11は、
図9に関して記載した光電子デバイスについての、成長方向に沿う距離に関する、量子化された最低エネルギー重い正孔空間波動関数Ψ
HHn=1(j,z)を示すグラフ1100である。重い正孔ゾーン中心価電子帯エネルギーE
HHk=0(z)が参照のために示される。III族金属窒化物材料は、三つの異なる帯、つまり、重い正孔(HH)、軽い正孔(LH)及び結晶場分裂(CF)帯を有するエネルギー運動量分散を含む唯一の価電子バンド構造を有する。ゾーン中心において、超格子は、三つの最低エネルギー、つまり、E
HHk=0<E
LHk=0<E
CHk=0である重い正孔帯を有する。本明細書において関心のある光学的プロセスでは、HH帯のみを記載すれば十分である。グラフ1100において、p型活性領域内の重い正孔波動関数Ψ
HHn=1(j,z)のかなりの空間的非局在化が存在し、その一方で、それらがi型活性領域内のGaNポテンシャル最小値においてしっかりと閉じ込められることが明白である。ここでもまた、デバイス内部の内蔵空乏電界が、i型活性領域内部の連結を切断する。
【0147】
図12は、伝導帯とHH波動関数との空間的重なり積分を示すグラフ1200である。重なり積分は、本質的に、
図9に関して記載した光電子デバイスについての、成長方向に沿う距離に関する、
図10の電子空間波動関数Ψ
cn=1(i,z)と、
図11の重い正孔空間波動関数Ψ
HHn=1(j,z)の各々との積である。電子と正孔とが同じ位置に存在する確率がn型活性領域140及びp型活性領域160よりもi型活性領域150において高いことを、グラフ1200から見ることができる。従って、発光は、光電子デバイスのn型活性領域140及びp型活性領域160よりもi型活性領域150において起こる可能性が高い。
【0148】
図13は、
図9に関して記載した光電子デバイスについての対応する電子及び正孔の量子化されたエネルギー準位間の対応する電子と正孔との複合遷移エネルギーに関する、電子空間波動関数Ψ
cn=1(i,z)と、重い正孔空間波動関数Ψ
HHn=1(j,z)との重なり積分を示すグラフ1300である。
図13の個々のプロットは、半導体構造全体内における最低n=1の量子化電子状態とn=1 HH状態との間の許容される光学遷移のエネルギースペクトルを示す。グラフ1300は、故に、デバイスが、およそ5.3eVの最低エネルギー光放射で放射できることを示す。
図13における放射スペクトルの幅は、デバイス全体を通じた量子化されたエネルギー準位のミニバンド幅を示す。
【0149】
図14は、
図9に関して記載した光電子デバイスについての放射されたものの輝度対波長を示すグラフ1400である。
図13の個々の重なり積分は、室温において予想される熱的変動をシミュレートするために、エネルギーにおいて均一に広げられている。個々の振動子強度の寄与の和が、広がりパラメータの二つの選択についての波長の関数としてプロットされている。最長波長及び最も鋭い遷移は、実験的に観測可能な最低エネルギー重い正孔励起子に起因する。
図14に示すように、最大強度の波長は、n=1量子化電子波動関数と正孔波動関数との間の最低エネルギー遷移に対応する約230nmにある。
図12を参照すると、生成された光のかなりの部分は、i型活性領域とp型活性領域との接触面付近の領域から出ることが示されている。
図14の網掛け領域は、占有された状態を有し、それ故に、光再結合プロセスにおいて利用できない、p型及びn型活性領域に存在するスペクトル領域を示す。さらに、実際の発光エネルギーは、最低次励起子対消滅の結果を受ける。励起子は、静電結合エネルギーを強めるように空間的に閉じ込められた束縛電子−正孔対を備えた中間粒子である。AlN/GaN超格子におけるn=1励起子結合エネルギー(E
Xn=1)は、ほぼ50〜60meV程度であり、n=1電子及びn=1 HH波動関数の静電気引力の結果を受ける。一般に、n=1励起子から放射された光子の発光エネルギーE
λn=1は、観測される発光エネルギーを励起子結合エネルギーが減少する場合には、E
λn=1=E
Cn=1−E
HHn=1−E
Xn=1によって与えられる。
【0150】
図15は、本発明の別の実施形態に従う、光電子デバイスについての、成長方向zに沿う距離に関する、伝導帯及び価電子帯における空間的エネルギー準位のグラフ1500である。この実施形態では、デバイスのn型活性領域140及びp型活性領域160を形成する超格子は、
図9の光電子デバイスと同じである。しかしながら、i型活性領域150における各単位格子における第一の層は、AlNの4個の単分子層から形成され、各単位格子における第二の層は、GaNの2個の単分子層から形成される。p型及びn型領域は、不純物ドープされた超格子を使用して形成され、第一の層は、AlNの2個の単分子層から形成され、第二の層は、GaNの1個の単分子層から形成される。故に、ドープされた領域は、真性領域に形成されたn=1励起子を透過させる。単位格子の周期または厚さは、n型及びp型活性領域と、i型活性領域との間で変化するが、各領域における単位格子は、同じ平均合金含有量を有する。つまり、単位格子におけるAl留分は、一定である。各領域において単位格子の25回の繰り返しが存在する。より高い数の単位格子の繰り返しも使用できることが見出された。厚さt
GaNのGaN層及び厚さt
AlNのAlN層などの二つの組成を備える単純単位格子の平均合金含有量は、x
ave=t
AlN/(t
AlN+t
GaN)によって与えられ、式中、x
aveは、単位格子における組の有効Al留分を表す。代替的な実施形態では、単位格子は、三つ以上のAlGaN組成を備えることができ、そのような実施形態でも、有効合金含有量を同様に決定することができる。二元、三元及び四元材料を備える他の層組成の平均合金含有量は、一つ以上の要素構成成分に従い規定することができる。例えば、AlN/Al
xGa−1
xN/GaNまたはAlN/Al
xGa
1−xN/Al
yIn
zGa
1−y−zNの3層を備える3層の単位格子におけるAl留分を決定することができる。選択的なp型GaNオーム接触層が、p型活性領域に含まれる。オーム金属コンタクトが、n型活性領域及び選択的なp型GaNオーム接触層に提供される。エネルギーバンド構造は、オーム金属コンタクト間に適用されたゼロ外部電気バイアスで示される。
【0151】
