(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
[一実施形態]
(構成)
図1は、本実施形態に係る電源装置2を備えた照明装置100の電気回路構成図である。なお
図1は、概略の回路構成を示しており、実際の回路構成で備える各種の要素の一部の図示を省略している。
【0012】
照明装置100は、光源ユニット1及び電源装置2を備える。光源ユニット1は、電源装置2によって点灯制御される発光負荷(発光ランプとも称する)であり、電源装置2に対して着脱自在である。電源装置2は、照明装置100の本体に固定的に備えられている。
【0013】
光源ユニット1は、複数の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)D11と抵抗器R11とを備える。複数の発光ダイオードD11は直列に接続されている。また図示しないが、光源ユニット1は、発光ダイオードD11と並列に抵抗素子も接続されている。抵抗器R11は、発光ダイオードD11の直列回路における電流出力端に接続されている。光源ユニット1は、発光ダイオードD11の直列回路における電流入力端及び電流出力端と、抵抗器R11の発光ダイオードD11に接続されていない端部とにそれぞれ、電源装置2へと着脱自在に装着するための端子T11,T12,T13を設けている。
【0014】
なお、発光ダイオードD11の数は任意である。光源ユニット1は、発光ダイオードD11を1つだけ設けたものであってもよい。また、
図1に示す様な発光ダイオードD11の直列回路を、複数並列に接続したものであってもよい。なお光源ユニット1は、発光ダイオードD11に代えて例えば有機EL(Electro Luminescence)等の別の種類の発光デバイスを光源として設けていてもよい。
【0015】
電源装置2は、商用電源等の外部電源200からの電力供給を受けて、負荷として接続される光源ユニット1の発光ダイオードD11を発光させるための直流電力を生成する。そして電源装置2は、生成した直流電力を給電端子T31,T32,T33に装着された光源ユニット1に供給して点灯を制御する。
【0016】
電源装置2は、整流回路10、力率改善回路20、降圧チョッパ回路30、制御回路40及び装着検出回路50を含む。また電源装置2は、ダイオードD1と、コンデンサC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7と、抵抗器R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R101,R102,R103とを備える。
【0017】
整流回路10の一対の入力端は、2つの被給電端子T21,T22にそれぞれ接続されている。この2つの被給電端子T21,T22には、商用電源等の外部電源200に接続された2本の電源線が、図示しない電源スイッチを介してそれぞれ結線される。この結線により、整流回路10の一対の入力端に外部電源200から電源スイッチを介して交流電力が供給される。整流回路10は、交流電力を整流して直流電力を出力する。整流回路10が一対の出力端の間に出力する直流電力は、コンデンサC1により平滑化された上で力率改善回路20へと供給される。コンデンサC1は、一端を整流回路10の出力端の1つに接続し、他端を主回路の基準電位であるグランドに接続している。尚、コンデンサC1の容量は、数μF程度であるため、この両端電圧は正弦波を全波整流した脈流電圧となっている。
【0018】
力率改善回路20は、コンデンサC1により平滑化された直流電力を力率改善のために昇圧する。力率改善回路20は、PFC(Power Factor Correction)回路とも称される。力率改善回路20は、トランスTr21、スイッチング素子Q21、電解コンデンサC21、ダイオードD21及び抵抗器R21,22を含む。
【0019】
トランスTr21は、一次側のコイルL21及び二次側のコイルL22を備える。トランスTr21は、一次側のコイルL21の入力端をコンデンサC1の一端に接続し、出力端をダイオードD21のアノードに接続している。トランスTr21は、二次側のコイルL22の入力端をグランドに接続し、出力端を抵抗器R22の一端に接続している。抵抗器R22は、一端をコイルL22の出力端に接続し、他端を制御回路40のZCD端子に接続している。
【0020】
