(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記着脱可能な滅菌バリアは、平坦な遠位端表面を有し、前記少なくとも1つの回転抑制外部側面は、前記平坦な遠位端表面に対して垂直である、請求項7に記載の薬物送達システム。
前記着脱可能な滅菌バリアは、被覆部材及び管状部材を含み、前記被覆部材は、前記管状部材の開口端を被覆し、前記管状部材は、前記着脱可能な滅菌バリアを前記ハウジングから除去するときに前記患者によって掴持される複数の外向きに突き出たリブを含む、請求項7に記載の薬物送達システム。
前記着脱可能な滅菌バリアは、平坦な遠位端表面を有し、前記少なくとも1つの回転抑制外部側面は、前記平坦な遠位端表面に対して垂直である、請求項13に記載の薬物送達システム。
前記着脱可能な滅菌バリアは、被覆部材及び管状部材を含み、前記被覆部材は、前記管状部材の開口端を被覆し、前記管状部材は、前記着脱可能な滅菌バリアを前記ハウジングから除去するときに前記患者によって掴持される複数の外向きに突き出たリブを含む、請求項13に記載の薬物送達システム。
貯蔵部、前記貯蔵部と流体連通している近位端及び患者内に受容される遠位端を有する送達カニューレ、前記送達カニューレの前記遠位端の周囲に配設された着脱可能な滅菌バリア、ならびにロックを備える、薬物送達装置の作動方法であって、前記薬物送達装置は、コンピューティングデバイスと通信するように構成されており、
前記コンピューティングデバイスによって、1つ以上のセンサを用いて、前記薬物送達装置の条件または動作状態を判定することであって、前記薬物送達装置の前記条件または前記動作状態が少なくとも前記着脱可能な滅菌バリアが前記送達カニューレの前記遠位端から除去されたかどうかを含む、判定することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記薬物送達装置の前記条件または前記動作状態に基づいて、前記ロックを制御することと、を含む、作動方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、薬物送達装置を含む複数のシステム、及び薬物送達システムを使用するための複数の方法を対象とする。具体的には、本システム及び本方法は、1つ以上の状態の判定を伴い、この状態は、1つ以上のセンサを1つ以上の制御装置と組み合わせて使用することにより判定されてもよい。センサは、機械的、電気的、または化学的感知方法に依存してもよく、制御装置は、機械的、電気的、または電気機械的でもよい。例として、かつ制限としてではなく、状態は、薬物送達装置の動作、または薬物送達装置の状態に関連してもよい。本システム及び本方法は、状態判定を使用して薬物送達装置の動作を制御してもよく、かつ/または状態判定を、例えば、薬物送達装置、1つ以上のセンサ、及び1つ以上の制御装置を含むシステムから受信した状態判定を収集、処理、及び/またはさらに広め得る、第三者のサーバ等の他の装置に通信してもよい。さらに、または代替例において、本システム及び本方法は、状態判定をモバイルコンピューティングデバイス(例えば、携帯電話)等のローカル装置に通信してもよい。
【0013】
本開示による薬物送達システムは、(一次容器、例えば注射器、バイアル、またはカートリッジとも称され得る)貯蔵部を有する薬物送達装置を含んでもよい。貯蔵部は、薬または薬剤とも称され得る薬物を含んでもよい。薬物は、ペプチド、ペプチボディ、または抗体等の様々な生物製剤であり得るが、これらに限定されない。薬物は、流体または液体の形態でもよいが、本開示は、特定の状態に限定されない(例えば、例えば溶液、ゲル、または凍結乾燥製剤の間の区別を意図しない)。薬物送達装置はまた、貯蔵部に接続されるかまたは貯蔵部に流体連通で接続可能な第1の端と、患者内に挿入される第2の端と、を有する送達カニューレも含む。本明細書において使用する場合、用語「送達カニューレ」または「カニューレ」は、本明細書で、流体の送達のために身体内に挿入することができる管を意味すると定義される。カニューレは、例として、かつ制限としてではなく剛性もしくは半剛性針または鈍端カニューレを含み得るか、または、可撓性の形態であり得る。カニューレは、薬物送達装置他の要素と一体化されてもよいか、またはカニューレは、使用の直前まで薬物送達の他の要素から分離されていてもよい。ある特定の実施形態によれば、薬物送達装置は、第2の端を患者内に導入するためのインサータをさらに含んでもよいが、これは、本開示の各々の実施形態によれば必要ではない。インサータは、装置内に引き戻されてもよいか、または引き戻されなくてもよく、これにより患者内にカニューレを残す。
【0014】
薬物送達装置の前述の説明を考慮して、装置は、自動注入装置または身体上注入装置、もしくは注入器とみなしてもよい(注入装置への言及は、差異が示唆されている程度において注入器への言及もまた含むことが意図される)。自動注入装置は、使用者の皮膚への装置の単回の適用中に単回用量を投与する単回使用の装置でもよいが、自動注入装置は、単回使用の装置のみに限定されず、これらは複数回使用の装置でもよい。身体上注入装置は、使用者の皮膚への装置の1回以上の適用中、複数の投与量を投与する複数回使用の装置であり得るが、身体上装置は、単回使用の装置としても使用されてもよい。自動注入装置または身体上注入装置のいずれも、アセンブリが、例えば、貯蔵部を再充填することによって、空の貯蔵部を取り除きそれを充填された貯蔵部と交換することによって、またはカニューレを交換することによって使用及び再使用され得る、再使用可能であるアセンブリまたはサブアセンブリを有してもよい。
【0015】
上で述べたように、本開示に従ったシステムまたは方法は、薬物送達装置に関連する1つ以上の状態を判定する。
【0016】
例えば、本システムまたは本方法は、薬物送達装置が1つ以上の動作状態(すなわち、薬物を患者に送達するための薬物送達装置の動作に関連する状態)にあるかどうかを判定してもよい。一般的な動作状態の網羅的でないリストには、(i)包装された/配布の準備が整った動作状態、(ii)包装された/配布された動作状態、(iii)解梱された/投与の準備が整った動作状態、(iv)滅菌バリアが除去された動作状態、(v)装置が適用された動作状態、(vi)カニューレが注入された(または挿入された)動作状態、(vii)薬物送達が開始された動作状態、(viii)薬物送達が完了した動作状態、及び(ix)装置が除去された動作状態が含まれ得る。本システムまたは本方法は、一般的な動作状態の各々で特定の動作状態を判定してもよく、例えば、本システムまたは本方法は、プランジャーが(薬物貯蔵部を画定する)穴の第1の端から穴の第2の端に動かされたかどうかを判定して、薬物送達装置が「薬物送達完了」状態にあるかどうかを判定してもよい。
【0017】
さらに、本システムまたは本方法は、薬物送達装置が1つ以上の条件状態(すなわち、薬物を患者に送達するための薬物送達装置の動作に必ずしも関係しない、薬物送達装置の条件に関連する状態)にあるかどうかを判定してもよい。条件状態の網羅的でないリストには、(i)(例えば、製造年月日または有効期限に対する)製品年齢、(ii)滅菌/汚染、(iii)温度(または温度履歴)、及び(iv)配向が含まれ得る。条件状態の判定は、動作状態の判定の一部として見なされてもよく、例えば、温度状態の判定は、「投与の準備が整った」状態の一部として見なされてもよい。あるいは、動作条件及び条件状態は、別個に決定されてもよい。
【0018】
これらの状態は、1つ以上のセンサの使用により判定されてもよい。センサは、判定される条件状態に特有のものであってもよく、例えば、貯蔵部に隣接して配設された熱電対は、薬物送達装置の温度状態を判定するために使用されてもよい。センサは、判定される動作状態に特有のものであってもよく、例えば、「滅菌バリアが除去された」動作状態を判定するために、スイッチは、針保護装置に結合されていつ針キャップが除去されたかを判定してもよく、スイッチは、針キャップがカニューレの第2の端上に配設されたときに開き、スイッチは、針保護装置がカニューレの第2の端上に配設されていないときに閉じる。センサを使用して条件状態及び動作状態の両方を判定してもよく、例えば、熱電対を使用して、装置の温度条件状態(またはより具体的には薬物)を判定してもよく、かつ/または熱電対を使用して、「投与の準備が整った」動作状態を判定してもよい。
【0019】
システムまたは方法は、判定された状態を使用して、薬物送達装置の動作を制御してもよい。例えば、システムは、センサに結合された制御装置を含んでもよく、上述の薬物送達装置のアセンブリもしくはサブアセンブリのうちの1つ以上に、または薬物送達装置の1つ以上の追加のアセンブリもしくはサブアセンブリに結合されてもよい。制御装置は、判定された状態に従って、これらのアセンブリもしくはサブアセンブリを起動するか、または抑制するように構造的に適合されるか、または(電気的または電気機械的である場合)そのようにプログラムされてもよい。例えば、薬物送達装置は、注入装置の動作を制限するかまたは完全に抑制するロックアウトを含んでもよく、制御装置は、薬物送達装置(及び特に貯蔵部内の薬物)の温度状態が閾値状態未満である場合、可逆的様式でロックアウトを作動させてもよい。
【0020】
システムまたは方法は、判定された状態(複数可)を別の装置またはシステムに通信してもよく、この通信は、薬物送達装置の動作を制御するために判定された状態(複数可)の使用と併せて行われてもよい。例えばシステムまたは方法は、通信リンクを使用して判定された状態(複数可)をネットワーク化された装置と通信してもよい。この意味で、ネットワーク化された装置は、通信リンク上で少なくとも1つの他の装置と通信する任意の装置を含むことが意図され、例えばBluetooth(登録商標)接続を使用するモバイル機器(例えば、携帯電話もしくはモバイルコンピューティングデバイス)、またはWi−Fi接続を使用したコンピューティングデバイス等の装置との通信を含んでもよい。ネットワーク化された装置は、サーバ等のネットワーク化された装置を含むネットワークを介して、薬物送達システムから遠く離れた他のコンピューティングデバイスに、判定された状態を通信してもよい。本開示のある特定の実施形態によれば、システムは、ネットワークと直接通信する(すなわち、中間のネットワーク化された装置なしで、システムがネットワーク化された装置である)か、または(例えば、3Gアンテナを使用して)サーバ等のリモートコンピューティングデバイスと直接通信する。ネットワークを介して通信された状態情報は、次いで、例えば、患者が遵守しているかどうか、または薬物送達装置のクラスがシステム異常を呈しているかどうかを判定するために、使用されてもよい。状態情報は、他の様式でも使用されてもよい。
【0021】
システム及び方法はまた、薬物、薬物送達装置、もしくは使用者の識別に関連した情報、及び/またはこの識別情報の通信に従った薬物送達装置の制御も含んでもよい。薬物に関連する識別情報には、薬物名、薬物濃度、投与量情報、ロット番号または通し番号、ならびに製造及び/または期限切れの日付が含まれ得る。薬物送達装置に関連する識別情報には、装置タイプ(例えば、自動注入装置、身体上注入装置)、ロット番号または通し番号、及び製造日が含まれ得る。使用者に関連する識別情報には、患者名、人口統計データ情報、及び患者サブグループ情報が含まれ得る。この情報は、上で論じられた状態情報とは対照的に「静的」情報と称され得る。
【0022】
情報の通信に関して、及び特に直前に論じられた識別情報に関連して、全ての情報が、利便性のため、患者のプライバシーまたはデータ機密保護の懸念のために、全ての異なる関係者にとって有用であるか、所望されるか、またはさらにはアクセス可能であるわけではないことが理解される。
【0023】
図1は、本開示の実施形態に従った薬物送達システム100を図示している。薬物送達システム100は、治療計画の一部として薬物を注入するために薬物送達システム100を使用し得る患者102と関連付けられてもよい。薬物送達システム100は、1つ以上の中間コンピューティングデバイス及び/または1つ以上のネットワークを介して、コンピューティングデバイス(例えばサーバ)104と通信してもよい。次いで、サーバ104は、1つ以上の中間コンピューティングデバイス及び/または1つ以上のネットワークを介して、薬物送達システム100、患者102、及び1つ以上のコンピューティングデバイスと(これらの関連する関係者と共に)通信してもよい。
図1にも示されるとおり、サーバ104は、例えば3Gアンテナを使用して薬物送達システム100と直接通信してもよい。
【0024】
例えば、薬物送達システム100は、第1の通信リンク112を介してモバイルコンピューティングデバイス110(例えば、スマートフォン)と、及び第2の通信リンク116を介してコンピューティングデバイス(例えば、パーソナルコンピュータまたは専用ハブ)114と通信していることが示されている。リンク112、116の両方は、例えば、Bluetooth等の近距離通信プロトコルに従って動作してもよい。モバイルコンピューティングデバイス110が、通信リンク120を介してセルラーネットワーク118と通信し得る一方で、他のコンピューティングデバイス114は、通信リンク124を介して実配線のネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワークまたは広域ネットワーク)122と通信し得る。これらのネットワーク118、122もまた、サーバ104と通信してもよい。
【0025】
ネットワーク118、122は、サーバ104と、患者102と関連した1人以上の関係者、例えば患者の介護人130、支援者132、及び医療提供者134との間の通信を、自身のモバイルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン)を介して容易にすることができる。サーバ104は、患者102と関連した1人以上のさらなる関係者と関連した1つ以上のコンピューティングデバイス(例えば、サーバ)とも通信していてもよい。例えば、ネットワーク122を介してサーバ104と通信している健康管理システムサーバ140、決済サーバ142、薬局サーバ144、物流業者サーバ146、及び政府機関サーバ148が示されている。ネットワーク118、122は、互いに通信していてもよいことも理解されるであろう。
【0026】
図2は、薬物送達システムの様々な条件及び動作状態を判定し、これらの状態に従って薬物送達システムを制御し、判定された状態情報をモバイル機器110及び/またはサーバ104等のコンピューティングデバイスに通信するために、
図1の薬物送達システム100等の薬物送達システムを操作する方法200を図示している。
図1の流れ図の大まかな再考察から、
図2に従った方法200が、薬物送達システムの一部である薬物送達装置の様々な条件及び動作状態の判定と、これらの条件及び動作状態に関連して、またはこれらに関して取られた行動及び行われた通信と、を図示していることが理解されるであろう。方法200が本明細書に記載される行動を含む一方で、本開示に従った薬物送達システムを操作する方法の他の実施形態は、例えば、
図3に具体的に示されるとおり、本明細書に記載される動作のうちのいくつかのみを含んでもよいことも理解されたい。本開示に従った薬物送達装置を操作する方法の他の実施形態に含まれない
図2に概説されるこれらの動作は、省略または除外されてもよい。
【0027】
薬物送達システムからの動作及び通信は、
図2に示されるとおり、装置が製造から処分までの使用可能な製品ライフサイクルを経るに従い、薬物送達装置の動作状態と共に変化してもよい。実際、単一のセンサに基づいて下される判定は、薬物送達装置の動作状態に従って変化してもよい。例として、滅菌を維持するためのカニューレの第2の端上に配設された針キャップを利用するこれらの薬物送達装置に関して、針キャップセンサを使用して下された、針キャップが包装体または包装除去の前にカニューレの第2の端上またはそれの周囲から除去されたという判定が、一次容器の一体性が損なわれたことを示し得るのに対し、包装体または包装除去後のカニューレの第2の端上またはその周囲からの針キャップの分離または除去は、装置が薬物を投与する準備が整っていることを示し得る。
【0028】
方法200はブロック202から開始し、薬物送達システムが包装されたと判定されたとき、ブロック204からブロック206及び208に続く。具体的には、装置がブロック204で包装されたと判定されたら、通信がブロック206で行われて装置の動作状態変化を報告し、方法は、装置が配布されたかどうかの判定が下されるブロック208へと続く。
【0029】
薬物送達システムが包装されたという判定と、薬物送達システムが使用者に配布されたという判定との間で、薬物送達装置は、サプライチェーンの異なる部分を通過してもよい。薬物送達システムが通過し得るサプライチェーンの部分は、薬物送達装置内の薬物、患者もしくは医療専門家であり得る使用者による薬物送達装置に意図される用途、または他の要因(例えば、薬物送達装置自体の構造及び特性)に左右され得る。
【0030】
包装された装置が製造から現れると、真贋性、環境履歴、及び配布全体を通して現在または過去の位置についての情報の最新の知識を維持する関心が存在する。したがって、方法及びシステムが次の動作状態への移行の判定をブロック208で待つ一方で、システムはこの情報をブロック210で監視及び通信してもよい。この状態で情報の収集及び報告を自動化することにより、サプライチェーンパートナーは、改善された情報及びサプライチェーン管理システムを活用することができる。製品識別、有効期限、及び偽造対策等の情報は、物流、倉庫保管、及び税関検査官にとって有用であり得る。この情報は、製造中に併用製品(すなわち、薬物、装置、及び/または生物学的製剤を組み合わせる治療薬ならびに診断薬)について知られているものに追加されるとき、製品輸送または返品及びリコールによる交換等の現場の事象の際、関心のあり権限を与えられた関係者に製品位置に関する注意を促すのに役立ち得る。
【0031】
製造業者と患者または医療提供者への薬物送達システム配布との間で薬物送達システムが取る経路に応じて、薬物送達システムはまた、システムがブロック210で情報を監視及び通信も行い得る薬局も通過してもよい。薬物送達システムが薬局を通過する場合、薬物/投与量/装置、環境履歴、有効期限、偽造対策、及び位置データ等の情報は、末端使用者に送達されたときに、有用な情報を在庫管理及び製品品質の確保の責任者に提供することができる。ラベル及び取扱説明書情報へのアクセスを始動させる信号の組み込みは、送達装置または薬物製品に関する末端使用者の訓練において価値を提供することができ、使用者コミュニティへのアクセスを提供することができ、かつ製品訓練または関連資料の有効性に関する情報の流れを使用者または使用者のネットワークに提供することができる。これらの信号は、製造中に併用製品について知られているものに追加されるとき、製品輸送または返品及びリコールによる交換等の現場の事象の際、製品位置に注意するのに役立ち得る。
【0032】
包装された製品が使用者(例えば、患者または医療提供者)に配布されたという判定がブロック208で下されたら、方法200は、動作状態における変化が通信されるブロック212に続いてもよい。方法200は、ブロック214の薬物送達装置が解梱されたかに関する判定を続けてもよい。薬物送達装置が解梱されたという判定が下されない場合には、方法200は、ブロック216で薬物送達システムを監視し、情報を報告してもよい。薬物送達装置が解梱されたという判定が下された場合には、方法は、動作状態変化の通信をするブロック218に続いてもよい。
【0033】
この動作状態中、環境履歴、使用に関する指示、保管指示、製品真贋性などの情報、または生産された材料のロット、有効期限、薬リマインダー、及び配送の間中の現在の位置もしくは予測される到着に対する任意の関連した現場の警告は、使用者の興味を引く情報を提供する。温度等の環境条件に関する信号を提供するためのセンサの使用は、製品が現在使用に適しているか、すなわち、(ブロック218で発生するレポートを伴い)方法がブロック214からブロック220に進んでもよいか、使用者の理解を助けることができる。これの1つの広範な例は、温度が15C等のある特定の閾値を超えたときの、送達及び報告のための高活動状態、すなわち高エネルギー電力状態への電子装置の「覚醒」である。これは、冷蔵に装置に戻すための、または24時間以内に投与するための(例えば、使用者のネットワーク化された装置を介した)使用者へのメッセージをもたらし得る。同様に、感知された温度は、薬物製品が15C等の事前に設定された閾値未満に下がる場合、電子装置を低活動状態すなわち低エネルギー状態(例えば、「スリープ」状態)に戻し得る。
【0034】
ブロック214で装置が(恐らく使用者によって)解梱されたという判定が下された場合には、方法200は、ブロック218で動作状態変化を報告し、ブロック220の判定に進んでもよい。上で述べたように、方法200がブロック220に進み得る前に、方法は、ブロック214に示されるもの以外の判定を実施することが可能である。
【0035】
ブロック220でのシステムが使用の準備が整ったかどうかの判定において、提示された製品の質を検証することは一般的である。使用者がこの動作を行ってもよい一方で、システムは、この動作を実行するセンサも含んでもよい。例えば、検証には、真贋性を確認するためのラベル情報の検証、破損の徴候または針キャップが配送で外れていないかを確認するための装置の目視検査、色及び透明さに関する薬物製品容器の目視検査が含まれ得る。検証にはまた、装置の環境履歴が、装置を安全に使用することができるようなものであるかどうかの判定も含まれる。そのような判定は、薬物製品または送達装置を損なったかもしれない保管及び配布の間中の環境条件を考慮してもよい。装置内にセンサ(例えば、針キャップの位置もしくは近接センサまたは温度センサ)を含むことにより、これらの検査ステップのうちの多くを自動化することができ、使用者に格段の使用しやすさ、ならびに使用者及び使用者のネットワークにより多くの情報を提供することができる。
【0036】
ブロック220で下された判定によれば、方法200は、使用者が装置を使用する代わりに装置を廃棄するブロック222に進んでもよい。例えば、装置の環境履歴が、装置を安全に使用することができないようなものであると、ブロック220で判定される可能性がある。そのような場合、装置は、装置がブロック222で廃棄されると使用者に示してもよく、この情報をそのような装置の判定を追跡するリモートサーバに通信してもよいか、またはこれを、ネットワーク化可能かもしくはネットワーク化されているローカル装置(モバイル、携帯電話または他のモバイル機器、あるいは持ち運びできるコンピューティングデバイス等)と通信し、かつ情報をリモートサーバに通信してもよい。
【0037】
その一方で、システムが投与の準備が整ったという判定がブロック220で下された場合、方法200は、動作状態における変化の報告を用いてブロック224に進んでもよい。次いで、方法200は、バリアがもはや滅菌状態になく、時期尚早に配置されたか、またはバリアが、装置の滅菌がもはや維持されていないかまたは維持されることをもはや保証できないような、薬物送達装置から時期尚早に除去されたかもしくは分離されたかの判定が下されるブロック226に続いてもよい。その際、バリアは、針キャップ等の滅菌バリア(すなわち、微生物の侵入を防ぎ、使用の時点で製品の滅菌の提示を可能にする最小包装)でもよい。バリアは依然として滅菌状態にあるという判定がブロック226で下された場合には、方法220は、システムの動作状態及び条件状態が監視され、情報がローカルまたは遠隔装置に通信されるブロック228にとどまってもよい。バリアがもはや滅菌状態にないという判定がなされた場合には、方法200は、動作の変化が報告されるブロック230に続いてもよく、方法200は、ブロック232に続いてもよい。
【0038】
ブロック226で下される判定に関して、自動注入装置及び身体上装置が、針または注入ヘッドの滅菌を維持する、投与の直前に除去される構成要素または包装製品を有することは一般的である。時折、外側の保護包装は、薬剤投与の数日前に不適切に除去され廃棄される一方で、通常患者は、滅菌バリアが装置から除去されたとき、挿入及び/または注入まであと数分以下であり得る。この判定はまた、薬物送達装置電子装置が、重要な機能が実施される前に、製造、保管、及び配布の間中、適切な電力を確実にするために余分なコスト及びバルクを必要とすることなく、注入プロセス中に「覚醒している」(例えば、高エネルギー状態にある)ことを確実にする重要な機会も提供する。
【0039】
滅菌バリアを除去すると低エネルギー状態から高エネルギー状態に「覚醒」するように内蔵電子装置(例えば、回路)を始動させることにより、薬物送達装置の内蔵電子装置は、製造、保管、及び配布中の電力消費の大幅な改善をもたらすことができる。ある特定の実施形態によれば、例えば、起動、予備検査の完了、及び投与の試み前の患者/使用者との対話を含む起動順序は、10〜200秒かかり得る(この対話には、装置/薬物が室温に温まるのを待つことが含まれるが、この動作を含めることは、必要な合計時間をさらに増加させ得る)。逆に、使用者は、内蔵電子装置を低エネルギー状態から高エネルギー状態に覚醒させるための身体接触または送達作動を待ってもよいが、これは全ての所望の「スマート」機能の機会を提供しない場合がある。同様に、薬物送達装置の外部からの保護包装の除去等の何かが電子装置を低エネルギー状態から高エネルギー状態に覚醒させるために使用された場合には、装置及び薬物送達システムの最適化を困難にし得るかなりの量の電力が送達の前に利用されるリスクが存在する。
【0040】
一般的に除去の容易さ、人間工学、または自明性を上昇させる機会を提供してきた、滅菌バリアと共に除去される構成要素を設計することが可能である。タブまたは他の電気絶縁特徴をこの構成要素へと設計することにより、この構成要素は、滅菌バリアの除去が電池または他の電源を接続し、電子装置を低エネルギー状態から高エネルギー状態に覚醒させて必要な機能を行うように、内蔵電子装置の電力回路内に挿入され得る。あるいは、バリアの除去により、スイッチが閉鎖し、電源を有する回路が完成し、したがって、低エネルギー状態から高エネルギー状態へとシステムの出力が上がり得る。
【0041】