図15のy軸は、フェルミエネルギーと相対的なeVにおけるエネルギー準位であり、x軸は、基板のベースから成長方向に沿うナノメートル(nm)における距離である。デバイスのn型活性領域140、i型活性領域150及びp型活性領域160の位置は、x軸の上方に示される。トレース1510は、伝導帯におけるエネルギーであり、その谷は、GaNに起因し、そのピークは、AlNに起因する。単位格子におけるAlN層及びGaN層は、タイプ−I超格子を形成し、このタイプは、GaN伝導帯におけるエネルギーがAlN伝導帯端におけるそれよりも低く、GaN価電子帯におけるエネルギーがAlN価電子帯端におけるそれよりも高い。つまり、AlN層は、GaN層における電子及び正孔両方のためのポテンシャル障壁となる。トレース1520は、価電子帯におけるエネルギーであり、その谷は、AlNに起因し、そのピークは、GaNに起因する。特に、重い正孔価電子帯端が示される。
図15は、トレース1510及び1520におけるピーク及び谷の周期及び振幅がi型活性領域150において増大したことを示す。i型活性領域における単位格子におけるGaN及びAlN層両方のより大きな層厚は、金属極性ヘテロ界面の自然発生的な圧電電界の故に、その各々にわたってより大きな内蔵電界を生成する。この効果は、極性ウルツ鉱結晶において特にユニークである。ここでもまた、
図15のデバイスは、理想的な金属コンタクトMに接触し、p−GaNコンタクト層は、p型活性領域160と金属コンタクトのうちの一つとを接続する。フラットバンド状態、つまり、両方のコンタクト間のゼロ外部印加バイアスが示され、それ故に、フェルミエネルギーは、成長方向に沿う構造全体を通じて連続的となる。
【0152】
図16は、
図15に関して記載した光電子デバイスについての、成長方向zに沿う距離に関する、量子化された最低エネルギー(n
SL=1)電子空間波動関数Ψ
cn=1(i,z)を示すグラフ1600である。伝導帯端エネルギーE
ck=0(z)が参照のために示される。
【0153】
n型及びp型活性領域両方における薄いAlNトンネル障壁に起因して、電子波動関数が、数多くの隣接及び近接する単位格子にわたって明らかに広がっている。i型活性領域のより大きな単位格子周期は、最大限でも最も近辺の近接する侵入についての電子波動関数の顕著な局在を示す。
図10の構造において観測されたように、i型活性領域の禁制帯内における超格子の外側への波動関数の漏れはない。故に、n型活性領域から注入された電子は、n型活性領域ミニバンドを通じた効率的な輸送を受け、i型活性領域内に入る。次に、i型活性領域における最低エネルギー量子化された波動関数において捕獲された電子は、価電子帯における空間的に一致するn
SL=1重い正孔との再結合に利用できる。
【0154】
図17は、
図15に関して記載した光電子デバイスについての、成長方向に沿う距離に関する、量子化された最低エネルギー重い正孔空間波動関数Ψ
HHn=1(j,z)を示すグラフ1700である。重い正孔価電子帯エネルギー端E
HHk=0(z)が、参照のために示される。この場合も、
図11に観測されたように、重い正孔波動関数は、実質的に、n型及びp型活性領域におけるいくつかの単位格子にわたって非局在化する。i型活性領域は、n型及びp型活性領域よりも大きな単位格子周期、ならびにp型及びn型超格子領域と同じ、単位格子内部の平均Al留分を有する。ここでもまた、GaNポテンシャル最小値は、重い正孔状態に属する最低エネルギー価電子状態を生成する。
【0155】
図18は、最低エネルギー量子化電子と重い正孔価電子波動関数状態との間の空間的重なり積分を示すグラフ1800である。重なり積分は、実質的に、
図15に関して記載した光電子デバイスについての、成長方向に沿う距離に関する、
図16の量子化された電子空間波動関数Ψ
cn=1(i,z)と、
図17の重い正孔空間波動関数Ψ
HHn=1(j,z)との積である。重なり積分の強度は、特定の遷移の振動子強度に比例する。通常、電子と正孔との波動関数確率が空間的に一致する場合には、その結果、電子−正孔再結合事象についての有限確率が存在する。許容される光学遷移のエネルギー幅は、薄いAlN障壁層を通るGaN層間の量子力学トンネリングを示す。真性領域は、より厚いAlN障壁を有し、それ故に、伝導帯トンネリングが減少する。真性領域の振動子強度は、n型及びp型領域と比較してより強く示されている。電子と正孔とが同じ位置に存在する確率が、n型活性領域140及びp型活性領域160よりもi型活性領域150においてより高いことをグラフ1800から見ることができる。従って、電子と重い正孔との再結合に起因する光放射は、光電子デバイスのn型活性領域140及びp型活性領域160よりもi型活性領域150から起こる可能性が高い。グラフ1800は、i型活性領域150からの発光確率が、
図9に関して記載した光電子デバイスよりも
図15に関して記載した光電子デバイスについて高いことも示す。
【0156】
図19は、
図15に関して記載した光電子デバイスについての対応する最低エネルギー量子化電子と重い正孔との複合遷移エネルギーに関する、電子空間波動関数Ψ
cn=1(i,z)と、重い正孔空間波動関数Ψ
HHn=1(j,z)との重なり積分を示すグラフ1900である。
【0157】
故に、n=1励起子に起因する最低エネルギー光学遷移は、p型及びn型活性領域両方よりも大きな周期を有するi型活性領域において起こる再結合に起因する。故に、i型活性領域の発光エネルギーは、n型及びp型活性領域両方の最低エネルギー吸収よりも長い波長において選択することができる。これにより、i型活性領域内において生成された光子は、被覆領域、すなわち、p型及びn型活性領域内において吸収(それ故に、損失)されずに伝播し、さらに、デバイスの内部からの光を抽出することができる。
【0158】
これは、半導体構造またはデバイスの領域の発光及び吸収特性が、それぞれの超格子の単位格子周期の選択によって制御される本発明の好ましい実施態様を表す。さらに、平均合金含有量を、超格子領域全体を通じて一定に保持し、それ故に、各単位格子の面内格子定数が整合し、歪みエネルギーの蓄積が成長方向の関数として全く示されない。これにより、高結晶品質超格子スタックを実現することができる。さらに、構造内部の分極電荷に起因する、内蔵電界における不連続が全く存在せず、スタックは、偏光を安定させることができる。
