特許第6817073号(P6817073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6817073セロトニン受容体を標的にする化合物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6817073
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】セロトニン受容体を標的にする化合物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/135 20060101AFI20210107BHJP
   A61K 31/472 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20210107BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20210107BHJP
   C07C 211/42 20060101ALI20210107BHJP
   C07C 217/56 20060101ALI20210107BHJP
   C07D 217/14 20060101ALI20210107BHJP
   C07D 307/52 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   A61K31/135
   A61K31/472
   A61P43/00 111
   A61P25/00
   A61P25/14
   A61P25/18
   A61P25/22
   A61P3/04
   C07C211/42CSP
   C07C217/56
   C07D217/14
   C07D307/52
【請求項の数】11
【全頁数】67
(21)【出願番号】特願2016-568912(P2016-568912)
(86)(22)【出願日】2015年5月19日
(65)【公表番号】特表2017-521367(P2017-521367A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】US2015031523
(87)【国際公開番号】WO2015179366
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2018年5月18日
(31)【優先権主張番号】62/000,286
(32)【優先日】2014年5月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592233750
【氏名又は名称】ノースイースタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ブース,レイモンド,ジー.
【審査官】 福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−012648(JP,A)
【文献】 特表平10−513479(JP,A)
【文献】 特表2010−522223(JP,A)
【文献】 特表2010−517952(JP,A)
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,2004年,Vol. 47, No. 16,pp. 3927-3930
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,2003年,Vol.46, No.25,p.5365-5374
【文献】 NEW薬理学,株式会社南江堂,2012年,第6版第3刷,第121−131頁
【文献】 J. Chem. Inf. Model.,2005年,Vol. 45, No. 4,pp. 1075-1081
【文献】 Neuropharmacology,2005年,Vol.48,pp.492-502
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
式中、
およびRの各々は、独立して水素もしくはアルキルであるか、またはRおよびRは一緒になって任意に置換されていてもよい複素環を形成し;
、R、R、R、およびRの各々は、独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アルコキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、アミノ、およびアミドであり、ここで、任意の2個の隣り合うR基は、任意に一緒になって炭素環系または複素環系を形成し得る;
、RおよびR10の各々は、独立して水素またはアルコキシである;
で表される構造を有する、セロトニン5−HTおよび5−HT1A受容体の実質的に鏡像異性的に純粋な(S)−エナンチオマー二重部分アゴニスト、または、その薬学的に許容し得る塩、水和物もしくは溶媒和物の治療上有効量、および、薬学的に許容し得る賦形剤または担体を含む、
セロトニン5−HTおよび5−HT1A受容体の活性化を必要とする精神神経性の疾患または障害の処置における使用のための医薬組成物であって、疾患は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アスペルガー(Asperger)症候群、脆弱X症候群(FXS)、プラダー・ウィリー(Prader-Willi)症候群、レット(Rett)症候群、トゥレット(Tourette)症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、強迫性障害、精神病性障害、精神刺激薬中毒および全般性不安からなる群から選択される、前記医薬組成物。
【請求項2】
二重部分アゴニストが、100nM未満、または50nM未満、または25nM未満、または20nM未満、または10nM未満、または5nM未満、または2nM未満、または1nM未満の結合親和力(K)でセロトニン5−HT受容体および5−HT1A受容体に対して結合する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
およびRがメチルであるか;
、R、R、RおよびRの少なくとも1つがHではないか;
、R、R、RおよびRの少なくとも1つがハロであるか;または、
、R、R、RおよびRの少なくとも1つがハロであり、かつハロがフルオロである
請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
、R、R、RおよびRの少なくとも1つがフルオロであるか;
のみがH以外の置換基であるか;
がフルオロまたはクロロなどのハロであるか;
がフルオロまたはクロロであり、R、RおよびR10の少なくとも1つがメトキシであるか
およびR、RおよびR、RおよびR、ならびにRおよびRのいずれか1つが、フルオロまたはクロロなどのハロで置換されているか、または非置換のフェニル環を形成するか;
〜Rの置換基を含む原子の総数が、少なくとも5であり、20個の非水素原子以下であるか;または、
〜Rの置換基を含む原子の総数が、少なくとも5であり、20個の非水素原子以下であり、二重部分アゴニストが、CYP1A2、CYP2C19、CYP2C9、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4から選択されるP450の1つ以上の形態について生理学的に関連した基質ではない;
請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
二重部分アゴニストが、
【化2】
または
【化3】
である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
式(Ib):
【化4】
式中:
、R、R、およびRの各々は、独立して水素、アルキル、アリール、ハロ、ニトロ、アミノ、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環式、またはアルコキシであり、
10は、独立して水素、アルキル、アリール、ハロ、ニトロ、アミノ、ヘテロアリール、シクロアルキル、または複素環式であり、および
は、ハロ、アルコキシ、またはハロアルキルである、
によって表される構造の化合物、または、その薬学的に許容し得る塩、水和物、もしくは溶媒和物であって、
およびRの両方がメチルであるか;または、
がフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードなどのハロである;
前記化合物、または、その薬学的に許容し得る塩、水和物、もしくは溶媒和物
【請求項7】
【化5】
である、請求項に記載の化合物。
【請求項8】
式(Ic):
【化6】
式中:
およびRの各々は、独立して水素またはアルキルであり、および
、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12の各々は、独立して水素、アルキル、アリール、ハロ、ニトロ、アミノ、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環またはアルコキシであり、および
、R、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは水素ではない、
によって表される構造の化合物、または、その薬学的に許容し得る塩、水和物、もしくは溶媒和物。
【請求項9】
およびRの両方がメチルであるか;
が水素であるか;または、
、R、R、R、R、RおよびRの1つ以上がフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードなどのハロである;
請求項に記載の化合物。
【請求項10】
【化7】
のうちの1つの構造を有する、化合物。
【請求項11】
請求項10のいずれか一項に記載の化合物の、または、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物の、セロトニン5−HTおよび5−HT1A受容体の活性化を必要とする精神神経性の疾患もしくは障害を処置または予防するための医薬の製造のための使用であって、疾患は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アスペルガー(Asperger)症候群、脆弱X症候群(FXS)、プラダー・ウィリー(Prader-Willi)症候群、レット(Rett)症候群、トゥレット(Tourette)症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、強迫性障害、精神病性障害、精神刺激薬中毒および全般性不安からなる群から選択される、前記使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、出願日:2014年5月19日の米国仮特許出願62/000,286号の利益を請求し、その内容はその全体を参照によってここに組み入れられる。
【0002】
本願は、1つには、例えば精神神経性の疾患または障害を含有する、セロトニン結合にリンクするものを含有する、さまざまな疾病の処置のために有用な組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な精神神経性の疾患または障害のセロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン、5−HT)システムのための顕著な、直接的または調節的役割を、証拠の多くの収束ラインが指し示す。例えば、血液の5−HTレベルおよび5−HT輸送体の遺伝子型は、子供の自閉症スペクトラム障害(ASD)の堅牢な診断マーカーと考えられている、常同症の存在、制御されない、堅い、および繰り返しの、低次のモーター行動(例えば、手振りおよび身体揺動)と相関する。さらに、ASD症のある人の5−HTのダイエット誘導減少(例えば、その前駆体のアミノ酸のトリプトファンの枯渇を介して)が、常同症を増加させる。
【0004】
ASDのある臨床試験において、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、常同症および衝動強迫にポジティブな効果を示した。SSRIの効果は、しかし、いくつかのケースではSSRI悪化常同症と混同された。SSRI処置からの副作用は、潜在的にショットガンのアプローチの結果として、また非常に普及しており、すなわち、複数の5−HT受容体における非治療的相互作用を有する可能性がある5−HTレベルの非判別的上昇である。
【0005】
これらは、精神神経性の疾患または障害の処置のための、例えば、特定の5−HT受容体の標的化を介して、セロトニン受容体(5−ヒドロキシトリプタミン受容体または5−HT受容体)を調節し得る試薬のニーズを残す。
【発明の概要】
【0006】
従って、本発明は、1以上のセロトニン受容体を苦しませまたは拮抗させ、および限定されないが、自閉症スペクトラム障害(ASD)または関連する兆候を含む、さまざまな精神神経性疾患または障害の処置における使用を見出す、組成物および方法を提供する。
【0007】
一側面において、本発明は、式I’の構造を有する、化合物の治療上有効量を含む、化合物、または医薬組成物を提供し:
【化1】
〜Rは独立して選択された置換基である。好適な置換基は本願明細書に開示される。例えば、いくつかの態様において、R、RおよびRの1つは、水素、およびR、RおよびRの2つは、アルキルまたは一緒になって複素環を形成し、およびR、R、R、およびRは、独立して水素、ヒドロキシ、スルホニル、ハロ、アシル、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールハロ、アリールヒドロキシ、アリールシアノ、アリールトリフルオロメチル、アリールトリフルオロメトキシ、アリールニトロ、アリールトリフルオロメトキシ、アリールニトロ、およびアリールエーテル、アリールエステル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アリールスルホアミジル、アリールスルホネート、アリールスルホキシル、アリールホスフェート エステル、アリールカルボニル、アリールカルボキシレート、アリールカルバメート、アリールアミン、アリールイミド、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールハロ、ヘテロアリールヒドロキシ、ヘテロアリールシアノ、ヘテロアリールトリフルオロメチル、アリールトリフルオロメトキシ、アリールニトロ、ヘテロアリールトリフルオロメトキシ、ヘテロアリールニトロ、およびヘテロアリールエーテル、ヘテロアリールエステル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホアミジル、ヘテロアリールスルホネート、ヘテロアリールスルホキシル、ヘテロアリールホスフェート エステル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリールカルボキシレート、ヘテロアリールカルバメート、ヘテロアリールアミン、ヘテロアリールイミド、キニジン、モルホリン、およびいかなる環構造も、任意に本願明細書に記載の置換基のいずれかと置換されてもよく、いずれかの隣り合う2つの置換基は、カルボ環状または複素環系を形成することを条件とする。
【0008】
さまざまな態様において、R、R、RおよびRのいずれかは炭化水素または複素環系である。いくつかの態様において、炭化水素または複素環系は、独立して、フェニル、チエニル、フラニル、ピリミジニル、オキサゾイル、チアゾリル、ピリジル、ナフチル、キノリニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ピローリル、イミダゾリル、ピラゾール、トリアゾリル、イソキサゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサジアゾリル、ベンズイミダゾリル、およびトリアジニル、その各々は、置換基を含有し得る(すなわち、任意に置換される)。いくつかの態様において、複素環系は、酸素、硫黄、窒素およびそれらの組合せからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有し得る。
【0009】
特定の態様において、Rのみが、任意に置換された炭化水素または複素環である。特定の態様において、Rのみが、任意に置換された炭化水素または複素環で、R、RおよびRの1つが水素で、R、RおよびRの2つがアルキルで、およびR、RおよびRの各々が独立して水素、ヒドロキシ、スルホキシ、ハロ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アシル、およびアルコキシである。いくつかの態様において、式I’の化合物は、実質的に異性鏡像的に純粋な化合物である。いくつか態様において、式I’の化合物は、セロトニン5HT受容体を調節する。いくつかの態様において、式I’の化合物は、セロトニン5−HTおよび5−HT1A受容体において二重部分アゴニストである。
【0010】
1の側面において、本発明は、実質的に異性鏡像的に純粋な、セロトニン5−HTおよび5−HT1A受容体において二重部分アゴニストの治療上有効量を含む、医薬組成物を提供し、式(I)の構造を有する前記二重部分アゴニスト:
【化2】
または薬学的に許容し得るその塩、水和物、または溶媒和物である。式中、R〜R10は水素または独立して選択される置換基である。いくつかの態様において、RおよびRの各々は、独立して水素またはアルキル、またはRおよびRは一緒になって任意に置換された複素環を形成し、R、R,R,R、R、R、R、およびR10の各々は、独立して水素、ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アルコキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、およびアミドであり、およびここで、いずれかの2つの隣り合うRは炭素環または複素環系を形成し;および薬学的に許容し得る賦形剤または担体である。いくつかの態様において置換基は、水素、ハロ、アシル、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロおよびトリメチルシラニル、エーテル、エステル、スルフィド、ジスルフィド、スルホニル、スルフィニル、スルホアミジル、スルホネート、スルホキシル、ホスフェート エステル、ホスフィン、ボレート エステル、カルボニル、カルボキシレート、カルバメート、アミン、イミドおよびキニジンである。
【0011】
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約99%の単一の鏡像異性体を含む。さまざまな実施態様において、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約99%の単一の鏡像異性体。いくつかの態様において、単一の鏡像異性体は、対応する鏡像異性体には見出されない、機能的な特性(例えば、セロトニン受容体選択性および/または受容体親和力)を有する。したがって、いくつかの態様において、本発明は、ラセミ体またはラセミ化混合物を検討しない。
【0012】
いくつかの態様において、二重部分アゴニストは選択的にセロトニン5−HT受容体および/またはセロトニン5−HT1A受容体に、約100nM未満、または約50nM未満、または約25nM未満、または約20nM未満、または約10nM未満、または約5nM未満、または約2nM未満、または約1nM未満の結合親和力(K)で結合する。いくつかの態様において、二重部分アゴニストは、セロトニン5−HT1Aおよび5−HT受容体の1以上に立体選択的結合を提供し、例えば、セロトニン5−HT2Aおよび5−HT2C受容体よりも少なくとも約10倍、または少なくとも約20倍、または少なくとも約30倍、または少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍、または少なくとも約75倍、または少なくとも約100倍高い親和力を提供する。さらに、いくつかの態様において、二重部分アゴニストは、ヒスタミンH1受容体、ドーパミンD2、およびアドレナジックα1Aおよびα1B受容体の1以上と生理的に関連するレベルで結合しない。本願明細書に記載されるように、本発明の化合物の受容体結合(アゴニスト)プロファイルは、非限定常同症の方法によるなどの、兆候の処置のための独特のポテンシャルを提供する。
【0013】
さまざまな態様において、組成物の治療上有効量は、約100mg未満、または約90mg未満、または約80mg未満、または約70mg未満、または約60mg未満、または約50mg未満、または約40mg未満、または約30mg未満、または約25mg未満、または約20mg未満、または約15mg未満である。本願明細書のマウスモデルに関して記載するように、ある態様において、本発明の化合物は周辺から素早く除去されるが、しかし脳に蓄積するであろう。5−HT1Aおよび5−HT受容体のためのこれら化合物の比較的低い親和力と共に、化合物は、比較的低い用量で治療有効性を提供するであろう。
【0014】
さまざまな態様において、本発明の医薬組成物は、長期作用または徐放性のために調合される。いくつかの態様において、調合は、経口投与および/または経粘膜送達(例えば、カプセル、錠剤、パッチ、またはトローチ剤)に好適である。
【0015】
さまざまな態様において、二重部分アゴニストは脳に蓄積し、かかる調合は、少なくとも約6時間、または少なくとも約9時間、または少なくとも約12時間、または少なくとも約15時間、または少なくとも約18時間、または少なくとも約21時間、または少なくとも約24時間、ヒトの脳へ二重部分アゴニストの生理学的量を送達する。
【0016】
いくつかの側面において、本発明は、細胞を本願明細書に記載される化合物または組成物と接触させることによって、セロトニン5−HT1Aおよび5−HT受容体を選択的に調節する方法を提供し、ここで、調節は部分的な拮抗作用である。いくつかの側面において、本発明は、非限定的な例のやり方によって、自閉症、不安、うつ病、強迫性障害、統合失調症、自殺、偏頭痛、嘔吐、アルコール依存症及び神経変性疾患を含有する精神神経性疾患または障害を、本明細書に記載の化合物または組成物の有効量を投与して処置または予防する方法を提供する。さまざまな態様において、本方法は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アスペルガー症候群、脆弱X症候群(FXS)、プラダー・ウィリー症候群、レット症候群、トゥレット症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、強迫性障害、精神病性障害、精神刺激薬中毒および全般性不安に関連する。
【0017】
いくつかの側面において、本発明は、本願明細書に記載される化合物または組成物の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む、自閉症スペクトラム障害(ASD)の治療方法を提供する。
【0018】