スイッチング素子Q21は、Nチャンネルの電界効果トランジスタ(FET)である。スイッチング素子Q21は、ドレイン端子をコイルL21の出力端とダイオードD21のアノードとの接続点に接続し、ソース端子を、抵抗器R21の一端と制御回路40のCS端子とに接続し、ゲート端子を制御回路40のGD端子に接続している。抵抗器R21は、一端をスイッチング素子Q21のソース端子に接続し、他端をグランドに接続している。ダイオードD21は、アノードをコイルL21の他端とスイッチング素子Q21のドレイン端子との接続点に接続し、カソードを電解コンデンサC21の一端に接続している。電解コンデンサC21は、一端をダイオードD21のカソード接続し、他端をグランドに接続している。電解コンデンサC21の両端子は、力率改善回路20の出力端子となる。
【0021】
かかる接続により、スイッチング素子Q21のドレイン端子とソース端子との間に、ダイオードD21と電解コンデンサC21との直列回路が形成される。一方、スイッチング素子Q21は、ゲート端子に印加されるゲート信号がオンすると導通し、コンデンサC1、コイルL21及び抵抗器R21を含む閉回路を形成する。またスイッチング素子Q21は、ゲート端子に印加されるゲート信号がオフすると開放し、上記閉回路を遮断する。その結果、電解コンデンサC21は、スイッチング素子Q21が遮断状態にあるときコンデンサC1にチャージされた電圧によって充電され、導通状態にあるとき放電する。かくして力率改善回路20は、整流回路10で整流された直流電圧をスイッチング素子Q21のスイッチング動作により昇圧し、所定の直流電圧を得て、降圧チョッパ回路30に出力する。
【0022】
降圧チョッパ回路30は、スイッチング素子Q31と、電力蓄積用のインダクタL31と、出力用のコンデンサC31と、回生用のダイオードD31と、抵抗器R31,R32とを含む。スイッチング素子Q31は、Nチャンネルの電界効果トランジスタ(FET)である。スイッチング素子Q31は、ドレイン端子を力率改善回路20の一方の出力端子である電解コンデンサC21の一端に接続し、ソース端子をインダクタL31の入力端とダイオードD31のカソードとに接続し、ゲート端子を制御回路40のHO端子に接続している。インダクタL31は、入力端をスイッチング素子Q31のソース端子に接続し、出力端をコンデンサC31の一端に接続している。コンデンサC31は、一端をインダクタL31の出力端に接続し、他端を抵抗器R31の一端に接続している。抵抗器R31は、一端をコンデンサC31の他端に接続し、他端をダイオードD31のアノードに接続している。ダイオードD31は、カソードをスイッチング素子Q31のソース端子とインダクタとの接続点に接続し、アノードをグランドに接続している。
【0023】
降圧チョッパ回路30は、コンデンサC31の両端を電源装置2の給電端子T31,T32及びT33に接続している。具体的には、降圧チョッパ回路30は、コンデンサC31のインダクタL31の出力端と接続されている側を給電端子T31に接続し、コンデンサC31の抵抗器R31と接続されている側を給電端子T33に接続している。また、コンデンサC31の抵抗器R31と接続されている側を、抵抗器R32を介して給電端子T32に接続している。
【0024】
ちなみに、負荷としての光源ユニット1が電源装置2に接続される場合、給電端子T31には光源ユニット1の端子T11が接続され、給電端子T32には光源ユニット1の端子T12が接続され、給電端子T33には光源ユニット1の端子T13が接続される。端子T11は、光源ユニット1の電流入力端子である。端子T12は、光源ユニット1の電流出力端子である。
【0025】
かかる接続により、スイッチング素子Q31は、ゲート端子に印加されるゲート信号がオンすると導通し、力率改善回路20の出力電流をインダクタL31へと導く。スイッチング素子Q31は、ゲート端子に印加されるゲート信号がオフすると開放し、力率改善回路20の出力電流を遮断する。インダクタL31は、スイッチング素子Q31がオンして直流電圧が印加されているときその直流電力を蓄え、スイッチング素子Q31がオフして直流電圧が印加されなくなったならば、蓄えた直流電力を放出する。インダクタL31から放出された直流電力は、コンデンサC31で平滑され、給電端子T31,T32,T33に接続された負荷、例えば光源ユニット1へと供給される。
【0026】
