(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6817077
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】収穫用鋏
(51)【国際特許分類】
A01G 3/02 20060101AFI20210107BHJP
B26B 13/22 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
A01G3/02 501Z
B26B13/22
A01G3/02 501F
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-481(P2017-481)
(22)【出願日】2017年1月5日
(65)【公開番号】特開2018-108058(P2018-108058A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025678
【氏名又は名称】株式会社サボテン
(74)【代理人】
【識別番号】100103654
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】石田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】加古 和也
【審査官】
田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−185444(JP,U)
【文献】
特開平01−074930(JP,A)
【文献】
実開平04−052857(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3155012(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3191756(JP,U)
【文献】
実開平05−029332(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 1/00− 1/14
A01D 45/00−45/30
A01G 3/00− 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する一対の刃体と、該一対の刃体を軸支する軸部と、該軸部よりも基方に設けられ前記刃体の開閉を操作する一対の把手とを有する収穫用鋏であって、
収穫物の長さを測定する測定棒を、前記軸部に着脱自在で設け、
前記軸部は、前記刃体よりも突出した部位に、ねじ軸を有し、
前記測定棒は、前記ねじ軸に螺合するねじ部を有することを特徴とする収穫用鋏。
【請求項2】
互いに交差してこの交差位置よりも先方で収穫物を弾性的に挟持する一対のクランプを有し、
該一対のクランプは、軸部よりも先方で交差することを特徴とする請求項1記載の収穫用鋏。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスパラガスなどの収穫に好適な収穫用鋏に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示すように、相対応する一対の刃と、この刃の基端部に連設された把手とを有する鋏は、アスパラガスなどの収穫物を共同で挟持する第1,2挟持部材と、刃面と略直角方向に伸びる所定長さの測定棒とを有する。この鋏は、収穫物の上端部と測定棒の上端部とを対向させて位置あわせした状態で刃を閉じて切断することで、収穫物を均一な長さで収穫して、均一な長さに揃えた収穫物を容易に出荷することができる。
【0003】
また、特許文献2に示すように、収穫用鋏は、挟持体または刃の少なくともいずれか一方に刃面と実質的に直交方向に伸びる測定棒が設けてある。この収穫用鋏は、測定棒の上端にアスパラガスなどの収穫物の上端を合わせた状態で収穫物を切断することで、収穫物を均一な長さで収穫して、均一な長さに揃えた収穫物を容易に出荷することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平2−10916号公報
【特許文献2】実開平7−30631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2などに示す鋏では、測定棒が刃面に直交して長く突出するため、鋏の持ち運びや収納にあたり測定棒に合せて広いスペースが必要となり、鋏の持ち運びや収納を行いにくい。さらに、鋏は、突出した測定棒と周囲との接触などで、測定棒の変形や破損などを生じやすい。