いくつかの側面において、本発明は、本願明細書に記載される化合物または組成物の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む、常同症の処置方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A図1Aは5−FPTを示す。ラセミ体5−FPT(o−F−PATとしても知られる)は(+)および(−)光学鏡像異性体に分解された。図1Aにおいてまた、ラセミ体5−CIPT(o−Cl−5−PATとしても知られる)は(+)および(−)光学鏡像異性体に分解された。
図1B図1Bは、ヒトの5−HT7a受容体の高密度を安定的に発現させるHEK293細胞を示す。
図2A図2Aは、AS−19(ポジティブコントロール、5−HT7受容体での強力なアゴニスト、最上の曲線)、それと同様に(+)−o−Cl−PAT(上から2番目の曲線)に対する(+)−o−F−PAT(下から2番目の曲線)の5−HT部分アゴニスト効果を示す。最下の曲線は、4−PAT化合物ネガティブコントロールである。代表的な機能的アッセイの結果は、濃度データ点の平均±SEMを示す。
図2B図2Bは、5−HT2A図2B−1)、5−HT2B図2B−2)、および5−HT2C図2b−3)受容体での(+)−o−F−PATの結合親和力を示す。
図3図3は、5−CTに対する(+)−5−FPTの5−HT1A部分アゴニスト効果を示す。代表的な機能的アッセイ結果は、濃度データ点の平均±SEMを示す。
【0020】
図4A-C】図4A〜4Cは、5−FPTの効果は立体特異的であることを示す。(−)鏡像異性体に対して、(+)鏡像異性体は5−HT図4A)および5−HT1A受容体でより高い親和力を示し(表1参照)、5−HT受容体を活性化するためのより大きい効能を(図4B)、および(±)−2,5−ジメトキシ−4−ヨードアンフェタミン(DOI)(1mg/kg)が引き起こしたHTR(ヘッド攣縮応答)を減少させるための高い効能(図4C)を示す。左側のバーは、図7に示されたデータを比較のために含む。図4Aに示す競合的結合のために、2.37nM(計算値)の[H]5−CTは、5−HT受容体をラベル化するために使用され、そのKは0.7nMに設定されたことに注意されたい。データは平均±SEMとして表される。
図5図5は、(+)−5−FPT(1および3mg/kg)が用量依存的にC58/Jマウスの原因不明の、常同性のジャンプを除去することを示す。棒グラフは、平均±SEMを示す。
図6A図6Aは、(+)−5−FPT(5.6mg/kg)が、C57Bl/6JマウスのMK―801(0.3mg/kg)によって引き起こされる常同性の回転を著しく減らすことを示す。
図6B図6Bは、(+)−5−FPT、5.6mg/kgが、MK―801(0.3mg/kg)を妨げるが、30分のセッションの間、アンフェタミン(AMP、3mg/kg)の自発運動の亢進を妨げない。著しく増加する運動にもかかわらず、AMPは、常同性の回転行動が生じない。棒グラフは、平均±SEMを示す。
図7図7は、(+)−5−FPTが用量依存的にC57Bl/6JマウスのDOIに引き起こされたHTRを妨げることを示す。比較として、AS―19(10mg/kg)はHTRを減らし、そして、DPAT(0.5mg/kg)は立体選択的にHTRを減らした。棒グラフは、平均±SEMを示す。
【0021】
図8図8は、(+)−5−FPTが自発運動の行動を変えないことを示す。データは、C58/J(左)およびC57Bl/6J(右)マウスを用いた常同性アッセイからである。(+)−5−FPT用量は、1、3および5.6mg/kgであった。棒グラフは、平均±SEMを示す。
図9図9は(+)−5−FPT、5.6mg/kg、がビヒクル処置された同腹の子との社会的相互作用を増加させることを示す。その一方で、その後、グルーミングを減少させる。6つの1分間観察セッションに渡って、社会的相互作用の平均(SEM)数が示され、およびマウスがグルーミングを示した、(6のうちの)セッションの平均(SEM)数を示す。データは、C57Bl/6Jマウスからである。
図10図10は、(+)―5―FPT(5.6mg/kg)の有効回数のコースを示す。テストの前に180分ではなく、120分投与されたとき、5―FPTはDOI(1mg/kg)HTRを妨げるための有効性を保持する。データは、C57Bl/6Jマウスからである。左の2本の棒は、比較のための図7に示されるデータを含む。棒グラフは、平均±SEMを示す。
図11図11は、(+)−5−FPTが経口的に活性であることを示す。1mg/kgのDOIの皮下の投与前の10分の3mg/kgの(+)―5―FPTの経口の強制栄養投与は、C57Bl/6JマウスのHTRを減らす。棒グラフは、平均±SEMを示す。
図12-1】図12は、さまざまな合成された5―PAT化合物、およびセロトニン受容体タイプ、5―HT1A、5―HT2A、5―HT2B、5―HT2Cおよび5―HTでのそれらの親和力を示す。ヒスタミンのH1受容体での親和力がまた包含される。
図12-2】図12は、さまざまな合成された5―PAT化合物、およびセロトニン受容体タイプ、5―HT1A、5―HT2A、5―HT2B、5―HT2Cおよび5―HTでのそれらの親和力を示す。ヒスタミンのH1受容体での親和力がまた包含される。
図13図13は、5―HT2A、5―HT2Bおよび5―HT2C受容体での化合物7l(‘TOMCAT’すなわちtrans―4―(3´―クロロフェニル)―6―メトキシ―N,N―ジメチル―1,2,3,4―テトラヒドロナフタレン―2―アミン)と呼ばれるX軸において)、4―PATシリーズ化合物の結合親和力を示す。ヒスタミンH1受容体での親和力もまた包含される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明は、1つには、特定のセロトニン受容体を立体選択的に調節して、次に、これらの症状によって特徴づけられる常同症および障害を処置することに有用である、新規な化合物の発見に基づく。関連化合物は、劣った(H1)受容体結合特性を考慮して、キラール分割を保証しない旨報告された(例えば、Ghoneim, Bioorg & Med. Chem.14 (2006):6640参照。それらの全部においてその内容は本願明細書に組み入れられる)。
【0023】
いくつかの側面において、本発明は、式I’の構造を有する化合物を含む、化合物、または医薬組成物を提供する。
【化3】
式中、R、R、R3、、R、R、およびRは上記に定義したとおりである。
【0024】
さまざまな態様において、R、R、RおよびRのいずれか、炭化水素または複素環系である。いくつかの実施形態において、炭化水素または複素環系はフェニル、チエニル、フラニル、ピリミジニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ナフチル、キノリニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ピローリル、イミダゾリル、ピラゾール、トリアゾリル、イソオキサゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、オキサジアゾリル、ベンズイミダゾリルおよびトリアジニルから独立して選択される。そして、それらの各々は置換基を含有し得る(すなわち、任意に置換される)。いくつかの実施形態において、複素環系は、酸素、硫黄、窒素およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有し得る。
【0025】
特定の実施態様において、Rのみが、任意に置換される炭化水素または複素環系である。特定の実施態様において、Rのみが、任意に置換される炭化水素または複素環系であり、R、R、およびRの1つは、水素で、およびR、R、およびRのうちの2つはアルキルであり、そして、R、R、およびRの各々は、独立して水素、ヒドロキシ、スルホキシ、ハロ、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アシルおよびアルコキシル基である。これらの実施態様において、Rを含む原子の総数は少なくとも約5つおよび約20原子未満でもよく、そして、水素原子を含有しない(例えば、約5と約10との間の非水素原子、または、約5と約15との間の非水素原子、または約10と約15との間の非水素原子である)。
【0026】
いくつかの実施態様において、式I’の化合物は、実質的に鏡像異性的に純粋な化合物である。いくつかの実施態様において、式I’の化合物は、セロトニン5−HTおよび5−HT1A受容体において二重部分アゴニストである。
【0027】
いくつかの側面において、本発明は、セロトニン5−HTおよび5−HT1A受容体において実質的に鏡像異性的に純粋な二重部分アゴニストの治療上有効量を含む医薬組成物を提供し、二重部分アゴニストは、式(I)の構造を有する:
【化4】
または薬学的に許容し得るそれらの塩、式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、およびR10の各々は水素または例えば上記で定義された置換基である。
【0028】
いくつかの実施態様において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、およびR10の各々は独立して水素、アルキル、アリール、ハロ、ニトロ、アミノ、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環式、またはアルコキシである。いくつかの実施態様において、RおよびRの両方はメチルである。
【0029】
いくつかの実施態様において、R、R、R、R、およびRの少なくとも1つは、水素でない。いくつかの実施態様において、R、R、R、R、およびRの少なくとも1つは、ハロである。いくつかの実施態様において、R、R、R、R、およびRの2つは、ハロである。いくつかの実施態様において、R、R、R、R、およびRの1つは、ハロである。いくつかの実施態様において、ハロはフルオロで、オルト、メタまたはパラ位(または、ナフチル環の場合、ハロ置換はナフチル環の1、2、3、4、5、6、または7の位置であり得、(化合物の核への取り付け位置はナフチル環の1または8の位置である))にある。いくつかの実施態様において、R、R、R、R、およびRの少なくとも1つは、フルオロである。いくつかの実施態様において、RだけはH以外の置換基である。いくつかの実施態様において、Rはハロである。いくつかの実施態様において、Rはフルオロまたはクロロである。
【0030】
いくつかの実施態様において、オルト置換化合物(ハロなど)はメタ置換化合物(ハロなど)より良好な、セロトニン5−HTおよび5−HT1A受容体などでの二重部分アゴニストである。
【0031】
いくつかの実施態様において、RおよびR、RおよびR、RおよびR、およびRおよびRの任意の1つは、フェニル環を形成し、それは置換または非置換である。さまざまな実施態様において、ナフチル環が結果的に生じる場合、ハロでの置換があり、任意にナフチル環の2、3、4、5、6、または7位置の1つ以上で(化合物の核に対する取付け位置がナフチル環の1または8位にある)、フルオロおよびクロロから任意に選択される。さまざまな実施態様において、フェニルまたはナフチル環は、非置換である。
【0032】
さまざまな実施態様において、任意に置換された炭化水素または複素環系、例えば、式Iの二環式核の5の位置に接続されたフェニル環またはナフチル環(核は、構造の上部であり、すなわち置換基R〜R10を持つテトラヒドロナフチル部分、およびアミノ基は、置換基RおよびRである)がある。いくつかの実施態様において、これらのフェニルまたはナフチル環は、ハロによって置換され、任意にフルオロおよびクロロから選択される。いくつかの実施態様において、ハロ置換がフェニル環のオルト、メタ、またはパラ位、またはナフチル環の2、3、4、5、6、または7の位置にある。いくつかの実施態様において、ハロ置換は、フェニル環のオルトで、またはナフチル環の2または7の位置(化合物の核に対する取付け位置がナフチル環の1または8の位置にある)にある。
【0033】
さまざまな実施態様において、置換基R〜Rを含む原子の総数は少なくとも約5で、約20未満で、および水素原子を含有しない(例えば、約5と約10との間の非水素原子、または約5と約15との間の非水素原子、または約10と約15との間の非水素原子間)。いくつかの実施態様において、組成物は、P450の1つ以上の形態のための(生理的レベルでの)基質ではない。例えば、理論に束縛されることを望まずに、置換基R〜Rを含む非水素原子の多数は、P450を伴う代謝を予防し得る(かかる代謝は、理論に束縛されることを望まずに、酸化によって媒介されてもよい)。例えば、いくつかの実施態様において、組成物は、P450(例えばCYP1、CYP2、CYP3、CYP4、CYP5、CYP7、CYP8、CYP11、CYP17、CYP19、CYP20、CYP21、CYP24、CYP26、CYP27、CYP39、CYP46およびCYP51)の1つ以上の系統のための(生理的レベルでの)基質ではない。いくつかの実施態様において、組成物は、1つ以上のCYP1A2、CYP2C19、CYP2C9、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4のための基質ではない。これらの実施態様において、化合物は、薬理学的効果のP450によって媒介される減少を回避することに適している。
【0034】
いくつかの実施態様において、R、RおよびR10の1つは、メトキシである。いくつかの実施態様において、RおよびR、またはRおよびR10は置換または非置換のフェニル環を形成する。
【0035】
いくつかの実施態様において、二重部分アゴニストは、
【化5】
である。
【0036】
いくつかの実施態様において、二重部分アゴニストは上記化合物の(+)鏡像異性体である。
【0037】
いくつかの実施態様において、二重部分アゴニストは:
【化6】
である。
【0038】
いくつかの実施態様において、二重部分アゴニストは上記化合物の(+)鏡像異性体である。
【0039】
いくつかの実施態様において、二重部分アゴニストは、
【化7】
である。
【0040】
いくつかの実施態様において、二重部分アゴニストは上記化合物の(−)鏡像異性体である。
【0041】
さまざまな実施態様において、本発明の組成物は、単一の鏡像異性体の少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約99%を含む。さまざまな実施態様において、単一の鏡像異性体の少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約99%である。しかしながら、ある実施態様において、例えばオルト置換基(例えば、フルオロかクロロ)には、ラセミ化合物が、本発明と関連して採用され得る。
【0042】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、単一の鏡像異性体の約30%未満、または約20%未満、または約15%未満、または約10%未満、または約5%未満、または約3%未満、または約1%未満を含む。
【0043】
いくつかの実施態様において、本件化合物および組成物は、実質的に単一の鏡像異性体で本質的に対応する鏡像異性体のない形態にある。
【0044】
いくつかの実施態様において、単一の鏡像異性体は、対応する鏡像異性体で見つからない機能的特性(例えばセロトニン受容体選択性)を有する。例えば、いくつかの実施態様において、(+)鏡像異性体は、対応する(−)鏡像異性体で見つからないセロトニン−受容体調節特性(例えば(−)鏡像異性体が、生理的レベルでより多くのセロトニン受容体の1つと結合しない)を有する。さらなる例によって、いくつかの実施態様において、(−)鏡像異性体は、対応する(+)鏡像異性体で見つからないセロトニン―受容体調節特性(例えば、(+)鏡像異性体は、生理的レベルでより多くのセロトニン受容体のうちの1つと結合しない)を有する。かかる立体選択性は、いくつかの実施態様において、また、(R)−および(S)−およびd−およびl−にも適用される。したがって、いくつかの実施態様において、本発明は、ラセミ化合物またはラセミ体の混合物を検討しない。いくつかの実施態様において、本願の化合物および組成物は、高光学純度薬としての使用を見出す。
【0045】
さまざまな実施態様において、本発明は、その構成成分、純粋な鏡像異性体、すなわちキラル分割へのラセミ化合物の分離を必要とする。実質的に鏡像異性的に純粋な化合物を達成する技術は、公知で、非限定的な例によって、結晶化、クロマトグラフィ(例えばHPLC)および酵素分割を含む。キラル分割のためのさまざまな技術は、Proter PureAppl.Chem.63(8):1119―1122に見出され、それらの全部において参照として本願明細書にその内容が組み入れられる。さまざまな実施態様において、ユーディスミック比(Eudysmic ratio)の測定は、組成物の最終的な特性を決定する際に助けとなり得る。例えば、1つの鏡像異性体がユートマー(eutomer)であり、一方で他はジストマー(distomer)であり、そして、2者の比較は、活性または結合測定値の割合(例えばEC50またはIC50)を含有し得る。
【0046】
さらなる実施態様において、本願化合物および組成物は、高光学純度薬である。しかしながら、対応する鏡像異性体が異なるが所望する特性(例えば、異なるセロトニン受容体での生理的に関連する調節)を提供する場合、かかる鏡像異性体は、公知の量の組合せ組成物として組合わせ得る。
【0047】
さまざまな実施態様において、本件化合物または組成物は、1以上のセロトニン受容体、5−ヒドロキシトリプタミン受容体または5‐HT受容体としても知られる、を調節する。例えば、1以上の5―HT受容体(例えば1以上の5―HT1A、5―HT1B、5―HT1C、5―HT1D、5―HT1E、5―HT1F);5―HT受容体(例えば1以上の5―HT2A、5―HT2B、5―HT2C);5―HT受容体;5―HT受容体;5―HT受容体(例えば5―HT5A);5―HT受容体;そして、5―HT受容体は、調節され得る。
【0048】
さまざまな実施態様において、本願明細書(例えば1以上のセロトニン受容体)において記載されている1以上の受容体で、本件化合物または組成物が完全アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、逆アゴニストなどでもよい。いくつかの実施態様において、本発明は、特に本願明細書(例えば1以上のセロトニン受容体)において記載されている1以上の受容体で、部分アゴニストを提供する。いくつかの実施態様において、本件化合物または組成物は、本願明細書(例えば1以上のセロトニン受容体)において記載されている1以上の受容体の完全アゴニストでない。いくつかの実施態様において、完全アゴニストと比較すると、かかる部分的なアゴニズム(agonism)は、受容体で活性の一定の、弱いレベルを提供し得る。さらに、理論に束縛されることを望まずに、かかる部分的なアゴニズムは、強力な完全アゴニストまたはアンタゴニストへの反復露出の後、発達することができる適応性の調整機構を防止することができる。さらに、セロトニン受容体調節に関する実施態様において、本件化合物または組成物の部分的なアゴニズムは、セロトニン症候群(例えば熱、心臓不整脈、発作、意識喪失)の危険を低下または除外することができる。例えば、いくらかの5−HTアゴニスト(例えばトリプタン)は、セロトニン症候群を引き起こすことは公知である。部分的なアゴニズムは、この有害な副作用を回避すると考えられている。
【0049】
さまざまな実施態様において、二重部分アゴニストは、生理的に関連したレベルでセロトニン5―HTおよび5―HT1A受容体の1以上に結合する。さまざまな実施態様において、二重部分アゴニストは約100nM未満、または約50nM未満、または約25nM未満、または約20nM未満、または約10nM未満、または約5nM未満、または約2nM未満、または約1nM未満の結合親和力(K)でセロトニン5―HT受容体に結合する。さまざまな実施態様において、二重部分アゴニストは、約100nM、または約90nM、または約80nM、または約75nM、または約70nM、または約60nM、または約50nM、または約40nM、または約30nM、または約25nM、または約20nM、または約10nM、または約5nM、または約4nM、または約3nM、または2nM、または約1nMの結合親和力(K)でセロトニン5―HT受容体に結合する。さまざまな実施態様において、二重部分アゴニストは約100nM未満、または、約50nM未満、または約25nM未満、または約20nM未満、または約10nM未満、または約5nM未満、または約2nM未満、または約1nM未満の結合親和力(K)でセロトニン5―HT1A受容体に結合する。さまざまな実施態様において、二重部分アゴニストは、約100nM、または約90nM、または約80nM、または約75nM、または約70nM、または約60nM、または約50nM、または約40nM、または約30nM、または約25nM、または約20nM、または約10nM、または約5nM、または約4nM、または約3nM、または2nM、または約1nMの結合親和力(K)でセロトニン5―HT1A受容体に結合する。
【0050】
さまざまな実施態様において、二重部分アゴニストは、生理的に関連したレベルでセロトニン5―HT2Aおよび5―HT2C受容体の1以上と結合しない。さまざまな実施態様において、二重部分アゴニストは、約300nMを超える、または、約400nMを超える、または約500nMを超える、または約750nMを超える、または約1μMを超える親和力でセロトニン5―HT2Aおよび5―HT2C受容体の1以上と結合する。いくつかの実施態様において、二重の部分アゴニストは、約10μM、または約5μM、または約1μM、または約900nM、約800nM、または約750nM、または約700nM、または約600nM、または約500nM、約400nM、または約250nMの親和力でセロトニン5―HT2Aおよび5―HT2C受容体の1以上と結合する。
【0051】
したがって、いくつかの実施態様において、本件二重部分アゴニストは、他のセロトニン受容体と比較して選択的にセロトニン5―HTおよび5―HT1A受容体に結合させる。さまざまな実施態様において、二重部分アゴニストは、セロトニン5―HT2Aおよび5―HT2C受容体の1以上よりも少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、または少なくとも約30倍少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍高い親和力で、1以上のセロトニン5―HTおよびまたは5―HT1A受容体を結合させる。さまざまな実施態様において、二重の部分アゴニストは、1以上のセロトニン5―HT2Aおよび5―HT2C受容体よりも約10倍、または20倍、または25倍、または30倍、または40倍、または50倍、または60倍、または70倍、または75倍、または80倍、または90倍、または100倍高い親和力で1以上のセロトニン5―HTおよび5―HT1A受容体を結合させる。
【0052】