【0159】
図20は、
図15に関して記載した光電子デバイスについての放射されたものの輝度対波長を示すグラフ2000である。
図19の個々の重なり積分は、室温において予想される熱的変動をシミュレートするために、エネルギーにおいて均一に広げられている。個々の振動子強度の寄与の和が、広がりパラメータの二つの選択についての波長の関数としてプロットされている。最長波長及び最も鋭い遷移は、最低エネルギーn=1重い正孔励起子に起因し、真性領域内に空間的に閉じ込められる。
図20に示すように、最大強度の波長は、約247nmであり、
図9に関して記載した光電子デバイスについての
図14における最大強度の波長よりも長い。
【0160】
図9の光電子デバイスと
図15の光電子デバイスとは、i型活性領域における一つ以上の超格子についての周期の選択のみが異なる。これらの実施例において、半導体構造におけるすべての一つ以上の超格子のすべての単位格子が、固定された平均合金含有量を有するように選択される。平均合金含有量は、単位格子のAl留分として規定されるように選択される。例えば、GaNの1個の単分子層及びAlNの2個の単分子層を備えた単位格子は、Al留分x
ave=2/3を有し、GaNの2個の単分子層及びAlNの4個の単分子層をもつ単位格子は、Al留分x
ave=4/6=2/3を等しく有する。ここでもまた、単に簡潔さのために、25個の単位格子の繰り返しが、各領域において使用される。つまり、平均単位格子のAl留分が、Al
xaveGa
1−xaveNの形態の同等の順序の三元合金組成を決定するのに加えて、周期が、前述の単位格子についての光放射エネルギーを規定する。
【0161】
図21は、本発明の別の実施形態に従う、光電子デバイスについての、成長方向に沿う距離に関する、伝導帯及び価電子帯における空間依存するエネルギー準位のグラフ2100である。ゾーン中心(k=0)伝導帯及び重い正孔価電子帯についての参照が、デバイス動作を表現するのに十分であることが理解される。この実施形態では、n型活性領域、i型活性領域及びp型活性領域を形成する一つ以上の超格子は、
図9及び
図15に関して記載した光電子デバイスの場合と同様に、AlN層及びGaN層を有する二層の単位格子から構成される。しかしながら、
図21の場合の有効Al留分は、x
ave=0.5のより低いAl留分を有するように選択される。i型活性領域150では、各単位格子における第一の層は、AlNの3個の単分子層から形成され、各単位格子における第二の層は、GaNの3個の単分子層から形成される。n型及びp型活性領域両方も、x
ave=0.5を有するように選択されるが、吸収の開始時により大きな光エネルギーを有し、i型活性領域によって生成された光放射エネルギーを実質的に透過させるように設計される。p型及びn型活性領域は、GaNの2個の単分子層及びAlNの2個の単分子層のみを備える単位格子を有するように選択される。GaNのより薄い層は、伝導帯及び価電子帯における最低の量子化されたエネルギー準位間のエネルギー分離の増大を結果生じる。p型及びn型領域は、不純物ドープされた超格子を使用して形成される。
【0162】
図21のy軸は、フェルミエネルギーと相対的なエネルギー準位帯ダイアグラム(エレクトロンボルトの単位、eV)であり、x軸は、基板のベースから成長方向に沿うナノメートル(nm)における距離である。光電子デバイスのn型活性領域140、i型活性領域150及びp型活性領域160の空間位置及び広がりが、x軸の上方に示される。トレース2110は、伝導帯におけるゾーン中心(または、最小)エネルギーであり、その谷は、GaNに起因し、そのピークは、AlNに起因する。注意深い検討によって、金属極性構造についての内蔵焦電及び圧電電界が、i型活性領域においてn型及びp型活性領域両方と異なることが示される。これは、i型活性領域におけるGaN及びAlNのより大きな層厚に起因する。トレース2120は、価電子帯における空間的エネルギー変調であり、その谷は、AlNに起因し、そのピークは、GaNに起因する。
図21は、トレース2110及び2120におけるi型活性領域150における(ピーク及び谷として示す)単位格子の周期が、
図15に示すトレース1510及び1520に示す単位格子周期と概ね同じであることを示す。しかしながら、デューティサイクル(すなわち、単位格子内部の相対的なGaNとAlN層との厚さ)は、変化した。ここでもまた、デバイスは、i型活性領域の発光波長を実質的に透過させるp型及びn型活性領域を有するように選択される。
【0163】
図22は、
図21に関して記載した光電子デバイスについての、成長方向に沿う距離に関する、最低エネルギー量子化された電子空間波動関数Ψ
cn=1(i,z)を示すグラフ2200である。ゾーン中心(k=0)伝導帯エネルギーE
ck=0(z)が、参照のために示される。n型及びp型空間領域は、高度に連結された波動関数を示し、n=1超格子ミニバンドを形成する。真性領域は、内蔵空乏電界及びより厚いAlN障壁の為に、最も近辺の近接したポテンシャル井戸のみにわたって連結された電子波動関数を示す。
【0164】
図23は、
図21に関して記載した光電子デバイスについての、成長方向に沿う距離に関する、最低エネルギー量子化された重い正孔空間波動関数Ψ
HHn=1(j,z)を示すグラフ2300である。ゾーン中心(k=0)重い正孔価電子帯エネルギーE
HHk=0(z)が、参照のために示される。p型及びn型領域における重い正孔波動関数は、数多くの近接するポテンシャル井戸にわたって非局在化する。逆に、i型活性領域における重い正孔波動関数は、より大きなAlN障壁幅及び内蔵空乏電界の為に、それぞれのポテンシャル井戸に高度に局在する。
【0165】
図24は、電子及び重い正孔波動関数の空間的重なり積分を示すグラフ2400である。重なり積分は、実質的に、
図21に関して記載した光電子デバイスについての、成長方向に沿う距離に関する、
図22の電子空間波動関数Ψ
cn=1(i,z)と、
図23の重い正孔空間波動関数Ψ