ブロック232で、薬物送達システムが患者に適用されたかどうかの判定が下される。自動注入装置に関しては、この判定は、自動注入装置が患者の皮膚に接して適所に保持されているかについての判定を伴ってもよい。身体上注入装置に関しては、この判定は、接着剤が身体上注入装置の表面上に露出し、注入装置が患者の皮膚の表面上に配設されたかについての判定を伴ってもよい。方法200のある特定の実施形態によれば、バリアがもはや滅菌状態ではなくなった後に、薬物送達システムが規定の時間以内に適用されなかったという判定がブロック232で下された場合、使用者は、ブロック234で装置を廃棄するように指示されてもよく、この事象はローカル及び/または遠隔装置に通信される。あるいは、ブロック232で装置が患者に提供されたというという判定が下された場合、動作状態変化がブロック236で報告され、方法200はブロック238に進む。
【0042】
いくつかの実施形態において、ブロック232で皮膚適用に関して下された判定は、方法200の残りを通して所定の間隔(例えば、5ミリ秒毎)で繰り返し行われてもよい。したがって、患者への薬剤送達が完了する前に、薬物送達装置が患者の皮膚から時期尚早に除去されたかどうか、また、時期尚早の除去が起こった場合、薬剤送達の開始に対してそれがいつ起こったかを判定することが可能となり得る。こうした情報は、患者の皮膚から薬物送達装置が時期尚早に除去される前に患者に実際に送達された薬剤の量を算出するために使用されてもよい。
【0043】
上記の事例でもそうであったが、薬物送達装置のハウジングと患者の皮膚との間でいつ意図的接触が行われたかは、例えばどのような「スマート」機能が回路によって所望されるかに応じて、内蔵電子装置を低エネルギー状態から高エネルギー状態に「覚醒」させるための有用な機会であり得るため、これを知ることも有用であり得る。あるいは、装置が投与の準備が整ったことを確認するためのいくつかの検査は、使用者に注入の有用性におけるより強い確信を提供するために行われてもよい。
【0044】
さらに、針保護装置を押し下げ製品を起動して患者の代わりに空気中に分配させることによって、多くの市販の注入装置が薬を分配させるようにだまされ得る、意図的に治療に従わないリスクが存在する。特にヒト組織及び適切な注入部位に予測される特性と合致する追加情報が存在する場合、装置が送達期間の間中ずっと身体と接触していたことを知り増分値が存在する。薬物送達の持続時間を伴う既知の身体接触と完了との重なりは、「針が挿入された」状態と類似の状態でさらに説明されるとおり、使用過失の事象において投与しそこねた投与量を推測するために使用することができる。
【0045】
方法200は、カニューレの第2の端が患者内に注入されたか、または挿入されたかをブロック238で判定する。多くの薬物送達装置で、患者の皮膚への薬物送達装置の適用と患者内へのカニューレの注入は同時ではない。例えば、薬物送達装置の様々なアセンブリまたはサブアセンブリが、薬物送達装置が適用されたことを認識し注入装置を起動するために必要な時間のために、適用と注入との間に遅延が存在し得る。あるいは、適用と注入との間の計画的遅延に起因するカニューレへの破損または患者の不快感を防ぐために、薬物の投与が、薬物送達装置の適用後時間遅延の経過した後に起こることが計画されているため、カニューレの注入に計画的遅延が存在し得る。さらに別の代替例で、身体上薬物送達装置中において、誘導針と称される針が、起動して患者内に挿入されたままになり得るカニューレを挿入してもよい。次いで、針は送達装置内に再び後退し、カニューレを置き去りにする。薬剤の実際の注入または導入は、これの直後か、または後の所望の時間に起こることができる。そのため、方法200は、ブロック238でカニューレが挿入されなかったと判定された場合、ブロック240に進んでもよく、システムは、動作状態及び1つ以上の条件状態を監視し、その情報を通信してもよい。
【0046】
身体接触情報と同様、注入情報は、収集された情報におけるより高い確信を達成するために、他のプロセスと組み合わせて使用されてもよい。身体接触情報とは対照的に、標的の投与経路、例えば皮内、皮下、筋肉内、静脈内、眼内、または他の経路への針挿入を正確に測定することにより、薬物製品が正しい解剖学的深さ及び位置に送達されたという直接的な確認を提供することができる。
【0047】
針挿入信号の1つの用途は、針が患者内に挿入された時点の送達ロックアウトの解除であり得る。あるいは、薬物送達の完了が起こり、かつ針が「送達始動」と「送達完了」との間の全期間に挿入されていた場合、非常に高い確信度の投薬成功が得られる。また反対に、事象のタイミングが適切に重ならない場合、システム送達特性に基づいて、成功裏に送達された投与量を予測することが可能であり得る。不完全なまたは不成功に終わった投与量投与が検出され報告されたとき、投与量相違も報告された場合、著しい増分値が存在する。「スマート薬物送達装置」は、異なる治療効果及び毒性リスクプロファイルを有する多くの異なる種類の薬剤のために使用することができる。例えば、一部の薬は、毒性のリスクは低いが、投与を逃したか、または不完全な投与量で合併症の高いリスクが存在する場合、任意の不完全な投与について第2の注入等によって、投薬の緊急の完了が必要であり得る。あるいは、医療提供者は、合併症のリスクが低い場合、逃したか、または不完全であった投与量を知りたいが、代替の予定を決める代わりに次の投与量を待つことを好み得る。重要なことは、逃した投与量が正しく記録され報告された場合、正確な逃した投与量を投与することにより、不完全な投薬に関連した問題を軽減する機会が存在し得、利益を最大化する一方で、ケアのコスト全体を最小化する機会を提供し得ることである。
【0048】
ブロック238で針が挿入されたという判定が下された場合には、方法200は、ブロック242で動作状態変化を通信し、ブロック244で薬物の投与が開始されたか、または始動されたかを判定してもよい。カニューレが挿入されたが、投与をまだ開始していない場合、方法200は、ブロック246にとどまって薬物送達装置の状態を監視し、その情報を通信してもよい。カニューレの挿入と薬物製品の投与との間の遅延は、薬物送達装置のアセンブリまたはサブアセンブリの連続的動作のために起こり得る、すなわち、遅延は、カニューレが患者の皮膚への装置の適用と同時にまたはほぼ同時に患者内に挿入されたが投与はその後少なくとも時間遅延で起こるように計画され得る。
【0049】
送達の始動の成功は、概して、装置がカニューレを挿入し、次いで後に薬剤の注入を開始するようにプログラムされ得るときを除き、投薬の成功をもたらすと考えられる。始動したら、患者は一般的に治療結果をもたらすように意図された行動を行う。送達の始動は、特定の実施形態によれば、身体接触または針挿入単独と比較して、より高いレベルの専念の証拠として見なされ得る。一部の患者は、身体に装置を設置するにより、異なる部位を試して、送達を始動させる前に専念を「感じる」と考えられる。多くの装置は、そのような試みに対して送達を始動させないことを確実にするための機能を含む。したがって、送達の始動は、一般的に患者が処方された治療の投薬に精神的に専念したことを示すことが分かる。送達が始動したことを感知するための「スマート薬物送達装置」の機能の有効化は、遵守の表れとして多くの利害関係者に価値を提供する。他の方法との比較による成功した送達の測定の方向付けとしてではないが、始動信号の検出は、比較的単純な手段を通して達成することができ、より高い価値の価格及び信頼性を提供する。
【0050】
ブロック244で薬物製品の投与が開始されたという判定が下されたら、方法は、装置の動作状態変化がローカル及び/または遠隔装置と通信されるブロック248に進んでもよい。次いで、方法200はブロック250に進み、薬物製品の投与が完了したという判定が下される。薬物製品の投与が完了したという判定が下されるまで、システムは、ブロック252で装置の監視を継続し、情報を通信する。ブロック250で投与が完了したという判定が下されたら、動作状態における変化がブロック254で通信され、方法200はブロック256に進む。
【0051】
投与または送達完了の捕捉は、特に他の装置状態情報と組み合わせて、有用な指標である。装置が他の装置状態を捕捉するための手段を有さない場合、それ自体に価値が存在し、実際に、他の状態を報告することができない場合、多くの利害関係者に十分な価値を提供する。しかしながら、他の装置状態と比較すると、投与送達完了の時間及び日付の捕捉は、薬物が成功裏に送達されたという非常に高いレベルの確信度(または反証)を提供することができる。例えば、投与量完了が、針が依然として挿入されているときに起こった場合、これは、患者または薬剤を投与している介護人が、装置が始動している間か、または始動した後に装置を身体から引き離さなかったことを裏付け、すなわち投与の精度を損なう。一般に入手可能な薬物送達装置は、身体に装置を適用する前の薬物送達を防ぐためにロックアウトしてもよいが、一度装置が身体に適用されると、送達の全時間中に装置を身体に固定したままにする手段が存在しない。ほとんどの場合、送達が始動された後に針が引き離された場合、薬物は送達を継続し、廃物として空気中にこぼれる。時折、薬剤は、特定の成分もしくは送達の速度に起因して痛みを伴い得るか、またはある特定の感覚を引き起こし得、したがって針の挿入後にでさえ、投与量を損なう反射運動を引き起こす。またあるときには、送達装置自体の動作が使用者を驚かせ、同じ反射運動を引き起こし得る。定められた治療に従うことを奨励するために必要な証拠、または治療方針を変更するために必要な証拠を患者に提供するために、使用者または使用者のネットワークが、緩徐な反応と治療に従わないこととの間の違いを理解することが大切であることが知られている。したがって、患者にとって薬物送達装置性能の包括的測定及び報告に驚くべき価値が存在する。
【0052】
以下に開示される実施形態のうちのいくつかは、送達の全体的な進捗を監視するための範囲で拡張されてもよい。例えば、光学センサが、ストッパ材料を検出するように最適化され、完了情報を中継するために使用することができる送達行程の最後に配設された場合、同様に、薬物貯蔵部を通るプランジャーの移動と平行に設置された一連の光学センサは、移動の間中ずっと進捗を監視するために使用されてもよい。
【0053】
ブロック256で、方法200は装置が患者から除去されたかどうかを判定する。ブロック256での判定は、装置がもはや患者の皮膚と接触していないかどうかを判定する皮膚センサに基づいてもよい。他の実施形態によれば、判定は、皮膚からの除去後、薬物送達装置のカニューレの第2の端との接触を防ぐために配置される針シールドまたは他の構造について下されてもよい。さらに他の実施形態によれば、薬物送達装置の除去は、薬物送達装置の配向における変化に基づいてもよい。いずれにしても、薬物送達装置が除去されたと判定されるまで、方法及びシステムは、ブロック258で装置を監視し、ローカル及び/または遠隔装置と情報を通信してもよい。薬物送達装置が除去されたと判定されたとき、方法は、ブロック260でこの動作状態変化を通信し、ブロック262で終了する。
【0054】
装置の処分、及び代替的には収集センターによる使用済み装置の受取は、任意の保存されている情報を問い合わせる、及び/または以前の状態変化の証拠として機能するように受取自体を利用する最後の機会を提供する。以前に収集された任意のデータは、収集点でのダウンロードのために保存されてもよい。さらに、返品が、交換または現場での他の行為の賠償が保証されている状況に関しては、流通及び返品配送を通した薬物送達装置の位置の認識は、有益である。同じ信号は、返品の遠隔承認と組み合わせて、使用者への最小の影響で、返品配送が電子的に承認され、使用者または流通ネットワーク内の適切なパートナーによる支払いを可能にすることができる。
【0055】
本開示の他の実施形態によれば、
図2に関して記載されている様々な動作状態は、任意であると見なされ得ることが理解されるであろう。例えば、ブロック238及び244でカニューレの挿入及び薬物製品の投与開始に関連する判定を下すことは、例えば、装置が適用され、薬物製品投与が完了しているという判定がブロック232及び250で下された場合、必要でないかもしれない。さらに、方法200が、各々の動作状態変化後に動作状態変化の通信を含む一方で、動作状態変化のいずれもシステム内に保存されなくてもよいが、動作状態変化の各々の通信は、ブロック260まで起こり得ない。さらに、薬物送達装置の監視が、方法200がある特定の判定が下されるのを待っている間に起こると示されている一方で(例えば、ブロック208及び210)、この監視は、示される全ての事例で行われる必要はない。
【0056】
さらに、
図2に記載される監視は、単に論じられている様々な動作状態変化の監視にとどまらないものを含み得ることが理解されるであろう。監視は、条件状態変化の監視も含んでもよい。事実、方法及びシステムは、1つ以上のセンサからの情報または信号が方法200に沿った様々な点で下される判定に使用され得る、これらの動作及び/または条件状態変化を行うための1つ以上のセンサを監視してもよい。
【0057】
図3A〜3Cは、薬物送達システムの様々な条件及び/または動作状態を判定し、これらの判定された状態及び/または識別情報に従って薬物送達システムを制御し、かつ/または判定された条件及び/または動作状態情報をモバイル機器110及び/またはサーバ104等のコンピューティングデバイスに通信するために、
図1の薬物送達システム100等の薬物送達システムを操作する方法300を図示している。
図1の流れ図の大まかな再考察から、
図3A〜3Cに従った方法300が、薬物送達システムの一部である薬物送達装置の様々な条件及び/または動作状態の判定と、これらの条件及び/または動作状態ならびに/あるいは識別情報に関連して、またはこれらに関して取られた行動及び行われた通信と、を図示していることが理解されるであろう。方法300が本明細書に記載される行動を含む一方で、本開示に従った薬物送達システムを操作する方法の他の実施形態は、本明細書に記載される行動のうちのいくつかのみを含んでもよいことも理解されたい。
【0058】
まず
図3Aを参照すると、方法300は、包装内の薬物送達装置から開始してもよく、方法は包装が開けられたことが判定されるまでブロック302で待機する。この時点で、装置は、システムが1つ以上の検証、照合、または検査を行い、確実に装置が投与の準備ができ、滅菌バリアが除去され、かつ/または装置が(正しく)適用された(
図2の方法220のブロック220、226、232を参照のこと)ときまで、任意選択的にロックされてもよい。1つ以上の検証、照合、または検査の各々を行う前に、方法300は、検証、照合、または検査を実施するように薬物送達装置が適合されたか、またはプログラムされたかを判定してもよい。例えば、薬物送達装置の滅菌を検査するように薬物送達装置が適合されたか、またはプログラムされたかの判定は、ブロック304で下されてもよく、特に、検証または確認は、カニューレの第2の端に配設された滅菌バリアに関連してもよい。薬物送達装置が、滅菌検査を行うように適合されたか、またはプログラムされた場合、方法300は、滅菌バリアが例えばカニューレの第2の端上またはその周囲に配設されたかどうかが判定されるブロック306に進んでもよい。
【0059】
ブロック306でバリアが定位置にあると判定された場合には、方法は、使用者がバリアを除去するように指示されるブロック308に進んでもよい。次いで、方法300は、バリアが除去されたかどうかをブロック310で判定してもよい。バリアが除去されたと判定されたとき、滅菌タイマーが開始し、滅菌タイマーの期限切れは、薬物送達装置がロック状態にされるか、またはその状態のままになることをもたらし、薬物送達装置の使用を防いでもよい。
【0060】
ブロック306で、バリアが定位置にない(すなわち、バリアが時期尚早に除去された)と判定された場合、方法300は、送達装置がロックされる(例えば、ロックまたはロックアウト装置が作動している)か、または装置が既にロックされていた場合には、送達装置がロック状態のままになる、ブロック312に進んでもよい。ある特定の実施形態によれば、ブロック312の送達装置のロックは、不可逆的でもよい。
図3A〜3Cに示される実施形態を含む他の実施形態によれば、ロックは、ブロック314で薬物製品(例えば薬物製品貯蔵部)または薬剤が交換されたと判定されたら、戻されてもよい。薬物製品または薬剤が交換されない場合か、または薬物製品または薬剤を交換することができない(すなわち、ロックが不可逆的である)実施形態では、不合格の滅菌検査に関する情報は、システムによって通信されてもよい。
【0061】
(i)ブロック304で、システムが装置の滅菌を検証、確認、または検査するように適合するという判定が下されたか、(ii)ブロック306で、バリアが定位置にあり、ブロック310で、続いてバリアが除去されたという判定が下されたか、または(iii)ブロック306で、バリアが定位置にないという判定が下されたが、ブロック314で、薬物製品または薬剤が交換されたという判定が下された場合、方法300は、ブロック316に続く。ブロック316で、薬物送達装置が、目視及び/または環境検査を行い得るかどうかの判定が下される。装置がそのように適合された場合、方法は、目視検査及び/または環境条件が所望の閾値内にあるかどうかの判定を下す、ブロック318に進む。目視検査及び/または環境条件が所望の閾値外であるという判定が下された場合には、方法はブロック312、314に進んでもよい。目視検査及び/または環境条件が、所望の閾値内にあるという判定が下された場合には、方法300はブロック319に進んでもよい。
【0062】
ブロック319で、貯蔵部内に保持された薬剤がその有効期限を過ぎていたかどうかの判定が下される。これは、薬物送達装置に搭載された制御装置を用いて、現在の日付を、薬物送達装置に搭載されたメモリ内に保存されている有効期限情報と比較することが必要であってもよい。現在の日付が薬剤の有効期限以降であると判定された場合、方法はブロック312及び314に進んでもよい。現在の日付が薬剤の有効期限よりも前であると判定された場合、方法はブロック320に進んでもよい。
【0063】
ブロック320で、薬物送達システムが、使用者識別を確認することができるかどうかの判定が下される。薬物送達システムがそのように適合されている場合には、方法300は、ブロック322に続き、使用者識別が薬物送達装置の使用のための権限と適合するかどうかの判定が下される。使用者が、権限を与えられた使用者としてブロック322で識別されない場合には、方法300は、薬物送達装置がロックされるか、またはロックされたままになるブロック324と、未遂の不正の使用に関する情報がローカル及び/または遠隔装置に通信されるブロック326と、に続く。使用者が権限を与えられた使用者として識別された場合には、方法300は、
図3B及びブロック328に進む。
【0064】
ブロック328で、薬物送達システムが薬物製品または薬剤の温度を確認するよう有効化されているかどうかに関するさらなる判定が下される。システムがそのように適合されている場合には、方法300はブロック330に続く。ブロック330で、薬物製品または薬剤の温度が、予測可能な送達の標的範囲内にある(高すぎまたは低すぎのいずれでもない)かどうかの判定が下される。いくつかの実施形態において、このステップは、薬物製品または薬剤の温度が標的温度未満であるか、またはそれを超えるかを判定することが必要であってもよい。ブロック330で温度が予測可能な送達の範囲内にないという判定が下された場合には、方法300は、装置が薬物製品を加熱または冷却して、薬物製品または薬剤の温度を標的範囲内に持っていき得るかどうかの判定が下されるブロック332に続く。システムがそのように適合されていない場合には、方法は、装置がロックされるかまたはロックされたままになり、受動的加熱または冷却が起こることを可能にし得、かつ、例えば薬物送達装置に結合された出力ユニットを介して使用者が通知され得る、ブロック334に進む。任意選択的に、システムはまた、情報ローカル及び/または遠隔装置に通信してもよい。システムが、加熱または冷却を可能にするように有効化された場合には、方法は装置がロックされるかまたはロックされたままになり得、加熱または冷却が開始され得、使用者が通知され得るブロック336に進む。いくつかの実施形態において、薬物送達装置は、薬物製品または薬剤を加熱するために貯蔵部に結合された加熱要素(例えば、導電性コイル)を含んでもよい。受動的または能動的加熱もしくは冷却(ブロック334、336)かに関わらず、方法300は、方法がブロック330に戻る前に、加熱または冷却が起こるための時間を提供するために、送達が遅延されるブロック338に続いてもよい。ある特定の実施形態によれば、方法300は、(例えば過度温度の場合)ブロック330の後に終了してもよく、その情報をローカル及び/または遠隔装置に通信してもよい。
【0065】
方法300の本実施形態は、薬物製品または薬剤の温度が標的温度範囲外にあることに応答して加熱または冷却要素を作動させ得るが、他の実施形態は、薬物送達装置の他の条件及び/もしくは条件状態に応答して加熱または冷却要素を作動させてもよい。例えば、加熱または冷却要素は、例えば、薬物送達装置の送達カニューレの遠位端からの滅菌バリアの除去、または薬物送達装置のハウジングと患者の皮膚もしくは衣服との間の接触、または薬物送達装置を始動させるためのアクチュエータの使用に応答して、作動してもよい。
【0066】
いくつかの実施形態において、ブロック330で行われる温度検査は、過去(例えば、保管、配布、配送中等)に薬物製品が経験した温度の範囲及び持続時間を判定するために、薬物製品の温度履歴の評価を伴ってもよい。薬物製品の温度履歴が、例えば、薬物製品が配送中に数日間高温にさらされたことに起因して許容できない場合、制御装置350は、薬物製品を患者に送達するために使用することができないように薬物送達装置302をロックアウトしてもよく、さらに、薬物製品の温度履歴の非許容性を表すレポートをローカルコンピューティングデバイス304またはリモートコンピューティングデバイス306に送信するように、通信モジュール352を制御してもよい。いくつかの実施形態において、薬物製品の温度が閾値温度を超えたと判定されたら、制御装置は、温度が閾値温度未満に戻るまで実行するタイマーを開始してもよい。タイマーの持続時間が所定の制限時間を超えた場合、制御装置350は、薬物送達装置302をロックアウトし、薬物製品の温度履歴の非許容性を表すレポートを送信するように通信モジュール352を制御してもよい。
【0067】
図3Bに戻ると、ブロック328で、薬物送達装置のハウジングが患者の皮膚または衣服に接して位置付けられていることを判定するように、装置が有効化されているという判定が下される場合。薬物送達装置がそのように適合されている場合、方法はブロック342に進み、薬物送達装置のハウジングが患者の皮膚または衣服に接触しているかどうかの判定が下される。以下により詳細に論じられるように、患者の皮膚または衣服に接触して位置付けられると閉電気回路を形成するセンサを使用して、患者の皮膚または衣服との接触を判定してもよい。薬物送達装置のハウジングが患者の皮膚または衣服と接触していないと判定された場合、方法はブロック344に進み、薬物送達装置がロックされ得、使用者は、患者の皮膚または衣服に対して薬物送達装置を押し付けるように(例えば、薬物送達装置に結合された出力ユニットを介して)指示され得る。次いで、方法300は、患者の皮膚または衣服との接点が存在するかどうかに関するさらなる判定のために方法300がブロック342に戻る前に、使用者が薬物送達装置を再配置するための時間遅延が提供されるブロック346に進んでもよい。あるいは、薬物送達装置のハウジングが患者の皮膚または衣服と接触していると判定された場合、方法はブロック350に進んでもよい。
【0068】
ブロック350で、装置が患者上に適切に位置付けられているか、または患者に対して適切に配向されているかを判定するために装置が有効化されているかどうかの判定が下される。装置がそのように適合された場合には、方法はブロック352に進み、装置が適切に配設または配向されたかどうかの判定が下される。その際、好適な挿入部位に応じて、装置の配向の知識は、好結果の注入の提供において、有用であり得る。例えば、腹部への自己投与は、恐らくおおよそ水平の自動注入装置軸の配向をもたらす。
【0069】
装置が適切に配設されていない場合には、方法はブロック354に進み、装置がロックされ得、使用者は装置を再配置または再配向するように指示される。次いで、方法300は、方法300が装置の位置に関するさらなる判定のためにブロック352に戻る前に、使用者が装置を再配置するための時間遅延が提供されるブロック356に進んでもよい。あるいは、装置が適切に配設されている場合には、方法はブロック358に進んでもよく、それまでに作動していた可能性があるあらゆるロックまたはロックアウトが解除される。
【0070】
方法300は、送達が始動されたかどうかを判定するためにシステムが有効化されたかどうかの判定が下されるブロック360にとどまる。システムがそのように適合されたという判定が下された場合には、方法はブロック362に進み、装置が起動したか、または始動されたかの判定が下される。ブロック362で装置が始動されなかったという判定が下された場合には、方法300はブロック364に進んでもよく、システムは、使用者に装置を始動させるように指示してもよい。他の実施形態によれば、薬物送達装置は、時間遅延が完了したら自動的に装置を始動させる前に所定の及び/または事前にプログラムされた時間遅延が起こるのを待ってもよい。さらに他の実施形態によれば、方法300は、例えば汚染及び感染のリスクを低減させるためにブロック365でタイマーが経過したかどうか任意選択的に判定してもよい。そのような実施形態によれば、タイマーは、ブロック310でバリアが適切に除去されたという判定に基づいて開始されてもよく(またはさらなる実施形態によればバリアが除去されたという判定に基づいて開始されてもよく)、方法300がその事象からある特定の時間内に装置が始動されたと判定しない場合、方法300は、例えば
図3B及び3Aに示されるようにブロック312に戻ってもよい。ブロック360で始動が起こったと判定された場合には、方法は使用者に装置の始動を通知してもよい、ならびに/または送達の日付、時間、及び位置が保存されるか、もしくは記録されてもよいブロック366に進む。任意選択的に、この情報もまた、システムと通信しているローカル及び/または遠隔装置に通信されてもよい。次いで、方法300は
図3Cに続く。
【0071】