いくつかの実施態様において、他のセロトニン受容体に対して特定のセロトニン受容体(例えば5―HTおよび5―HT1A受容体の優先性)への選択的な結合は、鏡像異性体に媒介される。すなわち、いくつかの実施態様において、化合物の鏡像異性体は、選択的を結合させることを示すが、一方で他は示さない。例えば、いくつかの実施態様において、二重部分アゴニストは、セロトニン5―HTおよび5―HT1A受容体の1以上を、対応する鏡像異性体より少なくとも約10倍、または少なくとも約20倍、または少なくとも約30倍、または少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、高い親和力で結合させる。いくつかの実施態様において、二重の部分アゴニストは、セロトニン5―HTおよび5―HT1A受容体の1以上を、対応する鏡像異性体より約10倍、または約20倍、または30倍、または40倍、または約50倍、または75倍、または約100倍、高い親和力で結合させる。
【0053】
さまざまな実施態様において、二重部分アゴニストは、生理的に関連したレベルでヒスタミンH1受容体、ドーパミンD2およびアドレナリン作動α1Aおよびα1B受容体の1以上を結合させない。
【0054】
さまざまな実施態様において、二重部分アゴニストは、ヒスタミンH1受容体、ドーパミンD2およびアドレナリン作動α1Aおよびα1B受容体の1以上を、約500nMを超える、約750nMを超える、約1μMを超える親和力で結合させる。さまざまな実施態様において、二重部分アゴニストは、ヒスタミンH1受容体、ドーパミンD2およびアドレナリン作用性α1Aおよびα1B受容体の1以上を、10μM、または約5μM、または約1μM、または約900nM、または約800nM、または約750nM、または約700nM、または約600nM、または約500nM、または約400nM、または約250nMの親和力で結合させる。
【0055】
したがって、実施態様において、本二重部分アゴニストは、ヒスタミンH1受容体、ドーパミンD2およびアドレナリン作動α1Aおよびα1B受容体の1以上に対して、セロトニン5―HTおよび5―HT1A受容体を選択的に結合させる。さまざまな実施態様において、二重部分アゴニストは、セロトニン5―HTおよび5―HT1A受容体の1つ以上を、ヒスタミンH1受容体、ドーパミンD2およびアドレナリン作用性α1Aおよびα1B受容体の1以上より少なくとも約10倍、または少なくとも約20倍において、または、最低約30倍または少なくとも約40倍で、または少なくとも約50倍、または少なくとも約75倍、または少なくとも約100倍高い親和力で結合させる。さまざまな実施態様において、二重部分アゴニストは、セロトニン5―HTおよび5―HT1A受容体の1つ以上を、ヒスタミンH1受容体、ドーパミンD2およびアドレナリン作動α1Aおよびα1B受容体の1以上より約10倍、または20倍、または25倍、または30倍、または約40倍、または50倍、または60倍、または70倍、または75倍、または80倍、または90倍、または100倍高い親和力で結合させる。
【0056】
さまざまな側面において、本発明は、式(Ia)によって表される構造の化合物または医薬組成物に関する:
【化8】
またはその薬学的に許容し得る塩で、式中、R、RおよびRの各々は式Iに対する上記のように定義される。
【0057】
いくつかの実施態様において、化合物または医薬組成物は、(+)鏡像異性体である。いくつかの態様において、化合物または医薬組成物は、(−)鏡像異性体である。
【0058】
いくつかの実施態様において、RおよびRの各々は、独立して水素、アルキル、アリール、ハロ、ニトロ、アミノ、ヘテロアリール、シクロアルキルあるいは複素環、アルコキシである。
【0059】
いくつかの実施態様において、RおよびRは、同一である。いくつかの実施態様において、RおよびRは、同一ではない。いくつかの実施態様において、RおよびRの一方または両方は、メチルである。
【0060】
いくつかの実施態様において、Rは、ハロである。いくつかの実施態様において、Rは、フルオロである。いくつかの実施態様において、Rは、クロロである。いくつかの実施態様において、Rは、ブロモである。いくつかの実施態様において、Rは、ヨードである。
【0061】
いくつかの実施態様において、Rは、オルト位にある。いくつかの実施態様において、Rは、メタ位にある。いくつかの実施態様において、Rは、パラ位にある。
【0062】
いくつかの実施態様において、RおよびRの両方ともメチルである、そして、Rはハロである。いくつかの実施態様において、RおよびRの両方ともメチルで、そして、Rはフルオロである。いくつかの実施態様において、RおよびRの両方ともメチル、およびRはクロロである。いくつかの実施態様において、RおよびRの両方ともメチル、およびRはクロロであり、クロロはメタ位でない。いくつかの実施態様において、RおよびRの両方ともメチルであり、およびRはブロモである。いくつかの実施態様において、RおよびRの両方ともメチルである、およびRはヨードである。
【0063】
いくつかの実施態様において、式Iaの化合物は、鏡像異性的に純粋である。いくつかの実施態様において、式Iaの化合物は、実質的に(+)鏡像異性体である。いくつかの実施態様において、式Iaの化合物は、(+)鏡像異性体を実質的に持っていない。いくつかの実施態様において、式Iaの化合物は、実質的にある(−)鏡像異性体である。いくつかの実施態様において、式Iaの化合物は、実質的に(−)鏡像異性体を持たない。
【0064】
いくつかの実施態様において、式Iaは、Rがメタ位でクロロである場合を除外する。
【0065】
さまざまな態様において、本発明は、式(Ib)によって表される構造の化合物または医薬組成物に関する:
【化9】
または、薬学的に許容し得るそれらの塩、水和物または溶媒和物で、式中、R、R、R、R、RおよびR10の各々は、式Iに対して上記で定めたように定義される。
【0066】
いくつかの実施態様において、化合物または医薬組成物は、(+)鏡像異性体である。いくつかの実施態様において、化合物または医薬組成物は、(−)鏡像異性体である。
【0067】
いくつかの実施態様において、R、R、R、RおよびR10の各々は、独立して水素、アルキル、アリール、ハロ、ニトロ、アミノ、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環、あるいはアルコキシである。
【0068】
いくつかの実施態様において、R、R、R、RおよびR10の各々は、独立して水素、アルキル、アルコキシル、ヒドロキシ、またはアミノである。
【0069】
いくつかの実施態様において、RおよびRは、メチルである。
【0070】
いくつかの実施態様において、Rは、ハロ、アルコキシ、またはハロアルキルである。
【0071】
いくつかの実施態様において、Rは、ハロである。いくつかの実施態様において、Rは、フルオロである。いくつかの実施態様において、Rは、クロロである。いくつかの実施態様において、Rは、ブロモである。いくつかの実施態様において、Rは、ヨードである。
【0072】
いくつかの実施態様において、式Ibの化合物は、実質的に(+)鏡像異性体である。いくつかの実施態様において、式Ibの化合物は、(+)鏡像異性体を実質的に持たない。いくつかの実施態様において、式Ibの化合物は、実質的に(−)鏡像異性体である。いくつかの実施態様において、式Ibの化合物は、実質的を(−)鏡像異性体全く持たない。
【0073】
いくつかの実施態様において、化合物は:
【化10】
である。
【0074】
いくつかの実施態様において、二重部分アゴニストは、上記の化合物の(+)鏡像異性体である。
【0075】
いくつかの実施態様において、化合物は:
【化11】
である。
【0076】
いくつかの実施態様において、二重部分アゴニストは、上記の化合物の(+)鏡像異性体である。
【0077】
さまざまな側面において、本発明は、式(Ic)によって表される構造の化合物または医薬組成物に関する:
【化12】
または、薬学的に許容し得るそれらの塩、水和物または溶媒和物で、式中、R−R12の各々は、式Iのための上記でのように定義される。
【0078】
いくつかの実施態様において、R1〜R12の各々は、独立して水素、アルキル、アリール、ハロ、ニトロ、アミノ、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環、またはアルコキシである。
【0079】
いくつかの実施態様において、RおよびRは、メチルである。
【0080】
いくつかの実施態様において、R、R、R、R、R、RおよびRの1以上は、ハロである。
【0081】
いくつかの実施態様において、R、R、R、R、R、R、およびRの1以上はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選択される。
【0082】
いくつかの実施態様において、Rは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選択される。いくつかの実施態様において、Rはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選択され、およびR〜Rの各々は水素である。
【0083】
いくつかの実施態様において、式Icの化合物は、鏡像異性的に純粋である。いくつかの実施態様において、式Icの化合物は、実質的に(+)鏡像異性体である。いくつかの実施態様において、式Icの化合物は、(+)鏡像異性体を実質的に持たない。いくつかの実施態様において、式Icの化合物は、実質的(−)鏡像異性体である。いくつかの実施態様において、式Icの化合物は、実質的に(−)鏡像異性体を持たない。
【0084】
いくつかの実施態様において、該化合物は:
【化13】
である。
【0085】
いくつかの実施態様において、二重部分アゴニストは、上記の化合物の(−)鏡像異性体である。
【0086】
さまざまな実施態様において、化合物は、以下:
【化14】
のいずれであってもよい。
【0087】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物および組成物は、薬学的に許容し得る塩という形態を取ることができる。当該技術分野において知られるように、薬学的に許容し得る酸付加塩は、薬学的に許容し得る酸から形成される。かかる塩類は、例えば、Journal of Pharmaceutical Science, 66, 2-19 (1977) and The Handbook of Pharmaceutical Salts; Properties, Selection, and Use. P. H. Stahl and C. G. Wermuth (eds.), Verlag, Zurich (Switzerland) 2002,に挙げられた薬学的に許容し得る塩を含有し、それらの全部において参照によって本願明細書に組み入れられる。
【0088】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物および組成物は、薬学的に許容し得る担体またはビヒクル(vehicle)を含む組成物の構成成分として、被験者に投与され得る。かかる組成物は、適当な投与のために形態を提供するために、薬学的に許容し得る賦形剤の好適な量を任意に含み得る。
【0089】
医薬賦形剤は、水、および石油、動物油、植物油または合成起源油(例えば落花生油、大豆油、鉱油、胡麻油など)を含む油などの液体であり得る。医薬賦形剤は、例えば、食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、澱粉ペースト、タルク、角質、コロイド状シリカ、尿素などであり得る。加えて、補助剤、安定化剤、増粘材、潤滑剤、および色材が使用され得る。一実施態様において、被験者に投与されるときに、薬学的に許容し得る賦形剤は、消毒される。水、食塩液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液は、液体賦形剤として採用され得る。好適な医薬賦形剤には、澱粉、ブドウ糖、ラクトース、蔗糖、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール・モノ・ステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。必要に応じて、本願明細書において記載されている任意の薬品も、湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝剤を少量含むこともできる。
【0090】
本発明の化合物および組成物は、さまざまな調合に存在し得る。本願明細書において記載されている任意の化合物および組成(および/または追加の試薬)は溶液、懸濁物、乳化物、ドロップ、錠剤、ピル、ペレット、カプセル、液体を含有するカプセル、粉、持続性徐放製剤、または使用に好適な他のいかなる形態をも含む。一実施態様において、組成物はカプセルの形態である(米国特許番号5,698,155号参照)。適切な医薬賦形剤の他の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 1447-1676 (Alfonso R. Gennaro eds., 19th ed. 1995)に記載され、そして、本願明細書に組み入れられる。
【0091】
必要な場合、化合物および組成物は、可溶化剤を含有し得る。また、化合物および組成物は、当該技術分野において知られるように好適なビヒクルまたは送達デバイスで送達され得る。本願明細書において概説される併用療法は、単一のビヒクルまたは送達デバイスにおいて共送達され得る。
【0092】
本発明の化合物および組成物を含む調合は、単位用量形態において便宜的に提示されることができ、薬学分野において公知技術の任意の方法によって調合され得る。かかる方法は一般に、担体との関連に治療薬を持ってくるステップを含み、それは1以上のアクセサリ成分を構成する。概して、調合は、一様に、そして、密接に液体担体、微細に分割された固体担体または両方との関連に治療薬を持って来、そうして、必要に応じて、製品を所望の製剤の形態(例えば、湿式または乾燥顆粒、粉末ブレンド、その他で、公知技術に知られる従来の方法を使用して錠剤化されることが続く)に製品を形作ることによって調合される。
【0093】
例えば、投与のルートは:皮内、筋肉内、腹膜内、静脈、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口的、舌下、鼻腔内、脳内、膣内、経皮、直腸のもの、吸入によるもの、または局部的なもの、特に耳、鼻、目、あるいは皮膚に対するものを含む。
【0094】
いくつかの実施態様において、投与は、経口的にもたらされる。いくつかの実施態様において、投与は、上皮であるか皮膚粘膜内壁(例えば口腔粘膜)を通じての吸収による。さまざまな送達システム(例えばリポソームのカプセル化、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなど)は公知であり、そして、投与するために用いられ得る。さまざまな実施態様において、本発明の化合物および組成物は、経口送達に適するように調合される。さまざまな実施態様において、本発明の化合物および組成物は、経粘膜送達に適するように調合される(Msatheesh, et al. Expert Opin Drug Deliv. 2012 Jun;9(6):629-47参照。その全体の内容が本願明細書に参照として組み入れられる)。
【0095】
例えば、経口送達のための組成物または化合物は、錠剤、トローチ剤、水性または油状の懸濁物、顆粒、粉、乳化物、カプセル、シロップまたはエリキシル剤の形態であり得る。いくつかの実施態様において、本発明の化合物および組成物は、カプセル、錠剤、パッチまたはトローチ剤の形態である。経口投与の組成物は、薬学的に口当たりの良い調合を提供するために、1以上の薬剤、例えばフルクトース、アスパルテームまたはサッカリンなどの甘味料;ペパーミント、冬緑油またはサクランボなどの香料;色材;および保存剤を含み得る。さらに。錠剤またはピル形態の場合、組成物は、消化管の崩壊および吸収を遅延させるために被覆され、それによって延長期間にわたって継続的な作用を提供し得る。本願明細書において記載されている任意の化合物または組成物をも運搬することができる運搬化合物を含有する浸透活性カプセルを囲んでいる選択的浸透性膜はまた、経口投与の組成物にも好適である。これらの後者のプラットフォームにおいて、カプセルを囲んでいる環境からの流体は運搬化合物によって吸収され、それは開口を通じて薬剤または薬剤組成物を置換するために膨張する。これらの送達プラットフォームは、本質的に、即時放出性製剤のスパイク状プロファイルと反するようにゼロオーダーの送達プロファイルを提供し得る。グリセロール・モノ・ステアレートまたはステアリン酸グリセロールのような時間遅延材料もまた、有用であり得る。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウム・サッカリン、セルロースおよび炭酸マグネシウムなどの標準賦形剤を含有し得る。一実施態様において、賦形剤は、製薬等級である。懸濁物は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレン・ソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、トラガカントゴムなど、およびそれらの混合物などの懸濁剤を含有し得る。
【0096】
さまざまな実施態様において、本発明の化合物および組成物、またはその製剤が、脳に実質的に蓄積する。さまざまな実施態様において、化合物および組成物、またはその製剤は、二重部分アゴニストの生理的量を少なくとも約6時間、または少なくとも約9時間、または少なくとも約12時間、または少なくとも約15時間、または少なくとも約18時間、または少なくとも約21時間、または少なくとも約24時間、脳に送達する。さまざまな実施態様において、化合物および組成物、またはその製剤は、二重部分アゴニストの生理的量を約6時間、または約12時間、または約15時間、または約18時間、または約21時間、または約24時間、脳に送達する。いくつかの実施態様において、活性の期間は、置換基R〜Rを含む原子総数が少なくとも約5で、約20未満で、水素原子を含まない(例えば約5〜約10の間の非水素原子、または約5〜約15の間の非水素原子、または約10〜約15との間の非水素原子間)、本発明の化合物および組成物に対してより長い。いくつかの実施態様において、活性の期間は、例えば、P450およびその任意のサブタイプまたは同類を介して、実質的に新陳代謝されない本発明の化合物および組成物に対して、より長い。
【0097】
いくつかの実施態様において、哺乳類に経口投与のとき、本願明細書において記載の本発明の任意の化合物または組成物の単位用量は、約100mg未満、または約90mg未満、または約80mg未満、または約70mg未満、または約60mg未満、または約50mg未満、または約40mg未満、または約30mg未満、または約25mg未満、または約20mg未満、または約15mg未満である。いくつかの実施態様において、哺乳類に経口投与のときに、本願明細書において記載の本発明の任意の化合物または組成物の単位用量は、約10mg〜約100mg、または約10〜約90mg、または約10〜約80mg、または約10〜約70mg、または約10〜約60mg、または約10〜約50mg、または約10〜約40mg、または約10〜約30mg、または約10〜約20mg、または約10〜約15mgである。いくつかの実施態様において、哺乳類に経口投与のときに、本願明細書において記載の本発明の任意の化合物または組成物の単位用量は、約5mg、または約7.5mg、または約10mg、または約12.5mg、または約15mg、または約17.5mg、または約20mg、または約22.5mg、または約25mg、または約30mg、または約40mg、または約50mgである。
【0098】
本発明の化合物または組成物の用量は、上に記載された一方で、一般に、有用な付加的治療薬の用量は、従来技術において知られている。例えば、用量は、Physicians’ Desk Reference, 66th Edition, PDR Network; 2012 Edition (December 27, 2011)を参照すれば決定され得、その全体において参照によって本願明細書に組み入れられる。いくつかの実施態様において、本発明は、患者がPhysicians’ Desk Referenceを参照することによって決定される量を超える用量を服用することを可能にする。
【0099】
本願明細書において記載されるいかなる化合物または組成物(および/または追加の治療薬)は、徐放、または持続的放出手段によって、または、当業者に周知である送達デバイスによって投与され得る。例としては、限定はされないが、米国特許第3,845,7703,916,899;3,536,809;3,598,123;4,008,719;5,674,533;5,059,595;5,591,767;5,120,548;5,073,543;5,639,476;5,354,556;そして、5,733,556に記載されているものを含有し、その各々が、その全体が参照によって本願明細書に組み入れられる。かかる剤形は、例えば、比率を変化させる際の所望の放出プロファイルを提供するために、ハイドロプロピル・メチル セルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル類、透過性膜、浸透圧システム、多層膜コーティング、微粒子、リポソーム、微小球体またはそれらの組み合わせを使用している1以上の活性成分の徐放、または持続的放出を提供するために有用であり得る。当業者に公知の適切な徐放性、または持続性製剤は、本願明細書において記載されているそれらを含有し、本願明細書において記載されている薬品の活性成分の使用に、直ちに選択されることができる。本発明は、このように徐放または持続的放出である、錠剤、カプセル、ジェルキャップおよびカプレットなど、限定はされない経口投与に適している単一の単位用量形態を提供する。
【0100】
活性成分の徐放性または持続放出性は、限定されないが、pHの変化、温度の変化、光の適当な波長による刺激、酵素の濃度または入手可能性、水の濃度または入手可能性、または他の生理的状況または化合物を含有するさまざまな条件によって刺激され得る。
【0101】
別の実施態様において、ポリマー物質が用いられ得る(Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, Florida (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York (1984); Ranger and Peppas, 1983, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61; see also Levy et al., 1985, Science 228:190; During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71:105参照)。
【0102】