HHn=1(j,z)との積である。重なり積分は、それぞれの直接電子及び重い正孔遷移についての振動子強度を表す。許容される光学遷移のエネルギー幅は、AlN障壁層を通るGaN層間の量子力学トンネリングを示す。i型活性領域は、より厚いAlN障壁を有し、それ故に、伝導帯トンネリングが減少する。i型活性領域の振動子強度は、n型及びp型活性領域と比較してより強く示されている。電子及び正孔が同じ空間的位置に存在する確率が、n型活性領域140及びp型活性領域160両方よりもi型活性領域150において高いことをグラフ2400から見ることができる。従って、発光は、光電子デバイスのn型活性領域140及びp型活性領域160よりもi型活性領域150において起こる可能性が高い。グラフ2400は、n型活性領域140及びp型活性領域160からの発光確率が、
図9及び
図15に関して記載した光電子デバイスにおいてよりも、
図21に関して記載した光電子デバイスについて低いことも示す。
【0166】
図25は、
図21に関して記載した光電子デバイスについての対応する最低エネルギー量子化電子及び正孔の複合遷移エネルギーに関する、電子空間波動関数Ψ
cn=1(i,z)と、重い正孔空間波動関数Ψ
HHn=1(j,z)との重なり積分を示すグラフ2500である。i型活性領域における最低エネルギー遷移の振動子強度が、n型及びp型活性領域と比較してより強いことは、i型活性領域における電子と重い正孔との再結合に起因する。
【0167】
図26は、
図21に関して記載した光電子デバイスについての放射されたものの輝度対波長を示すグラフ2600である。
図25の個々の重なり積分は、室温において予想される熱的変動をシミュレートするために、エネルギーにおいて均一に広げられている。個々の振動子強度の寄与の和が、広がりパラメータの二つの選択についての波長の関数としてプロットされている。最長波長及び最も鋭い遷移は、最低エネルギーn=1重い正孔励起子に起因し、i型活性領域に空間的に閉じ込められる。
図26に示すように、最大強度の波長は、約262nmであり、実質的に、
図9及び
図15それぞれに関して記載した光電子デバイスについての
図14及び
図20における最大強度の波長よりも長い。
【0168】
デバイスの発光波長及び他の態様の調整のさらなる詳細は後述する。
本発明は、好ましくは、結晶、より好ましくは、単結晶原子構造として形成された半導体構造を利用する。好ましい実施形態において、紫外線及び深紫外線光の放射のために、半導体構造は、イオン結合から構成されたウルツ鉱結晶構造を有し、III族金属窒化物(III−N)半導体またはII族金属酸化物(II−VI)半導体などの一つ以上の半導体から形成される。
【0169】
図27Aは、III族金属窒化物半導体についてのウルツ鉱結晶構造を示す。ウルツ鉱結晶構造は、金属結晶部位2715及び窒素原子部位2720を含む。ミラー表記[h k i l]=[0 0 0 1]方向2750に沿う結晶結合の極性が、窒素極性結合2725を有する窒素極性結晶方位になるものとして示される。構造は、2760を軸とする正反射によって反転され、金属極性配向された結晶となることができる。結晶軸2750が成長方向[0 0 0 1]である場合には、その結果、c面(0 0 0 1)がラベル2730された面として特定される。水平結晶軸2760は、[1 1 −2 0]方向を有するウルツ鉱結晶に通じる高対称性スライスのうちの一つである。
【0170】
図27Bは、表面を終端とする金属原子をもつc面2730の図を示す。c面の窒素原子表面終端も可能である。結晶方向2760及び2780は、それぞれ、ミラー表記における[1 1 −2 0]及び[0 0 1 −1]方向を表す。切り立った表面終端は、さらに、より低い対称性の結合パターンの表面再構成になり易い。これらの表面再構成は、増大する表面エネルギーを最小限にするが、最終的には、再構成表面がその後ウルツ鉱結晶構造におけるさらなる材料によって過剰成長するときに、層のバルク内に実質的に理想的な結晶構造を形成する。理想的な金属終端表面は、等しい側面の面内格子定数2790を有する六角形2785として特定される六角形c面結晶格子を示す。その結果、結晶の基本的に繰り返される単位は、2790でラベルされた格子定数aとしてパラメータ化されたウルツ鉱格子、及び
図27Aにおける2705または2710としてラベルされた高さcの六角柱によって特徴づけられる。例えば、歪みのないAlNエピ層は、a=4.982Å及びc=5.185Åを有するであろう。一個の単分子層(1ML)は、c面上に積層した膜について、1ML=c/2と等しいものと本明細書において定義される。
【0171】
図27Cは、c軸2750に沿って配向され、さらに、Al原子表面を露出するAlNウルツ鉱結晶2770の斜視図を示す。Al終端表面が、六角形2760によって画定されたウルツ鉱結晶単位格子をもち、c面2730において全体的に位置する。方向2750に沿う垂直厚さは、AlN材料の四個の単分子層及び関連する結晶方位を示す。例えば、いくつかの実施形態において、基板カム上のc面配向されたエピタキシャル析出は、方向2760及び2780において横方向に延在し、基板表面エリアに及ぶ複数個の単分子層膜の、高い均一性での積層を含む。
【0172】
図28は、例示的な超格子についての層状厚さの好ましい範囲を示す表2800である。超格子の単位格子は、それぞれ、GaN及びAlNの二元組成物から排他的に形成された二つの層を備える。例えば、超格子は、
図27Cの理想的な空間部分に概略的に示すように、c面上に積層したウルツ鉱GaN及びAlN膜から形成される。
図28の表2800は、c軸に沿う単分子層Nの全体数としてAlN厚さ、及びオングストローム(注意、1Å=0.1nm)単位の物理的厚さを明確に一覧にした列を示す。同様に、行は、GaNの単分子層M全体に関する、単位格子周期厚さを計算する表項目を一覧に示す。ここでは、∧
SL=M.(1ML GaN)+N.(1ML AlN)=M.c
GaN/2+N.c
AlN/2である。
【0173】
N
p回数繰り返され、成長方向に沿う一定Al留分を有する単位格子を有する超格子は、M及びN個の単分子層を有するGaN及びAlNの組として定義することができ、本明細書において便宜上M:Nとして記述する。
【0174】