装着検出回路50は、ダイオードD51と、抵抗器R51,R52,R53及びR54とを含む。装着検出回路50は、抵抗器R54の一端を制御回路40のVC2端子に接続し、他端をダイオードD51のアノードに接続し、ダイオードD51のカソードを電源装置2の給電端子T31に接続している。また装着検出回路50は、抵抗器R51と抵抗器R52とで直列抵抗回路R51−R52を形成し、この直列抵抗回路R51−R52の一端をダイオードD51のアノードに接続し、他端をグランドに接続している。したがって、直列抵抗回路R51−R52は、降圧チョッパ回路30のコンデンサC31と並列に接続されている。
【0027】
装着検出回路50は、直列抵抗回路R51−R52の中点に抵抗器R53の一端を接続し、この抵抗器R53の他端を制御回路40のLamp端子に接続している。ここに装着検出回路50は、直列抵抗回路R51−R52の抵抗比で分圧された電圧の変化により、電源装置2の給電端子T31,T32,T33に負荷が接続されたか否かを制御回路40で判定することを可能とするための回路である。
【0028】
制御回路40は、アナログのIC(Integrated Circuit:集積回路)で構成される。制御回路40は、外部と接続するための外部端子としてMULT端子、GD端子、ZCD端子、CS端子、Vcc端子、VS端子、HO端子、VB端子、VFB端子、VDC端子、OCP端子、VC2端子、LGND端子、Vref端子、OP+端子、OP−端子、ABN端子、Lamp端子、COMP端子及びDIS端子を有する。なお、制御回路40が有する外部端子が上記の各端子に限定されないのは言うまでもない。
【0029】
MULT端子は、抵抗器R1と抵抗器R2とで形成される直列抵抗回路R1−R2の中点に接続される。直列抵抗回路R1−R2は、コンデンサC1の両端子間に接続される。この接続によりMULT端子の電位は、コンデンサC1の出力電圧を直列抵抗回路R1−R2の抵抗比で分圧した電圧に依存する。制御回路40は、MULT端子の電位から力率改善回路20への入力電圧を検出する。
【0030】
GD端子は、スイッチング素子Q21のゲート端子に接続される。制御回路40は、スイッチング素子Q21のゲート信号を生成する。そして制御回路40は、GD端子からスイッチング素子Q21のゲート端子にゲートオンまたはゲートオフのゲート信号を出力する。
【0031】
ZCD端子は、抵抗器R22を介してコイルL22の出力端に接続される。コイルL22は、ZCD端子にコイルL21に流れる電流変化量に対応した電位を供給する。制御回路40は、ZCD端子の電位からトランスTr21の一次側のコイルL21を流れる電流がゼロとなるタイミングを検出し、スイッチング素子Q21をオンするための信号を生成する。
【0032】
CS端子は、スイッチング素子Q21のソース端子に接続される。CS端子の電位は、スイッチング素子Q21のドレイン−ソース間を流れる電流に依存する。制御回路40は、CS端子の電位からスイッチング素子Q21を流れる電流、いわゆるスイッチング電流を検出する。
【0033】
Vcc端子は、ダイオードD1のアノードに接続される。ダイオードD1のカソードは、VB端子に接続されるとともに、ブートストラップ用のコンデンサC2の一端に接続される。コンデンサC2の他端は、VS端子に接続されるとともに、スイッチング素子Q31のソース端子に接続される。制御回路40は、Vcc端子に所定の回路動作電圧Vccを印加する。この回路動作電圧Vccの電位がスイッチング素子Q31のソース端子の電位よりも高いとき、コンデンサC2が充電される。制御回路40は、VB端子からコンデンサC2の一端側(ダイオードD1のカソードに接続されている側)の電位を検出し、VS端子からコンデンサC2の他端側(スイッチング素子Q31のソース端子に接続されている側)の電位を検出する。
【0034】
HO端子は、スイッチング素子Q31のゲート端子に接続される。制御回路40は、コンデンサC2の両端の電位差に基づいてスイッチング素子Q31のゲート信号を生成する。そして制御回路40は、HO端子からスイッチング素子Q31のゲート端子にゲートオンまたはゲートオフのゲート信号を出力する。
【0035】
VFB端子は、抵抗器R3と抵抗器R4とで形成される直列抵抗回路R3−R4の中点に接続される。直列抵抗回路R3−R4は、コンデンサC21の両端子間に接続される。この接続により、VFB端子の電位は、コンデンサC21の出力電圧を直列抵抗回路R3−R4の抵抗比で分圧した電圧に依存する。制御回路40は、VFB端子から力率改善回路20から降圧チョッパ回路30へと出力される直流電圧を検出する。