本願明細書において記載される任意の化合物または組成物(および/または追加の薬剤)の投与は、それぞれに、1日当たり1〜4回であり得る。投与は、1日または1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年、2年、3年間の長さであり得て、被験者の生命のためでさえあり得る。慢性の、長期の投与は、多くの場合に示されている。用量は、単一の服用として投与され得るか、または複数の服用に分けられ得る。一般に、所望の用量は、数カ月または数年またはそれ以上の投与のより長い期間が必要かもしれないが、通常少なくとも数週または数ヶ月以上の長期にわたる期間の間の設定された間隔で投与されるべきである。
【0103】
本件化合物および組成物も、さまざまな治療法での使用を見出す。
【0104】
いくつかの側面において、本発明は、精神神経性の疾患または障害を処置するかまたは予防する方法に関し、本願明細書において記載されている化合物または組成物の有効量を、該有効量を必要とする患者に投与することを含む。
【0105】
いくつかの実施態様において、精神神経性の疾患または障害は、1以上のASD(自閉症を含む)、不安、うつ病、強迫性障害、精神分裂症、自殺、片頭痛、嘔吐、アルコール中毒および神経変性障害である。
【0106】
いくつかの実施態様において、精神神経性の疾患または障害は、1以上の自閉症スペクトラム障害(ASD);アスペルガー(Asperger)症候群、脆弱X症候群(FXS)、プラダー−ウィリ(Prader-Willi)症候群、レット(Rett)症候群、トゥレット(Tourette)症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、強迫性障害、精神病性障害、精神刺激性の中毒および全般性不安である。
【0107】
いくつかの実施態様において、精神神経性の疾患または障害は、変更されたドーパミン機能と関係する精神神経性の障害であり、例えば、ハンチントン舞踏病などの運動障害、周期的な肢運動症候群、絶え間ない脚症候群(アカテシア(akathesia))、トゥレット症候群、日没時放浪者(Sundowner's)症候群、精神分裂症、ピック病、拳闘酔態症候群、漸進性原子核内麻痺、コルサコフ(Korsakoff's)症候群、多発性硬化症またはパーキンソン病;神経遮断薬によって誘発されたパーキンソン症候群、悪性症候群、急性失調症、ストローク、トランス脳虚血性発作、遅発性ジスキネジアまたは多系統萎縮症(パーキンソン病に加えて)などの薬物によって誘発された運動障害;食欲不振性悪液質または神経性食欲不振症などの摂食障害;ならびにアルツハイマー病または痴呆、例えば偽痴呆、水頭症痴呆、皮質痴呆またはハンチントン舞踏病またはパーキンソン病による痴呆などの認知障害;恐怖症、広場恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害、およびうつ病などの他の医学的障害による不安障害などの不安によって特徴付けられる精神障害を含有する。
【0108】
いくつかの実施態様において、これらの障害のいずれかのための診断および/または薬効は、精神障害診断統計マニュアル、第5版(DSM―5)に関して評価される。
【0109】
いくつかの実施態様において、処置は、1以上の常同症、自傷行動、衝動およびチックの頻度の減少を含む。
【0110】
いくつかの側面において、本発明は、本願明細書において記載されている化合物または組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む1以上のASDを処置する方法を提供する。ASDは、コミュニケーション・スキル、社会的相互作用、および行動の制限された、反復性の、および常同性のパターンの機能障害の程度を変化させることによって特徴づけられる一群の疾患である。疾患の違いは、開始の時間、症状発現の率、症状のひどさおよび症状の正確な性質に依存する。これらの障害には、軽度から重度の機能障害の範囲があり、自閉症、アスペルガー症候群、PDD−NOS、レット障害、小児期崩壊障害、意味コミュニケーション障害、非言語学習障害、高機能自閉症、過誤症および注意欠陥多動性障害のいくつかの側面を含有する。
【0111】
さまざまな実施態様において、本方法は、ASDの1以上の症状または特徴を処置することに有用であり得、それは、非限定的な例として、常同的な動き、社会的撤退、およびアイコンタクト不能を含む視線のそらし、反復行動および執着、不安、注意欠損、多動、うつ病、隠れた性格、感情理解不能を含有する。ASDで苦しめられる患者には物理的な愛情または接触に対する嫌悪があり得、他からのコミュニケーションを無視し、または社会的に関与される場合、他人とコミュニケートするかまたは関係することが著しく不能であることを示す。コミュニケーションの問題点は、単調な音声、音声の量の制御不能、反響言語、全くの会話不能として現れ得る。自閉症スペクトラム障害をもつ個人は、また視覚困難、理解の困難、音および光の感受性および精神遅滞を患い得る。
【0112】
これらのおよび関連する状態の組成物の有効性は、例えば、幼児の自閉症のチェックリスト(CHAT)、幼児の自閉症のための変性されたチェックリスト (M-CHAT)、2歳児自閉症スクリーニングツール(STAT)、社会的コミュニケーション質問集(SCQ)、自閉症スペクトラムスクリーニング質問集(ASSQ)、アスペルガー症候群のオーストラリア尺度、小児アスペルガー症候群 検査(CAST)、自閉症診断インタビュー改定 (ADI-R)、自閉症診断観察スケジュール(ADOS-G)、小児自閉症評定尺度(CARS)、聴覚ヒアリング評価、投与PTSD尺度、アイゼンク人格一覧(Eysenck Personality Inventory)、ハミルトン不安尺度、またはよく知られているVogel検査(喉の渇いたラットの葛藤)、または上昇プラス迷路検査などのさまざまな動物モデルにおいて測定されたものなどのマーカーを測定することを含有する、さまざまの方法によって通常示し得る。本化合物および組成物(および任意に、追加の治療薬)の有効量は、患者のかかる障害の症状の1以上の前記の自閉症スペクトラム障害または関連する障害を測定可能に防止し、厳しさを減少させ、または、開始またはその期間を遅延させる。さらに、DSM―5、例えば’ASD and Social Communication Disorder’と名付けられるセクション、それはその全体を参照によって本願明細書に組み入れられ、および’International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems’10th Revision (ICD-10)’は、ASDのための診断分類として使用され得る。いくつかの実施態様において、常同症は、自閉症をもつ児童に含有するASDのための診断として有用である。
【0113】
いくつかの実施態様において、本化合物および組成物、またはその製剤は、1以上の追加の治療薬と組み合わされるか、または1以上の追加の治療薬をさらに含む。いくつかの実施態様において、本化合物または組成物および追加の治療薬の有効量を投与することによって、本願明細書において記載される疾患または障害のいずれかの処置の方法が提供される。いくつかの実施態様において、追加の治療薬で処置を受ける患者に、本化合物または組成物の有効量を投与することによって、追加の治療薬で処置を受ける患者に本願明細書において記載される疾患または障害のいずれかの処置の方法が提供される。いくつかの実施態様において、本発明の組成物の化合物は、1以上の追加の治療薬と共配合される。さまざまな実施態様において、本化合物、そして、組成物、および追加の治療薬は、相乗効果を有し、および/または本化合物および組成物の一方または両方、および追加の治療薬の有効量の減少を可能にする。
【0114】
いくつかの実施態様において、非限定の方法による場合も含有し、ASDの処置において、追加の治療薬は、セロトニン再摂取の阻害剤、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、クロミプラミンのこれに限定されない選択的セロトニン再摂取阻害剤;ハロペリドール、チオリダジン、フルフェナジン、クロルプロマジン、リスペリドン、オランザピン、ジプラシドンを含むがこれに限られない抗精神病性薬物;カルバマゼピン、ラモトリジン、トピラメート、バルプロ酸を含有するが、これに限られない抗けいれん薬;メチルフェニデート、α2−アドレナリン作用アゴニスト、アマンタジンおよびクロニジンを含有するがこれに限られない興奮薬物;ナルトレキソン、リチウムおよびベンゾジアゼピンを含有するがこれに限られない抗うつ薬;バルトレックスを含有するがこれに限られない抗ウイルス剤;セクレチン;ブスピロンを含有するが、これに限定されない軸弛緩剤;免疫療法剤、麻酔剤、および睡眠剤または筋弛緩剤の1以上である。追加の付属物性の治療薬は、B―ビタミン(例えばB6、B12、チアミン)、ビタミンAおよび必須脂肪酸を含むがこれに限らないビタミンを含む。追加の治療剤はまた、メラトニン、オメガ-3脂肪酸、グルタミン酸塩受容体関連薬物、およびオキシトシンを含有し得る。 追加の治療法には、行動変容(適用行動分析(ABA)および早期開始デンバーモデルに基づくLovaasモデル、ならびにフロアタイム、ピボタル応答療法および口頭行動療法を含有するが、これらに限定されない)およびグルテンカゼイン・フリー食事療法などの食事療法の変化を含有し得る。
【0115】
いくつかの実施態様において、かかる薬品が常同症を悪化させるので、本発明の被験者はリスペリドンまたはアリピプラゾールを有するASD処置を受けない。
【0116】
いくつかの側面において、本発明は、本願明細書において記載されている化合物または組成物の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含有する、常同症を処置する方法に関する。さまざまな実施態様において、本方法は、常同症的な行動または常同症の処置に関係する。さまざまな実施態様において、本方法は、限定された反復性行動(RRB)の処置に関係する。常同症的な行動は、口頭または非言語的、微細またはグロス・モーター指向、と同様に単純または複雑であり得る。加えて、それらは、目的の有無にかかわらず発生し得る。いくつかの形態は、常同的および反復性モーターの特徴または言語の使用を伴う。常同症の共通の例は手をばたばたし、体が揺動し、爪先歩きし、ものを回し、鼻をならし、即座のおよび遅延した反響言語、およびその人の周辺の眺めを超えて対象を走らせることである。他の形態は、興味の限定的および常同症的パターン、または同一性を求める要求などのより複雑な行動を伴う。これらの形態は、対象の部分への持続的な固着、または特定の、機能しないルーチンまたは儀式への柔軟性がない執着を包含することができる。行動例えば、常同性の行動をする子供は、対象の特定の部分(例えば車輪、人形の目)にのみ注目し得る。 代わりに、子供は、自分のおもちゃで遊ぶことに非常に特殊な方法で固執し得る(例えば、ブロックを同一列内に繰り返し並べる)。 さまざまな実施態様において、本方法は、これらの常同的行動のいずれをも処置する。常同症の更なる特徴は、Cunningham et al., Res Autism Spectr Disord. 2008; 2(3): 469-479に記載されており、その内容は、それらの全部において本願明細書に参照によって組み入れられる。
【0117】
処理される追加の常同症行動は、以下を含有する。顔の常同症的な行動は顔をゆがめること、唇または舌の運動、口を開く、口のストレッチ、なめる、煙を吹かす、ノイズを出す、対象を吸引することを含有する。頭および首の常同症的な行動は、頭を傾ける、振る、うなずく、毛髪をクルクル回す、頭打ち付けて大きな音をたてる、首を伸ばす、歯を摩擦する、毛髪を引っぱる、べらべら喋る、端っこを噛む、および首を拡張することを含有する。胴体の常同症的な行動は、体を揺らす、体全体をスピンしたり、スピニングしたり、または回転させたりすることを含有する。肩の常同症的な行動は、仕舞う、音をたてる;背を反らす;肩をすくめることを含有する。腕/脚の常同症的な行動は、腕をパタパタ動かす、胸部上で腕を組むこと、足を踏み鳴らす、足でタップすることを包含する、相互の反復運動、踵および爪先で歩くを含有する。手/指の常同症的な行動は、手を叩く、ひっぱたく、爪を噛む、指をくねくねする、振る、叩く、波立たせる、拍手する、開けたり閉じたりする、手または指を回転するかまたはくるくる回す、親指にサックする、指さす、指で風を送って、顔の前で指をパタパタさせる、皮膚をかく、自身を引っ掻く、物体を並べることを含有する。対象でする手/指の常同症的な行動は、振る、叩く、大きな音をたてる、ものをくるくる回す、鉛筆を軽く叩く、触る、こする、反復して命令する、玩具をパターンに並べる、ものを線に加える、ものを手で操作することを含有する。歩行の常同症的行動には、空間を開ける、跳ねる、走る、スキップする、およびスピンすることを含有する。自己指向の常同症的な行動には、耳を覆う、口ずさむ、嗅ぐ、目を擦る、顎を叩く、自己または物体または表面を叩くこと、性器に触れる、自己切断行動などを含有する。視覚的な常同症的行動には、目の角からものまたは指を見つめたり、眼瞼閉鎖、および目を細くするなどの非定型の視覚的説明行動を含有する。ボーカルとスピーチの常同症的行動には、発声、ハミング、舌を鳴らす、反響言語の単語/フレーズ、ならびに喋るか尋ねることを含有する。
【0118】
いくつかの実施態様において、常同症的行動は、ASD(自閉症、アスペルガー症候群、レット障害、小児期崩壊性障害、広汎性発達障害、特記のない広汎性発達障害(PDD-NOS)を含む)の状況で処置される。しかしながら、さまざまな実施態様において、本方法は、例えば、精神遅滞および発達遅延またはSmith-Magenis症候群およびCri-du-Chat症候群などの、感覚喪失症候群のような他の感覚的、知的または発達障害を例として含む、他の疾患との関連での常同症的行動の処置に関する。さらに、常同性のおよび高次の制限行動(強迫など)を含有する反復性モータ行動は、脆弱性X症候群(FXS、常同症)、プラダーウィリー症候群(自己損傷行動[SIB]および強迫)、レット症候群(常同症、強迫、SIB)、トゥレット症候群(チック、SIB、強迫)、注意欠損多動性障害、強迫神経障害、精神病性障害、精神分裂病中毒および全般性不安(座位不能)、同時罹患の多くの場合などの他の神経発達および精神神経性の疾患においても、また観察される。
【0119】
いくつかの実施態様において、例えば、常同症の処置において、本方法は、例えば、ハロペリドールおよびリスペリドンを例として含有する、抗精神病薬である追加の治療薬を含有し得る(Malone et al. CNS Drugs. 2005;19(11):923-34参照、その全体が、本願明細書に参照によって組み入れられる)。また、リスペリドンおよびペントキシフィリンが、単独で、または、組合わせで使用され得る。さらに追加の治療薬は、フルボクスアミンなどのセロトニン再摂取阻害剤(SRI)、およびクロミプラミンおよびディバルプロックス(divalproex)のセロトニン非特異性の再摂取阻害剤を含有する。
【0120】
常同症は、例えば、反復行動スケール(改訂)の43項目の質問集(RBS−R)(Bodfish et al., 2000 J Autism Dev Disord. 2000; 30(3):237-43、全部においてその内容は本願明細書に参照によって組み入れられるものとする)および/または反復および限定行動スケール(RRB)(Bourreau et al., Eur Child Adolesc Psychiatry. 2009;18(11):675-82、その内容は全部において本願明細書に参照によって組み入れられる)を使用して評価され得る。
【0121】
いくつかの側面において、本発明は、本願明細書において記載される化合物または組成物を細胞と接触させることを含む、選択的にセロトニン5―HTおよび5―HT1A受容体を調節する方法に関し、ここで、該調節は部分的な拮抗作用である。
【0122】
いくつかの側面において、本発明は、1以上のセロトニン受容体に対して立体選択性の化合物を合成する方法に関する。いくつかの実施態様において、下記のスキーム1を使用するさまざまな5―PAT化合物の合成が、提供される。
【0123】
本発明は、本願明細書において記載される任意の薬剤の投与を単純化することができるキットを提供する。本発明の例示するキットには、単位用量形態において本願明細書において記載される任意の組成物が含まれる。一実施態様において、単位用量形態は、本願明細書において記載されている任意の化合物または薬剤、および薬学的に許容し得る担体、希釈剤、賦形剤またはビヒクルを含有する、容器である。キットは、本願明細書において記載される任意の薬剤の使用を指示するラベルまたは印刷した指示書を含むことができる。キットは、投与場所のための蓋検鏡、局所用の麻酔薬および洗浄剤を含有し得る。キットは、本願明細書において記載される1以上の追加の薬剤を含み得る。一実施態様において、キットは、本発明の組成物の有効量、および本願明細書において記載される、別の組成物の有効量を含有する容器を含む。
【0124】
いくつかの実施態様において、本発明は、式IIによって表される構造の化合物または医薬組成物を提供する:
【化15】
またはその薬学的に許容し得る塩、水和物または溶媒和物、式中、Rは、H、ClまたはBrであり、Rは、OCHまたはOHであり、およびRは、HまたはClである。いくつかの実施態様において、式IIの化合物は、(+)鏡像異性体である。いくつかの実施態様において、式IIの化合物は、(−)鏡像異性体である。さまざまな実施態様において、式IIの化合物は(+)―シス、(+)―トランス、(−)−シス、または(−)−トランス配列である。1つの実施態様において、式IIの化合物は、(−)―トランス配列である。
【0125】
式IIの例示的化合物は、下記の表5に挙げられる:
【表1】
【0126】
いくつかの実施態様において、本発明は、式IIaによって表される構造の化合物または医薬組成物を提供する:
【化16】
またはその薬学的に許容し得る塩、水和物または溶媒和物である。いくつかの実施態様において、R’の2’および6’位は、独立してF、Cl、BrまたはIである。他の実施態様において、R’の3’および5’位は、独立してF、Cl、BrまたはIである。いくつかの実施態様において、式IIaの化合物は(+)鏡像異性体である。いくつかの実施態様において、式IIaの化合物は、(−)鏡像異性体である。さまざまな実施態様において、式IIaの化合物は、(+)―シス、(+)―トランス、(−)―シス、または(−)―トランス配列である。
【0127】
さまざまな実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物および組成物は、少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約99%の単一の鏡像異性体を含む。さまざまな実施態様において、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約99%の単一の鏡像異性体を含む。いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、約30%未満、または約20%未満、または約15%未満、または約10%未満、または約5%未満、または約3%未満、または約1%未満の単一の鏡像異性体を含む。いくつかの実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物および組成物は、実質的に単一の鏡像異性体の形態で、本質的に対応する鏡像異性体を含まない。さまざまな実施態様において、本発明は、その構成成分、純粋な鏡像異性体、すなわちキラールな分解にラセミ化合物を分離することに関係する。さらなる実施例において、式IIおよび式IIaの本化合物および組成物は、鏡像異性的に純粋な薬である。しかしながら、対応する鏡像異性体が異なるが、所望の特性(例えば異なるセロトニン受容体の生理的に関連した調節)を提供する例において、かかる鏡像異性体は、周知の量の組合せ組成物として組合され得る。
【0128】
さまざまな実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物または組成物は、1以上のセロトニン受容体を調節する。例えば、1以上の5―HT受容体(例えば1以上の5―HT1A、5―HT1B、5―HT1C、5―HT1D、5―HT1E、5―HT1F);5―HT受容体(例えば1以上の5―HT2A、5―HT2B、5―HT2C);5―HT受容体;5―HT受容体;5―HT受容体(例えば5―HT5A);5―HT受容体;そして、5―HT受容体は、調節され得る。1つの実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物または組成物は、5―HT2A受容体を調節する。別の実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物または組成物は、5―HT2B受容体を調節する。さらなる実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物または組成物は、5―HT2C受容体を調節する。さらなる実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物または組成物は、5―HT2A受容体、5―HT2B受容体および5―HT2C受容体のうちの二つ、または三つを調節する。
【0129】
さまざまな実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物または組成物は、本願明細書(例えば1以上のセロトニン受容体)において記載されている1以上の受容体で、完全アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、逆アゴニスト、その他であってもよい。いくつかの実施態様において、本発明は、特に本願明細書(例えば1以上のセロトニン受容体)において記載される1以上の受容体で、部分アゴニストを提供する。いくつかの実施態様において、本化合物または組成物は、本願明細書(例えば1以上のセロトニン受容体)において記載されている1以上の受容体での完全アゴニストではない。いくつかの実施態様において、完全アゴニストと比較すると、かかる部分アゴニストは、完全アゴニストと比較して、受容体での活性が一定で、弱い活性レベルを提供し得る。
【0130】
さまざまな実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物または組成物は、5―HT2A受容体を調節する。1つの実施態様において、本化合物または組成物は、5―HT2A受容体の逆アゴニストである。1つの実施態様において、本化合物または組成物は、5―HT2A受容体のアンタゴニストである。さまざまな実施態様において、本化合物または組成物は、5―HT2A受容体を活性化させない。
【0131】
さまざまな実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物または組成物は、5―HT2B受容体を調節する。1つの実施態様において、本化合物または組成物は、5―HT2B受容体の逆アゴニストである。1つの実施態様において、本化合物または組成物は、5―HT2B受容体のアンタゴニストである。さまざまな実施態様において、本化合物または組成物は、5―HT2B受容体を活性化させない。