図29は、GaNの4個の単分子層2940が、成長方向として画定されたc軸2750に沿ってAlNの4個の単分子層2930上にエピタキシャルに積層された、4:4超格子の一つの単位格子の結晶格子構造を示す。Al原子部位が、大きな白色の球2905として示され、Ga原子部位が、大きな灰色の球2920として描写され、そして窒素原子部位が、小さい黒色の球2910及び2925として示される。AlN/GaNヘテロ界面2935は、純粋なGaまたはAl金属終端を有する切り立ったものでも良いし、面2935にランダムに分布されたGa及びAl原子を有する混合接触面であっても良い。GaNエピ層2940の垂直高さは、結晶単位格子の弾性変形の為に、より下位のAlNエピ層2930よりも大きい。自立超格子の単位格子2900は、理想的には、界面転位(つまり、ミスフィット転位)を全く示さず、面内引張歪みの状態にあるAlN層、及び面内圧縮歪みの状態にあるGaNエピ層を有する。弾性的に変形した異種エピ層は、理想的には、臨界層厚さ(CLT)以下の、c軸2750に沿う厚さをもって積層される。CLTは、格子不整合材料がミスフィット転位を形成することなく基礎をなす結晶上に積層できる最大厚さである。
図28の表2800に開示したM:Nの組み合わせのすべては、各材料がCLT以下で積層したそのような超格子の単位格子を表す。CLTを理論的に計算及び実験的に決定できることに留意されたい。例えば、MBEにおけるヘテロエピタキシー中に反射高速電子回折(RHEED)を使用した直接の現場測定によって、大きな精度でCLTを決定することができる。
【0175】
図30は、本明細書に定義されたものとしてc軸に沿って積層した、GaN及びAlN材料上で使用することによって形成された単位格子のさらなる可能な実施態様を示す表3000である。表3000は、単位格子厚さ∧
SLを示す表項目と、M:Nの小部分の単分子層の組を明示する。これらの単位格子厚さは、III族金属窒化物半導体を使用した深紫外線エミッタに適用することができる。他の材料組成を使用でき、超格子の単位格子を備える三つ以上の組成を適用できることも見出された。
【0176】
図31は、GaN及びAlN層のみを有する単位格子で構成された超格子の平衡面内格子定数a
||SLのグラフ3100を示す。グラフ3100は、各単位格子におけるGaNのM個の単分子層及びAlNのN個の単分子層の所与の選択のための、計算された面内格子定数a
||SLを示す。各曲線は、AlNのN個の単分子層の異なる選択によってパラメータ化されたものである。グラフ3100の曲線を使用して直接に、異なる単位格子M:Nの組を備える超格子LEDを設計することができ、これは後述する。
【0177】
図32は、二つの単位格子3270及び3280を備えた構造3200に存在する原子間力を概略的に示す。各単位格子は、二つの層を備えており、二つの層の各々は、異種材料から形成される。例えば、第一の層3230及び3250は、GaN層であっても良く、第二の層3240及び3260は、AlN層であっても良い。層は、各々の隣接する層における異種の結晶格子定数に起因して弾性的に変形された結晶のエピタキシャル析出から形成される。構造がc面上に積層した場合には、次に、GaN層3230及び3250は、圧縮面内応力3220を受け、AlN層3240及び3260は、誘発された引張面内歪み3210を有する。各単位格子の各層がCLT以下の厚さで形成された格子不整合材料を使用して形成されたそのような超格子は、十分な数の周期をもって形成されたときに、高い結晶完全性を達成することができる。例えば、GaN及びAlN材料のみを使用した、本発明の教示に従う超格子は、バルク状のc面AlN表面、(0001)−配向されたサファイア表面、または別の適切な表面上に形成される。約10〜100周期の超格子成長後、最終単位格子は、理想的な自立面内格子定数a
||SLに達する。これは、
図1に関して論じたような超格子緩衝130を形成する一つの例示的な方法である。
【0178】
本発明のいくつかの実施形態において、半導体構造における各超格子は、選択された光学的及び電子的仕様を達成する異なる構成を有する。
【0179】
実験は、超格子に沿う、各単位格子定数における平均合金含有量の維持が、単位格子の平均面内格子定数a
||SLを一定に維持することと同等であることを示す。実験は、次に、所望の光学的及び電気的仕様を達成するように単位格子の厚さも選択できることを示す。これにより、複数個の異なる超格子が共有の有効面内単位格子定数を有し、それ故に、成長方向に沿う歪みの有利な管理を実行できる。
【0180】
図33及び
図34は、GaN及びAlN層のみを有する単位格子で構成された超格子の平衡面内格子定数a
||SLのグラフ3300及び3400を示す。グラフ3300及び3400は、各単位格子におけるGaNのM個の単分子層及びAlNのN個の単分子層の所与の選択のための、計算された面内格子定数a
||SLを示す。各曲線は、AlNのN個の単分子層の異なる選択によってパラメータ化されたものである。同じ平均合金含有量を有する単位格子構成を示すために、各グラフに黒色点が提供される。
図33のグラフ3300に示される黒色点は、M=NであるところのM:Nの組み合わせを含み、それ故に、x
aveSL=1/2の有効Al留分が達成される。
図34のグラフ3400における黒色点は、N=2MであるところのM:Nの組み合わせを含み、それ故に、x
aveSL=2/3である。
【0181】
図33及び
図34のグラフは、c軸に沿って積層した、ウルツ鉱結晶構造を有するGaN材料とAlN材料との組み合わせから排他的に作られた単位格子をもつ超格子を有する半導体構造を設計するのに特に有用となり得る。
【0182】
図35は、成長方向zに沿って繰り返されるM:N=5:5単位格子を備えるN
p=100周期の超格子のエネルギーバンド構造の計算された部分のグラフ3500を示す。伝導帯端3520及び重い正孔価電子帯端3550の空間的変動が、量子化されたエネルギーならびに空間的に閉じ込められたャリア波動関数3510及び3560に沿って示される。GaN及びAlN層は、
図30に示すような、それぞれの層の各々のCLTを維持する厚さから選択される。
図35は、電子波動関数3510が、AlN障壁を通る量子力学トンネリング3570のための強い傾向を示し、その一方で、重い正孔波動関数3560が、それぞれのGaNポテンシャル最小値内にしっかりと局在することを示す。
【0183】