【0006】
また、特許文献1,2などに示す挟持部材や挟持体に測定棒を設けた鋏は、開閉動作に伴う測定棒の移動や挟持部材の弾性による測定棒の揺れなどにより安定した測定が行いにくく、収穫物の長さを揃えにくい。特に、両方可動刃の場合では、片方が固定刃でもう片方が可動刃である場合と違い、測定棒が揺れやすく、安定した測定が行いにくい。
【0007】
したがって、安全でコンパクトに収納することができ、かつ収穫時にアスパラガスなどの収穫物を安定して測定できる収穫用鋏を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の収穫用鋏は、上記課題に鑑み、互いに交差する一対の刃体と、一対の刃体を軸支する軸部と、軸部よりも基方に設けられ刃体の開閉を操作する一対の把手とを有する収穫用鋏であって、収穫物の長さを測定する測定棒を、軸部に着脱自在で設け
、前記軸部は、前記刃体よりも突出した部位に、ねじ軸を有し、前記測定棒は、前記ねじ軸に螺合するねじ部を有することを特徴とするものである。
【0009】
また、上述した構成に加え、互いに交差してこの交差位置よりも先方で収穫物を弾性的に挟持する一対のクランプを有し、一対のクランプは、軸部よりも先方で交差する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、測定棒を着脱自在としたことで、非使用時に測定棒を取り外してコンパクトに収納することができる。これにより、本発明は、持ち運びや梱包などを行いやすくできる。さらに、本発明は、測定棒を取り外すことで、周囲との接触による測定棒の変形や破損などを防止して、安全に持ち運びや梱包などを行うことができる。また、本発明は、測定棒を軸部に配置したことで、刃体の開閉動作に伴う測定棒の移動や測定棒の揺れなどを回避・軽減して、安定した測定を行うことができる。これにより、本発明は、容易にかつ正確に長さを揃えて収穫物を収穫することができる。
【0012】
前記収穫用鋏において、収穫用鋏は、切断した収穫物をクランプにより保持することで、収穫作業を行いやすくできる。さらに、収穫用鋏は、クランプが測定棒より先方で交差するため、クランプの開閉動作が測定棒に干渉しにくくなる。これにより、収穫用鋏は、該開閉動作による測定棒の移動や揺れなどを回避・軽減して、安定した測定を行うことができる。
【0013】
前記収穫用鋏において、収穫用鋏は、測定棒を軸部に対して螺合により着脱自在としたことで、測定棒を軸部に安定してかつ強固に装着でき、さらに装着棒を軸部から容易に離脱できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る収穫用鋏の一例を示す側面図である。
【
図2】
図1の収穫用鋏の鋏本体と測定棒とを分離した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
収穫用鋏1は、
図1に示すように、収穫物9(
図4参照)を切断する鋏本体2と、収穫物9の長さを測定する測定棒3とを備える。収穫用鋏1は、
図2に示すように、測定棒3が鋏本体2に着脱自在である。収穫物9は、例えば、野菜や草花などの植物であり、特にアスパラガスなどの茎野菜が好ましい。
【0017】
鋏本体2は、
図2,3に示すように、刃体部4と、グリップ5とを備える。グリップ5は、一対の把手51,51と、刃体部4及びグリップ5を閉じた状態に保持する留め具52とを有する。留め具52は一方の把手51,51に連結して設けてあり、他方の把手51に係脱自在である。鋏本体2は、留め具52を他方の把手51に係止することで、グリップ5の開閉動作を規制して、グリップ5を閉じた状態に保持する。
【0018】
刃体部4は、互いに交差する一対の刃体41,41と、一対の刃体41,41をその交差位置で軸支する軸部42と、互いに交差する一対のクランプ43,43と、一対の刃体41,41を開く側に付勢するばね53とを有する。以下、刃体41の刃先側を先方(前方)、把手51側を基方(後方)とする。
【0019】
一対の刃体41,41は、
図4に示すように、軸部42を支点に回動することで、開閉する。なお、
図4では、説明の便宜上、収穫物9及び収穫物9を挟持した状態のクランプ43,43を二点鎖線で示した。
【0020】