システムが、装置が本体上に適切に位置付けられたままになっているか、または本体に対して適切に配向されたままになっているかを判定するように有効化されているかどうかのさらなる判定が、ブロック368で下されてもよい。システムがそのように適合されている場合には、方法300はブロック370に続き、装置が身体上に適切に位置付けられているか、または身体に対して適切に配向されているかどうかの判定が下される。装置が適切に位置付けられていないか、または配向されていない場合には、方法300は、患者の身体上の装置の位置または配向が判定されるブロック370に戻る前に、使用者が装置を再配置または再配向するように(例えば、薬物送達装置に結合された出力ユニットによって)通知されるブロック372と、使用者が装置を再配置または再配向するために時間遅延が提供されるブロック364と、に続いてもよい。装置が適切に位置付けられているかまたは配向されている場合、方法300は、ブロック376に進んでもよい。任意選択的に、方法300は、装置が薬物製品を投与している時間中、装置が正しく位置付けられたままになっているかを確実にするために、定期的にブロック370を反復してもよい。
【0072】
ブロック376で、システムが、投与が完了したかどうかを判定するように有効化されているかどうかの判定が下される。システムがそのように適合されている場合には、方法300はブロック378に続き、送達が完了したかどうかの判定が下される。ブロック378で送達が完了していないという判定が下された場合には、送達を完了することができるかどうかのさらなる判定がブロック380で下される。送達が完了していないが完了され得る場合には、方法300は、装置が薬物製品の投与を継続することを許容されるブロック382を介してブロック378に戻る。送達が完了しておらず、かつ完了することができない(例えば、装置が患者の皮膚から除去されている)場合には、方法300はブロック384に続き、薬物及び薬物送達に関する情報が、ローカル及び/または遠隔装置に通信されてもよい。例えば、ある特定の動作状態(カニューレが挿入された、送達を開始した、送達が部分的に完了した)が起こったかどうか、動作状態のタイミング、及び投与された薬物製品の量に関する情報が通信されてもよい。
【0073】
ブロック378で送達が完了したという判定が下された場合には、方法は、送達が完了したことをシステムが(例えば、薬物送達装置に結合された出力ユニットを介して)使用者に通知する、ブロック386に進む。さらに、方法300は、ブロック388で薬物送達、薬物送達装置、及び薬物製品に関する情報ローカル及び/または遠隔装置に通信する。例えば、情報には、ある特定の動作状態が起こったこと及び動作状態のタイミングが含まれ得る。方法300はまた、システムが、装置が終始正しく位置付けられていたことの判定を下すように有効化されている場合、これも検証してもよい。方法300はまた、システムが、薬物製品の投与が完了したかどうかを判定するように有効化されておらず、薬物送達装置が、送達が完了したという結論に必然的に導く先行する動作状態のうちの1つ以上を通過したと判定されたという仮定を立てられた場合、ブロック388に進んでもよい。
【0074】
方法300は、薬物送達装置の貯蔵部内に含まれる薬剤の投与を防止または許可するために、薬物送達装置の様々な条件及び/または動作状態に応じて、薬物送達装置をロックまたはロック解除することを含む、薬物送達装置の様々な態様を制御することを伴う。方法300により提供されるロックするステップは、例えば、ロックが作動すると針シールドの動きを防ぐように構成されたロック、ロックが作動するとプランジャーの動きを防ぐように構成されたロック、及び/またはロックが作動するとアクチュエータの動きを防ぐように構成されたロックを含む、1つ以上のロックによって実施され得る。方法300に記載されるロック制御を実施することができるロックの例は、例えば
図16及び17に関連して以下により詳細に記載される。さらに、方法300により提供される能動的加熱ステップは、例えば
図16及び17に関して以下により詳細に記載されるように、薬物送達装置に結合され、かつ貯蔵部内に含まれる薬剤の温度を上昇させるように構成された、1つ以上の加熱要素によって達成されてもよい。さらに、使用者に関連情報を通知することを伴う方法300の態様は、例えば
図16及び17との関連で以下により詳細に記載されるように、薬物送達装置に結合された出力ユニットを介して達成されてもよい。
【0075】
重ねて、上記の説明が、装置の一連の状態及びこれらの状態に依存し得る代替の動作を含む方法に関連する一方で、装置は
図3A〜3Cに示される各々及び全ての状態を判定するかまたは各々及び全ての動作を行う必要はないことに留意されたい。むしろ、当業者は、説明された状態のサブセットに基づいて薬物送達装置を制御し得るか、またはそれを通信し得るシステムをもたらすように、ある特定の状態の判定またはある特定の動作の実行を省略もしくは除外してもよいことが理解されるであろう。
【0076】
さらに、上記の説明は、1つ以上の内蔵センサの使用によって判定された薬物送達装置の1つ以上の条件及び/または動作状態に大部分で基づいて薬物送達装置が制御される方法に関連するが、薬物送達装置は、センサによって収集された情報に基づいて制御される必要は必ずしもなく、例えば、患者の識別(例えば、患者名、年齢、身長、体重、パスワード、指紋、生体情報、社会保障番号、人口統計データ、患者サブグループ等)、薬物送達装置の識別(例えば、薬物送達装置の通し番号、薬物送達装置に用いられる放出機構の種類、薬物送達装置の製造日等)、及び/または薬物送達装置の貯蔵部内に保持される薬剤の識別(例えば、薬剤の有効期限、薬剤の種類、薬剤の名称等)を表す識別情報に基づいて制御されてもよい。識別情報は、薬物送達装置に搭載されたメモリデバイス内に保存されてもよい。いくつかの実施形態において、薬物送達装置は、患者が識別情報(例えば、患者のパスワード)を入力することを可能にする入力ユニットを含んでもよく、この識別情報は、正しく入力された場合、不正な薬剤投与を防ぐために、薬物送達装置に用いられるロックを解除することができる。そのようなロックの例は、
図16及び17に関連して以下により詳細に記載される。
【0077】
まず
図4を見ると、薬物送達システムが、発光ダイオード、表示装置、スピーカー、または他の装置等の出力装置の使用により患者または使用者に指示を提供し、通信リンク(例えば、112または116)上でコンピューティングデバイス(例えば、モバイル機器110またはコンピューティングデバイス114)と通信してレポートをそのコンピューティングデバイスに送信するように適合またはプログラムされた方法500が例示されている。方法500は装置の滅菌状態が損なわれていないかどうかという単一の問題に焦点を合わせている。方法500は、針キャップの形態のバリアが、患者内に挿入されることが意図されるカニューレの第2の端上に配設されているかどうかに基づいて、装置の滅菌状態が維持されているかどうかを判定する。
【0078】
方法500は、ブロック502で針キャップが定位置にあるかどうかの判定を下すことにより開始する。この判定は、針キャップが針の端上に適切に配設されたとき、信号がスイッチまたは自動注入装置の構造体に隣接する他の近接センサから方法500を実施するように適合またはプログラムされた制御装置によって受信されたかどうかに関して下されてもよい。ブロック502で針キャップが定位置にあるという判定が下された場合には、方法500はブロック504に続き、使用者は、例えば患者または薬物送達装置の使用者に可視な1つ以上の発光ダイオードを照らすことによって針キャップを取り除くように指示されてもよい。制御装置はまた、ブロック504で(少なくとも片方向通信が可能であり、双方向通信が可能であり得る(すなわち、送受信機であり得る))送信器に、装置の滅菌状態が損なわれていないという事実を表すレポートを送信器と通信している1つ以上のコンピューティングデバイスに送信させてもよい。例えば、送信器は、例えばBluetoothまたは類似のプロトコルを使用し得る近距離送信器でもよい。
【0079】
方法500は、患者または使用者が針キャップを除去するように指示された後に、制御装置が、針キャップが除去されたかどうかを判定するブロック506にとどまってもよい。例えば、制御装置は、異なる信号をスイッチまたは他の近接センサから受信したとき(またはそれらから信号を受信しなかったとき)、針キャップが除去されたことを判定してもよい。制御装置が、針キャップが除去されたと判定したとき、方法は、制御装置が送信器に装置の滅菌状態が確認された後に針キャップが除去されたという事実を表すレポートを送信させるブロック508に続く。
【0080】
図4に示されるとおり、ブロック502で制御装置が、バリアが定位置にない、例えば、プロセスの開始時に針キャップが針の端の周囲に配設されていないと判定した場合、方法500は、異なる1組の動作を含む。そのような判定がブロック502で下された場合には、方法500は、制御装置が薬物送達装置をロックし、患者または使用者に製品容器を交換するように指示し、送信器に装置の滅菌状態が損なわれているという事実を表すレポートを送信させるブロック510にとどまる。ブロック504で行われた動作と同様に、制御装置は、発光ダイオードを照らすことによって患者または使用者に製品を交換するように指示してもよい。制御装置は、患者に薬物を投与するのに必要な1つ以上の他のアセンブリの動作を防ぐことにより、製品をロックしてもよく、例えば、制御装置は針が患者内に挿入されることを防いでもよい。次いで、制御装置は、ブロック512で製品が交換されたという判定が下されるまで待機する。制御装置は、容器に近接したスイッチが、容器が交換された場合にのみ行う状態変更を行ったかどうかに応じて、製品が交換されたことを判定してもよい。制御装置が、製品が交換されたと判定したとき、方法500はブロック514に続き、制御装置は、送信器に最初は装置の滅菌状態が損なわれていたが、製品が交換されたという事実を表すレポートを薬物送達システムと通信している1つ以上のコンピューティングデバイスに送信させる。
【0081】
方法500を実施するように適合またはプログラムされた制御装置を有する薬物送達システムによって実施される
図4の方法500とは対照的に、
図5及び6の方法520、540は、薬物送達システム及び関連したコンピューティングデバイスによって実施され、この薬物送達システムは方法520を実施するように適合またはプログラムされ、このコンピューティングデバイスは方法540を実施するように適合またはプログラムされる。方法520、540が、コンピューティングデバイスと既に関連付けられている出力装置または周辺機器を活用するために、患者または使用者との対話事象をモバイル機器110の形態でもよいコンピューティングデバイスに移すことにより、薬物送達システムによって必要とされるハードウェアの量を制限してもよいことが理解されるであろう。
【0082】
図5の方法520は、バリアが依然として滅菌状態にあるかどうか、すなわち、針キャップが針の端上に配設されているかどうかを薬物送達システムの一部である制御装置が判定するブロック522から開始する。針キャップが最初に定位置にあるという判定が下された場合、ブロック524で制御装置が、送信器に針キャップが針の端上に配設されているという事実を表すレポートをコンピューティングデバイスに送信させる。
【0083】
図6の方法540は、ブロック542で薬物送達装置からのレポートの受信により開始する。コンピューティングデバイスが、レポートが受信され、受信されたレポートが、針キャップが最初に定位置にあるという事実を表すと判定した場合、方法540はコンピューティングデバイスが関連した表示装置を制御して、針キャップが除去されるべきであると使用者または患者にメッセージを表示するブロック544に進む。本開示の一実施形態によれば、コンピューティングデバイスがスマートフォン等の手持ち式モバイル機器である場合、メッセージは、針キャップを除去するための指示を表す文字、絵、またはこれらの組み合わせを含んでもよい画像の形態で、モバイル機器と関連付けられた表示装置上に表示されてもよい。次いで、方法540は、コンピューティングデバイスが、薬物送達システムからの針キャップが除去されたという事実を表すレポートの受信を待つブロック546に進む。
【0084】
図5に戻ると、方法520は、針キャップが初めに除去されていないという最初の判定が下された後に、針キャップが除去されたかどうかを薬物送達装置と関連付けられた制御装置が判定するブロック526にとどまる。制御装置は、ブロック524のレポートの完了送信でこの判定を開始し、したがって判定はコンピューティングデバイスを介して針キャップを除去するという指示を患者または使用者が受信することに左右されないが、ある特定の実施形態によれば、ブロック526の針キャップが除去されたかどうかの制御装置の判定は、針キャップが除去されるべきであるというコンピューティングデバイスからのメッセージを使用者が最初に受信することに応じて下され得る。制御装置が、針キャップが除去されたと判定したとき、方法520は、針キャップが除去されたという事実を表すレポートがコンピューティングデバイスに送信されるブロック528にとどまる。
【0085】
図6に戻ると、ブロック546で針キャップが除去されたというレポートがコンピューティングデバイスによって受信されたと判定されたら、方法540は、薬物送達システムが使用の準備が整ったという事実を表すレポートが、例えばネットワーク118を介して
図1のモバイル機器110によって
図1のサーバ104に送信されるブロック548にとどまってもよい。他の実施形態によれば、レポートはより具体的な、例えば、初めはバリアが依然として滅菌状態にあり、針キャップが続いて除去されたという事実を表してもよい。
【0086】
代替例において、薬物送達システムの制御装置は、ブロック522でバリアが最初に定位置にないことを判定してもよい。その場合、ブロック530で制御装置は、薬物送達装置をロックし、送信器にバリアが最初に定位置になかったという事実を表すレポートをコンピューティングデバイスに送信させてもよい。次いで、薬物送達システムの制御装置は、ブロック532で製品が交換されたかどうかを判定してもよい。
【0087】
その一方で、コンピューティングデバイスは、ブロック542で、バリアが最初に定位置になかったという事実を表すレポートを受信し、方法540は、装置が関連した表示装置を制御して製品が交換されたというメッセージを使用者または患者に表示するブロック550に続く。上で論じられた本開示の実施形態に従って、コンピューティングデバイスが手持ち式モバイル機器である場合、メッセージは、交換製品の指示を表す文字、絵、またはこれらの組み合わせを含んでもよい画像の形態で、モバイル機器と関連付けられた表示装置上に表示されてもよい。次いで、方法540は、コンピューティングデバイスが、薬物製品が交換されたという事実を表すレポートが薬物送達システムから受信されたかどうかを判定するブロック552にとどまる。
【0088】
再び
図5に移ると、製品が交換されたという判定がブロック532で下されると、制御装置は、ブロック534で送信器に製品が交換されたという事実を表すレポートを送信させてもよい。
図6のブロック552でコンピューティングデバイスが、レポートが受信されたと判定したとき、方法540は、例えば、薬物送達装置の使用の準備が整ったという事実を表すレポートがサーバ104に送信されるブロック548に続く。
【0089】
それに関する限りでは、条件状態情報、動作状態情報、または他の情報に関する判定が、薬物送達装置と同じハウジングに収容されている制御装置またはコンピューティングデバイスによって下されることは、本開示の必要条件ではない。事実、薬物送達装置の特定の状態に関する判定を下す制御装置は、薬物送達装置から取外し可能なハウジング内に配設されてもよい。例えば、再度、針キャップが針の端上に配設されているかどうかに基づいて滅菌バリアが依然として滅菌状態にあるかどうかを判定する実施形態を参照して、スイッチまたは他の近接センサなどの、針キャップ内に配設され、センサに結合された、針キャップが針の端から除去されときに判定する制御装置に関する方法560が
図7に提供されている。
【0090】
方法500を論じる前に、針キャップ600と、針キャップ600が一緒に使用される自動注入装置602の実施形態の部分と、を含む
図8の図を論じることは参考になり得る。自動注入装置602の構造の大部分は、針キャップ600の構造及び動作の考察を容易にするために省略されていることが理解されるであろう。自動注入装置602は、例えば、カニューレ患者内に挿入し、カニューレを通して貯蔵部から薬物もしくは薬剤を患者内に無理やり押し入れてもよい他の構造、サブアセンブリ、及び/またはアセンブリを含んでもよい。この点については、下記の
図12に示される自動注入装置の実施形態を参照する。
【0091】
図8に示される自動注入装置602の単純化された説明によれば、自動注入装置は、注射器の形状の貯蔵部604を含む。したがって、貯蔵部604は、カニューレ610が配設されかつ固定される(または杭で支えられる)ハブ608を有する実質的に円筒状の壁606によって画定される。カニューレ610は、貯蔵部604の内部614と流体連通している第1の端612と、患者内に挿入されることが意図される第2の端616と、を有する。貯蔵部604はまた、貯蔵部604からカニューレ610を通って患者内に流体を無理やり押し込むために貯蔵部604に沿って動くプランジャー618も含んでもよい。自動注入装置602はまた、針キャップ600の構造と協働する構造体620も含んでもよく、この構造体620は、カニューレ610の周囲に配設される。構造体620は、例えば、(
図12の実施形態に関連してより詳細に説明される)針シールド、または自動注入装置602のハウジングの一部分でもよい。
【0092】
針キャップ600は、貯蔵部604のハブ608が受容される環状カラー(またはハブ)622を含む。カラー622は、一端でハブ608の周囲に密接に嵌合し、カニューレ610の第2の端616をカラー622の内部空間624内に受容する。カラー622は、カニューレ610の第2の端616の周囲に配設されるとも説明されてもよい。カラー622は、電源628及び制御装置/通信モジュールアセンブリ630が配設される(ハウジングの形態でもよい)本体626に取り付けられる。電源628及びモジュールアセンブリ630は、図示されるとおり第1の接点及び第2の接点634、636を含むスイッチ632の使用により結合されてもよい。接点634、636が互いに隣接するとき、モジュールアセンブリ630は、電源6268に結合される。
【0093】
具体的には、
図8に示されるとおり、第1の接点634は、カニューレ610の第2の端616の周囲に配設された針キャップ600を有する針シールド620に隣接し、したがってこの第1の状態において、第2の接点636の端638に隣接しない。針キャップ600が除去されたとき(第2の状態)、第1の接点634は、第2の接点636の方向に自由に動き、第2の接点636の端638に隣接することができる。接点634、636が互いに隣接している状態で、回路が閉鎖し、モジュール630は電源628に結合される。
【0094】
図7の方法560によれば、モジュール630の制御装置は、ブロック562で、スイッチまたはセンサ632から受信した(または受信しなかった)信号に基づいて、針キャップ602が針610の端616上に配設されていると判定してもよい。センサは、この実施形態に関して極めて単純でもよく、通常針シールドまたはハウジング620の反対側上に配設されているか、さもなければ針シールドまたはハウジング(
図8を参照のこと)によって離間されているが、針キャップ602が除去されたとき、(針シールドまたはハウジング620がもはや接点634、636の間に配設されないように、またはもはやこれらが互いに接触することを妨げないように)接続されるかまたは結合される一対の接点634、636を含んでもよい。事実、そのような実施形態によれば、センサ632及びモジュールアセンブリ630の制御装置は、同じ構造でもよい。モジュール630が、針キャップ602が除去されたと判定したとき、モジュールアセンブリ630は、ブロック564で針キャップ602が除去されたという事実を表すレポートを送信するように、関連した送信器を制御する。重ねて、接点634、636がセンサ632である実施形態によれば、接点634、636の接続または結合は、送信器630及び電源628(例えば、電池)を含む回路を閉鎖してもよく、これは、送信器630に必要なレポートを送信させる。
【0095】
図9及び10は、
図7のものと類似した方法を示し、その中で各々の方法は、薬物送達装置の単一の条件または動作状態の判定に焦点が合わせられ、条件または動作状態が起こったとき、レポートを送信する。この点について、方法570は、アクチュエータ(例えば、ボタン)が押し下げられたかどうかを判定することにより薬物送達装置が始動されたかどうかの判定に焦点を合わせ、方法580は、薬物送達装置の一部分である針シールドが配置されたかどうか(これは薬物送達が完了し薬物送達装置が患者の皮膚から除去された後に針シールドの配置が通常起こる)の判定に焦点を合わせている。また
図9の実施形態と同様に、
図9及び10の実施形態は、動作状態が判定されると、送信器及び電源を含む回路を閉鎖するスイッチまたは一対の接点の形態のセンサの使用により実施されてもよい。
【0096】
したがって、
図9によれば、方法570は、ボタンが押し下げられない限り通常スイッチと接触しない薬物送達装置の一部分と接触しているスイッチに従ってスイッチ状態が変化したかどうかに従って、アクチュエータが押し下げられたかどうかを制御装置/スイッチが判定するブロック572から開始する(例えば、
図12のスイッチ766を参照のこと)。例えば、スイッチは、アクチュエータが薬物送達装置のハウジングに対して動いたとき、スイッチが薬物送達装置の状態を変化させる薬物送達装置の構造体と接触するようにアクチュエータ(例えば、ボタン)に取り付けられ、アクチュエータを引き継いでもよい。これが起こるとき、方法570はブロック574にとどまり、制御装置/スイッチが、送信器に薬物送達装置が送信器と電源(例えば、電池、コンデンサ、または誘導電源)との間の回路を閉鎖することによって始動されたという事実を表すレポートを送信させる。薬物送達装置の始動は、薬剤の貯蔵部からの押し出しをもたらすための貯蔵部と関連付けられた駆動部の起動と一致してもよいが、駆動部の起動は、薬物送達装置の始動と一致している必要はない。
【0097】
同様の様式で、
図10によれば、方法580は、制御装置/一対の接点が、一対の接点が一緒に接続されたかまたは結合されたかどうかに従って針シールドが配置されたかどうかを判定するブロック582から開始する。
図11A及び11Bに示されるとおり、方法580を実施するための薬物送達装置システムの実施形態は、患者内に挿入される端654を有する針の形態のカニューレ652を有する注射器の形態の貯蔵部650(
図11Aを参照のこと)と、針シールド656が配置されると一対の接点660、662に接続する導電性パッド658を含む針シールド656と、を含んでもよく、代替的には、一対の接点のうちの一方は、薬物送達装置のハウジング上に配設されてもよく、一対の接点のうちの他方は、針シールドが薬物送達装置のハウジングに対して動いたとき、接点が接続または結合されるように、針シールド上に配設されてもよい。これが起こったとき、方法580はブロック584にとどまり、電源664及び制御装置及び送信器モジュールアセンブリ668を含む回路が閉鎖し、モジュール668の送信器に(ほとんどの状況下で)薬物送達が完了したという事実を表すレポートを送信させる。
【0098】
一代替実施形態によれば、
図11A及び11Bの構造を使用して、導電性パッド658に対する接点660、662の再配置は、
図11A及び11Bのシステムが、カニューレ652が患者内に挿入されたことを判定するために針シールド656がカニューレ652の端654に対して動かされたかどうかを判定することを可能にする。導電性パッド658に接点660、662間の回路を閉鎖させるページの下部に向かう針シールド656の移動よりもむしろ、ページの上部に向かう針シールド656の移動は、導電性パッド658に接点660、662、間の回路を閉鎖させ、これがモジュールアセンブリ668に針が挿入されたという事実を表すレポートを送信させる。さらなる代替実施形態として、2セットの接点が含まれてもよく、これらのセットは互いに針シールド656の移動の方向に離間され、ページの上部に最も近い接点のセットは、患者内への端654の挿入を示す、針シールド656がカニューレ652の端654に対して動かされたかどうかを判定するために使用され、ページの下部に最も近い接点のセットは、患者への送達の完了を示す、針シールドがカニューレ652の端654の周囲に配設されたかどうかを判定するために使用される。
【0099】
上で論じられた方法は、様々な異なる薬物送達システムによって実施されてもよい。
図12及び13〜15は、そのようなシステムの2つの例を図示し、
図12の実施形態は、自動注入装置の形態の薬物送達装置を含む薬物送達システムを含み、
図13〜15の実施形態は、身体上注入装置または注入器の形態の薬物送達装置を含む薬物送達システムを含む。
【0100】
まず
図12の薬物送達装置を参照すると、自動注入装置700は、患者内にカニューレを挿入するかまたはカニューレの挿入を可能にし、貯蔵部からカニューレを通して患者内に薬物もしくは薬剤を注入するアセンブリまたは構造体が配設されてもよいハウジング710を含む。ある特定の実施形態によれば、カニューレ患者内に挿入する同じアセンブリまたは構造体はまた、貯蔵部から薬物または薬剤がカニューレを通って患者内へ流れることも可能にしてもよい。自動注入装置700はまた、カニューレを貯蔵部に接続するか、カニューレをハウジング710内に引っ込めるか、もしくはカニューレが患者から除去されたら、カニューレとの接触を妨げる他の構造体を配置するアセンブリまたは構造体も含んでもよい。さらなる追加のアセンブリ及び構造もまた、可能である。したがって、以下で論じられる自動注入装置700の特定の実施形態は、例のためであり、制限のためではない。例えば、自動注入装置700は患者内へカニューレ(例えば、針)を挿入するアセンブリまたは構造体が欠如していてもよく、患者内へのカニューレの挿入は、カニューレが自動注入装置700のハウジングに対して実質的に固定され、自動注入装置700が患者の方向に動かされることから生じてもよい。
【0101】