【0132】
さまざまな実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物または組成物は、5―HT2C受容体を調節する。1つの実施態様において、本化合物または組成物は、5―HT2C受容体のアゴニストである。
【0133】
1つの実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物または組成物は、5―HT2A受容体および5―HT2B受容体の逆アゴニストおよび5―HT2C受容体のアゴニストである。別の実施態様において、本化合物または組成物は、5―HT2A受容体および5―HT2B受容体のアンタゴニストおよび5―HT2C受容体のアゴニストである。さらなる実施態様において、本化合物または組成物は、5―HT2A受容体の逆アゴニストおよび5―HT2C受容体のアゴニストであって、5―HT2B受容体を活性化させない。
【0134】
さまざまな実施態様において、式IIおよび式IIaの化合物または組成物は、1以上の5―HT受容体、5―HT受容体、5―HT受容体、5―HT受容体、5―HT受容体および/または5―HT受容体を結合しない。
【0135】
さまざまな実施態様において、式IIおよび式IIaの化合物または組成物は、生理的に関連したレベルで、1以上のドーパミンD1、ドーパミンD2、ノルエピネフリンα、ノルエピネフリンβ、ヒスタミンH1およびアドレナリン作用性α1Aおよびα1B受容体を結合しない。1つの実施態様において、式IIおよび式IIaの化合物または組成物は、ヒスタミンH受容体を結合せず/活性化させない。1つの実施態様において、式IIおよび式IIaの化合物または組成物は、hERGイオン・チャネルを結合せず/活性化させない。
【0136】
式IIおよび式IIaの化合物または組成物に適用できる薬学的に許容し得る塩、投与ルート、医薬組成物、医薬賦形剤、製剤、その他が上に記載されている。
【0137】
さまざまな実施態様において、本発明は、医薬組成物および/または本願明細書において記載されている、式IIおよび式IIaの化合物または組成物を含有する製剤(および/または追加の治療薬)の有効量を、該有効量を必要とする被験者に投与することを含む、精神神経性の障害を予防または処置する方法を提供する。例示的な精神神経性の障害は、限定はされないが、肥満、薬物乱用、中毒(コカイン中毒およびアンフェタミン/メタアンフェタミン中毒など)、精神病不安、うつ病、痴呆、統合失調症、精神病、注意欠損多動、睡眠障害、 強制的行動障害(例えば、過食)を含有する。さまざまな実施態様において、精神神経性の障害は、不注意、衝動性および記憶欠損と関係している。1つの実施態様において、本発明の方法は、精神神経性の障害を伴う認識機能不全を予防または処置する。例えば、本発明の方法は、注意を強化し、衝動性を減らし、および/または処置される被験者の記憶を改善する。1つの実施態様において、本発明の方法は、処置される被験者の多動を減らす。処置される被験者の認識機能を評価するさまざまな方法は、公知技術である。1つの実施態様において、本発明の方法は、処置される被験者に対して空腹感を減らし、および/または体重増加を減らす。
【0138】
さまざまな実施態様において、本発明は、本願明細書において記載される医薬組成物および/または製剤(および/または追加の治療薬)の有効量を、該有効量を必要とする被験者に投与することを含む、神経変性障害を予防または処置する方法を提供する。例示する神経変性障害としては、限定はされないが、パーキンソン病およびアルツハイマー病を含有する。
【0139】
さまざまな実施態様において、本発明は、本願明細書において記載される医薬組成物、および/または製剤(および/または追加の治療薬)の有効量を、該有効量を必要とする被験者に投与することを含む、胃腸障害(例えば過敏性大腸症候群)を予防または処置する方法を提供する。
【0140】
さまざまな実施態様において、本発明は、本願明細書において記載される医薬組成物、および/または製剤(および/または追加の治療薬)の有効量を、該有効量を必要とする被験者に投与することを含む、尿生殖器路疾患(膀胱制御など)を予防または処置する方法を提供する。
【0141】
本発明の方法を用いて処置され得る追加の疾患または障害は、WO2010/129048に記載されているものを含有し、その全部の内容は本願明細書に参照によって組み入れられるものとする。
【0142】
さまざまな態様において、式IIおよび式IIaの化合物、または組成物の投与は、処置される被験者に最小の作用を生じるか、または全く副作用を生じない。1つの実施態様において、本化合物または組成物の投与は、幻覚などの5―HT2A受容体の活性化によって生じるそれらの副作用に、最小限関連するか、または関連しない。1つの実施態様において、本化合物または組成物の投与は、心臓弁膜症および/または肺高血圧などの5―HT2B受容体の活性化によって生じるそれらの副作用に関連しないか、または最小限関連する。1つの実施態様において、本化合物または組成物の投与は、体重増加などの5―HT2B受容体不活化によって生じるそれらの副作用に全く関連しないか、最小限関連する。
【0143】
さまざまな実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物または組成物は、刺激性および/または鎮静の特性を有しない。さまざまな実施態様において、式IIおよび式IIaの本化合物または組成物は、依存性がない。
【0144】
定義
用語「アシル」は式Rx─C(O)─の両方の置換基を意味し、ここで、Rxはアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルである。
【0145】
用語「アルキル」は「非置換アルキル」および「置換アルキル」を意味し、その後者は炭化水素バックボーンの1以上の炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルキル部分を意味する。かかる置換基は、例えば、ハロゲン、水酸基、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含有する)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含有する)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族またはヘテロ芳香族部分を含有する。炭化水素鎖上で置換される部分は、適当であれば、それ自身置換され得ることが当業者によって理解されよう。シクロアルキルは、例えば、上記の置換基によって、さらに置換され得る。「アルキルアリール」部分は、アリールによって置換されるアルキル(例えばフェニルメチル(ベンジル))である。用語「アルキル」はまた、長さにおいて類似した不飽和脂肪族基および上で記載したアルキル基の可能な置換を含有するが、しかし、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を包含するをも含有する。いくつかの実施態様において、アルキル基は、1〜12の炭素原子、例えば、約1個の炭素原子、または約2個の炭素原子、または約3個の炭素原子、または約4個の炭素原子、約5個の炭素原子、または約6個の炭素原子、または約7個の炭素原子、または約8個の炭素原子、または約9個の炭素原子、または約10個の炭素原子、または約11個の炭素原子、または約12個の炭素原子を有し得る。例示するアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n―ブチル、iso−ブチル、sec―ブチルイソブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、セプチル、オクチル、ノニルおよびデシルを含有する。
【0146】
上記の通り、用語「アルコキシアルキル」「ポリアミノアルキル」および「チオアルコキシアルキル」はアルキル基を参照し、それは酸素、窒素または硫黄原子など炭化水素バックボーンの1以上の炭素を置き換える、酸素、窒素または硫黄原子をさらに含有する。例示するアルコキシ置換基としては、限定はされないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシおよびシクロヘキシルオキシを含有する。いくつかの実施態様において、アルコキシル基は、低級アルコキシ(1〜6個の炭素原子を包含する)である。アルコキシ置換基は、任意に置換される。
【0147】
用語「アルケニル」および「アルキニル」は、長さにおいて類似した不飽和脂肪族基、および上記のアルキルに対する可能な置換を意味するが、それぞれ、少なくとも1個の二重または三重結合を包含する。いくつかの実施態様において、「アルケニル」または「アルキニル」基は、2〜12個の炭素原子、例えば約2個の炭素原子、または約3個の炭素原子、または約4個の炭素原子、または約5個の炭素原子、または約6個の炭素原子、または約7個の炭素原子、または約8個の炭素原子、または約9個の炭素原子、または約10個の炭素原子、または約11個の炭素原子、または約12個の炭素原子を包含し得る。
【0148】
アミノのまたは「アミン」置換基は、式─N(Rのそれらを含み、式中Rは、水素、アルキル、(ハロ)アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは本願明細書において記載される他の置換基である。─N(Rが水素以外の2つのR置換基を有するとき、それらは窒素原子と組み合わされ、4、5、6または7員環を形成し得る。例えば、─N(Rは、例えば、ピロリジニルおよびモルホリニルを含有するように意図される。
【0149】
アミドまたは「アミド」置換基は、式─C(O)N(Rまたは─NHC(O)Rのそれらを含有し、式中Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたは本願明細書において記載されている他の置換基からなる群から選択される。アミドの─N(RのRは、それが取付けられる窒素と共に任意に取られることができ、4、5、6または7員環を形成する。
【0150】
本明細書で用いられる用語「アリール」はアリール基のラジカルを意味する。そして、0から4までヘテロ原子、例えばベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどを含有し得る、5および6員単環芳香族基を含有するアリール基のラジカルを意味する。アリール基は、ナフチル、キノリニル、インドリルなどの多環式縮合芳香族基も含有する。環構造体のヘテロ原子を有するそれらのアリール基は、「アリールヘテロ環」、「ヘテロアリール」または「ヘテロ環式芳香族化合物を意味し得る。芳香環は、上記のような置換基で1以上の環の位置で置換されることができ、例えば、ハロゲン、水酸基、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、カルボン酸塩、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、リン酸塩、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキル アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含有する)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、ならびにウレイドを含有する)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族またはヘテロ環式芳香族化合物部分を含有する。アリール基は、多環(例えばテトラリン)を形成するために芳香族でない、脂環式であるか複素環と縮合または架橋されることもできる。
【0151】
用語「ハロゲン」および「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを示す。
【0152】
用語「ヘテロアリール」は、典型的には5〜18個の環原子を含有する芳香族のヘテロシクリルを意味する。ヘテロアリールは、単一環または2つ以上の縮合環であり得る。5員ヘテロアリールの非限定的な例は、イミダゾリル;フラニル;チオフェニル(またはチエニルまたはチオフラニル);ピラゾリル;オキサゾリル;イソオキサゾリル;チアゾリル;1,2,3−、1,2,4−、1,2,5−および1,3,4−オキサジアゾリル;およびイソチアゾリルを含有する。6員ヘテロアリールの非限定的な例は、ピリジニル;ピラジニル;ピリミジニル;ピリダジニル;および1,3,5−、1,2,4―および1,2,3―トリアジニルを含有する。6/5員縮合環ヘテロアリールの非制限的な例は、ベンゾチオフラニル、イソベンゾチオフラニル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、プリニルおよびアンスラニルを含有する。6/6員縮合環ヘテロアリールの非限定的な例は、キノリニル;イソキノリニル;およびベンズオキサジニル(シノリニルおよびキナゾリニルを含有する)を含有する。
【0153】
用語「複素環式」または「ヘテロシクロ」または「ヘテロシクリル」は、典型的に3から18の環原子、環原子の少なくとも1つがヘテロ原子(すなわち窒素、酸素および硫黄)で、残存する環原子を有する原子は、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群から独立して選択される、飽和の(例えば「ヘテロシクロアルキル」)、部分的に不飽和の(例えば「ヘテロシクロアルケニル」または「ヘテロシクロアルキニル」)、または完全に不飽和の(例えば「ヘテロアリール」)環系を意味する。ヘテロシクリル基は、安定分子となることを条件に、基の任意の置換可能な炭素または窒素原子を介して親分子部分に結び付けることができる。ヘテロシクリルは、限定されるものではないが、単一環でもよく、それは典型的には3〜14の環原子、3〜8の環原子、3〜6の環原子、または、5〜6の環原子を含む。単一環ヘテロシクリルの非制限の例は、フラニル、ジヒドロフラニル、ピロリル、イソピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イソイミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ジチオリル、オキサチオリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、チオジアゾリル、オキサチアゾリル、オキサジアゾリル、ピラニル、ジヒドロピラニル、ピリジニル、ピペリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、トリアジニル、イソオキサジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサチアジニル、オキサジアジル、モルホリニル、アゼピニル、オキセピニル、チエピニルまたはジアゼピニルを含有する。ヘテロシクリルは、これに限定されないが、アントラセン、ナフチリジニル、チアゾールピリミジニル、チエノピリミジニル、ピリミドピリミジニルまたはピリドピリミジニルなどの一緒に縮合された2以上の環を含有する。ヘテロシクリルは、環メンバーとして1以上の硫黄原子を含み得;および、いくつかの場合に、硫黄原子は、SOまたはSOに酸化される。ヘテロシクリルの窒素ヘテロ原子は、4級化され得るかまたはされ得ず、N―酸化物に酸化され得るかまたは酸化さ得ない。加えて、窒素ヘテロ原子は、N−保護されても、またはされなくてもよい。
【0154】
本明細書で用いられる用語「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。好適なヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄およびリンである。
【0155】
用語「水酸基」は、−OHを意味する。
【0156】
用語「任意に、置換される」は、未置換であるか、または1以上の適切な基(それは、同じでも、異なってもよい)によって1以上の利用できる位置、典型的には1、2、3、4または5の位置で水素以外で置換される基を含むことを意図される。かかる任意の置換基は、上記の置換基群、例えば、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルエーテル、C〜Cアルカノン、C〜Cアルキルチオ、アミノ、モノ−またはジ−(C〜Cアルキル)アミノ、ハロC〜Cアルキル、ハロC〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルカノイルオキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、−COOH、−CONH、モノ−またはジ−(C〜Cアルキル)アミノカルボニル、―SONHおよび/またはモノ−またはジ−(C〜Cアルキル)スルホンアミド、同様に炭素環式およびヘテロ環式基を含有する。任意の置換は「0からXの置換基で置換された」の句によっても示され、ここで、Xは可能な置換基の最大数である。特定の任意の置換基は、0から2、3または4個の独立して選択される置換基(すなわち、未置換であるかまたは置換基の記述された最大数までで置換された)で置換される。
【0157】
「置換された」は、1個の原子を置き換える置換基を有することを意味し、1以上のハロ、アシル、アシルオキシ、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、およびトリメチルシラニル、エーテル、エステル、スルフィド、ジスルフィド、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホン酸塩、スルホキシル、リン酸エステル、ホスフィン、ボレートエステル、カルボニル、カルボン酸塩、カルバミン酸塩、アミン、イミドおよびキニジンを含有する。かかる置換基は、また例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸塩、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含有する)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイド)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルノン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族またはヘテロ環式芳香族部分を含有する。
【0158】
用語「スルフヒドリル」または「チオール」は−SHを意味する。
【0159】
用語「処置する」または「処置」は、症状または疾患または医学的状態の原因の任意の程度の減少を意味する。用語「予防する」または「予防」は、疾患または医学的状態の開始または獲得を回避する任意の程度を意味する。
【0160】
本願明細書で使用しているように、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、請求項の基本的なおよび新しい特徴に具体的に影響を及ぼさない材料またはステップの包含を許容する。用語「含む(comprising)」の本願明細書におけるいかなる記述も、「から本質的になる(consisting essentially of)」または「からなる」と交換され得る。
【0161】
本発明は、以下の非限定的な例でさらに例示される。
【0162】
5−PAT合成例
例1:5−PAT合成
本願明細書において記載される化合物の合成は、スキーム1に示され、そして、それは6つのステップを含む。簡潔には、1−テトラロンを臭素/AlClと反応することによって得られる5−Br−テトラロン(1)は、還元して対応するアルコールを与え、pTSAと処理してオレフィン(3)、エポキシド(4)を得、pTSAと処理してキーとなる中間体の5−Br−2―テトラロン(5)を得る。5−Br−2−テトラロンは、多種多様な商業的に入手可能なボロン酸誘導体(6)と反応し得る。これらの有機ホウ素はスズキ―ミヤウラ クロスカップリング反応で使われるとき、本願明細書において記載される化合物の合成を可能にする。このように、スキーム1において、5−Br−2−テトラロン(5)はテトラキス トリフェニルホスフィン Pd[0]と反応し、混合物は脱ガスされ、そして、2’−F−または2’−Cl−フェニルボロン酸が添加された。反応混合物は、80℃で3時間撹拌され、そうすると、Hを加える前に、室温に冷却し、過剰なボロン酸を急冷し、5−(2’−F−または2’−Cl)−フェニル−2−テトラロン(7)を得た。ジメチルアミンと還元性アミノ化を行うと、5−(2’[o]−FまたはCl)−フェニル−2−ジメチルアミノテトラリン ラセミ化合物(8)を与え、多糖類ベースのキラル固定相(CSP)−HPLCによって溶解し、それぞれ25mgの(2R)および(2S)−o−F―PAT、および―o―Cl−5−PATを得た。本願明細書において合成される他の化合物は、この一般的プロセスを包含する。
【化17】
【0163】
以下の化合物、o−F−5―PAT(5−(2’−フルオロフェニル)―N,N―ジメチル―1,2,3,4―テトラヒドロナフタレン−2−アミン)が合成された:
【化18】
【0164】
HCI塩としてのo−F−5−PATのキャラクタリゼーション:
1HNMR(500MHz、CDCl3): δ 12.82 (brs, 1H), 7.36-7.31 (m, 1H), 7.23-7.15 (m, 4H), 7.11-7.07 (m, 2H), 3.56-3.47 (m, 1 H), 3.38-3.33 (m, 1 H), 3.20 (t, J = 12.0 Hz, 1 H), 2.84-2.74 (brs, 7H), 2.65- 2.56 (m, 1H), 2.38 (dd, J = 11.0, 5.0 Hz, 1H), 1.90-1.76 (m, 1 H). M.P: 232-235 °C. HPLC (s-prep): solv. sys = EtOH:Hexane (10:90) + 0.1% of diethylamine (modifier) + 0.1% triフロロacetic acid (modifier); flow rate = 2.0 ml/min. (+)-(25)-o-F-5-PAT: t =24.2 min [α]22D = (+) 5.65° (c 0.32, CH2CI2). (-)-(2R)-o-F-5-PAT: t = 26.5 min. [α]25D = (-) 5.45° (c 0.22, CH2CI2)。
【0165】
以下の化合物、o−Cl−5−PAT(5−(2’−クロロフェニル)―N,N―ジメチル―1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミンが合成された:
【化19】
【0166】
HCI塩としてのo−Cl−5−PATのキャラクタリゼーション:
1H NMR: δ 12.56 (brs, 1H), 7.44-7.38 (m, 1H), 7.30-7.27 (m, 2H), 7.21-7.18 (dt, J = 7.0, 2.5 Hz, 1H), 7.15-7.10 (m, 2H), 6.99 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 3.52-3.44 (m, 1H), 3.38-3.33 (m, 1H), 3.18 (t, J = 13.5 Hz, 1 H), 2.78-2.83 (m, 6H), 2.72-2.45 (m, 2H), 2.34 (dd, J = 9.5, 2.0 Hz, 1 H), 1.88-1.79 (m, 1 H). M. P: 228-230 °C. HPLC (same conditions): (+)-(25)-o-CI-5-PAT: t =22.4 min [α]25D= (+) 6.53° (c 0.196, CH2CI2). (-)( 2R)-o-CI-5-PAT: t = 25.3 min [α]21D = (-) 6.80° (c 0.42, CH2CI2)。
【0167】
5−(2−フラニル)−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミンが合成された:
【化20】
【0168】
5−(2−フラニル)−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミンは、黄色油として、対応する2−テトラロン(0.32mmol)から得られた:収率:61%(0.046g);1H NMR (500 MHz, CDCl3): δH1.83-1.91 (m, 1H), 2.56-2.59 (m,1H), 2.85 (bs, 6H), 2.97-3.04 (m, 1H), 3.14-3.22 (m, 2H), 3.35 (dd, J= 15.0, 3.0 Hz, 1H), 3.48-3.56 (m, 1H), 6.47-6.51 (m, 2H) 7.10 (d, 7.5 Hz, 1H), 7.23 (t, 7.5 Hz), 7.5-7.54 (m, 2H)。
【0169】
5−ナフチル−N,N―ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミンが合成された:
【化21】
【0170】
5−ナフチル−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミンは、対応する2−テトラロン(0.49mmol)から黄色油として得られた:収率:71%(0.1g);1H NMR (500 MHz, CDCl3): δH1.55-1.63 (m, 1H), 1.98-2.07 (m, 1H), 2.32-2.41 (m, 1H), 2.49-2.52 (m, 1H), 2.58 (bs, 6H), 2.97-3.06 (m, 2H), 3.17-3.23 (m, 1H), 7.12 (dd, J= 7.5, 6.5 Hz, 1H), 7.21-7.23 (m, 1H), 7.25-7.28 (m, 2H), 7.31 (dd J= 6.0, 1.0 Hz, 1H), 7.34-7.4 (m, 1H), 7.44-7.54 (m, 2H), 7.89 (dd, J= 18.0, 8.5 Hz, 2H); HPLC(s-prep):solv. sys: MeOH: EtOH (85:15) + 0.1% DEA (Modifier), 0.1% TFA (Modifier); flow rate = 2.0 mL/min;t1= 16.15 min,t2= 21.05 min。
【0171】
5−フェニル−N,N−ジメチル−7,8−ジメチオキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミンが合成された:
【化22】
【0172】
5−フェニル−N,N−ジメチル−7,8−ジメチオキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミンは、対応する2−テトラロン(0.76mmol)から無色固体として得られた:収率:49%(0.115g);1H NMR (500 MHz, CDCl3): δH1.64-1.71 (m, 1H), 2.23 (d, J=11.5 Hz, 1H), 2.69-2.72 (m, 2H), 2.83-2.87 (bs, 7H), 3.36 (dd, J=16, 5 Hz, 1H), 3.44-3.50 (m, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.98 (s, 3H), 6.73 (s, 1H), 7.23-7.26 (m, 2H), 7.32-7.36 (m, 1H), 7.38-7.41 (m, 2H); HPLC(s-prep):solv. sys: MeOH: EtOH (85:15) + 0.1% TEA (Modifier), 0.1% TFA (Modifier); flow rate = 2.0 mL/min;t1= 20.86 min,t2= 24.65 min。
【0173】
5−(シクロペンチル)−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミンが合成された:
【化23】
【0174】
5−(シクロペンチル)−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミンが、対応する2−テトラロン(0.16mmol)から無色油状物として得られた:収率:10%(0.004g);1H NMR (500 MHz, CDCl3): 1.5-1.59 (m, 2H), 1.66-1.73 (m, 2H), 1.79-1.84 (m, 2H), 1.95-2.05 (m, 2H), 2.43-2.47 (m, 1H), 2.85( bs, 7H), 3.03-3.14 (m, 2H), 3.16-3.21 (m, 2H), 3.42-3.49 (m, 1H), 6.96 (d, J= 7 Hz, 1H), 7.14-7.19 (m, 2H)。
【0175】
5−(イソキノリン−5−イル)−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミンが合成された:
【化24】
【0176】
5−(イソキノリン−5−イル)−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミンは、対応する2−テトラロン(0.16mmol)から暗赤色の油として得られた:収率:天然出発原料からN/A(0.031g);1H NMR (500 MHz, CDCl3): 1.53-1.61 (m, 1H), 1.99-2.05 (m, 1H), 2.31-2.39 (m, 1H), 2.47 (bs, 6H), 2.81 (bs, 1H), 2.94-3.03 (m, 1H), 3.18 (d, J= 15.5 Hz, 1H), 7.1-7.15 (m, 1H), 7.28-7.3 (m, 2H), 7.31-7.53 (m, 1H), 7.63-7.66 (m, 2H), 8.05-8.08 (m, 1H), 8.4 (d, J= 19.5 Hz, 1H), 9.29 (s, 1H)。
【0177】
加えて、スキーム1によれば、チャート1のボロン酸誘導体は、対応する5−置換PAT類似体を合成するために利用できる。チャート1の水素およびハロゲン結合部分の下で列挙されるように、かかる類似体は5−フェニル部分に対する複数置換によって提案される。このように、ラセミ体類似体は、合成され、分離され、(+)−および(−)−5(2R)−5−PAT類似体、および/または(2R)および(2S)−5−PAT類似体を産出する。
【化25】
【0178】
5−フェニルとテトラヒドロナフチル部分(スキーム2およびチャート2)に対する置換を有する追加の5−PATが合成される。これらの化合物は、5−PAT分子骨格のテトラヒドロナフチル部分の6−、7−および/または8−位の置換を支持する。スキーム2は示された(R1−5)位置でのOCH置換基で、商業的に入手可能なフェニルブチル酸(1)の出発材料を示し、それはBrとの反応を受け、ポリリン酸(PPP)による環化が続き、5−Br−1−テトラロン(3)が得られ、オレフィン(4)への異性化が続き、キー中間体の5−Br−2−テトラロン(5)が得られ、それは、スキーム1のスズキカップリング反応を経て5−フェニル部分でさらに誘導体化され得る。チャート2は、テトラヒドロナフチル(6,7,8−位置)および5−フェニル部分の両方における置換によって得られる5−PATを要約する。かかる化合物は、キラルに分割されるであろう。
【化26】
【0179】
新規な5−置換−2−ジメチルアミノテトラリン類似体(チャート2)が合成される。類似体の第3のシリーズは、代わりのシクロアルキル、芳香族化合物または複素環芳香族化合物部分でC(5)−フェニル部分を置換する。この末端に対して、スキーム1によれば、疎水性または芳香族部分を有するチャート1に列挙されるボロン酸は、キー中間体の5−Br−2−テトラロン(5)と反応する。かかる化合物は、キラルに分割されるであろう。
【化27】
【0180】
5−PAT生物学的例
例2:(+)−5−FPTは、立体選択的高親和力5−HTおよび5−HT1A部分アゴニストである
5−HT受容体、例えば5−o−F−PATおよび5−o−Cl−PAT(図1A)を目的とする新規な5−置換−フェニル−2−ジメチルアミノテトラリン化合物が、開発された。
【0181】
安定してヒトの5−HT受容体を発現するHEK293細胞は、5−FPT鏡像異性体の5−HT薬理学を評価するために生み出された。最も高い特異的な結合(「CHTR7beta」)を有するクローンの受容体結合部位密度は、[H]5−CT飽和結合で評価され、それは7.7(0.4)pmol/mgタンパク質の平均(SEM)受容体結合部位密度、BMAX図1B)を明らかにした。かかる高い5−HT受容体密度で、5−HT部分アゴニストは、受容体リザーブは問題ではないので、完全アゴニストとして現れること期待されない。加えて、5−FPT薬理学は、関連したヒトの5‐HT受容体(5―HT1A、2A、2B、2C)を一過性に過剰発現するHEK293細胞、およびドーパミンD2、アドレナリンα1A,1BおよびヒスタミンH受容体を含有する、ポテンシャル’標的外’において評価された。特に、置換パターンおよび立体化学に応じて、Dは2−アミノテトラリン骨格に対して高い親和力を示すことができ、そして、α1およびH1受容体はASDの過敏性を処置するために用いる抗精神病薬の一般の標的外である。並進する研究との関連から、マウス5−HT2Aおよび5−HT2C受容体を一過性に発現するHEK293細胞を使用して検討も実施された。
【0182】
表1に示すように、5−FPTは、(+)―鏡像異性体(K=5.8)が(−)−鏡像異性体(K=460nM)より約80倍強力で、5―HT7受容体で高い、立体選択的親和力を示した。(+)−5−FPTは、Gs−cAMPシグナリング(EC50=34 nM、EMAX対AS−19=33%)に関する5−HT部分アゴニストとして振る舞い、および(−)―鏡像異性体も、(+)―異性体より11倍小さい効能を有するけれども、類似の動力学を有する部分作用性(EC50=378 nM、EMAX対AS−19=29%)を示した(図2A〜2Bおよび図11、表2)。さらに5−FPTによる生体外薬理学的検討は、(+)−鏡像異性体も、5―HT1A受容体(K=22、EC50=40 nM、EMAX対5−CT=48%)で、高い親和力、部分アゴニスト特性を有することが明らかになった(表1および2、図3)。(−)−5−FPTは、しかしながら、5−HT1A受容体でかなりの親和力を有しなかった。5―HTおよび5―HT1A受容体の(+)から(−)−5−FPTの著しい立体選択的の高い親和力が、マウスの常同症を調節するために有効性を評価する続く並進する研究が、(+)―鏡像異性体に集中すべきことを示した(図4Cを参照)。
【0183】
他の5‐HT受容体の活性に関して、表1に示すように、5―HT2A受容体での(+)−5FPT親和力は、非常に低く、そして、それは非常に低い効能の部分アゴニストであった(表2、図2B)。5−HT2A受容体とは対照的に、(+)−5−FPTは、5−HT2B(K=60 nM)および5−HT2C(K=269 nM)受容体でかなりの親和力で結合した。機能的な分析において、(+)−5−FPTは、100μMまで5−HT2B活性が欠けており、中立の拮抗作用を示唆した(表2、図2B)。5−HT2Bアゴニスト活性は、それが心弁膜症に至り得るから、薬剤開発に関して維持できないことに注意されたい。注意欠如多動性障害をもつ成人の臨床試験の5−HT2Bアンタゴニスト、メタドキシンの効能によって示されるように、5―HT2B拮抗作用は、一方では、人の注意力欠陥をFXSで処置するために有用である。5―HT2C受容体で、(+)−5−FPTは、その親和力と一致して、適度の効能(EC50=230 nM)で、ほとんど完全な有効性アゴニスト(表2、図2B)であった。マウス5―HT2A受容体で、(+)−5−FPTは、ヒトの受容体と同様に、大へん低い親和力(K=632 nM)を有していたが、しかしながら、マウス5−HT2C受容体での親和力(K=644 nM)は、ヒトの受容体でよりもほとんど2.5倍高かった。
【0184】
予想外に、マウスおよびヒトの5−HT2A受容体で、(−)−5−FPT鏡像異性体は、(+)―5―FPT(表1)よりそれぞれ、〜4倍および8倍高い親和力を有したことが観察された。機能的な分析において、(−)−5−FPTは、低効能の5―HTおよび5―HT2Cアゴニストであったが、しかし、それは、5―HT2Aまたは5−HT2Bを100μMまで活性化しなかった。5−FPT鏡像異性体も、ADRA1A、ADRA1B、HおよびD受容体でかなりの親和力を有していなかった(すなわちK>1μM)。
【表2】
【表3】
【0185】
例3:(+)−5−FPTは、運動への影響なしにモーター常同症を衰えさせる。
(+)−5−FPTは、各々有効性の異なる尺度を有する常同症の3つの異質なモデルにおいて試験された:1)C58/Jマウスの原因不明の常同症的なジャンプ;2)(±)−2,5−ジメトキシ−4−ヨードアンフェタミン(DOI)が引き起こす常同症的な頭の単収縮;3)そして、(5R,10S)−(+)−5−メチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン−5,10−イミン(MK―801)が引き起こすC57Bl/6Jマウスにおける常同症的な回転。(+)−5−FPTも、精神刺激性の濫用のための潜在的薬理学的有用性を評価するために、C57Bl/6Jマウスのd―アンフェタミン(AMP)が引き起こす超運動を減らすために、有効性が試験された。C58/Jマウスは、標準ラボ状態の下に収納されるとき、自然に反復性の、常同症的なジャンプを発現し、そして、この行動は薬物処置に応答する常同症のモデルとして使われて来た。図5に示すように、(+)−5−FPTは、運動に関する行動を変えずに、用量に依存するやり方で、C58/Jマウスの常同症的なジャンプを強力に除去した(図8を参照)。(+)−5−FPTは、ASDを処置するために開発中だった、最近報告されたmGluR5陰性アロステリック調節剤、GRN―529より大きなこのモデルの有効性を示した。
【0186】
常同症のグルタミン酸塩神経伝達に関して、NMDA受容体アゴニスト、MK―801は、特徴的に、Fmr1 KOマウスにおいて観察される単性的な常同症に似ているように見える常同症的な回転を引き起こす。さらにまた、その機能を減少させるNMDAグルタミン酸塩受容体の突然変異および自己抗体は、原因となってヒトのASD、知的障害および精神的症状との関連がある。図6Aに示すように、(+)−5−FPT(5.6mg/kg)は、MK―801で処置されたC57Bl/6Jマウスの常同症的な回転を著しく減らした。(+)−5−FPTもAMPも常同症的な回転行動が生じなかったことに注意されたい(図6A)。加えて、(+)−5−FPT(5.6mg/kg)は、MK―801によって生じる自発運動の亢進を著しく減少させたが、AMPによって生じる自発運動の亢進を減らさなかった(図6B)。重要なことに、単独で、(+)−5−FPTも、C57Bl/6Jマウスの運動を変更させなかった(図6Bおよび図8)。
【0187】
DOIに引き起こされたHTRは、皮質の5−HT2A活性化の行動モデルであって、常同症的チックの顔面有効性を有する。5−HT2A受容体は、皮質の重要な5‐HT受容体であって、グルタミン酸塩のピラミッド状およびGABA神経単位上の重要な刺激調節機能を果たす。皮質の神経単位の5−HT2A受容体機能はFmr1 KOマウスにおいて変更され、そして、5−HT2A機能もASDおよびトゥレット症候群をもつ人において妨害される。さらに、ケタンセリン(5−HT2A識別用放射性同位元素としてここで使用されるトリチウム標識されたバージョン)のような5―HT2Aアンタゴニストは、トゥレット症候群のチックを処置し、そして、視床下核において注入されるときに、常同症および/またはチックのモデルとしてDOIに引き起こされたHTRを支持して、ネズミの常同症を減らす。また、関連する、5−HT1A受容体部分アゴニストブスピロンは、ASDで児童を処置する臨床試験において、5−HT2A受容体で密接な関係がある親和力(K〜140nM)を臨床的に有する。図7に示すように、(+)−5−FPTは、用量依存的にDOIに引き起こされたHTRを、各用量によって観察される著しく減少する効果で減らす。特に、DOIは5−HT1Aおよび5−HT受容体の両方で弱い親和力を有し(K>1μM、我々の未報告の観察)、および(+)−5−FPTは5−HT2A受容体で弱い活性を有し、それはC57Bl/6JマウスのDOIに引き起こされたHTRを伝達し、(+)−5−FPTの効果が受容体部位のためのDOIとの競合に起因していないが、行動に影響を与えるためにDOIに引き起こされた5―HT2A受容体活性を間接的に調節することを示唆する。重要なことに、(+)−5−FPTがヒトの5−HT2A受容体を過剰発現するHEK細胞で弱い部分アゴニスト活性を示したにもかかわらず、それは単独でHTRを引き起こさなかった(表3)。さらに、(+)−5−FPTが、5−HT2A以外の受容体機構を介してDOI HTRを減少させたという表明を支持するために、この分析において(−)−5−FPT、AS−19、(+)−DPATおよび(−)−DPATの試験も行われた。(+)−5−FPTと同じ物理化学的な特性を有するが、中立のアンタゴニスト機能で、ヒトおよびマウスの5―HT2A受容体の実質的により高い親和力を有する(−)−5−FPT鏡像異性体は、5.6mg/kgの用量で(+)−5−FPTより実質的に有効ではなく、HTRを減らした(図4Cを参照)。さらにまた、AS―19、およびDPATのうち両方の鏡像異性体、その全ては、5―HT2A、5―HT2Bおよび5―HT2C受容体で弱い親和力を有するが、しかし、5―HTおよび5―HT1A受容体に対して臨床的に関連した親和力を有する、は、DOI HTRを抑制した(図7)。とりわけ、(+)−DPAT、5−HT1A完全アゴニストは、この分析において重症の自発運動の抑制および明らかなセロトニン症候群を起こし、他方では(−)−DPATも、5―HT1A部分アゴニストも、AS―19も、運動行動に影響を及ぼさないか、または明らかなセロトニン症候群を引き起こさなかつた(データ示されず)。全体として、我々の結果はDPATが、5―HT1A活性化を経て、DOI HTRを抑制するという以前の表明を支持し、さらに5―HT受容体活性化が加えて、当該効果に貢献し得ることを示唆し、それは常同症的行動の抑制と解し得る。さらに、完全アゴニストと比較して、5−HT1A部分アゴニストは、セロトニン症候群に関連する行動のような不都合な影響がより少ないと解釈されるように見える(下記参照)。
【0188】
例4:(+)−5−FPT 社会的相互作用を増大し、そして、セロトニン症候群の症状を引き起こさない。
図9に示すように、(+)−5−FPT(5.6mg/kg)はC57Bl/6Jマウスにおいて始められた社会的相互作用の数を著しく増加させ、一方で身繕いも減少させた。さらに、表3に示すように、(+)−5−FPTは、最も高い行動的に有効な用量で試験され(5.6mg/kg)、平らな体、前足の踏み、ムーン・ウォーキング、立毛、ストラブテール、または揺すりを含むセロトニン症候群の症状を結果的にもたらさず、後ろ足立ちを著しく減少させ、5―HT1A活性化を示唆した。注の中で、行動の試験が終了したあと、ブラインド・スコアラは後ろ足立ちの数に基づいてマウスを2つのグループに分類し、社会的相互作用を始め、そして、2つのグループは100%の精度でビヒクルを(+)―5―FPT処置されたマウスと区別した。
【表4】
【0189】
例5:(+)−5−FPTは、経口的に活性であり、容易に血液脳関門を通過する
図10および11にそれぞれ示すように、(+)−5−FPTは、皮下のおよび口頭の投与の後、著しくDOI HTRを減少させた。加えて、(+)−5−FPTは、全身投与の30、60および90分後に、μgレベルの検出によって証明されたように、血液脳関門を容易に横断する(表4)。特に、(+)−5−FPTのレベルは、30分の事後投与直後の脳組織と比較してプラズマにおいて実質的により低く、(+)−5−FPTが末梢において急速にクリアされることを示した。一方、DOI HTR上の(+)−5−FPT(5.6mg/kg)の減少する効果は、2時間までの事後投与の間、顕著なままだった;3時間の事後投与で、(+)−5−FPTは、DOI HTRを阻害しなかった。
【0190】
D2受容体での(+)−5−FPTの劣った親和力、および(+)−5−FPT(5.6mg/kg)がアンフェタミンによって引き出される自発運動の亢進を著しく減少させなかった観察を考えると、そして、理論に束縛されることを望まずに、(+)−5−FPTはドーパミン作用性機構を介して直接働くことができない。(+)−5−FPTの5−HT1Aおよび5−HT受容体での高い親和力のために、そして、(+)−5−FPTがMK―801およびDOIによって引き出される行動にかなり影響を及ぼしたので、理論に束縛されることを望まずに、(+)−5−FPTはグルタミン酸作動性および/または5―HT2受容体シグナリングを調整する、5−HT1Aおよび5−HTの部分的な作動性機構を介して生体内で働き得る。
【表5】
【0191】
例6:セロトニン受容体での5−PAT活性の調査。
図12は、さまざまな合成された5−PAT化合物およびセロトニン受容体タイプ、5−HT1A、5−HT2A、5−HT2B、5−HT2Cおよび5−HTでのそれらの親和力を示す。ヒスタミンH1受容体の親和力も含有する。
【0192】
図12において、「+」および「−」は、鏡像異性体を示す。さらに、化合物は、以下の一般の構造に関して定められる:
【化28】
式中、Rが非置換フェニル環であるとき、化合物は“5−PAT”である。フェニル環の置換基は、オルト(‘o’)、メタ(‘m’)、パラ(‘p’)によって示される。指定‘ジ’は、2つの置換基を意味する。さらに、図12に示すように、Rは、フェニル以外の環でもある(例えばイソキノリン、ナフタレン、2’フラニル、シクロペンチルなど)。