【0036】
VDC端子は、力率改善回路20におけるダイオードD21のカソードと降圧チョッパ回路30におけるスイッチング素子Q31のドレイン端子との接続点に接続される。この接続により、VDC端子には、力率改善回路20に入力される高電圧の全波整流電圧が印加される。制御回路40は、VDC端子に印加される高電圧から回路動作電圧Vcc等をドロッバ方式で生成する。
【0037】
OCP端子は、抵抗器R5を介して、降圧チョッパ回路30のコンデンサC31と抵抗器R31との接続点に接続される。OCP端子の電位は、抵抗器R31を流れる電流に依存する。抵抗器R31を流れる電流は、降圧チョッパ回路30を流れる電流である。制御回路40は、OCP端子の電位から降圧チョッパ回路30を流れる電流を検出する。
【0038】
VC2端子は、コンデンサC3を介してグランドに接続される。またVC2端子は、抵抗器R54及びダイオードD51を介して電源装置2の給電端子T31に接続される。この接続により、電源装置2の給電端子T31と給電端子T33との間にVC2端子の電位、すなわちコンデンサC3の充電電圧相当の電位が分圧された電圧が印加される。
【0039】
LGND端子は、グランドに接続される。
Vref端子は、抵抗器R101と抵抗器R102とで形成される直列抵抗回路R101−R102とコンデンサC4との並列回路を介してグランドに接続される。OP+端子は、直列抵抗回路R101−R102の中点に接続される。またOP+端子は、コンデンサC5を介してグランドにも接続される。これらの接続により、OP+端子の電位は、抵抗器R101とR102の抵抗分圧によって定まる基準電圧の電位となる。
【0040】
OP−端子は、抵抗器R9を介して電源装置2の給電端子T32に接続される。OP−端子の電位は、抵抗器R11、R31、R32の合成抵抗を流れる電流に依存する。抵抗器R11、R31、R32の合成抵抗を流れる電流は、給電端子T31を流れる電流、すなわち負荷である光源ユニット1が電源装置2に装着された際に光源ユニット1の発光ダイオードD11を流れる電流である。制御回路40は、OP−端子の電位から光源ユニット1の発光ダイオードD11を流れる電流、いわゆる負荷電流を検出する。
【0041】
ABN端子は、抵抗器R7と抵抗器R8とで形成される直列抵抗回路R7−R8の中点に接続される。直列抵抗回路R7−R8は、降圧チョッパ回路30のインダクタL31とコンデンサC31との接続点とグランドとの間に接続される。すなわち直列抵抗回路R7−R8は、コンデンサC31に対して並列に接続される。この接続により、ABN端子の電位は、降圧チョッパ回路30から負荷へと供給される直流電圧を直列抵抗回路R7−R8の抵抗比で分圧した電位に依存する。制御回路40は、ABN端子の電位により、降圧チョッパ回路30から光源ユニット1へと供給される電圧を検出する。
【0042】
Lamp端子は、抵抗器R53を介して直列抵抗回路R51−R52の中点に接続される。直列抵抗回路R51−R52は、電源装置2の給電端子T31と給電端子T33との間に、逆流防止用のダイオードD51を介して接続されている。この接続により、Lamp端子の電位は、電源装置2の給電端子T31と給電端子T33との間の電位差相当の電圧を直列抵抗回路R51−R52の抵抗比で分圧した電圧に依存する。抵抗素子を含む負荷が給電端子T31と給電端子T33との間に接続されると、負荷に電流が流れて給電端子T31と給電端子T33との間の電圧が降下する。負荷が接続されていないと電圧の降下はない。制御回路40は、Lamp端子の電位から、給電端子T31と給電出力端子T33との間の電圧降下を検出する。
【0043】
DIS端子は、抵抗器R6を介して降圧チョッパ回路30のインダクタL31とコンデンサC31との接続点に接続される。制御回路40のDIS端子―GND間にはスイッチが内蔵されており、制御回路40はスイッチをオン・オフ制御する。DIS端子―GND間のスイッチがオンすると、抵抗器R6を介してコンデンサC31の電圧が放電され、インダクタL31とコンデンサC31との接続点電位は略GND電位まで低下する。抵抗器R6は省略可能であるが、コンデンサC31の放電電流を抑制し、DIS端子―GND間に内蔵されるスイッチへのストレスを緩和する為に接続している。なお、GNDは制御回路40の基準電位であり、LGND端子を介して主回路の基準電位であるグランドに接続される。