薬物送達システム700は貯蔵部712と、貯蔵部712に接続されるか、またはそれに流体連通で接続可能でもよい第1の端716、及び患者内に挿入されてもよい第2の端718を有するカニューレ714と、を含む。カニューレ714は、例えば、貯蔵部712内の薬物の皮下注入を送達するためにカニューレ714の第2の端718が皮膚の下で受容されるようにサイズ判定されてもよい斜角の縁を有する剛性針でもよい。カニューレ714の第1の端716は、貯蔵部712の壁720を通って配設されてもよく、したがって貯蔵部712に流体連通で接続されてもよい。図示されるとおり、カニューレ714の第1の端716は、カニューレ714の第2の端718が患者内に挿入されるまでカニューレ714の第1の端が流体連通で接続され得ないように、壁720(この壁720は、例えば、再封止可能な隔膜またはストッパでもよい)を部分的に貫通して配設されてもよい。そのような状況において、カニューレ714の第1の端716は、このように貯蔵部712と流体連通している接続可能なものと説明され得るが、カニューレ714の第1の端716が貯蔵部712に流体連通で接続可能であり得るが接続されていない他の機構も存在することが理解されるであろう。
【0102】
薬物送達装置700は、少なくとも注入が完了した後、カニューレ714の第2の端718へのアクセスを制限するために配置されてもよいシールド722を含む。ある特定の実施形態によれば、シールド722は、シールド722が皮膚に接して配設され、カニューレ714の注入が作動されたときを除き、シールド722の遠位端726がカニューレ714の第2の端718を超えて延在するように、ハウジング710からシールド722を引き伸ばす付勢要素724(ばね等)を有してもよい。事実、自動注入装置700のある特定の実施形態によれば、カニューレ714の注入は、患者の皮膚上またはそれに接してシールドの遠位端726を配設することにより作動されてもよい。自動注入装置700はまた、薬物の送達後、カニューレ714が患者の皮膚から除去された後に、シールド722の遠位端726がハウジング710から十分な距離だけ伸びてカニューレ714の第2の端718との接触を制限するかまたは妨げるように、シールド722と関連付けられ、かつ自動注入装置700のハウジング710に対してシールド722の移動を制限するロック728も含んでもよい。
【0103】
薬物送達装置700はまた、カニューレ714の第2の端718を患者の皮膚内に挿入し、貯蔵部712からの薬物または薬剤を、カニューレ714を通して患者内に注入するために使用されてもよい少なくとも1つの駆動部730も含む。ある特定の実施形態によれば、駆動部730は、1つ以上のばねを含んでもよい。他の実施形態によれば、駆動部730は、貯蔵部712に加えてそこから薬物を押し出すことができる原動力を流出したガスまたは相変化物質が提供するように、相変化が起こる加圧ガス源または物質源を含んでもよい。さらに他の実施形態によれば、駆動部730は、電気機械的システムを含んでもよく、例えば、原動機を含んでもよいが、そのような電気機械的システムは、以下にさらに詳述される身体上自動注入装置または注入器により適切であり得る。駆動部730の他の実施形態も理解されるであろう。
【0104】
駆動部730は、貯蔵部722の壁732と協働して、この壁732を患者の皮膚に向かって動かしてもよい。そのような実施形態によれば、壁732は、穴734内に受容され、穴734に沿って第1の端から第2の端に動き、貯蔵部712から薬物を注入し得るストッパでもよい。駆動部730はまた、カニューレ714の第2の端718をハウジング710に対して、かつ患者内に動かすために、ストッパ732及び/または穴734と協働してハウジング710に対して貯蔵部712を動かしてもよい。駆動部730がストッパ732と協働する実施形態によれば、これは、カニューレ714の第1の端716が貯蔵部712と流体連通する前に起こってもよい。駆動部が穴734と協働する実施形態によれば、駆動部は、穴734と協働してハウジング710に対して貯蔵部712及びカニューレ714を動かす1つの構成要素(例えば、第1のばね)と、ストッパ732と協働して穴734に対してストッパ732を動かす第2の構成要素(例えば、第2のばね)と、を含んでもよい。
【0105】
駆動部730は、アクチュエータ740と関連付けられる。アクチュエータ740は、駆動部を起動して、駆動部730にカニューレ714を挿入させ貯蔵部712からカニューレ714を通して患者内に薬物注入させる。ある特定の実施形態によれば、アクチュエータ740は、シールド722でもよい。他の実施形態、例えば図示される実施形態によれば、アクチュエータ740は、自動注入装置700が患者の皮膚上に、またはそれに接して配設されたら、使用者によって押し下げられ得るボタンでもよい。
図12に示される実施形態が、装置の一端に配設されたアクチュエータ740を有する一方で、アクチュエータ740は、装置の側部上にも配設され得る。
【0106】
図示されるとおり、貯蔵部712、付勢要素724、ロック728、及び駆動部730は、ハウジング710内に、カニューレ714の少なくとも一部と一緒に配設される。また、ハウジング710内に配設されているのは、制御装置750、通信モジュール752、及び少なくとも1つのセンサまたはスイッチである。図示される実施形態によれば、4つのセンサ、すなわち、温度センサ760、(針キャップ(図示せず)の存在、または針シールド722の位置を判定するための)近接センサ762、及び2つの配向センサ764が含まれる。さらに、スイッチ766もまた、ボタン740が押し下げられたかどうかを判定するために提供される。制御装置750は、通信モジュール752、センサ760、762、764、及びスイッチ766に結合される。制御装置750、通信モジュール752、センサ760、762、764、及びスイッチ766のうちの1つ以上は、単一のモジュールとして一緒に実装されるか、または各々の構成要素は、別々に製造され、これらの構成要素がハウジング710内に配設されたら結合されてもよい。ある特定の実施形態によれば、各々の構成要素は、構成要素と関連付けられた装置702の構造と一体化されてもよく(例えば、センサ762、764はシールド722と一体化されてもよく)、
図12のセンサの位置は、単なる例示である。
【0107】
制御装置750は、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを含んでもよい。制御装置750はまた、電源、例えば電池を含むかまたはそれに結合されてもよい。プロセッサは、制御装置が行うように適合された動作を実施するようにプログラムされてもよく、メモリは、それ上に保存された実行可能な命令を有する1つ以上の読み取り可能非一時的有形メモリを含んでもよく、この命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、少なくとも1つのプロセッサに制御装置750が行うように適合された動作を実施させてもよい。あるいは、制御装置は、制御装置が行うように適合されている動作を実施する他の回路を含んでもよい。
【0108】
通信モジュール752は、モバイル機器110及び/またはコンピューティングデバイス114(
図1を参照のこと)と通信するために使用される複数の異なる通信モジュールのいずれかでもよい。一実施形態によれば、通信モジュール752は、制御装置750と一緒に搭載されたBluetooth/Bluetooth低エネルギーモジュールでもよい。通信モジュール752は、自動注入装置700からモバイル機器110またはコンピューティングデバイス114に情報を送信するために使用される。あるいは、他のプロトコルが、無線自動識別装置、Zigbee、Wi−Fi、近距離無線通信等の通信モジュール752によって使用されてもよい。
【0109】
温度センサ760、近接センサ762、配向センサ764、及びスイッチ766の存在を考慮すると、制御装置750は、必要に応じて好適な出力装置の提供を伴って、
図3A〜3Cに示される方法300、ならびに
図4〜6、9、及び10に示される方法の大部分を実施するように適合またはプログラムされてもよい。
【0110】
図12に示される薬物送達システム300のカニューレ714が、貯蔵部712に対して固定されている、したがって貯蔵部712と常時流体連通している一方で、他の実施形態は、例えば、カニューレ714が貯蔵部712に対して移動可能である等、異なって配置されてもよい。
図12Aは、
図12の薬物送達システム700内に実装することができ、カニューレ714の第2の端718が患者内に挿入されたとき、カニューレ714の第1の端716が貯蔵部712と流体連通するように動き、カニューレ714の第2の端718が患者から除去されたとき、貯蔵部712との流体連通でなくなることを可能にするカニューレサブアセンブリ780を図示している。この機能性を達成するために、カニューレサブアセンブリ780は、カニューレ714に固定されたばね座782と、ばね座782と貯蔵部714の遠位端との間に位置付けられたばね784と、を含む。ばね座782は、患者の皮膚に押し付けられるように構成された遠位端表面786と、ばね784と接触している近位端表面788と、を有してもよい。
図12Aに示されるとおり、近位端表面788は、ばね784の遠位端を受容し、ばね784がばね座782から外れることを防ぐためのガイドチャンネルまたは溝790を含んでもよい。患者への薬剤の送達の前に、ばね784は、
図12Aに見られるとおり、圧縮されていない自然の状態でもよく、これは、貯蔵部712から離すようにばね座782を付勢する。したがって、カニューレ714の第1の端716は、貯蔵部712から離間され、ばね784が圧縮されていないとき、貯蔵部712と流体連通していない。薬物送達システム700が患者に薬剤を送達するために使用されるとき、患者の皮膚がばね座782の遠位端表面786を押圧し、これによりばね784を圧縮し、カニューレ714の第1の端716が隔膜720を貫通し、貯蔵部712の内部に入るまでカニューレ714を遠位方向に動かす。この構成において、カニューレ714が貯蔵部712内の薬剤を患者に送達することができるように、カニューレ714と貯蔵部712との間に流体連通が確立される。薬物送達システム700が患者の身体から除去されたとき、ばね784は広がり、
図12Aに示されるその自然な圧縮されていない状態に戻る。結果として、ばね784は、貯蔵部712からばね座786を遠ざけカニューレ714の第1の端716は、貯蔵部712から除去される。したがって、カニューレ714の第1の端716は、貯蔵部712と流体連通でなくなる。カニューレサブアセンブリ780の1つの利点は、薬剤送達中の患者の皮膚からの薬物送達装置700の時期尚早な除去が薬剤の無駄な放出をもたらす可能性が低いことである。これは、患者の皮膚からの薬物送達システム700の時期尚早な除去が、カニューレ714を貯蔵部712と流体連通でなくなるように自動的にさせるからである。
【0111】
図13は、薬物送達システム800を図示している。システム800は、装着可能な使い捨て式システムでもよい。システム800は、例えば接着剤で患者または装着者に取り付けられ得る使い捨て式ハウジング802を含んでもよい。
【0112】
使い捨て式ハウジング802は、プラスチック材料から作られていてもよい。
図14に見られるとおり、ハウジング802は、装着者の皮膚に接して適用されるプレート804と、好ましくは、プレート804の外周縁808とドーム806の外周縁810との間の接触面で封止体によってプレート804に取り付けられたドーム806と、の2つの区域によって画定されてもよい。
【0113】
図14に示されるとおり、ハウジング802は、内部空間814を画定する内部表面812及び外部表面816を有する。具体的には、プレート804は、内部表面818及び外部表面820を有し、ドーム806は、内部表面822及び外部表面824を有する。図示される実施例によれば、ハウジング802の内部表面812が、プレート804及びドーム806の内部表面818、822によって画定される一方で、ハウジング802の外部表面816は、プレート804及びドーム806の外部表面820、824によって画定される。
【0114】
上で述べたように、ハウジング802は、装着者の皮膚に取り付けられてもよい。具体的には、接着剤が使用されてもよい。接着剤は、単回の適用中にハウジングを皮膚解除可能に固定するように適合されてもよい。
図15に示されるとおり、接着剤は、ハウジング802の外部表面816の部分828上、具体的にはプレート804の外部表面820上の層826内に配設される。接着剤は、ハウジング802装着者の皮膚に適用する前に着脱可能な使い捨て式シート830で覆われる。
【0115】
図14及び15に見られるとおり、貯蔵部840、駆動部842、カニューレ(または構造体、以下を参照のこと)844、及びインサータ846は、ハウジング802内に配設される。図示される実施形態によれば、貯蔵部840は、少なくとも一部分において、第1の端864にポート862を有する剛性壁のシリンダまたは穴860と、貯蔵部840からポート862(
図13)を通って薬物を無理やり押し出すために第2の端870と第1の端864との間をシリンダ860の長手方向軸868に沿って動くように嵌合されたプランジャー866と、の組み合わせによって画定されてもよい。プランジャー866の移動は、駆動部842の動作によってもたらされてもよい。
【0116】
駆動部842は、米国特許第6,656,158号、同第6,656,159号、同第7,128,727号、及び同第7,144,384号に見出すことができるように、シリンダに沿ってプランジャーを動かすための機構に類似した構造及び動作でもよく、これらの特許は、全ての目的のために本明細書に参照により組み込まれる。駆動部842は、プランジャーアーム、原動機、変速機、及び電源(例えば、電池)を含んでもよい。プランジャーアームは、少なくとも第1の端でプランジャー866と接触してシリンダ860に沿ってプランジャー866を促してもよく、変速機は、プランジャーアーム及び原動機に結合され、原動機の動作に従ってプランジャーアームを動かしてもよい。電源は、原動機の電力源を提供する。原動機、変速機、及び電源の組み合わせは、アクチュエータの一例とも称され得る。他の機構、例えば、ばね、加圧ガス、相変化を起こす物質等もまた、プランジャーに力を加えてシリンダに沿ってプランジャーを動かすために使用されてもよい。
【0117】
他の変異形によれば、
図14に示される剛性壁のシリンダ860及びプランジャー866の代わりに、非剛性折り畳み式パウチを使ってもよい。貯蔵部860が非剛性折り畳み式パウチの形態である場合、ばねに基づいた機械的システムが貯蔵部を圧縮及び加圧するために使用されてもよいことが理解されるであろう。さらなる変異形によれば、機械的ではないシステムが、プランジャー866を動かすかまたは袋を圧縮するために使用されてもよい。例えば、成分が合わせられる場合にガスが発生させられるまで成分を別々に離しておく二成分システムを含むガス発生システムが使用されてもよい。さらなる代替手段として、装置内部の水源からの水の導入が、ゲルの寸法増大をもたらしてプランジャーを動かすか、またはパウチを圧縮させる膨潤性ゲルが使用されてもよい。さらなる例として、推進剤貯蔵部が開き、推進剤が放出されてプランジャー866を動かすか、またはバッグを圧縮してもよい。そのような代替機構の実施例は、米国特許第5,957,895号、同第5,858,001号、及び同第5,814,020号に見出すことができ、これらの特許は、全ての目的のために本明細書に参照により組み込まれる。
【0118】
ある特定の実施形態によれば、貯蔵部840は、事前に充填されたカートリッジまたは事前に充填された注射器等の事前に充填された容器でもよい。あるいは、送達システム800は、貯蔵部840と流体連通している、注射器(例えば、
図13に示される注射器)のルアーの先端を受容するように適合された注入口880を含んでもよいが、例えばゴム隔膜が代わりに使用されてもよい。使用において、医療提供者が注射器から注入口880を通して貯蔵部840内へ薬物を注入してもよく、注射器は、事前に充填された(上述の物質のうちのいずれかで充填された)注射器として送達システム800を用いてキットとして医療提供者に提供されてもよい。
【0119】
カニューレ844は、尖端890(事実上、カニューレ844全体)がハウジング802内に引き戻され得る格納された状態と、尖端890がハウジング802から突き出た配置された状態と、を有してもよく、インサータ846が針844を格納された状態から配置された状態に動かす。例となるインサータの実施例は、米国特許第7,128,727号及び同第7,144,384号に見出すことができ、これらの特許は、全ての目的のために本明細書に参照により組み込まれる。
【0120】
カニューレ844は、空洞でもよく、薬物患者に直接投与するために使用されてもよい。あるいは、構造体844は、カニューレ892と共に使用されてもよく、構造体844は、注入部位を通って患者内にカニューレ892を挿入するために使用され、投与の間、薬物が患者内へとカテーテル892を通過する。若干異なって表現すると、ある特定の実施形態の例によれば、システム800は、軟質カニューレを皮下組織内に自動的に挿入してもよい。
【0121】
図14に示されるとおり、ハウジング802(具体的にはプレート804)は、その中に形成される開孔部または開口部894を有してもよく、これは、カニューレ(または構造体)844(及び任意選択的にカニューレ892)がそこを通過することを可能にする。ある特定の実施形態によれば、開孔部894は、遮るものがなくてもよく、その結果、開口部894を通るカニューレ844(及びカテーテル892)の動きに対して障害または妨害が存在しない。しかしながら、カニューレ844の滅菌及び装置の容器閉塞性完全性(CCI)をより良好に保つために、隔膜が、開孔部894内か、またはそれ上に配設されてもよい。
【0122】
ゴムで作製され得る隔膜は、針844が格納された状態にある状態で、カニューレ844(及び空間814)と患者の皮膚との間に配設されてもよい。配置された状態で、針844(すなわち、尖端890)の少なくとも一部分は、隔膜を通って空間814から垂下する。そのため、隔膜は、常に内部空間814と外部環境との間のバリアとして存在する。
【0123】
システム800はまた、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを含み得る制御装置900も含んでもよく、プロセッサは、制御装置が行うように適合された動作を実施するようにプログラムされ、メモリは、それ上に保存された実行可能な命令を有する1つ以上の読み取り可能非一時的有形メモリを含み、これらの指示は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、少なくとも1つのプロセッサに制御装置が行うように適合された動作を実施させてもよい。あるいは、制御装置は、制御装置が行うように適合された動作を実施する他の回路を含んでもよい。例として、かつ制限としてではなく、制御装置900は、薬物送達システムに関する上述の方法のうちのいずれか1つを実施するように適合されてもよい。
【0124】
制御装置900に加えて、システム800は、通信モジュール902及び少なくとも1つのセンサまたはスイッチを含んでもよい。通信モジュール902は、モバイル機器110及び/またはコンピューティングデバイス114(
図1を参照のこと)と通信するために使用される複数の異なる通信モジュールのいずれかでもよい。一実施形態によれば、通信モジュール902は、制御装置900に結合されたBluetooth/Bluetooth低エネルギーモジュールでもよい。通信モジュール902は、システム800からモバイル機器110またはコンピューティングデバイス114に情報を通信するために使用される。あるいは、他のプロトコルが、無線自動識別装置、Zigbee、Wi−Fi、近距離無線通信等の通信モジュール752によって使用されてもよい。図示される実施形態に従って、システム800はまた、制御装置900の基盤に取り付けられた温度センサ904も含み、したがって
図2及び3A〜3Cに記載される方法の少なくとも一部を実施することができる。
【0125】
薬物送達システム800は、貯蔵部840とカニューレ844との間の流路に沿って位置付けられたバルブ920をさらに含んでもよい。バルブ920は、貯蔵部840とカニューレ844との間の流体連通を確立するため、または貯蔵部840とカニューレ844との間の流体連通を妨げるために、それぞれ選択的に開放したり閉鎖したりしてよい。バルブ920は、制御装置900に結合され、例えば制御装置900によるセンサデータの分析に基づいて、制御装置900により開放または閉鎖されてよい。いくつかの実施形態において、バルブ920は、電気信号で開放または閉鎖され得るソレノイドバルブであってもよい。上述のロックアウトステップのうちのいずれも、貯蔵部840からの薬剤の放出を防ぐためにバルブ920を閉鎖するための、制御装置900制御装置の使用が必要であってもよい。
【0126】
考えられるセンサまたは感知システムのほんのわずかの数が上で述べられている一方で、これらのセンサまたは感知システムを使用して判定され得る条件または動作状態に基づいて分類されたさらなる実施例が、以下に提供される。
【0128】
温度は、色または色の変化を感知することができる光学センサと組み合わせて使用される、熱エネルギーを受けると色が変化する感温紙を使用して判定されてもよい。温度はまた、例えば、薬物貯蔵部との接点を用いて、装置の外部の熱電対を使用して判定されてもよく、直列の抵抗器にわたる電圧は、貯蔵部温度または周囲温度が装置のものよりも低いかどうか、及びどれくらい低いかを判定するために使用される。温度と共に形状が変化するニチノール等の材料を特徴とする可逆的回路が、使用されてもよく、温度閾値を超える度に形状の変化が回路を閉鎖し、これにより累積タイマーを起動し、累積時間は、温度が閾値温度を超えた合計時間が、所定の閾値期間未満であることを確実にするために使用される。形状変化材料は、例えば光学装置を使用して読まれ得る即応性指標を示すために、フラグまたはシールドを作動させるためにも使用されてもよい。
【0129】
光暴露はまた、色または色の変化を感知することができる光学装置と組み合わせて使用される、光への暴露で色が変化する感光紙を使用して判定されてもよい。あるいは、分圧器回路と関連する光抵抗器が、光の存在を感知するために使用されてもよい。
【0130】
薬物送達システム(及び装置)の配向は、加速度計または磁力計を使用することにより判定されてもよい。さらに、薬物送達システムは、モバイル機器110等のコンピューティングデバイスとの双方向通信を使用してモバイル機器110から配向情報を得、これにより薬物送達装置の配向を推測してもよい。実際、薬物送達システムは、モバイル機器110の配向が薬物送達装置の配向に対応するという推測の強さを向上させるために、モバイル機器110に接続されてもよい。
【0131】
製品の色及び/または濁度は、一組の光学送信器/受信器等の光学装置を使用して測定されてもよく、この一組の光学送信器/受信器は、貯蔵部の同じ側上か、または貯蔵部の反対側上に配設されてもよい。薬物貯蔵部に関して光学装置を使用して得られた測定値は、基準測定値と比較されてもよい。事実、基準器は、光学装置が貯蔵部内の薬物及び基準器を光学的に検査するために使用され得るように、薬物装置内に薬物貯蔵部に隣接して提供されてもよく、その結果、例えば、貯蔵部内の薬物製品に関して得られた測定値と見本に関して得られた測定値との間の比較を行うことができる。あるいは、貯蔵部を通って伝導された光線の受容におけるあらゆる欠落部は、製品内の微粒子状物質の存在のために特定の角度で偏向された光線の受容(または受容の失敗)であり得るため、濁った製品または色の変化が起こった製品を示し得る。あるいは、CCDアレイを使用して貯蔵部内の製品の写真を撮ってもよく、この写真は、色及び/または濁度を判定するために分析され、この分析は、システムによって、またはローカル装置もしくは遠隔装置によって行われてもよい(この場合、写真は分析のためにローカルまたは遠隔装置に送信されてもよい)。
【0132】
地理的位置は、全地球測位衛星送受信機を使用して判定されてもよい。さらに、薬物送達システムは、モバイル機器110等のコンピューティングデバイスとの双方向通信を使用してモバイル機器110から地理的位置情報を得、薬物送達装置の位置を推測してもよい。実際、薬物送達システムは、モバイル機器110の位置が薬物送達装置の位置に対応するという推測の強さを向上させるために、モバイル機器110に接続されてもよい。
【0133】
時間的情報は、製造時に開始するタイマーを使用して得られてもよく、有効期限が校正されていてもよい。あるいは、製造年月日が符号化された無線自動識別装置タグが、包装内に、または装置と一緒に含まれてもよく、投与前にシステムによって問い合わせが行われてもよい。
【0135】
包装は、ファラデー箱として使用されてもよく、薬物送達システムは、装置が解梱されたという動作状態を判定するために、包装の除去の結果として信号または増加した受信信号との干渉を検出する回路を含んでもよい。
【0136】
様々なセンサが、患者への適用の動作状態を判定するために使用されてもよい。例えば、コイルを通る針シールド上の可動磁石からの逆起電力は、装置が患者に適用されたことを示し得る。あるいは、患者への薬物送達装置の適用に起因する構成要素またはアセンブリ(例えば針シールド)の変位が、スイッチ/回路を開放するかまたは閉鎖してこの動作状態を信号で送信してもよい。同様のラインに沿って、構成要素またはアセンブリの動きが、患者に薬物送達装置が適用されると送信器と受信器との間の光線が針シールドまたは貯蔵部(例えば、注射器またはカートリッジ)等の構成要素の位置における変化によって遮断されることにより、光学センサを使用して検出されてもよい。さらなる代替手段として、容量式センサまたは抵抗センサが使用されてもよく、圧力センサが使用されてもよい。実際、カニューレ(または針)挿入に関する情報は、外部接触に対して針及び/または皮膚を通した抵抗を測定することにより判定されてもよい。患者の皮膚に隣接することが意図される薬物送達装置の端の温度における変化もまた、患者への適用の動作状態を判定するために使用されてもよい。
【0137】
針シールドに関連付けられた同様の1組のセンサが、薬物送達が完了した際に、いつ針シールドが配置され、定位置にロックされたかを判定するために使用されてもよい。
【0138】
(針シールドの代わりに)アクチュエータまたはボタンに関連付けられた同様の1組のセンサが、いつアクチュエータまたはボタンが押し下げられて薬物の送達を始動させたかを判定するために使用されてもよい。