図36は、一定の単位格子長及び組成の超格子の半無限数の周期をシミュレートするのに使用される超格子3600を示す。超格子において、単位格子は、一定の全長及び組成を有する。しかしながら、第一のGaN層3605が、半分に分割され、超格子の端部3610に追加される。波動関数に周期的な境界条件を適用し、それ故に、半無限数の周期をシミュレートし、ベースが99周期である単位格子3620の相互作用特性を詳細に調べる。有限要素法及び完全なk.p理論を使用して、最低状態にある超格子状態の量子化されたエネルギーとともに波動関数が計算される。前述のように、光放射スペクトルは、最低エネルギー(n=1)伝導帯状態とn=1重い正孔状態との間の重なり積分及びエネルギー分離から計算される。
【0184】
図37、
図38、
図39、
図40及び
図41は、それぞれ、x
aveSL=2/3及び1:2、2:4、3:6、4:8及び5:10のM:N構成を有する超格子の横電界(TE)光放射スペクトルのグラフを示す。グラフの各々は、全放射及び許容される伝導帯状態をもつ特定の価電子帯タイプ(つまり、HH、LHまたはCH)に起因する放射に対応する四つの曲線を示す。前述のように、所望の最低エネルギー放射は、c軸及び/または成長方向と平行な垂直放射についての基準を満たす、許容される伝導帯状態と重い正孔状態との間の遷移に関する。
【0185】
図37は、n=1伝導帯状態及びn=1重い正孔状態(E
Cn=1−E
HHn=1)の最低エネルギー遷移3705、n=1伝導帯状態及びn=1結晶場分裂状態(E
Cn=1−E
CHn=1)の最低エネルギー遷移3710、ならびにn=1伝導帯状態及びn=1軽い正孔状態(E
Cn=1−E
LHn=1)の最低エネルギー遷移3715についての、1:2超格子の放射スペクトルのグラフ3700を示す。曲線3720は、観測可能なスペクトル全体を示す。放射ピークの大きなエネルギー幅は、基本的に、最も近辺の近接したGaNポテンシャル最小値間の大きな連結に起因し、それ故に、伝導帯及びそれぞれの価電子帯両方における幅広のエネルギー幅ミニバンドの形成に起因する。
【0186】
図38は、n=1伝導帯状態及びn=1重い正孔状態(E
Cn=1−E
HHn=1)の最低エネルギー遷移3805、n=1伝導帯状態及びn=1結晶場分裂状態(E
Cn=1−E
CHn=1)の最低エネルギー遷移3810、ならびにn=1伝導帯状態及びn=1軽い正孔状態(E
Cn=1−E
LHn=1)の最低エネルギー遷移3815についての、2:4超格子の放射スペクトルのグラフ3800を示す。曲線3820は、観測可能なスペクトル全体を示す。
図37と比較して放射ピークのより小さいエネルギー幅は、最も近辺の近接したGaNポテンシャル最小値間のより小さい連結に起因し、それ故に、伝導帯及びそれぞれの価電子帯両方におけるより狭いエネルギー幅ミニバンドの形成に起因する。
【0187】
図39は、n=1伝導帯状態及びn=1重い正孔状態(E
Cn=1−E
HHn=1)の最低エネルギー遷移3905、n=1伝導帯状態及びn=1結晶場分裂状態(E
Cn=1−E
CHn=1)の最低エネルギー遷移3910、ならびにn=1伝導帯状態及びn=1軽い正孔状態(E
Cn=1−E
LHn=1)の最低エネルギー遷移3915についての、3:6超格子の放射スペクトルのグラフ3900を示す。曲線3920は、観測可能なスペクトル全体を示す。
【0188】
図40は、n=1伝導帯状態及びn=1重い正孔状態(E
Cn=1−E
HHn=1)の最低エネルギー遷移4005、n=1伝導帯状態及びn=1結晶場分裂状態(E
Cn=1−E
CHn=1)の最低エネルギー遷移4010、ならびにn=1伝導帯状態及びn=1軽い正孔状態(E
Cn=1−E
LHn=1)の最低エネルギー遷移4015についての、4:8超格子の放射スペクトルのグラフ4000を示す。曲線4020は、観測可能なスペクトル全体を示す。
【0189】
図41は、n=1伝導帯状態及びn=1重い正孔状態(E
Cn=1−E
HHn=1)の最低エネルギー遷移4105、n=1伝導帯状態及びn=1結晶場分裂状態(E
Cn=1−E
CHn=1)の最低エネルギー遷移4110、ならびにn=1伝導帯状態及びn=1軽い正孔状態(E
Cn=1−E
LHn=1)の最低エネルギー遷移4115についての、5:10超格子の放射スペクトルのグラフ4100を示す。曲線4120は、観測可能なスペクトル全体を示す。
【0190】
特に重要なことは、常に最低エネルギー放射である(E
Cn=1−E
HHn=1)光学遷移の達成であり、それ故に、
図7に示す形態の効率的な垂直発光デバイスを可能にすることである。
【0191】
図42は、
図37〜
図41にプロットされた各M:Nの組についての重い正孔遷移に関する光放射スペクトルのグラフ4200を示す。一般に、より大きなGaN層厚が、GaN帯端により近い量子化されたエネルギー準位を生じさせ、それ故に、より長い発光波長を生させる。逆に、より薄いGaN層は、最低エネルギー量子化された伝導帯及び価電子帯状態の重なりを改善し、それ故に、振動子強度及び発光強度を改善する。8〜10個超の単分子層のGaNエピ層において、重なり積分が大幅に低下し、弱い光放射が結果生じることが見出された。紫外線及び深紫外線デバイスへの適用において、
図42のM:N構成が、最適かつ/または所望されることが見出された。AlN及びAl
xGa
1−xN組成を備える超格子の単位格子の使用によって、より短い発光波長も可能である。放射のTE性質を維持するために、xがおよそ0.5以下であるAl
xGa
1−xNが好ましいことが見出された。
【0192】
前述を使用して、
図1〜
図8の半導体構造などの半導体構造を設計することができる。例えば、i型活性領域、n型活性領域及びp型活性領域の単位格子のM:N構成は、n型活性領域及びp型活性領域の吸収限界よりも長い、i型活性領域からの発光波長を生成するように選択できる。さらに、本発明の実施形態は、結果生じる構造の結晶品質をさらに改善する、半導体構造全体を通じた一定の平均合金留分をもつように設計することができる。
【0193】
図43及び
図44は、AlN及びGaNエピ層を排他的に備える単位格子についての、許容される超格子伝導帯状態と重い正孔状態との間の最低エネルギー遷移の計算された光放射波長のグラフを示す。
図43は、x
aveSL=2/3=0.667を有するN=2M超格子についての発光波長を開示し、その一方で、
図44は、N=M超格子及びx
aveSL=1/2=0.50についての発光波長を開示する。曲線4300及び4400は、対応するM:N構成を有する単位格子周期∧