【0044】
COMP端子は、図示していないが、内蔵されているエラーアンプの出力端子である。エラーアンプは内部基準電圧とVFB電圧の誤差信号を出力する。この誤差信号により自励発振回路のオン幅や周波数等を制御し力率改善回路20の出力電圧をフィードバック制御する。また、COMP端子に接続されるコンデンサC6、C7、抵抗器R103は位相補正用部品である。
【0045】
ところで、制御回路40は次のように構成される。
図2はその要部構成を示すブロック図である。
すなわち、制御回路40は、自励発振回路41と、固定発振回路42と、選択回路43と、点灯制御回路44と、保護回路45と、電源回路46と、オペアンプ47と、監視回路48と、シーケンス制御回路49とを備えている。制御回路40は、各回路41〜49をアナログ回路で構成し、これらの回路を集積回路化したものである。なお制御回路40は、各回路41〜49の少なくとも一部をデジタル回路で構成し、各回路41〜49で行われる処理の少なくとも一部を、コンピュータを用いたソフトウェア処理により実現してもよい。
【0046】
自励発振回路41は、MULT端子、ZCD端子、COMP端子、CS端子およびVFB端子のそれぞれの電位に基づき自励発振動作し、第1のスイッチング素子Q21をオン/オフするためのスイッチング信号(以下、第1のスイッチング信号と称する)を生成する。
【0047】
固定発振回路42は、予め定められた一定周波数のスイッチング信号(以下、第2のスイッチング信号と称する)を生成する。また、固定発振回路42はCタイマと呼称される基準発振信号Ctimを発振する回路を備えている。基準発振信号Ctim は、制御回路40内の各回路に対し基準動作タイミングを与えるもので、周期が例えば200msecに設定された鋸歯状波からなる。さらに固定発振回路42は、上記基準発振信号Ctimより高周波の発振信号Cosc を発振する回路も備えている。
【0048】
選択回路43は、VFB端子の電位、つまり力率改善回路20の出力電圧VDCに基づいて、上記第1のスイッチング信号又は第2のスイッチング信号を選択し、端子GDから出力する。この端子GDから出力されたスイッチング信号は、力率改善回路20のスイッチング素子Q21のゲートに供給される。
【0049】
すなわち、上記自励発振回路41、固定発振回路42および選択回路43により、上記力率改善回路20を制御するPFC制御回路を構成する。なお、このPFC制御回路による力率改善回路20の制御と、この制御による力率改善回路20の動作については周知であるので、ここでの説明は省略する。
【0050】
点灯制御回路44は、VS端子及びVB端子のそれぞれの電位に基づき、スイッチング素子Q31をオン/オフするためのゲート信号を生成する。また点灯制御回路44は、オペアンプ47から出力される電圧信号OPout により、ゲート信号の周波数及びデューティ比を決定する。そして点灯制御回路44は、HO端子からゲート信号を出力してスイッチング素子Q31のベース端子に供給し、これによりスイッチング素子Q31をオン/オフさせることにより、降圧チョッパ回路30の動作を制御する。なお、点灯制御回路44による降圧チョッパ回路30の制御及びその制御による降圧チョッパ回路30の動作については周知であるので、ここでの説明は省略する。
【0051】
保護回路45は、通常はVDC端子を電源回路46に接続している。また保護回路45は、OCP端子の電位から降圧チョッパ回路30を流れる電流を監視している。そして、過電流等の電流異常を検出すると、保護回路45は、VDC端子と電源回路46との接続を遮断し、PFC制御回路の自励発振回路41及び点灯制御回路42の動作を停止させる。また保護回路45は、監視回路48から異常信号を受信する。そして異常信号を受信した場合も、保護回路45は、VDC端子と電源回路46との接続を遮断し、PFC制御回路の自励発振回路41及び点灯制御回路42の動作を停止させる。
【0052】
電源回路46は、制御回路40の起動に先立ちVDC端子を介して取り込んだ高電圧の全波整流電圧からドロッパ方式にて回路動作電圧Vcc等を生成する。そして電源回路46は、Vcc端子に回路動作電圧Vccを印加する。また電源回路46は、回路動作電圧Vccを含むドロッパ電圧を他の回路に適宜印加する。
【0053】