【0139】
加速度計を、使用して、操作されているアクチュエータまたは動かされている針シールドの衝撃インパルスを感知して、装置を始動し、薬物送達を開始し、薬物送達を完了する、動作状態のうちの1つを判定してもよい。圧力センサが、貯蔵部内に装着されて、薬物送達が開始されると起こる貯蔵部における圧力の上昇を検出し、それにより、薬物送達開始の動作状態を判定するために使用されてもよい。さらなる代替手段として、マイクまたは音声センサを使用して、構成要素からの機械的ノイズが装置の起動を示すかどうかを判定してもよい。さらなる代替例として、歪みセンサが、駆動機構とプランジャーとの間の、力を受けて曲がる薄いカラム上に装着されて薬物装置始動の動作状態を感知してもよい。事実、ある特定の実施形態によれば、歪みセンサは、送達が始動されたという事実を「残しておく」ために、単回使用に限定されてもよく(すなわち、センサが曲げを受けて働かなくなるか、または恒久的に変形する)、したがって高い頻度での信号監視の必要を排除してもよい。
【0141】
図16及び17は、上述の方法のうちの1つ以上に従って操作され得る薬物送達システムの追加の実施形態を図示している。本薬物送達システムは、動作状態情報(例えば、薬剤送達が完了しているかどうか)、条件情報(例えば、温度)、及び識別情報(例えば、薬剤の名称)を含む、薬物送達装置に関する異なる種類の情報を感知または判定することができる。こうした情報に基づいて、本薬物送達システムは、薬物送達装置の1つ以上の制御可能要素(例えば、ロック、加熱要素、覚醒回路、出力ユニット等)の動作を制御し得る。
【0142】
以下に記載されるセンサ及び制御可能要素が、自動注入装置で使用するように構成されている一方で、センサ及び制御可能要素のうちの1つ以上は、身体上注入装置と一緒に使用するように構成されてもよい。さらに、以下のセンサ及び制御可能要素の任意の組み合わせが、単一の自動注入装置もしくは単一の身体上注入装置、または任意の他の薬物送達装置内に実装されてもよい。さらに、以下のセンサ及び/または制御可能要素のうちの1つ以上は、
図1〜15に関して記載されているセンサ及び制御可能要素のうちの1つ以上と組み合わせて使用されてもよい。
【0143】
図16は、薬物送達装置1002を含む薬物送達システム1000の実施形態を図示している。薬物送達装置1002は、自動注入装置の形態でもよく、したがって手持ち使用及び患者の皮膚に接する適用のために適合される。薬物送達装置1002は、送達カニューレを患者内に導入し、貯蔵部1012から送達カニューレを通って患者内に薬物または薬剤を押し出すアセンブリまたは構造体が配設されたハウジング1010を含む。ある特定の実施形態によれば、送達カニューレを患者内に導入する同じアセンブリまたは構造体はまた、薬物または薬剤を貯蔵部から送達カニューレを通して患者内に押し出してもよい。薬物送達装置1002はまた、送達カニューレを貯蔵部に接続するか、ハウジング1010の開口部(図示せず)を通して送達カニューレをハウジング1010内に引っ込めるか、もしくは送達カニューレが患者から除去されたら、送達カニューレとの接触を妨げる他の構造体を配置する、アセンブリまたは構造体も含んでもよい。さらに追加のアセンブリ及び構造体も可能である。したがって、以下で論じられる薬物送達装置1002の特定の実施形態は、例のためであり、制限のためではない。
【0144】
したがって、薬物送達装置1002は、貯蔵部1012と、貯蔵部1012に接続されるか、またはそれに流体連通で接続可能でもよい第1の端1016(例えば、近位端)、及び患者内に挿入されてもよい第2の端1018(例えば、遠位端)を有する送達カニューレ1014と、を含む。送達カニューレ1014は、例えば、貯蔵部1012内の薬剤の皮下注入を送達するために針1014の第2の端1018が皮膚の下で受容されるようにサイズ決定されてもよい斜角の縁を有する剛性針でもよい。針1014の第1の端1016は、貯蔵部1012の壁1020を通って配設されてもよく、したがって貯蔵部1012に流体連通で接続されてもよい。あるいは、針1014の第1の端1016は、針1014の第2の端1018が患者内に挿入されるまで針1014の第1の端が流体連通で接続され得ないように、壁1020(この壁1020は、例えば、転売可能な隔膜またはストッパでもよい)を部分的にだけ通って配設されてもよい。そのような状況において、針1014の第1の端1016は、このように貯蔵部1012と流体連通で接続可能なものと説明され得るが、針1014の第1の端1016が貯蔵部1012に流体連通で接続可能であり得るが接続されていない他の機構も存在することが理解されるであろう。
【0145】
薬物送達装置1002は、少なくとも注入が完了した後、針1014の第2の端1018へのアクセスを制限するために配置されてもよいシールド1022(例えば、針シールド)を含む。ある特定の実施形態によれば、シールド1022は、シールド1022が皮膚に接して配設され、針1014の挿入が作動されたときを除き、シールド1022の遠位端1026が針1014の第2の端1018を超えて延在するように、ハウジング1010からシールド1022を引き伸ばす付勢要素1024(例えば、ばね)を有してもよい。事実、薬物送達装置1002のある特定の実施形態によれば、針1014の挿入は、患者の皮膚上またはそれに接してシールド1022の遠位端1026を配設することにより作動されてもよい。
【0146】
薬物送達装置1002はまた、シールド1022に結合され、かつ、例えば、針1014が患者の皮膚から除去または分離された後に、針1014の第2の端1018との接触を制限するかまたは妨げるのに十分な距離分、シールド1022の遠位端1026がハウジング1010から引き伸びるように、薬物送達装置1002のハウジング1010に対するシールド1022の動きを制限するかまたは防ぐように構成された、ロック1028(例えば、歯止め)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ロック1028は、制御装置(例えば、以下により詳細に記載される制御装置1050)に結合されてもよく、この制御装置は、上述の方法のうちの1つ以上に従って、動作状態情報、条件情報、及び/または識別情報といった薬物送達装置1002に関する異なる種類の情報に基づいて、ロック1028を選択的に作動または解除させることができる。ロック1028が制御装置1050により作動されると、ロック1028は、ハウジング1010に対する針シールド1022の動きを制限するかまたは防ぐように構成されてもよい。ロック1028が制御装置1050により解除されると、ロック1028は、ハウジング1010に対する針シールド1022の動きを許可するように構成されてもよい。
【0147】
薬物送達装置1002はまた、針1014の第2の端1018を患者の皮膚内に挿入し、貯蔵部1012から薬物または薬剤を、送達カニューレ1014を通して患者内に注入するために使用されてもよい少なくとも1つの駆動部1030も含む。ある特定の実施形態によれば、駆動部1030は、1つ以上のばねを含んでもよい。他の実施形態によれば、駆動部1030は、貯蔵部1012に加えられてそこから薬物を押し出すことができる原動力を流出したガスまたは相変化物質が提供するように、相変化が起こる加圧ガス源または物質源を含んでもよい。さらに他の実施形態によれば、駆動部1030は、電気機械的システムを含んでもよく、例えば、原動機を含んでもよいが、そのような電気機械的システムは、上述の身体上自動注入装置または注入器により適切であり得る。駆動部1030の他の実施形態もまた、可能である。
【0148】
一実施形態では、駆動部1030は、貯蔵部1012内に配設されたプランジャー1031及び/またはストッパ1032(例えば、壁)に結合されて、このストッパ1032を送達カニューレ1014に向かって遠位方向に動かしてもよい。そのような実施形態によれば、ストッパ1032は、プランジャー1031の遠位端に固定され、かつ穴1034内に受容されるストッパでもよい。プランジャー1031は、駆動部1030と共に、薬物送達装置1002の長手方向軸に沿って、穴1034を通って穴1034の近位端から穴1034の遠位端にストッパ1032を動かし、それにより薬剤を貯蔵部1012から押し出してもよい。
【0149】
いくつかの実施形態において、駆動部1030はまた、針1014の第2の端1018をハウジング1010に対して、かつ患者内に動かすために、ストッパ1032及び/または穴1034と協働してハウジング1010に対して貯蔵部1012を動かしてもよい。駆動部1030がストッパ1032と協働する実施形態によれば、これは、針1014の第1の端1016が貯蔵部1012と流体連通する前に起こってもよい。駆動部が穴1034と協働する実施形態に従って、駆動部は、穴1034と協働してハウジング1010に対して貯蔵部1012及び針1014を動かす1つの構成要素(例えば、第1のばね)と、ストッパ1032と協働して穴1034に対してストッパ1032を動かす第2の構成要素(例えば、第2のばね)と、を含んでもよい。
【0150】
薬物送達装置1002はまた、プランジャー1031に結合され、かつ、ストッパ1032が薬剤を貯蔵部1012から患者に放出するように前進することができないように、薬物送達装置1002のハウジング1010に対するプランジャー1031の動きを制限または防ぐように構成された、ロック1035を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ロック1035は、制御装置(例えば、以下により詳細に記載される制御装置1050)に結合されてもよく、この制御装置は、上述の方法のうちの1つ以上に従って、動作状態情報、条件情報、及び/または識別情報といった薬物送達装置1002に関する異なる種類の情報に基づいて、ロック1035を選択的に作動または解除させることができる。ロック1035が制御装置1050により作動されると、ロック1035は、ハウジング1010に対するプランジャー1031の動きを制限するかまたは防ぐように構成されてもよい。ロック1035が制御装置1050により解除されると、ロック1028は、ハウジング1010に対するプランジャー1031の動きを許可するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ロック1035は、プランジャー1031の長手方向に沿って配置された1つ以上の歯または切り込み(
図16には示されていない)に選択的に係合可能なピン部材(
図16には示されていない)を含んでもよい。ピン部材は、制御装置1050により制御される原動機によって、1つ以上の歯または切り込みに係合するように、かつ/または脱係合するように動かされてもよい。駆動部1030は、アクチュエータ1040と関連付けられてもよい。アクチュエータ1040は、駆動部1030を起動して、駆動部1030に針1014を挿入させ貯蔵部1012から針1014を通して患者内に薬物注入させてもよい。ある特定の実施形態によれば、アクチュエータ1040は、上で説明されているように、針シールド1022でもよい。他の実施形態、例えば
図16に示される実施形態によれば、アクチュエータ1040は、薬物送達装置1002が患者の皮膚上に、またはそれに接して配設されて配置されたら、使用者または患者によって手動で押し下げられ得るボタンでもよい。ロック1041は、アクチュエータ1040に結合されてもよく、かつ、アクチュエータ1040が駆動部1030を起動するために使用され得ないように、アクチュエータ1040の動きを制限するかまたは防ぐように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ロック1041は、制御装置(例えば、以下により詳細に記載される制御装置1050)に結合されてもよく、この制御装置は、上述の方法のうちの1つ以上に従って、動作状態情報、条件情報、及び/または識別情報といった薬物送達装置1002に関する異なる種類の情報に基づいて、ロック1041を選択的に作動または解除させることができる。ロック1041が制御装置1050により作動されると、ロック1041は、ハウジング1010に対するアクチュエータ1040の動きを制限するかまたは防ぐように構成されてもよい。ロック1041が制御装置1050により解除されると、ロック1041は、ハウジング1010に対するアクチュエータ1040の動きを許可するように構成されてもよい。代替実施形態において、ロック1041は、必ずしもアクチュエータ1040の動きを防ぐことなく、アクチュエータ1040が薬物送達装置1002を始動させることを防ぐように構成されてもよい。そのような代替実施形態において、ロック1041は、ロック1040を制御装置1050に接続する電気回路を選択的に開放または閉鎖させるように構成された電気スイッチであってもよい。あるいは、ロック1041は、メモリ1072内に保存されたソフトウェアモジュールであってもよく、このモジュールは、制御装置1050により実行されると、アクチュエータ1040からの始動信号が、薬剤を患者に送達するために薬物送達装置1002を起動することを防ぐ。
【0151】
薬物送達装置1002はまた、ハウジング1010の遠位端、針シールド1022、及び送達カニューレ1014の第2の端1018のうちの1つ以上の周囲に配設された、着脱可能な滅菌バリア1044を含んでもよい。着脱可能な滅菌バリア1044は、
図16に示されるように、ハウジング1010の遠位端に着脱可能に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態において、着脱可能な滅菌バリア1044は、ハウジング1010の遠位端と干渉またはスナップフィットを形成してもよい。干渉またはスナップフィットと関連した摩擦力には、ハウジング1010から離れる方向に着脱可能な滅菌バリア1044を手動で引っ張ることにより打ち勝つことができる。着脱可能な滅菌バリア1044は、薬物送達装置1002に取り付けられると、送達カニューレ1014及び薬物送達装置1002内に配設される他の要素が汚染されるリスクを低減し得る。
【0152】
さらに、薬物送達装置1002は、貯蔵部1012の外部に結合され、かつ、例えば伝導加熱によって貯蔵部1012内の薬剤を加温するように構成された、加熱要素1046を含んでもよい。加熱要素1046は、制御装置1050が、上述の方法のうちの1つ以上に従って、動作状態情報、条件情報、及び/または識別情報といった薬物送達装置1002に関する異なる種類の情報に基づいて、加熱要素1046を選択的に作動または解除させ得るように、制御装置1050に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、加熱要素1046は、貯蔵部1012の外部周囲に巻かれる導電性コイルを含み得る。あるいは、または加えて、冷却要素(図示せず)が、貯蔵部1012に結合され、加熱要素1046と同様の方式で、制御装置1050により制御可能であってもよい。
【0153】
薬物送達装置1002はまた、ハウジング1010に結合され、かつ、薬物送達装置1002に関連する情報を患者または使用者に通知するように構成された、出力ユニット1047を含んでもよい。出力ユニット1047は、制御装置1050が、上述の方法のうちの1つ以上に従って、動作状態情報、条件情報、及び/または識別情報といった薬物送達装置1002に関する異なる種類の情報に基づいて、出力ユニット1047を選択的に作動または解除させ得るように、制御装置1050に結合されてもよい。出力ユニット1047は、他の装置の中でもとりわけ、表示装置(例えば、液晶表示装置)、タッチスクリーン、光(例えば、発光ダイオード)、振動器(例えば、電気機械的振動要素)、スピーカー、及び/または警報器といった、患者または使用者に情報を伝えるのに好適な任意の装置であってよい。
【0154】
薬物送達装置1002はまた、ハウジング1010に結合され、かつ、制御装置1050によって使用される情報(例えば、パスワード情報)を使用者または患者が入力することを可能にするように構成された、入力ユニット1048を含んでもよい。いくつかの実施形態において、入力ユニット1048、出力ユニット1047、及びさらには指紋センサ1065は、タッチスクリーン等の単一の装置であってよい。他の実施形態において、入力ユニット1048は、キーボードまたはボタン等の出力ユニット1047から分離した装置であってもよい。
【0155】
図16に示されるとおり、貯蔵部1012、付勢要素1024、ロック1028、1035、1041、プランジャー1031、ストッパ1032、及び駆動部1030、ならびに加熱要素1046は、ハウジング1010内に、送達カニューレ1014の少なくとも一部と一緒に配設される。また、ハウジング1010内に配設されているのは、制御装置1050、通信モジュール1052(例えば、無線送信器)、及び少なくとも1つのセンサまたはスイッチである。
図16に示される実施形態によれば、4つのセンサ、温度センサ1060、皮膚センサ1062、少なくとも1つの配向センサ1064、及び指紋センサ1065が含まれる。さらに、スイッチ1066も提供される。制御装置1050は、通信モジュール1052、ロック1028、1035、1041、センサ1060、1062、1064、1065、加熱要素1046、指紋センサ1065、出力ユニット104、入力ユニット1048、及びスイッチ1066に結合される。制御装置1050、通信モジュール1052、センサ1060、1062、1064、1065、及びスイッチ1066のうちの1つ以上は、単一のモジュールとして一緒に実装されてもよいか、または各々の構成要素は、別々に製造され、これらの構成要素がハウジング1010内に配設されたら結合されてもよい。ある特定の実施形態によれば、各々の電気的構成要素は、その電気的構成要素と関連付けられた装置1002の構造と一体化されてもよい(例えば、センサ1062及び1064は、シールド1022と一体化されてもよい)。いくつかの実施形態において、制御装置1050、通信モジュール1052、センサ1060、1062、1064、1065、及び/またはスイッチ1066のうちの1つ以上は、着脱可能な滅菌バリア1044内に一緒に実装されてもよい。
【0156】
制御装置1050は、少なくとも1つのプロセッサ1070(例えば、マイクロプロセッサ)及びメモリ1072を含んでもよい。制御装置1050はまた、電源、例えば、電池を含んでもよいかまたはそれに結合されてもよい。プロセッサ1070は、制御装置1050が行うように適合された動作を実施するようにプログラムされてもよく、メモリ1072は、それ上に保存された実行可能な命令を有する1つ以上の読み取り可能非一時的有形メモリを含んでもよく、この命令は、少なくとも1つのプロセッサ1070によって実行されたとき、少なくとも1つのプロセッサ1070に制御装置1050が行うように適合された動作を実施させてもよい。あるいは、制御装置1050は、制御装置が行うように適合された動作を実施する他の回路を含んでもよい。
【0157】
メモリ1072は、上で論じられた識別情報を保存してもよい。識別情報は、上で論じられた方法のいずれかの実行開始前にメモリ1072内に保存されてもよい。識別情報には、例として、かつ制限としてではなく、一意識別子、薬物名、投与量、有効期限、及び薬物が処方された患者の識別に関する情報が含まれ得る。こうした情報を用いて、制御装置1050またはローカル装置(例えば、スマートフォン)は、薬物を受けようとしている患者に関する判定を下し、適切な情報プロンプト及び/または指示プロンプトを提供してもよい。メモリ1072の代替手段として、識別情報は、薬物送達装置1002に関連付けられたQRコード(登録商標)ラベルまたはRFIDタグに含まれてもよい。
【0158】
通信モジュール1052は、ローカル装置(例えば、スマートフォン)及び/または遠隔装置(例えば、装置の製造業者によって運用されるサーバ)と通信するために使用される複数の異なる通信モジュールのいずれかでもよい。一実施形態によれば、通信モジュール1052は、制御装置1050と一緒に搭載されたBluetooth/Bluetooth低エネルギーモジュールでもよい。通信モジュール1052は、薬物送達装置1002からローカル装置に情報を送信するために使用される。あるいは、他の無線プロトコルが、無線自動識別装置、Zigbee、Wi−Fi、近距離無線通信等の通信モジュール1052によって使用されてもよい。事実、通信は、電磁(EM)スペクトルを使用するのではなく、ハードワイヤード接続によって送信されてもよい。本明細書に定義されるように、モジュール1052、ローカル装置、及び/または遠隔装置の間で送信かつ/または受信される通信は、例えばハードワイヤード信号、またはEM信号、またはあるパターンのそのような信号の形態であってもよい。
【0159】
温度センサ1060は、貯蔵部1012内の薬物の温度が判定され得るように貯蔵部1012に近接して配設されてもよい。あるいは、温度センサ1060は、貯蔵部1012内の薬物のおよその温度及び薬物送達装置1002のおよその温度が概して判定され得るように、単純にハウジング1010内に配設されてもよい。ある実施形態によれば、温度センサ1060は、プロセッサ1070に取り付けられた内蔵温度センサ1060であってもよい。
【0160】
皮膚センサ1062は、薬物送達装置1002が患者の皮膚上に、またはそれに接して配設されるときを判定するために、シールド1022に取り付けられるか、またはそれと関連付けられてもよい。一実施形態によれば、皮膚センサ1062は、圧力センサである。他の実施形態によれば、皮膚センサ1062は、キャパシタンスセンサ、抵抗センサ、またはインダクタンスセンサであってもよい。皮膚センサ1062またはスイッチ1066(これは、アクチュエータ1040に取り付けられているか、または関連付けられている)は、上記考察に従って駆動部1030を作動させるために使用される薬物送達装置1002の設計及び動作に応じて、薬物送達装置1002が起動または作動されるときを判定するために使用されてもよい。皮膚センサ1060からの信号は、シールド1022が実際のアクチュエータとして使用されないときでも薬物送達装置1002が起動されていることを判定するために使用される場合もあり得、その根底にある前提は、シールド1022の動きが装置1002の作動に必然的に関連するということである。
【0161】
示されるように少なくとも2つが存在し得る配向センサ1064は、シールド1022(またはシールド1022に隣接するハウジング1010の一部分)、及び制御装置1050(これは、示されるように、シールド1022から反対の薬物送達装置1002またはハウジング1010の端に配設されてもよい)と関連付けられてもよい。配向センサ1064は、例えば、磁力計であってもよい。具体的には、制御装置1050と関連付けられる配向センサ1064は、内蔵磁力計であってもよい。配向センサ1064は、注入部位に対する(またはより具体的には、患者の皮膚上またはそれに接した薬物送達装置1002の配置に対する)薬物送達装置1002(具体的にはハウジング1010)の配向を判定するために使用されてもよい。
【0162】
ハウジング1010内の薬物送達装置1002の構成要素の配置が本開示の一実施形態に過ぎないことは理解されるであろう。例えば、
図17は、薬物送達装置1002の第2の実施形態を図示しており、薬物送達装置1002のある特定の構成要素は、薬物送達装置1002の外に配設されている。
【0163】
この実施形態によると、薬物送達装置1002は、ハウジング1010、貯蔵部1012、針1014、シールド1022、付勢要素1024、ロック1028、駆動部1030、及びボタン1040を含み得る。さらに、センサ1062、1064、及びスイッチ1066が、ハウジング1010内に配設されてもよい。別個のモジュール1100がハウジング1102内に提供され、その中に制御装置1050、通信モジュール1052、ならびに内蔵された温度センサ及び配向センサ1060、1064が配設されている。使用者または患者が対話することができるように、指紋センサ1065、出力ユニット1047、及び入力ユニット1048がモジュール1100の外部に配設されてもよい。いくつかの実施形態において、通信モジュール1052は、モジュール1100内ではなく、ハウジング1010内に配設されてもよい。
【0164】
モジュール1100は、ハウジング1010の外部表面1104に取り付けられるように適合されてよく、例えば、モジュール1100は、薬物送達装置1002の端1106が開孔部内に配設され得、かつモジュール1100が嵌合形状によって定位置に保持され得るようにサイズ決定された中央開孔部を備える、環状またはC字形を有してもよい。ある特定の実施形態によれば、モジュール1100は、ハウジング1010に対するモジュール1100の動きが(例えば、ボタン1040を押し下げることによって)自動注入装置を起動させ得るように、薬物送達装置1002に対して可動であり得、この場合スイッチ1066は、実際にモジュール1100のハウジング1102内に配設されてもよい。他の実施形態によれば、ハウジング1010の外部表面1104及びモジュール1100は、協働するコネクタを有してもよい。さらなる代替例として、ハウジング1010またはモジュール1100上に、ハウジング1010またはモジュール1100の他方の特徴と協働する固定具を提供して、可逆的か不可逆的かに関わらず、モジュール1100をハウジング1010に取り付けまたは固定してもよい。そのような固定具の一例は、ハウジング1010の表面1104上の凹所と協働する、モジュール1100上の位置決めねじであり得る。
【0165】
ハウジング1010の外部表面1104はまた、モジュール1100のハウジング1102の外部表面1112上にある接点1110と嵌合する、1つ以上の接点1108を有してもよい。嵌合接点1108、1110は、薬物送達装置1002内のセンサ1062、1064、ロック1028、1035、1041、加熱要素1046、及びスイッチ1066を、モジュール1100内の制御装置1050と結合させる(すなわち、モジュール1052がハウジング1010内に配設される上述のある特定の実施形態によれば、通信モジュール1052も同様に結合可能であり得るように、センサ1062、1064、ロック1028、1035、1041、加熱要素1046、及びスイッチ1066は、制御装置1050と結合可能である)。接点1108、1110は互いに接触してもよく、またはこれらの接点は、互いと物理的に接触する必要なしに嵌合してもよく、この場合、接点1108、1110は、ハウジング1010、1102の表面1104、1112の下に提供されてもよい。