【0193】
4−PAT合成例
例7:4−PAT合成
本願明細書において記載する式IIaの化合物の合成は、スキーム1において示される。一般に、2−、3−、4−、2,6−または3,5置換されたスチレンのTFAAとの反応は、テトラール−2−オールに還元される、テトラレン−2−オールフェニル酢酸塩を提供し、それは、トシル化され、ジメチルアミンでSN2反転が続く。シス/トランス ラセミ化合物は、カラムクロマトグラフィによって分離され、そして、鏡像異性体分割は、キラル静止位相(CSP)−HPLCによる。
【化29】
【0194】
ステップaにおいて、フェニル酢酸(3当量)は、0℃〜室温で24時間または2’a−bに対して0.5時間、TFAA(3当量)と反応させた。ステップbにおいて、NaBH/MeOHは、50℃で15時間で添加された。ステップcにおいて、TsCl/ピリジンは、室温で20時間で添加された。ステップdにおいて、水性NMe2が添加され、封管され、80℃で24時間放置した。
【0195】
本願明細書において記載する式IIの化合物の合成は、スキーム2および3において示される(化合物の命名は、上記の表5を参照)。
【0196】
スキーム2は、4−アリール−N,N−ジメチル−6,7−置換−テトラヒドロナフタレン−2−アミン(7a−l)を得る合成ルートを示す。4―メトキシフェニル酢酸(2a)または2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)酢酸(2b)のいずれかは、カルボニル-エン反応によって媒介されるカスケードトリフルオロ酢酸無水物(TFAA)を介して3’−ハロゲン化スチレンと反応され、タンデム・フリーデル・クラフツ環化およびO−アシル化手順が続き、4−(3’−ClまたはBr−フェニル)−6−メトキシ−7−(HまたはCl)−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル フェニル酢酸塩(3a−c)を与えた。フェニル酢酸塩(3a−c)は還元され、主産品としてシス−テトラロ−ル(4a−c)を産生し(>=97%)、それはH NMRスペクトルおよびTLCから推定され、こうして反応が立体特異的と考えられた。シスおよびトランス位の割当ては、H NMRデータの比較に基づいた。具体的には、トランス異性体に対して、C(4)プロトンスペクトルは、シス異性体と比較してより大きな脱遮蔽による三重項として現れ、そこにおいて、C(4)プロトンスペクトルは二重の二重項として現れた。痕跡量のtrans−ジアステレオマーの混合物の除去なしに、主要なcis-テトラロール(4a−c)が、続く反応において使われた。テトラロール4aのバッチは、脱ブロム化され、5aを提供した。trans−テトラロール(6a−b)は、ミツノブ反応条件を用いて、5aまたは4bから調製された。テトラロール(4a−c、5a、6a−b)のトシル化は、滑らかに進行し、そして、トシル化物は、封管の水性ジメチルアミンで直ちに処理され、ラセミ化cisまたはtrans−テトラヒドロナフタレン−2−ジメチルアミン(7a―l)を提供した。すべてのケースにおいて、粗ジメチルアミノテトラリンは、特徴的なH―NMR信号の比較によって確認される単一のcisまたはtrans−ジアステレオマーとして集められた(例えば、7a:H−4プロトンδ=4.49、bs;7c:H−4プロトン=4.17,dd)。多糖類ベースのキラル静止位相調製HPLCシステムが、(+)および(−)−鏡像異性体(7a―l)を分離するために用いられた。以前の研究において、関連した化合物の絶対的配位は、X線結晶解析によって(2S,4R)絶対配位を有することが決定された。この研究において、(−)−trans類似体(7b、f、j、l、n)には、それらの対応する(+)−trans異性体と比較して、より長いキラル溶出時間を有していた。
スキーム2
【化30】
【0197】
スキーム3は、(+)または(−)−trans−4−フェニル−N,N―ジメチル−6−ヒドロキシ−7−クロロ−テトラヒドロナフタレン−2−アミンの調製を概説する(7mまたは7n)。以前に得られた類似体7aまたは7bは、それぞれ還流温度で3時間、48%の臭化水素水溶液と反応させ、カラムクロマトグラフィ精製を行った。7mの絶対配位が(2R、4S)として割り当てられ、7nが(2S、4R)として割り当てられた。
スキーム3
【化31】
【0198】
2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)酢酸(2b)の調製。4−メトキシフェニル酢酸2a(1g、6.0mmol)の10mLアセトン溶液に、オキソン(3.7g、6.0mmol)を添加した。懸濁液は室温で15分間撹拌され、水性NaCl(10mL中1.4g)が加えられた。撹拌はさらに6時間続き、混合物は真空中で蒸発された。残留物は、水中で希釈され、酢酸エチルによって抽出された。有機層は、ブラインによって洗浄され、NaSOを通して乾燥され、減圧の下で濃縮された。粗産物は、再結晶によって精製され(トルエン:ヘキサン=1:9)、白い針状固体として集められた(収率50%)。1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.3 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.13 (dd, J = 8.0, 2.0 Hz, 1H) 6.88 (d, J = 8.8 Hz, 1H) 3.89 (s, 3H), 3.57 (s, 2H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 39.7, 56.1, 112.1, 122.4, 126.1, 128.7, 131.1, 154.3, 177.7。
【0199】
エノール−エステル3a−cの調製のための一般的手順。4−メトキシフェニル酢酸(2a)、または2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)酢酸(2b)(9mmol)が、N雰囲気下、室温で、トリフルオロ酢酸無水物(TFAA)(9.5mmol)中で溶かされ、混合無水物を生成し、0℃で適当な3’−ハロゲン化スチレン(3mmol)を含有する他のフラスコに両頭針を使用してその後移送された。反応混合物は一晩室温で撹拌され、それから脱イオン水によって急冷され、酢酸エチルによって抽出された。有機層は、飽和NaHCO溶液によって洗浄され、NaSOを通して乾燥され、濾過され、その後で、減圧下で濃縮された。粗産物は、カラムクロマトグラフィによって精製され(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)、無色の濃い油として産品が得られた。収率は、反応において使用するスチレンに基づいて算出された。
【0200】
4−(3’−ブロモフェニル)−7−クロロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル 2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)酢酸塩(3a)。3aは、2bおよび3’−ブロモスチレンから無色油状物として調製された。収率:70%;1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.30-7.25 (m, 3H), 7.16-7.15 (m, 1H), 7.07-7.05 (d, J= 8.6 Hz, 1H), 6.94-6.91 (m, 2H) 6.76-6.740 (dd, J= 8.3 Hz, 2.8 Hz, 1H), 6.40-6.39 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 6.31 (s, 1H), 4.3-4.27 (t, J= 8.9 Hz, 1H), 3.84 (s,3H), 3.73 (s,3H), 3.70 (s, 2H), 2.79-2.77 (m, 2H)。
【0201】
4−(3’−クロロフェニル)−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル 2−(3―クロロ―4―メトキシフェニル)酢酸塩(3b)。3bは、2bおよび3’−クロロスチレンから無色油状物として調製された。収率:65%;1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.29-7.24 (m, 3H), 7.15-7.14 (m, 1H), 7.06-7.04 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 6.92-6.91 (m, 2H) 6.76-6.74 (dd, J= 8.0 Hz, 2.7 Hz, 1H), 6.40-6.39 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 6.29 (s, 1H), 4.3-4.27 (t, J= 9.1 Hz, 1H), 3.84 (s,3H), 3.73 (s,3H), 3.69 (s, 2H), 2.74-2.70 (m, 2H)。
【0202】
4−(3’−クロロフェニル)−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−2−イル 2−(4―メトキシフェニル)酢酸塩(3c)。3cは、2aおよび3’−クロロスチレンから無色の油として調製された。収率:73%;1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.30-6.34 (m, 11H), 6.25 (s, 1H), 4.24 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.72 (s, 3H), 3.69 (s, 2H), 2.65 (m, 2H)。
【0203】
置換されたシス−テトラロ−ル(4a−c)の調製のための一般的手順。エノール・エステル3a―c(4.7mmol)はMeOH(35mL)中で溶解され、そして、溶液は0℃に冷やされ、続いて5分間でNaBH(16mmol)を添加した。反応はさらに0℃で30分間保たれ、その後、混合物は室温に温められ、55℃で10時間、加熱、撹拌された。反応は、水(25mL)で急冷され、CHClによって抽出され、NaSOを通して乾燥した。粗産物は、シリカゲル・カラムクロマトグラフィを使用して精製された(MeOH:CHCl=1:50)。
【0204】
シス−4−(3’−ブロモフェニル)−7−クロロ−6−メトキシ―1,2,3,4―テトラヒドロナフタレン−2−オール(4a)。4aは、3aから濃厚な油として調製された。収率:70%;1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.29-7.0 (m, 5H), 6.24 (s,1H), 4.13-4.08 (m, 2H, H-2 & H-4), 3.69 (s, 3H) 3.13 (dd, J = 16.4, 4.8 Hz, 1H), 2.75 (dd, J = 16.2, 6.2 Hz, 1H), 2.24-2.17 (m, 1H), 1.78 (dd, J = 23.8, 12.2 Hz, 1H)。
【0205】
シス−7−クロロ−4−(3’−クロロフェニル)−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−オール(4b)。4bは、3bから濃厚な油として調製された。収率:72%;1H-NMR (400 MHz , CDCl3): δ 7.28-7.01(m, 5H), 6.27 (s, 1H), 4.16-4.07 (m, 2H, H-2 & H-4), 3.62 (s, 3H) 3.08 (dd, J = 16.4, 4.2 Hz, 1H), 2.79 (dd, J = 16.5, 6.0 Hz, 1H), 2.38 (m, 1H), 1.8 (dd, J = 23.6, 12.2 Hz, 1H)。
【0206】
シス−4−(3−クロロフェニル)−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−オール(4c)。4cは、3cから濃厚な油として調製された。収率:75%;1H-NMR (400 MHz , CDCl3): δ 7.3-7.1 (m, 4H), 6.73 (m, 1H), 6.26 (s, 1H), 4.14-4.07 (m, 2H, H-2 & H-4), 3.67 (s, 3H) , 3.13 (dd, J = 17.3, 5.2 Hz, 1H), 2.82 (dd, J = 17.1, 7.6 Hz, 1H), 2.37 (m, 1H), 1.83 (dd, J = 22.8, 11.9 Hz, 1H)。
【0207】
シス−7−クロロ−6−メトキシ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−オール(5a)。MeOH(5mL)中に溶解された4a(0.46mmol)の溶液に、パラジウム/チャコール(5.1mg)、またはパラジウム酢酸塩およびトリエチルアミン(80μL)が添加された。混合物は、水素風船中室温で2時間撹拌された。濾過後、溶媒は、真空中で蒸発した。化合物5aは、油として得られた。収率:98%;1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.40-6.82 (m, 6H), 6.21 (s, 1H), 4.2-4.02 (m, 2H), 3.6 (s, 3H) , 3.14-3.04 (dd, J = 16.4, 4.8 Hz,1H), 2.82-2.77 (m, 1H), 2.39 (m, 1H), 1.8 (q, J = 23.4, 11.8 Hz, 1H)。
【0208】
置換されたトランス−テトラロール(6a−b)の調製のための一般的手順。乾燥THF(25mL)中に溶解されたシス−2−テトラロール5aまたは4b(1.9mmol)の溶液に、トリフェニルホスフィン(3.8mmol)および安息香酸(3.8mmol)が添加された。それから、ジイソプロピルアゾジカルボン酸塩(DIAD)(3.8mmol)滴下添加された。混合物は室温で一晩撹拌され、そのあとで、溶媒は減圧下で蒸発した。粗産物は、シリカゲル・カラムクロマトグラフィ(トルエン)によって精製され、その後エタノール(45mL)およびNaOH溶液(メタノール中1N、3.6mL)と混合され、一晩室温で、撹拌した。真空中で溶媒の蒸発の後に、粗産物は、シリカゲル・カラムクロマトグラフィによって精製された(CHCl:MeOH=97:3)。
【0209】
トランス−7−クロロ−6−メトキシ−4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−オール(6a)。6aは、粘稠な無色油状物として5aから調製された。収率:35%;1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.35-7.02 (m, 6H), 6.41 (s, 1H), 4.3 (t, J = 7.2 Hz. 1H), 4.28-4.15 (m, 1H), 3.6 (s, 3H), 3.14-3.10 (m, 1H), 2.79-2.72 (m, 1H), 2.21-2.17 (m, 1H), 2.04-1.98 (m, 1H)。
【0210】
トランス−7−クロロ−4−(3−クロロフェニル)−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−オール(6b)。6bは、無色の粘稠な油として4bから調製された。収率:42%;1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.4-7.0 (m, 5H), 6.41 (s, 1H), 4.3 (m, 1H, H-4), 4.21 (m, 1H), 3.6 (s, 3H), 3.23-3.12 (m, 1H), 2.91-2.69 (m, 1H), 2.21-2.17 (m, 1H), 2.04-1.98 (m, 1H)。
【0211】
置換−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミン 7a―lの調製のための一般的手順:2−テトラロール 4a−c、5aまたは6a−b(1.0mmol)はピリジン(7mL)中において溶解され、そして、塩化p−トルエンスルホニル(2.1mmol)をゆっくりと加えられた。混合物は室温で20時間、撹拌され、そのあとで、反応は氷/水によって急冷し、酢酸エチルによって抽出した。有機層はNaSOを通して乾燥し、そして、粗産物はシリカゲル・カラムクロマトグラフィによって精製した(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)。直ちに、トシル化された中間体は、厚い壁厚のフラスコに移されて、ジメチルアミン(HO中40%を4mL)と混合し、封管した。混合物は、一晩80℃で撹拌した。冷却後、反応混合物はCHClによって抽出され、そして、粗産物は水によって洗い、NaSOを通して乾燥した。粗産物は、シリカゲル・カラムクロマトグラフィ(MeOH:CHCl=1:19)によって精製され、ラセミ体のN,N−ジメチルテトラヒドロナフタレン−2−アミン(7a−l)を提供し、それは半分取キラール静止位相(多糖類ベースの)調製HPLCを使用して、(+)−鏡像異性体をそれぞれ、t1およびt2の保持時間で溶出する、各類似体に対するユニークな溶媒および変性剤の組合せ(詳細は下記)で溶解された。所望の(+)または(−)−N,N―ジメチルテトラヒドロナフタレン−2−アミン生成品(7a−l)を含有している溶離剤は、組合わされ、減圧下で濃縮し、無色油状物を提供した。油はCHClと水(HOが、最初に加えられた)の間に分割され、そして、CHClによって抽出され、NaSOを通して乾燥し、そして、溶媒は真空中で蒸発し、スペクトル キャラクタリゼーションのために7a−l生成物を提供した。遊離塩基7a−lは、エーテル/酢酸エチル中に溶解され、HClガスが通され、薬理学的研究用にHCl塩を得た。
【0212】
トランス−4−フェニル−6−メトキシ−7−クロロ−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミン(7a−b)。7a−bは、吸湿性固体として5aから調製された。収率:37%;1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.32-7.14 (m, 4H), 6.93 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 6.54 (s, 1H), 4.49 (bs, 1H, H-4), 3.76 (s, 3H), 3.27-3.21 (m, 1H), 3.08-2.98 (m, 2H), 2.72 (s, 6H), 2.41-2.30 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 29.3, 31.8, 42.2, 43.7, 56.1, 58.0, 112.9, 121.8, 125.6, 127.1, 128.1, 128.5, 128.8, 130.6, 135.2, 143.9, 154.0, 162.6. HRMS : Calcd. for C19H23ClNO: 316.1468, 318.1439 [M+H]+; Found: 316.1463, 318.1440; isotope pattern confirmed. HPLC (s-prep): solv. sys = EtOH:Hexane (8:92) + 0.1% of diethylamine (modifier) + 0.1% trfluoroacetic acid (modifier); flow rate = 4 mL/min. 7a. [α]25D = (+) 42°(c 1.0, CH2Cl2), t1 =13.06 min. 7b. [α]25D = (-) 46°(c 1.0, CH2Cl2), t2 = 14.6 min。
【0213】
シス−4−フェニル−6−メトキシ−7−クロロ−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミン(7c−d)。7c−dは、吸湿性固体として6aから調製された。収率:29%;1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.36-7.15 (m, 6H), 6.28 (s,1H), 4.17 (dd, J = 12.0, 4.8 Hz, 1H, H-4), 3.59 (s, 3H), 3.19-3.07 (m, 2H), 2.85 (s, 6H), 2.52 (dd, J = 8.0, 2.0 Hz, 1H), 2.32 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 1.92 (dd, J = 24.0, 12.0 Hz, 1H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 34.3, 39.2, 40.3, 46.0, 56.0, 61.1, 112.6, 121.3, 124.9, 127.4, 128.5, 129.0, 130.4, 137.5, 143.8, 153.8, 162.7. 163.1. HRMS Calcd. for C19H23ClNO: 316.1463, 318.1439 [M+H]+; Found 316.1468, 318.1440; isotope pattern confirmed. HPLC (s-prep): solv. sys = EtOH:Hexane (8:92) + 0.1% of diethylamine (modifier) + 0.1% triフロロacetic acid (modifier); flow rate = 4 mL/min. 7c. [α]25D = (+) 111°(c 1.0, CH2Cl2), t1 =12.8 min. 7d. [α]25D = (-) 98°(c 1.0, CH2Cl2). t2 = 14.6 min。
【0214】