オペアンプ47は、非反転入力端子(正極端子+)をOP+端子に接続し、反転入力端子(負極端子−)をOP−端子に接続する。そして、OP−端子の電位とOP+端子の電位との差分に応じた大きさの電圧信号を点灯制御回路44と監視回路48とに出力する。前述したように点灯制御回路44は、オペアンプ47からの電圧信号に応じて、降圧チョッパ回路30のスイッチング素子Q31のスイッチング周波数とデューティ比を調整する。この調整は、OP−端子の電位に相当する負荷電流値が、OP+端子の電位に相当する目標電流値と一致するように、降圧チョッパ回路30の出力電流をフィードバック制御するものである。ここにオペアンプ47は、エラーアンプとして機能する。また、発光ダイオードには定電圧特性があるため出力電流を制御することによって、出力電圧が増減される。
【0054】
監視回路48は、監視回路本体481と、閾値設定回路482とから構成される。監視回路本体481は、オペアンプ47から出力された電圧OPout と、ABN端子の電位と、装着検出回路50からLamp端子を介して入力される検出信号に基づいて、それぞれ光源ユニット1のLED11に流れる電流の異常と、光源ユニット1に印加される電圧の異常と、光源ユニット1の装着の有無をそれぞれ判定する。そして、異常と判定された場合には保護回路45へ異常検出信号を出力する。
【0055】
閾値設定回路482は、シーケンス制御回路49から出力されるマスク信号MSと、固定発振回路42のCタイマから発生される基準発振信号Ctim とに基づいて、起動シーケンス終了直後に設定される閾値設定期間に、閾値の初期値を上記監視回路本体481に設定する。閾値の初期値は、例えば閾値設定回路482内のメモリに予め記憶されている電圧値に設定される。
【0056】
また閾値設定回路482は、上記閾値の初期設定後における光源ユニット1の点灯動作中に、上記設定中の閾値を定期的に更新する。上記閾値の更新は、上記ABN端子の電位と保護電圧ΔVとに基づいて行われるが、その具体的な動作は後に詳しく述べる。
【0057】
保護回路45は、監視回路48から異常検出信号が出力された場合に、自励発振回路41および点灯制御回路44の動作を停止させると共に、シーケンス制御回路49に対しリセット信号RSを与える。
【0058】
シーケンス制御回路49は、図示しない電源スイッチが投入された場合、またはリセット動作が行われた場合に、予め定めた起動シーケンスに従い制御回路40内の各回路を起動し、これにより電源装置2から光源ユニット1に対し出力電圧および出力電流の供給を開始させる。上記起動シーケンスについても後に詳しく述べる。
【0059】
(動作)
次に、以上のように構成された電源装置2の動作を説明する。
(1)起動シーケンス
電源スイッチが投入されると、電源装置2は制御回路40のシーケンス制御回路49の制御の下で以下のように起動する。
図3はその起動シーケンスを示す図である。
【0060】
電源スイッチの投入により動作電圧VSTが制御回路40のVC2端子に供給されると、固定発振回路42のCタイマが基準発振信号Ctim の発振を開始する。この基準発振信号Ctim は、
図3に示すように立ち上がり波形と立ち下がり波形とが対称となる鋸歯状波からなり、周期は例えば200msecに設定される。
【0061】
シーケンス制御回路49は、先ず上記基準発振信号Ctim の発振が開始されてから当該基準発振信号Ctim の2番目の谷が検出されるまでの期間(時刻t1までの期間=400msec)では監視回路48に対しマスク信号MSを与え、これにより光源ユニット1の装着検出動作を禁止(マスク)する。
【0062】
上記装着検出動作禁止期間が終了すると、装着検出回路50からLamp端子に入力される電位をもとに監視回路48では光源ユニット1が装着されているか否かが判定される。そして、光源ユニット1が装着されていることが確認されると、電源回路46から生成される動作電圧Vccが上昇し、それに伴いVrefが増加する。そして、Vref が規定値に達すると、時刻t2からVB−VS間の初期充電が開始される。すなわち、当該VB−VSの放電回路がオンとなる。さらに、上記Vref の規定値到達後から基準発振信号Ctim の1番目の谷が検出された時点t3で、シーケンス制御回路49から選択回路43へのマスク信号MSの供給がオフされ、力率改善回路20が動作を開始する。
【0063】
次に、上記動作電圧VccおよびVrefが規定値に達した後、基準発振信号Ctim の2番目の谷が検出された時刻t3において、力率改善回路20の出力電圧が定格値の90%に達したか否かがVFB端子に入力される電位をもとに判定される。この判定の結果、力率改善回路20の出力電圧が定格値の90%に達したことが確認されると、その時点t3で、