【0166】
制御装置1050、通信モジュール1052、及び他の構成要素をモジュール1100に分離させることにより、モジュール1100を薬物送達装置1002の複数の事例と共に使用することが可能となり得る。この点について、モジュール1100は、薬物送達装置1002/モジュール1100の組み合わせ(これは、本開示では薬物送達装置1002と称され得る)の再使用可能な部分と見なされてもよく、一方で、薬物送達装置1002は、薬物送達装置1002の使い捨ての部分と見なされてもよい。より高価な構成要素を再使用可能なモジュール1100に、そしてより安価な構成要素(ある特定のセンサを含む)を使い捨ての薬物送達装置1002に切り離すことにより、自動注入装置の全体的なコストが最適化され得る。モジュール1100及び薬物送達装置1002内の構成要素のこうした配置はまた、薬物送達装置1002及びモジュール1100の製造ならびに滅菌を容易にし得る。
【0167】
薬物送達装置1002の加熱要素1046は、貯蔵部1012に結合されているが、他の実施形態では、加熱要素は、カニューレ1014に直接的または間接的に結合されてもよい。貯蔵部1012とは対照的に、カニューレ1014の加熱は、周囲への熱損失がより少なくなり得るため、より効率的な薬剤の加熱方法であり得る。
図18A及び18Bは、着脱可能な滅菌バリア1174がカニューレ1014から除去されるとカニューレ1014に接触しそれを加熱するように構成された、加熱要素1150の実施形態を図示している。加熱要素1170は、第1の導電性ばねアーム1178及び第2の導電性ばねアーム1180を含み得る。
図18Aに示されるように、着脱可能な滅菌バリア1174をカニューレ1014から除去する前に、第1及び第2の導電性ばねアーム1178、1180は、着脱可能な滅菌バリア1174の外部に対して付勢され得る。使用前にカニューレ1014に接触しないように加熱要素1170を構成することは、カニューレ1014の滅菌を維持することに役立ち得る。着脱可能な滅菌バリア1174がカニューレ1014から除去されると、第1及び第2の導電性ばねアーム1178、1180は、それらの各々がカニューレ1014に接触するまでカニューレ1014に向かって枢動することによって各々の弛緩位置に戻る(
図18Bを参照のこと)。この構成において、金属の導電性材料で作られていてもよいカニューレ1014は、第1及び第2の導電性ばねアーム1178、1180間に電気接続をもたらし、それにより閉電気回路を形成してもよい。いくつかの実施形態において、制御装置1050は、上述の方法のうちの1つ以上に従って、動作状態情報、条件情報、及び/または識別情報といった薬物送達装置1002に関する異なる種類の情報に基づいて、加熱要素1170を選択的に作動または解除させてもよい。例えば、第1及び第2の導電性ばねアーム1178、1180の各々に結合されていてもよい制御装置1050は、患者への薬剤の送達速度に基づいて、加熱要素1014に供給される電気量を制御してもよい。カニューレ1014の直接加熱は、薬剤の粘度のより精確な制御、ひいては薬剤の流量のより精確な制御を可能にし得る。
【0168】
加熱要素1170は、プランジャーを駆動するためにばねを使用する薬物送達装置において特に有用であり得る。ばねは、典型的には一定力を提供し、そのため、ばねで薬剤の流量を変動させることは不可能ではないにしても困難になる。加熱要素1170は、薬剤の粘度を改変するその能力によって、薬剤流量の比較的精確な制御を提供することにより、ばねの制約を克服するのに役立ち得る。いくつかの実施形態において、実際の薬剤の流量はセンサで監視され得、実際の薬剤流量が標的の薬剤流量にどれだけ近いかに応じて、加熱要素1170は、送達カニューレ1014を通って流れる薬剤を加熱する(または送達カニューレ1014を通って流れる薬剤の受動的冷却を可能にする)ように制御され得、それにより、薬剤流量が上昇する(または低下する)。したがって、薬剤流量は、いかなる電気作動式の可動部分も使用することなく制御され得る。さらに、いくつかの実施形態において、加熱要素1170には、送達カニューレ1014内の薬剤を加熱及び/または冷却するためのペルチェ効果回路が含まれ得る。
【0169】
カニューレ1014周囲に巻かれ、かつ/または貯蔵部1012の隔膜内に埋め込まれるコイルからなる加熱要素を含む、カニューレ1014を直接的または間接的に加熱する加熱要素の他の変異形が、本開示により想定される。さらなる実施形態では、加熱要素は、一定距離からカニューレ1014上にエネルギーを集中させることができるレーザーまたは他のエネルギー源であってもよい。
【0170】
薬物送達装置1002のロック1035は制御装置1050によって作動及び解除されるが、本開示の範囲は、電子的に制御されたロックに限定されない。
図19は、貯蔵部1122、プランジャーアセンブリ1124、カニューレ1126、駆動部1128、及び、プランジャーアセンブリ1124または駆動部1128の動きを制限するための機械作動式ロック1140を含む、薬物送達装置1120を図示している。
図19には示されていないが、薬物送達装置1120は、例えば、制御装置、通信モジュール、入力ユニット、出力ユニット、皮膚センサ、配向センサ、流体レベルセンサ、及び/または加熱要素を含む、上述(及び下記)の薬物送達装置の電子構成要素のうちのいくつかまたは全てを含んでもよい。
【0171】
図19を参照すると、貯蔵部1122は、第1の端1132及び第2の端1134を有する穴1130を含む。プランジャーアセンブリ1124は、貯蔵部1122の穴1130内に、第1及び第2の端1132、1134間で可動であるプランジャー1136を含む。カニューレ1126は、カニューレ1126が貯蔵部1122と流体連通で接続される動作状態を含む。ばねの形態の駆動部1128は、プランジャーアセンブリ1124に結合されて、プランジャー1136を第1及び第2の端1132、1134間で動かす。ロック1140は、穴1130の第1及び第2の端1132、1134間のプランジャー1136の動きを制限するように、プランジャーアセンブリ1124及び駆動部1128のうちの1つに選択的に結合されてもよい。例えば、ロック1140は、プランジャーアセンブリ1124及び駆動部1128のうちの1つに結合され得る。
【0172】
図19に描写されるように、薬物送達装置1002は、ロック1140に結合され、かつ中に貯蔵部1122、駆動部1128、及びロック1140が配設されるハウジング1139に対して可動である、近接センサ1138を含んでもよい。近接センサ1138は、近接センサ1138がハウジング1139から伸びる(例えば、完全に伸びる)第1のセンサ状態(または位置)と、近接センサ1138がハウジング1139に向かって入るように第1のセンサ状態と比べて後退している第2のセンサ状態(または位置)とを有する。ロック1140は、プランジャー1136の動きを制限するかまたは防ぐために、近接センサ1138が第1のセンサ状態にある状態で、プランジャーアセンブリ1124及び駆動部1128のうちの1つに結合される。
【0173】
依然として
図19を参照すると、プランジャーアセンブリ1124は、プランジャー1136に取り付けられたプランジャーアーム1150を含み得る。ロック1140は、ロック110がプランジャーアセンブリ1124に結合するとプランジャー1136の動きを制限するようにプランジャーアーム1150に隣接する壁1142を有してもよい。近接センサ1138は、近接センサ1138が第1のセンサ状態にある状態では壁1142がプランジャーアーム1150に隣接するように、かつ、近接センサ1138が第2のセンサ状態にある状態では壁1142がプランジャーアーム1150から離間するように、壁1142に結合される(示されるように、センサ1138は壁1142と一体的すなわち1個である)。いくつかの実施形態において、プランジャーアーム1150は、その上に形成された少なくとも1つの肩部1152を有し得、壁1142は、ロック1140がプランジャーアセンブリ1124に結合されているとき、プランジャー1136の動きを制限し、かつ/または防ぐように、プランジャーアーム1150の少なくとも1つの肩部1152に隣接する。
図19に示されるように、プランジャーアーム1150は、少なくとも1つの肩部1152を画定する少なくとも1つの特徴1156を有する、その長さの区域(すなわち、プランジャーアーム1150の長手方向軸1151に沿った方向に延在するプランジャーアーム1150の寸法)を有する。例えば、プランジャーアーム1150は、シャフト1158を含み得、これには、突出部1157(例えば、歯)を含む1つ以上の特徴1156が取り付けられている。いくつかの実施形態において、突出部1157は、シャフト1158と一体的に(1個として)形成され得る。プランジャー1136から長手方向に最も離れて突出部1158を位置付けて、隣接した突出部1157間の隙間または切り込み1160により、隣接した突出部1157間に壁1142が配設されることが可能となり、軸1151に直角に延在する突出部1158の表面に沿って肩部1152を画成する。
【0174】
薬物送達装置1002が患者の皮膚の表面上に配設されていないとき、近接センサ1138は、ばね1162によってロック1140に加えられた力の結果として、ハウジング1139から延在する。次いで、ロック1140が、ロック1140が隙間または切り込み1160のうちの1つに留まるように、プランジャーアセンブリ1124、具体的にはプランジャーアーム1150に対して位置付けられる。薬物送達装置1002が患者の皮膚の表面上に配設されると、近接センサ1138は、ばね1162の付勢に逆らってハウジング1139内に動かされる。その結果、ロック1140内の開孔部がプランジャーアーム1150と整列する位置に動かされて、したがって、ロック1140は、ロック1140がもはや隙間または切り込み1160のうちの1つの中に留まらなくなる。これにより、ばね1162によってプランジャーアーム1150に力が加えられる結果として、プランジャーアーム1150及び関連付けられたプランジャー1136が動くことが可能となる。
【0175】
図19の配向に対して右に向かうプランジャーアーム1150の動きの間、薬物送達装置1002は、患者の皮膚から係脱するかまたはずれる場合がある。そのような場合、ロック1140は、ばね1162の付勢下で動くことが可能になり、したがって、ロック1140内の開孔部がプランジャーアーム1150ともはや整列せず、代わりにロック1140が隙間または切り込み1160のうちの1つの中に配設されるようなる。これにより、ばね1162の付勢におけるプランジャーアーム1150のさらなる動きを妨げ、かつ貯蔵部1122から押し出される薬液または薬物製品の量を制限する、ロック1140と突出部1157のうちの1つとの係合がもたらされ得る。すなわち、ある特定の実施形態によれば、ロック1140と突出部1157との係合は、それ以上薬剤がカニューレ1126を通過して出ることを防ぎ得る。他の実施形態によれば、プランジャーアーム1150及び関連付けられたプランジャー1136は、プレート158が隙間または切り込み1160内に配設された後だがロック1140が突出部1157に係合する前に、いくらかの距離を移動し得、その結果、制限された量の薬剤が、ロック1140の作動の後でもカニューレ1126を通って貯蔵部1122から出る可能性がある。プランジャー1136の全体的な動きを阻みながら、貯蔵部1122から押し出される薬液または薬物製品の量を制限することによって、著しい利点を依然として得ることができることは理解されるであろう。
【0176】
前述の薬物送達システム及び方法は、薬物送達システムの動作の様々な態様を自動化し、かつ患者による不適切な使用の可能性を低減させるために制御可能要素を利用するが、本開示の薬物送達システム及び方法は、特に、年配及び身体障害のある患者等の薬物送達装置を掴持または取り扱うことが困難であり得る患者のために、薬物送達システムの使い勝手を向上させる追加または代替の特徴を組み込んでもよい。薬物送達装置の内部の汚染を抑制することに加えて、回転防止機能性を提供し、患者が薬物送達装置を掴持しそれから着脱可能な滅菌バリアを取り外すのを助け、任意選択的に、例えば、制御装置、メモリ、1つ以上のセンサ、及び/または通信モジュールを含む様々な電子構成要素を収容する着脱可能な滅菌バリアが、
図18及び19を参照して以下に記載される。
【0177】
具体的には、
図20に示されるとおり、薬物送達装置1202を含む薬物送達システム1200が提供される。薬物送達装置1202は、自動注入装置の形態でもよく、したがって手持ち使用及び患者の皮膚に接した適用のために構成されていてもよい。薬物送達装置1202は、
図16に関連して上に記載されている薬物送達装置1002と同じ構成要素のうちのいくつかまたは全てを含んでもよい。薬物送達装置1202は、送達カニューレを患者内に導入し、貯蔵部から送達カニューレを通って患者内に薬物または薬剤を押し出すアセンブリまたは構造体が配設されたハウジング1210を含んでもよい。薬物送達装置1202はまた、ハウジング1210の近位端に配設され、患者によって押し下げられてプランジャーに薬物を貯蔵部から送達カニューレを通って患者内に放出させる駆動部を起動するように構成されたアクチュエータ1212(アクチュエータ1040と同様)も含んでもよい。
【0178】
薬物送達装置1202は、ハウジング1210の遠位端に着脱可能に取り付けられた着脱可能な滅菌バリア1220をさらに含んでもよい。着脱可能な滅菌バリア1220は、薬物送達装置1202の使用前に送達カニューレ及びハウジング1210内の他の要素が汚染されるリスクを低減する。着脱可能な滅菌バリア1220は、管状部材1222と、管状部材1222の開口端を覆う被覆部材1224と、によって形成されてもよい。管状部材1222及び被覆部材1224は、単一の一体構造体として一体的に形成されてもよいか、またはあるいは、接着されるか、もしくは機械的に互いに相互接続される別個の構成要素として形成されてもよい。
【0179】
管状部材1222は、ハウジング1210の遠位端及び/または送達カニューレの遠位端(図示せず)の周囲に配設されてもよく(例えば、取り囲んでもよく)、着脱可能な滅菌バリア1220をハウジング1210に着脱可能に取り付けてもよい。
図21に示されるとおり、管状部材1222は、2つの連動する略C字形部材1228、1230をハウジング1210の遠位端上に係合することにより組み立てられてもよい。いくつかの実施形態において、着脱可能な滅菌バリア1220は、ハウジング1210の遠位端と干渉またはスナップフィットを形成してもよい。干渉またはスナップフィットと関連した摩擦力には、ハウジング1210から離れる遠位方向に着脱可能な滅菌バリア1220を手動で引っ張ることにより打ち勝つことができる。干渉またはスナップフィットは、管状部材1222の内径がハウジング1210の遠位端の外径よりも若干小さくなるように構成することにより形成されてもよい。あるいは、または加えて、管状部材1222は、管状部材1222をハウジング1210の遠位端に接続し、着脱可能な滅菌バリア1220をハウジング1210から引き離したとき患者によって折られるかまたは裂けられ得る易裂性または弱化部材(図示せず)を有してもよい。管状部材1222は、患者が管状部材1222を掴持して、ハウジング1210からそれを取り外すのを助けるように設計された複数の外向きに突き出たリブ1226をさらに含んでもよい。リブ1226は、平均握力未満の力を有する年配及び身体障害のある患者に特に有用であり得る。
【0180】
被覆部材1224は、管状部材1222の遠位端に固定されてもよく、管状部材1222の遠位端に形成された開口部を完全に覆ってもよい。被覆部材1224の遠位端表面1232は、薬物送達装置1202が倒れずに直立構成で平面状に配設され得るように平坦でもよい。また、被覆部材1224の外周部分は、出張りまたはオーバーハング1234が被覆部材1224と管状部材1222との間の接触面に形成されるように管状部材1222の外周部分よりも広くてもよい。この出張り1234は、ハウジング1210から着脱可能な滅菌バリア1220を引き離そうとしているときに患者の指が被覆部材1224上を滑ることを防ぐのに役立ち得る。
【0181】
ハウジング1210が円形外部側面をもたらす丸い断面を有し得るため、薬物送達装置1202は、横向きに置かれたとき、表面を横切って非意図的に転がりやすくあり得る。薬物送達装置1202が横向きに置かれたときに表面を横切って転がることを妨げるかまたは防ぐために、管状部材1222及び/または被覆部材1224は、少なくとも1つの回転抑制外部側面を有して形成されてもよい。少なくとも1つの回転抑制外部側面は、管状部材1222の近位端と遠位端との間、及び/または被覆部材1224の近位端と遠位端との間を延在してもよい。管状部材1222及び/または被覆部材1224の少なくとも1つの回転抑制外部側面は、薬物送達装置1202の長手方向軸Aと平行、及び/または被覆部材1224の遠位端表面1232に対して垂直でもよい。
【0182】
図18及び19に示される実施形態において、管状部材1222は、3つの平坦な外部側面1240、1242、及び1244によって形成された三角形の断面を有し、被覆部材1224は、3つの平坦な外部側面1250、1252、及び1254によって形成された三角形の断面を有する。ここで注目している断面は、薬物送達装置1202の長手方向軸Aに対して垂直なものである。平坦な外部側面1240、1242、1244、1250、1252、及び1254の各々は、回転抑制外部側面の例である。これは、それぞれの平坦な外部側面が支持体表面に支えられているとき、着脱可能な滅菌バリア1220及び/または薬物送達装置1202が支持体表面を横切って転がることを妨げる(例えば、防ぐ)ように平坦な外部側面1240、1242、1244、1250、1252、及び1254の各々が構成されているからである。
【0183】
本明細書において使用する場合、用語「平坦」は、平らまたは実質的に平らであることを意味すると本明細書に定義される。
図18及び19に示されるとおり、平坦な外部側面1240、1242、1244、1250、1252、及び1254の各々は、外向きに膨らんでおり、したがってほんのわずかな湾曲をなす。平坦な外部側面1240、1242、1244、1250、1252、及び1254が完全には平らではない一方で、これらは、それでもなお実質的に平らであり、したがって、本開示の原則によれば「平坦」であると見なされる。代替実施形態において、平坦な外部側面1240、1242、1244、1250、1252、及び1254のうちの1つ以上は、湾曲をなさないような完全に平らでもよい。平坦な外部側面31240、1242、1244、1250、1252、及び1254が平らな構成または実質的に平らな構成を有するかどうかに関わらず、平坦な外部側面1240、1242、1244、1250、1252、及び1254は、着脱可能な滅菌バリア1220及び/または薬物送達装置1202が転がることを妨げる(例えば、防ぐ)能力を有し得る。
【0184】
着脱可能な滅菌バリア1220の回転防止機能性は、管状部材1222及び/または被覆部材1224の様々な異なる形状及びサイズを通して達成することができる。いくつかの実施形態において、管状部材1222のみ、または被覆部材1224のみが三角形の断面を有してもよい。半球、正方形、長方形、五角形、六角形、または任意の他の多角形の形状を含むがこれらに限定されない、管状部材1222及び/または被覆部材1224の他の断面形状が、転がるのを防ぐかまたは妨げ得る。また、管状部材1222及び/または被覆部材1224の1つ以上の平坦な外部側面によって形成された頂点または角は、着脱可能な滅菌バリア1220を掴持しているときに、頂点または角が患者に損傷または痛みをもたらす可能性が低くなるように丸められてもよい。
【0185】
図18及び19に示される着脱可能な滅菌バリア1220の特定の形状は、機能によって決定されない審美的特徴であることに留意されたい。
【0186】
ある代替実施形態において、薬物送達装置1202は、貯蔵部に直接取り付けられ、送達カニューレを取り囲む着脱可能な滅菌バリア1220から分離した、第2の着脱可能な滅菌バリアを含んでもよい。そのような実施形態において、着脱可能な滅菌バリア1220は、第2の着脱可能な滅菌バリアを覆う及び/または取り囲んでもよい。
【0187】
さらに、薬物送達装置1202の様々な電子構成要素は、着脱可能な滅菌バリア1220内に収容されてもよい(例えば、埋め込まれてもよい)。例えば、制御装置1050、メモリ1072、プロセッサ1070、通信モジュール1052(例えば、Bluetoothモジュール、Bluetooth低エネルギーモジュール等)、皮膚センサ1062、配向センサ1064、指紋センサ1065、温度センサ1060、出力ユニット1047、及び/または入力ユニット1048が、着脱可能な滅菌バリア1220内に収容されてもよい(例えば、埋め込まれてもよい)。いくつかの実施形態において、着脱可能な滅菌バリア1220は、
図8に示される電子要素630〜638のうちの1つ以上を含むように構成されてもよい。
【0188】
着脱可能な滅菌バリア1220は、単回の1回の使用、または複数の使用のために設計することができる。
図21に示される着脱可能な滅菌バリア1220の実施形態は、C字形部材1228、1230の各々をハウジング1210の遠位端の周りに別々に嵌合させ、次いで、C字形部材1228、1230を接着剤で一緒に固定することにより、組み立てられてもよい。使用者がハウジング1210から着脱可能な滅菌バリア1220を除去した後、不可能でなければ、着脱可能な滅菌バリア1220をハウジング1210(または別の薬物送達装置のハウジング)に再び取り付けるのは困難であり得、少なくともC字形部材1228、1230をバラバラに壊し、次いでこれらをハウジング1210の周囲に再び嵌め合わせ、再接着させることが伴う。結果として、
図21に示される着脱可能な滅菌バリア1220は、使い捨て式及びたった1回使用でもよい。ある代替実施形態(図示せず)において、C字形部材1228、1230は、クラムシェル型で蝶番で結合されてもよい。そのような代替実施形態では、ハウジング1210から着脱可能な滅菌バリア1220を除去した後、C字形部材1228、1230を貝殻のように開き、次いでこれらをハウジング1210の遠位端の周りに嵌合することにより、着脱可能な滅菌バリア1220をハウジング1210(または別の薬物送達装置のハウジング)に再び取り付けることが可能であり得る。C字形部材1228、1230の蝶番で結合されていない端は、C字形部材1228、1230がハウジング1210の周りに固定された後に互いに固定され得るように、ロック機構(例えば、嵌合ロックタブ及び/またはスロット)を含んでもよい。実質的コスト削減は、着脱可能な滅菌バリア1220に搭載された電子装置が2回以上使用され得るため、着脱可能な滅菌バリア1220の再使用可能な構成によって実現され得る。さらなる実施形態において、着脱可能な滅菌バリア1220は、1個で製造され、次いで、薬物送達装置1202のハウジング1210上に軸方向に取り付けられてもよい。
【0189】
ハウジング1210からの着脱可能な滅菌バリア1220の除去が、着脱可能な滅菌バリア1220内に埋め込まれた通信モジュール(例えば、Bluetoothモジュール、Bluetooth低エネルギーモジュール等)、制御装置、及び/または他の電子構成要素を自動的に作動させる機構を始動させてもよい。いくつかの実施形態において、機構は、構造及び/または動作において
図8に示されるスイッチ632と類似していてもよい。
図22及び23に示されるもの等の他の実施形態において、着脱可能な滅菌バリア1220は、この機能性を達成するためにばねアーム1260及び常開型瞬時スイッチ1262を含んでもよい。常開型瞬時スイッチ1262は、電池と着脱可能な滅菌バリア1220内に埋め込まれた制御装置、通信モジュール、及び/または他の電子構成要素との間に選択的に電気接続をもたらしてもよい。
【0190】
図22は、薬物送達装置1202のハウジング1210から着脱可能な滅菌バリア1220を除去する前の、着脱可能な滅菌バリア1220の断面図を図示している。ばねアーム1260は、着脱可能な滅菌バリア1220の内壁1266に固定された第1の端1264と、着脱可能な滅菌バリア1220の内壁1266に対して可動な第2の端1268と、第1の端及び第2の端1264、1268を接続する偏向可能な本体部分1270と、を有してもよい。偏向可能な本体部分1270は、内壁1266から内側に向かって突き出ていてもよい。
図22に示されるとおり、偏向可能な本体部分1270は、その頂点が内壁1266から離れて内側を向いている三角形の形状を有してもよい。着脱可能な滅菌バリア1220がハウジング1210の周囲に配設されたとき、ばねアーム1260の偏向可能な本体部分1270を押し付け、偏向させてもよく、その結果、ハウジング1210は、偏向可能な本体部分1270が内壁1266に向かって、かつ遠位軸方向に下方にも移動する。結果として、ばねアーム1260の第2の端1268もまた、遠位軸方向に下方に動いてもよく、その結果、もはや常開型瞬時スイッチ1262に接触し押し下げない。したがって、この構成において、常開型瞬時スイッチ1262は、オフの位置をとる。常開型瞬時スイッチ1262が
図22に示されるようにそのオフの位置にあるとき、制御装置、通信モジュール、及び/または他の電子構成要素は、電池から電力を供給され得ない。
【0191】
図23は、薬物送達装置1202のハウジング1210から除去された後の着脱可能な滅菌バリア1220を図示している。ハウジング1210の非存在は、ばねアーム1260の偏向可能な本体部分1270が、その圧縮されていない自然な形状に弾性的に戻ることを可能にする。これは、ばねアーム1260の第2の端1268が常開型瞬時スイッチ1262に接触しそれを押し下げるまで、近位軸方向に上方に動くことを引き起こす。常開型瞬時スイッチ1262を押し下げることにより、ばねアーム1260の第2の端1268は、常開型瞬時スイッチ1262にそのオンの位置をとらせる。結果として、着脱可能な滅菌バリア1220内に埋め込まれた制御装置、通信モジュール、及び/または他の電子構成要素は、電気的に接続され、着脱可能な滅菌バリア1220内に埋め込まれた電池によって動力が供給されてもよい。いくつかの実施形態において、制御装置への電力供給によってBluetoothまたはBluetooth低エネルギー通信を介して、薬物送達装置1202からの着脱可能な滅菌バリア1220の除去を表す信号を外部コンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン)に送信するように、制御装置に通信モジュールを制御させてもよい。