SLの関数として、最低エネルギー光放射波長における変化を示す。グラフから、およそ230nm〜300nm未満に及ぶ幅広のかつ望ましい光領域にわたって光放射を調整できることがわかる。
【0194】
一つの実施例において、半導体構造は、異なる超格子領域から形成される。各超格子の単位格子は、Al留分x
aveSL=2/3を有し、GaN及びAlN層から排他的に形成される。半導体構造を備える光放射デバイスについての所望の設計波長は、例えば、λ
e=265nmである。それ故に、
図43を参照するように、M:N=3:6単位格子がi型活性領域に選択される。デバイスは、所望の設計波長λ
eを実質的に透過させる超格子の単位格子を使用して、透過性基板の上に形成されたn型活性領域を備える。同様に、デバイスは、所望の設計波長λ
eを実質的に透過させるp型活性領域を備える。故に、n型活性領域における超格子を、M:N=1:2単位格子を有するように選択し、p型活性領域における最高を、M:N=2:4単位格子を有するように選択できる。これは、活性化された重い正孔の濃度を改善し、i型活性領域における超格子のM:N=3:6単位格子の部分内への正孔波動関数注入を改善する。
【0195】
i型活性領域は、二つの異なる超格子、すなわち、M:N=2:4単位格子をもつ第一の超格子及びM:N=3:6単位格子をもつ第二の超格子に分割することができる。第一の超格子は、n型活性領域と第二の超格子との間に位置付けられる。第二の超格子は、第一の超格子とp型活性領域との間に位置付けられる。第一の超格子は、好ましい電子を、第二の超格子によって画定された電子−正孔再結合領域(EHR)内に注入するための電子エネルギーフィルタとして作用する。故に、この構成は、半導体構造全体を通じた電子及び正孔のキャリア輸送を改善する。第二の超格子のEHRは、III族金属窒化物における本質的に低い正孔移動度に起因して、正孔の貯留層の近くに位置付けられる。故に、[n型1:2/i型2:4/i型3:6/p型2:4]超格子領域を有する半導体構造を有する光放射デバイスを生成することができる。i型活性領域の全体厚さも最適化することができる。
【0196】
図45及び
図46は、n型活性領域に100周期のn型M:N=1:2単位格子、及びp型活性領域に100周期のp型M:N=1:2単位格子を備える半導体構造についての、成長方向zに沿うエレクトロンボルト(eV)における、伝導帯端4510及び4610ならびに重い正孔価電子帯端4505及び4605のグラフを示す。単位格子は、x
aveSL=2/3の一定Al留分をもつ、c面配向されたGaN及びAlNの単分子層膜から排他的に構成される。同様に、i型活性領域は、x
aveSL=2/3の一定Al留分を有するが、発光波長をより長い波長に調整するために、大きな周期を有する。
図45は、i型活性領域に25周期の2:4単位格子を有する半導体構造4530についてのグラフを示し、その一方で、
図46は、i型活性領域に100周期の2:4単位格子を有する半導体構造4630についてのグラフを示す。
図45における、p型及びn型活性領域に起因する内蔵空乏領域電界E
d(z)4520は、
図46における、内蔵空乏領域電界E
d(z)4620よりも大きい。内蔵空乏領域電界E
d(z)は、i型活性領域超格子の全体厚さに影響を受け、閉じ込められた状態の超格子にわたるなおも別のシュタルクシフトの潜在力となる。この量子閉じ込め超格子シュタルク効果(QC−SL−SE)を使用して、デバイスの光学的特性をさらに調整できることが見出された。
【0197】
図47は、比較のために単一グラフに
図45及び
図46のグラフを示す。p型活性領域上方に挿入された選択的なp−GaNコンタクト層が、誘発された二次元正孔ガス(2DHG)を通じてフェルミ準位を固定する。デバイスは、成長方向zに沿う金属極性成長方位を有する。
【0198】
図48は、内蔵空乏電界の影響下の、
図45に参照される半導体構造のi型活性領域内の、計算された最低エネルギー量子化電子波動関数4800のグラフを示す。空乏電界のない半導体構造と比較して、波動関数は、青色に偏移して観測され、最も近辺の近接したものの間の共鳴トンネリングが減少する。伝導帯端4510が、参照としてプロットされている。
【0199】
図49は、内蔵空乏電界の影響下の、
図46に参照される半導体構造のi型活性領域内の、計算された量子化された最低エネルギー重い正孔波動関数4900のグラフを示す。重い正孔帯端4605が、参照としてプロットされている。
【0200】
図50A及び
図50Bは、それぞれ、
図45及び
図46に参照される、デバイスのi型活性領域からの放射スペクトルのグラフを示す。
図50Aは、最低エネルギーn=1伝導帯状態と、HH5005、LH5010及びCH5015価電子帯それぞれとの間の光学遷移についての放射スペクトル、ならびに
図45のデバイスにおける全体のTE放射スペクトル5020を示す。
図50Bは、最低エネルギーn=1伝導帯状態と、HH5025、LH5035及びCH5030価電子帯それぞれとの間の光学遷移についての放射スペクトル、ならびに
図46のデバイスにおける全体のTE放射スペクトル5020を示す。
【0201】
図45のデバイスは、より薄いi型活性領域に起因して、
図46のデバイスよりも大きな内蔵電界を有する。このより大きな内蔵電界は、i型活性領域における隣接する単位格子間の連結を切断し、発光エネルギーにおいて小さい青方偏移を生成し、放射スペクトル線の幅を減少する。
図50Aと
図50Bとを比較すると、より大きな内蔵電界に起因して、ピーク発光の低エネルギー側の半値全幅(FWHM)、及び低エネルギー放射端の青方偏移が減少していることがわかる。
図50Bは、
図46のデバイスのi型活性領域における大きな数の周期に起因して、
図50Aよりも大きな統合されたルミネセンスを示す。
【0202】