図3に示すように基準発振信号Ctim 電圧の充電傾斜を緩やかにして、ソフトスタート動作が開始されると共に、上記基準発振信号Ctimより周期の短い発振信号Cosc の発振が開始される。
【0064】
また、上記時刻t3において、シーケンス制御回路49は監視回路48に対するマスク信号MSの供給をオフにする。この結果、ABNおよびOCPの各端子に入力される電位の検出動作が開始される。なお、上記ソフトスタート動作とは、基準発振信号Ctim の周期より長い時間をかけて基準発振信号の電位が徐々に増加する動作である。
【0065】
上記ソフトスタート動作が開始され、発振信号Cosc の電圧値がCタイマの基準発振信号Ctim の電圧値を最初に下回ったタイミングt4が検出されると、この時点t4でVB−VS放電回路がオフとなる。また、上記時刻t4においてオペアンプ47の出力をマスクする制御が停止され、これによりオペアンプ47の出力OPout が点灯制御回路44に入力され、降圧チョッパ回路30の動作が開始される。この結果、上記ソフトスタート期間において、降圧チョッパ回路30から光源ユニット1に供給される出力電流IFが
図3に示すように徐々に増加する。
【0066】
なお、上記時刻t3において、力率改善回路20の出力電圧が定格値の90%に達していない場合には、当該出力電圧が定格値の90%に達した後、基準発振信号Ctim の谷を検出した時点から上記ソフトスタート動作が開始される。但し、上記時刻t3から基準発振信号Ctim の谷を4個カウントするまでの期間内に上記出力電圧が定格値の90%に達しなければ、ソフトスタート動作は開始されず、電源装置2の起動動作は停止(ラッチ停止)される。
【0067】
(2)閾値の初期設定
上記ソフトスタート動作期間が時刻t5で終了すると、監視回路48の閾値設定回路482において、当該終了時点t5から基準発振信号Ctim の電位が谷に低下する時刻t6までの期間に閾値初期設定期間が設定される。そして、この閾値初期設定期間に、劣化検出用の閾値が監視回路本体481に対し初期設定される。このとき閾値の初期値としては、閾値設定回路482内のメモリに予め記憶されている電圧値が用いられる。
【0068】
(3)点灯中における閾値の更新
閾値設定回路482では、上記閾値の初期設定後における光源ユニット1の点灯動作中において、上記閾値の更新動作が以下のように行われる。
図4および
図5にその更新動作の一例を示す。
【0069】
すなわち、閾値設定回路482は、
図4(a)に示すように、先ず固定発振回路42のCタイマから発振される基準発振信号Ctim の山をそれぞれ検出する。そして、この検出された山の各タイミングにおいて、ABN端子を介して入力される、降圧チョッパ回路30の出力電圧(ランプ電圧)に対応する検出電位を
図4(b)に示すように検出する。
【0070】
続いて閾値設定回路482は、
図5に示すように上記検出電位に、予め定められた保護電圧ΔVを加算した電位(
図5では破線で図示)を算出する。また、このとき閾値設定回路482は、正常動作と想定しているランプ電圧の範囲内に事前に設定した複数の候補閾値をメモリに記憶している。例えば、
図5では8個の候補閾値Vth1 〜Vth8 を等間隔で設定した場合を示している。そして閾値設定回路482は、上記算出された電位、つまり上記検出電位に保護電圧ΔVを加算した電位より大きい候補閾値の中から、当該算出された電位と最も近い候補閾値を選択する。例えば、
図5の例では候補閾値Vth6 を選択する。
【0071】
また閾値設定回路482は、
図4(a)に示すように、上記基準発振信号Ctim の上記検出された山に続く谷を検出する。そして、この検出された谷のタイミングにおいて、その直前の山のタイミングで検出されたランプ電圧に基づいて設定された上記候補閾値Vth6 を監視回路本体481へ出力し、それまで設定されていた閾値を当該候補閾値Vth6 に更新する。
【0072】
かくして、劣化検出用の閾値Vthは、光源ユニット1の点灯動作開始後において、基準発振信号Ctim に同期して、定期的にその時々のランプ電圧に基づいて更新される。
【0073】
(効果)