一対の刃体41,41は、その軸支位置(交差位置)よりも先方に略平らな刃面を有する。このため、一対の刃体41,41は、先方に収穫物9を配置して閉じることで、収穫物9を切断する。各刃体41,41は、その後端に夫々一つの把手51が設けてある。このため、一対の把手51,51は軸部42を支点に回動し、一対の刃体41,41は一対の把手51,51の開閉動作(回動)に応じて開閉する。また、刃体部4は、留め具52でグリップ5の開閉動作を規制することで、閉じた状態に保持される。
【0021】
軸部42は、その軸心が刃体41の刃面に直交する。軸部42は、
図2に示すように、軸心方向において刃体41よりも突出した部位に、ねじ軸44(雄ねじ)を有する。ねじ軸44は、その軸心方向が刃体41の刃面に直交する。以下、軸心方向において、ねじ軸44側を上方とし、反対側を下方とする。
【0022】
一対のクランプ43,43は刃体41よりも上方に配置される。一対のクランプ43,43は弾性を有する。一対のクランプ43,43は軸部42よりも先方で交差する。一対のクランプ43,43は、
図4に示すように、その交差位置よりも先方に収穫物9を配置して閉じることで、収穫物9を弾性的に挟持する。
【0023】
測定棒3は、長尺な測定部31と、鋏本体2に装着される被着部32とを有する。測定棒3は、測定部31の長手方向を軸部42の軸心と平行にして、被着部32を軸部42に装着させることで、鋏本体2に着脱自在で取り付けられる。
【0024】
被着部32は、その上端部に測定部31の下端部が固定される。被着部32は、その下端部に測定部31と同心のねじ穴(雌ねじ)を有する。ねじ穴はねじ軸44に螺合する。つまり、被着部32は、ねじ軸44に螺合するねじ部である。被着部32は、例えば、円柱部材で形成される。
【0025】
測定部31は、例えば、被着部32よりも小径の円柱部材で形成される。測定部31は被着部32と同心で設けてあり、被着部32から上方に突出する。このため、測定棒3を鋏本体2に装着した状態では、測定部31は軸部42と同心に配置される。
【0026】
測定部31は、その上端部が屈曲加工されており、収穫物9を切断する際に収穫物9を測定する目印となる。つまり、測定棒3は、収穫物9を測定する目印を有する。収穫用鋏1は、例えば、測定部31の目印を収穫物9の上端に合せて収穫物9を鋏本体2で切断することで、収穫物9を一定の長さに揃えて切断することができる。なお、測定部31は、長手方向の途中の所定の高さ位置に目印を有してもよい。
【0027】
収穫用鋏1は、例えば、地表にあるアスパラガスを収穫する時などに、刃面を水平や略水平にして使用されるため、把手51を後方側ほど刃面に対して上方に位置する姿勢に傾けて設けることで、把手51を握る手の地面などとの接触を抑制している。
【0028】
以上述べたように、収穫用鋏1は、測定棒3を着脱自在としたことで、非使用時に測定棒3を取り外して、コンパクトに収納することができる。これにより、収穫用鋏1は、持ち運びや梱包などを行いやすくできる。さらに、収穫用鋏1は、測定棒3を取り外すことで、周囲との接触による測定棒3の変形や破損などを防止して、安全に持ち運びや梱包などを行うことができる。
【0029】
また、収穫用鋏1は、測定棒3を軸部42に配置したことで、刃体部4の開閉動作に伴う測定棒3の移動や揺れなどを回避・軽減して、安定して測定することができる。これにより、収穫用鋏1は、容易にかつ正確に長さを揃えて収穫物9を収穫することができる。さらに、収穫用鋏1は、測定棒3を着脱自在としたことで、例えば寸法の異なる測定棒3を装着して、揃える長さを変更することができる。
【0030】
収穫用鋏1は、切断した収穫物9をクランプ43,43により保持することで、収穫作業を行いやすくできる。さらに、収穫用鋏1は、クランプ43,43が測定棒3より先方で交差するため、クランプ43,43の開閉動作が測定棒3に干渉しにくくなる。これにより、収穫用鋏1は、該開閉動作に伴う測定棒3の移動や揺れを回避・軽減して、安定して測定することができる。
【0031】
収穫用鋏1は、測定棒3を軸部42に対して螺合により着脱自在としたことで、測定棒3を軸部42に安定してかつ強固に装着でき、かつ測定棒3を軸部42から容易に離脱できる。
【符号の説明】
【0032】
1…収穫用鋏、2…鋏本体、3…測定棒、31…測定部、32…被着部、4…刃体部、41…刃体、42…軸部、43…クランプ、44…ねじ軸、5…グリップ、51…把手、52…留め具、53…ばね