図51は、成長方向5110と平行な距離5140に沿う、ポテンシャルエネルギー5135を有する内蔵空乏電界5130の影響を概略的に記載する。内蔵空乏電界のない超格子バンドダイアグラムは、空間的な伝導帯端5115として示され、垂直軸5105は、エネルギーを表す。非局在化電子波動関数5120は、高ポテンシャルエネルギーAlN障壁を通じた量子力学トンネリングの故に、隣接するGaN領域間に連結される。内部焦電及び圧電電界も示し、これは、金属極性配向された成長を表す。波動関数5120のトンネリングは、許容された量子化された伝導帯状態についての、エネルギーミニバンド5125を結果生じる。内蔵空乏電界に伴い生じるなどの直線的に増大するポテンシャル5130の利用によって、空間バンド構造5160が結果生じる。空乏電界5130の適用による超格子の結果生じた波動関数は、最も近辺の近接したGaNポテンシャル最小値にもはや共鳴的に連結しない波動関数5145及び5155を生成する。バンド構造5160の量子化された許容されたエネルギー状態は、ここで、ミニバンドエネルギー状態5125と比較してエネルギーがより高い個々のエネルギー状態5165及び5170を有する。
【0203】
この効果は、シュタルク分裂状態のエネルギーの結果生じた低下とともに、窒素極性配向された成長にわたって空乏電界を適用することによって変更することができる。これは例えば、GaN層及びAlN層を有するM:N=3:6単位格子などの、ただ一つの単位格子タイプから構成された窒素極性p−i−n超格子デバイスにおいて特に有用である。M:N=3:6単位格子を有する超格子にわたる内蔵空乏電界によって、発光エネルギーが、より長い波長にスタークシフト(すなわち、赤色偏移)し、M:N=3:6単位格子を有する周囲のp型及びn型活性領域に実質的に吸収されない。
【0204】
一般に、金属極性配向された成長は、pが上部のエピ層スタックに起因して、i型活性領域またはn−i−pデバイスのi型活性領域の放射スペクトルにおいて青方偏移を生成する。これは、基板、n型活性領域、i型活性領域、p型活性領域[SUB/n−i−p]の順序で形成されたデバイスにおいて示されるような空乏電界に関する。逆に、pが下部のエピ層スタック、つまり、[SUB/p−i−n]として形成されたp−i−nデバイスでは、i型活性領域の放射スペクトルにおいて赤色偏移が観測される。
【0205】
逆に窒素極性配向された成長は、空乏電界に起因して、n−i−pデバイスのi型活性領域の放射スペクトルにおいて青方偏移を生成し、空乏電界に起因して、p−i−nデバイスのi型活性領域の放射スペクトルにおいて赤色偏移を生成する。
【0206】
本発明は、とりわけ、UV及びDeep UV(DUV)波長において、改善された光放射を含む、先行技術を上回る多くの利益を提供する。例えば、極薄層超格子の使用によって、光子を、垂直に、すなわち、デバイスの層と垂直に、ならびに水平に、すなわち、層と平行に放射させることができる。さらに、本発明は、電子と正孔との改善された再結合を可能にする、電子波動関数と正孔波動関数との間の空間的重なりを提供する。
【0207】
特に、紫外線デバイスの利用において、より狭いバンドギャップの材料にはGaNが、そしてより広いバンドギャップの材料にはAlNが極めて有益であることが証明される。GaNは、本質的に、c面表面上に積層したときに垂直に放射する材料であり、その一方で、AlNは、実質的に、TM光学偏光をもつ、すなわち、副層の面において放射する。
【0208】
単位格子の第一の層及び第二の層の厚さを使用して、電子及び正孔の量子化エネルギー及び伝導帯における電子の連結を選択することができる。例えば、GaNの層の厚さを使用して、電子及び正孔の量子化エネルギーを選択し、AlNの層の厚さによって、伝導帯における電子の連結を制御することができる。GaNの層の厚さの、AlNの層の厚さに対する比を使用して、超格子の平均面内格子定数を選択することができる。従って、所与の超格子の光学遷移エネルギーは、平均単位格子組成及び各単位格子の各層の厚さの両方の選択によって変更することができる。
【0209】
さらに、本発明の利点は、より単純な製造及び積層プロセス、高効率光放射に適切なカスタマイズ可能な電子的及び光学的特性(放射される光の波長など)、c面配向された表面上に積層したときの、垂直発光デバイスにとっての最適化された光放射の極性、n型及びp型伝導領域における改善された不純物ドーパントの活性化、ならびに光学的に厚い超格子を、過度の歪みを蓄積することなく形成できるような歪みを管理した単分子層を含む。例えば、非周期的超格子を使用して、歪み伝搬を防止し、光学的抽出を強めることができる。
【0210】
さらに、電子−正孔再結合領域内における電子及び/または正孔キャリア空間波動関数の広がりによって、材料の容積の増大に伴うキャリア捕獲確率、また、電子及び正孔空間波動関数重なりの両方が改善し、それ故に、先行技術を上回るように、デバイスの再結合効率が改善される。
【0211】
本明細書において、「超格子」という用語は、電子及び/または正孔のトンネル効果が容易に起こることができるように、隣接する単位格子の対応する層間にかなりの波動関数が侵入するように単位格子における層の厚さが十分に小さい二つ以上の層を含む複数個の繰り返しの単位格子を備えた層状構造を指す。
【0212】
本特許明細書において、例えば、第一の及び第二の、左側及び右側、前部及び後部、上部及び底部などの形容詞は、形容詞によって記載された具体的な相対位置またはシークエンスを必ずしも要求せず、ある要素を別の要素から特徴づけるために専ら使用される。「comprises(備える)」または「includes(含む)」などの単語は、要素または方法ステップの排他的なセットを定義するのには使用されない。むしろ、そのような単語は、単に、本発明の特定の実施形態に含まれる要素または方法ステップの最小限のセットを定義する。本発明を様々な様式において実施でき、この記述が単なる実施例として与えられることが認識されることとなる。
【0213】
本発明のさまざまな実施形態の前の記述は、当業者への説明を目的として提供される。この記述は、包括的であることも、本発明をただ一つの開示した実施形態に限定することも意図しない。前述のように、本発明についての数多くの代替物及び変化が、前の教示から当業者に明らかになる。したがって、いくつかの代替的な実施形態を具体的に論じたが、他の実施形態も、当業者に明らか、または当業者によって比較的容易に開発される。したがって、本特許明細書は、本明細書に論じた本発明のすべての代替物、変更物及び変化ならびに前述の発明の趣旨及び範囲内に収まる他の実施形態を包含することが意図される。
【0214】
本明細書における任意の先行技術についての参照は、先行技術が豪州または他の場所における共通の一般知識の一部を形成する、認識または示唆の任意の形態ではなく、そのように解釈されるべきではない。