以上詳述したように一実施形態では、監視回路48に閾値設定回路482を設け、閾値設定回路482において以下のような閾値設定動作を行っている。すなわち、先ず起動シーケンス終了直後に設定される閾値設定期間に閾値の初期値を設定する。次に、上記閾値の初期設定後における光源ユニット1の点灯動作中に、Cタイマから発振される基準発振信号Ctim の山のタイミングにおいてランプ電圧を検出し、この検出電位に保護電圧ΔVを加算した電位を算出して、この算出された電位より大きい候補閾値の中から当該算出された電位と最も近い候補閾値を選択する。そして、上記Cタイマから発振される基準発振信号Ctim の上記山に続く谷を検出し、この検出された谷のタイミングにおいて、その直前の山のタイミングで検出されたランプ電圧に基づいて設定した上記候補閾値に、それまで設定されていた閾値を更新するようにしている。
【0074】
従って、光源ユニット1の点灯動作中に、例えば光源ユニット1または電源装置2の温度特性の影響により降圧チョッパ回路30から光源ユニット1に供給されるランプ電圧が増加した場合には、ランプ電圧の検出電位が閾値を超えた時点で監視回路48から異常検出信号が出力され、保護回路45により電源装置2の動作が停止される。このため、光源ユニット1または電源装置2の温度特性の影響による異常動作から、光源ユニット1を保護することが可能となる。
【0075】
また、ランプ電圧の検出と閾値の更新を基準発振信号Ctim の1周期おきに交互に行うようにしたので、例えば検出したランプ電圧がノイズ等の影響で一時的に増加した場合に、この一時的に増加した検出値に応じた閾値がランプ電圧の検出タイミングから1周期遅れて更新されることになる。このため、上記ランプ電圧の検出タイミングから閾値が更新されるまでの期間では、更新前の適切な閾値が維持されることになり、この期間にランプ電圧の異常が発生された場合には当該異常を即時検出することが可能となる。
【0076】
また、監視回路48から異常検出信号が出力され、保護回路45により電源装置2の動作が停止された後に、DIS端子―GND間のスイッチをオンに制御するようにしてもよい。例えば定電流制御が行われているときに光源ユニット1が電源装置2から取り外されると、電源装置2の出力端子がオープンとなり、保護回路45が点灯制御回路42の動作を停止させるまで、出力電圧が上昇し、それに伴いコンデンサC31の電圧も上昇する。しかし、DIS端子―GND間のスイッチをオンに制御すると、DIS端子の電位がグランド電位になり、降圧チョッパ回路30のインダクタL31とコンデンサC31との接続点の電位がグランド電位まで引き込まれ、コンデンサC31にチャージされていた電荷は瞬間的にゼロとなるので、光源ユニット1が再度装着されても光源ユニット1側に突入電流が流れることはない。したがって、光源ユニット1の発光ダイオードD11が突入電流によって故障するおそれはない。
【0077】
さらに、閾値を更新する際に、予め複数の候補閾値を用意しておき、ランプ電圧の検出電位に保護電圧ΔVを加算した電圧値より大きくかつ最も近い候補閾値を選択して、設定中の閾値を上記選択した閾値に更新するようにしている。このため、正常動作と想定しているランプ電圧の範囲内で、その時々のランプ電圧の検出値に応じた適切な閾値を設定することができる。
【0078】
[他の実施形態]
前記一実施形態では、起動シーケンス終了直後に閾値設定期間を設定して閾値を初期設定するようにしたが、起動シーケンス終了直前の期間に閾値初期設定期間を設定して閾値を初期設定するようにしてもよい。また、一実施形態では上記閾値初期設定期間において、予め定めた閾値を初期設定するようにした。しかしそれに限らず、先に述べた更新時と同様に、その時々のランプ電圧の検出電位に保護電圧ΔVを加算し、正常動作の範囲内に予め設定した複数の候補閾値の中から上記加算後の電圧値より大きくかつ当該加算後の電圧値に最も近い候補閾値を選択して、これを初期設定するようにしてもよい。
【0079】
また、前記一実施形態では、閾値の更新期間において、Cタイマから出力される基準発振信号Ctim の1周期おきにランプ電圧の検出と閾値の更新を行うようにしたが、複数周期おきにランプ電圧の検出と閾値の更新を行うようにしてもよい。
【0080】
その他、電源装置2および制御回路40の構成や、光源ユニットの種類やその構成、起動シーケンス等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0081】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。