トランス−4−(3’−クロロフェニル)−6−メトキシ−7−クロロ−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミン(7e−f)。7e−fは、吸湿性固体として4bから調製された。収率:41%;1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.38-7.20 (m, 3H), 6.92 (s, 1H), 6.85-6.73 (m, 1H), 6.54 (s, 1H), 4.42 (bs, 1H, H-4), 3.79 (s, 3H), 3.34-3.21 (m, 2H), 3.10-2.98 (m, 1H), 2.75 (s, 6H), 2.40-2.35 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 29.1, 31.8, 42.2, 43.4, 56.2, 57.9, 112.8, 122.1, 125.5, 126.4, 127.4, 128.2, 130.1, 130.7, 134.3, 134.8, 146.0, 154.1. HRMS Calcd. for C19H22Cl2NO: 350.1078, 352.1049 [M+H]+; Found: 350.1073, 352.1047; isotope pattern confirmed. HPLC (s-prep): solv. sys = EtOH:Hexane (8:92) + 0.1% of diethylamine (modifier) + 0.1% triフロロacetic acid (modifier); flow rate = 4 mL/min. 7e. [α]25D = (+) 14°(c 1.0, CH2Cl2), t1 =12.2 min. 7f. [α]25D = (-) 14°(c 1.0, CH2Cl2), t2 = 14.8 min。
【0215】
シス−4−(3’−クロロフェニル)−6−メトキシ−7−クロロ−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミン(7g−h)。7g−hは、吸湿性固体として6bから調製された。収率:34%;1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.31-7.05 (m, 5H), 6.26 (s, 1H), 4.15 (dd, J = 12.0, 4.5 Hz, 1H, H-4), 3.76-3.63 (m, 1H), 3.62 (s, 3H), 3.17-2.99 (m, 2H), 2.85 (s, 6H), 2.54-2.50 (m, 1H), 1.89 (dd, J = 24.0, 12.0 Hz, 1H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 28.7, 29.7, 34.4, 45.7, 56.1, 60.9, 112.4, 121.7, 125.0, 126.8, 127.7, 128.5, 130.3, 130.6, 134.8, 136.7, 146.0, 154.0. HRMS Calcd. for C19H22Cl2NO: 350.1073, 352.1049 [M+H]+; Found: 350.1073, 352.1047; isotope pattern confirmed. HPLC (s-prep): solv. sys = EtOH:Hexane (8:92) + 0.1% of diethylamine (modifier) + 0.1% trifluoroacetic acid (modifier); flow rate = 4 mL/min. 7g. [α]25D = (+) 282°(c 1.0, CH2Cl2), t1 =19.4 min. 7h. [α]25D = (-) 272°(c 1.0, CH2Cl2), t2 = 12.7 min。
【0216】
トランス−4−(3’−ブロモフェニル)−6−メトキシ−7−クロロ−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミン(7i−j)。7i−jは、吸湿性固体として4aから調製された。収率:33%;1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.39 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.26 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 7.19 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.09 (s, 1H), 6.87 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 6.50 (s, 1H), 4.45-4.38 (bs, 1H, H-4), 3.78(s, 3H), 3.29-3.23 (m, 2H), 3.09-3.02 (m, 3H), 2.76 (s, 6H), 2.38-2.34 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 29.1, 31.8, 42.3, 43.4, 56.2, 57.9, 112.8, 122.2, 123.1, 125.5, 126.9, 130.3, 130.8, 131.1, 134.3, 146.3, 154.2, 162.7. HRMS Calcd. for C19H22BrClNO: 394.0573, 396.0553 [M+H]+, Found 394.0578, 396.0560; isotope pattern confirmed. HPLC (s-prep): solv. sys = EtOH:Hexane (8:92) + 0.1% of diethylamine (modifier) + 0.1% triフロロacetic acid (modifier); flow rate = 4 mL/min. 7i. [α]25D = (+) 14°(c 1.0, CH2Cl2), t1 =13.1 min. 7j. [α]25D = (-) 14°(c 1.0, CH2Cl2) t2 = 14.6 min。
【0217】
トランス−4−(3’−クロロフェニル)−6−メトキシ−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミン(7k−l)。7k−lは吸湿性固体として4aから調製された。総収率:38% 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.26 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.21-7.15 (m, 1H), 7.10 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.09 (s, 1H), 6.91 (dd, J = 8.0, 2.0 Hz,1H), 6.78 (dd, J = 8.0, 2.4 Hz, 1H), 6.44 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 4.32 (t, J = 4.8 Hz, 1H, H-4), 3.69 (s, 3H), 3.01 (dd, J = 16.0, 5.0 Hz, 1H), 2.85-2.79 (m, 1H), 2.69, (m, 1H), 2.34 (s, 6H), 2.16-2.11 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 31.1, 34.4, 41.5, 44.0, 55.2, 56.6, 113.4, 114.3, 126.4, 126.8, 127.8, 128.7, 129.5, 130.3, 134.1, 137.7, 148.4, 157.9. HRMS m/z Calcd for C19H23ClNO 316.1468, 318.1439 [M+H]+, Found 316.4163, 318.1440, isotope pattern confirmed. HPLC (s-prep): solv. sys = EtOH:Hexane (8:92) + 0.1% of diethylamine (modifier) + 0.1% triフロロacetic acid (modifier); flow rate = 4 mL/min. 7k. [α]25D = (+) 12°(c 1.0, CH2Cl2), t =12.7 min. 7l. [α]25D = (-) 10°(c 1.0, CH2Cl2). t = 14.5 min。
【0218】
トランス−4−フェニル−6−ヒドロキシ−7−クロロ−N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−アミン(7m−n)。鏡像異性的に純粋な7aまたは7b(0.16mmol)は、HBr溶液(水中48%、3mL)に溶解され、4時間還流された。冷却後、反応混合物は飽和NaHCO溶液によって急冷され、CHClによって抽出され、そして、有機層は無水MgSOを通して乾燥し、濾過された。溶媒は減圧下で除去され、そして、残渣はシリカゲル・カラムクロマトグラフィによって精製され(ジクロロメタン:メタノール=95:5)、ラセミ体の7m−n遊離塩基を得た。MP:155―158℃。1H NMR (400MHz, CD3OD): δ 7.29 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 7.23-7.17 (m, 2H), 7.04 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 6.51 (s, 1H), 4.39 (t, J = 4.4 Hz, 1H), 3.27-3.19 (m, 1H), 3.15 (dd, J = 16.5, 5.0 Hz, 1H), 2.93 (dd, J = 15.6, 10.4 Hz, 1H), 2.64 (s, 6H), 2.312.24 (m, 2H). 13C NMR (CD3OD): δ 153.0, 146.6, 137.9, 131.3, 129.6, 129.5, 127.6, 127.2, 120.7, 118.3, 58.4, 44.7, 40.8, 34.1, 30.1. HRMS: Calcd for C18H21ClNO: 302.1312, 302.1282 [M+H]+; Found: 302.1311, 302.1372; isotope pattern confirmed. 7m: [α]25D = +31.6 (c 1.2, MeOH). 7n: [α]25D = -30.0 (c 1.2, MeOH)。薬理学的研究のための7nおよび7mのHCl塩は、HClガスを遊離塩基のエーテル溶液に通すことによって得られた。
【0219】
4−PAT生物学的例
例8:化合物の結合親和力
放射性受容体競合的結合分析は、本発明の化合物の結合親和力を評価するために行なわれた。放射性リガンド競合的置換結合分析は、穴当たり膜サンプルからのタンパク質3−5μgを用いて、96穴プレートにおいて実行された。結合実験の各濃度点はサンプルの三組において実行され、そして、各実験は最低3回実行された。分析混合物の放射性リガンドの最終濃度は、〜K濃度、すなわち2.0nM[H]ケタンセリン(5―HT2A)、1.95nM[H]メスラジン(5―HT2B)、1.4nM[H]メスラジン(5―HT2C)または1.0nM[H]メピラミン(H1))であった。非特異的結合は、全3つの5−HT2受容体のための10μMのミアンセリン、またはH1受容体のための10μMのトリプロリジンの存在下において決定された。放射性受容体結合分析混合物は37℃で1.0時間培養され、96穴セル‐ハーベスタ(Tomtec、Hamden、CT)を使用してワットマンGF/Bフィルタを通して迅速な濾過によって終了し、それは室温で、50mMのトリス−HClによって5回、その後洗浄された。結合された[H]放射性リガンドを含有するフィルタは乾燥し、2mLのシンチレーション・カクテル(ScintiVerse)が入っているバイアルに置かれ、一晩平衡させて、そのあとで、ベックマン−コールターLS6500カウンタを使用してHによって誘発されたシンチレーションに対してカウントされた。
【0220】
5−HT2およびH1受容体によって媒介されるリン酸イノシトール加水分解の測定による7lおよび5‐HT類似体(ポジティブな支配のアゴニスト、データは示されず)の機能的な反応が、評価された。手短に言えば、一過性に核酸導入されたHEK293細胞は、1μCi/ml[3H]ミオイノシトールでラベル化され、48穴プレートに播種された。細胞は、検査化合物で30分間処理された。反応は、50mMのギ酸の添加によって停止された。アニオン交換カラム(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)は、[3H]リン酸イノシトールを結合して、収集するために用いられた。3H−誘発シンチレーションが、それから測定された。各実験は試験化合物濃度ごとに最小限3組の測定値を含有し、そして、各実験は最低3回実行された。
【0221】
競合的結合データは、Windowsに対してGraphPadプリズム6(San Diego, CA)の非線形後退曲線の適合アルゴリズムを使用して分析された。8つのデータ・ポイントだけがグラフをプロットするために用いたので、ヒル傾斜は算出されず、こうして、1−サイト・フィットKのためのアルゴリズムが使用され、ここで、ヒル傾斜が1.0にセットされた;分析には、R>0.9でカーブ適合からのデータだけが、含有された。リガンド親和力は、Chen―Prusoff式K=IC50/1+L/K−式中Lは放射性リガンドの濃度−を使用してIC50値の転換によってK値の近似値として表された。
【0222】
表6は、放射性受容体結合実験の結果を要約する。PATテトラヒドロナフチル部分に6−メトキシおよび7−クロロ置換を有する、類似体7a−dに対して、結合のための立体選択性は、(−)−トランス>(+)−トランス>(−)−シス>(+)−シスであった。類似体7b−dにおける水素およびハロゲン結合部分、それぞれ6−メトキシおよび7−クロロの添加は、5−HT2受容体全体の結合相互作用の強化に貢献した。7a([+]−トランス鏡像異性体)は、比較的劣った5−HT2A親和力を示した;6−メトキシ部分は、5−HT2A残渣S5.46との強い相互作用のための7m([+]−トランス鏡像異性体)の6−ヒドロキシ部分と同じ水素結合ポテンシャルを有さない。
【表6】
【0223】
H1受容体親和力に関して、(+)−シス異性体7cは対応する関連化合物(+)―シス−PAT 1c類似体(式IIに関して、(+)−シス確認およびR6、R7およびR3’の各々は水素である)より10倍低い親和力を有しており、そして、それは(2R、4R)絶対配置を有することが決定された。合わせて考えると、そして、理論に束縛されることを望まずに、7a−dに対する親和力の結果は、5−HT2およびH1受容体ポケットの両方での結合を示唆し、そして、(−)−トランス−1b類似体(式IIに関して、各々のR6、R7およびR3’は水素である)と比較して(−)−トランス−7b類似体に対して観察されたより高い親和力は、6−OCH3および7−Cl部分の存在に起因し得るようで、それは、結合ポケット・アミノ酸との追加の水素およびハロゲン相互作用に結果としてなる。
【0224】
類似体7e−hは、7a−dに存在する6−OCH3および7−Cl部分を保持し、またC(4)−フェニル部分の3’(メタ)位置で、追加のCl部分を含有する。(+)−トランス−鏡像異性体(7e)の上の(−)−トランス鏡像異性体(7f)の結合のための立体化学的選択は、(+)−鏡像異性体7eが異常に高い親和力を有する5−HT2C受容体で、3’−位置が類似体7i―jのように臭素で置換されるときを除いて、1a−bおよび7a−b類似体と類似の受容体全体に維持されるが、これは、3位が、7i−j類似体におけるように臭素と置換される場合は除外される。3’−Clよりむしろ3’−Brを置換する場合は、5−HT2CおよびH1の両方の受容体で親和力を譲歩した。シス類似体7c−dは、対応するトランス類似体7a−bと比較して、受容体全体に著しくより少ない親和力を有していた。
【0225】
類似体7a−bと比較して、対応するトランス類似体7e−fおよび7i−jの親和力は、ヒスタミンH1受容体で減少された。7−Cl部分を含む対応する(−)−トランス−類似体7fと比較して、(−)−トランス鏡像異性体7lにおけるように、7―Cl部分を取り除くことは、5−HT2受容体で親和力を変えずに、H1受容体で親和力のさらにより大きな減少に結果としてなった;(+)−トランス鏡像異性体7kの親和力は、すべての受容体で減少した。
【0226】
化合物7lの機能的な分析は、化合物7lが、H1に対する選択性を有する5−HT2受容体で高い親和力を有するという観察に基づいて行われた。図13および表7に示すように、化合物7lは、5―HT2C受容体だけを活性化させた。7lのアゴニスト効力(EC50=19±1nM)は、1b(20±2nM)と同様だった。7lは、濃度10μMまで、ヒトの5−HT2A受容体を活性化させなかった(図13)。5−HT2BおよびH1受容体で、化合物7lは、それぞれ51(6.1)および48(4.5)nMの平均(±S.E.M.)IC50値を有する逆アゴニストであった。
【表7】
【0227】
これらの結果は、非置換PAT(例えば1bおよび7b、表5)に対して、(−)―トランス―PATのテトラヒドロナフチル部分への6−OCH3および7−Cl置換の組合せは、5−HT2およびH1結合親和力に穏やかな影響を及ぼしたことを示すが、しかし、クロロ基もC(4)フェニル部分の3’(メタ)―位置で置換されるときに、5−HT2受容体全体の親和力は著しく強化され、一方でH1親和力が著しく減少される(7f、表6)。このように、それらの作用機構の一部として、5−HT2A受容体を目標とする抗精神病薬の中の体重増加効果と関係していたH1受容体によって媒介される活性を減少させるかまたは除去することは、明らかに達成可能である。その間に、類似体7lは7−Cl部分を含まないが、然もなくは7fと同様に、7fよりさらに低いH1親和力を有し、一方で、強い5−HT2受容体親和力を維持する。結合ポケット立体適応の違いは、対応する3’(メタ)−ブロモ類似体7jによって、7fと比較して、親和力を5−HT2Aおよび5−HT2B受容体で維持したが、5−HT2CおよびH1受容体で親和力を譲歩したことが明らかになった(表6)。
【0228】
新規なPAT−タイプ化合物の7lは、5−HT2受容体で親和力を強化したが、しかし、非置換PAT(7b)と比較してH1受容体で親和力を>40倍減らした。さらにまた、7lだけは、5−HT2C受容体を活性化させた。それはヒト5−HT2BおよびヒスタミンH1シグナリングで逆のアゴニズムを示し、10μMでさえ、5−HT2A受容体を活性化させなかった。ヒトの5−HT2B受容体の逆アゴニストとしての7lが5―HT2Bによって媒介される心弁膜症の可能性を除外し、認識を強化することができることは注目に値する。加えて、7lが5−HT2A受容体を活性化させないので、幻覚を起こさせる効果の不安は和らげられる。7lのこの薬理学的プロファイルは、他の全ての報告された、非−PATのような、選択的な5−HT2Cアゴニスト、すなわちロルカセリン(lorcaserin)、Ro60―0175、mCPPなどとは別にそれをセットし、その全てはまた、5−HT2Aおよび5−HT2B受容体を活性化させる。
【0229】
例9:精神神経性障害の処置における化合物の生体内有効性
式IIおよび式IIaの化合物の生体内研究は、行動活性におけるMK−801によって誘発された増加の反転のために検討することによって、マウスにおいて行われる。注意および働くメモリの混乱を逆転させる際のこれらの化合物の効果を調べる追加の研究、およびMK―801によってできる衝動性の増加も、行われる。
【0230】
マウスに対するグルタミン酸作動性のN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)アンタゴニストMK―801の投与は、注意力欠陥、衝動的な動きを誘発し、働くメモリを崩壊させることは既知である。C57Bl/6Jマウスは、MK―801で処置される。マウスのサブグループは、式IIおよび式IIaの化合物によって予備的に処置される。コントロール・マウスは、食塩水によって予備的に処置される。これらの研究は、本発明の化合物によって予備的に処置されるマウスがMK−801によって誘発された活動亢進を減らしたことを示す。
【0231】
特に、「観察反応」手順は、どの注意がオペラント(操作者)反応として直接測定されるかについて決められる。マウスは、混合予定状況(刺激状況は、食品が入手可能か否か示さない)の下で1本のレバーに反応することによって、強化因子を得る。第2のレバー上の「観察反応」をすることによって、刺激状況は、食品の入手性の信号を送られる複数の予定を変更する。この手順によって動物が応答をすることができ、その結果、それが関連した行動の偶発と接触することができて、より効果的に反応することができる(それは、注意を向けるか、または払うことの定義である)。これらの条件下では、式IIおよび式IIaの化合物の投与は、選択的に、他の状況の下(例えば複数の予定の間の食品のための反応速度に変更はない)で劇的に反応速度を変えずに観察することを増加させる。注意を払うことのこの選択的な増加は、さらに観察反応手順が本発明の化合物の注意力増大効果に敏感であることを示す。
【0232】
衝動性上の化合物の効果は、視覚の識別手順によって評価される。レバーの上の1秒の光のフラッシュによって信号を送られている正しいレバーで、マウスは、2本のレバーのうちの1本に反応するように訓練される。刺激発現は、平均して5秒毎に起こる。光のフラッシュの発現の前に発生する反応は、衝動的な反応と考えられ、5秒のタイムアウトとなる。MK―801で処置したマウスは、衝動性において増加を発揮し、一方で式IIおよび式IIaの化合物で前処置されたものは、この衝動性の増加を逆転させる。
【0233】
等価物
本発明は、その特定の実施態様に関連して説明されているが、さらなる変更が可能であり、本出願は、一般に、本発明の原理に従って、本発明の変形、使用、 本発明が関係する技術の範囲内で知られているまたは慣例的なやり方で、本明細書に記載された本質的な特徴に適用され、添付の特許請求の範囲の範囲内で以下に記載される本開示からのそのような逸脱を含む。
【0234】
当業者は、誓約書を出すか、または、ルーチン試験だけを使用して、特に本願明細書において記載されている特定実施態様に多数の等価物を確認することが可能である。かかる等価物は、以下の請求項の範囲において含まれることを目的とする。
【0235】
参照による組入れ
本願明細書において参照されるすべての特許および刊行物は、全体として本願明細書に組み入れられる。
【0236】
本明細書で論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。 本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明によりそのような刊行物に先行する資格がない承認として解釈されるものではない。
【0237】
ここで使用しているように、すべての見出しは、単に組織化のためであって、いかなる方法でも開示を制限することを目的とするものではない。いかなる個々のセクションの内容も、すべてのセクションに等しく適用可能であり得る。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A-C】
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13