【0192】
製造中に、着脱可能な滅菌バリア1220の組み立てと薬物送達装置1202のハウジング1210上へのその取り付けとの間に遅延が起こり得る。この遅延の間、ばねアーム1260の第2の端1268が常開型瞬時スイッチ1262を押し下げ、着脱可能な滅菌バリア1220に搭載された電子装置をオンにすることを防ぐことが望ましくあり得る。この懸念に対処するために、ばねアーム1260の偏向可能な本体部分1270は、ばねアーム1260の第2の端1268が常開型瞬時スイッチ1262と一列に整列しないようにねじられていてもよい。ピン(図示せず)が、この一列に整列していない構成においてばねアーム1260の第2の端1268を保持してもよい。後に、着脱可能な滅菌バリア1220がハウジング1210上に嵌合されたとき、ハウジング1210は、ばねアーム1260の偏向可能な本体部分1270を偏向させ、これにより第2の端1268を上に論じられた方式で遠位軸方向に下方に動かしてもよい。あるいは、第2の端1268は、ピンを超えて滑り、偏向可能な本体部分1270はその弾性に起因して自然にねじりが戻る。この動きは、ばねアーム1260の第2の端1268を常開型瞬時スイッチ1262と再び一列に整列させ得、したがって、(
図23に見られるように)着脱可能な滅菌バリア1220が後でハウジング1210から除去されたとき、ばねアーム1260の第2の端1268が常開型瞬時スイッチ1262を押し下げる。
【0193】
上記の説明は、薬物送達装置の条件及び/または動作状態を検出するために薬物送達装置と組み合わせて使用され得る様々なセンサ及びセンサシステムを記載している。「Drug Delivery System and Method of Use」と題され代理人整理番号32263/48365Aを有する同時出願の国際特許出願(その全体は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるセンサ及びセンサシステムの任意の組み合わせを含む、追加または代替のセンサ及びセンサシステムが上述の薬物送達装置に組み込まれてもよい。
【0194】
上記の説明は、薬物送達装置と一緒に使用するための様々なシステム及び方法を説明している。システム、薬物送達装置、または方法は、以下に列記される薬剤の使用をさらに含むことができるが、ただし以下の列記のいずれも全てを包含するか、または制限すると見なされるべきではないことは明らかである。薬剤は、貯蔵部内に格納される。いくつかの事例において、貯蔵部は、治療のために薬剤で充填されるかまたは事前に充填されたかのいずれかである一次容器である。一次容器は、カートリッジまたは事前に充填された注射器でもよい。
【0195】
例えば薬物送達装置、またはより具体的には装置の貯蔵部は、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)等のコロニー刺激因子で充填されてもよい。そのようなG−CSF剤には、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム)及びNeulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム)が挙げられるが、これらに限定されない。様々な他の実施形態において、薬物送達装置は、液体または凍結乾燥形態であり得る赤血球生成促進剤(ESA)等の様々な医薬製品と一緒に使用されてもよい。ESAは、赤血球生成を促進する任意の分子、例えば、Epogen(登録商標)(エポエチンα)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンα)、Dynepo(登録商標)(エポエチンδ)、Mircera(登録商標)(メチオキシポリエチレングリコール−エポエチンβ)、ヘマタイド(登録商標)、MRK−2578、INS−22、Retacrit(登録商標)(エポエチンζ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンβ)、Silapo(登録商標)(エポエチンζ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンα)、エポエチンαHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンα)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンθ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンθ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンθ)、エポエチンα、エポエチンβ、エポエチンζ、エポエチンθ、及びエポエチンδ、ならびに以下の特許または特許申請(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるこれらの分子または変異体もしくは類似体である:米国特許第4,703,008号、同第5,441,868号、同第5,547,933号、同第5,618,698号、同第5,621,080号、同第5,756,349号、同第5,767,078号、同第5,773,569号、同第5,955,422号、同第5,986,047号、同第6,583,272号、同第7,084,245号、及び同第7,271,689号、ならびにPCT公開第WO91/05867号、同第WO95/05465号、同第WO96/40772号、同第WO00/24893号、同第WO01/81405号、及び同第WO2007/136752号。
【0196】
ESAは、赤血球生成促進タンパク質でもよい。本明細書において使用する場合、「赤血球生成促進タンパク質」は、例えば、エリスロポエチン受容体に結合し、それの二量化を引き起こすことによってエリスロポエチン受容体の活性化を直接的にまたは間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球生成促進タンパク質には、エリスロポエチン受容体に結合しそれを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体、もしくは誘導体;エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体;またはエリスロポエチン受容体に結合しそれを活性化させるペプチドが含まれる。赤血球生成促進タンパク質には、エポエチンα、エポエチンβ、エポエチンδ、エポエチンω、エポエチンι、エポエチンζ、及びこれらの類似体、ペグ化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、(EMP1/ヘマタイドを含む)模倣ペプチド、ならびに模倣抗体が挙げられるが、これらに限定されない。例となる赤血球生成促進タンパク質には、エリスロポエチン受容体に結合し、それを活性化させるエリスロポエチン、ダルベポエチン、エリスロポエチン作動薬変異体、及びペプチドまたは抗体(ならびに各々の開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2003/0215444号及び同第2006/0040858号に報告されている化合物を含む)と、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる以下の特許または特許申請に開示されるエリスロポエチン分子またはその変異体または類似体と、が挙げられる:米国特許第4,703,008号、同第5,441,868号、同第5,547,933号、同第5,618,698号、同第5,621,080号、同第5,756,349号、同第5,767,078号、同第5,773,569号、同第5,955,422号、同第5,830,851号、同第5,856,298号、同第5,986,047号、同第6,030,086号、同第6,310,078号、同第6,391,633号、同第6,583,272号、同第6,586,398号、同第6,900,292号、同第6,750,369号、同第7,030,226号、同第7,084,245号、及び同第7,217,689号;米国特許公開第2002/0155998号、同第2003/0077753号、同第2003/0082749号、同第2003/0143202号、同第2004/0009902号、同第2004/0071694号、同第2004/0091961号、同第2004/0143857号、同第2004/0157293号、同第2004/0175379号、同第2004/0175824号、同第2004/0229318号、同第2004/0248815号、同第2004/0266690号、同第2005/0019914号、同第2005/0026834号、同第2005/0096461号、同第2005/0107297号、同第2005/0107591号、同第2005/0124045号、同第2005/0124564号、同第2005/0137329号、同第2005/0142642号、同第2005/0143292号、同第2005/0153879号、同第2005/0158822号、同第2005/0158832号、同第2005/0170457号、同第2005/0181359号、同第2005/0181482号、同第2005/0192211号、同第2005/0202538号、同第2005/0227289号、同第2005/0244409号、同第2006/0088906号、及び同第2006/0111279号、ならびにPCT公開第WO91/05867号、同第WO95/05465号、同第WO99/66054号、同第WO00/24893号、同第WO01/81405号、同第WO00/61637号、同第WO01/36489号、同第WO02/014356号、同第WO02/19963号、同第WO02/20034号、同第WO02/49673号、同第WO02/085940号、同第WO03/029291号、同第WO2003/055526号、同第WO2003/084477号、同第WO2003/094858号、同第WO2004/002417号、同第WO2004/002424号、同第WO2004/009627号、同第WO2004/024761号、同第WO2004/033651号、同第WO2004/035603号、同第WO2004/043382号、同第WO2004/101600号、同第WO2004/101606号、同第WO2004/101611号、同第WO2004/106373号、同第WO2004/018667号、同第WO2005/001025号、同第WO2005/001136号、同第WO2005/021579号、同第WO2005/025606号、同第WO2005/032460号、同第WO2005/051327号、同第WO2005/063808号、同第WO2005/063809号、同第WO2005/070451号、同第WO2005/081687号、同第WO2005/084711号、同第WO2005/103076号、同第WO2005/100403号、同第WO2005/092369号、同第WO2006/50959号、同第WO2006/02646号、及び同第WO2006/29094号。
【0197】
本装置と一緒に使用するための他の医薬製品の例には、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(商標)(デノスマブ)、及びProlia(商標)(デノサマブ)等の抗体、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF阻害薬)、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、ペグ化フィルガストリム、ペグ化G−CSF、ペグ化hu−Met−G−CSF)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G−CSF、hu−MetG−CSF)、及びNplate(登録商標)(ロミプロスチム)等の他の生物学的製剤、Sensipar(登録商標)(シナカルセト)等の小分子薬物が含まれ得るが、これらに限定されない。本装置は、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、または鉄、例えば、フェルモキシトール、鉄デキストラン、グルコン酸第二鉄、及び鉄スクロース等の他の化学物質とも一緒に使用されてもよい。医薬製品は、液体形態、または凍結乾燥の形態から戻されてもよい。
【0198】
特定のタンパク質の例の中には、その融合物、断片、類似体、変異体、または誘導体を含む、以下に記載される特異タンパク質がある。
【0199】
各々が以下の公報に開示されるように、その全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる、以下の公報の中の
図2に記載される配列番号2の軽鎖及び/または以下の公報の中の
図4に記載される配列番号4の重鎖のいずれかを有するOPGL特異抗体を含み、OPGL特異抗体及び抗体関連タンパク質に関して、特に、以下の公報の中に記載される配列を有するもので、具体的に、以下の公報の中に示されるもの(9H7、18B2、2D8、2E11、16E1、及び22B3)であるが、それに限定されず、本明細書にその全体が組み込まれるPCT公開第WO03/002713号に記載される抗体を含むが、それに限定されず、完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディ等とも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0200】
各々が以下の公報に開示されるようにそれらの全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる、特に部分的にミオスタチン特異的ペプチボディに関連して、mTN8−19ファミリーのペプチボディを含むがそれに限定されず、配列番号305〜351のものを含み、TN8−19−1〜TN8−19−40、TN8−19 con1、及びTN8−19 con2、すなわち、配列番号357〜383のmL2ファミリー、配列番号384〜409のmL15ファミリー、配列番号410〜438のmL17ファミリー、配列番号439〜446のmL20ファミリー、配列番号447〜452のmL21ファミリー、配列番号453〜454のmL24ファミリーのペプチボディ、ならびに配列番号615〜631のものを含み、特に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2004/0181033号及びPCT公開第WO2004/058988号に記載される、ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0201】
各々が以下の公報に開示されるようにその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる、特に部分的にIL−4受容体特異抗体に関連して、特に以下の公報の中に記載されるそのような抗体等で、具体的に、以下の公報の中に示されるもの、すなわち、L1H1、L1H2、L1H3、L1H4、L1H5、L1H6、L1H7、L1H8、L1H9、L1H10、L1H11、L2H1、L2H2、L2H3、L2H4、L2H5、L2H6、L2H7、L2H8、L2H9、L2H10、L2H11、L2H12、L2H13、L2H14、L3H1、L4H1、L5H1、L6H1であるが、それらに限定されず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開第WO2005/047331号またはPCT出願第PCT/US2004/37242号及び米国特許公開第2005/112694号に記載されているものを含む、特にIL−4及び/またはIL−13の受容体への結合によって媒介される活動を抑制するもので、IL−4受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0202】
各々が以下の公報に開示されるようにその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる、部分的にIL1−R1特異結合タンパク質、モノクローナル抗体に関連して、具体的に、特に、以下の公報の中に示されているもの、すなわち、15CA、26F5、27F2、24E12、及び10H7であるが、これに限定されない、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2004/097712号に記載されているものを含むが、これに限定されない、インターロイキン1−受容体1(「IL1−R1」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0203】
各々が以下の公報に開示されるようにその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる、特に部分的にAng2特異抗体及びペプチボディ等に関連して、特に以下の公報の中に記載される配列のもので、L1(N)、L1(N)WT、L1(N)1K WT、2xL1(N)、2xL1(N)WT、Con4(N)、Con4(N)1K WT、2xCon4(N)1K、L1C、L1C 1K、2xL1C、Con4C、Con4C 1K、2xCon4C 1K、Con4−L1(N)、Con4−L1C、TN−12−9(N)、C17(N)、TN8−8(N)、TN8−14(N)、Con1(N)を含むが、これらに限定されない、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開第WO03/057134号及び米国特許公開第2003/0229023号に記載されているものを含むがこれに限定されず、また部分的にAng2特異抗体及びペプチボディ等に関して、特に、以下の公報の中に記載されるこれらの様々な順列のAb526、Ab528、Ab531、Ab533、Ab535、Ab536、Ab537、Ab540、Ab543、Ab544、Ab545、Ab546、A551、Ab553、Ab555、Ab558、Ab559、Ab565、AbF1AbFD、AbFE、AbFJ、AbFK、AbG1D4、AbGC1E8、AbH1C12、AblA1、AblF、AblK、AblP、及びAblPが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開第WO2003/030833号に記載されているもの等の抗Ang2抗体及び製剤を含む、Ang2特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0204】
各々が以下の公報に開示されるようにその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる、NGF−特異抗体及び関連タンパク質に関して、具体的に、以下の公報に示されるNGF−特異抗体、4D4、4G6、6H9、7H2、14D10及び14D11を含むが、それらに限定されない、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2005/0074821号及び米国特許第6,919,426号に記載されているものを特に含むが、それに限定されない、NGF特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0205】
例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423−23−0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体を含むがそれに限定されない、例えば、ヒト−マウスモノクローナルhLL2κ鎖に結合したヒト−マウスモノクローナルhLL2γ鎖二硫化物の二量体等の、特にヒトCD22特異IgG抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体等であるがそれに限定されず、具体的には、ヒトCD22特異抗体で、CD22特異抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,789,554号に記載されているものなどの、CD22特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0206】
各々が以下の公報に開示されるようにその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる、以下の公報に示されるIGF−1特異抗体であるL1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、L14H14、L15H15、L16H16、L17H17、L18H18、L19H19、L20H20、L21H21、L22H22、L23H23、L24H24、L25H25、L26H26、L27H27、L28H28、L29H29、L30H30、L31H31、L32H32、L33H33、L34H34、L35H35、L36H36、L37H37、L38H38、L39H39、L40H40、L41H41、L42H42、L43H43、L44H44、L45H45、L46H46、L47H47、L48H48、L49H49、L50H50、L51H51、L52H52、及びIGF−1R−結合フラグメント及びその誘導体を含むがそれに限定されず、IGF−1受容体特異抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開第WO06/069202号に記載されているものなどの、IGF−1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0207】
また、本発明の方法及び組成物における使用のための抗IGF−1R抗体の非限定的例の中には、以下に記載されているものの各々及び全てがある。
(i)次の特許公開の中に記載されている抗体1A(DSMZ受託番号DSM ACC 2586)、抗体8(DSMZ受託番号DSM ACC 2589)、抗体23(DSMZ受託番号DSM ACC 2588)、及び抗体18を含むがこれらに限定されない、米国特許公開第2006/0040358号(2006年2月23日公開)、同第2005/0008642号(2005年1月13日公開)、同第2004/0228859号(2004年11月18日公開)、
(ii)次の中に記載される抗体2F8、A12、及びIMC−A12を含むがこれらに限定されない、PCT公開第WO06/138729号(2006年12月28日公開)及び同第WO05/016970号(2005年2月24日公開)、及びLu et al.(2004),J.Biol.Chem.279:2856−2865、
(iii)PCT公開第WO07/012614号(2007年2月1日公開)、同第WO07/000328号(2007年1月4日公開)、同第WO06/013472号(2006年2月9日公開)、同第WO05/058967号(2005年6月30日公開)、及び同第WO03/059951号(2003年7月24日公開)、
(iv)次の特許公開の中に記載される抗体7C10、キメラ抗体C7C10、抗体h7C10、抗体7H2M、キメラ抗体*7C10、抗体GM607、ヒト化抗体7C10バージョン1、ヒト化抗体7C10バージョン2、ヒト化抗体7C10バージョン3、及び抗体7H2HMを含むがこれらに限定されない、米国特許公開第2005/0084906号(2005年4月21日公開)、
(v)次のものの中に記載される抗体EM164、再表面形成されたEM164、ヒト化EM164、huEM164 v1.0、huEM164 v1.1、huEM164 v1.2、及びhuEM164 v1.3を含むがこれらに限定されない、米国特許公開第2005/0249728号(2005年11月10日公開)、同第2005/0186203号(2005年8月25日公開)、同第2004/0265307号(2004年12月30日公開)、及び同第2003/0235582号(2003年12月25日公開)、ならびにMaloney et al.(2003),Cancer Res.63:5073−5083、
(vi)次の中に記載されるATCC受託番号PTA−2792、PTA−2788、PTA−2790、PTA−2791、PTA−2789、PTA−2793、及び抗体2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、及び4.17.3を有するハイブリドーマによって産生された抗体の各々を含むがこれらに限定されない、抗体CP−751,871などの、米国特許第7,037,498号(2006年5月2日発行)、米国特許公開第2005/0244408号(2005年11月30日公開)及び同第2004/0086503号(2004年5月6日公開)、及びCohen,et al.(2005),Clinical Cancer Res.11:2063−2073、
(vii)次の特許公開の中に記載される抗体19D12と、ATCCに受託番号PTA−5214で受託されているプラスミド15H12/19D12 HCA(γ4)のポリヌクレオチドによってコードされる重鎖、及びATCCに受託番号PTA−5220で受託されているプラスミド15H12/19D12 LCF(κ)のポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖を含む抗体と、を含むがこれらに限定されない、米国特許公開第2005/0136063号(2005年6月23日公開)及び同第2004/0018191号(2004年1月29日公開)、ならびに
(viii)各々及び全てが、特にIGF−1受容体を標的にする前述の抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる次の特許公開の中に記載される抗体PINT−6A1、PINT−7A2、PINT−7A4、PINT−7A5、PINT−7A6、PINT−8A1、PINT−9A2、PINT−11A1、PINT−11A2、PINT−11A3、PINT−11A4、PINT−11A5、PINT−11A7、PINT−11A12、PINT−12A1、PINT−12A2、PINT−12A3、PINT−12A4、及びPINT−12A5を含むがこれらに限定されない、米国特許公開第2004/0202655号(2004年10月14日公開)、
【0208】
B−7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等(文献中でB7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも称される「B7RP−1」)で、特にB7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体、特にB7RP−1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体、特にB7RP−1と特に活性化T細胞上のB7RP−1の自然受容体であるICOSとの相互作用を抑制するもの、特に、各々が前述の公開に開示されるその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる、次のとおりに下記の特許公開の中に示される抗体、すなわち、16H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号1及び配列番号7を有する)、5D(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号2及び配列番号9を有する)、2H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号3及び配列番号10を有する)、43H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号6及び配列番号14を有する)、41H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号5及び配列番号13を有する)、ならびに15H(その中に軽鎖可変領域配列及び重鎖可変領域配列、それぞれ配列番号4及び配列番号12を有する)を含むがそれらに限定されない、前述の点の全てにおいて、そのような抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2008/0166352号及びPCT公開第WO07/011941号に開示されているもの、
【0209】
例えば、146B7等のHuMax IL−15抗体と関連タンパク質等を含むがこれに限定されず、、ペプチボディを含む、各々がIL−15特異抗体及び関連タンパク質に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2003/0138421号、同第2003/023586号、及び同第2004/0071702号、ならびに米国特許第7,153,507号に開示されるもの等の特に抗体で、具体的に、ヒト化モノクローナル抗体などの、IL−15特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0210】
特に、例えば、次の特許公開の中で1118、1118*、1119、1121、及び1121*と示されている抗体で、IFNγ特異抗体に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2005/0004353号に記載されているもの等の特にヒトIFNγ特異抗体、特に完全ヒト抗IFNγ抗体である、IFN γ特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。これらの抗体の各々の重鎖及び軽鎖の配列全体と、これらの重鎖及び軽鎖可変領域ならびに相補性決定領域の配列は各々、前述の公開及びThakur et al.(1999),Mol.Immunol.36:1107−1115に開示されるようにその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる。さらに、前述の公報の中に提供されるこれらの抗体の特性の説明もまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特異抗体には、前述の公報に開示されているように、配列番号17の重鎖及び配列番号18の軽鎖を有するもの、配列番号6の重鎖可変領域及び配列番号8の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号19の重鎖及び配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号10の重鎖可変領域及び配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号32の重鎖及び配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号30の重鎖可変領域及び配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖配列及び配列番号22の軽鎖配列を有するもの、配列番号14の重鎖可変領域及び配列番号16の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖及び配列番号33の軽鎖を有するもの、ならびに配列番号14の重鎖可変領域及び配列番号31の軽鎖可変領域を有するものが含まれる。企図される特異抗体は、前述の米国公報に開示されているように前述の米国公報に開示される配列番号17の完全重鎖を有し、前述の米国公報に開示される配列番号18の完全軽鎖を有する抗体1119、
【0211】
各々が以下の公報に開示されるようにその全体が参照により完全に本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれ、各々がTALL−1結合タンパク質、特に表4及び5Bの分子に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2003/0195156号及び同第2006/0135431号に記載されているもの等の、TALL−1特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、ならびに他のTALL特異結合タンパク質、
【0212】
特に部分的にPTHと結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,756,480号に記載されているもの等の、副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0213】
特に部分的にTPO−Rと結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,835,809号に記載されているもの等の、トロンボポチエン受容体(「TPO−R」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0214】
特に部分的にHGFと結合するタンパク質に関連してその各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2005/0118643号及びPCT公開第WO2005/017107号に記載される肝細胞増殖因子/分散(HGF/SF)と、米国特許第7,220,410号に記載されるhuL2G7と、米国特許第5,686,292号及び同第6,468,529号ならびにPCT公開第WO96/38557号に記載されるOA−5d5と、を中和する完全ヒトモノクローナル抗体等のHGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c−Met)を標的にするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、
【0215】
特に部分的にTRAIL−R2と結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,521,048号に記載されているもの等の、TRAIL−R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、
【0216】
特に部分的にアクチビンAと結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2009/0234106号に記載されているものを含むが、それらに限定されない、アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、
【0217】
特に部分的にTGF−βと結合するタンパク質に関連してその各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,803,453号及び米国特許公開第2007/0110747号に記載されているものを含むが、それらに限定されない、TGF−β特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、
【0218】
特に部分的にアミロイドβタンパク質と結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開第WO2006/081171号に記載されているものを含むが、それらに限定されない、アミロイドβタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。企図される1つの抗体は、前述の公報に開示されているように、配列番号8を含む重鎖可変領域及び配列番号6を有する軽鎖可変領域を有する抗体、
【0219】
特に部分的にc−Kit及び/または他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2007/0253951号に記載されているものを含むが、それらに限定されない、c−Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、
【0220】
特に部分的にOX40L及び/またはOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質に関連して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2006/0002929号に記載されているものを含むが、それらに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、
【0221】
Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンα)、Epogen(登録商標)(エポエチンα、またはエリスロポエチン)、GLP−1、Avonex(登録商標)(インターフェロンβ−1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インターフェロン−β)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンδ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7 mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF阻害薬)、Eprex(登録商標)(エポエチンα)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c−ErbB−1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、溶液中のインスリン、Infergen(登録商標)(インターフェロンalfacon−1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、遺伝子組換えのヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM−CSF)、LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb)、Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t−PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール−エポエチンβ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、pexelizumab(抗補体C5)、Numax(登録商標)(MEDI−524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17−1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(レルデリムマブ)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM−1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、カンツズマブメルタンシン(huC242−DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンβ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン−11)、Neulasta(登録商標)(ペグ化フィルガストリム、ペグ化G−CSF、ペグ化hu−Met−G−CSF)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G−CSF、hu−MetG−CSF)、Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ−CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンα)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax−CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon−A(登録商標)−(インターフェロンα−2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、146B7−CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号を参照のこと)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb)、Valortim(登録商標)(MDX−1303、抗炭疽菌防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL−1 trap(ヒトIgG1のFc部分及びIL−1受容体構成要素(I型受容体及び受容体補助タンパク質)両方の細胞外ドメイン)、VEGF trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL−2Rα mAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチミブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI−Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ)、BR2−Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬)、CNTO148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb)、HGS−ETR1(マパツズマブ、ヒト抗TRAIL受容体−1 mAb)、HuMax−CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax−EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX−010(イピリムマブ、抗CTLA−4 mAb及びVEGFR−1(IMC−18F1)、抗BR3 mAb、抗C.クロストリジウム・ディフィシル毒素Aならびに毒素B C mAbs MDX−066(CDA−1)及びMDX−1388)、抗CD22 dsFv−PE38 抱合体(CAT−3888及びCAT−8015)、抗CD25 mAb(HuMax−TAC)、抗CD3 mAb(NI−0401)、アデカツムマブ、抗CD30 mAb(MDX−060)、MDX−1333(抗IFNAR)、抗CD38 mAb(HuMax CD38)、抗CD40L mAb、抗Cripto mAb、抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG−3019)、抗CTLA4 mAb、抗エオタキシン−1 mAb(CAT−213)、抗FGF8 mAb、抗ガングリオシドGD2 mAb、抗ガングリオシドGM2 mAb、抗GDF−8ヒトmAb(MYO−029)、抗GM−CSF受容体mAb(CAM−3001)、抗HepC mAb(HuMax HepC)、抗IFNα mAb(MEDI−545、MDX−1103)、抗IGF1R mAb、抗IGF−1R mAb(HuMax−Inflam)、抗IL12 mAb(ABT−874)、抗IL12/IL23 mAb(CNTO1275)、抗IL13 mAb(CAT−354)、抗IL2Ra mAb(HuMax−TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX−018、CNTO95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX−1100)、抗LLY抗体、BMS−66513、抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX−1307)、抗メソテリンdsFv−PE38抱合体(CAT−5001)、抗PD1mAb(MDX−1106(ONO−4538))、抗PDGFRα抗体(IMC−3G3)、抗TGFβ mAb(GC−1008)、抗TRAIL受容体−2ヒトmAb(HGS−ETR2)、抗TWEAK mAb、抗VEGFR/Flt−1 mAb、抗ZP3 mAb(HuMax−ZP3)、NVS抗体1番、ならびにNVS抗体2番を含む、他の例となるタンパク質。
【0222】
ロモソズマブ、ブロソズマブ、またはBPS804(Novartis)等であるが、それらに限定されない、スクレロスチン抗体もまた含まれ得る。リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、二リン酸モテサニブ、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント、パニツムマブ、デノスマブ、NPLATE、PROLIA、VECTIBIX、またはXGEVA等の治療剤がさらに含まれ得る。さらに、例えば米国特許第8,030,547号、米国特許公開第2013/0064825号、国際公開第2008/057457号、同第2008/057458号、同第2008/057459号、同第2008/063382号、同第2008/133647号、同第2009/100297号、同第2009/100318号、同第2011/037791号、同第2011/053759号、同第2011/053783号、同第2008/125623号、同第2011/072263号、同第2009/055783号、同第2012/0544438号、同第2010/029513号、同第2011/111007号、同第2010/077854号、同第2012/088313号、同第2012/101251号、同第2012/101252号、同第2012/101253号、同第2012/109530号、及び同第2001/031007号の、ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合させるモノクローナル抗体(IgG)も、本装置に含ませることができる。
【0223】
黒色腫または他の癌の治療のためのタリモジーン・ラハーパレプベックまたは別の腫瘍溶解性HSVもまた、含めることができる。腫瘍溶解性HSVの例には、タリモジーン・ラハーパレプベック(米国特許第7,223,593号及び同第7,537,924号)、OncoVEXGALV/CD(米国特許第7,981,669号)、OrienX010(Lei et al.(2013),World J.Gastroenterol.,19:5138−5143)、G207、1716、NV1020、NV12023、NV1034及びNV1042(Vargehes et al.(2002),Cancer Gene Ther.,9(12):967−978)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0224】
TIMPもまた含まれる。TIMPは、メタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)であり、多くの自然過程において重要である。TIMP−3は、様々な細胞によって発現される、または/及び細胞外基質内に存在し、全ての主な軟骨分解メタロプロテアーゼを抑制し、リウマチ性関節炎及び骨関節炎を含む結合組織の多くの分解疾患における役割において、ならびに癌及び心臓血管状態において役割を担い得る。TIMP−3のアミノ酸配列、及びTIMP−3をコードするDNAの核酸配列は、2003年5月13日発行の米国特許第6,562,596号に開示されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。TIMP変異の説明は、米国特許公開第2014/0274874号及びPCT公開第WO2014/152012号に見出すことができる。
【0225】
ヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体の拮抗的抗体、ならびにCGRP受容体及び他の頭痛標的を標的にする二重特異性抗体分子もまた含まれる。これらの分子に関するさらなる情報は、PCT出願第WO2010/075238号に見出すことができる。
【0226】
さらに、二重特異性T細胞誘導抗体(BiTe)、例えば、ブリノツモマブ本装置に使用することができる。あるいは、APJ巨大分子作動薬、例えば、アペリンまたはその類似体を本装置に含めることができる。そのような分子に関連する情報は、PCT公開第WO2014/099984号に見出すことができる。
【0227】
ある特定の実施形態において、薬剤は、治療有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)またはTSLP受容体抗体を含む。そのような実施形態において使用され得る抗TSLP抗体の例には、米国特許第7,982,016号、及び同第8,232,372号、ならびに米国特許公開第2009/0186022号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。抗TSLP受容体抗体の例には、米国特許第8,101,182号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。特に好適な実施形態において、薬剤は、米国特許第7,982,016号内にA5として示される治療的有効量の抗TSLP抗体を含む。
【0228】
本明細書に記載される薬物送達装置及び薬物送達システムの様々な実施形態の構成は、例示のみであることに留意されたい。薬物送達装置及び薬物送達システムのいくつかの実施形態のみが本開示において詳述されているが、本開示を再考察する当業者は、本開示の主題の新しい教示及び利点から著しく逸脱することなく、多くの変更(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状、及び比率、パラメータの値、設置の配置、材料の使用、配向等における変化)が可能であることを容易に理解するであろう。例えば、本明細書に記載されるセンサ及び/または制御可能要素のうちの1つ以上の任意の組み合わせが、本明細書に記載される薬物送達システム及び薬物送達装置のうちの1つ以上内に組み込まれ得る。また、本明細書に記載されるいずれのプロセスまたは方法ステップの順序または配列も、代替実施形態に従って、任意の組み合わせで変化し得るか、または再配列され得る。さらに、本開示の最後に記載されている特許請求の範囲の1つ以上の要素のうちの1つ以上の任意の組み合わせが、可能である。
【0229】
先行する本文が、本発明の異なる実施形態の詳細な説明を記載しているが、本発明の法的範囲は、本特許の最後に記載されている特許請求の範囲における語によって定義されることを理解されたい。詳細な説明は、単に例示的であるとして解釈され全ての考えられる実施形態の説明は、不可能でない場合、非現実的であるため、本発明の全ての考えられる実施形態を説明していない。数多くの代替実施形態は、本発明を定義する特許請求の範囲内に依然としてある現在技術、または本特許の出願日後に開発された技術のいずれかを使用して実施することができる。
【0230】
用語は、「本明細書において使用する場合、用語「______」は本明細書において...を意味すると定義される」という文、またはそれに類似した文を使用して本特許において明示的に定義されていない限り、その単純または従来の意味を超えて、明示的にまたは含意によってのいずれでも、その用語の意味を制限することを意図せず、そのような用語は、(特許請求の範囲における専門用語以外の)本特許のいずれかの部分において行われたいずれかの陳述に基づいて範囲を制限すると解釈されるべきではないことを理解されたい。本特許の最後で特許請求項において引用されるいずれかの用語が単一の意味と一貫した様式で本明細書において参照される程度において、それは読者を混乱させないために明確さの目的のために行われ、そのような特許請求の範囲における用語は、含意によってまたはさもなければ、単一の意味に限定することを意図しない。最後に、特許請求の範囲における要素が任意の構造の詳説なしに「手段」という単語及び機能を列挙することにより定義されない限り、いずれの特許請求の範囲における要素の範囲も、35 U.S.C.§112、6段落の適用に基づいて解釈されることを意図しない。